JP2012159857A - 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低反射率、耐擦傷性、及びマジック拭き取り耐久性の少なくとも一つに優れる光学フィルムを提供する。さらに該光学フィルムを用いた偏光板、及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】支持体に、特定の含フッ素化合物、粒子サイズ5nm以上120nm以下の中空シリカ微粒子、1分子中に(メタ)アクリロイル基を複数個有する化合物、及び粒子サイズが30nm以上150nm以下である空腔のないシリカ粒子を含有する塗布組成物を塗設してなる層を最外層に有し、最外層の屈折率が1.20以上1.38以下の範囲である光学フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、該光学フィルムを用いた偏光板及び、該光学フィルム又は該偏光板を用いた画像表示装置に関する。
光学フィルム、とりわけ反射防止フィルムは、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する様ディスプレイの最表面に配置される。
反射防止フィルムは、支持体上に、該支持体より低屈折率の、適切な膜厚の低屈折率層を形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために、低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料の使用が望まれる。また、反射防止フィルムは、ディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性が要求される。厚さ100nm前後の薄膜において、高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、及び下層への密着性が必要である。さらに、反射防止フィルムは、ディスプレイ装置の最表面に用いられるため、展示や日常の使用で指紋などを中心に様々な汚れに対して、耐付着性や汚れがついた場合でもその拭き取り性(以後、両者を併せて防汚性と言うこととする)に優れることが求められる。
材料の屈折率を下げるために、これまでフッ素原子を導入する方法が知られており、フッ素含有の架橋性材料を用いる手段が提案されている(特許文献1乃至3)。また、低屈折率と耐擦傷性の両立という観点から中空状のシリカ粒子を用いる試みもなされている。反射防止性能に関して、特許文献1乃至3では、フッ素含率が高い含フッ素化合物を用いている。しかしながら、フッ素含率の高い架橋性材料を用いると皮膜強度や界面の密着性が低下し耐擦傷性が低下する方向であり、特に長期間保存した場合に耐擦傷性が悪化することがある。また、フッ素含率を増やしているにも係わらず防汚性も悪化する場合もあり、特に、フッ素含率の高い含フッ素化合物と中空シリカ粒子を組み合わせて用いた時にこの傾向は顕著であった。これにより、低屈折率化と耐擦傷性、長期間保存後の耐擦傷性、および防汚性を両立させることは困難であり、これらの改善が望まれていた。
特開平8−92323号公報 特開2003−222702号公報 特開2003−26732号公報
本発明の一側面は、低屈折率層の屈折率をより下げるためにフッ素含率の高い材料を用いた、低反射率、耐擦傷性、及びマジック拭き取り耐久性に優れる光学フィルム(好ましくは反射防止フィルム)の提供にある。本発明の別の側面は、フッ素含率の高い材料を用いた、長期間保存した際、耐擦傷性が悪化しない安定性の良い光学フィルム(好ましくは反射防止フィルム)の提供にある。本発明の別の側面は、そのような光学フィルムを用いた偏光板や画像表示装置の提供にある。
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記の構成により前記目的を達成したものである。
(1)支持体上に、塗布組成物を塗設してなる層を最外層に有する光学フィルムであって、該塗布組成物が、(A)フッ素含率が40質量%以上である含フッ素化合物、及び(B)粒子サイズ5nm以上120nm以下の微粒子を含有し、かつ該最外層の屈折率が1.20以上1.38以下の範囲である光学フィルム。
(2)前記(A)が、水酸基を有する前記1に記載の光学フィルム。
(3)前記(A)が、(メタ)アクリレート基を有する前記1又は2に記載の光学フィルム。
(4)前記(A)のフッ素含率が、45%以上である前記1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
(5)前記(B)の粒子のうち少なくとも1種が、40nm以上100nm以下の微粒子である前記1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
(6)前記(B)の粒子のうち少なくとも1種の粒子の屈折率が、1.15以上1.30以下である前記1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
(7)前記(B)の粒子のうち少なくとも1種が内部に空孔を有する粒子である前記1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
(8)前記塗布組成物が、さらに成分(C)(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する前記1〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
(9)前記(C)が、1分子中に(メタ)アクリロイル基を複数個有する前記8に記載の光学フィルム。
(10)前記(C)が、オルガノシロキサン構造を有する前記8又は9に記載の光学フィルム。
(11)前記(C)が、フッ素を有する前記8〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
(12)前記塗布組成物が、さらに(D)1分子中に(A)の含フッ素化合物と化学結合形成可能な官能基を複数個含む化合物を含有する前記1〜11のいずれかに記載の光学フィルム。
(13)前記(D)が、アミノプラスト類である前記12に記載の光学フィルム。
(14)前記塗布組成物が、さらに(E)重合開始剤を含有する前記1〜13のいずれかに記載の光学フィルム。
(15)前記(E)の重合開始剤の分子量が280以上である前記14に記載の光学フィルム。
(16)前記最外層の屈折率が1.20以上1.35以下である前記1〜15のいずれかに記載の光学フィルム。
(17)前記光学フィルムの表面ヘイズ値が、10%以下である前記1〜16のいずれかに記載の光学フィルム。
(18)偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、前記1〜17のいずれかに記載の光学フィルムである偏光板。
(19)前記1〜17のいずれかに記載の光学フィルム、又は前記18に記載の偏光板を、有する画像表示装置。
本発明の光学フィルムは、フッ素含率が40%以上である含フッ素化合物とともに特定の粒子サイズを有する微粒子を用いることで、低屈折率を有し、かつ耐擦傷性が改善された光学フィルムが提供できる。ある態様では、本発明の光学フィルムは、皮膜強度や界面の密着性低下を改善し、耐擦傷性かつ長期間の保存性に優れる。本発明の光学フィルムを用いた偏光板は反射率が低く、耐擦傷性に優れる。さらに、本発明の光学フィルムおよび偏光板を備えた表示装置は外光の写りこみや背景の映り込みが少なく、極めて視認性が高く、耐擦傷性に優れる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本発明の一側面は、支持体上に、以下の(A)、(B)を含有する塗布組成物を塗設してなる層を最外層に有する光学フィルム(明細書において、本発明のフィルム、又は本発明の光学フィルムと称することがある)であって、該最外層の屈折率が1.20〜1.38である光学フィルムである。(A)フッ素含率が40%以上である含フッ素化合物(B)粒子サイズ5nm以上120nm以下の微粒子
1.本発明の低屈折率層に用いる構成成分
1−(1)フッ素含率が40%以上である化合物 [本発明の低屈折率層の構成成分(A)]
本発明においては、フッ素含率(質量%)が40%以上である化合物は、反応性の官能基を有しており、塗布組成物として調製され低屈折率層を形成することができれば構造に特に制限はない。塗布・硬化時に揮発せずに層を形成する観点からは、分子量300以上300,000以下が好ましい。
本発明において、成分(A)として用いる含フッ素化合物のフッ素含率は、40質量%以上65質量%以下であり、好ましくは45質量%以上65質量%以下であり、更に好ましくは50質量%以上65質量%以下である。フッ素含率が40質量%より低い場合は、望みの低屈折率化が達成できない。65質量%以下であると、汎用溶媒への溶解性の観点で好ましい。
成分(A)として用いる含フッ素化合物は特に限定されないが、分子量が1000以上の多官能のポリマーが好ましい。含フッ素ポリマーの屈折率は1.34〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.35〜1.38、最も好ましくは、1.35〜1.37である。以下含フッ素ポリマーについて詳細に述べる。
本発明の塗布組成物には、前記成分(A)および(B)が塗布組成物の全量に対し、成分(A)が5質量%以上75質量%以下、成分(B)が25質量%以上80質量%以下含まれていることが好ましい。(A)成分の量がこの範囲にあることで、安定性や溶解性に優れた塗布液が調製できる。また、(B)成分の含有量が25質量%未満の場合には、本発明の効果が得られ難くなり、また90質量%を超えると塗布時の凝集物の発生等によって膜質が大幅に低下するため望ましくない。
[含フッ素ポリマー]
本発明に用いることのできる含フッ素ポリマーとして以下の構造のものを挙げることができる。
一般式1
(MF1)a−(MF2)b−(MF3)c−(MA)d−(MB)e
一般式1中、a〜eは、それぞれ各構成成分のモル分率を表し、30≦a+b≦70、0≦c≦50、5≦d≦50、0≦e≦20の関係を満たす値を表す。
一般式1中、(MF1)は下記一般式[1−1]で表される単量体から重合される構成成分を表す。
一般式[1−1]
(CF2=CF−Rf1)
式中、Rf1は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。
(MF2)は下記一般式[1−2]で表される単量体から重合される構成成分を表す。
一般式[1−2]
(CF2=CF−ORf12)
式中、Rf12は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表わす。
(MF3)は下記一般式[1−3]で表される単量体から重合される構成成分を表す。
一般式[1−3]
(CH2=CH−ORf13)
式中、Rf13は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表す。
(MA)は、架橋反応に関与しうる反応性基を少なくとも1つ以上含有する構成成分を表す。(MB)は、任意の構成成分を表わす。
以下、一般式1の各構成成分について、詳細に説明する。
一般式[1−1]
(CF2=CF−Rf1)
式中、Rf1は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。一般式[1−1]の化合物としては重合反応性の観点からは、ペルフルオロプロピレン又はペルフルオロブチレンが好ましく、入手性の観点からペルフルオロプロピレンであることが特に好ましい。
一般式[1−2]
(CF2=CF−ORf12)
式中、Rf12は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表わし、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10の含フッ化アルキル基であり、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。また、該フッ化アルキル基は置換基を有していてもよい。Rf12の具体例としては、
−CF{M2−(1)}、
−CFCF{M2−(2)}、
−CFCFCF{M2−(3)}、
−CFCF(OCFCFCF)CF{M2−(4)}などが挙げられる。
一般式[1−3]
(CH2=CH−ORf13)
式中、Rf13は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜15の含フッ素アルキル基であり、直鎖{例えば−CFCF、−CH(CFH、−CHCH(CFF(a:2〜12の整数)など}であっても、分岐構造{例えば−CH(CF、−CHCF(CF、−CH(CH)CFCF、−CH(CH)(CFCFHなど}を有していてもよく、また脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)を有していてもよく、エーテル結合(例えば-CHOCHCFCF、-CHCHOCH(CFH、-CHCHOCH(CFF(b:2〜12の整数)、−CHCHOCFCFOCFCFHなど)を有していてもよい。なおRf13で表される置換基はここで述べた置換基に限られるものではない。
一般式[1−3]で表わされる上記単量体は、例えば、“Macromolecules”,32巻(21)、p.7122(1999年)、特開平2−721号公報等に記載のごとくビニロキシアルキルスルホネート、ビニロキシアルキルクロリド等の離脱基置換アルキルビニルエーテル類に対して、塩基触媒存在下含フッ素アルコールを作用させる方法;国際出願特許第92/05135号パンフレット記載のごとく、含フッ素アルコールとブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類をパラジウム触媒存在下混合してビニル基の交換を行う方法;米国特許第3420793号明細書記載のごとく、含フッ素ケトンとジブロモエタンをフッ化カリウム触媒存在化で反応させた後アルカリ触媒により脱HBr反応を行う方法;等により合成することができる。
以下に、一般式[1−3]で表わされる構成成分の好ましい例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
M1−(43) CH2=CH−O−CH2CH2(CF28
一般式1において、(MA)は架橋反応に関与しうる反応性基を少なくとも1つ以上含有する構成成分を表す。架橋反応に関与し得る反応性基としては例えば、水酸基または加水分解可能な基を有するシリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、反応性不飽和2重結合を有する基((メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニルオキシ基等)、開環重合反応性基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基等)、活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β―ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、酸無水物、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が挙げられる。
これらの反応性基の中でも、単独で重合活性を有する基が好ましく、加水分解可能なシリル基、反応性不飽和2重結合を有する基、開環重合反応性基がより好ましく、特に好ましくは、加水分解性シリル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基である。(MA)の特に好ましい形態として一般式4〜8が挙げられる。
Figure 2012159857
一般式4中、Lは炭素数1〜20のアルキレン基を表わし、置換基を有していても良く(例えばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる)、脂肪族環構造(例えばシクロヘキサン環等)を有していても良い。好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基、またはプロピレン基である。sは0または1を表し、重合反応性の観点から好ましくはsが0の場合である。Xは水酸基または加水分解可能な基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、クロロ、ブロモ等のハロゲン原子、アセトキシ基、フェノキシ基等のアシルオキシ基)を表わし、好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。一般式4で表わされる構成成分は、特開昭48−62726号に記載のごとくヒドロシリル化反応を利用する手法等によって合成することができる。
Figure 2012159857
一般式5中、Lは炭素数1〜20のアルキレン基を表わし、置換基を有していても良く(例えばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる)、脂肪族環構造(例えばシクロヘキサン環等)を有していても良い。好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数2〜5のアルキレン基である。tは0または1を表し、好ましくはtが1の場合である。Rは水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子の場合である。一般式5中の不飽和2重結合は水酸基を有するポリマーを合成した後、(メタ)アクリル酸クロライド等の酸ハライド、(メタ)アクリル酸無水物等の酸無水物を作用させる等の方法で導入しても良く、3―クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う等の定法によって形成しても良い。
Figure 2012159857
一般式6中、Lおよびuはそれぞれ一般式5におけるLおよびtと同じ意味を表す。
一般式6で表される構成成分中のアリル基も、一般式5の構成成分同様水酸基を有するポリマーを合成した後、アリルハライドを作用させる等の方法で導入することができる。
Figure 2012159857
一般式7中、Lはそれぞれ一般式5におけるLと同じ意味を表す。vは0または1を表す。RおよびRはそれぞれ水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子の場合である。一般式7で表される構成成分は、水酸基を有するビニルエーテルにエピクロロヒドリン等のエポキシ化合物を作用させる方法、触媒存在下ブチルビニルエーテルにグリシドールを作用させてエーテル交換を行う方法等によって合成したエポキシ基含有ビニルエーテルを重合させることによって得られる。
Figure 2012159857
一般式8におけるL、w、RおよびRはそれぞれ一般式7におけるL、v、RおよびRと同じ意味を表す。一般式8で表される構成成分も一般式7で表される構成成分と同様にして合成される。
上記で構成成分(MA)の特に好ましい例として説明した以外の他の官能基もモノマー段階から導入されていても良いし、水酸基等の反応性基を有するポリマーを合成後に導入しても良い。
以下に上記一般式1で表されるポリマー中の(MA)で表わされる構成成分の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2012159857
Figure 2012159857
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Figure 2012159857
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Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
一般式1において(MB)は任意の構成成分を表わし、(MF1),(MF2)で表わされる単量体及び(MA)で表わされる構成成分を形成する単量体と共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができる。
例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類、を例として挙げることができる。
また、特に、滑り性、防汚性の観点からは、(MB)で示す成分は以下に示すポリシロキサン構造を有する構成単位を用いることが好ましい。
(ポリシロキサン構造を有する構成単位)
主鎖又は側鎖に下記一般式2で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含むことができる。
一般式2
Figure 2012159857
式中、R、Rは同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。アルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基およびフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。pは2〜500の整数を表わし、好ましくは5〜350であり、特に好ましくは8〜250の場合である。
側鎖に一般式2であらわされるポリシロキサン構造を有するポリマーは、例えばJ. Appl. Polym. Sci. 2000, 78, 1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、エポキシ基、水酸基、カルボキシル、酸無水物基等の反応性基を有するポリマーに対して、相対する反応性基(例えばエポキシ基、酸無水物基に対してアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。
主鎖へのポリシロキサン部分構造導入方法には特に制限はなく、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS-0501、1001(商品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法、重合開始剤、連鎖移動剤由来の反応性基(例えばメルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)をポリマー末端に導入した後、片末端あるいは両末端反応性基(例えばエポキシ基、イソシアネート基等)含有ポリシロキサンと反応させる方法、ヘキサメチルシクロトリシロキサン等の環状シロキサンオリゴマーをアニオン開環重合にて共重合させる方法等が挙げられるが、中でもポリシロキサン部分構造を有する開始剤を利用する手法が容易であり好ましい。
また、低屈折率化の観点からは、(MB)で示す成分は、特開2005−76006号公報に記載のフルオロ化シクロアルキル基含有ブロック共重合体ユニットであることも好ましい。
一般式1中、a〜eは、それぞれ各構成成分のモル分率を表し、
30≦a+b≦70、0≦c≦50、5≦d≦50、0≦e≦20の関係を満たす値を表す。素材の低屈折率化のためには(MF1)成分及び(MF2)成分のモル分率(%)a+bを高めることが望まれるが、重合反応性の点で一般的な溶液系ラジカル重合反応では50〜70%程度の導入が限界でありこれ以上は困難である。本発明においては、a+bは40%以上であることが好ましく、45%以上であることが特に好ましい。
本発明では低屈折率化の手段として(MF1)成分及び(MF2)成分に加えて(MF3)成分が導入される。(MF3)成分のモル分率cは10≦c≦50の範囲であることが好ましく、特に好ましくは20≦c≦40の場合である。またこれら含フッ素モノマー成分のモル分率の和は、60≦a+b+c≦90の範囲であることが好ましく、60≦a+b≦75であることが特に好ましい。
(MA)で表わされる重合体単位の割合が少なすぎると硬化膜の強度が弱くなる。本発明では特に、(MA)成分のモル分率は5≦d≦40の範囲であることが好ましく、15≦d≦30の範囲であることが特に好ましい。
(MB)で表わされる任意の構成成分のモル分率(%)eは0≦e≦20の範囲であることが好ましく、0≦d≦10%の範囲であることが特に好ましい。
本発明における低屈折率層の形成に用いられる含フッ素ポリマーの数平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは5,000〜500,000であり、特に好ましくは10,000〜100,000である。
ここで、数平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
得られたポリマーは反応液をそのまま本発明の用途に用いることもできるし、再沈殿や分液操作によって精製して用いることもできる。
以下に、本発明の一般式1で表わされるポリマーの例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。なお表1には、重合することにより一般式1のフッ素含有構成成分を形成する単量体(MF1)、(MF2)、(MF3)、(MA)、及び(MB)の組合せとして表記する。表中a〜eは、各成分の単量体のモル比(%)を表す。表中(MB)成分でwt%の記載があるものは、全重合体中の該成分の質量%を示す。
Figure 2012159857
上記表中の略号は、以下を表す。
(MF1)成分
HFP:ヘキサフルオロプロピレン
(MF2)成分
FPVE:パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)
(MB)成分
EVE:エチルビニルエーテル
VPS―1001:アゾ基含有ポリジメチルシロキサン、ポリシロキサン部の分子量約1万、(株)和光純薬工業製
FM−0721:メタクリロイル変性ジメチルシロキサン、平均分子量5000、(株)チッソ製
NE−30:反応性ノニオン乳化剤、エチレンオキサイド部位含有、(株)旭電化工業製
本発明の一般式1で表わされるポリマーの合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合によって行うことができる。またこの際回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で合成することができる。
重合の開始方法は、ラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は、生成する共重合体の分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
本発明の塗布組成物には、適宜硬化触媒、あるいは硬化剤等が配合されても良く公知のものを使用することができる。本発明の塗布組成物は、含フッ素ポリマー、硬化触媒及び溶媒を含有してなる。その他に、硬化促進や重合体の用途に対してする性能を向上させるための添加剤、添加物などを含んでいても良い。
例えば、一般式1のポリマーが加水分解性シリル基を硬化反応性部位として含有する場合には、ゾルゲル反応の触媒として公知の酸あるいは塩基触媒を配合することができ、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの無機ブレンステッド酸類、シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機ブレンステッド酸類、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等のルイス酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基類、トリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミンなどの有機塩基類などを挙げることができるが、特に酸触媒が好ましく、中でもパラトルエンスルホン酸等の有機ブレンステッド酸類またはジブチル錫ジラウレート等のルイス酸類が好ましい。
これらの硬化触媒の添加量は、触媒の種類、硬化反応性部位の違いによって任意であるが、一般的には塗布組成物全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%程度である。
1−(2)微粒子[ 本発明の低屈折率層の構成成分(B)]
本発明の低屈折率層に用いることのできる、微粒子について述べる。本発明においては、低屈折率層に微粒子を用いることが、低屈折率化、耐擦傷性改良の観点から好ましい。
微粒子は、低屈折率化の観点からは、有機又は無機の微粒子が好ましく、有機又は無機の低屈折率微粒子が好ましい。
微粒子のサイズは、平均粒子サイズが5nm〜120nmであり、好ましくは10〜100nm、より好ましくは40〜100nmである。上記(B)の粒子のうち少なくとも1種が、40〜100nmであることが好ましい。
微粒子の屈折率は、1.10〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.15〜1.35、特に好ましくは1.15〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表す。微粒子のうち少なくとも1種の粒子の屈折率が、1.15以上1.30以下であることが好ましい。
有機の(低屈折率)微粒子としては、シリコーン系の粒子や内部に空孔を有する粒子が挙げられる。有機のそれ自身が空隙を有する微粒子は、例えば、特開2002−256004号公報に示されるような、ポリマー層と孔充填層を有する多孔質粒子であって、該孔充填層がフュージティブ物質、置換気体、或いはそれらの組合せであり、一方、該ポリマー層のガラス転移温度が10℃〜50℃である多孔質粒子が挙げられる。
また、特開2005−213366号公報や同2005−215315号公報に記載の中空の有機粒子を用いることも好ましい。
無機の(低屈折率)微粒子としては、フッ化マグネシウムやシリカ等の無機微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点でシリカ微粒子が好ましい。
無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
低屈折率粒子の塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
〔多孔質又は中空の微粒子〕
低屈折率化を図るには、微粒子のうち少なくとも1種が、多孔質又は中空構造の微粒子を使用することが好ましい。これら粒子の空隙率は、好ましくは10〜80%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空微粒子の空隙率を上述の範囲にすることが、低屈折率化と粒子の耐久性維持の観点で好ましい。
多孔質又は中空粒子がシリカの場合には、微粒子の屈折率は、1.10〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.15〜1.35、最もに好ましくは1.15〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。
多孔質又は中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611や特開2002−79616に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616に記載の方法で算出することができる。
多孔質又は中空シリカの塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。少なすぎると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
多孔質又は中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。本発明においては、空孔含有微粒子はサイズ分布を有していてもよく、その変動係数は好ましくは60%〜5%、更に好ましくは50%〜10%である。また、平均粒子サイズの異なる2種又は3種以上の粒子を混合して用いることもできる。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカの比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
[多孔質又は中空微粒子の調製方法]
中空微粒子の好ましい製造方法を以下に記載する。第1段階として、後処理で除去可能なコア粒子形成、第2段階としてシェル層形成、第3段階としてコア粒子の溶解、必要に応じて第4段階として追加シェル層の形成である。具体的には中空粒子の製造は、例えば特開2001−233611号公報に記載されている中空シリカ微粒子の製造方法に準じて行うことができる。
多孔質粒子の好ましい製造方法は、第1段階としてアルコキシドの加水分解や縮合の程度、共存物質の種類や量を制御し多孔質のコア粒子を製造し、第2段階としてその表面にシェル層を形成する方法である。具体的には多孔質粒子の製造は、例えば、特開2003−327424号、同2003−335515号、同2003−226516号、同2003−238140号等の各公報に記載された方法で行うことができる。
本発明においては、後述する無機微粒子の吸着水量を減らすことが好ましく、粒子サイズの変更、シェル厚の変更、水熱処理の条件等により制御することができる。また、粒子を焼成することで吸着水量を低減することもできる。
(被覆粒子)
シェル厚を厚くすることで粒子表面の吸着サイトを減少させ、吸着水量を低減することが可能であり、好ましい。さらに導電性の成分でシェルを形成すると導電性も付与することができて好ましい。特に好ましくは、コア粒子としてシリカ系の多孔質または中空の粒子を用い、シェルとして、ZnO2、Y23、Sb25、ATO、ITO、SnO2を用いる組合せである。以下特に好ましい酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子について述べる。
本発明に係る酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子は、多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子が酸化アンチモン被覆層によって被覆されている。前記多孔質シリカ系微粒子には、多孔質のシリカ微粒子とシリカを主成分とする複合酸化物微粒子が含まれ、特開平7−133105号公報に開示した、多孔性の無機酸化物微粒子の表面をシリカ等で被覆した低屈折率のナノメーターサイズの複合酸化物微粒子は好適に用いることができる。
また、内部に空洞を有するシリカ系微粒子としては、特開2001−233611号公報に開示した、シリカとシリカ以外の無機酸化物からなり、内部に空洞を有する低屈折率のナノメーターサイズのシリカ系微粒子も好適に用いることができる。
このような多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子は、平均粒子径が4〜100nm、さらには10〜90nmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が4nm以上であれば、シリカ系微粒子を製造時の問題がなく得ることができ、得られた粒子も安定性が充分であり、また小サイズの粒子を用いた場合に起こり得る単分散の酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子が得られないといった問題が生じない。平均粒子径が100nm以下であれば、得られる酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径を120nm以下に抑えることができ、大サイズの酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子を用いて透明被膜を形成した場合に起こり得る透明性の低下や、ヘイズが高くなるといった問題を抑制できるため、好ましい。
前記多孔質シリカ系微粒子又は内部に空洞を有するシリカ系微粒子の屈折率は、シリカの屈折率である1.45以下、さらには1.40以下であることが好ましい。なお、屈折率が1.45〜1.46である非孔質のシリカ微粒子を単独で用いることもできるが、反射防止性能の点から多孔質または内部に空洞を有するシリカ系微粒子を用いることが好ましい。
前記シリカ系微粒子は、被覆層の平均厚さが0.5〜30nm、好ましくは1〜10nmの範囲にある酸化アンチモンで被覆されていることが好ましい。被覆層の平均厚さが0.5nm以上であれば、シリカ系微粒子を完全に被覆でき、得られる酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の導電性も充分となるため、好ましい。被覆層の厚さが30nm以下であれば、導電性の向上効果が充分得られ、酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が小さい場合の屈折率の不足といった問題を抑制できるため、好ましい。
本発明に係る酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子は、平均粒子径が5〜120nm、さらには10〜100nmの範囲にあることが好ましい。酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が5nm以上であれば、該微粒子を製造時の問題がなく得ることができ、得られた粒子における凝集粒子を抑制でき、好ましい。また、小粒子で起こり得る、分散性が不充分であるために透明被膜形成に用いた場合に、透明性、ヘイズ、被膜強度、基材との密着性等が不充分となるといった問題が生じず、好ましい。酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が120nm以下であれば、形成された透明被膜は透明性が充分であり、ヘイズも低く抑えられ、好ましい。また、基材との密着性が不充分となることもない。
酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の屈折率は1.25〜1.60、さらには1.30〜1.50の範囲にあることが好ましい。屈折率が1.25以上であれば、該粒子を製造時の問題がなく得ることができ、好ましい。また、得られた粒子の強度にも不足がない。他方、屈折率が1.60以下であれば、透明被膜の反射防止性能も充分であり、好ましい。
酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の体積抵抗値は10〜5000Ω/cm、さらには10〜2000Ω/cmの範囲にあることが好ましい。体積抵抗値が10Ω/cm以上であれば該粒子を製造時の問題がなく得ることができ、好ましい。また、得られた粒子の屈折率も1.6以下となり、透明被膜の反射防止性能も充分であり、好ましい。他方、体積抵抗値が5000Ω/cm以下であれば、得られる透明被膜の帯電防止性能も充分であり、好ましい。
本発明の酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子は、必要に応じて常法によりシランカップリング剤により表面処理して用いることができる。
(微粒子の吸着水量)
本発明において、低屈折率層に用いることのできる粒子は、吸着水量が6.1質量%以下であることが、塗布液中での分散性、塗膜の硬度、防汚性、の点で好ましい。
(空孔含有微粒子の吸着水量の測定)
本発明において、空孔含有微粒子の吸着水量は以下の測定法により求めることができる。
粒子の粉末を、ロータリーポンプを用いて、20℃、約1hPaの条件で1時間乾燥させた。その後20℃、55%RHで1時間保存した。島津(株)製“DTG−50”を用い、乾燥後の試料約10mgを白金セルに秤量し、加熱速度20℃/分で温度20℃から950℃まで上昇させた。吸着水量は、200℃まで昇温した際の質量減少百分率として以下により算出した。
吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
ここで、
20:昇温開始時の初期質量、
200:200℃まで昇温した時点での質量。
なお粒子が分散液の場合には、溶媒をエバポレーター(25℃、10hPaに減圧)で留去し、残渣をメノウ乳鉢ですりつぶして粉末とした後に、上記工程で測定することができる。
本発明においては、吸着水量は6.1質量%以下が好ましく、更に好ましくは5.5質量%以下、最も好ましくは5.0質量%以下である。特に粒子表面や内部に空孔を有する粒子においては、粒子表面のシェルの厚みや密度を上げたり、上述の酸化アンチモン被覆粒子のように異なる成分で表面を被覆することで、上記吸着水量を低下させることができる。また、吸着水量を低下させることで、オゾン暴露後の耐擦傷性改良に効果がある。
本発明においては、空孔含有微粒子はサイズ分布を有していてもよく、その変動係数は好ましくは60%〜5%、更に好ましくは50%〜10%である。また、平均粒子サイズの異なる2種又は3種以上の粒子を混合して用いることもできる。
[無機微粒子の表面処理方法]
無機微粒子の表面の処理方法について、多孔質又は中空の無機微粒子を例として述べる。低屈折率層形成用バインダーへの分散性を改良するために、無機微粒子の表面は下記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物により処理がされているのが好ましく、処理の際に、酸触媒及び金属キレート化合物のいずれか、あるいは両者が使用されることが更に好ましい。
(オルガノシラン化合物)
本発明に用いるオルガノシラン化合物について詳細に説明する。
一般式(1):
(R10a1−Si(X114-a1
一般式(1)において、R10は、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ヘキシル基、t−ブチル基、s−ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
11は、水酸基又は加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
a1は1〜3の整数を表す。好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。R10又はX11が複数存在するとき、複数のR10又はX11はそれぞれ異なっていてもよい。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチ基、i−プロピル基、プロピル基、t−ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1−プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−メチル−N−オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
10が複数ある場合は、少なくとも1つが置換アルキル基又は置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基又は置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1−2)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物として表すことができる。
一般式(1−2):
Figure 2012159857
一般式(1−2)において、R11は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R11としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
11は、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基又はウレア基を表す。単結合、エステル基及びアミド基が好ましく、単結合及びエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
11は、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、又は内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、中でも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
a2は0又は1を表す。X11が複数存在するとき、複数のX11はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。a2として好ましくは0である。
10は、前記一般式(1)のR10と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。X11も一般式(1)のX11と同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
本発明に用いるオルガノシラン化合物として、下記一般式(2)で表されるものも好ましい。
一般式(2):(Rf−L21b1−Si(X21b1-4
上記一般式(2)中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、又は炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rfは、炭素数3〜10の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。L21は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。X21は、一般式(1)のX11と同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
b1は前記一般式(1)のa1と同義であり、1〜3の整数を表す。好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
次に一般式(2)で表される含フッ素シランカップリング剤の中でも、下記一般式(2−1)で表される含フッ素シランカップリング剤が好ましい。
一般式(2−1):Cn2n+1−(CH2m−Si(X223
上記一般式(2−1)中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。nは4〜10が好ましく、mは1〜3が好ましく、X22はメトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子を表す。
一般式(1)、一般式(1−2)、一般式(2)、及び一般式(2−1)で表される化合物は2種類以上を併用してもよい。
以下に一般式(1)、一般式(1−2)、一般式(2)、及び一般式(2−1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2012159857
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上記の具体的化合物(M−1)乃至(M−88)の中で、(M−1)、(M−2)、(M−30)、(M−35)、(M−49)、(M−51)、(M−56)、(M−57)が好ましい。また、特許第3474330号公報の参考例に記載のA,B,Cの化合物も分散安定性に優れ好ましい。
また、ジシロキサン系の化合物も表面処理剤として用いることができ、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジブチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピルペンタメチルジシロキサンなどが挙げられる。
本発明において、前記一般式(1)、一般式(1−2)、一般式(2)、及び一般式(2−1)で表されるオルガノシラン化合物の使用量は、特に制限はないが、無機微粒子当たり1〜300質量%が好ましく、更に好ましくは3〜100質量%、最も好ましくは5〜50質量%である。無機微粒子の表面の水酸基当たりでは1〜300モル%が好ましく、更に好ましくは5〜300モル%、最も好ましくは10〜200モル%である。オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜形成時に膜強度も上昇する。本発明においては、複数種のオルガノシラン化合物を併用することも好ましく、複数種の化合物を同時に添加することも、添加時間をずらして反応させることもできる。また、複数種の化合物を予め部分縮合物にしてから添加すると反応制御が容易であり好ましい。
〔無機微粒子の分散性の改善〕
本発明においては、以上述べたオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物を無機微粒子表面と作用させることにより、無機微粒子の分散性を改善することができる。オルガノシラン化合物の加水分解/縮合反応は、加水分解性基(X11、X21及びX22)1モルに対して、0.3〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる酸触媒又は、金属キレート化合物の存在下、15〜100℃で、撹拌することにより行われることが好ましい。
[分散性改良処理の触媒]
オルガノシランの加水分解物及び/又は縮合反応物による分散性の改良処理は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、無機酸化物微粒子液の製造安定性や保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)及び/又は金属キレート化合物が用いられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができる。オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。また、アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない態様も好適である。
(金属キレート化合物)
本発明において、オルガノシランの加水分解物及び/又は縮合反応物による分散性の改良処理に用いる金属キレート化合物は、下記一般式(3−1)で表されるアルコールと下記一般式(3−2)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti又はAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物が好ましい。金属キレート化合物は、Zr、Ti又はAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば、特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用してもよい。
一般式(3−1):R31OH
一般式(3−2):R32COCH2COR33
(式中、R31及びR32は、同一又は異なってもよく、炭素数1〜10のアルキル基を示し、R33は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)
本発明に好適に用いられる金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。これらの金属キレート化合物の量は、オルガノシラン化合物に対して0.1〜10.0質量%が好ましく、更に好ましくは0.5〜5.0質量%、最も好ましくは1.0〜3.0質量%である。
[分散剤]
本発明において、無機微粒子を粉体から溶媒中に分散して調製するには、分散剤を用いることもできる。本発明においてアニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、又はその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基又はその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することもできる。架橋性又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基{例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等}、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
これら分散剤の使用量は、無機微粒子に対して好ましくは、0.5〜30質量%、更に好ましくは1〜20質量%、最も好ましくは2〜15質量%である。該範囲では、分散性の改良が認められ、かつ塗膜強度の低下等の弊害もなく好ましい。
1−(3)1分子に化学結合を形成可能な官能基を複数個含む化合物[本発明の低屈折率層の構成成分(D)]
(D)で表される、1分子内に化学結合形成可能な官能基を複数個含む化合物について説明する。本発明においては、低屈折率層の塗膜強度向上、併用する微粒子と含フッ素化合物との相溶性改良等を目的として、1分子内に化学結合形成可能な官能基を複数個含む化合物を含有することが好ましい。好ましくは、エチレン性不飽和基を有する化合物、カチオン重合性基を有する化合物、水酸基と化学結合を形成する化合物を挙げることができる。
((メタ)アクリロイル基を有する化合物(C))
本発明のフッ素ポリマーに対して、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(C)を併用することが好ましい。特に好ましくは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを併用することが好ましい。低屈折率層の屈折率を下げるためにポリマーのフッ素含率を高くすることは膜中の架橋基密度を下げる方向であり、皮膜の強度が低くなり、耐擦傷性が悪化する。また、低屈折率化のためフッ素含率の高いポリマーと内部に空孔を含むシリカ系の粒子を低屈折率層に併用する場合は、両者の表面エネルギー差が大きく異なるため、粒子表面の濡れ性が低い。溶剤を含む塗布液を塗布・乾燥して低屈折率層を形成する際に、粒子表面をフッ素ポリマーが覆うことができず、硬化後の塗膜の強度が低下しやすい。この現象は、フッ素ポリマーのフッ素含率の上昇、層内での粒子含率の上昇に伴い、顕著になる。特に、硬化時に酸素による重合阻害を受けやすい膜表層の硬化はより弱くなる傾向にある。すると、防汚性を発現する膜表層のシリコーン化合物が固定化できずに防汚性の悪化も招く。本発明では、該(メタ)アクリロイル基を有する化合物(C)を少量併用することで、粒子とフッ素ポリマーの親和性を改良し皮膜の強度を高め、耐擦傷性を良化させることができるだけでなく、防汚性をも良化させることが可能となると推測される。
該2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類の具体化合物としては、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA、同DPHA−2C、同PET−30、同TMPTA、同TPA−320、同TPA−330、同RP−1040、同T−1420、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同GPO−303、大阪有機化学工業(株)製V#3PA、V#400、V#36095D、V#1000、V#1080等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物を挙げることができる。また紫光UV−1400B、同UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−6630B、同UV−7000B、同UV−7510B、同UV−7461TE、同UV−3000B、同UV−3200B、同UV−3210EA、同UV−3310EA、同UV−3310B、同UV−3500BA、同UV−3520TL、同UV−3700B、同UV−6100B、同UV−6640B、同UV−2000B、同UV−2010B、同UV−2250EA、同UV−2750B(日本合成化学(株)製)、UL−503LN(共栄社化学(株)製)、ユニディック17−806、同17−813、同V−4030、同V−4000BA(大日本インキ化学工業(株)製)、EB−1290K、EB−220、EB−5129、EB−1830,EB−4858(ダイセルUCB(株)製)、ハイコープAU−2010、同AU−2020((株)トクシキ製)、アロニックスM−1960(東亜合成(株)製)、アートレジンUN−3320HA,UN−3320HC,UN−3320HS、UN−904,HDP−4Tなどの3官能以上のウレタンアクリレート化合物、アロニックスM−8100,M−8030,M−9050(東亞合成(株)製、KRM−8307(ダイセルサイテック(株)製)などの3官能以上のポリエステル化合物なども好適に使用することができる。
さらに、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等もあげられる。
モノマーバインダーとしては、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物(C)の添加量は、皮膜を形成する固形分に対して0.1〜50質量%の範囲で添加されることが好ましく、1〜30質量%の場合がより好ましく、3〜20質量%の場合が特に好ましい。この範囲の使用量にすることで、低屈折率層自身の硬度上昇、低屈折率層表層の防汚剤の固定化、隣接層との界面密着改良が達成できる。
(カチオン重合性基を有する化合物)
カチオン重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等が挙げられるが、好ましくは開環重合性の基であり、より好ましくはエポキシ基またはオキセタニル基であり、特に好ましくはエポキシ基である。これらの基は可能な位置に置換基を有していても良い。
これらのカチオン重合性基は、硬化剤一分子当たり、複数個導入されていることが好ましく、より好ましくは、1分子当たり、2〜20個導入されたものであり、特に好ましくは3〜10個導入されたものである。
本発明において好適に使用される化合物としては、例えば市販のものでは、デナコールEX314,同411,同421,同521,同611,同612等(以上ナガセ化成工業株式会社製、)、セロキサイド、GT301,同401等(以上ダイセル工業株式会社製)等を挙げることができる。その他、本発明に有用な硬化剤を以下に例示する。
Figure 2012159857
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上記カチオン重合性基を有する化合物の添加量は、皮膜を形成する固形分に対して0.1〜50質量%の範囲で添加されることが好ましく、1〜30質量%の場合がより好ましく、3〜20質量%の場合が特に好ましい。
(水酸基と化学結合を形成する化合物)
本発明における低屈折率層は、水酸基を含む含フッ素ポリマー、及び該含フッ素ポリマー中の水酸基と反応し得る化合物(硬化剤)を含む硬化可能な組成物、いわゆる硬化性樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。硬化剤は水酸基と反応する部位を2個以上有することが好ましく、4個以上有することが更に好ましい。
硬化剤の構造は、水酸基と反応しうる官能基を前記個数有するものであれば特に限定はなく、例えばポリイソシアネート類、イソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステル皮膜などとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物、アミノプラスト類、多塩基酸又はその無水物などを挙げることができる。
本発明では、保存時の安定性と架橋反応の活性の両立の観点、および形成される膜の強度の観点から、酸性条件下で水酸基含有化合物と架橋反応するアミノプラスト類が好ましい。アミノプラスト類は、含フッ素ポリマー中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、すなわちヒドロキシアルキルアミノ基もしくはアルコキシアルキルアミノ基、又は窒素原子に隣接し、且つアルコキシ基で置換された炭素原子を含有する化合物である。具体的には、例えばメラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物等を挙げることができる。
上記メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているもので、具体的にはメラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができる。特に、メラミンとホルムアルデヒドを塩基性条件下で反応して得られるメチロール化メラミン及びアルコキシ化メチルメラミン、並びにその誘導体が好ましく、特に保存安定性からアルコキシ化メチルメラミンが特に好ましい。またメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンについて特に制約はなく、例えば「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されているような方法で得られる、各種樹脂の使用も可能である。
また上記尿素化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、さらには環状尿素構造であるグリコールウリル骨格や2−イミダゾリジノン骨格を有する化合物も好ましい。前記尿素誘導体等のアミノ化合物についても前記「ユリア・メラミン樹脂」等に記載の各種樹脂の使用が可能である。
本発明において架橋剤として好適に用いられる化合物としては、含フッ素共重合体との相溶性の点から、特にメラミン化合物又はグリコールウリル化合物が好ましく、その中でも反応性の観点から、架橋剤が分子中に窒素原子を含有し、且つ該窒素原子に隣接するアルコキシ基で置換された炭素原子を2個以上含有する化合物であることが好ましい。特に好ましい化合物は下記H−1、H−2で表される構造を有する化合物、及びそれらの部分縮合体である。式中Rは炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を表す。
Figure 2012159857
含フッ素ポリマーに対するアミノプラストの添加量としては、共重合体100質量部当たり、1〜50質量部であり、好ましくは3〜40質量部であり、さらに好ましくは5〜30質量部である。1質量部以上であれば、本発明の特徴である薄膜としての耐久性を十分に発揮することができ、50質量部以下であれば、光学用途に利用する際に本発明における低屈折率層の特徴である低屈折率を維持できるので好ましい。硬化剤を添加しても屈折率を低く保つという観点からは、添加しても屈折率の上昇が少ない硬化剤が好ましく、その観点では上記化合物のうち、H−2で表される骨格を有する化合物がより好ましい。
本発明においては、上記水酸基含有ポリマーと上記多官能の反応性化合物を塗布組成物形成前にあらかじめ部分的に結合させて用いることもできる。特に本発明のようにフッ素含率が高い場合には有効であり、塗膜の硬度の上昇や併用する微粒子の分散安定性が向上する。
(1分子に化学結合を形成可能な官能基を複数個含む化合物の使用量)
上記化合物の分子量には特に制限はないが、好ましくは200〜10000であり、より好ましくは200〜3000、特に好ましくは400〜1500の範囲である。分子量が小さすぎると、皮膜形成過程での揮発が問題になり、大きすぎると含フッ素ポリマーとの相溶性が悪くなる。
1−(4)オルガノシラン化合物 [本発明の低屈折率層の構成成分(C)]
本発明のフィルムには、オルガノシラン化合物又は、該オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物等(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有させることが、耐擦傷性の点で好ましい。
これら化合物は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することによりバインダーとして機能する。また、多官能アクリレートポリマーを有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
具体的化合物例としては、前述の無機微粒子のオルガノシラン化合物(M−1)〜(M−88)を用いることができる。これらのうち、(M−1)、(M−2)、(M−30)および(M−35)が好ましい。
該オルガノシラン化合物または、その加水分解物及び/またはその部分縮合物の配合量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が最も好ましい。
該オルガノシラン化合物は硬化性組成物(防眩層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を防眩層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
1−(5)重合開始剤[本発明の低屈折率層の構成成分(E)]
本発明の低屈折率層の硬化に有効な重合開始剤について述べる。低屈折率層の構成成分がラジカル重合性化合物の場合には、これら化合物の重合は、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
(光ラジカル開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルホリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノンなどが含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルなどが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどが含まれる。活性エステル類の例には1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。具体的には特開2000−80068号公報の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
上記活性ハロゲン類の具体例は以下の通りである。
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
Figure 2012159857
無機錯体の例には、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル]チタニウムが挙げられる。クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いてもよい。
本発明において、分子量が高く塗膜から揮散しにくい化合物としては、オリゴマー型の重合開始剤が好ましい。オリゴマー型放射線重合開始剤としては、放射線照射により光ラジカルを発生する部位を有するものであれば、特に制限はない。熱処理による揮散防止のために、重合開始剤の分子量は250以上10,000以下が好ましく、更に好ましくは280以上10,000以下である。より好ましくは、その質量平均分子量が400〜10,000である。質量平均分子量が400以上であれば、揮散性が小さいので好ましく、10,000以下であれば、得られる硬化塗膜の硬度が十分なものとなるので好ましい。オリゴマー型放射線重合開始剤の具体例としては、下記一般式(5)に示すオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]を挙げることができる。
一般式(5):
Figure 2012159857
上記一般式(5)中、R51は、一価の基、好ましくは一価の有機基、qは2〜45の整数をそれぞれ示す。
上記一般式(5)に示すオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]の市販品としては、フラテツリ・ランベルティ社製商品名「エザキュアKIP150」(CAS−No.163702−01−0、q=4〜6)、「エザキュアKIP65LT」(「エザキュアKIP150」とトリプロピレングリコールジアクリレートの混合物)、「エザキュアKIP100F」(「エザキュアKIP150」と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの混合物)、「エザキュアKT37」、「エザキュアKT55」(以上、「エザキュアKIP150」とメチルベンゾフェノン誘導体の混合物)、「エザキュアKTO46」(「エザキュアKIP150」、メチルベンゾフェノン誘導体、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドの混合物)、「エザキュアKIP75/B」(「エザキュアKIP150」と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1オンの混合物)等を挙げることができる。
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア1870」(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤)、「イルガキュア500」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」、“OXE01”等;日本化薬(株)製の「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」、「カヤキュアーMCA」など;サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KTO46,KT37,KIP150,TZT)”等、及びそれらの組合せが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、バインダー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントンなどを挙げることができる。更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DMBI,EPA)」などが挙げられる。
(熱ラジカル開始剤)
熱ラジカル開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
熱ラジカル開始剤は、バインダー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
(カチオン重合開始剤)
カチオン重合開始剤としては、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のプロトン酸、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ベンジルジメチルアミン、トリブチルアミン、トリス(ジメチルアミノ)メチルフェノール等の3級アミン、2−メチル−4−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トルエンスルホン酸シクロへキシルエステル、トルエンスルホン酸イソプロピルエステル等の加熱により分解してプロトン酸を発生する化合物、あるいは以下に記載する光の作用により酸触媒を発生する各種化合物を挙げることができる。本発明では、特に皮膜形成用組成物のポットライフの観点から、光の作用により酸を発生する化合物が好ましい。
光の作用により酸を発生する化合物としては、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号等に種々の例が記載されておりこれら公知の化合物を使用することができる。具体的には、RSO (Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF 、SbF 、PF 、BF 等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩、トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類である。
これらの光の作用により、酸を発生する化合物と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
熱または光の作用によってカチオン重合を開始する化合物の添加量もラジカル開始剤と同様に、一般的には低屈折率層形成組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%である。
1−(6)硬化触媒
水酸基含有含フッ素化合物と前記硬化剤の反応には、以下の硬化触媒を含有することが好ましい。この系では酸により硬化が促進される為、硬化性樹脂組成物に、酸性物質を添加することが望ましいが、通常の酸を添加すると塗布液中でも架橋反応が進行してしまい、故障(ムラ、ハジキなど)の原因となる。従って、熱硬化系で保存安定性と硬化活性を両立するために、加熱により酸を発生する化合物を硬化触媒として添加することがより好ましい。
硬化触媒は、酸と有機塩基からなる塩であることが好ましい。酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられ、ポリマーに対する相溶性の観点から有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MsOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる(( )内は略称)。
硬化触媒は、酸と組み合わせる有機塩基の塩基性および沸点によって大きく変化する。以下にそれぞれの観点から本発明で好ましく用いられる硬化触媒について説明する。
有機塩基の塩基性が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましいが、塩基性が低すぎると保存安定性が不十分になる。従って、適度な塩基性を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基性の指標として共役酸のpKaを用いて表すと、本発明で用いる有機塩基のpKaは5.0〜10.5である必要があり、6.0〜10.0であることがより好ましく、6.5〜10.0であることがさらに好ましい。有機塩基のpKaの値は水溶液中での値が化学便覧 基礎編(改訂5版、日本化学会編、丸善、2004年)第2巻のII−334〜340頁に記載があるので、その中から適当なpKaを有する有機塩基を選ぶことができる。また、該文献に記載がなくても構造上適当なpKaを有する化合物も好ましく用いることができる。下記表に該文献に記載の適当なpKaを有する化合物を示すが、本発明に好ましく用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2012159857
有機塩基の沸点が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましい。従って、適度な沸点を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基の沸点としては、120℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましい。
本発明で好ましく用いることができる有機塩基としては例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。( )内は沸点を示す。
b−3:ピリジン(115℃)、
b−14:4−メチルモルホリン(115℃)、
b−20:ジアリルメチルアミン(111℃)、
b−19:トリエチルアミン(88.8℃)、
b−21:t−ブチルメチルアミン(67〜69℃)、
b−22:ジメチルイソプロピルアミン(66℃)、
b−23:ジエチルメチルアミン(63〜65℃)、
b−24:ジメチルエチルアミン(36〜38℃)、
b−18:トリメチルアミン(3〜5℃)。
本発明の有機塩基の沸点は35℃以上85℃以下である。これ以上の温度では耐擦傷性の悪化が生じ、また35℃未満では塗布液が不安定となる。沸点は45℃以上80℃以下であることがさらに好ましく、55℃以上75℃以下であることが最も好ましい。
本発明の酸触媒として用いる時には、前記酸と有機塩基からなる塩を単離して用いても良いし、酸と有機塩基を混合して溶液中で塩を形成させ、その溶液を用いても良い。また、酸、有機塩基とも1種類だけで用いても良いし、複数種類のものを混合して用いても良い。酸と有機塩基を混合して用いる時には、酸と有機塩基の当量比が1:0.9〜1.5となるように混合することが好ましく、1:0.95〜1.3であることがより好ましく、1:1.0〜1.1であることが特に好ましい。
この酸触媒の使用割合は、上記硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.2〜3質量部である。
<感光性酸発生剤、光酸発生剤>
本発明では上述した熱酸発生剤の他に光照射により酸を発生する化合物、すなわち感光性酸発生剤をさらに添加しても良い。以下に本発明に用いることができる光酸発生剤について詳述する。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、またはマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物およびそれらの混合物等が挙げられる。感光性酸発生剤は当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。この感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;その他を挙げることができ、適宜使用することができる。中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。感光性酸発生剤の割合が該上限値以下であれば、得られる硬化膜の強度が優れたものとなり、透明性も良好なので好ましい。
感光性酸発生剤は、前述の低屈折率層以外の層、例えばハードコート層にも使用でき、その使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005―43876号記載の内容などを用いることができる。
1−(7)低屈折率層の物性
本発明の低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.35が好ましく、更に好ましくは1.25〜1.35であり、最も好ましくは1.26〜1.30である。この屈折率範囲では、低反射と耐擦傷性の両立が図れる。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜110nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
1−(8)低屈折率層の硬化条件
本発明においては、低屈折率層に使用する各成分の硬化性官能基に適した硬化条件を選択することができる。
好ましい例を以下に述べる。
(A)水酸基含有含フッ素化合物及び水酸基と反応する化合物とを併用する系
硬化温度は、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜130℃、最も好ましくは80〜110℃である。支持体が高温で劣化しやすい場合には低温が好ましい。熱硬化に要する時間は、30秒〜60分が好ましく、更に好ましくは1分〜20分である。
また、特に下面が電離放射線硬化性(メタ)アクリレート基含有の光学フィルム構成層の場合には、低屈折率層に(メタ)アクリレート基含有化合物を添加することにより界面結合を強化することができる。好ましい硬化条件については、以下(B)の系の場合とあわせ後述する。
(B)(メタ)アクリレート基含有含フッ素化合物を使用する系
含フッ素化合物が(メタ)アクリレート基を含有する場合には、低屈折率層に更に(メタ)アクリレート基を含有する化合物を併用することが塗膜の強度向上の点で好ましい。電離放射線による照射と、照射の前、照射と同時又は照射後の熱処理とを組み合わせることにより、硬化することが有効である。
以下にいくつかの製造工程のパターンを示すが、これらに限定されるものではない。
照射前→ 照射と同時 →照射後(−は熱処理を行っていないことを示す。)
(1)熱処理→電離放射線硬化→ −
(2)熱処理→電離放射線硬化→熱処理
(3) − →電離放射線硬化→熱処理
その他、電離放射線硬化時に同時に熱処理を行う工程も好ましい。
(熱処理)
本発明においては、上記のとおり、電離放射線による照射と組み合わせて熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、光学フィルムの支持体、低屈折率層を含めた構成層を損なうものでなければ特に制限はないが、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜130℃、最も好ましくは80〜110℃である。
温度を上げることにより、塗膜内で各成分の配向や分布を調節したり、光硬化の反応を制御することができる。電離放射線照射や熱による硬化前には、各成分が固定化されておらず、各成分の配向が比較的速やかに起こるが、硬化開始後には、各成分が固定され部分的にしか配向は起こらない。熱処理に要する時間は、使用成分の分子量、その他成分との相互作用、粘度などにより異なるが、30秒〜24時間、好ましくは60秒〜5時間、最も好ましくは3分〜30分である。
フィルムの膜面温度を所望の温度にする方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線又は赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号明細書に記載の、回転金属ロールに温水や蒸気を流して加熱する方法も利用できる。一方、下記で述べる電離放射線の照射時においては、フィルムの膜面温度が上がる場合には、ロールを冷却してフィルムに接触させる方法が利用できる。
(電離放射線照射条件)
電離線放射線照射時の膜面温度については、特に制限はないが、ハンドリング性及び面内の性能の均一性から、一般に20〜200℃、好ましくは30〜150℃、最も好ましくは40〜120℃である。膜面温度が該上限値以下であれば、バインダー中の低分子成分の流動性が上昇しすぎて面状が悪化したり、支持体が熱によりダメージを受けたりする問題が生じないので好ましい。また該下限値以上であれば、硬化反応の進行が十分で、膜の耐擦傷性が良好なものとなるので好ましい。
電離放射線の種類については、特に制限はなく、x線、電子線、紫外線、可視光、赤外線などが挙げられるが、紫外線が広く用いられる。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。照射の際には、前記エネルギーを一度に当ててもよいし、分割して照射することもできる。特に塗膜の面内での性能ばらつきを少なくする点からは、2〜8回程度に分割して照射することも好ましい。
電離放射線照射後フィルムが前記温度に保たれる時間は、電離放射線照射終了から0.1秒以上300秒以下が好ましく、0.1秒以上10秒以下がより好ましい。フィルムの膜面温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する低屈折率層形成用塗布組成物の反応を促進できず、逆に長すぎると設備が大きくなるなどの製造上の問題が生じてしまう。
(酸素濃度)
電離放射線照射時の酸素濃度は3体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1%体積以下であり、更に好ましくは0.1%以下である。酸素濃度3体積%以下で電離放射線を照射する工程に対して、その直前又は直後に酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で維持する工程を設けることにより、膜の硬化を十分に促進し、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
電離放射線による照射の前、照射
と同時又は照射後の熱処理工程は、大気雰囲気下で行うことができるが、電離放射線照射時と同様に酸素濃度を低下させて行うことも好ましい。特に、重合開始剤や重合性化合物などの熱安定性が不十分なときは、酸素濃度を低下させて熱処理を行うことで、全硬化工程終了後の膜の強度を強く保つことができる。
酸素濃度を低下させる手段としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の不活性気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。電離放射線を照射する工程の前に、低酸素濃度の雰囲気下で搬送を行うことによって、塗膜表面及び内部の酸素濃度を有効に低減することができ、硬化を促進することができる。電離放射線照射前の搬送工程における酸素濃度は3体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1%体積以下であり、更に好ましくは0.1%以下である。
1−(9)反射防止フィルムの層構成
本発明の光学フィルムは、その用途は特に限定されないが、反射防止フィルムであることが好ましい。反射防止フィルムは、透明な基材(以下、「支持体」とも言うことがある。)上に、必要に応じて後述のハードコート層を有し、1つの特に好ましい構成層として帯電防止層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように、屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して一層以上の反射防止層が積層されている。
反射防止フィルムは、一般に、最も単純な構成では、基材上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、支持体として機能している。また、下記構成において、(帯電防止層)と表記したものは、その他の機能を有する層が帯電防止層の機能も合わせ持つ構成である。帯電防止層に帯電防止以外の機能を持たせることで、形成する層の数を減らすことができるため、該構成は生産性が向上し好ましい。
(本発明の反射防止フィルムの好ましい層構成)
・基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/低屈折率層(帯電防止層)、
・基材フィルム/防眩層(帯電防止層)/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層(帯電防止層)/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層(帯電防止層)/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層(帯電防止層)/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層(帯電防止層)/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層(帯電防止層)/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層(帯電防止層)/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層(帯電防止層)/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層(帯電防止層)/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層。
光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子又は金属酸化物微粒子{例えば、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)}を含む層であることが好ましく、塗布又は大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
2.本発明の構成物
本発明のフィルムに使用することのできる各種化合物について以下に記載する。
2−(1)バインダー
本発明のフィルムは、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることができる。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることが出来る。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
2−(2)透光性粒子
本発明のフィルム、特に防眩層やハードコート層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子を用いることが出来る。また、本発明の粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子を含有する層に使用することも好ましい。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
さらに、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100重量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組み合わせて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
本発明におけるバインダー(透光性樹脂)と透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、バインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜20μmが好ましく、より好ましくは2.0〜15.0μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字ボケを引き起こしたりするため、好ましくない。一方、20μmを超えると、添加する層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールやコスト上昇といった問題が生じる。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
前記透光性粒子は、添加層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合される。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、添加効果が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
<透光性粒子調製、分級法>
本発明に係る透光性粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁及び146頁から147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製または合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
2−(3)無機粒子
本発明には硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を用いることができる。
無機粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、具体例としては、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等が挙げられる。その他BaSO、CaCO、タルクおよびカオリンなどが含まれる。
本発明に使用する無機粒子の粒径は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、重量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわないフィルムを形成できる。無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
本発明に使用する無機粒子は分散媒体中に分散物として使用する層の塗布液に添加することが好ましい。
無機粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
<高屈折率粒子>
本発明を構成する層を高屈折率化する目的に対しては、屈折率の高い無機粒子をモノマーと開始剤、有機置換されたケイ素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。
この場合の無機粒子としては、屈折率の観点から、特にZrO、TiO好ましく用いられる。ハードコート層の高屈折率化に対してはZrOが、高屈折率層、中屈折率層用の粒子としてはTiOの微粒子が最も好ましい。
上記TiOの粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するTiOを主成分とする無機粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明におけるTiOを主成分とする粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
TiOを主成分とする粒子の一次粒子の重量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
TiOを主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
TiOを主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiOが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明のフィルムの耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
本発明のTiOを主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
層中のモノマーや無機粒子の添加量は、バインダーの全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。無機粒子は層内で二種類以上用いても良い。
2−(4)防汚剤
本発明のフィルム、特にフィルムの最上層には防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系(下記に述べるポリシロキサン構造を有する化合物等)あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。
これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
[ポリシロキサン構造を有する化合物]
次にポリシロキサン構造を有する化合物について説明する。
本発明では滑り性付与による耐擦傷性向上、及び防汚性の付与を目的としてポリシロキサン構造を有する化合物を用いる。化合物の構造は特に制限はなく、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。また、ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。
ポリシロキサン構造を有する化合物の分子量には特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。
転写を防ぐという観点で、水酸基又は水酸基と反応して結合を形成する官能基を含有することが好ましい。この結合形成反応は、加熱条件下及び/又は触媒存在下で速やかに進行することが好ましい。そのような置換基としては、エポキシ基やカルボキシル基などが挙げられる。好ましい化合物の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(水酸基を含むもの)
“X−22−160AS”、“KF−6001”、“KF−6002”、“KF−6003”、“X−22−170DX”、“X−22−176DX”、“X−22−176D”、“X−22−176F”{以上、信越化学工業(株)製};“FM−4411”、“FM−4421”、“FM−4425”、“FM−0411”、“FM−0421”、“FM−0425”、“FM−DA11”、“FM−DA21”、“FM−DA25”{以上、チッソ(株)製};“CMS−626”、“CMS−222”{以上、Gelest社製}。
(水酸基と反応する官能基を含むもの)
“X−22−162C”、“KF−105”{以上、信越化学工業(株)製};“FM−5511”、“FM−5521”、“FM−5525”、“FM−6611”、“FM−6621”、“FM−6625”{以上、チッソ(株)製}。
上記ポリシロキサン系化合物に加えて、更に別のポリシロキサン系化合物を併用することもできる。好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、オキセタニル基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.0質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防汚剤として用いられるフッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
2−(5)界面活性剤
本発明のフィルムには、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を光拡散層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とする、あるいは下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
Figure 2012159857
一般式イにおいてR11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
Figure 2012159857
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマー中に用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼす。
2−(6)増粘剤
本発明のフィルムは、塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、さらに好ましくは0.10〜20cPであり、最も好ましくは0.10〜10cPである。
このような増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
この他にも特開平8−325491号記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイト及びポリアクリル酸ソーダ、特開平10−219136エチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することが出来る。
2−(7)塗布溶剤
本発明の各層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
2−(8)その他
本発明のフィルムには、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することもできる。
2−(9)支持体
本発明のフィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
<セルロースアシレートフィルム>
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。又、透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度とする。
本発明ではセルロースアシレートフィルムに、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム>
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性および耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
3.フィルムを構成する層
本発明のフィルムは、上記の各種化合物を混合、塗設することによって得られるものであるが、次に、本発明のフィルムを構成する層について記載する。
3−(1)防眩層
防眩層は、本発明で規定される表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の重量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層は好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、および溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズを達成することができる。具体的には、後述する本発明の防眩層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなる透光性樹脂(硬化後の屈折率が1.55〜1.70)と、スチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子および/またはベンゾグアナミン粒子との組合せが好ましく、特に前記透光性樹脂とスチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(スチレン−アクリレート)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.54〜1.59)との組合せが特に好ましい。
透光性粒子は、形成された防眩層中に、防眩層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、防眩性が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2である。
また、透光性樹脂の屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値が0.04以下が好ましい。透光性樹脂の屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値は好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.040を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
前記透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
防眩層の膜厚は、1〜10μmが好ましく、1.2〜8μmがより好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)は0.10〜0.40μmの範囲が好ましい。0.40μmを超えると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
3−(2)ハードコート層
本発明のフィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、防眩層に加えてハードコート層を設けることができる。好ましくは、その上に低屈折率層が設けられ、更に好ましくはハードコート層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、反射防止フィルムを構成する。ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.52〜1.90であり、更に好ましくは1.55〜1.80である。本発明では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層あるので、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜10μm、最も好ましくは3μm〜7μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーまたは無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマーおよび/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
3−(3)高屈折率層、中屈折率層
本発明のフィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作製する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いるTiOを主成分とする無機粒子は、分散物の状態で高屈折率層および中屈折率層の形成に使用する。
無機粒子の分散において、分散剤の存在下で分散媒体中に分散する。
本発明に用いる高屈折率層および中屈折率層は、分散媒体中に無機粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層および中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機粒子を含有する高屈折率層および中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して、5〜80質量%添加する。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は他の層を介して構築することが好ましい。
3−(4)干渉ムラ(虹ムラ)防止層
透明支持体とハードコート層、または透明支持体と防眩層に実質的な屈折率差(屈折率差が0.03以上)がある場合、透明支持体/ハードコート層、または透明支持体/防眩界面で反射光が生じる。この反射光は反射防止層表面での反射光と干渉し、ハードコート層(または防眩層)の微妙な膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止するために、例えば透明支持体とハードコート層(または防眩層)の間に中間の屈折率nを有し、膜厚dが下記式を満たす様な干渉ムラ防止層を設けることもできる。
=(2N−1)×λ/(4n
但し、λは可視光の波長で450〜650nmの範囲の何れかの値、Nは自然数。
また、反射防止フィルムを画像表示等に貼合する場合、透明支持体の反射防止層を積層していない側に粘着剤層(または接着剤層)を積層する場合がある。この様な態様で、透明支持体と粘着剤層(または接着剤層)の間に実質的な屈折率差(0.03以上)がある場合、透明支持体/粘着剤層(または接着剤層)の反射光が生じ、この反射光が、反射防止層表面の反射光などと干渉し、上記と同様に支持体やハードコート層の膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止する目的で透明支持体の反射防止層を積層していない側に上記と同様の干渉ムラ防止層を設けることもできる。
尚、この様な干渉ムラ防止層に関しては特開2004−345333号公報に詳しく記載されており、本発明ではここで紹介されている干渉ムラ防止層を用いることもできる。
3−(5)易接着層
本発明のフィルムには易接着層を塗設することもできる。易接着層とは、例えば、偏光板用保護フィルムとその隣接層、あるいはハードコート層と支持体とを接着し易くする機能を付与する層のことをいう。
易接着処理としては、ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤等からなる易接着剤により透明プラスチックフィルム上に易接着層を設ける処理が挙げられる。
本技術にて好ましく用いられる易接着層の例としては、−COOM(Mは水素原子またはカチオンを表す)基を有する高分子化合物を含有する層を含むものであり、さらに好ましい態様はフィルム基材側に−COOM基を有する高分子化合物を含有する層を設け、それに隣接させて偏光膜側に親水性高分子化合物を主たる成分として含む層を設けたものである。ここでいう−COOM基を有する高分子化合物としては例えば−COOM基を有するスチレン−マレイン酸共重合体や−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸−無水マレイン酸共重合体などであり、特に−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体を用いると好ましい。このような高分子化合物を単独でまたは2種以上併用して用い、好ましい重量平均分子量としては500〜500,000程度のものであるとよい。−COOM基を有する高分子化合物の特に好ましい例は特開平6−094915号、特開平7−333436号各公報記載のものが好ましく用いられる。
また親水性高分子化合物として好ましくは、親水性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロース等)、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルービニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等)、親水性ポリエステル誘導体(例えば、部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等)、親水性ポリビニル誘導体(例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルインダゾール、ポリビニルピラゾール等)が挙げられ、単独或いは2種以上併用して用いられる。
易接着層の厚みとしては0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。0.05μmより薄いと十分な接着性が得られ難く、また、1.0μmより厚いと接着性の効果は飽和する。
3−(6)カール防止層
本技術のフィルムには、カール防止加工を施すこともできる。カール防止加工とは、これを施した面を内側にして丸まろうとする機能を付与するものであるが、この加工を施すことによって、透明樹脂フィルムの片面に何らかの表面加工をして、両面に異なる程度・種類の表面加工を施した際に、その面を内側にしてカールしようとするのを防止する働きをするものである。
カール防止層は基材の防眩層または反射防止層を有する側と反対側に設ける態様或いは、例えば透明樹脂フィルムの片面に易接着層を塗設する場合もあり、また逆面にカール防止加工を塗設するような態様が挙げられる。
カール防止加工の具体的方法としては、溶剤塗布によるもの、溶剤とセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等の透明樹脂層を塗設するもの等が挙げられる。溶剤による方法とは、具体的には偏光板用保護フィルムとして用いるセルロースアシレートフィルムを溶解させる溶剤または膨潤させる溶剤を含む組成物を塗布することによって行われる。これらのカールを防止する機能を有する層の塗布液は従ってケトン系、エステル系の有機溶剤を含有するものが好ましい。好ましいケトン系の有機溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−へプチルケトン等であり、好ましいエステル系の有機溶剤の例としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。しかしながら、用いる溶剤としては溶解させる溶剤および/または膨潤させる溶剤の混合物の他、さらに溶解させない溶剤を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物および塗布量を用いて行う。この他にも、透明ハード加工や帯電防止加工を施してもカール防止機能を発揮する。
3−(7)水吸収層
本発明のフィルムには水吸収剤を使用することができる。水吸収剤は、アルカリ土類金属を中心に、水吸収機能を有する化合物から選択することができる。例えば、BaO、SrO、CaO、およびMgOなどが挙げられる。さらに、Ti、Mg、Ba、Caの様な金属元素から選択することもできる。これらの吸収剤粒子の粒子サイズは、好ましくは100nm以下であり、50nm以下で使用されるのがさらに好ましい。
これらの水吸収剤を含む層は前述のバリア層と同様に真空下蒸着法等を使って作製してもよいし、ナノ粒子を各種方法で作製して用いてもよい。層の厚みは1〜100nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。水吸収剤を含む層は、支持体と積層体(バリア層と有機層の積層体)の間、積層体の最上層、積層体の間、或いは、積層体中の有機層或いはバリア層中に添加されていてもよい。バリア層に添加する場合には共蒸着法を用いることが好ましい。
3−(8)プライマー層・無機薄膜層
本発明のフィルムでは、支持体と積層体との間に、公知のプライマー層または無機薄膜層を設置することでガスバリアー性を高めたりすることができる。
プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、本発明においてはこのプライマー層として有機無機ハイブリッド層を、無機薄膜層として無機蒸着層またはゾル−ゲル法による緻密な無機コーティング薄膜が好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
4.製造方法4−(1)塗布前の処理
本発明で使用する支持体は、塗布前に表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
さらに、塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行なう方法、特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、フィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のようにセルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
4−(2)塗布
本発明のフィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至フッ素含有オレフィン系重合体を含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。
4−(3)鹸化処理
本発明のフィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作製する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
a.アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、塗布層を有する表面と反対の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、塗布層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に塗布層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、フィルムが受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
b.アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を塗布層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記、a、bのどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作製することができる。
c.ラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記bと同様に、塗布層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、塗布層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記bの方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
d.中途層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
下層層まではアルカリ液に対する耐性があるが、上層のアルカリ液に対する耐性不足である場合には、下層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に上層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、たとえば防眩層とフッ素含有ゾルーゲル膜の低屈折率層とからなるフィルムにおいて、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
e.予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに塗布層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して塗布層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、塗布層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから塗布層を形成することで対処できる。また、塗布層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
4−(4)偏光膜の作製
本発明のフィルムは、偏光膜およびその片側ないし両側に配置された保護フィルムとして使用し、偏光膜として使用することができる。
一方の保護フィルムとして、本発明のフィルムを用いる、他方の保護フィルムは、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、上述の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が反射防止フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることが好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
反射防止フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体やポリマーフィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。
この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。
上記透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作製される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
5.本発明の使用形態
5−(1)偏光板
本発明の偏光板は、偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が本発明の光学フィルム(好ましくは、反射防止フィルム)である。保護フィルムは、前記のように、光散乱層や反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が10度〜50度の範囲にあることが好ましい。例えば、本発明の光学フィルムの片面に粘着層を設けてディスプレイの最表面に配置できる。本発明の光学フィルムは、偏光板における偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。
5−(2)画像表示装置
本発明の光学フィルム、又は偏光板は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)等の画像表示装置に用いることができる。本発明の、光学フィルム、又は偏光板を、画像表示装置の表示画面の視認側に有することが好ましい。
5−(3)液晶表示装置
本発明の光学フィルム、又は偏光板は、特に液晶表示装置等のディスプレイの最表層に用いることが好ましい。液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
5−(4)液晶表示装置以外のディスプレイ
<PDP>
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルターをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)または裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターを貼り付けることもできる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
6.各種特性値
以下に本発明に関する各種測定法と、好ましい特性値を示す。
6−(1)反射率
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。
本発明の反射防止フィルムは、鏡面反射率2.0%以下、透過率90%以上とするのが、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため好ましい。鏡面反射率は1.5%以下が特に好ましい。
6−(2)耐擦傷性
<スチールウール耐傷性評価>
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とすることが出来る。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定。
移動距離(片道):13cm
こすり速度:13cm/秒
荷重:500g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm
こすり回数:10、15往復
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
<オゾン暴露後のスチールウール耐傷性評価>
10ppmのオゾンに192時間暴露後の反射防止フィルム表面のスチールウール擦り試験によって経時後の耐擦傷性を評価することができる。
各試料を偏光板に加工後、オゾン10ppm、30℃、60%RHの環境下に192時間(8日)保管した後に、大気中に取り出す。これらのサンプルを上記スチールウール耐傷性評価に従って評価を行う。
6−(3)防汚性試験
<マジック拭き取り耐久性>
フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃60RH%の条件下で黒マジック「マッキー極細(商品名:ZEBRA製)」のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねたベンコット(商品名、旭化成(株))でベンコットの束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。マジック後が拭き取りで消えなくなるまで前記の書き込みと拭き取りを前記条件で繰り返し、拭き取りできた回数により防汚性を評価することが出来る。
消えなくなるまでの回数は5回以上であることが好ましく、10回以上であることが更に好ましい。
黒マジックについてはマジックインキ No.700(M700―T1 黒)極細を用い試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶし、24時間放置後にベンコット(旭化成(株)製)で擦り、マジックがふき取れるかによっても評価することができる。
〈表面形状の評価〉
光学フィルム表面の形状は、JIS B−0601−1994に基づいて、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)、表面凹凸の平均間隔(Sm)を(株)ミツトヨ製二次元粗さ計“SJ−400”型により評価することができる。Raの値は0.01〜0.30μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.20μmであり、さらに好ましくは0.01〜0.15μmであり、最も好ましくは0.01〜0.10μmである。また、Smの値は30〜200μmが好ましく、50〜150μmがさらに好ましい。Raが0.30を超えるとギラツキ、外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。
(ヘイズ)
本発明の表面ヘイズ、内部ヘイズについて、詳述する。
[1]JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
[2]光学フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
本発明の光学フィルムの表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)は、10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
以下に、実施例に基づき本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の実施例、合成例中、特に断らない限り%は質量%を表す。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM―5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調製しゾル液aとした。
(ゾル液bの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン80部とメチルトリメトキシシラン(KBM−13、信越化学工業(株)製)20部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水3部を加え、40℃で60分反応させた。質量平均分子量は800であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランは10%以下の残存率であった。
[内部に空孔を有する粒子の調製]
(分散液B−1の調製)
特開2002−79616の調製例4から調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。最終ステップで水分散液状態からメタノールに溶媒置換し、20%シリカ分散液とし、平均粒子径45nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.30の粒子が得られた。これを分散液(A−1)とする。
分散液(A−1)の500部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン15部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。総液量がほぼ一定になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換した。最終的に固形分が20%になるように調節して分散液B−1を調製した。
(分散液B−2の調製)
上記分散液(A−1)の調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。最終ステップで水分散液状態からメタノールに溶媒置換し、20%シリカ分散液とし、平均粒子径80nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.19の粒子が得られた。これを分散液(A−2)とする。
分散液(A−2)の500部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン15部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。総液量がほぼ一定になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換した。最終的に固形分が20%になるように調節して分散液B−2を調製した。
(分散液B−3の調製)
上記分散液(A−1)の調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。最終ステップで水分散液状態からメタノールに溶媒置換し、20%シリカ分散液とし、平均粒子径35nm、シェル厚み約6nm、シリカ粒子の屈折率1.33の粒子が得られた。これを分散液(A−3)とする。
分散液(A−3)の500部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン15部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。総液量がほぼ一定になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換した。最終的に固形分が20%になるように調節して分散液B−3を調製した。
(実施例1)
〔反射防止フィルムの作製〕
[低屈折率層用塗布液(Ln−1〜Ln−22)の調製]
各成分を表のように混合し、MEKに溶解して固形分6%の低屈折率層用塗布液を調製した。
Figure 2012159857
上表中の材料名、製品名等はそれぞれ下記を表す。なお、上記表中の数値は、各成分の固形分の質量部を表す。
比較用化合物:(含フッ素化合物、(M1−1)/(MA−33)/EVEの50/20/30モル比共重合体、VPS−1001を2.7質量%含有する。質量平均分子量30000)
「MEK−ST−L」:日産化学工業(株)製コロイダルシリカ平均粒子サイズ約50nm
「サイメル303」:日本サイテックインダストリーズ(株)製メチロール化メラミン
「キャタリスト4050」:日本サイテックインダストリーズ(株)製硬化触媒 「I1」:化合物1
PM980M:(光ラジカル発生剤、重合開始剤PM980M、和光純薬製)、
「IRG369」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製光ラジカル発生剤
(ハードコート層用塗布液(HCL−1)の調製)
MEK90質量部に対して、シクロヘキサノン10質量部、部分カプロラクトン変性の多官能アクリレート(DPCA−20、日本化薬(株)製)85質量部、KBM−5103(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)10質量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)5質量部、を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液(HCL−1)を調製した。
[反射防止フィルム試料1の作製]
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、直接、上記のハードコート層用塗布液(HCL−1)を、線数180本/in、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1体積%で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射量50mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ5.0μmの層を形成し、巻き取った。このようにしてハードコート層(HC−1)を得た。
このようにして得られたハードコート層(HC−1)の上に、上記低屈折率層用塗布液Ln−1を用い、低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して、マイクログラビア塗工方式で反射防止フィルム試料1を作製した。
低屈折率層形成の硬化条件を以下に示す。
(1)乾燥:80℃−120秒
(2)硬化:110℃―10分
(3)UV硬化:60℃−1分、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度120mW/cm2、照射量480mJ/cm2の照射量とした。
[反射防止フィルム2〜22の作製]
反射防止フィルムの作製において、低屈折率層用塗布液の組成が(Ln−2)〜(Ln−16)は、前記低屈折率層塗布液(Ln―1)を用いて作製した反射防止フィルム試料1と同様の硬化条件で硬化した。低屈折率層用塗布液の組成が(Ln−17)〜(Ln−22)は、以下に示す硬化条件で硬化した。
低屈折率層形成の硬化条件を以下に示す。
(1)乾燥:80℃−120秒
(2)UV硬化:60℃−1分、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度120mW/cm2、照射量480mJ/cm2の照射量とした。
[反射防止フィルムの鹸化処理]
得られた反射防止フィルムを以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm水酸化ナトリウム水溶液、55℃で120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた、鹸化済みの反射防止フィルムを用いて以下の評価を行った。(評価1)平均反射率の測定
本文記載の方法により450〜650nmの平均反射率を用いた。偏光板に加工されている試料は、偏光板形態のものをそのまま用い、フィルムそのものや偏光板を使用しない形態の表示装置の場合には、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
(評価2)スチールウール耐傷性評価
本文記載の方法により試験し、擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。荷重500g/cm、回数は10往復とした。
◎ :注意深く見ても、全く傷が見えない。
○ :注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△ :中程度の傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
(評価3)マジック拭き取り耐久性
本文記載の方法により試験し、マジックが消えなくなるまでの回数を求めた。消えなくなるまでの回数は5回以上であることが好ましく、10回以上であることが更に好ましい。
(評価4)オゾン暴露後のSW耐傷性評価
経時後の耐擦傷性を評価するために以下の試験を行った。各試料を偏光板に加工後、オゾン10ppm、30℃、60%RHの環境下に192時間(8日)保管した後に、大気中に取り出した。これらのサンプルに対して本文記載のスチールウール耐傷性試験を行い、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。荷重は500g/cm回数10往復とした。
◎ :注意深く見ても、全く傷が見えない。
○ :注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△ :中程度の傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
上記評価方法に基づく評価結果を下記表に示す。
Figure 2012159857
本実施例から明らかなように、フッ素含率が40%を超える本発明のポリマー、(メタ)アクリロイル基を有する化合物および無機微粒子を用い、本発明の構成成分を含む反射防止フィルムは、屈折率および反射率が低く、SW擦り耐性やマジック拭き取り耐久性、オゾン暴露後の耐擦傷性に優れることがわかる。
フッ素化合物を含有する低屈折率層を有する反射防止膜は、フッ素含率の増加に伴い屈折率、反射率が低くなり、フッ素含率が40%を下回る化合物を用いた場合、屈折率が上限を上回る(試料1、11、13、14の比較)。また、微粒子を併用することでマジック拭き取り耐久性およびオゾン暴露後の耐擦傷性が改良され、さらには(メタ)アクリロイル基を有する化合物および光開始剤を併用するとより効果があることがわかる(試料1〜7の比較)また、フッ素含率が40%以上のフッ素ポリマーと内部に空孔を有する微粒子を併用することで、反射防止性能が大きく向上していることがわかる。(試料1〜5、9〜14と8の比較)
(実施例2)
実施例1の低屈折率層用塗布液Ln1において、光開始剤の種類をIrg184、Irg907、Irg369に変更した以外は同様である低屈折率層用塗布液Ln23、Ln24、Ln25をそれぞれ調製した。塗布液Ln1、23、24、25を用いてHC−1の上に反射防止フィルム1と同様の条件で低屈折率層を塗工した後鹸化を行い、反射防止フィルム23〜26を得た。
また、実施例1の低屈折率層用塗布液Ln1を用いた反射防止フィルム1の作製においてUV硬化時の温度を30℃、90℃に変更した以外は同様の条件で硬化、鹸化し、反射防止フィルム27、28を得た。
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた、鹸化済みの反射防止フィルムを用いて実施例1と同様にして平均反射率、スチールウール耐傷性、マジック拭き取り耐久性、オゾン暴露後のSW耐傷性をそれぞれ評価した。オゾン暴露後のSW耐傷性についてはさらに擦り回数を15往復にした評価も行った。評価結果を下記表に示す。
Figure 2012159857
本実施例から試料23〜26を比較すると、分子量が大きな光開始剤を用いることによって耐擦傷性が改善されていることがわかる。また、試料23、27、28を比較すると、光硬化時の温度を上げることで膜強度をより高めることができ、耐擦傷性が向上していることがわかる。
(実施例3)
HC層塗布液の調製
(ハードコート層用塗布液HCL−2の組成)
PETA 40wt%
DPHA 35wt%
イルガキュア184 3wt%
MX−600 12wt%
KBM−5103 10wt%
固形分濃度 30wt%
MIBK/MEK 90/10
(ハードコート層用塗布液HCL−3の組成)
PETA 40wt%
DPHA 38.5wt%
イルガキュア184 3wt%
SX−350 5.5wt%
架橋アクリル−スチレン粒子 3wt%
KBM−5103 10wt%
固形分濃度 30wt%
MIBK/MEK 90/10
(ハードコート層用塗布液HCL−4の組成)
PETA 40wt%
DPHA 31wt%
イルガキュア184 3wt%
SX−350 10wt%
架橋アクリル−スチレン粒子 5.5wt%
KBM−5103 10wt%
固形分濃度 30wt%
MIBK/MEK 90/10
上記構成成分は固形分の質量百分率で示す。使用した化合物の詳細を以下に示す。
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物 日本化薬(株)製
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物 日本化薬(株)製
KBM−5103:オルガノシラン化合物 信越化学工業(株)製
イルガキュア184:重合開始剤 日本チバガイギー(株)製
SX−350:3.5μm架橋ポリスチレン粒子 綜研化学(株)製
架橋アクリルースチレン粒子:3.5μm架橋アクリルースチレン粒子 綜研化学(株)製
MX−600:6μm架橋PMMA粒子 綜研化学(株)製
MIBK:メチルイソブチルケトン
MEK:メチルエチルケトン
実施例1のハードコート(HC−1)の作製において、ハードコート用塗布液(HCL−1)を上記(HCL−2)〜(HCL−4)に変更した以外は同様にして、ハードコート(HC−2)〜(HC−4)を作製した。これらのハードコート(HC−1)〜(HC−4の上に、実施例1の低屈折率層用塗布液(Ln−1)、(Ln−17)を塗布して実施例1の反射防止フィルム1作製時と同様に硬化、鹸化し、反射防止フィルムを作製した。
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた、鹸化済みの反射防止フィルムを用いて以下の評価を行った。
(評価1)平均反射率の測定
実施例1と同様にして測定した。
(評価2)表面形状の評価
得られたフィルムの表面形状をJIS B−0601−1994に基づいて、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)を(株)ミツトヨ製二次元粗さ計“SJ−400”型により評価した。但し、Raは測定長4μm とした。
(評価3)ヘイズ
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
[1]JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定した。
[2]得られた光学フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
(評価4)映り込み
厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)の裏表の表面に表面の平滑な偏光板をクロスニコル状態で張り合わせた。このガラス板の片面に、本発明の光学フィルムの支持体面を粘着シートで張り合わせて測定用のサンプル片を作製した。明室下において、このサンプル片を約30cm離して0度の角度から覗き込み、自分の顔の映り込みの程度を以下の基準で評価した。
自分の顔が全く写り込まない :◎
自分の顔が弱く写り込むが、気にならない :○
自分の顔が映り込み、気になる :△
自分の顔が強く写りこむ :×
(評価5)黒締まり感
(評価4)の映り込み測定時と同様、ガラス板に偏光板および得られたフィルムを貼り合わせ、サンプルを作製した。暗室にてルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m)を上方60度の角度から上記サンプル上のフィルム側に映し、正面から目視した際の面全体黒さの状態(黒締まり感)を以下の基準で評価した。評価結果を下記表に示す。
黒締まり感が非常に良い :◎
黒締まり感が良い :○
黒締まり感が少し劣る :△
黒締まり感が好ましくない :×
Figure 2012159857
上記表に示された結果より、本発明で得られた反射防止フィルムは外光の反射による像の映り込みを防止する性能に優れ、かつフィルムの表面散乱による表面全体の白光り状態(白ボケ)がなく、黒締まり感に優れることがわかった。特に試料30、34においては映り込み防止性能、黒締まり感共に非常に優れていることがわかった。
(実施例4)
実施例1の試料において、用いる支持体の膜厚を40μに変更した反射防止フィルムと、光学用易接着層付きPETフィルム東洋紡績社製コスモシャインA4300を用いた反射防止フィルムを作製した。実施例1に準じて評価した結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
(実施例5)
実施例1の反射防止膜(19)において、低屈折率層の固形分に対して1質量%のラジカル重合性シリコーンRMS−033(商品名;Gelest社製)を加えた反射防止フィルムを作製した。また実施例1の反射防止フィルム(1)において、低屈折率層の固形分に対して1質量%の水酸基含有シリコーンサイラプレーンFM−4425(商品名;チッソ社製)を加えた反射防止フィルムを作製した。これら反射防止フィルムを評価した結果、低反射で耐擦傷性に優れることが確認され、指紋付着が低減されるとともに指紋跡のふき取り性が改良されていることが分かった。
(実施例6)
[反射防止フィルムの実装評価]
TN、IPS、VA、OCB、ECBモードの透過型液晶表示装置の表面の保護フィルムをはがし、実施例1及び2の鹸化処理済みの反射防止フィルムを貼り付けた。このようにして作製した液晶用画像表示装置を評価した結果、低反射で視認性、耐擦傷性に優れた表示装置が作製できることが確認された。
(実施例7)
実施例1〜3の反射防止フィルム試料を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。
(実施例8)
〔反射防止フィルムの作製〕
[低屈折率層用塗布液(Ln−26〜Ln−38)の調製]
各成分を表7のように混合し、MEKに溶解して固形分6%の低屈折率層用塗布液を作製した。
上記塗布液(Ln26〜Ln38)を用いて実施例1のハードコート層(HC−1)の上に低屈折率層膜厚が95nmとなるように調節して、マイクログラビア塗工方式で反射防止フィルム試料37〜49を作製した。UV光照射量を120mJ/cm2とした以外は反射防止フィルム17〜22と同様の硬化条件を採用した。
評価結果を下記表8に示す。
Figure 2012159857
上記表中、V#1000、M−8030、EB−5129およびUN−3320HSは上述した(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物である。
Figure 2012159857
本実施例から明らかなように、フッ素含率が高いポリマーと中空シリカに対して、更に本発明の(C)の成分を併用することで、耐擦傷性の改良が見られるのみならず、防汚性が大幅に良化していることがわかる。
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、前記課題を解決し目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記の構成により前記目的を達成したものである。
<1>
支持体に、塗布組成物を塗設してなる層を最外層に有する光学フィルムであって、該塗布組成物が、以下の(A)、(B)、(C)及び(F)を含有し、かつ該最外層の屈折率が1.20以上1.38以下の範囲である光学フィルム。
(A)フッ素含率が40質量%以上である含フッ素化合物であって、
(メタ)アクリロイル基を有する構成成分をモル分率で15%以上30%以下の範囲で含有し、
下記一般式[1−1]で表される単量体から重合される構成成分、及び下記一般式[1−2]で表される単量体から重合される構成成分を含有し、
主鎖に下記一般式2で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含有し、
数平均分子量が10000〜100000である含フッ素化合物
一般式[1−1] CF =CF−Rf1
一般式[1−2] CF =CF−ORf12
(式中Rf1は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表し、Rf12は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表す)
一般式2
Figure 2012159857

(式中R 、R は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表し、pは2〜500の整数を表す。)
(B)粒子サイズ5nm以上120nm以下の中空シリカ微粒子
(C)1分子中に(メタ)アクリロイル基を複数個有する化合物
(F)粒子サイズが30nm以上150nm以下である空腔のないシリカ粒子
<2>
前記(A)含フッ素化合物が、下記一般式[1−3]で表される単量体から重合される構成成分をモル分率で10%以上50%以下の範囲で含有する、上記<1>に記載の光学フィルム。
一般式[1−3] CH =CH−ORf13
(式中Rf13は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表す)
<3>
前記(A)が、水酸基を有する上記<1>又は<2>に記載の光学フィルム。
<4>
前記(A)のフッ素含率が、45%以上である上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<5>
前記(B)の中空シリカ微粒子のうち少なくとも1種が、粒子サイズ40nm以上100nm以下の微粒子である上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<6>
前記(B)の中空シリカ微粒子のうち少なくとも1種の粒子の屈折率が、1.15以上1.30以下である上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<7>
前記(C)が、オルガノシロキサン構造を有する上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<8>
前記(C)が、フッ素を有する上記<1>〜<7>のいずれか1項記載の光学フィルム。
<9>
前記塗布組成物が、さらに(D)1分子中に(A)の含フッ素化合物と化学結合形成可能な官能基を複数個含む化合物を含有する上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<10>
前記(D)が、アミノプラスト類である上記<9>に記載の光学フィルム。
<11>
前記塗布組成物が、さらに(E)重合開始剤を含有する上記<1>〜<10>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<12>
前記(E)の重合開始剤の分子量が280以上である上記<11>に記載の光学フィルム。
<13>
前記最外層の屈折率が1.20以上1.35以下である上記<1>〜<12>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<14>
前記光学フィルムの表面ヘイズ値が、10%以下である上記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の光学フィルム。
<15>
偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、上記<1>〜<14>のいずれか1項に記載の光学フィルムである偏光板。
<16>
上記<1>〜<14>のいずれか1項に記載の光学フィルム、又は上記<15>に記載の偏光板を、有する画像表示装置。
なお、本発明は上記<1>〜<16>に関するものであるが、参考のためその他の事項
(例えば下記(1)〜(19)に記載の事項など)についても記載した。
(実施例1)
〔反射防止フィルムの作製〕
[低屈折率層用塗布液(Ln−1〜Ln−22)の調製]
各成分を表のように混合し、MEKに溶解して固形分6%の低屈折率層用塗布液を調製した。
下記表において、塗布液NO.Ln−1〜Ln−5、Ln−9〜Ln−12、Ln−15、Ln−16、及びLn−18は、「本発明」とあるのを「参考例」と読み替えるものとする。
上記評価方法に基づく評価結果を下記表に示す。
下記表において、試料NO.1〜5、9〜12、15、16、及び18は、「本発明」とあるのを「参考例」と読み替えるものとする。
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた、鹸化済みの反射防止フィルムを用いて実施例1と同様にして平均反射率、スチールウール耐傷性、マジック拭き取り耐久性、オゾン暴露後のSW耐傷性をそれぞれ評価した。オゾン暴露後のSW耐傷性についてはさらに擦り回数を15往復にした評価も行った。評価結果を下記表に示す。
下記表において、試料NO.23〜28は、「本発明」とあるのを「参考例」と読み替えるものとする。
上記表において、試料NO.29〜32は、「本発明」とあるのを「参考例」と読み替えるものとする。
上記表に示された結果より、本発明で得られた反射防止フィルムは外光の反射による像の映り込みを防止する性能に優れ、かつフィルムの表面散乱による表面全体の白光り状態(白ボケ)がなく、黒締まり感に優れることがわかった。特に試料30、34においては映り込み防止性能、黒締まり感共に非常に優れていることがわかった。
評価結果を下記表8に示す。
下記表7において、塗布液NO.Ln−26〜Ln−38は、「本発明」とあるのを「参考例」と読み替えるものとする。
下記表8において、試料NO.37〜49は、「本発明」とあるのを「参考例」と読み替えるものとする。

Claims (16)

  1. 支持体に、塗布組成物を塗設してなる層を最外層に有する光学フィルムであって、該塗布組成物が、以下の(A)、(B)、(C)及び(F)を含有し、かつ該最外層の屈折率が1.20以上1.38以下の範囲である光学フィルム。
    (A)フッ素含率が40質量%以上である含フッ素化合物であって、
    (メタ)アクリロイル基を有する構成成分をモル分率で15%以上30%以下の範囲で含有し、
    下記一般式[1−1]で表される単量体から重合される構成成分、及び下記一般式[1−2]で表される単量体から重合される構成成分を含有し、
    主鎖に下記一般式2で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含有し、
    数平均分子量が10000〜100000である含フッ素化合物
    一般式[1−1] CF=CF−Rf1
    一般式[1−2] CF=CF−ORf12
    (式中Rf1は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表し、Rf12は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表す)
    一般式2
    Figure 2012159857
    (式中R、Rは同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表し、pは2〜500の整数を表す。)
    (B)粒子サイズ5nm以上120nm以下の中空シリカ微粒子
    (C)1分子中に(メタ)アクリロイル基を複数個有する化合物
    (F)粒子サイズが30nm以上150nm以下である空腔のないシリカ粒子
  2. 前記(A)含フッ素化合物が、下記一般式[1−3]で表される単量体から重合される構成成分をモル分率で10%以上50%以下の範囲で含有する、請求項1に記載の光学フィルム。
    一般式[1−3] CH=CH−ORf13
    (式中Rf13は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表す)
  3. 前記(A)が、水酸基を有する請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記(A)のフッ素含率が、45%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 前記(B)の中空シリカ微粒子のうち少なくとも1種が、粒子サイズ40nm以上100nm以下の微粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 前記(B)の中空シリカ微粒子のうち少なくとも1種の粒子の屈折率が、1.15以上1.30以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 前記(C)が、オルガノシロキサン構造を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  8. 前記(C)が、フッ素を有する請求項1〜7のいずれか1項記載の光学フィルム。
  9. 前記塗布組成物が、さらに(D)1分子中に(A)の含フッ素化合物と化学結合形成可能な官能基を複数個含む化合物を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  10. 前記(D)が、アミノプラスト類である請求項9に記載の光学フィルム。
  11. 前記塗布組成物が、さらに(E)重合開始剤を含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  12. 前記(E)の重合開始剤の分子量が280以上である請求項11に記載の光学フィルム。
  13. 前記最外層の屈折率が1.20以上1.35以下である請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  14. 前記光学フィルムの表面ヘイズ値が、10%以下である請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  15. 偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学フィルムである偏光板。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学フィルム、又は請求項15に記載の偏光板を、有する画像表示装置。
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