JP2009080256A - 防眩フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】主にLCD、CRT、PDP等のディスプレイに用いられる前面に設置し、外光の反射を防止しながら、内部散乱層等の他の機能層を形成可能な防眩フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材フィルムの一面側に、表面が凹凸形状を有する表面凹凸層を含む防眩層を設けた防眩フィルムであって、前記表面凹凸層は、長径が1.0μm以上20μm以下、短径が0.5μm以上10μm以下であり、当該長径/短径の比(アスペクト比)が1.0より大きく5.0以下であり、扁平状の透光性微粒子を含有し、当該表面凹凸層の凹凸形状の凸部の膜厚は、前記透光性微粒子の短径+5μm以下、当該防眩層の凸部と凹部の膜厚差(凸部の膜厚−凹部の膜厚)が5μm以下、且つ、隣接する凹部間の距離は3μm以上50μm以下であることを特徴とする、防眩フィルム。
【選択図】図14

Description

本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極管表示装置(CRT)、又はプラズマディスプレイ(PDP)等のディスプレイ(画像表示装置)の前面に設置し、外光の反射を防止し、映像を見えやすくする目的等で使用される防眩フィルムに関する。
映像の見えやすさを表す表示性能の一つの指標として、コントラストがある。このコントラストには、明所コントラストと暗所コントラスト(C/R)の二つの性質がある。明所コントラストとは、蛍光灯や太陽光等の外部から照射される光(外部光)存在下の明表示の輝度を暗表示の輝度で割った値であり、外部光存在下での表示性能を示す。一方、暗所コントラストとは、暗室で測定されるバックライト等の表示装置自体からの光のみの明表示の輝度を暗表示の輝度で割った値であり、表示装置自体での表示性能を示す。一般的にコントラストといった場合は、暗所コントラストを指し、以下、本明細書においても、特別の記載がない限り、コントラストは暗所コントラストを意味する。
上記の様なディスプレイ等においては、外部光のディスプレイ表面での反射を防止するため、すなわち、明所コントラストを向上させるために、透明フィルムを基材とし、微細な凹凸表面を有する防眩層を有する防眩フィルムがディスプレイ表面に設けられている。
斯かる防眩フィルムには、大粒径又は凝集性の粒子を含む樹脂組成物を透明基材の表面に塗工することによって、表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するタイプ、前記粒子を含まず、スピノーダル分解により、相分離構造を形成し、硬化性樹脂を硬化させることによって表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するタイプ、又は層表面に凹凸をもったフィルムをラミネートして凹凸形状を転写することによって、表面に凹凸形状を有する防眩層を形成するタイプなどがある(特許文献1)。
このような防眩フィルムを画像表示装置表面に使用した場合、表面の凹凸形状が微細なレンズの役割を果たすため、透過光が防眩フィルムの凹凸形状面を透過するとき、表示される画素等を乱してしまう「ギラツキ」と呼ばれる状態を生じ易いという問題がある。
このギラツキを解消する方法としては、鮮明度を高める目的で表面凹凸を緻密にしたり、又は、防眩層を形成する樹脂と屈折率差のある内部散乱粒子を添加することにより防眩フィルムに内部散乱効果を付与する等の方法が知られている。
特開2006−103070号公報
従来の防眩フィルムでは、防眩層に含まれる球状の内部散乱粒子を凝集させることによって、内部散乱効果を得ながら、防眩層表面の凹凸形状を形成し、明所コントラストを向上しようとしていた。しかしながら、当該球状の内部散乱粒子の凝集により形成される防眩層の表面凹凸は凹凸のピッチ(間隔)が短く、鋭い形状となり、明所コントラストは低かった。そのため、従来の防眩フィルムでは、明所コントラストの向上に効果的な表面凹凸形状の形成が困難であった。
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、防眩層が、防眩層表面の凹凸形状の形成による明所コントラスト向上の機能の他に、ギラツキ防止等のその他の機能を効果的に併せ持つことが可能な防眩フィルムを提供することを目的とする。
本発明に係る防眩フィルムは、透明基材フィルムの一面側に、表面が凹凸形状を有する表面凹凸層を含む防眩層を設けた防眩フィルムであって、
前記表面凹凸層は、長径が1.0μm以上20μm以下、短径が0.5μm以上10μm以下であり、当該長径/短径の比(アスペクト比)が1.0より大きく5.0以下である扁平状の透光性微粒子を含有し、
当該表面凹凸層の凹凸形状の凸部の膜厚は、前記透光性微粒子の短径+5μm以下、当該防眩層の凸部と凹部の膜厚差(凸部の膜厚−凹部の膜厚)は5μm以下、且つ、隣接する凹部間の距離は3μm以上50μm以下であることを特徴とする。
前記表面凹凸層において、扁平状の透光性微粒子は、当該扁平状の形状を有するため、外光の反射を抑えるのに効果的な凹凸形状のピッチを得ながら、必要最低限の膜厚を有する凹凸形状を形成することができる。表面凹凸層を極薄膜とできるため、空間的余地が生じ、当該表面凹凸層と透明基材フィルムの間に内部散乱層、防眩層と透明基材フィルムの間にハードコート層の様な他の機能を有する層、及び防眩層の表面に低屈折率層や防汚染層等の他の機能を有する層を更に形成することが可能となる。
従来の防眩フィルムでは、凹凸形状の形成と内部散乱の発生という二つの役割を一層において、球状の内部散乱粒子で行っていたため、層表面の凹凸形状のピッチが短くなり、明所コントラストが低く、層の膜厚も厚くなってしまっていた。
前記表面凹凸層に含まれる扁平状の透光性微粒子は、長径が1.0μm以上20μm以下、短径が0.5μm以上10μm以下であり、当該長径/短径の比(アスペクト比)が1.0より大きく5.0以下である。斯かる形状を有する当該透光性微粒子は、当該表面凹凸層の膜厚を薄くするように配列しやすい。そのため、当該透光性微粒子の形状に沿って表面凹凸層が形成され、凸部の膜厚は、前記透光性微粒子の短径+5μm以下、当該表面凹凸層の凸部と凹部の膜厚差(凸部の膜厚−凹部の膜厚)は、5μm以下、且つ、隣接する凹部間の距離は3μm以上50μm以下となる。斯かる表面凹凸を有することにより、本発明の防眩フィルムは、極薄膜の表面凹凸層を有しながら、優れた明所コントラストを得ることができる。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記防眩層は、前記透明基材フィルムと前記表面凹凸層の間に、内部散乱粒子を含有する内部散乱層を有することが、内部散乱効果が得られ、防眩性を高められる点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記内部散乱層の膜厚は、2μm以上15μm以下であることが、十分な膜強度及び内部散乱効果が得られる点から好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記内部散乱粒子は、粒径が1μm以上10μm以下であり、且つ、屈折率が異なる部分を有することが好ましい。粒径が1μm以上であることにより、十分な内部散乱効果が得られ、ギラツキを防止することができる。粒径が10μmを超えると、防眩層の膜厚が厚くなり、クラックの発生が顕著となり好ましくない。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記内部散乱粒子は、コア−シェル粒子、微粒子内包型粒子、又は外郭付着粒子であることが、コントラストを維持しながら、ギラツキを防止できるため好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記透光性微粒子は、アクリル系微粒子からなることが、防眩層の透明性を高められるため好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記表面凹凸層の上に更に低屈折率層が設けられていることが、最表面の屈折率を低下させ、防眩フィルムの視認性を高められるため好ましい。
本発明の一実施形態である防眩層表面(防眩層の透明基材フィルムとは反対側)に低屈折率層を有する防眩フィルムにおいては、前記表面凹凸層は、酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛、アルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機微粒子を含有し、且つ、当該無機微粒子の平均粒径は、5nm以上100nm以下であることが、当該表面凹凸層の屈折率を高められ、当該表面凹凸層の表面に設けられた低屈折率層の屈折率を相対的に低下させ、防眩フィルムの視認性を高められるため好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、可視光領域における最低反射率が2.5%以下であることが、十分な視認性が得られるため好ましい。
本発明に係る防眩フィルムにおいては、前記透明基材フィルムは、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とすることが好ましい。
本発明に係る防眩フィルムは、扁平状の透光性微粒子を含有する表面凹凸層を含む防眩層を有する。当該表面凹凸層は前記透光性微粒子の扁平状の形状に沿って形成されるため、当該表面凹凸層の凹凸形状のピッチが長くなり、明所コントラストを向上させながら、表面凹凸層の薄膜化が可能となる。また、当該表面凹凸層の薄膜化により、当該表面凹凸層の透明基材フィルム側に内部散乱層、ハードコート層等の他の機能を有する層の形成が可能な防眩フィルムを提供することができる。
本発明に係る防眩フィルムは、透明基材フィルムの一面側に、表面が凹凸形状を有する表面凹凸層を含む防眩層を設けた防眩フィルムであって、
前記表面凹凸層は、長径が1.0μm以上20μm以下、短径が0.5μm以上10μm以下であり、当該長径/短径の比(アスペクト比)が1.0より大きく5.0以下であり、扁平状の透光性微粒子を含有し、
当該表面凹凸層の凹凸形状の凸部の膜厚は、前記透光性微粒子の短径+5μm以下、当該防眩層の凸部と凹部の膜厚差(凸部の膜厚−凹部の膜厚)は5μm以下、且つ、隣接する凹部間の距離は3μm以上50μm以下であることを特徴とする。
本発明に係る扁平状の透光性微粒子は、当該扁平状の形状を有するため、表面凹凸層が当該透光性微粒子の扁平状形状に沿って形成されやすく、緩やか(凹凸のピッチが長い)、且つ、薄い表面凹凸形状の層を形成する機能を有する。凹凸のピッチが長いため、外光の反射を効果的に抑えることができる。また、表面凹凸層を極薄膜とできるため、空間的余地が生じ、当該表面凹凸層と透明基材フィルムの間に内部散乱層、更には、防眩層と透明基材フィルムの間にハードコート層の様な他の機能を有する層を更に形成することが可能となる。
前記表面凹凸層に含まれる扁平状の透光性微粒子は、長径が1.0μm以上20μm以下、短径が0.5μm以上10μm以下であり、当該長径/短径の比(アスペクト比)が1.0より大きく5.0以下である。斯かる形状を有する当該透光性微粒子は、当該表面凹凸層の膜厚を薄くするように配列しやすい。そのため、当該透光性微粒子の形状に沿って表面凹凸層が形成され、凸部の膜厚が、前記透光性微粒子の短径+5μm以下、当該表面凹凸層の凸部と凹部の膜厚差(凸部の膜厚−凹部の膜厚)が、5μm以下、且つ、隣接する凹部間の距離は3μm以上50μm以下となる。斯かる表面凹凸を有することにより、本発明の防眩フィルムは、極薄膜の表面凹凸層を有しながら、優れた明所コントラストを得ることができる。
また、本発明に係る防眩フィルムを用いると、可視光領域における最低反射率を2.5%以下とすることも可能である。斯かる反射率を有することにより、明所コントラストに優れた防眩フィルムを得ることができる。
以下、防眩フィルムを構成する必須要素である透明基材フィルム、防眩層、当該防眩層の必須要素である表面凹凸層、並びに必要に応じて適宜設けることができる内部散乱層、低屈折率層、及びハードコート層等について順に説明する。
尚、本明細書中において、(メタ)アクリロイルはアクリロイル及び/又はメタクリロイルを表し、(メタ)アクリレートはアクリレート及び/又はメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及び/又はメタクリルを表す。
<1.透明基材フィルム>
透明基材フィルムは、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。透明基材フィルムを形成する材料の具体例としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくはポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。
上記透明基材フィルムは、上記熱可塑性樹脂を柔軟性に富んだフィルム状体として使用することが好ましいが、硬化性が要求される使用態様に応じて、これら熱可塑性樹脂の板を使用することも可能であり、又は、ガラス板の板状体のものを使用してもよい。
その他、上記透明基材フィルムとしては、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムを挙げることができる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン(株)製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製のスミライトFS−1700、JSR(株)製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ(株)製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
透明基材フィルムの厚さは、20μm以上、300μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以上200μm以下である。透明基材フィルムが板状体の場合にはこれらの厚さを超える厚さであってもよい。基材は、その上に内部散乱層、帯電防止層等を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤、又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
<2.防眩層>
本発明に係る防眩層は、表面が凹凸形状を有する表面凹凸層を少なくとも含み、当該表面凹凸層の透明基材フィルム側に隣接して内部散乱層を設けても良い。内部散乱層を設ける場合は、当該内部散乱層及び表面凹凸層は、2層同時塗布であっても良いし、内部散乱層を形成した後、表面凹凸層を形成しても良い。
<2−1.表面凹凸層>
本発明に係る表面凹凸層は、表面に凹凸形状を有することにより、前記防眩層の明所コントラストを向上させる機能を有する。当該表面凹凸層は、表面凹凸層形成用組成物を硬化させて得られる。当該表面凹凸層形成用組成物は、必須成分として、扁平状の透光性微粒子、及びバインダー成分を含み、必要に応じて適宜、その他の防眩性微粒子、重合開始剤、溶剤等のその他の成分を含有させても良い。
<2−1−1.扁平状透光性微粒子>
本発明に係る扁平状の透光性微粒子は、当該扁平状の形状を有するため、表面凹凸層が当該透光性微粒子の扁平状形状に沿って形成されやすく、緩やか(凹凸のピッチが長い)、且つ、薄い表面凹凸形状の層を形成する機能を有する。凹凸のピッチが長いため、外光の反射を効果的に抑えることができる。また、表面凹凸層を極薄膜とできるため、空間的余地が生じ、当該表面凹凸層と透明基材フィルムの間に内部散乱層、更には、防眩層と透明基材フィルムの間にハードコート層の様な他の機能を有する層を更に形成することが可能となる。
本発明に係る扁平状の透光性微粒子は、長径が1.0μm以上20μm以下、短径が0.5μm以上10μm以下であり、当該長径/短径の比(アスペクト比)が1.0より大きく5.0以下である。斯かる扁平状の形状を有する当該透光性微粒子は、当該粒子の長軸方向を膜平面に垂直に配向させた状態よりも、膜平面に平行に配向させた状態が安定であると考えられ、当該表面凹凸層の膜厚を薄くするように配列しやすい。そのため、当該透光性微粒子の形状に沿って表面凹凸層が形成され、凸部の膜厚が、前記透光性微粒子の短径+5μm以下、当該表面凹凸層の凸部と凹部の膜厚差(凸部の膜厚−凹部の膜厚)が、5μm以下、且つ、隣接する凹部間の距離は3μm以上50μm以下となる。斯かる表面凹凸を有することにより、本発明の防眩フィルムは、極薄膜の表面凹凸層を有しながら、優れた明所コントラストを得ることができる。
本発明において、扁平状透光性微粒子は、回転楕円体であっても良いし、回転楕円体の半球状であっても良い。当該扁平状透光性微粒子の長径及び短径は、楕円の長径及び短径と同様に考え、短径は、回転楕円体の扁平状透光性微粒子において、長軸と直交する長さの中でも最も距離が短い部分の長さを意味する。
当該長径、及び短径は、硬化した膜中において、SEM写真、又はTEM写真による観察によって測定することができる。SEM、又はTEM写真による測定方法は、例えば、50〜200万倍で膜断面の粒子の観察を行い、観察した粒子100個の平均値をもって当該長径、及び短径とする方法がある。
透光性微粒子は、上記範囲内であれば目的に応じ、1種類だけでなく、成分が異なるものを2種類以上混合して用いることができる。好ましくは、1〜3種類用いるのが好ましい。
前記透光性微粒子は、当該微粒子全体の80%以上(好ましくは90%以上)が、各平均粒径±300nmの範囲内にあることが好ましい。これによって、表面凹凸層の凹凸形状の均一性を良好なものとすることができる。
前記透光性微粒子は、有機系、無機系のものを用いることができる。表面凹凸層の透明性を確保する点から、有機系、特にアクリル系微粒子であることが好ましい。
アクリル系微粒子としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート化合物、エステル系化合物、アクリル系のモノマー成分同士、又はこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマー等を挙げることができる。
上記アクリル系のモノマー成分とこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等を挙げることができる。
無機系微粒子としては、不定形シリカ、無機シリカビーズ等を挙げることができる。
前記透光性微粒子は、1次粒子であっても良いし、2次粒子であっても良い。2次粒子である場合は、2次粒径が上記範囲内であれば良い。
表面凹凸層において、前記透光性微粒子の含有量は、表面凹凸層の固形分全質量に対して、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、5質量%以上20質量%以下である。5質量%未満であると、十分な防眩性が付与できず、40質量%を超えると、膜強度が落ちるため好ましくない。
<2−1−2.表面凹凸層のバインダー成分>
本発明に係る表面凹凸層形成用組成物において、バインダー成分は、表面凹凸層に製膜性を付与する。
バインダー成分としては、硬化性有機樹脂が好ましく、塗膜とした時に光が透過する透光性のものが好ましい。その具体例としては、紫外線若しくは電子線で代表される電離放射線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂など、塗工時に固形分を調整するための溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)との混合物、又は熱硬化型樹脂の三種類が挙げられ、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂の例としては、(メタ)アクリレート基等のラジカル重合性官能基を有する化合物、例えば、(メタ)アクリレート系の、単量体(モノマー)、又は高分子骨格にモノマーを導入したポリマーが挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリレート系単量体としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、高分子骨格にモノマーを導入したポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等を高分子骨格とし、当該高分子骨格に(メタ)アクリレート基を導入したポリマーが挙げられる。
(メタ)アクリレート系化合物以外の例としては、スチレン、メチルスチレン、N‐ビニルピロリドン等の単官能又は多官能単量体、又はビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、芳香族ビニルエーテル、脂肪族ビニルエーテル等のオリゴマー又はプレポリマー等のカチオン重合性官能基を有する化合物が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂に混合して使用される溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は一般的に例示されるものが利用される。溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、2,6‐キシレノールの重合体)、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類)、シリコーン樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン)、ゴム又はエラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系ゴム、スチレン‐ブタジエン共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム)等が好ましい。
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
<2−1−3.その他の成分>
表面凹凸層を形成する表面凹凸層形成用組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない限り、必須成分である透光性微粒子、及びバインダー成分以外の成分も含まれていてもよい。当該透光性微粒子、及びバインダー成分以外の成分としては、表面調整剤(レベリング剤)、重合開始剤、溶剤、硬化剤、架橋剤、紫外線遮断剤、紫外線吸収剤、及びその他の成分が挙げられる。上記材料のうち、一例として、その他の防眩性微粒子、表面調整剤(レベリング剤)、重合開始剤及び溶剤について以下説明する。
<2−1−3−1.その他の防眩性微粒子>
前記表面凹凸層は、本発明の効果を損なわない範囲で防眩性を向上させる等の目的でその他の防眩性微粒子を含有していてもよい。微粒子の平均粒径は限定的ではないが、一般的には5nm以上100nm以下が好ましい。また、微粒子の形状は、真球状、楕円状等のいずれであっても良く、好ましくは真球状のものが挙げられる。
前記微粒子は、防眩性を発揮するものであり、無機系、有機系のものが使用することができ、好ましくは透明性のものがよい。表面凹凸層の透明基材フィルムとは反対側(観察者側)に低屈折率層を設ける場合、表面凹凸層を高屈折率にする点から、無機材料が好ましく、斯かる粒子としては、酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛、アルミナ等が挙げられる。尚、本発明に係る防眩フィルムにおいて、低屈折率層を設ける場合、当該低屈折率層は必ず表面凹凸層の観察者側の表面に配置される。ここで、観察者側とは、本発明に係る防眩フィルムを画像表示装置の前面に配置する際に、観察者に向ける面を意味する。
<2−1−3−2.表面調整剤(レベリング剤)>
本発明の好ましい態様によれば、表面凹凸層形成用組成物に、フッ素系又はシリコーン系等のレベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤を添加した表面凹凸層形成用組成物は、塗布又は乾燥時に塗膜表面に対して塗工安定性、滑り性、防汚染性、及び耐擦傷性を付与することができる。
<2−1−3−3.重合開始剤>
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤又は光重合促進剤として増感剤を添加することができる。
光重合開始剤の具体例としては、ラジカル重合性官能基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α‐アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、ベンゾイン類、ベンゾインメチルエーテル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、アシルホスフィンオキシド類、1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトン、等が挙げられ、これらを単独で、又は混合して用いる。1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトンは、例えば商品名イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)として入手可能である。また、α‐アミノアルキルフェノン類としては、例えば商品名イルガキュア907、369として入手可能である。
カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。
また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n‐ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ‐n‐ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
<2−1−3−4.溶剤>
バインダー成分は、その種類、量によっては、液状媒体としても機能し得ることがあるので、溶剤を用いなくても表面凹凸層形成用組成物を塗工できる場合がある。従って、適宜、固形成分を溶解分散し、濃度を調整して、塗工性に優れた表面凹凸層形成用組成物を調製するために溶剤を使用すれば良い。
溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素またはこれらの混合物が挙げられる。
<2−1−4.表面凹凸層形成用組成物の調製>
本発明に係る表面凹凸層形成用組成物は、一般的な調製法に従って、上記成分を混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。透光性微粒子が溶剤中に分散された状態で得られる場合には、その分散状態のまま、前記バインダー成分、溶剤を含むその他の成分を適宜加え、混合し分散処理することにより調製される。
<2−2.内部散乱層>
本発明に係る内部散乱層は、内部散乱効果を有する層であり、前記表面凹凸層の透明基材フィルム側に隣接して設けて良く、当該内部散乱層及び前記表面凹凸層を併せて防眩層とすることが好ましい。また、当該内部散乱層は、内部散乱層形成用組成物を硬化させて得られ、当該内部散乱層形成用組成物は必須成分として、内部散乱粒子、及びバインダー成分を含み、必要に応じて適宜、重合開始剤、溶剤等のその他の成分を含有させても良い。
また、当該内部散乱層の膜厚は、2μm以上15μm以下であることが好ましい。斯かる範囲であることにより、十分な膜強度、及び内部散乱効果が得られる。
<2−2−1.内部散乱粒子>
本発明に係る内部散乱粒子は、内部散乱層に内部散乱効果を付与し、防眩フィルムの防眩性を高める機能を有する。当該内部散乱粒子の平均粒径は、1μm以上10μm以下であり、屈折率が異なる部分を有することが好ましい。1μm未満であると、十分な内部散乱効果を発揮できず、また、平均粒径が10μmを超えると、防眩フィルムの膜厚が粒径以上に必要になり、膜厚増大によるクラックの発生が顕著になるため、好ましくない。
本発明に係る内部散乱粒子において、平均粒径とは、単分散型の粒子(形状が単一な粒子)であれば、その平均粒径を表し、ブロードな粒度分布を持つ不定形型の粒子であれば、粒度分布測定により、最も多く存在する粒子の最大粒径を平均粒径として表している。また、前記内部散乱粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であれば良い。当該平均粒径は、真球状、略球状の粒子であれば、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計を用いて測定することができる。また、硬化した膜中では、SEM写真、又はTEM写真による観察によっても測定することができる。SEM、又はTEM写真による測定方法は、例えば、50〜200万倍で粒子の観察を行い、観察した粒子100個の平均値をもって平均粒径とする方法がある。
前記内部散乱粒子は、屈折率が異なる部分を有することにより、十分な内部散乱効果を内部散乱層に付与できる。好ましい内部散乱粒子として、コア−シェル粒子、微粒子内包型粒子、外郭付着粒子、及び微粒子内包型粒子と外郭付着粒子を組み合わせた粒子が挙げられる。当該コア−シェル粒子、微粒子内包型粒子、外郭付着粒子、又は微粒子内包型粒子と外郭付着粒子を組み合わせた粒子を用いることにより、暗所コントラストを維持しながら、ギラツキを防止できる。
前記コア−シェル粒子、微粒子内包型粒子、又は外郭付着粒子等の内部散乱粒子を含有することにより、コントラストを維持しながらギラツキが防止できるのは、内部散乱粒子の屈折率(コア−シェル粒子の場合、後述するシェル部の屈折率、微粒子内包型粒子の場合、後述する母粒子の屈折率、及び外郭付着粒子の場合、後述する子粒子の屈折率)と、当該内部散乱粒子を包み込む後述する内部散乱層のバインダー成分の屈折率との差を小さくすることができるため、内部散乱粒子同士の多重散乱が抑えられ、コントラスト低下を防ぐことが可能になるためと推測される。ただし、これだけでは内部散乱粒子と内部散乱層のバインダー成分との屈折率差が小さく十分な内部散乱性が得られない。そのため、上記に加えて屈折率を制御した複数の分散した内部散乱粒子を内部散乱層に内包させることにより、所望の内部散乱性が得られると推測される。
<2−2−1−1.コア−シェル粒子>
コア−シェル粒子とは、粒子中心部の屈折率が一定、又は傾斜しているコア部と、当該コア部を覆うように存在し、当該コア部とは異なる屈折率、又は、当該コア部とは異なる屈折率の傾斜を有するシェル部を有する粒子である。
コア−シェル粒子の形状としては特に限定されず、例えば、球状、回転楕円体状、薄板状、針状等を挙げることができる。形状が球状以外である場合は、最大長さが1μm以上10μm以下となる。
コア−シェル粒子は、少なくとも1層のシェル部を有する。当該シェル部は、少なくとも一層あれば特に限定されないが、1〜5層有することが好ましい。複数層のシェル部を有する場合、コントラスト低下をより好適に抑えることができることから、コア部から最外層のシェル部へ向かって、屈折率は小さくなることが好ましい。前記シェル部が複数層存在する場合、コア部最近接層から順に、第1シェル部、第2シェル部と表す。
前記コア−シェル粒子は、コア粒径がコア−シェル粒子の粒径の1割以上、6割以下である。尚、コア粒径とは、コア部の直径を意味する。前記コア部の粒径が1割以上であると好適な内部散乱を得られるため好ましい。6割以下であると、コントラスト低下をより好適に抑えることができるため好ましい。前記シェル部が複数層存在する場合、前記コア粒径は、コア部と第1シェル部との境界までの距離を示す。前記コア粒径は、例えば、TEM観察により測定できる。
前記コア−シェル粒子のコア部の屈折率nとしては特に限定されないが、例えば、後述する硬化反応性を有するバインダーの屈折率との差が0.03〜0.20の範囲であることが好ましい。この範囲内であると、本発明の内部散乱層が優れた内部散乱効果と、良好なコントラストとを兼ね備えたものとすることができる。
更に、前記コア−シェル粒子は、コア部の屈折率nとコア部最近接層の第1シェル部の屈折率nが下記式(1)
0.005≦|n−n|≦0.07 (1)
を満たすことが好ましい。前記|n−n|が上記範囲内であることにより、優れたコントラストを得ることができる。
また、シェル部が複数層のシェル部を有する場合、例えば、上述した第1シェル部の屈折率をnB1、第2シェル部の屈折率をnB2とすると、いずれも上記式(1)の屈折率nと同様の関係を有することが好ましい。
ここで、前記コア部の屈折率n及び第1シェル部の屈折率nの測定方法について説明する。
前記コア−シェル粒子を含むフィルムを作製し、サンプルを斜め切削し、アルバック・ファイ社製TOF−SIMSを用いて、コア−シェル粒子のコア部の中心部と第1シェル部の最外殻部の分子を検出した。検出された分子の屈折率は、セイシン企業(株)が開示している分子の屈折率一覧表あるいはPolymer Handbook(John Wiley & Sons)を参考に算出した。例えば、ポリスチレンは1.59、メタクリル酸メチル樹脂は1.49である。メタクリル酸メチル−スチレン共重合体は、TOF−SIMSによってメタクリル酸メチルとスチレンの組成を検出し、各々の屈折率から算出した。さらに、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化亜鉛等の無機材料についても同様に分子構造と組成の検出を行い屈折率を算出した。
前記コア−シェル粒子のコア部としては、特に限定されず、例えば、透明なスチレン樹脂等の各種の有機樹脂が使用できる。前記シェル部としては特に限定されず、例えば、アクリル系のモノマー成分同士若しくはこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマー等を挙げることができる。なかでも、コア部としてスチレン樹脂を、シェル部としてメタクリル酸メチル−スチレン共重合体を使用することが好ましい。
また、前記コア−シェル粒子は、コア部が無機材料からなり、シェル部が有機材料からなるものも好適に使用できる。前記コア−シェル粒子がこのような原料からなるものであると、特に優れたコントラスト低下抑制効果がある点で好ましい。
前記コア部が無機材料からなる場合、当該無機材料としては特に限定されず、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化亜鉛等の屈折率発現性の高い材料等を挙げることができる。これらの無機材料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アルミナ、酸化亜鉛のうち少なくとも一つを含むものであることが好ましい。
前記シェル部が有機材料からなる場合、当該有機材料としては特に限定されず、例えば、イソシアネート化合物、エステル系化合物、アクリル系のモノマー成分同士若しくはこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマー等を挙げることができる。
前記アクリル系のモノマー成分とこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等を挙げることができる。
前記コア−シェル粒子の製造方法としては特に限定されないが、例えば、モノマー中にスチレンモノマーを懸濁重合法により重合して、スチレン系のコア部を形成し、さらにアクリル系のモノマー成分同士若しくはこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマーを懸濁重合法により重合して、スチレン系のコア部の周囲にアクリル系のシェル部を付着形成させて得る方法;コア部を形成する無機材料の分散液を加圧下攪拌しながら、有機材料溶液を導入し、無機材料からなるコア部の周囲に有機材料からなるシェル部を付着させて得る方法等を挙げることができる。
前記コア−シェル粒子は、シェル部を複数層有するものであってもよい。このとき、多くのシェル部を有することによって、内部から外方向に向かって屈折率が連続的に変化するコア−シェル粒子となる場合がある。斯かるコア−シェル粒子を、本発明において屈折率傾斜粒子ともよぶ。当該屈折率傾斜粒子は、粒子内で屈折率の勾配がみられる粒子のことであり、本発明においては、内部から外方向に向かって屈折率が小さくなるものが好ましい。前記屈折率傾斜粒子の形状としては特に限定されず、前記コア−シェル粒子で述べたものを挙げることができる。上記屈折率傾斜粒子の平均粒径も1μm以上、10μm以下であり、測定方法は、前記コア−シェル粒子と同様であってよい。
前記屈折率傾斜粒子は、粒子内で屈折率の勾配がみられる粒子であるが、その構造は、以下のようなものである。TEM観察した際に、屈折率傾斜粒子ではないコア−シェル粒子では、屈折率の境界が観察されるのに対し、屈折率傾斜粒子であるコア−シェル粒子では、屈折率が連続的に変化しているためTEMでは境界を観察できない。
前記屈折率傾斜粒子の製造方法としては特に限定されず、前記屈折率傾斜粒子ではないコア−シェル粒子と同様の方法で製造することができるが、コア部及びシェル部を構成する成分の配合量を調整することで屈折率傾斜粒子を製造することもできる。
前記屈折率傾斜粒子としては、特にメタクリル酸メチル−スチレン共重合体を使用することが好ましい。
本発明において、前記コア−シェル粒子は、上述のようにコア部、及びシェル部の境界がTEMにより観察される形状であっても、観察されない屈折率傾斜粒子であってもよい。斯かるコア−シェル粒子について、粒子中心部から粒子最外層への粒径の変化と屈折率の変化との関係を示した図を用いて説明する。
例えば、図1は、屈折率が一定であるコア部と、境界が観察され、屈折率が一定であるシェル部を有するコア−シェル粒子の屈折率変化の一例を示した模式図である。図2は、屈折率が傾斜しているコア部と、境界が観察され、屈折率が傾斜しているシェル部を有するコア−シェル粒子の屈折率変化の一例を示した模式図である。図3は、屈折率が傾斜しているコア部、境界が観察され、屈折率が傾斜している第1シェル部、及び境界が観察され、屈折率が傾斜している第2シェル部を有するコア−シェル粒子の屈折率変化の一例を示した模式図である。図4は、屈折率が一定であるコア部と、境界が観察され、屈折率が傾斜している第1シェル部、及び境界が観察され、屈折率が一定である第2シェル部を有するコア−シェル粒子の屈折率変化の一例を示した模式図である。図5は、境界がまったく観察されず、屈折率が傾斜したコア−シェル粒子の屈折率変化の一例を示した模式図である。このようなコア−シェル粒子も、本発明において用いることができる。尚、本発明において第1シェル部とは、コア部最近接層で、且つ、TEMにより境界が観察されるシェル部のことをいう。
更に、具体的に、コア−シェル粒子の形状について模式図を挙げて説明する。図6は、図1の屈折率変化を示すコア部と、境界が観察されるシェル部を有するコア−シェル粒子の一例を示した模式図であって、はっきりとシェル部との境界が観察されるものである。一方、図7は、図5の屈折率変化を示す境界が観察されないコア−シェル粒子の一例を示した模式図であって、明確なコア部とシェル部との境界が示されないものである。本発明におけるコア−シェル粒子は、これらに限定されず、種々の形状のものを使用することができる。
<2−2−1−2.微粒子内包型粒子>
微粒子内包型粒子とは、粒子内部に、屈折率が異なり、粒径の小さい微粒子を1個、又は2個以上内包している粒子である。これにより、当該微粒子内包型粒子全体としては、屈折率が異なる部分を有するため、内部散乱効果を生じる。また、内包する粒子の屈折率、並びに内包される粒子の屈折率、及び個数等を変えることにより、当該微粒子内包型粒子全体の屈折率を制御することが可能である。当該微粒子内包型粒子を用いることにより、内部散乱層のコントラストを維持しながら、ギラツキを防止できる。尚、本明細書の微粒子内包型粒子では、内包する粒子を母粒子、内包される微粒子を子粒子ともいう。
図8は、前記微粒子内包型粒子の一例を模式的に示した断面図である。微粒子内包型粒子110は、母粒子111の内部に母粒子とは屈折率の異なる微粒子(子粒子)112を内包している。
前記微粒子内包型粒子は、平均粒径が1μm以上10μm以下であり、且つ、平均粒径が5nm以上300nm以下の微粒子(子粒子)を内包している。
前記微粒子内包型粒子の形状としては特に限定されず、例えば、球状、回転楕円体状、薄板状、針状等を挙げられる。当該微粒子内包型粒子の平均粒径は、球状である場合、1μm以上10μm以下である。形状が球状以外である場合は、最大長さが1μm以上10μm以下であれば良い。当該微粒子内包型粒子の平均粒径が1μm未満であると、前記内部散乱層は、十分なギラツキ防止効果が得られない。当該微粒子内包型粒子の平均粒径が10μmを超えると、前記内部散乱層の膜厚が粒径以上に必要になり、膜厚増大によるクラックの発生が顕著になる。
前記内包される微粒子(子粒子)の形状としては特に限定されず、例えば、球状、回転楕円体状、薄板状、針状等を挙げられる。当該子粒子の平均粒径は、球状である場合、5nm以上300nm以下である。当該子粒子の形状が球状以外である場合は、最大長さが5nm以上300nm以下となる。前記子粒子の平均粒径が、5nm未満であると、所望の内部散乱が得られないためギラツキ防止効果を得られなくなり、300nmを超えると、コントラスト低下を十分に抑えることができないことがある。当該子粒子の平均粒径は、20nm以上150nm以下であることが好ましい。
前記子粒子は、1個、又は2個以上内包されており、2個以上内包されていることが好ましい。さらに、(内包粒子の合計体積/内部散乱粒子の体積)×100で表わされる当該子粒子の体積分率が30%以下であることが好ましい。当該体積分率が30%を超えると、コントラスト低下を十分に抑えることができないことがある。また、当該体積分率は1%以上であることが好ましい。当該体積分率が1%未満であると、所望のギラツキ防止効果を得られないことがある。
また、前記子粒子は、前記母粒子の表面に露出していないことが好ましい。ただし、当該子粒子は、母粒子の表面に露出していても良く、この場合、露出している子粒子の表面積が、微粒子内包型粒子の表面積の20%以下であれば良い。20%を超えると、ギラツキ防止効果の発現と、コントラストの維持が両立できなくなることがある。
前記子粒子は、有機材料及び/又は無機材料からなる。特に、当該子粒子が無機材料からなる場合、特に優れたコントラスト低下抑制効果がある点で好ましい。
前記有機材料としては特に限定されず、例えば、透明なスチレン樹脂等の各種の有機樹脂が使用できる。当該有機材料の屈折率は1.55以上であることが好ましい。屈折率が1.55未満であると、屈折率の好ましい範囲が1.45〜1.65である内部散乱層のバインダー成分、及び、屈折率の好ましい範囲が1.50以上である母粒子との屈折率差が小さくなり、所望の内部散乱性が得られない恐れがある。
また、前記無機材料としては、特に限定されず、酸化チタン、酸化亜鉛、ジルコニア、アルミナ等の屈折率の高い材料等が挙げられる。これらの無機材料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、酸化チタン、酸化亜鉛、ジルコニア及びアルミナよりなる群から選択される少なくとも一種を含有するものであることが好ましい。
前記子粒子が酸化チタン、酸化亜鉛、ジルコニア及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種から形成される場合、当該子粒子の屈折率は1.55以上であることが好ましい。屈折率が1.55未満であると、屈折率の好ましい範囲が1.45〜1.65である内部散乱層のバインダー成分、及び、屈折率の好ましい範囲が1.50以上である母粒子との屈折率差が小さくなり、所望の内部散乱性が得られない恐れがある。
前記母粒子は、屈折率が1.50以上である有機材料から形成されることが好ましい。当該屈折率が1.50未満であると、内部散乱層のバインダー成分の屈折率の好ましい範囲が1.45〜1.65であるため、コントラスト低下の恐れがある。
前記有機材料としては、屈折率が1.50以上であれば特に限定されず、例えば、スチレン樹脂、イソシアネート化合物、エステル系化合物、アクリル系のモノマー成分同士若しくはこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマー等が挙げられる。
また、前記アクリル系のモノマー成分とこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等が挙げられる。
更に、前記微粒子内包型粒子は、有機材料及び/又は無機材料からなる子粒子と母粒子とが化学的に結合した状態であってもよい。
前記微粒子内包型粒子の製造方法としては特に限定されず、例えば、前記子粒子を分散させた液状媒体中において、上述した有機樹脂の重合反応を行い、母粒子を得る方法等が挙げられる。前記微粒子内包型粒子の製造に際しては、分散剤を併用してもよい。また、粒径が所定の範囲である微粒子内包型粒子を得るために、当該微粒子内包型粒子の製造は、例えば、ビーズミル分散機等にて分散させながら行ってもよい。
<2−2−1−3.外郭付着粒子>
外郭付着粒子とは、球状、又は略球状であり、且つ、母粒子の表面に、当該母粒子の屈折率と同じ又は小さい屈折率を有する粒子(子粒子)が付着した粒子である。これにより、当該外郭付着粒子全体としては、屈折率が異なる部分を有するため、内部散乱効果を生じる。また、母粒子の屈折率、並びに付着する粒子(子粒子)の屈折率、及び個数等を変えることにより、当該外郭付着粒子全体の屈折率を制御することが可能である。当該外郭付着粒子を用いることにより、内部散乱層のコントラストを維持しながら、ギラツキを防止できる。尚、本明細書の外郭付着粒子では、付着される粒径の大きな粒子を母粒子、付着する粒径の小さな粒子を子粒子ともいう。
図9は、前記外郭付着粒子の一例を模式的に示した図である。外郭付着粒子120は、母粒子121の表面に母粒子とは屈折率の異なる子粒子122が付着している。
前記子粒子の形状としては特に限定されず、例えば、球状、回転楕円体状、薄板状、針状等を挙げられる。当該子粒子の平均粒径は、球状である場合、上限が1μmである。形状が球状以外である場合は、最大長さの上限が1μmとなる。当該子粒子の平均粒径が1μmを超えると、母粒子が凝集した場合と近い状態になり、多重散乱が起こりやすくなるため、コントラスト低下が起こることがあり、好ましくない。当該子粒子の平均粒径は、0.4μm以下が好ましい。
前記子粒子は、前記母粒子の外郭部に物理吸着しており、その吸着量としては特に限定されないが、前記母粒子100体積部に対して、2体積部以上75体積部以下が好ましい。斯かる範囲で前記子粒子が前記母粒子の外郭部に物理吸着していることで、所望の内部散乱効果を得ながら、コントラストの低下を防ぐことができる。
外郭付着粒子の子粒子の屈折率としては、好ましい下限が1.50である。1.50未満であると、後述するように、内部散乱層のバインダー成分の屈折率の好ましい範囲が1.45〜1.65であるため、コントラスト低下の恐れがある。
外郭付着粒子の子粒子の材料としては、上記屈折率を満たすものであれば、特に限定されず、例えば、スチレン樹脂、イソシアネート化合物、エステル系化合物、アクリル系のモノマー成分同士若しくはこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマー等が挙げられる。
また、上記アクリル系のモノマー成分とこれらと共重合可能なモノマーとのコポリマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等が挙げられる。なかでも、芳香族系イソシアネート、又は、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等が好適に用いられる。
外郭付着粒子の母粒子の材料としては、前記微粒子内包型粒子の子粒子と同様のものを用いることができる。また、外郭付着粒子の母粒子の屈折率は、屈折率が1.55以上であることが好ましい。当該屈折率が1.55未満であると、内部散乱層のバインダー成分の屈折率の好ましい範囲が1.45〜1.65であるため、コントラスト低下の恐れがある。
本発明に係る外郭付着粒子の粒径は、球状である場合、1μm以上10μm以下である。形状が球状以外である場合は、最大長さが1μm以上10μm以下であれば良い。
前記母粒子の外郭部に前記子粒子を物理吸着させる方法としては、特に限定されず、例えば、母粒子に子粒子を物理的に衝突させる方法等が挙げられる。具体例としては、(株)奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムを用いることで、外郭付着粒子を得ることができる。
また、本発明においては、前記コア−シェル粒子、前記微粒子内包型粒子、及び前記外郭付着粒子を組み合わせた粒子を用いることもできる。例えば、前記微粒子内包型粒子の外郭に、前記外郭付着粒子の子粒子が付着したものであっても良い。この場合は、前記微粒子内包粒子に前記外郭付着粒子の子粒子が付着した粒子の粒径が、前記外郭付着粒子の粒径と同様に、球状である場合、1μm以上10μm以下である。形状が球状以外である場合は、最大長さが1μm以上10μm以下であれば良い。
<2−2−2.内部散乱層のバインダー成分>
本発明に係る内部散乱層は、硬化反応性を有するバインダー成分を含有するものであり、当該硬化反応性を有するバインダー成分の屈折率をnとすると、前記コア−シェル粒子のコア部の屈折率n、前記コア−シェル粒子の第1シェル部の屈折率n、及び、nは、いずれも1.45以上、1.65以下であり、且つ、下記式(2)を満たすことが好ましい。
|n−n|<|n−n| (2)
各屈折率が上記式(2)を満たすことにより、良好な内部散乱効果を得ることができる。これは、前記コア−シェル粒子のコア部の屈折率とシェル部の屈折率とが比較的近い値を有していることを意味する。尚、このような式(2)で表される屈折率の範囲を満たすコア−シェル粒子のコア部を構成する材料としては、例えば、スチレン等が挙げられる。
また、n、n、nは、下記式(3)を満たすことが好ましい。
<n<n (3)
式(3)を満たすことにより、粒子内部とバインダー成分との屈折率差を保つことができ、結果として高い光散乱性を示しつつ、界面反射を抑制することで優れたコントラストも得ることができる。
また、前記微粒子内包粒子の子粒子の屈折率をn、母粒子の屈折率をnとすると、n、n、n、は、下記式(4)を満たすことが好ましい。
<n<n (4)
式(4)を満たすことにより、粒子内部とバインダー成分との屈折率差を保つことができ、結果として高い光散乱性を示しつつ、界面反射を抑制することで優れたコントラストも得ることができる。
また、前記外郭付着粒子の母粒子の屈折率をn、子粒子の屈折率をnとすると、n、n、n、は、下記式(5)を満たすことが好ましい。
<n<n (5)
式(5)を満たすことにより、粒子内部とバインダー成分との屈折率差を保つことができ、結果として高い光散乱性を示しつつ、界面反射を抑制することで優れたコントラストも得ることができる。
ここで、上記硬化反応性を有するバインダー成分は、後述する分子中に親水性基を有さない樹脂を所定量含有する混合物であり、このような混合物からなる硬化反応性を有するバインダー成分の屈折率(n)とは、以下の方法により算出された値である。
上記コア−シェル粒子を含むフィルムからコア−シェル粒子の屈折率を算出する方法と同様に、サンプルを斜め切削し、アルバック・ファイ社製TOF−SIMSを用いて、コア−シェル粒子のコア部の中心部と第1シェル部の最外殻部の分子を検出した。検出された分子の屈折率は、セイシン企業(株)が開示している分子の屈折率一覧表あるいはPolymer Handbook(John Wiley & Sons)を参考に算出した。
上記硬化反応性を有するバインダー成分としては特に限定されず、例えば、紫外線、若しくは電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂(塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)との混合物、又は熱硬化型樹脂の三種類が挙げられ、好ましくは、電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。また、本発明の好ましい態様によれば、電離放射線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂とを少なくとも含んでなる樹脂を用いることができる。
前記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物を挙げることができる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物と(メタ)アルリレート等の反応生成物(例えば、多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)、等を挙げることができる。
上記化合物の他に、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も前記電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
電離放射線硬化型樹脂に混合して使用される溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては一般的に例示されるものが利用される。前記溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、前記熱可塑性樹脂は、一般的に例示されるものが利用される。前記溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及び、ゴム又はエラストマー等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶剤(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶剤)に可溶な樹脂を使用することが好ましい。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、光透過性基材の材料がトリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂の好ましい具体例として、セルロース系樹脂、例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。セルロース系樹脂を用いることにより、光透過性基材と内部散乱層との密着性及び透明性を向上させることができる。
前記硬化反応性を有する樹脂として使用できる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を併用して使用することもできる。
本発明の内部散乱層において、前記硬化反応性を有する樹脂は、分子中に親水性基を有さない樹脂を含有するものである。すなわち、前記硬化反応性を有する樹脂は、前記分子中に親水性基を有さない樹脂とそれ以外の樹脂との混合物である。
本発明の内部散乱層は、前記分子中に親水性基を有さない樹脂を含有することで、前記コア−シェル粒子の分散性が極めて優れたものとなり、コア−シェル粒子が凝集して多重散乱を引き起こすことがなく、コントラスト低下を効果的に抑制できる。尚、本発明者らの研究によると、前記分子中に親水性基を有さない樹脂を含有することで、コア−シェルでない微粒子(微粒子内包粒子、外郭付着粒子)の分散性を向上させる効果も有するが、前記コア−シェル粒子に対して、特に顕著な分散性向上効果が認められる。
ここで、分子中に親水性基を有さない樹脂とは、比較的極性の高い原子団、特にイオン性を有する原子団を分子内に有さない樹脂で定義される樹脂を意味する。具体的には、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基や、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等等の極性の高い原子団を分子内に含有さない硬化反応性を有する樹脂を意味する。
このような分子中に親水性基を有さない樹脂としては、具体的には、3個以上の硬化反応性基を有する化合物としては、例えば、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、グリセリンプロポキシトリアクリレート(OTA480)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート等が挙げられる。
また、前記分子中に親水性基を有さない樹脂として、2個又はそれ以上の硬化反応性基を有する化合物としては、具体的には、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートやポリエチレングリコールジアクリレート、特開2002−30042号公報に記載された重合性液晶化合物等が挙げられる。
さらに、前記分子中に親水性基を有さない樹脂として、1個の硬化反応性基を有する化合物としては、具体的には、例えば、下記化学式(1)で表される構造の化合物等が挙げられる。
Figure 2009080256
化学式(1)中、Rは、水素、又はメチル基であり、R、及びLは、後述する置換基である。
は、n−C2m+1(mは4以上20以下の整数)で表わされるアルキル基、又は、下記(b−1)乃至(b−9)よりなる群から選択される一つの構造を有する置換基である。
Figure 2009080256
Lは、下記(L−1)乃至(L−6)よりなる群から選択される一つの構造を有する置換基である。
Figure 2009080256
本発明の内部散乱層において、前記分子中に親水性基を有さない樹脂としては、なかでも、1分子あたり3個以上の硬化反応性基を含有するものであることが好ましい。1分子あたりに硬化反応性基を3個以上含有することで、分散性に加えて、基材との密着性を保持することができるため好ましい。
前記分子中に親水性基を有さない樹脂の含有量は、前記硬化反応性を有する樹脂中、下限が5質量%、上限が75質量%である。5質量%未満であると、前記コア−シェル粒子の分散性及びコントラスト低下率を抑制するという効果が得られず、75質量%を超えると、前記内部散乱層の光透過性基材等に対する密着性が低下してしまう。好ましい下限は10質量%、好ましい上限は50質量%である。
尚、前記分子中に親水性基を有さない樹脂の含有量は、前記硬化反応性を有する樹脂に含まれる不飽和結合を有する樹脂量に対する割合である。
前記硬化反応性を有する樹脂において、前記分子中に親水性基を有さない樹脂以外の樹脂としては、例えば、下記構造(A−1)〜(A−42)で表されるものが挙げられる。
Figure 2009080256
Figure 2009080256
Figure 2009080256
また、これらの樹脂は、前記分子中に親水性基を有さない樹脂と同様の理由により、1分子あたりに硬化反応性基を3個以上含有することが好ましい。
このような樹脂としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が好適に用いられる。
<2−2−3.その他の成分>
前記内部散乱層形成用組成物には、内部散乱層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲であれば、樹脂、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、溶剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤等を添加してもよい。
<2−2−3−1.光重合開始剤>
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましい。
<2−2−3−2.溶剤>
前記内部散乱層は、前記コア−シェル粒子及び/又は屈折率傾斜粒子と樹脂とを適切な溶剤に混合して得た内部散乱層形成用組成物を前記透明基材フィルムに塗布することにより形成することができる。前記溶剤としては、樹脂の種類及び溶解性に応じて選択し使用することができ、少なくとも固形分(複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体、重合開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶剤であればよい。そのような溶剤としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等が例示でき、これらの混合溶剤であってもよい。また、光透過性基材への浸透性溶剤も、好ましく使用することができる。浸透性溶剤を用いることにより、干渉縞の発生を防止できるため、より好ましい内部散乱層とすることができる。
例えば、基材がTACである場合、浸透性溶剤の具体例としては、ケトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、エステル類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、含窒素化合物;ニトロメタン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、グリコール類;メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、エーテル類;テトラヒドロフラン、1,4―ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル、ハロゲン化炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロルエタン、グリコールエーテル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、その他、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレンが挙げられ、またはこれらの混合物が挙げられ、好ましくはエステル類、ケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。その他、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類も、前記浸透性溶剤と混合して用いることができる。
<2−2−3−3.レベリング剤>
前記内部散乱層形成用組成物としては、フッ素系又はシリコーン系等のレベリング剤を添加したものが好ましい。レベリング剤を添加した前記内部散乱層形成用組成物は、塗布又は乾燥時に塗膜表面に対して滑り性や防汚性を付与でき、かつ、耐擦傷性の効果を付与することを可能とする。前記レベリング剤は、光透過性基材が耐熱性の要求されるフィルム状のもの(例えばトリアセチルセルロース)に好適に利用される。
<2−2−3−4.その他の防眩性微粒子>
前記内部散乱層は、前記コア−シェル粒子、微粒子内包型粒子、又は外郭付着粒子を含有することが好ましく、コントラストの著しい低下を引き起こさない範囲でその他の防眩性微粒子を含有していてもよい。微粒子の平均粒径は限定的ではないが、一般的には0.01〜20μm程度とすれば良い。また、微粒子の形状は、真球状、楕円状等のいずれであっても良く、好ましくは真球状のものが挙げられる。前記粒径は、上述の方法により測定することができる。
前記微粒子は、防眩性を発揮するものであり、無機系、有機系のものが使用することができ、好ましくは透明性のものがよい。有機系材料により形成されてなる微粒子の具体例としては、プラスチックビーズが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.60)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49〜1.53)、アクリルースチレンビーズ(屈折率1.54)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合体(屈折率1.68)、メラミン−ホルムアルデヒド縮合体(屈折率1.68)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等を挙げることができる。前記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、例えば、スチレンビーズを挙げることができる。無機系微粒子としては、不定形シリカ等を挙げることができる。
前記不定形シリカは、分散性が良好な粒径0.5〜5μmのシリカビーズを使用することが好ましい。前記不定形シリカの含有量は、バインダー樹脂に対して1〜30質量部であることが好ましい。内部散乱層形成用組成物の粘度上昇を生じることなく前記不定形シリカの分散性を良好なものとするために、平均粒径や、添加量を変更させるとともに、粒子表面への有機物処理の有無も変更して使用することができる。粒子表面に有機物処理を施す場合には、疎水化処理が好ましい。前記粒径は、上述の方法により測定することができる。
前記有機物処理には、ビーズ表面に化合物を化学的に結合させる方法や、ビーズ表面とは化学的な結合なしに、ビーズを形成する組成物にあるボイドなどに浸透させるような物理的な方法があり、どちらを使用してもよい。一般的には、水酸基またはシラノール基等のシリカ表面の活性基を利用する化学的処理法が、処理効率の観点で好ましく用いられる。処理に使用する化合物としては、上述活性基と反応性の高いシラン系、シロキサン系、シラザン系材料などが用いられる。例えば、メチルトリクロロシラン等の、直鎖アルキル単基置換シリコーン材料、分岐アルキル単置換シリコーン材料、或いはジ−n−ブチルジクロロシラン、エチルジメチルクロロシラン等の多置換直鎖アルキルシリコーン化合物や、多置換分岐鎖アルキルシリコーン化合物が挙げられる。同様に、直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基の単置換、多置換シロキサン材料、シラザン材料も有効に使用することができる。
必要機能に応じ、アルキル鎖の末端、乃至中間部位に、ヘテロ原子、不飽和結合基、環状結合基、芳香族官能基等を有するものを使用しても構わない。これらの化合物は、含まれるアルキル基が疎水性を示すため、被処理材料表面を、親水性から疎水性に容易に変換することが可能となり、未処理では親和性の乏しい高分子材料とも、高い親和性を得ることができる。
<2−2−4.内部散乱層形成用組成物の調製>
本発明に係る内部散乱層形成用組成物は、一般的な調製法に従って、前記成分を混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。内部散乱粒子が溶剤中に分散された状態で得られる場合には、その分散状態のまま、前記バインダー成分、溶剤を含むその他の成分を適宜加え、混合し分散処理することにより調製される。
<3.防眩フィルム>
本発明に係る防眩フィルムは、必須要素として、前記透明基材フィルム、及び少なくとも前記表面凹凸層を含む防眩層を含む。当該防眩層は、防眩性を向上する等の目的で、前記透明基材フィルムと前記表面凹凸層との間に内部散乱層を有しても良く、当該内部散乱層と前記表面凹凸層を併せて防眩層とすることが好ましい。また、本発明においては、前記防眩層の表面(観察者側)に低屈折率層や防汚染層等のその他の機能層を設けても良く、防眩フィルムの反射防止性能を更に向上するために、前記防眩層(表面凹凸層)の表面に低屈折率層を設けることが好ましい。さらに、耐擦傷性等のその他の機能を付与する目的で、少なくとも表面凹凸層を含む防眩層と前記透明基材フィルムの間にハードコート層、中屈折率層、高屈折率層等のその他の機能を有する層を設けても良い。
本発明に係る防眩フィルムの層構成について説明する。
図10は本発明に係る防眩フィルムの層構成の一例を示した模式的な断面図である。防眩フィルム10は、透明基材フィルム20の観察者100側の面に、透明基材フィルム20に隣接して表面凹凸層50のみからなる防眩層30が設けられ、構成されている。表面凹凸層50は、扁平状の透光性微粒子60を含有する。尚、図10以下の図において、説明の容易化のために、厚み方向(図の上下方向)を面方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張して図示してある。
図11は本発明に係る防眩フィルムの層構成の他の一例を示した模式的な断面図である。透明基材フィルム20の観察者100側の面に、透明基材フィルム20に近い側から内部散乱層40、及び表面凹凸層50を含む防眩層30が設けられている。
図12は、本発明に係る防眩フィルムの層構成の他の一例を示した模式的な断面図である。透明基材フィルム20の観察者100側の面に、透明基材フィルム20に近い側から内部散乱層40、及び表面凹凸層50を含む防眩層30、並びに低屈折率層70が設けられている。
図13は、本発明に係る防眩フィルムの層構成の他の一例を示した模式的な断面図である。透明基材フィルム20の観察者100側の面に、透明基材フィルム20に近い側からハードコート層80、並びに内部散乱層40、及び表面凹凸層50を含む防眩層30が設けられている。
図14は、本発明に係る防眩フィルムの層構成の他の一例を示した模式的な断面図である。透明基材フィルム20の観察者100側の面に、透明基材フィルム20に近い側からハードコート層80、内部散乱層40、及び表面凹凸層50を含む防眩層30、高屈折率層90、並びに低屈折率層70が設けられている。
以下、本発明の防眩フィルムに、必要に応じて適宜設けられるハードコート層、低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層等のその他の層を説明する。
<4.ハードコート層>
本発明に係る防眩フィルムは、前記防眩層と前記透明基材フィルムとの間に、耐擦傷性を付与する等の目的でハードコート層が設けられていても良い。斯かる層構成とすることにより、当該ハードコート層は、前記防眩層が耐え得る以上の衝撃を受けた場合に、当該層の損傷面積を低減し、且つ、ディスプレイ側にある透明基材やその他の層を保護する機能を有する。
ハードコート層は、通常、電離放射線硬化性樹脂を使用して形成する。なお、本明細書において、「ハードコート層」とは、JIS K5600−5−4:1999で示される鉛筆硬度試験でH以上の硬度を示すものをいう。
ハードコート層の膜厚は、2μm以上20μm以下が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい。
ハードコート層を形成する電離放射線硬化性樹脂としては、好ましくはアクリレート系の官能基を有するものを挙げることができる。具体的には、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエーテル樹脂、多価アルコール等を挙げることができる。また、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート誘導体やジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;等の多官能化合物のモノマー類やエポキシアクリレートやウレタンアクリレート等のオリゴマー等を挙げることもできる。
ハードコート層は、当該ハードコート層の耐擦傷性を高める等の目的で、当該ハードコート層のマトリクスとなる上記樹脂の他に、有機系微粒子、又は無機系微粒子を含んでいても良い。硬度が高いことからシリカ等の無機微粒子が好ましい。また、上記樹脂と架橋結合を形成できる反応性官能基を有する無機微粒子がさらに膜強度を高められるためより好ましい。
<5.低屈折率層>
低屈折率層は、外部光(例えば、蛍光灯、自然光等)が防眩フィルムの表面にて反射する際、多層膜での光の干渉効果によってその反射率を低くするという役割を果たす層である。本発明の好ましい態様によれば、防眩層表面に低屈折率層を設けることが好ましい。低屈折率層は、当該低屈折率層の屈折率が当該層の下の層の屈折率より低いものである。
本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層に隣接する防眩層(表面凹凸層)の屈折率が1.5以上であり、低屈折率層の屈折率が1.45以下であり、好ましくは1.42以下で構成されてなるものが好ましい。
<5−1.低屈折率層のバインダー成分>
低屈折率層としては、好ましくは(1)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有する樹脂、(2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、(3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂、(4)シリカ又はフッ化マグネシウムの薄膜等のいずれかで構成される。フッ素樹脂以外の樹脂については、凹凸層を構成する樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
前記フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体を用いることができる。重合性化合物は、特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、重合体とは、上記のような反応性基などを一切もたないものである。
電離放射線硬化性基を有する重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ‐2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソール等)を例示することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとして、2,2,2‐トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3‐ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2‐(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2‐(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2‐(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2‐(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α‐トリフルオロメタクリル酸メチル、α‐トリフルオロメタクリル酸エチルのような、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中に、フッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14のフルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物等もある。
熱硬化性極性基として好ましいのは、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の水素結合形成基である。これらは、塗膜との密着性だけでなく、シリカなどの無機超微粒子との親和性にも優れている。熱硬化性極性基を持つ重合性化合物としては、例えば、4‐フルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン‐炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品などを挙げることができる。
電離放射線硬化性基と熱硬化性極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル酸又はメタクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
また、フッ素原子を持つ重合性化合物や重合体とともに、防眩層用硬化性樹脂組成物で述べたような各樹脂成分を混合して使用することもできる。更に、反応性基等を硬化させるための硬化剤、塗工性を向上させたり、防汚染性を付与するために、重合開始剤、レベリング剤等の添加剤、溶剤を適宜使用することができる。
<5−2.中空粒子>
低屈折率層は、当該層の屈折率を低下させる等の目的で、前記電離放射線硬化性樹脂の他、中空粒子を含有しても良い。当該中空粒子とは、外殻層を有し、外殻層に囲まれた内部が多孔質組織、又は空洞である粒子をいう。当該多孔質組織、及び当該空洞には空気(屈折率:1)が含有されており、当該中空粒子を低屈折率層に含有させることで、当該層の屈折率を低減することができる。
本発明に係る中空粒子の材料は、無機系、有機系のものを使用することができる。生産性や強度等を考慮し、無機材料であることが好ましい。この場合には、外殻層が無機材料で形成されることになる。
中空粒子を無機材料で形成する場合、中空粒子の材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、及び金属ハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。中空粒子を上記材料とすれば、外殻が高強度で外圧により潰れにくい粒子が得られる。さらに好ましいのは、中空粒子の材料を、金属酸化物又は金属ハロゲン化物で形成することであり、特に好ましいのは、金属酸化物又は金属フッ化物で形成することである。これら材料を用いると、さらに高強度、且つ、低屈折率な中空粒子を得られる。
ここで、金属酸化物等に用いる金属元素としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Si、Bが好ましく、Mg、Ca、Al及びSiがさらに好ましい。斯かる金属元素を用いることにより、低屈折率、且つ、他の元素に比べて製造が容易な中空粒子が得られる。上記金属元素は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
空隙(多孔質組織、又は空洞)を有する有機系の微粒子の具体例としては、特開2002−80503号公報で開示されている技術を用いて調製した中空ポリマー微粒子が好ましく挙げられる。
低屈折率層において、中空粒子を金属酸化物で形成する場合、材料の屈折率や生産性を考慮し、シリカ(二酸化珪素:SiO)からなる中空粒子を用いることが特に好ましい。中空シリカ粒子は、微細な空隙を内部に有しており、屈折率1の空気が当該粒子内部に含まれている。そのため、当該粒子自体の屈折率が前記電離放射線硬化性樹脂及び後述する中実粒子に比べて低く、当該中空粒子を含有する低屈折率層の屈折率を低下させることができる。すなわち、空隙を有する中空シリカ粒子は、内部に気体を有しないシリカ粒子(屈折率n=1.46程度)に比べると、屈折率が1.20〜1.45と低く、低屈折率層の屈折率を1.45以下にすることができる。
<5−3.中実粒子>
本発明に係る低屈折率層の中実粒子は、当該中実粒子内部が、多孔質でもなく空洞でもない粒子をいう。空隙を有しないため前記中空粒子に比べ、外部から粒子にかかる圧力(外圧)で潰れにくく、耐圧性に優れる。そのため、当該中実粒子を含有する低屈折率層の耐擦傷性を向上させやすくなる。
中実粒子の材料は、無機系、有機系のものを使用することができる。低屈折率層の押圧力に対する強度の向上を考慮し、無機材料を用いることが好ましい。
中実粒子を無機材料で形成する場合、当該中実粒子の材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、及び金属ハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。中実粒子を上記材料とすれば、高強度な粒子が安定して得られる。より好ましいのは、中実粒子の材料を、金属酸化物又は金属ハロゲン化物とすることであり、さらに好ましいのは、金属酸化物又は金属フッ化物とすることである。これら材料を用いると、さらに、屈折率が低く、低屈折率層としての性能が良好となりやすい。
前記金属酸化物等に用いる金属元素としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Si、Bが好ましく、Mg、Ca、Al及びSiがさらに好ましい。斯かる金属元素を用いることにより、強度を高くし、屈折率を低くすることができる。前記金属元素は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
低屈折率層においては、当該低屈折率層の屈折率をより低減するために、中実粒子の屈折率は、電離放射線硬化性樹脂の屈折率よりも小さいことが好ましい。シリカ(SiO)の屈折率は1.42〜1.46であり、電離放射線硬化性樹脂として好ましく用いられるアクリル系樹脂の屈折率1.49〜1.55よりも低い。このため、中実粒子の材料は、シリカ(SiO)を用いることが特に好ましい。
<6.防汚染層>
本発明の防眩フィルムにおいては、低屈折率層の最表面の汚れ防止を目的として防汚染層を設けてもよく、好ましくは低屈折率層の基材フィルムとは反対側の面に防汚染層が設けられることが好ましい。
防汚染剤の具体例としては、分子中にフッ素原子を有する光硬化性樹脂組成物への相溶性が低く、低屈折率層中に添加することが困難とされるフッ素系化合物及び/又はケイ素系化合物、分子中にフッ素原子を有する光硬化性樹脂組成物及び微粒子に対して相溶性を有するフッ素系化合物及び/又はケイ系化合物が挙げられる。
<7.高屈折率層/中屈折率層(屈折率が1.46〜2.00の屈折率層)>
高屈折率層及び中屈折率層は、通常、電離放射線硬化性樹脂と屈折率調整用の粒子とを主に含有する。電離放射線硬化性樹脂としては、ハードコート層と同様のものを用いることができる。また、必要に応じて用いられる光重合開始剤、各種添加剤、形成方法等についてもハードコート層と同様とすればよい。
屈折率調整用の粒子としては、例えば、粒子径が100nm以下の微粒子を挙げることができる。このような微粒子としては、酸化亜鉛(屈折率:1.90)、チタニア(屈折率:2.3〜2.7)、セリア(屈折率:1.95)、スズドープ酸化インジウム(屈折率:1.95)、アンチモンドープ酸化スズ(屈折率:1.80)、イットリア(屈折率:1.87)、ジルコニア(屈折率:2.0)からなる群から選ばれた1種以上を挙げることができる。
屈折率調整用の粒子は、電離放射線硬化性樹脂よりも屈折率が高いものを用いることが好ましい。屈折率は、高屈折率層及び中屈折率層中における屈折率調整用の粒子の含有率によって決まる。すなわち、屈折率調整用の粒子の含有量が多いほど屈折率が高くなるので、電離放射線硬化性樹脂と粒子の構成比率を変えることで、屈折率を1.46〜2.00の範囲で自由に制御することができる。
また、中屈折率層及び高屈折率層は、化学蒸着法(CVD)や物理蒸着法(PVD)等の蒸着法により形成した酸化チタンや酸化ジルコニウムの様な屈折率の高い無機酸化物の蒸着膜としたり、又は、酸化チタンのような屈折率の高い無機酸化物粒子を分散させた塗膜とすることができる。中屈折率層としては、屈折率1.46〜1.80の範囲の光透過層を使用し、また、高屈折率層としては屈折率1.65以上の光透過層を使用することができる。
本発明に係る防眩フィルムは、上記中屈折率層及び/又は高屈折率層を設ける場合は、防眩層の観察者側に低屈折率層を設けていない場合は、防眩層に隣接して透明基材フィルム側に設けることが好ましく、防眩層の観察者側に前記低屈折率層を設けている場合は、当該低屈折率層と防眩層の間に当該中屈折率層及び/又は高屈折率層を設けることが好ましい。さらに中屈折率層及び高屈折率層を設ける場合は、反射性を低減するために、透明基材フィルムに近い位置から中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層を設ける。また、斯かる形態において、さらにハードコート層を設ける場合、当該ハードコート層は、透明基材フィルムの観察者側に隣接した位置に設ける。
<8.添加剤>
上記各層は、更に別の機能を有していてもよく、例えば、帯電防止剤、屈折率調整剤、防汚染剤、硬度調整剤等の機能付加成分を含んでなる組成物により形成されてもよい。機能付加成分は、上記各層のうち、特に表面凹凸層に含有させることが好ましい。
<8−1.帯電防止剤(導電剤)>
上記各層、特に表面凹凸層中に、帯電防止剤を含有させることにより、防眩フィルムの表面における塵埃付着を有効に防止することができる。帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物並びにそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、又は金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマー、若しくはオリゴマー、又は官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物も帯電防止剤として使用できる。
また、前記帯電防止剤の他の例としては、導電性微粒子が挙げられる。当該導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。前記導電性微粒子の平均粒径は、0.1nm〜0.1μmであることが好ましい。斯かる範囲内であることにより、前記導電性微粒子をバインダーに分散した際、ヘイズがほとんどなく、全光線透過率が良好な高透明な膜を形成可能な組成物が得られる。
<8−2.屈折率調整剤>
防眩層に、屈折率調整剤を添加することにより、防眩層表面の反射防止特性を調整できる。当該屈折率調整剤には、低屈折率剤、中屈折率剤、高屈折率剤等が挙げられる。
<8−2−1.低屈折率剤>
低屈折率剤は、その屈折率が防眩層より低いものである。好ましくは、防眩層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率剤の屈折率が1.5未満であり、好ましくは1.45以下で構成されるものが好ましい。
具体的には、低屈折率層の説明において挙げた低屈折率剤を好ましく用いることができる。低屈折率剤を含有させた表面凹凸層の膜厚は、当該層が最外層となり、耐擦傷性や硬度が必要であるため、1μmよりも厚いことが好ましい。
<8−2−2.高屈折率剤/中屈折率剤>
反射防止性をさらに向上させるために、低屈折率層を表面凹凸層表面に設ける場合、高屈折率剤、中屈折率剤を表面凹凸層に含有させてもよい。また、表面凹凸層が最表面となる場合は、高屈折率剤、中屈折率剤を内部散乱層に含有させてもよい。高屈折率剤、中屈折率剤の屈折率は1.46〜2.00の範囲内で設定されてよく、中屈折率剤は、その屈折率が1.46〜1.80の範囲内のものを意味し、高屈折率剤は、その屈折率が1.65〜2.00の範囲内のものを意味する。
斯かる高屈折率剤/中屈折率剤としては、微粒子が挙げられ、その具体例としては、酸化亜鉛(1.90)、チタニア(2.3〜2.7)、セリア(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95)、アンチモンドープ酸化スズ(1.80)、イットリア(1.87)、ジルコニア(2.0)が挙げられる。
本発明は、上記形態に限定されるものではない。上記形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は別途記載しない限り重量部を表す。
下記製造例に従い、表面凹凸層形成用組成物、内部散乱粒子、及び内部散乱層形成用組成物を調整した。尚、透光性微粒子は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、又はシリカのものを透光性微粒子A、チタニアによる球状のものを透光性微粒子Bとした。
<製造例1.表面凹凸層形成用組成物(1)の調製>
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(商品名:PET−30、日本化薬(株)製):42.5重量部
光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):2重量部
シリコーン(レベリング剤):1重量部
PMMA(扁平状透光性微粒子A)(長径4.5μm、短径2.5μm、アスペクト比1.8):12重量部
トルエン:34重量部
上記材料を十分混合し、組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の表面凹凸層形成用組成物(1)を調製した。
<製造例2.表面凹凸層形成用組成物(2)の調製>
透光性微粒子B(チタニア、平均粒径20nm)5.0重量部を加えた以外は、製造例1と同様にして、組成物を調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の表面凹凸層形成用組成物(2)を調製した。
<製造例3.表面凹凸層形成用組成物(3)の調製>
透光性微粒子Aを平均粒径2.5μm、アスペクト比1.0の球状粒子(シリカ)とした以外は、製造例1と同様にして、組成物を調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の表面凹凸層形成用組成物(3)を調製した。
<製造例4.表面凹凸層形成用組成物(4)の調製>
透光性微粒子Aを平均粒径3.5μm、アスペクト比1.0の球状粒子(PMMA)とした以外は、製造例1と同様にして、組成物を調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の表面凹凸層形成用組成物(4)を調製した。
<製造例5.内部散乱粒子(1)(コア−シェル粒子)の調製>
モノマー中にスチレンモノマーを懸濁重合法により重合して、スチレン系のコア部を形成し、さらにアクリル系のモノマー成分同士を懸濁重合法により重合して、コア部の周囲にシェル部(スチレン‐co‐MMA(スチレンとメタクリル酸メチル(MMA)の共重合体)、重量比 スチレン:MMA=70:30、屈折率1.57)を付着形成させて、コア−シェル粒子を得た。
得られたコア−シェル粒子のコア部の屈折率及び粒径、シェル部の屈折率、並びにコア−シェル粒子の粒径を表1に示す。
<製造例6.内部散乱粒子(2)(コア−シェル粒子)の調製>
シェル部をスチレン‐co‐MMA(重量比 スチレン:MMA=50:50、屈折率1.55)とした以外は、製造例5と同様にして、コア−シェル粒子を得た。
<製造例7.微粒子内包型粒子の子粒子分散液の調製>
微粒子酸化チタン(テイカ(株)社製、MT−600B、平均粒径50nm)18.67部、分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)社製、DISPER BYK−163)3.73部、KAYARAD PET−30(日本化薬(株)社製)7.47部、重合開始剤イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.41部を、69.7部のメチルイソブチルケトンに加え、この溶液をビーズミル分散機ZRS(アシザワ・ファインテック(株)社製)にて分散し、微粒子内包型粒子の子粒子分散液を調製した。
<製造例8.内部散乱粒子(3)(微粒子内包型粒子)の調製>
イオン交換水695部、製造例7で調製した子粒子分散液100部、ドデシル硫酸ナトリウム5部、酢酸エチル80部を加え、良く撹拌した。そこに、スチレン‐co‐MMA(重量比 スチレン:MMA=50:50、屈折率1.55)の混合溶液を286部加えた後、得られた混合溶液をTKホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて撹拌速度12000rpmで、2分間撹拌した。その後、耐圧反応容器に移し、40℃まで昇温しながら常圧で脱溶剤することにより、微粒子内包型粒子を得た。得られた微粒子内包型粒子の母粒子の屈折率及び粒径、並びに、子粒子の粒径及び屈折率を表1に示す。
更に、得られた微粒子内包型粒子の体積、及び、内包される子粒子の合計体積は、TEM観察より微粒子内包型粒子と子粒子の平均半径から体積を算出し、更にTEM観察から子粒子の平均粒子数を算出し、子粒子の体積分率{=(子粒子の合計体積/微粒子内包型粒子の体積)×100}を算出した。結果を表1に示す。
<製造例9.内部散乱粒子(4)(微粒子内包型粒子)の調製>
母粒子をスチレン‐co‐MMA(重量比 スチレン:MMA=100:0、屈折率1.60)とした以外は、製造例8と同様にして、微粒子内包型粒子を得た。
<製造例10.外郭付着粒子の子粒子の調製>
耐圧反応容器に、イオン交換水735部、ドデシル硫酸ナトリウム50部、過硫酸アンモニウム5部、炭酸水素ナトリウム10部を仕込み、反応容器内の空気を窒素で置換した後、反応容器を密閉として80℃まで昇温した。ついで、スチレン‐co‐MMA(重量比 スチレン:MMA=30:70、屈折率1.53)200部を2時間かけて滴下した。更に、同温度で2時間熟成し、外郭付着粒子の子粒子を得た。得られた子粒子の平均粒径は50nmであった。
<製造例11.内部散乱粒子(5)(外郭付着粒子)の調製>
製造例8にて得られた微粒子内包型粒子900部に、製造例10で得られた外郭付着粒子の子粒子100部をハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)に充填し、撹拌速度12000rpm、50秒処理することにより、子粒子を付着させた外郭付着粒子を得た。得られた外郭付着粒子の母粒子の屈折率及び粒径、並びに、子粒子の屈折率及び粒径を表1に示す。尚、子粒子の体積分率は、母粒子の18%であった。
<製造例12.内部散乱粒子(6)(外郭付着粒子)の調製>
微粒子内包粒子を製造例9で得られた微粒子内包粒子とした以外は、製造例11と同様にして、微粒子内包型粒子を得た。
<製造例13.内部散乱粒子(7)の調製>
子粒子分散液を添加せず、スチレン‐co‐MMAの屈折率を1.59にした以外は、製造例8と同様にして、内部散乱粒子(7)を調製した。得られた内部散乱粒子(7)の母粒子成分の屈折率及び粒径を表1に示す。
<製造例14.内部散乱層形成用組成物(1)の調製>
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(日本化薬(株)製、屈折率1.51) 65重量部
イソシアヌル酸変性ジアクリレートM215(東亞合成(株)製) 35重量部
ポリメチルメタクリレート(分子量75,000) 10重量部
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 6重量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1重量部
内部散乱粒子(1) 内部散乱粒子(1)/バインダー成分=20%となるように配合量を調節した
シリコーン系レベリング剤 大日精化(株)製 0.045重量部
トルエン 64重量部
シクロヘキサノン 16重量部
上記材料を十分混合し、組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の実施例1に係る内部散乱層形成用組成物(1)を調製した。
<製造例15.内部散乱層形成用組成物(2)の調製>
製造例14において、内部散乱粒子を製造例6の内部散乱粒子(2)とした以外は、製造例14と同様にして、組成物を調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の内部散乱層形成用組成物(2)を調製した。
<製造例16.内部散乱層形成用組成物(3)の調製>
製造例14において、内部散乱粒子を製造例8の内部散乱粒子(3)とし、その配合量が内部散乱粒子(3)/バインダー成分=10%となるように調製した以外は、製造例14と同様にして、組成物を調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の内部散乱層形成用組成物(3)を調製した。
<製造例17.内部散乱層形成用組成物(4)の調製>
製造例14において、内部散乱粒子を製造例9の内部散乱粒子(4)とし、その配合量が内部散乱粒子(4)/バインダー成分=10%となるように調製した以外は、製造例14と同様にして、組成物を調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の内部散乱層形成用組成物(4)を調製した。
<製造例18.内部散乱層形成用組成物(5)の調製>
製造例14において、内部散乱粒子を製造例11の内部散乱粒子(5)とし、その配合量が内部散乱粒子(5)/バインダー成分=10%となるように調製した以外は、製造例14と同様にして、組成物を調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の内部散乱層形成用組成物(5)を調製した。
<製造例19.内部散乱層形成用組成物(6)の調製>
製造例14において、内部散乱粒子を製造例12の内部散乱粒子(6)とし、その配合量が内部散乱粒子(6)/バインダー成分=10%となるように調製した以外は、製造例14と同様にして、組成物を調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の内部散乱層形成用組成物(6)を調製した。
<製造例20.内部散乱層形成用組成物(7)の調製>
製造例14において、内部散乱粒子を製造例13の内部散乱粒子(7)とし、その配合量が内部散乱粒子(7)/バインダー成分=10%となるように調製した以外は、製造例14と同様にして、組成物を調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30質量%の内部散乱層形成用組成物(7)を調製した。
<製造例21.低屈折率層形成用組成物の調製>
下記組成の成分を混合して低屈折率層形成用組成物を調製した。
中空シリカ微粒子(中空シリカ微粒子20重量%のメチルイソブチルケトン:粒径50nm、触媒化成工業(株)製、商品名:スルーリア) :15.0重量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 1.2重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA) 0.4重量部
イルガキュア127(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1重量部
X−22−164E(商品名、信越化学工業(株)製) 0.15重量部
メチルイソブチルケトン 83.5重量部
<実施例1.防眩フィルムの作製>
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム(株)製、商品名:TF80UL、厚さ80μm)を透明基材フィルムとして用い、内部散乱層形成用組成物(1)を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#8を用いて乾燥膜厚8μmとなるように塗布し、70℃のオーブン中で2分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が130mJになるよう照射して塗膜を硬化させ内部散乱層を形成し、当該内部散乱層上に、表面凹凸層形成用組成物(1)を前記内部散乱層形成用組成物(1)と同様の方法で塗布、乾燥し、表面凹凸層を形成し、当該表面凹凸層上に、前記低屈折率層形成用組成物を前記内部散乱層形成用組成物(1)と同様の方法で塗布、乾燥し、低屈折率層を形成し、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μm、低屈折率層の膜厚が0.1μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例2.防眩フィルムの作製>
実施例1において、表面凹凸層形成用組成物(1)を、表面凹凸層形成用組成物(2)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例3.防眩フィルムの作製>
実施例1において、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(2)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例4.防眩フィルムの作製>
実施例1において、表面凹凸層形成用組成物(1)を、表面凹凸層形成用組成物(2)とし、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(2)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例5.防眩フィルムの作製>
実施例1において、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(3)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例6.防眩フィルムの作製>
実施例1において、表面凹凸層形成用組成物(1)を、表面凹凸層形成用組成物(2)とし、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(3)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例7.防眩フィルムの作製>
実施例1において、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(4)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例8.防眩フィルムの作製>
実施例1において、表面凹凸層形成用組成物(1)を、表面凹凸層形成用組成物(2)とし、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(4)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例9.防眩フィルムの作製>
実施例1において、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(5)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例10.防眩フィルムの作製>
実施例1において、表面凹凸層形成用組成物(1)を、表面凹凸層形成用組成物(2)とし、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(5)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例11.防眩フィルムの作製>
実施例1において、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(6)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例12.防眩フィルムの作製>
実施例1において、表面凹凸層形成用組成物(1)を、表面凹凸層形成用組成物(2)とし、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(6)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例13.防眩フィルムの作製>
実施例1において、内部散乱層形成用組成物(1)を、内部散乱層形成用組成物(7)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例14.防眩フィルムの作製>
実施例1において、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムの代わりに、透明基材フィルムとして厚さ80μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例15.防眩フィルムの作製>
実施例1において、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムの代わりに、透明基材フィルムとして厚さ80μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<実施例16.防眩フィルムの作製>
実施例1において、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムの代わりに、透明基材フィルムとして厚さ80μmのアクリル系樹脂フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<比較例1.防眩フィルムの作製>
表面凹凸層形成用組成物(1)を、表面凹凸層形成用組成物(3)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<比較例2.防眩フィルムの作製>
表面凹凸層形成用組成物(1)を、表面凹凸層形成用組成物(4)とした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<比較例3.防眩フィルムの作製>
表面凹凸層の凸部膜厚を10μmとし、表面凹凸層の凸部と凹部の膜厚差(凸部の膜厚−凹部の膜厚)を6.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
<比較例4.防眩フィルムの作製>
表面凹凸層の凹部間の間隔(ピッチ)を60μmとした以外は、実施例1と同様にして、表面凹凸層の膜厚が5.5μm、内部散乱層の膜厚が8.0μmの防眩フィルムを作製した。
上記、各実施例、及び各比較例で得られた防眩フィルムについて、下記1乃至3の評価を行った。その結果、並びに防眩フィルムの表面凹凸層、及び内部散乱層の膜厚を表2に示す。
評価1 正面コントラスト低下率
(偏光板の作製)
得られた防眩フィルムを55℃、2規定の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で2分間、けん化した後、片面に上記透明基材フィルム(TF80UL)を貼り合わせた偏光板に、防眩フィルムの塗工面でない側を偏光子表面に貼合し、偏光板(A)を作製した。
(正面コントラスト(C/R)低下率測定)
ソニー製 BRAVIA 27インチのパネルの液晶セル表面側に偏光板(A)を、液晶セル裏面側には、偏光子両側にトリアセチルセルロースを貼合した偏光板をクロスニコル配置になるように貼合し、トプコンテクノハウス社製BM−5輝度計を用いてコントラストを測定した。
評価2 最低反射率
得られた防眩フィルムをクロスニコルの偏光板に張り合わせた後、島津製作所(株)製分光光度計(MPC−3100)を用いて、380〜780nmの波長領域における、積分球を用いた反射率を測定し、この間における最低反射率を測定した。
評価3 クラック性
得られた防眩フィルムを直径0.5cmの金属ロールに巻きつけたときのクラック発生の有無を目視により確認し、以下の基準にて評価した。
評価基準
評価○:クラックなし
評価×:クラックあり
評価4 表面状態
得られた防眩フィルムをクロスニコルの偏光板に張り合わせた後、蛍光灯存在下で表面状態を観察した。
評価○:異状なし
評価×:白味を帯びている、又は防眩性なし
表2より、得られた防眩フィルムのギラツキを同程度にして上記の評価1乃至3を行ったところ、実施例13のように、最低反射率が低く、明所コントラストに優れた防眩フィルムが得られた。さらに、内部散乱層に、コア−シェル粒子、微粒子内包粒子、又は外郭付着粒子を含有させた実施例1乃至12では、最低反射率が低く、明所コントラストに優れ、且つ、コントラストの低下も抑えられた防眩フィルムが得られた。
扁平状の透光性微粒子ではなく、球状の透光性微粒子を用いた比較例1及び2では、実施例と同程度にギラツキを抑えると、防眩フィルムの表面の状態が白味を帯びて観察された。
表面凹凸層の凸部の膜厚を厚くし、表面凹凸形状を鋭くした比較例3では、実施例と同程度にギラツキを抑えると、防眩フィルムの表面の状態が白味を帯びて観察された。
表面凹凸層の凸部間の間隔(ピッチ)を50μmよりも長い60μmとした比較例4では、所望の防眩性が得られなかった。
Figure 2009080256
Figure 2009080256
図1は、コア−シェル粒子の屈折率変化の一例を示した図である。 図2は、コア−シェル粒子の屈折率変化の他の一例を示した図である。 図3は、コア−シェル粒子の屈折率変化の他の一例を示した図である。 図4は、コア−シェル粒子の屈折率変化の他の一例を示した図である。 図5は、コア−シェル粒子の屈折率変化の他の一例を示した図である。 図6は、コア−シェル粒子の一例を示した模式図である。 図7は、コア−シェル粒子の他の一例を示した模式図である。 図8は、微粒子内包型粒子の一例を模式的に示した断面図である。 図9は、外郭付着粒子の一例を模式的に示した断面図である。 図10は、本発明に係る防眩フィルタの層構成の一例を模式的に示した断面図である。 図11は、本発明に係る防眩フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図12は、本発明に係る防眩フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図13は、本発明に係る防眩フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図14は、本発明に係る防眩フィルタの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。
符号の説明
1 粒子中心部
2 第1シェル部始点
3 第2シェル部始点
10 防眩フィルム
20 透明基材フィルム
30 防眩層
40 内部散乱層
50 表面凹凸層
60 扁平状透光性微粒子
70 低屈折率層
80 ハードコート層
90 高屈折率層
100 観察者
110 微粒子内包型粒子
111 母粒子
112 子粒子
120 外郭付着粒子
121 母粒子
122 子粒子

Claims (10)

  1. 透明基材フィルムの一面側に、表面が凹凸形状を有する表面凹凸層を含む防眩層を設けた防眩フィルムであって、
    前記表面凹凸層は、長径が1.0μm以上20μm以下、短径が0.5μm以上10μm以下であり、当該長径/短径の比(アスペクト比)が1.0より大きく5.0以下である扁平状の透光性微粒子を含有し、
    当該表面凹凸層の凹凸形状の凸部の膜厚は、前記透光性微粒子の短径+5μm以下、当該防眩層の凸部と凹部の膜厚差(凸部の膜厚−凹部の膜厚)は5μm以下、且つ、隣接する凹部間の距離は3μm以上50μm以下であることを特徴とする、防眩フィルム。
  2. 前記防眩層は、前記透明基材フィルムと前記表面凹凸層の間に、内部散乱粒子を含有する内部散乱層を有することを特徴とする、請求項1に記載の防眩フィルム。
  3. 前記内部散乱層の膜厚は、2μm以上15μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の防眩フィルム。
  4. 前記内部散乱粒子は、粒径が1μm以上10μm以下であり、且つ、屈折率が異なる部分を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  5. 前記内部散乱粒子は、コア−シェル粒子、微粒子内包型粒子、又は外郭付着粒子であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  6. 前記透光性微粒子は、アクリル系微粒子からなることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  7. 前記表面凹凸層の上に更に低屈折率層が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  8. 前記表面凹凸層は、酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛、アルミナよりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機微粒子を含有し、且つ、当該無機微粒子の平均粒径は、5nm以上100nm以下であることを特徴とする、請求項7に記載の防眩フィルム。
  9. 可視光領域における最低反射率が2.5%以下であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
  10. 前記透明基材フィルムは、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とすることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
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