JP2008152120A - 光学フィルム - Google Patents

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靖真 吉富
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Abstract

【課題】 干渉縞がない、表面硬度が硬く、撓み性を有する、偏光板を形成するのに好適な光学フィルムを提供する。
【解決手段】 基材フィルムの少なくとも一方の面に圧力を印加したことにより、表面に凹凸が形成されたフィルムの、少なくとも当該凹凸が形成された面に機能層を有する光学フィルムであって、
前記基材フィルムが、
熱可塑性アクリル樹脂を含んでなり、
数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子が当該フィルムの厚さ方向で偏在しており、
平均厚さが100μm未満の
押出法により形成されたものである
光学フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板などの液晶表示素子用保護フィルムに適した光学フィルムに関する。
表示装置等の表示画面は、人間が手を触れたりする機会などが多く、その表面が汚れたり、表面に傷が付いたりし、表示画像が見難くなることがある。そのために表示画面表面に保護フィルムが貼られている。このようなフィルムとして、例えば、特許文献1には、メチルメタクリレート50〜70質量部、無水マレイン酸10〜20質量部及びスチレン20〜35質量部からなるアクリル系樹脂(A)と、耐衝撃性アクリルゴム−メチルメタクリレートグラフト共重合体やブチル変性アセチルセルロースなどからなる強靱性改良剤(B)とを、質量比60〜90/40〜10で含有する組成物からなるフィルムが提案されている。
特許文献2には、グルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂(A)を60〜90質量%、アクリル弾性体粒子(B)を7〜40質量%含有するアクリル樹脂フィルムであって、アクリル弾性体粒子(B)の平均粒径が70〜300nmであり、フィルムの破断伸度が15%以上、高張力下1%変形温度が100℃以上であるアクリル樹脂フィルムが提案されている。しかし、これらの保護層は、表面の硬さが小さく、表面を擦ることによって傷が付いたり、汚れたりするという難点があった。
特開平5−119217号公報 特開2005−314534号公報
一方、特許文献3には、メタクリル酸メチルを主成分とする連続樹脂相中に常温でゴム状の弾性体を粒子径0.15〜4μmの粒子状で不連続的に5〜70質量%分散させた耐衝撃性アクリル樹脂を基材部とし、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレ−ト単位を有するアクリル樹脂を積層部として、基材部の片面又は両面に0.5μmから100μmの厚さで且つ、積層部の合計厚さがシ−ト全体の厚さの30%以内となる厚さで積層させたヘイズ値が1.0%以下、光沢度が130%以上の光学的特性を有する耐候性に優れた耐衝撃性アクリル樹脂積層シ−トが提案されている。このフィルムは、看板、照明カバー、自動車用サンバイザー等の耐衝撃性が要求される用途に用いられると特許文献3は開示している。
特開平4−59246号公報
特許文献4及び5には、アクリル系ゴム粒子およびアクリル系樹脂を含有する層と耐衝撃材料を含まないアクリル系樹脂の層とからなるアクリル系樹脂積層フィルムが提案されている。このフィルムは、高い耐衝撃強度が要求される家電製品の外装、自動車の内装、建築用資材などに用いられることが開示されている。
特開2002−292808号公報 特開2001−260288号公報
また、偏光板用保護フィルムなどの光学フィルムは、基材フィルムに機能層を積層することで製造される。このとき基材フィルムと機能層との間に干渉縞が発生し、フィルムの光学特性を低下させることが問題となっている。特許文献6には、基材フィルムと機能層との界面の表面粗さを制御することで干渉縞の発生を抑制した透明ポリカーボネート樹脂積層体を提案している。しかしながら、ここで提案されている積層体の基材となるポリカーボネート樹脂板は、溶融押出法により形成された厚さが1〜10mmと厚いものであった。
特開2001−080013号公報
ところで光学フィルムの基材フィルムを工業生産する方法として押出成形を採用する場合、押出速度(製造されたフィルムの巻き取り速度)を上げると干渉縞ができるため、押出速度の制御を慎重に行う必要があり、基材フィルムの製造効率を上げるには限界があった。
本発明の目的は、干渉縞がない、表面硬度が硬く、撓み性を有する、偏光板を形成するのに好適な光学フィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために検討した結果、熱可塑性アクリル樹脂を含んでなり、数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子が当該フィルムの厚さ方向で偏在しており且つ平均厚さが100μm未満の押出法により形成された基材フィルムの少なくとも一方の面に、圧力を印加したことにより、表面に凹凸が形成されたフィルムの、凹凸の形成された面に機能層を形成すれば、干渉縞がない、表面硬度が硬く、撓み性を有する光学フィルムが得られることを見いだした。
しかも、このような表面に凹凸が形成されたフィルムを採用すると、基材フィルムの製造速度(押出成形時の押出速度やフィルムの巻き取り速度と同じ)を上げても干渉縞が発生しないこと、更に、表面に凹凸が形成されたフィルム表面に機能層を形成する際の速度を上げても干渉縞の発生が抑制されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のものを含む。
基材フィルムの少なくとも一方の面に圧力を印加したことにより、表面に凹凸が形成されたフィルムの、少なくとも当該凹凸が形成された面に機能層を有する光学フィルムであって、
前記基材フィルムが、
熱可塑性アクリル樹脂を含んでなり、
数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子が当該フィルムの厚さ方向で偏在しており、
平均厚さが100μm未満の
押出法により形成されたものである
光学フィルム。
本発明の光学フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に圧力を印加したことにより、表面に凹凸が形成されたフィルムと機能層とからなる。
機能層としては、ハードコート層、反射防止層、防汚層などが挙げられる。
<基材フィルム>
本発明に用いる基材フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂を含んでなり、数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子がフィルムの厚さ方向で偏在しており、且つ平均厚さが100μm未満のものである。また、本発明に用いる基材フィルムは、押出成形により形成されたものであり、特に熱可塑性アクリル樹脂からなる樹脂層を少なくとも1層含む、2以上の樹脂層からなる共押出法により形成された多層フィルムであるのが好ましい。
熱可塑性アクリル系樹脂の主成分として使用する(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜15のアルカノール及びシクロアルカノールから誘導される構造のものが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜8のアルカノールから誘導される構造のものである。炭素数が多すぎる場合は、得られる脆質フィルムの破断時の伸びが大きくなりすぎる。
熱可塑性アクリル樹脂としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体;アルキル基の水素がOH基、COOH基もしくはNH基などの官能基によって置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体;または(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、スチレン、酢酸ビニル、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸などの不飽和結合を有するビニル系モノマーとの共重合体を挙げることができる。熱可塑性アクリル樹脂としては、これらのうち1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱可塑性アクリル樹脂はポリメタクリル酸メチルおよびポリメタクリル酸ブチルが単量体単位として含まれているものがより好ましい。
本発明に用いる熱可塑性アクリル樹脂は、ガラス転移温度Tgが80〜130℃の範囲内のものが好ましい。さらに、本発明に用いる熱可塑性アクリル樹脂は、基材フィルムに成形したときの表面の硬度が高いもの、具体的には、鉛筆硬度(試験荷重を500gとした以外は、JIS K 5600−5−4に準拠)で2Hより硬いものが好ましい。
本発明に用いる熱可塑性アクリル樹脂は、メルトフローレートの値が10〜100g/10分(280℃、荷重2.16kgf)の範囲に入る物から選択するのが好ましい。また、基材フィルムが複数の熱可塑性アクリル樹脂から構成される場合には、各層の熱可塑性アクリル樹脂のメルトフローレートの値は同程度であることが、反りや丸まりのないフィルムを得やすいことから、好ましい。具体的には隣接する層を構成する熱可塑性アクリル樹脂のメルトフローレート値の差が、0〜30g/10分(280℃、荷重2.16kgf)であることが好ましい。
熱可塑性アクリル樹脂には、顔料や染料等の着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの、後述する弾性体粒子以外の配合剤が適宜配合されたものを用いることができる。これらの配合剤を含有させる方法としては、配合剤を予め熱可塑性アクリル樹脂中に配合する方法;溶融押出成形時に直接供給する方法などが挙げられ、いずれの方法が採用されてもよい。
紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性や耐候性を向上させるために添加される。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤等の公知のものが使用可能である。中でも、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が好適に用いられる。これらの中でも、特に2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)が好ましい。紫外線吸収剤の濃度は、波長370nm以下の透過率が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下となる範囲で選択することができる。
赤外線吸収剤としては、ニトロソ化合物、その金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、カーボンブラック、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、周期表4A、5Aもしくは6A族に属する金属の酸化物、炭化物、ホウ化物等の赤外線吸収剤などを挙げることができる。これらの赤外線吸収剤は、赤外線(波長約800nm〜1100nmの範囲の光)全体を吸収できるように、選択することが好ましく、2種類以上を併用してもよい。赤外線吸収剤の量は、例えば、800nm以上の波長の光線透過率が10%以下となるように適宜調整することができる。
本発明に用いられる弾性体粒子は、ゴム状弾性体からなる粒子である。ゴム状弾性体としては、アクリル酸エステル系ゴム状重合体、ブタジエンを主成分とするゴム状重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。アクリル酸エステル系ゴム状重合体としてはブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト等を主成分とするものがある。これらの内ブチルアクリレ−トを主成分としたアクリル酸エステル系重合体及びブタジエンを主成分とするゴム状重合体が好ましい。弾性体粒子は、二種の重合体が層状になったものであってもよく、その代表例としては、ブチルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−トとスチレンのグラフト化ゴム弾性成分と、ポリメチルメタクリレ−ト及び/又はメチルメタクリレ−トとアルキルアクリレ−トの共重合体からなる硬質樹脂層とがコア−シェル構造で層を形成している弾性体粒子が挙げられる。
本発明に用いられる弾性体粒子は、熱可塑性アクリル樹脂中に分散した状態における二次粒子の数平均粒径が2.0μm以下、好ましくは0.1〜1.0μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。弾性体粒子の一次粒子径が小さくても、凝集などによって形成される二次粒子の数平均粒径が大きいと、基材フィルムのヘイズ(曇り度)が高くなりすぎ、光線透過率が低くなる。また、数平均粒径が小さくなりすぎると可撓性が低下する傾向にある。
本発明において、弾性体粒子の波長380nm〜780nmにおける屈折率n(λ)は、マトリックスとなる熱可塑性アクリル樹脂の波長380nm〜780nmにおける屈折率n(λ)との間に、|n(λ)−n(λ)| ≦ 0.05の関係を満たすことが好ましい。特に、|n(λ)−n(λ)| ≦ 0.045であることがより好ましい。なお、n(λ)及びn(λ)は、波長λにおける主屈折率の平均値である。|n(λ)−n(λ)|の値が上記値を超える場合には、界面での屈折率差によって生じる界面反射により、透明性を損なうおそれがある。
弾性体粒子は、熱可塑性アクリル樹脂を主成分としてなる基材フィルムの厚さ方向で偏在している。偏在している場所は厚さ方向の中央部であっても良いし、表面部であっても良い。中央部に弾性体粒子が偏在する場合は、基材フィルム表面付近には弾性体粒子が少なく、基材フィルムの厚さ方向中央部に弾性体粒子が多く分布している。表面部に弾性体粒子が偏在する場合は、基材フィルム中央部に弾性体粒子が少なく、少なくとも一方の表面部分には弾性体粒子が多く分布している。弾性体粒子の分布は、表面から中央に向ってなだらかに増加又は減少するものであってもよいし、階段状に増加又は減少するものであってもよい。弾性体粒子が層の厚さ方向で偏在することによって、光学フィルムの表面の硬度を十分に確保しつつ、偏光板の可撓性を向上できる。
特に光学フィルムを貼り合わせる際に後述する偏光子や表示装置との密着性が高まることから、少なくとも機能層が積層される側とは反対側の基材フィルム表面に弾性体粒子が多く分布するのが好ましい。
このような基材フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる組成物と、当該弾性体粒子を含まない熱可塑性樹脂とを共押出成形する方法;熱可塑性樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる組成物と、当該弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂とを共押出成形する方法が挙げられる。好ましくは、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる組成物と、当該弾性体粒子を含まない熱可塑性樹脂とを共押出成形する方法(共押出法)が採用される。共押出法としては、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられ、中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法にはフィードブロック方式、マルチマニホールド方式が挙げられるが、弾性体粒子を含む層1の厚さのばらつきを少なくできる点でマルチマニホールド方式がさらに好ましい。
基材フィルムは、その厚さ(平均厚さ)が100μm未満、好ましくは80μm以下、より好ましくは40μm以上80μm以下である。
基材フィルムが、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる組成物を用いて形成される多層の樹脂層からなる場合、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる層の厚みの合計は60μm以下であることが好ましく、20μm以上60μm以下であることが好ましい。弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂層の厚みの合計は20μm以上であることが好ましく、20μm以上60μm以下であることが好ましい。
弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂層の厚みの合計が20μm未満であると耐熱性及び強度が不足し、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子からなる層の厚みの合計が20μm未満であると可撓性が不十分となる。
基材フィルムは、その残留溶剤含有量が0.01質量%以下であることが好ましい。残留溶剤量が上記範囲であることにより、例えば、高温・高湿度環境下において基材フィルムが変形するのを防止できるとともに、光学性能が劣化するのを防止できる。残留溶剤量が上記範囲となる基材フィルムは、例えば、複数の樹脂を共押出成形することによって得ることができる。共押出成形の場合には、複雑な工程(例えば、乾燥工程や塗工工程)を経なくてもよいため、ゴミなどの外部異物の混入が少なく、優れた光学性能を発揮できる。
残留溶剤含有量は、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した内径4mmのガラスチューブの試料容器に基材フィルム50mgを入れ、その容器を温度200℃で30分間加熱し、容器から出てきた気体を連続的に捕集し、捕集した気体を熱脱着ガスクロマトグラフィー質量分析計(TDS−GC−MS)で分析した値である。
基材フィルムは、その透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下であることが好ましい。基材フィルムの透湿度を上記好適な範囲とすることにより、基材フィルムに積層する層との密着性を向上できる。透湿度は、40℃、92%RHの環境下で、24時間放置する試験条件で、JIS Z 0208に記載のカップ法により測定できる。
本発明において、凹凸を形成させるために圧力を印可する前の基材フィルムの表面は、不規則に生じる線状凹部や線状凸部が実質的に形成されず、その表面が平坦な面であることが好ましい。実質的に形成されないとは、仮に、線状凹部や線状凸部が形成されたとしても、深さが50nm未満もしくは幅が500nmより大きい線状凹部、および高さが50nm未満もしくは幅が500nmより大きい線状凸部であることである。より好ましくは、深さが30nm未満、または、幅が700nmの線状凹部であり、高さが30nm未満、または、幅が700nmより大きい線状凸部である。このような構成とすることにより、線状凹部や線状凸部での光の屈折等に基づく、光の干渉や光漏れの発生を防止でき、光学性能を向上できる。なお、不規則に生じるとは、意図しない位置に意図しない寸法、形状等で形成されるということである。
このような大きさの線状凸部及び線状凹部を有しない基材フィルムは、例えば、Tダイ式の押出成形法においては、ダイのリップ部の表面粗さを小さくする、リップ先端部にクロム、ニッケル、チタンなどのメッキを施す、リップ先端部にセラミックスを溶射する、リップの内面にPVD(Phisical Vapor Deposition)法などによりTiN、TiAlN、TiC、CrN、DLC(ダイアモンド状カーボン)などの被膜を形成する、ダイから押し出された直後の溶融樹脂周りの温度分布、空気流れなどを均一に調整する、樹脂としてメルトフローレート値が同程度のものを選択するなどの手段を行うことによって得ることができる。
不規則に生じる線状凹部や線状凸部の大きさを前記の範囲にするためのその他の手段としては、Tダイ式の押出成形法において、ダイリップに付着しているもの(例えば、ヤケやごみ)を取り除く、ダイリップの離型性をあげる、ダイリップのぬれ性を全面にわたり均一にする、樹脂粉を減らす、樹脂ペレットの溶存酸素量を少なくする、溶融押出し機内にポリマーフィルターを設置するなどの方法が挙げられる。
<表面に凹凸が形成されたフィルム>
上記基材フィルムの少なくとも一方の面に圧力を印加して、表面に凹凸が形成されたフィルムを得る方法としては、基材フィルムに対して、凹凸を有する賦型ロールを用いたニップ成形法や、凹凸を有するフィルムを用いたサンドイッチラミネート法、ブラスト法などを適用する方法が挙げられる。
中でも凹凸を有する賦型ロールを用いたニップ形成法が好ましく、鏡面ロールと凹凸を有する賦型ロールを用いて、基材フィルムを挟圧することが好ましい。それぞれのロールの表面材質は、金属、ゴム、樹脂などが挙げられる。これらは賦型の転写状況から選ばれるが、賦型ロールの硬さは、鏡面ロールの硬さ以上であることが好ましい。また、前記条件を満たすために、例えば、鏡面ロール上に別系統のWEBを導入し、鏡面ロールと同等の表面性を持つ賦型ロールより軟らかい樹脂フィルムなどを介して狭圧させても良い。
上記鏡面ロールと凹凸を有する賦型ロールは、それぞれに温度調節ができるものであるのが好ましい。鏡面ロールの温度は、40℃以上150℃以下で、かつ、凹凸を有する賦型ロールの温度は、100℃以上200℃以下となっている。鏡面ロールの温度は、60℃以上110℃以下が好ましく、凹凸を有する賦型ロールの温度は、110℃以上180℃以下が好ましい。
賦型ロールの表面形状は、ランダムに並んでいることが好ましく、表面の算術平均粗さ(Ra)が0.01μm以上2.0μm以下で、かつ、その凹凸の平均周期(Sm)が10μm以上100μm以下となっている。算術平均粗さは、0.1μm以上1.5μm以下が好ましく、平均周期は30μm以上70μm以下が好ましい。
上記凹凸が形成されたフィルムの算術平均表面粗さ(Ra)が0.05μm以上0.5μm以下で、かつ、その凹凸の平均周期(Sm)が10μm以上100μm以下となっている。算術平均粗さは、0.1μm以上0.3μm以下が好ましく、平均周期は30μm以上70μm以下が好ましい。
なお、本発明においてロール及びフィルムの算術平均表面粗さと平均周期は、JIS B 0601:2001の規定に従い測定される値である。
表面に凹凸が形成された基材フィルムは、ヘイズが1%以上50%未満となっている。ヘイズは3%以上40%未満が好ましい。
このようにして表面に凹凸を有するフィルムの、凹凸が形成された面上にハードコート層、反射防止層、防汚層などの機能層が形成され、本発明の光学フィルムとなる。
<機能層>
(ハードコート層)
ハードコート層は、本発明の光学フィルムの表面硬度を高める機能を有する層であり、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板を用いる)でHまたはそれより硬い硬度を示すことが好ましい。このようなハードコート層が設けられた光学フィルムは、その鉛筆硬度が4Hまたはそれより硬い硬度になることが好ましい。ハードコート層を形成する材料(ハードコート材料)としては、熱や光で硬化する材料であることが好ましく、例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;二酸化ケイ素などの無機ハードコート材料;などを挙げることができる。これらの中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系のハードコート材料が好ましい。
ハードコート層は、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、並びに耐熱性、帯電防止性、および防眩性などの向上を図る目的で、各種フィラーを含有できる。また、ハードコート層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、および消泡剤などの添加剤を含有できる。
(反射防止層)
反射防止層は、外光の移りこみを防止するための層であり、光学フィルムの表面(外部に露出する面)に直接またはハードコート層等の他の層を介して積層される。反射防止層が設けられた光学フィルムは、入射角5°、波長430nm〜700nmにおける反射率が2.0%以下であることが好ましく、波長550nmにおける反射率が1.0%以下であることが好ましい。
反射防止層の厚さは、0.01μm〜1μmが好ましく、0.02μm〜0.5μmがより好ましい。反射防止層としては、当該反射防止層が積層される層(保護層やハードコート層など)の屈折率よりも小さい屈折率、具体的には1.30〜1.45の屈折率を有する低屈折率層からなるもの;無機化合物からなる薄膜の低屈折率層と無機化合物からなる薄膜の高屈折率層とを交互に複数積層したもの、などを挙げることができる。
前記低屈折率層を形成する材料は、屈折率の低いものであれば特に制限されない。例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド材料、テトラエトキシシラン等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル材料等を挙げることができる。これらの低屈折率層を形成する材料は、重合済みのポリマーであってもよいし、前駆体となるモノマーやオリゴマーであってもよい。また、それぞれの材料は、防汚染性を付与するために、フッ素基を含有する化合物を含むことが好ましい。
前記のゾル−ゲル材料としては、フッ素基を含有するゾル−ゲル材料が好適に用いられる。フッ素基を含有するゾル−ゲル材料としては、パーフルオロアルキルアルコキシシランを例示できる。パーフルオロアルキルアルコキシシランは、たとえば、CF(CFCHCHSi(OR)(式中、Rは、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数を示す)で表される化合物である。具体的には、パーフルオロアルキルアルコキシシランとしては、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルロ
オクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、およびヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。この中でも、前記nが2〜6の化合物が好ましい。
低屈折率層は、熱硬化性含フッ素化合物または電離放射線硬化型含フッ素化合物の硬化物からなるものとすることができる。前記硬化物は、その動摩擦係数が0.03〜0.15であることが好ましく、水に対する接触角が90〜120度であることが好ましい。硬化性含フッ素化合物としては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、架橋性官能基を有する含フッ素重合体を挙げることができる。
架橋性官能基を有する含フッ素重合体はフッ素含有モノマーと架橋性官能基を有するモノマーとを共重合することによって、又はフッ素含有モノマーと官能基を有するモノマーとを共重合し次いで重合体中の官能基に架橋性官能基を有する化合物を付加させることによって得ることができる。
含フッ素モノマーとしては、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等のフルオロオレフィン類;「ビスコート6FM」(大阪有機化学社製)、「M−2020」(ダイキン社製)等の(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。
架橋性官能基を有するモノマー又は架橋性官能基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基を有するモノマー;アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマー;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレートなどのヒドロキシル基を有するモノマー;メチロールアクリレート、メチロールメタクリレート;アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどのビニル基を有するモノマー;アミノ基を有するモノマー;スルホン酸基を有するモノマー;等を挙げることができる。
低屈折率層を形成するための材料としては、耐傷性を向上できる点で、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム等の微粒子をアルコール溶媒に分散したゾルが含まれたものを用いることができる。前記微粒子は、反射防止性の観点から、屈折率が低いものほど好ましい。このような微粒子は、空隙を有するものであってもよく、特にシリカ中空微粒子が好ましい。中空微粒子の平均粒径は、5nm〜2,000nmが好ましく、20nm〜100nmがより好ましい。ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求められる数平均粒径である。
(防汚層)
防汚層は、撥水性、撥油性、耐汗性、および防汚性などを付与できる層である。防汚層を形成するために用いる材料としては、フッ素含有有機化合物が好適である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボン、パーフルオロシラン、又はこれらの高分子化合物などを挙げることができる。また、防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法、化学的気相成長法、湿式コーティング法等を用いることができる。防汚層の平均厚さは、好ましくは1nm〜50nm、より好ましくは3nm〜35nmである。
さらに、機能層は、上述した以外に、防眩層、ガスバリア層、透明帯電防止層、プライマー層、電磁波遮蔽層、下塗り層等、光学フィルムに採用される一般的なその他の層であってもよい。
<光学フィルム>
以上のような機能層を、表面に凹凸が形成されたフィルム上に形成し、本発明の光学フィルムを得る方法に格別な限定はなく、各機能層の形成に一般的な例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法などの方法が挙げられる。
上記凹凸面に機能層が積層された後のフィルムの算術平均表面粗さ(Ra)は0.1μm以下であることが好ましく、0.06μm以下がより好ましい。
機能層が積層された後の基材フィルムは、ヘイズが5%以下となっていることが好ましく、3%以下がより好ましい。
<光学フィルムの利用>
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー,タッチパネルなどの表示装置の表面保護フィルムとして、直接に貼合することにより、または偏光板保護フィルム、前面板など表示装置に組み込まれる表面部材と置き換えることにより用いることができる。本発明の光学フィルムは、偏光板保護用途として好適に用いられる。
このようにして得られる本発明の光学フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合は、本発明の光学フィルムを接着剤を介して偏光子の一面に貼合し、次いで該接着剤を硬化させ、光学フィルムを偏光子に固定することによって偏光板が得られる。
光学フィルムに偏光子を貼合するに先立って、光学フィルム側の貼合面に、ケン化処理、コロナ処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理などの易接着処理が施されてもよい。
偏光子としては、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素若しくは二色性染料を吸着させ、次にホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるものや、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させ延伸し、さらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるものなど、を挙げることができる。また、偏光子として、グリッド偏光子、多層偏光子、コレステリック液晶偏光子などの偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子を用いることもできる。この中でも、ポリビニルアルコールを含んでなる偏光子が好ましい。偏光子の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の厚さ(平均厚さ)は、好ましくは5μm〜80μmである。
光学フィルムの一面に偏光子を貼合した後、光学フィルムと接していない側の偏光子に、保護層を積層するのが一般的である。保護層は、本発明の光学フィルムであってもよいし、従来から偏光板に用いられているポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロースエステル、脂環式オレフィンポリマーなどからなる保護層であってもよい。
偏光子に保護層を積層する方法に格別な制限はなく、例えば、保護層となる保護フィルムを必要に応じて接着剤などを介して偏光子と積層する一般的方法を採用することができる。保護層を偏光子に貼合する際の接着剤としては、前述の光カチオン硬化型接着剤を用いてもよいし、従来公知の接着剤であってもよい。
この偏光板を用いて液晶表示装置を製造することができる。液晶表示装置は、通常、光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とがこの順に、配置されてなるものである。偏光板は、当該装置の出射側(視認側)および/または入射側(光源側)に備えることができるが、少なくとも出射側に本発明の偏光板を配置することが好ましい。なお、本発明の液晶表示装置には、さらに、位相差板、輝度向上フィルム、導光板、光拡散板、光拡散シート、集光シート、反射板などを備えていてもよい。
実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、部及び%は特に断りが無い限り質量基準である。
実施例および比較例で得た各フィルムを下記の方法により評価した。
<メルトフローレート>
JIS K 7210に準じ、280℃、2.16kgf(条件S)の条件にて、東洋精機製作所製、メルトインデクサF−B01により測定した。
<引張弾性率>
熱可塑性樹脂を単層成形して、厚み100μmのフィルムを得、1cm×25cmの試験片を切り出し、ASTM D 882に基づき、引張試験機(東洋ボールドウィン社製、テンシロンUTM−10T−PL)を用いて引張速度25mm/minの条件で測定した。同様の測定を5回行い、その算術平均値を引張弾性率の代表値とする。
<各樹脂層の膜厚>
基材フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトーム(大和工業社製、RUB−2100)を用いてスライスし、走査電子顕微鏡を用いて断面を観察し測定した。
<ヘイズ>
濁度計(日本電色社製、製品名「NDM 2000」)を用いて測定した。
<Ra、Sm>
JIS B 0601:2001の規定に従い、カラー3Dレーザ顕微鏡(キーエンス社製、製品名「VK−9500」)を用いて測定した。
<偏光板の干渉縞観察>
光を通さない黒布に囲われた部屋の天井に6つの三波長蛍光灯(松下電器産業社製、ナショナルFL20SS・ENW/18)を配置し、この蛍光灯より1.5m下の場所で、当該蛍光灯の光を観察者側から光学フィルム表面に当て、干渉縞の状態を観察し、以下の基準で評価した。
○:干渉縞が見えない
△:干渉縞がうっすらと見える
×:干渉縞が目立つ
<鉛筆硬度>
荷重を500gにした以外はJIS K 5600−5−4に従って、4Hの鉛筆で、光学フィルムの表面(反射防止層表面)の5箇所について、5mm程度引っかき、傷の付き具合を確認した。
○:1箇所も傷がつかなかった。
×:1箇所以上傷がついた。
<可撓性>
光学フィルムを1cm×5cmに打ち抜いて試験フィルムを得た。得られた試験フィルムを3mmφのスチール製の棒に巻きつけ、巻きつけたフィルムが棒のところで折れるか否かをテストした。合計10回テストを行い、折れなかった回数によって下記指標で可撓性を表す。
○:割れたフィルム片が0枚
△:割れたフィルム片が1枚
×:割れたフィルム片が2枚以上
(基材フィルムの作製)
弾性体粒子を含まないポリメチルメタクリレート樹脂(メルトフローレート18g/10分(280℃、2.16kgf)、引張弾性率3.3GPa、Tg=110℃、吸水率0.3%;以下、「PMMA」と記すことがある。)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型一軸押出機(スクリュー有効長さLとスクリュー径Dとの比L/D=28)に装着されたホッパーへ投入し、押出機出口温度260℃、押出機のギヤポンプの回転数6rpmで溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイの一方に供給した。
同時に、数平均粒径0.4μmの弾性体粒子を含むポリメチルメタクリレート樹脂(メルトフローレート20g/10分(280℃、2.16kgf)、引張弾性率2.8GPa、Tg=100℃、吸水率0.3%;以下、「R−PMMA」と記すことがある。)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型の一軸押出機に導入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイの他方に供給した。
そして、溶融状態のPMMA、及びR−PMMAをそれぞれマルチマニホールドダイから260℃で吐出させ、130℃に温度調整された冷却ロールにキャストし、その後、50℃に温度調整された冷却ロールに通して、R−PMMA層(20μm)/PMMA層(40μm)/R−PMMA層(20μm)の3層構成からなる、幅600mm、厚さ80μmの基材フィルムを共押出成形により得た。基材フィルムのRaは0.01μm未満であり、ヘイズは3.1%であった。
(エンボスフィルム1の製造)
上記工程で共押出成形により成形機より出てきた基材フィルムを、110℃に加熱したハードクロムめっき100μmを施した金属製の鏡面ロールと、150℃に加熱したセラミック製のRaが1.2μm、Smが50μmの凹凸を有する賦型ロールを用いて、押出されたフィルムを線圧100kN/mにて狭圧した。ロールスピードは10m/minで巻き取り、片方の表面に凹凸が形成されたフィルム(エンボスフィルム1)を得た。
エンボスフィルム1のRaは0.18μm、Smは50μm、ヘイズは16.5%であった。
(エンボスフィルム2の製造)
上記エンボスフィルム1の製造において、エンボス転写の際、110℃に加熱したハードクロムめっき100μmを施した金属製の鏡面ロール上に、別系統のWEBから供給される三井化学社製熱可塑性ポリイミド樹脂フィルム「AURUMフィルム」(品番「PL450C」)を搬送させ、180℃に加熱したセラミック製のRaが1.1μm、Smが50μmの凹凸を有する賦型ロールを用いて、押出されたフィルムを線圧200kN/mにて狭圧した。ロールスピードは20m/minで巻き取る以外は製造例1と同様にして、表面に凹凸が形成されたフィルム(エンボスフィルム2)を得た。
エンボスフィルム2のRaは0.23μm、Smは50μm、ヘイズは20.8%であった。
(エンボスフィルム3の製造)
上記エンボスフィルム1の製造において、エンボス転写の際、70℃に加熱したハードクロムめっき100μmを施した金属製の鏡面ロール上に、別系統のWEBから供給される三井化学社製熱可塑性ポリイミド樹脂フィルム「AURUMフィルム」(品番「PL450C」)を搬送させ、180℃に加熱したセラミック製のRaが1.3μm、Smが50μmの凹凸を有する賦型ロールを用いて、押出されたフィルムを線圧400kN/mにて狭圧した。ロールスピードは30m/minで巻き取る以外は製造例1と同様にして、表面に凹凸が形成されたフィルム(エンボスフィルム3)を得た。
エンボスフィルム3のRaは0.26μm、Smは50μm、ヘイズは23.2%であった。
(ハードコート層の形成用材料の調製)
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー30部、ブチルアクリレート40部、イソボロニルメタクリレート30部、および2,2−ジフェニルエタン−1−オン10部を、ホモジナイザーで混合し、五酸化アンチモン微粒子(平均粒子径20nm、水酸基がパイロクロア構造の表面に現れているアンチモン原子に1つの割合で結合している。)の40%メチルイソブチルケトン溶液を、五酸化アンチモン微粒子の重量がハードコート層形成用組成物全固形分の50重量%を占める割合で混合して、ハードコート層形成用材料を調製した。
(低屈折率層形成用材料の調製)
含フッ素モノマーである、フッ化ビニデリン70重量部およびテトラフルオロエチレン30重量部をメチルイソブチルケトンに溶解した。次に、この溶解物に、中空シリカイソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業社製、固形分20重量%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚み約8nm)を、含フッ素モノマー固形分に対して中空シリカ固形分で30重量%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(信越化学社製)を前記固形分に対して3重量%、光ラジカル発生剤イルガキュア184(チバ・スペシャリティケミカルズ社製)を前記固形分に対して5重量%添加し、低屈折率層形成用材料を調製した。
実施例1
エンボスフィルム1の両面に、高周波発信機(出力0.8KW)を用いてコロナ放電処理を行い、表面張力を0.055N/mに調整した。次に、このエンボスフィルム1の、凹凸が形成された面に、温度25℃、湿度60%RHの環境下で、ダイコーターを用いてコーティング速度20m/minでハードコート層形成用材料を塗工し、80℃の乾燥炉の中で乾燥させて被膜を得た。さらに、この皮膜に紫外線を照射(積算照射量300mJ/cm)して、厚さ6μmのハードコート層を形成した。
次に、ハードコート層付きのエンボスフィルム1のハードコート層側に、温度25℃、湿度60%RHの環境下でワイヤーバーコーターを用いてコーティング速度20m/minで低屈折率層形成用材料を塗工し、室温に放置して乾燥させ、得られた被膜を120℃、酸素雰囲気下で熱処理し、次いで出力160W/cm、照射距離60mmの条件で紫外線を照射して厚さ100nmの低屈折率層(屈折率1.37)を形成し、ハードコート層および反射防止層付きの光学フィルム1を得た。
光学フィルム1について、Ra(反射防止層表面)、ヘイズ、干渉むら、鉛筆硬度、可撓性を評価した。結果を表1に示す。
実施例2
エンボスフィルム2を用いた以外は実施例1と同様にして光学フィルム2を得た。光学フィルム2について、Ra(反射防止層表面)、ヘイズ、干渉むら、鉛筆硬度、可撓性を評価した。結果を表1に示す。
実施例3
エンボスフィルム3を用いた以外は実施例1と同様にして光学フィルム3を得た。光学フィルム3について、Ra(反射防止層表面)、ヘイズ、干渉むら、鉛筆硬度、可撓性を評価した。結果を表1に示す。
比較例1
エンボスフィルム1の代わりに、凹凸の形成される前の基材フィルムを用いる以外は実施例1と同様にして光学フィルム4を得た。光学フィルム4について、Ra(反射防止層表面)、ヘイズ、干渉むら、鉛筆硬度、可撓性を評価した。結果を表1に示す。
比較例2
ハードコート層及び低屈折率層の形成のためのコーティング速度をいずれも10m/minにした以外は比較例1と同様にして光学フィルム5を得た。光学フィルム5について、Ra(反射防止層表面)、ヘイズ、干渉むら、鉛筆硬度、可撓性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008152120
この結果から、熱可塑性アクリル樹脂を含んでなり、数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子が当該フィルムの厚さ方向で偏在しており且つ平均厚さが100μm未満の押出法により形成された基材フィルムを用い、その一方の面に圧力を印加したことにより、表面に凹凸が形成されたフィルムを用いれば、干渉むらのない、鉛筆硬度、可撓性に優れた透明性の高い光学フィルムを得ることができる(実施例1〜3)。
一方、表面に凹凸が形成されたフィルムを用いた場合と同じ条件で機能層を形成すると、鉛筆硬度や可撓性には優れているものの干渉むらが生じることが判る(比較例1)。機能層形成の条件として、ハードコート層の形成速度を遅くしても、干渉むらの発生を十分に抑制することができないことが判る(比較例2)。

Claims (4)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に圧力を印加したことにより、表面に凹凸が形成されたフィルムの、少なくとも当該凹凸が形成された面に機能層を有する光学フィルムであって、
    前記基材フィルムが、
    熱可塑性アクリル樹脂を含んでなり、
    数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子が当該フィルムの厚さ方向で偏在しており、
    平均厚さが100μm未満の
    押出法により形成されたものである
    光学フィルム。
  2. 基材フィルムが紫外線吸収剤を含む請求項1記載の光学フィルム。
  3. 基材フィルムが、熱可塑性アクリル樹脂からなる樹脂層を少なくとも1層含む、2以上の樹脂層からなる、共押出法により形成された多層フィルムである請求項1又は2記載の光学フィルム。
  4. 基材フィルム中の樹脂層の内、前記機能層に最も近い樹脂層が熱可塑性アクリル樹脂である請求項3記載の光学フィルム。
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