JP2007041495A - 防眩性反射防止フィルム、該防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板、該偏光板を用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明支持体上に少なくとも防眩層と低屈折率層を有する防眩性反射防止フィルムであって、該防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が0〜35%、該防眩性反射防止フィルムの中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μmであることを特徴とする防眩性反射防止フィルム、この該防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板及びディスプレイ装置。
【選択図】なし
Description
従って、本発明の目的は、高い防眩性と画像ボケ、ギラツキの改善とを両立した防眩性反射防止フィルムを提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上記の防眩性反射防止フィルムを高い生産性で提供することにある。
すなわち、本発明は、下記の構成により、前記目的を達成したものである。
1.透明支持体上に少なくとも防眩層と低屈折率層を有する防眩性反射防止フィルムであって、
該防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が0〜35%、該防眩性反射防止フィルムの中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μmであることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
2.防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が0〜10%あることを特徴とする上記1に記載の防眩性反射防止フィルム。
3.防眩性反射防止フィルムの表面散乱に起因するヘイズ値が5〜15%であることを特徴とする上記1または2に記載の防眩性反射防止フィルム。
4.防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が0〜5%、防眩性反射防止フィルムの表面散乱に起因するヘイズ値が5〜10%であることを特徴とする上記3に記載の防眩性反射防止フィルム。
5.防眩層が、少なくとも1種の平均粒子径0.5〜10μmの透光性微粒子を透光性樹脂に分散してなり、該透光性微粒子と該透光性樹脂との屈折率の差の絶対値が0.00〜0.03であり、該透光性微粒子が防眩層全固形分中に3〜30質量%含有されてなる層であり、該低屈折率層が塗布組成物を塗布して形成された屈折率が1.30〜1.55の層であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
6.透光性樹脂が3官能以上の電離放射線硬化型化合物を主成分として得られた重合体であることを特徴とする上記5に記載の防眩性反射防止フィルム。
7.透光性樹脂が3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなり、透光性微粒子がアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体であることを特徴とする上記6に記載の防眩性反射防止フィルム。
8.透光性樹脂が3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなり、透光性微粒子がアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体であることを特徴とする上記6に記載の防眩性反射防止フィルム。
9.低屈折率層がフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含み、且つ架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーから主としてなる硬化性組成物を塗布して形成されたことを特徴とする上記5に記載の防眩性反射防止フィルム。
一般式(1):(R10)mSi(X)4-m
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
11.防眩層および低屈折率層の両方が、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかを含有する硬化性塗布組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする上記10に記載の防眩性反射防止フィルム。
12.前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする上記10または11に記載の防眩性反射防止フィルム。
Yは、単結合、*−COO−**、*−CONH−**、または、*−O−**を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。
R2〜R4は、各々独立に、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基、または無置換のアルキル基を表す。
R5は水素原子、または無置換のアルキル基を表す。
R6は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。
mおよびl(lはl=100−mの数式を満たす数を表す)はそれぞれモル分率を表し、mは0〜50の数を表す。
13.無機微粒子が、中空構造からなる屈折率1.17〜1.40の酸化ケイ素を主成分としてなる無機微粒子であることを特徴とする上記10に記載の防眩性反射防止フィルム。)
14.偏光膜と、該偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムをそれぞれ貼り合わせてなる偏光板において、上記1〜13の何れかに記載の防眩性反射防止フィルムを片側の保護フィルムに用いたことを特徴とする偏光板。
15.前記偏光板を形成するための前記2枚の保護フィルムのうちの防眩性反射防止フィルム以外となるフィルムが、前記偏光膜と貼り合せる面とは反対側の面に光学異方性層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであり、該光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる層であり、該ディスコティック構造単位の円盤面が該保護フィルム面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と該保護フィルム面とのなす角度が、該光学異方層の深さ方向において変化していることを特徴とする上記14に記載の偏光板。
16.上記14または15に記載の偏光板を少なくとも1枚有することを特徴とする液晶表示装置。
17.表示画面の対角が20インチ以上であることを特徴とする上記16に記載の液晶表示装置。
18.上記1〜13の何れかに記載の防眩性反射フィルムの製造方法であって、透光性微粒子、透光性樹脂、および溶媒を含有する防眩層用の塗布組成物および低屈折率用の塗布組成物の少なくともいずれかの組成物を、バックアップロールによって支持されて連続走行する該透明支持体のウェブの表面にスロットダイの先端リップのランドを近接させて該先端リップのスロットから塗布することにより、該透明支持体上に防眩層および低屈折率層の少なくともいずれかを塗工する工程を含むことを特徴とする防眩性反射防止フィルムの製造方法。
ここで、図1は、本発明の防眩性を有する防眩性反射防止フィルムの好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。
図1に示す本実施形態の防眩性反射防止フィルム1は、透明支持体2と、透明支持体2上に形成された防眩層3と、そして防眩層3上に形成された低屈折率層4とからなる。防眩層3の上に低屈折率層4を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
防眩層3は、透光性樹脂と透光性樹脂中に分散された透光性微粒子5とからなる。
本発明における反射防止層を有する防眩性反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
防眩層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
本発明においては、防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、本実施形態においては、1層で形成されたものを例示しているが、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。また、本実施形態のように透明支持体上に直接設けてもよいが、帯電防止層や防湿層等の他の層を介して設けてもよい。
また、C光源下でのCIE1976L*a*b*色空間における反射光の色味がa*値−2〜2、b*値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の比0.5〜0.99とするのが、反射光の色味がニュートラルとなるので、好ましい。またC光源下での透過光のb*値を0〜3とすると、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。
[防眩層]
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、好ましくはハードコート性を付与することのできる透光性樹脂、防眩性を付与するための透光性微粒子、および溶媒を必須成分として含有する。
透光性微粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字ボケを引き起こしたりするため、好ましくない。一方、10μmを超えると、防眩層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールが大きくなる、素材コストが上昇してしまう、等の問題が生じる。
前記透光性微粒子の具体例としては、例えばポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性微粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。具体的には、後述するような本発明の防眩層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなる透光性樹脂(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセント(好ましくは、55〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%)である架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性微粒子の組合せが好ましく、特に前記透光性樹脂と架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性微粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
また、透光性微粒子の密度は、好ましくは10〜2500mg/m2、より好ましくは10〜1000mg/m2、更に好ましくは100〜700mg/m2である。
また、本発明においては、透光性樹脂と透光性微粒子との屈折率の差(透光性微粒子の屈折率−透光性樹脂の屈折率)の絶対値は、好ましくは0.00〜0.03であり、より好ましくは0.00〜0.02、更に好ましくは0.00〜0.01である。この差が0.03を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
また、透光性樹脂の屈折率は、1.45〜1.70であるのが好ましく、1.48〜1.65であるのが更に好ましい。
また、透光性微粒子の屈折率は、1.42〜1.70であるのが好ましく、1.48〜1.65であるのが更に好ましい。
ここで、透光性樹脂、透光性微粒子の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
透光性樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
また、透光性樹脂は、好ましくは2官能以上、より好ましくは3官能以上の電離放射線硬化型化合物を主成分として得られる重合体であることが好ましい。尚、ここで言う「主成分」とは、50質量%以上含有することを言う。含有量は55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が最も好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上、より好ましくは三個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
バインダーポリマーを高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーや、フルオレン骨格を分子内に有するモノマー等を選択することもできる。
上記の中でも、特に3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなる透光性樹脂が好ましい。ここで言う「主成分」とは、50質量%以上含有することを言う。含有量は55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が最も好ましい。
従って、前記防眩層は、上述のエチレン性不飽和モノマー等の透光性樹脂形成用のモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、透光性微粒子および必要に応じて後述するような無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
最新UV硬化技術(p.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル(重合)開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光ラジカル(重合)開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光ラジカル(重合)開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
従って、多官能エポキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、透光性微粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して防眩層を形成することができる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
防眩層に用いられる無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーを用いる場合、その添加量は、防眩層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このような無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
また、防眩層にオルガノシラン化合物(好ましくは後述の一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれか)を用いることができる。オルガノシラン化合物の添加量は、防眩層の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましい。
本発明の防眩層は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を防眩層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の防眩性反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。
面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。
R14は置換基を有しても良い、炭素数4以上20以下の、直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の、直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、フッ素系ポリマーの効果の観点、また塗膜の乾燥及び塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)の観点から、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。
またフッ素系ポリマー中に一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーが2種類以上構成成分として含まれていても良い。
R24は置換基を有しても良い炭素数1〜20の、直鎖、分岐または環状のアルキル基、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基、置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。炭素数1〜12の、直鎖、分岐、または環状のアルキル基、または総炭素数6〜18の芳香族基がより好ましく、炭素数1〜8の、直鎖、分岐、または環状のアルキル基が更に好ましい。
[低屈折率層]
本発明の反射防止フィルムにおける低屈折率層の屈折率は1.30〜1.55であり、好ましくは1.35〜1.45の範囲である。
屈折率が上記範囲であると、膜の機械強度が低下することなく反射防止性能は向上する。
さらに、低屈折率層は下記数式(I)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(I):(mλ/4)×0.7<n1×d1<(mλ/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、前記数式(I)を満たすとは、前記波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
低屈折率層は、例えば含フッ素ポリマーを主成分(ここでいう「主成分」とは、50質量%以上含有することを言う。含有量は55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が最も好ましい。)とする硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成される硬化膜である。
<低屈折率層用含フッ素ポリマー>
前記含フッ素ポリマーは、硬化被膜にした場合の被膜の動摩擦係数が0.03〜0.20、水に対する接触角が90〜120°、純水の滑落角が70°以下であり、しかも熱または電離放射線により架橋するポリマーであることが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、500gf以下が好ましく、300gf以下がより好ましく、100gf以下が最も好ましい。0.1gf未満では偏光板、表示装置等に適用した場合に表面保護ラミネートフィルムが剥がれ易くなるため、好ましくない。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**, *−(CH2)2−NH−**, *−(CH2)4−O−**, *−(CH2)6−O−**, *−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**,*−CONH−(CH2)3−O−**, *−CH2CH(OH)CH2−O−**, *−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(* はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す)等が挙げられる。mは0または1を表す。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい形態として一般式2が挙げられる。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表し、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
x、y、z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表し、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、5≦y≦70を満たすのが好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55の場合である。z1及びz2については、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たすのが好ましく、更に好ましくは0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
一般式1又は2で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。この際用いられる再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
一般式1又は2で表される共重合体の好ましい具体例としては、特開2004−45462号公報の[0035]〜[0047]に記載されたものを挙げることができ、該公報に記載の方法により合成することができる。
<低屈折率層用無機微粒子>
無機微粒子の配合量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子を主成分(ここでいう「主成分」とは、50質量%以上含有することを言う。含有量は55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が最も好ましい。)とすることが好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上100%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
前記無機微粒子の粒径が上記範囲であれば、耐擦傷性の改良効果が十分であり、しかも低屈折率層表面に微細な凹凸ができにくく、黒の締まりといった外観、積分反射率が改善される。
無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
数式(II):x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
中空の無機微粒子の屈折率をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点からは屈折率1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定を行い測定した。
小サイズ無機微粒子は、大サイズ無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ無機微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
上述のように前記無機微粒子としては、平均粒径が上述のように低屈折率層の厚みの30〜100%であり、中空構造からなり、屈折率が上述のように1.17〜1.40であるものが特に好ましく用いられる。
前記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
<低屈折率層用オルガノシラン化合物>
前記硬化性組成物には、オルガノシラン化合物の加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれか(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有させることが、耐擦傷性の点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
このゾル成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することにより低屈折率層のバインダーとして機能する。また、本発明においては、前記含フッ素ポリマーを有するので、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
一般式(1):(R10)mSi(X)4-m
前記一般式(1)において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えば、CH3COO、C2H5COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
R10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
前記一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物およびその部分縮合物としては、下記一般式(2)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
Yは単結合もしくは*−COO−**、*−CONH−**または*−O−**を表し、単結合、*−COO−**および*−CONH−**が好ましく、単結合および*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
R2〜R4は、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基、もしくは無置換のアルキル基が好ましい。R2〜R4は塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基もしくはメトキシ基が特に好ましい。
R5は水素原子、アルキル基を表す。アルキル基はメチル基、エチル基などが好ましい。
R6は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。
更に、上記一般式(2)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物は、特定のl及びmを有する一般式(2)で表される化合物の複数種の混合物の加水分解物および/またはその部分縮合物であってもよい。
M−49: C2H5−Si(OCH3)3
M−50: t−C4H9-Si(OCH3)3
金属キレート化合物中のR7およびR8は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R9は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3を満たす整数を表す。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
本発明においてβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物は、組成物の保存安定性の観点から、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(防眩層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物の少なくともいずれかを調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかと金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物の少なくともいずれかを添加した液を防眩層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
前記硬化性組成物は、前述の(A)含フッ素ポリマー、(B)無機微粒子及び(C)オルガノシラン化合物に、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤を添加し、更にこれらを適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明の防眩性反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、代表的には富士写真フイルム社製TAC−TD80U,TD80ULなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィンが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
セルロースアシレートは、単層または複数の層からなる。単層のセルロースアシレートは、特開平7−11055号等で開示されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作成され、後者の複数の層からなるセルロースアシレートは、公開特許公報の特開昭61−94725号、特公昭62−43846号等で開示されている、いわゆる共流延法により作成される。すなわち、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムからなる支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
[他の層について]
透明支持体と本発明の防眩層の間に設けても良い他の層として、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、ハードコート層(防眩層だけで硬度が不足する場合)、防湿層、密着改良層、虹ムラ(干渉ムラ)防止層等が挙げられる。
これらの層は、公知の方法にて形成することができる。
[塗布液の調整]
次に、防眩層、および必要に応じて低屈折率層を形成するための塗布液をエクストルージョン法(ダイコート法)、マイクログラビア法等の塗布方法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。その後、光照射および加熱の少なくともいずれかの手段により、防眩層ないし低屈折率層を形成するためのモノマーや硬化性樹脂を硬化する。これにより防眩層ないし低屈折率層が形成される。
<ダイコーターの構成>
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内とすることが好ましい。
また、スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップのウェブ走行方向における長さを30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足できない。したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布を実現するためには、先端リップのウェブ進行方向側のランドの前記長さ及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組み合わせ、つまり隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップとバックアップロールの真直度を出す。
上記の様なバックアップロール及び先端リップの精度を達成することにより、本発明で好ましく用いられる塗布方式は高速塗布時における膜厚の安定性が高い。さらに、上記塗布方式は前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。本発明の防眩性反射防止フィルムの様な低塗布量の塗布液に対して、上記塗布方式は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。他の塗布方式でも塗布は可能であるが、ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難である。上記製造方法を用いることで25m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
防眩層を形成する際には、透明支持体上に直接又は他の層を介してウエット塗布膜厚として6〜30μmの範囲で前記塗液を塗布するのが好ましく、乾燥ムラ防止の観点からさらに3〜20μmの範囲がより好ましい。また、低屈折率層を形成する際には、防眩層上に直接、或いは他の層を介してウエット塗布膜厚として1〜10μmの範囲で塗布組成物を塗布するのが好ましく、2〜5μmの範囲で塗布されるのがより好ましい。
防眩層および低屈折率層は、透明支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送される。その際の乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を透明支持体上に塗布した後、乾燥ゾーン内で透明支持体の塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと透明支持体との温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線および熱の少なくともいずれかの手段により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化する。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。更に表面硬化を促進する為に窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下する必要がある際には、酸素濃度0.01体積%〜5体積%が好ましく、幅方向の分布は酸素濃度で2体積%以下が好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の防眩性反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
(1)アルカリ液に浸漬する方法
アルカリ液の中に防眩性反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、防眩性反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、防眩層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に防眩層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度である。接触角が上記範囲であれば、偏光膜との接着性に問題がなく、しかも反射防止膜の受けるダメージが小さく、物理強度が維持され、好ましい。
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を防眩層や反射防止膜を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(2)と同様に、防眩層および低屈折率層の少なくともいずれかがアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、防眩層、低屈折率層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
防眩層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に防眩層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して防眩層、低屈折率層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、防眩層または他の層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、防眩層または他の層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから防眩層または他の層を形成することで対処できる。また、防眩層または他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
[偏光板]
本発明の好ましい偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方として、本発明の防眩性反射防止フィルムを有する。偏光板用保護フィルムは、前記のように、防眩層や反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が10度〜50度の範囲にあることが好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、物理強度、耐光性に優れた防眩性機能および反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の防眩性反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、さらに、液晶表示装置の明室での視認性やコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる偏光板を作製できる。
偏光板には光学補償層(位相差層)を設けることにより、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償層としては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層を有し、該ディスコティック化合物と透明支持体とのなす角度が透明支持体からの距離に伴って変化していることを特徴とする光学補償層が好ましい。
該角度は該ディスコティック化合物からなる光学異方性層の透明支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償層を偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の防眩性反射防止フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PET−30、日本化薬(株)製)31gをメチルイソブチルケトン38gで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を1.5g添加し、混合攪拌した。続いてフッ素系表面改質剤(FP−149)0.04g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を6.2gを加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.520であった。
最後に、この溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=45/55、屈折率1.530)の30%シクロヘキサノン分散液を21.0g加え、完成液とした。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用塗布液Aを調製した。
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=45/55、屈折率1.530)の共重合組成比を50/50(屈折率1.540)に変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Bを調整した。
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=45/55、屈折率1.530)を平均粒径3.0μmの架橋ポリ(メチルメタクリレート)粒子(架橋剤=エチレングリコールジメタクリレートを10%含有、屈折率1.492)に変更し、その添加量を30%シクロヘキサノン分散液として14.0gに変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Cを調整した。
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=45/55、屈折率1.530)を架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.607)に変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Dを調整した。
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=45/55、屈折率1.530)を共重合組成比を50/50(屈折率1.540)に変更し、その添加量を30%シクロヘキサノン分散液として39.0gに変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Eを調整した。
前記平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=45/55、屈折率1.530)を共重合組成比を50/50(屈折率1.540)に変更し、その添加量を30%シクロヘキサノン分散液として26.0gに変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Fを調整した。
前記シランカップリング剤KBM−5103を、一般式(2)に含まれる市販のシランカップリング剤オリゴマー(X−40−2671G、信越化学工業(株)製)に変更した以外は防眩層用塗布液Aと同様にして、防眩層用塗布液Gを調整した。
ポリシロキサンおよび水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、前記ゾル液a0.6g、およびメチルエチルケトン5g、シクロヘキサノン0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層塗布液Aを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.45であった。
前記低屈折率層用塗布液Aにおいて、シリカゾルの代わりに中空シリカゾル(屈折率1.31、平均粒径60nm、固形分濃度20%)を1.95g用いた以外は添加量も含め前記塗布液Aと同様にして、低屈折率層用塗布液Bを作成した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.39であった。
パーフルオロオレフィン共重合体(1)の15.2g、シリカゾル(シリカ、MEK−STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学社製)1.4g、反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)0.3g、ゾル液a7.3g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.76g、メチルエチルケトン301g、シクロヘキサノン9.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Cを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.44であった。
(1)防眩層の塗設
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、下記の装置構成および塗布条件で示されるダイコート法によって防眩層用塗布液Aを塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの防眩性を有する防眩層を形成し、巻き取った。
上記防眩層用塗布液Aを塗布して防眩層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、前記低屈折率層用塗布液Aを上記の基本条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージにより酸素濃度0.1体積%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
(3)防眩性反射防止フィルムの鹸化処理
前記低屈折率層の製膜後、前記試料について、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した防眩性反射防止フィルムを前記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、前記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済みの防眩性反射防止フィルムを作製した。これを実施例1−1とする。
また、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液E、Fに変更し、ウエット塗布量=21ml/m2した以外は実施例1−1と同様にして防眩層を形成し、更に実施例1−1と同様にして低屈折率層の塗設、鹸化処理した。防眩層用塗布液Eを塗布したものを実施例1−4とし、防眩層用塗布液Fを塗布したものを実施例1−5とする。
更に、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液Dに変更した以外は実施例1−1と同様にして防眩層を形成し、更に実施例1−1と同様にして低屈折率層の塗設、鹸化処理した。防眩層用塗布液Dを塗布したものを比較例1−1とする。
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を表1に示す。
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における鏡面分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面反射率の算術平均値を用いた。
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
(i)JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(ii)得られたフィルムの低屈折率層側の表面にセロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製)を貼付け、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したセロテープ(登録商標)のヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
(iii)上記(i)で測定した全ヘイズ(H)から上記(ii)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
JIS−B0601に準じて得られたフィルムの中心線平均粗さRaを測定した。
得られたフィルムにルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を45度の角度から映し、−45度の方向から観察した際の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭が全くわからない :◎
蛍光灯の輪郭がわずかにわかる :○
蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる :△
蛍光灯がほとんどぼけない :×
また、実施例1−1の低屈折率層用塗布液Aを低屈折率層用塗布液Cに置き換え、塗布後の乾燥条件を100℃、2分間に変更した以外は同様にして防眩性反射防止フィルムを作製したところ、平均反射率が1.5%に改良された。また、低屈折率層用塗布液Cは熱硬化が不要であるため、乾燥時間を短縮することができた。
また、実施例1−1の防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液Gに置き換えた以外は同様にして防眩性反射防止フィルムを作製したところ、生産性高く、耐擦傷性の高いフィルムが得られた。
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)と、実施例1で作製した防眩性反射防止フィルム(鹸化処理済み:実施例1−1〜実施例1−5、比較例1−1)を、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面に接着、保護して偏光板を作製した。これらを、それぞれ実施例2−1〜実施例2−5、比較例2−1とした。
また、上記の鹸化処理済みのトリアセチルセルロースフィルムを両面の保護フィルムに用いて偏光板を作製し、比較例2−2とした。
(偏光板の評価)
実施例2で作製した実施例2−1〜実施例2−5、比較例2−1、比較例2−2の偏光板を、下記の表2のような組合せで、各液晶テレビの視認側の偏光板の一部を剥がして上記偏光板に貼り換えたものを作製した。得られた表示装置について、以下の項目の評価を行った。結果を表2に示す。
表中に記載の精細度と画像サイズを有するLCDパネル(何れもVAモード)で白地に10ポイントの大きさの明朝体で「薔薇」の文字を一行あたり25文字、10行連続して表示した状態で、防眩性のない偏光板を用いて同様の表示をした時と比較した際の文字の輪郭のボケ(画像ボケ)の程度を以下の基準で目視評価した。
ボケが全く気にならず、好ましい :◎
ボケがわずかに気になるが、比較的好ましい :○
ボケが若干気になる :△
ボケが目立ち、好ましくない :×
表中に記載の精細度と画像サイズを有するLCDパネルで緑色のベタ表示をした状態で、B、G、R各画素の部分的な拡大/縮小が不均一に目視される状態(ギラツキ)の程度を以下の基準で目視評価した。
ギラツキが全くわからず、好ましい :◎
ギラツキがわずかにわかるが、比較的好ましい :○
ギラツキが若干気になる :△
ギラツキが目立ち、好ましくない :×
(3)映り込み
得られた液晶テレビにルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を45度の角度から映し、−45度の方向から観察した際の蛍光灯の映り込みの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭が全くわからない程、映り込まない :◎
蛍光灯の輪郭がわずかにわかるが、殆ど映り込まない :○
蛍光灯はぼけているが、若干写り込む :△
蛍光灯が完全に写り込む :×
(4)正面コントラスト
表中に記載の精細度と画像サイズを有するLCDパネル(何れもVAモード)について、暗室にて正面コントラストを測定した。表面側の偏光板を、2枚の表面の平滑なTACフィルムを保護フィルムとして用いた偏光板に貼り換えたものの正面コントラストと比較し以下の基準で評価した。
コントラストの低下なし :◎
コントラスト 0〜2% 低下 :○
コントラスト 2〜10%低下 :△
コントラスト 10%以上低下 :×
本発明の防眩性反射防止フィルムは、20インチ以上の液晶テレビに適用した際、高い防眩性と画像ボケ、ギラツキの改善と暗室コントラスト低下の軽減を両立することができる。
透過型TN液晶セルの視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルム、およびバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムとして、視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)を用いたところ、上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
実施例1−1の防眩層および低屈折率層をバーコート法にて塗布した。防眩層には10番バーを用い、低屈折率層には2.9番バーを用いたが、防眩層では塗布速度が15m/分以上でスジ状の面状ムラが発生し、低屈折率層では塗布速度が20m/分以上でスジ状の面状ムラが発生した。
2 透明支持体
3 防眩層
4 低屈折率層
5 透光性微粒子
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
IUP 上流側リップランド18aのランド長さ
ILO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ(下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差)
GL 先端リップ17とウェブWの隙間(下流側リップランド18bとウェブWの隙間)
30 従来のスロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
GB バックプレート40aとウェブWの間の隙間
GS サイドプレート40bとウェブWの間の隙間
Claims (18)
- 透明支持体上に少なくとも防眩層と低屈折率層を有する防眩性反射防止フィルムであって、
該防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が0〜35%、該防眩性反射防止フィルムの中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μmであることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。 - 防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が0〜10%あることを特徴とする請求項1に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 防眩性反射防止フィルムの表面散乱に起因するヘイズ値が5〜15%であることを特徴とする請求項1または2に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 防眩性反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ値が0〜5%、防眩性反射防止フィルムの表面散乱に起因するヘイズ値が5〜10%であることを特徴とする請求項3に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 防眩層が、少なくとも1種の平均粒子径0.5〜10μmの透光性微粒子を透光性樹脂に分散してなり、該透光性微粒子と該透光性樹脂との屈折率の差の絶対値が0.00〜0.03であり、該透光性微粒子が防眩層全固形分中に3〜30質量%含有されてなる層であり、該低屈折率層が塗布組成物を塗布して形成された屈折率が1.30〜1.55の層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
- 透光性樹脂が3官能以上の電離放射線硬化型化合物を主成分として得られた重合体であることを特徴とする請求項5に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 透光性樹脂が3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなり、透光性微粒子がアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体であることを特徴とする請求項6に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 透光性樹脂が3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなり、透光性微粒子がアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体であることを特徴とする請求項6に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 低屈折率層がフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含み、且つ架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーから主としてなる硬化性組成物を塗布して形成されたことを特徴とする請求項5に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 低屈折率層が、(A)含フッ素ポリマー、(B)平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下である無機微粒子、及び(C)酸触媒の存在下で製造されてなる下記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかを、各々少なくとも1種含有する硬化性組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする請求項9に記載の防眩性反射防止フィルム。
一般式(1):(R10)mSi(X)4-m
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。) - 防眩層および低屈折率層の両方が、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかを含有する硬化性塗布組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする請求項10に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項10または11に記載の防眩性反射防止フィルム。
Yは、単結合、*−COO−**、*−CONH−**、または、*−O−**を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。
R2〜R4は、各々独立に、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基、または無置換のアルキル基を表す。
R5は水素原子、または無置換のアルキル基を表す。
R6は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。
lおよびm(lはl=100−mの数式を満たす数を表す)はそれぞれモル分率を表し、mは0〜50の数を表す。) - 無機微粒子が、中空構造からなる屈折率1.17〜1.40の酸化ケイ素を主成分としてなる無機微粒子であることを特徴とする請求項10に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 偏光膜と、該偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムをそれぞれ貼り合わせてなる偏光板において、請求項1〜13の何れかに記載の防眩性反射防止フィルムを片側の保護フィルムに用いたことを特徴とする偏光板。
- 前記偏光板を形成するための前記2枚の保護フィルムのうちの防眩性反射防止フィルム以外となるフィルムが、前記偏光膜と貼り合せる面とは反対側の面に光学異方性層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであり、該光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる層であり、該ディスコティック構造単位の円盤面が該保護フィルム面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と該保護フィルム面とのなす角度が、該光学異方層の深さ方向において変化していることを特徴とする請求項14に記載の偏光板。
- 請求項14または15に記載の偏光板を少なくとも1枚有することを特徴とする液晶表示装置。
- 表示画面の対角が20インチ以上であることを特徴とする請求項16に記載の液晶表示装置。
- 請求項1〜13の何れかに記載の防眩性反射フィルムの製造方法であって、透光性微粒子、透光性樹脂、および溶媒を含有する防眩層用の塗布組成物および低屈折率用の塗布組成物の少なくともいずれかの組成物を、バックアップロールによって支持されて連続走行する該透明支持体のウェブの表面にスロットダイの先端リップのランドを近接させて該先端リップのスロットから塗布することにより、該透明支持体上に防眩層および低屈折率層の少なくともいずれかを塗工する工程を含むことを特徴とする防眩性反射防止フィルムの製造方法。
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