JP2009175722A - 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】防眩性と黒締まり性、脆性に優れ、映り込んだ像の周辺の虹色状のムラや、画像表示装置のムラが見えにくい防眩性フィルムを提供すること。
【解決手段】透明支持体上に防眩層を有する光学フィルムであって、該防眩層が透光性樹脂と少なくとも2種の透光性粒子とを有し、該防眩層の膜厚が10μm〜15μmであり、該透光性粒子の平均粒子径が7μm〜15μmであり、該透光性粒子と該透光性樹脂の屈折率差の絶対値が0.001〜0.050であり、かつ該透光性粒子の含有量の合計が該防眩層中の全固形分に対して15〜40質量%であることを特徴とする光学フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、該光学フィルムを有する偏光板および画像表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面には、防眩フィルムや防眩性反射防止フィルムが使用される。画像表示装置のオフィスや家庭環境での使用が広がっており、室内の蛍光灯や視聴者の像がディスプレイ表面に写りこむことを防止する防眩性の向上と、明所での表示コントラストの更なる向上が要求されている。
表面に凹凸を持たせることで光が散乱を起こし防眩性を得る防眩フィルムは、表面の光散乱により明所での黒が締まらないという画像品位低下の問題を抱えており、防眩性と黒締まりを両立させることが課題であった。この課題を改良するための手段として、平均粒子径が6μm〜15μmの微粒子を含有した層の厚みが15〜35μmの防眩性フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に示される防眩性フィルムは、膜厚が15〜35μmであり、その膜厚では、偏光板加工時等での折り曲げにより、膜に亀裂が入ったり、カールが大きくなることがある。また、特許文献1の防眩性フィルムを液晶表示装置(LCD)の表面に使用した場合、3波長蛍光灯がディスプレイ表面に写りこむと、映り込んだ蛍光灯の周りに虹色状のムラが見えたり、画像表示部に起因するムラが見えることがあり、これらの改良が望まれていた。
特開2007−41533号公報
本発明の目的は、防眩性と黒締まり性、脆性に優れ、映り込んだ像の周辺の虹色状のムラや、画像表示装置のムラが見えにくい防眩性フィルムを提供することにある。また、本発明の別の目的は、該光学フィルムを具備した偏光板および画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の粒径、特定の屈折率の粒子と粒子量、および膜厚を組み合わせて使用することにより、防眩性と黒締まり性、脆性に優れた防眩性フィルムを再現性良く作製することができることを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明の防眩性フィルムを液晶表示装置(LCD)の表面に使用した場合、3波長蛍光灯がディスプレイ表面に写りこむ場合でも虹色状のムラが発生しにくいことを見いだした。
すなわち、本発明者らは、以下の各構成により、上記目的を達成した。
1. 透明支持体上に防眩層を有する光学フィルムであって、該防眩層が透光性樹脂と少なくとも2種の透光性粒子とを有し、該防眩層の膜厚が10μm〜15μmであり、該透光性粒子の平均粒子径が7μm〜15μmであり、該透光性粒子と該透光性樹脂の屈折率差の絶対値が0.001〜0.050であり、かつ該透光性粒子の含有量の合計が該防眩層中の全固形分に対して15〜40質量%であることを特徴とする光学フィルム。
2. 該透光性粒子の屈折率が互いに異なっていることを特徴とする上記1に記載の光学フィルム。
3. 該少なくとも2種の透光性粒子は、該透光性樹脂との屈折率差が0.01〜0.050である透光性粒子Aと、該透光性樹脂との屈折率差が−0.050〜−0.010である透光性粒子Bとを含むことを特徴とする上記2に記載の光学フィルム。
4. 該少なくとも2種の透光性粒子は、該透光性樹脂との屈折率差の絶対値が0.015〜0.050である透光性粒子Aと、該透光性樹脂との屈折率差の絶対値が0.001以上0.015未満である透光性粒子Bとを含むことを特徴とする上記2に記載の光学フィルム。
5. 該透光性粒子Aと透光性粒子Bの平均粒子径が実質的に同じであることを特徴とする上記3に記載の光学フィルム。
6. 該透光性粒子Aと透光性粒子Bの透光性粒子の平均粒子径が互いに異なっていることを特徴とする上記4に記載の光学フィルム。
7. 該透光性粒子Aと該透光性粒子Bの質量比が25:75〜75:25であることを特徴とする上記3〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
8. 該防眩層より低屈折率の層をさらに有することを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
9. 表面散乱に起因するヘイズ値が0.2%〜10%であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の光学フィルム。
10.内部散乱に起因するヘイズ値が10%〜35%であることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の光学フィルム。
11.積分反射率が3.0%以下であることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
12.中心線平均粗さRaが0.05μm〜0.25μmであり、かつ凹凸の平均間隔Smが50μm〜350μmであることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の光学フィルム。
13.平均傾斜角θaが0.5°以上3.0°以下であることを特徴とする上記1〜12のいずれかに記載の光学フィルム。
14.傾斜角分布の最大角が0.3°以下であることを特徴とする上記1〜13のいずれかに記載の光学フィルム。
15.偏光膜と該偏光膜の両面を保護する2枚の保護フィルムとを含む偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が上記1〜14のいずれかに記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
16.上記1〜14のいずれかに記載の光学フィルム、または上記15に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、防眩性と黒締まり性、脆性に優れた防眩性フィルムを再現性良く提供することができる。また、本発明によれば、防眩性と黒締まり性、脆性に優れた偏光板および、3波長蛍光灯がディスプレイ表面に写りこむ場合でも虹色状のムラが発生しにくい画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本発明において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
<光学フィルムの層構成>
本発明の光学フィルムは、透明支持体上に防眩層を有する光学フィルムであって、防眩層が防眩層を構成する透光性樹脂と少なくとも2種の透光性粒子とを有し、該防眩層の膜厚が10μm〜15μmであり、これら複数の透光性粒子の平均粒子径はそれぞれ7μm〜15μmであり、これら複数の透光性粒子と該透光性樹脂の屈折率差の絶対値はそれぞれ0.001〜0.050の範囲内であり、かつこれら複数の透光性粒子が該防眩層中の全固形分に対して合計で15〜40質量%含まれていることを特徴とする光学フィルムである。
本発明の光学フィルムは、透明支持体の上に少なくとも1層の防眩層を有する。該防眩層は表面散乱または内部散乱、もしくはその両者を用いた光拡散機能を有する層である。防眩層は1層でもよいし、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
本発明の光学フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、フィルムで構成された透明支持体を指している。
・基材フィルム/防眩層
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層
・基材フィルム/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
本発明の光学フィルムでは、防眩層以外の層が塗設されていてもよく、これらの層としては、例えばハ−ドコート層、帯電防止層、低屈折率層、防汚層等が挙げられる。防眩層がハ−ドコート層、帯電防止層、防汚層等の機能を同時に有することがより好ましい。上記構成の中屈折率層、高屈折率層の少なくとも1つが帯電防止層の機能を兼ねることが好ましい。中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の3層構成である場合は、中屈折率層が帯電防止層の機能を兼ねることが、所望の帯電防止性と屈折率実現の観点で特に好ましい。
本発明では、低反射化の点から、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層を含む構成の反射防止膜が好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。
本発明で好ましい形態は、製造が単純で生産性の高いという観点から、透明支持体上に単一層の防眩層を有する光学フィルム、および、支持体上に単一層の防眩層と単一層の低屈折率層をこの順に有する反射防止フィルムである。
<防眩層の構成>
本発明の光学フィルムにおける防眩層は、少なくとも2種の平均粒子径が7μm〜15μmの透光性粒子、および透光性樹脂を含む。該防眩層は、該透光性粒子と、マトリックス形成成分(バインダー用モノマー類等)及び有機溶媒を含有する塗布液を塗布・乾燥し硬化して得ることができる。
防眩層を形成する塗布液は、例えば、電離放射線等で硬化されて形成する透光性ポリマーの原料となる主たるマトリックス形成バインダー用モノマー類、前記特定粒径の透光性粒子、重合開始剤を含み、さらに、塗布液の粘度を調整するための高分子化合物、カール低減や屈折率調節等のための無機微粒フィラー、塗布助剤等を含んでもよい。
防眩層の厚さは10μm〜15μmであり、更に好ましくは12μm〜15μmであり、最も好ましくは13μm〜14μmである。10μm未満の場合には、下記に述べる透光性粒子を用いた場合に表面凹凸が大きくなりすぎ黒締まりが悪化し、15μmを超えると表面凹凸が小さくなり防眩性が不十分であり、また、膜の脆性が悪化する。
<防眩層の透光性粒子>
透光性粒子の平均粒子径は7μm〜15μmであり、7.5μm〜12μmがより好ましく、8μm〜12μmがさらに好ましい。粒子径がこの範囲である場合、防眩性、黒締まりに優れる。
本発明においては、透光性粒子としては、後述の光散乱性の観点から少なくとも2種用いられる。少なくとも2種の透光性粒子は、その平均粒子径および屈折率のうち少なくともどちらかは互いに異なっていることが好ましい。2種類の粒子(例えば、粒子Aと粒子B)のみを含む態様が好ましいが、更に追加の粒子を含めることができ、例えば粒子Aまたは粒子Bのどちらか一方と同じ粒子サイズの粒子Cを含むことができる。
本発明においては、透光性粒子は、防眩層の全固形分に対して、15〜40質量%であり、15〜25質量%であることが好ましく、15〜20質量%であることがより好ましい。粒子量がこの範囲にあると、防眩性と膜強度に優れる光学フィルムになる。
また、粒子Aと粒子Bの質量比は25:75〜75:25が好ましく、37:63〜75:25がより好ましく、50:50〜75:25が更に好ましい。
本発明において、透光性粒子は防眩性層形成用塗布液中に分散され塗布・乾燥・硬化して防眩層が形成される。透光性粒子の平均粒子径は、塗膜中で2つ以上の粒子が隣接して存在している場合も、独立して存在している場合も、平均粒子径は一次粒径を指す。但し、一次粒子径が0.1μm程度の凝集性の無機粒子が二次粒子として、本発明の粒子サイズを満たす大きさで塗布液中に分散され、その後塗布されている場合には二次粒子の大きさとする。
本発明の効果は内部散乱性と表面散乱性を独立に制御することで達成することができる。
内部散乱性と表面散乱性に制御については後述するが、内部散乱性は内部散乱に起因するヘイズ値(以降、「内部ヘイズ」と記載する)によって、表面散乱性は表面散乱に起因するヘイズ値(以降、「表面ヘイズ」と記載する)によって測定され、確認できる。
本発明では、必要な内部散乱性を得るために、防眩層の粒子と透光性樹脂(マトリックス)との屈折率を調節する必要がある。該透光性粒子と該透光性樹脂の屈折率差の絶対値は0.001〜0.050が好ましく、より好ましくは0.005〜0.040であり、更に好ましくは0.015〜0.040であり、最も好ましくは0.020〜0.030である。2種以上の粒子を使用する場合は粒子Aと粒子Bの屈折率差は0でも良いが、異なっている方が好ましい。
屈折率差が小さすぎると、所望の内部散乱性を得るために、粒子量を多くする必要があり、膜強度が悪化する。屈折率差が大きすぎる場合は、画像表示部に起因するムラを見えにくくする効果が得ることができない。
本発明では、粒子A又は粒子Bの一方がマトリックスよりも屈折率が低く、一方がマトリックスよりも屈折率が高い態様をとることが好ましい。例えば、粒子A又は粒子Bのうち高屈折率粒子(粒子Aとする)は屈折率が透光性樹脂に対して0.010〜0.050高いのが好ましく、更に好ましくは0.020〜0.040であり、最も好ましいのは0.020〜0.030である。低屈折率側粒子(粒子Bとする)は透光性樹脂に対して0.010〜0.050低いのが好ましく、更に好ましくは0.020〜0.040であり、最も好ましいのは0.020〜0.030である。粒子Aと粒子Bの屈折率差があることで内部散乱と表面の形状の制御が容易となる。また、このようにマトリックスに対し、屈折率を高くした粒子A,低くした粒子Bを使用することで、驚くべき事に、液晶表示装置(LCD)の表面に使用した場合、3波長蛍光灯をディスプレイ表面に写りこませても虹色状のムラや、画像表示部に起因するムラが発生しない。
虹色状のムラの原因は明確ではないが以下の様に推定している。虹ムラは暗室下、3波長の蛍光灯を画像表示装置に映り込ませた場合、画像表示装置(例えば、液晶表示装置)内のガラス板、偏光板、電気回路あるいは、ブラックマトリックス等により反射された内部反射光が、正反射像の周辺に発生するためと推定している。また、画像表示部に起因するムラは液晶表示装置によっては灰色のベタ表示をした状態で縞状あるいは同心円状の表示ムラを観察することができる。原因については明確ではないが、バックライトとブラックマトリックスによるそれぞれの陰影の干渉によって生じている現象と推定している。
粒子Aと粒子Bの平均粒子径は実質的に同じであることが好ましい。実質的に同じとは、粒子Aの平均粒子径(φA)と粒子Bの平均粒子径(φB)の比(φB/φA)が0.90〜1.10であり、より好ましくは0.95〜1.05であり、特に好ましくは0.97〜1.03である。粒径比が上記の範囲であれば表面形態が変化せず、防眩性と黒締まり感の観点で好ましい。
また、別の態様として、透光性樹脂との屈折率差の絶対値が0.015〜0.050である透光性粒子Aと、透光性樹脂との屈折率差の絶対値が0.001以上0.015未満である透光性粒子Bをとることも好ましい。この場合は、透光性粒子A,Bの平均粒子径は異なることが好ましく、φA<φBであることが更に好ましい。この範囲であれば、3波長蛍光灯をディスプレイ表面に写りこませても虹色状のムラが発生せず、防眩性と黒締まり感の観点で好ましい。
透光性粒子は、以下に説明する粒子の中から、所望の屈折率、平均粒子サイズに応じて選択することができる。本発明では、透光性粒子として、樹脂粒子および/または無機微粒子が用いられる。
樹脂粒子の具体例としては、例えば架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋メチルメタアクリレート−メチルアクリレート共重合粒子、架橋アクリレート−スチレン共重合粒子、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子等が好ましい。さらにはこれらの樹脂粒子の表面にフッ素原子、シリコン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、燐酸基等を含む化合物を化学結合させた所謂表面修飾した粒子やシリカやジルコニアなどのナノサイズの無機微粒子を表面に結合した粒子も好ましく挙げられる。
また、透光性粒子として、無機微粒子を用いることもできる。無機微粒子の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子等が好ましく挙げられるが、シリカ粒子が特に好ましく用いられる。
塗布のムラや干渉ムラを目立ちずらくする、あるいは、コストの観点から、防眩層のマトリックスの屈折率を1.54以下、特に好ましくは屈折率1.53以下にする場合は、本発明では、透光性粒子は、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、シリカ粒子が好ましい。架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子を用いる場合、スチレンの共重合比率を10%以上90%以下にすることが好ましい。
粒子の形状は、真球又は不定形のいずれも使用できる。粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御性、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。粒子径の均一さを表すCV値は15%以下が好ましく、より好ましくは13%以下、更に好ましくは10%以下である。さらに、平均粒子径よりも33%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以下であり、さらに好ましくは、0.4%以下である。粗大粒子が多すぎると表面の粗面化が強調して認識されてしまうため、ブツブツ感が悪化し、好ましくない。
平均粒子径よりも16%以上粒子径が小さな粒子を微小粒子と規定した場合、この微小粒子の割合は全粒子数の10%以下であることが好ましく、より好ましくは6%以下であり、さらに好ましくは、4%以下である。このような粒子径分布を持つ粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布の粒子を得ることができる。分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
透光性粒子の粒子径の測定方法は、粒子の粒子径を測る測定方法であれば、任意の測定方法が適用できるが、粒子の粒度分布をコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算して得られた粒子分布から算出する方法や、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする方法がある。
なお、本発明において平均粒子径はコールターカウンター法によって得られた値を用いる。
透光性粒子の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n−ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
〔表面形態〕
本発明では良好な防眩性と黒締まりを両立することが必要である。防眩性に関しては、実用上では、様々な光源が様々な角度から映りこむ場合で良好な防眩性を示す必要がある。このような多様な映り込みは発明者らが鋭意努力した結果、光源の映り込む場合の見こみ角を変えることで簡易的に評価できることが判り、大きなサイズの光源(例えば蛍光灯)と細い光源(例えば蛍光灯をカバーで覆って模擬的に作った線光源)の両方で良好な映り込みを示す必要がある。また、黒締まりに関しても、明室環境下でディスプレイの垂直方向から視認した場合と45°程度の角度をつけて視認した場合の両方で良好な黒締まりを達成する必要がある。このような指標で評価して優れた防眩性と黒締まりを達成するためには、上記の膜厚範囲で特定の表面形態を達成することが好ましいことが判った。上記の粒子の粒径、屈折率などの好ましい範囲は、上記膜厚で特定の表面形態を達成するための好適な手段である。本発明の光学フィルムの好ましい表面形態(表面凹凸)を下記に記す。
本発明の防眩フィルムにおいて、表面ヘイズ値は0.2〜10%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜5%である。表面ヘイズが大きすぎると黒締まりが悪化し、小さすぎると防眩性が悪化する。
中心線平均粗さRaが0.05μm以上0.25μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.10μm以上0.20μm以下、最も好ましくは0.12μm以上0.18μm以下である。
中心線平均粗さRaはJIS−B0601(1982)に準拠して測定することができる。Raが大きすぎると黒締まり、明室コントラストが悪化し、Raが小さすぎると防眩性が悪化する。
防眩性と黒締まりの両立に適した表面形態を得るためには、凹凸の平均間隔Smも重要である。Smは50μm以上350μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは60μm以上200μm以下あるいは250μm以上350μm以下、最も好ましくは60μm以上150μm以下あるいは300μm以上350μm以下である。
凹凸の平均間隔SmはJIS B0601(1994)に準拠して測定することができる。Smが大きすぎると大きなサイズの光源の映り込みが見え易くなる。Smが小さすぎると黒締まりが悪化するとともに、細い光源(線光源)のエッジボケが弱く、好ましくない。Smが200μm超〜250μm未満の場合、面荒れが強く外観が良くない。
RaとSmがともに上記好ましい範囲であることがより好ましい。
明室コントラストを良化するためには、平均傾斜角度θaも同時に特定の範囲に制御する必要がある。平均傾斜角θaが0.5°以上3.0°以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.6°以上2.5°以下、最も好ましくは0.6°以上2.0°以下である。平均傾斜角度が大きすぎると黒締まりが悪化するとともに、細い光源(線光源)のエッジボケが弱くなり好ましくない。平均傾斜角度が小さすぎると大きなサイズの光源の映り込みが見え易くなり好ましくない。
傾斜角分布の最大角は0.3°以下が好ましく、さらに好ましくは0.28°以下、最も好ましくは0.25°以下である。
平均傾斜角θaと傾斜角分布の最大角とがともに上記好ましい範囲を満たすことがより好ましい。
本発明の光学フィルムの平均傾斜角度は以下の方法で決定される。すなわち、面積が0.5乃至2平方マイクロメートルである三角形の頂点を透明フィルム基材面(支持体面)に仮定し、その点から鉛直上向きに伸ばした3つの垂線がフィルム表面と交わる3点によって形成される三角形の面の法線が、支持体から鉛直上向きに伸ばした垂線となす角を表面の傾斜角度とし、基材上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上の面積を該三角形に分割して測定した時の全測定点の平均値を平均傾斜角度として算出する。
傾斜角度を測定する方法をさらに詳細に述べる。図1(a)のように面積が0.5〜2平方マイクロメートルとなるようなメッシュにフィルムを分割する。図1(b)は分割したメッシュのうちの3点を抽出した図である。この支持体上の3点から鉛直上向きに垂線を伸ばし、その3点が表面と交わった点をA、B、Cとする。三角形ABC面の法線DD’が、支持体から鉛直上向きに伸ばした垂線OO’と為す角度θを傾斜角度とする。図1(c)は点O’DD’を含む平面Pで切ったときのフィルムの断面図である。線分EFは三角形ABCと平面Pとの交線である。測定面積は支持体上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上が好ましく、この面を支持体上で三角形に分割して測定し、傾斜角度を求める。測定する装置はいくつかあるが、一例を述べる。装置はマイクロマップ社(米国)製SXM520−AS150型を用いた場合を説明する。例えば対物レンズが10倍の時、傾斜角度の測定単位は0.8平方マイクロメートルであり、測定範囲は500000平方マイクロメートル(0.5平方ミリメートル)である。対物レンズの倍率を大きくすれば、それに合わせて測定単位と測定範囲は小さくなる。測定データはMAT−LAB等のソフトを用いて解析し、傾斜角度分布を算出することができ、そのデータをもとに平均傾斜角度を算出することができる。
本発明では、表面ヘイズ、表面粗さをこの範囲にすることで黒締まりに優れた防眩性フィルムが得られる。また、内部ヘイズ値は10〜35%であることが好ましく、更に好ましくは15〜30%、最も好ましくは20〜30%である。内部へイズをこの範囲にすることで、表面コントラストの低下とギラツキの防止の2つの性能を実用的に満足させることができる。これらへイズの調節は、透光性粒子の種類と量の調節により行うことができる。
なお、表面ヘイズと内部ヘイズは以下の手順で測定することができる。
(1) JIS−K7136に準じてフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2) フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3) 上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
<防眩層の透光性樹脂(マトリックス形成用バインダー)>
防眩層を形成するマトリックスを形成するバインダー(以降、「バインダー」と記載する)としては、特に限定されないが、電離放射線等による硬化後に飽和炭化水素鎖、又はポリエーテル鎖を主鎖として有する透光性樹脂であることが好ましい。また、後述のモノマーを硬化後の主たるバインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
硬化後に飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、下記に述べる第一群の化合物より選ばれるエチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。また、ポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーとしては、下記に述べる第二群の化合物より選ばれる環状エーテル系モノマー、例えばエポキシ系モノマー及びオキセタン系モノマーの開環による重合体が好ましい。さらにこれらのモノマー類の混合物の重合体も好ましい。
本発明では、第一群の化合物として、飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、且つ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
防眩層を形成するためのバインダーポリマーに用いられる、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート}、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、(メタ)アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)等が挙げられる。
さらに、2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂、例えば低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂および多価アルコール等の、多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等もあげられる。これらのモノマーは2種以上併用してもよく、また、2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂はバインダーマトリックス全量に対して10〜100質量%含有することが好ましい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤、および粒子、必要に応じて無機フィラー、塗布助剤、その他の添加剤、有機溶媒等を含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明支持体上に塗布後、電離放射線又は熱による重合反応により硬化して防眩層を形成する。電離放射線硬化と熱硬化を合わせて行うことも好ましい。光及び熱重合開始剤としては市販の化合物を利用することができ、それらは、「最新UV硬化技術」(p.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)や、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)の「光重合開始剤」カタログ(例えば、IRGACUREシリーズ,DAROCURシリーズ)等に記載されている。
本発明では、第二群の化合物として、硬化膜の硬化収縮低減のためには、以下で述べるエポキシ系化合物を用いることが好ましい。これらのエポキシ基を有するモノマー類としては、1分子中にエポキシ基を2基以上有するモノマーが好ましく、これらの例としては特開2004−264563号、同2004−264564号、同2005−37737号、同2005−37738号、同2005−140862号、同2005−140863号、同2002−322430号公報等に記載されているエポキシ系モノマー類が挙げられる。
エポキシ基を有するモノマー類は層を構成する全バインダーマトリックスに対して20〜100質量%含有することが硬化収縮低減のために好ましく、35〜100質量%含有することがより好ましく、50〜100質量%含有することがさらに好ましい。
エポキシ系モノマー、化合物類を重合させるための、光の作用によってカチオンを発生させる光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩などのイオン性の化合物やスルホン酸のニトロベンジルエステルなどの非イオン性の化合物等が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている化合物等種々の公知の光酸発生剤が使用できる。この中で特に好ましくはスルホニウム塩もしくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF 、SbF 、AsF 、B(C などが好ましい。
重合開始剤は、上記第一群の化合物100質量部に対して、重合開始剤総量で0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量部の範囲がより好ましい。
光酸発生剤は、上記第二群の化合物100質量部に対して、光酸発生剤総量で0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量部の範囲がより好ましい。
<防眩層の高分子化合物>
本発明では、防眩層形成用組成物にバインダーとは異なる高分子化合物を含有してもよい。高分子化合物を添加することで、硬化収縮を小さくしたり、塗布液の粘度調整を行うことができる。
高分子化合物は、塗布液に添加する時点で既に重合体を形成しており、該高分子化合物としては、例えばセルロースエステル類(例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースナイトレート等)、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸メチル等)、ポリスチレン等が好ましく用いられる。
高分子化合物は、硬化収縮への効果や塗布液の粘度増加効果の観点から、高分子化合物を含有する層に含む全バインダーマトリックスに対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%の範囲で含有することが好ましい。また、高分子化合物の分子量は質量平均で0.3万〜40万が好ましく、0.5万〜30万がより好ましく、0.5万〜20万がさらに好ましい。
<防眩層の無機フィラー>
本発明の防眩層には、上記の透光性粒子に加えて、屈折率の調整、膜強度の調整、硬化収縮減少、さらに低屈折率層を設けた場合の反射率低減の目的に応じて、無機フィラー使用することもできる。例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物からなり、一次粒子の平均粒子径が、一般に0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下1nm以上である微細な高屈折率無機フィラーを含有することも好ましい。
透光性粒子との屈折率差を調整するために、マトリックスの屈折率を低くする必要が生じた場合は、無機フィラーとして、シリカ微粒子、中空シリカ微粒子等の微細な低屈折率無機フィラーを用いることができる。好ましい粒径は、前記の微細な高屈折率無機フィラーと同じである。
無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
無機フィラーの添加量は、防眩層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分短いために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質の性質を有する。
防眩層の屈折率は1.46〜1.65であることが好ましく、1.49〜1.60であることがより好ましく、1.49〜1.53であることが特に好ましい。屈折率をこの範囲にすることで、塗布村、干渉ムラを目立ちにくくし、硬度の高い防眩層をえることができる。
ここで、該透光性粒子を除く光拡散層の膜の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
<防眩層の界面活性剤>
本発明の防眩層では、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を防眩層用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特に、フッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の光学フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。これにより、面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、例えば、特開2007−188070号公報の段落番号0049〜0074に記載の化合物が挙げられる。
本発明の防眩層で用いられる界面活性剤(特に、フッ素系ポリマー)の好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。界面活性剤の添加量が0.001質量%以上で効果が十分であり、また5質量%以下とすることで、塗膜の乾燥が十分に行われ、塗膜としての良好な性能(例えば反射率、耐擦傷性)が得られる。
<防眩層用塗布液の有機溶媒>
防眩層を形成する塗布組成物には、有機溶媒を添加することができる。
有機溶媒としては、例えばアルコール系では、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、イソアミルアルコール、1−ペンタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール等、ケトン系では、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等、エステル系では、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸n−アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル等、エーテル、アセタール系では、1,4ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルアセタール等、炭化水素系では、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、リグロイン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ジビニルベンゼン等、ハロゲン炭化水素系では、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン、1,1,1,2−テトラクロルエタン等、多価アルコールおよびその誘導体系では、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、グリセリンモノアセテート、グリセリンエーテル類、1,2,6−ヘキサントリオール等、脂肪酸系では、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、絡酸、イソ絡酸、イソ吉草酸、乳酸等、窒素化合物系では、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル等、イオウ化合物系では、ジメチルスルホキシド等、が挙げられる。
有機溶媒の中でメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、1−ペンタノール等が特に好ましい。また、有機溶媒には、凝集性制御の目的でアルコール、多価アルコール系の溶媒を適宜混合して用いてもよい。これらの有機溶媒は、単独でも混合して用いてもよく、塗布組成物中に有機溶媒総量として、20質量%〜90質量%含有することが好ましく、30質量%〜80質量%含有することがより好ましく、40質量%〜70質量%含有することが最も好ましい。防眩層の表面形状の安定化のためには、沸点が100℃未満の溶媒と沸点が100℃以上の溶媒を併用することが好ましい。
<防眩層の硬化>
防眩層は、塗布液を透明支持体に塗布後、光照射、電子線ビーム照射、加熱処理などを実施して、架橋又は重合反応させて形成できる。紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。紫外線による硬化は、窒素パージ等で酸素濃度が4体積%以下、更に好ましくは2体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下の雰囲気下で硬化することが好ましい。
以下に、防眩層以外の層について説明する。
<低屈折率層>
本発明の光学フィルムでは、反射率を低減するため、屈折率が防眩層よりも低い層(以降、「低屈折率層」と記載する。)を有することが好ましい。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが特に好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
好ましい低屈折率層の硬化物組成の態様としては、
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物、
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと無機微粒子(特に中空構造を有する無機微粒子が好ましい。)を含有する組成物、
などが挙げられる。
(1)及び(2)に関しても、無機微粒子を含有することが好ましく、さらに屈折率の低い中空構造を有する無機微粒子用いると、低屈折率化や無機微粒子添加量と屈折率の調整などの観点で特に好ましい。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物
架橋性または重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性または重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、特許317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記防眩層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
本発明に用いられる低屈折率層用の組成物には、前述の光ラジカル重合開始剤または熱ラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明に用いられる低屈折率層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
ポリシロキサン構造を有する添加剤としては、反応性基含有ポリシロキサン{例えば“ KF−100T”,“X−22−169AS”,“KF−102”,“X−22−3701IE”,“X−22−164B”,“X−22−5002”,“X−22−173B”,“X−22−174D”,“X−22−167B”,“X−22−161AS” (商品名)、以上、信越化学工業(株)製;“AK−5”,“AK−30”,“AK−32”(商品名)、以上東亜合成(株)製;、「サイラプレーンFM0725」,「サイラプレーンFM0721」(商品名)、以上チッソ(株)製等}を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383号公報の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833、オプツールDAC(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300、MCF−323 (以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらのポリシロキサンフッ素系化合物やポリシロキサン構造を有する化合物は低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
<高屈折率層、中屈折率層>
本発明における光学フィルムには、防眩層の透明支持体と反対側の低屈折率層との間に高屈折率層を設け、低屈折率層とともに光学干渉を利用すると反射防止性を高めることができる。更に、防眩層と高屈折率層の間に防眩層と高屈折率層の中間の屈折率を有する中屈折率層を設けることが好ましい。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、防眩層との関係で言えば屈性率は、防眩層>低屈折率層、高屈折率層>防眩層の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を形成して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.60〜2.00である。
透明支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作製する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましく、1.55乃至1.70がより好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いられる無機粒子の具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOなどの無機酸化物を主成分とする無機粒子が好ましく、屈折率調整のためSiOを主成分とする無機粒子を加えることもできる。高屈折率層に用いるにはTiO及びZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
<帯電防止層>
本発明において、反射防止フィルムが有する薄膜層の少なくとも1層を帯電防止層とすることができる。本発明においてフッ素を含有した硬化性組成物、とりわけ含フッ素防汚剤を用いた場合、低屈折率で優れた防汚性を発現することが可能であるが、塗膜の表層にフッ素が配向するため帯電性が悪く、防塵性の悪化を招く傾向がある。そのため本発明ではフィルム表面での静電気防止の点で帯電防止層を有することが好ましい。
以下で帯電防止層に用いる材料、帯電防止層の性能について詳述する。
帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗布液を塗布する方法、透明で導電性を有する高分子からなる透明導電性材料を塗布する方法或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法、等の従来公知の方法を挙げることができる。帯電防止層は、透明支持体上に直接又は透明支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。反射防止フィルムの最表層から近い層として帯電防止層を設ける場合には、層の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができ、好ましい。本発明においては、薄膜層の少なくとも1層または透明支持体と該薄膜層のうち透明支持体の最も近くに位置する薄膜層の間に位置する層を帯電防止層として有することが好ましい。塗布方法は、特に限定されず、塗布液の特性や塗工量に応じて、例えば、ロールコート、グラビアコート、バーコート、押出しコート等の公知の方法より最適な方法を選択して行えばよい。
帯電防止層の表面抵抗は、下記式(4)を満たす抵抗値(SR)を有することが好ましい。
式(4) : LogSR≦12
式(4)において、LogSRが、5〜12であることがより好ましく、5〜9であることがさらに好ましく、5〜8であることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗(SR)は、四探針法、または円電極法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
(帯電防止層の導電性無機微粒子)
帯電防止層は、導電性微粒子と反応性硬化樹脂とを溶媒に溶解してなる塗布組成物を用いて形成することができる。この場合には、導電性無機微粒子は、金属の酸化物または窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが含まれる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機微粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が含まれる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子から選ばれる少なくともいずれかを添加することが好ましい。より具体的には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、リンドープ酸化錫(PTO)、アンチモン酸亜鉛(AZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化レニウム、酸化銀、酸化ニッケル及び酸化銅からなる群から選択される一又は二以上の金属酸化物の組合せが挙げられる。錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、リンドープ酸化錫(PTO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のInの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
帯電防止層に用いる導電性無機微粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される帯電防止層中の導電性無機微粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機微粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機微粒子を表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナおよびシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。具体的には、本発明の構成成分(C)無機微粒子で述べた{無機微粒子の表面処理方法}に記載の方法が好適に用いられる。また、特開2008−31327の段落番号[0101]〜[0122]に記載の方法も好ましく用いることができる。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
二種類以上の導電性無機微粒子を帯電防止層内で併用してもよい。
帯電防止層中の導電性無機微粒子の割合は、全固形分中20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが更に好ましく、30〜80質量%であることが最も好ましい。
導電性無機微粒子は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用する。導電性無機微粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。導電性無機微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散できる。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
導電性無機化合物粒子は有機溶媒中アルコキシシラン化合物と反応させることが好ましい。導電性無機化合物粒子とアルコキシシラン化合物とを予め反応させた反応液を用いることによって、保存安定性及び硬化性に優れるという効果が得られる。
上記導電性無機酸化物粒子の粉体としての市販品としては、例えば、三菱マテリアル(株)製 商品名:T−1(ITO)、三井金属(株)製 商品名:パストラン(ITO、ATO)、石原産業(株)製 商品名:SN−100P(ATO)、シーアイ化成(株)製 商品名:ナノテックITO、日産化学工業(株)製 商品名:ATO、FTO等を挙げることができる。
導電性無機酸化物粒子は、その表面に酸化ケイ素を担持してなるものが、アルコキシシラン化合物と特に効果的に反応することから好ましい。このような酸化ケイ素を担時する方法としては、例えば、特許公報第2858271号に開示されており、酸化錫及び酸化アンチモンの水和物の共沈物を生成させた後、ケイ素化合物を沈着させ、分別、焼成する工程により製造することができる。
その表面に酸化ケイ素を担持してなる導電性無機酸化物粒子の市販品としては、例えば、石原産業(株)製 商品名:SN−100P(ATO)、及びSNS−10M、FSS−10M等を挙げることができる。
導電性無機酸化物粒子を有機溶媒に分散した市販品としては、例えば、石原産業(株)製 商品名:SNS−10M(MEK分散のアンチモンドープ酸化錫)、FSS−10M(イソプロピルアルコール分散のアンチモンドープ酸化錫)、日産化学工業(株)製 商品名:セルナックスCX−Z401M(メタノール分散のアンチモン酸亜鉛)、セルナックスCX−Z200IP(イソプロピルアルコール分散のアンチモン酸亜鉛)、触媒化成工業(株)製 商品名:ELCOM JX−1001PTV(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散のリン含有酸化錫)等を挙げることができる。
<有機溶媒>
帯電防止層形成用硬化性組成物に用いられる有機溶媒は、前述のように、導電性無機酸化物粒子を分散させる分散媒として用いられる。
有機溶媒の配合量は、導電性無機酸化物粒子100質量部に対し、好ましくは、20〜4,000質量部、さらに好ましくは、100〜1,000質量部である。溶媒量が20質量部未満であると、粘度が高いため均一の反応が困難であることがあり、4,000質量部を超えると、塗布性が低下することがある。
このような有機溶媒としては、例えば、常圧での沸点が200℃以下の溶媒を挙げることができる。具体的には、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、アミド類が用いられ、これらは、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類が好ましい。
ここで、アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、n―ブタノール、tert―ブタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等を挙げることができる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。エーテル類としては、例えば、ジブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を挙げることができる。エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等を挙げることができる。炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等を挙げることができる。アミド類としては、例えば、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N―メチルピロリドン等を挙げることができる。
中でも、イソプロピルアルコール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、乳酸エチル等が好ましい。
(帯電防止層のバインダー)
帯電防止層のバインダーとしては、高屈折率層に用いた硬化性樹脂、特に電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーが好ましく用いられるが、反応性硬化樹脂を反応させてなる、架橋しているポリマーをバインダーとして用いることもできる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。アニオン性基は、導電性無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。架橋構造は、ポリマーに皮膜形成能を付与して、帯電防止層を強化する機能を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシ基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシ基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組合せから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は、二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋構造は、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組合せから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組合せから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
上記バインダーを、例えば特開2003−39586号公開公報に記載の以下の反応性有機珪素化合物と併用することもできる。反応性有機珪素化合物は、上記バインダーとしての電離放射線硬化型樹脂に対して10〜70質量%の範囲で使用される。反応性有機珪素化合物としては、オルガノシラン化合物が好ましく、これだけを樹脂成分として帯電防止層を形成することも可能である。
〔溶媒〕
上記帯電防止層以外の全ての層を形成する塗布組成物を溶解する溶媒としては、特に限定されないが、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤が好ましく用いられる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、メチルイソプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、ジアセチル、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、メシチルオキサイド、クロロアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等をあげることができる。この中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。これらの溶媒は単独で用いても、任意の混合比で混合して用いてもよい。
また、補助溶媒として、適宜、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、またはフッ素系溶剤(フッ素系アルコールなど)を用いることができる。これらの溶媒は単独で用いても、任意の混合比で混合して用いてもよい。
本発明において、低屈折率層等を設けた反射防止性防眩フィルムの好ましい平均反射率は、3.5%以下が好ましく、3.0%以下がより好ましく、更に好ましくは2.0%以下であり、最も好ましくは2.0%以下0.3%以上である。平均反射率を下げることで防眩フィルムの表面での光散乱を小さくしても十分な防眩性が得られるため、黒締まりに優れた防眩性反射防止フィルムが得られる。
平均反射率の測定はフィルムの裏面をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、積分球付き分光光度計を用いて、380〜780nmの波長領域において、分光反射率を測定した。450〜650nmの反射率の算術平均値を用いた。
<透明支持体>
本発明の光学フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリペットVRL20A:商品名、三菱レイヨン社製、特開2004−70296号公報や特開2006−171464号公報記載の環構造含有アクリル系樹脂)などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
本発明の光学フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。また、本発明の光学フィルムと偏光板を組み合わせてもよい。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の光学フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の光学フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
<塗布方式>
本発明の光学フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、諸機能層を形成するための塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号明細書参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
その後、紫外線、電離放射線などの光照射あるいは加熱、好ましくは加熱下で電離放射線の照射により、機能層を形成するモノマーを重合して硬化する。これにより機能層が形成される。ここで必要であれば、機能層を複数層とすることができる。
次に、同様にして低屈折率層を形成するための塗布液を機能層上に塗布し、光照射あるいは加熱し(紫外線、電離放射線などを照射、好ましくは加熱下で電離放射線を照射することにより硬化させ、)低屈折率層が形成される。このようにして、低屈折率層を積層した光学フィルムが得られる。
<偏光板>
偏光板は、偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の光学フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の光学フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の光学フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と光学フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
<画像表示装置>
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、表面電界ディスプレイ(SED)のような画像表示装置に適用することができる。特に好ましくは液晶表示装置(LCD)に用いられる。本発明の光学フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の光学フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
本発明をさらに詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
防眩層用塗布液A−1の組成
PET−30 65.0g
イルガキュア127 3.0g
8μm架橋アクリル・スチレン粒子a分散液(30%) 52.6g
8μm架橋アクリル粒子b分散液(30%) 20.0g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 72.6g
MEK 32.5g
防眩層用塗布液A−2の組成
PET−30 65.0g
イルガキュア127 3.0g
12μm架橋アクリル・スチレン粒子c分散液(30%) 3.6g
8μm架橋アクリル粒子b分散液(30%) 69.0g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 72.6g
MEK 32.5g
防眩層用塗布液A−3の組成
PET−30 39.1g
DPHA 26.0g
イルガキュア127 3.0g
10μm架橋アクリル・スチレン粒子e分散液(30%) 19.9g
10μm架橋アクリル粒子f分散液(30%) 52.5g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 72.8g
MEK 32.5g
防眩層用塗布液A−4の組成
PET−30 41.2g
DPHA 27.5g
イルガキュア127 3.0g
10μm架橋アクリル・スチレン粒子e分散液(30%) 60.3g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 81.2g
MEK 32.5g
防眩層用塗布液A−5の組成
PET−30 35.8g
DPHA 23.8g
イルガキュア127 3.0g
8μm架橋アクリル粒子b分散液(30%) 90.5g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 60.1g
MEK 32.5g
防眩層用塗布液A−6の組成
PET−30 72.3g
イルガキュア127 3.0g
6μm架橋アクリル・スチレン粒子g分散液(30%) 30.2g
6μm架橋アクリル粒子h分散液(30%) 18.1g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 89.6g
MEK 32.5g
防眩層用塗布液A−7の組成
PET−30 72.3g
イルガキュア127 3.0g
8μm架橋アクリル・スチレン粒子a分散液(30%) 36.2g
20μm架橋アクリル粒子i分散液(30%) 12.1g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 89.6g
MEK 32.5g
防眩層用塗布液A−8の組成
PET−30 72.3g
イルガキュア127 3.0g
10.5μmメラミン樹脂粒子j分散液(30%) 12.1g
8μm架橋アクリル粒子b分散液(30%) 36.2g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 89.6g
MEK 32.5g
防眩層用塗布液A−9の組成
PET−30 78.6g
イルガキュア127 3.0g
8μm架橋アクリル・スチレン粒子k分散液(30%) 18.1g
8μm架橋アクリル粒子b分散液(30%) 9.0g
SP−13 0.2g
CAB−531−1 0.5g
MIBK 104.4g
MEK 32.5g
上記防眩層用塗布液各々について孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して塗布液を調製した。
透光性樹脂の屈折率は塗布液A−1〜A−9から粒子を除いたものから形成された膜をアッベ屈折計で直接測定した。
ここで、該透光性粒子を除く光拡散層の膜の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定した。また、透光性粒子の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n−ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定した。
粒子の屈折率は下記の通りであった。
8μm架橋アクリル・スチレン粒子a 1.555
8μm架橋アクリル粒子b 1.500
12μm架橋アクリル・スチレン粒子c 1.515
10μm架橋アクリル・スチレン粒子e 1.555
10μm架橋アクリル粒子f 1.500
6μm架橋アクリル・スチレン粒子g 1.555
6μm架橋アクリル粒子h 1.500
20μm架橋アクリル粒子i 1.500
10.5μmメラミン樹脂粒子j 1.650
8μm架橋アクリル・スチレン粒子k 1.575
低屈折率層用塗布液L−1の組成
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(A−1) 3.9g
シリカ分散液A(22%) 25.0g
イルガキュア127 0.2g
DPHA 0.4g
MEK 100.0g
MIBK 45.5g
上記低屈折率層用塗布液は孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して塗布液を調製した。上記塗布液を塗布硬化してなる低屈折率層の硬化後の屈折率は1.360であった。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製];
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製];
8μm架橋アクリル・スチレン粒子a分散液(30%):8μm架橋アクリル・スチレン粒子a(屈折率1.555、粒子径8.0μm)[積水化成品工業(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した粒子含有量30%のMIBK分散液)
8μm架橋アクリル粒子b分散液(30%):8μm架橋アクリル粒子b(屈折率1.500、粒子径8.0μm)[綜研化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散したMIBK分散液)
12μm架橋アクリル・スチレン粒子c分散液(30%):12μm架橋アクリル・スチレン粒子c(屈折率1.515、粒子径12.0μm)[積水化成品工業(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した粒子含有量30%のMIBK分散液)
10μm架橋アクリル・スチレン粒子e分散液(30%):10μm架橋アクリル・スチレン粒子e(屈折率1.555、粒子径10.0μm)[積水化成品工業(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した粒子含有量30%のMIBK分散液)
10μm架橋アクリル粒子f分散液(30%):10μm架橋アクリル粒子f(屈折率1.500、粒子径10.0μm)[綜研化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した粒子含有量30%のMIBK分散液)
6μm架橋アクリル・スチレン粒子g分散液(30%):6μm架橋アクリル・スチレン粒子g(屈折率1.555、粒子径6.0μm)[積水化成品工業(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した粒子含有量30%のMIBK分散液)
6μm架橋アクリル粒子h分散液(30%):6μm架橋アクリル粒子h(屈折率1.500、粒子径6.0μm)[綜研化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した粒子含有量30%のMIBK分散液)
20μm架橋アクリル粒子i分散液(30%):20μm架橋アクリル粒子i(屈折率1.500、粒子径20.0μm)[綜研化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した粒子含有量30%のMIBK分散液)
10.5μmメラミン樹脂粒子j分散液(30%):10.5μmメラミン樹脂粒子j(屈折率1.650、粒子径10.5μm)[日産化学工業(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した粒子含有量30%のMIBK分散液)
8μm架橋アクリル・スチレン粒子k分散液(30%):8μm架橋アクリル・スチレン粒子k(屈折率1.575、粒子径8.0μm)[積水化成品工業(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した粒子含有量30%のMIBK分散液);
イルガキュア127:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製];
CAB−531−1:セルロースアセテートブチレート[イーストマンケミカル社製];
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(A−1):特開2005−89536公報製造例3に記載のフッ素ポリマー(A−1);
SP−13:フッ素系の界面活性剤(MEKの10質量%溶液として溶解した後に使用した。)
Figure 2009175722
(シリカ分散液A)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616号公報の調製例4に準じサイズを変更して作成)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)10g、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.0g加え混合した後に、イオン交換水を3gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.0gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し22質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.0%であった。
[実施例1]
光学フィルム試料101〜112の作製
(1)防眩層の塗設
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態から巻き出して、表1に示す防眩層用塗布液を使用し特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。各防眩層の膜厚は表1の値になるように塗布量を調整した。
(2)低屈折率層の塗設
上記防眩層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液L−1を前記のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、90℃で75秒乾燥の後、窒素パージ下酸素濃度0.01〜0.1%で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量240mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、防眩性反射防止フィルムを作製した。
(光学フィルムの鹸化処理)
塗設後、前記試料について、以下の処理を行った。1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した光学フィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済み光学フィルム(試料101〜112)を作製した。
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)と、実施例1における鹸化処理済みの各々のフィルム試料に、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光膜の両面を接着、保護して偏光板を作製した。
(光学フィルムおよび偏光板の評価)
得られたこれらの光学フィルム試料および偏光板試料について、以下の項目の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)表面形状
表面粗さ(Ra):
JIS−B0601(1982)に準じて、小坂研究所(株)製、サーフコーダー MODEL SE−3Fを用いて中心線平均粗さ(Ra)(μm)の測定を行った。
測定条件は、評価長さ2.5mm、カットオフ0.25mm、速度0.5mm/s、探針径2μm、加重30μNで行った。
平均山谷距離Sm:
粗さ曲線が中心線と交差する交点から求めた山谷一周期の間隔の平均値Sm(μm)を測定した。測定装置は小坂研究所(株)製、サーフコーダーMODEL SE−3Fを用い、測定条件は、評価長さ2.5mm、カットオフ0.25mm、速度0.5mm/s、探針径2μm、加重30μNで行った。
平均傾斜角度(θa)、傾斜角分布の最大角:
前記方法で、マイクロマップ社(米国)製SXM520−AS150型、対物レンズ10倍、CCDカメラ Hitachi DenshiLtd. KP−MIU 測定範囲は816μm×618μm、測定波長560nm、測定モード WAVEで行った。測定データはMAT−LABを用いて、平均傾斜角θaと傾斜角分布の最大角を算出した。
(2)へイズ
[1]JIS−K7136に準じて、得られた光学フィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
[2]光学フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られた光学フィルムを密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
(3)平均反射率
フィルムの裏面(トリアセチルセルロースフィルム側)をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、積分球付き分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、分光反射率を測定した。波長領域450〜650nmの積分反射率の算術平均値を平均反射率とした。
(4)黒しまり感
視認側表面に貼った偏光板試料を低屈折率層が視認側になるように配置した液晶表示装置について黒しまり感を官能評価した。評価法はディスプレイを複数台並列に並べて同時に相対比較する方法で行い、真正面から電源off時の黒味、電源on時の黒味(黒い画像)をそれぞれ比較し、以下の基準で評価した。黒味の強いほど画面のしまり感も強いという基準で表した。評価者の位置は、いずれの角度からの観察であってもディスプレイ表面に蛍光灯像の映り込みが見えない位置であった。
◎:5°方向、45°方向のいずれも黒味が強く、画面が非常に強くしまって見える。
○:5°方向、45°方向のいずれも黒味が強く、画面が強くしまって見える。
△:5°方向、45°方向のいずれかの角度、または、両方でグレー味があって、画面のしまり感が弱い。
×:5°方向、45°方向のいずれかの角度、または、両方でグレー味が強く、画面のしまり感がない。
(5)防眩性
得られた光学フィルム試料の塗設面の裏側全体を黒マジックインキで塗りつぶし、ルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を5度の角度から映し、−5度の方向から観察した場合と、45度の角度から映し、−45度の方向から観察した場合の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
◎:−5度でも、−45度でも蛍光灯の輪郭がわずかに観察される程度。
○:−5度では蛍光灯の輪郭がわずかに観察される程度だが、−45度では輪郭が比較的明瞭にわかる。
△:−5度でも、−45度でも蛍光灯の輪郭が比較的明瞭にわかる。
×:−5度でも、−45度でも蛍光灯の輪郭がハッキリ見えるか、眩しい。
(6)脆性試験(耐ひび割れ性)
得られた光学フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める曲率直径を測定し、表面のひび割れを以下の基準で評価した。
◎:曲率直径が30mmでもひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満である
○:曲率直径が40mmでもひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満である
△:曲率直径が50mmでもひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満である
×:曲率直径が50mmで、ひび割れの長さが平均1mm以上
各試料の評価結果を表1に示す。
Figure 2009175722
表1に示される結果より、以下のことが明らかである。本発明の光学フィルムは、防眩性反射防止フィルムとしての光学的性能(平均反射率、黒しまり感、防眩性)が望ましい範囲にある。また、本発明の光学フィルムは脆性に優れることがわかる。特に本発明試料106は本発明試料101,105に対して、黒締まり感が更に良いフィルムであった。
[実施例2]
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)と、実施例1における本発明試料(鹸化処理済み)の各々のフィルムに、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光膜の両面を接着、保護して偏光板を作製した。このようにして作製した偏光板を、防眩層あるいは低屈折率層が最表面となるように透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製のD−BEFをバックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えたところ、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
[実施例3]
実施例1における本発明試料の各々のフィルムを貼りつけた透過型TN液晶セルの視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルム、およびバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムとして、光学補償フィルム(ワイドビューフィルムエース、富士フイルム(株)製)を用いたところ、明室でのコントラストに優れ、且つ上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
また、比較例試料103を用いた偏光板は、暗視野での黒輝度が本発明試料101,102,比較例試料104を用いた偏光板に比べ高く、表示コントラストが低下していた。
暗室下で3波長蛍光灯を映り込ませた場合、映り込んだ蛍光灯像のエッジ部分を以下の基準で目視評価した。
○:わずかに映り込む蛍光灯のエッジ部には虹色状のムラは発生していない
△:わずかに虹色状のムラが発生
×:虹色状のムラが発生
各試料の評価結果を表2に示す。
[実施例4]
(液晶TVの改造)
画像表示部に起因するムラを強制的に発生させるため、以下のように液晶TVを改造して評価を行った。シャープ社製の液晶TV(LC−32GS10型)を分解し、バックライトと液晶パネルの間にある光学シートを、拡散板以外全て取りはずした。そこに3M社製のプリズムシートBEF2を溝方向が画面水平方向になるように配置し、TVを再び組立た。次に視認側の偏光板(上、下偏光板の)表面フィルムのみを丁寧にはがし、実施例1における試料の各々のフィルムを粘着材で張り合わせた。液晶TVで灰色のベタ表示(階調126/255)をした状態で、縞状のモアレ表示ムラの程度を以下の基準で目視評価した。
モアレが気にならない(明部/暗部の輝度比が0.5%未満):A
モアレが若干気になる(明部/暗部の輝度比が0.5%〜2.5%):B
モアレが気になる(明部/暗部の輝度比が2.5%以上):C
各試料の評価結果を表2に示す。
Figure 2009175722
表2に示される結果より、以下のことが明らかである。本発明の光学フィルムは、暗室下で3波長蛍光灯を映り込ませた場合、映り込んだ蛍光灯像のエッジ部分に虹色状のムラが発生しなく、かつ画像表示部に起因するムラが気にならない優れた光学フィルムであった。
[実施例5]
実施例1における本発明試料の各々のフィルムを、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、ムラのない視認性の高い表示装置が得られた。
[実施例6]
実施例1における本発明試料の各々のフィルムを用いて、片面に本発明の光学フィルムを有する偏光板を作製し、偏光板の本発明の光学フィルムを有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、本発明の光学フィルム側が最表面になるように、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、表面反射および、表面ガラスの内部からの反射がカットされムラのない極めて視認性の高い表示が得られた。
図1(a)〜(c)は、それぞれ、傾斜角度の測定方法の概要を説明する模式図である。

Claims (16)

  1. 透明支持体上に防眩層を有する光学フィルムであって、該防眩層が透光性樹脂と少なくとも2種の透光性粒子とを有し、該防眩層の膜厚が10μm〜15μmであり、該透光性粒子の平均粒子径が7μm〜15μmであり、該透光性粒子と該透光性樹脂の屈折率差の絶対値が0.001〜0.050であり、かつ該透光性粒子の含有量の合計が該防眩層中の全固形分に対して15〜40質量%であることを特徴とする光学フィルム。
  2. 該透光性粒子の屈折率が互いに異なっていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 該少なくとも2種の透光性粒子は、該透光性樹脂との屈折率差が0.01〜0.050である透光性粒子Aと、該透光性樹脂との屈折率差が−0.050〜−0.010である透光性粒子Bとを含むことを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 該少なくとも2種の透光性粒子は、該透光性樹脂との屈折率差の絶対値が0.015〜0.050である透光性粒子Aと、該透光性樹脂との屈折率差の絶対値が0.001以上0.015未満である透光性粒子Bとを含むことを特徴とする請求項2に記載の光学フィルム。
  5. 該透光性粒子Aと透光性粒子Bの平均粒子径が実質的に同じであることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルム。
  6. 該透光性粒子Aと透光性粒子Bの透光性粒子の平均粒子径が互いに異なっていることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
  7. 該透光性粒子Aと該透光性粒子Bの質量比が25:75〜75:25であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
  8. 該防眩層より低屈折率の層をさらに有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
  9. 表面散乱に起因するヘイズ値が0.2%〜10%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム。
  10. 内部散乱に起因するヘイズ値が10%〜35%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光学フィルム。
  11. 積分反射率が3.0%以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
  12. 中心線平均粗さRaが0.05μm〜0.25μmであり、かつ凹凸の平均間隔Smが50μm〜350μmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光学フィルム。
  13. 平均傾斜角θaが0.5°以上3.0°以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の光学フィルム。
  14. 傾斜角分布の最大角が0.3°以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の光学フィルム。
  15. 偏光膜と該偏光膜の両面を保護する2枚の保護フィルムとを含む偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が請求項1〜14のいずれかに記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
  16. 請求項1〜14のいずれかに記載の光学フィルム、または請求項15に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
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