JP4682897B2 - 液晶表示用偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示用偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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本発明は、液晶表示用偏光板及び液晶表示装置に関する。さらに詳細には、表面硬度が高く、カールを生じず、密着性に優れ、偏光度変化が小さく、光漏れや干渉縞等による視認不良が生じない液晶表示用偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置に用いられる偏光板は、偏光子とその両側に積層される二枚の保護フィルムから構成される。
偏光子は、通常ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ、ホウ酸溶液中で延伸させることによって得られる。この偏光子に保護フィルムを積層した後、偏光子中の水分が保護フィルムを透過し除去されていくことが保護フィルムと偏光子との密着性等の観点から望まれる。そのようなことから保護フィルムには透湿度の高いトリアセチルセルロースのフィルムが広く用いられている。しかし、トリアセチルセルロース(TAC)はその高い透湿性のために、高温・高湿環境下において変形したりして応力複屈折が生じやすく、その結果、画面の端部に光漏れと言う現象が生じることがあり、信頼性が充分とは言えない。この光漏れ現象は高精細大画面の液晶表示装置になるほど顕著に現れ、視認不良となりやすい。
湿度による応力複屈折の発生を抑えるための新しい保護フィルムの開発が進められている。例えば、透湿性の低いオレフィン系フィルムやポリエステル系フィルムを用いる方法も提案されている。しかし、オレフィン系フィルムやポリエステル系フィルムを保護フィルムとして用いた偏光板では偏光子と保護フィルムとの密着性が低くなり、保護フィルムが剥離してしまうと偏光特性に支障をきたす恐れがあった。保護フィルムの膜厚を薄くすることで透湿度を低くすることができるが、強度が弱くなり、偏光子を支持する機能が低下してしまう。
応力複屈折の発生と密着性の低下を抑えることができるフィルムとして、例えば、特許文献1に、ポリエステル樹脂層と疎水性セルロースエステルの樹脂層からなる積層フィルムを保護フィルムとして用いることが提案されている。また特許文献2に、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体からなる樹脂組成物のフィルムとセルロース系樹脂とを積層した偏光板保護フィルムが開示されている。更に特許文献3には、樹脂層からなるコア層の表層にセルロース樹脂を塗布した積層フィルムが開示されている。しかしながら、これらの保護フィルムでは偏光板の機械的強度の向上まで図られていない。
特許文献4には、メチルメタクリレート50〜70質量部、無水マレイン酸10〜20質量部及びスチレン20〜35質量部からなるアクリル系樹脂と、耐衝撃性アクリルゴム−メチルメタクリレートグラフト共重合体やブチル変性アセチルセルロースなどからなる強靱性改良剤とを、質量比60〜90/40〜10で含有する組成物からなる偏光膜保護用フィルムが提案されている。又特許文献5には、グルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂を60〜90質量%、アクリル弾性体粒子を7〜40質量%含有するアクリル樹脂フィルムであって、アクリル弾性体粒子の平均粒径が70〜300nmであり、フィルムの破断伸度が15%以上、高張力下1%変形温度が100℃以上であるアクリル樹脂フィルムが提案されている。これらの保護フィルムは、表面の硬さが小さく、表面を擦ることによって傷が付いたり、汚れたりするという難点があった。
上記のように、表面硬度、耐傷性等の機械的強度に優れ、且つ高温・高湿環境での使用に耐えうる偏光板は登場しておらず、さらなる改良が求められている。
特開2004−226799号公報 特開2002−331616号公報 特開2001−215331号公報 特開平5−119217号公報 特開2005−314534号公報
一方、特許文献6には、メタクリル酸メチルを主成分とする連続樹脂相中に常温でゴム状を示す弾性体を粒子径0.15〜4μmの粒子状で不連続的に5〜70質量%分散させた耐衝撃性アクリル樹脂を基材部とし、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレ−ト単位を有する一般アクリル樹脂を積層部として、基材部の片面又は両面に0.5μmから100μmの厚さで且つ、積層部の合計厚さがシ−ト全体の厚さの30%以内となる厚さで積層させたヘイズ値が1.0%以下、光沢度が130%以上の光学的特性を有する耐候性に優れた耐衝撃性アクリル樹脂積層シ−トが提案されている。このフィルムは、看板、照明カバー、自動車用サンバイザー等の耐衝撃性が要求される用途に用いられると特許文献6は開示している。
特許文献7及び8には、アクリル系ゴム粒子およびアクリル系樹脂を含有する層と、耐衝撃材料を含まないアクリル系樹脂の層と、からなるアクリル系樹脂積層フィルムが提案されている。このフィルムは、高い耐衝撃強度が要求される家電製品の外装、自動車の内装、建築用資材などに用いられることが開示されている。
特開平4−59246号公報 特開2002−292808号公報 特開2001−260288号公報
本発明の目的は、表面硬度が硬く、カールを生じず、密着性に優れ、偏光度変化が小さく、光漏れや干渉縞等による視認不良が生じない液晶表示用偏光板並びに液晶表示装置を提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するために検討した結果、特許文献6〜8に記載されているような耐衝撃性フィルムを偏光板用保護フィルムとして適用してみることに思い至った。その結果、視認側若しくは光源側保護フィルム、偏光子及び液晶セル側保護フィルムからなる偏光板において、視認側若しくは光源側保護フィルムとして透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下であり且つ最表面に熱可塑性アクリル樹脂を含む層がある多層積層体であるフィルムを用い、液晶セル側保護フィルムとして透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下であるフィルムを用いることによって、特許文献1〜5に記載されているような保護フィルムでは達成することのできない、表面硬度が硬く、カールを生じず、密着性に優れ、偏光度変化が小さく、光漏れや干渉縞等による視認不良が生じない液晶表示用偏光板を得ることを見出した。本発明はこの知見に基づいてさらに検討した結果完成したものである。
すなわち、本発明は、(1) 透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下である液晶セル側保護フィルム;透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下であり、且つ最表面に熱可塑性アクリル樹脂を含む層がある多層積層体であるもう一枚の保護フィルム;及びこれらに挟まれて配置される偏光子からなる液晶表示用偏光板。
(2) 前記もう一枚の保護フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなり、前記数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子がフィルム厚さ方向中央部に偏在しており、且つ平均厚さが100μm未満である、前記(1)に記載の液晶表示用偏光板。
(3) 前記もう一枚の保護フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる層と、その層を挟んで両面に熱可塑性アクリル樹脂からなる層とが積層されてなる、平均厚さが100μm未満である、前記(1)に記載の液晶表示用偏光板。
(4) 前記もう一枚の保護フィルムは、セルロースアセテートブチレートからなる層と、その層を挟んで両面に熱可塑性アクリル樹脂からなる層とが積層されてなる、平均厚さが100μm未満である、請求項1に記載の液晶表示用偏光板。
(5) 液晶セル側保護フィルムは、450〜750nmの波長λにおける面内方向のレターデーションRe(λ)が+5nm以下であり且つ450〜750nmの波長λにおける厚さ方向のレターデーションRth(λ)が−5〜+5nmである、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶表示用偏光板。
(6) 液晶セル側保護フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂を含有してなるものである前記(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶表示用偏光板。
(7) 液晶セル側保護フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とを含有してなるものである前記(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶表示用偏光板。
(8) 液晶セル側保護フィルム及びもう一枚の保護フィルムは、その表面の線状凹部の深さ又は線状凸部の高さが50nm以下、幅が500nm以上である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の液晶表示用偏光板。
(9) 前記(1)〜(8)のいずれかに記載の偏光板を、該偏光板の液晶セル側保護フィルムが液晶セル側を向くように、もう一枚の保護フィルムが視認側若しくは光源側を向くように備える液晶表示装置。
である。
本発明の液晶表示用偏光板は、表面硬度が硬く、カールを生じず、密着性に優れ、偏光度変化が小さい。またこの偏光板を備えた液晶表示装置は、光漏れや干渉縞等による視認不良が生じない。さらに、表面硬度が高いので、耐擦傷性にも優れている。
本発明の液晶表示用偏光板は、透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下である液晶セル側保護フィルム;透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下であり、且つ最表面に熱可塑性アクリル樹脂を含む層がある多層積層体であるもう一枚の保護フィルム;及びこれらに挟まれて配置される偏光子からなるものである。
[もう一枚の保護フィルム]
本発明に用いるもう一枚の保護フィルムは、透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下、好ましくは10g・m−2day−1以上、150g・m−2day−1以下である。透湿度は、40℃、92%RHの環境下で、24時間放置する試験条件で、JIS Z 0208に記載のカップ法により測定できる。
本発明に用いるもう一枚の保護フィルムは、最表面に熱可塑性アクリル樹脂を含んでなる層がある。このような保護フィルムとしては、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなり、前記数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子がフィルムの厚さ方向中央部に偏在しているもの;熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる層と、その層を挟んで両面に熱可塑性アクリル樹脂からなる層が、積層されてなるもの;セルロースアセテートブチレートからなる層と、その層を挟んで両面に熱可塑性アクリル樹脂からなる層が、積層されてなるものなどが挙げられる。本発明において、弾性体粒子がフィルムの厚さ方向中央部に偏在しているとは、フィルムの表面付近には弾性体粒子が少なく、フィルムの厚さ方向中央部に弾性体粒子が多く分布していることを意味する。
本発明に用いられる熱可塑性アクリル樹脂としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体;アルキル基の水素がOH基、COOH基もしくはNH基などの官能基によって置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体;または(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、スチレン、酢酸ビニル、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの不飽和結合を有するビニル系モノマーとの共重合体を挙げることができる。熱可塑性アクリル樹脂としては、これらのうち1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱可塑性アクリル樹脂はメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ブチルが単量体単位として含まれているものがより好ましい。また、熱可塑性アクリル樹脂は、ガラス転移温度Tgが80〜120℃の範囲のものが好ましい。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの意味である。
さらに、本発明に用いる熱可塑性アクリル樹脂は、フィルムに成形したときの表面の硬度が高いもの、具体的には、鉛筆硬度(試験荷重を500gとした以外は、JIS K5600−5−4に準拠)で2Hを超えるものが好ましい。
熱可塑性アクリル樹脂には、顔料や染料等の着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤が適宜配合されたものを用いることができる。なお、これら配合剤は、後述する弾性体粒子のように、保護フィルムの厚さ方向中央部に偏在していることが好ましい。例えば、赤外線吸収剤及び/又は紫外線吸収剤を含有する熱可塑性アクリル樹脂からなる層と、この層を挟んで赤外線吸収剤及び/又は紫外線吸収剤を含有しない熱可塑性アクリル樹脂からなる層とが積層されてなるもう一枚の保護フィルムが好適な態様として挙げられる。
紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させるために添加される。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤等公知のものが使用可能である。中でも、紫外線吸収剤としては、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が好適に用いられる。これらの中でも、特に2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)が好ましい。紫外線吸収剤の濃度は、波長370nm以下の透過率が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下となる範囲で選択することができる。紫外線吸収剤を含有させる方法としては、紫外線吸収剤を予め熱可塑性アクリル樹脂中に配合する方法;溶融押出成形時に直接供給する方法などが挙げられ、いずれの方法が採用されてもよい。
紫外線吸収剤はフィルムの厚さ方向中央部に偏在していることが好ましい。もう一枚の保護フィルムが積層体で構成される場合には、弾性体粒子を含む熱可塑性アクリル樹脂層中に含まれる紫外線吸収剤濃度が、弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂層中に含まれる紫外線吸収剤濃度よりも高くなるようにする。具体的には、弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂層中の紫外線吸収剤の濃度が好ましくは0〜1.0重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%となるようにし、弾性体粒子を含む熱可塑性アクリル樹脂層中の紫外線吸収剤の濃度が好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1.0〜5.0重量%となるようにする。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であることにより、偏光板の色調を悪化させること無く紫外線を効率的に遮断することができ、長期間使用時の偏光度の低下を防ぐことができる。弾性体粒子を含む熱可塑性アクリル樹脂層中の紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると、波長370nm以下の光線透過率が大きくなり、偏光板保護フィルムとして使用した場合に偏光子の偏光度が低下傾向になる。逆に紫外線吸収剤の含有量が多すぎると、短波長側の光線透過率が小さくなり積層体が黄色味を帯びる傾向になる。
赤外線吸収剤としては、ニトロソ化合物、その金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、カーボンブラック、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、周期表4A、5Aもしくは6A族に属する金属の酸化物、炭化物、ホウ化物等の赤外線吸収剤などを挙げることができる。これらの赤外線吸収剤は、赤外線(約800nm〜1100nm)全体を吸収できるように、選択することが好ましく、2種類以上を併用してもよい。赤外線吸収剤の量は、例えば、800nm以上の波長の透過率が10%以下となるように調整することができる。
本発明に用いられる弾性体粒子は、ゴム状弾性体からなる粒子である。ゴム状弾性体としては、アクリル酸エステル系ゴム状重合体、ブタジエンを主成分とするゴム状重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。アクリル酸エステル系ゴム状重合体としてはブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト等を主成分とするものがある。これらの内ブチルアクリレ−トを主成分としたアクリル酸エステル系重合体及びブタジエンを主成分とするゴム状重合体が好ましい。弾性体粒子は、二種の重合体が層状になったものであってもよく、その代表例としては、ブチルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−トとスチレンのグラフト化ゴム弾性成分と、メチルメタクリレ−トの重合体又はメチルメタクリレ−トとアルキルアクリレ−トの共重合体からなる硬質樹脂層とがコア−シェル構造で層を形成している弾性体粒子が挙げられる。
本発明に用いられる弾性体粒子は、熱可塑性アクリル樹脂中に分散した状態における数平均粒径が2.0μm以下、好ましくは0.1〜1.0μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。弾性体粒子の一次粒子径が小さくても、凝集などによって形成される二次粒子の数平均粒径が大きいと、保護フィルムはヘイズ(曇り度)が高くなり、光線透過率が低くなるので、視認側には適さなくなる。
本発明において、弾性体粒子の波長380nm〜780nmにおける屈折率na(λ)は、熱可塑性アクリル樹脂の波長380nm〜780nmにおける屈折率nb(λ)との間に、|na(λ)−nb(λ)| ≦ 0.05の関係を満たすことが好ましい。特に、|na(λ)−nb(λ)| ≦ 0.045の関係であることがより好ましい。なお、na(λ)及びnb(λ)は、波長λにおける主屈折率の平均値である。|na(λ)−nb(λ)|の値が上記値を超える場合には、界面での屈折率差によって生じる界面反射により、透明性を損なうおそれがある。
弾性体粒子は、熱可塑性アクリル樹脂を主成分としてなるフィルムの厚さ方向中央部に偏在している。すなわち、フィルムの表面付近には弾性体粒子が少なく、フィルムの厚さ方向中央部に弾性体粒子が多く分布している。弾性体粒子のフィルム厚さ方向の分布は、表面から中央に向ってなだらかに増加するものであってもよいし、階段状に増加するものであってもよい。
階段状に増加する態様としては、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる層と、それを挟んで両面に熱可塑性アクリル樹脂からなる層とが、積層されてなる平均厚さが100μm未満のフィルムが挙げられる。この積層フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる組成物を成形して基材フィルムを得、その基材フィルムの両面に弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂を、塗布することによって;若しくは前記基材フィルムの両面に、弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂を成形してなるフィルムを貼りあわせることによって、又は熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる組成物と、弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂とを共押出成形することによって得ることができる。本発明においては共押出成形で得られるものが好ましい。
このように弾性体粒子が厚さ方向中央部に偏在することによって、もう一枚の保護フィルムの厚さ方向中央部分は柔軟な層となり、もう一枚の保護フィルムの両表面は硬質の層となる。このような構成とすることにより、当該もう一枚の保護フィルムの表面の硬度を十分に確保しつつ、当該もう一枚の保護フィルムの可撓性を向上でき、これにより偏光板等を製造する際の取扱性を向上できる。
一般に、フィルムを押出成形法で形成すると、いわゆるダイラインと呼ばれる不規則な線状の凸部及び凹部がフィルム表面に形成されることがある。本発明のもう一枚の保護フィルムは、この線状凹部や線状凸部が実質的に形成されず、その表面が平坦な面であることが好ましい。具体的には、フィルムの表面の線状凹部の深さ又は線状凸部の高さが50nm以下、幅が500nm以上であることが好ましく、高さ若しくは深さが30nm以下、または、幅が700nm以上であることがより好ましい。このような表面状態とすることにより、線状凹部や線状凸部での光の屈折等に基づく、光の干渉や光漏れの発生を防止でき、光学性能を向上できる。本発明においては、もう一枚の保護フィルムの表面の線状凹部又は線状凸部の高さ若しくは深さ、並びに幅は、両面とも前記範囲にあることが好ましい。
なお、上述した線状凹部の深さ、線状凸部の高さ、及びこれらの幅は、次に述べる方法で求めることができる。
もう一枚の保護フィルムに光を照射して、透過光をスクリーンに映し、スクリーン上に現れる光の明又は暗の縞の有る部分(この部分は凹部の深さ及び凸部の高さが大きい部分である。)を30mm角で切り出す。切り出したフィルム片の表面を三次元表面構造解析顕微鏡(視野領域5mm×7mm)を用いて観察し、これを3次元画像に変換し、この3次元画像からMD方向の断面プロファイルを求める。断面プロファイルは、視野領域で1mm間隔で求める。この断面プロファイルに、平均線を引き、この平均線から凹部の底までの長さが凹部深さ、または平均線から凸部の頂までの長さが凸部高さとなる。平均線とプロファイルとの交点間の距離が幅となる。これら凹部深さ及び凸部高さの測定値からそれぞれ最大値を求め、その最大値を示した凹部又は凸部の幅をそれぞれ求める。以上から求められた凹部深さ及び凸部高さの最大値、その最大値を示した凹部の幅及び凸部の幅を、そのフィルムの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅とする。
本発明に用いる、熱可塑性アクリル樹脂及び弾性体粒子からなる層と、その層を挟んで両面に弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂からなる層が積層させたもう一枚の保護フィルムは、隣接する各層同士が、直接に接していてもよいし、接着剤(粘着剤を含む)からなる接着層を介して接していてもよい。接着層の平均厚さは、通常0.01μm〜30μm、好ましくは0.1μm〜15μmである。前記接着層は、JIS K7113による引張破壊強度が40MPa以下となる層である。この接着層を構成する接着剤としては、アクリル接着剤、ウレタン接着剤、ポリエステル接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリオレフィン接着剤、変性ポリオレフィン接着剤、ポリビニルアルキルエーテル接着剤、ゴム接着剤、塩化ビニル・酢酸ビニル接着剤、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS共重合体)接着剤、その水素添加物(SEBS共重合体)接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびエチレン−スチレン共重合体などのエチレン接着剤、および、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、およびエチレン・アクリル酸エチル共重合体などのアクリル酸エステル接着剤などを挙げることができる。
本発明に用いるもう一枚の保護フィルムは、その厚さ(平均厚さ)が好ましくは100μm未満、より好ましくは80μm以下、特に好ましくは40μm以上80μm以下である。本発明に用いるもう一枚の保護フィルムにおいて、一方の弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂からなる層の厚さと、他方の弾性体粒子を含まない熱可塑性アクリル樹脂からなる層の厚さとの差は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、0μmに近づけば近づくほどさらに好ましい。
本発明に用いるもう一枚の保護フィルムは、その残留溶剤含有量が0.01質量%以下であることが好ましい。残留溶剤量が上記範囲であることにより、例えば、高温・高湿度環境下においてもう一枚の保護フィルムが変形するのを防止できるとともに、光学性能が劣化するのを防止できる。残留溶剤量が上記範囲となるもう一枚の保護フィルムは、例えば、複数の樹脂を共押出成形することによって、単層の熱可塑性樹脂層をドライラミネーションや熱ラミネーションにより貼り合わせることによって得ることができる。生産性の点で共押出成形により得たものが好ましい。共押出成形の場合には、複雑な工程(例えば、乾燥工程や塗工工程)を経なくてもよいため、ゴミなどの外部異物の混入が少なく、優れた光学性能を発揮できる。
残留溶剤含有量は、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した内径4mmのガラスチューブの試料容器にフィルム50mgを入れた後、その容器を温度200℃で30分間加熱し、容器から出てきた気体を連続的に捕集した。そして、捕集した気体を熱脱着ガスクロマトグラフィー質量分析計(TDS−GC−MS)で分析した。
本発明に用いるもう一枚の保護フィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、当該もう一枚の保護フィルムは、ヘイズが2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
本発明に用いるもう一枚の保護フィルムは、その光弾性係数の絶対値が30×10−12Pa−1以下であることが好ましく、10×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、5×10−12Pa−1以下であることがさらに好ましい。光弾性係数が上記数値よりも大きくなると、当該もう一枚の保護フィルムが外部からの応力によって位相差を発現しやすくなり、光学性能を低下させるおそれがある。
本発明に用いるもう一枚の保護フィルムは、面内方向のレターデーションRe(Re=d×(n−n)で定義される値;nは面内の遅相軸の屈折率、nは面内で遅相軸と直交する方向の屈折率;dは当該フィルムの平均厚さ)、及び厚さ方向のレターデーションRth(Rth=d×([n+n]/2−n)で定義される値;nは厚さ方向の屈折率)の絶対値が小さいものが好ましい。具体的には、当該もう一枚の保護フィルムの面内方向のレターデーションReは、波長550nmにおいて10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、3nm以下であることがより好ましく、2nm以下であることが特に好ましい。当該もう一枚の保護フィルムの厚さ方向のレターデーションRthは、波長550nmにおいて−10nm〜+10nmであることが好ましく、−5nm〜+5nmであることがより好ましい。
本発明において、もう一枚の保護フィルムを視認側保護フィルムとして用いる場合は、その表面(視認側表面)に機能層が付け加わっていてもよい。この機能層としては、例えば、ハードコート層、反射防止層、帯電防止層、防眩層、防汚層などを挙げることができる。これらの機能層は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
ハードコート層は、もう一枚の保護フィルムの表面硬度を高める機能を有する層であり、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板を用いる)で「H」以上の硬度を示すことが好ましい。このようなハードコート層が設けられたもう一枚の保護フィルムは、その鉛筆硬度が4H以上になることが好ましい。ハードコート層を形成する材料(ハードコート材料)としては、熱や光で硬化する材料であることが好ましく、例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;二酸化ケイ素などの無機系ハードコート材料;などを挙げることができる。これらの中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系ハードコート材料が好ましい。
ハードコート層は、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、並びに耐熱性、帯電防止性、および防眩性などの向上を図る目的で、各種フィラーを含有できる。また、ハードコート層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、および消泡剤などの添加剤を含有できる。
ハードコート層の屈折率や帯電防止性を調整するためのフィラーとしては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、五酸化アンチモン、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、亜鉛をドープしたインジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、およびフッ素をドープした酸化錫(FTO)等を挙げることができる。フィラーとしては、透明性を維持できる点で、五酸化アンチモン、ITO、IZO、ATO、FTOが好ましい。これらフィラーの一次粒子径は、通常1nm〜100nm、好ましくは1nm〜30nmである。本発明において、ハードコート層にフィラーを用いる場合には、屈折率が1.6以上のものを用いることが好ましい。屈折率が前記範囲にあるフィラーを用いることにより、ハードコート層が後述の高屈折率層の機能を兼ねることができ、プロセスを簡略化することができる。
防眩性を付与するためのフィラーとしては、平均粒径が0.5μm〜10μmのものが好ましく、1.0μm〜7.0μmのものがより好ましく、1.0μm〜4.0μmがさらに好ましい。防眩性を付与するフィラーの具体例としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ化ビニリデン樹脂およびその他のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの有機樹脂からなるフィラー;または酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化錫、酸化ジルコニウム、ITO、フッ化マグネシウム、酸化ケイ素などの無機化合物からなるフィラーを挙げることができる。
ハードコート層は、その屈折率nが、その上に積層される後述の反射防止層の屈折率nとの間に、n≧1.53、及びn 1/2−0.2<n<n 1/2+0.2、の関係を有することが、反射防止機能を発現させるために好ましい。
反射防止層は、外光の移りこみを防止するための層であり、もう一枚の保護フィルムの表面(外部に露出する面)に直接またはハードコート層等の他の層を介して積層される。反射防止層が設けられたもう一枚の保護フィルムは、入射角5°、波長430nm〜700nmにおける反射率が2.0%以下であることが好ましく、入射角5°、波長550nmにおける反射率が1.0%以下であることが好ましい。
反射防止層の厚さは、0.01μm〜1μmが好ましく、0.02μm〜0.5μmがより好ましい。反射防止層としては、当該反射防止層が積層される層(視認側若しくは光源側保護フィルムやハードコート層など)の屈折率よりも小さい屈折率、具体的には1.30〜1.45の屈折率を有する低屈折率層からなるもの;無機化合物からなる薄膜の低屈折率層と無機化合物からなる薄膜の高屈折率層とを交互に複数積層したもの、などを挙げることができる。
前記低屈折率層を形成する材料(低屈折率形成用材料)は、屈折率の低いものであれば特に制限されない。例えば、紫外線硬化型アクリル樹脂等の樹脂材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド材料、テトラエトキシシラン等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル材料等を挙げることができる。これらの低屈折率層を形成する材料は、重合済みのポリマーであってもよいし、前駆体となるモノマーやオリゴマーであってもよい。また、それぞれの材料は、防汚染性を付与するために、フッ素基を含有する化合物を含むことが好ましい。
前記のゾル−ゲル材料としては、フッ素基を含有するゾル−ゲル材料が好適に用いられる。フッ素基を含有するゾル−ゲル材料としては、パーフルオロアルキルアルコキシシランを例示できる。パーフルオロアルキルアルコキシシランは、たとえば、CF(CFCHCHSi(OR)(式中、Rは、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数を示す)で表される化合物である。具体的には、パーフルオロアルキルアルコキシシランとしては、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、およびヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。この中でも、前記nが2〜6の化合物が好ましい。
また、低屈折率層は、熱硬化性含フッ素化合物または電離放射線硬化型含フッ素化合物の硬化物からなるものとすることができる。前記硬化物は、その動摩擦係数が0.03〜0.15であることが好ましく、水に対する接触角が90〜120度であることが好ましい。硬化性含フッ素化合物としては、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、架橋性官能基を有する含フッ素重合体を挙げることができる。
架橋性官能基を有する含フッ素重合体はフッ素含有モノマーと架橋性官能基を有するモノマーとを共重合することによって、又はフッ素含有モノマーと官能基を有するモノマーとを共重合し次いで重合体中の官能基に架橋性官能基を有する化合物を付加させることによって得ることができる。
含フッ素モノマーとしては、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等のフルオロオレフィン類;ビスコート6FM(大阪有機化学製)、M−2020(ダイキン製)等の(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。
架橋性官能基を有するモノマー又は架橋性官能基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基を有するモノマー;アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマー;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、メチロールアクリレート、メチロールメタクリレートなどのヒドロキシル基を有するモノマー;アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどのビニル基を有するモノマー;アミノ基を有するモノマー;スルホン酸基を有するモノマー;などの;、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)を挙げることができる。
低屈折率層を形成するための材料としては、耐傷性を向上できる点で、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム等の微粒子をアルコール溶媒に分散したゾルが含まれたものを用いることができる。前記微粒子は、反射防止性の観点から、屈折率が低いものほど好ましい。このような微粒子は、空隙を有するものであってもよく、特にシリカ中空微粒子が好ましい。中空微粒子の平均粒径は、5nm〜2,000nmが好ましく、20nm〜100nmがより好ましい。ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求められる数平均粒径である。
なお、含フッ素化合物の硬化物からなる低屈折率層では、その硬化物の屈折率を下げていくと低屈折率層の耐傷性が低下する傾向にあるため、硬化物のみの屈折率と微粒子の添加量とを最適化することにより、耐傷性と低屈折率を両立できる。
低屈折率層の形成法は、特に制限されないが、湿式塗工法が、真空蒸着法等に比べて簡易な方法であるため好ましい。湿式塗工法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、およびグラビアコート法等を挙げることができる。低屈折率層の厚さは、0.05μm〜0.3μm程度、特に0.1μm〜0.3μmが好ましい。
防汚層は、撥水性、撥油性、耐汗性、および防汚性などを付与できる層である。防汚層を形成するために用いる材料としては、フッ素含有有機化合物が好適である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボン、パーフルオロシラン、又はこれらの高分子化合物などを挙げることができる。また、防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法、化学的気相成長法、湿式コーティング法等を用いることができる。防汚層の平均厚さは、好ましくは1nm〜50nm、より好ましくは3nm〜35nmである。
以上のような機能層を形成する場合には、形成させる面に親水化処理を施すことが好ましい。親水化処理の手段としては、例えば、コロナ放電処理、スパッタ処理、低圧UV照射処理、プラズマ処理などが挙げられる。また、本発明においては、保護フィルムに前記化学的表面処理に加えて、機能層との密着性強化、防眩性付与を目的として、エッチング、サンドブラスト、エンボスロール等による機械的処理が施されていても良い。
[偏光子]
本発明に用いる偏光子としては、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素若しくは二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるものや、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させ延伸し、さらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるものなど、を挙げることができる。また、偏光子として、グリッド偏光子、多層偏光子、コレステリック液晶偏光子などの偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子を用いることもできる。この中でも、ポリビニルアルコールを含んでなる偏光子が好ましい。偏光子の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の厚さ(平均厚さ)は、好ましくは5μm〜80μmである。
[液晶セル側保護フィルム]
本発明に用いる液晶セル側保護フィルムは、その透湿度が10g・m−2day−1以上、200g・m−2day−1以下であり、好ましくは10g・m−2day−1以上、150g・m−2day−1以下である。液晶セル側保護フィルムの透湿度を上記範囲とすることにより、液晶セル側保護フィルムを構成する各層間の密着性を向上できる。透湿度は、40℃、92%RHの環境下で、24時間放置する試験条件で、JIS Z 0208に記載のカップ法により測定できる。
本発明に用いる液晶セル側保護フィルムは、450〜750nmの波長λにおける面内方向のレターデーションRe(λ)が好ましくは+5nm以下、より好ましくは+3nm以下である。また450〜750nmの波長λにおける厚さ方向のレターデーションRth(λ)が好ましくは−5〜+5nm、より好ましくは−5〜+3nmである。
液晶セル側保護フィルムは、それを構成する樹脂材料によって特に制限されない。樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロースエステル、脂環式オレフィンポリマー、及びマレイミドオレフィン樹脂などを挙げることができる。脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05−310845号公報又は米国特許第5179171号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報又は米国特許第5202388号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報(国際公開99/20676号公報)に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン開環重合体及びその水素添加物等を挙げることができる。好ましい樹脂材料は、熱可塑性アクリル樹脂又はマレイミドオレフィン樹脂であり、特に好ましい材料は熱可塑性アクリル樹脂である。本発明において好ましく用いられる液晶セル側保護フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂と粒径0.5μm以下の弾性体粒子とを含有してなるものである。熱可塑性アクリル樹脂及び弾性体粒子は視認性保護フィルムで用いられものとして例示したものと同じものを用いることができる。
液晶セル側保護フィルムを構成する樹脂材料には、顔料や染料等のカラーシフト剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤が適宜配合されたものを用いることができる。
液晶セル側保護フィルムは、いわゆるダイラインと呼ばれる不規則な線状凹部や線状凸部が実質的に形成されておらず、その表面が平坦な面であることが好ましい。具体的には、フィルム表面の線状凹部又は線状凸部の高さ若しくは深さが50nm以下、幅が500nm以上であることが好ましく、高さ若しくは深さが30nm以下、または、幅が700nm以上であることがより好ましい。このような表面状態とすることにより、線状凹部や線状凸部での光の屈折等に基づく、光の干渉や光漏れの発生を防止でき、光学性能を向上できる。本発明においては、液晶セル側保護フィルムの表面の線状凹部又は線状凸部の高さ若しくは深さ、並びに幅は、両面とも前記範囲にあることが好ましい。
本発明に用いられる液晶セル側保護フィルムは、その厚さ(平均厚さ)が好ましくは100μm未満、より好ましくは80μm以下、特に好ましくは40μm以上80μm以下である。
本発明に用いられる液晶セル側保護フィルムは、その残留溶剤含有量が0.01質量%以下であることが好ましい。残留溶剤量が上記範囲であることにより、例えば、高温・高湿度環境下においてフィルムが変形するのを防止できるとともに、光学性能が劣化するのを防止できる。残留溶剤量が上記範囲となるフィルムは、例えば、複数の樹脂を共押出成形することによって、単層の熱可塑性樹脂層をドライラミネーションや熱ラミネーションにより貼り合わせることによって得ることができる。生産性の点で共押出成形により得たものが好ましい。共押出成形の場合には、複雑な工程(例えば、乾燥工程や塗工工程)を経なくてもよいため、ゴミなどの外部異物の混入が少なく、優れた光学性能を発揮できる。
本発明に用いられる液晶セル側保護フィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、当該液晶セル側保護フィルムは、ヘイズが2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる液晶セル側保護フィルムは、その光弾性係数の絶対値が30×10−12Pa−1以下であることが好ましく、10×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、5×10−12Pa−1以下であることがさらに好ましい。光弾性係数が上記数値よりも大きくなると、当該液晶セル側保護フィルムが外部からの応力によって位相差を発現しやすくなり、光学性能を低下させるおそれがある。
[複屈折性を示すフィルム]
本発明の好適な偏光板として、液晶セル側保護フィルムの液晶セル側表面に複屈折性を示すフィルムを積層した態様のものが挙げられる。複屈折性を示すフィルムを積層すると、色補償、視野角補償等の光学補償の機能を備え、液晶表示装置の視認性が向上する。
複屈折性を示すフィルムは幅方向及び長手方向で複屈折性が制御されたフィルムであり、一軸性を有するフィルム、二軸性を有するフィルム、及びこれらの積層体が挙げられる。所望の複屈折性を示すフィルムが、使用する液晶セルのモードに応じて適宜選択される。一軸性を有するとはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率をn、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をn、厚さ方向の屈折率をnのうちのいずれか一つの屈折率が他の二つの屈折率と異なることを言い、具体的には、n>n=n(このような関係を示すフィルムをポジティブAプレートと呼ぶことがある。)、n=n>n(このような関係を示すフィルムをネガティブCプレートと呼ぶことがある。)n<n=n(このような関係を示すフィルムをネガティブAプレートと呼ぶことがある。)、n=n<n(このような関係を示すフィルムをポジティブCプレートと呼ぶことがある。)などの関係を示すことを言う。二軸性を有するとは、前記3方向の屈折率が全て異なる事を言い、例えば、n>n>n、や、n<n<nなる関係を示すことを言う。このような屈折率n、n、及びnの相互関係を数値として表す、フィルム面内方向のレターデーションRe及び厚さ方向のレターデーションRthは、使用する液晶セルのモード、及びセルを挟んで対向するもう一方の偏光板のセル側に配置される保護膜が有するRe及びRthに応じて適宜調整される。例えば、液晶モードがバーティカルアライメント(VA)モードの場合には、厚さ方向のレターデーションRthが70〜400nmである複屈折性を示すフィルム1枚、又はRthが50nm〜250nmである複屈折性を示すフィルム2枚を用いることが好ましい。
複屈折性を示すフィルムとしては、熱可塑性樹脂を含有するフィルムを延伸したもの、無延伸の熱可塑性樹脂フィルム上に光学異方性層を形成したもの、熱可塑性樹脂を含有するフィルム上に光学異方性層を形成した後、さらに延伸したもの等を挙げることができる。複屈折性を示すフィルムは、単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよい。
(熱可塑性樹脂を含有するフィルムを延伸したもの)
複屈折性を示すフィルムを得るために用いる熱可塑性樹脂は、前記保護フィルムを構成する樹脂として例示したものの中から選択することができる。この中でも、透明性、低複屈折性等に優れること等から、脂環式オレフィンポリマー、セルロースエステルが好ましい。
セルロースエステルとしては、ASTM D−817−96に準じて求めた、アシル基の置換度が2.5〜2.9であるものを好ましく用いることができる。アシル基には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が挙げられる。本発明においてはセルロースアセテートプロピオネートのような置換基の異なるセルロースエステルを混合したものも好ましく用いることができ、中でもアセチル基とプロピオニル基を、アセチル基の置換度をAとしプロピオニル基の置換度をBとした時に、下記式を満足するように含むセルロースエステルが好ましい。
(1)2.5<(A+B)<2.9
(2)1.5<A<2.9
複屈折性を示すフィルムを構成する樹脂には、必要に応じてレターデーション上昇剤を添加することができる。レターデーション上昇剤を樹脂に添加すると延伸によって得られるレターデーションが無添加の状態に比べ高くなる。セルロースエステルにレターデーション上昇剤を添加する場合には、セルロースエステル100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.2〜5質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.5〜2質量部の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上のレターデーション上昇剤を併用してもよい。レターデーション上昇剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましい。レターデーション上昇剤は、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
レターデーション上昇剤としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることが好ましい。なお、本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は、一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は、一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましい。
レターデーション上昇剤が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
前記熱可塑性樹脂を含むフィルムを延伸する方法としては、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔が開かれて縦方向の延伸と同時にガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後にその両端部をクリップ把持してテンターを用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機や、横又は縦方向に左右等速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにして、移動する距離が同じで延伸角度θを固定できるようにした若しくは移動する距離が異なるようにしたテンター延伸機を用いて斜め延伸する方法:が挙げられる。
延伸は、保護膜を形成する材料、特に樹脂の中で、ガラス転移温度が最も低い樹脂のガラス転移温度をTgとしたときに、通常Tg〜Tg+20℃の範囲で行うことができる。また、延伸倍率は、通常1.1〜3.0倍の範囲にて、所望の光学特性を得るために調整すればよい。
(無延伸の熱可塑性樹脂フィルム上に光学異方性層を形成したもの)
前記光学異方性層の形成には、高分子化合物や液晶性化合物を用いることができる。これらは、単独で使用してもよいし併用してもよい。
前記高分子化合物としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン等を使用できる。具体的には、特表平8−511812号公報(国際公開WO94/24191号公報)、特表2000−511296号公報(国際公開WO97/44704号公報)等記載の化合物が挙げられる。
また、前記液晶性化合物としては、棒状液晶でも、ディスコティック液晶でも良く、またそれらが高分子液晶、もしくは低分子液晶、さらには、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。棒状液晶の好ましい例としては、特開2000−304932号公報に記載のものが挙げられる。ディスコティック液晶の好ましい例としては、特開平8−50206号公報に記載のものが挙げられる。
前記光学異方性層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、ポリマー等)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後、配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得ることができる。あるいは、前記光学異方性層は、ディスコティック化合物及び他の化合物(更に、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのちUV光の照射等により重合させ、さらに冷却することにより得ることができる。配向状態は使用する液晶のモードに合わせて適宜調整する事ができる。例えば、液晶セルが水平配向モード(IPS)の場合には基材上に実質的に垂直配向している状態が好ましく、液晶セルがベンド配向モード(OCB)、捻れ配向モード(TN)の場合には、厚さ方向で光軸がハイブリッド配向している状態が好ましい。
前記光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、0.7〜5μmであることが最も好ましい。ただし、液晶セルのモードによっては、高い光学的異方性を得るために、厚く(3〜10μm)する場合もある。光学異方性層を形成する方法は、特に限定されず、例えば、前記高分子化合物および/または液晶性化合物を熱可塑性樹脂を含むフィルム等に塗工して塗工膜を製造し、その塗工膜をさらに延伸や収縮させることにより製造できる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前記偏光板を、該偏光板の液晶セル側保護フィルムが液晶セル側を向くように、もう一枚の保護フィルムが視認側若しくは光源側を向くように備えるものである。具体的に言えば、本発明の偏光板を出射側(視認側)および/または入射側(バックライト側)に備えるものである。液晶表示装置は、通常、光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とがこの順に、配置されてなるものである。本発明の液晶表示装置では、出射側の偏光板に、本発明の偏光板を用いることが好ましい。光源としては、発光ダイオード、冷陰極管、熱陰極管、EL、などが挙げられる。液晶セルは、液晶表示装置に用いられているものならば特に制限されない。例えば、TN(Twisted Nematic)型液晶セル、STN(Super Twisted Nematic)型液晶セル、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型液晶セル、IPS(In Plane Switching)型液晶セル、VA(Vertical Alignment)型液晶セル、MVA(Multiple Vertical Alignment型液晶セル、OCB(Optical Compensated Bend)型液晶セルなどを挙げることができる。なお、本発明の液晶表示装置には、さらに、位相差板、輝度向上フィルム、導光板、光拡散板、光拡散シート、集光シート、反射板などを備えていてもよい。
本発明について、実施例を示し、比較例と対比して、より詳細に説明する。なお、部及び%は特に断りが無い限り質量基準である。実施例および比較例で得た視認側若しくは光源側保護フィルムを下記の方法により評価した。
<ハードコート層および低屈折率層の屈折率>
高速分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、M−2000U)を用い,温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、入射角度55度、60度、及び65度で、波長領域400〜1000nmのスペクトルを測定し、これらの測定結果から算出した。
<各樹脂層の屈折率>
熱可塑性樹脂を単層にて成形し、プリズムカプラ−(Metricon社製、model2010)を用い、温度20±2℃、湿度60±5%の条件下で、波長633nm、407nm、532nmにおける屈折率の値から、Caucyの分散式により、380nm〜780nmの屈折率を算出した。
<引張弾性率>
熱可塑性樹脂をフィルム成形して、1cm×25cmの試験片を切り出し、ASTM882に基づき、引張試験機(東洋ボールドウィン社製、テンシロンUTM−10T−PL)を用いて引張速度25mm/minの条件で測定した。同様の測定を5回行い、その算術平均値を引張弾性率の代表値とした。
<各樹脂層の膜厚>
フィルムをエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム(大和工業社製、RUB−2100)を用いてスライスし、走査電子顕微鏡を用いて断面を観察し測定した。
<フィルムの透湿度>
40℃、92%RHの環境下に24時間放置する試験条件で、JIS Z 0208に記載のカップ法に準じた方法で測定した。透湿度の単位はg・m−2・day−1である。
<線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅の測定方法>
前述した方法により、線状凹部の深さ、線状凸部の高さ、およびこれらの幅を測定した。得られた凹部深さ及び凸部高さの最大値、その最大値を示した凹部の幅及び凸部の幅を、そのフィルムの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅とし、以下の基準で評価した。
◎:線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で,且つ幅が800nm以上
○:線状凹部の深さ、または凸部の高さが50nm以下で、且つ幅が800nm未満、又は線状凹部の深さ又は凸部の高さが20nm以上で、且つ幅が500nm以上
×:線状凹部の深さ、または凸部の高さが50nmを超え、且つ幅が500nm未満
<保護フィルムのRe及びRthと波長分散>
高速分光エリプソメーター[J.A.Woollam社製、M−2000U]を用いて、波長380〜780nmの範囲においてRe及びRthを測定し、波長550nmにおけるRe及びRth、波長450〜750nmの範囲におけるReの最大値と最小値の差、並びに波長450〜750nmの範囲におけるRthの最大値と最小値の差をそれぞれの波長分散とした。同様の測定を、保護フィルムの幅方向に等間隔で10点測定し、平均値を算出した。
実施例1
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー30部、ブチルアクリレート40部、イソボロニルメタクリレート30部及び2,2−ジフェニルエタン−1−オン10部をホモジナイザーで混合し、五酸化アンチモン微粒子(平均粒径20nm、水酸基がパイロクロア構造の表面に現れているアンチモン原子に1つの割合で結合している。)の40%メチルイソブチルケトン溶液を、五酸化アンチモン微粒子の質量が高屈折率層形成用組成物全固形分の50質量%を占める割合で混合して、高屈折率層形成用組成物Hを調製した。
テトラメトキシシランのオリゴマー21部、メタノール36部、水2部、及び0.01Nの塩酸水溶液2部を混合し、25℃の高温槽中で2時間撹拌して、重量平均分子量850のシリコーンレジンを得た。次に、中空シリカ微粒子のイソプロパノール分散ゾル(固形分20%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚さ約8nm)を前記シリコーンレジンに加えて、中空シリカ微粒子/シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準の質量比で8:2となるようにした。最後に全固形分が1%になるようにメタノールで希釈して低屈折率層形成用組成物Lを調製した。
弾性体粒子を含まないポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率3.3GPa;以下、「PMMA」と記すことがある。)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型一軸押出機に投入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイの一方に供給した。
一方、数平均粒径0.4μmの弾性体粒子を含むポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率2.8GPa)と、紫外線吸収剤(LA31;旭電化工業製)とを、前記紫外線吸収剤の濃度が3重量%となるように混合して混合物(以下、「R−PMMA」と記すことがある。)を得た。これを、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型の一軸押出機に導入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイの他方に供給した。
そして、溶融状態の弾性体粒子を含まないポリメチルメタクリレート樹脂、紫外線吸収剤と弾性体粒子とを含むポリメチルメタクリレート樹脂をそれぞれマルチマニホールドダイから260℃で吐出させ、130℃に温度調整された冷却ロールにキャストし、その後、50℃に温度調整された冷却ロールに通して、PMMA層(20μm)/R−PMMA層(40μm)/PMMA層(20μm)の3層構成からなる、幅600mm、厚さ80μmの保護フィルム1を共押出成形により得た。保護フィルム1の透湿度は51g・m−2・day−1であった。また、保護フィルム1の線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅は、両面とも線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で、且つ幅が800nm以上であった。
保護フィルム1の両面に、高周波発信機(出力0.8KW)を用いてコロナ放電処理を行い、表面張力を0.055N/mに調整した。
次に、高屈折率層形成用組成物Hを保護フィルム1の片面に、ダイコーターを用いて塗工し、80℃の乾燥炉の中で5分間乾燥させて被膜を得た。この被膜に紫外線を照射(積算照射量300mJ/cm)して、厚さ6μmの高屈折率層を形成した。高屈折率層の屈折率は1.62、鉛筆硬度は4Hであった。
形成された高屈折率層の上に、低屈折率層形成用組成物Lを、ワイヤーバーコーターを用いて塗工し、1時間放置して乾燥させ、得られた被膜を120Cで10分間、酸素雰囲気下で熱処理し、厚さ100nmの低屈折率層(屈折率1.37)を形成し、反射防止層付きの視認側保護フィルム1Aを得た。
波長380nmにおける屈折率が1.545、波長780nmにおける屈折率が1.521で、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、2.5倍に一軸延伸し、ヨウ素0.2g/L及びヨウ化カリウム60g/Lを含む30℃の水溶液中に240秒間浸漬し、次いでホウ酸70g/L及びヨウ化カリウム30g/Lを含む水溶液に浸漬すると同時に6.0倍に一軸延伸して5分間保持した。最後に、室温で24時間乾燥し、平均厚さ30μmで、偏光度.99.95%の偏光子Pを得た。
数平均粒径0.4μmの弾性体粒子を含むポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率2.8GPa;R−PMMA)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型の一軸押出機に導入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイに供給した。マルチマニホールドダイから260℃で吐出させ、130℃に温度調整された冷却ロールにキャストし、その後、50℃に温度調整された冷却ロールに通して、幅600mm、厚さ80μmの液晶セル側保護フィルム1Bを押出成形により得た。液晶セル側保護フィルム1Bは、透湿度が80g・m−2・day−1であった。液晶セル側保護フィルム1Bの波長550nmにおけるReは2.1nm、Rthは−3.8nmであった。液晶セル側保護フィルム1Bの波長450〜750nmの範囲におけるReの最大値は2.2nm、Reの最小値は2.0、Reの波長分散は0.2であった。また液晶セル側保護フィルム1Bの波長450〜750nmの範囲におけるRthの最大値は−3.6、Rthの最小値は−4.0、Rthの波長分散は0.4であった。また、液晶セル側保護フィルム1Bの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅は、両面とも線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で、且つ幅が800nm以上であった。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、視認側保護フィルム1Aおよび液晶セル側保護フィルム1Bを偏光子Pの両面に重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板1を得た。
偏光板1の評価結果を表1に示した。
実施例2
R−PMMAに換えてセルロースアセテートブチレート(引張弾性率1.5GPa;以下、「CAB」と記すことがある。)を用い、PMMA層(20μm)/CAB層(40μm)/PMMA層(20μm)からなる3層構成からなる、幅600mm、厚さ80μmの保護フィルム2を共押出成形により得た。保護フィルム2の透湿度は、80g・m−2・day−1であった。また、保護フィルム2の線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅は、両面とも線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で、且つ幅が800nm以上であった。
この保護フィルム2を用いて実施例1と同様にして反射防止層を付加し、反射防止層付きの視認側保護フィルム2Aを得た。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、視認側保護フィルム2Aおよび液晶セル側保護フィルム1Bを偏光子Pの両面に重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板2を得た。
偏光板2の評価結果を表1に示した。
実施例3
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部に対し、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.67重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1050重量部を仕込み、窒素で数回パージした。次いでイソブテン400重量部を添加し60℃で6時間反応を行った。
得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体を遠心分離し、乾燥した。得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体は、その元素分析結果(C;64.7重量%、H;7.8重量%、N;8.4重量%)から、生成N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体中のN−メチルマレイミド単位及びイソブテン単位を、それぞれ50モル%含むものであった。
上記N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体80重量部およびアクリロニトリル含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体20重量部をドライブレンドし、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し溶融混練し、ペレット化し、マレイミドオレフィン樹脂(引張弾性率3.8GPa;以下、「MIO」と記すことがある。)を得た。
マレイミドオレフィン樹脂を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型の一軸押出機に導入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイに供給した。マルチマニホールドダイから260℃で吐出させ、130℃に温度調整された冷却ロールにキャストし、その後、50℃に温度調整された冷却ロールに通して、幅600mm、厚さ80μmの液晶セル側保護フィルム2Bを押出成形により得た。
液晶セル側保護フィルム2Bの透湿度は、150g・m−2・day−1であった。液晶セル側保護フィルム2Bの波長550nmにおけるReは4.7nm、Rthは5.3nmであった。液晶セル側保護フィルム2Bの波長450〜750nmの範囲におけるReの最大値は5.2nm、Reの最小値は3.6、Reの波長分散は1.6であった。また液晶セル側保護フィルム2Bの波長450〜750nmの範囲におけるRthの最大値は5.8、Rthの最小値は4.0、Rthの波長分散は1.8であった。また、液晶セル側保護フィルム2Bの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅は、両面とも線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で、且つ幅が800nm以上であった。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、視認側保護フィルム1Aおよび液晶セル側保護フィルム2Bを偏光子Pの両面に重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板3を得た。
偏光板3の評価結果を表1に示した。
実施例4
弾性体粒子を含まないポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率3.3GPa;以下、「PMMA」と記すことがある。)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型一軸押出機に投入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイの一方に供給した。
一方、数平均粒径0.4μmの弾性体粒子を含むポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率2.8GPa;以下、「R−PMMA」と記すことがある。)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型の一軸押出機に導入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイの他方に供給した。
そして、溶融状態の弾性体粒子を含まないポリメチルメタクリレート樹脂、弾性体粒子を含むポリメチルメタクリレート樹脂をそれぞれマルチマニホールドダイから260℃で吐出させ、130℃に温度調整された冷却ロールにキャストし、その後、50℃に温度調整された冷却ロールに通して、PMMA層(20μm)/R−PMMA層(40μm)/PMMA層(20μm)の3層構成からなる、幅600mm、厚さ80μmの液晶セル側保護フィルム3Bを共押出成形により得た。液晶セル側保護フィルム3Bの透湿度は、51g・m−2・day−1であった。液晶セル側保護フィルム3Bの波長550nmにおけるReは0.4nm、Rthは−2.6nmであった。液晶セル側保護フィルム3Bの波長450〜750nmの範囲におけるReの最大値は0.7nm、Reの最小値は0.4、Reの波長分散は0.3であった。また液晶セル側保護フィルム3Bの波長450〜750nmの範囲におけるRthの最大値は−1.5、Rthの最小値は−2.8、Rthの波長分散は1.3であった。また、液晶セル側保護フィルム3Bの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅は、両面とも線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で、且つ幅が800nm以上であった。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、視認側保護フィルム1Aおよび液晶セル側保護フィルム3Bを偏光子Pの両面に重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板4を得た。
偏光板4の評価結果を表1に示した。
比較例1
ポリカーボネート樹脂(PC)10μmの層と、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)60μmの層とが積層された二層構造のフィルム(視認側若しくは光源側保護フィルム3)を得た。保護フィルム3の透湿度は、40g・m−2・day−1であった。また、保護フィルム3の線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅は、両面とも線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で、且つ幅が800nm以上であった。
この保護フィルム3を用いて実施例1と同様にして反射防止層を付加し、反射防止層付きの視認側保護フィルム3Aを得た。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、視認側保護フィルム3Aおよび液晶セル側保護フィルム1Bを偏光子Pの両面に重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板5を得た。
偏光板5の評価結果を表1に示した。
比較例2
トリアセチルセルロース(引張弾性率3.8GPa;TAC)を溶液キャスト成形し、厚さ80μmの単層フィルム(液晶セル側保護フィルム4B)を得た。液晶セル側保護フィルム4Bの透湿度は、250g・m−2・day−1であった。液晶セル側保護フィルム4Bの波長550nmにおけるReは2.7nm、Rthは41.0nmであった。液晶セル側保護フィルム4Bの波長450〜750nmの範囲におけるReの最大値は5.8nm、Reの最小値は−1.5、Reの波長分散は7.3であった。また液晶セル側保護フィルム4Bの波長450〜750nmの範囲におけるRthの最大値は50.3、Rthの最小値は28.7、Rthの波長分散は21.6であった。また、液晶セル側保護フィルム4Bの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅は、片面が線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で、且つ幅が800nm以上、もう片面が線状凹部の深さ、または凸部の高さが50nm以下で、且つ幅が800nm未満、又は線状凹部の深さ又は凸部の高さが20nm以上で、且つ幅が500nm以上であった。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、視認側保護フィルム1Aおよび液晶セル側保護フィルム4Bを偏光子Pの両面に重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板6を得た。
偏光板6の評価結果を表1に示した。
比較例3
数平均粒径0.4μmの弾性体粒子を含むポリメチルメタクリレート樹脂(引張弾性率2.8GPa;R−PMMA)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型の一軸押出機に導入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイに供給した。マルチマニホールドダイから260℃で吐出させ、130℃に温度調整された冷却ロールにキャストし、その後、50℃に温度調整された冷却ロールに通して、幅600mm、厚さ80μmの保護フィルム4を押出成形により得た。保護フィルム4の透湿度は、80g・m−2・day−1であった。また、保護フィルム4の線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅は、両面とも線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で、且つ幅が800nm以上であった。
この保護フィルム4を用いて、高屈折率層の厚みを15μmとした以外は実施例1と同様にして反射防止層を付加し、反射防止層付きの視認側保護フィルム4Aを得た。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、視認側保護フィルム4Aおよび液晶セル側保護フィルム1Bを偏光子Pの両面に重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板7を得た。
偏光板7の評価結果を表1に示した。
比較例4
トリアセチルセルロース(引張弾性率3.8GPa;TAC)を溶液キャスト成形し、厚さ80μmの単層フィルム(保護フィルム5)を得た。保護フィルム5の透湿度は、250g・m−2・day−1であった。また、保護フィルム5の線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅は、片面が線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で、且つ幅が800nm以上、もう片面が線状凹部の深さ、または凸部の高さが50nm以下で、且つ幅が800nm未満、又は線状凹部の深さ又は凸部の高さが20nm以上で、且つ幅が500nm以上であった。
この保護フィルム5を用いて、高屈折率層の厚みを15μmとした以外は実施例1と同様にして反射防止層を付加し、反射防止層付きの視認側保護フィルム5Aを得た。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、視認側保護フィルム5Aおよび液晶セル側保護フィルム1Bを偏光子Pの両面に重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板8を得た。
偏光板8の評価結果を表1に示した。
比較例5
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、視認側保護フィルム5Aおよび液晶セル側保護フィルム4Bを偏光子Pの両面に重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板9を得た。
偏光板9の評価結果を表1に示した。
Figure 0004682897
<偏光度変化>
偏光板を10インチ四方の大きさに切り出し、温度60℃、湿度90%の恒温槽に500時間放置し、試験用偏光板の対角線交点(図1中、(5)の位置)における高温高湿下の放置前後での偏光度の変動幅を測定した。
○:偏光度の変動幅が0.5以下
×:偏光度の変動幅が0.5より大きい
<密着性>
作製した偏光板を温度60℃、湿度90%で300時間放置し、放置後の偏光板端面の界面剥離を目視観察した。
○:剥離なし
×:端面に剥離が見られる
<表面硬度>
JIS K5600−5−4を参考にして、JIS S 6006に規定する4Hの試験用鉛筆を45度の角度に傾けた状態で、500gの荷重を掛け、偏光板を構成する視認側若しくは光源側保護フィルムの表面を5mm程度引っかく試験を行った。この試験を5回実施し、以下の基準で傷の付き具合を判定した。
◎:5回すべてに傷が付かなかった
○:5回のうち1回分に傷が付いた
×:5回のうち2回分以上に傷が付いた
<干渉縞観察>
偏光板を暗幕のような光を通さない黒布の上に反射防止層が形成された面を上にして置き、三波長蛍光灯(松下電器社製、ナショナル蛍光灯:FL20SS・ENW/18)で照らして、偏光板の表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:干渉縞が見えない
△:干渉縞がうっすらと見える
×:干渉縞が目立つ
<カール性の評価>
偏光板を10cm×10cmの大きさに切り出し、水平盤上に置き、試験片のカール状態を観察して次の基準にてカール性を評価した。
◎:全くカールが認められず、良好
○:殆ど目立たないが、わずかにカールが認められる。
×:明らかにカールが認められ、実用上問題のあるレベル。
<打抜き性>
保護フィルムを、直径35mmの円形刃を用いて、裁断機((株)トーコー製、TCM−500A)にて打抜きを行ない、下記の基準で打抜き性を評価した。
○:端面に割れが生じない
×:端面に割れが観察される
(液晶表示装置の作製)
(バックライト側偏光板の作製)
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの一方の面に、水酸化カリウムの1.5モル/Lイソプロピルアルコール溶液を25mL/m塗布し、25℃で5秒間乾燥した。次いで、流水で10秒間洗浄し、最後に25℃の空気を吹き付けることによりフィルムの表面を乾燥して、トリアセチルセルロースフィルムの一方の表面のみをケン化処理した光源側保護フィルム6を得た。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、光源側保護フィルム6のケン化処理が施された面および液晶セル側保護フィルム1Bの一面を偏光子Pに向けて重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせバックライト側偏光板BPを得た。
厚さ2.74μm、誘電異方性が正、波長550nmの複屈折率Δn=0.09884、プレチルト角90°のインプレーンスイッチングモードの液晶セルの出射側に、上記実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた偏光板1〜9を、偏光子の吸収軸と液晶セルの遅相軸が平行に且つ液晶セル側保膜フィルムが液晶セル側になるように貼り合わせた。液晶セルの入射側にバックライト偏光板BPを、偏光板1〜9に対してクロスニコルの関係になるように貼り合わせて液晶表示装置D1〜D9を得た。液晶表示装置D1〜D9の評価結果を表2に示した。
Figure 0004682897
<額縁故障>
液晶表示装置を温度60℃、湿度90%の恒温槽に500時間放置した。液晶表示装置を黒表示にして画面を目視にて観察する。
○:全面にわたり光漏れが見られない。
×:端部に光漏れが見られる。
偏光度変化及び光漏れの測定点を示す図。
符号の説明
(1)〜(9):測定点

Claims (9)

  1. 液晶セルを有する液晶表示装置に用いられる偏光板であって、
    透湿度が10g・m-2day-1以上、200g・m-2day-1以下である液晶セル側保護フィルム;
    透湿度が10g・m-2day-1以上、200g・m-2day-1以下であり、且つ熱可塑性アクリル樹脂及び数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子からなる層と、その層を挟んで両面に熱可塑性アクリル樹脂からなる層とが、積層されてなる平均厚さが100μm未満の多層積層体であるもう一枚の保護フィルム;及び
    前記液晶セル側保護フィルムと前記もう一枚の保護フィルムとに挟まれて配置される偏光子; からなる偏光板。
  2. 液晶セル側保護フィルムは、450〜750nmの波長λにおける面内方向のレターデーションRe(λ)が+5nm以下であり且つ450〜750nmの波長λにおける厚さ方向のレターデーションRth(λ)が−5〜+5nmである、請求項に記載の偏光板。
  3. 液晶セル側保護フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂を含有してなるものである請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 液晶セル側保護フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とを含有してなるものである請求項1〜のいずれかに記載の偏光板。
  5. 液晶セル側保護フィルム及びもう一枚の保護フィルムは、その表面の線状凹部の深さ又は線状凸部の高さが50nm以下、幅が500nm以上である請求項1〜のいずれかに記載の偏光板。
  6. 液晶セル側保護フィルム及びもう一枚の保護フィルムは、ヘイズが2%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板。
  7. もう一枚の保護フィルムは、熱可塑性アクリル樹脂と数平均粒径2.0μm以下の弾性体粒子とからなる層に含有する紫外線吸収剤の濃度が、両面に積層される熱可塑性アクリル樹脂からなる層に含有する紫外線吸収剤の濃度よりも高い、請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板。
  8. もう一枚の保護フィルムは、さらにハードコート層、反射防止層、帯電防止層、防眩層または防汚層を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の偏光板を、該偏光板の液晶セル側保護フィルムが液晶セル側を向くように、もう一枚の保護フィルムが視認側若しくは光源側を向くように備える液晶表示装置。
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