JP2007293303A - 光散乱フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

光散乱フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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克己 井上
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Hideyasu Ishibashi
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Abstract

【課題】ディスプレイの表面に用い、映り込み低減と明室コントラスト向上の両方を高いレベルで達成する光散乱フィルムの提供。また、該フィルムを用いた偏光板および画像表示装置の提供。
【解決手段】透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルムであって、略平行な光を該フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)としたとき、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)が2.0〜5.0である光散乱フィルム。(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
【選択図】図1

Description

本発明は、光散乱フィルム、偏光板、及び画像表示装置に関する。
CRT、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、電界放出ディスプレイ(FED)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置は、外光の反射によるディスプレイ表面への像の映り込みを防止することで、明室環境下での表示性能を向上することが可能である。
画像表示装置のディスプレイ表面への像の映り込みを防止する方法として、(1)表面散乱性により映り込む像の輪郭をぼかす性能(防眩性)を付与して、映り込む像を認識しづらくする方法と、(2)ディスプレイ表面の最表面に低屈折率層を設けることで反射光量を少なくする性能(反射防止性)を付与して、映り込む像を認識しづらくする方法とが開示されている(特許文献1及び2)。
近年、液晶テレビ等に代表されるような、大画面を有する表示装置を用い、比較的離れた位置から高画質で動画を鑑賞するアプリケーションの市場が急速に拡大している。このようなアプリケーションにおいては、ディスプレイはよりきれいな画像を表示することが求められる。防眩性が強いと、ディスプレイの周辺に置かれているものや蛍光灯、人間などがディスプレイ表面に映り込んだ際に、像の輪郭がボケて、ディスプレイの映像が認識し易くなる(映り込みが低減する)。しかし、ディスプレイ表面の白茶け感が増し、明室下でのコントラスト(明室コントラスト)が低下することがある。
一方、防眩性を付与しないクリアな表面を用いた場合、一層の低屈折率層の薄膜干渉による反射防止のみでは、十分に映り込み低減をできるレベルの低い屈折率を有する低屈折率層が実在せず、屈折率の異なる2層以上の薄膜干渉を用いる場合は、色味が強くなる、及びコストが高くなることがある。
従って、映り込みが低減され、かつ明室コントラストが向上した光散乱フィルムが望まれている。また大画面を有する画像表示装置に最適で、映り込みが低減され、かつ明室コントラストが向上した光散乱フィルムが望まれている。
特許第3507719号公報 特開2003−270409号公報
本発明の一側面は、映り込みの低減と、明室コントラストの両方を高いレベルで達成する光散乱フィルムの提供にある。本発明の別の側面は、該光散乱フィルムを用いた、偏光板及び画像表示装置の提供にある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記の構成にすることにより、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルムであって、略平行な光を該フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)としたとき、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)が2.0〜5.0である光散乱フィルム。
(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
(2)前記反射係数Bが、3.5〜4.5である前記1に記載の光散乱フィルム。
(3)前記散乱係数Aが、1.0〜3.0である前記1又は2に記載の光散乱フィルム。(4)前記5°鏡面反射率Rsが、0.1〜2.0%である前記1〜3のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(5)前記光散乱フィルムの積分反射率が、0.2〜2.0%である前記1〜4のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(6)前記積分反射率と5°鏡面反射率Rsとの差が、0.1〜1.0%である前記5に記載の光散乱フィルム。
(7)透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルムであって、略平行な光を該フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)としたとき、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)が2.0〜5.0であり、且つ、前記5°鏡面反射率Rsが0.1〜2.0%であり、前記光散乱フィルムの積分反射率が0.2〜2.0%であり、前記積分反射率と5°鏡面反射率との差が0.1〜1.0%である光散乱フィルム。
(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
(8) 波長380〜780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5°入射光に対する正反射光のCIE1976L色空間のa値が、それぞれ−7≦a≦7、−10≦b≦10である前記1〜7のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(9) 前記光散乱層が透光性粒子を含有し、透光性粒子の平均粒子径に対する光散乱層の平均膜厚み比率が1.5〜2.5である前記1〜8のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(10) 前記光散乱層が透光性粒子を含有し、三次元の立体構造を有する透光性粒子の凝集部が複数存在し、表面凹凸形状を有する前記1〜9のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(11) 前記光散乱層が少なくとも2層であり、透光性粒子が下層に存在する前記1〜10のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(12) 中心線平均粗さRaが、0.05〜0.15μmである前記1〜11のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(13) 平均山谷距離Smが、50〜150μmである前記1〜12のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(14) 表面の凹凸の平均傾斜角が、0.2〜2.0度である前記1〜13のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(15) 前記光散乱層上に、直接または他の層を介して透明支持体より低屈折率である低屈折率層を有する前記1〜14のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(16) 前記低屈折率層の屈折率が1.20〜1.40である前記15に記載の光散乱フィルム。
(17) 前記低屈折率層が、含フッ素化合物、及び屈折率1.40以下の無機微粒子を含有する硬化性組成物を硬化してなる層であり、かつ該無機微粒子の量が全固形分濃度の30〜55質量%である前記15又は16に記載の光散乱フィルム。
(18) 前記5°鏡面反射率Rsが0.1〜1.5%、前記積分反射率と5°鏡面反射率Rsの差が0.25〜1.0%、前記積分反射率が0.2〜2.0%、前記低屈折率層の屈折率が1.20〜1.40である前記15〜17のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(19) 中心線平均粗さRaが0.05〜0.15μm、平均山谷距離Smが50〜150μm、表面の凹凸の平均傾斜角が0.2〜2.0度である前記18に記載の光散乱フィルム。
(20) 透明支持体の上に光散乱層と低屈折率層とをこの順に有し、光散乱層は透光性粒子を含有し、透光性粒子の平均粒子径に対する光散乱層の平均膜厚み比率が1.5〜2.5である前記1〜19のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(21) 一対の保護フィルムの間に偏光膜を有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、前記1〜20のいずれかに記載の光散乱フィルムである偏光板。
(22) 前記1〜20のいずれかに記載の光散乱フィルム又は前記21に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明によれば、映り込みが低減され、明室コントラストが向上した光散乱フィルム及び偏光板が提供できる。また、ある態様では、画像表示装置表面に用いた時に映り込みが低減され、白茶け感が良好となる反射プロファイルおよび鏡面反射率を有する光散乱フィルムが提供できる。さらに本発明の光散乱フィルム及び該光散乱フィルムを用いた偏光板を、画像表示装置のディスプレイ部の表面に用いることで、映り込みが低減され、明室コントラストが向上した画像表示装置が提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また本明細書において「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本発明の光散乱フィルム(明細書において、本発明のフィルムと称することがある。)は、透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルムであって、略平行な光を該フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)としたとき、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)が2.0〜5.0である。
(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
本発明の光散乱フィルムは、透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する。光散乱層は、光を散乱する機能を有していればよく、他の機能を有していてもよいが、内部散乱性及び/又は表面散乱性を有し、好ましくは表面散乱性に起因する防眩性とハードコート性を兼ね備える形態がよい。また、本発明の光散乱フィルムは、光散乱層のほかに光学干渉の原理を用いて反射率を低減する反射防止層を有する反射防止フィルムであることが好ましい。尚、以下の説明において、特に断りのない限りは、光散乱フィルムは上記構成の反射防止フィルムも含めて意味する。
本発明の光散乱フィルムについて、好適な一実施形態に基づき、図面を参照して説明する。なお、本発明はこの好適な一実施形態に限定されない。
図1(a)は、本発明のフィルムの好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示す本実施形態のフィルム1は、透明支持体2と、透明支持体2上に形成された光散乱層3と、そして光散乱層3上に形成された低屈折率層4とを有する。光散乱層の上に低屈折率層を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減する。また本発明の反射防止フィルムは、透明支持体2上に光散乱層3および低屈折率層4を少なくとも有することが更に好ましい。光散乱層3は、透光性樹脂と透光性樹脂中に分散された透光性粒子5とからなることが好ましい。本発明の光散乱フィルムを構成する各層の屈折率は、以下の関係を満たすことが好ましい。
光散乱層の屈折率 > 透明支持体の屈折率 > 低屈折率層の屈折率
本発明では、光散乱層は、内部散乱性及び/又は表面散乱性を有し、好ましくは表面散乱性に起因する防眩性とハードコート性を兼ね備える形態がよい。図1(a)において、1層で形成されたものを例示しており、コスト、工程の単純化の面からは1層で形成されるのが好ましいが、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。表面凹凸による白茶け感を低減するためには、図1(b)のように表面凹凸を有する光散乱層(透光性粒子を含む層)の上にオーバーコート層を設けることが好ましい。また、帯電防止のためには、光散乱層3と透明支持体2との間または光散乱層3と低屈折率層4との間に透明導電性層を有することが望ましく、光散乱層3と透明支持体2との間に透明導電性層を有することが特に望ましい。また、光散乱層3と透明支持体2の間に透明導電性層を有し、かつ、光散乱層内に通電性粒子を有することが更に望ましい。また、光散乱層3と透明支持体2との間には、透明導電性層以外に、防湿層等の機能層を設けてもよい。
図2(a)および(b)は低屈折率層を設けない実施形態を模式的に示す断面図である。図2のような態様であっても、本発明の効果が得られる場合はあるが、図1のように低屈折率層を設けるのが好ましい。
本発明の光散乱フィルムは映り込みの低減効果が高い。映り込みは、防眩性と反射防止性の2つの光学物性が影響するが、これまでそれぞれの独立の範囲による規定のみであった。それでは十分な指標にならない。本発明では、映り込んだ像の輪郭の視認性には、防眩性と反射防止性性に基づく特性の関数の大きさによって、そのレベルが決まることが判った。即ち、防眩性に関連する表面散乱性を示す散乱係数A(式1)と5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)を特定の範囲にすることが好ましいことを発明者らは見出した。
(散乱係数A)
図8(a)および(b)は散乱係数A算出時における反射光強度の角度依存性の測定法の一例を示す図である。また、図9は受光部の角度θに対する相対反射率dRrel(θ)を示すグラフの一例と|dRrel(θ)/dθ|maxの算出の模式図である。
散乱係数Aは、略平行な光を、透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)により算出される。フィルム表面に映り込んだ反射像のボケ具合が小さいと、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxは大きくなり、逆にボケ具合が大きいと、変化量の最大値は小さくなる。散乱性はボケ具合の逆数にで表すことができ、式1より散乱係数Aが算出される。なお、θは0〜45°まで測定する。
(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
略平行な光とは、±3°の範囲で平行に進行する光のことを意味する。
散乱係数Aは、フィルム表面に入射した光の散乱度合いを意味する1つのパラメーターである。特に、フィルム表面に映り込んだ反射像の輪郭のボケ具合を示す指標として、光沢度や表面ヘイズよりも相関が高い。即ち、映り込み低減の因子である反射像の輪郭のボケ具合を正確に表すパラメーターである。また、散乱係数Aはフィルム表面の白茶け感と関係しており、明室コントラスト向上にも影響を及ぼすパラメーターである。
(反射係数B)
図10は反射係数Bと散乱係数Aおよび5°鏡面反射率Rsとの関係を示す図である。
反射係数Bは、(式1)より求められる散乱係数Aと、5°鏡面反射率Rsとから(式2)を用いて算出される。
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
反射係数Bは、映り込みの強度を意味するパラメーターである。映り込みの強度とは、画像表示装置表面に設けたフィルム表面に映り込んだ反射像を鑑賞者(画像表示装置を鑑賞する者)が認識する度合いを示す。反射像は、その輪郭がぼけるほど、及び/又は反射光量が少ないほど、認識しづらくなるが、その画面サイズ、鑑賞距離(画面から鑑賞者までの距離)などにより、輪郭のボケと反射光量の寄与の度合いが変わることが判った。
反射係数Bを算出する式は、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsの異なるサンプルを作製し、本発明の目的である大画面を有する画像表示装置に適したサイズ(20インチ以上の大画面、特に32インチ以上が好ましい)、鑑賞距離(2m以上)で映り込み強度を評価することで得られる。反射係数Bの散乱係数Aおよび5°鏡面反射率Rsとの関係を図10に示す。なお、反射係数B官能評価値であるため、「人間の感覚量は与えられる刺激量の対数に比例する」というWeber−Fechnerの法則より、刺激値である散乱係数Aと、5°鏡面反射率Rsの対数と相関する。また、反射係数Bは、フィルム表面の白茶け感とも関係しており、明室コントラスト向上にも影響を及ぼすパラメーターである。
本発明において、反射係数Bは、2.0〜5.0の範囲であり、2.5〜4.8の範囲であることが好ましく、3.0〜4.5の範囲であることがより好ましく、3.5〜4.5の範囲であることが特に好ましい。反射係数が、5.0より大きすぎると光散乱フィルムの映り込み低減効果は十分でなく、2.0より小さすぎると光散乱フィルムの明室コントラストが悪化する傾向にある。
表面散乱による明室コントラストの悪化を防ぐためには、反射係数Bとともに、散乱係数Aも特定の範囲にすることが好ましい。散乱係数Aは、1.0〜3.0の範囲にあることが好ましく、1.3〜2.7がより好ましく、1.5〜2.5が特に好ましく、1.7〜2.3が更に好ましい。散乱係数が大きすぎると明室コントラストが悪化し、小さすぎると映り込み防止効果が低減する傾向がある。
映り込みを十分に低減するためには、5°鏡面反射率Rsも特定の範囲にすることが好ましい。5°鏡面反射率Rsは0.1%〜2.0%が好ましく、0.1%以上1.5%以下がより好ましく、0.1%以上1.2%以下が特に好ましく、0.1%以上1.0%以下が更に好ましい。最も好ましくは0.1%以上0.8%以下である。5°鏡面反射率Rsが高すぎると、映り込みが悪化する。
大画面を有する画像表示装置に最適な表面フィルムを提供するためには、明室コントラストを向上させることが好ましい。明室コントラストを向上させるためには、積分反射率は、0.2〜2.0%が好ましく、0.2以上1.8%以下がより好ましく、0.2以上1.5%以下が特に好ましく、0.2以上1.3%以下が最も好ましい。積分反射率が高すぎると映り込み、明室コントラストが悪化する。特にディスプレイを鑑賞する者の正反射の位置から白っぽいものが映り込んでいる場合、明室コントラストの悪化が顕著である。
明室コントラストを向上させるためには、積分反射率に加え、積分反射率と5°鏡面反射率Rsの差を特定の範囲にすることが好ましい。積分反射率と5°鏡面反射率Rsの差は、0.1%〜1.0%が好ましく、0.15%〜0.8%がより好ましく、0.2%〜0.6%がさらに好ましい。積分反射率と5°鏡面反射率Rsの差が大きすぎると、コントラストが悪化する。特に、ディスプレイを鑑賞する者の正反射の位置から黒っぽいものがうつりこんでいる場合、明室コントラストの悪化が顕著である。また、積分反射率と5°鏡面反射率Rsの差が小さすぎると表面散乱性が十分でなく映り込み低減効果が足りなくなる。
本発明では、ディスプレイの観察環境によらず明室コントラストを向上させることが好ましい。それには、前述の積分反射率と、積分反射率と5°鏡面反射率Rsの差の好ましい範囲を同時に満たすことが好ましい。また、反射係数B、散乱係数A、5°鏡面反射率Rsを同時に満たすことが理想的であり、その場合に映り込み低減効果と明室コントラストの向上を同時に満たし、大画面を有する画像表示装置に最適な表面フィルムが提供できる。
大画面を有する画像表示装置に最適な表面フィルムを提供するためには、反射光の色味のニュートラルさを特定の範囲に設定することも好ましい。波長380〜780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5°入射光に対する正反射光のCIE1976L色空間のa値が、それぞれ−7≦a≦7、−10≦b≦10であることが好ましく、−5≦a≦5、−7≦b≦7であることがより好ましく、0≦a≦5、−7≦b≦0の範囲にすることが更に好ましい。a及びbを好ましい範囲にすることで、外光が映り込んだ場合、反射色味がニュートラルになり、鑑賞者はそれを気にならなくなる。前述の各種反射性能と同時にa、bを好ましい範囲にすることが最も好ましい。
前述のような反射性能、色味を実現するためには、光散乱層の屈折率(na)と低屈折率層の屈折率(nb)を特定の範囲にすることが好ましい。光散乱層の屈折率(na)と低屈折率層の屈折率(nb)の差na−nbは0.04以上であり、0.08以上0.35以下であることが好ましく、0.10以上0.30以下であることがより好ましく、0.14以上0.25以下であることが特に好ましい。この屈折率の差の範囲内において、反射率を十分に下げることができ、表面への反射像の映り込みを十分に防止することができ、膜の強度が高くなり、色味が強くなることを防止できる。
光散乱層の屈折率(na)は、1.48〜1.70が好ましく、1.50〜1.60が特に好ましく、1.50〜1.55が特に好ましい。光散乱層の屈折率が小さすぎると、低屈折率層との屈折率差が小さくなり、反射防止性が低減する。一方、屈折率を高くしすぎると、使用できる素材が限定され、高コストになる、色味が強くなるなどで、好ましくない。なお、本発明において光散乱層の屈折率は透光性粒子を除いた固形分を含む塗膜の屈折率から求めた値である。
低屈折率層の屈折率(nb)は、1.20〜1.46が好ましく、1.20〜1.40がより好ましく、1.30〜1.38がさらに好ましく、大画面を有する表示装置に最適な表面フィルムを提供するためには、1.31〜1.37が特に好ましい。低屈折率層の屈折率が高すぎると、反射率が高くなる、反射率を低下するために光散乱層の屈折率を高くする必要が生じるなど、好ましくない。一方、屈折率を低くしすぎると、低屈折率層の強度が低下し、好ましくない。また、使用できる素材が限定され、高コストになるため、好ましくない。
さらに、低屈折率層は下記数式(I)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(I): (mλ/4)×0.7<n1×d1<(mλ/4)×1.3
数式(I)中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。なお、前記数式(I)を満たすとは、前記波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
光散乱層の屈折率と低屈折率層の屈折率は同時に特定の範囲に制御することが好ましい。光散乱層の屈折率が1.50〜1.60、かつ低屈折率層の屈折率が1.20〜1.40であることが好ましく、光散乱層の屈折率が1.50〜1.55、かつ低屈折率層の屈折率が1.20〜1.40であることがより好ましく、光散乱層の屈折率が1.50〜1.55、かつ低屈折率層の屈折率が1.30〜1.38であることがさらに好ましく、光散乱層の屈折率が1.50〜1.55、かつ低屈折率層の屈折率が1.31〜1.37であることが特に好ましい。
本発明の光散乱フィルムでは、光散乱層より高屈折率の層(高屈折率層)と低屈折率層を積層した構成を用いてもよいし、光散乱層と高屈折率層に中間の屈折率を有する層(中屈折率層)と高屈折率層と低屈折率層を積層した構成を用いてもよい。中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層各層の膜厚はそれぞれ200nm以下にすることが好ましく、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層各層の膜厚、屈折率に関しては、例えば特開2003−121606に記載の層構成を用いることができる。但し、コスト、ムラ、生産性などの観点からは、光散乱層と低屈折率層の間に中屈折率層や高屈折率層を設けずに低屈折率層を前述の範囲にすることで、反射性能をコントロールすることが特に好ましい。
前述のような反射性能、色味を実現するためには、光散乱フィルムの表面の凹凸を特定の範囲に制御することが好ましい。本発明の光散乱フィルムは、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.02〜0.35μmであり、好ましくは0.02〜0.20μm、より好ましくは、0.03〜0.15μm、さらに好ましくは0.05〜0.15μmである。Raが大きすぎると明室コントラストが悪化し、Raが小さすぎると映り込みが悪化する。10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが好ましくは30〜200μm、特に好ましくは50〜180μm、更に好ましくは50〜150μm、特に好ましくは80〜120μmである。凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、傾斜角0〜5度の面が10%以上となるように設計するのが好ましい。
明室コントラストを良化するためには、平均傾斜角の制御も好ましい。平均傾斜角は好ましくは0.1度〜4.0度、特に好ましくは0.2度〜3.0度、更に好ましくは0.2〜2.0度、最も好ましくは0.2〜1.2度である。平均傾斜角が大きいと明室コントラストが悪化し、小さいと映り込みが悪化する。両者を良好な特性とするためには、平均傾斜角とともに、Sm値も上述の範囲を満たすことが好ましく、平均傾斜角が0.2〜1.2度で、Sm値が50〜120μmであることを同時に満たすことが特に好ましい。
大画面を有する画像表示装置に最適な明室コントラスト、映り込み低減効果の良好な表面フィルムを提供するためには、反射性能、色味を最適に設計する必要がある。そのためには、散乱層の屈折率と低屈折率層の屈折率と同時に表面の凹凸を特定の範囲にするのが最も好ましく、光散乱層の屈折率が1.50〜1.55、かつ低屈折率層の屈折率が1.31〜1.37、及びRaが0.08〜0.13μmを同時に満たすことが最も好ましく、更に好ましくは同時にSm、平均傾斜角を前述の範囲に設定することである。
本発明の光散乱フィルムは、表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)は0.3%〜20%が好ましく、0.5%〜10%が特に好ましく、であり、0.5%〜5%であることが好ましく、0.5〜2%であることが特に好ましい。表面ヘイズが大きすぎると明室コントラストが悪化し、小さすぎると映り込みが悪化する。
本発明の光散乱フィルムは、その光学特性を内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズと呼称する)が0%〜60%であることが好ましく、1%〜40%であることがより好ましい、5%〜35%であることが特に好ましく、7%〜30%であることが更に好ましい。内部ヘイズが大きすぎると正面コントラストが低下し、白茶け感が増す。小さすぎると使用できる素材の組合せが限定され、防眩性その他の特性値の組合せることが困難となり、また、高コストとなる。
なお、表面ヘイズと内部ヘイズは以下の手順で測定することができる。
(1)JIS−K7136に準じてフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2)フィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3)上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
本発明の光散乱フィルムは、JIS K7105に準じた像鮮明性が、光学くし幅0.
5mmで測定した時に、好ましくは30%〜99%、より好ましくは40%〜95%、更に好ましくは50%〜90%、更に好ましくは60%〜80%である。像鮮明性が低いと明室コントラストが悪化し、高いと映り込みが悪化する。
〔光散乱層〕
光散乱層は、表面散乱による防眩性と、内部散乱性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、好ましくはハードコート性を付与することのできる透光性樹脂、防眩性、内部散乱性を付与するための透光性粒子を含有する。
(透光性粒子)
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは3〜10μm、特に好ましくは5〜10μm、更に好ましくは6〜8μmである。平均粒径が小さいと表面の平均傾斜角が大きくなり、明室コントラストが悪化する傾向がある。また、光の内部散乱性に起因する高角度方向の散乱が大きくなり、暗室コントラストが悪化する、ディスプレイの文字ボケを引き起こすなどの点より好ましくない。また、粒径が大きすぎると、好ましい表面形態を得るためには、膜厚が大きくなり、カールが悪化する。材料コストが高くなるなどの点より好ましくない。
前記透光性粒子の具体例としては、例えばポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。中でも、架橋樹脂粒子が好ましく、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、特に好ましくは架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子が用いられる。粒子サイズと種類とともに、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率を調整することにより、中心線平均粗さとともに、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、を達成することができる。具体的には、後述するような本発明の光散乱層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした透光性樹脂(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート系重合体からなる透光性粒子の組合せが好ましく、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子との組合せがより好ましい。
また、透光性粒子としては、後述の凝集性シリカ等の無機微粒子も用いることができる。
本発明においては、透光性樹脂と透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−透光性樹脂の屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.100で、より好ましくは0.001〜0.050であり、特に好ましくは0.001〜0.040、さらに好ましくは0.001〜0.030、最も好ましくは0.001〜0.025である。上記範囲内であれば、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じずらい。架橋ポリ(メタ)アクリレート系重合体からなる平均粒径6〜8μmの透光性粒子を用い、透光性樹脂と透光性粒子との屈折率の差を0.01〜0.025にするのが特に好ましい。
ここで、前記透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
また、本発明では2種類以上の異なる粒子を併用してもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で表面凹凸を形成し、防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減する、より大きな粒子径の透光性粒子で表面凹凸を形成し、防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で主に内部散乱性を付与する、2種類の粒子で内部散乱性の散乱角度分布を調節するなど、複数の粒子の特徴を生かした設計が可能である。2種以上の異なる粒子を用いる場合も、そのうちの1つには前述の粒子を用いることが好ましい。
前記透光性粒子は、光散乱層全固形分中に5〜40質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは7〜20質量%である。5質量%未満であると、添加効果が不足し、40質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じ易い。
また、透光性粒子の塗布量は、好ましくは30〜2500mg/m、より好ましくは100〜2400mg/m、更に好ましくは600〜2300mg/m、特に好ましくは、1000〜2000mg/mである。
光散乱層の平均膜厚は、2〜30μmが好ましく、7.5〜30μmがより好ましく、8〜20μmが特に好ましく、10〜16μmが更に好ましい。薄すぎるとハードコート性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。拡散層の平均膜厚は、電子顕微鏡で5000倍に断面を拡大し、コクヨ社製トレーシングペーパー(セ−TD58:50g/m)で光散乱層を写し切り、質量を測定することで測定する。
光散乱層の平均膜厚は透光性粒子の平均粒子径の1.4〜3.5倍であり、1.5〜3.0倍が好ましく、1.5〜2.5倍がさらに好ましく、1.6〜2.0倍が特に好ましい。光散乱層の平均膜厚が透光性粒子の平均粒子径の1.4〜3.5倍の場合、防眩性の膜厚依存性、粒子径依存性が小さくなる。そのため、塗布時に発生するスジや乾燥ムラによる膜厚変動が生じたとしても、スジやムラ等の面状欠陥を認識しずらくできる。防眩性は複数の粒子の集合体で形成される3次元立体構造起因の突起により表面凹凸で形成されることが、膜厚や粒子径がわずかに変化しても、表面の凹凸の大きさがほとんど変化しないため、防眩性の変化は小さく好ましい。好ましい表面形態を得ることができる。平均膜厚み/平均粒子比率が小さすぎると、粒子は膜中1層で存在するため膜厚や粒子径がわずかに変化すると、表面の凹凸の大きさが変化し、防眩性が大きく変わる。また、明室コントラストが悪化し易い。また、大きすぎると、複数の粒子の集合体が膜中に埋没するため、表面の凹凸がほとんどなく、必要な防眩性を得ることができない。
平均膜厚み/平均粒子比率が1.4〜3.5の場合にすると粒子ロットにより平均粒子径が変動してフィルムの防眩性に変動が起こることが少なくなり、ロット変動の少ないフィルムを得ることもできる。また、本発明で目的とする映り込みと明室コントラストの点からは、平均膜厚み/平均粒子比率は小さすぎると明室コントラストが悪化し、大きすぎると映り込みが悪化する。
本発明の光散乱フィルムはディスプレイの表面に用いる場合、鉛筆硬度が高いことが好ましい。鉛筆硬度は、2H以上が好ましく、3H〜7Hがより好ましく、4H〜6Hが更に好ましい。
(透光性樹脂)
透光性樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。バインダーポリマーはエチレン性不飽和モノマーとして基材上に塗布された後、重合され、形成されることが特に好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。前記モノマーは2種以上併用してもよい。
表面反射を十分に低減するため、または、内部散乱性を制御するために、光散乱層の屈折率を制御することも好ましく用いられる。光散乱層を高屈折率化するためには、後述のように高屈折率の無機微粒子を光散乱層のバインダー中に分散して高屈折率化する方法、バインダーポリマー自体を高屈折率化し、高屈折率の無機微粒子を用いずに光散乱層を高屈折率化する方法などが好ましく用いられる。バインダーポリマーを高屈折率にするには、このモノマー構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーまたはオリゴマーや、フルオレン骨格を分子内に有するモノマーまたはオリゴマー等を選択することもできる。高屈折率モノマーの具体例としては、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート類、ウレタン構造を有する(メタ)アクリレート類、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
また、透光性樹脂は、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなることが好ましい。このようなモノマーから透光性樹脂が形成されることにより、光散乱層の硬度が高くなり、より薄い膜厚でハードコート性を付与することができるという効果が得られる。
ここで、「3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした透光性樹脂」とは、透光性樹脂中に3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーからなる樹脂成分が、40〜100モル%含まれていることを意味する。3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーからなる繰り返し単位の含有量は好ましくは60〜100モル%である。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、前記光散乱層は、上述したエチレン性不飽和モノマー等の透光性樹脂形成用のモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、透光性粒子および必要に応じて後述するような無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後、電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
光ラジカル(重合)開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
最新UV硬化技術(p.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル(重合)開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光ラジカル(重合)開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光ラジカル(重合)開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
ポリエーテルを主鎖として有するバインダーポリマーは、多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、透光性粒子および無機微粒子を含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して光散乱層を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
(無機微粒子)
光散乱層には、硬度向上、層の屈折率を調整して内部散乱に起因するヘイズ値を本発明の範囲に調整するため、また、塗布液の粘度を調整して、好ましい表面形態を得るために、前記の透光性粒子に加えて、無機微粒子を用いることも可能である。無機微粒子を用いる場合には、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とし、平均粒径が1μm以下、好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下、特に好ましくは0.06μm以下、更に好ましくは0.02μm以下である無機微粒子が好ましい。これらの無機微粒子は、一般的に比重が有機物よりも高く、塗布組成物の密度を高くできるため、透光性粒子の沈降速度を遅くする効果もある。
無機微粒子としては、高屈折率化のためには、チタン、ジルコニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とする金属酸化物のうちより選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を用いることが特に望ましく、チタン、ジルコニウムのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とする金属酸化物のうちより選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を用いることが特に望ましい。また両者のうちでは、光散乱層の耐光性の観点からは、光触媒作用のないジルコニウムが望ましいが、光触媒作用を抑制したチタンを用いることも望ましい。
また、帯電防止の観点からは、導電性の無機微粒子を用いることが望ましく、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とする無機微粒子のうちより選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を用いることが望ましい。
また、硬度向上、屈折率調整の目的で、前記透光性樹脂より屈折率が低い無機粒子を少なくとも1種を添加してもよい。屈折率が低い無機微粒子としては、シリカ粒子が好ましく用いられる。
シリカ粒子のもう一つの好ましい形態として、一次粒子径が数十nmの粒子が凝集体を形成した凝集性のシリカが用いられる。凝集性のシリカは、適度な表面ヘイズを安定に付与でき、前述の防眩性を付与する透光性粒子として好ましく用いることもできる。凝集性のシリカは単独で用いてもよいし、他の透光性粒子、無機微粒子と併用することもできる。凝集性のシリカは、例えば、珪酸ナトリウムと硫酸の中和反応により合成された、いわゆる湿式法により得ることができるがこれに限らない。湿式法にはさらに沈降法、ゲル化法に大別させるが、本発明はどちらの方法であってもよい。凝集性シリカの二次粒径は、0.1〜10.0μmの範囲が好ましいが、粒子を含有する光散乱層の層厚と組み合わせて選択される。二次粒径の調整は、粒子の分散度(サンドミル等を用いた機械的な分散、分散剤等を用いた化学的な分散、による制御を行う)で行う。
光散乱層に用いられる無機微粒子は表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。表面処理剤は事前にカップリング処理せず、塗布組成物中に混合して用いることもできる。
これらの無機微粒子を用いる場合、その添加量は、光散乱層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このような無機微粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
また、光散乱層に後述の低屈折率層で使用することのできるオルガノシラン化合物及びその誘導体を用いることができる。オルガノシラン化合物及びその誘導体の添加量は、光散乱層の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、3〜15質量%が特に好ましい。
(レベリング剤)
光散乱層はムラ防止を目的として各種のレベリング剤を使用することが好ましい。レベリング剤としては、具体的にはフッ素系レベリング剤、又はシリコーン系レベリング剤が好ましく、特にフッ素系レベリング剤はムラ防止能が高く、好ましい。
また、レベリング剤は、低分子化合物よりもオリゴマーやポリマーであることが好ましい。
光散乱層にレベリング剤を添加すると、塗布された液膜の表面にレベリング剤が速やかに偏在し、光散乱層の膜乾燥後もレベリング剤がそのまま表面に偏在することになるので光散乱層膜の表面エネルギーは、レベリング剤によって低下する。
従って光散乱層のムラを防止するという観点からは光散乱層の表面エネルギーが低いことが好ましい。
光散乱層の表面エネルギー(γsv:単位、mJ/m2)とはD.K.Owens:J.Appl.Polym.Sci.,13,1741(1969)を参考に、防眩性光散乱層上で実験的に求めた純水H2Oとヨウ化メチレ
ンCH22のそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から以下の連立方程式(1)(2)より求めたγsdとγshの和で表される値γsv(=γsd+γsh)で定義する防眩性光散乱層の表面張力のエネルギー換算値である。(mN/m単位をmJ/m2単位としたもの)サンプルは測定
する前に所定の温湿度条件で一定時間以上調湿を行うことが必要である。この際の温度は20℃〜27℃、湿度は50RH%〜65RH%の範囲であることが好ましく、調湿時間は2時間以上であることが好ましい。
(1)1+cosθH2O=2√γsd(√γH2Od/γH2Ov)+2√γsh(√γH2Oh/γH2Ov)
(2)1+cosθCH2I2=2√γsd(√γCH2I2d/γCH2I2v)+2√γsh(√γCH2I2h/γCH2I2v)
ここで、γH2O d=21.8°、γH2O h=51.0°、γH2O v=72.8°、γCH2I2 d=49.5°、γCH2I2 h=1.3°、γCH2I2 v=50.8°である。
光散乱層の表面エネルギーは、45mJ/m2以下の範囲であり、20〜45mJ/mの範囲が好ましく、22〜40mJ/m2の範囲がより好ましい。
光散乱層の表面エネルギーを45mJ/m2以下とすることにより、光散乱層の塗布ムラが生じにくいという効果が得られる。
ただし、光散乱層の上にさらに低屈折率層などの上層を塗布するため、レベリング剤は上層へ溶出することが好ましく、光散乱層の上層塗布液の溶媒(例えばメチルエチルケトン)で光散乱層を浸漬した後の光散乱層の表面エネルギーは、むしろ高いことが好ましく、表面エネルギー35〜70mJ/m2であることが好ましい。
以下では光散乱層のレベリング剤として好ましいフッ素系レベリング剤について説明する。シリコーン系レベリング剤については後述する。
フッ素系レベリング剤としては、フルオロ脂肪族基を有する重合体が好ましく、さらに下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)の重合体、又は下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)および下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。このような単量体としては、PolymerHandbook2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2,Page 1〜483記載のものを用いることが出来る。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
(i)下記一般式1で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式1
上記一般式1において、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基が好ましい。Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、酸素原子または−N(R12)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R12は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。Rfは−CF3または−CF2Hを表す。
一般式1中のmは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。
一般式1中のnは1〜11の整数を表し、1〜9がより好ましく、1〜6が更に好ましい。Rfは−CF2Hが好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式1で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーから誘導される重合単位が2種類以上構成成分として含まれていても良い。
(ii)上記(i)と共重合可能な下記一般式2で示されるモノマー
一般式2
上記一般式2において、R13は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、酸素原子または−N(R15)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R15は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。
14は、置換基を有しても良い炭素数1〜60の直鎖、分岐状、あるいは環状のアルキル基、または置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。該アルキル基はポリ(アルキレンオキシ)基を含んでも良い。さらに、炭素数1〜20の直鎖、分岐状あるいは環状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10の直鎖、分岐状のアルキル基が極めて好ましい。
好ましいフッ素系ポリマーの製造に用いられる上記一般式1で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの単量体全量に基づいて、10質量%以上であり、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70〜100質量%であり、さらに好ましくは80〜100質量%の範囲である。
以下、好ましいフッ素系ポリマーの具体的な構造例を示すがこの限りではない。
なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
フッ素系ポリマーを構成するフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位の量は、10質量%を超えることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、光散乱層のムラを防止するという観点を重視すれば、75〜100質量%であることが最も好ましく、光散乱層の上に低屈折率層を塗布する場合は、50〜75質量%であることが最も好ましい。(該フッ素系ポリマーを構成する全重合単位で記載した)
シリコーン系レベリング剤について、説明する。シリコーン系レベリング剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のオリゴマー等の各種の置換基で、側鎖、主鎖の末端が変性されたポリジメチルシロキサン等が挙げられ、信越化学社製のKF−96、X−22−945などがある。
その他、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤も好ましく用いることができる。
これらの非イオン活性剤の具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191があり、さらにSUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましく、特開平6−49486号が参考にできる。
これらの具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208等が挙げられる。
塗布液に対する上記含フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤の添加量は、0.001質量%〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%〜0.2質量%である。
光散乱層塗布時には、含フッ素系レベリング剤やシリコーン系レベリング剤を用いて塗布液の表面張力を下げて面状均一性を高め、高速塗布による高生産性を維持し、光散乱層塗布後にコロナ処理、UV処理、熱処理、鹸化処理、溶剤処理といった表面処理、特に好ましくはコロナ処理を行って、表面自由エネルギーの低下を防ぐことにより、低屈折率層塗布前の光散乱層の表面エネルギーを前記範囲に制御することでも目的を達成することができる。
フッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、フッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼすことがある。
本発明のフィルムは、塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは1〜50cPであり、さらに好ましくは3〜20cPであり、最も好ましくは5〜10cPである。
このような増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
ポリスチレン
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
この他にも特開平8−325491号記載のスメクタイト、マイカ、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイトなどの層状化合物及びポリアクリル酸ソーダ、特開平10−219136号記載のエチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することが出来る。チキソトロピー性付与剤としては、0.3μm以下の粒径の層状化合物を有機化処理したものが特に好ましい。0.1μm以下の粒径のものが更に好ましい。層状化合物の粒径は、長軸の長さで考えることができる。通常、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜10質量部程度とするのが好適である。
本発明の光散乱層は、直接透明支持体上にウエット塗布されるケースが多いため、特に塗布組成物に用いる溶媒は重要な要因となる。要件としては、上記透光性樹脂等の各種溶質を充分に溶解すること、上記透光性粒子を溶解しないこと、塗布〜乾燥過程で塗布ムラ、乾燥ムラを発生しにくいことが挙げられる。また、支持体を溶解しないこと(平面性悪化、白化等の故障防止に必要)、逆に最低限の程度には支持体を膨潤させること(密着性に必要)、等も好ましい特性である。溶剤は1種でもよいが、2種以上の溶剤を用いて、支持体の膨潤性、素材の溶解性、乾燥特性、粒子の凝集性などを調整することが特に好ましい。
溶媒の具体例として、各種ケトン(メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、各種セロソルブ(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)が好ましく用いられる。その他として、各種アルコール類(プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、トルエンなどが好ましく用いられる。
支持体にトリアセチルセルロースを用いる場合には、具体例として、主溶媒として各種ケトン(メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、各種セロソルブ(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、トルエンが好ましく用いられる。また、上記の中から選択した主溶媒に対して、水酸基を有する少量溶媒を添加することにより、防眩性が調整でき、特に好ましい。水酸基を有する少量溶媒は、塗布組成物の乾燥工程において主溶媒よりも後まで残留することで防眩性を強くすることができるため、20〜30℃の範囲内における任意の温度において、前記主溶媒に対して、前記少量溶媒の蒸気圧が低いことが好ましい。例えば、主溶媒をメチルイソブチルケトン(21.7℃における蒸気圧:16.5mmHg)に対して水酸基を有する少量溶媒としてプロピレングリコール(20.0℃における蒸気圧:0.08mmHg)の組み合わせが好ましい一例として挙げられる。主溶媒と水酸基を有する少量溶媒の混合比は、前者:後者として質量比で99:1〜50:50が好ましく、95:5〜70:30がより好ましい。上記範囲内において、塗布液の安定性が良好となる。3種類以上の溶媒を用いる場合は、最も量の多い溶媒の量:他の溶媒の合計を上記の範囲にすることが好ましい。
また、上記溶剤の中から選択した、透明支持体の膨潤性の低い主溶媒に対して、膨潤性の高い少量溶媒を添加することにより、他の性能、面状を悪化させることなく、透明支持体との密着性を向上させることができる。具体的には、主溶媒として、メチルイソブチルケトン、トルエンを用い、少量溶媒として、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール等を用いることができ、特に好ましくは、主溶媒として、メチルイソブチルケトン、トルエンを用い、少量溶媒として、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、を用いることである。また、溶媒の親水性制御のために、プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール等を添加して用いることもでき、特にプロピレングリコール、エチレングリコールが好ましく用いることができる。
主溶媒と少量溶媒の混合比は、重量比で99:1〜50:50が好ましく、95:5〜60:40がより好ましい。この範囲内において、塗布後の乾燥工程における面質のバラツキが防止される。3種類以上の溶媒を用いる場合は、最も量の多い溶媒の量:他の溶媒の合計を上記の範囲にすることが好ましい。
〔低屈折率層〕
本発明で用いられる低屈折率層は、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含み且つ架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素化合物を主としてなる熱硬化性および/または光硬化性を有する組成物を塗布して形成されることが好ましい。
低屈折率層は、例えば含フッ素化合物を主成分とする硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成される硬化膜である。
低屈折率層を形成する際に使用される硬化性組成物は、(A)含フッ素化合物、(B)無機微粒子、および(C)オルガノシラン化合物のうちの少なくとも2種を含有してなるのが好ましく、3種全てを含有することが特に好ましい。含フッ素化合物としては、屈折率の低い含フッ素モノマー、オリゴマー、ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素モノマー、オリゴマー、ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材としては、熱または電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。
低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
(低屈折率層用含フッ素ポリマー)
前記含フッ素ポリマーは、熱または電離放射線により架橋するポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
また、本発明の光散乱フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、500gf(4.9N)以下が好ましく、300gf(2.9N)以下がより好ましく、100gf(0.98N)以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーは、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含有し、且つ架橋性もしくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーであることが好ましく、例えば、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物〔例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン〕の加水分解物や脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性単位とを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素共重合体の場合、主鎖は、炭素原子のみからなるのが好ましい。すなわち、主鎖骨格に酸素原子や窒素原子などを有しないのが好ましい。
前記含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
前記架橋反応性単位としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位;カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー〔例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等〕の重合によって得られる構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また、前記含フッ素モノマー単位及び前記架橋反応性単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から、適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合させて、他の重合単位を導入することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類〔エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等〕、アクリル酸エステル類〔アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル〕、メタクリル酸エステル類〔メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等〕、スチレン誘導体〔スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等〕、ビニルエーテル類〔メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等〕、ビニルエステル類〔酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等〕、アクリルアミド類〔N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等〕、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
前記含フッ素ポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類とのランダム共重合体であり、特に単独で架橋反応性基〔(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等〕を有していることが好ましい。
前記架橋反応性基を有する重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
本発明に用いられる低屈折率層用含フッ素ポリマーの好ましい形態として一般式L−1で表される共重合体が挙げられる。
一般式L−1
一般式L−1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N及びSから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**, *−(CH22−NH−**, *−(CH24−O−**, *−(CH26−O−**, *−(CH22−O−(CH22−O−**,*−CONH−(CH23−O−**, *−CH2CH(OH)CH2−O−**, *−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(* はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式L−1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式L−1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
Aの好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65が好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。ただし、x+y+z=100である。本発明における一般式L−1は、一般式L−2であることが好ましい。
一般式L−2
一般式L−2において、Xは一般式1と同じ意味を表わし、好ましい範囲も同じである。nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式L−1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
x、y、z1およびz2は、それぞれの繰返し単位のmol%を表わし、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、5≦y≦70を満たすのが好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55の場合である。z1及びz2については、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たすのが好ましく、更に好ましくは0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
一般式L−1又はL−2で表わされる共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。この際用いられる再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
一般式L−1又はL−2で表わされる共重合体の好ましい具体例としては、特開2004−45462号公報の段落番号[0035]〜[0047]に記載されたものを挙げることができ、該公報に記載の方法により合成できる。
(低屈折率層用無機微粒子)
無機微粒子の配合量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムや酸化珪素(シリカ)の微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの例えば10%以上100%以下、30%以上100%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
前記無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
本発明の効果である、映り込みと明室コントラストを両立するためには、前記のこの屈折率範囲に制御する必要があり、前記無機微粒子は、中空構造であるのが好ましく、また、無機微粒子の屈折率は1.17〜1.40が好ましく、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.32である。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空構造の無機微粒子の場合に外殻の無機質のみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(II)で表される空隙率xは
(数式II): x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
であり、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
中空の無機微粒子の屈折率をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点からは屈折率1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。なお、無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定できる。
本発明の効果である、映り込みと明室コントラストを両立するためには、中空の無機微粒子の含有量を制御して低屈折率層の屈折率を前述の範囲にするのが好ましい。無機微粒子の量は、低屈折率層の全固形分中の20〜60質量%であることが好ましく、30〜55質量%であることがより好ましく、35〜50質量%であることが特に好ましい。中空の無機微粒子の量が多すぎると膜が弱くなり、少なすぎると屈折率が十分低下できない。
平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(以下「小サイズ無機微粒子」と称す)の少なくとも1種は、前記の好ましい範囲内の粒径の無機微粒子(以下「大サイズ無機微粒子」と称す)と併用してもよい。
小サイズ無機微粒子は、大サイズ無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ無機微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、8nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
無機微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。中でもカップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
前記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
(低屈折率層用オルガノシラン化合物)
前記硬化性組成物には、オルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)、の中から選ばれる少なくとも一種を含有させることが、耐擦傷性の点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
これらの成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することにより低屈折率層のバインダーとして機能する。また、本発明においては、含フッ素化合物として、好ましくは前記含フッ素ポリマーを有するので、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
一般式(1):(R10m−Si(X)4-m
前記一般式(1)において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。前記一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式(2)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。一般式(2)
前記一般式(2)において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは *−COO−**, *−CONH−**又は *−O−**を表し、単結合、 *−COO−**および *−CONH−**が好ましく、単結合および *−COO−**が更に好ましく、 *−COO−**が特に好ましい。* は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は一般式(1)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式(1)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
前記一般式(1)、一般式(2)の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式(1)、一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
上記M−1乃至10で表される化合物の内、M−1、M−2、及びM−5が好ましい。
前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造される。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、金属キレート化合物、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
金属キレート化合物としては、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとR4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(OR3p1(R4COCHCOR5p2、Ti(OR3q1(R4COCHCOR5q2、およびAl(OR3r1(R4COCHCOR5r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5は、前記と同様に炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
上記金属キレート化合物の具体例のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することができる。
本発明では、前記硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R4COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる硬化性組成物の安定性向上剤として作用するものである。ここで、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を構成するR4およびR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4およびR5と同様である。
このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。上記範囲内において、良好な保存安定性が得られる。
前記オルガノシラン化合物の配合量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(光散乱層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を光散乱層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
本発明においては、前記光散乱層および前記低屈折率層の両方が、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性塗布組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることが好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
前記硬化性組成物には、上述した無機微粒子以外の無機フィラーを本発明の所望の効果を損なわない範囲の添加量で添加することもできる。無機フィラーとしては、光散乱層用で記載した無機微粒子が好ましく、特にインジウムや錫、アンチモンのような導電性を付与できるものを屈折率に大きく影響しない範囲内で添加するのが好ましい。
(ゾルゲル素材)
低屈折率層用の素材として、各種ゾルゲル素材を用いることもできる。このようなゾルゲル素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガノアルコキシ金属化合物、およびその加水分解物を用いることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシランおよびその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化および撥水・撥油性付与の点で好ましく、前述の(A)含フッ素化合物として含有させることも好ましい。
[低屈折率層に含有するその他の物質]
前記硬化性組成物は、前述の(A)含フッ素化合物、(B)無機微粒子及び(C)オルガノシラン化合物に、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤を添加し、更にこれらを適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
低屈折率層と直接接する下層との界面密着性及び低屈折率層の硬度向上等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤を低屈折率層に少量添加することもできる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して40質量%以下の範囲とすることが好ましく、30質量%以下の範囲とすることがより好ましく、20質量%以下の範囲とすることが特に好ましい。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系化合物あるいはフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を低屈折率層に適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3,−CH2(CF24H,−CH2(CF28CF3,−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32,−CH2CF(CF32,−CH(CH3)CF2CF3,−CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば−CH2OCH2CF2CF3,−CH2CH2OCH248H,−CH2CH2OCH2CH2817,−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で適宜添加することのできる、前述のシリコーン系化合物あるいはフッ素系化合物は、その分子構造を低屈折率層用の硬化性組成物中の(A)含フッ素化合物の分子構造中に含むことも好ましい。つまり、前述の含フッ素ポリマーや含フッ素ゾルゲルの分子構造中にブロックまたはグラフとの形態で含有するのが望ましい。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を低屈折率層に適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低n層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。できる。この無機微粒子としては、前述のものを用いることができる
[低屈折率層用の溶剤]
本発明の低屈折率層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。乾燥負荷の観点からは、常圧、室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とすることが好ましく、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが更に好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。例えば、2−ブタノンとシクロヘキサノンを併用する場合、その混合比(質量比)は99:1〜50:50が好ましく、99:1〜80:20がより好ましく、99:1〜90:10がさらに好ましく、99:1〜95:5が特に好ましい。
[透明導電性層]
本発明の光散乱フィルムは、帯電防止の目的で透明導電性層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。透明導電性層は、ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合に有効である。透明導電性層を形成する方法としては、例えば、通電性粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の公知の方法を挙げることができる。塗工する場合、その方法は特に限定されず、塗工液の特性や塗工量に応じて、例えば、ロールコート、グラビアコート、バーコート、押出しコート等の公知の方法より最適な方法を選択して行えばよい。透明導電性層は、透明支持体又は光散乱層上に直接又はこれらとの接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。
透明導電性層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。透明導電性層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜10Ω/sqであることが最も好ましい。帯透明導電性層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
透明導電性層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、透明導電性層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
透明導電性層は、強度が優れていることが好ましく、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度(JIS−K−5400の規定)で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
(通電性粒子)
透明導電性層に用いる通電性粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される透明導電性層中の通電性粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。通電性粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
通電性粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
通電性粒子は、金属の酸化物または窒化物からなる無機微粒子であることが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが挙げられる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。
通電性粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が挙げられる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
通電性粒子は表面処理されていてもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナおよびシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
通電性粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
透明導電性層中の導電性無機微粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。二種類以上の通電性粒子を透明導電性層内で併用してもよい。
通電性粒子は、分散物の状態で透明導電性層に使用することができる。通電性粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。この中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。通電性粒子は、分散機を用いて媒体中に分散できる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが挙げられ、サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが挙げられる。
通電性粒子は、光散乱層内に添加することもできる。
(透明導電性層のバインダー)
透明導電性層は、架橋しているポリマーをバインダーとして用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。アニオン性基は、通電性粒子の分散状態を維持する機能を有する。架橋構造は、ポリマーに皮膜形成能を付与して、透明導電性層を強化する機能を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。
ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。
ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。
ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。
ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。
ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。
ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。
メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は、二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋構造は、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。
四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
上記バインダーに対して、例えば特開2003−39586号公報に記載の以下の反応性有機珪素化合物と併用することもできる。反応性有機珪素化合物は、電離放射線硬化型樹脂と反応性有機珪素化合物の合計に対して10〜100重量%の範囲で使用される。特に下記の(3)の電離放射線硬化性有機珪素化合物を使用する場合には、これだけを樹脂成分として導電層を形成することが可能である。
(1)珪素アルコキシド
RmSi(OR’)nで表される化合物であり、ここでR、R’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m及びnはそれぞれm+n=4となる整数である。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(2)シランカップリング剤
例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
(3)電離放射線硬化性珪素化合物
電離放射線によって反応架橋する複数の基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機珪素化合物が挙げられる。このような反応性有機珪素化合物は、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
その他の化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
帯電防止機能をより発現するためには、特開2003−39586号公報に示されるように、本発明の光散乱層中に通電性粒子を分散し、異方性導電膜としての機能を有させることも好ましい。
[透明支持体]
本発明の光散乱フィルムの透明支持体は、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、代表的には富士フイルム社製TAC−TD80U,TD80ULなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィンが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
セルロースアシレートは、単層または複数の層からなる。単層のセルロースアシレートは、特開平7−11055号等で開示されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作成され、後者の複数の層からなるセルロースアシレートは、公開特許公報の特開昭61−94725号、特公昭62−43846号等で開示されている、いわゆる共流延法により作成される。すなわち、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムからなる支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
前記セルロースアシレートを溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし地球環境や作業環境の観点から、溶剤はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは有機溶剤中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。
前記セルロースアシレートフィルム(トリアセチルセルロースなどからなるフィルム)およびその製造法については発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行)に記載されている。
支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。ハンドリング適性、塗布適性等を考慮すると80μm前後が好ましいが、表示装置の薄手化の傾向から、偏光板の薄手化のニーズが大きく、偏光板薄手化の観点では40μm〜60μm前後が好ましい。このような薄手のセルロースアシレートフィルムを本発明の光散乱フィルムの透明支持体として用いる場合には、セルロースアシレートフィルムに直接塗布する層の溶媒、膜厚、架橋収縮率等を最適化することにより前記のハンドリング、塗布適性等の問題を回避することが好ましい。
支持体の巾は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることがさらに好ましい。
支持体の長さは任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜10000mのものが用いられ、300〜5000mであることが好ましく、500〜3000mであることがさらに好ましい。
[他の層について]
透明支持体と本発明の光散乱層の間に設けても良い他の層として、他の光散乱層(光散乱層だけで硬度が不足する場合)、防湿層、密着改良層、虹ムラ(干渉ムラ)防止層等が挙げられる。これらの層は、公知の方法にて形成することができる。
本発明の光散乱フィルムは、以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
[塗布液の調製]
各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。1%以下が特に好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
光散乱層を形成する塗布液中には、直接その上に形成される低屈折率層の乾燥膜厚(50nm〜120nm程度)に相当する異物を概ね全て(90%以上を指す)除去できるろ過をすることが好ましい。光拡散性を付与する為の透光性粒子が低屈折率層の膜厚と同等以上であるため、前記ろ過は、透光性粒子以外の全ての素材を添加した中間液に対して行うことが好ましい。また、前記のような粒径の小さな異物を除去可能なフィルターが入手できない場合には、少なくとも直接その上に形成される層のウエット膜厚(1〜10μm程度)に相当する異物を概ね全て除去できるろ過をすることが好ましい。このような手段により、直接その上に形成される層の点欠陥を減少することができる。
[塗布]
次に、光散乱層、および必要に応じて低屈折率層またはその他の層を形成するための塗布液を透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。その後、光照射および/または加熱して各層を形成するためのモノマーや硬化性樹脂を硬化する。これにより各層が形成される。
本発明のフィルムの各層を塗布する方法は特に制限されないが、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましく、高い生産性で供給するために、ダイコート法が好ましく用いられる。特に、本発明の光散乱層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cc/m2以下)で好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に説明する。
(ダイコーターの構成)
図3は本発明で用いるスロットダイを用いたコーターの断面図である。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、例えば図3に示すような略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
図4は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は本発明で用いるスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、本発明のスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは30μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上80μm以下、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。下流側リップのランド長さILOが30μmよりも短い場合は、先端リップのエッジあるいはランドが欠けやすく、塗膜にスジが発生しやすくなり、結果的には塗布が不可能になる。また、下流側の濡れ線位置の設定が困難になり、塗布液が下流側で広がりやすくなるという問題も発生する。この下流側での塗布液の濡れ広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながることが従来知られている。一方、下流側リップのランド長さILOが100μmよりも長い場合は、ビードそのものを形成することができないために、薄層塗布を行うことは不可能である。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間GLとは下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
図5は、本発明での塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。ウェブWの進行方向側とは反対側に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間にはそれぞれ隙間GB、GSが存在する。図6及び図7は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。サイドプレートとバックプレートは図6のようにチャンバー本体と一体のものであってもよいし、図7のように適宜隙間を変えられるようにチャンバーにネジ40cなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB、GSと定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブWとの隙間GBとは、減圧チャンバー40を図4のようにウェブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブWまでの隙間を示す。
バックプレート40aとウェブWとの隙間GB をスロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GL よりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GLが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェブWの間の隙間GBは100μm以上500μm以下が好ましい。
(材質、精度)
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内とすることが好ましい。
また、スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップのウェブ走行方向における長さを30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足できない。したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布を実現するためには、先端リップのウェブ進行方向側のランドの前記長さ及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組み合わせ、つまり隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップとバックアップロールの真直度を出す。
(塗布速度)
上記の様なバックアップロール及び先端リップの精度を達成することにより、本発明で好ましく用いられる塗布方式は高速塗布時における膜厚の安定性が高い。さらに、本発明の塗布方式は前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。本発明の光散乱フィルムの様な低塗布量の塗布液に対して、本発明の塗布方式は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。他の塗布方式でも塗布は可能であるが、ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難である。本発明の製造方法を用いることで25m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
(ウエット塗布量)
光散乱層を形成する際には、基材フィルム上に直接又は他の層を介してウエット塗布膜厚として3〜50μm、例えば3〜40μmの範囲で前記塗液を塗布するのが好ましく、乾燥ムラ防止の観点からさらに10〜35μmの範囲がより好ましい。15〜32μmの範囲が更に好ましい。また、低屈折率層を形成する際には、光散乱層上に直接、或いは他の層を介してウエット塗布膜厚として1〜10μmの範囲で塗布組成物を塗布するのが好ましく、2〜7μmの範囲で塗布されるのがより好ましく、2〜5μmの範囲で塗布されるのが特に好ましい。
[乾燥]
光散乱層および低屈折率層は、基材フィルム上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送される。その際の乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後、乾燥ゾーン内で基材フィルムの塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと基材フィルムとの温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
[硬化]
溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化する。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。更に表面硬化を促進する為に窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下する必要がある際には、酸素濃度は5体積%以下が好ましく、0.01体積%〜5体積%が特に好ましい。特に低屈折率層の酸素濃度は0.1体積%以下が好ましく、0.05体積%以下が特に好ましく、0.02体積%以下が特に好ましい。幅方向の分布は酸素濃度で2体積%以下が好ましい。
光散乱層の硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に本発明の低屈折率層を設けて電離放射線および/または熱により低屈折率層を硬化した際に下層の光散乱層の硬化率が低屈折率層を設ける前よりも高くなると、光散乱層と低屈折率層との間の密着性が改良され、好ましい。
本発明の光散乱フィルムを偏光膜の両側の保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、前記の光散乱フィルムを、光散乱層構造を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。光散乱フィルムや更に反射防止層を備えた反射防止フィルムの親水化処理としては、下記の鹸化処理を行うことが好ましい。
[鹸化処理]
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に光散乱フィルムや反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、光散乱フィルムや反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の光散乱層や反射防止層を有する表面と反対の表面が親水化される。 偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、光散乱層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に光散乱層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、該ダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない好ましくない。
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を光散乱層や低屈折率層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の光散乱フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
(3)光散乱層や反射防止層をラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、光散乱層および/または低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、光散乱層、低屈折率層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
(4)光散乱層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
光散乱層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、光散乱層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に光散乱層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には光散乱層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに光散乱層や反射防止層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して光散乱層、低屈折率層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、光散乱層または他の層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、光散乱層または他の層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから光散乱層または他の層を形成することで対処できる。また、光散乱層または他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
本発明の光散乱フィルム(好ましくは、光散乱フィルム、又は反射防止フィルム)を用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置について説明する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方として、本発明の光散乱フィルム(好ましくは、反射防止フィルム)を有する。偏光板用保護フィルムは、前記のように、光散乱層や反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が10度〜50度の範囲にあることが好ましい。例えば、本発明の光散乱フィルムの片面に粘着層を設けてディスプレイの最表面に配置できる。本発明の光散乱フィルムは、偏光板における偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。
本発明の光散乱フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、物理強度、耐光性に優れた光散乱機能、あるいは反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。また、本発明の光散乱フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、さらに、液晶表示装置の明室での視認性やコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる偏光板を作製できる。
本発明の光散乱フィルム又は該光散乱フィルムを用いた偏光板を、画像表示装置の表示部の最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、防汚性等に優れた画像表示装置が得られる。
[光学補償フィルム]
本発明の偏光板に、光学補償フィルム(光学異方性フィルム)を設けることにより、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。光学補償フィルムは、偏光子を挟んで本発明の光散乱フィルムの反対側に好ましく用いることができる。光学補償フォルムは、偏光板の保護フィルムのうち、本発明のフィルムを用いたのとは反対側の保護フィルムの上に粘着剤で貼付してもよいし、反対側の保護フィルムとして用いてもよい。偏光板の厚みの観点からは、片側の保護フィルムとして本発明のフィルムを用い、偏光子を挟んで反対側の保護フィルムとして光学補償フィルム用いることが特に望ましい。光学補償フィルムは、光学異方性のある物質をフィルム自体に含有させたり、フィルムを延伸したりすること、あるいはその両方を行うことで、フィルム自体が特定の光学異方性を有してもよいし、フィルム上に光学異方性層(位相差層)を設けてもよい。
光学補償層としては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層を有し、該ディスコティック化合物の円盤面は、保護フィルム面に対して傾いており、該ディスコティック化合物の円盤面と保護フィルム面とのなす角度が保護フィルム面からの距離に伴って変化している(光学異方性層の深さ方向において変化している)ことを特徴とする光学補償層が好ましい。
該角度は該ディスコティック化合物からなる光学異方性層の保護フィルム面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
また、液晶ディスプレイのコントラストの良化、色味を改良するために、光学的異方性(Re、Rth)が小さく実質的に光学的等方性であり、さらには光学的異方性(Re、Rth)の波長分散が小さいセルロースアシレートフィルムを用いることも好ましいし、反射型ディスプレイの場合は1枚または複数枚のフィルムからなるλ/4板の機能を有するフィルムを用いるのも好ましい。
光学補償層を偏光膜の保護フィルムとして用いる場合偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
[偏光膜]
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落番号0020〜0030に詳しい記載がある。
[画像表示装置]
本発明の光散乱フィルム及び該フィルムを用いた偏光板は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)等の画像表示装置に適用することができる。例えば、本発明のフィルム(偏光板)は、透明支持体を有しているため、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
例えば、本発明のフィルムを液晶表示装置における偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)、ECB等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。特に、大型液晶テレビ等の用途として、VA、IPS、OCB等で好ましく用いることができる。大型液晶テレビ等の用途としては、表示画面の対角が20インチ以上であることが好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は応答速度が速いとの利点がある。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は0.53Mpa(5.4kg/cm2)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm2)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(光散乱層用塗布液Aの調製)
PET−30 40.0g
DPHA 6.0g
イルガキュア184 1.7g
MX−600(30%) 21.5g
SP−13 0.06g
KBM−5103 6.0g
MIBK 18.0g
MEK 6.0g
(光散乱層用塗布液Bの調製)
PET−30 37.0g
DPHA 5.0g
イルガキュア184 1.7g
MX−600(30%) 33.5g
SP−13 0.06g
KBM−5103 6.0g
MIBK 18.0g
MEK 6.0g
(光散乱層用塗布液Cの調製)
PET−30 45.0g
DPHA 5.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 1.7g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.3g
SP−13 0.06g
KBM−5103 10.0g
トルエン 30.5g
シクロヘキサノン 8.0g
(ハードコート層用塗布液Dの調製)
PET−30 49.5g
DPHA 5.0g
イルガキュア184 3.0g
SP−13 0.06g
KBM−5103 10.0g
トルエン 36.0g
シクロヘキサノン 13.0g
(光散乱層用塗布液Eの調製)
PET−30 48.5g
イルガキュア127 2.5g
MX−500(30%) 42.7g
SP−13 0.08g
MIBK 1.6g
MEK 53.8g
(光散乱層用塗布液Fの調製)
PET−30 53.3g
イルガキュア184 2.0g
MX−500(30%) 26.6g
サイリシア445(30%) 1.5g
SP−13 0.08g
MIBK 28.5g
MEK 5.6g
(光散乱層用塗布液Gの調製)
PET−30 48.5g
イルガキュア184 2.5g
MX−500(30%) 42.7g
MEK−ST 53.8g
SP−13 0.08g
MIBK 1.6g
(ハードコート層用塗布液Hの調製)
PET−30 45.9g
サイリシア445(30%) 1.5g
イルガキュア184 1.5g
SP−13 0.5g
MIBK 30.0g
MEK 10.0g
光散乱層用塗布液A〜C、E〜Gおよびハードコート層用塗布液D、Hは、上記組成をそれぞれ攪拌後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、光散乱層用およびハードコート用塗布液を調製した。光散乱層用塗布液A〜C、E,F及びハードコート層用塗布液D、Hにより形成される層の屈折率は1.52であった。光散乱層用塗布液Gにより形成される層の屈折率は1.505であった。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
PET−30:
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
DPHA:
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[屈折率1.52、日本化薬(株)製]
KBM−5103:
シランカップリング剤[信越化学工業(株)製]
イルガキュア184:
重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
イルガキュア127:
重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
MX−600:
平均粒径6μmPMMA粒子[屈折率1.49、綜研化学(株)製、30%MIBK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
MX−500:
平均粒径5μmPMMA粒子[屈折率1.49、綜研化学(株)製、30%MIBK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
SX−350:
平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.61、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
架橋アクリル−スチレン粒子:
平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
サイシリア445:
平均粒径6.2μmシリカ粒子[屈折率1.45、富士シリシア化学(株)製、30%MEK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
MEK−ST:
コロイダルシリカ分散物[平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製]
SP−13
本明細書記載のフッ素系ポリマー
(低屈折率層用塗布液Aの調製)
ポリシロキサンおよび水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、屈折率1.45、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、前記ゾル液a0.6g、およびメチルエチルケトン5g、シクロヘキサノン0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層塗布液Aを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.450であった。
(低屈折率層用塗布液Bの調製)
(分散液A)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して作成)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30g、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5g加え混合した後に、イオン交換水を9g加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ1.5%であった。
(塗布液B)
オプスターJTA113(熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%):JSR(株)製)783.3質量部(固形分として47.0質量部)に対して、分散液Aを195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、コロイダルシリカ分散物(シリカ、MEK−STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)30.0質量部(固形分として9.0質量部)、前記ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対91になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率用塗布液Bを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.390であった。
(低屈折率層用塗布液Cの調製)
オプスターJN7228(熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%):JSR(株)製)783.3質量部(固形分として47.0質量部)に対して、分散液Aを240質量部(シリカ+表面処理剤固形分として48.0質量部)、前記ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率用塗布液Cを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.365であった。
(低屈折率層用塗布液Dの調製)
低屈折率層用塗布液CのオプスターJN7228の固形分47質量部の変わりに、前記パーフルオロオレフィン共重合体(1)43質量部、反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)2質量部、ゾル液a 7.3質量部、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)2質量部を用いた以外は低屈折率層塗布液Cと同じに低屈折率層塗布液Dを調整した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.370であった。
(低屈折率層用塗布液Eの調製)
低屈折率層用塗布液D中の分散液Aを240質量部(シリカ+表面処理剤固形分として48.0質量部)、ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)の変わりに、分散液Aを320質量部(シリカ+表面処理剤固形分として64.0質量部)、前記ゾル液a22.9質量部(固形分として6.7質量部)を用いた以外は低屈折率層塗布液Dと同じに低屈折率層塗布液Eを調整した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.320であった。
[実施例1]
(1)光散乱層の塗設
透明支持体として、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U:屈折率=1.49、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、下記の装置構成および塗布条件で示されるダイコート法によって光散乱層用塗布液Aを塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で(酸素濃度を0.05体積%)、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ12μmの防眩性を有する光散乱層を形成し、巻き取った。
基本条件:スロットダイ13は、上流側リップランド長IUPが0.5mm、下流側リップランド長ILOが50μmで,スロット16の開口部のウェブ走行方向における長さが150μm、スロット16の長さが50mmのものを使用した。上流側リップランド18aとウェブWの隙間を、下流側リップランド18bとウェブWの隙間よりも50μm長くし(以下、オーバーバイト長さ50μmと称する)、下流側リップランド18bとウェブWとの隙間GLを50μmに設定した。また、減圧チャンバー40のサイドプレート40bとウェブWとの隙間GS、及びバックプレート40aとウェブWとの隙間GBはともに200μmとした。それぞれの塗布液の液物性に合わせて、光散乱層:光散乱層用塗布液A、C、E,F,G、ハードコート層用塗布液Dの場合:塗布速度=20m/分、ウエット塗布量=17.5ml/m2で、光散乱層用塗布液Bの場合:塗布速度=40m/分、ウエット塗布量=21.0ml/m2で、ハードコート層用塗布液Hの場合:塗布速度=30m/分、ウエット塗布量=13.8ml/m2で、低屈折率層:塗布速度=40m/分、ウエット塗布量=5.0ml/m2で塗布を行った。なお、塗布幅:1300mm、有効幅:1280mmとした。
(2)低屈折率層の塗設
上記光散乱層用塗布液Aを塗布して光散乱層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、前記低屈折率層用塗布液Aを上記の基本条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で(酸素濃度を0.05体積%)、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ95nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
(3)光散乱フィルムの鹸化処理
前記低屈折率層の製膜後、前記試料について、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した光散乱フィルムを前記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、前記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、鹸化処理済みの光散乱フィルムを作製した。これを試料1−1とする。
表1、2,3および4に示すように光散乱層用塗布液及び/又はハードコート層用塗布液、低屈折率層用塗布液および各層の膜厚を以外は実施例1−1と同様にして光散乱層用塗布液及び/又はハードコート層、低屈折率層の塗設、硬化し、鹸化処理した。ハードコート層用塗布液の硬化条件は試料1−1の光散乱層用塗布液Aと同じとした。また、低屈折率層用塗布液Eのみ、塗布後の乾燥を120℃×90秒、紫外線を照射量900mJ/cm2に変更した以外は実施例1−9の低屈折率層用塗布液C同様にして光散乱フィルムを作製した。
(光散乱フィルムの評価)
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を表5,6に示す。
(1)鏡面反射率、a、b
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均の鏡面反射率(Rs)を算出した。さらに、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表すCIE1976L色空間のa値、b値を算出し、反射光の色味を評価した。
(2)積分反射率
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、出射角−5°に標準白色板を装着した状態で、入射光5°におけるあらゆる出射角での反射率の積分値(積分反射率)を測定し、積分分光反射率を測定した。450〜650nmの平均の積分反射率を算出した。
(3)散乱係数A
(1)反射強度測定
図8の(a)に示したように、約5mmφの白色平行光を光散乱フィルム試料試料Aの表面に入射角5°で入射し、入射光方向Eとフィルムの法線方向Dを含む面内Cで受光部Gの角度を0.1°刻みで連続的に変化させ、反射光強度の角度依存性を測定した。測定装置は(株)村上色彩技術研究所製自動変角光度計「GP−5型」を用いた。図8(b)は測定方法の立体図を示す。
反射率算出を行う際、試料のない状態で入射光を直接測定したときの光源光量I0を100%強度とした。それぞれの反射角度における反射強度をI(θ)とすると、反射率R(θ)はI(θ)/I0として計算できる。更に相対反射率Rrel(θ)は正反射となる反射角度(5°)における反射率R(5)に対するそれぞれの反射角度における反射率の比として計算し、即ちRrel=R(θ)/R(5)となる。反射角度θに対する相対反射率の変化率|dRrel(θ)/dθ|は0.1°刻みで測定されるデータの各点の両側10点平均値からその傾きaの絶対値として算出し、|dRrel(θ)/dθ|の最大値である|dRrel(θ)/dθ|maxより(式1)で散乱係数Aを算出した。データのノイズを除去するための処理として10点平均値を用いた。なお、θは0〜45°まで測定した。
図9に|dRrel(θ)/dθ|maxの算出を模式的に示す。横軸はフィルム法線に対する受光部の角度θ(単位:度)であり、縦軸はピーク強度で規格化した相対反射率Rrel(θ)である。接線Hは、相対反射率の角度依存性グラフにおける各点の接線の1つを示す。接線の傾きが|dRrel(θ)/dθ|、その最大値が|dRrel(θ)/dθ|maxとなる。以上より求めた|dRrel(θ)/dθ|より(式1)で散乱係数Aを算出した。
(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
(4)反射係数B
反射係数は鏡面反射率Rsおよび散乱係数Bより(式2)で算出した。
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
(5)ヘイズ
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
1.JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
2.得られたフィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
3.上記1で測定した全ヘイズ(H)から上記2で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
なお、本発明でいうヘイズ値とは、前記方法によって得られた全ヘイズ(H)を意味する。
(6)中心線平均粗さ、Ra
JIS−B0601に準じて中心線平均粗さRaを測定した。
(7)平均山谷距離Sm
JIS−B0601に準じて粗さ曲線が中心線と交差する交点から求めた山谷-周期の間隔の平均値Smを測定した。なお、表中での表記“―”は、測定不能を表す。
(8)平均傾斜角度
本発明の光散乱フィルムは表面に微細凹凸構造を有する。本発明において、平均傾斜角度は以下の方法で決定される。すなわち、面積が0.5乃至2平方マイクロメートルである三角形の頂点を透明フィルム基材面に仮定し、その点から鉛直上向きに伸ばした3つの垂線がフィルム表面と交わる3点によって形成される三角形の面の法線が、支持体から鉛直上向きに伸ばした垂線となす角を表面の傾斜角度とし、基材上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上の面積を該三角形に分割して測定した時の全測定点の平均値を平均傾斜角度として算出する。
傾斜角度を測定する方法をさらに詳細に述べる。図11(a)のように面積が0.5乃至2平方マイクロメートルとなるようなメッシュにフィルムを分割する。図11(c)は分割したメッシュのうちの3点を抽出した図である。この支持体上の3点から鉛直上向きに垂線を伸ばし、その3点が表面と交わった点をA、B、Cとする。三角形ABC面の法線DD’が、支持体から鉛直上向きに伸ばした垂線OO’と為す角度θを傾斜角度とする。図11(b)は点O’DD’を含む平面Pで切ったときのフィルムの断面図である。線分EFは三角形ABCと平面Pとの交線である。測定面積は支持体上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上が好ましく、この面を支持体上で三角形に分割して測定し、傾斜角度を求める。測定する装置はいくつかあるが、一例を述べる。装置はマイクロマップ社(米国)製SXM520−AS150型を用いた場合を説明する。例えば対物レンズが10倍の時、傾斜角度の測定単位は0.8平方マイクロメートルであり、測定範囲は500000平方マイクロメートル(0.5平方ミリメートル)である。対物レンズの倍率を大きくすれば、それに合わせて測定単位と測定範囲は小さくなる。測定データはMAT−LAB等のソフトを用いて解析し、傾斜角度分布を算出することができ、そのデータをもとに平均傾斜角度を算出することができる。
(9)映り込み
横300mm×縦300mm×厚み0.7mmのガラスの両側に互いの吸収軸が90度になるように偏光板を粘着剤で貼り付け、片側の偏光板の上に本発明の光散乱フィルムを、タックフィルム側に粘着剤を付けて、貼り付けた。明室で本発明の光散乱フィルムを垂直に立て、5m離れた位置より本発明の光散乱フィルムの表面に顔を映し込み、映り込みのレベルを以下の基準で評価した。
輪郭が全くわからない :A
輪郭がほぼ判らない :B
輪郭が判るが気にならない :C
輪郭が気になる :D
(10)白茶け感
映り込み評価で使用した硝子板を用いたサンプルの光散乱フィルムの表面にルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m)を―60度の角度から映し、45度の方向から観察した際の光散乱フィルム表面の白茶け感を以下の基準で評価した。
全く白茶けていない :A
ほとんど白茶けていない :B
白茶けているが気にならない:C
白茶けが気になる :D
(11)透光性粒子の凝集状態
光学顕微鏡の透過観察モードで倍率400倍の写真を撮影し、透光性粒子の凝集状態を以下の基準で評価した。なお、表中での表記“―”は粒子が存在しないため観察不可能を表す。
凝集部が複数存在し、凝集部で粒子の重なりがある:A
粒子の重なりがあるが、凝集部が存在しない:B
粒子の重なりがない:C
また、実施例1−9の低屈折率層用塗布液Cを低屈折率層用塗布液Dに置き換え、塗布後の乾燥を120℃×90秒、紫外線を照射量900mJ/cm2に変更した以外は同様にして光散乱フィルムを作製したところ、同等の光学性能のまま耐擦傷性を向上することができた。
前述の結果より、本発明の光散乱フィルムは映り込みが低減され、かつ、白茶け感の少ない、優れた性能を示した。
[実施例2]
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製、以下、TACフィルムという)と、実施例1で作製した光散乱フィルム(試料1−1〜24、26〜33鹸化処理済み)を、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光膜の両面に接着、保護して偏光板を作製した。なお実施例1で作製した光散乱フィルムの透明支持体面を、偏光膜と接着させた。これらを、それぞれ試料2−1〜24、26〜33とした。
また、上記の鹸化処理済みのトリアセチルセルロースフィルムを両面の保護フィルムに用いて偏光板を作製し、試料2−25とした。
[実施例3]
(偏光板の評価)
Panasonic製32インチ液晶テレビTH32LX500(IPS方式 暗室コントラスト比750)の視認側の偏光板の一部を剥がして実施例2で作成の偏光板(試料2−1〜33)に貼り換えた。これらの表示装置を、それぞれ試料3−1〜33とした。得られた表示装置について、以下の項目の評価を行った。結果を表7、8に示す。
(1)映り込み
得られた液晶テレビを明室に置き、5m離れた位置より本発明の光散乱フィルムの表面に顔を映し込み、映り込みのレベルを以下の基準で評価した。
輪郭が全くわからない :A
輪郭がほぼ判らない :B
輪郭が判るが気にならない :C
輪郭が気になる :D
(2)明室コントラスト(A条件)
液晶テレビ表面の照度が250lxの明室環境下に液晶テレビを置き、ディスプレイの垂直方向から5度の角度から、正反射の位置に0.0125cdの黒い物体を置いた状態で、黒表示時の輝度(黒輝度)と白表示時の輝度(白輝度)を測定し、白輝度の黒輝度に対する比として、明室コントラストを算出した。輝度の測定には放射輝度計(トプコン社製BM−5)を用いた。
(3)明室コントラスト(B条件:強調参考データ)
放射輝度計の正反射の位置に46.25cdの白い物体を置き、明室コントラストが非常にわるくなる強調条件にした以外は(A条件)と同じ方法で黒輝度と白輝度を測定し、明室コントラストを算出した。
(4)ギラツキ
表中に記載の精細度と画像サイズを有するLCDパネルで緑色のベタ表示をした状態で、B、G、R各画素の部分的な拡大/縮小が不均一に目視される状態(ギラツキ)の程度を以下の基準で目視評価した。
ギラツキが気にならない :A
ギラツキが若干気になる :B
ギラツキが気になる :C
表7、表8に示された結果より、以下のことが明らかである。
本発明の光散乱フィルムは、映り込みの問題がなく、実用条件である明室コントラスト(A条件)でコントラスト200以上の優れた値を示し、映り込みと明室コントラストを高いレベルで両立できる。また、ギラツキの改善とを両立することができる。また、明室コントラスト(A条件)が200以上の試料の中で、より劣悪な条件(強調条件)であるB条件の結果より、実施例3−8.3−9.3−14、3−15、3−17.3−18.3−30.3−31.3−32、3−33が明室コントラストに優れていることが判り、特に、実施例3−9.3−15、3−18.3−30.3−33が優れており、その中でも特に、実施例3−9.3−15.3−33が優れていることが判った。
[実施例4]
透明支持体として易接着層付きPET(東洋紡製コスモシャインA4100、膜厚188μm)を用いた以外は試料1−7〜9、13〜15と同じ方法で試料4−7〜9、13〜15を作製した。前面板なしの42インチプラズマディスプレイ(パイオニア製ダイレクトカラーフィルター方式PDU−42H6A1)の表面フィルムを剥がし、代りに低屈折率層が外側になるように試料4−7〜9、13〜15を粘着剤で貼り付けたところ、映り込み、明室コントラスト、色付きの点で良好な特性を示した。
[実施例5]
試料2−7〜9、13〜15の低屈折率層と反対側の面にλ/4板を粘着剤で貼り合せ円偏光板(試料5−7〜9、13〜15)を作製した。有機ELディスプレイの表面に低屈折率層が外側になるように試料5−7〜9、13〜15を粘着剤で貼り付けたところ、映り込み、明室コントラスト、色付きの点で良好な特性を示した。
[実施例6]
反射型液晶ディスプレイおよび半透過型液晶ディスプレイの表面の偏光板として、低屈折率層が外側になるように試料5−7〜9、13〜15を用いたところ、映り込み、明室コントラスト、色付きの点で良好な特性を示した。
[実施例7]
実施例4で用いたラズマディスプレイの表面のガラス上に、低屈折率層が外側になるように試料5−7〜9、13〜15を粘着剤で貼り付けたところ、白輝度は低下したものの、コントラストは著しく向上し、映り込み、明室コントラスト、色付きの点で良好な特性を示した。
本発明の光散乱フィルムの好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の光散乱フィルムのもう一つの好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明で用いるスロットダイを用いたコーターの断面図である。 (A)は本発明で用いるスロットダイの断面形状を示し、(B)は従来のスロットダイの断面形状を示す図である。 本発明での塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。 近接している減圧チャンバーとウェブWを示す断面図である(バックプレート40aはチャンバー40本体と一体)。 近接している減圧チャンバーとウェブWを示す断面図である(バックプレート40aがチャンバー40にネジ40c留め)。 散乱係数A算出時における反射光強度の角度依存性の測定法の一例を示す図である。 受光部の角度θに対する相対反射率dRrel(θ)を示すグラフの一例と|dRrel(θ)/dθ|maxの算出の模式図である。 反射係数Bの散乱係数Aおよび5°鏡面反射率Rsとの関係を示す図である。 平均傾斜角測定法を示す図である(図11:上から(a)図、(b)図、(c)図)。
符号の説明
1 光散乱フィルム
2 透明支持体
3 光散乱層
4 低屈折率層
5 透光性粒子
6 オーバーコート層
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
UP 上流側リップランド18aのランド長さ
LO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ(下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差)
L 先端リップ17とウェブWの隙間(下流側リップランド18bとウェブWの隙間)
30 従来のスロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
B バックプレート40aとウェブWの間の隙間
S サイドプレート40bとウェブWの間の隙間
図8−A:光散乱フィルムA
図8−B:光散乱フィルムAの表面
図8−C:光散乱フィルムの法線方向Dと光の入射方向Eを含む面
図8−D:光散乱フィルムの法線方向
図8−E:光の入射方向
図8−F:光源
図8−G:検出器受光部
図8−H:傾斜角度

Claims (22)

  1. 透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルムであって、略平行な光を該フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)としたとき、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)が2.0〜5.0である光散乱フィルム。
    (式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
    (式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
  2. 前記反射係数Bが、3.5〜4.5である請求項1に記載の光散乱フィルム。
  3. 前記散乱係数Aが、1.0〜3.0である請求項1又は2に記載の光散乱フィルム。
  4. 前記5°鏡面反射率Rsが、0.1〜2.0%である請求項1〜3のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  5. 前記光散乱フィルムの積分反射率が、0.2〜2.0%である請求項1〜4のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  6. 前記積分反射率と5°鏡面反射率Rsとの差が、0.1〜1.0%である請求項5に記載の光散乱フィルム。
  7. 透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルムであって、略平行な光を該フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)としたとき、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)が2.0〜5.0であり、且つ、前記5°鏡面反射率Rsが0.1〜2.0%であり、前記光散乱フィルムの積分反射率が0.2〜2.0%であり、前記積分反射率と5°鏡面反射率Rsとの差が0.1〜1.0%である光散乱フィルム。
    (式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
    (式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
  8. 波長380〜780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5°入射光に対する正反射光のCIE1976L色空間のa値が、それぞれ−7≦a≦7、−10≦b≦10である請求項1〜7のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  9. 前記光散乱層が透光性粒子を含有し、透光性粒子の平均粒子径に対する光散乱層の平均膜厚み比率が1.5〜2.5である請求項1〜8のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  10. 前記光散乱層が透光性粒子を含有し、三次元の立体構造を有する透光性粒子の凝集部が複数存在し、表面凹凸形状を有する請求項1〜9のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  11. 前記光散乱層が少なくとも2層であり、透光性粒子が下層に存在する請求項1〜10のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  12. 中心線平均粗さRaが、0.05〜0.15μmである請求項1〜11のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  13. 平均山谷距離Smが、50〜150μmである請求項1〜12のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  14. 表面の凹凸の平均傾斜角が、0.2〜2.0度である請求項1〜13のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  15. 前記光散乱層上に、直接または他の層を介して透明支持体より低屈折率である低屈折率層を有する請求項1〜14のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  16. 前記低屈折率層の屈折率が1.20〜1.40である請求項15に記載の光散乱フィルム。
  17. 前記低屈折率層が、含フッ素化合物、及び屈折率1.40以下の無機微粒子を含有する硬化性組成物を硬化してなる層であり、かつ該無機微粒子の量が全固形分濃度の30〜55質量%である請求項15又は16に記載の光散乱フィルム。
  18. 前記5°鏡面反射率Rsが0.1〜1.5%、前記積分反射率と5°鏡面反射率Rsの差が0.25〜1.0%、前記積分反射率が0.2〜2.0%、前記低屈折率層の屈折率が1.20〜1.40である請求項15〜17のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  19. 中心線平均粗さRaが0.05〜0.15μm、平均山谷距離Smが50〜150μm、表面の凹凸の平均傾斜角が0.2〜2.0度である請求項18に記載の光散乱フィルム。
  20. 透明支持体の上に光散乱層と低屈折率層とをこの順に有し、光散乱層は透光性粒子を含有し、透光性粒子の平均粒子径に対する光散乱層の平均膜厚み比率が1.5〜2.5である請求項1〜19のいずれかに記載の光散乱フィルム。
  21. 一対の保護フィルムの間に偏光膜を有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、請求項1〜20のいずれかに記載の光散乱フィルムである偏光板。
  22. 請求項1〜20のいずれかに記載の光散乱フィルム又は請求項21に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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