JP2014145914A - 反射防止フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の反射防止フィルムは、基材と、基材側から順に、中屈折率層と、高屈折率層と、低屈折率層とを有する。基材の屈折率は1.45〜1.65の範囲であり、中屈折率層は、バインダー樹脂と無機微粒子とを含む中屈折率層形成用組成物を基材上に塗布および硬化することにより形成され、その屈折率は1.67〜1.78の範囲であり、厚みは70nm〜120nmであり、高屈折率層の屈折率は2.00〜2.60の範囲であり、厚みは10nm〜25nmであり、低屈折率層の屈折率は1.35〜1.55の範囲であり、厚みは70nm〜120nmである。
【選択図】図1
Description
1つの実施形態においては、上記高屈折率層の厚みは10nm〜20nmである。
1つの実施形態においては、上記高屈折率層は、金属酸化物または金属窒化物のスパッタリングにより、あるいは、酸素を導入して金属を酸化させながらスパッタリングすることにより形成されている。
1つの実施形態においては、上記バインダー樹脂は電離線硬化型樹脂であり、上記無機微粒子は粒径1nm〜100nmのジルコニア粒子または酸化チタン粒子である。
本発明の別の局面によれば、反射防止フィルムの製造方法が提供される。この方法は、基材上に、バインダー樹脂と無機微粒子とを含む中屈折率層形成用組成物を塗布および硬化させて中屈折率層を形成すること;該中屈折率層上に金属酸化物または金属窒化物をスパッタリングして、あるいは、酸素を導入して金属を酸化させながらスパッタリングして高屈折率層を形成すること;および、該高屈折率層上に金属酸化物または金属フッ化物をスパッタリングして低屈折率層を形成すること;を含み、該基材の屈折率が1.45〜1.65の範囲であり;該中屈折率層の屈折率が1.67〜1.78の範囲であり、厚みが70nm〜120nmであり;該高屈折率層の屈折率が2.00〜2.60の範囲であり、厚みが10nm〜25nmであり;該低屈折率層の屈折率が1.35〜1.55の範囲であり、厚みが70nm〜120nmである。
本発明のさらに別の局面によれば、反射防止フィルム付偏光板が提供される。この反射防止フィルム付偏光板は、上記の反射防止フィルムを含む。
本発明のさらに別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記の反射防止フィルムまたは上記の反射防止フィルム付偏光板を含む。
図1は、本発明の1つの実施形態による反射防止フィルムの概略断面図である。反射防止フィルム100は、基材10と、基材10側から順に、中屈折率層20と、必要に応じて密着層30と、高屈折率層40と、低屈折率層50とを有する。基材の屈折率nSは1.45〜1.65の範囲である。中屈折率層は、バインダー樹脂と無機微粒子とを含む中屈折率層形成用組成物を基材上に塗布および硬化することにより形成されている。中屈折率の屈折率nMは1.67〜1.78の範囲であり、厚みは70nm〜120nmである。高屈折率層の屈折率nHは2.00〜2.60の範囲であり、厚みは10nm〜25nmである。低屈折率層の屈折率nLは1.35〜1.55の範囲であり、厚みは70nm〜120nmである。本発明においては、高屈折率層の厚みが従来に比べて格段に薄くされている。高屈折率層は代表的にはNb2O5等の金属酸化物のスパッタリングにより形成されるところ、そのようなスパッタリング速度は非常に遅いことが知られている。したがって、高屈折率層の厚みを薄くすることにより、反射防止フィルム全体の生産効率を大幅に向上させることができる。さらに、中屈折率層をウェットプロセスで形成することにより、生産効率をさらに向上させることができ、製造コストをさらに低減することができる。その結果、本発明によれば、高生産性かつ低コストで反射防止フィルムを得ることができる。加えて、本発明によれば、各層の屈折率と厚みを最適化することにより、広帯域において優れた反射性能(低反射性)を有する反射防止フィルムを得ることができる。
基材10は、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な樹脂フィルムで構成され得る。具体的には、基材10は、透明性を有する樹脂フィルムであり得る。フィルムを構成する樹脂の具体例としては、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン−6、ナイロン−66)、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリロニトリル樹脂、セルロース系樹脂(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン)が挙げられる。基材は、単一層であってもよく、複数の樹脂フィルムの積層体であってもよく、樹脂フィルム(単一層または積層体)と下記のハードコート層との積層体であってもよい。基材(実質的には、基材を形成するための組成物)は、任意の適切な添加剤を含有し得る。添加剤の具体例としては、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤が挙げられる。なお、基材を構成する材料は当業界において周知であるので、詳細な説明は省略する。
中屈折率層20は、代表的には、バインダー樹脂と当該バインダー樹脂中に分散した無機微粒子とを含む。バインダー樹脂は、代表的には電離線硬化型樹脂であり、より具体的には紫外線硬化型樹脂である。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、(メタ)アクリレート樹脂(エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート)などのラジカル重合型モノマーもしくはオリゴマーなどが挙げられる。アクリレート樹脂を構成するモノマー成分(前駆体)の分子量は、好ましくは200〜700である。(メタ)アクリレート樹脂を構成するモノマー成分(前駆体)の具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:分子量298)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA:分子量212)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA:分子量632)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA:分子量578)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA:分子量296)が挙げられる。必要に応じて、開始剤を添加してもよい。開始剤としては、例えば、UVラジカル発生剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製イルガキュア907、同127、同192など)、過酸化ベンゾイルが挙げられる。上記バインダー樹脂は、上記電離線硬化型樹脂以外に別の樹脂成分を含んでいてもよい。別の樹脂成分は、電離線硬化型樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。別の樹脂成分の代表例としては、脂肪族系(例えば、ポリオレフィン)樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。別の樹脂成分を用いる場合、その種類や配合量は、得られる中屈折率層の屈折率が上記所望の範囲を満足するよう調整される。
密着層30は、中屈折率層20と高屈折率層40との密着性を高めるために設けられ得る任意の層である。密着層は、例えばケイ素(シリコン)で構成され得る。密着層の厚みは、例えば2nm〜5nmである。
高屈折率層40は、低屈折率層50と組み合わせて用いることにより、それぞれの屈折率の違いにより反射防止フィルムが光の反射を効率よく防止することができる。高屈折率層40は、好ましくは低屈折率層50に隣接して配置され得る。さらに、高屈折率層40は、好ましくは低屈折率層50の基材側に配置され得る。このような構成であれば、非常に効率よく光の反射を防止することができる。
低屈折率層50は、上記のとおり、高屈折率層40と組み合わせて用いることにより、それぞれの屈折率の違いにより反射防止フィルムが光の反射を効率よく防止することができる。低屈折率層50は、好ましくは高屈折率層40に隣接して配置され得る。さらに、低屈折率層50は、好ましくは高屈折率層40の基材側と反対側に配置され得る。このような構成であれば、非常に効率よく光の反射を防止することができる。
以下、本発明の反射防止フィルムの製造方法の一例を説明する。
まず、基材10を準備する。基材10は、上記A−1項に記載のような樹脂を含む組成物から形成される樹脂フィルムを用いてもよく、市販の樹脂フィルムを用いてもよい。樹脂フィルムの形成方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、押出、溶液流涎法が挙げられる。樹脂フィルムの積層体を基材として用いる場合には、例えば共押出により基材を形成することができる。
次に、B−1項のように準備した基材10上に中屈折率層20を形成する。より詳細には、上記A−2項に記載のようなバインダー樹脂と無機微粒子とを含む中屈折率層形成用組成物(塗布液)を基材上に塗布する。塗布液の塗布性を向上させるために、溶剤を使用することができる。溶剤としては、バインダー樹脂および無機微粒子を良好に分散し得る任意の適切な溶剤を使用することができる。塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。塗布方法の具体例としては、上記B−1項に記載のようなものが挙げられる。次に、塗布した中屈折率層形成用組成物を硬化させる。上記A−2項に記載のようなバインダー樹脂を用いる場合には、硬化は電離線を照射することにより行われる。電離線として紫外線を用いる場合には、その積算光量は、好ましくは200mJ〜400mJである。必要に応じて、電離線照射の前および/または後に加熱処理を行ってもよい。加熱温度および加熱時間は、目的等に応じて適切に設定され得る。このように、本発明の製造方法においては、中屈折率層20がウェットプロセス(塗布および硬化)により形成される。
次に、B−2項のようにして形成した中屈折率層20上に、必要に応じて密着層30を形成する。密着層30は、代表的にはドライプロセスにより形成される。ドライプロセスの具体例としては、PVD(Physical Vapor Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。PVD法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト法、スパッタリング法、イオンプレーティング法が挙げられる。CVD法としては、プラズマCVD法が挙げられる。インライン処理を行う場合には、スパッタリング法が好適に用いられ得る。密着層30は、例えば、ケイ素(シリコン)のスパッタリングにより形成される。なお、上記のとおり、密着層は任意であり省略されてもよい。
次に、中屈折率層20上または密着層が形成されている場合には密着層30上に、高屈折率層40を形成する。高屈折率層40は、代表的にはドライプロセスにより形成され、1つの実施形態においては、高屈折率層40は、金属酸化物(例えば、Nb2O5)または金属窒化物のスパッタリングにより形成される。別の実施形態においては、高屈折率層40は、酸素を導入して金属を酸化させながらスパッタリングすることにより形成される。本発明においては、高屈折率層の厚みが非常に小さいので膜厚制御が重要であるが、適切なスパッタリングにより対応可能である。
最後に、B−4項のようにして形成した高屈折率層40上に、低屈折率層50を形成する。低屈折率層50は、1つの実施形態においてはドライプロセスにより形成され、例えば金属酸化物(例えば、SiO2)のスパッタリングにより形成される。低屈折率層50は、別の実施形態においてはウェットプロセスにより形成され、例えばポリシロキサンを主成分とする低屈折率材料の塗布により形成される。また、所望の膜厚に対して途中までスパッタリングを行い、それ以降を塗布にすることにより低屈折率層を形成してもよい。
本発明の反射防止フィルムは、CRT、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネルなどの画像表示装置における外光の映り込み防止に好適に利用することができる。本発明の反射防止フィルムは、単独の光学部材として使用してもよく、他の光学部材と一体化して提供してもよい。例えば、偏光板に貼り合わせて反射防止フィルム付偏光板として提供してもよい。このような反射防止フィルム付偏光板は、例えば液晶表示装置の視認側偏光板として好適に用いられ得る。
裏面反射率をカットするために、得られた反射防止フィルムを黒色アクリル板(三菱レイヨン社製、厚み2.0mm)に粘着剤を介して貼り合わせ、測定サンプルを作成した。このような測定サンプルについて、分光光度計U4100(日立ハイテクノロジー社製)を用い、5°正反射の可視光領域の反射率を測定した。得られた反射率のスペクトルからC光源における視感反射率(Y)ならびにL*a*b*表色系の色相を算出して求めた。
(2)耐擦傷性
スチールウール#0000を用い、11mmΦに荷重500gで10往復擦動させた後、目視にてキズの程度を判定した。
○:著しいキズは認められない
×:著しいキズが認められる
基材としてハードコート(屈折率:1.53)付のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用いた。一方、ジルコニア粒子(平均粒径40nm、屈折率2.19)を全固形分の62%含有した樹脂組成物(JSR社製、商品名「オプスターKZシリーズ」)をMIBKにて3%に希釈した塗布液(中屈折率層形成用組成物)を調製した。当該塗布液を、バーコーターを用いて上記基材上に塗布し、60℃にて1分間乾燥後、積算光量300mJの紫外線を照射し、中屈折率層(屈折率:1.68、厚み:100nm)を形成した。次に、Nb2O5をスパッタリングすることにより、中屈折率層上に高屈折率層(屈折率:2.33、厚み:12nm)を形成した。さらに、SiO2をスパッタリングすることにより、高屈折率層上に低屈折率層(屈折率:1.47、厚み:110nm)を形成した。このようにして、反射防止フィルムを作製した。得られた反射防止フィルムを上記(1)および(2)の評価に供した。結果を表1に示す。
表1に示す構成で反射防止フィルムを作製した。得られた反射防止フィルムを上記(1)および(2)の評価に供した。結果を表1に示す。
なお、各実施例および比較例において、基材は同一のものを用いた。中屈折率層の屈折率は、塗布液中のジルコニア粒子の含有量を表1に示すように変化させることにより変化させた。高屈折率層の屈折率は、Nb2O5の代わりにTiO2(屈折率:2.50)をスパッタリングすることにより変化させた。低屈折率層の屈折率は、すべてSiO2を用いて一定とした。また、中屈折率層の厚みは、塗布液の塗布厚みを変化させることにより変化させた。それ以外の層の厚みは、スパッタリング厚みを変化させることにより変化させた。
表2に示す構成で反射防止フィルムを作製した。得られた反射防止フィルムを上記(1)および(2)の評価に供した。結果を表2に示す。
なお、各実施例および比較例において、基材は同一のものを用いた。中屈折率層は、酸化チタン粒子含有の樹脂組成物(東洋インキ社製、商品名「リオデュラスTYTシリーズ」)を用いて形成し、中屈折率層の屈折率は、塗布液中の酸化チタン粒子の含有量を変化させることにより変化させた。高屈折率層の屈折率は、すべてNb2O5を用いて一定とした。低屈折率層の屈折率は、すべてSiO2を用いて一定とした。また、中屈折率層の厚みは、塗布液の塗布厚みを変化させることにより変化させた。それ以外の層の厚みは、スパッタリング厚みを変化させることにより変化させた。
表1および表2から明らかなように、本発明の実施例によれば、優れた反射性能(低反射性)、ニュートラルに近い優れた反射色相および優れた機械特性(耐擦傷性)を有する反射防止フィルムを得ることができた。中屈折率層の屈折率または高屈折率層の厚みが本発明の範囲から外れる比較例の反射防止フィルムは、上記特性をすべて満足することはできなかった。
20 中屈折率層
30 密着層
40 高屈折率層
50 低屈折率層
100 反射防止フィルム
Claims (7)
- 基材と、該基材側から順に、中屈折率層と、高屈折率層と、低屈折率層とを有し、
該基材の屈折率が1.45〜1.65の範囲であり、
該中屈折率層が、バインダー樹脂と無機微粒子とを含む中屈折率層形成用組成物を該基材上に塗布および硬化することにより形成され、屈折率が1.67〜1.78の範囲であり、厚みが70nm〜120nmであり、
該高屈折率層の屈折率が2.00〜2.60の範囲であり、厚みが10nm〜25nmであり、
該低屈折率層の屈折率が1.35〜1.55の範囲であり、厚みが70nm〜120nmである、
反射防止フィルム。 - 前記高屈折率層の厚みが10nm〜20nmである、請求項1に記載の反射防止フィルム。
- 前記高屈折率層が、金属酸化物または金属窒化物のスパッタリングにより、あるいは、酸素を導入して金属を酸化させながらスパッタリングすることにより形成されている、請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
- 前記バインダー樹脂が電離線硬化型樹脂であり、前記無機微粒子が粒径1nm〜100nmのジルコニア粒子または酸化チタン粒子である、請求項1から3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
- 基材上に、バインダー樹脂と無機微粒子とを含む中屈折率層形成用組成物を塗布および硬化させて中屈折率層を形成すること、
該中屈折率層上に金属酸化物または金属窒化物をスパッタリングして、あるいは、酸素を導入して金属を酸化させながらスパッタリングして高屈折率層を形成すること、および
該高屈折率層上に金属酸化物または金属フッ化物をスパッタリングして低屈折率層を形成すること、を含み、
該基材の屈折率が1.45〜1.65の範囲であり、
該中屈折率層の屈折率が1.67〜1.78の範囲であり、厚みが70nm〜120nmであり、
該高屈折率層の屈折率が2.00〜2.60の範囲であり、厚みが10nm〜25nmであり、
該低屈折率層の屈折率が1.35〜1.55の範囲であり、厚みが70nm〜120nmである、
反射防止フィルムの製造方法。 - 請求項1から4のいずれかに記載の反射防止フィルムを含む、反射防止フィルム付偏光板。
- 請求項1から4のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは請求項6に記載の反射防止フィルム付偏光板を含む、画像表示装置。
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