JP4792305B2 - 反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、反射防止フィルム、該反射防止フィルムを用いた偏光板および画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する様ディスプレイの最表面に配置される。
このような反射防止フィルムは、一般的には、支持体上に適切な膜厚、且つ支持体より低屈折率の低屈折率層を形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。また反射防止フィルムはディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性が要求される。厚さ100nm前後の薄膜において、高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、および下層への密着性が必要である。
材料の屈折率を下げるには、(1)フッ素原子を導入する、(2)密度を下げる(空隙を導入する)という手段があるがいずれも皮膜強度や界面の密着性が低下し、耐擦傷性が低下する方向であり、低い屈折率と高い耐傷性の両立は困難な課題であった。
ある程度の皮膜強度を高める方法として、特許文献1、2に記載されているようにフッ素含有ゾルゲル膜を用いる方法があるが、(1)硬化に長時間加熱を要し、製造の負荷が大きい、(2)鹸化液(アルカリ処理液)耐性が無く、TAC面を鹸化処理する場合に、該鹸化処理を反射防止フィルム製膜後にできない、などの大きな制約が発生してしまう。
特許文献3〜5には、含フッ素ポリマー中にポリシロキサン構造を導入することにより皮膜表面の摩擦係数を下げ耐傷性を改良する手段が記載されている。該手段は耐傷性改良に対してある程度有効であるが、本質的な皮膜強度および界面密着性が不足している皮膜に対して該手法のみでは十分な耐傷性が得られない。
特許文献6には、ポリシロキサン構造を含有させることに加えて、架橋反応に関与しうる官能基を導入したパーフルオロオレフィン系の含フッ素ポリマーを用いで反射防止フィルムを形成する手法が記載されている。該手法によれば、屈折率を実用的に使用できる範囲で低く抑えつつ耐傷性を改良できるが、好ましいとされるパーフルオロオレフィン部分の構成比率では、耐傷性が十分とは言えない。
また、特許文献7には、含フッ素ポリマーと無機微粒子を併用することにより、皮膜強度及び、界面密着性を改良し、耐傷性を向上させる手段が記載されている。
一方、反射防止フィルムに望まれる性能として、耐傷性の他に防汚性が上げられる。前述の含フッ素ポリマー中にポリシロキサン構造を導入する方法は、ポリシロキサン構造が表面に局在化するような分布が層内でとられるため、表面自由エネルギーを下げ、防汚表面を形成するのに有利である。しかし、前述の方法では、耐傷性と防汚性を両立する条件については記載されておらず、多くの場合、この2つの性能を両立できることは困難であ
った。
特開2002−265866号公報 特開2002−317152号公報 特開平11−189621号公報 特開平11−228631号公報 特開2000−313709号公報 特開2003−222702号公報 WO−2004−017105A1
本発明の目的は、十分な反射防止性を有しながら耐傷性が向上し、且つ防汚性を満足させる反射防止フィルムを提供することにある。更には、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、ある特定の構造を有する含フッ素ポリマーを低屈折率層形成に用いることで、層自体の屈折率の上昇を抑えながら、しかも長時間の熱硬化や鹸化処理の制約を受けることなく、皮膜強度を飛躍的に向上できることを見出した。
また、この構造を有する含フッ素ポリマーと、無機微粒子、多官能モノマーなどを併用することにより、更に好適に低屈折層を作成できることを見出した。
本発明によれば、下記構成の反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置が提供され、上記目的が達成される。
<1>
透明支持体上に、含フッ素ポリマー、少なくとも1分子中に3官能以上の電離放射線で硬化する官能基を有するモノマー、及び分子量が300以上1000以下である光ラジカル重合開始剤を含有する組成物により形成された低屈折率層を最外層に有する反射防止フィルムであって、
該含フッ素ポリマーが下記一般式1で表され、主鎖が炭素原子のみからなる共重合体であり、
該低屈折率層中に、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下にある、屈折率が1.17〜1.40である中空シリカ微粒子を少なくとも一種含み、
該中空シリカ微粒子は、エチレン性不飽和基を有するシランカップリング剤で表面処理されている、ことを特徴とする反射防止フィルム。
一般式1
Figure 0004792305
一般式1において、Rf 1 は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表わし、Rf 2 はエーテル結合を有していてもよい、炭素数1〜30の直鎖、分岐または脂環構造を有する含フッ素アルキル基を表わし、Aは(メタ)アクリロイル基を有する構成単位を表し、Bは任意の構成成分を表す。R 1 およびR 2 は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。pは10〜500の整数を表す。R 3 〜R 5 は互いに独立に、置換または無置換の1価の有機基または水素原子を表わし、R 6 は水素原子またはメチル基を表わす。L 2 は炭素数1〜20の任意の連結基または単結合を表す。a〜dはそれぞれポリシロキサンを含有する重合単位を除く各構成成分のモル分率(%)を表わし、それぞれ10≦a+b≦55、10≦a≦55、0≦b≦45、10≦c≦50、0≦d≦40の関係を満たす値を表す。eはポリシロキサンを含有する重合単位の、他の成分全体の質量に対する質量分率(%)を表わし、0.01≦e≦20の関係を満たす。
<2>
前記低屈折率層中に前記中空シリカ微粒子の他に平均粒子径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下にある粒子を少なくとも一種含むことを特徴とする上記<1>に記載の反射防止フィルム。
<3>
前記中空シリカ微粒子の他に前記低屈折率層中に含まれる粒子が、粒子内に空孔を持たないシリカ微粒子であることを特徴とする上記<2>に記載の反射防止フィルム。
<4>
前記含フッ素ポリマーの数平均分子量が、2万以上であることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
<5>
偏光子と偏光子の両側を保護する2枚の保護フィルムを有してなる偏光板であって、上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光子の2枚の保護フィルムのうちの一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
<6>
上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の反射防止フィルムまたは上記<5>に記載の偏光板が、ディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
本発明は上記<1>〜<6>に関するものであるが、参考のためその他の事項(例えば下記1〜13に記載の事項など)についても記載した。
1.透明支持体上に、含フッ素ポリマーを含有する組成物により形成された低屈折率層を最外層に有する反射防止フィルムであって、該含フッ素ポリマーが下記一般式1で表され、主鎖が炭素原子のみからなる共重合体であることを特徴とする反射防止フィルム。
一般式1
Figure 0004792305
一般式1において、Rf1は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表わし、Rf2
エーテル結合を有していてもよい、炭素数1〜30の直鎖、分岐または脂環構造を有する含フッ素アルキル基を表わし、Aは架橋反応に関与し得る反応性基を有する構成単位を表し、Bは任意の構成成分を表す。R1およびR2は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。pは10〜500の整数を表す。R3〜R5は互いに独立に、置換または無置換の1価の有機基または水素原子を表わし、R6は水素原子またはメチル基を表わす。L2は炭素数1〜20の任意の連結基または単結合を表す。a〜dはそれぞれポリシロキサンを含有する重合単位を除く各構成成分のモル分率(%)を表わし、それぞれ10≦a+b≦55、10≦a≦55、0≦b≦45、10≦c≦50、0≦d≦40の関係を満たす値を表す。eはポリシロキサンを含有する重合単位の、他の成分全体の質量に対する質量分率(%)を表わし、0.01≦e≦20の関係を満たす。
2.前記低屈折率層中に、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下にある無機微粒子を少なくとも一種含むことを特徴とする上記1に記載の反射防止フィルム。
3.前記無機微粒子が中空のシリカ微粒子であり、屈折率が1.17〜1.40であることを特徴とする上記2に記載の反射防止フィルム。
4.前記含フッ素ポリマーに含まれる架橋反応に関与し得る反応性基が、(メタ)アクリロイル基であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
5.前記低屈折率層を形成する組成物が、更に、少なくとも1分子中に3官能以上の電離放射線で硬化する官能基を有するモノマーを含むことを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
6.前記含フッ素ポリマーの数平均分子量が、2万以上であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
7.前記透明支持体と低屈折率層の間に、少なくとも一層のハードコート層を有することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
8.前記少なくとも1層のハードコート層が光拡散層であり、かつ該光拡散層が、ゴニオフォトメーターの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度が0.01〜0.2%であることを特徴とする上記7に記載の反射防止フィルム。
9.前記透明支持体と低屈折率層の間に、少なくとも一層の高屈折率層を有し、該高屈折率層が二酸化チタンを主成分とし、かつコバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する無機微粒子を含む、屈折率が1.50〜2.40の層であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルム。
10.偏光子と偏光子の両側を保護する2枚の保護フィルムを有してなる偏光板であって、上記1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光子の2枚の保護フィルムのうちの一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
11.偏光子の2枚の保護フィルムのうち、反射防止フィルム以外のフィルムが、透明支持体上に光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであり、該光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる負の複屈折率を有する層であり、該ディスコティック構造単位の円盤面が該透明支持体面に対して傾いており、かつ該ディスコティック構造単位の円盤面と該透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化していることを特徴とする上記10に記載の偏光板。
12.上記1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは上記10〜11のいずれかに記載の偏光板が、ディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
13.上記10または11に記載の偏光板を少なくとも1枚有することを特徴とするTN、STN、VA、IPS、またはOCBのモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置。
本発明の反射防止フィルムは、十分な反射防止性を有しながら耐傷性および防汚性に優れている。更に、本発明の反射防止フィルムを備えた画像表示装置及び本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板を備えた画像表示装置は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高い。
本発明の実施の一形態として好適な反射防止フィルムの基本的な構成を図面を参照しながら説明する。
図1(a)に模式的に示される断面図は、本発明の反射防止フィルムの一例であり、反射防止フィルム1は、透明支持体2、ハードコート層3、防眩ハードコート層4、そして低屈折率層5の順序の層構成を有する。防眩性ハードコート層4には、マット粒子6が分散しており、防眩性ハードコート層4のマット粒子6以外の部分の素材の屈折率は1.50〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層5の屈折率は1.20〜1.49の範囲にあることが好ましい。
本発明におけるハードコート層は、このように防眩性を有するハードコート層でもよいし、防眩性を有しないハードコート層でもよく、1層でもよいし、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。また、ハードコート層は無くてもよい。従って、図1に示したハードコート層3及び防眩性ハードコート層4は必須ではないが、フィルム強度付与のためにこれらのハードコート層のいずれかが塗設されることが好ましい。低屈折率層は
最外層に塗設される。
図1(b)に模式的に示される断面図は、本発明の反射防止フィルムの他の一例であり、反射防止フィルム1は、透明支持体2、ハードコート層3、中屈折率層7、高屈折率層8、低屈折率層(最外層)5の順序の層構成を有する。透明支持体2、中屈折率層7、高屈折率層8および低屈折率層5は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
図1(b)のような層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記数式(I)、高屈折率層が下記数式(II)、低屈折率層が下記数式
(III)をそれぞれ満足することがより優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを
作製できる点で好ましい。
数式(I)
(hλ/4)×0.7<n1d1<(hλ/4)×1.3
数式(I)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n1は中屈折率層の屈
折率であり、そして、d1は中屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(n
m)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(II)
(iλ/4)×0.7<n2d2<(iλ/4)×1.3
数式(II)中、iは正の整数(一般に1、2または3)であり、n2は高屈折率層の屈
折率であり、そして、d2は高屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(n
m)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(III)
(jλ/4)×0.7<n3d3<(jλ/4)×1.3
数式(III)中、jは正の奇数(一般に1)であり、n3は低屈折率層の屈折率であり、そして、d3は低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、
380〜680nmの範囲の値である。
図1(b)のような層構成では、中屈折率層が下記数式(IV)、高屈折率層が下記数式(V)、低屈折率層が下記数式(VI)をそれぞれ満足することが、特に好ましい。
ここで、λは500nm、hは1、iは2、jは1である。
数式(IV)
(hλ/4)×0.80<n1d1<(hλ/4)×1.00
数式(V)
(iλ/4)×0.75<n2d2<(iλ/4)×0.95
数式(VI)
(jλ/4)×0.95<n3d3<(jλ/4)×1.05
なお、ここで記載した高屈折率、中屈折率、低屈折率とは層相互の相対的な屈折率の高低をいう。また、図1(b)では、高屈折率層を光干渉層として用いており、極めて優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる。
[低屈折率層]
本発明の低屈折率層について以下に説明する。
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49であり、好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。
さらに、低屈折率層は下記数式(VII)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(VII)
(mλ/4)×0.7<n1d1<(mλ/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、上記数式(VII)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(VII)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
本発明の反射防止フィルムにおける低屈折率層は、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)側鎖に架橋反応に関与し得る反応性基を有する重合単位、(c)側鎖に一般式6で表わされるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなるグラフト部位を有する重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、かつ、主鎖が炭素原子のみからなる含フッ素ポリマーの中のある特定の含フッ素ポリマーを含有する組成物を透明支持体上に塗設、硬化させることによって形成される。以下、該含フッ素ポリマーについて詳しく説明する。
一般式6
Figure 0004792305
一般式6中、R1,R2は同一であっても異なっていても良く、アルキル基またはアリール基を表わす。アルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基およびフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。pは2〜500の整数を表わし、好ましくは5〜350であり、特に好ましくは8〜250の場合である。
側鎖に一般式6であらわされるポリシロキサン構造を有するポリマーは、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、エポキシ基、水酸基、カルボキシル、酸無水物基等の反応性基を有するポリマーに対して、相対する反応性基(例えばエポキシ基、酸無水物基に対してアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。本発明ではシリコンマクロマーの重合によって導入する方法がより好ましい。
シリコンマクロマーとしては、含フッ素オレフィンとの共重合が可能な重合性基を有しているものであれば良く、好ましくは一般式2〜5のいずれかで表わされる構造である。
Figure 0004792305
一般式2〜5においてR1、R2およびpは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲もそれらと同じである。R3〜R5はそれぞれ独立に、置換または無置換の1価の有機基または水素原子を表わし、炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、オクチル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、炭素数6から20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が特に好ましい。R6は水素原子またはメチル基を表わす。L1は単結合または炭素数1〜20の任意の連結基を表わし、置換または無置換の、直鎖、分岐または脂環式のアルキレン基、または置換または無置換のアリーレン基が挙げられるが、好ましくは、炭素数1〜20の無置換の直鎖アルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基またはプロピレン基である。これらの化合物は例えば特開平6−322053号記載の方法で合成される。
一般式2〜5で表される化合物はどれも本発明に好ましく用いることができるが、これらの中でも特に含フッ素オレフィンとの共重合性の観点から一般式2、3または4で表わされる構造のものが好ましい。上記のポリシロキサン部位を含む重合単位の、共重合体中の他の成分全体の質量に対する質量分率(%)として、0.01〜20質量%を占めることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%の場合であり、特に好ましくは、0.5〜5%の場合である。
以下に本発明に有用な側鎖にポリシロキサン部位を含む重合体グラフト部位の重合単位の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
S−(36) サイラプレーン FM−0711 (チッソ(株)製)
S−(37) サイラプレーン FM−0721 (同上)
S−(38) サイラプレーン FM−0725 (同上)
本発明の低屈折率層を構成する含フッ素ポリマーに含まれる含フッ素ビニルモノマー重合単位の構造には特に制限はないが、含フッ素オレフィンであることが好ましく、パーフルオロオレフィンであることがより好ましい。
パーフルオロオレフィンとしては、炭素数3〜7のものが好ましく、重合反応性の観点からはパーフルオロプロピレンまたはパーフルオロブチレンが好ましく、入手性の観点からパーフルオロプロピレンであることが特に好ましい。
ポリマー中のパーフルオロオレフィンの含率は10〜55mol%である。素材の低屈折率化のためにはパーフルオロオレフィンの導入率を高めることが望まれるが、重合反応性の点で一般的な溶液系ラジカル重合反応では50〜70mol%程度の導入が限界でありこれ以上は困難である。本発明においては、該含率は10%〜55mol%であることが好ましく、40〜55mol%であることが特に好ましい。
本発明では低屈折率化のために下記M1で表わされる含フッ素ビニルエーテルを共重合させてもよい。該共重合成分は、0〜45mol%の共範囲で重合体中に導入されていて良いが、好ましくは0〜30mol%であり、特に好ましくは0〜20mol%の場合である。
特に、低屈折率層の皮膜硬度を高めに設定すべき場合(例えば、低屈折率フィラーを低屈折率層に多量に含み、層の屈折率をバインダーポリマーで下げるよりも、むしろ皮膜強度を上げる方が好適な場合などに該当する)、下記M1で表される含フッ素ビニルエーテルで表される共重合成分の導入率は0mol%が好ましい。これは、該共重合成分を除くことで、後述する架側鎖に架橋反応に関与し得る反応性基を有する重合単位の導入率を上げることができるからである。
Figure 0004792305
M1中Rf2は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表わし、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜15の含フッ素アルキル基であり、直鎖(例えば-CF2CF3,-CH2(CF2)4H,-CH2(CF2)8CF3,-CH2CH2(CF2)4H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF3)2,CH2CF(CF3)2,CH(CH3)CF2CF3,CH(CH3)(CF2)5CF2H等)を有していても良く、また脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)を有していても良く、エーテル結合(例えばCH2OCH2CF2CF3、CH2CH2OCH2C4F8H、CH2CH2OCH2CH2C8F17、CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)を有していても良い。
M1で表わされる上記単量体は、例えば、Macromolecules,32(21),7122(1999)、特開平2−721号等に記載のごとくビニロキシアルキルスルフォネート、ビニロキシアルキルクロライド等の離脱基置換アルキルビニルエーテル類に対して、塩基触媒存在下含フッ素アルコールを作用させる方法、国際出願特許第9205135号記載のごとく含フッ素アルコールとブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類をパラジウム触媒存在下混合してビニル基の交換を行う方法、米国特許第3420793号記載のごとく含フッ素ケトンとジブロモエタンをフッ化カリウム触媒存在化で反応させた後アルカリ触媒により脱HBr反応を行う方法等により合成することができる。
以下にM1で表わされる構成成分の好ましい例を示す。
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
本発明の低屈折率層を構成する含フッ素ポリマーに含まれる架橋反応性基を有する構成単位の構造には特に制限はないが、含フッ素オレフィンとの重合反応性の観点からビニル基を有する化合物であることが好ましく、ビニルエーテル類またはビニルエステル類であることがより好ましい。
上記架橋反応に関与し得る反応性基としては例えば、活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β―ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等)、酸無水物、ラジカル種による付加または重合が可能な不飽和2重結合を有する基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基等)、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が挙げられる。
これらのうちで不飽和2重結合を有する基は水酸基を有するポリマーを合成した後、(メタ)アクリル酸クロライド等の酸ハライド、(メタ)アクリル酸無水物等の酸無水物、或いは(メタ)アクリル酸を作用させる方法、3―クロロプロピオン酸エステル部位を有
するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素する方法等の定法によって形成できる。また同様に他の官能基もモノマー段階から導入されていても良いし、水酸基等の反応性基を有するポリマーを合成後に導入しても良い。
上記の架橋反応性基の中では、水酸基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基または加水分解性シリル基が好ましく、エポキシ基または(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基が最も好ましい。これらの架橋反応性基を有する共重合成分の導入量は、10〜50mol%の範囲であり、20〜50mol%の範囲であることが好ましく、25〜50mol%の範囲であることが特に好ましい。以下に架橋反応に関与し得る重合単位の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004792305
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Figure 0004792305
Figure 0004792305
上記以外の共重合成分としては、硬度、基材への密着性、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができる。
例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類を例として挙げることができる。これらの共重合成分の導入量は、0〜40mol%の範囲であり、0〜30mol%の範囲であることが好ましく、10〜20mol%の範囲であることが特に好ましい。
上記の中でも、特に好ましいポリマーは一般式1で表わされる形態であり、本発明にかかる低屈折率形成組成物は当該一般式1で表わされるポリマーを必須に含む。
以下、一般式1で表わされる含フッ素ポリマーについて説明する。
Figure 0004792305
一般式1においてはRf1は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表わす。-CF2
CF(Rf1)−で表わされる部位を構成するモノマーに付いては、パーフルオロオレフ
ィンの例として上記した説明があてはまる。一般式1中Rf2は含フッ素ビニルエーテル
(式M1で表される化合物)の説明のところで述べた定義と同じであり、好ましい範囲も同じである。Aは架橋反応性基を有する構成単位、Bは任意の構成単位を表わし、上記で説明した通りである。R1〜R6はそれぞれ一般式2〜5の説明で上記した通りである。L2は任意の連結基または単結合を表し、炭素数1〜20の連結基であることが好ましく、より好ましくは、ポリマー鎖側を*で表わすと*−COO−(L1)−、*−O―(L1)−、*−OCO−(L1)−なる連結であり、L1については一般式2〜5の説明で上記した通りである。pは好ましくは10〜500であり、より好ましくは30〜300である。
a〜dはそれぞれポリシロキサンを含有する重合単位を除く各構成成分のモル分率(%)を表わし、それぞれ10≦a+b≦55(好ましくは40≦a+b≦55)、10≦a≦55(より好ましくは40≦a≦55、更に好ましくは50≦a≦55)、0≦b≦45(より好ましくは0≦b≦30)、10≦c≦50(より好ましくは20≦c≦50)、0≦d≦40(より好ましくは0≦d≦30)の関係を満たす。eはポリシロキサンを含有する重合単位の、ほかの4成分全体の質量に対する質量分率(%)を表わし、0.01≦e≦20(好ましくは0.1≦e≦10、より好ましくは0.5≦e≦5、最も好ましくは1≦e≦3)の関係を満たす。但し、a+b+c+d=100である。
本発明の低屈折率層を構成する含フッ素ポリマーの数平均分子量は5000以上50万以下が好ましく、より好ましくは1万以上50万以下であり、特に好ましくは2万以上30万以下である。
数平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
表1および表2に本発明で有用なポリマーの具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表1、2には重合単位の組み合わせとして表記する。
シリコーンを含む重合単位を除いた成分の中のモル分率(%)および、シリコーンを含む重合単位の質量分率(%)を示す。
Figure 0004792305
Figure 0004792305
本発明に用いられる一般式1で表される含フッ素ポリマーの合成は種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって行なうことができる。また回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で合成することができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
シリコンマクロマーの共重合反応性が悪い場合には適宜モノマーを滴下または分割して添加しても良い。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は0.01〜10MPa、好ましくは0.05〜5MPa、より好ましくは0.1〜2MPa程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーは反応液をそのまま本発明の用途に用いることもできるし、再沈殿や分液操作によって精製して用いることもできる。
本発明の低屈折率層形成組成物には適宜硬化触媒、あるいは硬化剤等が配合されても良く、公知のものを使用することができる。これらは、一般式1で表わされるポリマー中の架橋反応性部位の硬化反応性に応じて選択される。
本発明で特に好ましく用いることができるのは、本発明で用いられる含フッ素モノマーの架橋反応性に関与する反応性基が、ラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基であるものである。この場合には組成物にラジカル重合開始剤を添加することが好ましく、ラジカル重合開始剤としては、熱の作用によりラジカルを発生するもの(熱ラジカル発生剤)、あるいは光の作用によりラジカルを発生するもの(光ラジカル発生剤)の何れの形態も可能であるが、保存性と反応性の両立の観点から光ラジカル発生剤を用いて光照射により架橋反応を行うことが特に好ましい。
光の作用によりラジカル重合を開始する化合物を使用する場合は、活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が行われる。このような光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ-ジメチルフェニルケト
ン、1−ヒドロキシ-ジメチル-p-イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾ
イル-4'-メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−
ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4'-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3'、4、4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイ
ルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類の例にはS-トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(3-Br-4-ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-トリハロメチル-5-(p-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールが含まれる。
無機錯体の例にはビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6−ジフルオ
ロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI-403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE
01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S,BP-100,BDMK,CTX,BMS,2-EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等が好ましい例として挙げられる。
本発明において、低屈折率層の硬化を進めるためには、分子量が高く塗膜から揮散しにくい化合物が好ましく、例えばオリゴマー型の重合開始剤が好ましい。オリゴマー型放射線重合開始剤としては、放射線照射により光ラジカルを発生する部位を有するものであれば、特に制限はない。揮散抑制のために、重合開始剤の分子量は250以上10,000以下が好ましく、更に好ましくは300以上10,000以下である。より好ましくは、その質量平均分子量が400〜10,000である。質量平均分子量が400以上であれば、揮散性が小さいので好ましく、10,000以下であれば、得られる硬化塗膜の硬度が十分なものとなるので好ましい。オリゴマー型放射線重合開始剤の具体例としては、下記一般式(5)に示すオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]を挙げることができる。
一般式(5):
Figure 0004792305
上記一般式(5)中、R51は、一価の基、好ましくは一価の有機基、qは2〜45の整数をそれぞれ示す。
上記一般式(5)に示すオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]の市販品としては、フラテツリ・ランベルティ社製商品名「エザキュアKIP150」(CAS−No.163702−01−0、q=4〜6)、「エザキュアKIP65LT」(「エザキュアKIP150」とトリプロピレングリコールジアクリレートの混合物)、「エザキュアKIP100F」(「エザキュアKIP150」と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの混合物)、「エザキュアKT37」、「エザキュアKT55」(以上、「エザキュアKIP150」とメチルベンゾフェノン誘導体の混合物)、「エザキュアKTO46」(「エザキュアKIP150」、メチルベンゾフェノン誘導体、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドの混合物)、「エザキュアKIP75/B」(「エザキュアKIP150」と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1オンの混合物)等を挙げることができる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチ
ルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わ
せて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられ
る。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、有機アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等
、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
上記したように、上記一般式1で表わされる化合物がラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する場合には、他の硬化剤を併用しなくても良いが、硬化剤としてこれらの不飽和結合と反応し得る多官能の不飽和モノマー(例えば、ジペンタエリスロトールヘキサ(メタ)アクリレート等、多価のアルコールから誘導される(メタ)アクリレートモノマー)を添加することも好ましい。特に低屈折率層に低屈折率無機フィラーを多量に導入し、バインダーポリマーの屈折率を下げる必要性が小さい場合など、低屈折率層の架橋密度を上げ、皮膜強度をより強くするために多官能の不飽和モノマーを併用することが好ましい。
この場合、添加する多官能の不飽和モノマーは1分子中に2官能以上の電離放射線で硬化する官能基を有するものが好ましく、3官能以上有するものが更に好ましく用いられる。多官能の不飽和モノマーの例は後述する皮膜形成バインダーに例としてあげるモノマーなどが好適に用いることができる。又、無機フィラーを添加する場合に置いては、該多官能の不飽和モノマーは、無機フィラーの分散性安定性を付与するため、分子内に水酸基を含むものが好ましく使用される。
また、低屈折率化の目的のためには、分子内にフッ素原子を含むモノマーを用いることが好ましく、具体的例としては、例えば特許公開公報 特開2002−145936号請求項に記載の化合物(1)〜(4)を用いることができる。
これらの硬化剤を添加する場合も他の硬化剤と同様に、上記含フッ素共重合体100質量部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、含フッ素共重合体100質量部当り、5.0〜100質量部程度の添加量が好ましい。
例えば一般式1のポリマーが加水分解性シリル基を硬化反応性部位として含有する場合には、ゾルゲル反応の触媒として公知の酸あるいは塩基触媒を配合することができ、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの無機ブレンステッド酸類、シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機ブレンステッド酸類、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等のルイス酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基類、トリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミンなどの有機塩基類などを挙げることができる。
これらの硬化触媒の添加量は触媒の種類、硬化反応性部位の違いによってまちまちであるが、一般的には低屈折率層形成組成物全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%程度である。
また、低屈折率層形成組成物の保存安定性の観点から光の作用によって酸あるいは塩基等の硬化促進剤発生する化合物を使用しても良い。これらの化合物を使用する場合には、
活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が可能になる。
光の作用により酸を発生する化合物としては、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号等に種々の例が記載されておりこれら公知の化合物を使用することができる。
また、この際特開昭61−258852号等に記載のごとく後述する有機シリケート(各種アルコキシシラン加水分解部分縮合物)等を硬化剤として併用しても良い。これらの硬化剤を使用する場合には、上記含フッ素共重合体100部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、含フッ素共重合体100部当り、5.0〜100質量部程度の添加量とすることが好ましい。
一方硬化反応性部位が水酸基等の活性水素を有する基である場合には硬化剤を配合することが好ましく、かかる硬化剤としては、例えばポリイソシアネート系、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物などを挙げることができる。
ポリイソシアネート系としては、m−キシリレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、メチルシリルトリイソシアネートなどのシリルイソシアネート化合物、およびこれらイソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステル皮膜などとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
多塩基酸またはその無水物としては、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタル酸、無水フタル酸などの芳香族多価カルボン酸またはその無水物やマレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸などの脂肪族多価カルボン酸またはその無水物などが例示される。
本発明において、各成分の配合量は適宜選定することが可能であるが、上記含フッ素共重合体100質量部当り、硬化剤が0.5〜300質量部程度の量が好ましく、特に、含フッ素共重合体100質量部当り、硬化剤を5.0〜100質量部程度とすることが好ましい。また含フッ素ポリマーとこれらの硬化剤をあらかじめ部分的に縮合させても良い。
上記の硬化剤とともに硬化反応を促進させるため、必要に応じて適宜硬化促進触媒を用いることができる。これらの例としては、加水分解性シリル基の硬化触媒として前記した塩基または酸触媒を挙げることができ、また前記したとおり光の作用によってこれらの触媒を生成する化合物も好ましく使用することができる。これらの添加量の好ましい範囲も加水分解性シリル基の硬化触媒として前記した範囲と同様である。
ポリマーの架橋反応性部位がカチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等)を有する場合にも硬化触媒として上記同様の酸触媒を添加することができる。
この際特に他の硬化剤を併用しなくても良いが、これらのカチオン重合性基と反応可能な多官能化合物(例えば、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸、マレイン酸、コハク酸等の多塩基、上記カチオン重合性基を一分子中に複数有する化合物)を硬化剤として併用することもできる。
これらの硬化剤を添加する場合、上記含フッ素共重合体100質量部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、含フッ素共重合体100質量部当り、5.0
〜100質量部程度の添加量が好ましい。
本発明の低屈折率層形成組成物は、一般式1で表わされるポリマーを適当な溶剤に溶解して作製される。この際一般式1で表わされるポリマーの濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
上記溶剤としては、一般式1で表わされるポリマーを含む組成物が沈殿を生じることなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく2種類以上の溶剤を併用することもできる。好ましい例としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
次に本発明の低屈折率層中には、膜強度あるいは塗布性の改良のために少なくとも一種類以上、無機微粒子を含有することが好ましい。
無機微粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上100%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
無機微粒子の粒径を上記範囲とすることで、耐擦傷性の改良効果が認められ、低屈折率層表面に微細な凹凸ができることなく、黒の締まりといった外観、積分反射率が良好に保たれる。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましく、該中空シリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(VIII)で表される空隙率xは
(数式VIII)
x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%
である。
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17以上の粒子が好ましい。
なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなった。
中空微粒子の製造方法としては、例えば特開2001−233611号公報に記載されている。また、多孔質粒子の製造方法は、例えば特開2003−327424号、同2003−335515号、同2003−226516号、同2003−238140号等の各公報に記載されている。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
上述のように前記無機微粒子としては、平均粒径が上述のように低屈折率層の厚みの30〜100%であり、中空構造からなり、屈折率が上述のように1.17〜1.40であるものが特に好ましく用いられる。また、中空微粒子の他に平均粒子径が低屈折率層の厚みの30〜100%である粒子を用いることもできる。更には、平均粒子サイズの異なる中空微粒子を併用することも好ましい。
無機微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明の反射防止フィルムを構成する低屈折率層、および必要に応じて設けられるハードコート層のうちの少なくとも1層は、その層を形成する塗布液中にオルガノシラン化合物や、オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物(いわゆるゾル成分
)を含有することが耐擦傷性の点で好ましい。このゾル成分は、無機微粒子、無機フィラーが添加しているすべての層に添加されることが、有機/無機マトリックスを形成させ膜強度を向上させるため好ましい。このゾル成分は、塗布液を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成し上記層のバインダーとなる。また、該硬化物が重合性不飽和結合を有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物は、下記一般式[A]で表されるものが好ましい。
一般式[A]:(R10)m−Si(X)4-m
上記一般式[A]において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のア
ルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基
が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等 )、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましく、中でも、下記一般式[B]で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式[B]
Figure 0004792305
上記一般式[B]において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカル
ボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは*-COO-**、*-CONH-**又は*-O-**を表し、単結合、*-CO
O-**および*-CONH-**が好ましく、単結合および*-COO-**が更に好ましく、*-C
OO-**が特に好ましい。*は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を
表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有する無置換のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有する無置換のアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有する無置換のアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は一般式[A]と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式[A]と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式[A]、一般式[B]の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式[A]、一般式[B]で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 0004792305
Figure 0004792305
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
本発明で用いるオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物について詳細を説明する。
オルガノシランの加水分解反応および/または縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ま
しく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが
成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec −ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜90%の範囲であり、好ましくは20%〜70%の範囲である。
オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明においては、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5 (式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti又はAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物の存在下で、25〜100℃で撹拌することにより加水分解を行うことが好ましい。
金属キレート化合物は、一般式R3 OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を
示す)で表されるアルコールとR4COCH2 COR5 (式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示
す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物は、一般式 Zr(OR3)p1(R4COCHCOR5)p2、Ti(OR3)q1(R4COCHCOR5)q2、およびAl(OR3)r1(R4COCHCOR5)r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec −ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec −ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチル アセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
金属キレート化合物は、前記オルガノシラン化合物に対し、好ましく0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%の割合で用いられる。0.01質量%未満では、オルガノシラン化合物の縮合反応が遅く、塗膜の耐久性が悪化するおそれがあり、一方50質量%を超えると、オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物と金属キレート化合物を含有してなる組成物の保存安定性が悪化するおそれがあり好ましくない。
本発明に用いられるハードコート層乃至低屈折率層の塗布液には上記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含む組成物に加えて、β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R4 COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を構成するR4およびR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4およびR5と同様である。
このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec-ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチ
ルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
上記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の含有量は、比較的薄膜である表面層の場合は少なく、厚膜である下層の場合は多いことが好ましい。低屈折率層のような表面層の場合は含有層(添加層)の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
低屈折率層以外の層への添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液をハードコート層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
本発明において、無機微粒子、無機フィラーの凝集、沈降を抑制する目的で、各層を形成するための塗布液に分散安定化剤を併用することも好ましい。分散安定化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、ポリアミド、リン酸エステル、ポリエーテル、界面活性剤および、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を使用することができる。特にシランカップリング剤が硬化後の皮膜が強いため好ましい。分散安定化剤としてのシランカップリング剤の添加量は特に制限されるものではないが、例えば、無機フィラー100質量部に対して、1質量部以上の値とするのが好ましい。また、分散安定化剤の添加方法も特に制限されるものではないが、予め加水分解したものを添加することもできるし、あるいは、分散安定化剤であるシランカップリング剤と無機フィラーとを混合後、さらに加水分解および縮合する方法を採ることができるが、後者の方がより好ましい。
表面処理は、無機化合物または有機化合物の表面処理剤を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO,Co,Coなど)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al,Al(OH)など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO,Zr(OH)など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiOなど)、鉄を含有する無機化合物(Feなど)などが含まれる。なかでも、コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)、Zr(OH)が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特にシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、およびその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、のどのテトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基を有する有機化合物である。ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。また、含フッ素ポリマー中での分散安定性を向上させる観点からは、フッ素原子を含む表面処理剤が好ましい。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもでき、アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
無機粒子がシリカである場合、カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
これら表面処理剤の使用量に特制限はないが、無機粒子に対して1〜100質量%が好ましく、更に好ましくは1〜50質量%、最も好ましくは2〜30質量%である。
本発明に好ましく用いることのできる表面処理剤および表面処理用の触媒の具体的化合物は、例えば、WO2004/017105号に記載のオルガノシラン化合物および触媒を挙げることができる。
防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好まし
くは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられ
る。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X−22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば-CF2CF3,-CH2(CF2) 4H,-CH2 (CF2)8CF3,-CH2CH2(CF2)4H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF3)2,CH2CF(CF3)2,CH(CH3)CF2CF3,CH(CH3)(CF2)5CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い( 例えばCH2OCH2CF2CF3,CH2CH2OCH2C4F8H、CH2CH2OCH2CH2C8F17,CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
[高・中屈折率層]
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体と低屈折率層の間に、高・中屈折率層を有することが好ましい。以下、高・中屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
本発明の反射防止フィルム高・中屈折率層の屈折率は、1.50〜2.40の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは1.50〜1.80の範囲にある。
本発明の高・中屈折層には、皮膜形成バインダーを少なくとも含み、更に層の屈折率を調節するため、および硬化収縮を低減するために無機フィラーを含有することができる。
<皮膜形成バインダー>
本発明において、高・中屈折率層等の各層を形成するための皮膜形成組成物の主たる皮膜形成バインダー成分として、エチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが、皮膜強度、塗布液の安定性、塗膜の生産性、などの点で好ましい。
主たる皮膜形成バインダーとは、無機フィラーを除く皮膜形成成分のうち10質量%以上をしめるものをいう。好ましくは、20質量%以上100質量%以下、更に好ましくは30質量%以上95%以下である。
皮膜形成バインダーは、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。更に上記飽和炭化水素鎖は架橋構造を有していることが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
皮膜をより高屈折率とするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。尚、本明細書においては、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を表す。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、前述の光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
本発明においてはポリエーテルを主鎖として有するポリマーを使用することもできる。多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、
メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するモノマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
<高・中屈折率層用無機フィラー>
高屈折率層には、層の屈折率を高めるため、および硬化収縮を低減するために、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
高屈折率層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2
よびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリ
ング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、微フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
高屈折率粒子のなかでも、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するTiOを主成分とする無機粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明におけるTiOを主成分とする粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
TiOを主成分とする粒子の一次粒子の重量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
TiOを主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
TiOを主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiOが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明のフィルムの耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
本発明のTiOを主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
これらの無機フィラーの添加量は、高屈折率層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜70質量%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明の高屈折率層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
本発明の反射防止フィルムは高屈折率層よりも屈折率が低く、支持体より屈折率が高い、中屈折率層を設けることも好ましく、中屈折率層は高屈折率層に用いられる高屈折率無機フィラーや高屈折率モノマーの使用量を調節することにより、高屈折率層と同様に形成することができる。
[ハードコート層・防眩性ハードコート]
本発明の反射防止フィルムには、ハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層は、防眩性を持たないハードコート層でもよいし、防眩性ハードコート層でも本発明には好適に使用できる。まず防眩性について述べる。
<防眩性>
防眩性は、通常、裏側を黒塗りしたフィルム試料を官能評価して判断されるが、客観性を持たせるため、光学測定値と相関をとることも行われる。相関性は塗布処方と層構成で異なり、例えばヘイズ、透過画像鮮明性、散乱角度分布等とある一定の関係がみられることが多い。本発明の反射防止フィルムでは透過画像鮮明性と相関がみられることが好ましい。
引っ掻き傷の影響を低減し、かつ画像不鮮明を回避するためには、透過画像鮮明性が10%乃至99%が好ましい。
本発明におけるハードコート層が防眩性であるとき(防眩性ハードコート層であるとき)には透過画像鮮明性が10%乃至65%未満が好ましく、10%乃至55%がより好ましく、15%乃至50%が最も好ましい。また本発明におけるハードコート層が防眩性でないとき(防眩性を有さないハードコート層であるとき)には透過画像鮮明性が65%乃至99%が好ましく、70%乃至99%がより好ましく、80%乃至99%が最も好ましい。
<ハードコートの構成>
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために用いられる、防眩性ではない、いわゆる平滑なハードコート層であり、図1及び2に示すように、透明支持体の表面、特に、透明支持体と前記防眩性ハードコート層、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。多官能モノマーの具体例としては、特開2003−4903号公報に記載の多官能モノマー類が挙げられる。
また、ハードコート層は、一次粒子の平均粒径が200nm以下の無機フィラーを含有することが好ましい。ここでいう平均粒径は質量平均径である。一次粒子の平均粒径を200nm以下にすることで透明性を損なわないハードコート層を形成できる。
無機フィラーとしては、高屈折率層で例示する無機フィラーに加え、二酸化珪素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛などの微粒子が挙げられる。好ましくは、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛である。
無機フィラーの一次粒子の好ましい平均粒径とハードコート層中における実際の分散粒子の平均粒径は、前記高屈折率層と同様である。ハードコート層における無機フィラーの含有量は、ハードコート層の全質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μm、特に好ましくは0.7〜5μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層の形成において、電離放射線硬化性の化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成される場合の酸素濃度は、前記高屈折率層と同様である。
<防眩性ハードコート層の構成>
次に、防眩性ハードコート層について以下に説明する。
防眩性ハードコート層は、ハードコート性を付与するためのバインダー、防眩性を付与するためのマット粒子を含有し、更に高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のために必要に応じて無機フィラーを含有してなる。
バインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
バインダーポリマーをより高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、特開2003−4903号に記載の多官能モノマーを用いることが好ましい。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
前記防眩性ハードコート層は、バインダーポリマーの形成材料であるエチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット剤粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
光ラジカル開始剤としては、前述の光ラジカル開始剤が好ましく使用することができる。市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光ラジカル開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光ラジカル開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、有機アゾ化合物として2−アゾービスーイソブチロニトリル、2−アゾービスープロピオニトリル、2−アゾ−ビスーシクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
多官能エポキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット剤粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させて防眩性ハードコート層を形成することもできる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および
活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
前記マット剤粒子は、防眩性付与の目的で用いられるものであり、平均粒径が好ましくは0.5〜10μm、更に好ましくは0.5〜7.0μmである。
マット剤粒子の配合量は、10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700
mg/m2となる量とするのが好ましい。粒径、含有量は防眩性を左右するため、層膜厚
と目標防眩性の程度で調整される。
前記マット剤粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物
の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、メタクリル粒子、架橋メタクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット剤粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できるが、単分散であることが好ましい。また、粒子径の異なる2種以上のマット剤粒子を併用してもよい。
マット剤粒子の粒度分布はコールターカウンター法で測定された分布を粒子数分布に換算する。
防眩性ハードコート層には、層の屈折率および弾性率を高めるために、前記のマット剤粒子に加えて、少なくとも1種の金属の酸化物からなり、分散された状態での平均粒径が200nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは60nm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。無機フィラーとしては、特開2003−4903号公報において防眩層に含有させる無機微粒子として具体的に例示されているものを用いることが好ましい。一次粒子の平均粒径は1〜200nmが好ましく、2〜100nmがなお好ましく、3〜50nmがさらに好ましい。
無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、防眩性ハードコート層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、このような無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明の防眩性ハードコート層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。
また、前記マット剤粒子と前記バインダーとの屈折率の差(マット剤粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、0.03〜0.2が好ましく、より好ましくは0.05〜0.15である。この差を0.03以上とすることにより、防眩性が効率よく発現され、0.2以下とすることにより、白味が増加しすぎることなくコスト増加も抑制できる。
前記バインダーの屈折率は、1.48〜1.8であるのが好ましい。また、前記マット剤粒子の屈折率は、1.3〜1.8であるのが好ましい。
バインダーの屈折率は、アッベ屈折計(ATAGO製)、エリプソメータ(日本分光(
株))などで測定できる。
屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよく、選択内容は予め実験的に容易に知ることができる。
防眩性ハードコート層の膜厚は1〜10μmが好ましく、2〜6μmがより好ましい。
<光拡散層>
また、本発明の反射防止フィルムには光拡散層を設けることも好ましい。本発明者等は、ゴニオフォトメーターで測定される散乱光の強度分布が視野角改良効果に相関することを確認した。すなわち、バックライトから出射された光が視認側の偏光板表面に設置された光拡散フィルムで拡散されればされるほど視野角特性がよくなる。しかし、あまり拡散されすぎると、後方散乱が大きくなり、正面輝度が減少する、あるいは、散乱が大きすぎて画像鮮明性が劣化する等の問題が生じる。従って、散乱光強度分布をある範囲に制御することが必要となる。そこで、鋭意検討の結果、所望の視認特性を達成するには、散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対して、特に視認角改良効果と相関ある30°の散乱光強度が0.01%〜0.2%であることが好ましく、0.02%〜0.15%が更に好ましく、0.03%〜0.1%が特に好ましい。
散乱光プロファイルは、作成したフィルムについて、(株)村上色彩技術研究所製の自動変角光度計GP−5型を用いて測定できる。
光拡散層は本発明の反射防止フィルムの層分類では、透過画像鮮明度または屈折率値によって、防眩性ハードコート層または高屈折率層の少なくともどちらかに該当することができる。
[帯電防止層]
本発明の反射防止フィルムには帯電防止のために導電性材料を有する透明帯電防止層を設けても良い。透明帯電防止層は独立に新たに設けてもよいが、防眩性ハードコート層や光拡散層、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層に導電材料を含有させて帯電防止機能を一緒に付与させてもよい。特にハードコート層と透明支持体の間に帯電防止層を塗設することが好ましい。
導電材料としては、金属の酸化物または窒化物の微粒子から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが含まれる。中でも酸化錫および酸化インジウムが特に好ましく、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が含まれる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。アンチモン−酸化錫、インジウム−酸化錫、アンチモン酸亜鉛が好ましい。
これら以外では金属微粒子、イオン性高分子化合物、ポリオキシアルキレン系化合物、カチオン系界面活性剤等も好ましく用いられる。耐電防止能の程度は帯電防止層の表面比抵抗値が1011Ω/□以下(25℃、60%RH)で、1010Ω/□以下であればより好ましく、帯電防止層のヘイズは20%以下であるのが好ましい。
[その他の層]
本発明の反射防止フィルムは、防汚層、オーバーコート層、接着層、下塗り層、シールド層、滑り層、防湿層など、他の層を別途設けることもできる。これらの層は、前述の皮膜形成バインダー、含フッ素ポリマー、無機フィラー、オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物、シリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤、及び/または公知のポリマー、ラテックス、界面活性剤等を適宜組み合わせて構成することがで
きる。
[表面改質剤]
本発明においては、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、反射防止フィルムを構成する各層、または特定の層形成組成物にフッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を添加することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。
面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマー(下記一般式(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位)との共重合体が有用である。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
Figure 0004792305
一般式イにおいてR11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
Figure 0004792305
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH3)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系の界面活性剤中に用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フルオロ脂肪族基含有共重合体の各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフルオロ脂肪族基含有共重合体の好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフルオロ脂肪族基含有共重合体の好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フルオロ脂肪族基含有共重合体の添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼす。
以下、一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーからなるフッ素系の界面活性剤の具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 0004792305
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しかしながら、前記のようなフッ素系の界面活性剤を、低屈折率層の下層となる層(例えば防眩性ハードコート層等であり、以下防眩性ハードコート層を例に説明する)に使用することにより、防眩性ハードコート層表面にF原子を含有する官能基が偏析することにより防眩性ハードコート層の表面エネルギーが低下し、前記防眩性ハードコート層上に低屈折率層をオーバーコートしたときに反射防止性能が悪化する問題が生じる。これは低屈折率層を形成するために用いられる硬化性組成物の濡れ性が悪化するために低屈折率層に目視では検知できない微小なムラが悪化するためと推定される。
このような問題を解決するためには、フッ素系の界面活性剤の構造と添加量を調整することにより、防眩性ハードコート層の表面エネルギーを好ましくは20mN・m-1〜50mN・m-1に、より好ましくは30mN・m-1〜40mN・m-1に制御することが効果的であることを見出した。前記のような表面エネルギーを実現するためには、X線光電子分光法で測定したフッ素原子由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるF/Cが0.1〜1.5であることが必要である。
或いは、上層を塗布する時には上層を形成する溶媒に抽出されるようなフッ素系の界面活性剤を選択することで、下層表面(=界面)に偏在することがなくなり上層と下層の密着性を持たせることで、高速塗布においても面状の均一性を保ち、かつ耐擦傷性の強い反射防止フィルムを提供できる。そのような素材の例は下記一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマー(下記一般式ニ)との共重合体である。
(iii)下記一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式ハ
Figure 0004792305
一般式ハにおいてR21は水素原子またはハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。X2は酸素原子、イオウ原子または−N(R22)−を表し、酸素原子または−N(R22)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。mは1以上6以下の整数(1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。)、nは1以上18以下の整数(4〜12がより好ましく、6〜8が更に好ましい。)を表す。R22は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。Xは酸素原子が好ましい。
またフッ素系の界面活性剤に一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーが2種類以上構成成分として含まれていても良い。
(iv)前記(iii)と共重合可能な下記一般式ニで示されるモノマー
一般式ニ
Figure 0004792305
一般式ニにおいて、R23は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、
メチル基がより好ましい。Y2は酸素原子、イオウ原子または−N(R25)−を表し、酸
素原子または−N(R25)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R25は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。
24は置換基を有しても良い炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基、置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。炭素数1〜12の直鎖、分岐、または環状のアルキル基、または総炭素数6〜18の芳香族がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐、または環状のアルキル基が更に好ましい。
以下、一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーに相当する繰り返し単位を含むフッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
また防眩性ハードコート層上に低屈折率層をオーバーコートする時点で表面エネルギーの低下を防げば、反射防止性能の悪化が防げる。防眩性ハードコート層塗布時にはフッ素系ポリマーを用いて塗布液の表面張力を下げて面状均一性を高め、高速塗布による高生産性を維持し、防眩性ハードコート層塗布後にコロナ処理、UV処理、熱処理、鹸化処理、溶剤処理といった表面処理手法を用いて、特に好ましいのはコロナ処理であるが、表面自由エネルギーの低下を防ぐことにより、低屈折率層塗布前の防眩性ハードコート層の表面エネルギーを前記範囲に制御することでも目的を達成することができる。
また、本発明の各層を形成する為の塗布組成物中に、チクソトロピー剤を添加しても良い。チクソトロピー剤としては、0.1μm以下のシリカ、マイカ等があげられる。これら添加剤の含有量は、通常、その他の構成物質の合計を100質量部としたとき、1〜10質量部程度とするのが好適である。
<透明支持体>
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、代表的には富士写真フイルム社製TAC−TD80U,TD80ULなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィンが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
セルロースアシレートは、単層または複数の層からなる。単層のセルロースアシレートは、特開平7−11055号等で開示されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作成され、後者の複数の層からなるセルロースアシレートは、公開特許公報の特開昭61−94725号、特公昭62−43846号等で開示されている、いわゆる共流延法により作成される。すなわち、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムからなる支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
前記のような、セルロースアシレートを溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし地球環境や作業環境の観点から、溶剤はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶剤中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。
前記のような種々のセルロースアシレートフィルム(トリアセチルセルロースなどからなるフィルム)およびその製造法については発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行)に記載されている。
セルロースアシレートフィルムの厚みとしては40μm〜120μmが好ましい。ハンドリング適性、塗布適性等を考慮すると80μm前後が好ましいが、近年の表示装置の薄手化の傾向から、偏光板の薄手化のニーズが大きく、偏光板薄手化の観点では40μm〜60μm前後が好ましい。このような薄手のセルロースアシレートフィルムを本発明の反射防止フィルムの透明支持体として用いる場合には、セルロースアシレートフィルムに直接塗布する層の溶媒、膜厚、架橋収縮率等を最適化することにより前記のハンドリング、塗布適性等の問題を回避することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
[塗布液の調整]
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
防眩性ハードコート層などの、低屈折率層を直接その上に形成する層形成塗布液中には、直接その上に形成される低屈折率層の乾燥膜厚(50nm〜120nm程度)に相当する異物を概ね全て(90%以上を指す)除去できるろ過をすることが好ましい。低屈折率層の下層を防眩性ハードコートとする場合においては、層中に添加されるマット剤が低屈折率層の膜厚と同等以上であるため、前記ろ過は、マット剤以外の全ての素材を添加した中間液に対して行うことが好ましい。また、前記のような粒径の小さな異物を除去可能なフィルターが入手できない場合には、少なくとも直接その上に形成される層のウエット膜厚(1〜10μm程度)に相当する異物を概ね全て除去できるろ過をすることが好ましい。このような手段により、直接その上に形成される層の点欠陥を減少することができる。
[塗布]
次に、各層を形成するための塗布液をエクストルージョン法(ダイコート法)、マイクログラビア法等の塗布方法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。その後、光照射および/または加熱して、層を形成するためのモノマーや硬化性樹脂を硬化する。これにより透明支持体に各層が形成される。
本発明の反射防止フィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、低屈折率層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20ml/m2以下)で好ましく用いることができるダイコーターについて、以
下に説明する。
<ダイコーターの構成>
図2は本発明において好ましく用いられるスロットダイを用いたダイコーター(塗布装置)の断面概略図である。
コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、例えば図2に示すような略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状
に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
次に図3を参照して本発明の反射防止フィルムの製造に好適に用いられる塗布装置と従来の塗布装置とを比較して説明する。
図3は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は本発明のスロットダイ13(図2の拡大図)を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、本発明のスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは30μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上80μm以下、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。下流側リップのランド長さILOが30μmよりも短い場合は、先端リップのエッジあるいはランドが欠けやすく、塗膜にスジが発生しやすくなり、結果的には塗布が不可能になる。また、下流側の濡れ線位置の設定が困難になり、塗布液が下流側で広がりやすくなるという問題も発生する。この下流側での塗布液の濡れ広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながることが従来より知られている。一方、下流側リップのランド長さILOが100μmよりも長い場合は、ビードそのものを形成することができないために、薄層塗布を行うことは不可能である。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間GLとは、下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
次に、図4を参照して上記塗布工程全般について説明する。
図4は、本発明を実施した塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。ウェブWの進行方向側とは反対側に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間にはそれぞれ隙間GB、GS が存在する。図5及び図6は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。サイドプレートとバックプレートは図5のようにチャンバー本体と一体のものであってもよいし、図6のように適宜隙間を変えられるようにチャンバーにネジ40cなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB、GS と定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブWとの隙間GB とは、減圧チャンバー40を図4のようにウェブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブWまでの隙間を示す。
バックプレート40aとウェブWとの隙間GB をスロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GL よりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GLが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェブWの間の隙間GB は100μm以上500μm以下が好ましい。
<材質、精度>
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内とすることが好ましい。
また、スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップのウェブ走行方向における長さを30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足できない。したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布を実現するためには、先端リップのウェブ進行方向側のランドの前記長さ及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組み合わせ、つまり隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップとバックアップロールの真直度を出す。
<塗布速度>
上記の様なバックアップロール及び先端リップの精度を達成することにより、本発明で好ましく用いられる塗布方式は高速塗布時における膜厚の安定性が高い。さらに、上記塗布方式は前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。本発明の反射防止フィルムの様な低塗布量の塗布液に対して、上記塗布方式は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。他の塗布方式でも塗布は可能であるが、ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難である。上記ダイコ−ターによる塗布を用い、25m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
<ウエット塗布量>
低屈折率層を形成する際には、透明支持体上に直接、或いは他の層を介してウエット塗布膜厚として1〜10μmの範囲で塗布組成物を塗布するのが好ましく、2〜5μmの範囲で塗布されるのがより好ましい。
[乾燥]
低屈折率層は、透明支持体(以下、「基材フィルム」ともいう)上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送される。その際の乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される
溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後、乾燥ゾーン内で基材フィルムの塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと基材フィルムとの温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
[硬化]
溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化する。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。更に表面硬化を促進する為に窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下する必要がある際には、酸素濃度0.01%〜5%が好ましく、幅方向の分布は酸素濃度で2%以下が好ましい。
また、防眩性ハードコート層などの防眩層および低屈折率層を有する反射防止フィルムの場合には、防眩層の硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に本発明の低屈折率層を設けて電離放射線および/または熱により低屈折率層を硬化した際に下層の防眩層の硬化率が低屈折率層を設ける前よりも高くなると、防眩層と低屈折率層との間の密着性が改良され、好ましい。
前記のようにして製造された本発明反射防止フィルムは、これを用いて偏光板を作成することにより液晶表示装置等の画像表示装置に用いることができる。この場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。本発明の反射防止フィルムは、偏光板における偏光子を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
本発明の反射防止フィルムを2枚の偏光子の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、前記の反射防止フィルムを、低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光子と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
[鹸化処理]
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lであ
る。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の反射防止層を有する表面と反対の表面が親水化される。 反射防止フィルムの透明支持体の親水化された表面を偏光子と接着させて使用
する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光子との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光子との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、反射防止膜の受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を反射防止膜を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の反射防止フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
(3)反射防止層をラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、低屈折率層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
(4)低屈折率層下層形成後にアルカリ液に浸漬する方法
反射防止フィルムが透明支持体上に低屈折率層を含めて二層以上有し、低屈折率層の下層となる層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、低屈折率層下層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に該下層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には下層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに反射防止層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して低屈折率層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、透明支持体上の構成層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、トリアセチルセルロースフィルムの層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから層を形成することで対処できる。また、該層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
以下に、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置について説明する。
[偏光板]
一般的に、偏光板は、偏光子と偏光子の両側を保護する2枚の保護フィルムとを有してなる。本発明の好ましい偏光板は、偏光子の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方として、本発明の反射防止フィルムを有する。偏光板用保護フィルムは、前記のように、反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光子と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が10度〜50度の範囲にあることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、反射防止機能、耐擦傷性能、および防汚性に優れた偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、後述する透明支持体上に光学異方性層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムを偏光子の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、さらに、液晶表示装置の明室での視認性やコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる偏光板を作製できる。
[光学補償層]
上記光学補償フィルムは、透明支持体上に光学異方性層を含んでなる光学補償層を有する。光学補償フィルムの透明支持体には、本発明の反射防止フィルムの前記透明支持体を用いることができる。偏光板に光学補償層(位相差層)を設けることにより、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償層としては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層を有し、該ディスコティック化合物と透明支持体とのなす角度が透明支持体からの距離(深さ方向)に伴って変化していることを特徴とする光学補償層が好ましい。
該角度は該ディスコティック化合物からなる光学異方性層の透明支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償層を有する光学補償フィルムを偏光子の保護フィルムとして用いる場合、偏光子と貼り合わせる側の表面(透明支持体側表面)が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
[偏光子]
偏光子としては公知の偏光子や、偏光子の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長
尺の偏光子から切り出された偏光子を用いてもよい。偏光子の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光子は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光子で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
[画像表示装置]
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の反射防止フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の反射防止フィルムは、偏光子の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。特に、大型液晶テレビ等の用途として、VA、IPS、OCB等で好ましく用いることができ、中小の精細度の低い表示装置用途であれば、TN、STN等にも好ましく用いることができる。大型液晶テレビ等の用途としては、表示画面の対角が20インチ以上であり、精細度がXGA以下(縦横比3:4の表示装置において1024×768以下)であるものに対して、特に好ましく用いることができる。
本発明の反射防止フィルムは、実質的に内部ヘイズがないため、20インチで精細度がXGA(縦横比3:4の表示装置において1024×768)を超えるものに対してはギラツキが許容レベルを超える為、ギラツキを重視する場合には好ましくない。また、ギラツキの程度は画素の大きさと表面の防眩フィルムの表面凹凸形状との関係で発生するものであるため、表示装置の大きさが30インチになれば精細度がUXGA(縦横比3:4の表示装置において1600×1200)以下、40インチならば精細度がQXGA(縦横比3:4の表示装置において2048×1536)以下まで好ましくもちいることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の
方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
以下に実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。尚、本実施例において「部」とは「質量部」を示すものである。
<合成例>
含フッ素共重合体(P−2)の合成
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40g、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7g、過酸化ジラウロイル0.49g、およびサイラプレーンFM−0721(チッソ(株)製)0.97gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)27.5gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は8.5kg/cm2であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.8kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量のヘキサンを用いて洗浄して残存モノマーを除去した。乾燥後主鎖にポリジメチルシロキサン構造が2.2質量%導入されたヘキサフルオロプロピレン/ヒドロキシエチルビニルエーテルの1/1(モル比)の下記共重合体(a−2)の21gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N-ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後減圧濃縮し、得られたポリマー溶液をヘキサンで再沈殿させることにより含フッ素共重合体(P−2)を18g得た。得られたポリマーの数平均分子量は3.1万であった。
Figure 0004792305
(数字はモル比を表し、FM−0721はサイラプレーンFM−0721由来の重合単位を表す。a=2.2質量%)尚、本発明にかかる他の含フッ素ポリマーも同様にして合成できる(aはポリシロキサンを含有する重合単位の、ほかの成分全体の質量に対する質量分率(%)である)。
比較化合物a−3の合成
サイラプレーンFM−0721を添加せず、過酸化ジラウロイルを0.55g添加したこと以外はP-2の合成と同様にして、下記比較化合物a-3を合成した。ポリマーの屈折率は1.421であった。
Figure 0004792305
[無機微粒子(C−1)の調製]
テトラエトキシシラン(TEOS、SiO2濃度28質量%)360gとメタノール530gを混合し、この混合液に25℃において、イオン交換水100gとアンモニア水(28%アンモニア含有)をそれぞれ滴下し、24時間攪拌し熟成した。オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換して固形分濃度20質量%の無機微粒子の分散液を調製した。透過電子顕微鏡観察により多孔質の粒子であることが確認された。
このようにして得た多孔質の粒子の分散液100.0gに対してイオン交換水を900g及びエタノール800gを加えた混合液を30℃に加温した後、テトラエトキシシラン(SiO2濃度28質量%)360gと28%アンモニア水626gを添加し、粒子表面にテトラエトキシシランの加水分解重縮合物でシリカ外殻層を形成した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5重量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の無機微粒子(C−1)の分散液を調製した。
平均粒子サイズは40nm、屈折率は1.30であった。
[無機微粒子(C−2)の調製]
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル90gとイオン交換水1710gとを混合して反応母液を調製し、95℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.5質量%のケイ酸ナトリウム水溶液24,900gと、Al23として0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液36,800gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を91℃に保持した。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23コア粒子の分散液(A)を調製した。(第1調製工程)
次いで、このコア粒子の分散液(A)500gを採取し、イオン交換水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)2,100gを
添加してコア粒子表面にシリカ保護膜を形成した。得られたシリカ保護膜を有するコア粒子の分散液を、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%に調整したのち、コア粒子の分散液500gにイオン交換水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行ったのち、pH3の塩酸水溶液10Lとイオン交換水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、粒子前駆体分散液を調製した。(第2調製工程)
上記粒子前駆体分散液1500gと、イオン交換水500gおよびエタノール1,750gとの混合液を30℃に加温した後、テトラエトキシシラン(SiO228質量%)70gと28%アンモニア水626gを速度を制御しながら添加し、粒子前駆体表面にテトラエトキシシランの加水分解重縮合物でシリカ外殻層を形成することによって、外殻層内部に空洞を有する粒子を作製した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5質量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ微粒子ゾル(空孔含有無機微粒子)(C−2)の分散液を調製した。(第3調製工程)
平均粒子サイズは40nm、屈折率は1.30であった。
[無機酸化物粒子(C−3)の調製]
多孔質でないシリカ粒子として市販の平均粒子径50nmのシリカ粒子分散物(IPA−ST−L 日産化学(株)製、シリカ固形分濃度30質量%、溶媒イソプロピルアルコール)を、シリカ固形分濃度が20質量%になるようにイソプロピルアルコールで希釈した。
[ゾル液aの調製]
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(商品名、ケロープEP−32、ホープ製薬(株)製)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分の濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
[分散液A−2の調製]
中空シリカ微粒子ゾル(C−2)の500部(シリカ濃度20質量%、エタノール分散液)に対して、ほぼシリカの含量が一定となるようにイソプロピルアルコールを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。このようにして得られたシリカ分散液(シリカ濃度20%)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート(商品名、ケロープEP-32、ホープ製薬(株)製)1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液(A−2)のイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
他の無機微粒子(C−1)、(C−3)について、分散液(A−2)の調製に準じて処理を行い、対応する分散液(A−1)、(A−3)を調製した。
<実施例1>
[低屈折率層用塗布液(Ln1〜20)の調製]
下記表3に示す各成分を混合し、塗布液全体の固形分濃度が5質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して塗布液(Ln1〜20)を調製した。
表中、( )内は各成分の質量部を表わす。IRG907はチバガイギー(株)製光ラジカル重合開始剤イルガキュア907(商品名)を表す。
Figure 0004792305
[ハードコート層用塗布液Aの調製]
市販の紫外線硬化型樹脂(KAYARAD DCPA-20、日本化薬(株)製)17
0質量部を、メチルエチルケトン135質量部、シクロヘキサノン15質量部の混合溶媒で希釈した。更に重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を10質量部添加し、混合攪拌した。続いて、オルガノシラン化合物であるKBM−5103(信越化学工業(株)製)を20質量部加えてエアーディスパーにて120分間攪拌して溶質を完全に溶解してハードコート層塗布液Aとした。
[防眩性ハードコート層塗布液Bの調整]
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)25.4gをメチルイソブチルケトン46.3gで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を1.3g添加し、混合攪拌した。続いて本明細書記載のフッ素系表面改質剤(FP−149)0.04g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を5.2g、分子量40,000のセルロースアセテートブチレート(CAB−531−1、イーストマンケミカル(株)製)0.50gを加えてエアーディスパーにて120分間攪拌して溶質を完全に溶解した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.520であった。
最後に、この溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.536)の30%メチルイソブチルケトン分散液を21.0g加えた後にこの混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハードコート層用塗布液Bを調製した。
[防眩性ハードコート層塗布液Cの調整]
市販の紫外線硬化型樹脂(PETA、日本化薬製、屈折率:1.51)50重量部、光
重合開始剤(チバガイギー社製、商品名:イルガキュア184)2重量部、第1の透光性粒子としては平均粒子径が3.5μmのアクリル−スチレンビーズ(綜研化学製、屈折率
:1.55)を4重量部、第2の透光性粒子としては平均粒子径が3.5μmのスチレンビーズ(綜研化学製、屈折率:1.60)を0.5重量部、オルガノシラン化合物であるKBM−5103(商品名、信越化学工業(株)製)を10重量部、本明細書記載のフッ素系表面改質剤(FP−149)0.04重量部を、溶媒(トルエン)38.5重量部と混合して、エアーディスパーにて10分間攪拌した。
この混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハードコート層用塗布液Cを調製した。
[反射防止フィルム(206)の作製]
超音波除塵器で、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フイルム(株)製)の塗布側表面を除電処理した上に、ハードコート層用塗布液Aを下記構成のダイコーターを用いて30m/minの塗布速度で、17.5ml/m2の塗布量で塗布した。減圧チャンバーの減圧度は0.3kPaとした。下流側リップランド18bとウェブ12との隙間GLを100μmにして塗布を行った。塗布されたウェブはその後80℃で乾燥した後、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量500mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させて巻き取り、厚さ7μmのハードコート層を形成した。
(ダイコーターの構成)
図3(a)に示されるスロットダイ13は、上流側リップランド長IUPが0.5mm、下流側リップランド長ILOが50μmで、スロット16の開口部のウェブ走行方向における長さが150μm、スロット16の長さが50mmのものを使用した。
上流側リップランド18aとウェブ12の隙間を、下流側リップランド18bとウェブ12の隙間よりも50μm長くし(以下、オーバーバイト長さ50μmと称する)、下流側リップランド18bとウェブ12との隙間GLを50μmに設定した。
また、減圧チャンバー40のサイドプレート40bとウェブ12との隙間GS、及びバ
ックプレート40aとウェブ12との隙間GBはともに200μmとした。
このようにして得られたハードコートフィルム206の上に、低屈折率層用塗布液Ln
6を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分
乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し反射防止フィルム(206)を作成した。
[反射防止フィルム(201)〜(205)、(207)〜(220)の作製]
反射防止フィルム(206)の作製において、低屈折率層用塗布液(Ln6)を(Ln1)〜(Ln5)、(Ln7)〜(Ln20)に変えたことだけが異なる以外は、反射防止フィルム(206)と同様にして、反射防止フィルム(201)〜(205)、(207)〜(220)を作製した。
[防眩性反射防止フィルム(301)(311)(411)の製作]
反射防止フィルム(201)、(211)の作製において、ハードコート層の作成の工程において、ハードコート用塗布液Aを防眩性ハードコート層塗布液Bに変え、減圧チャンバーの減圧度は0.5kPaに調製したことだけが異なる以外は、反射防止フィルム(201)、(211)と同様にして、反射防止フィルム(301)、(311)を作製した。
[防眩性反射防止フィルム(411)の製作]
超音波除塵器で、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フィルム(株)製)の塗布側表面を除電処理した上に、上記の防眩性ハードコート層用塗布液Cを線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径
50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の
条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、防眩性ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後の防眩性ハードコート層の厚さが6.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整してハードコートフィルム411を作製し、この上に低屈折率層用塗布液(Ln11)を他のサンプルと同じように塗布、硬化させて、反射防止フィルム(411)を作成した。
(反射防止フィルムの鹸化処理)
得られた反射防止フィルムは以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
(1)アルカリ浴
1.5mol/L 水酸化ナトリウム水溶液
55℃−120秒
(2)第1水洗浴
水道水
60秒
(3)中和浴
0.05mol/L 硫酸
30℃−20秒
(4)第2水洗浴
水道水
60秒
(5)乾燥
120℃
60秒
[塗設フィルムの性能評価]
こうして得られた、反射防止フィルム試料(201)〜(220)、(301)、(311)、(411)について、下記性能評価を実施した。結果を表4、表5、表6に示す。
(1)平均反射率
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における鏡面分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面反射率の算術平均値を用いた。
(2)鉛筆硬度評価
反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。
(3)耐傷性試験
膜表面をスチールウール#0000を用いて、500gの荷重下で10回擦った後に、傷のつくレベルを確認した。判定は次の基準に従った。
全く傷がつかない :◎
細かい傷が見える :○
細かい傷がより目立つ :△
傷が著しい :×
(4)指紋またはマジック付着性評価
表面の耐汚染性の指標として、光学材料を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、サンプル表面に指紋またはマジックを付着させてから、それをクリーニングクロスで3往復擦り拭き取ったときの状態を観察して、以下のように指紋およびマジック付着性を評価した。
指紋またはマジックが完全に拭き取れる :◎
指紋またはマジックがやや見える :○
指紋またはマジックがほとんど拭き取れない :×
この評価で○以上が実用上好ましいレベルである。
(5)ヘイズ
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
[1] JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。[2] 得られたフィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3] 上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
(6)像鮮明性
JIS K7105に準じて透過画像鮮明性を光学くし幅0.5mmで測定した。
(7)中心線平均粗さ
JIS−B0601に準じて得られたフィルムの中心線平均粗さRaを測定した。
(8)防眩性
得られたフィルムにルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を45度の
角度から映し、−45度の方向から観察した際の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭が全くわからない :◎
蛍光灯の輪郭がわずかにわかる :○
蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる :△
蛍光灯がほとんどぼけない :×
Figure 0004792305
Figure 0004792305
Figure 0004792305
本実施例から明らかなように、参考例の反射防止フィルム試料(201)〜(203)、(206)〜(208)、(211)〜(213)、(216)〜(218)は、本発明の要件を満たしていない比較例(204)、(205)、(209)、(210)、(214)、(215)、(219)、(220)と比較して、耐傷性が優れ、防汚性に優れ、且つ反射防止フィルムとして適性な反射防止性能を有することがわかる。特に中空シリカ微粒子、多孔質シリカ微粒子を用いた(206)〜(215)は反射率がより低く優れていることがわかる。
また、参考例の低屈折率層と防眩性ハードコート層を組み合わせた(301)、(311)、(411)は、好適な防眩性を示し且つ、耐傷性、防汚性は全く損なわれていない。
<実施例2>
[低屈折率層用塗布液(Ln401〜409)の調製]
下記表7に示す各成分を混合し、塗布液全体の固形分濃度が5質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して塗布液(Ln401〜409)を調製した。
Figure 0004792305
表中、( )内は各成分の固形分の質量部を表す。
使用した化合物を以下に示す。
MEK−ST(日産化学(株)製、シリカ固形分濃度30質量%、溶媒メチルエチルケトン、平均粒子径12nm)
MEK−ST―L(日産化学(株)製、シリカ固形分濃度30質量%、溶媒メチルエチルケトン、MEK−STの粒子サイズ違い平均粒子径50nm)
重合開始剤:
IRG184(イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、分子量204))、
IRG907(イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、分子量279))、
IRG369(イルガキュア369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、分子量367))、
IRGOXE01(イルガキュアOXE01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、分子量451))、
KIP150(エザキュアKIP150、フラテツリ ランベルティ(株)製、オリゴ(2−ヒドロキシー2−メチルー1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)n=4〜6、平均分子量約1000)
DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物{日本化薬(株)製})
ゾル液a:前記で合成したもの
[反射防止フィルム(501)の作製]
実施例1のハードコートフィルム206の作製において、ハードコート層塗布液を防眩性ハードコート層塗布液Bに変更した以外は、ハードコートフィルム206と同様にして、ハードコートフィルム501を作製した。
このようにして得られたハードコートフィルム501の上に、低屈折率層用塗布液Ln401を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ95nmの低屈折率層を形成し反射防止フィルム(501)を作成した。
[反射防止フィルム(502〜509)の作製]
反射防止フィルム(501)の作製において、低屈折率層の塗布液Ln401をLn−402〜409に変更した以外は、反射防止フィルム(501)と同様にして反射防止フィルム502〜509を作製した。
[塗設フィルムの性能評価]
こうして得られた、反射防止フィルム試料(501)〜(509)について、実施例1の評価に加え下記性能評価を実施した。
(9)消しゴム擦り耐性
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:プラスチック消しゴム((株)トンボ鉛筆製 MONO)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に固定
移動距離(片道):4cm、
こすり速度:2cm/秒、
荷重:100〜800g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:100往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
○ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△ :弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
××:一面膜が傷ついている。
荷重は100g/cmから100g/cmずつ800g/cmまで増やし、上記評価で「○△」以上の評価を示す荷重で消しゴム擦り耐性を評価した。実用上は最低300g/cm以上が必要であり、この値が高い程好ましい。
評価結果を表8に示す。
Figure 0004792305
本実施例から、低屈折率層に本発明に好適な平均粒子径を満たす無機微粒子を含有した試料は、消しゴム擦り耐性が改良されること、使用する光重合開始剤の分子量を大きくすることで耐傷性及び消しゴム擦り耐性が改良されること、が分かる。
本発明の反射防止フィルムを偏光板に用い、本発明の反射防止フィルムが最表面になるように液晶表示装置に適用したところ、外光の反射を抑え、極めて視認性の高い画像表示装置が得られた。
図1(a)および(b)は反射防止フィルムの層構成を示す断面模式図である。 本発明において好ましく用いられるダイコーターの一実施形態を示す概略断面図である。 (A)図2のダイコーターの拡大図である。(B)従来のスロットダイを示す概略断面図である。 本発明の製造方法を実施する塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。 図4の減圧チャンバーとウェッブとの関係を模式的に示す断面図である。 図4の減圧チャンバーとウェッブとの関係を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 反射防止フィルム
2 透明支持体
3 ハードコート層
4 防眩性ハードコート層
5 低屈折率層(最外層)
6 マット剤粒子
7 中屈折率層
8 高屈折率層
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
UP 上流側リップランド18aのランド長さ
LO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ(下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差)
L 先端リップ17とウェブWの隙間(下流側リップランド18bとウェブWの隙間)
30 従来のスロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
B バックプレート40aとウェブWの間の隙間
S サイドプレート40bとウェブWの間の隙間

Claims (6)

  1. 透明支持体上に、含フッ素ポリマー、少なくとも1分子中に3官能以上の電離放射線で硬化する官能基を有するモノマー、及び分子量が300以上1000以下である光ラジカル重合開始剤を含有する組成物により形成された低屈折率層を最外層に有する反射防止フィルムであって、
    該含フッ素ポリマーが下記一般式1で表され、主鎖が炭素原子のみからなる共重合体であり、
    該低屈折率層中に、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下にある、屈折率が1.17〜1.40である中空シリカ微粒子を少なくとも一種含み、
    該中空シリカ微粒子は、エチレン性不飽和基を有するシランカップリング剤で表面処理されている、ことを特徴とする反射防止フィルム。
    一般式1
    Figure 0004792305
    一般式1において、Rf1は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表わし、Rf2はエーテル結合を有していてもよい、炭素数1〜30の直鎖、分岐または脂環構造を有する含フッ素アルキル基を表わし、Aは(メタ)アクリロイル基を有する構成単位を表し、Bは任意の構成成分を表す。R1およびR2は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。pは10〜500の整数を表す。R3〜R5は互いに独立に、置換または無置換の1価の有機基または水素原子を表わし、R6は水素原子またはメチル基を表わす。L2は炭素数1〜20の任意の連結基または単結合を表す。a〜dはそれぞれポリシロキサンを含有する重合単位を除く各構成成分のモル分率(%)を表わし、それぞれ10≦a+b≦55、10≦a≦55、0≦b≦45、10≦c≦50、0≦d≦40の関係を満たす値を表す。eはポリシロキサンを含有する重合単位の、他の成分全体の質量に対する質量分率(%)を表わし、0.01≦e≦20の関係を満たす。
  2. 前記低屈折率層中に前記中空シリカ微粒子の他に平均粒子径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下にある粒子を少なくとも一種含むことを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記中空シリカ微粒子の他に前記低屈折率層中に含まれる粒子が、粒子内に空孔を持たないシリカ微粒子であることを特徴とする請求項2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記含フッ素ポリマーの数平均分子量が、2万以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  5. 偏光子と偏光子の両側を保護する2枚の保護フィルムを有してなる偏光板であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光子の2枚の保護フィルムのうちの一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の反射防止フィルムまたは請求項に記載の偏光板が、ディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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