JP2006079068A - 反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 反射率が低くぎらつきが押さえられ、水滴付着跡・防汚性に優れた反射防止フィルムを提供すること。更には、そのような反射防止フィルムを用いた偏光版やディスプレイ装置を提供すること。
【解決手段】 微細空孔を含む層を少なくとも1層有する反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムの表面を水に15分間接触させた後に拭き取った部分の、D65標準光源下で測定したCIE1976L***色空間における色度変化△Eが0.45以下であることを特徴とする反射防止フィルム、及びそれを用いた偏光板並びに画像表示装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は反射防止フィルム、偏光板及び表示装置に関する。
反射防止フィルムは一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する様にディスプレイの最表面に配置される。
このような反射防止フィルムは、支持体上の最表面に適切な膜厚の低屈折率層、場合により支持体と低屈折率層との間に、適宜高屈折率層、中屈折率層、ハードコート層などを形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。また反射防止フィルムは最表面に用いられることからディスプレイ装置の保護膜としての機能が期待される。汚れやほこりが付着しにくいことや、耐擦傷性が強いことが求められる。
材料の屈折率を下げるには、フッ素原子を含有する有機基をバインダーに導入する、密度を下げる(空隙を導入する)という手段がある。フッ素原子を含有する有機基をバインダーに使用する場合においては、バインダー自身の凝集力が低下しそれを補うため必要な結合基を導入することで実用的には屈折率の低下には限界があり1.40以下にするのは困難であった。一方低屈折率層に微小空隙を導入して屈折率を低下させる方法は、1.40を下回ることが可能であるが、膜強度が弱かったり、指紋や油等の汚れが浸入しやすいという欠陥があった。
例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3にはバインダー中に微小空孔を形成させることで屈折率を低下させようという試みがある。また特許文献4には多孔質シリカを使用して屈折率を低下させる試みがある。これらはいずれも膜強度や指紋汚れ等の点で実用的に満足できるものではなかった。
また、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8及び特許文献9には、中空シリカ粒子を低屈折率層に含有した反射防止膜の記載がある。
特開平6−3501号公報 特開平9−222502号公報 特開平9−222503号公報 特開平7−48527号公報 特開2001−233611号公報 特開2002−79616号公報 特開2002−317152号公報 特開2003−202406号公報 特開2003−292831号公報
中空シリカ粒子を低屈折率層に含有した反射防止膜では、確かに従来のものに対して耐擦傷性や指紋等の汚れの付着耐性は向上したが、偏光板作成時の鹸化により膜が破壊されたり、また新たに水滴が付着した場合にその跡が残るという問題が明らかになった。反射防止膜はディスプレイの最表面に使用されるため、日常の使用で水滴が付着する場合があり、実用的な耐久性を付与する観点で、改良が必要であった。
本発明の目的は、反射率が低くぎらつきが押さえられ、水滴付着跡・防汚性に優れた反射防止フィルムを提供することにある。更には、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下の構成の反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置により本発明の上記目標が達成できることを見出した。
(1)微細空孔を含む層を少なくとも1層有する反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムの表面を水に15分間接触させた後に拭き取った部分の、D65標準光源下で測定したCIE1976L***色空間における色度変化△Eが0.45以下であることを特徴とする、反射防止フィルム。
(2)屈折率が1.40以下である低屈折率層を少なくとも1層有する反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムの表面を水に15分間接触させた後に拭き取った部分の、D65標準光源下で測定したCIE1976L***色空間における色度変化△Eが0.45以下であることを特徴とする、反射防止フィルム。
(3)反射防止フィルムがアルカリ鹸化処理工程を経たことを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の反射防止フィルム。
(4)少なくとも1種の多孔質および/または中空の無機微粒子を含有する層を少なくとも1層有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(5)多孔質および/または中空の無機微粒子の吸着水量が6.1質量%以下であり、粒子サイズが20〜100nmであることを特徴とする、上記(4)に記載の反射防止フィルム。
(6)低屈折率層がフッ化アルキル部および/またはジアルキルシロキサン部を有する成分を含有することを特徴とする、上記(2)〜(5)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(7)中空の無機微粒子が中空シリカ微粒子であり、該中空シリカ微粒子の屈折率が1.40以下であることを特徴とする、上記(4)〜(6)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(8)中空シリカ微粒子が、粒子サイズが45〜80nmであり、屈折率が1.30以下の中空シリカ微粒子であることを特徴とする、上記(7)に記載の反射防止フィルム。
(9)偏光子と保護フィルムからなる偏光板であって、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の反射防止フィルムを保護フィルムとして有することを特徴とする、偏光板。
(10)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の反射フィルム、又は上記(9)に記載の偏光板を有することを特徴とする、画像表示装置。
本発明の反射防止フィルムは、反射率が低くぎらつきが押さえられ、かつ水滴の付着跡が残りにくいとともに、防汚性にも優れる。更に、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光版やディスプレイ装置は外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
[水跡の評価]
本発明の反射防止フィルムは、低屈折率層を有する側の表面(微細空孔を含む層を有する側の表面)を、水に15分間接触させた後に拭き取った部分の、D65標準光源下で測定したCIE1976L***色空間における色度変化△Eが0.45以下であることを特徴とする。具体的には、水跡の評価方法は以下の手順により行った。
フィルム、偏光板、又は画像表示装置の反射防止フィルムの最表面を水平に設置した。25℃−55%の相対湿度に30分間以上放置した後に、イオン交換水2.0mlをピペット(エッペンドルフ社製)で約2秒かけて滴下した。反射防止膜の表面の性質により広がりやすさが異なるが、水滴を直径約1.5〜2.5cmの円状に広げた。15分間放置後、ベンコット(旭化成(株)製)で水滴を拭き取った。水滴を滴下する前後で反射防止フィルムの反射スペクトルを測定した。測定は日本分光(株)製 Model V−550UV/Vis Spectorphotometerを用い、D65標準光源下でのCIE1976L***色空間における色度変化(△E)を決定した。
△Eは、小さいほど好ましく、本発明においては0.45以下であり、より好ましくは0.35以下であり、更に好ましくは0.20以下であり、最も好ましくは0.10以下である。複数の被験者で官能検査を行ったところ、△Eが0.60以上であると水跡を十分に識別することができ、△Eが1.0を超えると故障として認識された。
[微細空孔の反射防止フィルム構成層への導入]
本発明においては、主として低屈折率層の屈折率を十分に下げるために、微細空孔を層中に導入することが好ましく、その方法に特に制限は無いが、例えば、気泡を層中で発生させバインダーを硬化することにより固定する方法、層中に導入された粒子の積み重なりにより粒子間に形成されたボイドを利用する方法、層中に多孔質の微粒子を導入する方法、中空状の微粒子を導入する方法、などを挙げることができる。製造安定性等の観点から、層中に多孔質の微粒子を導入する方法および中空状の微粒子を導入する方法が好ましい。
中空状の微粒子においては、粒子内の空腔の半径をri、粒子外殻の半径をroとすると、空隙率xが下記数式(1)で表される。
数式(1):x=(ri/ro3×100(%)
上記中空微粒子の空隙率は、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空微粒子の空隙率を上述の範囲にすることが、低屈折率化と粒子の耐久性維持の観点で好ましい。
[空孔含有微粒子の調製方法]
これらの空孔含有微粒子(多孔質又は中空の微粒子)を使用する際に、構造・種類に制限は無いが、好ましくは多孔質の無機酸化物微粒子、最も好ましくは中空の有機ポリマーラテックスか中空の無機酸化物微粒子である。無機酸化物微粒子の場合には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化スズを主成分とする微粒子が好ましい。
中空微粒子の好ましい製造方法は、以下の工程よりなる。第1段階として後処理で除去可能なコア粒子形成、第2段階としてシェル層形成、第3段階としてコア粒子の溶解、必要に応じて第4段階として追加シェル相の形成である。具体的には中空粒子の製造は、例えば特開2001−233611号公報に記載されている中空シリカ微粒子の製造方法に準じて行うことができる。
多孔質粒子の好ましい製造方法は、第1段階としてアルコキシドの加水分解や縮合の程度、共存物質の種類や量を制御し多孔質のコア粒子を製造し、第2段階としてその表面にシェル層を形成する方法である。具体的には多孔質粒子の製造は、例えば、特開2003−327424号、同2003−335515号、同2003−226516号、同2003−238140号等の各公報に記載された方法で行うことができる。
本発明においては、後述の無機微粒子の吸着水量を減らすことが好ましく、粒子サイズの変更、シェル厚の変更、水熱処理の条件等により制御することができる。また、粒子を焼成することで吸着水量を低減することもできる。
[空孔含有微粒子の吸着水量の測定]
本発明において、空孔含有微粒子の吸着水量は以下の測定法により求めることができる。粒子の粉末を、ロータリーポンプを用いて、20℃、約1hPaの条件で1時間乾燥させた。その後20℃−55%の相対湿度で1時間保存した。島津(株)製DTG−50を用い、乾燥後の試料を約10mgを白金セルに秤量し、加熱速度20℃/minで温度20℃から950℃まで上昇させた。吸着水量は200℃まで昇温した際の質量減少百分率として以下の式により算出した。
吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
(W20:昇温開始時の初期質量、W200:200℃まで昇温した時点での質量)
尚、粒子が分散液の場合には、溶媒をエバポレーター(25℃、10hPaに減圧)で留去し、残渣をメノウ乳鉢ですりつぶして粉末とした後に、上記工程で測定することができる。
本発明においては、吸着水量は6.1質量%以下が好ましく、更に好ましくは5.5質量%以下、最も好ましくは5.0質量%以下である。
層中に粒子サイズや調製条件が異なる粒子を複数種含む場合においては、それら粒子の少なくとも1種の吸着水量が6.1質量%以下であればよい。但し、吸着水量が6.1質量%以下の粒子の全粒子にしめる割合が、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
[空孔含有微粒子の粒子サイズの測定]
本発明の空孔含有微粒子のサイズの測定は、粒子を透過型電子顕微鏡で観察し、円相当径を1000個の平均で算出した。直径は20〜100nmが好ましく、更に好ましくは35〜100nm、最も好ましくは45〜80nmである。粒子径が小さ過ぎると屈折率の上昇や吸着水量の増大が認められ好ましくなく、粒子径が大きすぎると反射防止フィルムを構成した際の塗膜での散乱が大きくなり好ましくない。
本発明においては、空孔含有微粒子はサイズ分布を有していても良く、その変動係数は好ましくは60%〜5%、更に好ましくは50%〜10%である。また、平均粒子サイズの異なる2種又は3種以上の粒子を混合して用いることもできる。
[空孔含有微粒子の屈折率の測定]
本発明に好ましく用いることのできる空孔含有微粒子の屈折率は、1.15〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.15〜1.35、最も好ましくは1.18〜1.30である。粒子の屈折率は以下の方法により求めることができる。
(1)マトリックス形成成分液の調製
テトラエトキシシラン(TEOS)(SiO2濃度28質量%)55g、エタノール200g、濃硝酸1.4gおよび水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌した。SiO2に換算したときの濃度が5質量%になるようエタノール量を調節してのマトリックス形成成分を含む液(M−1)を調製した。
(2)塗膜の作製
マトリックス形成成分液(M−1)と空孔含有微粒子とを、酸化物換算の質量比[マトリックス(SiO2):空孔含有微粒子(MOx+SiO2)]が、それぞれ100:0、90:10、80:20、60:40、50:50、25:75となるように、混合した屈折率測定用塗布液を調製した。ここで、シリカ以外の無機化合物をMOXで表す。各塗布液を、表面を50℃に保ったシリコンウェハー上に300rpm、スピナー法で各々塗布し、次いで160℃で30分加熱処理した後、エリプソメーターで形成した屈折率測定用被膜の屈折率を測定した。
(3)屈折率の算出
次いで、得られた屈折率と粒子混合割合(粒子:(MOx+SiO2)/[粒子:(MOx+SiO2)+マトリックス:SiO2])をプロットし、外挿によって粒子が100%のときの屈折率を求めた。空孔含有微粒子の割合が多すぎると、測定用の被膜中に空隙が生じて被膜の屈折率を低下させることがあるため、空孔含有微粒子の割合の高いサンプルで量依存性から外れるデーターは排除した。
[空孔含有微粒子の表面処理方法]
次に空孔含有微粒子(多孔質又は中空の無機微粒子)の表面の処理方法について述べる。後述のフッ化アルキル部及び/又はジメチルシロキサン部を含有する低屈折率層用バインダーへの分散性を改良するために、無機微粒子の表面は下記一般式(I)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物により処理がされているのが好ましく、処理の際に、酸触媒および金属キレート化合物のいずれか、あるいは両者が使用されることが更に好ましい。
[オルガノシラン化合物]
本発明に用いるオルガノシラン化合物について詳細に説明する。
一般式(I)
(R10m−Si(X)4-m
一般式(I)においてR10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびR2COO基(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO基、C25COO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチ基、i-プロピル基、プロピル基、t-ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i-プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-メチル-N-オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
[ビニル重合性基含有オルガノシラン化合物]
10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(II)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物として表すことができる。
一般式(II)
Figure 2006079068
一般式(II)においてR1は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。単結合、エステル基およびアミド基が好ましく、単結合およびエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、または内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、なかでも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は、一般式(I)のR10と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは、一般式(I)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
[含フッ素置換基含有オルガノシラン化合物]
本発明に用いるオルガノシラン化合物として、下記一般式(III)で表されるものも好ましい。
一般式(III) (Rf−L1n−Si(X1n-4
上記式中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rfは、炭素数3〜10の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。L1は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。X1は一般式(I)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
次に一般式(III)で表される含フッ素シランカップリング剤の中でも、下記一般式(IV)で表される含フッ素シランカップリング剤が好ましい。
一般式(IV) Cn2n+1−(CH2m−Si(X23
上記式中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。nは4〜10が好ましく、mは1〜3が好ましく、X2はメトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子を表す。
一般式(I)〜一般式(IV)で表される化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式(I)〜一般式(IV)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006079068
Figure 2006079068
Figure 2006079068
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Figure 2006079068
Figure 2006079068
Figure 2006079068
Figure 2006079068
Figure 2006079068
これらの具体例の中で、(M-1)、(M-2)、(M−30)、(M−35)、(M−49)、(M−51)、(M-56)、(M-57)等が特に好ましい。また、特許第3474330号の参考例に記載のA,B,Cの化合物も分散安定性に優れ好ましい。
[ジシロキサン化合物]
本発明においては以下の一般式(V)で表されるオルガノシラン化合物を用いることも好ましい。
Figure 2006079068
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、ビニル基及びフェニル基からなる群から選ばれた1種の置換基で任意に置換されていて良い。〕で表される。このジシロキサン化合物は、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジブチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピルペンタメチルジシロキサンなどが挙げられる。特に、ヘキサメチルジシロキサンが好ましい。
本発明においては、一般式(I)〜一般式(V)で表されるオルガノシラン化合物の使用量は、特に制限はないが、無機微粒子当たり1質量%〜300質量%が好ましく、更に好ましくは3質量%〜100質量%、最も好ましくは5質量%〜50質量%である。無機酸化物の表面の水酸基基準のモル濃度当たりでは1〜300モル%が好ましく、更に好ましくは5〜300モル%、最も好ましくは10〜200モル%である。
オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜形成時に膜強度も上昇する。複数種のオルガノシラン化合物を併用することも好ましく、複数種の化合物を同時に添加することも、添加時間をずらして反応させることもできる。また、複数種の化合物を予め部分縮合物にしてから添加すると反応制御が容易であり好ましい。
本発明においては、上記オルガノシランを加水分解物および/またはその部分縮合物を無機微粒子表面と作用させて無機微粒子の分散性を改善することができる。
加水分解縮合反応は、加水分解性基(X、X1、X2)1モルに対して0.3〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる酸触媒または、金属キレート化合物の存在下、15〜100℃で、撹拌することにより行われることが好ましい。
[分散性の改良処理の触媒]
オルガノシランの加水分解物および/または縮合反応物による分散性の改良処理は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、無機酸化物微粒子液の製造安定性や保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)及び/又は金属キレート化合物が用いられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができる。オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。また、アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
本発明において、オルガノシランの加水分解物および/または縮合反応物による分散性の改良処理に用いる金属キレート化合物は、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基を、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiおよびAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物が好ましい。
金属キレート化合物は、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
[分散剤]
本発明において無機微粒子を粉体から溶媒中に分散して調製するには、分散剤を用いることもできる。本発明においては、アニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することもできる。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
[低屈折率層用材料]
以下に本発明の低屈性率層に好ましく用いられる材料について説明する。本発明の反射防止フィルムの低屈折率層は、前記の空孔含有微粒子を含有する硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成することが好ましい。
本発明においては、硬化組成物の成分として、(I)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素ポリマー、(II)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、(III)オルガノシラン化合物、を用いることができる。
[(I)含フッ素ポリマー]
低屈折率層の屈折率を下げ、反射防止膜の屈折率を下げるという観点から、下記のフッ化アルキル部を有するポリマーが硬化組成物の成分として好ましく用いられ、架橋反応性を有していることが好ましい。
フッ化アルキル部を導入するための含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
架橋反応性付与のための構成単位としては主として以下の(A)、(B)、(C)で示される単位が挙げられる。
(A):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、
(B):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、
(C):分子内に上記(A)、(B)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(A)、(B)の構成単位と反応させて得られる構成単位、(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)が挙げられる。
上記(C)の構成単位は、特に本発明においては、該架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。ここに、光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基含有共ポリマーを調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
(2)水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
(3)エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
(4)カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
尚、上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機微粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
光重合性基含有ポリマーとしては、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分として有するのが好ましい。これらの(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上するが屈折率も高くなる。含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位は5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
フッ化アルキル部を有するポリマーは、上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N、N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
低屈折率層の屈折率を下げ、耐擦傷性に優れるという観点から、本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%の場合である。好ましいポリマーについては、特開2002−243907号、特開2002−372601号、特開2003−26732号、特開2003−222702号、特開2003−294911号、特開2003−329804号、特開2004−4444、特開2004−45462号に記載のものを挙げることができる。中でも、特開2004−45462号公報の一般式1及び一般式2で表されるポリマーが特に好ましく、その具体例及び合成方法は、該公報の[0043]〜[0053]及び[0079]〜[0082]に記載されている。
また本発明の含フッ素ポリマーには防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが例えば特開平6−93100号、特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法、特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平11−189621号の実施例1、2、及び3のポリマー、又は特開平2−251555号の共重合体A−2及びA−3を挙げることができる。これらのポリシロキサン成分はポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
本発明に好ましく用いることのできるポリマーの好ましい分子量は、質量平均分子量が5000以上、好ましくは10000〜500000、最も好ましくは15000〜200000である。平均分子量の異なるポリマーを併用することで塗膜面状の改良や耐傷性の改良を行うこともできる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号公報および特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、後述(II)の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
[(II)2個以上のエチレン性不飽和基を含有するモノマー]
低屈折率層を構成するための材料として、本発明の空孔含有微粒子と後述する皮膜形成バインダー(例えば、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー)を含有する硬化性組成物も好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。これらモノマーは2種以上併用してもよい。これらモノマーは、バインダー中の架橋基の密度を上げることができ、硬度の高い硬化膜を形成できるが、含フッ素ポリマーバインダーに比較すると屈折率は低くない。しかしながら、屈折率の低い中空構造を有する無機微粒子と併用することで、本発明の低屈折率層として十分に有効な屈折率を得ることができる。
フッ化アルキル部を有するポリマーや、皮膜形成バインダーとして用いる二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに、またはそれに加えて、上述のごとく架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
上記架橋性官能基を有するモノマーは、反射防止フィルムの塗布前にポリマー中と反応して架橋性ポリマーを形成していても良いが、塗布後に初めてポリマー本体と架橋してマトリックスを形成させることもできる。
[(III)オルガノシラン化合物]
本発明においては、上述の電離放射線又は熱硬化性のバインダーと併用して膜強度が向上できるという観点から、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を添加することが好ましい。オルガノシラン化合物の部分縮合物(ゾルと略す)の合成には、本発明の無機酸化物微粒子の分散性の改良処理に用いたオルガノシラン化合物、並びに触媒としての酸及び/又は金属キレート化合物を用いることができる。
本発明において、上述の光又は熱硬化性のバインダー以外に好ましく用いることのできるバインダーとしては、前述の一般式(I)〜(IV)で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物自身を挙げることができる。オルガノシラン化合物がフッ化アルキル部を有すると、屈折率低下の点から好ましい。好ましいバインダーの例は、例えば、特開2002−202406、同2002−265866、同317152号等に記載されている。
低屈折率層における、フッ化アルキル部を有するポリマーに対するオルガノシランのゾルの使用量は、ゾルの使用の効果、層の屈折率、及び形成される層の形状・面状等の観点から、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
また、本発明においては、低屈折率層形成用硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
本発明の低屈折率層には、電離放射線または熱の照射によりラジカルや酸を発生する化合物を使用することができる。
[光ラジカル開始剤]
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ-ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ-ジメチル-p-イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000-80068号公報記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類の例にはS-トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、
2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(3-Br-4-ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-トリハロメチル-5-(p-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58-15503号公報のp14〜p30、特開昭55-77742号公報のp6〜p10、特公昭60-27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60-239736号公報のp443〜p444のNo.1〜No.17、US-4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6−ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI-403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S,BP-100,BDMK,CTX,BMS,2-EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、バインダー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。また、塗布後乾燥時に塗膜から揮散するのを防止するために、重合開始剤の分子量は250以上1000以下が好ましく、更に好ましくは300以上1000以下である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
[熱ラジカル開始剤]
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
[熱酸発生剤]
熱酸発生剤の具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、アミン塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
市販されている材料としては、キャタリスト4040、キャタリスト4050、キャタリスト600、キャタリスト602、キャタリスト500、キャタリスト296−9、以上日本サイテックインダストリーズ(株)製、やNACUREシリーズ155、1051、5076、4054JやそのブロックタイプのNACUREシリーズ2500、5225、X49−110、3525、4167以上キング社製などが挙げられる。
この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。添加量がこの範囲であると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好で塗膜の耐擦傷性も良好なものとなる。
[感光性酸発生剤]
感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;を挙げることができる。この感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
[低表面自由エネルギー成分の添加]
本発明においては、防汚性向上の観点から、反射防止膜表面の表面自由エネルギーを下げることが好ましい。具体的には、含フッ素化合物やジアルキルシロキサン部を有する化合物を低屈折率層に使用することが好ましい。ジアルキルシロキサン部を有するポリシロキサン構造を有する添加剤としては、反応性基含有ポリシロキサン(例えば、信越化学(株)製、X‐22−174DX、X‐22‐2426、X‐22‐164B、X22‐164C、X‐22−170DX、X‐22‐176D、X‐22‐1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM‐0725、FM‐7725、FM‐4421、FM‐5521、FM6621、FM‐1121やGelest社製DMS‐U22、RMS‐033、RMS‐083、UMS‐182、DMS‐H21、DMS‐H31、HMS‐301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221 (以上商品名))を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。これらのポリシロキサンは低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
また、特開2002−277604等に記載の、パーフルオロエーテル基を含有したシランカップリング剤の防汚層を設けることも好ましい。
[低屈折率層の物性]
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.40であることがより好ましく、1.25〜1.38であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜120nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
[反射防止フィルムの層構成]
本発明の反射防止フィルムは、透明な基材上に、必要に応じて後述のハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されている。反射防止フィルムは、最も単純な構成では、基材上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材またはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、支持体として機能している。
・基材フィルム/低屈折率層
・基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。高屈折率層は防眩性のない光拡散性層であってもよい。
また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子または金属酸化物微粒子(例えば、ATO、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布または大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
[皮膜形成バインダー]
本発明において、ハードコート層、高(中)屈折率層等の各層を形成するための皮膜形成組成物の主たる皮膜形成バインダー成分として、エチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが、皮膜強度、塗布液の安定性、塗膜の生産性、などの点で好ましい。主たる皮膜形成バインダーとは、無機微粒子を除く皮膜形成成分のうち10質量%以上をしめるものをいう。好ましくは、20質量%以上100質量%以下、更に好ましくは30質量%以上95%以下である。
飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。尚、本明細書においては、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を表す。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
本発明においてはポリエーテルを主鎖として有するポリマーを使用することもできる。
多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
[高屈折率層用材料]
本発明には高屈折率層を設けることが好ましい。高屈折率層は、前記の皮膜形成用バインダー、防眩性又は内部散乱性を付与するためのマット粒子、および高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーから形成されることができる。
高屈折率層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が0.1〜5.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子が含有させることができる。マット粒子とバインダー間の屈折率差は大きすぎるとフィルムが白濁し、小さすぎると十分な光拡散効果をえることができないため、0.02〜0.20であることが好ましく、0.04〜0.10であることが特に好ましい。マット粒子のバインダーに対する添加量も屈折率同様、大きすぎるとフィルムが白濁し、小さすぎると十分な光拡散効果をえることができないため、3〜30質量パーセントであることが好ましく、5〜20質量パーセントであることが特に好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できる。
異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。2種類以上のマット粒子を用いる場合には両者の混合による屈折率制御を効果的に発揮するために屈折率の差が0.02以上、0.10以下であることが好ましく、0.03以上、0.07以下であることが特に好ましい。またより大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに反射防止フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子より小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
上記マット粒子は、形成されたハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2となるようにハードコート層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
高屈折率層には、層の屈折率を高めるため、および硬化収縮を低減するために、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた高屈折率層では層の屈折率を低目に保つために、フィラーとしてケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。この目的のために、本発明の空孔含有微粒子を用いることもできる。
高屈折率層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、高屈折率層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜70%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明の高屈折率層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
本発明の反射防止フィルムは高屈折率層よりも屈折率が低く、支持体より屈折率が高い、中屈折率層を設けることも好ましく、中屈折率層は高屈折率層に用いられる高屈折率フィラーや高屈折率モノマーの使用量を調節することにより、高屈折率層と同様に形成することができる。
このようにして形成された本発明の反射防止フィルムは、ヘイズ値が3〜70%、好ましくは4〜60%の範囲にあり、そして450nmから650nmの平均反射率が3.0%以下、好ましくは2.5%以下である。
本発明の反射防止フィルムが上記範囲のヘイズ値及び平均反射率であることにより、透過画像の劣化を伴なわずに、良好な防眩性もしくは内部散乱性、および反射防止性が得られる。
[支持体(基材フィルム)]
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
[鹸化処理]
本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に含フッ素ポリマーを主体とする最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止膜面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
(1)透明支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの反射防止フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
本発明においては、以下に述べる条件を標準の鹸化条件とするが、偏光板製造工程において一般的に連続処理で鹸化され偏光板に加工された状態の偏光板も本発明の「鹸化後の反射防止フィルムを有する偏光板」と定義する。
鹸化標準条件
反射防止フィルムを以下の工程で処理・乾燥したものとする。
(1)アルカリ浴
1.5mol/L 水酸化ナトリウム水溶液
55℃−120秒
(2)第1水洗浴
水道水
60秒
(3)中和浴
0.05mol/L 硫酸
30℃−20秒
(4)第2水洗浴
水道水
60秒
(5)乾燥
120℃
60秒
[塗膜形成方法]
本発明の反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。これらの塗布方式のうち、グラビアコート法で塗布すると反射防止膜の各層のような塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができ、好ましい。グラビアコート法の中でもマイクログラビア法は膜厚均一性が高く、より好ましい。
また、ダイコート法を用いても塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができ、さらにダイコート法は前計量方式のため膜厚制御が比較的容易であり、さらに塗布部における溶剤の蒸散が少ないため、好ましい。湿潤膜厚が数十ミクロン以下の薄層塗布液を、例えばプラスチックフィルムに特定のスロットダイや塗布方法を用いて塗布する方法として、特開2003−200097号、同2003−211052号、同2003−230862号、同2003−236434号、同2003−236451号、同2003−245595号、同2003−251260号、同2003−260400号、同2003−260402号、同2003−275652号、同2004−141806号等の各公報に記載された方法も好ましい。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70度傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45度傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、以上述べた本発明の反射防止フィルム又は反射防止フィルムを保護膜に有する偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする。このように、本発明の反射防止フィルム又は反射防止フィルムを保護膜に有する偏光板は、液晶表示装置(LCD)、有機ELディスプレイのような画像表示装置に適用することができる。そして、本発明の画像表示装置は、TN、STN、IPS、VA及びOCBのいずれかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置に適用するのが好ましい。以下、さらに説明する。
液晶表示装置としては、従来公知の何れも用いることができる。例えば、内田龍雄監修「反射型カラーLCD総合技術」[(株)シーエムシー、1999年刊]、「フラットパネルディスプレイの新展開」[(株)東レリサーチセンター調査部門、1996年刊]、「液晶関連市場の現状と将来展望(上巻)、(下巻)」[富士キメラ総研(株)、2003年刊]等に記載されているものが挙げられる。
具体的には、例えばツイステッドネマチック(TN)、スーパーツイステッドネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
また、本発明の反射防止フィルムは、付設する液晶表示装置表示画像の大きさが17インチ以上であっても、コントラストが良好で広い視野角を有し、且つ色相変化及び外光の移りこみ防止を実現でき、好ましい。
[TNモード液晶表示装置]
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献の記載が挙げられる。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
[OCBモード液晶表示装置]
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている装置が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
[VAモード液晶表示装置]
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモード)の液晶セル[SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載]、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル[日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載]及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が挙げられる。
[IPSモード液晶表示装置]
IPSモードの液晶セルでは、液晶分子を基板に対して常に水平面内で回転させるモードで、電界無印加時には電極の長手方向に対して若干の角度を持つように配向されている電界を印加すると電界方向に液晶分子は向きを変える。液晶セルを挟持する偏光板を所定角度に配置することで光透過率を変えることが可能となる。液晶分子としては、誘電率異方性Δεが正のネマチック液晶を用いる。液晶層の厚み(ギャップ)は、2.8μm超4.5μm未満とする。これは、レターデーションΔn・dが0.25μm超0.32μm未満の時、可視光の範囲内で波長依存性が殆どない透過率特性が得られる。偏光板の組み合わせにより、液晶分子がラビング方向から電界方向に45°回転したとき最大透過率を得ることができる。なお液晶層の厚み(ギャップ)はポリマビーズで制御している。もちろんガラスビーズヤファイバー、樹脂製の柱状スペーサでも同様のギャップを得ることができる。また液晶分子は、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性Δεは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性Δnは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、且つギャップばらつきを少なくすることができる。
[その他液晶モード]
STNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で本発明の偏光板を供することができる。ECBモードにも同様に適用することができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面及び内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、特別の断りのない限り「部」及び「%」は質量基準である。
実施例1
調製例1[無機微粒子(P−1)の調製]
テトラエトキシシラン(TEOS、SiO2濃度28質量%)360gとメタノール530gを混合し、この混合液に25℃において、イオン交換水100gとアンモニア水(28%アンモニア含有)をそれぞれ滴下し、24時間攪拌し熟成した。オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換して固形分濃度20質量%の無機微粒子(P−1)の分散液を調製した。透過電子顕微鏡観察により多孔質の粒子であることが確認された。
調製例2[無機微粒子(P−2)の調製]
調製例1で作製した無機微粒子(P−1)分散液100.0gに対してイオン交換水を900g及びエタノール800gを加えた混合液を30℃に加温した後、テトラエトキシシラン(SiO2濃度28質量%)360gと28%アンモニア水626gを添加し、粒子表面にテトラエトキシシランの加水分解重縮合物でシリカ外殻層を形成した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5重量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の無機微粒子(P−2)の分散液を調製した。
調製例3[無機微粒子(P−3)の調製]
無機微粒子(P−2)の調製工程において、テトラエトキシシラン(SiO2濃度28質量%)の添加量を360gから470gに変更した以外は無機微粒子(P−2)の調製工程と同様にして無機微粒子(P−5)を調製した。
調製例4[無機微粒子(P−4)の調製]
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル90gとイオン交換水1710gとを混合して反応母液を調製し、95℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.5質量%のケイ酸ナトリウム水溶液24,900gと、Al23として0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液36,800gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を91℃に保持した。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23コア粒子の分散液(A)を調製した。(第1調製工程)
次いで、このコア粒子の分散液(A)500gを採取し、イオン交換水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)2,100gを添加してコア粒子表面にシリカ保護膜を形成した。得られたシリカ保護膜を有するコア粒子の分散液を、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%に調整したのち、コア粒子の分散液500gにイオン交換水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行ったのち、pH3の塩酸水溶液10Lとイオン交換水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、粒子前駆体分散液を調製した。(第2調製工程)
上記粒子前駆体分散液1500gと、イオン交換水500gおよびエタノール1,750gとの混合液を30℃に加温した後、テトラエトキシシラン(SiO228質量%)40gと28%アンモニア水626gを速度を制御しながら添加し、粒子前駆体表面にテトラエトキシシランの加水分解重縮合物でシリカ外殻層を形成することによって、外殻層内部に空洞を有する粒子を作製した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5質量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ微粒子ゾル(空孔含有無機微粒子)(P−4)の分散液を調製した。(第3調製工程)
調製例5[無機微粒子(P−5)の調製]
無機微粒子(P−4)の第3調製工程において、テトラエトキシシラン(SiO228質量%)の添加量を60gに変更した以外は無機微粒子(P−4)の調製工程と同様にして中空シリカ微粒子ゾル(P−5)を調製した。
調製例6[無機酸化物粒子(P−6)の調製]
無機酸化物粒子(P−4)の第3調製工程において、テトラエトキシシラン(SiO228質量%)の添加量を70gに変更した以外は無機微粒子(P−4)の調製工程と同様にして中空シリカ微粒子ゾル(P−6)を調製した。
調製例7[無機微粒子(P−7)の調製]
無機微粒子(P−4)の第3調製工程において、テトラエトキシシラン(SiO228質量%)の添加量を160gに変更した以外は無機微粒子(P−4)の調製工程と同様にして中空シリカ微粒子ゾル(P−7)を調製した。
調製例8[無機酸化物粒子(P−8)の調製]
多孔質でないシリカ粒子の比較例として市販の平均粒子径50nmのシリカ粒子分散物(IPA−ST−L 日産化学(株)製、シリカ固形分濃度30質量%、溶媒イソプロピルアルコール)を、シリカ固形分濃度が20質量%になるようにイソプロピルアルコールで希釈した。
[無機微粒子の評価]
この様にして得られた粒子を用い以下の評価を行った。
(評価1)粒子サイズ測定
分散液を希釈してグリッド上にすくい取り透過型電子顕微鏡で観察した。1000個の粒子の平均の粒子サイズを求めた。
(評価2)吸着水量
分散液をエバポレーターで乾燥し粉末化した後に、200℃まで昇温した際の質量減少百分率として以下の式により算出した。
吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
(W20:昇温開始時の初期質量、W200:200℃まで昇温した時点での質量)
(評価3)粒子屈折率
本文に記載の方法で粒子をマトリックス中に含量を変えて塗膜を形成した。膜の屈折率を測定し、無機微粒子100%時の屈折率を外挿して粒子屈折率とした。
評価(1)〜(3)の結果は、反射防止フィルムに組み込んだときの結果と合わせ表1に示す。
実施例2
以下に示す多層の反射防止フィルムを作製した。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(商品名、ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分の濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
(分散液A−6の調製)
調製例6で作製した中空シリカ微粒子ゾル(P−6)の500部(シリカ濃度20質量%、エタノール分散液)に対して、ほぼシリカの含量が一定となるようにイソプロピルアルコールを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。このようにして得られたシリカ分散液(シリカ濃度20%)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(商品名、ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液(A−6)のイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
実施例1で調製した他の無機微粒子(P−1)〜(P−5)、(P−7)及び(P−8)について、分散液(A−6)の調製に準じて処理を行い、対応する分散液(A−1)〜(A−5)、(A−7)及び(A−8)を調製した。
(分散液B−6の調製)
調製例6で作製した中空シリカ微粒子ゾル(P−6)の500部(シリカ濃度20質量%、エタノール分散液)に対して、メチルエチルケトンを60.0gとヘキサメチルジシロキサン10.0g添加し攪拌後、25℃で7日間の静置により熟成して、シリル化処理シリカゾルを得た。この分散液にほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で4.5mPa・sであった。
実施例1で調製した他の無機微粒子(P−1)〜(P−5)、(P−7)及び(P−8)について、分散液(B−6)の調製に準じて処理を行い、対応する分散液(B−1)〜(B−5)、(B−7)及び(B−8)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−1)の調製)
オプスターJTA113(熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%)、JSR(株)製)塗布液全体の固形分濃度が5質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−1)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−2)の調製)
オプスターJTA113(熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%)、JSR(株)製)933.3質量部(固形分として56.0質量部)に対して、分散液(A−1)を195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−2)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−3)〜(L−9)の調製
低屈折率層用塗布液(L−2)の分散液(A−1)の代わりに分散液(A−2)〜(A−8)を用いたことだけが異なる以外は(L−2)と全く同様にして(L−3)〜(L−9)を調製した。
(ハードコート層用塗布液Aの調製)
デソライトZ7404(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液、JSR(株)製)100質量部、DPHA(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製)31質量部、KBM−5103(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)10質量部、メチルエチルケトン29質量部、メチルイソブチルケトン13質量部、シクロヘキサノン5質量部をミキシングタンクに投入し攪拌してハードコート層塗布液Aとした。
(反射防止フィルム(201)の作製)
支持体としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、上記のハードコート層用塗布液Aを線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量100mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後のハードコート層の厚さが4.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整してハードコートフィルム201を作製した。
このようにして得られたハードコートフィルム201の上に、上記低屈折率層用塗布液(L−1)を用いて低屈折率層膜厚が90nmになるように調節して反射防止フィルム201を作製した。低屈折率層の乾燥条件は120℃、12分とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度120mW/cm2、照射量240mJ/cm2の照射量とした。硬化後の低屈折率層の屈折率は1.45であった。
(反射防止フィルム(202)〜(209)の作製)
反射防止フィルム(201)の作製において、低屈折率層用塗布液(L−1)を(L−2)〜(L−9)に変えたことだけが異なる以外は、反射防止フィルム(201)と同様にして、反射防止フィルム(202)〜(209)を作製した。
(反射防止フィルムの鹸化処理)
得られた反射防止フィルムは以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
(1)アルカリ浴
1.5mol/L 水酸化ナトリウム水溶液
55℃−120秒
(2)第1水洗浴
水道水
60秒
(3)中和浴
0.05mol/L 硫酸
30℃−20秒
(4)第2水洗浴
水道水
60秒
(5)乾燥
120℃
60秒
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた鹸化済みの反射防止フィルムを用いて以下の評価を行った。
(評価4)平均反射率の測定
分光光度計(日本分光(株)製;V−550)を用いて、380〜780nmの波長領域において、積分球を用いて、入射角5°における分光反射率を測定した。分光反射率の評価において、450〜650nmの平均反射率を用いた。
偏光板に加工されている試料は偏光板形態のものをそのまま用い、フィルムそのものや
偏光板を使用しない形態の表示装置の場合には、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
(評価5)水付着跡の△Eの測定
フィルム、偏光板、又は画像表示装置の反射防止フィルムの最表面を水平に設置した。25℃−55%の相対湿度に30分間以上放置した後に、イオン交換水2.0mlをピペット(エッペンドルフ社製)で約2秒かけて滴下した。反射防止膜の表面により広がりやすさが異なるが、水滴を直径約1.5〜2.5cmの円状に広げた。15分間放置後、ベンコット(旭化成(株)製)で水滴を拭き取った。水滴を滴下する前後で反射防止フィルムの反射スペクトルを測定した。測定は日本分光(株)製 Model V−550UV/Vis Spectorphotometerを用い、D65標準光源下でのCIE1976L***色空間における色度変化(△E)を決定した。
(評価6)マジックふき取り性評価
マジックインキ No.700(黒、寺西化学工業(株)製)極細を用い試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶした。試料を先ず25℃−55%相対湿度の下で30分乾燥させ、その後に40℃−80%相対湿度のもと24時間放置した。その後25℃−55%の条件下に取り出し30分以上放置した後にベンコット(旭化成(株)製)で擦り、マジックがふき取れるか以下の基準で評価した。
○:非常に注意深く見ても、全くマジック跡が見えない。
○△:僅かにマジックの跡が見える。
△×:消えない跡が検出される。
×:ほとんど拭き取ることができない。
評価結果を表1に示す。
Figure 2006079068
表1に示される結果より以下のことが明らかである。吸着水量の低い本発明の酸化物粒子を用いると、反射防止フィルムの水滴付着跡が改良されることが分かる。また、粒子の屈折率が同じ場合には多孔質の粒子に対して中空粒子の方が水滴付着跡およびマジックふき取り性の点で優れることが分かる。(反射防止フィルム(203)と(208)の比較)
また、以下に示す低屈折率層用塗布液(L-7B)を用いて、実施例2と同様の評価を行った結果、本発明に従えば、屈折率が低く、水滴付着跡の少なく、マジック拭き取り性に優れる反射防止膜が得られることが分かった。特に水滴付着跡が改良された反射防止フィルムが得られた。
(低屈折率層用塗布液(L−7B)の調製)
熱架橋性含フッ素ポリマー(特開平11−189621公報実施例1に記載の含フッ素熱硬化ポリマー)44.5gをメチルエチルケトン100.0gに溶解し、硬化剤(サイメル303;商品名、日本サイテックインダストリー11.5g、硬化触媒(キャタリスト4050;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)1.1g、分散液(B−6)を165質量部(シリカ+表面処理剤固形分として33.0質量部)、ゾル液a37.8質量部(固形分として11.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−7B)を調製した。
実施例3
(低屈折率層用塗布液(L−10)の調製)
メチルエチルケトン70質量部に対して、特開平2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量約50000)30.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS−033(Gelest社製)1.5質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.5質量部を加えて溶解した。その後塗布液全体の固形分濃度が5質量%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−10)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−11)の調製)
メチルエチルケトン100質量部に対して、特開平2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量約50000)47.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS−033(Gelest社製)4.5質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)4.5質量部を加えて溶解した。その後に、実施例2で使用の分散液(A−6)を195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−11)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−12)の調製)
テトラエトキシシランを95mol%、C37−(OC3624−O−(CF22−C24−O−CH2Si(OCH33を5mol%で混合し、1.0mol/L塩酸を触媒に用いた低屈折率層用塗布液(固形分濃度6質量%、主溶媒エチルアルコールとイソプロピルアルコールの20:80質量比混合物)を作製した。
(低屈折率層用塗布液(L−13)の調製)
テトラエトキシシランを95mol%、C37−(OC3624−O−(CF22−C24−O−CH2Si(OCH33を5mol%で混合し、1.0mol/L塩酸を触媒に用いた低屈折率層用塗布液(固形分濃度6質量%、主溶媒エチルアルコールとイソプロピルアルコールの20:80質量比混合物)を作製した。その液100g(固形分6.0g)に対して、実施例1で調製した中空シリカ微粒子ゾル(P−6)30.0g(固形分6.0g)を添加し、イソプロピルアルコールで希釈して塗布液全体の固形分濃度が6質量%となるよう調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−14)の調製)
メチルエチルケトン100質量部に対して、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)30.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS‐033(Gelest社製)1.5質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1.5質量部を加えて溶解した。その後塗布液全体の固形分濃度が5質量%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−14)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−15)の調製)
メチルエチルケトン100質量部に対して、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)47.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS‐033(Gelest社製)4.5質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)4.5質量部を加えて溶解した。その後に、実施例2で使用の分散液(A−6)を195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−15)を調製した。
(反射防止フィルム(301)〜(308)の作製
実施例2で作製したハードコートフィルム201の上に、表2に示す様に(L−1)、(L−7)、(L−10)〜(L−15)を実施例2の反射防止フィルム(201)に準じて塗設し、硬化させた。
これら反射防止フィルムは、実施例2に記載の鹸化工程で処理し乾燥させた。未鹸化状態の試料と鹸化済みの試料の両方を用いて実施例2に準じた評価を行った。結果を表2に合わせて示す。
Figure 2006079068
表2に示される結果より以下のことが明らかである。鹸化をした試料は鹸化をしない試料に対して水滴付着跡とマジック拭き取り性が悪化することが分かる。特に反射防止フィルム(305)及び(306)で使用したオルガノシランを加水分解して調製したバインダーのみを使用した試料は、鹸化で低屈折率層が破壊されてしまった。また、ポリマー本体にフッ化アルキル基とジメチルシロキサン部分の両方を含有するポリマーを使用した反射防止フィルムは鹸化後も水滴付着跡が小さいことが分かる(反射防止フィルム(302)、(304)と(308)の比較)。
また、低屈折率層用塗布液(L−10)、(L−11)、(L−14)及び(L−15)において、光ラジカル発生剤をイルガキュア907(分子量279)から等質量のイルガキュア369(分子量367)及びイルガキュアOXE01(分子量451)(両者ともチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)に変更した低屈折率層用塗布液を作製し、同様の評価を行った。その結果、光ラジカル発生剤の分子量を高くすることで鹸化後の水滴付着跡及びマジック拭き取り性が改良されることが分かった。
実施例4
(無機酸化物微粒子の調製と反射防止フィルムへの組み込み)
実施例1の無機酸化物粒子(P−4)の調製において、以下の工程を調節することで粒子サイズ、水吸着量、屈折率の異なる粒子を作製した。
[粒子サイズの変更]
第1調製工程において、平均粒径5nmのシリカゾルの添加量を調節して粒子サイズの変更を行った。
[吸着水量の変更]
第2調製工程において、ケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)の量を調節又は、第3調製工程において、テトラエトキシシラン量、アンモニア量、添加タイミング、温度、時間を制御して粒子を形成した。
そのようにして調製した無機酸化物微粒子を、実施例2の分散液(A−6)の調製に準じて溶媒置換・表面処理し、実施例の反射防止フィルム(205)に対して無機酸化物微粒子のみが異なる以外は同様にして反射防止フィルム(401)〜(417)を作製した。それぞれの試料は実施例2に準じて鹸化処理を行い、実施例1及び2と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2006079068
表3によれば粒子サイズを大きくすることで、吸着水量が少ない無機酸化物粒子でも屈折率が低くでき、フィルムの反射率を低下させることができることが分かる。
実施例5
以下に示す多層反射防止フィルムを作製した。
(ハードコート層用塗布液Bの調製)
PET−30 50.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 1.5g
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.9g
FP−132 0.75g
KBM−5103 10.0g
トルエン 38.5g
上記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層の塗布液Bを調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
イルガキュア184:重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散後使用)。
架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm(屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散後使用)。
FP−132:フッ素系表面改質剤
Figure 2006079068
KBM−5103:アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)。
(ハードコート層の塗設)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して直接、上記のハードコート層用塗布液Bを線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量110mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの層を形成し、巻き取った。このようにして作製したハードコートフィルム501の表面粗さはRa=0.18μm、Rz=1.40μm、ヘイズ35%であった。
ハードコートフィルム501上に実施例2、3および4の低屈折率層を塗設し、実施例2に準じた評価を行った結果、本発明に従えば水滴付着跡が少なく、反射率の低い反射防止フィルムが得られることが判った。
実施例6
(反射防止フィルム付き偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。実施例2の鹸化処理済みの本発明の反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、反射防止フィルムの支持体側(トリアセチルセルロース)が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。光学補償層を有する視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。この偏光板状態で実施例2に準じた評価を行った結果、本発明に従って吸着水量の少ない多孔質または中空の無機微粒子を含有する反射防止フィルムは、反射率が低く水滴付着跡が改良されることが分かった。
実施例7
実施例2〜5の試料を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。また、吸着水量の少ない多孔質または中空の無機微粒子を含有する試料は水滴跡が改良されていることが確認された。

Claims (10)

  1. 微細空孔を含む層を少なくとも1層有する反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムの表面を水に15分間接触させた後に拭き取った部分の、D65標準光源下で測定したCIE1976L***色空間における色度変化△Eが0.45以下であることを特徴とする、反射防止フィルム。
  2. 屈折率が1.40以下である低屈折率層を少なくとも1層有する反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムの表面を水に15分間接触させた後に拭き取った部分の、D65標準光源下で測定したCIE1976L***色空間における色度変化△Eが0.45以下であることを特徴とする、反射防止フィルム。
  3. 反射防止フィルムがアルカリ鹸化処理工程を経たことを特徴とする、請求項1又は2に記載の反射防止フィルム。
  4. 少なくとも1種の多孔質および/または中空の無機微粒子を含有する層を少なくとも1層有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 多孔質および/または中空の無機微粒子の吸着水量が6.1質量%以下であり、粒子サイズが20〜100nmであることを特徴とする、請求項4に記載の反射防止フィルム。
  6. 低屈折率層がフッ化アルキル部および/またはジアルキルシロキサン部を有する成分を含有することを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  7. 中空の無機微粒子が中空シリカ微粒子であり、該中空シリカ微粒子の屈折率が1.40以下であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  8. 中空シリカ微粒子が、粒子サイズが45〜80nmであり、屈折率が1.30以下の中空シリカ微粒子であることを特徴とする、請求項7に記載の反射防止フィルム。
  9. 偏光子と保護フィルムからなる偏光板であって、請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルムを保護フィルムとして有することを特徴とする、偏光板。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の反射フィルム、又は請求項9に記載の偏光板を有することを特徴とする、画像表示装置。
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