JP2007057612A - 防眩性反射防止フィルム及びその製造方法、該防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板、並びに該偏光板を用いた液晶表示装置及び液晶表示装置 - Google Patents

防眩性反射防止フィルム及びその製造方法、該防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板、並びに該偏光板を用いた液晶表示装置及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い防眩性と白ボケの低減、正面コントラストと斜め方向のコントラストが良好な防眩性反射防止フィルム、それを用いた偏光板及びディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】 透明支持体上に少なくとも防眩層と低屈折率層とがこの順に積層され、該防眩性反射防止フィルムの積分反射率が3.5%以下、積分反射率と鏡面反射率の差が0.5%以上であり、該低屈折率層側から垂直方向に対して入射角−60°光量I0に対する反射角+45°反射光量I45°が、5.0≧−LOG10(I45°/I0)≧3.8を満たすことを特徴とし、表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であり、内部散乱に起因するヘイズ値が15〜32%であることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防眩性反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置に関し、更に詳細には後述するような明室での白ボケが低減され、液晶表示装置の表面に用いた際に、正面コントラストを低減せずに、斜め方向のコントラストを改善できる防眩層と低屈折率層を有する防眩性反射防止フィルム、該防眩性反射防止フィルムを表面保護フィルムとして用いた偏光板、該反射防止フィルム偏光板を用いた画像表示装置に関する。
防眩性フィルムは、大きくは主に表面散乱性が大きい防眩性フィルムと、表面散乱性と同等、或いはそれ以上に大きな内部散乱性を有する防眩性フィルムとに大別することができる。防眩性フィルムは一般に、CRT、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、外光の反射による像の映り込みを防止するために、ディスプレイの最表面に配置される。また、特に近年表示装置の高精細化に伴い、防眩性フィルムによる微小な輝度ムラ(ギラツキと呼称する)の改良手段として、表面散乱に加えて従来以上に高い内部散乱性を有する防眩性フィルムに関する技術が開示されている(特許文献1〜5)。
一方、表面散乱性はなく、内部散乱性のみを有することにより、LCDの視野角特性を向上する散乱性フィルムに関する技術が開示されている(特許文献7参照)。また、特許文献7で開示されているように、光散乱性フィルムが表示装置の最表面に用いられる場合には、明室にて外光の表面反射を抑制する効果を有する、反射防止機能を併せ持つフィルムが好ましいことが知られている。
近年、液晶テレビ等に代表されるような、大画面を有する表示装置へのアプリケーションの市場が急速に拡大している。このようなアプリケーションにおいては、表示装置は明室下で使用される頻度が高く、従来の防眩層を有するフィルムを表示装置の表面に適用すると、明室下で表面が全体的に白く光ること(以後、白ボケと称する)が問題となってきた。
また、最近では上述したギラツキを改良した高い内部散乱性を有する防眩性フィルムがこのアプリケーションにも用いられているが、高い内部散乱性は表示装置が本来有するコントラストを低下してしまう問題を引き起こすため、必ずしもこのアプリケーションに対しては最適ではない。また、特許文献8では、偏光子と位相差補償素子を有する液晶表示装置の観察者側に特定のヘイズ値を有するアンチグレア層を設けることにより、液晶表示装置の色再現性を改善する技術が開示されているが、表示装置の正面コントラストおよび斜め方向のコントラストに関しては記載が無く、また、フィルムの表面反射率、表面ヘイズに関する記載および内部ヘイズと表面ヘイズの分類も十分でなく、明室下での画像表示性能改善に関する十分な記載はされていない。
特開2000−304648号公報 特許第3507719号公報 特開平11−326608号公報 特許第3515401号公報 特許第3515426号公報 特開2003−121606号公報 特開2003−270409号公報 特許第3602438号公報
以上要するに、防眩性と白ボケの防止、および画像表示装置に使用した場合の正面コントラストの低下を問題のないレベルに押さえつつ、斜め方向のコントラスト改善を同時に満足する防眩性反射防止フィルムは提案されていないのが現状である。
従って、本発明の目的は、優れた防眩性と白ボケの防止性能を有し、かつ画像表示装置に使用した場合の正面コントラストと斜め方向のコントラストが良好な防眩性反射防止フィルムを提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の防眩性反射防止フィルムを高い生産性で提供することにある。
本発明の更なる目的は、上記の正面コントラストと斜め方向のコントラストが良好な偏光板、液晶表示装置やその他の画像表示装置を提供することにある。
(以下、請求項の変更に従って変更願います。)
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記の(1)〜(15)に記載した光学特性(反射特性、光散乱特性、屈折率、密度、表面粗さ特性など)を具備した防眩性反射防止フィルム及びそのフィルムを用いた偏光板、液晶表示装置などにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の構成により、前記目的を達成したものである。
(1)透明支持体上に少なくとも防眩層と低屈折率層とがこの順に積層された防眩性反射防止フィルムであって、該防眩性反射防止フィルムの積分反射率が3.5%以下、かつ、積分反射率と鏡面反射率の差が0.5%以上であり、該低屈折率層側から垂直方向に対して−60°傾斜して入射した光量I0に対する+45°傾斜した方向へ反射した光量I45°が、下式(1)を満たすことを特徴とし、表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であり、内部散乱に起因するヘイズ値が15〜32%であることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
式(1) 5.0≧−LOG10(I45°/I0)≧3.8
(2)前記光量I0に対する+50°傾斜した方向へ反射した光量I50°、及び+40°傾斜した方向へ反射した光量I40°が、下式(2)及び(3)を満たすことを特徴とする上記(1)に記載の防眩性反射防止フィルム。
式(2) 4.0≧−LOG10(I50°/I0)≧3.0
式(3) 5.5≧−LOG10(I40°/I0)≧4.5
(3)前記防眩性反射防止フィルムの中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μmであり、凹凸の平均間隔Smが50〜100μmであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の防眩性反射防止フィルム。
(4)JIS K7105に準じた像鮮明性が光学くし幅0.5mmで測定したときに5%〜30%であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
(5)前記防眩層が透光性樹脂と1種類以上の透光性粒子とを含有する厚みが4.5μm〜9μmの層であり、該透光性粒子の粒径が0.5〜10μmで透光性粒子の防眩層中濃度が全固形分の5〜30質量%であり、該透光性樹脂の屈折率は1.52±0.02の範囲であり、かつ透光性粒子の少なくとも30質量%は透光性樹脂との屈折率差が0.008以上0.05以内であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
(6)透光性微粒子の密度が0.8〜3.2g/m2であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
(7)透光性樹脂との屈折率差が0.008以上0.05以内である透光性粒子が架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなり、アクリル単位の比率が20〜100質量%であることを特徴とする上記(5)又は(6)に記載の防眩性反射防止フィルム。
(8)前記防眩層が、透光性樹脂、透光性微粒子及び複数の種類の溶媒を含有する塗布組成物を透明支持体上に塗布、乾燥、硬化することによって形成されたことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
(9)前記低屈折率層が、(A)熱硬化性および/または電離放射線硬化性を有する含フッ素化合物、(B)無機微粒子、並びに(C)下記一般式(1)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物、及び該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物の中から選ばれる少なくとも一種、のうち少なくとも2種以上を含有する硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成された硬化膜であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
一般式(1): (R10−Si(X)4-m
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す)。
(10)前記熱硬化性および/または電離放射線硬化性を有する含フッ素化合物がフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含有することを特徴とする上記(9)に記載の防眩性反射防止フィルム。
(11)前記無機微粒子が、平均粒径が該低屈折率層の厚みの10%以上100%以下である無機微粒子であることを特徴とする上記(9)又は(10)に記載の防眩性反射防止フィルム。
(12)前記無機微粒子が粒子内に中空構造を有し、屈折率が1.17から1.40の無機微粒子であることを特徴とする上記(9)〜(11)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
(13)前記防眩層および前記低屈折率層の両方が、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性塗布組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
(14)前記防眩層と前記透明支持体の間、または、前記防眩層と前記低屈折率層の間に透明導電性層を有することを特徴とする上記(1)〜(13)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
(15)前記防眩層と透明支持体の間に透明導電性層を有し、および/または、防眩層内に通電性粒子を含有することを特徴とする上記(1)〜(14)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
(16)偏光膜と、該偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムとからなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも一方が、上記(1)〜(15)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
(17)前記2枚の保護フィルムのうち、一方が上記(1)〜(15)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムであり、他方が光学補償フィルムであることを特徴とする偏光板。
(18)上記(1)〜(15)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム、または、上記(16)または(17)に記載の偏光板を少なくとも1枚有することを特徴とする画像表示装置。
(19)液晶セルの両面に偏光子を有し、液晶セルと偏光子の間に、少なくとも1枚の位相差補償素子を有し、斜め45度の4方向の極角60度方向のコントラストの平均が、正面コントラストの10分の1以下である液晶表示装置の表面に、上記(1)〜(15)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
(20)上記(1)〜(15)のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法であって、透光性粒子、透光性樹脂、および溶媒を含有する防眩層用の塗布組成物および/または低屈折率用の塗布組成物および/または透明導電性層の塗布組成物を、バックアップロールによって支持されて連続走行する該透明支持体のウェブの表面にスロットダイの先端リップのランドを近接させて該先端リップのスロットから塗布組成物を塗布することにより、該透明支持体上に防眩層および/または低屈折率層を塗工する工程を含むことを特徴とする、防眩性反射防止フィルムの製造方法。
本発明により、高い防眩性と白ボケの低減とを同時に満足し、かつ、画像表示装置に使用した場合の正面コントラストと斜め方向のコントラストが良好な防眩性反射防止フィルムを提供することができる。更に、上記の防眩性反射防止フィルムを高い生産性で提供することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本発明の防眩性反射防止フィルムについて好適な一実施形態の基本的な構成を図面を参照しながら説明する。
ここで、図1は、本発明の防眩性を有する防眩性反射防止フィルムの好ましい1実施形態を模式的に示す断面図である。
図1に示す本実施形態の防眩性反射防止フィルム1は、透明支持体2と、透明支持体2上に形成された防眩層3と、防眩層3上に形成された低屈折率層4とからなる。防眩層3の上に低屈折率層4を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
防眩層3は、防眩性を有する層であり、透光性樹脂と透光性樹脂中に分散された透光性粒子5とからなる。防眩層3は、防眩性とハードコート性を兼ね備えたものであることが好ましい。本実施形態においては、防眩層が1層形成されたものを例示しているが、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
また、帯電防止のために、防眩層3と透明支持体2との間または防眩層3と低屈折率層4との間に透明導電性層を有することが望ましく、防眩層3と透明支持体2との間に透明導電性層を有することが特に望ましい。また、防眩層3と透明支持体2の間に透明導電性層を有し、かつ、防眩層内に通電性粒子を有するのは帯電防止に特に効果的である。また、防眩層3と透明支持体2との間には、透明導電性層以外に、防湿層等の機能層を設けてもよい。
本発明の防眩性反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
防眩層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、防眩層の屈折率(na)と低屈折率層の屈折率(nb)の差na−nbは0.03以上0.35以下であり、0.05以上0.30以下であることが好ましく、0.07以上0.25以下であることがより好ましい。両者の屈折率差が小さ過ぎると反射率を十分に下げることができず、表面への反射像の映り込みを十分に防止することができない。一方、屈折率差が大きすぎると、膜の強度が弱くなる、色味が強くなるなどの弊害が生じる。
防眩層の屈折率(na)は1.50以上であることが好ましく、1.50以上1.70以下がより好ましく、1.51以上1.65以下がさらに好ましい。防眩層の屈折率を特定の値以上に高くすることで、低屈折率層との屈折率差を高くすることができ、反射率低減が可能となるが、屈折率を高くしすぎると、透光性粒子と透光性樹脂との屈折率差が大きくなりすぎ、内部ヘイズ値が大きくなりすぎるため、好ましくない。また、使用できる素材が限定され、高コストになるため、好ましくない。したがって、1.50〜1.54が特に望ましい。なお、本発明において防眩層の屈折率は透光性粒子を除いた固形分を含む塗膜の屈折率から求めた値である。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、低屈折率層側から垂直方向に対して−60°傾斜して入射した光量I0の光に対する45°傾斜した方向へ反射した光量I45°が前記式(1)を満たすことが必須である。図2は、このような散乱特性を測定するための光学系の概略図である。図2に示すように、防眩性反射防止フィルムの表面から垂直な方向を0°とし、この垂直方向に対して左回りをマイナス、右回りをプラスと定義する。式(1)におけるI0は、防眩性反射防止フィルムの低屈折率層に向かって−60°の方向に入射させた光量を表す。入射光量は、光源で調整することができる。
一方、受光器を+45°方向に配置し、受光器により測定された反射光の光量をI45°とする(なお、式(2)におけるI50°、式(3)におけるI40°も、受光器をそれぞれ+50°方向、+40°方向に配置して同様に測定した光量の値である)。以上の測定装置としては、例えば(株)村上色材研究所社製の「ゴニオフォトメータ」を用いることができる。
なお、図2においては、ディスプレイ装置の黒表示の条件に近づけるために、偏光板に防眩性反射防止フィルムを貼り付けた状態でI0及びI45°を測定しているが、防眩性反射防止フィルム単独として反射防止層を有する面の反対面を黒色インクで処理し、裏面反射のない状態として測定してもよい。
式(1)の(−LOG10(I45°/I0))の値が大きいほど、45°方向への散乱光が少なくなることを意味し、45°方向から目視した際の白ボケが良好となる。式(1)に示すように、(−LOG10(I45°/I0))の値は、3.8〜5.0が好ましく、4.0〜4.7がより好ましい。3.8未満では明室での白ボケが悪化する。一方、5.0を超えると防眩性が不足する。
また、垂直方向に対して−60°傾斜して入射した光量I0の光に対する50°傾斜した方向へ反射した光量I50°、45°傾斜した方向へ反射した光量I45°、および40°傾斜した方向へ反射した光量I40°が、それぞれ前記式(2)、(3)を満たすと、より広い視角範囲において白ボケが改良され、より好ましい。
また、防眩性反射防止フィルムの表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)は、1%〜10%であることが好ましく、2%〜10%であることがより好ましく、3〜8%が特に好ましい。表面ヘイズが1%未満では防眩性が不足し、10%を超えると白ボケが悪化する。
また、防眩性反射防止フィルムは、内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズと呼称する)が15%〜32%であることが好ましく、20%〜32%であることがより好ましい。内部ヘイズは低い程、正面コントラストの低下を起こしにくいが、斜め方向のコントラストの改善効果が低い。内部散乱が32%を超えると、コントラストの悪化や画像ボケが起こる場合がある。
また、該防眩性反射防止フィルムの積分反射率が3.5%以下、かつ、積分反射率と鏡面反射率の差が1%以上であり、透過率は90%以上とするのが、外光の反射を抑制でき、表面への像の映り込みを低減し、視認性が向上するため、好ましい。
JIS K7105に準じた像鮮明性が光学くし幅0.5mmで測定したときに5%〜45%であるのが、充分な防眩性が得られるため好ましく、10〜30%であるのが、防眩性と白ボケ低減の両立の面で望ましい。
また、C光源下でのCIE1976L***色空間における反射光の色味がa*値−2〜2、b*値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の比0.5〜0.99とするのが、反射光の色味がニュートラルとなるので、好ましい。またC光源下での透過光のb*値を0〜3とすると、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。
さらに、本発明の防眩性反射防止フィルムは、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、表面の傾斜角が0〜5度の頻度が50%以上となるように設計するのが、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成されるので、好ましく、60%以上が更に好ましい。表面の傾斜角はマイクロマップや触針式表面粗さ計などのデータを基に、最小の測定単位の3点で平面を形成し、その平面の垂線と鉛直方向のなす角度から求めることができる。Raが0.08未満では充分な防眩性が得られず、0.30を超えるとギラツキ、白ボケ等の問題が発生する場合がある。
次に、防眩性反射防止フィルムの防眩層について以下に説明する。
[防眩層]
防眩層は、表面散乱による防眩性と、透光性樹脂と透光性粒子の界面散乱による内部散乱性、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、好ましくはハードコート性を付与することのできる透光性樹脂、防眩性、内部散乱性を付与するための透光性粒子、および溶媒を含有する。
(透光性粒子)
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。さらに好ましくは3.0〜4.0μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字ボケを引き起こしたりするため、好ましくない。一方、10μmを超えると、防眩層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールが大きくなり、また素材コストが上昇してしまう、等の問題が生じる。
透光性微粒子の具体例としては、例えばポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性微粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率を調整することにより、内部ヘイズ、表面ヘイズを所望の範囲にすることができ、透光性樹脂と透光性微粒子と塗布組成物の溶媒との組み合わせ、添加量等を調整することで、中心線平均粗さを所望の範囲にすることができる。
具体的には、後述する防眩層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした透光性樹脂(硬化後の屈折率が1.50〜1.54)を用いた場合には、アクリル単位(アクリレートモノマー由来の構成成分)の含率20〜100質量%である架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性微粒子を少なくとも1種類組み合せることが好ましく、特に前記透光性樹脂と架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体からなる透光性微粒子(屈折率が1.48〜1.58)との組合せが好ましい。
ここで、「3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした透光性樹脂」とは、透光性樹脂中に3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーからなる繰り返し単位が、50〜100質量%含まれていることを意味する。3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーからなる繰り返し単位の含有量は好ましくは60〜100質量%である。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性微粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性微粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性微粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
前記透光性微粒子は、形成された防眩層中に、防眩層全固形分中に5〜30質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは8〜25質量%である。さらに好ましくは8〜15質量%である。3質量%未満であると、防眩性が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる場合がある。
また、透光性微粒子の密度は、好ましくは0.8〜3.2g/m2、より好ましくは0.9〜2.8g/m2である。
透光性樹脂と透光性微粒子との屈折率は、上述の範囲であることが好ましい。また、透光性樹脂と透光性微粒子との屈折率の差(透光性微粒子の屈折率−透光性樹脂の屈折率)は、絶対値として好ましくは0.008〜0.15であり、より好ましくは0.01〜0.10である。特に好ましくは0.008〜0.05の範囲の透光性粒子を全透光性粒子の30%以上用いることである。以上のような範囲にすることで、画像のボケ、表面の白濁、コントラストなど良好な性能を得ることが可能である。
透光性微粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性微粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
また、透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。透光性樹脂が硬化性の場合には硬化後の屈折率を指す。
防眩層の膜厚は、4.5〜9μmが好ましく、5〜8μmがより好ましく、5〜7μmがさらに好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する、コストアップする、ムラが発生し易いなどの問題が発生する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
さらに、防眩性層の透光性粒子密度と用いる透光性粒子の屈折率範囲、2種類の粒子を用いる場合の各粒子の含有率に関しては、更に詳細に最適な範囲があることが見出された。表11にその関係をまとめる。2種類の粒子を用いるのはその比率の調整により、粒子量を変えずに、所望の内部ヘイズ値、表面ヘイズ値を得ることができ好ましい。3種類以上の粒子を用いることも可能であるが、系が複雑になる問題がある。表中の好ましい範囲において、好ましい内部ヘイズ値、表面ヘイズ値をえることができ、画像のボケ、表面の白濁、コントラストなど良好な性能を得ることが可能であり、より好ましい範囲でより良好な性能を得ることが可能である。表中の粒子の屈折率差は防眩性層に用いる透光性粒子と透光性樹脂の屈折率差を示す。
Figure 2007057612
(透光性樹脂)
透光性樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。前記モノマーは2種以上併用してもよい。
バインダーポリマーを高屈折率にするには、モノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーや、フルオレン骨格を分子内に有するモノマー等を選択することもできる。
高屈折率モノマーの具体例としては、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート類、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、前記防眩層は、上述のエチレン性不飽和モノマー等の透光性樹脂形成用のモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、透光性微粒子および必要に応じて後述するような無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
光ラジカル(重合)開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
最新UV硬化技術(p.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており、本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル(重合)開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光ラジカル(重合)開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光ラジカル(重合)開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに、またはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。
ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
(無機フィラー)
防眩層には、層の屈折率を調整して内部散乱に起因するヘイズ値を低減するために、前記の透光性微粒子に加えて、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーは、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなることが好ましい。また、平均粒径は、0.2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下、さらに好ましくは0.06μm以下である。このような無機フィラーは、一般的に比重が有機物よりも高く、塗布組成物の密度を高くできるため、透光性微粒子の沈降速度を遅くする効果もある。なお、このような無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
防眩層に用いられる無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、この場合はフィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
無機フィラーの添加量は、防眩層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
(オルガノシラン化合物)
防眩層にオルガノシラン化合物を用いることができる。オルガノシラン化合物の添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
防眩層に用いるオルガノシラン化合物としては、後述の低屈折率層用オルガノシラン化合物と同様のものを使用することができる。
(防眩層用界面活性剤)
防眩層には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を防眩層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。面状均一性を高めることにより、高速塗布することが可能となり、生産性を高めることができる。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位からなる樹脂、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むアクリル樹脂又はメタアクリル樹脂、又はこれらに共重合可能なビニル系モノマー(例えば、下記(i)のモノマーが好ましい)との共重合体が有用である。
Figure 2007057612
一般式イにおいてR11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。
Figure 2007057612
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH3)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
フッ素系ポリマー中に用いられる一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは15〜70モル%であり、さらに好ましくは20〜60モル%の範囲である。
また、フッ素系ポリマー中に用いられる一般式ロで示されるモノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて1モル%以上であることが好ましく、より好ましくは5〜70モル%であり、さらに好ましくは10〜60モル%の範囲である。
以下、一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーからなるフッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すが、この限りではない。なお式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2007057612
Figure 2007057612
一般式イで表されるモノマーからなるフッ素系ポリマーを使用することにより、防眩層表面にF原子を含有する官能基が偏析することにより防眩層の表面エネルギーが低下し、防眩層上に低屈折率層をオーバーコートしたときに反射防止性能が悪化する問題が生じることがある。これは低屈折率層を形成するために用いられる硬化性組成物の濡れ性が悪化するために低屈折率層に目視では検知できない微小なムラが悪化するためと推定される。
このような問題を解決するためには、フッ素系ポリマーの構造と添加量を調整することにより、防眩層の表面エネルギーを好ましくは20mN・m-1〜50mN・m-1に、より好ましくは30mN・m-1〜40mN・m-1に制御することが効果的であることを見出した。前記のような表面エネルギーを実現するためには、X線光電子分光法で測定したフッ素原子由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるF/Cが0.1〜1.5であることが必要である。
或いは、上層を塗布する時には上層を形成する溶媒に抽出されるようなフッ素系ポリマーを選択することで、下層表面(=界面)に偏在することがなくなり上層と下層の密着性を持たせることで、高速塗布においても面状の均一性を保ち、かつ耐擦傷性の強い反射防止フィルムを提供できる表面自由エネルギーの低下を防ぐことにより、低屈折率層塗布前の防眩層の表面エネルギーを前記範囲に制御することでも目的を達成することができる。そのような素材の例としては、下記一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーに相当する繰り返し単位を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマー(例えば、下記(iv)のモノマーが好ましい)との共重合体が挙げられる。
Figure 2007057612
一般式ハにおいてR21は水素原子またはハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。X2は酸素原子、イオウ原子または−N(R22)−を表し、酸素原子または−N(R22)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。mは1以上6以下の整数(1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。)、nは1以上18以下の整数(4〜12がより好ましく、6〜8が更に好ましい。)を表す。R22は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。X2は酸素原子が好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーが2種類以上構成成分として含まれていても良い。
Figure 2007057612
一般式ニにおいて、R23は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Y2は酸素原子、イオウ原子または−N(R25)−を表し、酸素原子または−N(R25)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R25は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。
24は置換基を有しても良い炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基、置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。炭素数1〜12の直鎖、分岐、または環状のアルキル基、または総炭素数6〜18の芳香族がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐、または環状のアルキル基が更に好ましい。
フッ素系ポリマー中に用いられる一般式ハで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは50〜100モル%であり、さらに好ましくは60〜100モル%の範囲である。
また、フッ素系ポリマー中に用いられる一般式ニで示されるモノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて0モル%以上であることが好ましく、より好ましくは0〜50モル%であり、さらに好ましくは0〜40モル%の範囲である。
以下、一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーに相当する繰り返し単位を含むフッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2007057612
Figure 2007057612
Figure 2007057612
Figure 2007057612
Figure 2007057612
また防眩層上に低屈折率層をオーバーコートする時点で表面エネルギーの低下を防げば、反射防止性能の悪化が防げる。このため、防眩層塗布時にはフッ素系ポリマーを用いて塗布液の表面張力を下げて面状均一性を高め、高速塗布による高生産性を維持し、防眩層塗布後にコロナ処理、UV処理、熱処理、鹸化処理、溶剤処理といった表面処理手法を用いて、表面自由エネルギーの低下を防ぐことにより、低屈折率層塗布前の防眩層の表面エネルギーを前記範囲に制御することでも目的を達成することができる。表面処理手法として、特に好ましいのはコロナ処理である。
また、防眩層を形成するための塗布組成物中に、チクソトロピー剤を添加しても良い。チクソトロピー剤としては、0.1μm以下のシリカ、マイカ等があげられる。これら添加剤の含有量は、通常、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜10質量部程度とするのが好適である。
フッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、フッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼすことがある。
(溶媒)
防眩層は、直接透明支持体上にウエット塗布される場合が多いため、特に塗布組成物に用いる溶媒は重要な要因となる。溶媒は、上記透光性樹脂等の各種溶質を充分に溶解すること、上記透光性微粒子を溶解しないこと、塗布〜乾燥過程で塗布ムラ、乾燥ムラを発生しにくいこと、支持体を溶解しないこと(平面性悪化、白化等の故障防止に必要)、逆に最低限の程度には支持体を膨潤させること(密着性に必要)、等の要件を満たしていることが好ましい。
溶媒としては、透明支持体を溶解しない溶媒を主溶媒として含有することが好ましい。主溶媒の具体例としては、支持体にトリアセチルセルロースを用いる場合には、各種ケトン(メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、各種セロソルブ(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)が好ましく用いられる。
また、上記の中から選択した主溶媒に対して、水酸基を有する少量溶媒を添加することにより、防眩性が調整でき、特に好ましい。水酸基を有する少量溶媒は、塗布組成物の乾燥工程において主溶媒よりも後まで残留することで防眩性を強くすることができるため、20〜30℃の範囲内のある温度における蒸気圧が前記主溶媒に対して低いことが好ましい。例えば、主溶媒をメチルイソブチルケトン(21.7℃における蒸気圧:16.5mmHg)に対して水酸基を有する少量溶媒としてプロピレングリコール(20.0℃における蒸気圧:0.08mmHg)の組み合わせが好ましい一例として挙げられる。主溶媒と水酸基を有する少量溶媒の混合比は、重量比で99:1〜50:50が好ましく、95:5〜70:30がより好ましい。50:50を超えると、塗布液の安定性や、塗布後の乾燥工程における面質のバラツキが大きくなり、好ましくない。
次に、低屈折率層について以下に説明する。
[低屈折率層]
本発明の反射防止フィルムにおける低屈折率層の屈折率は、1.30〜1.55であることが好ましく、好ましくは1.35〜1.45の範囲である。屈折率が1.30未満であると、反射防止性能は向上するが、膜の機械強度が低下し、1.55を超えると、反射防止性能が著しく悪化してしまう。
さらに、低屈折率層は下記数式(I)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(I): (mλ/4)×0.7<n1×d1<(mλ/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、前記数式(I)を満たすとは、前記波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
低屈折率層は、例えば含フッ素ポリマーを主成分とする硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成される硬化膜である。ここで、「含フッ素ポリマーを主成分とする硬化性組成物」とは、低屈折率層を形成したときに含フッ素ポリマーがバインダーポリマーとして機能しうる程度の量で含まれていることを意味し、含フッ素ポリマーの含有量の好ましい範囲は後述の通りである。
また、低屈折率層には、含フッ素ポリマーのほかに、無機微粒子及びオルガノシラン化合物の少なくともいずれかを含有するのが好ましい。低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
(低屈折率層用含フッ素ポリマー)
含フッ素ポリマーは、硬化被膜にした場合の被膜の動摩擦係数が0.03〜0.20、水に対する接触角が90〜120°、純水の滑落角が70°以下であり、熱または電離放射線により架橋するポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
また、反射防止フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、4.9N(500gf)以下が好ましく、2.94N(300gf)以下がより好ましく、0.98N(100gf)以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーは、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含有し、且つ架橋性もしくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーであることが好ましい。このような含フッ素ポリマーとしては、例えば、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物〔例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン〕の加水分解物や脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性単位とを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素共重合体の場合、主鎖は、炭素原子のみからなるのが好ましい。すなわち、主鎖骨格に酸素原子や窒素原子などを有しないのが好ましい。
前記含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
前記架橋反応性単位としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位;カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー〔例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等〕の重合によって得られる構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また、前記含フッ素モノマー単位及び前記架橋反応性単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から、適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合させて、他の重合単位を導入することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類〔エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等〕、アクリル酸エステル類〔アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル〕、メタクリル酸エステル類〔メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等〕、スチレン誘導体〔スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等〕、ビニルエーテル類〔メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等〕、ビニルエステル類〔酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等〕、アクリルアミド類〔N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等〕、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
前記含フッ素ポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類とのランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基〔(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等〕を有していることが好ましい。
これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
低屈折率層用含フッ素ポリマーの好ましい形態として一般式1で表される共重合体が挙げられる。
Figure 2007057612
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N及びSから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**, *−(CH22−NH−**, *−(CH24−O−**, *−(CH26−O−**, *−(CH22−O−(CH22−O−**,*−CONH−(CH23−O−**, *−CH2CH(OH)CH2−O−**, *−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(* はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65が好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。ただし、x+y+z=100である。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい形態として一般式2が挙げられる。
Figure 2007057612
一般式2においてXは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
x、y、z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表し、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、5≦y≦70を満たすのが好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55の場合である。z1及びz2については、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たすのが好ましく、更に好ましくは0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
一般式1又は2で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。この際用いられる再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
一般式1又は2で表わされる共重合体の好ましい具体例としては、特開2004−45462号公報の[0035]〜[0047]に記載されたものを挙げることができ、該公報に記載の方法により合成することができる。
(低屈折率層用無機微粒子)
無機微粒子の配合量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上100%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
前記無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定することができる。
低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、前記無機微粒子は、中空構造であるのが好ましく、また、無機微粒子の屈折率は1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空構造の無機微粒子の場合に外殻の無機質のみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(II)で表される空隙率xは、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。

数式(II): x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
中空の無機微粒子の屈折率をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点からは屈折率1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定することができる。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(以下「小サイズ無機微粒子」と称す)の少なくとも1種を前記の好ましい範囲内の粒径の無機微粒子(以下「大サイズ無機微粒子」と称す)と併用してもよい。
小サイズ無機微粒子は、大サイズ無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ無機微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
無機微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。中でもカップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
(低屈折率層用オルガノシラン化合物及びその誘導体)
前記硬化性組成物には、オルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、及び該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物の中から選ばれる少なくとも一種を含有させることが、耐擦傷性の点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
以下では、オルガノシランの加水分解物、またはその部分縮合物を含有する反応溶液を「ゾル成分」とも称する。
このオルガノシラン化合物、またはそのゾル成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することにより低屈折率層のバインダーとして機能する。また、前記含フッ素ポリマーを有する場合は、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物は、下記一般式[A]で表されるものが好ましい。
一般式[A]
(R10m−Si(X)4-m

前記一般式[A]において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式[B]で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
Figure 2007057612
前記一般式[B]において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは *−COO−**, *−CONH−**又は *−O−**を表し、単結合、 *−COO−**および *−CONH−**が好ましく、単結合および *−COO−**が更に好ましく、 *−COO−**が特に好ましい。* は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。nとして好ましくは0である。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10は一般式[A]と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式[A]と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式[A]、一般式[B]の化合物は2種類以上を併用しても良い。一般式[A]、一般式[B]で表される化合物の具体例を示すが、以下に限定されるものではない。
Figure 2007057612
Figure 2007057612
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
そして、ゾル成分として使用する場合には、前記オルガノシラン化合物の加水分解物またはその加水分解物の部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、金属キレート化合物、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
金属キレート化合物としては、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとR4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(OR3p1(R4COCHCOR5p2、Ti(OR3q1(R4COCHCOR5q2、およびAl(OR3r1(R4COCHCOR5r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
また、低屈折率層用組成物には、更にβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物としては、一般式R4COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が好ましく、これらは低屈折率層用組成物の安定性向上剤として作用するものである。ここで、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物またはその部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を構成するR4およびR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4およびR5と同様である。
このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
前記オルガノシラン化合物の配合量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(防眩層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物またはその部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物またはその部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を防眩層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
(ゾルゲル素材)
低屈折率層用の素材として、各種ゾルゲル素材を用いることもできる。このようなゾルゲル素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガノアルコキシ金属化合物、およびその加水分解物を用いることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシランおよびその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有シラン化合物を用いることは、層の低屈折率化および撥水・撥油性付与の点で好ましい。
(低屈折率層用組成物に含まれるその他の物質)
低屈折率層用組成物には、前述の含フッ素ポリマー、無機微粒子、及びオルガノシラン化合物の他に、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤を添加することができる。この際、添加剤等の固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1〜20質量%程度である。
低屈折率層と直接接する下層との界面密着性等の観点からは、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤を少量添加することもできる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して30質量%以下の範囲とすることが好ましく、20質量%以下の範囲とすることがより好ましく、10質量%以下の範囲とすることが特に好ましい。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系化合物あるいはフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ単位以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3,−CH2(CF24H,−CH2(CF28CF3,−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32,−CH2CF(CF32,−CH(CH3)CF2CF3,−CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば−CH2OCH2CF2CF3,−CH2CH2OCH248H,−CH2CH2OCH2CH2817,−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、低屈折率層用組成物には、上述した無機微粒子以外の無機フィラーを本発明の所望の効果を損なわない範囲の添加量で添加することもできる。無機フィラーとしては、前述のものを用いることができる。
(低屈折率層用の溶剤)
低屈折率層を形成するための塗布組成物に用いる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。乾燥負荷の観点からは、常圧、室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
[透明導電性層]
本発明の防眩性反射防止フィルムには、帯電防止の目的で透明導電性層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。透明導電性層は、ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合に有効である。透明導電性層を形成する方法としては、例えば、通電性粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の公知の方法を挙げることができる。塗工する場合、その方法は特に限定されず、塗工液の特性や塗工量に応じて、例えば、ロールコート、グラビアコート、バーコート、押出しコート等の公知の方法より最適な方法を選択して行えばよい。
透明導電性層は、透明支持体又は防眩層上に直接又はこれらとの接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。
透明導電性層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。透明導電性層の表面抵抗は、105〜1012Ω/sqであることが好ましく、105〜109Ω/sqであることがさらに好ましく、105〜108Ω/sqであることが最も好ましい。帯透明導電性層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
透明導電性層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、透明導電性層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
透明導電性層は、強度が優れていることが好ましく、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度(JIS−K−5400の規定)で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
(通電性粒子)
透明導電性層に用いる通電性粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される透明導電性層中の通電性粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。通電性粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
通電性粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
通電性粒子は、金属の酸化物または窒化物からなる無機微粒子であることが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが挙げられる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。
通電性粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が挙げられる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
通電性粒子は表面処理されていてもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナおよびシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
通電性粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
透明導電性層中の導電性無機微粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。
二種類以上の通電性粒子を透明導電性層内で併用してもよい。
通電性粒子は、分散物の状態で透明導電性層に使用することができる。通電性粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。この中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。通電性粒子は、分散機を用いて媒体中に分散できる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが挙げられ、サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。
予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが挙げられる
(透明導電性層のバインダー)
透明導電性層は、架橋しているポリマーをバインダーとして用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。アニオン性基は、通電性粒子の分散状態を維持する機能を有する。架橋構造は、ポリマーに皮膜形成能を付与して、透明導電性層を強化する機能を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。
ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。
ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。
ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。
ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。
ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。
ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。
メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は、二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)する。架橋構造は、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。
四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
上記バインダーに対して、例えば特開2003−39586号公報に記載の以下の反応性有機珪素化合物と併用することもできる。反応性有機珪素化合物は、電離放射線硬化型樹脂と反応性有機珪素化合物の合計に対して10〜100質量%の範囲で使用される。特に下記の(3)の電離放射線硬化性有機珪素化合物を使用する場合には、これだけを樹脂成分として導電層を形成することが可能である。
(1)珪素アルコキシド
RmSi(OR’)nで表される化合物であり、ここでR、R’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m及びnはそれぞれm+n=4となる整数である。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(2)シランカップリング剤
例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
(3)電離放射線硬化性珪素化合物
電離放射線によって反応架橋する複数の基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機珪素化合物が挙げられる。このような反応性有機珪素化合物は、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
その他の化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
帯電防止機能をより発現するためには、特開2003−39586号公報に示されるように、本発明の防眩層中に通電性粒子を分散し、異方性導電膜としての機能を有させることも好ましい。
[透明支持体]
防眩性反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、代表的には富士写真フイルム社製TAC−TD80U,TD80ULなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィンが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
セルロースアシレートは、単層または複数の層からなる。単層のセルロースアシレートは、特開平7−11055号等で開示されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作成され、後者の複数の層からなるセルロースアシレートは、公開特許公報の特開昭61−94725号、特公昭62−43846号等で開示されている、いわゆる共流延法により作製される。すなわち、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムからなる支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
前記のような、セルロースアシレートを溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし地球環境や作業環境の観点から、溶剤はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶剤中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。
前記のような種々のセルロースアシレートフィルム(トリアセチルセルロースなどからなるフィルム)およびその製造法については発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行)に記載されている。
セルロースアシレートフィルムの厚みとしては40μm〜120μmが好ましい。ハンドリング適性、塗布適性等を考慮すると80μm前後が好ましいが、近年の表示装置の薄手化の傾向から、偏光板の薄手化のニーズが大きく、偏光板薄手化の観点では40μm〜60μm前後が好ましい。このような薄手のセルロースアシレートフィルムを本発明の防眩性反射防止フィルムの透明支持体として用いる場合には、セルロースアシレートフィルムに直接塗布する層の溶媒、膜厚、架橋収縮率等を最適化することにより前記のハンドリング、塗布適性等の問題を回避することが好ましい。
[他の層について]
[その他の層]
透明支持体と本発明の防眩層の間に設けても良い他の層として、防湿層、密着改良層、虹ムラ(干渉ムラ)防止層等が挙げられる。これらの層は、公知の方法にて形成することができる。
[反射防止フィルムの製造方法]
本発明の防眩性反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
(塗布液の調整)
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液を調製する。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
防眩層を形成する塗布液中には、直接その上に形成される低屈折率層の乾燥膜厚(50nm〜120nm程度)に相当する大きさの異物を概ね全て(90%以上を指す)除去できるろ過をすることが好ましい。防眩性を付与する為の透光性微粒子が低屈折率層の膜厚と同等以上であるため、前記ろ過は、透光性微粒子以外の全ての素材を添加した中間液に対して行うことが好ましい。また、前記のような粒径の小さな異物を除去可能なフィルターが入手できない場合には、少なくとも直接その上に形成される層のウエット膜厚(1〜10μm程度)に相当する異物を概ね全て除去できるろ過をすることが好ましい。このような手段により、直接その上に形成される層の点欠陥を減少することができる。
(塗布)
次に、防眩層、および必要に応じて低屈折率層を形成するための塗布液をエクストルージョン法(ダイコート法)、マイクログラビア法等の塗布方法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。その後、光照射および/または加熱して、防眩層ないし低屈折率層を形成するためのモノマーや硬化性樹脂を硬化する。これにより防眩層、低屈折率層が形成される。
防眩性反射防止フィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、防眩層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cc/m2以下)で好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に説明する。
<ダイコーターの構成>
図3は本発明の実施形態に係るスロットダイを用いたコーターの断面図である。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、例えば図3に示すような略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18が形成されている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
図4(A)は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は図3に示すスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、スロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良く行うことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは30μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上80μm以下、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。下流側リップのランド長さILOが30μmよりも短い場合は、先端リップのエッジあるいはランドが欠けやすく、塗膜にスジが発生しやすくなり、結果的には塗布が不可能になる。また、下流側の濡れ線位置の設定が困難になり、塗布液が下流側で広がりやすくなるという問題も発生する。この下流側での塗布液の濡れ広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながることが従来より知られている。一方、下流側リップのランド長さILOが100μmよりも長い場合は、ビードそのものを形成することができないために、薄層塗布を行うことは不可能である。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間GLとは、下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
図5は、本実施形態に係る塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。ウェブWの進行方向側とは反対側に、ビード14a(図3)に対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間にはそれぞれ隙間GB、GS が存在する。図6及び図7は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。サイドプレートとバックプレートは図5のようにチャンバー本体と一体のものであってもよいし、図7のように適宜隙間を変えられるようにチャンバーにネジ40cなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB、GS と定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブWとの隙間GB とは、減圧チャンバー40を図5のようにウェブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブWまでの隙間を示す(図6,図7)。
バックプレート40aとウェブWとの隙間GB をスロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GL よりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GLが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェブWの間の隙間GB は100μm以上500μm以下が好ましい。
<材質、精度>
ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内であることが好ましい。
また、スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップのウェブ走行方向における長さを30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足できない。したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることもできる。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布を実現するためには、先端リップのウェブ進行方向側のランドの前記長さ及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組み合わせ、つまり隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップとバックアップロールの真直度を出す。
<塗布速度>
上記のようなバックアップロール及び先端リップの精度を達成することにより、本発明で好ましく用いられる塗布方式は高速塗布時における膜厚の安定性が高い。さらに、本実施形態に係る塗布方式は前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。本発明の反射防止フィルムのような低塗布量の塗布液に対して、上記塗布方式は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。他の塗布方式でも塗布は可能であるが、ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難である。本発明の製造方法においては、25m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
<ウエット塗布量>
防眩層を形成する際には、基材フィルム上に直接又は他の層を介してウエット塗布膜厚として6〜30μmの範囲で塗布液を塗布するのが好ましく、乾燥ムラ防止の観点からさらに3〜20μmの範囲がより好ましい。また、低屈折率層を形成する際には、防眩層上に直接、或いは他の層を介してウエット塗布膜厚として1〜10μmの範囲で塗布組成物を塗布するのが好ましく、2〜6μmの範囲で塗布されるのがより好ましい。
(乾燥)
防眩層および低屈折率層は、基材フィルム上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送される。その際の乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後、乾燥ゾーン内で基材フィルムの塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと基材フィルムとの温度差を0℃〜20℃の範囲内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
(硬化)
溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化する。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。更に表面硬化を促進する為に窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下する必要がある際には、酸素濃度0.01%〜5%が好ましく、幅方向の分布は酸素濃度で2%以下が好ましい。
また、防眩層の硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に低屈折率層を設けて電離放射線および/または熱により低屈折率層を硬化した際に下層の防眩層の硬化率が低屈折率層を設ける前よりも高くなると、防眩層と低屈折率層との間の密着性が改良され、好ましい。
以上のようにして製造された防眩性反射防止フィルムは、これを用いて偏光板を作成することにより液晶表示装置に用いることができる。この場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。本発明の反射防止フィルムは、偏光板における偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
防眩性反射防止フィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、前記の反射防止フィルムを、反射防止構造を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。反射防止フィルムの親水化処理としては、下記の鹸化処理を行うことが好ましい。
(鹸化処理)
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に防眩性反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、防眩性反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理は、防眩層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、上記のような浸漬法では同時に防眩層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、反射防止膜の受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を防眩層や反射防止膜を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の防眩性反射防止フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
(3)防眩層や反射防止層をラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、防眩層および/または低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、その後ラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、防眩層、低屈折率層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する反面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
(4)防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
防眩層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に防眩層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに防眩層や反射防止層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して防眩層、低屈折率層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、防眩層または他の層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、防眩層または他の層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の表面処理してから防眩層または他の層を形成することで対処できる。また、防眩層または他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
以下に、本発明の防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置について説明する。
[偏光板]
本発明の好ましい偏光板は、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方として、本発明の防眩性反射防止フィルムを有する。偏光板用保護フィルムは、前記のように、防眩層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が10度〜50度の範囲にあることが好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、物理強度、耐光性に優れた光散乱機能、あるいは反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の防眩性反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、さらに、液晶表示装置の明室での視認性やコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる偏光板を作製できる。
(光学補償フィルム)
偏光板に光学補償フィルムを用いることにより、液晶表示画面の視野角特性を改良することができ、偏光子を挟んで本発明の防眩性反射防止フィルムの反対側に光学補償フィルムを好ましく用いることができる光学補償フォルムは偏光板の片側の保護フィルムの上に粘着剤で貼付してもよいし、片側の保護フィルムとして用いてもよい。偏光板の厚みの観点からは、片側の保護フィルムとして本発明の防眩性反射防止フィルムを用い、偏光子を挟んで反対側の保護フィルムとして光学補償フィルム用いることが特に望ましい。光学補償フィルムは、光学異方性のある物質をフィルム自体に含有させたり、フィルムを延伸したりすること、あるいはその両方を行うことで、フィルム自体が特定の光学異方性を有してもよいし、フィルム上に光学異方性層(位相差層)を設けてもよい。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層を有するフィルムが望ましく、具体的には富士写真フイルム製のワイドビューフィルム(WV−A、WV−SA)があるが、これに限られない。
また、液晶ディスプレイのコントラストの良化、色味を改良するために、光学的異方性(Re、Rth)が小さく実質的に光学的等方性であり、さらには光学的異方性(Re、Rth)の波長分散が小さいセルロースアシレートフィルムを用いることも好ましいし、反射型ディスプレイの場合は1枚または複数枚のフィルムからなるλ/4板の機能を有するフィルムを用いるのも好ましい。
光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
(偏光膜)
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸する際、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に、吸収軸が長手方向に対して45°傾斜させたものが偏光板の生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
[画像表示装置]
本発明の防眩性反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の反射防止フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の防眩性反射防止フィルムを、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いて偏光板を作成し、液晶表示装置の表面に用いることが特に好ましい。この場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。特に、大型液晶テレビ等の用途として、VA、IPS、OCB等で好ましく用いることができ、中小の精細度の低い表示装置用途であれば、TN、STN等にも好ましく用いることができる。大型液晶テレビ等の用途としては、表示画面の対角が20インチ以上であり、精細度がXGA以下(縦横比3:4の表示装置において1024×768以下)であるものに対して、特に好ましく用いることができる。本発明の防眩性反射防止フィルムは、実質的に内部ヘイズがないため、20インチで精細度がXGA(縦横比3:4の表示装置において1024×768)を超えるものに対してはギラツキが許容レベルを超える為、ギラツキを重視する場合には好ましくない。また、ギラツキの程度は画素の大きさと表面の防眩フィルムの表面凹凸形状との関係で発生するものであるため、表示装置の大きさが30インチになれば精細度がUXGA(縦横比3:4の表示装置において1600×1200)以下、40インチならば精細度がQXGA(縦横比3:4の表示装置において2048×1536)以下まで好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845頁記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59頁(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(OpticallyCompensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
Figure 2007057612
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は0.53Mpa(5.4kg/cm2)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm2)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
(ゾル液の調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
[実施例1]
(防眩層用塗布液Aの調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PET-30、日本化薬(株)製)を71.2g、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2.9g、フッ素系表面改質剤(FP−149)0.1g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を11.8gをトルエンに添加し、エアーディスパーにて60分間攪拌して溶質を完全に溶解した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.520であった。平均粒径3.5μmの架橋ポリ(スチレン)粒子(屈折率1.600)6.3gと平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.536)7.7gをそれぞれポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散し30%トルエン分散液として添加し、トルエンを加え、固形分濃度を45質量%に調整後、エアーディスパーにて10分間攪拌した。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用塗布液Aを調製した。
(低屈折率層用塗布液Aの調整)
ポリシロキサンおよび水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、ゾル液a0.6g、およびメチルエチルケトン5g、シクロヘキサノン0.6gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層塗布液Aを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.45であった。
(1)防眩層の塗設
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、下記の装置構成および塗布条件で示されるダイコート法によって防眩層用塗布液Aを塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ7.2μmの防眩性を有する防眩層を形成し、巻き取った。形成された膜中の粒子密度は1.21g/mであった。
基本条件:スロットダイ13は、上流側リップランド長IUPが0.5mm、下流側リップランド長ILOが50μmで,スロット16の開口部のウェブ走行方向における長さが150μm、スロット16の長さが50mmのものを使用した。上流側リップランド18aとウェブWの隙間を、下流側リップランド18bとウェブWの隙間よりも50μm長くし(以下、オーバーバイト長さ50μmと称する)、下流側リップランド18bとウェブWとの隙間GLを50μmに設定した。また、減圧チャンバー40のサイドプレート40bとウェブWとの隙間GS 、及びバックプレート40aとウェブWとの隙間GBはともに200μmとした。
(2)低屈折率層の塗設
上記防眩層用塗布液Aを塗布して防眩層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、前記低屈折率層用塗布液Aを上記の基本条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
(3)反射防止フィルムの鹸化処理
前記低屈折率層の製膜後、前記試料について、以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを前記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、前記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済みの防眩性反射防止フィルムを作製した。これを実施例1−1とする。
表2に示す粒子比、粒子密度になるように防眩層用塗布液Aの2種類の粒子の添加量を変更した以外は実施例1−1と同じ作成法で実施例1−2〜1−5を作製した。
防眩層用塗布液Aの平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.536)の代わりに平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=30/70、屈折率1.561)を使用し、表2に示す粒子比、粒子密度になるように2種類の粒子の添加量を変更した以外は実施例1−1と同じ作成法で実施例1−6を作製した。
(防眩層用塗布液Bの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)を70.7g、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を3.5g、フッ素系表面改質剤(FP−149)0.1g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を13.1gをメチルイソブチルケトンに添加し、エアーディスパーにて60分間攪拌して溶質を完全に溶解した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.523であった。平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=30/70、屈折率1.561)12.6gをポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散し30%メチルイソブチルケトン分散液として添加し、メチルイソブチルケトンとプロピレングリコールを加え、固形分濃度を43.5質量%に調整後、エアーディスパーにて10分間攪拌した。メチルイソブチルケトンとプロピレングリコールの比率は95対5になるように調整した。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用塗布液Aを調製した。
防眩性層用塗布液Bを用いた以外は実施例1−1と同じ作成方法で実施例1−7を作製した。実施例1−7の防眩性層の厚さは5.8μm、形成された膜中の粒子密度は0.90g/mであった。
Figure 2007057612
防眩層用塗布液Bの平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=30/70、屈折率1.561)の一部を架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.536)に替え、表2に示す粒子比、粒子密度になるように2種類の粒子の添加量を変更した以外は実施例1−7と同じ作成法で実施例1−8〜11を作製した。
防眩層用塗布液Bの平均粒径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=30/70、屈折率1.561)の一部を架橋ポリ(スチレン)粒子(屈折率1.600)に替え、表2に示す粒子比、粒子密度になるように2種類の粒子の添加量を変更した以外は実施例1−7と同じ作成法で実施例1−12〜13を作製した。
表2に示す粒子比、粒子密度になるように防眩層用塗布液Aの2種類の粒子の添加量を変更した以外は実施例1−1と同じ作成法で比較例1−1〜1−4を作製した。
表2に示す粒子比、粒子密度になるように実施例1−8に使用の防眩層用塗布液の2種類の粒子の添加量を変更した以外は実施例1−1と同じ作成法で比較例1−5〜1−8を作製した。
表2に示す粒子比、粒子密度になるように防眩層用塗布液Aの2種類の粒子の添加量を変更し、塗布量を調整し、膜厚を変更した以外は実施例1−1と同じ作成法で比較例1−9を作製した。
表2に示す粒子密度になるように防眩層用塗布液Bの粒子の添加量を変更し、塗布量を調整し、膜厚を変更した以外は実施例1−7と同じ作成法で比較例1−10を作製した。
(防眩性フィルムの評価)
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。結果を表3に示す。
(1)反射フォトゴニオメーター
厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)の裏表の両面に、表面の平滑な偏光板をクロスニコル状態で貼り合せて作製したものの片面に、本発明の防眩性反射防止フィルムを、粘着シートで反射防止層を塗布した側の反対側を貼り合せて、測定用のサンプル片を作製した。続いて、(株)村上色材研究所社製の「ゴニオフォトメータ」機を用いて、入射角を0°として受光器を90°〜180°〜−90°まで0.1°刻みで測定し、それらの総和である全光量Iaを測定した。
続いて、入射角を−60°に設定してサンプル片の低屈折率層側から垂直方向に対して−60°傾斜して入射した光量I0の光に対する40°〜50°までの範囲で反射光量を0.1°刻みで測定し、45°傾斜した方向へ反射した光量I45°、50°傾斜した方向へ反射した光量I50°、および40°傾斜した方向へ反射した光量I40°について数値を読み取り、それぞれの角度における−LOG10(I/I0)の値を算出した。
(2)積分反射率
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、積分分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの積分反射率の算術平均値を用いた。
(3)鏡面反射率
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における鏡面分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面反射率の算術平均値を用いた。
(4)ヘイズ
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
[1]JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定した。
[2]得られたフィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
(4)像鮮明性
JIS K7105に準じて透過画像鮮明性を光学くし幅0.5mmで測定した。
(5)中心線平均粗さ
JIS−B0601に準じて得られたフィルムの中心線平均粗さRaを測定した。
(6)防眩性
(1)のフォトゴニオメーター測定用のサンプル片にルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m)を45度の角度から映し、−45度の方向から観察した際の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭がほとんどわからない :○
蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる :△
蛍光灯がほとんどぼけない :×
Figure 2007057612
実施例1−1〜1−13の資料はいずれも透過画像鮮明性は5〜30%の範囲であった、また表面凹凸の平均間隔Smは50〜100μmの範囲であった。
また、フォトゴニオメーターに用いたサンプル片は、裏面反射光が直交する偏光板によりカットされるため、パネルの黒表示に近い外観であるが、実施例1−1〜1−13のサンプル片は、目視で白ボケが低減され、黒く締まって見えた。一方、比較例1−9のサンプル片は、鏡面反射近辺から軸のずれた領域まで白く光り、白ボケに近い外観であった。
(低屈折率層用塗布液Bの調整)
(分散液Aの調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616号公報の調製例4に準じサイズを変更して作成)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30g、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5g加え混合した後に、イオン交換水を9gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Agのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
(塗布液Bの調製)
オプスターJTA113(熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%):JSR(株)製)783.3質量部(固形分として47.0質量部)に対して、分散液Aを195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、コロイダルシリカ分散物(シリカ、MEK-STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)30.0質量部(固形分として9.0質量部)、ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率用塗布液Bを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.39であった。
(低屈折率層用塗布液Cの調製)
パーフルオロオレフィン共重合体(1)15.2g、中空シリカゾル(屈折率1.31、平均粒径60nm、固形分濃度20%)2.1g、反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)0.3g、ゾル液a 7.3g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.76g、メチルエチルケトン301g、シクロヘキサノン9.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Cを調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.40であった。
また、実施例1−1の低屈折率層用塗布液Aを低屈折率層用塗布液Bに置き換えた以外は同様にして防眩性反射防止フィルムを作製したところ、平均反射率が1.3%に改良された。
また、実施例1−1の低屈折率層用塗布液Aを低屈折率層用塗布液Cに置き換え、塗布後、120℃で30秒乾燥の後、窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射して、低屈折率層を形成した以外は同様にして防眩性反射防止フィルムを作製したところ、平均反射率が1.6%に改良された。また、低屈折率層用塗布液Cは熱硬化と併用であるため、耐擦傷性を向上することができた。
[実施例2]
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)と、実施例1で作製した防眩性反射防止フィルム(鹸化処理済み:実施例1−1〜実施例1−13、比較例1−1〜比較例1−10)を、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面に接着、保護して偏光板を作製した。これらを、それぞれ実施例2−1〜実施例2−13、比較例2−1〜2−10とした。
また、上記の鹸化処理済みのトリアセチルセルロースフィルムを両面の保護フィルムに用いて偏光板を作製し、比較例2−11とした。
[実施例3]
(偏光板の評価)
実施例2で作製した実施例2−1〜実施例2−13、比較例2−1〜比較例2−11の偏光板を、液晶テレビの視認側の偏光板の代わりとして貼り換えたものを作製した。液晶テレビはシャープ(株)製の『LC-37GD4』(MVA方式)を用いた。
得られた表示装置について、以下の項目の評価を行った。結果を表4に示す。
(1)白ボケ
表中に記載の精細度と画像サイズを有するLCDテレビパネル(VAモード)について、表面側の偏光板を、実施例の偏光板に貼り換え、全面を黒表示とし、暗室にてルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m)を上方60度の角度から映し、正面から目視した際の面全体の白光り状態(白ボケ)を以下の基準で評価した。
白ボケが気にならなく、好ましい :◎
白ボケがわずかにわかるが、比較的好ましい :○
白ボケが若干気になる :△
白ボケが目立ち、好ましくない :×
(2)暗室コントラスト
上記(1)で作製したLCDパネルを用いて、暗室にて正面コントラストおよび斜め方向のコントラストを測定した。斜め方向のコントラストは45°の4方向の極角60°の平均とした。
(4)映り込み
得られた液晶テレビにルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m)を45度の角度から映し、−45度の方向から観察した際の蛍光灯の映り込みの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭がほとんど判らないほど映り込まない :○
蛍光灯はぼけているが、若干写り込む :△
蛍光灯が完全に写り込む :×
Figure 2007057612
比較例3−1、3−4、3−8は正面コントラストの低減が大きく、画像の見た目も良好でなかった。比較例3−2、3−3、3−5〜3−7は斜め方向のコントラストの改善が不十分で、画像の見た目も良好でなかった。また、白が少し黄色味に見えた。比較例3−9、3−11は映りこみの点で問題があった。比較例3−10は白ボケの点で問題があった。実施例3−1〜13はいずれも、正面方向のコントラストの低減が少なく、斜め方向のコントラストの改善効果が高く、あらゆる方向から見たときのディスプレイの表示性能が優れていた。
表4に示された結果より、以下のことが明らかである。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、黒表示での白ボケが低減され、視認性に優れる。また、2液晶テレビに適用した際、高い防眩性と正面コントラスト悪化の低減、斜め方向のコントラストの改善を両立することができる。
[実施例4]
透過型TN液晶セルに対し、視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルム、およびバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムとして、視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA12B、富士写真フイルム(株)製)を用い、視認側の偏光板の視認側の保護フィルムに実施例1−1〜1−13の防眩性反射防止フィルムを用いたところ、上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
[実施例5]
実施例1−1の防眩層および低屈折率層を実施例1記載のセルローストリアセテートフィルム上に順次バーコート法にて塗布した。防眩層には10番バーを用い、低屈折率層には2.9番バーを用いたが、防眩層では塗布速度が15m/分以上でスジ状の面状ムラが発生し、低屈折率層では塗布速度が20m/分以上でスジ状の面状ムラが発生し、高速塗布適性の面では、多少劣った。ただし、面状ムラの発生しない塗布速度領域では、良好な特性の防眩性反射防止フィルムが得られた。
本発明の防眩性を有する防眩性反射防止フィルムの好ましい1実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の防眩性反射防止フィルムの−60°方向から入射した時の40〜50°方向への反射光量を測定する装置の構成を示す概略模式図である。 本発明を実施したスロットダイ13を用いたコーター10の断面図である。 (A)は本発明のスロットダイ13の断面形状を示し、(B)は従来のスロットダイ30の断面形状を示す。 本発明を実施した塗布工程のスロットダイ13及びその周辺を示す斜視図である。 近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である(バックプレート40aはチャンバー40本体と一体)。 近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である(バックプレート40aがチャンバー40にネジ40c留め)。
符号の説明
1 防眩性フィルム(反射防止フィルム)
2 透明支持体
3 防眩層
4 低屈折率層
5 透光性微粒子
10 コーター
11 バックアップロール
13 スロットダイ
14 塗布液
16,33 スロット
17 先端リップ
W ウェブ

Claims (20)

  1. 透明支持体上に少なくとも防眩層と低屈折率層とがこの順に積層された防眩性反射防止フィルムであって、該防眩性反射防止フィルムの積分反射率が3.5%以下、かつ、積分反射率と鏡面反射率の差が0.5%以上であり、該低屈折率層側から垂直方向に対して−60°傾斜して入射した光量I0に対する+45°傾斜した方向へ反射した光量I45°が、下式(1)を満たすことを特徴とし、表面散乱に起因するヘイズ値が1〜10%であり、内部散乱に起因するヘイズ値が15〜32%であることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
    式(1) 5.0≧−LOG10(I45°/I0)≧3.8
  2. 前記光量I0に対する+50°傾斜した方向へ反射した光量I50°、及び+40°傾
    斜した方向へ反射した光量I40°が、下式(2)及び(3)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の防眩性反射防止フィルム。
    式(2) 4.0≧−LOG10(I50°/I0)≧3.0
    式(3) 5.5≧−LOG10(I40°/I0)≧4.5
  3. 前記防眩性反射防止フィルムの中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μmであり、凹凸の平均間隔Smが50〜100μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の防眩性反射防止フィルム。
  4. JIS K7105に準じた像鮮明性が光学くし幅0.5mmで測定したときに5%〜45%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  5. 前記防眩層が透光性樹脂と1種類以上の透光性粒子とを含有する厚みが4.5μm〜9μmの層であり、該透光性粒子の粒径が0.5〜10μmで透光性粒子の防眩層中濃度が全固形分の5〜30質量%であり、透光性粒子の少なくとも30質量%は透光性樹脂との屈折率差が0.008以上0.05以内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  6. 透光性微粒子の密度が0.8〜3.2g/m2であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  7. 請求項5に記載の透光性微粒子の少なくとも30質量%を占める透光性樹脂との屈折率差が0.008以上0.05以内である透光性粒子が架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなり、アクリル単位の比率が20〜100質量%であることを特徴とする請求項5又は6に記載の防眩性反射防止フィルム。
  8. 前記防眩層が、透光性樹脂、透光性微粒子及び複数の種類の溶媒を含有する塗布組成物を透明支持体上に塗布、乾燥、硬化することによって形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  9. 前記低屈折率層が、(A)熱硬化性および/または電離放射線硬化性を有する含フッ素化合物、(B)無機微粒子、並びに(C)下記一般式(1)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物、及び該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物の中から選ばれる少なくとも一種、のうち少なくとも2種以上を含有する硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成された硬化膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
    一般式(1): (R10−Si(X)4-m
    (式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
  10. 前記熱硬化性および/または電離放射線硬化性を有する含フッ素化合物がフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含有することを特徴とする請求項9に記載の防眩性反射防止フィルム。
  11. 前記無機微粒子が、平均粒径が該低屈折率層の厚みの10%以上100%以下である無機微粒子であることを特徴とする請求項9または10に記載の防眩性反射防止フィルム。
  12. 前記無機微粒子が粒子内に中空構造を有し、屈折率が1.17から1.40の無機微粒子であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  13. 前記防眩層および前記低屈折率層の両方が、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性塗布組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  14. 前記防眩層と前記透明支持体の間、または、前記防眩層と前記低屈折率層の間に透明導電性層を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  15. 前記防眩層と透明支持体の間に透明導電性層を有し、および/または、防眩層内に通電性粒子を含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム。
  16. 偏光膜と、該偏光膜の表側および裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムとからなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも一方が、請求項1〜15のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
  17. 前記2枚の保護フィルムのうち、一方が請求項1〜15のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムであり、他方が光学補償フィルムであることを特徴とする偏光板。
  18. 請求項1〜15のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルム、または、請求項16もしくは17に記載の偏光板を少なくとも1枚有することを特徴とする画像表示装置。
  19. 液晶セルの両面に偏光子を有し、液晶セルと偏光子の間の少なくとも片側に、少なくとも1枚の位相差補償素子を有する液晶表示装置の表面に、請求項1〜15のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
  20. 請求項1〜15のいずれかに記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法であって、透光性粒子、透光性樹脂、および溶媒を含有する防眩層用の塗布組成物および/または低屈折率用の塗布組成物および/または透明導電性層の塗布組成物を、バックアップロールによって支持されて連続走行する該透明支持体のウェブの表面にスロットダイの先端リップのランドを近接させて該先端リップのスロットから塗布組成物を塗布することにより、該透明支持体上に防眩層および/または低屈折率層を塗工する工程を含むことを特徴とする、防眩性反射防止フィルムの製造方法。
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