JP2002328209A - 光散乱反射基板及びその製造方法 - Google Patents
光散乱反射基板及びその製造方法Info
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Abstract
ができる光散乱反射基板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 凹凸の断面形状を放物線形状に形成した
ものを基本形状とし、基本形状からみて大小各種大きさ
の相似形の凹凸が混在するようにばらつかせる。あるい
は、凹凸の断面形状を三角関数形状に形成したものを基
本形状とし、且つ基本形状からみて幅(径)のみを種々
変化させた凹凸が混在するようにばらつかせ、凹凸の幅
の分布が、基本形状の凹凸の幅を平均値とする正規分布
に従うようする。標準偏差は0.2程度とする。その
他、三角関数形状では、凹凸の幅を一定にして高さのみ
を種々変化させる態様、幅及び高さの積を一定にして幅
及び高さを種々変化させる態様、または幅及び高さの組
み合わせを種々変化させる態様を採用してもよい。
Description
及びその製造方法に関し、特に反射型液晶表示装置、反
射・透過併用型液晶表示装置、若しくは投写型ディスプ
レイ用透過スクリーン等に好適に用いられる光散乱反射
基板及びその製造方法に関する。
いう。)は、消費電力が少なく、且つ軽量化が容易であ
るという利点を有するので、LCDのモバイル表示機器
等の表示手段としての利用が急速に拡大している。この
ようなLCDとしては、モバイル表示機器等が内部に備
えるバックライトの光を利用する透過型LCD、自然光
や室内光(以下、まとめて「外光」という。)の反射光
を利用する反射型LCD、及び外光の光量が大きいとき
は外光の反射光を利用し、外光の光量が小さいときはバ
ックライトの光を利用する反射・透過併用型(以下「半
透過型」という。)LCDが知られている。これらのL
CDのうち、透過型LCDではバックライトの消費電力
が大きいことから、最近では、モバイル表示機器の表示
手段として反射型LCDや半透過型LCDの利用が拡大
している。
は、光散乱反射基板が用いられている。この光散乱反射
基板の機能として求められるものには、まず、光の反射
における「良好な散乱特性(または反射特性)」があ
る。すなわち、目視方向の明るさを向上させるべく、正
反射方向から所定角度内の特定の範囲に散乱光が集中
し、しかもその範囲内では散乱光の強度が均一であるこ
と(均一性)が要求される。
技術(特開平11−326615号公報)では、傾斜角
度分布を、傾斜角度の増大とともに存在比率を増加させ
ることにより、視野全体に亘り反射光強度を得るように
している。また、第2の従来技術(特開2000−25
8615号公報)では、基板を加熱処理することにより
凹凸形状を平滑化することで、フォトリソグラフィー法
でのパターニングより工程を単純化し低コストで拡散反
射板を作成するようにしている。
が良好であっても、反射面の凹凸形状等の規則性に起因
して「回折」が発生する場合がある。「回折」が発生す
ると、虹のように見える着色やぎらつき等が生じ、実用
に耐えない。従って、光散乱反射基板の機能としてさら
に、「回折が発生しないこと」が要求される。
(特開平10−253977号公報)では、スペックル
パターンを利用して散乱板の凹凸パターンとしてランダ
ムな形状を得るようにしている。また、第4の従来技術
(特開2001−13495号公報)では、主面上にラ
ンダムに並べた凸状配列群を形成するようにしている。
さらに、第5の従来技術(特開平11−295750号
公報)では、光の散乱の際の指向性の強弱が異なる2種
類以上の領域を形成し、散乱特性を向上させるようにし
ている。
は、散乱特性を最適にする凹凸形状等に着目する一方、
第3〜第5の従来技術では、回折の抑制に着目し、凹凸
形状等をばらつかせるようにしている。
来の技術は、「散乱特性の向上」や「回折の抑制」のた
めの工夫を個々に行っているが、両者の具体的関連を考
慮していないため、真に良好な散乱特性を得るには十分
ではなかった。すなわち、散乱特性を最適にする凹凸形
状等を見い出したとしても、その凹凸形状等をばらつか
せることで散乱特性が悪化する方向に作用するため、回
折防止のために散乱特性が多少犠牲になる傾向があっ
た。
な凹凸形状等は、形状単独で考察されるべきではなく、
「回折の抑制」をも考慮した上で検討されるのが好まし
い。すなわち、散乱板の製造に関しては、「凹凸単体の
形状」と「凹凸形状のばらつき方」の双方の要素を同時
に検討して反射面を設計することが重要であり、よっ
て、散乱特性を一層向上させる上で改善の余地があると
考えられた。
めになされたものであり、その目的は、回折を抑制しつ
つ良好な散乱特性を得ることができる光散乱反射基板及
びその製造方法を提供することにある。
に本発明の請求項1の光散乱反射基板は、複数の凹凸が
形成された面を有する光散乱反射基板であって、前記複
数の各凹凸の断面形状を放物線形状に形成すると共に、
前記複数の凹凸に、大きさが種々異なる相似形の凹凸が
含まれるように構成したことを特徴とする。
状を放物線形状に形成したので、最も適切な散乱特性を
実現することができる。しかも、複数の凹凸に、大きさ
が種々異なる相似形の凹凸が含まれるように構成したの
で、回折光の発生を防止することができる。個々の凹凸
は互いに相似形であるので、いずれも同様の散乱特性を
維持し、適切な散乱特性が犠牲になることがない。よっ
て、回折を抑制しつつ良好な散乱特性を得ることができ
る。
2の光散乱反射基板は、複数の凹凸が形成された面を有
する光散乱反射基板であって、前記複数の各凹凸の断面
形状を三角関数形状に形成すると共に、前記複数の凹凸
に、高さが略同一で幅が種々異なる凹凸が含まれるよう
に構成したことを特徴とする。
角関数形状に形成したので、それ自体では比較的良好な
散乱特性を実現することができる。しかし、複数の凹凸
に、高さが略同一で幅が種々異なる凹凸が含まれるよう
に構成したので、回折光の発生を防止することができ、
その際、散乱強度の均一性が犠牲になることはなくむし
ろ高まる。よって、回折を抑制しつつ良好な散乱特性を
得ることができる。
請求項2記載の構成において、前記複数の凹凸の幅の分
布は、基準となる凹凸の幅を平均値とする正規分布に従
っていることを特徴とする。
に占める割合を多くして、全体として理想形から遠ざか
ることのないようにし、基準となる凹凸における散乱強
度の均一性を維持しつつ回折を抑制することができる。
4の光散乱反射基板は、複数の凹凸が形成された面を有
する光散乱反射基板であって、前記複数の各凹凸の断面
形状を三角関数形状に形成すると共に、前記複数の凹凸
に、幅が略同一で高さが種々異なる凹凸が含まれるよう
に構成したことを特徴とする。
角関数形状に形成したので、それ自体では比較的良好な
散乱特性を実現することができる。しかし、複数の凹凸
に、幅が略同一で高さが種々異なる凹凸が含まれるよう
に構成したので、回折光の発生を防止することができ、
その際、散乱強度の均一性が犠牲になることはなくむし
ろ高まる。よって、回折を抑制しつつ良好な散乱特性を
得ることができる。
請求項4記載の構成において、前記複数の凹凸の高さの
分布は、基準となる凹凸の高さを平均値とする正規分布
に従っていることを特徴とする。
に占める割合を多くして、全体として理想形から遠ざか
ることのないようにし、基準となる凹凸における散乱強
度の均一性を維持しつつ回折を抑制することができる。
6の光散乱反射基板は、複数の凹凸が形成された面を有
する光散乱反射基板であって、前記複数の各凹凸の断面
形状を三角関数形状に形成すると共に、前記複数の凹凸
に、高さ及び幅が種々異なる凹凸が含まれ、且つ個々の
凹凸の高さと幅との積が前記複数の凹凸間で略等しくな
るように構成したことを特徴とする。
角関数形状に形成したので、それ自体では比較的良好な
散乱特性を実現することができる。しかし、複数の凹凸
に、高さ及び幅が種々異なる凹凸が含まれ、且つ個々の
凹凸の高さと幅との積が前記複数の凹凸間で略等しくな
るように構成したので、回折光の発生を防止することが
でき、その際、散乱強度の均一性が犠牲になることはな
くむしろ高まる。よって、回折を抑制しつつ良好な散乱
特性を得ることができる。
請求項6記載の構成において、前記複数の凹凸の高さと
幅の積の分布は、基準となる凹凸の高さと幅の積を平均
値とする正規分布に従っていることを特徴とする。
に占める割合を多くして、全体として理想形から遠ざか
ることのないようにし、基準となる凹凸における散乱強
度の均一性を維持しつつ回折を抑制することができる。
8の光散乱反射基板は、複数の凹凸が形成された面を有
する光散乱反射基板であって、前記複数の各凹凸の断面
形状を三角関数形状に形成すると共に、前記複数の凹凸
に、高さ及び幅の組み合わせが種々異なる凹凸が含まれ
るように構成したことを特徴とする。
角関数形状に形成したので、それ自体では比較的良好な
散乱特性を実現することができる。しかし、複数の凹凸
に、高さ及び幅の組み合わせが種々異なる凹凸が含まれ
るように構成したので、回折光の発生を防止することが
でき、その際、散乱強度の均一性が犠牲になることはな
くむしろ高まる。よって、回折を抑制しつつ良好な散乱
特性を得ることができる。
請求項8記載の構成において、前記複数の凹凸の高さの
分布及び幅の分布はいずれも、基準となる凹凸の高さ及
び幅をそれぞれ平均値とする正規分布に従っていること
を特徴とする。
に占める割合を多くして、全体として理想形から遠ざか
ることのないようにし、基準となる凹凸における散乱強
度の均一性を維持しつつ回折を抑制することができる。
10の光散乱反射基板の製造方法は、複数の凹凸が形成
された面を有する光散乱反射基板の製造方法であって、
前記複数の各凹凸の断面形状を放物線形状に形成すると
共に、前記複数の凹凸に、大きさが種々異なる相似形の
凹凸が含まれるようにすることを特徴とする。
効果を奏する。
11の光散乱反射基板の製造方法は、複数の凹凸が形成
された面を有する光散乱反射基板の製造方法であって、
前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、前記複数の凹凸に、高さが略同一で幅が種々異
なる凹凸が含まれるように構成することを特徴とする。
効果を奏する。
12の光散乱反射基板の製造方法は、複数の凹凸が形成
された面を有する光散乱反射基板の製造方法であって、
前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、前記複数の凹凸に、幅が略同一で高さが種々異
なる凹凸が含まれるように構成することを特徴とする。
効果を奏する。
13の光散乱反射基板の製造方法は、複数の凹凸が形成
された面を有する光散乱反射基板の製造方法であって、
前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、前記複数の凹凸に、高さ及び幅が種々異なる凹
凸が含まれ、且つ個々の凹凸の高さと幅との積が前記複
数の凹凸間で略等しくなるように構成することを特徴と
する。
効果を奏する。
14の光散乱反射基板の製造方法は、複数の凹凸が形成
された面を有する光散乱反射基板の製造方法であって、
前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、前記複数の凹凸に、高さ及び幅の組み合わせが
種々異なる凹凸が含まれるように構成することを特徴と
する。
効果を奏する。
規分布における標準偏差は0.2程度が望ましい。これ
は、基準となる凹凸の散乱特性を全体として維持して、
全体として理想形から遠ざかり過ぎないようにするため
である。
を参照して説明する。
型LCD等に好適な光散乱反射基板の反射板表面(反射
面)における理想的な散乱特性(反射特性)を得るため
に検討を行った結果、反射板表面に多数設けられる凹凸
の断面形状とそのばらつかせ方に関しての理論を確立
し、それに基づき本発明を完成させた。
施の形態では、凹凸単体の形状を放物線形状とすること
とし、凹凸形状のばらつき方に関しては、凹凸単体の相
似形のものより成るものとする。
の形状を三角関数形状とし、凹凸形状のばらつき方に関
しては、凹凸単体の形状を変形させ、種々の傾斜角度分
布のものを組み合わせる(例えば、凹凸の高さを一定と
したまま凹凸の幅(径)のみをばらつかせる)ようにし
た。ばらつきの範囲に関しては、凹凸の幅(及び/又は
高さ)の分布が標準偏差=0.2の正規分布に従うよう
なばらつき方とするものが望ましい。
とにより、散乱特性に優れた光散乱反射基板を得ること
が可能となった。
を示す図である。同図は、モデルとなるある凸形状(高
さH、幅(径)B)の断面を示している。同図に示すθ
Aは、点P0における傾斜角度である。
みると、光線が入射した位置での凹凸の傾斜角度に応じ
た方向に光線は反射する。凹凸形状による光の散乱は、
多数の光線が凹凸より成る各種傾斜角度、つまり傾斜角
度分布に応じて、種々の方向へ光線が広がることにより
発生する。従って、散乱板に望まれる光の散乱の均一性
を得るには、所望の範囲内において凹凸断面の傾斜角度
分布が均一であること、いいかえれば、所望の範囲内に
おいて傾斜角度の存在比率が一定であればよいことは明
らかである。
態に係る反射基板の凹凸の基本形状を導く。
せるには、軸対称の形状であることが必要である。軸対
称を前提として、次に、凹凸の断面形状を決める必要が
ある。軸対称を前提とした凹凸形状に関して、散乱特性
が最も均一となる断面形状を検討してみると、下記数式
(1)で表される放物線形状が特定された。
からの距離であり、0〜1の範囲である。aは係数であ
る。散乱特性を均一にする上で、この放物線形状が最も
理想的な形状であることが理論上導かれる。なぜなら、
傾斜角度は、断面形状の導関数にて表されるが、形状を
表す関数の導関数(上記数式1ではy’=−2ax)が
線形となるのは、放物線形状のみだからである。
線形状」と称する))及びその導関数を図示する。同
図(a)では1つの凸部の右半分を示しており、x=0
の位置が凸部の中心である。同図では、a=1の例を示
す。従って、同図(a)では形状関数y=1−x2:
(x=0〜1)を示し、同図(b)ではその導関数y’
=−2x:(x=0〜1)を示す。
置における傾斜角度であり、傾斜角度が幅の位置に対し
て線形に変化するということは、その範囲においては傾
斜角度分布が均一であることを表している。なお、導関
数y’が負の値となるのは、中心から外周(x軸方向)
に向かって傾斜角度が負であるためである。
物線形状が望ましいことが判明した。しかしながら、こ
の形状と同一の大きさの凹凸形状を揃えただけでは、凹
凸の並び方に規則性、つまり周期性が生じてしまう。こ
の凹凸の並びの周期性が存在すると、回折光が発生する
ため、凹凸形状に何らかのばらつきを持たせる必要があ
る。
つかせ方に関しては、放物線形状の特性を保持する必要
性から、相似形にてばらつかせることとした。すなわ
ち、大小各種大きさの凹凸を混在させるが、それぞれは
互いに相似(合同を含む)となるようにした。
凹凸の基本形状を導く。
ことは前述の通りである。逆に言えば、放物線形状以外
では、傾斜角度分布に偏りが発生することになり、それ
自体では最適とはいえない。しかしながら、コスト面や
技術面より、精密な放物線形状を得ることは困難であ
り、傾斜角度分布にある程度偏りが存在する場合が多
い。そこで、傾斜角度分布が均一である凹凸形状からず
れた形状の中でも、最大角度付近(傾斜角度θAが最大
となる領域近傍)での傾斜角度分布が大きくなるような
形状は許容されるものとして検討を加えた。
のであっても、傾斜角度θAが0に近い、すなわち低い
角度側の分布が多くなることは、凹凸形状がフラットな
ものに近づくことになり、望ましくないものといえる。
従って、傾斜角度分布が均一である凹凸形状からのずれ
を有しているとしても、最大角度付近での傾斜角度分布
が大きくなるようなものは許容され得るとして、後述す
るような形状のばらつき態様の検討をした。
(2)で表される三角関数形状が挙げられる。
」と称する))及びその導関数を図示する。同図
(a)では1つの凸部の右半分を示しており、x=0の
位置が凸部の中心である。同図では、a=1の例を示
す。従って、同図(a)では形状関数y=cos
(x):(x=0〜π/2)を示し、同図(b)ではそ
の導関数y’=−sin(x):(x=0〜π/2)を
示す。
式(1)の場合と同様であるが、xの範囲は、0〜π/
2である。なぜなら、幅のある位置における傾斜角度θ
Aを表す形状の導関数y’がy’=−sin(x)とな
り、傾斜角度θAが最大(マイナス表記なので最小)と
なるx=π/2にて導関数y’が極値(マイナス表記な
ので極小)を示すからである(同図(b)に示す点P
1)。
の付近での角度変化が小さく、傾斜角度θAの存在比率
が高いことを示す。従ってこの形状は、最大角度での傾
斜角度分布が多いことを示している。
ある放物線形状からのずれを生じている形状の中でも、
比較的望ましい形状の1つであることがわかる。
は、対称形を追加した形状でもよい。
図(a))及び三角関数形状(同図(b))を示す図で
ある。
凹凸の断面形状に対称形を追加した形状((以下、「放
物線形状」と称する))でも、放物線形状と同じ傾
斜角度分布となるため、この形状でも同じ効果が得られ
る。この形状は、下記数式(3)、(4)で表される。
に示す点P2(x=1)にて繋がっている。
形状の凹凸の断面形状に対称形を追加した形状((以
下、「三角関数形状」と称する))でも、三角関数形
状と同じ傾斜角度分布となるため、この形状でも同じ
効果が得られる。この形状は、下記数式(5)で表され
る。
発生している場合(三角関数形状)のばらつかせ方に
関し説明する。ばらつきの与え方としては、理想形状に
極力近い形の傾斜角度分布とするようにばらつきを与え
る必要がある。そこで、本第2の実施の形態では、凹凸
形状にばらつきを与える際、形状を変形させ、種々の傾
斜角度分布のものを組み合わせて、理想形状に極力近い
形の傾斜角度分布となるようにした。
種類(態様(a)〜(d))が考えられる。
凹凸の幅のみをばらつかせる 態様(b)凹凸の幅を一定としたまま、凹凸の高さのみ
をばらつかせる 態様(c)凹凸の幅と凹凸の高さとの乗算の結果(積)
が略一定である関係を保ちながらばらつかせる 態様(d)凹凸の幅と凹凸の高さを無関係にばらつかせ
る なお、以降、便宜上、凹凸の高さは図1に示す凸部の高
さHを指し、凹凸の幅は図1に示す凸部の幅(径)Bを
指すものとする。
る凹凸(基本形状)の大きさ(高さ及び幅)を1とし、
基本形状に対して0〜2倍の範囲でばらつかせることと
した。これは、あまりにも変形が大きいと、理想的な傾
斜角度分布から遠ざかり過ぎるからである。
らかに変化させる方が理想的な傾斜角度分布に近づくた
め、正規分布とした。その際、あまりにも変動が大きい
と理想状態に近づかないため、標準偏差は0.2程度と
した。
は、反射面の凹凸の設定に関し、「凹凸単体の形状」及
び「凹凸形状のばらつき方」の2つの要素を関連づけて
設計を行った。このような設計の考え方を取り入れるこ
とにより、回折を発生させることなく、優れた散乱特性
を得ることが可能となった。
あり、凹凸形状に、相似形によるばらつきを導入するこ
とが最も望ましい設計であることが見いだされた(第1
の実施の形態)。また、製造コスト等の面から、理想的
な形状である放物線形状からのずれが発生する場合に関
しては、相似形ではなく、形状を変形してばらつきを導
入することにより、理想形状に近い反射基板表面を設計
することができることが見いだされた(第2の実施の形
態)。本発明に基づき製造された光散乱反射基板は、回
折がなく優れた反射散乱特性を有するので、反射エネル
ギを所望の範囲にまとめることが可能であり、非常に明
るく均一性に優れた表示を実現することができる。
の実施の形態に係る光散乱反射基板を説明する。本実施
の形態の実施例として、光散乱反射基板の表面の凹凸単
体の形状を放物線形状とし、その凹凸形状を相似形に
よりばらつかせた光散乱反射基板を説明する(第1実施
例)。また、第1実施例との比較のために比較例も説明
する。
導入しない場合の光散乱反射基板である。
散乱反射基板表面の凹凸の形成工程を示す図である。
し、ガラス板11の表面に結像レンズ12で集光させた
レーザ光を照射し、公知のレーザ加工(レーザリトグラ
フィー)法により、ガラス板11を蒸発除去して、ガラ
ス板11の表面に凹凸パターン13を形成する。なお、
加工用の形状データはあらかじめ加工装置を制御する不
図示のコンピュータに記憶させている。
るy=a×(1−x2)による形状で、半径が10μ
m、高さが1μmの凹凸が均等配置されるように形成す
る。その後、Al(アルミニウム)を0.1μm堆積
し、光散乱反射基板とする。このようにして得られた光
散乱反射基板は、凹凸の規則性に起因する回折光の発生
が目視で確認され、光散乱反射基板としての使用には耐
えないものであった。
に計測を行った。光散乱反射基板の表面をAFM(Atom
ic Force Microscope:原子間力顕微鏡)で観察した。
今回測定に使用したAFMは、測定した形状データを蓄
積することが可能であり、このデータを用いることによ
り、凹凸形状と傾斜角度の存在比率とを求めることがで
きる。
傾斜角分布と散乱特性との関係を示す図である。
の)断面形状を示し、横軸が中心からの距離x(μ
m)、縦軸が凹凸の高さy(μm)を示す。同図(b)
は傾斜角度分布を示し、横軸が傾斜角度θA(度)、縦
軸が各傾斜角度θAの存在比率(%)を示す。同図
(c)は、散乱特性を示し、横軸が散乱角(度)(正反
射方向からみた反射角度)、縦軸が散乱光強度比率
(%)を示す。なお、同図(d)に、対象形を追加した
形状(放物線形状)の凹凸単体の断面形状を同図
(a)に対応させて示した。
ーザ加工を行う際にコンピュータに記憶させた形状とほ
とんど同一であることが確認された。また、この断面形
状の測定結果から、傾斜角度分布を求めることができ、
その結果は、同図(b)に示すように、傾斜角0〜10
度まで、傾斜角度の存在比率がほとんど均一であり、凹
凸形状としては理想的なものであることがわかる。
光学的な測定を行った。ここでは、光散乱反射基板の凹
凸のある表面側に液晶層(屈折率=1.5)を挟み、さ
らに対向ガラス基板(屈折率=1.5)を設置した。対
向ガラス基板の表面には反射防止処理を行った。そし
て、平行光源から光を垂直に入射して、散乱光測定装置
(大塚電子製LCD−5000)により光散乱反射基板
に平行光を照射し、その反射散乱光を検出し、散乱光強
度を測定した。なお、その際、特定角度にて発生してい
る回折光の情報は除いている。また、正反射方向から5
度以内の範囲の散乱光強度については、光源と受光セン
サとの各位置が互いに干渉するので測定していない。そ
の結果、傾斜角度分布が理想状態であることから、同図
(c)に示すように、光の散乱強度比率は約34度まで
ほとんど均一であり、回折光を除く散乱特性は非常に良
い結果を示していることがわかる。
って放物線形状により凹凸面を形成でき、しかも、回
折を除けば、その凹凸形状が、散乱特性上理想的な形状
であることがわかった。
は「比較例1」と同一の放物線形状を採用し、且つ各
凹凸形状にばらつきを導入した。製造方法は上記「比較
例1」の場合と同様に、レーザリトグラフィー法により
行い、コンピュータに記憶させておく形状データにおい
て、凹凸形状にばらつき態様を反映させる。
るy=a×(1−x2)による形状で、半径が10μ
m、高さが1μmの凹凸を基準となる基本形状とし、こ
の基本形状の存在比率が全体の中で最も高くなるように
正規分布に従って分布するようにばらつかせて配置す
る。具体的には、全体の中で、基本形状に対して大きさ
(高さ及び幅)が種々異なる相似形の凹凸が含まれるよ
うにし、全凹凸の大きさの分布が、基本形状の凹凸の大
きさを平均値とする正規分布に従うようにした。
みによるばらつきがあることは、個々の凹凸における高
さHと幅Bとの比が、全凹凸間で略同一であることを意
味する。
場合と同様に行った。
と傾斜角分布と散乱特性との関係を示す図である。同図
(a)、(b)、(c)は、図6の(a)、(b)、
(c)に対応する。なお、図7(a)では、基本形状、
基本形状の2倍の大きさの形状、及び基本形状の1/2
倍の大きさの形状のみを示した。
面形状は、レーザ加工を行う際にコンピュータに記憶さ
せた形状とほとんど同一であることが確認された。さら
に、全ての凹凸形状に関し傾斜角度分布を求め、全てを
集計化した結果、同図(b)に示すように、傾斜角0〜
10度まで、傾斜角度の存在比率がほとんど均一であ
り、凹凸形状としては理想的なものであることがわか
る。
ては、同図(c)に示すように光の散乱強度が約34度
程度までほとんど均一であり、散乱特性が非常に良いこ
とがわかる。さらに、得られた光散乱反射基板は、目視
で視認されるような回折光が発生していないことが確認
された。
た場合の結果と同じ結果であるが、形状を相似形で変化
させているので、当然の結果といえる。
凹凸のばらつきの態様との組み合わせによる解析結果表
を示す図である。同図は得られた光散乱反射基板の解析
結果を数値化して評価したものである。評価項目として
は、「散乱角」、「平均反射強度」、「強度不均一性」
及び「回折の発生の有無」を下記のように定義して用い
た。
エネルギーの90%が含まれる角度範囲であり、正反射
方向からの角度で表される。「平均反射強度」(%)
は、散乱角度範囲内での平均光強度であり、全光量を1
00とし、角度を1度毎に変えて光量を算出した値の平
均値である。「強度不均一性」(%)は、散乱角度範囲
内での平均反射強度に対する差異の2乗平均であり、平
均反射強度に対する割合%で表される。「回折の発生」
の有無は、目視で確認される。
の均一性の尺度となる「強度不均一性」である。この
「強度不均一性」の値が小さいほど散乱光強度が均一で
あり好ましい。
1」の解析結果をみると、散乱角が31度、平均反射強
度が2.9%、強度不均一性は3.5%となった。ま
た、「NO1」に示す「比較例1」では「回折の発生」
は「有り」であったが、「実施例1」では「回折の発
生」は「無し」となった。なお、散乱角、平均反射強
度、強度不均一性の値は「比較例1」の場合と変わりが
ない。これは「実施例1」では相似形によるばらつきを
与えたにすぎないからである。
放物線形状に形成したものを基本形状としたので、最も
適切な散乱特性を実現することができる。しかも、基本
形状からみて大小各種大きさの相似形の凹凸が混在する
ようにばらつかせたので、回折光の発生を防止すること
ができる。その際、ばらつかせた個々の凹凸は基本形状
の凹凸からみて相似形であるので、個々の凹凸は基本形
状と同様の散乱特性を維持し、適切な散乱特性が犠牲に
なることがない。よって、回折の発生を抑制しつつ、均
一性が高い良好な散乱特性を有する光散乱反射基板を得
ることができる。
の実施の形態に係る光散乱反射基板を説明する。本実施
の形態の実施例として、光散乱反射基板の表面の凹凸単
体の形状を三角関数形状とし、その凹凸の高さを一定
にして幅(径)のみをばらつかせた(態様(a))光散
乱反射基板を説明する(第2実施例)。また、第2実施
例との比較のために比較例も説明する。
導入しない場合の光散乱反射基板である。比較例2で
は、凹凸形状は三角関数形状を採用し、且つ各凹凸形
状にばらつきを導入した。製造方法は上記「比較例1」
の場合と同様に、レーザリトグラフィー法により行い、
コンピュータに記憶させておく形状データにおいて、凹
凸形状にばらつき態様を反映させる。凹凸の断面形状
は、三角関数形状に相当するy=a×cos(x)に
よる形状とした。これ以降、加工及び評価は「比較例
1」の場合と同様に行った。
傾斜角分布と散乱特性との関係を示す図である。同図
(a)、(b)、(c)、(d)は、図6の(a)、
(b)、(c)、(d)に対応する。
面形状は、レーザ加工を行う際にコンピュータに記憶さ
せた形状とほとんど同一であることが確認された。さら
に、全ての凹凸形状に関し傾斜角度分布を求め、全てを
集計化した結果、同図(b)に示すように、最大角度付
近での傾斜角度の存在比率が高いことがわかる。また、
光学的な測定による散乱特性については、同図(c)に
示すように光の散乱強度が最大角度付近で高く、強度不
均一性が高いことがわかる。さらに、得られた光散乱反
射基板には回折光が発生している。
は「比較例2」と同一の三角関数形状を採用し、且つ
各凹凸形状にばらつきを導入した。製造方法は上記「比
較例1」の場合と同様に、レーザリトグラフィー法によ
り行い、コンピュータに記憶させておく形状データにお
いて、凹凸形状にばらつき態様を反映させる。
するy=a×cos(x)の形状で、半径が10μm、
高さが1μmの凹凸を基準となる基本形状とし、この基
本形状の存在比率が全体の中で最も大きくなるように正
規分布に従って分布するようにばらつかせて配置する。
具体的には、凹凸の高さは全凹凸で略一定となるように
し、且つ、全体の中で、基本形状に対して幅(径)のみ
を種々変化させた凹凸が含まれるようにし、全凹凸の幅
の分布が、基本形状の凹凸の幅を平均値とする正規分布
に従うようにした。また、基本形状の凹凸の示す散乱特
性を全体として維持して、全体として理想形から遠ざか
り過ぎないようにする観点から、正規分布における標準
偏差は0.2程度とした。これ以降、加工及び評価は
「比較例1」の場合と同様に行った。
状と傾斜角分布と散乱特性との関係を示す図である。同
図(a)、(b)、(c)は、図6の(a)、(b)、
(c)に対応する。なお、図10(a)では、基本形
状、基本形状の2倍の大きさの形状、及び基本形状の1
/2倍の大きさの形状のみを示した。
面形状は、レーザ加工を行う際にコンピュータに記憶さ
せた形状とほとんど同一であることが確認された。さら
に、全ての凹凸形状に関し傾斜角度分布を求め、全てを
集計化した結果、同図(b)に示すように、ばらつきを
与えない場合の「比較例2」に比べ、最大角度付近での
傾斜角度の存在比率が減少し、同図(c)に示すよう
に、全体的にみて散乱強度の均一性が高まっていること
がわかる。これは基本形状が三角関数形状の場合は、元
々最大角度付近での散乱強度が突出して高かったため
(図9(c))、幅にばらつきを与えることによりこの
欠点が緩和され、むしろ利点になり、散乱強度の均一性
が高まるからであると考えられる。また、得られた光散
乱反射基板には、目視で確認される回折光は発生しない
ことが確認された。
2」の解析結果をみると、散乱角が27度、平均反射強
度が3.3%、強度不均一性は14.8%となった。ま
た、「NO7」に示す「比較例2」では「回折の発生」
は「有り」であったが、「実施例2」では「回折の発
生」は「無し」となった。なお、「比較例2」の場合は
図示はしないが、散乱角が27度、平均反射強度が3.
6%、強度不均一性が56.6%であるので、「実施例
2」では、「比較例2」に比し、強度の均一性が大幅に
向上していることがわかる。
状とした場合、高さを一定とし、幅(径)のみを正規分
布に従ってばらつかせると、散乱強度の均一性が高まる
ことがわかった。
三角関数形状に形成したものを基本形状とし、且つ基本
形状からみて幅(径)のみを種々変化させた凹凸の幅の
分布が、基本形状の凹凸の幅を平均値とする正規分布に
従うようにばらつかせた。正規分布としたことで、基本
形状の全凹凸に占める割合を多くして、全体として理想
形から遠ざかることのないようにでき、また、正規分布
における標準偏差を0.2程度としたので、基本形状の
凹凸の示す散乱特性を全体として維持して、全体として
理想形から遠ざかり過ぎないようにすることができる。
これにより、回折光の発生を防止することができ、その
際、散乱強度の均一性が犠牲になることはなくむしろ高
まるようにすることができる。すなわち、基本形状より
も散乱強度の均一性を高めてなおかつ回折光の発生を防
止することができる。よって、回折の発生を抑制しつ
つ、均一性が高い良好な散乱特性を有する光散乱反射基
板を得ることができる。
も製造が容易であり、コスト面や製造技術面で有利であ
る。
は「第2実施例」と同一の三角関数形状を採用し、且
つ各凹凸形状にばらつきを導入した。基本形状は第2実
施例と同様である。コンピュータに記憶させる形状デー
タは異なるが、製造方法や評価方法は第2実施例の場合
と同様である。
(径)のみを種々変化させた凹凸が含まれるようにばら
つかせたが、本第3実施例では、これとは逆に、幅
(径)を一定として高さをばらつかせる(態様
(b))。具体的には、凹凸の幅は全凹凸で略一定とな
るようにし、且つ、全体の中で、基本形状に対して高さ
のみを種々変化させた凹凸が含まれるようにし、全凹凸
の高さの分布が、基本形状の凹凸の高さを平均値とする
正規分布に従うようにした。なお、第2実施例と同様の
観点から、正規分布における標準偏差は0.2程度とし
た。
状と傾斜角分布と散乱特性との関係を示す図である。同
図(a)、(b)、(c)は、図6の(a)、(b)、
(c)に対応する。なお、図11(a)では、基本形
状、基本形状の2倍の大きさの形状、及び基本形状の1
/2倍の大きさの形状のみを示した。
施例ほどではないものの、最大角度付近での傾斜角度の
存在比率が減少し、同図(c)に示すように、全体的に
みて散乱強度の均一性が高まっていることがわかる。図
8において「NO10」に示す「実施例3」の解析結果
をみると、散乱角が29度、平均反射強度が3.0%、
強度不均一性は16.9%となり、「回折の発生」は
「無し」となった。
状とした場合、幅を一定とし、高さのみを正規分布に従
ってばらつかせても、散乱強度の均一性が高まることが
わかった。その作用は第2実施例の場合と同様と考えら
れる。
はないものの、回折を抑制しつつ良好な散乱特性を得る
ことができる。
は「第2実施例」と同一の三角関数形状を採用し、且
つ各凹凸形状にばらつきを導入した。基本形状は第2実
施例と同様である。コンピュータに記憶させる形状デー
タは異なるが、製造方法や評価方法は第2実施例の場合
と同様である。
との乗算の結果(積)が略一定である関係を保ちながら
ばらつかせる(態様(c))。具体的には、凹凸の高さ
を基本形状に対してn倍したものについてはその幅を基
本形状の1/n倍とする。このよな組み合わせを複数種
類設けて配置する。凹凸の高さの分布は、基本形状の凹
凸の高さを平均値とする正規分布に従うようにした。そ
して、個々の凹凸においては、高さと幅との積が略同一
の値となるように高さ及び幅を設定した。なお、第2実
施例と同様の観点から、正規分布における標準偏差は
0.2程度とした。
状と傾斜角分布と散乱特性との関係を示す図である。同
図(a)、(b)、(c)は、図6の(a)、(b)、
(c)に対応する。なお、図12(a)では、基本形
状、基本形状の2倍の大きさの形状、及び基本形状の1
/2倍の大きさの形状のみを示した。
第3実施例ほどではないものの、最大角度付近での傾斜
角度の存在比率が減少し、同図(c)に示すように、全
体的にみて散乱強度の均一性が高まっていることがわか
る。図8において「NO11」に示す「実施例4」の解
析結果をみると、散乱角が29度、平均反射強度が3.
0%、強度不均一性は29.0%となり、「回折の発
生」は「無し」となった。
状とした場合、凹凸の幅と凹凸の高さとの乗算の結果
(積)が略一定である関係を保ちながらばらつかせて
も、散乱強度の均一性が高まることがわかった。その作
用は第2実施例の場合と同様と考えられる。
ほどではないものの、回折を抑制しつつ良好な散乱特性
を得ることができる。
は「第2実施例」と同一の三角関数形状を採用し、且
つ各凹凸形状にばらつきを導入した。基本形状は第2実
施例と同様である。コンピュータに記憶させる形状デー
タは異なるが、製造方法や評価方法は第2実施例の場合
と同様である。
とを無関係にばらつかせる(態様(d))。具体的に
は、凹凸の高さについてのみみれば、基本形状の凹凸の
高さを平均値とする正規分布に従うようにし、凹凸の幅
についてのみみれば、基本形状の凹凸の高さを平均値と
する正規分布に従うようにし、個々の凹凸の高さと幅と
の組み合わせは関連がなくランダムとなるようにした。
なお、第2実施例と同様の観点から、両正規分布におけ
る標準偏差は0.2程度とした。
状と傾斜角分布と散乱特性との関係を示す図である。同
図(a)、(b)、(c)は、図6の(a)、(b)、
(c)に対応する。なお、図13(a)では、基本形状
のみを示した。
施例ほどではないものの、最大角度付近での傾斜角度の
存在比率が減少し、同図(c)に示すように、全体的に
みて散乱強度の均一性が高まっていることがわかる。図
8において「NO12」に示す「実施例5」の解析結果
をみると、散乱角が28度、平均反射強度が3.1%、
強度不均一性は19.3%となり、「回折の発生」は
「無し」となった。
状とした場合、凹凸の幅と凹凸の高さとを無関係にばら
つかせても、散乱強度の均一性が高まることがわかっ
た。その作用は第2実施例の場合と同様と考えられる。
はないものの、回折を抑制しつつ良好な散乱特性を得る
ことができる。
で、放物線形状と相似形によるばらつきとの組み合わせ
を採用したが、本発明者らは、放物線形状と凹凸の高さ
または幅のばらつきとの組み合わせについても検討し
た。一方、第2の実施の形態では、第2〜第5実施例
で、三角関数形状と凹凸の高さまたは幅のばらつきとの
組み合わせを採用したが、本発明者らは、三角関数形状
と相似形によるばらつきとの組み合わせについても検討
した。上記各実施例との比較のため、以下、これらを比
較例として述べる。
「第1実施例」と同一の放物線形状を採用し、且つ各
凹凸形状に幅によるばらつきを導入した。基本形状は第
1実施例と同様である。コンピュータに記憶させる形状
データは異なるが、製造方法や評価方法は第1実施例の
場合と同様である。比較例3では、上記態様(a)によ
り、凹凸の高さを一定としたまま、凹凸の幅のみをばら
つかせる。
と傾斜角分布と散乱特性との関係を示す図である。同図
(a)、(b)、(c)は、図6の(a)、(b)、
(c)に対応する。なお、図14(a)では、基本形
状、基本形状の2倍の大きさの形状、及び基本形状の1
/2倍の大きさの形状のみを示した。
3」の解析結果をみると、散乱角が29度、平均反射強
度が3.0%、強度不均一性は17.7%となり、「回
折の発生」は「無し」となった。図14(c)からもわ
かるように、実施例1に比較して、散乱強度の均一性が
低くなっていることが明らかである。
一定とし幅(径)のみばらつかせる方法では、回折は防
止できるものの、相似形でばらつかせる実施例1に比較
して散乱強度の均一性が低くなり、好ましくないことが
わかった。このような結果となったのは、基本形状が放
物線形状のようなきわめて理想的なものは、個々の凹凸
の形状自体にばらつきを与えるとそれがそのまま影響
し、散乱強度の不均一性が高まってしまうからと考えら
れる。
3の図14(c)とを比較してみると、図14(c)で
は、角度が大きくなるにつれて散乱強度が落ちるその落
ち方がゆるやかであり、従って均一性が悪い。一方、図
10(c)では、角度が大きくなるにつれて落ちる散乱
強度の落ち方が急激であり、散乱強度の均一性が高い。
これは、上述したように、三角関数形状では、元々最大
角度付近での散乱強度が突出して高いため(図9
(c))、幅にばらつきを与えることにより突出部分が
緩和され、散乱強度の均一性が高まるからであると考え
られる。従って、凹凸の幅をばらつかせる手法は、放物
線形状よりも三角関数形状により適しているといえる。
例」と同一の放物線形状を採用したものにおいて、凹
凸のばらつかせ方に関し、上記態様(b)、態様
(c)、態様(d)を適用したものも検討した。これら
では、回折は生じなかったが、図8の「NO4」、「N
O5」、「NO6」にそれぞれ示すように、強度不均一
性が15.1%、40.0%、26.3%となって散乱
強度の均一性が低いことがわかった。
「第2実施例」と同一の三角関数形状を採用し、且つ
各凹凸形状に相似形によるばらつきを導入した。基本形
状は第2実施例と同様である。コンピュータに記憶させ
る形状データは異なるが、製造方法や評価方法は第2実
施例の場合と同様である。比較例4では、全体の中で、
基本形状に対して大きさが種々異なる相似形の凹凸が含
まれるようにし、全凹凸の大きさの分布が、基本形状の
凹凸の大きさを平均値とする正規分布に従うようにし
た。
と傾斜角分布と散乱特性との関係を示す図である。同図
(a)、(b)、(c)は、図6の(a)、(b)、
(c)に対応する。なお、図15(a)では、基本形
状、基本形状の2倍の大きさの形状、及び基本形状の1
/2倍の大きさの形状のみを示した。
4」の解析結果をみると、散乱角が27度、平均反射強
度が3.6%、強度不均一性は56.6%となり、「回
折の発生」は「無し」となった。図15(c)からもわ
かるように、実施例2(NO9)に比較して、散乱強度
の均一性が低くなっていることが明らかである。
によりばらつきをもたせると、回折は生じないものの、
散乱強度の均一性が低くなり、好ましくないことがわか
った。
例は第1実施例で、次が第2実施例である。ただし、上
記第2〜第5実施例でも回折は生じないので、用途によ
っては採用の余地がある。例えば、三角関数形状を採用
する場合において、製造上、高さ一定または幅一定とす
べき制約が生じる場合があっても、制約の中で最良の設
計を行うことができる。
想的な凹凸形状である放物線形状にできない場合であっ
ても、その形状と凹凸のばらつかせ方を同時に考慮して
設計することで、最良の凹凸形状を見いだすことができ
る。これは三角関数形状に限られるものではない。
した放物線形状(図4(a))や三角関数形状(図
4(b))を採用した場合にも同様に適用することがで
きる。また、三角関数形状であれば、上記例示した形状
に限られない。
によるばらつき、または幅、高さによるばらつきの分布
態様として正規分布を例示し、正規分布では基本形状を
平均値としたが、これは基本形状の存在比率を最大にす
るためであった。しかし、基本形状の存在比率が最大に
なるような分布に限定する趣旨ではなく、凹凸全体の形
状の平均が基本形状であれば、理想の散乱特性に近い特
性は得られる。従って、分布も正規分布に限定されるも
のではなく、他の確率分布に従った分布を採用してもよ
い。また、標準偏差も0.2に限定されるものではな
く、光散乱反射基板の用途に応じて、また回折の程度に
応じて設定すればよい。
知の手法であるレーザリトグラフィー法を用いるように
したが、これに限るものではない。例えば、凹凸の幅の
みをばらつかせる場合は、感光性樹脂を利用したフォト
リソグラフ技術を用いるようにしてもよい。その場合
は、フォトマスクにおいて種々の大きさの開口部が混在
するように開口面積を設定すればよい。
1、2、4、6、8に係る光散乱反射基板、または請求
項10〜14に係る光散乱反射基板の製造方法によれ
ば、回折を抑制しつつ良好な散乱特性を得ることができ
る。
乱反射基板によれば、基準となる凹凸の全凹凸に占める
割合を多くして、全体として理想形から遠ざかることの
ないようにし、基準となる凹凸における散乱強度の均一
性を維持しつつ回折を抑制することができる。
る。
称する))及びその導関数を示す図である。
」と称する))及びその導関数を示す図である。
び三角関数形状(同図(b))を示す図である。
表面の凹凸の形成工程を示す図である。
散乱特性との関係を示す図である。
と散乱特性との関係を示す図である。
きの態様との組み合わせによる解析結果表を示す図であ
る。
散乱特性との関係を示す図である。
布と散乱特性との関係を示す図である。
布と散乱特性との関係を示す図である。
布と散乱特性との関係を示す図である。
布と散乱特性との関係を示す図である。
と散乱特性との関係を示す図である。
と散乱特性との関係を示す図である。
Claims (14)
- 【請求項1】 複数の凹凸が形成された面を有する光散
乱反射基板であって、 前記複数の各凹凸の断面形状を放物線形状に形成すると
共に、 前記複数の凹凸に、大きさが種々異なる相似形の凹凸が
含まれるように構成したことを特徴とする光散乱反射基
板。 - 【請求項2】 複数の凹凸が形成された面を有する光散
乱反射基板であって、 前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、 前記複数の凹凸に、高さが略同一で幅が種々異なる凹凸
が含まれるように構成したことを特徴とする光散乱反射
基板。 - 【請求項3】 前記複数の凹凸の幅の分布は、基準とな
る凹凸の幅を平均値とする正規分布に従っていることを
特徴とする請求項2記載の光散乱反射基板。 - 【請求項4】 複数の凹凸が形成された面を有する光散
乱反射基板であって、 前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、 前記複数の凹凸に、幅が略同一で高さが種々異なる凹凸
が含まれるように構成したことを特徴とする光散乱反射
基板。 - 【請求項5】 前記複数の凹凸の高さの分布は、基準と
なる凹凸の高さを平均値とする正規分布に従っているこ
とを特徴とする請求項4記載の光散乱反射基板。 - 【請求項6】 複数の凹凸が形成された面を有する光散
乱反射基板であって、 前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、 前記複数の凹凸に、高さ及び幅が種々異なる凹凸が含ま
れ、且つ個々の凹凸の高さと幅との積が前記複数の凹凸
間で略等しくなるように構成したことを特徴とする光散
乱反射基板。 - 【請求項7】 前記複数の凹凸の高さと幅の積の分布
は、基準となる凹凸の高さと幅の積を平均値とする正規
分布に従っていることを特徴とする請求項6記載の光散
乱反射基板。 - 【請求項8】 複数の凹凸が形成された面を有する光散
乱反射基板であって、 前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、 前記複数の凹凸に、高さ及び幅の組み合わせが種々異な
る凹凸が含まれるように構成したことを特徴とする光散
乱反射基板。 - 【請求項9】 前記複数の凹凸の高さの分布及び幅の分
布はいずれも、基準となる凹凸の高さ及び幅をそれぞれ
平均値とする正規分布に従っていることを特徴とする請
求項8記載の光散乱反射基板。 - 【請求項10】 複数の凹凸が形成された面を有する光
散乱反射基板の製造方法であって、 前記複数の各凹凸の断面形状を放物線形状に形成すると
共に、 前記複数の凹凸に、大きさが種々異なる相似形の凹凸が
含まれるようにすることを特徴とする光散乱反射基板の
製造方法。 - 【請求項11】 複数の凹凸が形成された面を有する光
散乱反射基板の製造方法であって、 前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、 前記複数の凹凸に、高さが略同一で幅が種々異なる凹凸
が含まれるように構成することを特徴とする光散乱反射
基板の製造方法。 - 【請求項12】 複数の凹凸が形成された面を有する光
散乱反射基板の製造方法であって、 前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、 前記複数の凹凸に、幅が略同一で高さが種々異なる凹凸
が含まれるように構成することを特徴とする光散乱反射
基板の製造方法。 - 【請求項13】 複数の凹凸が形成された面を有する光
散乱反射基板の製造方法であって、 前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、 前記複数の凹凸に、高さ及び幅が種々異なる凹凸が含ま
れ、且つ個々の凹凸の高さと幅との積が前記複数の凹凸
間で略等しくなるように構成することを特徴とする光散
乱反射基板の製造方法。 - 【請求項14】 複数の凹凸が形成された面を有する光
散乱反射基板の製造方法であって、 前記複数の各凹凸の断面形状を三角関数形状に形成する
と共に、 前記複数の凹凸に、高さ及び幅の組み合わせが種々異な
る凹凸が含まれるように構成することを特徴とする光散
乱反射基板の製造方法。
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