JP5380029B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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本発明は、液晶表示装置に関し、強誘電性液晶表示装置、反強誘電性液晶表示装置及び水平方向に配向したネマチック液晶に横方向の電界を印加することにより表示を行うインプレーンスイッチングモードの液晶表示装置に関する。
液晶表示装置としては、二枚の直交した偏光板の間に、ネマチック液晶をツイスト配列させた液晶層を挟み、電界を基板に対して垂直な方向にかける方式、いわゆるTNモードが広く用いられている。この方式では、黒表示時に液晶が基板に対して立ち上がるために、斜めから見ると液晶分子による複屈折が発生し、光漏れが起こる。この問題に対して、液晶性分子がハイブリッド配向したフィルムを用いることで、液晶セルを光学的に補償し、この光漏れを防止する方式が実用化されている。しかし、液晶性分子を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しく、画面下方向での階調反転が抑えきれないという問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるインプレーンスイッチング(IPS)モードによる液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され、実用化されている。近年、これらのパネルは、TV用途として広く用いられており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードが従来問題とされていなかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品位の低下の原因として顕在化してきた。
この色調や黒表示の視野角を改善する手段として、液晶層と偏光板の間に複屈折特性を有する光学補償材料を配置することがIPSモードにおいても検討されている(例えば特許文献1参照)。
一方、これら液晶表示装置においては、外光の反射による像の映り込みを防止するために、ディスプレイの最表面に防眩性フィルムを配置することにより、液晶ディスプレイの高付加価値化が行われている。
防眩性フィルムは、表面散乱に加えて内部散乱性を有する防眩フィルムが知られている(例えば特許文献2参照)。
しかしながら、上記、従来の技術を組み合わせた態様、即ち、光学補償を行ったIPSモードの液晶表示装置に従来の防眩フィルムを適用すると、外光の反射による像の映り込みを防止することができるものの、防眩性フィルム適用前と比較して、対角位斜め入射方向での光漏れが上昇することが本発明者らの検討で明らかとなった。
特開平10−307291号公報 特許第3515401号公報
本発明は上記問題に鑑みなされたものであって、外光の反射による像の映り込みを防止しつつ、対角位斜め方向の光漏れを抑制することであり、且つ簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角が著しく改善されたIPS型液晶表示装置を提供することを目的とする。
また、本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、反射防止性能が良好であり、且つ簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角が著しく改善されたIPS型液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
<1>
少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とをこの順序で有し、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも凹凸表面を有する防眩層、及び該防眩層上に直接、厚さが50〜150nmで屈折率が防眩層の屈折率より低く、かつ屈折率が1.20〜1.46の低屈折率層を有し、
該防眩層の、
中心線平均粗さ(Ra)が0.03μm<Ra<0.4μmであり、
凹凸の平均間隔(Sm)が200μm<Sm<600μmであり、
該凹凸の傾斜角θにおいて、0°<θ<0.5°の領域(θ(0.5))が40%〜98%を占め、
該防眩層が少なくとも1種の透光性粒子を含有し、該透光性粒子の平均粒径が前記防眩層の平均膜厚よりも0.01〜4.0μm大きく、該透光性粒子の添加量が前記防眩層の全固形分に対して0.01〜1質量%である、液晶表示装置。

前記透光性粒子の平均粒径が3μm〜15μmである<1>に記載の液晶表示装置。

前記光学補償領域が下記式(A)〜(D)のいずれかを満たす少なくとも1つの位相差領域を含む<1>または<2>に記載の液晶表示装置。
(A)100nm≦Re≦400nm、且つ−50nm≦Rth≦50nm
(B)60nm≦Re≦200nm、且つ30nm≦Rth≦100nm
(C)0nm≦Re≦20nm、且つ−400nm≦Rth≦−50nm
(D)30nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦400nm
(ここでReは面内のレターデーション、Rthは厚み方向のレターデーションである。)

前記式(A)〜(D)のいずれかを満たす第1位相差領域がセルロースエステルフィルムである<>に記載の液晶表示装置。

前記光学補償領域が前記式(A)を満たす第1位相差領域を含み、該第1位相差領域の値Nzが0.45〜0.55である<>または<>に記載の液晶表示装置。

前記光学補償領域が第1位相差領域と第2位相差領域を含み、
該第1位相差領域の面内のレターデーションReが60nm〜200nmであり、
該第1位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが30nm〜100nmであり、
該第2位相差領域の面内のレターデーションReが0nm〜20nmであり、
該第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが−300nm〜−100nmである<1>〜<>のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に直交している<>に記載の液晶表示装置。

前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に平行である<>に記載の液晶表示装置。

前記光学補償領域が第1位相差領域と第2位相差領域を含み、
該第1位相差領域の面内のレターデーションReが30nm〜150nmであり、
該第1位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが100nm〜400nmであり、
該第2位相差領域の面内のレターデーションReが0nm〜20nmであり、
該第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが−400nm〜−80nmであり、且つ第1偏光膜の吸収軸が、黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に垂直である<1>〜<>のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
10
前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に垂直である<>に記載の液晶表示装置。
11
前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に平行である<>に記載の液晶表示装置。
12
前記第2位相差領域が、実質的に垂直配向した棒状液晶化合物を含有する位相差層を有する<>〜11>のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
13
前記第2の偏光膜と前記基板との間に保護膜を有し、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthが−50nm〜40nmである<1>〜<12>のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
14
前記第2の偏光膜と前記基板との間に保護膜を有し、該保護膜がセルロースアシレートフィルム、ノルボルネン系フィルムまたはアクリル系フィルムである<1〜<13>のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
なお、本発明は上記<1>〜<14>に関するものであるが、参考のためその他の事項(例えば下記1〜17に記載した事項等)についても記載した。
1.
少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とをこの順序で有し、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも防眩層を有し、
該防眩層の、
中心線平均粗さ(Ra)が0.03μm<Ra<0.4μmであり、
凹凸の平均間隔(Sm)が80μm<Sm<700μmであり、
該凹凸の傾斜角θにおいて、0°<θ<0.5°の領域(θ(0.5))が40%〜98%を占める、液晶表示装置。
2.
前記防眩層が少なくとも1種の透光性粒子を含有し、該透光性粒子の平均粒径が前記防眩層の平均膜厚よりも0.01〜4.0μm大きい上記1に記載の液晶表示装置。
3.
前記透光性粒子の添加量が、前記防眩層の全固形分に対して0.01〜1質量%である上記1または2に記載の液晶表示装置。
4.
前記透光性粒子の平均粒径が3μm〜15μmである上記1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
5.
前記防眩層の表面に、前記防眩層の屈折率より屈折率が低い低屈折率層を有する上記1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置。
6.
前記光学補償領域が下記式(A)〜(D)のいずれかを満たす少なくとも1つの位相差領域を含む上記1〜5のいずれかに記載の液晶表示装置。
(A)100nm≦Re≦400nm、且つ−50nm≦Rth≦50nm
(B)60nm≦Re≦200nm、且つ30nm≦Rth≦100nm
(C)0nm≦Re≦20nm、且つ−400nm≦Rth≦−50nm
(D)30nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦400nm
(ここでReは面内のレターデーション、Rthは厚み方向のレターデーションである。)
7.
前記式(A)〜(D)のいずれかを満たす第1位相差領域がセルロースエステルフィルムである上記6に記載の液晶表示装置。
8.
前記光学補償領域が前記式(A)を満たす第1位相差領域を含み、該第1位相差領域の値Nzが0.45〜0.55である上記6または7に記載の液晶表示装置。
9.
前記光学補償領域が第1位相差領域と第2位相差領域を含み、
該第1位相差領域の面内のレターデーションReが60nm〜200nmであり、
該第1位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが30nm〜100nmであり、
該第2位相差領域の面内のレターデーションReが0nm〜20nmであり、
該第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが−300nm〜−100nmである上記1〜7のいずれかに記載の液晶表示装置。
10.
前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に直交している上記9に記載の液晶表示装置。
11.
前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に平行である上記9に記載の液晶表示装置。
12.
前記光学補償領域が第1位相差領域と第2位相差領域を含み、
該第1位相差領域の面内のレターデーションReが30nm〜150nmであり、
該第1位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが100nm〜400nmであり、
該第2位相差領域の面内のレターデーションReが0nm〜20nmであり、
該第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが−400nm〜−80nmであり、且つ第1偏光膜の吸収軸が、黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に垂直である上記1〜7のいずれかに記載の液晶表示装置。
13.
前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に垂直である上記12に記載の液晶表示装置。
14.
前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に平行である上記12に記載の液晶表示装置。
15.
前記第2位相差領域が、実質的に垂直配向した棒状液晶化合物を含有する位相差層を有する上記9〜14のいずれかに記載の液晶表示装置。
16.
前記第2の偏光膜と前記基板との間に保護膜を有し、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthが−50nm〜40nmである上記1〜15のいずれかに記載の液晶表示装置。
17.
前記第2の偏光膜と前記基板との間に保護膜を有し、該保護膜がセルロースアシレートフィルム、ノルボルネン系フィルムまたはアクリル系フィルムである上記1〜16のいずれかに記載の液晶表示装置。
本発明によれば、明室コントラスト低下を最小に抑えつつ、液晶表示面への外光の映り込みを防止しつつ、視野角を改善することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、光学特性等を示す数値や数値範囲については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値又は数値範囲であると解釈されるものとする。角度については、本明細書において、「45゜」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380〜780nmのことをいう。更に屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=590nmでの値である。
また、本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)は、KOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と、平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値とを基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値は、その符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(I)及び式(II)よりRthを算出することもできる。
数式(I)
数式(II)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また、nxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と、平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出される。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学補償フィルムのカタログの値を使用することができる。
また、平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学補償フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRは、nx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とがこの順序で有し、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも防眩層を有し、
該防眩層の、
中心線平均粗さ(Ra)が0.03μm<Ra<0.4μmであり、
凹凸の平均間隔(Sm)が80μm<Sm<700μmであり、
該凹凸の傾斜角θにおいて、0°<θ<0.5°の領域(θ(0.5))が40%〜98%を占める、液晶表示装置である。
IPSモードの液晶表示装置の表面に従来の防眩層を適応した場合、液晶表示装置が光学補償を行ったものであっても、対角位斜め方向の漏れが生じる。光漏れの理由は、以下の理由であることが本発明者等の検討で明らかになった。
即ち、従来の防眩層を積層した液晶表示装置では、バックライト側から高角で入射した光の一部が防眩層の表面凹凸で屈折し、より低角度に出射し、視認される。一方、対角位斜め方向の光漏れは広角度ほど大きい。従って従来の防眩層を適用すると、より広角度で入射した成分が含まれて出射されるために、対角位斜め方向の漏れ光が生じる。一方、防眩性を低下して行くと、表面凹凸による屈折が減少し、対角位斜め方向の光漏れは低下するが、像の映りこみが強く、視認性が悪化する。つまり、対角位斜め方向の光漏れと像の映りこみを同時に解決することはできなかった。
これに対し、上述した、本発明の特性を有する防眩層(以下、本発明の防眩層と呼ぶことがある)を適用することで、上記の問題が同時に解決できることを見出し本発明の完成に至った。本発明の防眩層は、従来の防眩層と比較し、凹凸部分が少なく、平面部分が多い(図4)。このような防眩層を用いることで、対角位斜め方向の光漏れと像の映りこみが同時に解決できる。その理由は以下の理由に基づくものと推定している。防眩層の平面部分を増やすことで、出射時の屈折を減らし、広角度で入射し低角度で出射する光を減少させることができ、対角位斜め方向の光漏れを抑制することができる。一方、鏡面方向に近い方向の散乱光量を増やすことができるため、像をぼかし、目立ち難くしている。
また、本発明の防眩層をTNモードに適用しても、斜め方向の光漏れ低減効果は観察されなかった。従って、本発明は構造的に斜め方向の光漏れが改善されたIPSモードの液晶表示装置と光学補償と本発明の防眩層を組み合わせで初めて得られる効果であることが分かった。
更に、本発明の防眩層上に低屈折率層を積層した系では、防眩層の平面部分が多いために、従来の防眩層に対し(図3に模式的に示す。)、低屈折率層を均一に塗布することができ(図4に模式的に示す。)、表面が平坦な面に塗布した低屈折層に近い均一性(図2に模式的に示す。)で鏡面反射率を低減させることができる。従って、低屈折率層を積層した構成は本発明の好ましい態様である。
<防眩層>
〔防眩層の構成〕
本発明における防眩層は、透明支持体上に微粒子及びバインダーを含んでなる少なくとも一層の防眩層を有する。図1を参照に、本発明の防眩性フィルムについて説明する。
図1の本発明の防眩性フィルムは、透明支持体(1)上に、少なくとも一層の防眩層(2)を有する。最外層に、隣接する防眩層(2)の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層(5)を有していることが好ましい。
[防眩層]
防眩性を付与する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号公報記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号公報記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号公報記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2000−275404号公報記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2005−195819号公報記載のように複数のポリマーの混合溶液から溶媒が蒸発する過程で相分離することを利用して表面凹凸を形成する方法、などが知られており、本発明のフィルムにおける防眩層を形成するにはこれら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層は、好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、及び防眩性を付与するための透光性粒子からなり、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面に凹凸が形成された層であることが好ましい。
また、防眩層は、バインダー形成材料、透光性粒子および溶媒を含有する防眩層形成用塗料を用いて形成されることが好ましい。
そして、防眩層形成用塗料を用いて形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなり、防眩性とハードコート性とを兼ね備えることが好ましい。
(透光性粒子)
本発明の好ましい態様の1つとして、防眩層中に防眩性を付与するために少なくとも1種の前記透光性粒子を含有し、該透光性粒子の平均粒子径が防眩層の平均膜厚よりも0.01〜4.0μm大きいことが、防眩性を付与する点で好ましく、防眩性と膜表面の平坦部の割合を多くし、薄膜干渉層を均一に積層することを両立するためには0.5〜3.5μm大きいことがさらに好ましく、1.0〜3.0μm大きいことが最も好ましい。また、透光性粒子の平均粒子径が4μm以下の場合は、0.1〜2.5μm大きいことが好ましく、0.1〜2.0μm大きいことが最も好ましい。
防眩層の平均膜厚はフィルムの断面を電子顕微鏡で観察し、膜厚をランダムに30ヶ所測定した平均値から算出される。
防眩層の1つの凸部は実質的に5個以下の透光性粒子によって形成されていることが好ましく、実質的に1個の透光性粒子によって凸部が形成されていることがより好ましい。ここで「実質的に」とは、上記で定義された凸部のうち、90%以上が好ましい態様を満たしていることを意味する。
本発明において、用いられる透光性粒子の粒度分布は、ヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性の観点から、単分散性の粒子であること、すなわち粒子径が均一な粒子であることが好ましい。粒子径の均一さを表すCV値は0〜10%が好ましく、より好ましくは0〜8%、更に好ましくは0〜5%である。さらに平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ透光性粒子は、調製又は合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。透光性粒子の平均粒子径は、該透光性粒子を光学顕微鏡により観察し、観察された100個の粒子直径の平均値から算出する。
上記防眩層の平均膜厚よりも大きい平均粒子径を有する前記透光性粒子の添加量は全固形分に対して0.01〜1質量%であることが、凹凸の密度を粗にすることで膜表面の平坦部の割合を多くし、薄膜干渉層を均一に積層する点で好ましい。より好ましくは0.1〜1質量%、さらに好ましくは0.1〜0.7質量%、最も好ましくは0.1〜0.45質量%である。
本発明では、透光性粒子の平均粒径は、3μm〜15μmであることが好ましい。5μm〜12μmであることが好ましく、6μm〜10μmであるのが最も好ましい。粒子が3μm未満では防眩層の膜厚が薄くなり、充分な鉛筆硬度が得られない。また、15μmより大きいと膜厚が厚くカールの問題が生じる。
防眩層の平均膜厚よりも大きい平均粒径を有する透光性粒子の防眩層における単位面積当たりの個数としては、10〜1500個/mmであることが好ましい。さらに好ましくは10〜400個/mm、最も好ましくは10〜100個/mmである。透光性粒子の個数は光学顕微鏡にて500μm×500μmの範囲を10視野観察してそれぞれの個数をカウントし、その平均値から算出することができる。
本発明における防眩層は従来から知られる防眩層とは異なり、0.01〜1質量%という非常に少ない量の平均粒子径が防眩層の平均膜厚よりも大きい粒子によって防眩性を発現させるため、膜表面の平坦部が非常に多い構造となり、前記防眩層上に薄膜層を複数層積層した際に凹凸起因の膜厚不均一が起こりにくく低反射率を実現することができる。
この際、上記粒子は防眩層よりも少なくとも0.01〜4.0μm突出して防眩性を発現しているため平坦部が多くても防眩性が損なわれることがない。
本発明で中心線平均粗さ(Ra)は0.03μm<Ra<0.40μmであり、防眩性付与の他にギラツキ、外光が反射した際の表面の白化なども考慮すると0.05μm<Ra<0.30μmであることが好ましく、0.05<Ra<0.25μmであることがさらに好ましく、0.05<Ra<0.15μmであることが最も好ましい。
また、凹凸平均間隔(Sm)は80μm<Sm<700μmであり、防眩性と膜表面の平坦部の割合を多くし、薄膜干渉層を均一に積層することを両立するためには凹凸の平均間隔(Sm)が150μm<Sm<700μmであることが好ましく、200μm<Sm<600μmであることが最も好ましい。
防眩フィルムの中心線平均粗さ(Ra)が0.03μm以下であると、表面の凹凸が少なすぎて防眩性が十分得られない。0.4μm以上であると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等、および凹凸に応じた薄膜層の膜厚不均一による干渉能低下の問題が発生する。
凹凸の平均間隔(Sm)が80μm以下であると表面凹凸の平坦部が少ない構造となり薄膜層を塗布した際の膜厚不均一による干渉能低下の問題が発生する。700μm以上であると、表面の平坦部が非常に多い構造となり、防眩性が十分得られない。
本発明では、凹凸の傾斜角θが0°<θ<0.5°の領域(θ(0.5))は40%〜98%占めることが必要であり、50%〜98%であることが好ましく、60%〜98%であることがさらに好ましく、70%〜95%であることが最も好ましい。
θ(0.5)が40%未満であると、凹凸に応じた薄膜層の膜厚不均一による干渉能低下が起こる。また、98%より大きいと充分な防眩効果が得られない。なお、積分反射率が1.5%以下であると、黒締まりが良好な反射防止フィルムが得られる。
本発明の防眩層では、従来から知られる防眩層では困難であったθ(0.5)(塗膜表面の比較的平坦な領域)を40%以上、80μm<Sm<700μmに保ちながら十分な防眩性を付与することが可能であり、塗布方式により薄膜層を複数層積層した際、十分な防眩性と低反射率を両立することが可能である。
(傾斜角度θ)
本発明の光学フィルムは表面に微細凹凸構造を有する。本発明において、傾斜角度θの分布は以下の方法で決定される。すなわち、面積が0.5乃至2平方マイクロメートルである三角形の頂点を透明フィルム基材面(支持体面)に仮定し、その点から鉛直上向きに伸ばした3つの垂線がフィルム表面と交わる3点によって形成される三角形の面の法線が、支持体面から鉛直上向きに伸ばした垂線となす角を表面の傾斜角度とし、基材上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上の面積を該三角形に分割して測定した時の全測定点の傾斜角度分布を調べる。
傾斜角度を測定する方法を図10を参照して詳細に述べる。支持体面における面積が0.5乃至2平方マイクロメートルとなるようなメッシュにフィルムを分割する(図10(a)参照)。図10(b)は分割したメッシュのうちの3点を抽出した図である。この支持体上の3点から鉛直上向きに垂線を伸ばし、その3点が表面と交わった点をA、B、Cとする。三角形ABC面の法線DD’が、支持体から鉛直上向きに伸ばした垂線OO’と為す角度θを傾斜角度とする。図10(c)は点O’DD’を含む平面Pで切ったときのフィルムの断面図である。線分EFは三角形ABCと平面Pとの交線である。測定面積は支持体上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上が好ましく、この面を支持体上で三角形に分割して測定し、傾斜角度を求める。測定する装置はいくつかあるが、一例を述べる。装置はマイクロマップ社(米国)製SXM520−AS150型を用いた場合を説明する。例えば対物レンズが10倍の時、傾斜角度の測定単位は0.8平方マイクロメートルであり、測定範囲は500000平方マイクロメートル(0.5平方ミリメートル)である。対物レンズの倍率を大きくすれば、それに合わせて測定単位と測定範囲は小さくなる。測定データはMAT−LAB等のソフトを用いて解析し、傾斜角度分布を算出することができる。得られた傾斜角度分布から傾斜角度0〜0.5°の頻度θ(0.5)を算出する。測定は場所を変えて5ヶ所測定し、平均値をとる。
(積分反射率)
光学フィルムの裏面、すなわち低屈折率層とは反対側をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態にして、該光学フィルムの表面を、分光光度計V−550(日本分光(株)製)の積分球に装着して、380〜780nmの波長領域において、反射率(積分反射率)を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出する。
(表面形状の評価)
光学フィルムの表面形状はJIS B−0601(1994)に基づいて、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)、平均間隔(Sm)を小坂研究所(株)製サーフコーダーMODEL SE−3Fにより評価する。Smに関しては、測定の際の測定長は8mm、カットオフ値は0.8mmとした。
(微粒子)
微粒子(透光性粒子)の種類については、前記の粒径及び後述する防眩層の内部ヘイズの値を満たすものであるのが好ましく、凸部は実質的に1個の微粒子によって形成されていることがより好ましいため、分散性の良好な微粒子を選定することが好ましい。
分散性の良好な微粒子としては、ポリメチルメタクリレート微粒子及び、ポリメチルメタクリレートとポリスチレンの共重合体微粒子など透光性の有機樹脂粒子が好ましい。該共重合体微粒子中のポリメチルメタクリレート比率は、40質量%以上であることが、分散性の観点から好ましい。
上記の微粒子を用いる場合には、バインダー中又は塗布液中での粒子の分散安定性及び沈降防止のために、シリカ等の可視光散乱を起こさない大きさの無機フィラーや、有機化合物(モノマーでもポリマーであってもよい)等の分散剤を添加してもよい。
なお、無機フィラーを添加するときには、その添加量が増す程、微粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与えない範囲内で用いることが好ましい。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%程度含有させるとよい。有機化合物等の分散剤は、微粒子に対して0.1〜20質量%添加するのが好ましい。更に好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%である。0.1質量%以上であれば、分散安定性に対する添加効果が現れ、20量%以下であれば、分散安定性に寄与しない成分が増えてブリードアウト等の問題が生じることがないので好ましい。
上記のように、バインダー中又は塗布液中での分散安定性及び沈降防止のためには、添加剤として用いられる微粒子の表面を表面処理してもよい。表面処理剤の種類としては、使用するバインダー、塗布液中の溶媒により適宜選択される。表面処理量としては、微粒子に対して0.1〜30質量%添加するのが好ましい。更に好ましくは1〜25質量%、特に好ましくは3〜20質量%である。0.1質量%以上であれば、分散安定性に対する表面処理量が不足することがなく、30質量%以下であれば、表面処理に寄与しない成分が増えてブリードアウト等の問題が生じることがないので好ましい。
本発明においては、用いられる微粒子の粒度分布は、ヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性の観点から、単分散性の粒子であること、すなわち粒子径が均一な粒子であることが好ましい。粒子径の均一さを表すCV値は0〜10%が好ましく、より好ましくは0〜8%、更に好ましくは0〜5%である。さらに平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ微粒子は、調製又は合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。微粒子の平均粒子径は、該微粒子を電子顕微鏡により観察し、観察された100個の粒子直径の平均値から算出する。
また、必要な光散乱性を得るために平均粒子径の異なる2種類以上の微粒子を併用して用いてもよい。この場合、少なくとも1種類の粒子の平均粒径が防眩層の平均膜厚よりも0.01〜4.0μm大きく、平均粒径が防眩層の平均膜厚よりも0.01〜4.0μm大きい粒子の添加量が防眩層の固形分に対し、0.01〜1質量%であることが好ましい。平均粒径が防眩層の平均膜厚よりも0.01〜4.0μm大きい粒子が2種類以上ある場合は、その添加量の合計が防眩層の固形分に対し、0.01〜1質量%であることが好ましい。
防眩層の粒子の添加量を上記範囲とすることで、平面部分を増やすことができ、広角度から入射し、防眩層の表面で屈折し、低角度に出射される光を低下させることができ、対角位斜め方向の光漏れを防止することができる。
(バインダー)
本発明における防眩層のバインダーは、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性化合物の一方又は両者を含み、硬化して形成されることが好ましい。
本発明における防眩層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、重合反応により形成される層であると好ましい。すなわち、バインダーとして、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを、架橋反応又は重合反応させることにより形成する。電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光(紫外線)、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ポリエステル類;2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等を挙げることができる。さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
これらの中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることができる。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号の各公報に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号公報記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。バインダーとして用いられるこれら多官能モノマーや多官能オリゴマーのバインダーは2種類以上を併用してもよい。
ここで防眩層の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記微粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に微粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
これらのエチレン性不飽和基を有するバインダーの重合は、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。光重合性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
本発明にはバインダーとして、ポリマー又は架橋しているポリマーを併用して用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド及びメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖及びポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖及びポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
防眩層のバインダーには、防眩層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマー、又はZrO2、TiO2、SiO2などの可視光散乱を生じない無機粒子、すなわち平均粒子サイズが100nm以下の無機粒子、又はそれらの両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、防眩層形成後において、前記多官能モノマー及び/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含めてバインダーと称する。
次に本発明の内部ヘイズについて詳述する。
防眩性フィルムの表面及び裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(「ミクロスライドガラス品番S9111」、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られた防眩性フィルムを密着した状態でJIS−K7136に準じてヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズとして算出した。
本発明の防眩性フィルムの内部ヘイズは0.1%〜25%であることが、液晶パネルのぎらつきが発生せず、コントラストを低下させない点で好ましく、更に好ましくは1%〜20%であり、特に好ましくは3%〜15%である。
防眩層の屈折率は、1.45〜1.6であることが好ましく、1.46〜1.57であることがより好ましく、1.47〜1.55であることが特に好ましい。
[低屈折率層]
本発明においては、前記の防眩層より外側、すなわち透明支持体より遠い側に低屈折率層を設けることができる。低屈折率層を有することで、防眩性フィルムに反射防止機能を付与し、さらには防眩性をより高めることができる。低屈折率層の屈折率は前記の防眩層の屈折率より低く設定することが好ましい。低屈折率層と防眩層との屈折率差が小さすぎる場合は反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。低屈折率層と防眩層との屈折率差は0.01以上0.30以下が好ましく、0.05以上0.20以下がより好ましい。
低屈折率層は、低屈折率素材を用いて形成することができる。低屈折率素材としては、低屈折率バインダーを用いることができる。また、バインダーに微粒子を加えて低屈折率層を形成することもできる。
また、低屈折率層形成用組成物は後述するオルガノシラン化合物を含有することもできる。
低屈折率バインダーとしては、含フッ素共重合体を好ましく用いることができる。含フッ素共重合体は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる構成単位と架橋性付与のための構成単位を有することが好ましい。
(含フッ素共重合体)
含フッ素共重合体を主として構成する含フッ素ビニルモノマーとしては、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオリド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類{例えば「ビスコート6FM」(商品名)、大阪有機化学工業(株)や“R−2020”(商品名)、ダイキン工業(株)製等}、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはペルフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する傾向がある。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
架橋反応性付与のための構成単位としては主として以下の(A)、(B)、(C)で示される単位が挙げられる。
(A):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内に予め自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、
(B):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー{例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等}の重合によって得られる構成単位、
(C):分子内に上記(A)、(B)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(A)、(B)の構成単位と反応させて得られる構成単位(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)が挙げられる。
上記(C)の構成単位は、その架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。該光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基及びシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基含有共重合体を調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
a.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
b.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
c.エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
d.カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
なお、上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を残していても良い。
本発明では共重合体中の架橋性付与のための構成単位の導入量が10〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは15〜45モル%の場合であり、特に好ましくは20〜40モル%の場合である。
本発明における低屈折率層に有用な共重合体では、上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位及び、架橋性付与のための構成単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶媒への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から、適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは、目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には、特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明で特に有用な含フッ素共重合体は、ペルフルオロオレフィンとビニルエーテル類又はビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基{(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等}を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70モル%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60モル%の場合である。好ましいポリマーについては、特開2002−243907号、特開2002−372601号、特開2003−26732号、特開2003−222702号、特開2003−294911号、特開2003−329804号、特開2004−4444、特開2004−45462号の各公報に記載のものを挙げることができる。
また本発明で有用な含フッ素共重合体には、防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが、例えば特開平6−93100号、特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法;特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平11−189621号公報の実施例1、2、及び3のポリマー、又は特開平2−251555号公報の共重合体A−2及びA−3を挙げることができる。これらのポリシロキサン成分は、ポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
本発明に好ましく用いることのできる共重合体の好ましい分子量は、質量平均分子量が5000以上、好ましくは10000〜500000、最も好ましくは15000〜200000である。平均分子量の異なるポリマーを併用することで塗膜面状の改良や耐傷性の改良を行うこともできる。
上記の共重合体に対しては、特開平10−25388号公報及び特開2000−17028号公報に記載のごとく、適宜、重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号公報に記載のごとく、含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、前記防眩層で述べた多官能モノマーを挙げることができる。これら化合物は、特に共重合体本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.42であることがより好ましく、1.30〜1.38であることが特に好ましい。また低屈折率層の厚さは、50〜150nmであることが好ましく、70〜120nmであることがさらに好ましい。
(微粒子)
次に本発明における低屈折率層に好ましく用いることのできる微粒子について説明する。
低屈折率層に含まれる微粒子の塗設量は、1〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは1〜80mg/m2、更に好ましくは1〜70mg/m2である。微粒子の塗設量が該下限値以上であれば、耐擦傷性の改良効果が明らかに現れ、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて外観や積分反射率が悪化するなどの不具合が生じないので好ましい。該微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが好ましい。
具体的には、低屈折率層に含まれる微粒子は、無機微粒子、中空の無機微粒子、又は中空の有機樹脂微粒子であって、低屈折率のものがあることが好ましく、中空の無機微粒子が特に好ましい。無機微粒子としては、例えば、シリカ又は中空シリカの微粒子が挙げられる。このような微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上100%以下が好ましく、より好ましくは30%以上80%以下、更に好ましくは35%以上70%以下である。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以上80nm以下、更に好ましくは、35nm以上70nm以下である。
耐擦傷性の強化を図るためには、防眩性フィルム全層に無機粒子が含まれていることが好ましく、最も好ましくは、防眩性フィルム全層にシリカ粒子が含まれていることが好ましい。
上記のような(中空)シリカ微粒子は、その粒径が上記下限値以上であれば、耐擦傷性の改良効果が明らかに現れ、上記上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて外観や積分反射率が悪化するなどの不具合が生じないので好ましい。
(中空)シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子でも、凝集粒子(この場合は、2次粒子径が、低屈折率層の層厚の30%〜100%であることが好ましい)でも構わない。また、2種類以上の複数の粒子(種類又は粒径)を用いても構わない。粒子の形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。
低屈折率層の屈折率を低下させるために、中空のシリカ微粒子を用いることが特に好ましい。該中空シリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をri、粒子外殻の半径をroとすると、空隙率xは下記数式(1)で算出される。
数式(1): x=(4πri 3/3)/(4πro 3/3)×100
空隙率xは、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は困難である。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計{(株)アタゴ製}にて測定をおこなった。
本発明においては、防汚性向上の観点から、更に、低屈折率層表面の表面自由エネルギーを下げることが好ましい。具体的には、含フッ素化合物やポリシロキサン構造を有する化合物を低屈折率層に使用することが好ましい。
ポリシロキサン構造を有する添加剤としては、反応性基含有ポリシロキサン{例えば“KF−100T”,“X−22−169AS”,“KF−102”,“X−22−3701IE”,“X−22−164B”,“X−22−5002”,“X−22−173B”,“X−22−174D”,“X−22−167B”,“X−22−161AS” (商品名)、以上、信越化学工業(株)製;“AK−5”,“AK−30”,“AK−32”(商品名)、以上東亜合成(株)製;、「サイラプレーンFM0725」,「サイラプレーンFM0721」(商品名)、以上チッソ(株)製等}を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383号公報の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。これらのポリシロキサンは低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
〔防眩層及び/又は低屈折率層形成用組成物に含有されるその他の成分〕
[オルガノシラン化合物]
本発明の防眩性フィルムを構成する層のうちの少なくとも1層は、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物の少なくとも1種の成分、いわゆるゾル成分(以降このように称する場合もある)を用いて形成されることが耐擦傷性の点で好ましい。特に、低屈折率層を有する防眩性フィルムにおいては、反射防止性能と耐擦傷性を両立させるために、低屈折率層にゾル成分を含有させることが特に好ましい。このゾル成分は、塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成し、上記低屈折率層のバインダーの一部となる。また、該硬化物が重合性不飽和結合を有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物は、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
一般式(1):(R11m1−Si(X114-m1
上記一般式(1)において、R11は置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アルキル基の具体例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
11は、水酸基又は加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。m1は1〜3の整数を表し、好ましくは1〜2である。
11が複数存在するとき、複数のX11はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R11に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。R11は置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
また、下記一般式(2)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物も好ましい。
上記一般式(2)において、R21は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
21は単結合もしくは*−COO−**、*−CONH−**又は*−O−**を表し、単結合、*−COO−**、及び*−CONH−**が好ましく、単結合及び*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R21)−に結合する位置を、**はL21に結合する位置を表す。
21は2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
a1(a1=100−a2の数式を満たす数を表す)及びa2はモル比率を表わし、a2は0〜50の数を表す。a2は0〜40の数がより好ましく、0〜30の数が特に好ましい。
22〜R25は、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基、又は無置換のアルキル基が好ましい。R22〜R24は塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基もしくはメトキシ基が特に好ましい。R25は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルキル基はメチル基、エチル基など、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。R26は、前述の一般式(1)のR11と同義であり、水酸基もしくは無置換のアルキル基がより好ましく、水酸基もしくは炭素数1〜3のアルキル基が更に好ましく、水酸基もしくはメチル基が特に好ましい。
一般式(1)の化合物は2種類以上を併用してもよい。また一般式(2)の化合物は、一般式(1)の化合物の少なくとも1種類を出発原料として合成される。以下に一般式(1)の化合物の具体例として、特開2007−164166号公報の[0073]〜[0079]に記載の化合物が挙げられる、限定されるものではない。
これらのうち、重合性基を含有するオルガノシランとしては(M−1)、(M−2)、及び(M−25)が特に好ましい。
本発明の効果を得るためには、オルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物における上記ビニル重合性基を含有するオルガノシランの含有量は、30質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%がより好ましく、70質量%〜95質量%が更に好ましい。該ビニル重合性基を含有するオルガノシランの含有量が30質量%以上であれば、防眩層及び/又は低屈折率層形成用の塗布液に固形物が生じたり、液が濁ったり、ポットライフが悪化したり、分子量の制御が困難(分子量の増大)であったりするなど不都合がなく、また重合性基の含有量が少ないために重合処理を行った場合の性能(例えば反射防止膜の耐傷性)の向上が得られにくいなどの問題も生じないので好ましい。
一般式(2)で表される化合物を合成する場合は、上記ビニル重合性基を含有するオルガノシランとして特開2007−164166号公報の[0073]〜[0079]に記載の(M−1)、(M−2)、ビニル重合性基を有さないオルガノシランとして(M−19)〜(M−21)及び(M−48)の中からそれぞれ1種をそれぞれ上記の量を組み合わせて用いると好ましい。
[重合開始剤]
(光重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ホウ酸塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア(651,184,500,819,907,127、369,1173,1870,2959,4265,4263など)」、サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)”等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
(光増感剤)
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントンなどを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DMBI,EPA)」などが挙げられる。
(熱開始剤)
熱ラジカル開始剤としては、有機又は無機の過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
[架橋剤(架橋性化合物)]
本発明の防眩層及び低屈折率層を構成するモノマー又はポリマーバインダーが単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。特に低屈折率層に含有させることが有効である。例えばポリマー本体に水酸基を含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。
具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
(硬化触媒)
本発明のフィルムには、硬化を促進する硬化触媒として電離放射線又は熱の照射によりラジカルや酸を発生する硬化触媒を使用することができる。
(熱酸発生剤)
本発明の防眩性フィルムの一例として、加熱することで、含フッ素共重合体の水酸基と、この水酸基と架橋できる硬化剤との架橋反応で膜を硬化させることができる。この系では酸により硬化が促進されるため、硬化性樹脂組成物に、酸性物質を添加することが望ましいが、通常の酸を添加すると塗布液中でも架橋反応が進行してしまい、故障(ムラ、ハジキなど)の原因となる可能性もあり、従って、熱硬化系で保存安定性と硬化活性を両立するために、加熱により酸を発生する化合物を硬化触媒として添加することがより好ましい。
硬化触媒は、酸と有機塩基からなる塩であることが好ましい。酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられ、ポリマーに対する相溶性の観点から有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MSOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる(( )内は略称)。
熱酸発生剤の市販されている材料としては、「キャタリスト4040」、「キャタリスト4050」、「キャタリスト600」、「キャタリスト602」、「キャタリスト500」、「キャタリスト296−9」{以上、日本サイテックインダストリーズ(株)製}、“NACUREシリーズ155、1051、5076、4054J”及びそのブロックタイプの“NACUREシリーズ2500、5225、X49−110、3525、4167”(以上キング社製)などが挙げられる。
この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.2〜3質量分である。添加量がこの範囲であると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好で塗膜の耐擦傷性も良好なものとなる。
(低屈折率層の形成)
本発明の防眩性フィルムにおいて、前記低屈折率層は塗布により形成することができ、前記低屈折率層を形成する塗布液に、皮膜形成成分として、紫外線(UV)硬化、及び/又は熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂を少なくとも一種有していることが好ましい{紫外線(UV)硬化、及び/又は熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂として、好ましくは前述の含フッ素共重合体やオルガノシラン化合物等である}。
また、本発明の防眩性フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液に、皮膜形成成分として、少なくとも2種以上の透光性樹脂を含み、そのうち少なくとも1種の透光性樹脂が紫外線(UV)硬化できる官能基を有し、これとは異なる少なくとも1種の透光性樹脂が熱硬化できる官能基を有していることが更に好ましい。加えて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に少なくとも1種の重合開始剤、及び、少なくとも1種の熱硬化でき
る架橋剤を含んでいることがなお好ましい。さらに加えて、前記低屈折率層中に、熱硬化を促進する硬化触媒を含んでいることがなおいっそう好ましい(重合開始剤、熱硬化できる架橋剤、及び熱硬化を促進する硬化触媒は、前述のものが好ましく使用できる)。
また、本発明の防眩性フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に含まれる、少なくとも紫外線(UV)硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の重合開始剤の質量との総和を、少なくとも1種の熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤の質量との総和で除した値が、0.05〜0.19であることが、耐擦傷性とコストの点で好ましい。より好ましくは0.10〜0.19、更に好ましくは0.15〜0.19である。この数値が0.05以上であれば、耐擦傷性が良好になるので好ましく、0.20以下であれば、UV硬化成分の比率が適度なものとなるため、UV硬化時の重合効率を高めるための工程条件(UV硬化時の窒素パージ、膜面温度アップ等)適度のものとなるので好ましい。
窒素パージによる、UV硬化時の酸素濃度は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましく、50ppm以下が最も好ましい。また、UV硬化時の膜面温度は、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、90℃以上が更に好ましい。該温度が該上限値以下であれば、支持体が軟化してハンドリング(搬送)不良を起こすなどの不都合が生じないので、上限温度はこの範囲で決定されることが好ましい。
[レベリング剤]
本発明の少なくとも1層の防眩層に、面状改良(ムラ防止)を目的として各種のレベリング剤を使用することが好ましい。さらに、本発明の低屈折率層に、同じく、ムラ防止を目的として各種のレベリング剤を使用することが好ましい。
レベリング剤としては、具体的にはフッ素系レベリング剤、又はシリコーン系レベリング剤が好ましく、特にフッ素系レベリング剤とシリコーン系レベリング剤の両方を併用することはムラ防止能が高くより好ましい。また、全層にレベリング剤が使用されることがより好ましい。また、レベリング剤は、低分子化合物よりもオリゴマーやポリマーであることが好ましい。
レベリング剤を添加すると、塗布された液膜の表面にレベリング剤が速やかに移動して偏在化し、膜乾燥後もレベリング剤がそのまま表面に偏在することになるので、レベリング剤を添加した防眩層や低屈折率層の膜の表面エネルギーは、レベリング剤によって低下する。従って、防眩層のムラを防止するという観点からは、防眩層の表面エネルギーが低いことが好ましい。
以下では、防眩層のレベリング剤として好ましいフッ素系レベリング剤について説明する。シリコーン系レベリング剤については後述する。
(フッ素系レベリング剤)
フッ素系レベリング剤としては、フルオロ脂肪族基を有する重合体が好ましく、さらに下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)の重合体、又は下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)及び下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)を含むアクリル樹脂、メタクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。このような単量体としては、“Polymer Handbook 2nd ed.”、J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975年)刊、第2章,P.1〜483記載のものを用いることができ、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
(i)下記一般式(4−1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
上記一般式(4−1)において、R41は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子、メチル基が好ましい。Y41は酸素原子、イオウ原子又は−N(R42)−を表し、酸素原子又は−N(R42)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R42は水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましい。Rf41は−CF3又は−CF2Hを表す。
一般式(4−1)中のmは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。nは1〜11の整数を表し、1〜9がより好ましく、1〜6が更に好ましい。Rf41は−CF2Hが好ましい。
またフルオロ脂肪族基を有する(共)重合体中には、一般式(4−1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーから誘導される重合単位が2種類以上構成成分として含まれていてもよい。
(ii)上記(i)と共重合可能な下記一般式(4−2)で示されるモノマー
上記一般式(4−2)において、R43は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Y42は酸素原子、イオウ原子又は−N(R45)−を表し、酸素原子又は−N(R45)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R45は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましい。R44は、置換基を有してもよい炭素数1〜60の直鎖、分岐状、又は環状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族基(例えば、フェニル基又はナフチル基)を表す。該アルキル基はポリ(アルキレンオキシ)基を含んでもよい。さらに、炭素数1〜20の直鎖、分岐状又は環状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10の直鎖、分岐状のアルキル基が極めて好ましい。好ましいフルオロ脂肪族基を有する(共)重合体の製造に用いられる上記一般式(4−1)で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該共重合体の単量体全量に基づいて、10質量%以上であり、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70〜100質量%であり、さらに好ましくは80〜100質量%の範囲である。
以下、好ましいフルオロ脂肪族基を有する(共)重合体の具体的な構造例としては、特開2007−72100号公報[0158]〜[0160]に記載のものが挙げられるがこの限りではない。
フルオロ脂肪族基を有する(共)重合体を構成するフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位の量は、10質量%を超えることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、防眩層のムラを防止するという観点を重視すれば、75〜100質量%であることが最も好ましく、防眩層の上に低屈折率層を塗布する場合は、50〜75質量%であることが最も好ましい。(フルオロ脂肪族基を有する(共)重合体を構成する全重合単位で記載した)
(シリコーン系レベリング剤)
次に、シリコーン系レベリング剤について、説明する。
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはポリエーテル基、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、1000〜30000であることが特に好ましく、1000〜20000であることが最も好ましい。
シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては、信越化学工業(株)製の“X−22−174DX”、“X−22−2426”、“X−22−164B”、“X22−164C”、“X−22−170DX”、“X−22−176D”、“X−22−1821”(以上商品名);チッソ(株)製の“FM−0725”、“FM−7725”、“FM−4421”、“FM−5521”、“FM−6621”、“FM−1121”(以上商品名);Gelest製の“DMS−U22”、“RMS−033”、“RMS−083”、“UMS−182”、“DMS−H21”、“DMS−H31”、“HMS−301”、“FMS121”、“FMS123”、“FMS131”、“FMS141”、“FMS221”(以上商品名);東レ・ダウコーニング(株)製の“SH200”、“DC11PA”、“SH28PA”、“ST80PA”、“ST86PA”、“ST97PA”、“SH550”、“SH710”、“L7604”、“FZ−2105”、“FZ2123”、“FZ2162”、“FZ−2191”、“FZ2203”、“FZ−2207”、“FZ−3704”、“FZ−3736”、“FZ−3501”、“FZ−3789”、“L−77”、“L−720”、“L−7001”、“L−7002”、“L−7604”、“Y−7006”、“SS−2801”、“SS−2802”、“SS−2803”、“SS−2804”、“SS−2805”(以上商品名);GE東芝シリコーン(株)製の“TSF400”、“TSF401”、“TSF410”、“TSF433”、“TSF4450”、“TSF4460”(以上商品名);などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
塗布液に対する上記含フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤の添加量は、0.001〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%〜0.2質量%である。
[低屈折率層の塗布液溶媒]
本発明の防眩性フィルムの低屈折率層の塗布液溶媒は、低屈折率層の乾燥ムラを抑えるため、沸点120℃以下の低沸点溶媒を、低屈折率層の塗布液溶媒全質量の50質量%〜100質量%、好ましくは70質量%〜100質量%、さらに90質量%〜100質量%含んでいることが好ましい。後述する本発明試料の低屈折率層の溶媒組成を上記のように変えることで、低屈折率層の面状評価にて、この効果が確認できた。具体的な塗布液溶媒としては、低屈折率層中の含フッ素ポリマーの溶解性がよい、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエンが代表例である。
[防眩層の増粘剤]
防眩層には、塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
増粘させることにより、含有する粒子の沈降を抑えたり、ムラ防止の効果を期待できる。ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、さらに好ましくは1〜50cPであり、最も好ましくは2〜50cPである。
増粘剤として用いられる高分子ポリマーは、フッ素原子及び/又は珪素原子を実質的に含まないことが好ましい。ここでいう「実質的に」とは高分子ポリマー質量中フッ素原子及び/又は珪素原子の含有量が0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下という意味である。
このような増粘剤としては高分子ポリマーが好ましく、具体的に以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
高分子ポリマー増粘剤:
ポリアクリル酸エステル、
ポリメタクリル酸エステル、
ポリ酢酸ビニル、
ポリプロピオン酸ビニル、
ポリビニルブチレート、
ポリビニルブチラール、
ポリビニルホルマール、
ポリビニルアセタール、
ポリビニルプロパナール、
ポリビニルヘキサナール、
ポリビニルピロリドン、
セルロースアセテート、
セルロースプロピオネート、
セルロースアセテートブチレート。
この中で、特にポリメタクリル酸エステル(具体的にはポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル)、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが好ましい。
また、これらの質量平均分子量としては10万〜100万のものが好ましい。
この他にも、特開平8−325491号公報記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイト及びポリアクリル酸ナトリウム、特開平10−219136号公報記載のエチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することができる。
〔透明支持体〕
本発明の防眩性フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル{例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士フイルム(株)製“TAC−TD80U”,“TD80UF”など}、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂{「アートン」(商品名)、JSR(株)製}、非晶質ポリオレフィン{「ゼオネックス」(商品名)、日本ゼオン(株)製}、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルム及びその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
透明支持体の厚みは、薄手化ニーズへの対応と、ハンドリング(搬送適性)より、20〜200μmが好適であり、好ましくは30〜100μmであり、さらに好ましくは35〜90μm、最も好ましくは40〜80μmである。
透明支持体の幅は任意のものを使うことができるが、画像表示装置の大型化への対応と、ハンドリング(搬送適性)、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることがさらに好ましい。
〔防眩性フィルムの特性〕
本発明の防眩性フィルムの全光線透過率は、JIS K−7316に準じて測定される。全光線透過率は85%以上であることが正面コントラストの点で好ましい。更に好ましくは90%以上であり、特に好ましくは92%以上である。
本発明の防眩性フィルム表面の、25℃、60%RH環境下で測定した純水に対する接触角は、90゜以上であることが防汚性の点で好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。また、偏光板加工時に必要となる鹸化処理(後述)前後での接触角の変化が5°以下が好ましく、更に好ましくは3°以下であり、最も好ましくは1°以下である。
[帯電防止層]
本発明の防眩性フィルムには、導電性を付与するために、各種の導電性粒子を含む帯電防止層を設けることもできる。
本発明の防眩性フィルム表面の動摩擦係数は、0.3以下が耐擦傷性向上(応力集中防止)の点で好ましい。より好ましくは、0.2以下、更に好ましくは0.1以下である。
本発明の防眩性フィルムにおいて、450nm〜650nmの波長領域での、5°正反射率の平均値をA、積分反射率の平均値をBとしたとき、Bが3%以下であり、B−Aが1.5%以下であることが、明室環境下での黒表示の締まりや明室コントラスト向上の点で好ましい。Bは2%以下がより好ましく、さらに1%以下が好ましい。また、B−Aは1%以下がより好ましく、さらに0.5%以下が好ましい。
5°正反射率と積分反射率の平均値の測定は以下の通りである。
鏡面反射率の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均の鏡面反射率を算出した。積分反射率の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ILV−471”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、450〜650nmの平均の積分反射率を算出した。
防眩性フィルムの表面強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
〔防眩性フィルムの作製方法〕
本発明の防眩性フィルムは、以下の方法で形成することができるが、これらに制限されるものではない。
[濾過]
塗布に用いる塗布液は塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルタは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には、絶対濾過精度0.1〜50μm、さらには絶対濾過精度0.1〜40μmであるフィルタが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
[塗布前の処理]
本発明で使用する透明支持体は、塗布前に、ベース変形の矯正のための加熱処理、又は、塗工性改良や塗設層との接着性改良のための表面処理を施すことが好ましい。表面処理の具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理又は紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
[塗布]
本発明のフィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許第2681294号明細書、国際公開第2005/123274号パンフレット参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に特開2006−122889号公報に記載のエクストルージョン法により、特に好ましく塗布が可能である。
ダイコート法は、前計量方式であるために安定した膜厚の確保が容易である。低塗布量の塗布液に対して、この塗布方式は、高速で膜厚安定性よく塗布が可能である。他の塗布方式でも塗布は可能であるが、ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより、段状のムラが発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が容易ではない。該ダイコート法を用い、25m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
[乾燥]
本発明のフィルムは、透明支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶媒を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。
溶媒を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては、特開2001−286817号公報、同2001−314798号公報、同2003−126768号公報、同2003−315505号公報、同2004−34002号公報などの記載技術が挙げられる。
[硬化]
本発明の防眩性フィルムは、溶媒の乾燥の後に、ウェブとして電離放射線及び/又は熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。本発明における電離放射線種は紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線硬化性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm2以上が好ましく、更に好ましくは、50〜10000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
本発明では、透明支持体上に積層された少なくとも一層を、電離放射線を照射しかつ電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、膜面温度50℃以上に加熱した状態で、酸素濃度1000ppm、好ましくは500ppm、さらに好ましくは、100ppm、最も好ましくは50ppm以下の雰囲気で電離放射線を照射する工程によって硬化することが好ましい。
また電離放射線照射と同時及び/又は連続して、低酸素濃度の雰囲気で加熱されることも好ましい。特に最外層であり、且つ膜厚が薄い低屈折率層がこの方法で硬化されることが好ましい。硬化反応が熱で加速され、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
本発明では、透明支持体上に積層された少なくとも一層を、複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線が酸素濃度1000ppmを超えることのない連続した反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。特に高生産性のため製造速度をあげた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となる。
また、硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に層を設けて電離放射線及び/又は熱による硬化を施した際に、下層の硬化率が上層を設ける前よりも高くなって、下層と上層との間の密着性が改良されるので好ましい。
[ハンドリング]
本発明の防眩性フィルムを連続的に製造するためには、ロール状の透明支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する該支持体フィルムを巻き取る工程が行われる。
<光学補償領域>
本発明の液晶表示装置の光学補償領域について説明する。
本発明の液晶表示装置は第1偏光膜と液晶セルの間に光学補償領域を有する。前記、光学補償領域は下記式(A)〜(D)のいずれかを満たす少なくとも1つの第1位相差領域を含むことが好ましい。
(A)100nm≦Re≦400nm、且つ−50nm≦Rth≦50nm
(B)60nm≦Re≦200nm、且つ30nm≦Rth≦100nm
(C)0nm≦Re≦20nm、且つ−400nm≦Rth≦−50nm
(D)30nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦400nm
(ここでReは面内のレターデーション、Rthは厚み方向のレターデーションである。)
更に、本発明の液晶表示装置は以下に説明する第1または第2の実施形態であることがより好ましく、第2の実施形態が特に好ましい。
<第1の実施形態>
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図5は、本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す模式図である。図6及び図7は、本発明の液晶表示装置の第1の実施形態の模式図である。
図6に示す液晶表示装置は、偏光膜103、108と、第1位相差領域111と、液晶セル106からなる。偏光膜103、108は、それぞれ保護膜101と104及び107と110によって挟持されている。
本発明では保護膜101が第1保護膜であり、保護膜110が第2保護膜であり、第1保護膜と第2保護膜のいずれかに防眩層が塗設されている。第1保護膜101に防眩層が塗設されている場合は、第1保護膜101が視認側になり、第2保護膜110が背面側になる。また、第2保護膜110に防眩層が塗設されている場合は、第2保護膜110が視認側となり、第1保護膜101が背面側となる。
図6の液晶表示装置では、液晶セル106は、基板(図6中不図示)と液晶層(図6中不図示)からなる。液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは透過モードにおいて、ねじれ構造を持たないIPS型では0.2〜0.4μmの範囲が最適値となる。この範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。基板の液晶層に接触する表面には、配向膜(図6中不図示)が形成されていて、液晶分子を基板の表面に対して略平行に配向させるとともに配向膜上に施されたラビング処理方向により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子配向方向が制御されていて、遅相軸105の方向が決定されている。また、基板の内面には、液晶分子に電圧印加可能な電極(図6中不図示)が形成されている。
図5に、液晶セル106の1画素領域中の液晶分子の配向を模式的に示す。図5は、液晶セル106の1画素に相当する程度の極めて小さい面積の領域中の液晶分子の配向を、液晶セル内の、一対の基板の内面に形成された配向膜のラビング方向204、及び一対の基板の内面に形成された液晶分子に電圧印加可能な電極202及び203とともに示した模式図である。電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った場合の、電圧無印加状態若しくは低印加状態での液晶分子配向方向は205a及び205bであり、この時に黒表示が得られる。電極202及び203間に印加されると、電圧に応じて液晶分子は206a及び206b方向へとその配向方向を変える。通常、この状態で明表示を行なう。
また、本発明に用いられる液晶セルはIPSモードに限定されることなく、黒表示時に液晶分子が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であれば、いずれも好適に用いることができる。この例としては強誘電性液晶表示装置、反強誘電性液晶表示装置、ECB型液晶表示装置がある。
再び図6において、偏光膜103の吸収軸102と偏光膜108の吸収軸109は直交して配置される。また第1位相差領域111は、その遅相軸112は偏光膜103の吸収軸102と直交に配置される。さらに、偏光膜103の吸収軸102と、黒表示時の液晶セルの遅相軸105とは平行であり、即ち、第1位相差領域111の遅相軸112と黒表示時の液晶セルの遅相軸105とは直交である。本態様では、後述する特定の光学特性を示す第1位相差領域111を配置することで、液晶セルの視野角特性を改善している。
図6に示す液晶表示装置では、偏光膜103は二枚の保護膜101と104に狭持された構成を示しているが、保護膜104はなくてもよい。但し、保護膜104を配置しない場合は、第1位相差領域は後述する特定の光学特性を有するとともに、偏光膜103を保護する機能を兼ね備えている必要がある。保護膜104を配置する場合は、保護膜の厚み方向のレターデーションRthは40nm以下であることが好ましい。また、偏光膜108も二枚の保護膜110と107に狭持されているが、液晶セル106に近い側の保護膜107はなくてもよい。保護膜107を配置する場合は、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthの好ましい範囲は、保護膜104と同様である。また、保護膜104と保護膜107は、その厚みが薄いのが好ましく、具体的には60μm以下であるのが好ましい。
本発明の他の実施形態を図7に示す。図7中、図6と同一の部材については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。図7に示す液晶表示装置では、第1位相差領域111の遅相軸の方向112のみが、図6に示す液晶表示装置と異なる。この構成では第1位相差領域111は、その遅相軸は偏光膜103の吸収軸102と平行に配置される。さらに、偏光膜103の吸収軸102と、黒表示時の液晶セルの遅相軸105とは平行であり、即ち、第1位相差領域111の遅相軸112と黒表示時の液晶セルの遅相軸105とは平行である。本態様では、後述する特定の光学特性を示す第1位相差領域111を配置することで、液晶セルの視野角特性を改善している。
図7の液晶表示装置においても、上記と同様、保護膜101が第1保護膜であり、保護膜110が第2保護膜であり、第1保護膜と第2保護膜のいずれかに防眩層が塗設されており、防眩層が塗設されている側の保護膜が視認側であり、もう一方の保護膜が背面側である。また、保護膜104または、保護膜107はなくてもよい。保護膜104および/または保護膜107を配置する場合は、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthは、40nm以下であることが好ましい。また、保護膜104および保護膜107はその厚みが薄いのが好ましく、具体的には60μm以下であるのが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、図5〜図7に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶層と偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材の好ましい光学特性や部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[第1位相差領域]
本発明の図6または図7に示した第1の実施形態の液晶表示装置では、第1位相差領域は、(A)の条件を満たす。即ち、面内のレターデーションReが、100nm〜400nmであり、且つ厚み方向のレターデーションRthは−50nm〜50nmである。
斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のReは、105nm〜250nmであるのがより好ましく、110nm〜190nmであるのがさらに好ましい。また、値Nzが0.45〜0.55であることが好ましく、0.48〜0.52であることがより好ましい。
このような光学特性を有する位相差フィルムとしては、例えば、高分子ポリマーフィルムの複屈折フィルム、液晶ポリマーの配向フィルムなどが挙げられる。
高分子ポリマーとしては、たとえば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリノルボルネン等の脂環式ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、又はこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。位相差フィルムは、高分子ポリマーフィルムを面方向に二軸に延伸する方法、面方向に一軸又は二軸に延伸し、厚さ方向にも延伸する方法等により厚さ方向の屈折率を制御することにより得られる。また高分子ポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理して傾斜配向させる方法等により得られる。
液晶性ポリマーとしては、たとえば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶性ポリマーの配向フィルムは、たとえば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化珪素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより、液晶ポリマーを配向させたもの、特に傾斜配向させたものが好ましい。
中でも、セルロースアシレートフィルムのようなセルロースエステルフィルム、ノルボルネン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム及びポリサルフォン系フィルムのいずれかであるのが好ましい。
位相差フィルムの厚みは1〜300μmが好ましく、10〜200μmがより好ましく、20〜150μmがさらに好ましい。
<第2の実施の形態>
以下、図面を用いて本発明、第2の実施形態のついて詳細に説明する。図8および図9は、本発明、第2の実施形態の液晶表示装置の模式図である。
図8に示す液晶表示装置は、偏光膜103及び108と、第1位相差領域111と、第2位相差領域113と、基板と、該基板に挟持される液晶層とを有する。液晶セルの構成及び液晶層の一画素領域中の液晶分子の配向状態については、上記本発明の液晶表示装置の、第1の実施形態と同様である。
偏光膜103および108は、それぞれ保護膜101と104及び107と110によって挟持されている。偏光膜103の吸収軸102と、偏光膜108の透過軸109は直交して配置されている。第1位相差領域111の遅相軸112は、偏光膜103の吸収軸に直交しており、黒表示時の液晶セルの遅相軸方向106に平行である。
図8に示す液晶表示装置では、偏光膜103が二枚の保護膜101と104に狭持された構成を示しているが、保護膜104はなくてもよい。また、偏光膜108も二枚の保護膜107と110に狭持されているが、液晶層108に近い側の保護膜107はなくてもよい。
第2の態様においても、第1保護膜101、第2保護膜110のうちのいずれかに防眩層が塗設されており、防眩層が塗設されている保護膜が視認側であり、もう一方の保護膜が背面側である。なお、第1保護膜101に防眩層が塗設されている場合は、第1位相差領域および第2位相差領域は、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されることになり、第2保護膜110に防眩層が塗設されている場合は、第1位相差領域および第2位相差領域は、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されることになる。
本発明の他の実施態様を図9に示す。図9の液晶表示装置は、第2位相差領域113が偏光膜103および第1位相差領域111の間に配置されている。図9の液晶表示装置において、101は第1保護膜であり、110は第2保護膜であり、第1保護膜と第2保護膜のいずれかに防眩層が塗設されており、防眩層が塗設されている保護膜が視認側であり、もう一方の保護膜が背面側である。図8の場合と同様に保護膜104および/または保護膜107はなくてもよい。
図9に示す態様では、第1の位相差領域111は、その遅相軸112が偏光膜103の、吸収軸と黒表示時の液晶セルの遅相軸106に平行になるように配置される。
本発明の第2の態様の液晶表示装置も第1の態様の液晶表示装置と同様に、図8と図9に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材の好ましい光学特性や部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[第1位相差領域]
本発明の第2の実施形態に含まれる第1位相差領域は(B)または、(D)の条件を満たす。
第1位相差領域が(B)の条件を満たす場合は、面内のレターデーションReが60nm〜200nm、且つ厚み方向のレターデーションRthは30nm〜100nmである。斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のReは、80nm〜180nmであるのがより好ましく、90nm〜160nmであるのがさらに好ましい。また、Nzは1.0〜2.5であることが好ましく、1.0〜2.0であるのがより好ましく、1.0〜1.8であるのがさらに好ましい。
第1位相差領域が(D)の条件を満たす場合は、面内のレターデーションReが30nm〜150nm、且つ厚み方向のレターデーションRthは100nm〜400nmである。斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のReは、40nm〜115nmであるのがより好ましく、60nm〜95nmであるのがさらに好ましい。また、Nzが1.5〜7であって、斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第1位相差領域のNzは、2.0〜5.5であるのがより好ましく、2.5〜4.5であるのがさらに好ましい。
基本的には前記第1位相差領域は、前記光学特性を有する限り、その材料及び形態については特に制限されない。例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜、透明支持体上に高分子化合物を塗布後に加熱塩した膜、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物を塗布もしくは転写することによって形成された位相差層を有する位相差膜など、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。
複屈折ポリマーフィルムとしては、複屈折特性の制御性や透明性、耐熱性に優れるものが好ましい。この場合、用いる高分子材料としては均一な二軸配向が達成できる高分子であれば特に制限はないが、従来公知のもので溶液流延法や押出し成形方式で製膜できるもの好ましく、ノルボルネン系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等の芳香族系高分子、セルロースアシレート、または、それらポリマーの2種又は3種以上を混合したポリマーなどがあげられる。
フィルムの二軸配向は、押出し成形方式や流延製膜方式等の適宜な方式で製造した当該熱可塑性樹脂からなるフィルムを、例えばロールによる縦延伸方式、テンターによる横延伸方式や二軸延伸方式などにより、延伸処理することにより達成することができる。前記のロールによる縦延伸方式では加熱ロールを用いる方法や雰囲気を加熱する方法、それらを併用する方法等の適宜な加熱方法を採ることができる。またテンターによる二軸延伸方式では全テンター方式による同時二軸延伸方法や、ロール・テンター法による逐次二軸延伸方法などの適宜な方法を採ることができる。
また、配向ムラや位相差ムラの少ないものが好ましい。その厚さは、位相差等により適宜に決定しうるが、一般には薄型化の点より1〜300μm、就中10〜200μm、特に20〜150μmとされる。
ノルボルネン系高分子としては、ノルボルネン及びその誘導体、テトラシクロドデセン及びその誘導体、ジシクロペンタジエン及びその誘導体、メタノテトラヒドロフルオレンおよびその誘導体などのノルボルネン系モノマーの主成分とするモノマーの重合体であり、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体、及びの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体又は環状共役ジエンの重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の質量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、フィルム(A)の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
セルロースアシレートのアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよく、総炭素数が22以下のエステル基が好ましい。これらの好ましいセルロースアシレートとしては、エステル部の総炭素数が22以下のアシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、バレル、ヘプタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイルなど)、アリールカルボニル基(アクリル、メタクリルなど)、アリルカルボニルキ(ベンゾイル、ナフタロイルなど)、シンナモイル基を挙げることが出来る。これらの中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートなどであり、混合エステルの場合はその比率は特に限定されないが、好ましくはアセテートが総エステルの30モル%以上であることが好ましい。
これらの中でも、セルロースアシレートが好ましく、特に写真用グレードのものが好ましく、市販の写真用グレードのものは粘度平均重合度、置換度等の品質を満足して入手することができる。写真用グレードのセルローストリアセテートのメーカーとしては、ダイセル化学工業(株)(例えばLT−20,30,40,50,70,35,55,105など)、イーストマンコダック社(例えば、CAB−551−0.01、CAB−551−0.02、CAB−500−5、CAB−381−0.5、CAB−381−02、CAB−381−20、CAB−321−0.2、CAP−504−0.2、CAP−482−20、CA−398−3など)、コートルズ社、ヘキスト社等があり、何れも写真用グレードのセルロースアシレートを使用できる。また、フィルムの機械的特性や光学的な特性を制御する目的で、可塑剤、界面活性剤、レターデーション調節剤、UV吸収剤などを今後することが出来る(参考資料:特開2002−277632号公報、特開2002−182215号公報)。
透明樹脂をシート又はフィルム状に成形する方法は、例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることができる。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械的強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押出成形法、インフレーション成形法、及びプレス成形法が好ましく、押出成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。上記シート又はフィルムの厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
上記シート又はフィルムの延伸は、該透明樹脂のガラス転移温度をTgとするとき、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の温度範囲、より好ましくはTg−10℃からTg+50℃の温度範囲にて、少なくとも一方向に好ましくは1.01〜2倍の延伸倍率で行う。延伸方向は少なくとも一方向であればよいが、その方向は、シートが押出成形で得られたものである場合には、樹脂の機械的流れ方向(押出方向)であることが好ましく、延伸方法は自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、二軸延伸法などが好ましい。光学特性の制御はこの延伸倍率と加熱温度を制御することによって行なうことが出来る。
[第2位相差領域]
本発明の第2の実施形態の液晶表示装置が有する、第2位相差領域は(C)の条件を満たすことが好ましい。即ち、面内レターデーションReが0nm〜20nm、且つ厚み方向のレターデーションRthが−400nm〜−50nmであることが好ましい。前記第2位相差領域のRthのより好ましい範囲は、第1の位相差領域によって大きく変動する。第1に位相差領域が(B)の条件を満たす場合は、第2位相差領域のRthは、−300nm〜−100nmであるのがより好ましく、−270nm〜−120nmであるのがさらに好ましい。また、第1に位相差領域が(C)の条件を満たす場合は、第2位相差領域のRthは、−400nm〜−80nmであるのがより好ましく、−350nm〜−120nmであるのがさらに好ましい。
一方、面内レターデーションReは第1位相差領域が(B)(C)何れの条件を満たす場合も、0nm〜20nmであることが好ましく、0nm〜10nmであるのがさらに好ましく、0nm〜5nmであるのが特に好ましい。
前記第2位相差領域は、前記光学特性を有する限り、その材料及び形態については特に制限されない。例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物を塗布もしくは転写することによって形成された位相差層を有する位相差膜など、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。
上記光学特性を有する複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜は、高分子フィルムを膜の厚さ方向に延伸する方法や、ビニルカルバゾール系高分子を塗布して乾燥させる方法(特開2001−091746号公報)で容易に形成できる。また、上記光学特性を有する液晶性化合物から形成された位相差層としては、キラル構造単位を含んだコレステリックディスコチック液晶化合物や組成物を、その螺旋軸を基板に略垂直に配向させたのち固定化して形成した層、屈折率異方性が正の棒状液晶化合物や組成物を基板に略垂直に配向させたのち固定化して形成した層などを例示することができる(例えば、特開平6−331826号公報や特許第2853064号等参照)。棒状液晶化合物は低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。さらに、一の位相差層のみならず複数の位相差層を積層して、上記光学特性を示す第2位相差領域を構成することもできる。また、支持体と位相差層との積層体全体で上記光学特性を満たすようにして、第2位相差領域を構成してもよい。用いる棒状液晶化合物としては、配向固定させる温度範囲で、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、リオトロピック液晶相状態をとるものが好適に用いられる。揺らぎの無い均一な垂直配向が得られるスメクチックA相、B相を示す液晶が好ましい。特にまた、添加剤の存在下において、適切な配向温度範囲で、上記液晶状態となる棒状液晶性化合物については、該添加剤と棒状液晶性化合物を含有する組成物を用いて層を形成するのも好ましい。
《棒状液晶性化合物》
本発明の第2位相差領域は、棒状液晶性化合物を含む組成物から形成してもよい。前記棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。液晶分子には活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は1〜6個、好ましくは1〜3個である。
第2位相差領域が、棒状液晶性化合物を配向状態に固定して形成された位相差層を含む場合は、棒状液晶性化合物を実質的に垂直配向させて、その状態に固定して形成した位相差層を用いるのが好ましい。実質的に垂直とは、フィルム面と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が70°〜90°の範囲内であることを意味する。これらの液晶性化合物は斜め配向させてもよいし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させてもよい。斜め配向又はハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は70°〜90°であることが好ましく、80°〜90°がより好ましく、85°〜90°が最も好ましい。
棒状液晶性化合物から形成された位相差層は、棒状液晶性化合物、所望により、下記の重合性開始剤や空気界面垂直配向剤や他の添加剤を含む塗布液を、支持体の上に形成された垂直配向膜の上に塗布して、垂直配向させ、該配向状態を固定することで形成することができる。仮支持体上に形成した場合は、該位相差層を支持体上に転写することで作製することもできる。さらに、1層の位相差層のみならず複数の位相差層を積層して、上記光学特性を示す第2位相差領域を構成することもできる。また、支持体と位相差層との積層体全体で上記光学特性を満たすようにして、第2位相差領域を構成してもよい。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
垂直配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定するのが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基(P)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。棒状液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。前記光学違法性層を含む第1位相差領域の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることが最も好ましい。
《垂直配向膜》
液晶性化合物を配向膜側で垂直に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させることが重要である。具体的には、ポリマーの官能基により配向膜の表面エネルギーを低下させ、これにより液晶性化合物を立てた状態にする。配向膜の表面エネルギーを低下させる官能基としては、フッ素原子及び炭素原子数が10以上の炭化水素基が有効である。フッ素原子又は炭化水素基を配向膜の表面に存在させるために、ポリマーの主鎖よりも側鎖にフッ素原子又は炭化水素基を導入することが好ましい。含フッ素ポリマーは、フッ素原子を0.05〜80質量%の割合で含むことが好ましく、0.1〜70質量%の割合で含むことがより好ましく、0.5〜65質量%の割合で含むことがさらに好ましく、1〜60質量%の割合で含むことが最も好ましい。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基又はそれらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、分岐状あるいは直鎖状のいずれでもよい。脂肪族基は、アルキル基(シクロアルキル基であってもよい)又はアルケニル基(シクロアルケニル基であってもよい)であることが好ましい。炭化水素基は、ハロゲン原子のような強い親水性を示さない置換基を有していてもよい。炭化水素基の炭素原子数は、10〜100であることが好ましく、10〜60であることがさらに好ましく、10〜40であることが最も好ましい。ポリマーの主鎖は、ポリイミド構造又はポリビニルアルコール構造を有することが好ましい。
ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸とジアミンとの縮合反応により合成する。二種類以上のテトラカルボン酸あるいは二種類以上のジアミンを用いて、コポリマーに相当するポリイミドを合成してもよい。フッ素原子又は炭化水素基は、テトラカルボン酸起源の繰り返し単位に存在していても、ジアミン起源の繰り返し単位に存在していても、両方の繰り返し単位に存在していてもよい。ポリイミドに炭化水素基を導入する場合、ポリイミドの主鎖又は側鎖にステロイド構造を形成することが特に好ましい。側鎖に存在するステロイド構造は、炭素原子数が10以上の炭化水素基に相当し、液晶性化合物を垂直に配向させる機能を有する。本明細書においてステロイド構造とは、シクロペンタノヒドロフェナントレン環構造又はその環の結合の一部が脂肪族環の範囲(芳香族環を形成しない範囲)で二重結合となっている環構造を意味する。
さらに液晶性化合物を垂直に配向させる手段として、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、又はポリイミドの高分子に有機酸を混合する方法を好適に用いることができる。混合する酸としてはカルボン酸やスルホン酸、アミノ酸が好適に用いられる。後述の空気界面配向剤の内、酸性を示すものを使用してもよい。また、4級アンモニウム塩類も好適に用いることが出来る。その混合量は高分子に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
上記ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は100〜5000であることが好ましい。
棒状液晶性化合物を配向させる場合、配向膜は、側鎖に疎水性基を官能基として有するポリマーからなるのが好ましい。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類及び必要とする配向状態に応じて決定する。例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
配向膜を、主鎖に結合した架橋性官能基を有する側鎖を有するポリマー又は液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を有するポリマーを用いて形成し、その上に位相差膜を、多官能モノマーを含む組成物を用いて形成すると、配向膜中のポリマーと、その上に形成される位相差膜中の多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマー間だけではなく、配向膜ポリマー間及び多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間にも共有結合が形成され、配向膜と位相差膜とが強固に結合される。従って、架橋性官能基を有するポリマーを用いて配向膜を形成することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、又は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー及び架橋剤を含む組成物を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には位相差層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上に設けられることが好ましい。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋して使用する。棒状液晶性化合物の垂直配向にはラビング処理は行なわないことが好ましい。なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して位相差層を形成し、位相差層のみをポリマーフィルム(又は透明支持体)上に転写してもよい。
《空気界面垂直配向剤》
通常、液晶性化合物は、空気界面側では傾斜して配向する性質を有するので、均一に垂直配向した状態を得るために、空気界面側において液晶性化合物を垂直に配向制御することが必要である。この目的のために、空気界面側に偏在して、その排除体積効果や静電気的な効果によって液晶性化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物を液晶塗布液に含有させて、位相差膜を形成するのが好ましい。
空気界面配向剤としては、特開2002−20363号公報、特開2002−129162号公報に記載されている化合物を用いることができる。また、特開2004−053981号公報の段落番号[0072]〜[0075]、特願2002−262239号明細書の段落番号[0037]〜[0039]、特開2004−004688号公報の段落番号[0071]〜[0078]、特開2004−139015号公報の段落番号[0052]〜[0054]、[0065]〜[0066]、[0092]〜[0094]、特開2005−097357号公報の段落番号[0028]〜[0030]、特願2004−003804号明細書の段落番号[0087]〜[0090]に記載される事項も本発明に適宜適用することができる。また、これらの化合物を配合することによって塗布性が改善され、ムラ又はハジキの発生が抑制される。
液晶塗布液への空気界面配向剤の使用量は、0.05質量%〜5質量%であることが好ましい。また、フッ素系空気界面配向剤を用いる場合は、1質量%以下であることが好ましい。
《位相差層中の他の材料》
上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性等を向上させることが出来る。これらの素材は液晶性化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性もしくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物、特開2005−062673号公報中の段落番号[0069]〜[0126]記載の化合物が挙げられる。
液晶性化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
[偏光膜用保護膜]
本発明の液晶表示装置は、偏光膜を保護する偏光膜用保護膜を有していてもよい。偏光膜用保護膜は、可視光領域に吸収が無く、光透過率が80%以上であり、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。具体的には、面内のReが0〜30nmが好ましく、0〜15nmがより好ましく、0〜5nmが最も好ましい。また、Rthは、40nm以下であることが好ましく、40nm〜−50nmであるのがより好ましく、20nm〜−20nmであるのがさらに好ましい。
また、保護膜の厚み、特に液晶セル側に配置される保護膜の厚身は、Rthを小さくするという観点から、60μm以下であるのが好ましく、50μm以下であるのがより好ましく、40μm以下があるのがさらに好ましい。但し、保護膜が上記光学特性を満たすために複数の層からなる場合は、厚みの好ましい範囲はこの範囲に限定されない。
保護膜には、上記特性を満足するフィルムであればいずれも好適に使用することができるが、偏光膜の耐久性の観点からは、セルロースアシレートフィルム、ノルボルネン系のフィルム、またはアクリル系フィルムを含んでいるのが好ましく、セルロースアシレートフィルムまたはノルボルネン系のフィルムがより好ましい。
ノルボルネン系高分子としては、ノルボルネン及びその誘導体、テトラシクロドデセン及びその誘導体、ジシクロペンタジエン及びその誘導体、メタノテトラヒドロフルオレンおよびその誘導体などのノルボルネン系モノマーの主成分とするモノマーの重合体であり、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体、及びの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体又は環状共役ジエンの重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の質量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、フィルムの機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされて好適である。
セルロースアシレートとしては、そのアシル基が脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよく、総炭素数が22以下のエステル基が好ましい。これらの好ましいセルロースアシレートとしては、エステル部の総炭素数が22以下のアシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、バレル、ヘプタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイルなど)、アリールカルボニル基(アクリル、メタクリルなど)、アリルカルボニルキ(ベンゾイル、ナフタロイルなど)、シンナモイル基を挙げることが出来る。これらの中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートなどであり、混合エステルの場合はその比率は特に限定されないが、好ましくはアセテートが総エステルの30モル%以上であることが好ましい。
これらの中でも、セルロースアシレートが好ましく、特に写真用グレードのものが好ましく、市販の写真用グレードのものは粘度平均重合度、置換度等の品質を満足して入手することができる。写真用グレードのセルローストリアセテートのメーカーとしては、ダイセル化学工業(株)(例えばLT−20,30,40,50,70,35,55,105など)、イーストマンコダック社(例えば、CAB−551−0.01、CAB−551−0.02、CAB−500−5、CAB−381−0.5、CAB−381−02、CAB−381−20、CAB−321−0.2、CAP−504−0.2、CAP−482−20、CA−398−3など)、コートルズ社、ヘキスト社等があり、いずれも写真用グレードのセルロースアシレートを使用できる。また、フィルムの機械的特性や光学的な特性を制御する目的で、可塑剤、界面活性剤、レターデーション調節剤、UV吸収剤などを混合することができる(参考資料:特開2002−277632号公報、特開2002−182215号公報)。
透明樹脂をシート又はフィルム状に成形する方法は、例えば、加熱溶融成形法及び溶液流延法のいずれも用いることができる。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械的強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押出成形法、インフレーション成形法及びプレス成形法が好ましく、押出成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。上記シート又はフィルムの厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
上記シート又はフィルムの延伸は、該透明樹脂のガラス転移温度をTgとするとき、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の温度範囲、より好ましくはTg−10℃からTg+50℃の温度範囲にて、少なくとも一方向に好ましくは1.01〜2倍の延伸倍率で行う。延伸方向は少なくとも一方向であればよいが、その方向は、シートが押出成形で得られたものである場合には、樹脂の機械的流れ方向(押出方向)であることが好ましく、延伸方法は自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、二軸延伸法などが好ましい。光学特性の制御はこの延伸倍率と加熱温度を制御することによって行なうことができる。
セルロースアシレートフィルムのRthを小さくする方法として、非平面構造性の化合物をフィルムに混合することが有効である。また、特開平11−246704号公報、特開2001−247717号公報、特願2003−379975号明細書に記載の方法などが挙げられる。また、セルロースアシレートフィルムの厚みを小さくすることによっても、Rthを小さくすることができる。
Rthが負の光学特性を有する偏光板保護膜は、高分子フィルムを膜の厚さ方向に延伸する方法や(例 特開2000−162436号)、ビニルカルバゾール系高分子を塗布して乾燥させる方法(例 特開2001−091746号公報)で容易に形成できる。また、保護膜は、液晶材料を含んでいてもよく、例えば、Rthが負の光学特性を有する液晶性化合物から形成された位相差層であってもよい。該位相差層としては、キラル構造単位を含んだコレステリックディスコチック液晶化合物や組成物を、その螺旋軸を基板に略垂直に配向させたのち固定化して形成した層、屈折率異方性が正の棒状液晶化合物や組成物を基板に略垂直に配向させたのち固定化して形成した層などを例示することができる(例えば、特開平6−331826号公報や特許第2853064号公報等参照)。棒状液晶化合物は低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。さらに、一の位相差層のみならず複数の位相差層を積層して、Rthが負の光学特性を示す保護膜を構成することもできる。また、支持体と位相差層との積層体全体でRthが負の光学特性を満たすようにして、保護層を構成してもよい。用いる棒状液晶化合物としては、配向固定させる温度範囲で、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、リオトロピック液晶相状態をとるものが好適に用いられる。揺らぎの無い均一な垂直配向が得られるスメクチックA相、B相を示す液晶が好ましい。特にまた、添加剤の存在下において、適切な配向温度範囲で、上記液晶状態となる棒状液晶性化合物については、該添加剤と棒状液晶性化合物を含有する組成物を用いて層を形成するのも好ましい。
保護膜とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは位相差層)との接着を改善するため、フィルムに表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、透明支持体や長尺の透明支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分質量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
[鹸化処理]
本発明では防眩性フィルムを、偏光膜の2枚の表面保護フィルムのうちの一方である。偏光板を作製する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
<偏光板>
[偏光板の構成]
本発明では防眩性フィルムは、偏光膜とその両側に配置された保護フィルムとからなる偏光板の、その保護フィルムの一方又は両方に使用して、防眩性の偏光板とすることができる。
一方の保護フィルムとして本発明の防眩性フィルムを用い、他方の保護フィルムには、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、その他方の保護フィルムには、溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における幅方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が本発明の防眩性フィルムであるのに対して、他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることも好ましい態様である。
[偏光膜]
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
また偏光膜としては、公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作製される。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
本発明においては、防眩性フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と、偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置するのがよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<IPSモード液晶セル1の作製>
一枚のガラス基板上に、図5に示す様に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極(図5中202及び203)を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。図5中に示す方向204に、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
<第1位相差領域1の作製>
厚み55μmのポリカーボネート系樹脂を含有する高分子フィルム[(株)カネカ製 商品名「エルメック」(質量平均分子量=60,000、平均屈折率=1.53、Tg=136℃、Re[590]=1.0nm、Rth[590]=3.0nm)]の両側に、収縮性フィルム(厚み60μmのポリプロピレンを含有する二軸延伸フィルム[東レ(株)製 商品名「トレファンBO2570A」])をアクリル系粘着剤層(厚み15μm)を介して貼り合わせた。その後、ロール延伸機でフィルム長手方向を保持して、147℃の空気循環式オーブン内で1.26倍に延伸し、延伸後、上記収縮性フィルムを上記アクリル系粘着剤層と共に剥離して、第1位相差領域1に対応する光学補償フィルムAを作製した。この第1位相差領域1は、屈折率楕円体がnx>nz>nyの関係を示した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて第1位相差領域1のReの光入射角度依存性を測定し、これらの光学特性を算出したところ、Reが270nm、Rthが0nmで、Nzが0.50であった。従って、第1位相差領域1は式(A)の条件を満たしている。
<第1位相差領域2の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。該溶液を保留粒子径4μm、濾水時間35秒の濾紙(No.63、アドバンテック製)を5kg/cm2以下で用いて濾過した。
[セルロースアセテート溶液組成]
酢化度60.9%のセルロースアセテート
(重合度300、Mn/Mw=1.5) 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤Aを8質量部、レターデーション上昇剤Bを10質量部、二酸化珪素微粒子(平均粒径:0.1μm)0.28質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液(かつ微粒子分散液)を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部に該レターデーション上昇剤溶液40質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、130℃の条件で、テンターを用いて20%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後クリップを外してセルロースアセテートフィルムを作製した。延伸終了時の残留溶媒量は5質量%であり、さらに乾燥して残留溶媒量を0.1質量%未満としてフィルムを作製した。
このようにして得られたフィルム(第1位相差領域2)の厚さは80μmであった。作製した第1位相差領域2について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定することによって、Reが70nm、Rthが175nmであり、これからNzが3.0であることが分かった。従って、第1位相差領域2は(D)の条件を満たしている。
<第2位相差領域1の作製>
(鹸化)
上記で作製した第1位相差領域2に対応するセルロースアシレートフィルムを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記の組成のアルカリ溶液をバーコーターにより、14ml/m2塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒間滞留させた後、同じくバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。このときのフィルム温度は40℃であった。次いでファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返して後に、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
<アルカリ溶液組成>
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
1633O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
(配向膜の作製)
上記作製した長尺状の第1位相差領域2に対応するセルロースアシレートフィルムの鹸化処理を施した面に、下記の組成の配向膜塗布液を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、配向膜を形成した。
配向膜塗布液(A1)の組成
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
下記の組成の棒状液晶化合物を含む塗布液を、上記作製した配向膜上にワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度は20m/minとした。室温から80℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させ、その後、80℃の乾燥ゾーンで90秒間加熱し、棒状液晶性化合物を配向させた。続いて、フィルムの温度を60℃に保持して、UV照射により液晶化合物の配向を固定化し、第2位相差領域1を形成した。続いて、55℃の1.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液中に作製したフィルムを2分間浸漬した後、水に浸漬し十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、35℃の5mmol/L硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、第1位相差領域2と第2位相差領域1が積層された光学補償フィルムBを作製した。
棒状液晶化合物を含む塗布液(S1)の組成
下記の棒状液晶性化合物(I) 100質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
下記のフッ素系ポリマー 0.4質量部
下記のピリジニウム塩 1質量部
メチルエチルケトン 172質量部
作製した光学補償フィルムBから棒状液晶性化合物を含む光学異方性層(第2位相差領域1)のみを剥離し、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて光学特性を測定した。波長590nmで測定した光学異方性層のみのReは0nmであり、Rthは−225nmであった。また、棒状液晶分子がフィルム面に対して実質的に垂直に配向している光学異方性層が形成されたことが確認できた。従って第2位相差領域1は(C)の条件を満たしている。
<第1位相差領域3の作製>
長尺のノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製:商品名Zeonoa:厚み60μm:光弾性係数3.10×10−12/N)を140℃で1.28倍に一軸延伸することによって、長尺の第1位相差領域3の延伸フィルムを作製した。
第1位相差領域3の厚みは35μm、面内位相差Reは130nm、厚み方向の位相差Rthは65nmであった。従って、第1位相差領域3は(B)の条件を満たしている。
<第2位相差領域2の作製>
仮支持体として長尺状のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)の一方の面に、前記光学補償フィルムB作成で使用した。配向膜塗布液(A1)を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、配向膜を形成した。
前記棒状液晶化合物を含む塗布液(S1)を、上記作製した配向膜上にワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度は20m/minとした。室温から80℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させ、その後、80℃の乾燥ゾーンで90秒間加熱し、棒状液晶性化合物を配向させた。続いて、フィルムの温度を60℃に保持して、UV照射により液晶化合物の配向を固定化し、第2位相差領域2を形成した。
作製したフィルムから棒状液晶性化合物を含む第2位相差領域2のみを剥離し、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて光学特性を測定した。波長590nmで測定した第2位相差領域2のみのReは0nmであり、Rthは−160nmであった。従って、第2位相差領域2は(C)の条件を満たしている。
上記で得られた第2位相差領域2の上(ポリエチレンテレフタレートフィルムと反対側の面)に市販のUV硬化型接着剤(UV−3400、東亞合成(株)製)を塗布して、5μmの厚さの接着剤層1を形成し、この上に上記で作成した、第1位相差領域3の延伸フィルムをラミネートし、第1位相差領域3側から約600mJのUV照射し、該接着剤層を硬化させた。この後、第1位相差領域3/接着剤層1/第2位相差領域2/ポリエチレンテレフタレートフィルムが一体となった積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離することにより、第2位相差領域2を第1位相差領域3である延伸フィルム上に転写し、第1位相差領域3/接着剤層1/第2位相差領域2からなる光学補償フィルムCを得た。
<第1位相差領域4の作成>
厚み110μmのセルロースエステルのフィルム〔カネカ製、商品名:KA、DSac(アセチル置換度)=0.04、DSpr(プロピオニル置換度)=2.76〕を、145℃で1.5倍に自由端延伸して厚み108μmの第1位相差4を得た。得られた第1位相差領域4の面内位相差Reは140nmであり、厚み方向の位相差は、Rthは75nmであった。従って、第1位相差領域4は(B)の条件を満たしている。
<第2位相差領域3の作成>
上記で作成した第1位相差領域4を前記第1位相差領域2と同様に鹸化、配向膜の形成を行った後に、前記棒状液晶化合物を含む塗布液(S1)を、上記作製した配向膜上にワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度は20m/minとした。室温から80℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させ、その後、80℃の乾燥ゾーンで90秒間加熱し、棒状液晶性化合物を配向させた。続いて、フィルムの温度を60℃に保持して、UV照射により液晶化合物の配向を固定化し、第2位相差領域3を形成し、光学補償フィルムDを作成した。
作製したフィルムから棒状液晶性化合物を含む第2位相差領域3のみを剥離し、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて光学特性を測定した。波長590nmで測定した第2位相差領域3のみのReは0nmであり、Rthは−160nmであった。従って、第2位相差領域3は(C)の条件を満たしている。
<偏光板保護膜1の作製>
(偏光板保護膜1)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
<セルロースアセテート溶液A組成>
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
別のミキシングタンクに、下記の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液B−1を調製した。
<添加剤溶液B−1組成>
メチレンクロライド 80質量部
メタノール 20質量部
下記光学的異方性低下剤 40質量部
セルロースアセテート溶液Aを477質量部に、添加剤溶液B−1の40質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの偏光板保護膜1を作製した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定し、光学特性を算出したところ、Reが1nm、Rthが6nmであることが確認できた。
<偏光板Aの作製>
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに偏光膜のもう片側に偏光板保護膜1にケン化処理を行い、そのセルロースアセテートフィルム側が偏光膜側になるようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、偏光板Aを作製した。
<偏光板Bの作製>
同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の両面に貼り付け偏光板Bを作製した。
<防眩性フィルムの作成>
〔各層塗布液の調製〕
[防眩層用塗布液の調製]
下記に示す各々の成分をミキシングタンクに投入し、攪拌したのち、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して調製した。
防眩層用塗布液(HCL−1)の組成
“DPHA” 96.7質量部
“MX−1000” 0.3質量部
「イルガキュア184」 3.0質量部
メチルイソブチルケトン 60.0質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
防眩層用塗布液(HCL−2)の組成
“DPHA” 96.7質量部
平均粒径3μmPMMA粒子 0.3質量部
「イルガキュア184」 3.0質量部
メチルイソブチルケトン 60.0質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
防眩層用塗布液(HCL−3)の組成
“DPHA” 96.7質量部
平均粒径6μmPMMA粒子 0.3質量部
「イルガキュア184」 3.0質量部
メチルイソブチルケトン 60.0質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
防眩層用塗布液(HCL−4)の組成
“DPHA” 96.7質量部
平均粒径12μmPMMA粒子 0.3質量部
「イルガキュア184」 3.0質量部
メチルイソブチルケトン 60.0質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
防眩層用塗布液(HCL−5)の組成
“DPHA” 96.7質量部
平均粒径15μmPMMA粒子 0.3質量部
「イルガキュア184」 3.0質量部
メチルイソブチルケトン 60.0質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
防眩層用塗布液(HCL−6)の組成
“DPHA” 97.0質量部
“MX−1000” 0.01質量部
「イルガキュア184」 3.0質量部
メチルイソブチルケトン 60.0質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
防眩層用塗布液(HCL−7)の組成
“DPHA” 96.95質量部
“MX−1000” 0.05質量部
「イルガキュア184」 3.0質量部
メチルイソブチルケトン 60.0質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
防眩層用塗布液(HCL−8)の組成
“DPHA” 96.9質量部
“MX−1000” 0.1質量部
「イルガキュア184」 3.0質量部
メチルイソブチルケトン 60.0質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
防眩層用塗布液(HCL−9)の組成
“DPHA” 96.0質量部
“MX−1000” 1.0質量部
「イルガキュア184」 3.0質量部
メチルイソブチルケトン 60.0質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
防眩層用塗布液(HCL−10)の組成
“DPHA” 94.0質量部
“MX−1000” 3.0質量部
「イルガキュア184」 3.0質量部
メチルイソブチルケトン 60.0質量部
メチルエチルケトン 40.0質量部
(ゾル液a−2の調製)
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液a−2を120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
また1H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の一般式で表される構
造であった。
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、本シランカップリング剤ゾルは直鎖状構造部分が大部分であることが分かった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
防眩層用塗布液(HCL−11)の組成
PET−30 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 14.5質量部
ゾル液a−2 9.5質量部
トルエン 38.5質量部
上記の各成分は以下の通りである。
“DPHA”:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、屈折率1.52、日本化薬(株)製。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
「イルガキュア184」:光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
“MX−1000”:ポリメチルメタクリレート微粒子、平均粒径10.0μm、綜研化学(株)製
平均粒径3μmPMMA粒子:上記MX−1000と同じ組成で平均粒径が3.0μmの粒子。
平均粒径6μmPMMA粒子:上記MX−1000と同じ組成で平均粒径が6.0μmの粒子。
平均粒径12μmPMMA粒子:上記MX−1000と同じ組成で平均粒径が12.0μmの粒子。
平均粒径15μmPMMA粒子:上記MX−1000と同じ組成で平均粒径が12.0μmの粒子。
“架橋アクリル−スチレン粒子”:平均粒径3.5μm、屈折率1.53
[低屈折率層用塗布液の調製]
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120質量部、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1800であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100質量%であった。ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
{中空シリカ微粒子分散液(A−1)の調製}
中空シリカ微粒子ゾル(粒子サイズ約40〜50nm、シエル厚6〜8nm、屈折率1.31、固形分濃度20質量%、主溶媒イソプロピルアルコール、特開2002−79616号公報の調製例4に準じて粒子サイズを変更して作製)500質量部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM−5103”{信越化学工業(株)製}30質量部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート「ケロープEP−12」{ホープ製薬(株)製}1.5質量部加え混合した後に、イオン交換水9質量部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、中空シリカ分散液(A−1)を得た。得られた中空シリカ分散液の固形分濃度は18質量%、溶媒乾燥後の屈折率は1.31であった。
{低屈折率層用塗布液(LL−1)の調製}
メチルエチルケトン100質量部に対して、特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体(P−3)(質量平均分子量約50000)44.0質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}6.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)3.0質量部、「イルガキュア907」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}を3.0質量部加えて溶解した。その後に中空シリカ微粒子分散液(A−1)を195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(LL−1)を調製した。
〔防眩性フィルムの作製〕
[防眩層の塗設]
特開2003−211052号公報の図1に記載されたスロットダイコーターを用いて、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、防眩層塗布液(HCL−1)〜(HCL−11)を、下記表1の乾燥膜厚になるように塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照射量130mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させた防眩性フィルム(AGF−1)〜(AGF−17)を作製し、巻き取った。
[低屈折率層の塗設]
試料(AGF−2)〜(AGF−17)については、防眩層の上にさらに、低屈折率層用塗布液(LL−1)を、特開2003−211052号公報の図1に記載されたスロットダイコーターを用いて、低屈折率層の乾燥膜厚が90nmになるようにウエット塗布し、60℃で50秒間乾燥の後、さらに窒素パージにより、酸素濃度100ppmの雰囲気下で240W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層を形成させて巻き取り、防眩性フィルム(AGF−2)〜(AGF−17)を作成した。
〔防眩性フィルムの評価〕
[表面形状の評価]
本文に記載の方法により算術平均粗さ(Ra)、凹凸の平均間隔(Sm)を評価した。Smに関しては、測定の際の測定長は8mm、カットオフ値は0.8mmとした。
[傾斜角度θ]
本文に記載の方法により傾斜角θを測定し、そこから傾斜角度0〜0.5°の頻度を算出した。
[平均粒径]
電子顕微鏡“S−3400N”{(株)日立ハイテクノロジーズ製}を用い、作製された防眩性フィルムを5000倍の倍率で透過撮影する。撮影された粒子をランダムに100個選定し、100個の粒子直径の平均値を平均粒径とした。
[平均膜厚]
電子顕微鏡“S−3400N”{(株)日立ハイテクノロジーズ製}を用い、作製された防眩性フィルムの断面を5000倍の倍率で撮影する。防眩層の膜厚をランダムに10点測定し、平均値を導出する。この作業を三視野について行い、その平均値を平均膜厚とした。
(反射率)
反射防止フィルムの裏面をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態にした。該反射防止フィルムの表面を、分光光度計V−550(日本分光(株)製)の積分球に装着して、380〜780nmの波長領域において、反射率(積分反射率)を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
以上、得られた防眩性フィルムの層構成及び測定された諸特性を表1に示す。
<偏光板C2の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF−2を鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに偏光膜のもう片側に市販のセルロースアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、偏光板C2を作製した。
<偏光板D1〜D17の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF−1〜AGF−17を鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに偏光膜のもう片側に偏光板保護膜1に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、偏光板D1〜D17を作製した。
<偏光板E2の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF−2を鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに偏光膜のもう片側に前記で作成の光学補償フィルムBの第1位相差領域2のセルロースアシレートフィルム面に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、偏光板E2を作製した。
<偏光板F2の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、防眩性反射防止フィルムAGF−2を鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片面に貼り付けた。さらに偏光膜のもう片側に前記で作成の光学補償フィルムDの第1位相差領域4のセルロースアシレートフィルム面に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、偏光板F2を作製した。
光学補償領域として、下記(A)の条件を満たす前記で作成の第1位相差領域1を含む液晶表示装置を例に本発明を説明する。
(A)100nm≦Re≦400nm、且つ−50nm≦Rth≦50nm
<液晶表示装置L1の作製>
偏光板D1の偏光板保護膜1側にアクリル系粘着剤を用いて、作製した第1位相差領域1を、偏光膜の吸収軸と第1位相差領域1の遅相軸が平行になるように貼り付けた。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、偏光板の吸収軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域1の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Aを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板D1とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L1を作製した。
この構成は、図6に示した構成に対応し、第1保護膜側に防眩層が積層されている。
<液晶表示装置L2〜L17の作製>
上記で作成の液晶表示装置L1に対し、視認側偏光板D1を偏光板D2〜D17に代えた以外は同様にして、液晶表示装置L2〜L17を作成した。
<液晶表示装置L18の作製>
上記で作成の液晶表示装置L1に対し、視認側偏光板D1を偏光板Aに代えた以外は同様にして、液晶表示装置L18を作成した。
<液晶表示装置L19の作製>
上記で作成の液晶表示装置L1に対し、視認側偏光板D1を偏光板C2に代え、背面側偏光板Aを偏光板Bに代えた以外は同様にして、液晶表示装置L19を作成した。
<液晶表示装置L20の作製>
上記で作成の液晶表示装置L19に対し、視認側偏光板C2を偏光板C15(上記<偏光板C2の作製>において、AGF−2の替わりにAGF−15を用いたもの)に代えた以外は同様にして、液晶表示装置L19を作成した。
本発明の実施例である液晶表示装置L1〜L13及び比較例であるL14〜L19に対し、下記の評価法に従い、斜め漏れ光、明室コントラスト、映り込みを評価し、表2にまとめた。
(1)斜め漏れ光
暗室内に設定されたシャーカステン上に、偏光板を貼り合わせない状態で液晶セル1を電極を配設した基板がシャーカステン側になるように置き、液晶セルのラビング方向を基準として左方向に45度の方位で、且つ液晶セルの法線方向から60度の方向に1m離れたところに設置された輝度計(分光放射輝度計CS−1000:ミノルタ(株)製)で輝度1を測定した。
次いで、上記と同じシャーカステン上に偏光板を貼り合わせた各液晶表示装置を置き、上記と同様に輝度2を測定し、これを輝度1に対する100分率で表したものを斜め漏れ光とした。
(2)明室コントラスト
明室内に設定されたシャーカステン上に、偏光板を貼り合わせた状態の各液晶表示装置を、電極を配設した基板がシャーカステン側になるように置き、液晶セルの法線方向に1m離れたところに設置された輝度計(分光放射輝度計CS−1000:ミノルタ(株)製)で、輝度の比(白表示/黒表示)であるコントラスト比を測定した。
(3)映り込み
上記で作製した液晶表示装置の視認者側にむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を45度の角度から映し、−45度の方向から観察した際の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭が全くわからない :◎
蛍光灯の輪郭がわずかにわかる :○
蛍光灯はぼやけているが、輪郭は識別できる :△
蛍光灯がほとんどぼけない :×
表2において、液晶表示装置L1、L7、L10、及びL13は、「参考例」と読み替えるものとする。
表2に示した結果から以下のことが明らかである。
透光性粒子の平均粒径が防眩層の平均膜厚よりも、0.01〜4.0μm大きく、該透光性粒子が防眩層の全固形分に対して0.1〜1質量%である防眩層を搭載した本発明の液晶表示装置は斜め漏れ光が少なく、映り込みがなく、優れたものである。
次に、光学補償領域として、下記(B)、(C)、(D)の少なくともいずれかの条件を満たす位相差領域を含む、本発明の第2の実施の形態に対応する液晶表示装置を例に本発明を説明する。
(B)60nm≦Re≦200nm、且つ30nm≦Rth≦100nm
(C)0nm≦Re≦20nm、且つ−400nm≦Rth≦−50nm
(D)30nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦400nm
<液晶表示装置L21の作製>
偏光板D2の偏光板保護膜1側にアクリル系粘着剤を用いて、第1位相差領域2と第2位相差領域1が積層された光学補償フィルムBを偏光膜の吸収軸と第1位相差領域2の遅相軸が直交するように、第1位相差領域2の面を貼り付けた。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、偏光板の吸収軸が液晶セルのラビング方向と垂直になるように(即ち、第1位相差領域2の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Aを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板D2とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L21を作製した。液晶表示装置21の構成は、図8に示した構成に対応し、第1保護膜101に防眩層が積層されている。また、光学補償フィルムBの第1位相差領域2は(D)の条件を満たし、第2位相差領域1は(C)の条件を満たしている。
<液晶表示装置L22の作製>
偏光板D2の偏光板保護膜1側にアクリル系粘着剤を用いて、第1位相差領域3と第2位相差領域2が積層された光学補償フィルムCを偏光膜の吸収軸と第1位相差領域3の遅相軸が直交するように、第1位相差領域3の面を貼り付けた。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、偏光板の吸収軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域3の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Aを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板Aとはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L22を作製した。液晶表示装置22の構成は、図8に示した構成に対応し、第1保護膜101に防眩層が積層されている。また、光学補償フィルムBの第1位相差領域3は(B)の条件を満たし、第2位相差領域2は(C)の条件を満たしている。
<液晶表示装置L23の作製>
偏光板D2の偏光板保護膜1側にアクリル系粘着剤を用いて、第1位相差領域4と第2位相差領域3が積層された光学補償フィルムDを偏光膜の吸収軸と第1位相差領域4の遅相軸が直交するように、第1位相差領域4の面を貼り付けた。
これを、前記で作製したIPSモード液晶セル1の視認側に、偏光板の吸収軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差領域4の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と平行になるように)、貼り付けた。
続いて、IPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Aを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板Aとはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L23を作製した。液晶表示装置23の構成は、図8に示した構成に対応し、第1保護膜101に防眩層が積層されている。また、光学補償フィルムDの第1位相差領域4は(B)の条件を満たし、第2位相差領域3は(C)の条件を満たしている。
<液晶表示装置L24の作製>
IPSモード液晶セル1の視認側に偏光板E2を第2位相差領域1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板E2の吸収軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交するように貼り付けた。
続いて、IPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Aを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板E2とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L24を作製した。液晶表示装置24の構成は、図8に示した構成に対し第1偏光膜セル側保護膜104がない構成である。第1保護膜101に防眩層が積層されている。また、光学補償フィルムBの第1位相差領域2は(B)の条件を満たし、第2位相差領域1は(C)の条件を満たしている。
<液晶表示装置L25の作製>
IPSモード液晶セル1の視認側に偏光板F2を第2位相差領域3側が液晶セル側になるように、且つ偏光板F2の吸収軸が、黒表示時の液晶セルの液晶分子の遅相軸と直交するように貼り付けた。
続いて、IPSモード液晶セル1の背面側に偏光板Aを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、且つ偏光板F2とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置L25を作製した。液晶表示装置22の構成は、図8に示した構成に対し第1偏光膜セル側保護膜104がない構成である。第1保護膜101に防眩層が積層されている。また、光学補償フィルムBの第1位相差領域4は(B)の条件を満たし、第2位相差領域3は(C)の条件を満たしている。
本発明の実施例である液晶表示装置L21〜L25を前記L2と同様に上記の評価法に従い、斜め漏れ光、明室コントラスト、映り込みを評価し、表3にまとめた。
上記光学補償領域の欄に記載の(A+B)とは視認側偏光板のセル側保護膜に近い側から位相差領域A、位相差領域Bがこの順で搭載されていることを意味する。また、第X位Yとは第X位相差Yを意味する。
表3に示した結果から以下のことが明らかである。
光学補償領域が(B)、(C)、(D)の少なくともいずれかを満たす場合も、(A)を持たす場合と同様に 透光性粒子の平均粒径が防眩層の平均膜厚よりも、0.01〜3.0μm大きく、該透光性粒子が防眩層の全固形分に対して0.1〜1質量%である防眩層を搭載した本発明の液晶表示装置は斜め漏れ光が少なく、明室コントラストが高く、映り込みがなく、白茶け感もなく、優れたものである。
また、第1位相差領域にセルロースエステルフィルムを用い、偏光板保護膜を除いた構成(L24、L25)は、偏光板保護膜を使用した構成に対し、斜め漏れ光が少なく、明室コントランスが高く、良好である。
図1は、本発明の防眩性フィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 図2は、平滑な表面に低屈折率層を塗工した防眩性フィルムを模式的に示す概略断面図である。 図3は、防眩性フィルムに低屈折率層を塗工した防眩性フィルムを模式的に示す概略断面図である。 図4は、防眩性フィルムに低屈折率層を塗工した防眩性フィルムを模式的に示す概略断面図である。 図5は、本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す模式図である。 図6は、本発明の液晶表示装置の第一の実施形態の模式図である。 図7は、本発明の液晶表示装置の第一の実施形態の模式図である。 図8は、本発明の液晶表示装置の第二の実施形態の模式図である。 図9は、本発明の液晶表示装置の第二の実施形態の模式図である。 図10(a)〜(c)は、それぞれ、傾斜角度の測定方法の概要を説明する模式図である。
符号の説明
(1):透明支持体
(2):防眩層
(5):低屈折率層
11:透明支持体
21:平滑層
22:防眩層
23:防眩層
51:低屈折率層
101:第1保護膜(第1偏光膜外側保護膜)
102:第1偏光膜吸収軸方向
103:第1偏光膜
104:第1偏光膜セル側保護膜
105:黒表示時の液晶セルの遅相軸方向
106:液晶セル
107:第2偏光膜セル側保護膜
108:第2偏光膜
109:第2偏光膜吸収軸方向
110:第2保護膜(第2偏光膜外側保護膜)
111:第1位相差領域
112:第1位相差領域の遅相軸方向
113:第2位相差領域
201:液晶素子画素領域
202:画素電極
203:表示電極
204:ラビング方向
205a、205b:黒表示時の液晶化合物のダイレクター
206a、206b:白表示時の液晶化合物のダイレクター

Claims (14)

  1. 少なくとも、第1保護膜と、第1偏光膜と、光学補償領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶セルと、第2偏光膜と、第2保護膜とをこの順序で有し、黒表示時に該液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1保護膜または第2保護膜のいずれかに少なくとも凹凸表面を有する防眩層、及び該防眩層上に直接、厚さが50〜150nmで屈折率が防眩層の屈折率より低く、かつ屈折率が1.20〜1.46の低屈折率層を有し、
    該防眩層の、
    中心線平均粗さ(Ra)が0.03μm<Ra<0.4μmであり、
    凹凸の平均間隔(Sm)が200μm<Sm<600μmであり、
    該凹凸の傾斜角θにおいて、0°<θ<0.5°の領域(θ(0.5))が40%〜98%を占め、
    該防眩層が少なくとも1種の透光性粒子を含有し、該透光性粒子の平均粒径が前記防眩層の平均膜厚よりも0.01〜4.0μm大きく、該透光性粒子の添加量が前記防眩層の全固形分に対して0.01〜1質量%である、液晶表示装置。
  2. 前記透光性粒子の平均粒径が3μm〜15μmである請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記光学補償領域が下記式(A)〜(D)のいずれかを満たす少なくとも1つの位相差領域を含む請求項1または2に記載の液晶表示装置。
    (A)100nm≦Re≦400nm、且つ−50nm≦Rth≦50nm
    (B)60nm≦Re≦200nm、且つ30nm≦Rth≦100nm
    (C)0nm≦Re≦20nm、且つ−400nm≦Rth≦−50nm
    (D)30nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦400nm
    (ここでReは面内のレターデーション、Rthは厚み方向のレターデーションである。)
  4. 前記式(A)〜(D)のいずれかを満たす第1位相差領域がセルロースエステルフィルムである請求項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記光学補償領域が前記式(A)を満たす第1位相差領域を含み、該第1位相差領域の値Nzが0.45〜0.55である請求項またはに記載の液晶表示装置。
  6. 前記光学補償領域が第1位相差領域と第2位相差領域を含み、
    該第1位相差領域の面内のレターデーションReが60nm〜200nmであり、
    該第1位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが30nm〜100nmであり、
    該第2位相差領域の面内のレターデーションReが0nm〜20nmであり、
    該第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが−300nm〜−100nmである請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に直交している請求項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に平行である請求項に記載の液晶表示装置。
  9. 前記光学補償領域が第1位相差領域と第2位相差領域を含み、
    該第1位相差領域の面内のレターデーションReが30nm〜150nmであり、
    該第1位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが100nm〜400nmであり、
    該第2位相差領域の面内のレターデーションReが0nm〜20nmであり、
    該第2位相差領域の厚み方向のレターデーションRthが−400nm〜−80nmであり、且つ第1偏光膜の吸収軸が、黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に垂直である請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  10. 前記第1偏光膜、前記第1位相差領域、前記第2位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に垂直である請求項に記載の液晶表示装置。
  11. 前記第1偏光膜、前記第2位相差領域、前記第1位相差領域及び前記液晶セルを、この順序で有し、且つ前記第1位相差領域の遅相軸が、前記第1偏光膜の吸収軸に実質的に平行である請求項に記載の液晶表示装置。
  12. 前記第2位相差領域が、実質的に垂直配向した棒状液晶化合物を含有する位相差層を有する請求項11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  13. 前記第2の偏光膜と前記基板との間に保護膜を有し、該保護膜の厚み方向のレターデーションRthが−50nm〜40nmである請求項1〜12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  14. 前記第2の偏光膜と前記基板との間に保護膜を有し、該保護膜がセルロースアシレートフィルム、ノルボルネン系フィルムまたはアクリル系フィルムである請求項1〜13のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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