JP2015184566A - 防眩性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】平均粒子径1μm以上5μm以下の有機粒子を大きな凝集体に迅速に凝集させることができる防眩性フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】1μm以上5μm以下の平均粒子径を有する有機粒子cと、水と作用して増粘する水作用性増粘物質aと、バインダー樹脂と、有機溶媒と、を少なくとも含む塗布液を調整して、フィルム基材に10μm以上のウエット膜厚で塗布し、塗布した塗布膜Tの固形分濃度が20質量%以上60質量%以下の時に、露点温度が10℃以上の加湿風を吹き付け、加湿風吹き付け後のフィルム基材を水平面に対して10°以上60°以下に傾斜して搬送することにより有機粒子の凝集体Yを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、防眩性フィルムの製造方法に係り、特に、液晶表示装置などのディスプレイ装置に使用される防眩性フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置などのディスプレイ装置では、外光の反射による像の映り込みを防止するために、防眩性フィルムが用いられている。防眩性フィルムの製造方法には、大きく分けて次の4つの方法があることが知られている。すなわち(1)膜厚に対して比較的大径の粒子を含有する塗布液を支持体に塗布・乾燥させることにより、粒子を塗布膜表面から突出させて表面凹凸を形成し、その凹凸面で外光を散乱させる「粒子利用・外部散乱型防眩性フィルム」、(2)周囲のバインダー成分と屈折率が少し異なる粒子を配合して塗布膜内に埋没させることによって外光を塗布膜内で散乱させる「粒子利用・内部散乱型防眩性フィルム」、(3)膜厚に対して比較的小径の粒子を凝集させることによって外光を散乱させる「粒子利用・凝集型防眩性フィルム」、(4)屈折率が異なり且つ相溶性が少ない2種類以上の樹脂を相分離させて外光を散乱させる「樹脂利用・相分離型防眩性フィルム」である。
これらの防眩性フィルムは、フィルムに粒子を含む塗布液を塗布した後、塗布液を乾燥させて粒子による凹凸を塗布膜表面に形成することによって製造される(例えば特許文献1)。この防眩性フィルムの製造では、乾燥ゾーン長の短いコンパクトな製造装置で高速生産するため、乾燥ゾーンでの乾燥風を強くしたり、乾燥温度を高めたり、比較的速く乾く溶剤の混合比率を高めたりすることによって、塗布膜からの溶剤の乾燥速度を速めることが望まれる。このため、生産速度には限界があり、均一な光学性能の防眩性フィルムを高い生産速度で製造できないという問題がある。
特に上記した(3)の「粒子利用・凝集型防眩性フィルム」の場合には、粒子が凝集しなければ殆ど防眩性が発現しないため、粒子が凝集するのに必要な時間を確保しなくてはならない。このため、乾燥ムラ防止のための乾燥時間の確保だけでなく、凝集のための凝集時間を確保する時間が必要となるため、生産時間が更に長くなり、生産性が低下する。
「粒子利用・凝集型防眩性フィルム」の従来例として、例えば特許文献2には、平均粒子径Rが5μm<R<15μmの比較的大きな粒子を含有する塗布液を透明支持体上に塗布した後、塗布液の固形分比が75質量%以上になる半分以上の時間において、透明支持体を30°〜90°に傾けた状態で保持又は搬送し、塗布液中の溶媒を乾燥速度0.1〜0.7g/m・sで蒸発させることが記載されている。これにより、塗布膜の表面に、1個の粒子又は2〜3個の比較的少ない粒子の凝集体によって防眩性のための凹凸形状を有し、ドライ膜厚(製品の膜厚)が8〜18μmの防眩性フィルムを製造することができる。
特開2005−279339号公報 特開2010−54737号公報
しかしながら、近年の傾向として、防眩性フィルムの製造における原料のコストダウンを図るため、ドライ膜厚が従来(15μm程度)の1/3程度に薄く(4〜6μm)なってきている。このため、防眩性の発現や点欠陥防止のためには、ドライ膜厚が薄くなるのに応じて小さな平均粒子径(5μm以下)のものを使用せざるをえない。
しかし、平均粒子径5μm以下の小さな粒子では、防眩性を発揮するような大きな粒子凝集体を迅速に形成することは難しく、従来の「粒子利用・凝集型防眩性フィルム」の製造方法では防眩性が発揮されにくいとともに生産性が悪くなるという問題が顕在化した。
即ち、平均粒子径5μm以下の小さな粒子では、従来の大きな粒子のように、1個の粒子又は2〜3個の粒子の凝集体では防眩性を発揮することができず、沢山の粒子を凝集させて大きな凝集体を形成する必要がある。また、粒子として有機粒子を使用することで、バインダー樹脂との屈折率を近くでき、内部散乱を抑え、「黒締まり」の良い防眩性フィルムを提供できるが、有機粒子は、イオン性を有する無機粒子のように自己凝集力がないため、凝集させるのが難しく大きな粒子凝集体になり難い。
したがって、「粒子利用・凝集型防眩性フィルム」の製造方法によって薄膜な防眩性フィルムを製造するには、塗布液中に含有される小さな有機粒子を大きな凝集体まで凝集させるための時間を確保しなくてはならず、乾燥ゾーン長を長くして除乾化するための工程設計が必要であった。
塗布液に凝集剤を添加して、塗布液中で小さな粒子を迅速に凝集させることも考えられるが、凝集剤を使用すると、塗布スジが発生したり、塗布液の安定性が悪くなったりするなどの問題があり、本質的な解決策にはならない。
このような背景から、「粒子利用・凝集型防眩性フィルム」の製造方法によって、防眩性に優れ且つ塗布スジのない薄膜な防眩性フィルムを高い生産性で製造することが大きな課題となっている。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、平均粒子径1μm以上5μm以下の有機粒子を大きな凝集体に迅速に凝集させることができ、防眩性に優れ且つ塗布スジのないドライ膜厚が薄い防眩性フィルム製造の生産性を飛躍的に上げることができる防眩性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、1μm以上5μm以下の平均粒子径を有する有機粒子と、水と作用して増粘する水作用性増粘物質と、バインダー樹脂と、有機溶媒と、を少なくとも含む塗布液を調整する塗布液調整工程と、塗布液をフィルム基材に10μm以上のウエット膜厚で塗布する塗布工程と、塗布工程で塗布された塗布膜を乾燥する乾燥工程と、乾燥工程で乾燥した塗布膜を硬化させる硬化工程と、を有し、乾燥工程において、塗布膜の固形分濃度が20質量%以上60質量%以下の時に、露点温度が10℃以上の加湿風を吹き付ける加湿風吹き付け工程と、加湿風吹き付け工程後のフィルム基材を水平面に対して10°以上60°以下に傾斜させて塗布膜中の有機粒子を凝集させる凝集工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法を提供する。
本発明の防眩性フィルムの製造方法によれば、有機粒子と、水作用性増粘物質と、バインダー樹脂と、有機溶剤を少なくとも含む塗布液を、フィルム基材上に塗布し、露点温度が10℃以上の加湿風を吹き付けることで、塗布膜中の水作用性増粘物質を増粘させることができる。そして、この増粘した水作用性増粘物質が、有機粒子同士間に付着し、有機粒子の凝集体を形成する。さらに、加湿風を吹き付けた後、フィルム基材の搬送を水平面に対して10°以上60°以下に傾斜させて搬送させているので、有機粒子を重力により流動させることができ、有機粒子同士が衝突し、有機粒子の凝集体を形成することができる。そして、塗布膜の乾燥が進行することで、この有機粒子の凝集体の形状に倣って塗布膜の膜厚が薄くなり、塗布膜表面に外光を散乱するための凹凸形状を形成することができる。したがって、防眩性に優れ、かつ、塗布スジのないドライ膜厚が薄い防眩性フィルムの生産性を飛躍的に上げることができる。
本発明の別の態様においては、凝集工程は、塗布膜の固形分濃度が70%以下であることが好ましい。
この態様によれば、凝集工程での固形分濃度を70質量%以下としたので、塗布膜の流動性を維持することができ、有機粒子の凝集を行うことができる。
本発明の別の態様においては、加湿風の吹き付け風速が0.5m/s以上2m/s以下であることが好ましい。
この態様によれば、加湿風の吹き付け風速を0.5m/s以上としているので、塗布膜への水分の吸湿量を確保するとともに、2m/s以下としているので、加湿風による風ムラの発生を防止することができる。
本発明の別の態様においては、加湿風の露点温度が10℃以上40℃以下であることが好ましい。
この態様によれば、加湿風の露点温度を10℃以上としているので、塗布膜への水分の吸湿量を確保することができる。また、加湿風の露点温度を40℃以下としているので、有機粒子の過剰な凝集を抑え、安定した防眩性能で防眩性フィルムを製造することができる。したがって、露点温度の範囲を10℃以上40℃以下とすることで、防眩性能の制御を容易に行うことができる。
本発明の別の態様においては、加湿風吹き付け工程の、加湿風の吹き付け角度は、フィルム基材に対して垂直にあてる場合を0°、フィルム基材の搬送方向と反対方向に吹き付ける場合を一次側、フィルム基材の搬送方向と同方向に吹き付ける場合を二次側とした時、一次側に60°〜二次側に60°の範囲であることが好ましい。
この態様によれば、加湿風の吹き付け角度を一次側に60°〜二次側に60°の範囲としているので、塗布膜に加湿風を十分にあてることができる。また、加湿風の吹き付け角度を調整し、一次側に吹き付けることで、有機粒子の重力方向の移動を促進させることができ、逆に二次側に吹き付けることで、有機粒子の移動を抑えることができるので、防眩性能の制御を行うことができる。
本発明の別の態様においては、凝集工程は、加湿風吹き付け工程後、5m以上10m以下の距離で行われることが好ましい。
この態様によれば、凝集工程を加湿風吹き付け工程後、5m以上10m以下の距離で行うことで、有機粒子の凝集を十分に行うことができる。
本発明の防眩性フィルムの製造方法によれば、平均粒子径1μm以上5μm以下の有機粒子を大きな凝集体に迅速に凝集させることができ、防眩性に優れ、かつ、塗布スジのないドライ膜厚が薄い防眩性フィルムの生産性を飛躍的に上げることができる。
これにより、生産性を落とすことなく、防眩性フィルムのドライ膜厚を薄くできたことによる原料のコストダウン及び生産速度アップによる製造設備のコストダウンを実現することができる。
本発明の防眩性フィルムの製造方法を実施する装置の一例の全体構成を示す模式図である。 加湿風吹き付けノズルの構成を示す模式図である。 加湿風の吹き付け角度を説明する図である。 凝集メカニズムであり、塗布膜への水分の吸湿を示す模式図である。 凝集メカニズムであり、有機粒子の移動を示す模式図である。 凝集メカニズムであり、有機粒子の凝集体が形成された状態を示す模式図である。 塗布膜表面に凹凸形状が形成された状態を示す模式図である。 実施例の結果を示す表図である。
以下、添付図面に従って、本発明に係る防眩性フィルムの製造方法の好ましい実施の形態について説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
図1は、本発明の実施の形態を防眩性フィルムの製造方法を実施する製造装置の一例の全体構成を示す模式図である。
本発明の実施の形態では、ウェブWを連続走行させて、処理を連続的に行うロール・ツー・ロール(roll to roll)で説明するが、ウェブWとしてシート状のものを使用して、各部の処理を回分式で行う場合にも適用できる。
図1に示すように、送出部12から送り出された透明フィルム基材(以下「ウェブW」ともいう)は、ガイドローラ26にガイドされながら塗布部16(塗布液調整部14で塗布液を調整)、第1の乾燥部18、第2の乾燥部20、硬化部22に搬送され、巻取部24で巻き取られる。そして、塗布部16〜硬化部22において以下に説明する各工程が行われる。
[塗布液調整工程]
塗布液調整工程は、1μm以上5μm以下の平均粒子径を有する有機粒子と、水と作用して増粘する水作用性増粘物質と、バインダー樹脂と、有機溶媒と、を少なくとも含む塗布液を調整する工程である。塗布液調整工程は、図1に示す塗布液調整部14の攪拌機28Aを備えた混合タンク28によって行われる。塗布液調整工程では、塗布スジや防眩性の経時変化防止のために、できるだけ塗布液に水が吸湿されないようにすることが好ましい。塗布前における塗布液の水分量としては0.5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、理想的にはゼロである。これは、塗布前に水分が塗布液に吸湿されるのを防止して、水作用性増粘物質の高分子構造体が形成されないようにすることで、製造された防眩性フィルムに塗布スジや点欠陥などが発生するのを確実に防止できるからである。調整される塗布液に水分が吸湿されることを防止する対策としては、例えば混合タンク28のベント配管32Aに外気乾燥器32Bを設けることにより吸湿防止手段32を構成することができる。
(有機粒子)
透光性の有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
有機粒子の形状は真球又は不定形いずれも使用できる。不定形の場合の粒子径は体積球相当径にて求める。なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられる。これらの有機粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率とバインダー樹脂の屈折率とを調整することが好ましい。
有機粒子は、粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。また、バインダー樹脂と屈折率が近い有機粒子を使用することで、内部散乱を抑え、「黒締まり」の良い防眩性フィルムを提供できる点が無機粒子に比べて有利である。
有機粒子は、塗布膜Tの全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%以上とすることで、十分な添加効果を得ることができ、30質量%以内とすることで、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の発生を抑制することができる。
本発明においては、平均粒子径は一次粒径を示す。有機粒子の平均粒子径の測定方法としては任意の測定方法が適用できるが、粒子の粒度分布をコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算して得られた粒子分布から算出する方法や、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする方法がある。なお、本発明において平均粒子径はコールターカウンター法によって得られた値を用いる。
(水作用性増粘物質)
水作用性増粘物質とは、塗布膜T中に水が浸透することによって、塗布膜の粘度が上がる物質である。具体的には、水中の濃度が1%の場合、濃度0%(無添加)に比べ攪拌速度6rpmの条件下で5倍以上の粘度となるものを水作用性増粘物質という。粘度は、RE80型粘度計(東機産業(株)製)を用いて、液温25℃にてローターを2分間回転させて安定させた後に測定する。
具体的には、例えば、層状粘土化合物(スメクタイト等)、有機金属粘土、セルロース系高分子(セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等)、ナノシリカが挙げられる。また、層状無機化合物としては、特に限定されないが、タルク、雲母、長石、カオリナイト(カオリンクレー)、パイロフィライト(ろう石クレー)、セリサイト(絹雲母)、ベントナイト、スメクタイト・バーミキュライト類(モンモリロナイト、バイデライトノントロナイト、サポナイトなど)、有機ベントナイト、有機スメクタイトなどが挙げられる。層状無機化合物のなかでも、xM(I)O・ySiOで表される珪酸塩化合物(酸化数が2、3であるM(II)O、M(III)に相当するものもある。x、yは正の数を表す)が好ましく、更に好ましい化合物としては、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライトなどの膨潤性層状粘土鉱物が挙げられる。
セルロース系高分子や有機金属粘土は水酸基を有し、溶液中で水素結合によりネットワーク(以下、「高分子構造体」と言う)を形成する物質である。なお、塗布膜T中で水素結合が起きていようがいまいが、水素結合の強さが大きかろうが小さかろうが、塗布膜T中に水が浸透すると増粘する物質は本願の発明の範疇である。
水作用性増粘物質は、防眩層の全固形分中に0.1〜10質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは0.5〜2.5質量%である。0.1質量%以上にすることで、高分子構造体が形成され易くでき、10質量%を超えないことで、塗布前に高分子構造体が形成され難くなり、塗布がし易くなる。また、塗布前に高分子構造体が形成されないようにすることで、製造された防眩性フィルムに塗布スジや点欠陥が発生するのを防止できる。
(バインダー樹脂)
本実施形態の防眩性フィルムは、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることができる。すなわち、バインダー樹脂として電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物をウェブW上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられる。多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。重合性多官能モノマーの重合反応には、重合開始剤を用いることが好ましい。また、本発明にはバインダー樹脂として、ポリマーあるいは架橋しているポリマーを用いることができる。
バインダー樹脂の好ましい含有量の割合は、50〜95質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることが更に好ましく、80〜95質量%であることが最も好ましい。
(有機溶媒)
有機溶媒の具体例としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶媒が使用できる。有機溶媒は1種でも、2種類以上のものを混合して用いることもできる。乾燥過程で塗布膜T中の溶媒組成が変化し、それに伴い有機粒子や水作用性増粘物質の存在状態を変化させるために、沸点の異なる2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
(その他の成分)
本発明の防眩性フィルムを製造するために用いられる上記の有機粒子、水作用性増粘物質、バインダー樹脂、有機溶媒を必須成分とするものであるが、上記成分以外のものとして、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することもできる。
塗布液調整工程で調整される塗布液の固形分濃度は、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは35質量%以上45質量%以下である。
そして、塗布液調整部14で調整された塗布液は、配管30Aとポンプ30Bからなる送液ライン30を介して塗布部16に送液され塗布工程が行われる。
[塗布工程]
塗布部16の塗布ヘッド16Bによって、送出部12から送り出されたウェブWに、塗布液が10μm以上のウエット膜厚になるように塗布される。塗布膜Tは、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上させるためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。ウエット膜厚とは、フィルム基材上に直接または他の層を介して塗布液を塗布した直後の塗布膜の膜厚であり、本実施形態においては、10μm以上のウエット膜厚で塗布される。ウエット膜厚を10μm以上とすることで、塗布膜とフィルム基材との間の摩擦抵抗により有機粒子の移動が阻害されることを防止することができるので、有機粒子を高速凝集させることができる。また、ウエット膜厚の上限は特に限定されないが、30μm以下であることが好ましい。
図1に示す塗布部16は、バックアップローラ16Aと、塗布ヘッド16Bと、減圧室16Cとで構成したエクストルージョン型の塗布部の一例であり、この塗布部16に塗布液のウエット膜厚を調整する塗布厚み調整手段17を設けたものである。塗布厚み調整手段17としては、例えば塗布ヘッド16Bが搭載された架台16Dをバックアップローラ16Aに対して進退させる機構を採用することができる。
なお、塗布液の塗布方法は、特に限定されるものではなく、塗布液を10μm以上のウエット膜厚で均一に塗布できる装置であればよい。例えば、エクストルージョンコート法、スライドコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、マイクロブラビアコート法等を使用できるが、エクストルージョンコート法が特に好ましい。
(フィルム基材)
本実施形態で用いられるフィルム基材としては、可視光の光線透過率に優れ(好ましくは光線透過率90%以上)、透明性に優れるもの(好ましくはヘイズ値1%以下)が好ましく用いられる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。また、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状又はノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。更に、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや、これらのポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルム等も挙げられる。特に光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。
塗布部16で塗布液が塗布されて塗布膜Tが形成されたウェブWは,直ちに第1の乾燥部18に送られて乾燥工程が行われる。
[乾燥工程]
乾燥工程とは、塗布膜中の有機溶媒を除去する工程である。また、加湿風吹き付け工程および凝集工程により、有機粒子の凝集を行う。なお、加湿風吹き付け工程および凝集工程以外の乾燥工程については、特に限定されず、自然乾燥、熱風乾燥、常温風により乾燥を行うことができる。また、凝縮板を用いて行うこともできる。
<加湿風吹き付け工程>
加湿風吹き付け工程とは、塗布膜に加湿風を吹き付けることで、塗布膜に水分を吸湿させ、塗布膜中に含有される水作用性増粘物質を高分子化させ、塗布膜の粘性を増大させる工程である。
図1に示す第1の乾燥部18は、塗布部16で塗布膜Tを形成した後、凝縮板35により乾燥を行った後、加湿風吹き付けノズル34から加湿風を吹き付けている。
加湿風吹き付け工程は、塗布膜の固形分濃度が20質量%以上60質量%以下の時に行う。固形分濃度は、30質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは40質量%以上である。固形分濃度を上記範囲とすることにより、有機粒子が移動しやすい塗布膜の流動性を維持することができる。固形分濃度が60質量%を超えると、固形分濃度が高く、塗布膜の流動性がなくなり有機粒子が凝集しなくなるので、好ましくない。固形分濃度が20質量%未満では、塗布膜の粘性が小さいため、流動性が出てしまい、有機粒子が凝集しなくなるので、好ましくない。また、フィルム基材への有機溶媒の染み込みが多く、その後の乾燥量が多くなり、乾燥負荷が大きくなるので好ましくない。なお、図1においては、塗布工程後、加湿風吹き付け工程までに凝縮板35による乾燥を行っているが、塗布膜の固形分濃度を所望の範囲とすることができれば、加湿風吹き付けノズルまでの乾燥を省略することもできる。
加湿風の露点温度は10℃以上であり、10℃以上40℃以下であることが好ましい。加湿風の露点温度を10℃以上とすることで、塗布膜への水分の吸湿量を確保することができる。また、加湿風の露点温度を40℃以下とすることで、有機粒子の過剰な凝集を抑え、安定した防眩性能で防眩性フィルムを製造することができる。したがって、露点温度の範囲を10℃以上40℃以下とすることで、防眩性能の制御を容易に行うことができる。
また、加湿風の吹き付け風速は、特に限定されないが、0.5m/s以上2m/s以下であることが好ましい。加湿風の吹き付け風速を0.5m/s以上としているので、塗布膜への水分の吸湿量を確保するとともに、2m/s以下としているので、加湿風による風ムラの発生を防止することができる。
加湿風の吹き付け角度は、フィルム基材に対して垂直にあてる場合を0°、フィルム基材の搬送方向と反対方向に吹き付ける場合を一次側、フィルム基材の搬送方向と同方向に吹き付ける場合を二次側とした場合、一次側に60°から二次側に60°の範囲とすることが好ましい。吹き付け角度を上記範囲とすることで、塗布膜に確実に加湿風を吹き付けることができ、水分を供給することができる。また、吹き付け角度を調節することで、防眩性能の制御を行うことができる。
加湿風の吹き付けを一次側に吹き付けることで、この加湿風の吹き付けにより有機粒子の重力方向の移動を促進させることができ、防眩性能を向上させることができる。反対に、加湿風の吹き付け方向を二次側とすることで、有機粒子の重力の移動と反対方向に移動させることができるので、有機粒子の凝集を抑え、防眩性能を抑えることができる。このように、加湿風の吹き付け角度を変更することで、防眩性能の制御を行うことができる。
図2は、加湿風吹き付けノズル34の構成を示す模式図である。加湿風吹き付けノズル34は、ウェブWの幅より広い幅でノズル開口部36が形成されている。加湿風吹き付けノズル34から吹き付けられる加湿風は、図2に示すように、給気した空気に熱交換器38、加湿器40を介して、加湿風吹き付けノズル34内に供給する。ノズル開口部36から吹き出さなかった空気は、出口から排出され、再度入口から供給され、空気が循環している。出口には、露点計42および温度計44が設けられており、空気の露点温度および温度を測定し、熱交換器38、加湿器40を制御することで、加湿風吹き付けノズル34から吹き出す空気の調整を行う。また、加湿風吹き付けノズル34の周囲には、保温水を流すジャケット46を備え、ジャケット46内に温水を循環させることで、加湿風吹き付けノズル34の結露を防止している。
また、図3は、加湿風の吹き付け角度を説明する図である。図3(a)は、ウェブWに対して、垂直(ウェブWの垂線と加湿風の風向きとのなす角θ=0°)に加湿風をあてている図であり、図3(b)は、一次側(ウェブWの搬送方向と反対側の方向)にθ=30°で吹き付けている図である。また、図3(c)は、二次側(ウェブWの搬送方向に沿った方向)に、θ=60°で吹き付けている図である。加湿風の吹き付け角度を変化させることにより、防眩性能の制御を行うことができる。
図4は、加湿風吹き付け工程時の塗布膜への水分の吸湿を示す模式図である。図4に示すように、水作用性増粘物質aと、有機粒子cが、有機溶媒を含む塗布膜T中に分散して配置されている。加湿風吹き付け工程により加湿風が吹き付けられたウェブW上の塗布膜Tは、表面側から加湿風中の水分bが浸透して吸湿される。
<凝集工程>
加湿風吹き付け工程により加湿風からの水分を吸湿した塗布膜は、凝集工程により有機粒子を凝集させ、有機粒子の凝集体を形成する。有機粒子を凝集させた後、乾燥が進行することで、塗布膜の膜厚が薄くなり、この有機粒子の凝集体の形状に倣って、凹凸形状が形成される。なお、本発明において、凝集とは、有機粒子同士が水作用増粘性物質を介して結合し、防眩性能が発現する程度にフィルムに凹凸が形成される大きさに有機粒子が結合することをいう。
凝集工程は、加湿吹き付け工程により塗布膜が水分を吸収し、かつ、塗布膜が流動性を有する状態で、フィルム基材を傾斜して搬送することで行う。フィルム基材の傾斜角度は、水平面に対して10°以上60°以下である。フィルム基材を傾斜させて搬送することで、ウエット状態の塗布膜は重力を受け、傾斜の上方から下方に向かって流動する。すなわち、フィルム基材を傾斜させることによって塗布膜が流動するため、大きな駆動力を付与することができ、塗布膜全体の流動速度を上げることができる。
この時、水作用性増粘物質は、加湿風吹き付け工程により、水分を吸湿し増粘し、有機粒子の周りに付着している。この水作用増粘物質が付着した有機粒子は、塗布膜の流動よりも遅い速度でゆっくり移動し、有機粒子の周りに付着した水作用増粘物質の粘性により他の有機粒子と結合し凝集体を形成する。
フィルム基材を搬送する傾斜角度は、10°以上60°以下である。傾斜角度が10°未満であると、傾斜角度が小さいため、重力による流動の影響が少ないため、有機粒子が衝突せず、有機粒子の凝集不足となり、防眩性能が出ないため好ましくない。傾斜角度が60°を超えると、金属粒子の凝集が進みすぎ、防眩性能の制御が難しくなるので、好ましくない。
凝集工程は、乾燥により塗布膜の固形分濃度が70質量%以下の状態で行うことが好ましい。塗布膜の固形分濃度を70%以下とすることで、塗布膜の流動性により、有機粒子が衝突し、有機粒子を凝集させることができる。また、凝集工程における塗布膜の固形分濃度の下限は20質量%以上であることが好ましい。
上記の点を考慮すると、条件、材料にもよるが、凝集工程は、加湿風吹き付け工程を行った後、5m以上10m以下の距離で行われることが好ましい。
なお、図1においては、加湿風吹き付け工程後に、乾燥風供給手段48から乾燥風を供給しながら行っているが、乾燥風を供給せずに行うことも可能である。
図5は、凝集工程における有機粒子の移動を説明する模式図である。加湿風吹き付け工程後のウェブWを、10°以上60°以下の傾斜角度θで走行させることにより、図5に示すように、ウエット状態の塗布膜Tは、重力を受け、傾斜の上方から下方に向かって流動する。即ち、ウェブWを10°以上60°以下に傾斜させることによって塗布膜Tが流動するための大きな駆動力を付与することができ、塗布膜T全体の流動速度を上げることができる。
加湿風吹き付け工程により加湿風が吹き付けられた塗布膜Tは、塗布膜T中に含有される水作用性増粘物質aが、吸湿した水bの作用によって高分子化し、有機粒子cの周りに水作用性増粘物質が付着する。
そして、この塗布膜Tの流動において、塗布膜Tのウエット厚みを10μm以上と厚くしたことにより、図5の矢印で示すように、塗布膜Tの表層側(ウェブWの反対側)はウェブWによる摩擦抵抗が小さく、高速で流動するので、有機粒子cも高速で移動する。すると、塗布膜Tの表層側を高速で移動する水作用性増粘物質aが周りに付着した有機粒子c同士が凝集し、図6に示すように、塗布膜Tの表層側で有機粒子cの凝集体Yが形成されていくものと推察される。なお、図6では、水作用性増粘物質aは省略して図示している。
このように、塗布膜Tのウエット厚みを10μm以上にしてウェブWの傾斜角度を10°以上60°以下に傾斜させるとともに、水作用増粘物質の吸湿により有機粒子cの周りに水作用性増粘物質aを付着させることで、有機粒子c同士が衝突して凝集するための機会を相乗的かつ飛躍的に増大させることができる。この場合、凝集工程において、ウェブWを傾斜させて有機粒子cが移動する駆動力を与えないと、有機粒子cの凝集は始まらない。
また、塗布膜Tのウエット膜厚が10μm未満であると、塗布膜とウェブWとの間の摩擦抵抗が有機粒子cの高速移動を阻害するので、有機粒子cを高速凝集させることができない。
凝集工程により有機粒子が凝集したウェブWの塗布膜Tは、第2の乾燥部20に送られ、塗布膜T中の有機溶媒が熱風乾燥によって除去される。乾燥風の温度としては、40℃〜150℃の範囲が好ましく、更に好ましくは50℃〜130℃、特に好ましくは60〜110℃の範囲である。また、乾燥時間としては、10秒〜10分の範囲が好ましく、更に好ましくは15秒〜5分、特に好ましくは15秒〜3分の範囲である。なお、第2の乾燥部20の構成としては、上述した熱風乾燥に限定されず、公知の様々な乾燥装置を使用することができる。また、特に第2の乾燥部20を設けず、自然乾燥により乾燥を行うこともできる。
図7は、乾燥工程後の塗布膜の模式図である。図7に示すように、塗布膜T中に形成された有機粒子cの凝集体Yの形状に倣って塗布膜Tの膜厚が薄くなることによって、塗布膜表面に外光を散乱するための凹凸形状が形成される。なお、図7においても、水作用性増粘物質aは省略して図示している。
[硬化工程]
硬化工程とは、乾燥工程後の凹凸形状が形成された塗布膜に電離放射線を照射することにより、塗布膜中のバインダー樹脂を硬化させ、塗布膜を硬化する工程である。電離放射線の種類については、特に制限はなく、X線、電子線、紫外線、可視線、赤外線などが挙げられるが、紫外線が広く用いられる。例えば、塗布膜のバインダー樹脂が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm〜1000mJ/cmの照射量の紫外線を塗布膜に照射することが好ましい。照射の際には、上述のエネルギーを一度に照射してもよいし、分割して照射することもできる。
硬化部22を経たウェブWは、巻取部24に巻き取られ、これにより防眩性フィルムが製造される。
以下に実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、特別の断りがない限り、「部」および「%」は質量基準である。
以下の材料、方法により防眩性フィルムを製造し、防眩性、製造適正の評価を行った。
<塗布液調整工程>
有機粒子と、水作用性増粘物質と、バインダー樹脂と、有機溶媒とを混合して塗布液を調整した。
有機粒子は、粒径が2.5〜2.8μmである架橋アクリル−スチレン粒子を用いた。
水作用性増粘物質は、層状無機化合物であるスメクタイトを用いた。
バインダー樹脂としては、PET−30(日本化薬製)とビスコート360(大阪有機化学工業製)の混合樹脂を使用した。
有機溶媒としては、メチルイソブチルケトン(MIBK)とメチルエチルケトン(MEK)の混合溶媒を使用した。
その他の成分として、重合開始剤としてイルガキュア127(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、フッ素系の界面活性剤としてSP−13(下記の[化1]に化学構造記載)を使用した。
上記調整した塗布液(固形分濃度40%)の各成分の組成比は次の通りである。
・PET−30 …23.9質量部
・ビスコート360 …10.0質量部
・有機粒子(架橋アクリル−スチレン粒子(平均粒径2.5μm 屈折率1.52) …4.0質量部
・水作用性増粘物質(スメクタイト:ルーセンタイトSTN、コープケミカル社製) …1.0質量部
・イルガキュア907 …1.0質量部
・SP−13 …0.1質量部
・メチルイソブチルケトン …50.0質量部
・メチルエチルケトン …10.0質量部
なお、固形分濃度は、有機溶媒の量を調整し、図8の表に示すように、固形分濃度が15質量%、20質量%、40質量%、45質量%、50質量%、60質量%、65質量%について行った。固形分濃度の調整は、MEKの添加量は一定とし、MIBKの添加量を変更することで行った。
<塗布工程>
上記の如く調整した塗布液を、トリアセチルセルロース製(TAC−TD60U:富士フイルム製)のウェブWにエクストルージョン型の塗布装置によって、20μmのウエット膜厚になるように塗布した。
<乾燥工程>
[加湿風吹き付け工程]
塗布工程直後のウェブW上の塗布膜に加湿風を吹き付けた。加湿風の吹き付けは、塗布工程直後であるので、塗布液の固形分濃度が、加湿風吹き付け工程時の固形分濃度である。加湿風は、図8の表に示すように、露点温度が、5℃、10℃、15℃、20℃、35℃、40℃、45℃で行った。また、加湿風の吹き付け風速は、0.5m/s、0.8m/s、1.0m/s、1.5m/s、2.0m/sで行った。加湿風の吹き付け角度は、ウェブWに対して垂直方向(0°)、ウェブWの搬送方向に対して反対方向に吹き付ける一次側に30°、60°、および、ウェブWの搬送方向に対して同じ方向に吹き付ける2次側に45°、60°で行った。
[凝集工程]
凝集工程でのウェブWの傾斜角度を0°、5°、10°、20°、30°、60°、80°で行った。
[加温乾燥工程(第2の乾燥部)]
25℃で20秒間乾燥し、次いで60℃で40秒間乾燥させて、塗布膜中の有機溶媒を蒸発させた。
[硬化工程]
窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量160mJ/cmの紫外線を照射して塗布膜を硬化させて防眩層を形成した。
(製造した防眩性フィルムのサンプル) 図8の表に示すように、塗布液の固形分濃度、凝集工程時の傾斜角度、加湿風の加湿風の露点温度、風速、吹き付け角度の各パラメータを組み合わせることにより、試験1〜26の防眩性フィルムのサンプルを製造した。
(防眩性の評価基準)
上記の試験1〜26の各サンプルの裏面を黒マジックで塗りつぶした後に、サンプルの表面に蛍光灯の光を反射させた際の光の映り込みの様子を目視で評価し、B以上のレベルを合格と判定した。
A:十分に反射が抑えられている、又は十分に光が拡散されており、気にならない。
B:やや蛍光灯の形状が映り込んでいるが、気にならない。
C:蛍光灯の形がはっきりと映り込み、眩しくて気になる。
(製造適性の評価基準)
B以上のレベルを合格と判定した。
A:凝集工程において良好な防眩性を発揮する大きな有機粒子の凝集体を20秒以内に形成する。
B:凝集工程において良好な防眩性を発揮する大きな有機粒子凝集体を30秒以内に形成する。
C:凝集工程において吹きつけによる風ムラが発生し防眩性が制御できないので製造適性不可。
図8に示すように、本発明の数値範囲から外れて製造された防眩性フィルムは、防眩性の評価がCであり、良好なフィルム特性が得られていなかった。
10…製造装置、12…送出部、14…塗布液調整部、16…塗布部、17…塗布膜厚み調整手段、18…第1の乾燥部、20…第2の乾燥部、22…硬化部、22C…ハウジング、22D…電離放射線ランプ、24…巻取部、26…ガイドローラ、28…混合タンク、30…送液ライン、32…吸湿防止手段、34…加湿風吹き付けノズル、35…凝縮板、36…ノズル開口部、38…熱交換器、40…加湿器、42…露点計、44…温度計、46…ジャケット、48…乾燥風供給手段、T…塗布膜、Y…有機粒子の凝集体、W…ウェブ、a…水作用性増粘物質、b…水分、c…有機粒子

Claims (6)

  1. 1μm以上5μm以下の平均粒子径を有する有機粒子と、水と作用して増粘する水作用性増粘物質と、バインダー樹脂と、有機溶媒と、を少なくとも含む塗布液を調整する塗布液調整工程と、
    前記塗布液をフィルム基材に10μm以上のウエット膜厚で塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程で塗布された塗布膜を乾燥する乾燥工程と、
    前記乾燥工程で乾燥した塗布膜を硬化させる硬化工程と、を有し、
    前記乾燥工程において、前記塗布膜の固形分濃度が20質量%以上60質量%以下の時に、露点温度が10℃以上の加湿風を吹き付ける加湿風吹き付け工程と、
    前記加湿風吹き付け工程後の前記フィルム基材を水平面に対して10°以上60°以下に傾斜させて前記塗布膜中の前記有機粒子を凝集させる凝集工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法。
  2. 前記凝集工程は、前記塗布膜の固形分濃度が70質量%以下である請求項1に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  3. 前記加湿風の吹き付け風速が0.5m/s以上2m/s以下である請求項1または2に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  4. 前記加湿風の露点温度が10℃以上40℃以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  5. 前記加湿風吹き付け工程の、前記加湿風の吹き付け角度は、前記フィルム基材に対して垂直にあてる場合を0°、前記フィルム基材の搬送方向と反対方向に吹き付ける場合を一次側、前記フィルム基材の搬送方向と同方向に吹き付ける場合を二次側とした時、一次側に60°〜二次側に60°の範囲である請求項1から4のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  6. 前記凝集工程は、前記加湿風吹き付け工程後、5m以上10m以下の距離で行われる請求項1から5のいずれか1項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
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