JP2006048025A - 反射防止フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明支持体上に光散乱層と低屈折率層を有し、光散乱層は、平均粒子径0.5〜5μmの透光性粒子を透光性樹脂に分散し、透光性粒子と透光性樹脂との屈折率の差が0.02〜0.2であり、透光性粒子が光散乱層全固形分中に3〜30質量%含有されてなり、低屈折率層は、架橋性若しくは重合性の官能基を含むバインダーを有してなる硬化性組成物を塗布して形成された屈折率が1.30〜1.55の層である反射防止フィルム。
【選択図】図1
Description
従って、本発明の目的は、十分なギラツキ防止性、反射防止性、耐擦傷性、および高い生産性を兼ね備えた反射防止フィルム、及び該反射防止フィルムを簡易且つ簡便に製造できる製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、下記の構成により、前記目的を達成したものである。
(1) 透明支持体上に少なくとも光散乱層と低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、
該光散乱層は、少なくとも1種の平均粒子径0.5〜5μmの透光性粒子を透光性樹脂に分散してなる層であって、該透光性粒子と該透光性樹脂との屈折率の差が0.02〜0.2であり、該透光性粒子が光散乱層全固形分中に3〜30質量%含有されてなる層であり、
前記低屈折率層は、架橋性若しくは重合性の官能基を含むバインダーを含有してなる硬化性組成物を塗布して形成された屈折率が1.30〜1.55の層であることを特徴とする反射防止フィルム。
(2) 前記低屈折率層のバインダーが(A)架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーを含有することを特徴とする(1)に記載の反射防止フィルム。
(3) 前記含フッ素ポリマーが、含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を含み、主鎖が炭素原子のみからなる共重合体であることを特徴とする前記(2)に記載の反射防止フィルム。
(4) 前記硬化性組成物が、
(B)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、
(C)平均粒径が前記低屈折率層の厚みの30%以上100%以下で且つ中空構造からなる屈折率が1.15〜1.40である無機微粒子、
(D)重合開始剤
を、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
(5) 前記硬化性組成物が、
(A)前記含フッ素ポリマー、
(C)平均粒径が前記低屈折率層の厚みの30%以上100%以下で且つ中空構造からなる屈折率が1.15〜1.40である無機微粒子、
(E)酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物
を、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の反射防止フィルム。
一般式[A]
(R10)m −Si(X)4-m
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
(6) 前記硬化性組成物が、更に
ラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる重合性基を少なくとも2個以上含有する多官能重合性化合物並びに
(D)重合開始剤を含有する硬化性組成物であることを特徴とする前記(1)〜(5)に記載の反射防止フィルム。
(7) 前記硬化性組成物が、更に下記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性組成物であることを特徴とする(4)に記載の反射防止フィルム。
一般式[A]
(R10)m −Si(X)4-m
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
(8) バックアップロールによって支持されて連続走行するウェブの表面に、スロットダイの先端リップのランドを近接させて、前記先端リップのスロットから塗布液を塗布する塗布工程を有し、
前記塗布工程は、前記スロットダイのウェブ進行方向側の先端リップのウェブ走行方向におけるランド長さが30μm以上100μm以下であるスロットダイを有し、前記スロットダイを塗布位置にセットしたときに、前記ウェブの進行方向とは逆側の先端リップとウェブとを、両者の隙間が、前記ウェブ進行方向側の先端リップとウェブとの隙間よりも30μm以上120μm以下大きくなるように設置した塗布装置を用いて、前記光散乱層及び前記低屈折率層の何れか一方、または両方の層を形成するための塗布液を塗布する工程であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
また、本発明の反射防止フィルムの製造方法は、上記反射防止フィルムを簡易且つ簡便に製造することができる。
ここで、図1は、本発明の反射防止フィルムの好ましい1実施形態を模式的に示す断面図である。
図1に示す本実施形態の反射防止フィルム1は、透明支持体2と、透明支持対2上に形成された光散乱層3と、そして光散乱層3上に形成された低屈折率層4とからなる。
光散乱層3は、透光性樹脂と透光性樹脂中に分散された透光性粒子5とからなる。
本発明における反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
光散乱層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
本発明においては、光散乱層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えており、本実施形態においては、1層で形成されたものを例示しているが、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。また、本実施形態のように透明支持体上に直接設けてもよいが、帯電防止層や防湿層等の他の層を介して設けてもよい。
また、C光源下での反射光の色味がa*値−2〜2、b*値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の比0.5〜0.99とするのが、反射光の色味がニュートラルとなるので、好ましい。またC光源下での透過光のb*値を0〜3とすると、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。また、面光源上と本発明の反射防止フィルムの間に120μm×40μmの格子を挿入してフィルム上で輝度分布を測定した際の輝度分布の標準偏差を20以下とすると、高精細パネルに本発明のフィルムを適用したときのギラツキが低減され、好ましい。
<低屈折率層>
本発明の反射防止フィルムにおける低屈折率層の屈折率は、1.30〜1.55であり、好ましくは1.35〜1.40の範囲である。
屈折率が1.30未満であると、反射防止性能は向上するが、膜の機械強度が低下し、1.55を超えると、反射防止性能が著しく悪化してしまう。
さらに、低屈折率層は下記数式(I)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(I)
(mλ/4)×0.7<n1×d1<(mλ/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、前記数式(I)を満たすとは、前記波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
本発明の低屈折率層は、架橋性若しくは重合性の官能基を含むバインダーを有してなる硬化性組成物を塗布して形成された、屈折率が1.30〜1.55に調整された硬化膜である。
硬化性組成物としては、
(1)
(A)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素ポリマー
を含有する組成物、
(2)
(B)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、
(C)中空構造を有する無機微粒子、及び
(D)重合開始剤
を含有する組成物、
を挙げることができる。
また、(1)の含フッ素ポリマーを含有する組成物は、必要に応じて、
(C)中空構造を有する無機微粒子、
(E)オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物
を含有することが好ましく、これらの成分をすべて含むことがより好ましい。
<含フッ素ポリマー>
前記含フッ素ポリマーは、硬化被膜にした場合の被膜の動摩擦係数が0.03〜0.20、水に対する接触角が90〜120°、純水の滑落角が70°以下であり、熱または電離放射線により架橋するポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、500gf以下が好ましく、300gf以下がより好ましく、100gf以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
(a):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、
(b):カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、
(c):分子内に上記(a)、(b)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(a)、(b)の構成単位と反応させて得られる構成単位(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)。
(1)水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
(2)水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
(3)エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
(4)カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
尚、上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機微粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
好ましい例としては、*-(CH2)2-O-**, *-(CH2)2-NH-**,*-(CH2)4-O-**, *-(CH2)6-O-**, *-(CH2)2-O-(CH2)2-O-**,*-CONH-(CH2)3-O-**, *-CH2CH(OH)CH2-O-**,*-CH2CH2OCONH(CH2)3-O-**( * はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい形態として一般式2が挙げられる。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
x、y、z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、5≦y≦70を満たすのが好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55の場合である。z1及びz2については、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たすのが好ましく、更に好ましくは0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
一般式1又は2で表わされる共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。この際用いられる再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
これら化合物は、ポリマー本体100質量部に対して、1〜50質量部使用するのが好ましく、更に好ましくは2〜40質量部、最も好ましくは3〜30質量部である。
これら架橋性化合物は、ポリマー本体100質量部に対して、1〜50質量部使用するのが好ましく、更に好ましくは5〜40質量部、最も好ましくは10〜30質量部である。
<2個以上のエチレン性不飽和基を含有するモノマー>
2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミド等が挙げられる。これらモノマーは2種以上併用してもよい。これらモノマーは、バインダー中の架橋基の密度を上げることができ、硬度の高い硬化膜を形成できるが、含フッ素ポリマーバインダーに比較すると屈折率は低くない。しかしながら、後述する(C)屈折率が1.15〜1.40である中空構造を有する無機微粒子と併用することで、本発明の低屈折率層として十分に有効な屈折率を得ることができる。
本発明の低屈折率層形成用の硬化性組成物は、(D)重合開始剤を使用する事ができ、該重合開始剤としては、電離放射線または熱の照射によりラジカルや酸を発生する化合物(それぞれ、光ラジカル開始剤、熱ラジカル開始剤、感光性酸発生剤、熱酸発生剤)を好適に使用することができる。ここでは、これらの化合物について説明する。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4'-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3'、4、4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000-80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類の例にはS-トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(3-Br-4-ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-トリハロメチル-5-(p-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58-15503のp14〜p30、特開昭55-77742のp6〜p10、特公昭60-27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60-239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US-4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6−ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI-403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S,BP-100,BDMK,CTX,BMS,2-EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
これら光増感剤や助剤の量は、必要な増感度が得られる限りにおいては特に制限は無く、光重合開始剤100質量部に対して、1〜1000質量部が好ましく、更に好ましくは10〜500質量部、最も好ましくは50〜400質量部である。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
これら熱ラジカル開始剤は、バインダー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
熱酸発生剤の具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、アミン塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
市販されている材料としては、キャタリスト4040、キャタリスト4050、キャタリスト600、キャタリスト602、キャタリスト500、キャタリスト296−9、以上日本サイテックインダストリーズ(株)製、やNACUREシリーズ155、1051、5076、4054JやそのブロックタイプのNACUREシリーズ2500、5225、X49−110、3525、4167以上キング社製などが挙げられる。
この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。添加量がこの範囲であると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好で塗膜の耐擦傷性も良好なものとなる。
感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;を挙げることができる。この感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
<無機微粒子>
無機微粒子の配合量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上100%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
前記無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
(数式2)
x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
空隙率xは好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
中空の無機微粒子の屈折率をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点からは屈折率1.15以上の粒子が好ましい。
なお、無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定を行い測定した。
小サイズ無機微粒子は、大サイズ無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ無機微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
上述のように前記無機微粒子としては、平均粒径が上述のように低屈折率層の厚みの30〜100%であり、中空構造からなり、屈折率が上述のように1.15〜1.40であるものが特に好ましく用いられる。
前記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
<オルガノシラン化合物>
前記硬化性組成物には、オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物等(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有させることが、耐擦傷性の点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
このゾル成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することにより低屈折率層のバインダーとして機能する。また、本発明においては、前記含フッ素ポリマーを有するので、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式[A]で表されるものが好ましい。
一般式[A]
(R10)m −Si(X)4-m
前記一般式[A]において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C2H5COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
R10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
前記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式[B]で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
Yは単結合もしくは *−COO−** ,*−CONH−** 又は *−O−** を表し、単結合、*−COO−** および *−CONH−** が好ましく、単結合および*−COO−** が更に好ましく、*−COO−** が特に好ましい。* は=C(R1)−に結合する位置を、** はLに結合する位置を表す。
R10は一般式[A]と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式[A]と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
これら触媒の好ましい使用量は、オルガノシラン化合物100質量部当たり、0.1〜5質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜5質量部、最も好ましくは0.5〜3質量部である。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を低屈折率層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R-2020、M-2020、R-3833、M-3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF-171、F-172、F-179A、ディフェンサMCF-300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
光散乱層は、表面散乱および/または内部散乱による光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与するため透光性樹脂、及び光拡散性を付与するための透光性粒子を必須成分とし、更に必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んでなる。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
バインダーポリマーを高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーを選択することもできる。
従って、前記光散乱層は、上述のエチレン性不飽和モノマー等の透光性樹脂形成用のモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、透光性粒子および必要に応じて無機フィラーを含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。光ラジカル開始剤及び熱ラジカル開始剤としては、前述の低屈折率層で述べた化合物を用いることができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、透光性粒子および無機フィラーを含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して光散乱層を形成することができる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
前記透光性粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、メタクリル粒子、架橋メタクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリルスチレン粒子、シリカ粒子が好ましい。
透光性粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2である。
透光性粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
また逆に、透光性粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率透光性粒子を用いた光散乱層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
光散乱層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーを用いる場合、その添加量は、光散乱層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このような無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
また、光散乱層にも上述の(E)オルガノシラン化合物、その加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかを用いることができる。
低屈折率層以外の層へのオルガノシラン化合物の添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
また、本発明においては、透光性樹脂と透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−透光性樹脂の屈折率)が、0.02〜0.2であり、好ましくは0.05〜0.15である。この差が0.02未満であると、内部散乱の効果が不足するためギラツキが悪化し、0.2を超えると、フィルム表面の白濁の問題が生じる。
また、前記透光性樹脂の屈折率は、1.45〜2.00であるのが好ましく、1.48〜1.60であるのが更に好ましい。
また、前記透光性粒子の屈折率は、1.40〜1.80であるのが好ましく、1.50〜1.70であるのが更に好ましい。
ここで、前記透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。
R14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼす。
一般式5中のmは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。
一般式5中のnは1〜18の整数を表し、4〜12がより好ましく、6〜8が更に好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式5で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーが2種類以上構成成分として含まれていても良い。
R19は置換基を有しても良い炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基、置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。炭素数1〜12の直鎖、分岐、または環状のアルキル基、または総炭素数6〜18の芳香族がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐、または環状のアルキル基が更に好ましい。
散乱光プロファイルは、作成した光散乱フィルムについて、(株)村上色彩技術研究所製の自動変角光度計GP−5型を用いて測定できる。
本発明の反射防止フィルムでは、より良い反射防止能を付与するために、高屈折率層や中屈折率層を設けることができる。
前記高屈折率層の屈折率は屈折率1.55〜2.40であり、この範囲内の層があれば、本発明における高屈折率層が存在するといえる。この屈折率の範囲は、いわゆる高屈折率層あるいは中屈折率層といわれる範囲であるが、以下の本明細書では、これらの層を総称して高屈折率層と呼ぶことがある。
また、高屈折率層と中屈折率層とが混在する場合、屈折率が支持体、光散乱層、中屈折率層よりも高い層を高屈折率層といい、屈折率が支持体、光散乱層、中屈折率層よりも高く高屈折率層より低い層を中屈折率層という。屈折率は、添加する無機微粒子やバインダーの使用量などを調節することにより適宜調節できる。
前記高屈折率層には、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子が含有される。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明における二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、さらに好ましくは2〜100nm、特に好ましくは2〜80nmである。
本発明に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は表面処理してもよい。表面処理は、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)3、Zr(OH)4のような無機化合物または、シランカップリング剤のような有機化合物を用いて実施する。本発明の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
高屈折率層に含有される二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましく、特に好ましくは不定形状、紡錘形状である。
前記無機微粒子の分散には、分散剤を用いることができる。分散には、アニオン性基を有する分散剤を用いることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(及びスルホ基)、リン酸基(及びホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びその塩が好ましく、カルボキシル基及びリン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよいが、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。アニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。さらに、分散剤は架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。
高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層の形成に使用する。
無機微粒子の分散において、前記の分散剤の存在下で、分散媒体中に分散する。
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール、ケトン、エステル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、アミド、エーテル、エーテルアルコールが含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機微粒子分散物は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。
無機微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層を形成できる。
シラノール基は、例えば架橋又は重合性官能基を有する化合物を前記の高屈折率層形成用の塗布液に添加し、塗布液を透明支持体上に塗布して前記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマー等を架橋反応、又は、重合反応させることによりバインダーに導入することができる。
高屈折率層における無機微粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機微粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
上述の各層には無機フィラーを添加することが好ましい。各層に添加する無機フィラーはそれぞれ同じでも異なっていても良く、各層の屈折率、膜強度、膜厚、塗布性などの必要性能に応じて、種類、添加量、は適宜調節されることが好ましい。
なお、低屈折率層に用いる無機フィラーは、上述した無機微粒子以外のものであり、光散乱層に用いる無機フィラーは、上述した透光性粒子以外の無機フィラーである。
本発明における無機フィラーの使用方法は特に制限されるものではないが、例えば、乾燥状態で使用することができるし、あるいは水もしくは有機溶媒に分散した状態で使用することもできる。
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート
(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、代表的には富士写真フイルム(株)製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィンが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
セルロースアシレートは、単層または複数の層からなる。単層のセルロースアシレートは、特開平7−11055号等で開示されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作成され、後者の複数の層からなるセルロースアシレートは、公開特許公報の特開昭61−94725号、特公昭62−43846号等で開示されている、いわゆる共流延法により作成される。すなわち、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムからなる支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
透明支持体と本発明の光散乱層の間に設けても良い他の層として、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、ハードコート層(光散乱層だけで硬度が不足する場合)、防湿層、密着改良層、虹ムラ(干渉ムラ)防止層等が挙げられる。
これらの層は、公知の方法にて形成することができる。
本発明の各層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
次に、光散乱層および低屈折率層を形成するための塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。その後、光照射および/または加熱して、光散乱層または低屈折率層を形成するためのモノマーを重合して硬化する。これにより光散乱層、低屈折率層が形成される。
一方、より高い生産速度の観点では、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。ダイコート法は、生産性と塗布ムラのない面状を高次元で両立できるため、好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムの製造方法としては、このようなダイコート法を用いた以下の本発明の製造方法が好ましい。
すなわち、バックアップロールによって支持されて連続走行するウェブの表面に、スロットダイの先端リップのランドを近接させて、先端リップのスロットから塗布液を塗布する塗布工程を有し、該塗布工程は、スロットダイのウェブ進行方向側の先端リップのウェブ走行方向におけるランド長さが30μm以上100μm以下であるスロットダイを有し、スロットダイを塗布位置にセットしたときに、ウェブの進行方向とは逆側の先端リップとウェブとを、両者の隙間が、ウェブ進行方向側の先端リップとウェブとの隙間よりも30μm以上120μm以下(以下、この数値限定については「オーバーバイト長さ」と称する)大きくなるように設置した塗布装置を用いて、光散乱層及び低屈折率層の何れか一方、または両方の層を塗布する反射防止フィルムの製造方法である。
特に、本発明の製造方法において好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に図面を参照して説明する。該ダイコーターは、ウエット塗布量が少ない場合(20ml/m2以下)に用いることができ、好ましい。
図2は本発明を好適に実施できるスロットダイを用いたコーター(塗布装置)の断面図である。
コーター10は、バックアップロール11とスロットダイ13とからなり、バックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14がビード形状14aで吐出されて塗布されることにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
上流側リップランド18aとウェブWとの隙間は、下流側リップランド18bとウェブWとの隙間よりも上述の範囲で大きい。また、下流側リップランドランド18bの長さは、上述の範囲である。
図3(A)を参照して上述した数値限定に関する部位について説明すると、ウェブの進行方向側のランド長さは、図3(A)のILOで示される部分であり、上記オーバーバイト長さは、図9のLOで示される部分である。
従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、本発明のスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
図4は、本発明の製造方法を実施する塗布工程のスロットダイ13及びその周辺を示す斜視図である。スロットダイ13に対しウェブWの進行方向側とは反対側(すなわちビード14aより上流側)に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間には隙間GB、サイドプレート40bとウェブWの間には隙間GS が存在する。
減圧チャンバー40とウェブWとの関係について図5及び6を参照して説明する。図5及び図6は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。
サイドプレート40bとバックプレート40aは図5のようにチャンバー40本体と一体のものであってもよいし、例えば、図6のように適宜隙間GBを変えられるようにバックプレート40aをチャンバー40にネジ40cなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB、GS と定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブWとの隙間GB とは、減圧チャンバー40を図4のようにウェブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブWまでの隙間を示す。
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さ(図3(A)に示す下流側リップランド長さlLO)は、前述の範囲内とすることが好ましく、また、lLOのスロットダイ幅方向における変動幅を20μm以内とすることが好ましい。この範囲内であれば、かすかな外乱によってもビードが不安定になることがなく、好ましい。
スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまうため、好ましくない。ステンレス鋼などの場合、下流側リップランド長さlLOを前記の30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足することが困難である。高い加工精度を維持するには、特許第2817053号明細書に記載されているような超硬材質のものを用いることが好ましい。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布の実現には、前記下流側リップランド長さlLOが重要であり、さらに隙間GLのスロットダイ幅方向における変動幅を制御することが望ましい。前記バックアップロール11と前記先端リップ17とは、隙間GLのスロットダイ幅方向における変動幅を制御できる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、隙間GLのスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップ17とバックアップロール11の真直度とすることである。
上記の様なダイコート法を用いた製造方法により、本発明の製造方法における塗布工程は高速塗布時における膜厚の安定性が高い。さらに、本発明の製造方法における塗布工程は前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。前述したようにウエット塗布量が少ない場合(20ml/m2以下)、低塗布量の塗布液に対して、本発明の製造法における塗布工程は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。本発明の反射防止フィルムの製造方法としては、このようなダイコート法を用いた本発明の製造方法が好ましい。ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であることから、段状のムラが発生しやすく、リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすく、さらに、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難であるため、膜厚の安定性が高く前計量方式である本発明の製造方法を用いることが好ましい。本発明の製造方法を用いることで25m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
光散乱層を形成する際には、透明支持体フィルム上に直接又は他の層を介してウエット塗布膜厚として6〜20μmの範囲で前記塗布液を塗布するのが好ましく、乾燥ムラ防止の観点からさらに3〜20μmの範囲がより好ましい。また、低屈折率層を形成する際には、光散乱層上に直接、或いは他の層を介してウエット塗布膜厚として1〜10μmの範囲で塗布液を塗布するのが好ましく、2〜5μmの範囲で塗布されるのがより好ましい。
光散乱層および低屈折率層は、透明支持体フィルム上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送される。その際の乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布液に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布液に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布液を透明支持体フィルム上に塗布した後、乾燥ゾーン内で透明支持体フィルムの塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと透明支持体フィルムとの温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化する。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。更に表面硬化を促進する為に窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下する必要がある際には、酸素濃度0.01%〜5%が好ましく、幅方向の分布は酸素濃度で2%以下が好ましい。
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に低屈折率層を有する表面から内部の光散乱層までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる反射防止層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、反射防止膜の受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
上述の浸漬法における反射防止膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を反射防止膜を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(2)と同様に、光散乱層および/または低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、低屈折率層まで形成した後に低屈折率層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで低屈折率層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、光散乱層、低屈折率層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの反射防止層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
光散乱層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、光散乱層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に光散乱層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には光散乱層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して光散乱層、低屈折率層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、光散乱層または他の層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、光散乱層または他の層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから光散乱層または他の層を形成することで対処できる。また、光散乱層または他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
<偏光板>
本発明の好ましい偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方として、本発明の反射防止フィルムを有する。偏光板用保護フィルムは、前記のように、反射防止構造を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が10度〜50度の範囲にあることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、物理強度、耐光性に優れた反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、さらに、液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる偏光板を作製できる。
偏光板には光学補償層(位相差層)を設けることにより、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償層としては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号に記載されているディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層を有し、該ディスコティック化合物と透明支持体とのなす角度が透明支持体からの距離に伴って変化していることを特徴とする光学補償層が好ましい。
該角度は該ディスコティック化合物からなる光学異方性層の透明支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償層を偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル
(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の反射防止フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(商品名:ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
反応後室温まで冷却した後、アセチルアセトン6部を添加したこと以外は前記ゾル液aと同様にしてゾル液bを得た。
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PET−30、日本化薬(株)製)50gをトルエン38.5gで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2g添加し、混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61、SX−350、綜研化学(株)製)の30%トルエン分散液を1.7gおよび平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.55、綜研化学(株)製)の30%トルエン分散液を13.3g加え、最後に、フッ素系表面改質剤(FP−107)0.75g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を10gを加え、完成液とした。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光散乱層の塗布液Aを調製した。
市販ジルコニア含有UV硬化型ハードコート液(デソライトZ7404、JSR(株)製、固形分濃度約61%、固形分中ZrO2含率約70%、重合性モノマー、重合開始剤含有)285g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)85gを混合し、更に、メチルイソブチルケトン60g、メチルエチルケトン17gで希釈した。更に、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学(株)製)28gを混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。
さらにこの溶液に平均粒径3.0μmの分級強化架橋PMMA粒子(屈折率1.49、MXS−300、綜研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した分散液を35g加え、次いで、平均粒径1.5μmのシリカ粒子(屈折率1.46、シーホスタKE-P150、日本触媒(株)製)の30%メチルエチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで30分分散した分散液を90g加え、最後に、フッ素系表面改質剤(FP−1)0.12gを混合攪拌し、完成液とした。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光散乱層の塗布液Bを調製した。
前記光散乱層用塗布液Bにおいて平均粒径1.5μmのシリカ粒子の代わりに、平均粒径1.5μmの分級強化高架橋PMMA粒子(MXS−150H、架橋剤エチレングリコールジメタクリレート、架橋剤量30%、綜研化学(株)製、屈折率1.49)の30%メチルエチルケトン分散液を130g用いた以外は添加量も含め前記塗布液Aと同様にして、光散乱層用塗布液Cを作成した。
前記光散乱層用塗布液Aにおいて平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子および平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子の代わりに、平均粒径3.0μmの分級強化高架橋PMMA粒子(架橋剤エチレングリコールジメタクリレート、架橋剤量40%、屈折率1.50)の30%トルエン分散液を15g用いた以外は添加量も含め前記塗布液Aと同様にして、光散乱層用塗布液Dを作成した。
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN7228A、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、シリカゾル(シリカ、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、ゾル液a0.6gおよびメチルエチルケトン5g、シクロヘキサノン0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Aを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.43であった。
前記低屈折率層用塗布液Aにおいて、シリカゾルの代わりに中空シリカゾル(屈折率1.31、平均粒径60nm、固形分濃度20%)を1.95g用いた以外は添加量も含め前記塗布液Aと同様にして、低屈折率層用塗布液Bを作成した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.38であった。
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN7228A、固形分濃度6%、JSR(株)製)15g、シリカゾル(シリカ、MEK−ST、平均粒径15nm、固形分濃度30%、日産化学社製)0.6g、シリカゾル(シリカ、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)0.8g、ゾル液a0.4gおよびメチルエチルケトン3g、シクロヘキサノ0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Cを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.43であった。
パーフルオロオレフィン共重合体(1)の15.2g、シリカゾルMEK−ST−L(シリカ、MEK-STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学社製)14.0g、反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)0.3g、ゾル液a7.3g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.76g、メチルエチルケトン301g、シクロヘキサノン9.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Dを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.44であった。
前記低屈折率層用塗布液Dにおいて、シリカゾルの代わりに中空シリカゾル(CS−60;商品名、触媒化成工業(株)、屈折率1.31、平均粒径60nm、シェル厚み10nm、空隙率58%、固形分濃度20%)を19.5g用いた以外は添加量も含め前記塗布液Dと同様にして、低屈折率層用塗布液Eを作成した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.396であった。
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN7228A、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、およびシクロヘキサノン0.3gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Fを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.42であった。
熱架橋性含フッ素ポリマー(特開平11−189621公報実施例1に記載の含フッ素熱硬化ポリマー)6.20g、硬化剤(サイメル303;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)1.60g、硬化触媒(キャタリスト4050;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)0.16g、シリカゾル(シリカ、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)13.0g、ゾル液a6.0gおよびメチルエチルケトン170g、シクロヘキサノン6.0gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Gを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.43であった。
前記低屈折率層用塗布液Gにおいて、シリカゾルの代わりに中空シリカゾル(屈折率1.31、平均粒径60nm、シェル厚み10nm、空隙率58%、シリカ固形分に対して10質量%のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)で表面処理、固形分濃度22%)17.7g用いた以外は添加量も含め前記塗布液Gと同様にして、低屈折率層用塗布液Hを作成した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.394であった。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.3g、中空シリカゾル(屈折率1.31、平均粒径60nm、シェル厚み10nm、空隙率58%、シリカ固形分に対して10質量%のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)で表面処理、固形分濃度22%)30.0g、ゾル液a2.0g、反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)0.15g、含フッ素化合物F3035(商品名;日本油脂株式会社製、固形分濃度30%)0.50g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.20g、メチルエチルケトン90.0g、シクロヘキサノン3.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Iを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.44であった。
(1)光散乱層の塗設
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、前記の光散乱層用塗布液Aを線数120本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの光散乱層を形成し、巻き取った。
該光散乱層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、前記低屈折率層用塗布液Aを線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ
(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
製膜後、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを前記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、前記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済み反射防止フィルムを作製した。これを実施例1試料1とする。
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を表1に示す。
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの積分球平均反射率を用いた。
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g/cm、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△:中程度の傷が見える。
△×〜×:一目見ただけで分かる傷がある。
ラビングテスターのこすり先端部に綿棒を固定し、平滑皿中で試料の上下をクリップで固定し、室温25℃で、試料と綿棒を25℃の水に浸し、綿棒に500gの荷重をかけて、こすり回数を変えてこすりテストを行った。こすり条件は以下のとおり。
こすり距離(片道):1cm、 こすり速度:約2往復/秒
こすり終えた試料を観察して、膜剥がれが起こった回数で、こすり耐性を以下のように評価した。
0〜10往復で膜剥がれ ×
10〜30往復で膜剥がれ ×△
30〜50往復で膜剥がれ △
50〜100往復で膜剥がれ ○△
100〜150往復で膜剥がれ ○
150往復でも膜剥がれなし ◎
なお、光散乱層の乾燥後の膜厚は、3.4μmとなるよう、マイクログラビアロールの線数、回転数を調整した。
本発明の反射防止フィルムにおいて、本発明により優れた面状均一性と高い耐擦傷性を持つ反射防止膜が生産性高く得られる。
また実施例1試料1〜7において、低屈折率層塗布液に使用しているオルガノシランのゾル液aの代わりにbを使用したところ、塗布液の経時安定性が良くなり、連続塗布に対する適性が高くなった。
また低屈折率層塗布液A、B、およびCに使用している熱架橋性含フッ素ポリマーの代わりに、屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)を使用したところ、耐擦傷性が著しく向上した。
また低屈折率層塗布液D、Eにジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)10gを添加して、同様に塗布したところ、耐擦傷性が著しく向上した。
実施例1の試料1と同様に作製した光散乱層の上に、前記低屈折率層用塗布液Eを線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、100℃で75秒乾燥の後、窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
その後、実施例1に記載の鹸化処理を行い、鹸化処理済み反射防止フィルムを作製した。これを実施例2試料201−1とする。
光重合開始剤を変更して表2に示すように試料201−1〜201−4及び202−1〜202−4を作製した。光重合開始剤はそれぞれ等質量部になるようにして変更した。
実施例1に準じた評価を行った結果を表2に示す。
PVAフィルムをヨウ素2.0g/l、ヨウ化カリウム4.0g/lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、特開2002−86554号公報に記載の図2の形態のテンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、テンターを延伸方向に対し図2の如く屈曲させ、以降幅を一定に保った。80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱した。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフィルムの中心線と次工程に送られるフィルムの中心線のなす角は、46゜であった。ここで|L1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、|L1−L2|=Wの関係にあった。テンター出口における実質延伸方向Ax−Cxは、次工程へ送られるフィルムの中心線22に対し45゜傾斜していた。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。
さらに、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤としてケン化処理した富士写真フィルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm)と貼り合わせ、さらに80℃で乾燥して有効幅650mmの偏光板を得た。得られた偏光板の吸収軸方向は、長手方向に対し45゜傾斜していた。この偏光板の550nmにおける透過率は43.7%、偏光度は99.97%であった。さらに310×233mmサイズに裁断したところ、91.5%の面積効率で辺に対し45゜吸収軸が傾斜した偏光板を得た。
次に、実施例1試料1〜9(鹸化処理済み)フィルムを前記偏光板と貼り合わせて反射防止付き偏光板を作製した。この偏光板を用いて低屈折率層を最表層に配置した液晶表示装置を作製したところ、外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、光散乱性により反射像が目立たず優れた視認性を有していた。
1.5mol/l、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)と、実施例1試料1の裏面鹸化済みトリアセチルセルロースフィルムに、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面を接着、保護して偏光板を作製した。このようにして作製した偏光板を、反射防止膜側が最表面となるように透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製のD−BEFをバックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えたところ、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
実施例1試料1〜9を貼りつけた透過型TN液晶セルの視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルム、およびバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムとして、視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)を用いたところ、明室でのコントラストに優れ、且つ上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
また、自動変角光度計GP−5型((株)村上色彩技術研究所製)を用いて、入射光に対してフィルムを垂直に配置し、全方位に渡って散乱光プロファイルを測定した。このプロファイルより、出射角0°に対する30℃の散乱光強度を求めた。実施例1試料2及び3(光散乱層用塗布液B、C)は、出射角0°に対する30°の散乱光強度が0.06%であり、この光拡散性により、特に下方向の視野角アップ、左右方向の黄色味が改善され、非常に良好な液晶表示装置であった。比較として、試料10(比較例)のフィルムでは、出射角0°に対する30°の散乱光強度が実質0%であり、下方向視野角アップ、黄色味改善効果は全く得られなかった。
実施例1試料1〜9を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。
実施例1試料1〜9および実施例3で作成した偏光板を用いて、片面反射防止フィルム付き偏光板を作製し、偏光板の反射防止膜を有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、表面反射および、表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示が得られた。
実施例1試料1の光散乱層用塗布液Aおよび低屈折率層用塗布液Aを、以下の条件で塗布し、厚さ6μmの光散乱層、厚さ100nmの低屈折率層を形成した。下記のような高い塗布速度でも幅方向、長手方向に塗布量均一性の高い試料が得られた。得られたフィルムについて、実施例1試料1と同じように、反射防止フィルムの評価を行ったところ、実施例1試料1と同等の性能であった。
2 透明支持体
3 光散乱層
4 低屈折率層
5 透光性粒子
W ウェブ
10 コーター
11 バックアップロール
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード形状
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド(平坦部)
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
IUP 上流側リップランド18aのランド長さ
ILO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ
GL 先端リップ17とウェブWの隙間
30 スロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
GB バックプレート40aとウェブWの間の隙間
GS サイドプレート40bとウェブWの間の隙間
Claims (8)
- 透明支持体上に少なくとも光散乱層と低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、
該光散乱層は、少なくとも1種の平均粒子径0.5〜5μmの透光性粒子を透光性樹脂に分散してなる層であって、該透光性粒子と該透光性樹脂との屈折率の差が0.02〜0.2であり、該透光性粒子が光散乱層全固形分中に3〜30質量%含有されてなる層であり、
前記低屈折率層は、架橋性若しくは重合性の官能基を含むバインダーを有してなる硬化性組成物を塗布して形成された屈折率が1.30〜1.55の層であることを特徴とする反射防止フィルム。 - 前記低屈折率層のバインダーが(A)架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
- 前記含フッ素ポリマーが、含フッ素ビニルモノマー重合単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を含み、主鎖が炭素原子のみからなる共重合体であることを特徴とする請求項2に記載の反射防止フィルム。
- 前記硬化性組成物が、
(B)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、
(C)平均粒径が前記低屈折率層の厚みの30%以上100%以下で且つ中空構造からなる屈折率が1.15〜1.40である無機微粒子、
(D)重合開始剤
を、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。 - 前記硬化性組成物が、
(A)前記含フッ素ポリマー、
(C)平均粒径が前記低屈折率層の厚みの30%以上100%以下で且つ中空構造からなる屈折率が1.15〜1.40である無機微粒子、
(E)酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物
を、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物であることを特徴とする請求項2又は3に記載の反射防止フィルム。
一般式[A]
(R10)m −Si(X)4-m
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。) - 前記硬化性組成物が、更に
ラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる重合性基を少なくとも2個以上含有する多官能重合性化合物並びに
(D)重合開始剤
を含有する硬化性組成物であることを特徴とする請求項2、3または5のいずれかに記載の反射防止フィルム。 - 前記硬化性組成物が、更に(E)下記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性組成物であることを特徴とする請求項4に記載の反射防止フィルム。
一般式[A]
(R10)m −Si(X)4-m
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。) - バックアップロールによって支持されて連続走行するウェブの表面に、スロットダイの先端リップのランドを近接させて、前記先端リップのスロットから塗布液を塗布する塗布工程を有し、
前記塗布工程は、前記スロットダイのウェブ進行方向側の先端リップのウェブ走行方向におけるランド長さが30μm以上100μm以下であるスロットダイを有し、前記スロットダイを塗布位置にセットしたときに、前記ウェブの進行方向とは逆側の先端リップとウェブとを、両者の隙間が、前記ウェブ進行方向側の先端リップとウェブとの隙間よりも30μm以上120μm以下大きくなるように設置した塗布装置を用いて、前記光散乱層及び前記低屈折率層の何れか一方、または両方の層を形成するための塗布液を塗布する工程であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
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