JP2007293303A - 光散乱フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルムであって、略平行な光を該フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)としたとき、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)が2.0〜5.0である光散乱フィルム。(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
【選択図】図1
Description
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
(3)前記散乱係数Aが、1.0〜3.0である前記1又は2に記載の光散乱フィルム。(4)前記5°鏡面反射率Rsが、0.1〜2.0%である前記1〜3のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(5)前記光散乱フィルムの積分反射率が、0.2〜2.0%である前記1〜4のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(6)前記積分反射率と5°鏡面反射率Rsとの差が、0.1〜1.0%である前記5に記載の光散乱フィルム。
(7)透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルムであって、略平行な光を該フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)としたとき、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)が2.0〜5.0であり、且つ、前記5°鏡面反射率Rsが0.1〜2.0%であり、前記光散乱フィルムの積分反射率が0.2〜2.0%であり、前記積分反射率と5°鏡面反射率との差が0.1〜1.0%である光散乱フィルム。
(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
(8) 波長380〜780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5°入射光に対する正反射光のCIE1976L*a*b*色空間のa*b*値が、それぞれ−7≦a*≦7、−10≦b*≦10である前記1〜7のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(9) 前記光散乱層が透光性粒子を含有し、透光性粒子の平均粒子径に対する光散乱層の平均膜厚み比率が1.5〜2.5である前記1〜8のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(10) 前記光散乱層が透光性粒子を含有し、三次元の立体構造を有する透光性粒子の凝集部が複数存在し、表面凹凸形状を有する前記1〜9のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(11) 前記光散乱層が少なくとも2層であり、透光性粒子が下層に存在する前記1〜10のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(12) 中心線平均粗さRaが、0.05〜0.15μmである前記1〜11のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(13) 平均山谷距離Smが、50〜150μmである前記1〜12のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(14) 表面の凹凸の平均傾斜角が、0.2〜2.0度である前記1〜13のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(15) 前記光散乱層上に、直接または他の層を介して透明支持体より低屈折率である低屈折率層を有する前記1〜14のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(16) 前記低屈折率層の屈折率が1.20〜1.40である前記15に記載の光散乱フィルム。
(17) 前記低屈折率層が、含フッ素化合物、及び屈折率1.40以下の無機微粒子を含有する硬化性組成物を硬化してなる層であり、かつ該無機微粒子の量が全固形分濃度の30〜55質量%である前記15又は16に記載の光散乱フィルム。
(18) 前記5°鏡面反射率Rsが0.1〜1.5%、前記積分反射率と5°鏡面反射率Rsの差が0.25〜1.0%、前記積分反射率が0.2〜2.0%、前記低屈折率層の屈折率が1.20〜1.40である前記15〜17のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(19) 中心線平均粗さRaが0.05〜0.15μm、平均山谷距離Smが50〜150μm、表面の凹凸の平均傾斜角が0.2〜2.0度である前記18に記載の光散乱フィルム。
(20) 透明支持体の上に光散乱層と低屈折率層とをこの順に有し、光散乱層は透光性粒子を含有し、透光性粒子の平均粒子径に対する光散乱層の平均膜厚み比率が1.5〜2.5である前記1〜19のいずれかに記載の光散乱フィルム。
(21) 一対の保護フィルムの間に偏光膜を有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、前記1〜20のいずれかに記載の光散乱フィルムである偏光板。
(22) 前記1〜20のいずれかに記載の光散乱フィルム又は前記21に記載の偏光板を有する画像表示装置。
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
図8(a)および(b)は散乱係数A算出時における反射光強度の角度依存性の測定法の一例を示す図である。また、図9は受光部の角度θに対する相対反射率dRrel(θ)を示すグラフの一例と|dRrel(θ)/dθ|maxの算出の模式図である。
散乱係数Aは、略平行な光を、透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)により算出される。フィルム表面に映り込んだ反射像のボケ具合が小さいと、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxは大きくなり、逆にボケ具合が大きいと、変化量の最大値は小さくなる。散乱性はボケ具合の逆数にで表すことができ、式1より散乱係数Aが算出される。なお、θは0〜45°まで測定する。
図10は反射係数Bと散乱係数Aおよび5°鏡面反射率Rsとの関係を示す図である。
反射係数Bは、(式1)より求められる散乱係数Aと、5°鏡面反射率Rsとから(式2)を用いて算出される。
さらに、低屈折率層は下記数式(I)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
(1)JIS−K7136に準じてフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2)フィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3)上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
5mmで測定した時に、好ましくは30%〜99%、より好ましくは40%〜95%、更に好ましくは50%〜90%、更に好ましくは60%〜80%である。像鮮明性が低いと明室コントラストが悪化し、高いと映り込みが悪化する。
光散乱層は、表面散乱による防眩性と、内部散乱性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、好ましくはハードコート性を付与することのできる透光性樹脂、防眩性、内部散乱性を付与するための透光性粒子を含有する。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは3〜10μm、特に好ましくは5〜10μm、更に好ましくは6〜8μmである。平均粒径が小さいと表面の平均傾斜角が大きくなり、明室コントラストが悪化する傾向がある。また、光の内部散乱性に起因する高角度方向の散乱が大きくなり、暗室コントラストが悪化する、ディスプレイの文字ボケを引き起こすなどの点より好ましくない。また、粒径が大きすぎると、好ましい表面形態を得るためには、膜厚が大きくなり、カールが悪化する。材料コストが高くなるなどの点より好ましくない。
また、透光性粒子としては、後述の凝集性シリカ等の無機微粒子も用いることができる。
ここで、前記透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
透光性樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
ここで、「3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした透光性樹脂」とは、透光性樹脂中に3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーからなる樹脂成分が、40〜100モル%含まれていることを意味する。3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーからなる繰り返し単位の含有量は好ましくは60〜100モル%である。
従って、前記光散乱層は、上述したエチレン性不飽和モノマー等の透光性樹脂形成用のモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、透光性粒子および必要に応じて後述するような無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後、電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
最新UV硬化技術(p.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル(重合)開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光ラジカル(重合)開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光ラジカル(重合)開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
従って、多官能エポキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、透光性粒子および無機微粒子を含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して光散乱層を形成することができる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
光散乱層には、硬度向上、層の屈折率を調整して内部散乱に起因するヘイズ値を本発明の範囲に調整するため、また、塗布液の粘度を調整して、好ましい表面形態を得るために、前記の透光性粒子に加えて、無機微粒子を用いることも可能である。無機微粒子を用いる場合には、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とし、平均粒径が1μm以下、好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下、特に好ましくは0.06μm以下、更に好ましくは0.02μm以下である無機微粒子が好ましい。これらの無機微粒子は、一般的に比重が有機物よりも高く、塗布組成物の密度を高くできるため、透光性粒子の沈降速度を遅くする効果もある。
また、帯電防止の観点からは、導電性の無機微粒子を用いることが望ましく、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とする無機微粒子のうちより選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を用いることが望ましい。
これらの無機微粒子を用いる場合、その添加量は、光散乱層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このような無機微粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
また、光散乱層に後述の低屈折率層で使用することのできるオルガノシラン化合物及びその誘導体を用いることができる。オルガノシラン化合物及びその誘導体の添加量は、光散乱層の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、3〜15質量%が特に好ましい。
光散乱層はムラ防止を目的として各種のレベリング剤を使用することが好ましい。レベリング剤としては、具体的にはフッ素系レベリング剤、又はシリコーン系レベリング剤が好ましく、特にフッ素系レベリング剤はムラ防止能が高く、好ましい。
また、レベリング剤は、低分子化合物よりもオリゴマーやポリマーであることが好ましい。
光散乱層にレベリング剤を添加すると、塗布された液膜の表面にレベリング剤が速やかに偏在し、光散乱層の膜乾燥後もレベリング剤がそのまま表面に偏在することになるので光散乱層膜の表面エネルギーは、レベリング剤によって低下する。
従って光散乱層のムラを防止するという観点からは光散乱層の表面エネルギーが低いことが好ましい。
ンCH2I2のそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から以下の連立方程式(1)(2)より求めたγsdとγshの和で表される値γsv(=γsd+γsh)で定義する防眩性光散乱層の表面張力のエネルギー換算値である。(mN/m単位をmJ/m2単位としたもの)サンプルは測定
する前に所定の温湿度条件で一定時間以上調湿を行うことが必要である。この際の温度は20℃〜27℃、湿度は50RH%〜65RH%の範囲であることが好ましく、調湿時間は2時間以上であることが好ましい。
(2)1+cosθCH2I2=2√γsd(√γCH2I2d/γCH2I2v)+2√γsh(√γCH2I2h/γCH2I2v)
ここで、γH2O d=21.8°、γH2O h=51.0°、γH2O v=72.8°、γCH2I2 d=49.5°、γCH2I2 h=1.3°、γCH2I2 v=50.8°である。
光散乱層の表面エネルギーを45mJ/m2以下とすることにより、光散乱層の塗布ムラが生じにくいという効果が得られる。
ただし、光散乱層の上にさらに低屈折率層などの上層を塗布するため、レベリング剤は上層へ溶出することが好ましく、光散乱層の上層塗布液の溶媒(例えばメチルエチルケトン)で光散乱層を浸漬した後の光散乱層の表面エネルギーは、むしろ高いことが好ましく、表面エネルギー35〜70mJ/m2であることが好ましい。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
一般式1
一般式1中のmは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。
一般式1中のnは1〜11の整数を表し、1〜9がより好ましく、1〜6が更に好ましい。Rfは−CF2Hが好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式1で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーから誘導される重合単位が2種類以上構成成分として含まれていても良い。
一般式2
R14は、置換基を有しても良い炭素数1〜60の直鎖、分岐状、あるいは環状のアルキル基、または置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。該アルキル基はポリ(アルキレンオキシ)基を含んでも良い。さらに、炭素数1〜20の直鎖、分岐状あるいは環状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10の直鎖、分岐状のアルキル基が極めて好ましい。
なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
これらの非イオン活性剤の具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191があり、さらにSUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましく、特開平6−49486号が参考にできる。
これらの具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208等が挙げられる。
更に、フッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼすことがある。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは1〜50cPであり、さらに好ましくは3〜20cPであり、最も好ましくは5〜10cPである。
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
ポリスチレン
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
本発明で用いられる低屈折率層は、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含み且つ架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素化合物を主としてなる熱硬化性および/または光硬化性を有する組成物を塗布して形成されることが好ましい。
低屈折率層を形成する際に使用される硬化性組成物は、(A)含フッ素化合物、(B)無機微粒子、および(C)オルガノシラン化合物のうちの少なくとも2種を含有してなるのが好ましく、3種全てを含有することが特に好ましい。含フッ素化合物としては、屈折率の低い含フッ素モノマー、オリゴマー、ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素モノマー、オリゴマー、ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材としては、熱または電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。
低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
前記含フッ素ポリマーは、熱または電離放射線により架橋するポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
前記架橋反応性基を有する重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
一般式L−1
好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**, *−(CH2)2−NH−**, *−(CH2)4−O−**, *−(CH2)6−O−**, *−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**,*−CONH−(CH2)3−O−**, *−CH2CH(OH)CH2−O−**, *−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(* はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式L−2
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式L−1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
x、y、z1およびz2は、それぞれの繰返し単位のmol%を表わし、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、5≦y≦70を満たすのが好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55の場合である。z1及びz2については、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たすのが好ましく、更に好ましくは0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
一般式L−1又はL−2で表わされる共重合体の好ましい具体例としては、特開2004−45462号公報の段落番号[0035]〜[0047]に記載されたものを挙げることができ、該公報に記載の方法により合成できる。
無機微粒子の配合量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムや酸化珪素(シリカ)の微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの例えば10%以上100%以下、30%以上100%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
前記無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
(数式II): x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
であり、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
中空の無機微粒子の屈折率をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点からは屈折率1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。なお、無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定できる。
小サイズ無機微粒子は、大サイズ無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ無機微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、8nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
前記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
前記硬化性組成物には、オルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)、の中から選ばれる少なくとも一種を含有させることが、耐擦傷性の点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
これらの成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することにより低屈折率層のバインダーとして機能する。また、本発明においては、含フッ素化合物として、好ましくは前記含フッ素ポリマーを有するので、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
一般式(1):(R10)m−Si(X)4-m
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C2H5COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
R10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
Yは単結合もしくは *−COO−**, *−CONH−**又は *−O−**を表し、単結合、 *−COO−**および *−CONH−**が好ましく、単結合および *−COO−**が更に好ましく、 *−COO−**が特に好ましい。* は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
R10は一般式(1)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式(1)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(光散乱層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を光散乱層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
本発明においては、前記光散乱層および前記低屈折率層の両方が、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性塗布組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることが好ましい。
低屈折率層用の素材として、各種ゾルゲル素材を用いることもできる。このようなゾルゲル素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガノアルコキシ金属化合物、およびその加水分解物を用いることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシランおよびその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化および撥水・撥油性付与の点で好ましく、前述の(A)含フッ素化合物として含有させることも好ましい。
前記硬化性組成物は、前述の(A)含フッ素化合物、(B)無機微粒子及び(C)オルガノシラン化合物に、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤を添加し、更にこれらを適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
本発明の低屈折率層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。乾燥負荷の観点からは、常圧、室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とすることが好ましく、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが更に好ましい。
本発明の光散乱フィルムは、帯電防止の目的で透明導電性層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。透明導電性層は、ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合に有効である。透明導電性層を形成する方法としては、例えば、通電性粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の公知の方法を挙げることができる。塗工する場合、その方法は特に限定されず、塗工液の特性や塗工量に応じて、例えば、ロールコート、グラビアコート、バーコート、押出しコート等の公知の方法より最適な方法を選択して行えばよい。透明導電性層は、透明支持体又は光散乱層上に直接又はこれらとの接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。
透明導電性層は、強度が優れていることが好ましく、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度(JIS−K−5400の規定)で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
透明導電性層に用いる通電性粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される透明導電性層中の通電性粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。通電性粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
通電性粒子の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
通電性粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が挙げられる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
通電性粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
透明導電性層は、架橋しているポリマーをバインダーとして用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。アニオン性基は、通電性粒子の分散状態を維持する機能を有する。架橋構造は、ポリマーに皮膜形成能を付与して、透明導電性層を強化する機能を有する。
ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。
ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。
ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。
ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。
ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。
メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。
RmSi(OR’)nで表される化合物であり、ここでR、R’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m及びnはそれぞれm+n=4となる整数である。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
電離放射線によって反応架橋する複数の基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機珪素化合物が挙げられる。このような反応性有機珪素化合物は、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
本発明の光散乱フィルムの透明支持体は、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、代表的には富士フイルム社製TAC−TD80U,TD80ULなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィンが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
支持体の巾は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることがさらに好ましい。
支持体の長さは任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜10000mのものが用いられ、300〜5000mであることが好ましく、500〜3000mであることがさらに好ましい。
透明支持体と本発明の光散乱層の間に設けても良い他の層として、他の光散乱層(光散乱層だけで硬度が不足する場合)、防湿層、密着改良層、虹ムラ(干渉ムラ)防止層等が挙げられる。これらの層は、公知の方法にて形成することができる。
各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。1%以下が特に好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
次に、光散乱層、および必要に応じて低屈折率層またはその他の層を形成するための塗布液を透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。その後、光照射および/または加熱して各層を形成するためのモノマーや硬化性樹脂を硬化する。これにより各層が形成される。
図3は本発明で用いるスロットダイを用いたコーターの断面図である。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内とすることが好ましい。
また、スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップのウェブ走行方向における長さを30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足できない。したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布を実現するためには、先端リップのウェブ進行方向側のランドの前記長さ及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組み合わせ、つまり隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップとバックアップロールの真直度を出す。
上記の様なバックアップロール及び先端リップの精度を達成することにより、本発明で好ましく用いられる塗布方式は高速塗布時における膜厚の安定性が高い。さらに、本発明の塗布方式は前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。本発明の光散乱フィルムの様な低塗布量の塗布液に対して、本発明の塗布方式は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。他の塗布方式でも塗布は可能であるが、ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難である。本発明の製造方法を用いることで25m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
光散乱層を形成する際には、基材フィルム上に直接又は他の層を介してウエット塗布膜厚として3〜50μm、例えば3〜40μmの範囲で前記塗液を塗布するのが好ましく、乾燥ムラ防止の観点からさらに10〜35μmの範囲がより好ましい。15〜32μmの範囲が更に好ましい。また、低屈折率層を形成する際には、光散乱層上に直接、或いは他の層を介してウエット塗布膜厚として1〜10μmの範囲で塗布組成物を塗布するのが好ましく、2〜7μmの範囲で塗布されるのがより好ましく、2〜5μmの範囲で塗布されるのが特に好ましい。
光散乱層および低屈折率層は、基材フィルム上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送される。その際の乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後、乾燥ゾーン内で基材フィルムの塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと基材フィルムとの温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化する。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。更に表面硬化を促進する為に窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下する必要がある際には、酸素濃度は5体積%以下が好ましく、0.01体積%〜5体積%が特に好ましい。特に低屈折率層の酸素濃度は0.1体積%以下が好ましく、0.05体積%以下が特に好ましく、0.02体積%以下が特に好ましい。幅方向の分布は酸素濃度で2体積%以下が好ましい。
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に光散乱フィルムや反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、光散乱フィルムや反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、光散乱層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に光散乱層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、該ダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない好ましくない。
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を光散乱層や低屈折率層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(2)と同様に、光散乱層および/または低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、光散乱層、低屈折率層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
光散乱層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、光散乱層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に光散乱層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には光散乱層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して光散乱層、低屈折率層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、光散乱層または他の層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、光散乱層または他の層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから光散乱層または他の層を形成することで対処できる。また、光散乱層または他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方として、本発明の光散乱フィルム(好ましくは、反射防止フィルム)を有する。偏光板用保護フィルムは、前記のように、光散乱層や反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が10度〜50度の範囲にあることが好ましい。例えば、本発明の光散乱フィルムの片面に粘着層を設けてディスプレイの最表面に配置できる。本発明の光散乱フィルムは、偏光板における偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。
本発明の偏光板に、光学補償フィルム(光学異方性フィルム)を設けることにより、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。光学補償フィルムは、偏光子を挟んで本発明の光散乱フィルムの反対側に好ましく用いることができる。光学補償フォルムは、偏光板の保護フィルムのうち、本発明のフィルムを用いたのとは反対側の保護フィルムの上に粘着剤で貼付してもよいし、反対側の保護フィルムとして用いてもよい。偏光板の厚みの観点からは、片側の保護フィルムとして本発明のフィルムを用い、偏光子を挟んで反対側の保護フィルムとして光学補償フィルム用いることが特に望ましい。光学補償フィルムは、光学異方性のある物質をフィルム自体に含有させたり、フィルムを延伸したりすること、あるいはその両方を行うことで、フィルム自体が特定の光学異方性を有してもよいし、フィルム上に光学異方性層(位相差層)を設けてもよい。
該角度は該ディスコティック化合物からなる光学異方性層の保護フィルム面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
また、液晶ディスプレイのコントラストの良化、色味を改良するために、光学的異方性(Re、Rth)が小さく実質的に光学的等方性であり、さらには光学的異方性(Re、Rth)の波長分散が小さいセルロースアシレートフィルムを用いることも好ましいし、反射型ディスプレイの場合は1枚または複数枚のフィルムからなるλ/4板の機能を有するフィルムを用いるのも好ましい。
光学補償層を偏光膜の保護フィルムとして用いる場合偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
本発明の光散乱フィルム及び該フィルムを用いた偏光板は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)等の画像表示装置に適用することができる。例えば、本発明のフィルム(偏光板)は、透明支持体を有しているため、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
PET−30 40.0g
DPHA 6.0g
イルガキュア184 1.7g
MX−600(30%) 21.5g
SP−13 0.06g
KBM−5103 6.0g
MIBK 18.0g
MEK 6.0g
PET−30 37.0g
DPHA 5.0g
イルガキュア184 1.7g
MX−600(30%) 33.5g
SP−13 0.06g
KBM−5103 6.0g
MIBK 18.0g
MEK 6.0g
PET−30 45.0g
DPHA 5.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 1.7g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.3g
SP−13 0.06g
KBM−5103 10.0g
トルエン 30.5g
シクロヘキサノン 8.0g
PET−30 49.5g
DPHA 5.0g
イルガキュア184 3.0g
SP−13 0.06g
KBM−5103 10.0g
トルエン 36.0g
シクロヘキサノン 13.0g
PET−30 48.5g
イルガキュア127 2.5g
MX−500(30%) 42.7g
SP−13 0.08g
MIBK 1.6g
MEK 53.8g
PET−30 53.3g
イルガキュア184 2.0g
MX−500(30%) 26.6g
サイリシア445(30%) 1.5g
SP−13 0.08g
MIBK 28.5g
MEK 5.6g
PET−30 48.5g
イルガキュア184 2.5g
MX−500(30%) 42.7g
MEK−ST 53.8g
SP−13 0.08g
MIBK 1.6g
PET−30 45.9g
サイリシア445(30%) 1.5g
イルガキュア184 1.5g
SP−13 0.5g
MIBK 30.0g
MEK 10.0g
PET−30:
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
DPHA:
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[屈折率1.52、日本化薬(株)製]
KBM−5103:
シランカップリング剤[信越化学工業(株)製]
イルガキュア184:
重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
イルガキュア127:
重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
MX−600:
平均粒径6μmPMMA粒子[屈折率1.49、綜研化学(株)製、30%MIBK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
MX−500:
平均粒径5μmPMMA粒子[屈折率1.49、綜研化学(株)製、30%MIBK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
SX−350:
平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.61、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
架橋アクリル−スチレン粒子:
平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
サイシリア445:
平均粒径6.2μmシリカ粒子[屈折率1.45、富士シリシア化学(株)製、30%MEK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
MEK−ST:
コロイダルシリカ分散物[平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製]
SP−13
本明細書記載のフッ素系ポリマー
ポリシロキサンおよび水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、屈折率1.45、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、前記ゾル液a0.6g、およびメチルエチルケトン5g、シクロヘキサノン0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層塗布液Aを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.450であった。
(分散液A)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して作成)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30g、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5g加え混合した後に、イオン交換水を9g加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ1.5%であった。
オプスターJTA113(熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%):JSR(株)製)783.3質量部(固形分として47.0質量部)に対して、分散液Aを195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、コロイダルシリカ分散物(シリカ、MEK−STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)30.0質量部(固形分として9.0質量部)、前記ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対91になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率用塗布液Bを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.390であった。
オプスターJN7228(熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%):JSR(株)製)783.3質量部(固形分として47.0質量部)に対して、分散液Aを240質量部(シリカ+表面処理剤固形分として48.0質量部)、前記ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率用塗布液Cを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.365であった。
低屈折率層用塗布液CのオプスターJN7228の固形分47質量部の変わりに、前記パーフルオロオレフィン共重合体(1)43質量部、反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)2質量部、ゾル液a 7.3質量部、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)2質量部を用いた以外は低屈折率層塗布液Cと同じに低屈折率層塗布液Dを調整した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.370であった。
低屈折率層用塗布液D中の分散液Aを240質量部(シリカ+表面処理剤固形分として48.0質量部)、ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)の変わりに、分散液Aを320質量部(シリカ+表面処理剤固形分として64.0質量部)、前記ゾル液a22.9質量部(固形分として6.7質量部)を用いた以外は低屈折率層塗布液Dと同じに低屈折率層塗布液Eを調整した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.320であった。
(1)光散乱層の塗設
透明支持体として、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U:屈折率=1.49、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、下記の装置構成および塗布条件で示されるダイコート法によって光散乱層用塗布液Aを塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で(酸素濃度を0.05体積%)、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ12μmの防眩性を有する光散乱層を形成し、巻き取った。
上記光散乱層用塗布液Aを塗布して光散乱層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、前記低屈折率層用塗布液Aを上記の基本条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で(酸素濃度を0.05体積%)、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ95nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
(3)光散乱フィルムの鹸化処理
前記低屈折率層の製膜後、前記試料について、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した光散乱フィルムを前記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、前記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、鹸化処理済みの光散乱フィルムを作製した。これを試料1−1とする。
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を表5,6に示す。
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均の鏡面反射率(Rs)を算出した。さらに、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表すCIE1976L*a*b*色空間のa*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、出射角−5°に標準白色板を装着した状態で、入射光5°におけるあらゆる出射角での反射率の積分値(積分反射率)を測定し、積分分光反射率を測定した。450〜650nmの平均の積分反射率を算出した。
(1)反射強度測定
図8の(a)に示したように、約5mmφの白色平行光を光散乱フィルム試料試料Aの表面に入射角5°で入射し、入射光方向Eとフィルムの法線方向Dを含む面内Cで受光部Gの角度を0.1°刻みで連続的に変化させ、反射光強度の角度依存性を測定した。測定装置は(株)村上色彩技術研究所製自動変角光度計「GP−5型」を用いた。図8(b)は測定方法の立体図を示す。
図9に|dRrel(θ)/dθ|maxの算出を模式的に示す。横軸はフィルム法線に対する受光部の角度θ(単位:度)であり、縦軸はピーク強度で規格化した相対反射率Rrel(θ)である。接線Hは、相対反射率の角度依存性グラフにおける各点の接線の1つを示す。接線の傾きが|dRrel(θ)/dθ|、その最大値が|dRrel(θ)/dθ|maxとなる。以上より求めた|dRrel(θ)/dθ|より(式1)で散乱係数Aを算出した。
(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
反射係数は鏡面反射率Rsおよび散乱係数Bより(式2)で算出した。
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
1.JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
2.得られたフィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
3.上記1で測定した全ヘイズ(H)から上記2で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
なお、本発明でいうヘイズ値とは、前記方法によって得られた全ヘイズ(H)を意味する。
JIS−B0601に準じて中心線平均粗さRaを測定した。
JIS−B0601に準じて粗さ曲線が中心線と交差する交点から求めた山谷-周期の間隔の平均値Smを測定した。なお、表中での表記“―”は、測定不能を表す。
本発明の光散乱フィルムは表面に微細凹凸構造を有する。本発明において、平均傾斜角度は以下の方法で決定される。すなわち、面積が0.5乃至2平方マイクロメートルである三角形の頂点を透明フィルム基材面に仮定し、その点から鉛直上向きに伸ばした3つの垂線がフィルム表面と交わる3点によって形成される三角形の面の法線が、支持体から鉛直上向きに伸ばした垂線となす角を表面の傾斜角度とし、基材上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上の面積を該三角形に分割して測定した時の全測定点の平均値を平均傾斜角度として算出する。
横300mm×縦300mm×厚み0.7mmのガラスの両側に互いの吸収軸が90度になるように偏光板を粘着剤で貼り付け、片側の偏光板の上に本発明の光散乱フィルムを、タックフィルム側に粘着剤を付けて、貼り付けた。明室で本発明の光散乱フィルムを垂直に立て、5m離れた位置より本発明の光散乱フィルムの表面に顔を映し込み、映り込みのレベルを以下の基準で評価した。
輪郭が全くわからない :A
輪郭がほぼ判らない :B
輪郭が判るが気にならない :C
輪郭が気になる :D
映り込み評価で使用した硝子板を用いたサンプルの光散乱フィルムの表面にルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を―60度の角度から映し、45度の方向から観察した際の光散乱フィルム表面の白茶け感を以下の基準で評価した。
全く白茶けていない :A
ほとんど白茶けていない :B
白茶けているが気にならない:C
白茶けが気になる :D
(11)透光性粒子の凝集状態
光学顕微鏡の透過観察モードで倍率400倍の写真を撮影し、透光性粒子の凝集状態を以下の基準で評価した。なお、表中での表記“―”は粒子が存在しないため観察不可能を表す。
凝集部が複数存在し、凝集部で粒子の重なりがある:A
粒子の重なりがあるが、凝集部が存在しない:B
粒子の重なりがない:C
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製、以下、TACフィルムという)と、実施例1で作製した光散乱フィルム(試料1−1〜24、26〜33鹸化処理済み)を、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光膜の両面に接着、保護して偏光板を作製した。なお実施例1で作製した光散乱フィルムの透明支持体面を、偏光膜と接着させた。これらを、それぞれ試料2−1〜24、26〜33とした。
また、上記の鹸化処理済みのトリアセチルセルロースフィルムを両面の保護フィルムに用いて偏光板を作製し、試料2−25とした。
Panasonic製32インチ液晶テレビTH32LX500(IPS方式 暗室コントラスト比750)の視認側の偏光板の一部を剥がして実施例2で作成の偏光板(試料2−1〜33)に貼り換えた。これらの表示装置を、それぞれ試料3−1〜33とした。得られた表示装置について、以下の項目の評価を行った。結果を表7、8に示す。
得られた液晶テレビを明室に置き、5m離れた位置より本発明の光散乱フィルムの表面に顔を映し込み、映り込みのレベルを以下の基準で評価した。
輪郭が全くわからない :A
輪郭がほぼ判らない :B
輪郭が判るが気にならない :C
輪郭が気になる :D
液晶テレビ表面の照度が250lxの明室環境下に液晶テレビを置き、ディスプレイの垂直方向から5度の角度から、正反射の位置に0.0125cdの黒い物体を置いた状態で、黒表示時の輝度(黒輝度)と白表示時の輝度(白輝度)を測定し、白輝度の黒輝度に対する比として、明室コントラストを算出した。輝度の測定には放射輝度計(トプコン社製BM−5)を用いた。
放射輝度計の正反射の位置に46.25cdの白い物体を置き、明室コントラストが非常にわるくなる強調条件にした以外は(A条件)と同じ方法で黒輝度と白輝度を測定し、明室コントラストを算出した。
表中に記載の精細度と画像サイズを有するLCDパネルで緑色のベタ表示をした状態で、B、G、R各画素の部分的な拡大/縮小が不均一に目視される状態(ギラツキ)の程度を以下の基準で目視評価した。
ギラツキが気にならない :A
ギラツキが若干気になる :B
ギラツキが気になる :C
本発明の光散乱フィルムは、映り込みの問題がなく、実用条件である明室コントラスト(A条件)でコントラスト200以上の優れた値を示し、映り込みと明室コントラストを高いレベルで両立できる。また、ギラツキの改善とを両立することができる。また、明室コントラスト(A条件)が200以上の試料の中で、より劣悪な条件(強調条件)であるB条件の結果より、実施例3−8.3−9.3−14、3−15、3−17.3−18.3−30.3−31.3−32、3−33が明室コントラストに優れていることが判り、特に、実施例3−9.3−15、3−18.3−30.3−33が優れており、その中でも特に、実施例3−9.3−15.3−33が優れていることが判った。
透明支持体として易接着層付きPET(東洋紡製コスモシャインA4100、膜厚188μm)を用いた以外は試料1−7〜9、13〜15と同じ方法で試料4−7〜9、13〜15を作製した。前面板なしの42インチプラズマディスプレイ(パイオニア製ダイレクトカラーフィルター方式PDU−42H6A1)の表面フィルムを剥がし、代りに低屈折率層が外側になるように試料4−7〜9、13〜15を粘着剤で貼り付けたところ、映り込み、明室コントラスト、色付きの点で良好な特性を示した。
試料2−7〜9、13〜15の低屈折率層と反対側の面にλ/4板を粘着剤で貼り合せ円偏光板(試料5−7〜9、13〜15)を作製した。有機ELディスプレイの表面に低屈折率層が外側になるように試料5−7〜9、13〜15を粘着剤で貼り付けたところ、映り込み、明室コントラスト、色付きの点で良好な特性を示した。
反射型液晶ディスプレイおよび半透過型液晶ディスプレイの表面の偏光板として、低屈折率層が外側になるように試料5−7〜9、13〜15を用いたところ、映り込み、明室コントラスト、色付きの点で良好な特性を示した。
実施例4で用いたラズマディスプレイの表面のガラス上に、低屈折率層が外側になるように試料5−7〜9、13〜15を粘着剤で貼り付けたところ、白輝度は低下したものの、コントラストは著しく向上し、映り込み、明室コントラスト、色付きの点で良好な特性を示した。
2 透明支持体
3 光散乱層
4 低屈折率層
5 透光性粒子
6 オーバーコート層
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
IUP 上流側リップランド18aのランド長さ
ILO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ(下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差)
GL 先端リップ17とウェブWの隙間(下流側リップランド18bとウェブWの隙間)
30 従来のスロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
GB バックプレート40aとウェブWの間の隙間
GS サイドプレート40bとウェブWの間の隙間
図8−A:光散乱フィルムA
図8−B:光散乱フィルムAの表面
図8−C:光散乱フィルムの法線方向Dと光の入射方向Eを含む面
図8−D:光散乱フィルムの法線方向
図8−E:光の入射方向
図8−F:光源
図8−G:検出器受光部
図8−H:傾斜角度
Claims (22)
- 透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルムであって、略平行な光を該フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)としたとき、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)が2.0〜5.0である光散乱フィルム。
(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9 - 前記反射係数Bが、3.5〜4.5である請求項1に記載の光散乱フィルム。
- 前記散乱係数Aが、1.0〜3.0である請求項1又は2に記載の光散乱フィルム。
- 前記5°鏡面反射率Rsが、0.1〜2.0%である請求項1〜3のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 前記光散乱フィルムの積分反射率が、0.2〜2.0%である請求項1〜4のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 前記積分反射率と5°鏡面反射率Rsとの差が、0.1〜1.0%である請求項5に記載の光散乱フィルム。
- 透明支持体上に少なくとも光散乱層を有する光散乱フィルムであって、略平行な光を該フィルム表面に入射角5°で入射し、フィルム法線と入射方向を含む面内で測定した受光部の角度θに対する反射率をR(θ)とし、R(θ)を正反射の反射率で規格化した値をRrel(θ)とし、角度θに対する変化量の最大値|dRrel(θ)/dθ|maxより算出される値を散乱係数A(式1)としたとき、散乱係数Aと5°鏡面反射率Rsより算出される反射係数B(式2)が2.0〜5.0であり、且つ、前記5°鏡面反射率Rsが0.1〜2.0%であり、前記光散乱フィルムの積分反射率が0.2〜2.0%であり、前記積分反射率と5°鏡面反射率Rsとの差が0.1〜1.0%である光散乱フィルム。
(式1)散乱係数A=1/(10×|dRrel(θ)/dθ|max)
(式2)反射係数B=2.2×log10(Rs)−7.5×log10(A)+5.9 - 波長380〜780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5°入射光に対する正反射光のCIE1976L*a*b*色空間のa*b*値が、それぞれ−7≦a*≦7、−10≦b*≦10である請求項1〜7のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 前記光散乱層が透光性粒子を含有し、透光性粒子の平均粒子径に対する光散乱層の平均膜厚み比率が1.5〜2.5である請求項1〜8のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 前記光散乱層が透光性粒子を含有し、三次元の立体構造を有する透光性粒子の凝集部が複数存在し、表面凹凸形状を有する請求項1〜9のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 前記光散乱層が少なくとも2層であり、透光性粒子が下層に存在する請求項1〜10のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 中心線平均粗さRaが、0.05〜0.15μmである請求項1〜11のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 平均山谷距離Smが、50〜150μmである請求項1〜12のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 表面の凹凸の平均傾斜角が、0.2〜2.0度である請求項1〜13のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 前記光散乱層上に、直接または他の層を介して透明支持体より低屈折率である低屈折率層を有する請求項1〜14のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 前記低屈折率層の屈折率が1.20〜1.40である請求項15に記載の光散乱フィルム。
- 前記低屈折率層が、含フッ素化合物、及び屈折率1.40以下の無機微粒子を含有する硬化性組成物を硬化してなる層であり、かつ該無機微粒子の量が全固形分濃度の30〜55質量%である請求項15又は16に記載の光散乱フィルム。
- 前記5°鏡面反射率Rsが0.1〜1.5%、前記積分反射率と5°鏡面反射率Rsの差が0.25〜1.0%、前記積分反射率が0.2〜2.0%、前記低屈折率層の屈折率が1.20〜1.40である請求項15〜17のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 中心線平均粗さRaが0.05〜0.15μm、平均山谷距離Smが50〜150μm、表面の凹凸の平均傾斜角が0.2〜2.0度である請求項18に記載の光散乱フィルム。
- 透明支持体の上に光散乱層と低屈折率層とをこの順に有し、光散乱層は透光性粒子を含有し、透光性粒子の平均粒子径に対する光散乱層の平均膜厚み比率が1.5〜2.5である請求項1〜19のいずれかに記載の光散乱フィルム。
- 一対の保護フィルムの間に偏光膜を有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、請求項1〜20のいずれかに記載の光散乱フィルムである偏光板。
- 請求項1〜20のいずれかに記載の光散乱フィルム又は請求項21に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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