JP2006220733A - 反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
反射率が低く抑えられ、耐擦傷性が向上し、水滴の付着跡が改良され、防汚性に優れた反射防止フィルムを提供すること。更には、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供すること。
【解決手段】
透明支持体、ハードコート層、及び透明支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層がこの順で積層され、低屈折率層が多孔質及び/または中空の無機微粒子を含有しており、かつ不織布を用いて低屈折率層が積層されている側の表面を擦る前と19.6N/cmの荷重をかけて200往復擦った後とで、CIE標準光源D65の入射角40°の正反射光の色味の変化がCIE1976L色空間における色差ΔEab値が1以下である反射防止フィルム、並びに該フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は反射防止フィルムに関する。詳しくは、耐擦傷性及び水滴の付着跡が改良された反射防止フィルムに関する。更には、該反射防止フィルムを用いた偏光板及び表示装置に関する。
反射防止フィルムは一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、液晶表示装置(LCD)などのような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するようディスプレイの最表面に配置される。従って、反射防止フィルムには、汚れや埃が付着しにくいことや、耐擦傷性が強いことが求められる。
一般的に、反射防止フィルムは、支持体上に適切な膜厚で、且つ支持体より低い屈折率を有する低屈折率層を形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。
材料の屈折率を下げるには、フッ素原子を含有する有機基をバインダーに導入する、あるいは密度を下げる(空隙を導入する)という手段がある。フッ素原子を含有する有機基をバインダーに使用する方法では、バインダー自身の凝集力が低下する傾向にあり、それを補うために適当な結合基を導入するため、実用的には屈折率の低下には限界があり1.40以下にするのは困難であった。一方、低屈折率層に微小空隙を導入して屈折率を低下させる方法では、屈折率を1.40以下にすることは可能であるが、膜強度が弱い、あるいは、指紋や油等の汚れが浸入しやすいという欠陥があった。
例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3にはバインダー中に微小空孔を形成させることで屈折率を低下させようという試みがある。また特許文献4には多孔質シリカを使用して屈折率を低下させる試みがある。これらはいずれも膜強度や指紋汚れ等の点で実用的に満足できるものではなかった。
また、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8及び特許文献9には、中空シリカ粒子を低屈折率層に含有した反射防止膜の記載がある。
特開平6−3501号公報 特開平9−222502号公報 特開平9−222503号公報 特開平7−48527号公報 特開2001−233611号公報 特開2002−79616号公報 特開2002−317152号公報 特開2003−202406号公報 特開2003−292831号公報
中空シリカ粒子を低屈折率層に含有した反射防止膜では、確かに従来のものに対して耐擦傷性や指紋等の汚れの付着耐性は向上したが、ディスプレイの最表面に使用する反射防止膜の膜強度としては、まだ不十分であった。
さらに、偏光板作製時の鹸化処理により膜が破壊されたり、また新たに水滴が付着した場合にその跡が残るという問題が明らかになった。ディスプレイの最表面に使用される場合、日常の使用で水滴が付着することが考えられ、実用的な耐久性を付与する観点で、改良が必要であった。
本発明の目的は、反射率が低く抑えられ、耐擦傷性が向上し、水滴の付着跡が改良され、防汚性に優れた反射防止フィルムを提供することにある。更には、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下の構成の反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置により本発明の上記目標が達成できることを見出した。
(1)透明支持体、ハードコート層、及び透明支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層がこの順で積層されており、該低屈折率層が少なくとも1種の多孔質及び/または中空の無機微粒子を含有する層である反射防止フィルムにおいて、下記数式(I)により算出されるCIE1976L色空間における色差ΔEab値E1が1以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
数式(I):ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL=L −L
Δa=a −a
Δb=b −b
(式中、L ,a ,b 及びL ,a ,b は、反射防止フィルムのCIE標準光源D65の入射角40°の入射光に対する正反射光の色味をCIE1976L色空間のL値,a値,b値で表したものである。L ,a ,b は、不織布を用いて低屈折率層が積層されている側の表面を擦る前の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表し、L ,a ,b は、不織布を用いて低屈折率層が積層されている側の表面を19.6N/cmの荷重をかけて200往復擦った後の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表す。)
(2)反射防止フィルムの表面に水を15分間接触させた後に拭き取った部分の、下記数式(II)により算出されるCIE1976L色空間における色差ΔEab値E2が0.45以下であることを特徴とする上記(1)に記載の反射防止フィルム。
数式(II):ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL=L −L
Δa=a −a
Δb=b −b
(式中、L ,a ,b 及びL ,a ,b は、反射防止フィルムのCIE標準光源D65の入射角5°の入射光に対する正反射光の色味をCIE1976L色空間のL値,a値,b値で表したものである。L ,a ,b は、フィルム表面に水を接触させる前の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表し、L ,a ,b は、フィルム表面に表面に水を15分間接触させた後に拭き取った後の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表す。)
(3)アルカリ鹸化処理されたことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の反射防止フィルム。
(4)上記多孔質および/または中空の無機微粒子の吸着水量が6.1質量%以下であり、粒子サイズが20〜100nmであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(5)上記中空の無機微粒子が、中空シリカ微粒子であり、該中空シリカ微粒子の屈折率が1.40以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(6)上記中空シリカ微粒子が、粒子サイズが45〜80nmであり、屈折率が1.30以下の中空シリカ微粒子であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(7)上記低屈折率層が、含フッ素ポリマーを含有した塗布液から形成された層であって、 該含フッ素ポリマーが、含フッ素ビニルモノマーから導かれる重合単位及び側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を含み、主鎖が炭素原子のみからなる共重合体(P)であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(8)上記共重合体(P)が、下記一般式1で表されることを特徴とする上記(7)に記載の反射防止フィルム。
Figure 2006220733
一般式1中、Lは炭素数1〜10の2価の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーから導かれる重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。
(9)上記ハードコート層及び/または上記低屈折率層が、オルガノシラン化合物、その加水分解物及びそれらの部分縮合物の少なくとも一つを含有した塗布液によって形成されたことを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(10)上記低屈折率層が、酸素濃度0.01%以下の雰囲気下において硬化されたことを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(11)上記低屈折率層が、光重合開始剤を用い、酸素濃度0.01%以下の雰囲気下において、フィルム面温度が60℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射する工程によって硬化された層であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光子の2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
(13)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の反射防止フィルム、又は上記(12)に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
本発明の反射防止フィルムは、反射率が低く抑えられ、高い耐擦傷性を有し、水滴の付着跡が残りにくく、かつ、防汚性にも優れる。更に、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板やディスプレイ装置は外光の映り込みや背景の映り込みが少なく、極めて視認性が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
[耐擦傷性の評価]
本発明の反射防止フィルムは、下記数式(I)により算出される、不織布擦り試験での反射光色味変化量(CIE1976L色空間における色差ΔEab値)E1が1以下であり、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。反射光色味変化量E1を1以下とすることで、高い耐擦傷性を達成することができる。
不織布擦り試験での反射光色味変化量を測定する上記方法は、耐擦傷性をより正確に評価する方法として好適である。本発明の特徴的な上記不織布擦り試験に用いる不織布としては、JIS L0222に規定された不織布であれば特に制限はなく、例えば、ベンコットM−3(旭化成(株)製)など市販のものが得られる。その試験方法については後に詳述する。
反射光色味の算出には、正反射光の反射率曲線を用いるが、実際に画像表示装置のモニター画面を観察することを考慮した場合、入射光の入射角としては5〜45度のいずれかの角度を採用するのが好ましい。特に、30〜45度のいずれかの角度がより好ましく、40度の角度が最も好ましい。
反射光色味変化量E1と官能評価結果との対応は、ほぼ下記の通りであり、色味変化量は反射防止層の耐傷性を正しく反映する適切な評価特性であることが判る。
Figure 2006220733
数式(I):ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL=L −L
Δa=a −a
Δb=b −b
(式中、L ,a ,b 及びL ,a ,b は、反射防止フィルムのCIE標準光源D65の入射角40°の入射光に対する正反射光の色味をCIE1976L色空間のL値,a値,b値で表したものである。L ,a ,b は、不織布を用いて低屈折率層が積層されている側の表面を擦る前の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表す。L ,a ,b は、不織布を用いて低屈折率層が積層されている側の表面を19.6N/cmの荷重をかけて200往復擦った後の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表す。)
上記数式(I)中、L ,a ,b 及びL ,a ,b は、詳しくは以下の方法により算出される値である。
,a ,b :分光光度計(V−550、日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角40°における正反射分光反射率を測定する。次に得られた分光反射率のデータをCIEのD65標準光源の分光分布データとを各波長ごとに掛け合わせてD65光源の照射光の40°反射光を求める。得られた標準光下の分光反射率データから、CIE標準光源D65におけるCIE1976L色空間のL値,a値,b値を算出し、L ,a ,b とする。
,a ,b :速度6m/minで往復する装置(学振型摩擦堅牢度試験機AB−301型、テスター産業(株)製)の摩擦子にJIS−L−0222「不織布用語」に適合した不織布を取り付け、試験片台に反射防止フィルムを設置し、低屈折率層が積層されている側の表面を19.6N/cmの荷重をかけて200往復擦った後に、前記記載の分光光度計を用いて同様に測定し、その値から算出したL値,a値,b値をL ,a ,b とする。
なお、L ,a ,b の測定試験において使用する不織布間の誤差を小さくするため、不織布は予め別の適当な透明支持体やハードコート層等の表面を19.6N/cmの荷重をかけて200往復擦って馴染ませてから使用する。馴染ませない状態では、不織布表面の擦り具合にバラツキがあり、誤差を生じやすくなる。
[水跡の評価]
本発明の反射防止フィルムは、下記数式(II)により算出される、低屈折率層を有する側の表面に水を15分間接触させた後に拭き取った部分の反射光色味変化量(CIE1976L色空間における色差△Eab値)E2が0.45以下であり、0.35以下であることがより好ましく、0.20以下であることが特に好ましく、0.10以下であることが最もこのましい。複数の被験者で官能検査を行ったところ、反射光色味変化量E2が0.60以上であると水跡を十分に識別することができ、1.0を超えると故障として認識された。反射光色味変化量E2を0.45以下とすることで、高い水滴跡付着耐性を達成することができる。
フィルム表面に水を接触させた前後での反射光色味変化量を測定する上記方法は、水滴跡付着性をより正確に評価する方法として好適である。その試験方法については後に詳述する。
反射光色味の算出には、上記[耐擦傷性の評価]と同様、正反射光の反射率曲線を用いるが、入射光の入射角としては5〜45度のいずれかの角度を採用するのが好ましい。特に、5〜20度のいずれかの角度がより好ましく、5度の角度が最も好ましい。
数式(II):ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL=L −L
Δa=a −a
Δb=b −b
(式中、L ,a ,b 及びL ,a ,b は、反射防止フィルムのCIE標準光源D65の入射角5°の入射光に対する正反射光の色味をCIE1976L色空間のL値,a値,b値で表したものである。L ,a ,b は、フィルム表面に水を接触させる前の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表し、L ,a ,b は、フィルム表面に表面に水を15分間接触させた後に拭き取った後の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表す。)
上記数式(II)中、L ,a ,b 及びL ,a ,b は、詳しくは以下の方法により算出される値である。
,a ,b :分光光度計(V−550、日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角40°5°における正反射分光反射率を測定する。次に得られた分光反射率のデータをCIEのD65標準光源の分光分布データとを各波長ごとに掛け合わせてD65光源の照射光の40°5°反射光を求める。得られた標準光下の分光反射率データから、CIE標準光源D65におけるCIE1976L色空間のL値,a値,b値を算出し、L ,a ,b とする。
,a ,b :フィルム、偏光板、又は画像表示装置の反射防止フィルムの最表面を水平に設置する。25℃−55%の相対湿度に30分間以上放置した後に、イオン交換水2.0mlをピペット(エッペンドルフ社製)で約2秒かけて滴下する。反射防止膜の表面の性質により広がりやすさが異なるが、水滴を直径約1.5〜2.5cmの円状に広げる。15分間放置後、ベンコット(旭化成(株)製)で水滴を拭き取った後に、前記記載の分光光度計を用いて同様に測定し、その値から算出したL値,a値,b値をL ,a ,b とする。
[微細空孔の反射防止フィルム構成層への導入]
本発明においては、主として低屈折率層の屈折率を十分に下げるために、微細空孔を層中に導入することが好ましく、その方法に特に制限は無いが、例えば、気泡を層中で発生させてバインダーを硬化することにより固定する方法、層中に導入された粒子の積み重なりにより粒子間に形成されたボイドを利用する方法、層中に多孔質の微粒子を導入する方法、中空状の微粒子を導入する方法、などを挙げることができる。製造安定性等の観点から、層中に多孔質の微粒子を導入する方法および中空状の微粒子を導入する方法が好ましい。
中空状の微粒子においては、粒子内の空腔の半径をri、粒子外殻の半径をroとすると、空隙率xが下記数式(III)で表される。
数式(III):x=(ri/ro3×100(%)
上記中空微粒子の空隙率は、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空微粒子の空隙率を上述の範囲にすることが、低屈折率化と粒子の耐久性維持の観点で好ましい。
[空孔含有微粒子の調製方法]
これらの空孔含有微粒子(多孔質又は中空の微粒子)を使用する際に、構造・種類に制限は無いが、好ましくは多孔質の無機酸化物微粒子、最も好ましくは中空の有機ポリマーラテックスか中空の無機酸化物微粒子である。無機酸化物微粒子の場合には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化スズを主成分とする微粒子が好ましい。
中空微粒子の好ましい製造方法は、以下の工程よりなる。第1段階として後処理で除去可能なコア粒子形成、第2段階としてシェル層形成、第3段階としてコア粒子の溶解、必要に応じて第4段階として追加シェル相の形成である。具体的には中空粒子の製造は、例えば特開2001−233611号公報に記載されている中空シリカ微粒子の製造方法に準じて行うことができる。
多孔質粒子の好ましい製造方法は、第1段階としてアルコキシドの加水分解や縮合の程度、共存物質の種類や量を制御し多孔質のコア粒子を製造し、第2段階としてその表面にシェル層を形成する方法である。具体的には多孔質粒子の製造は、例えば、特開2003−327424号、同2003−335515号、同2003−226516号、同2003−238140号等の各公報に記載された方法で行うことができる。
本発明においては、後述の無機微粒子の吸着水量を減らすことが好ましく、粒子サイズの変更、シェル厚の変更、水熱処理の条件等により制御することができる。また、粒子を焼成することで吸着水量を低減することもできる。
[空孔含有微粒子の吸着水量の測定]
本発明において、空孔含有微粒子の吸着水量は以下の測定法により求めることができる。
粒子の粉末を、ロータリーポンプを用いて、20℃、約1hPaの条件で1時間乾燥させた。その後20℃、55%の相対湿度で1時間保存した。島津(株)製DTG−50を用い、乾燥後の試料約10mgを白金セルに秤量し、加熱速度20℃/minで温度20℃から950℃まで上昇させた。吸着水量は200℃まで昇温した際の質量減少百分率として以下の数式(IV)により算出した。
数式(IV) 吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
(ここに、W20は昇温開始時の初期質量、W200は200℃まで昇温した時点での質量を表す)
尚、粒子が分散液の場合には、溶媒をエバポレーター(25℃、10hPaに減圧)で留去し、残渣をメノウ乳鉢ですりつぶして粉末とした後に、上記工程で測定することができる。
本発明においては、吸着水量は6.1質量%以下が好ましく、更に好ましくは5.5質量%以下、最も好ましくは5.0質量%以下である。
層中に粒子サイズや調製条件が異なる粒子を複数種含む場合においては、それら粒子の少なくとも1種の吸着水量が6.1質量%以下であればよい。但し、吸着水量が6.1質量%以下の粒子の全粒子にしめる割合が、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
[空孔含有微粒子の粒子サイズの測定]
本発明の空孔含有微粒子のサイズの測定は、粒子を透過型電子顕微鏡で観察し、円相当径を1000個の平均で算出した。直径は20〜100nmが好ましく、更に好ましくは35〜100nm、最も好ましくは45〜80nmである。粒子径が小さ過ぎると屈折率の上昇や吸着水量の増大が認められ好ましくなく、粒子径が大きすぎると反射防止フィルムを構成した際の塗膜での散乱が大きくなり好ましくない。
本発明においては、空孔含有微粒子はサイズ分布を有していても良く、その変動係数は好ましくは5%〜60%、更に好ましくは10%〜50%である。また、平均粒子サイズの異なる2種又は3種以上の粒子を混合して用いることもできる。
[空孔含有微粒子の屈折率の測定]
本発明に好ましく用いることのできる空孔含有微粒子の屈折率は、1.15〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.15〜1.35、最も好ましくは1.18〜1.30である。粒子の屈折率は以下の方法により求めることができる。
(1)マトリックス形成成分液の調製
テトラエトキシシラン(TEOS)(SiO2濃度28質量%)55g、エタノール200g、濃硝酸1.4gおよび水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌した。SiO2に換算したときの濃度が5質量%になるようエタノール量を調節してマトリックス形成成分を含む液(M−1)を調製した。
(2)塗膜の作製
マトリックス形成成分液(M−1)と空孔含有微粒子とを、酸化物換算の質量比[マトリックス(SiO2):空孔含有微粒子(MOx+SiO2)]が、それぞれ100:0、90:10、80:20、60:40、50:50、25:75となるように、混合した屈折率測定用塗布液を調製した。ここで、シリカ以外の無機化合物をMOXで表す。各塗布液を、表面を50℃に保ったシリコンウェハー上に300rpm、スピナー法で各々塗布し、次いで160℃で30分加熱処理した後、形成した屈折率測定用被膜の屈折率をエリプソメーターで測定した。
(3)屈折率の算出
次いで、得られた屈折率の値に対して粒子混合割合(粒子(MOx+SiO2)/[粒子(MOx+SiO2)+マトリックス(SiO2)]))]をプロットし、外挿によって粒子が100%のときの屈折率を求めた。空孔含有微粒子の割合が多すぎると、測定用の被膜中に空隙が生じて被膜の屈折率を低下させることがあるため、空孔含有微粒子の割合の高い試料で量依存性から外れるデーターは排除した。
[空孔含有微粒子の表面処理方法]
次に空孔含有微粒子(多孔質又は中空の無機微粒子)の表面の処理方法について述べる。後述のフッ化アルキル部および/またはジメチルシロキサン部を含有する低屈折率層用バインダーへの分散性を改良するために、無機微粒子の表面は下記一般式2で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物により処理がされているのが好ましく、処理の際に、酸触媒および金属キレート化合物のいずれか、あるいは両者が使用されることが更に好ましい。
[オルガノシラン化合物]
本発明に用いるオルガノシラン化合物について詳細に説明する。
一般式2
(R10m−Si(X)4-m
一般式2においてR10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびR2COO基(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO基、C25COO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチ基、i-プロピル基、プロピル基、t-ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i-プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-メチル-N-オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式2で表される化合物は、下記一般式3で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物として表すことができる。
一般式3
Figure 2006220733
一般式3においてR1は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。単結合、エステル基およびアミド基が好ましく、単結合およびエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、または内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、なかでも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は、一般式2のR10と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは、一般式2のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
本発明に用いるオルガノシラン化合物として、下記一般式4で表されるものも好ましい。
一般式4 (Rf−L1n−Si(Xn-4
上記式中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rfは、炭素数3〜10の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。L1は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。Xは一般式(I)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
次に一般式4で表される含フッ素シランカップリング剤の中でも、下記一般式5で表される含フッ素シランカップリング剤が好ましい。
一般式5 Cn2n+1−(CH2m−Si(X23
上記式中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。nは4〜10が好ましく、mは1〜3が好ましく、Xはメトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子を表す。
一般式2〜一般式5で表される化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式2〜一般式5で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006220733
Figure 2006220733
Figure 2006220733
Figure 2006220733
Figure 2006220733
Figure 2006220733
Figure 2006220733
Figure 2006220733
Figure 2006220733
これらの具体例の中で、(M-1)、(M-2)、(M−30)、(M−35)、(M−49)、(M−51)、(M-56)、(M-57)等が特に好ましい。また、特許第3474330号の参考例に記載のA,B,Cの化合物も分散安定性に優れ好ましい。本発明においては、一般式2〜一般式5で表されるオルガノシラン化合物の使用量は、特に制限はないが、無機微粒子当たり1質量%〜300質量%が好ましく、更に好ましくは3質量%〜100質量%、最も好ましくは5質量%〜50質量%である。無機酸化物の表面の水酸基基準のモル濃度当たりでは1〜300モル%が好ましく、更に好ましくは5〜300モル%、最も好ましくは10〜200モル%である。
オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜形成時に膜強度も上昇する。複数種のオルガノシラン化合物を併用することも好ましく、複数種の化合物を同時に添加することも、添加時間をずらして反応させることもできる。また、複数種の化合物を予め部分縮合物にしてから添加すると反応制御が容易であり好ましい。
本発明においては、上記オルガノシランの加水分解物及び/またはその部分縮合物を無機微粒子表面と作用させて無機微粒子の分散性を改善することができる。
加水分解縮合反応は、加水分解性基(X、X、X)1モルに対して0.3〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる酸触媒または、金属キレート化合物の存在下、15〜100℃で、撹拌することにより行われることが好ましい。
[分散性の改良処理の触媒]
オルガノシランの加水分解物および/または縮合反応物による分散性の改良処理は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、無機酸化物微粒子液の製造安定性や保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)及び/又は金属キレート化合物が用いられる。無機酸では塩酸及び硫酸、有機酸では水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、及び水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、及び水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、中でも水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができる。オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。また、アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
本発明において、オルガノシランの加水分解物及び/または縮合反応物による分散性の改良処理に用いる金属キレート化合物は、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基を、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiおよびAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物が好ましい。
金属キレート化合物は、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。
本発明に用いられる金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
[分散剤]
本発明において無機微粒子を粉体から溶媒中に分散して調製するには、分散剤を用いることもできる。本発明においては、アニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することもできる。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
[低屈折率層用材料]
以下に本発明の低屈性率層に好ましく用いられる材料について説明する。本発明の反射防止フィルムの低屈折率層は、前記の空孔含有微粒子を含有する硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成することが好ましい。
本発明においては、低屈折率層の屈折率を下げ、反射防止膜の屈折率を下げるという観点から、下記のフッ化アルキル部を有するポリマーが硬化組成物の成分として好ましく用いられる。
フッ化アルキル部を導入するための含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
フッ化アルキル部を有するポリマーは側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分として有するのが好ましい。これらの(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上するが屈折率も高くなる。含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位は5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
フッ化アルキル部を有するポリマーは、上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N、N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明に用いられる共重合体の好ましい形態として下記一般式1のものが挙げられる。
Figure 2006220733
一般式1中、Lは炭素数1〜10の2価の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**, *−(CH2)2−NH−**, *−(CH2)4−O−**, *−(CH2)6−O−**, *−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**, *−CONH−(CH2)3−O−**, *−CH2CH(OH)CH2−O−**,*−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい形態として下記一般式6が挙げられる。
一般式6
Figure 2006220733
一般式6においてX、x、yは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1及びz2は、一般式6のポリマーの全構成繰り返し単位に対するそれぞれの繰返し単位のモル%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式1又は6で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に、前記の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
本発明で有用な共重合体の好ましい例としては、特開2004−45462号公報の[0043]〜[0048]に記載のポリマーなどが挙げられる。
また、本発明に用いられる共重合体は、上記特開2004−45462号公報の[0079]〜[0082]に記載の方法により合成することができる。
低屈折率層を構成するための材料として、本発明の空孔含有微粒子と後述する皮膜形成バインダー(例えば、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー)を含有する硬化性組成物も好ましい。
フッ化アルキル部を有するポリマーや、皮膜形成バインダーとして用いる二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに、またはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
上記架橋性官能基を有するモノマーは、反射防止フィルムの塗布前にポリマー中と反応して架橋性ポリマーを形成していても良いが、塗布後に初めてポリマー本体と架橋してマトリックスを形成させることもできる。
本発明の反射防止フィルムを構成するハードコート層と低屈折率層のうちの少なくとも1層は、その層を形成する塗布液中にオルガノシラン化合物及び/またはその加水分解物及び/またはその部分縮合物、いわゆるゾル成分(以降、このように表記する)を含有することが耐擦傷性の点で好ましい。特に低屈折率層は反射防止性能と耐擦傷性を両立させるために、オルガノシラン化合物、又はその加水分解物、その部分縮合物を含有することが好ましく、ハードコート層はオルガノシラン化合物、その加水分解物あるいはそれらの部分縮合物のいずれか、もしくは混合物を含有することが好ましい。このゾル成分は、塗布液を塗布後の乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成し上記層のバインダーとなる。また、該硬化物が重合性不飽和結合を有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物のゾル成分の合成には、本発明の無機酸化物微粒子の分散性の改良処理に用いたオルガノシラン化合物、並びに触媒としての酸及び/又は金属キレート化合物を用いることができる。
本発明において、上述の光又は熱硬化性のバインダー以外に好ましく用いることのできるバインダーとしては、前述の一般式2〜6で表されるオルガノシラン化合物の加水分解物及び/またはその部分縮合物自身を挙げることができる。オルガノシラン化合物がフッ化アルキル部を有することが屈折率低下の点から好ましい。好ましいバインダーの例は、例えば、特開2002−202406号、同2002−265866号、同317152号等の各公報に記載されている。
本発明に用いられるハードコート層及び/又は低屈折率層の塗布液には上記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/または部分縮合物及び金属キレート化合物を含む組成物に加えて、β−ジケトン化合物及び/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。
以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R4 COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物及び/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウム及び/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物及び/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物及び/またはβ−ケトエステル化合物を構成するR4及びR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4及びR5と同様である。
このβ−ジケトン化合物及び/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−へプタン−ジオン、3,5−へプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物及び/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物及び/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
上記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/または部分縮合物の低屈折率層への添加量は、全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
ハードコート層への添加量は、全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
[低表面自由エネルギー成分の添加]
本発明においては、防汚性向上の観点から、反射防止膜表面の表面自由エネルギーを下げることが好ましい。具体的には、含フッ素化合物やジアルキルシロキサン部を有する化合物を低屈折率層に使用することが好ましい。ジアルキルシロキサン部を有するポリシロキサン構造を有する添加剤としては、反応性基含有ポリシロキサン(例えば、信越化学(株)製のX‐22−174DX、X‐22‐2426、X‐22‐164B、X22‐164C、X‐22−170DX、X‐22‐176D、X‐22‐1821(以上商品名)やチッソ(株)製のFM‐0725、FM‐7725、FM‐4421、FM‐5521、FM6621、FM‐1121やGelest社製のDMS‐U22、RMS‐033、RMS‐083、UMS‐182、DMS‐H21、DMS‐H31、HMS‐301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221 (以上商品名))を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383号公報の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。これらのポリシロキサンは低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
また、特開2002−277604号公報等に記載のパーフルオロエーテル基を含有したシランカップリング剤の防汚層を設けることも好ましい。
本発明の低屈折率層形成組成物は、通常液の形態をとり前記共重合体を必須の構成成分とし、必要に応じて各種添加剤およびラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.05〜50質量%、特に好ましくは0.1〜20質量%、最も好ましくは1〜10質量%である。
本発明の低屈折率層の硬化は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができるが、特に、光ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射により行うことが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、オキシムエステル類、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、及びクマリン類などが挙げられる。
オキシムエステル類の例には、4−フェニルスルファニルベンズアルドオキシム−O−アセタートおよび2,4−ジメチル−6−メチルスルファニルベンズアルドオキシム−O−ベンゾアートが含まれる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルフォリノブチロフェノンが含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が含まれる。
ボレート塩の例には、カチオン性色素とのイオンコンプレックス類が含まれる。活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(o-ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
活性ハロゲン類の例には、s−トリアジン、オキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル−4,6―ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。
無機錯体の例には、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には、3−ケトクマリンが挙げられる。
特に、オキシムエステル類、アセトフェノン類が好ましい。
最新UV硬化技術(発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)159頁にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラ−のケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
本発明における低屈折率層の光ラジカル開始剤による硬化反応は、酸素濃度が0.01%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が0.01%以下の雰囲気で硬化反応を行うことにより、酸素による重合阻害反応を顕著に抑えることができ、物理強度に非常に優れた低屈折率層を形成することができる。
酸素濃度が0.005%以下の雰囲気で硬化反応を行うことが好ましく、更に酸素濃度が0.003%以下の雰囲気が好ましく、特に酸素濃度が0.001%以下の雰囲気が最も好ましい。
酸素濃度を0.01%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79%、酸素濃度約21%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
電離放射線の照射は、高圧水銀ランプやメタルハライドランプを用いて行うことが好ましい。照射エネルギーは硬化反応が十分に進むのに必要な量であればよく、具体的には、50〜1500mJ/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜1000mJ/cmの範囲であり、特に好ましくは100〜800mJ/cmの範囲である。
電離放射線を照射し、硬化反応を進行させる際のフィルム面の温度は、高温であればあるほど好ましいが、実際には透明支持体の耐熱性の点から、上限の温度が決められる。具体的には、60〜120℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは70〜110℃の範囲であり、特に好ましくは80〜100℃の範囲である。
硬化反応を十分に進行させるためには、電離放射線照射後もしばらくの間は酸素濃度が0.01%以下の雰囲気下においておくことが好ましい。時間としては、硬化反応が十分に進むのに必要な時間であればよく、具体的には、0.1秒以上であることが好ましく、より好ましくは0.3秒以上であり、特に好ましくは0.5秒以上である。
[低屈折率層の物性]
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.40であることが好ましく、1.25〜1.40であることがより好ましく、1.25〜1.38であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜120nmであることがさらに好ましい。
低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
具体的な低屈折率層の強度は、JIS−K−5600−5−4による鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90°以上であることが好ましい。更に好ましくは95°以上であり、特に好ましくは100°以上である。
[ハードコート層]
本発明のハードコート層について以下に説明する。
本発明のハードコート層を形成するバインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
ハードコート層をより高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光ラジカル重合開始剤としては、低屈折率層の項において記載したものをそのまま適用することができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機微粒子を含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化してハードコート層を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
本発明のハードコート層には、屈折率調整、架橋収縮防止、高強度化などの目的のために無機微粒子が含有されることが好ましい。
ハードコート層の屈折率を高めるためには、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機微粒子が含有されることが好ましい。
また逆に、屈折率差を低くするために、ケイ素の酸化物を用いることもありうる。好ましい粒径は上記の無機微粒子と同じである。
ハードコート層に用いられる無機微粒子の具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO、SiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機微粒子は表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、微粒子表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機微粒子の添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このような無機微粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該無機微粒子が分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明のハードコート層のバインダーおよび無機微粒子の混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機微粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
本発明のハードコート層は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者をハードコート層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。
面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。
しかしながら、上記のようなフッ素系ポリマーを使用することにより、ハードコート層表面にF原子を含有する官能基が偏析するためにハードコート層の表面エネルギーが低下し、上記ハードコート層上に低屈折率層をオーバーコートしたときに反射防止性能が悪化する問題が生じる。これは低屈折率層を形成するために用いられる塗布組成物の濡れ性が悪化するために低屈折率層の膜厚の目視では検知できない微小なムラが生じるためと推定される。このような問題を解決するためには、フッ素系ポリマーの構造と添加量を調整することにより、ハードコート層の表面エネルギーを好ましくは20mN/m〜50mN/mに、より好ましくは30mN/m〜40mN/mに制御することが効果的であることを見出した。また、上記のような表面エネルギーを実現するためには、X線光電子分光法で測定したフッ素原子由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるF/Cが0.1〜1.5であることが必要である。
またハードコート層上に低屈折率層をオーバーコートする時点で表面エネルギーの低下を防げば、反射防止性能の悪化が防げる。ハードコート層塗布時にはフッ素系ポリマーを用いて塗布液の表面張力を下げて面状均一性を高め、高速塗布による高生産性を維持し、ハードコート層塗布後にコロナ処理、UV処理、熱処理、鹸化処理、溶剤処理といった表面処理手法を用いて、特に好ましいのはコロナ処理であるが、表面自由エネルギーの低下を防ぐことにより、低屈折率層塗布前のハードコート層の表面エネルギーを上記範囲に制御することでも目的を達成することができる。
ハードコート層には、防眩性又は内部散乱性付与の目的で、無機微粒子より大きく、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子を含有してもよい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子、アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2となるように防眩性ハードコート層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
ハードコート層の膜厚は1.0〜10.0μmが好ましく、1.2〜7.0μmがより好ましい。
ハードコート層のヘイズは、0〜70%であることが好ましく、0〜60%であることがさらに好ましく、0〜50%であることが最も好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS−K−5600−5−4に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
ハードコート層の形成において、電離放射線硬化性の化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成される場合、架橋反応、又は、重合反応は酸素濃度が10%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度や耐薬品性に優れたハードコート層を形成することができる。
好ましくは酸素濃度が6%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が2%以下、特に好ましくは酸素濃度が1%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
酸素濃度を10%以下にする手法としては、前記したように大気を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換することである。
電離放射線の照射は、高圧水銀ランプやメタルハライドランプを用いて行うことが好ましい。照射エネルギーは硬化反応が十分に進むのに必要な量であればよく、具体的には、50〜1500mJ/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜1000mJ/cmの範囲であり、特に好ましくは100〜800mJ/cmの範囲である。
硬化を促進するために、電離放射線の照射と同時、又は照射後に加熱を行うことも好ましい。加熱を行う場合には30〜200℃程度の温度範囲が好ましく、より好ましくは80〜180℃であり、特に好ましくは100〜150℃の場合である。加熱時間は30秒〜100時間の範囲が好ましく、より好ましくは1分〜1時間であり、特に好ましくは2分〜15分である。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してウェッブに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号公報に記載の回転金属ロールに温水や蒸気、オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用しても良い。
ハードコート層は、透明支持体の表面に、ハードコート層形成用の塗布組成物を塗布することで構築することが好ましい。
本発明に係るハードコート層、低屈折率層を形成するために用いる塗布液の溶媒組成としては、ケトン系溶剤を用いることが好ましく、単独および混合のいずれでもよく、混合のときはケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
塗布溶媒は、ケトン系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。例えば、沸点が100℃以下の溶媒としては、ヘキサン(沸点68.7℃、以下「℃」を省略する)、ヘプタン(98.4)、シクロヘキサン(80.7)、ベンゼン(80.1)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8)、クロロホルム(61.2)、四塩化炭素(76.8)、1,2−ジクロロエタン(83.5)、トリクロロエチレン(87.2)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6)、ジイソプロピルエーテル(68.5)、ジプロピルエーテル(90.5)、テトラヒドロフラン(66)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2)、酢酸メチル(57.8)、酢酸エチル(77.1)、酢酸イソプロピル(89)などのエステル類、アセトン(56.1)、2−ブタノン(メチルエチルケトンに同じ、79.6)などのケトン類、メタノール(64.5)、エタノール(78.3)、2−プロパノール(82.4)、1−プロパノール(97.2)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6)、プロピオニトリル(97.4)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2)、などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃以上の溶媒としては、例えば、オクタン(125.7)、トルエン(110.6)、キシレン(138)、テトラクロロエチレン(121.2)、クロロベンゼン(131.7)、ジオキサン(101.3)、ジブチルエーテル(142.4)、酢酸イソブチル(118)、シクロヘキサノン(155.7)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBK、メチルイソブチルケトンに同じ、115.9)、1−ブタノール(117.7)、N,N−ジメチルホルムアミド(153)、 N,N−ジメチルアセトアミド(166)、ジメチルスルホキシド(189)、などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノン、である。
本発明に係るハードコート層、低屈折率層成分を前述の組成の溶媒で希釈することにより、それらの層用塗布液が調製される。塗布液濃度は、塗布液の粘度、層素材の比重などを考慮して適宜調節されることが好ましいが、一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.05〜50質量%、特に好ましくは0.1〜20質量%、最も好ましくは1〜10質量%である。
本発明の反射防止フィルムは、ハードコート層と低屈折率層との間に、透明支持体またはハードコート層よりも屈折率が高い高屈折率層を設けても良い。さらには、ハードコート層と高屈折率層との間に、中屈折率層(透明支持体またはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)を設けても良い。
高屈折率層、中屈折率層は、ハードコート層に用いられる高屈折率フィラーや高屈折率モノマーの使用量を調節することにより、形成することができる。
このようにして形成された本発明の反射防止フィルムのヘイズは、0〜70%であることが好ましく、0〜60%であることがさらに好ましく、0〜50%であることが最も好ましい。
反射防止フィルムの強度は、JIS−K−5600−5−4に従う鉛筆硬度試験で、2H以上であることが好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
反射防止フィルムの5°正反射平均反射率(波長領域:450〜650nm)は、2.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがさらに好ましく、1.3%以下であることが最も好ましい。
[支持体]
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
[鹸化処理]
本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等によりディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用する場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に含フッ素ポリマーを主体とする最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏向膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏向膜と接着させる際に偏向膜と光学フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止膜面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
(1)透明支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの反射防止層を形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
本発明においては、以下に述べる条件を標準の鹸化条件とするが、偏光板製造工程において一般的に連続処理で鹸化され偏光板に加工された状態の偏光板も本発明の「鹸化後の反射防止フィルムを有する偏光板」と定義する。
鹸化標準条件
反射防止フィルムを以下の工程で処理・乾燥したものとする。
(1)アルカリ浴
1.5mol/L 水酸化ナトリウム水溶液
55℃−120秒
(2)第1水洗浴
水道水
60秒
(3)中和浴
0.05mol/L 硫酸
30℃−20秒
(4)第2水洗浴
水道水
60秒
(5)乾燥
120℃
60秒
[塗膜形成方法]
本発明の反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、ハードコート層を形成するための塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法とエクストルージョンコート法とが好ましく、マイクログラビアコート法が特に好ましい。その後、光照射あるいは加熱して、ハードコート層を形成するためのモノマーを重合して硬化する。これによりハードコート層が形成される。
ここで、必要であればハードコート層を複数層とし、ハードコート層塗布の後に同様な方法で防眩性ハードコート層塗布および硬化を行うことができる。
次に、同様にして低屈折率層を形成するための塗布液をハードコート層上に塗布し、光照射あるいは加熱し低屈折率層が形成される。このようにして、本発明の反射防止フィルムが得られる。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記透明支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至含フッ素ポリマーを含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
また、ダイコート法を用いても塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができ、さらにダイコート法は前計量方式のため膜厚制御が比較的容易であり、さらに塗布部における溶剤の蒸散が少ないため、好ましい。湿潤膜厚が数十ミクロン以下の薄層塗布液を、例えばプラスチックフィルムに特定のスロットダイや塗布方法を用いて塗布する方法として、特開2003−200097号、同2003−211052号、同2003−230862号、同2003−236434号、同2003−236451号、同2003−245595号、同2003−251260号、同2003−260400号、同2003−260402号、同2003−275652号、同2004−141806号等の各公報に記載された方法も好ましい。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学(朝倉書店、1973)、253頁、に記載がある。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の光学フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の光学フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の光学フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70度傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45度傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落[0020]〜[0030]に詳しい記載がある。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、以上述べた本発明の反射防止フィルム又は反射防止フィルムを保護膜に有する偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする。このように、本発明の反射防止フィルム又は反射防止フィルムを保護膜に有する偏光板は、液晶表示装置(LCD)、有機ELディスプレイのような画像表示装置に適用することができる。そして、本発明の画像表示装置は、TN、STN、IPS、VA及びOCBのいずれかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置に適用するのが好ましい。以下、さらに説明する。
液晶表示装置としては、従来公知の何れも用いることができる。例えば、内田龍雄監修「反射型カラーLCD総合技術」[(株)シーエムシー、1999年刊]、「フラットパネルディスプレイの新展開」[(株)東レリサーチセンター調査部門、1996年刊]、「液晶関連市場の現状と将来展望(上巻)、(下巻)」[富士キメラ総研(株)、2003年刊]等に記載されているものが挙げられる。
具体的には、例えばツイステッドネマチック(TN)、スーパーツイステッドネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
また、本発明の反射防止フィルムは、付設する液晶表示装置表示画像の大きさが17インチ以上であっても、コントラストが良好で広い視野角を有し、且つ色相変化及び外光の移りこみ防止を実現でき、好ましい。
[TNモード液晶表示装置]
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献の記載が挙げられる。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
TNモード用の光学補償フィルムとしては、光学異方性層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムが有用である。光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる層であり、ディスコティック構造単位の円盤面が光学補償フィルムの透明支持体表面に対して傾いており、かつディスコティック構造単位の円盤面と該透明支持体の表面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向において変化している光学補償フィルムが特に好ましい。
[OCBモード液晶表示装置]
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている装置が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
[VAモード液晶表示装置]
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモード)の液晶セル[SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載]、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル[日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載]及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が挙げられる。
[IPSモード液晶表示装置]
IPSモードの液晶セルでは、液晶分子を基板に対して常に水平面内で回転させるモードで、電界無印加時には電極の長手方向に対して若干の角度を持つように配向されている電界を印加すると電界方向に液晶分子は向きを変える。液晶セルを挟持する偏光板を所定角度に配置することで光透過率を変えることが可能となる。液晶分子としては、誘電率異方性Δεが正のネマチック液晶を用いる。液晶層の厚み(ギャップ)は、2.8μm超4.5μm未満とする。これは、レターデーションΔn・dが0.25μm超0.32μm未満の時、可視光の範囲内で波長依存性が殆どない透過率特性が得られる。偏光板の組み合わせにより、液晶分子がラビング方向から電界方向に45°回転したとき最大透過率を得ることができる。なお液晶層の厚み(ギャップ)はポリマビーズで制御している。もちろんガラスビーズやファイバー、樹脂製の柱状スペーサでも同様のギャップを得ることができる。また液晶分子は、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性Δεは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性Δnは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、且つギャップばらつきを少なくすることができる。
[その他液晶モード]
STNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で本発明の偏光板を供することができる。ECBモードにも同様に適用することができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面及び内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、特別の断りのない限り「部」及び「%」は質量基準である。
実施例1
調製例1[無機微粒子(P−1)の調製]
テトラエトキシシラン(TEOS、SiO2濃度28質量%)360gとメタノール530gを混合し、この混合液に25℃において、イオン交換水100gとアンモニア水(28%アンモニア含有)をそれぞれ滴下し、24時間攪拌し熟成した。オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換して固形分濃度20質量%の無機微粒子(P−1)の分散液を調製した。透過電子顕微鏡観察により多孔質の粒子であることが確認された。
調製例2[無機微粒子(P−2)の調製]
調製例1で作製した無機微粒子(P−1)分散液100.0gに対してイオン交換水を900g及びエタノール800gを加えた混合液を30℃に加温した後、テトラエトキシシラン(SiO2濃度28質量%)360gと28%アンモニア水626gを添加し、粒子表面にテトラエトキシシランの加水分解重縮合物でシリカ外殻層を形成した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5重量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の無機微粒子(P−2)の分散液を調製した。
調製例3[無機微粒子(P−3)の調製]
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル90gとイオン交換水1710gとを混合して反応母液を調製し、95℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.5質量%のケイ酸ナトリウム水溶液24,900gと、Al23として0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液36,800gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を91℃に保持した。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23コア粒子の分散液(A)を調製した。(第1調製工程)
次いで、このコア粒子の分散液(A)500gを採取し、イオン交換水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)2,100gを添加してコア粒子表面にシリカ保護膜を形成した。得られたシリカ保護膜を有するコア粒子の分散液を、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%に調整したのち、コア粒子の分散液500gにイオン交換水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行ったのち、pH3の塩酸水溶液10Lとイオン交換水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、粒子前駆体分散液を調製した。(第2調製工程)
上記粒子前駆体分散液1500gと、イオン交換水500gおよびエタノール1,750gとの混合液を30℃に加温した後、テトラエトキシシラン(SiO2濃度28質量%)40gと28%アンモニア水626gを速度を制御しながら添加し、粒子前駆体表面にテトラエトキシシランの加水分解重縮合物でシリカ外殻層を形成することによって、外殻層内部に空洞を有する粒子を作製した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5質量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ微粒子ゾル(空孔含有無機微粒子)(P−3)の分散液を調製した。(第3調製工程)
調製例4[無機酸化物粒子(P−4)の調製]
無機酸化物粒子(P−3)の第3調製工程において、テトラエトキシシラン(SiO2濃度28質量%)の添加量を70gに変更した以外は無機微粒子(P−3)の調製工程と同様にして中空シリカ微粒子ゾル(P−4)を調製した。
調製例5[無機酸化物粒子(P−5)の調製]
多孔質でないシリカ粒子の比較例として市販の平均粒子径50nmのシリカ粒子分散物(IPA−ST−L 日産化学(株)製、シリカ固形分濃度30質量%、溶媒イソプロピルアルコール)を、シリカ固形分濃度が20質量%になるようにイソプロピルアルコールで希釈した。
[無機微粒子の評価]
この様にして得られた粒子を用い以下の評価を行った。
(評価1)粒子サイズ測定
分散液を希釈してグリッド上にすくい取り、透過型電子顕微鏡で観察した。1000個の粒子の平均の粒子サイズを求めた。
(評価2)吸着水量
分散液をエバポレーターで乾燥し、粉末化した後に、200℃まで昇温した際の質量減少百分率として以下の数式(IV)により算出した。
数式(IV) 吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
(W20は昇温開始時(20℃)の初期質量、W200は200℃まで昇温した時点での質量を表す。)
(評価3)粒子屈折率
本文に記載の方法で粒子をマトリックス中に含量を変えて塗膜を形成した。膜の屈折率を測定し、無機微粒子100%時の屈折率を外挿して粒子屈折率とした。
評価(1)〜(3)の結果は、反射防止フィルムに組み込んだときの結果と合わせ表1に示す。
実施例2
以下に示す多層の反射防止フィルムを作製した。
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
Figure 2006220733
内容量100mLのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40mL、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は0.53MPa(5.4kg/cm2)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm2)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mLに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
(ゾル成分aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(商品名、ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分の濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
(分散液(D−4)の調製)
調製例4で作製した中空シリカ微粒子ゾル(P−4)の500部(シリカ濃度20質量%、エタノール分散液)に対して、ほぼシリカの含量が一定となるようにイソプロピルアルコールを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。このようにして得られたシリカ分散液(シリカ濃度20%)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート(商品名、ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液(D−4)のイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
実施例1で調製した他の無機微粒子(P−1)〜(P−3)、及び(P−5)について、分散液(D−4)の調製に準じて処理を行い、対応する分散液(D−1)〜(D−3)、及び(D−5)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−1)の調製)
メチルエチルケトン100質量部に対して、パーフルオロオレフィン共重合体(1)77.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS−033(Gelest社製)7.5質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)7.5質量部を加えて溶解した。その後に、ゾル成分a27.6質量部(固形分として8.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−1)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−2)の調製)
メチルエチルケトン100質量部に対して、パーフルオロオレフィン共重合体(1)47.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS−033(Gelest社製)4.5質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)4.5質量部を加えて溶解した。その後に、分散液(D−1)を195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、ゾル液a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキノサン、メチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−2)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−3)〜(L−6)の調製)
低屈折率層用塗布液(L−2)の分散液(D−1)の代わりに分散液(D−2)〜(D−5)を用いたことだけが異なる以外は(L−2)と全く同様にして(L−3)〜(L−6)を調製した。
(ハードコート層用塗布液(H−1)の調製)
デソライトZ7404(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液(固形分60%)、JSR(株)製)100質量部(固形分として60質量部)、DPHA(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製)30質量部、KBM−5103(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)10質量部、メチルエチルケトン29質量部、メチルイソブチルケトン13質量部、シクロヘキサノン5質量部をミキシングタンクに投入し攪拌してハードコート層塗布液(H−1)とした。
(反射防止フィルム(201)の作製)
支持体としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、上記のハードコート層用塗布液(H−1)を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下(酸素濃度0.1%)で120W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度300mW/cm、照射エネルギー量250mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後のハードコート層の厚さが4.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整してハードコートフィルム201を作製した。
このようにして得られたハードコートフィルム201の上に、上記低屈折率層用塗布液(L−1)線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下(酸素濃度0.01%)で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量250mJ/cmの紫外線を照射して、厚さ90nmの低屈折率層を形成させて巻き取った。フィルム表面の温度は、フィルム裏面に接触している金属版の温度により60℃に調整した。硬化後の低屈折率層の屈折率は1.44であった。
(反射防止フィルム(202)〜(206)の作製)
反射防止フィルム(201)の作製において、低屈折率層用塗布液(L−1)を(L−2)〜(L−6)に変えたことだけが異なる以外は、反射防止フィルム(201)と同様にして、反射防止フィルム(202)〜(206)を作製した。
(反射防止フィルムの鹸化処理)
得られた反射防止フィルムは以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
(1)アルカリ浴
1.5mol/L 水酸化ナトリウム水溶液
55℃、120秒
(2)第1水洗浴
水道水
60秒
(3)中和浴
0.05mol/L 硫酸
30℃、20秒
(4)第2水洗浴
水道水
60秒
(5)乾燥
120℃、60秒
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた鹸化済みの反射防止フィルムを用いて以下の評価を行った。
(評価4)平均反射率の測定
分光光度計(日本分光(株)製;V−550)を用いて、380〜780nmの波長領域において、積分球を用いて、入射角5°における分光反射率を測定した。分光反射率の評価において、450〜650nmの平均反射率を用いた。
偏光板に加工されている試料は偏光板形態のものをそのまま用い、フィルムそのものや偏光板を使用しない形態の表示装置の場合には、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
(評価5)不織布擦り試験
分光光度計(V−550、日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角40°における正反射分光反射率を測定する。その測定結果とCIE標準光源D65の分光データから、前記したようにCIE標準光源D65におけるCIE1976L色空間のL値,a値,b値を算出し、L ,a ,b とする。
速度6m/minで往復する装置(学振型摩擦堅牢度試験機AB−301型、テスター産業(株)製)の摩擦子に不織布(ベンコットM−3、旭化成(株)製)を取り付け、試験片台に反射防止フィルムを設置し、低屈折率層が積層されている側の表面を19.6N/cmの荷重をかけて200往復擦った後に、前記記載の分光光度計を用いて同様に測定し、その測定値から算出したL値,a値,b値をL ,a ,b とする。
下記数式(I)を用いて不織布擦り試験での反射光色味変化量ΔEab値E1を算出する。
数式(I): ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL=L −L
Δa=a −a
Δb=b −b
(評価6)水付着跡の△Eの測定
分光光度計(V−550、日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における正反射分光反射率を測定する。その測定結果とCIE標準光源D65の分光データから前記したようにCIE標準光源D65におけるCIE1976L色空間のL値,a値,b値を算出してL ,a ,b とする。
フィルム、偏光板、又は画像表示装置の反射防止フィルムの最表面を水平に設置した。25℃、55%の相対湿度に30分間以上放置した後に、イオン交換水2.0mlをピペット(エッペンドルフ社製)で約2秒かけて滴下した。反射防止膜の表面により広がりやすさが異なるが、水滴を直径約1.5〜2.5cmの円状に広がる。15分間放置後、ベンコット(旭化成(株)製)で水滴を拭き取った後に、前記記載の分光光度計を用いて同様に測定し、その測定値を用いて算出したL値,a値,b値をL ,a ,b とする。
下記数式(II)を用いて水付着跡の反射光色味変化量ΔEab値E2を算出する。
数式(II):ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL=L −L
Δa=a −a
Δb=b −b
(評価7)マジックふき取り性評価
マジックインキ No.700(黒、寺西化学工業(株)製)極細を用い試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶした。試料を先ず25℃、55%相対湿度の下で30分乾燥させ、その後に40℃、80%相対湿度のもと24時間放置した。その後25℃、55%の条件下に取り出し30分以上放置した後にベンコット(旭化成(株)製)で擦り、マジックがふき取れるか以下の基準で評価した。
○:非常に注意深く見ても、全くマジック跡が見えない。
○△:僅かにマジックの跡が見える。
△×:消えない跡が検出される。
×:ほとんど拭き取ることができない。
評価結果を表2に示す。
Figure 2006220733
表2に示される結果より以下のことが明らかである。吸着水量の低い本発明に係る酸化物粒子を用いると、反射防止フィルムの水滴付着跡が改良されることが分かる。また、本発明例同士の比較ではあるが、粒子の屈折率が同じ場合には多孔質の粒子に対して中空粒子の方が水滴付着跡およびマジックふき取り性の点で優れることが分かる(反射防止フィルム(203)と(205)の比較)
さらに、粒子が表面処理されていると、粒子が用いられていない場合、あるいは粒子が用いられていても表面処理されていない粒子の場合に比較して、耐擦傷性にも優れていることが分かる。
実施例3
(無機酸化物微粒子の調製と反射防止フィルムへの組み込み)
実施例1の無機酸化物粒子(P−3)の調製において、以下の工程を調節することで粒子サイズ、水吸着量、屈折率の異なる粒子を作製した。
[粒子サイズの変更]
第1調製工程において、平均粒径5nmのシリカゾルの添加量を調節して粒子サイズの変更を行った。
[吸着水量の変更]
第2調製工程において、ケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)の量を調節又は、第3調製工程において、テトラエトキシシラン量、アンモニア量、添加タイミング、温度、時間を制御して粒子を形成した。
そのようにして調製した無機酸化物微粒子を、実施例2の分散液(D−4)の調製に準じて溶媒置換と表面処理とを行い、実施例2の反射防止フィルム(204)に対して無機酸化物微粒子のみが異なる以外は同様にして反射防止フィルム(301)〜(311)を作製した。これらの反射防止フィルムについて実施例2に準じて鹸化処理を行い、実施例1及び2と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2006220733
表3によれば粒子サイズを大きくすることで、吸着水量が少ない無機酸化物粒子でも屈折率が低くでき、フィルムの反射率を低下させることができることが分かる。
実施例4
(低屈折率層用塗布液(L−7)の調製)
メチルエチルケトン100質量部に対して、パーフルオロオレフィン共重合体(1)50.0質量部、末端メタクリレート基含有シリコーンRMS−033(Gelest社製)5.0質量部、光ラジカル発生剤イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)5.0質量部を加えて溶解した。その後に、分散液(D−4)を200質量部(シリカ+表面処理剤固形分として40.0質量部)添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキノサンとメチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−7)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−8)の調製)
オプスターJTA113(熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%)、JSR(株)製)950.0質量部(固形分として57.0質量部)に対して、分散液(D−4)を190質量部(シリカ+表面処理剤固形分として38.0質量部)、ゾル成分a17.2質量部(固形分として5.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−8)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(L−9)の調製)
オプスターJTA113(熱架橋性含フッ素含シリコーンポリマー組成液(固形分6%)、JSR(株)製)1000質量部(固形分として60.0質量部)に対して、分散液(D−4)を200質量部(シリカ+表面処理剤固形分として40.0質量部)を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンの比率が10対90になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して塗布液(L−9)を調製した。
(ハードコート層用塗布液(H−2)の調製)
デソライトZ7404(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液(固形分60%)、JSR(株)製)111質量部(固形分として66.7質量部)、DPHA(UV硬化性樹脂、日本化薬(株)製)33.3質量部、メチルエチルケトン29質量部、メチルイソブチルケトン13質量部及びシクロヘキサノン5質量部をミキシングタンクに投入し攪拌してハードコート層塗布液(H−2)とした。
(反射防止フィルム(401)〜(408)の作製)
実施例2の反射防止フィルム(201)の作製において、ハードコート層用塗布液(H−1)を(H−2)に、低屈折率層用塗布液(L−1)を(L−5)及び(L−7)にそれぞれ変えたことだけが異なる以外は、反射防止フィルム(201)と同様にして、反射防止フィルム(401)〜(404)を作製した。
また、実施例2の反射防止フィルム(201)の作製において、ハードコート層用塗布液(H−1)を(H−2)に、低屈折率層用塗布液(L−1)を(L−8)及び(L−9)にそれぞれ変え、低屈折率層の硬化条件のうちの乾燥条件を「120℃、12分」に変え、紫外線照射時のフィルムの裏面からの60℃加熱をなくした。上記の点が異なる以外は、反射防止フィルム(201)と同様にして、反射防止フィルム(405)〜(408)を作製した。
これら反射防止フィルムは、実施例2に記載の鹸化工程で処理し乾燥させた。未鹸化状態の試料と鹸化済みの試料の両方を用いて実施例2に準じた評価を行った。結果を表4に合わせて示す。
Figure 2006220733
表4に示される結果より以下のことが明らかである。通常、鹸化処理により膜が破壊され、反射防止フィルムとしての諸性能が低下することは本発明の冒頭で記述した通りであるが、本発明品は、水滴付着性、マジック拭き取り性、耐擦傷性などでやや低下する傾向はあるものの、その度合いは小さく、いずれも良好なレベルを維持していることが分かる。特に、各層の塗布液組成にオルガノシラン化合物(KBM−5103)やその加水分解物及びそれらの部分縮合物(ゾル成分a)を加えてある塗布液を用いて作製した反射防止フィルムでは、性能低下はほとんど抑えられ、優れた性能を示していることが分かる。(反射防止フィルム(401),(405))。
実施例5
(反射防止フィルム(501)〜(509)の作製)
実施例2の反射防止フィルム(201)の作製において、低屈折率層用塗布液(L−1)を(L−5)に変え、さらに紫外線照射の際の硬化条件(酸素濃度及びフィルム表面の温度)を表5に示すように変えて反射防止フィルム(501)〜(509)を作製した。
これら反射防止フィルムは実施例2に準じて鹸化処理を行い、実施例1及び2と同様の評価を行った。評価結果を表5に示す。
Figure 2006220733
表5に示される結果より以下のことが明らかである。低屈折率層を硬化させる際の条件としては、酸素濃度が低ければ低い程、水滴付着跡、耐擦傷性が良化する。また、フィルム面温度が高ければ高い程、水滴付着跡、耐擦傷性が良化する。
実施例6
以下に示す多層反射防止フィルムを作製した。
(ハードコート層用塗布液(H−3)の調製)
PET−30 50.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 1.5g
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.9g
FP−132 0.75g
KBM−5103 10.0g
トルエン 38.5g
上記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液(H−3)を調製した。
それぞれ使用した材料を以下に示す。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
イルガキュア184:重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散後使用)。
架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm(屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散後使用)。
FP−132:フッ素系表面改質剤
Figure 2006220733
KBM−5103:アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)。
(ハードコート層の塗設)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して直接、上記のハードコート層用塗布液(H−3)を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量110mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの層を形成し、巻き取った。このようにして作製したハードコートフィルム601の表面粗さはRa=0.18μm、Rz=1.40μm、ヘイズ35%であった。
ハードコートフィルム601上に実施例2、3および4の低屈折率層を塗設し、実施例2に準じた評価を行った結果、本発明に従えば水滴付着跡が少なく、防汚性能に優れ、耐擦傷性の高い、反射率の低い反射防止フィルムが得られることが判った。
実施例7
(反射防止フィルム付き偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。実施例2の鹸化処理済みの本発明の反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、反射防止フィルムの支持体側(トリアセチルセルロース)が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。光学補償層を有する視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。この偏光板状態で実施例2に準じた評価を行った結果、本発明に従って吸着水量の少ない多孔質または中空の無機微粒子を含有する反射防止フィルムは、水滴付着跡が少なく、防汚性能に優れ、耐擦傷性の高く、反射率が低く抑えられていることが判った。
実施例8
実施例2〜6の試料を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。また、吸着水量の少ない多孔質または中空の無機微粒子を含有する試料は水滴付着跡が少なく、防汚性能に優れ、耐擦傷性が高く、反射率が低く抑えられていることが判った。

Claims (10)

  1. 透明支持体、ハードコート層、及び透明支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層がこの順で積層されており、該低屈折率層が少なくとも1種の多孔質及び/または中空の無機微粒子を含有する層である反射防止フィルムにおいて、下記数式(I)により算出されるCIE1976L色空間における色差ΔEab値E1が1以下であることを特徴とする反射防止フィルム。
    数式(I):ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
    ΔL=L −L
    Δa=a −a
    Δb=b −b
    (式中、L ,a ,b 及びL ,a ,b は、反射防止フィルムのCIE標準光源D65の入射角40°の入射光に対する正反射光の色味をCIE1976L色空間のL値,a値,b値で表したものである。L ,a ,b は、不織布を用いて低屈折率層が積層されている側の表面を擦る前の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表し、L ,a ,b は、不織布を用いて低屈折率層が積層されている側の表面を19.6N/cmの荷重をかけて200往復擦った後の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表す。)
  2. 反射防止フィルムの表面に水を15分間接触させた後に拭き取った部分の、下記数式(II)により算出されるCIE1976L色空間における色差ΔEab値E2が0.45以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
    数式(II):ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
    ΔL=L −L
    Δa=a −a
    Δb=b −b
    (式中、L ,a ,b 及びL ,a ,b は、反射防止フィルムのCIE標準光源D65の入射角5°の入射光に対する正反射光の色味をCIE1976L色空間のL値,a値,b値で表したものである。L ,a ,b は、フィルム表面に水を接触させる前の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表し、L ,a ,b は、フィルム表面に表面に水を15分間接触させた後に拭き取った後の反射防止フィルムのL値,a値,b値を表す。)
  3. アルカリ鹸化処理されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記多孔質および/または中空の無機微粒子の吸着水量が6.1質量%以下であり、粒子サイズが20〜100nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 前記中空の無機微粒子が、中空シリカ微粒子であり、該中空シリカ微粒子の屈折率が1.40以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  6. 前記中空シリカ微粒子が、粒子サイズが45〜80nmであり、屈折率が1.30以下の中空シリカ微粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  7. 前記低屈折率層が、含フッ素ビニルモノマーから導かれる重合単位及び側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合単位を含み、主鎖が炭素原子のみからなる共重合体である含フッ素ポリマーを含有した塗布液から形成された層であって、該低屈折率層の硬化が酸素濃度0.01%以下の雰囲気下においてなされたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  8. 前記低屈折率層が、光重合開始剤を用い、酸素濃度0.01%以下の雰囲気下において、フィルム面温度が60℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射する工程によって硬化された層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光子の2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルム、又は請求項9に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
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