JP2015227934A - 反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低反射率化を実現でき、かつ良好な耐スチールウール性および防汚性を得ることが可能な反射防止フィルム、ならびにこの反射防止フィルムを備えた偏光板および画像表示装置を提供する。【解決手段】透明基材11と、透明基材上に設けられたハードコート層12と、ハードコート層上に設けられた低屈折率層14とを備える反射防止フィルム10であって、低屈折率層が、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子と、バインダ樹脂と、少なくとも低屈折率層の表面14Aに存在する表面改質剤とを含み、前記表面改質剤が、ケイ素含有化合物と、フッ素含有化合物とを含み、低屈折率層側から測定した反射防止フィルム10の反射Y値が0.3%未満であり、低屈折率層の表面に対し、耐スチールウール試験を行った場合、低屈折率層の表面に傷が確認されない最大荷重が200g/cm2以上である、反射防止フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の画像表示装置における画像表示面には、通常、観察者および観察者の背景等の映り込みを抑制するために、低屈折率層を有する反射防止フィルムや防眩フィルムが設けられている。
反射防止フィルムは、低屈折率層の表面で反射する光と、低屈折率層と低屈折率層に隣接する層(例えばハードコート層や高屈折率層)との界面で反射する光とを打消し合わせることによって、反射光自体を低減させるものである。
低屈折率層は、通常、バインダ樹脂と、バインダ樹脂中に存在する中空シリカ微粒子とを含んでいる(例えば、特許文献1参照)。中空シリカ微粒子としては、平均一次粒径が60nm以下のものが用いられている。
特開2012−48195号公報
現在、反射防止フィルムの低反射率化が望まれている。具体的には、反射防止フィルムの反射Y値を0.3%未満まで低下させることが望まれている。
平均一次粒径が60nm以下の中空シリカ微粒子を用いる場合、0.3%以下の反射Y値を実現するためには、中空シリカ微粒子を多量に低屈折率層に含有させる必要がある。しかしながら、この中空シリカ微粒子を低屈折率層に多量に含有させると、低屈折率層の表面に対し耐スチールウール試験および指紋に対する防汚性評価試験を行った場合に、耐スチールウール性および防汚性が極めて低下してしまうおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、低反射率化を実現でき、かつ耐スチールウール性および防汚性が良好な反射防止フィルム、ならびにこの反射防止フィルムを備えた偏光板および画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、透明基材と、前記透明基材上に設けられたハードコート層と、前記ハードコート層上に設けられ、かつ前記ハードコート層よりも屈折率が低い低屈折率層とを備える反射防止フィルムであって、前記低屈折率層が、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子と、バインダ樹脂と、少なくとも前記低屈折率層の表面に存在する表面改質剤とを含み、前記表面改質剤が、ケイ素含有化合物とフッ素含有化合物とを含み、前記低屈折率層側から測定した前記反射防止フィルムの反射Y値が0.3%未満であり、前記低屈折率層の表面に対し、スチールウールを用いて荷重を加えながら10往復擦る耐スチールウール試験を行った場合、前記低屈折率層の前記表面に傷が確認されない最大荷重が200g/cm以上である、反射防止フィルムが提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の反射防止フィルムと、前記反射防止フィルムの前記透明基材における前記ハードコート層が形成されている面とは反対側の面に形成された偏光素子とを備えることを特徴とする、偏光板が提供される。
本発明の他の態様によれば、画像表示装置であって、表示素子と、前記表示素子よりも観察者側に位置する上記の反射防止フィルムとを備え、前記反射防止フィルムは、前記低屈折率層の前記表面が前記画像表示装置の観察者側の表面となるように配置される、画像表示装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、画像表示装置であって、表示素子と、前記表示素子よりも観察者側に位置する上記の偏光板とを備え、前記偏光板は、前記低屈折率層の前記表面が前記画像表示装置の観察者側の表面となるように配置される、画像表示装置が提供される。
本発明の一の態様の反射防止フィルム、他の態様の偏光板および他の態様の画像表示装置によれば、低屈折率層中の中空シリカ微粒子として、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子を用いているので、平均一次粒径が60nm以下の中空シリカ微粒子を用いる場合に比べて、少ない量で反射Y値が0.3%未満の反射防止フィルムを得ることができる。また、低屈折率層中の平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子が、平均一次粒径が60nm以下の中空シリカ微粒子を用いる場合に比べて、少ない量で済むので、低屈折率層の形成時に表面改質剤としてのケイ素含有化合物が低屈折率層の表面に析出(ブリードアウト)しやすい。このため、低屈折率層の表面にケイ素含有化合物を多く存在させることができる。また、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子を用いた場合、平均一次粒径が60nm以下の中空シリカ微粒子を用いた場合に比べて、低屈折率層中の中空シリカ微粒子の量を低減できるので、低屈折率層中のバインダ樹脂の量を増やすことができる。このため、低屈折率層の硬度を高めることができる。したがって、低屈折率層の表面に対し、スチールウールを用いて荷重を加えながら10往復擦る耐スチールウール試験を行った場合、低屈折率層の表面に傷が確認されない最大荷重を200g/cm以上とすることができる。また、低屈折率層中の平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子が、平均一次粒径が60nm以下の中空シリカ微粒子を用いる場合に比べて、少ない量で済むので、低屈折率層の形成時に表面改質剤としてのフッ素含有化合物が低屈折率層の表面に析出しやすい。このため、低屈折率層の表面にフッ素含有化合物を多く存在させることができるので、防汚性を向上させることができる。これにより、低反射率化を実現でき、かつ良好な耐スチールウール性および防汚性を得ることができる。
実施形態に係る反射防止フィルムの概略構成図である。 実施形態に係る偏光板の概略構成図である。 実施形態に係る表示パネルの一例である液晶パネルの概略構成図である。 実施形態に係る画像表示装置の一例である液晶ディスプレイの概略構成図である。
以下、本発明の実施形態に係る反射防止フィルム、偏光板、表示パネル、および画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「フィルム」には、「シート」や「板」等と呼ばれる部材も含まれる。一具体例として、「反射防止フィルム」には、「反射防止シート」や「反射防止板」等と呼ばれる部材も含まれる。また、本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。図1は、本実施形態に係る反射防止フィルムの概略構成図である。
≪反射防止フィルム≫
反射防止フィルム10は、透明基材11と、透明基材11上に設けられたハードコート層12と、ハードコート層12上に設けられた高屈折率層13と、高屈折率層13上に設けられた低屈折率層14とを備えている。本実施形態の反射防止フィルム10は、高屈折率層13を備えているが、高屈折率層13を備えなくともよい。ただし、優れた耐擦傷性や防汚性を得る観点から、高屈折率層13を備えていることが好ましい。
反射防止フィルム10においては、低屈折率層14側から測定した反射Y値が0.3%未満となっている。上記反射Y値は、映り込みをより抑制する観点から0.15%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが更に好ましい。
反射Y値は、JIS Z8722に準拠するものである。反射Y値は、例えば、島津製作所株式会社製のMPC3100等の分光光度計を用いて、反射防止フィルムにおける低屈折率層側から入射角度5度の光を照射し、反射防止フィルムで反射された正反射方向の反射光を受光して、380nm〜780nmの波長範囲の反射率を測定し、その後、人間が目で感じる明度として換算するソフトウェア(例えば、MPC3100に内蔵されたソフトウェア)によって算出することができる。本明細書において、「入射角度5度の光」とは、反射防止フィルムのフィルム面の法線方向を0度としたとき、前記法線方向に対して5度傾いた光を意味する。「フィルム面」とは、対象となる反射防止フィルムを全体的かつ大局的に見た場合におけるその平面方向と一致する面のことを言うものとする。なお、反射Y値を測定する場合、反射防止フィルムの裏面反射を防止するため、予め透明基材におけるハードコート層が形成されている面とは反対側の面に黒テープを貼ることが好ましい。
反射防止フィルム10においては、低屈折率層14の表面14Aに対し、スチールウールを用いて荷重を加えながら10往復擦る耐スチールウール試験を行った場合、低屈折率層14の表面14Aに傷が確認されない最大荷重が200g/cm以上となっている。この最大荷重は、300g/cm以上であることが好ましい。耐スチールウール試験においては、♯0000番(製品名「ボンスター」、日本スチールウール株式会社製)のスチールウールを用いる。
白濁感を抑制する観点から、反射防止フィルム10のヘイズ値(全体ヘイズ値)は0.5%以下であることが好ましく、0.3%以下であることがより好ましい。全体ヘイズの下限は、0.2%以上とすることが可能である。ヘイズ値は、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。
<透明基材>
透明基材11としては、光透過性を有すれば特に限定されないが、例えば、セルロースアシレート基材、シクロオレフィンポリマー基材、ポリカーボネート基材、アクリレート系ポリマー基材、ポリエステル基材、またはガラス基材が挙げられる。
セルロースアシレート基材としては、例えば、セルローストリアセテート基材、セルロースジアセテート基材が挙げられる。シクロオレフィンポリマー基材としては、例えばノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンモノマー等の重合体からなる基材が挙げられる。
ポリカーボネート基材としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート基材、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート基材等が挙げられる。
アクリレート系ポリマー基材としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル基材、ポリ(メタ)アクリル酸エチル基材、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体基材等が挙げられる。
ポリエステル基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする基材等が挙げられる。
ガラス基材としては、例えば、ソーダライムシリカガラス、ホウ珪酸塩ガラス、無アルカリガラス等のガラス基材が挙げられる。
これらの中でも、リタデーションに優れ、かつ偏光子との接着が容易であることからセルロースアシレート基材が好ましく、さらにセルロースアシレート基材の中でもトリアセチルセルロース基材(TAC基材)が好ましい。トリアセチルセルロース基材は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性基材である。トリアセチルセルロース基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
なお、トリアセチルセルロース基材としては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であってもよい。また、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、紫外線吸收剤、易滑剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
リタデーションおよび耐熱性に優れる面からはシクロオレフィンポリマー基材が好ましく、また機械特性および耐熱性の面からはポリエステル基材が好ましい。
透明基材11の厚みは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下とすることが可能であり、透明基材11の厚みの下限はハンドリング性等の観点から15μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。透明基材11の厚みの上限は薄膜化の観点から80μm以下であることが好ましい。
<ハードコート層>
ハードコート層12は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を有する層である。鉛筆硬度を「H」以上とすることにより、ハードコート層12の硬さを低屈折率層14の表面14Aに十分に反映させることができ、耐久性を向上させることができる。なお、ハードコート層12上に形成する高屈折率層との密着性、靱性およびカールの防止の観点から、ハードコート層12の表面の鉛筆硬度の上限は4H程度程とすることが好ましい。
ハードコート層12の膜厚は1μm以上10μm以下であることが好ましい。ハードコート層12の膜厚がこの範囲であれば、所望の硬度を得ることができるとともに、ハードコート層の薄膜化を図ることができる。ハードコート層の膜厚は、ハードコート層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより求めることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡の画像を用い、1画像の中で3箇所ハードコート層の膜厚を計測し、これを5画像分行い、計測された膜厚の平均値を算出する。
ハードコート層12の膜厚の下限は、ハードコート層の割れを抑制する観点から、8μm以下であることがより好ましい。また、ハードコート層の薄膜化を図る一方で、カールの発生を抑制する観点から、ハードコート層12の膜厚は0.5μm以上5.0μm以下であることがさらに好ましい。
ハードコート層12の屈折率は、1.50以上1.60以下であってもよい。ハードコート層12の屈折率の下限は、1.52以上であってもよく、ハードコート層12の屈折率の上限は、1.56以下であってもよい。透明基材11とハードコート層12との屈折率差は、干渉縞の発生を抑制する観点から、0.10以内とすることが好ましく、0.06以内とすることがより好ましい。
ハードコート層12の屈折率は、380nm〜780nmの波長領域における屈折率は一定とし、分光光度計により測定した反射スペクトルと、フレネルの式を用いた薄膜の光学モデルから算出したスペクトルとをフィッティングさせることによって求めることができる。また、ハードコート層12の屈折率は、単独の層を形成した後、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)やエリプソメータによって測定して求めてもよい。また、反射防止フィルム29となった後に屈折率を測定する方法としては、ハードコート層12をカッターなどで削り取り、粉状態のサンプルを作製し、JIS K7142(2008)B法(粉体または粒状の透明材料用)に従ったベッケ法(屈折率が既知のカーギル試薬を用い、前記粉状態のサンプルをスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に試薬を滴下し、試薬でサンプルを浸漬する。その様子を顕微鏡観察によって観察し、サンプルと試薬の屈折率が異なることによってサンプル輪郭に生じる輝線(ベッケ線)が目視で観察できなくなる試薬の屈折率を、サンプルの屈折率とする方法)を用いることができる。
ハードコート層12は、少なくとも樹脂から構成することが可能である。なお、樹脂の他に、微粒子を含んでいてもよい。
〈樹脂〉
樹脂は、硬化性樹脂前駆体の硬化物(重合物、架橋物)を含むものである。本明細書における「硬化性樹脂前駆体」とは、樹脂前駆体が光硬化性や熱硬化性を有し、光硬化または熱硬化によって樹脂となる樹脂前駆体を意味する。樹脂は、硬化性樹脂前駆体の硬化物の他、溶剤乾燥型樹脂を含んでいてもよい。光硬化性を有する光硬化性樹脂前駆体は、光重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における、「光重合性官能基」とは、光照射により重合反応し得る官能基である。光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合が挙げられる。なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、光硬化性樹脂前駆体を硬化させる際に照射される光としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線のような電離放射線が挙げられる。熱硬化性を有する熱硬化性樹脂前駆体は、熱硬化性官能基を少なくとも1つ有するものである。
光硬化性樹脂前駆体としては、光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、または光重合性ポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。光硬化性樹脂前駆体としては、光重合性モノマーと、光重合性オリゴマーまたは光重合性ポリマーとの組み合わせが好ましい。
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーは、重量平均分子量が1000未満のものである。光重合性モノマーとしては、光重合性官能基を2つ(すなわち、2官能)以上有する多官能モノマーが好ましい。
2官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも硬度が高いハードコート層を得る観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が好ましい。
(光重合性オリゴマー)
光重合性オリゴマーは、重量平均分子量が1000以上10000未満のものである。光重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましい。多官能オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、 ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(光重合性ポリマー)
光重合性ポリマーは、重量平均分子量が10000以上のものであり、重量平均分子量としては10000以上80000以下が好ましく、10000以上40000以下がより好ましい。重量平均分子量が80000を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光学積層体の外観が悪化するおそれがある。上記多官能ポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
熱硬化性樹脂前駆体としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等のそれぞれの前駆体を挙げることができる。
溶剤乾燥型樹脂は、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂である。溶剤乾燥型樹脂を添加した場合、ハードコート層14を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
〈微粒子〉
微粒子は、無機微粒子、有機微粒子、またはこれらの混合物であってもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ(SiO)微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化スズ微粒子、アンチモンドープ酸化スズ(略称;ATO)微粒子、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物微粒子が挙げられる。
有機微粒子としては、例えば、プラスチック微粒子を挙げることができる。プラスチック微粒子としては、具体例としては、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子、アクリル微粒子、アクリル−スチレン共重合体微粒子、シリコーン微粒子、ベンゾグアナミン微粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合微粒子、ポリカーボネート微粒子、ポリエチレン微粒子等が挙げられる。
ハードコート層12を形成するためには、まず、透明基材11の表面に、少なくとも硬化性樹脂前駆体を含むハードコート層用組成物を塗布する。次いで、塗膜状のハードコート層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法でハードコート層用組成物を乾燥させ溶剤を蒸発させる。その後、塗膜状のハードコート層用組成物に紫外線等の光を照射しおよび/または熱を加えて、硬化性樹脂前駆体を硬化(重合、架橋)させることによりハードコート層用組成物を硬化させて、ハードコート層12を形成する。
ハードコート層用組成物を塗布する方法としては、スピンコート、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
ハードコート層用組成物を硬化させる際の光として、紫外線を用いる場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる紫外線等が利用できる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
ハードコート層用組成物には、必要に応じて、上記微粒子、上記熱可塑性樹脂、溶剤、重合開始剤を添加してもよい。さらに、ハードコート層用組成物には、ハードコート層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
〈溶剤〉
溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘプタノン、ジエチルケトン等)、エーテル類(1,4−ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテルジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
〈レベリング剤〉
レベリング剤としては、特に限定されないが、後述するように防汚性を高める観点から光重合性官能基を有さない非重合性フッ素含有化合物が好ましい。非重合性フッ素含有化合物の中でも、重量平均分子量が30,000〜40,000の化合物が好ましい。このような非重合性フッ素含有化合物の市販品としては、例えば、DIC社製のF568やF477が挙げられる。
ハードコート層用組成物におけるレベリング剤の含有量は、硬化性樹脂前駆体100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましい。レベリング剤の含有量をこの範囲内にすることにより、ハードコート層の表面の平坦性を充分に確保することができる。
〈重合開始剤〉
重合開始剤は、光照射により分解されて、ラジカルを発生して光硬化性樹脂前駆体の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。
重合開始剤は、光照射によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば特に限定されない。重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、上記バインダ樹脂がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。
ハードコート層用組成物における重合開始剤の含有量は、光硬化性樹脂前駆体100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の含有量をこの範囲内にすることにより、ハードコート性能が充分に保つことができ、かつ硬化阻害を抑制できる。
ハードコート層用組成物中における原料の含有割合(固形分)としては特に限定されないが、通常は5質量%以上70質量%以下が好ましく、25質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。
<高屈折率層>
高屈折率層13は、ハードコート層12の屈折率よりも高い屈折率を有する層である。具体的には、高屈折率層13の屈折率は、1.50以上2.00以下であってもよい。高屈折率層13の屈折率の下限は、1.60以上であってもよく、高屈折率層13の屈折率の上限は、1.75以下であってもよい。高屈折率層13の屈折率は、上記ハードコート層12の屈折率と同様の方法によって測定することができる。ハードコート層12と高屈折率層13との屈折率差は、0.05以上0.25以下であってもよい。
高屈折率層13の膜厚は、200nm以下となっていることが好ましい。高屈折率層13の膜厚の下限は、40nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。高屈折率層13の膜厚の上限は、170nm以下であることが好ましく、160nm以下であることがより好ましい。高屈折率層の膜厚は、高屈折率層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM、STEM)で観察(倍率は1万倍以上であることが好ましい)することにより求めることができる。具体的には、透過型電子顕微鏡の画像を用い、1画像の中で3箇所高屈折率層の膜厚を計測し、これを5画像分行い、計測された膜厚の平均値を算出する。
高屈折率層13としては、ハードコート層12の屈折率より大きい屈折率を有する層であれば、特に限定されないが、高屈折率層13は、例えば、高屈折率微粒子と、バインダ樹脂とから構成することができる。
〈高屈折率微粒子〉
高屈折率層13を構成する高屈折率微粒子としては、金属酸化物微粒子が挙げられる。金属酸化物微粒子としては、具体的には、例えば、酸化チタン(TiO、屈折率:2.3〜2.7)、酸化ニオブ(Nb、屈折率:2.33)、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率:2.10)、酸化アンチモン(Sb、屈折率:2.04)、酸化スズ(SnO、屈折率:2.00)、スズドープ酸化インジウム(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、酸化セリウム(CeO、屈折率:1.95)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO、屈折率:1.90〜2.00)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb、屈折率:1.90〜2.00)、酸化亜鉛(ZnO、屈折率:1.90)、酸化イットリウム(Y、屈折率:1.87)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO、屈折率:1.75〜1.85)、リンドープ酸化スズ(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、等が挙げられる。これらの中でも、屈折率の観点から、酸化ジルコニウムが好ましい。
〈バインダ樹脂〉
高屈折率層13を構成するバインダ樹脂は特に制限されることがなく、熱可塑性樹脂を用いることもできるが、表面硬度を高くする観点から、熱硬化性樹脂前駆体及び/又は光硬化性樹脂前駆体等の硬化物(重合物、架橋物)であるものが好ましく、中でも光硬化性樹脂前駆体の硬化物であるものがより好ましい。
熱硬化性樹脂前駆体としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等のそれぞれの前駆体が挙げられる。熱硬化性樹脂前駆体を硬化させる際には、硬化剤を用いてもよい。
光硬化性樹脂前駆体としては、特に限定されないが、光重合性モノマー、オリゴマー、ポリマーを用いることができる。1官能の光重合性モノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。また、2官能以上の光重合性モノマーとしては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、これらの化合物をエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド等で変性した化合物等が挙げられる。
また、これらの化合物は、芳香族環、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄、窒素、リン原子等を導入して、屈折率を高く調整したものであってもよい。さらに、上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も使用することができる。光硬化性樹脂前駆体を重合(架橋)させる際には、ハードコート層の欄で説明した重合開始剤を用いてもよい。
高屈折率層13は、例えば、ハードコート層12の形成方法と同様の方法によって形成することが可能である。具体的には、まず、ハードコート層12の表面に、少なくとも高屈折率微粒子と硬化性樹脂前駆体と溶剤を含む高屈折率層用組成物を塗布する。高屈折率層用組成物には、レベリング剤が含まれていることが好ましい。
〈溶剤〉
高屈折率層用組成物に用いる溶剤としては、ハードコート層で述べた溶剤と同様のものを用いることができる。
〈レベリング剤〉
レベリング剤としては、ハードコート層で述べたレベリング剤と同様のものを用いることができる。
次いで、塗膜状の高屈折率層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法で高屈折率層用組成物を乾燥させて、溶剤を蒸発させる。その後、塗膜状の高屈折率層用組成物に紫外線等の光を照射しおよび/または熱を加えて、硬化性樹脂前駆体を重合(架橋)させることにより高屈折層用組成物を硬化させて、高屈折率層13を形成することができる。
<低屈折率層>
低屈折率層13は、ハードコート層12の屈折率よりも低い屈折率を有する層である。具体的には、低屈折率層14の屈折率は、1.20以上1.50以下であってもよい。低屈折率層14の屈折率の上限は、1.49以下であってもよく、1.32以下であってもよい。低屈折率層14の屈折率は、上記ハードコート層12の屈折率と同様の方法によって測定することができる。高屈折率層13と低屈折率層14との屈折率差は、0.10以上0.35以下であってもよい。
低屈折率層14の表面14Aは、反射防止フィルム10の表面10Aをなしている。また、低屈折率層14の表面14Aは、微細な凹凸形状を有していることが好ましい。「反射防止フィルムの表面」とは、反射防止フィルムの透明基材側の面とは反対側の面を意味し、「低屈折率層の表面」とは、低屈折率層のハードコート層側の面とは反対側の面を意味する。
低屈折率層14の膜厚は、120nm以下となっていることが好ましい。低屈折率層14の膜厚の下限は、70nm以上であることが好ましく、75nm以上であることがより好ましい。低屈折率層14の膜厚の上限は、110nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。低屈折率層の膜厚は、低屈折率層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM、STEM)で観察(倍率は1万倍以上であることが好ましい)することにより求めることができる。具体的には、透過型電子顕微鏡の画像を用い、1画像の中で3箇所低屈折率層の膜厚を計測し、これを5画像分行い、計測された膜厚の平均値を算出する。
低屈折率層14は、中空シリカ微粒子と、バインダ樹脂と、低屈折率層14の表面14Aの性質を改質するための表面改質剤とを含んでいる。中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
〈中空シリカ微粒子〉
低屈折率層14を構成する中空シリカ微粒子は、65nm以上85nm以下の平均一次粒径を有する。中空シリカ微粒子の平均一次粒径は、例えば、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型電子顕微鏡で倍率が5万倍以上のものが好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアを用いて求めることができる。また、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型電子顕微鏡で倍率が5万倍以上のものが好ましい)の画像を用い、縮尺を考慮し、手動にて平均値を算出することによって中空シリカ微粒子の平均一次粒径を求めてもよい。この場合、1画像の中で中空シリカ微粒子のうち大きさが大きい方から10個の中空シリカ微粒子を選び、これを5画像分行い、合計50個の中空シリカ微粒子から平均値を算出する。また、中空シリカ微粒子が単体で存在する場合、すなわち中空シリカ微粒子が低屈折率層や低屈折率層用組成物に組み込まれる前の段階であれば、中空シリカ微粒子の平均一次粒径はレーザー散乱法によって測定することができる。レーザー散乱法による測定結果と断面電子顕微鏡の画像からの算出結果はほぼ等しくなる。中空シリカ微粒子の平均一次粒径の下限は68nm以上であってもよく、また70nm以上であってもよい。中空シリカ微粒子の平均一次粒径の上限は82nm以下であってもよく、80nm以下であってもよい。中空シリカ微粒子の平均一次粒径を65nm以上85nm以下としたのは、中空シリカ微粒子の平均一次粒径が65nm未満であると、低反射率化を実現した場合に、良好な耐スチールウール性および防汚性が得られないからであり、また中空シリカ微粒子の平均一次粒径が85nmを超えると、中空シリカ微粒子の空隙比率が大きくなるので、所望の硬度が得られないおそれがあり、また低屈折率層の膜厚が100nm程度の場合には、中空シリカ微粒子の一部が低屈折率層から突き出てしまい、低屈折率層が白濁するおそれがあり、また耐スチールウール試験時に、スチールウールが低屈折率層から突き出た中空シリカ微粒子に引っ掛かり、傷が生じてしまうおそれがあるからである。
中空シリカ微粒子としては、表面に光重合性官能基を有していることが好ましい。このような表面に光重合性官能基を有するシリカ微粒子は、シランカップリング剤等によってシリカ微粒子を表面処理することによって作成することができる。シリカ微粒子の表面をシランカップリング剤で処理する方法としては、シリカ微粒子にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、シリカ微粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
〈バインダ樹脂〉
低屈折率層14を構成するバインダ樹脂としては、高屈折率層13を構成するバインダ樹脂と同様のものが挙げられる。ただし、バインダ樹脂は、フッ素樹脂やオルガノポリシロキサン等の屈折率の低い樹脂であってもよい。
フッ素樹脂は、硬化性フッ素樹脂前駆体を重合することによって得ることが可能である。本明細書における「硬化性フッ素樹脂前駆体」とは、フッ素樹脂前駆体が硬化性を有し、硬化によってフッ素樹脂となるフッ素樹脂前駆体を意味する。硬化性フッ素樹脂前駆体は、表面改質剤としての架橋性フッ素含有化合物よりも低い官能基当量を有することが好ましい。ここで、「官能基当量」とは、重合性官能基1個当たりの重量平均分子量を意味する。
また、硬化性フッ素樹脂前駆体においては、硬度低下を抑制する観点から、側鎖よりも主鎖にフッ素原子を多く含むことが好ましいと考えられる。一方、表面改質剤としての架橋性フッ素含有化合物においては、ブリードアウトしやすく、また防汚性を高めるために主鎖よりも側鎖にフッ素原子を多く含むことが好ましいと考えられる。
硬化性フッ素樹脂前駆体としては、例えば、下記式(1)の硬化性フッ素樹脂前駆体が挙げられる。
Figure 2015227934
式中、Rfは、少なくとも炭素原子およびフッ素原子を含み、酸素原子および/または水素原子を含んでいてもよい、鎖状または環状の(m+n)価のフッ化炭化水素基を表す。Rfは、それぞれ独立して、少なくとも炭素原子およびフッ素原子を含み、酸素原子および/または水素原子を含んでもよい、鎖状または環状の2価のフッ化炭化水素基を表す。Qは重合性基を表す。mおよびnは、それぞれ独立して、0以上の整数(ただし、m+n≧2)を表す。
Rfにおける水素原子数/フッ素原子数は1/4以下であることが好ましく、1/9以下であることがより好ましく、水素原子を実質的に含まないことが特に好ましい。Rfの具体例を下記式(2)〜(11)に示すが、Rfはこれに限定されない。
Figure 2015227934
Rfとしては、炭素数1〜12の直鎖状または分岐鎖状のパーフルオロアルキレン基が好ましい。パーフルオロアルキレン基としては、例えば、ジフルオロメチレン基(−CF−)、パーフルオロメチルメチレン基(−CF(CF)−)、パーフルオロエチルメチレン基(−CF(CFCF)−)、パーフルオロエチレン基(−CFCF−)、パーフルオロプロピレン基(−CFCFCF−)等が挙げられる。これらの中でも、パーフルオロエチレン基が好ましい。
Qとしては、ラジカル、カチオン、又は縮重合性の基であることが好ましく、−COC(R)=CH、アリル基、エポキシアルキレン基、−(CHSi(OW)、−(CHNCOまたは−(CHCNであることがより好ましい。ここで、Rは水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表し、Wはアルコキシ基または水酸基を表し、x、yおよびzはそれぞれ1以上の整数を表し、3個のWは互いに異なってもよい。Rにおけるアルキル基の置換基としてはどのような置換基でも構わないが、ハロゲン原子が好ましい。nが2以上のときは、複数のQは同一でもあってもよいが、異なっていてもよい。
上記式(1)で示される硬化性フッ素樹脂前駆体においては、フッ素含有率がこのフッ素含有化合物の分子量の35質量%以上であることが好ましく、35質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、37質量%以上60質量%以下であることが最も好ましい。
上記式(1)で表される硬化性フッ素樹脂前駆体は、下記式(1A)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2015227934
式中、Rf、Rf、mおよびnはそれぞれ上記式(1)と同じ意味であり、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表し、これらの中でもRは水素原子であることが好ましい。
上記式(1)で示される硬化性フッ素樹脂前駆体の具体例を以下に示すが、これに限定されない。
Figure 2015227934
Figure 2015227934
Figure 2015227934
Figure 2015227934
Figure 2015227934
Figure 2015227934
これらの中でも、低屈折率および良好な耐スチールウール性を得る観点から、上記式(25)で示される化合物が好ましい。
また、硬化性フッ素樹脂前駆体としては、上記式(1)の他に、下記式(33)〜(36)で表される硬化性フッ素樹脂前駆体または下記式(37)で表される群より選択される少なくとも1種のセグメントを有する硬化性フッ素樹脂前駆体が挙げられる。
Figure 2015227934
Figure 2015227934
式(37)中、x、yはFまたは(CF0〜10CFを表す。
〈表面改質剤〉
低屈折率層14を構成する表面改質剤は、少なくとも低屈折率層14の表面14Aに存在している。表面改質剤が低屈折率層の表面に存在しているか否かは、X線光電子分光分析装置(XPS)によって確認できる。表面改質剤は、低屈折率層の表面の他、低屈折率層の内部に存在していてもよい。表面改質剤は、低屈折率層の表面の耐スチールウール性を向上させるためのケイ素含有化合物と、低屈折率層の表面の防汚性を向上させるためのフッ素含有化合物とを含んでいる。
(ケイ素含有化合物)
低屈折率層の表面からのケイ素含有化合物の脱離を抑制する観点から、ケイ素含有化合物は、低屈折率層の状態においては、バインダ樹脂と架橋していることが好ましい。ケイ素含有化合物をバインダ樹脂と架橋させるためには、ケイ素含有化合物として、光重合性官能基を有する架橋性ケイ素含有化合物を用いる。このような架橋性ケイ素含有化合物を用いることにより、低屈折率層用組成物の硬化時に架橋性ケイ素含有化合物とバインダ樹脂を構成する硬化性樹脂前駆体とが架橋して、バインダ樹脂と架橋したケイ素含有化合物が得られる。
ケイ素含有化合物は、フッ素を含んでいてもよい。ケイ素含有化合物(架橋性ケイ素含有化合物)の市販品としては、例えば、信越化学株式会社製のX22-164EやDIC社製のRS-55等が挙げられる。なお、X22-164Eはフッ素を含まない架橋性ケイ素含有化合物であり、RS-55はフッ素を含む架橋性ケイ素含有化合物である。
ケイ素含有化合物の中でも、重量平均分子量が2,000〜20,000のケイ素含有化合物が好ましい。重量平均分子量が2,000〜20,000のケイ素含有化合物を用いることにより、後述するリフトアップ効果を確実に得ることができる。
中空シリカ微粒子とバインダ樹脂を構成する硬化性樹脂前駆体との合計量と、ケイ素含有化合物との配合割合(重量基準)は、95:5〜85:15であることが好ましい。この範囲が好ましいとしたのは、ケイ素含有化合物の割合が上記範囲の割合よりも少ないと、充分な滑り性が得られず、耐スチールウール性が低下するおそれがあり、またケイ素含有化合物の割合が上記範囲の割合よりも多いと、塗工ムラを引き起こすおそれがあるからである。
(フッ素含有化合物)
低屈折率層の表面からのフッ素含有化合物の脱離を抑制する観点から、フッ素含有化合物は、低屈折率層の状態においては、バインダ樹脂と架橋していることが好ましい。フッ素含有化合物をバインダ樹脂と架橋させるためには、フッ素含有化合物として、光重合性官能基を有する架橋性フッ素含有化合物を用いる。このような架橋性フッ素含有化合物を用いることにより、低屈折率層用組成物の硬化時に架橋性フッ素含有化合物とバインダ樹脂を構成する硬化性樹脂前駆体とが架橋して、バインダ樹脂と架橋したフッ素含有化合物が得られる。
フッ素含有化合物は、ケイ素を含んでいてもよい。ただし、上記ケイ素含有化合物がフッ素を含み、かつフッ素含有化合物がケイ素を含む場合、フッ素含有化合物は、ケイ素含有化合物よりもケイ素原子に対するフッ素原子の割合(F/Si)が高い傾向がある。
フッ素含有化合物の中でも、重量平均分子量が2,000〜10,000のフッ素含有化合物が好ましい。重量平均分子量が2,000〜10,000のフッ素含有化合物を用いることにより、後述するリフトアップ効果を確実に得ることができる。
フッ素含有化合物(架橋性フッ素含有化合物)の市販品としては、例えば、ダイキン社製のオプツールDAC、共栄社化学社製のLINC-3A-MI20(トリアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトール)やLINC-102A(1,2−ジアクリロキシメチルパーフルオロシクロヘキサン)等のLINCシリーズや、ソルベイソレクシス社製のFluorolink
シリーズ、DIC社製のRS-71等が挙げられる。
中空シリカ微粒子とバインダ樹脂を構成する硬化性樹脂前駆体との合計量と、フッ素含有化合物との配合割合(重量基準)は、95:5〜85:15であることが好ましい。この範囲が好ましいとしたのは、フッ素含有化合物の割合が上記範囲の割合よりも少ないと、充分な防汚性が得られないおそれがあり、またフッ素含有化合物の割合が上記範囲の割合よりも多いと、耐擦傷性の低下や塗工ムラを引き起こすおそれがあるからである。
低屈折率層14は、例えば、ハードコート層12の形成方法と同様の方法によって形成することが可能である。具体的には、まず、高屈折率層13の表面に、少なくとも低屈折率微粒子と硬化性樹脂前駆体と表面改質剤と溶剤を含む低屈折率層用組成物を塗布する。
次いで、塗膜状の低屈折率層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法で低屈折率層用組成物を乾燥させ溶剤を蒸発させる。その後、塗膜状の高屈折率層用組成物に紫外線等の光を照射しおよび/または熱を加えて、硬化性樹脂前駆体を重合(架橋)させることにより低屈折層用組成物を硬化させて、低屈折率層14を形成することができる。
〈溶剤〉
低屈折率層用組成物に用いる溶剤としては、ハードコート層で述べた溶剤と同様のものを用いることができる。
本実施形態によれば、低屈折率層14の中空シリカ微粒子として、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子を用いているので、反射防止フィルム10の低反射率化を実現することができるとともに良好な耐スチールウール性および防汚性を得ることができる。すなわち、低屈折率層の中空シリカ微粒子として、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子を用いた場合、平均一次粒径が60nm以下の中空シリカ微粒子を用いた場合に比べて、少ない量で反射Y値が0.3%未満の反射防止フィルムを得ることができる。また、ケイ素を含む化合物は滑り性を向上させる性質を有する。一方で、低屈折率層中の平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子が、平均一次粒径が60nm以下の中空シリカ微粒子を用いる場合に比べて、少ない量で済むので、低屈折率層の形成時にケイ素含有化合物が低屈折率層の表面に析出(ブリードアウト)しやすい。このため、低屈折率層の表面にケイ素含有化合物を多く存在させることができる。また、中空シリカ微粒子は空隙を有しているので、中空シリカ微粒子の強度はさほど高くない。また、低屈折率層中に中空シリカ微粒子が多量に存在すると、低屈折率層中のバインダ樹脂の量が減ってしまう。したがって、低屈折率層中に中空シリカ微粒子が多量に存在すると、低屈折率層の硬度が低下してしまう。これに対し、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子を用いた場合、平均一次粒径が60nm以下の中空シリカ微粒子を用いた場合に比べて、低屈折率層中の中空シリカ微粒子の量を低減でき、また低屈折率層中のバインダ樹脂の量を増やすことができる。このため、低屈折率層の硬度を高めることができる。これにより、低屈折率層の表面に対し、♯0000番のスチールウールを用いて荷重を加えながら10往復擦る耐スチールウール試験を行った場合に、低屈折率層の表面に傷が確認されない最大荷重を200g/cm以上とすることができる。また、フッ素を含む化合物は防汚性を向上させる性質を有する。一方で、低屈折率層中の平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子が、平均一次粒径が60nm以下の中空シリカ微粒子を用いる場合に比べて、少ない量で済むので、低屈折率層の形成時にフッ素含有化合物が低屈折率層の表面に析出しやすい。このため、低屈折率層の表面にフッ素含有化合物を多く存在させることができるので、防汚性を向上させることができる。これにより、低反射率化を実現でき、かつ良好な耐スチールウール性および防汚性を得ることができる。
本実施形態によれば、低屈折率層14が、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子を含むので、低屈折率層の表面に可視光の波長よりも十分に小さい凹凸を形成することができる。これにより、モスアイ(蛾の目)構造の反射防止フィルムと同様の反射防止効果も期待できる。
ハードコート層12および/または高屈折率層13が非架橋性フッ素含有化合物を含み、かつ低屈折率層用組成物が架橋性ケイ素含有化合物を含む場合には、滑り性を顕著に向上させることができる。この理由は定かではないが、以下のように推測される。非架橋性フッ素含有化合物がハードコート層12および/または高屈折率層13中に存在した状態で、低屈折率層用組成物の塗膜を高屈折率層13上に形成すると、低屈折率層用組成物の溶剤によって、ハードコート層12および/または高屈折率層13中の非架橋性フッ素含有化合物が溶出し、低屈折率層用組成物の塗膜に入り込む。そして、低屈折率層用組成物の塗膜中の非架橋性フッ素含有化合物によって、この塗膜中の架橋性ケイ素含有化合物が低屈折率層用組成物の塗膜の表面付近まで押し上げられる(リフトアップ効果)。これにより、架橋性ケイ素含有化合物がこの塗膜の表面により析出するようになるので、滑り性を顕著に向上させることができる。なお、低屈折率層用組成物に多量の架橋性ケイ素含有化合物を加えることも考えられるが、低屈折率層用組成物に多量の架橋性ケイ素含有化合物を加えると、低屈折率層に白濁感が生じてしまうおそれがあるので、このような手法を採ることはできない。また、低屈折率層用組成物に架橋性ケイ素含有化合物の他に、非架橋性フッ素含有化合物を加えると、非架橋性フッ素含有化合物が低屈折率層の表面に析出してしまい、滑り性が低下してしまうので、このような手法を採ることもできない。
また、同様に、ハードコート層12および/または高屈折率層13が非架橋性フッ素含有化合物を含み、かつ低屈折率層用組成物が架橋性フッ素含有化合物を含む場合には、防汚性を顕著に向上させることができる。この理由は定かではないが、以下のように推測される。非架橋性フッ素含有化合物がハードコート層12および/または高屈折率層13中に存在した状態で、低屈折率層用組成物の塗膜を高屈折率層13上に形成すると、低屈折率層用組成物の溶剤によって、ハードコート層12および/または高屈折率層13中の非架橋性フッ素含有化合物が溶出し、低屈折率層用組成物の塗膜に入り込む。そして、低屈折率層用組成物の塗膜中の非架橋性フッ素含有化合物によって、この塗膜中の架橋性フッ素含有化合物が低屈折率層用組成物の塗膜の表面付近まで押し上げられる(リフトアップ効果)。これにより、架橋性フッ素含有化合物がこの塗膜の表面付近により存在するようになるので、防汚性を顕著に向上させることができる。なお、低屈折率層用組成物に多量の架橋性フッ素含有化合物を加えることも考えられるが、低屈折率層用組成物に多量の架橋性フッ素含有化合物を加えると、低屈折率層に白濁感が生じてしまうおそれがあるので、このような手法を採ることはできない。また、低屈折率層用組成物に架橋性フッ素含有化合物の他に、非架橋性フッ素含有化合物を加えると、非架橋性フッ素含有化合物が低屈折率層の表面に析出してしまい、防汚性が低下してしまうので、このような手法を採ることもできない。
≪偏光板≫
反射防止フィルム10は、例えば、偏光板に組み込んで使用することができる。図2は本実施形態に係る反射防止フィルムを組み込んだ偏光板の概略構成図である。図2に示されるように偏光板20は、反射防止フィルム10と、偏光素子21と、保護フィルム22とを備えている。偏光素子21は、透明基材11におけるハードコート層12が形成されている面とは反対側の面に形成されている。保護フィルム22は、偏光素子21の反射防止フィルム10が設けられている面とは反対側の面に設けられている。保護フィルム22は位相差フィルムであってもよい。
偏光素子21としては、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等が挙げられる。反射防止フィルム10と偏光素子21とを積層する際には、予め光透過性基材11に鹸化処理を施すことが好ましい。鹸化処理を施すことによって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
≪液晶パネル≫
反射防止フィルム10や偏光板20は、表示パネルに組み込んで使用することができる。図3は本実施形態に係る反射防止フィルムを組み込んだ表示パネルの一例である液晶パネルの概略構成図である。
図3に示される液晶パネル30は、光源側(バックライトユニット側)から観察者側に向けて、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)等の保護フィルム31、偏光素子32、位相差フィルム33、透明粘着層34、表示素子35、透明粘着層36、位相差フィルム37、偏光素子21、反射防止フィルム10の順に積層された構造を有している。表示パネル20は、表示素子25と、表示素子25よりも観察者側に配置された反射防止フィルム29とを備えていればよく、保護フィルム21等は備えていなくともよい。
表示素子25は液晶表示素子である。ただし、表示パネルが液晶パネルでない場合、例えば、表示パネルが有機ELパネルの場合には、表示素子は有機EL表示素子となる。液晶表示素子は、2枚のガラス基材間に、液晶層、配向膜、電極層、カラーフィルタ等を配置したものである。
≪画像表示装置≫
反射防止フィルム10、偏光板20、液晶パネル30は、画像表示装置に組み込んで使用することができる。画像表示装置としては、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、タブレットPC、電子ペーパー等が挙げられる。図4は本実施形態に係る反射防止フィルムを組み込んだ画像表示装置の一例である液晶ディスプレイの概略構成図である。
図4に示される画像表示装置40は、バックライトユニット41と、バックライトユニット41よりも観察者側に配置された、反射防止フィルム10を備える液晶パネル30とから構成されている。バックライトユニット41としては、公知のバックライトユニットが使用できる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。なお、下記の「固形分100%換算値」とは、溶剤希釈品中の固形分を100%としたときの値である。また、下記の「平均一次粒径」は、微粒子自体をレーザー散乱法によって測定したときの値である。
<ハードコート層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用組成物を得た。
(ハードコート層用組成物)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬社製):100質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):4質量部
・レベリング剤(製品名「F568」、DIC社製):0.1質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):120質量部
<高屈折率層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、高屈折率層用組成物を得た。
(高屈折率層用組成物1)
・五酸化アンチモン微粒子(平均一次粒径20nm):400質量部(固形分100%換算値)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬社製):100質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):4質量部
・レベリング剤(製品名「F568」、DIC社製):15質量部(固形分100%換算)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):16000質量部
(高屈折率層用組成物2)
・五酸化アンチモン微粒子(平均一次粒径20nm):400質量部(固形分100%換算値)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬社製):100質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):4質量部
・レベリング剤(製品名「F568」、DIC社製):7.5質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):16000質量部
<低屈折率層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、低屈折率層用組成物を得た。
(低屈折率層用組成物1)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径75nm):100質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「X22−164E」、信越化学社製):12質量部
・架橋性フッ素含有化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):20質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物2)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径75nm):125質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「X22−164E」、信越化学社製):13.5質量部
・架橋性フッ素含有化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):22.5質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物3)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径75nm):150質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「X22−164E」、信越化学社製):15質量部
・架橋性フッ素含有化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):25質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物4)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径65nm):150質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「X22−164E」、信越化学社製):15質量部
・架橋性フッ素含有化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):25質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物5)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径85nm):120質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「X22−164E」、信越化学社製):13.2質量部
・架橋性フッ素含有化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):22質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物6)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径85nm):80質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「X22−164E」、信越化学社製):10.8質量部
・架橋性フッ素含有化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):18質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物7)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径75nm):100質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「RS−55」、DIC社製):12質量部
・架橋性フッ素含有化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):20質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物8)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径60nm):170質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「X22−164E」、信越化学社製):16.2質量部
・架橋性フッ素含有化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):27質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物9)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径60nm):210質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「X22−164E」、信越化学社製):18.6質量部
・架橋性ケイ素化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):31質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物10)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径50nm):250質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「X22−164E」、信越化学社製):21質量部
・架橋性フッ素含有化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):35質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物11)
・中空シリカ微粒子(平均一次粒径90nm):110質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・架橋性ケイ素含有化合物(製品名「X22−164E」、信越化学社製):12.6質量部
・架橋性フッ素含有化合物(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):21質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
<実施例1>
透明基材としての厚さ40μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「KC4UAW」、コニカミノルタ社製)を準備し、トリアセチルセルロース基材の片面に、上記ハードコート用組成物を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、屈折率が1.52および膜厚が8μmのハードコート層を形成した。次いで、ハードコート層上に、上記高屈折率層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、形成した塗膜を、40℃で1分間乾燥させた後、窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて、積算光量100mJ/cmで紫外線照射を行って硬化させて、屈折率が1.63および膜厚が150nmの高屈折率層を形成した。次いで、高屈折率層上に、低屈折率層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、形成した塗膜を、40℃で1分間乾燥させた後、窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて、積算光量100mJ/cmで紫外線照射を行って硬化させて、屈折率が1.32および膜厚が100nmの低屈折率層を形成した。これにより、実施例1に係る反射防止フィルムを作製した。なお、各層の屈折率は、380nm〜780nmの波長領域における屈折率は一定とし、分光光度計により測定した反射スペクトルと、フレネルの式を用いた薄膜の光学モデルから算出したスペクトルとをフィッティングさせることにより求めた。実施例2〜8および比較例1〜4に係る反射防止フィルムにおける低屈折率層等の屈折率も実施例1と同様の方法によって求めた。
<実施例2>
実施例2においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物2を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。実施例2に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.31であった。
<実施例3>
実施例3においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物3を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。実施例3に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.29であった。
<実施例4>
実施例4においては、高屈折率層用組成物1に代えて高屈折率層用組成物2を用いて高屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
<実施例5>
実施例5においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物4を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。実施例5に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.32であった。
<実施例6>
実施例6においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物5を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。実施例6に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.29であった。
<実施例7>
実施例7においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物6を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。実施例7に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.32であった。
<実施例8>
実施例8においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物7を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。実施例8に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.32であった。
<比較例1>
比較例1においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物8を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。比較例1に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.32であった。
<比較例2>
比較例2においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物9を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。比較例2に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.29であった。
<比較例3>
比較例3においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物10を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。比較例3に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.32であった。
<比較例4>
比較例4においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物11を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。比較例4に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.29であった。
<反射Y値測定>
実施例および比較例に係る反射防止フィルムについて、分光光度計(MPC3100、島津製作所株式会社製)を用いて、反射Y値を測定した。具体的には、それぞれのフィルムにおける低屈折率層の表面側から入射角度5度の光を照射し、それぞれのフィルムで反射された正反射方向の反射光を受光して、380nm〜780nmの波長範囲の反射率を測定し、その後、人間が目で感じる明度として換算するソフトウェア(例えば、MPC3100に内蔵されたソフトウェア)によって反射Y値を算出した。なお、反射Y値の測定は、トリアセチルセルロース基材におけるハードコート層が形成されている面とは反対側の面(裏面)に黒テープ(寺岡製作所製)を貼り付けた状態で行った。
<耐スチールウール試験>
実施例および比較例に係る反射防止フィルムの低屈折率層の表面を、スチールウール♯0000番(製品名「ボンスター」、日本スチールウール株式会社製)を用い、荷重を加えながら、速度100mm/秒で10往復擦った。そして、それぞれのトリアセチルセルロース基材におけるハードコート層が形成されている面とは反対側の面に黒いテープを貼り、傷の有無を3波長蛍光ランプ下での目視により確認し、傷が確認されなかった反射防止フィルムにおける耐スチールウール試験時の最大荷重を調べた。
<防汚性評価>
指紋に対する防汚性評価
実施例および比較例に係る低屈折率層の表面(反射防止フィルムの表面)に、それぞれ、指紋を付着させた後、旭化成株式会社製のベンコットM−3で拭取り、拭取りやすさを目視にて確認した。評価基準は以下の通りとした。
◎:指紋が容易または比較的容易に拭取れた。
○:指紋を拭き取ることはできたが、容易ではなかった。
×:指紋を拭取ることができなかった。
以下、結果を表1に示す。
Figure 2015227934
表1に示されるように、比較例1〜4においては、低屈折率層が、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子を含んでいないので、反射防止フィルムの反射Y値が0.3%未満となっていたとしても、耐スチールウール試験時の低屈折率層の表面に傷が確認されない最大荷重が200g/cm以上とはなっておらず、または防汚性に劣っていた。これに対し、実施例1〜8においては、低屈折率層が、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子を含んでいたので、反射防止フィルムの反射Y値が0.3%未満となっており、かつ耐スチールウール試験時の低屈折率層の表面に傷が確認されない最大荷重が200g/cm以上となっており、また防汚性も良好であった。
10…反射防止フィルム
10A…表面
11…透明基材
12…ハードコート層
13…高屈折率層
14…低屈折率層
14A…表面
20…偏光板
21…偏光素子
30…液晶表示パネル
40…画像表示装置

Claims (7)

  1. 透明基材と、前記透明基材上に設けられたハードコート層と、前記ハードコート層上に設けられ、かつ前記ハードコート層よりも屈折率が低い低屈折率層とを備える反射防止フィルムであって、
    前記低屈折率層が、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子と、バインダ樹脂と、少なくとも前記低屈折率層の表面に存在する表面改質剤とを含み、
    前記表面改質剤が、ケイ素含有化合物とフッ素含有化合物とを含み、
    前記低屈折率層側から測定した前記反射防止フィルムの反射Y値が0.3%未満であり、
    前記低屈折率層の表面に対し、スチールウールを用いて荷重を加えながら10往復擦る耐スチールウール試験を行った場合、前記低屈折率層の前記表面に傷が確認されない最大荷重が200g/cm以上である、反射防止フィルム。
  2. 前記低屈折率層の屈折率が1.20以上1.32以下である、請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記ケイ素含有化合物および/または前記フッ素含有化合物が前記バインダ樹脂と架橋している、請求項1に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記ハードコート層と前記低屈折率層との間に、前記ハードコート層よりも屈折率が高い高屈折率層をさらに設ける、請求項1に記載の反射防止フィルム。
  5. 請求項1に記載の反射防止フィルムと、
    前記反射防止フィルムの前記透明基材における前記ハードコート層が形成されている面とは反対側の面に形成された偏光素子とを備えることを特徴とする、偏光板。
  6. 画像表示装置であって、
    表示素子と、
    前記表示素子よりも観察者側に位置する請求項1に記載の反射防止フィルムと
    を備え、
    前記反射防止フィルムは、前記低屈折率層の前記表面が前記画像表示装置の観察者側の表面となるように配置される、画像表示装置。
  7. 画像表示装置であって、
    表示素子と、
    前記表示素子よりも観察者側に位置する請求項5に記載の偏光板と
    を備え、
    前記偏光板は、前記低屈折率層の前記表面が前記画像表示装置の観察者側の表面となるように配置される、画像表示装置。
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