JP6526380B2 - タッチパネル付き表示装置 - Google Patents

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本発明は、タッチパネル付き表示装置に関する。
従来から、液晶ディスプレイ等の表示パネル上にタッチパネルを配置したタッチパネル付き表示装置が知られている。このようなタッチパネル付き表示装置においては、画像表示面を指などで触れることにより情報を直接入力することができる。
タッチパネルを表示パネル上に固定する際、表示パネルとタッチパネルは離間して配置されることが多い、すなわち、表示パネルとタッチパネルは、空気層(エアギャップ)を介して配置されることが多い(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−15412号公報
タッチパネル付き表示装置の画像表示面は、その性質上、指などで触れる程度のみならず、指などで強く押されることがある。画像表示面が強く押された場合、タッチパネルが歪むので、タッチパネルと表示パネルの間の距離が狭くなる(空気層の厚みが薄くなる)。
近年、タッチパネル付き表示装置の薄型化および大面積化が進んでいる。タッチパネル付き表示装置の薄型化が進むにつれて、タッチパネルと表示パネルとの間の距離がより狭くなる傾向にある。またタッチパネル付き表示装置の大面積化が進むにつれて、タッチパネルが歪みやすくなっている。このため、画像表示面が強く押された場合、タッチパネルの表示パネル側の表面と表示パネルの観察者側の表面とが接触するおそれがある。
一方で、タッチパネルの表示パネル側の表面で反射される光と、表示パネルのタッチパネル側の表面で反射される光とが干渉することによって、干渉縞(ニュートンリング)が生じることがある。この干渉縞は、タッチパネルの表示パネル側の表面と表示パネルの観察者側の表面とが接触した場合に、特に発生しやすい。
本発明者は、干渉縞を軽減するために、タッチパネルの表示パネル側の表面および表示パネルのタッチパネル側の表面に反射防止フィルムを設けることを検討した。しかしながら、これらの表面のそれぞれに従来の反射防止フィルムを設けると、干渉縞を軽減できるものの、画像表示面が強く押されて、反射防止フィルムが接触した場合に、反射防止フィルム同士が貼り付いてしまうことがあり、その結果、干渉縞が発生してしまうとともに、指などの荷重を画像表示面から取り除いた場合であっても、反射防止フィルム同士が離れるのに時間を要するため、干渉縞が長時間消失しないおそれがある。また、製品の品質上、反射防止フィルム同士が貼り付くことは避ける必要がある。
また、貼り付き防止のために、タッチパネルの表示パネル側の表面および表示パネルの観察者側の表面に従来の防眩フィルムを配置することも検討したが、この場合には、白濁感が生じてしまうおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、白濁感が生じているとは観察者が認識しにくく、また画像表示面が強く押されて、表示パネルの観察者側の表面をなす反射防止フィルムと、タッチパネルの表示パネル側の表面をなす反射防止フィルムとが接触した場合であっても、反射防止フィルム同士の貼り付きを防止できるタッチパネル付き表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、画像を表示するための表示パネルと、前記表示パネルよりも観察者側に配置されたタッチパネルとを備えるタッチパネル付き表示装置であって、前記表示パネルが、表示素子と、前記表示素子よりも観察者側に配置された第1の反射防止フィルムであって、観察者側に向けて、第1の透明基材と、第1のハードコート層と、第1の反射防止層とをこの順で積層し、かつ前記第1の反射防止フィルムの表面が前記表示パネルの観察者側の表面をなす第1の反射防止フィルムとを備え、前記タッチパネルが、センサ部と、前記センサ部よりも表示パネル側に配置され、かつ前記第1の反射防止フィルムに対して離間した前記第2の反射防止フィルムであって、表示パネル側に向けて、第2の透明基材と、第2のハードコート層と、第2の反射防止層とをこの順で積層し、かつ前記第2の反射防止フィルムの表面が前記タッチパネルの表示パネル側の表面をなす第2の反射防止フィルムとを備え、前記第1の反射防止フィルムの前記表面における十点平均粗さ(Rzjis)が10nm以上500nm以下であり、前記第2の反射防止フィルムの前記表面における前記十点平均粗さが10nm以上100nm以下であり、かつ前記第1の反射防止フィルムと前記第2の反射防止フィルムとの貼り付き防止性を下記方法によって評価したとき、前記第1の反射防止フィルムと前記第2の反射防止フィルムが貼り付かない、タッチパネル付き表示装置が提供される。
(貼り付き防止性の評価方法)
前記第1の反射防止フィルムを第1のガラス板の一方の面に貼り付けた第1のサンプルと、前記第2の反射防止フィルムを第2のガラス板の一方の面に貼り付けた第2のサンプルとを作製し、前記第1の反射防止フィルムの前記表面と前記第2の反射防止フィルムの前記表面が接するように前記第1のサンプル上に前記第2のサンプルを重ねた状態で、前記第2のサンプル上から2000g/cmの荷重を加え、その後、前記荷重を取り除いた状態で前記第2のサンプルを前記第1のサンプルに対しスライドさせたとき、前記第2のサンプルが前記第1のサンプルに対してスムーズに動く、または若干引っ掛かりがあるが動く場合を前記第1の反射防止フィルムと前記第2の反射防止フィルムが貼り付いていないとし、前記第2のサンプルが前記第1のサンプルに対して動かない場合を前記第1の反射防止フィルムと前記第2の反射防止フィルムが貼り付いているとする。
本発明の一の態様のタッチパネル付き表示装置によれば、第1の反射防止フィルムの表面が表示パネルの観察者側の表面をなす第1の反射防止フィルムと、第2の反射防止フィルムの表面がタッチパネルの表示パネル側の表面をなす第2の反射防止フィルムとを備え、第1の反射防止フィルムの表面における十点平均粗さ(Rzjis)が10nm以上500nm以下であり、第2の反射防止フィルムの表面における十点平均粗さ(Rzjis)が10nm以上100nm以下であるので、観察者は白濁感が生じているとは認識しにくい。また、第1の反射防止フィルムの表面における十点平均粗さ(Rzjis)が10nm以上500nm以下であり、第2の反射防止フィルムの表面における十点平均粗さ(Rzjis)が10nm以上100nm以下であり、かつ第1の反射防止フィルムと第2の反射防止フィルムとの貼り付き防止性を上記方法によって評価したとき、第1の反射防止フィルムと第2の反射防止フィルムは貼り付かないので、たとえ画像表示面が強く押され、第1の反射防止フィルムの表面と第2の反射防止フィルムの表面とが接触した場合であっても、第1の反射防止フィルムと第2の反射防止フィルムの貼り付きを防止できる。
実施形態に係るタッチパネル付き表示装置の概略構成図である。 実施形態に係る表示パネルの概略構成図である。 実施形態に係るタッチパネルの概略構成図である。 実施形態に係る第1の反射防止フィルムおよび第2の反射防止フィルム周辺を示す図である。 第1の反射防止フィルムと第2の反射防止フィルムとの貼り付き防止性を評価する際の一工程を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るタッチパネル付き表示装置について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「フィルム」には、「シート」や「板」等と呼ばれる部材も含まれる。また、本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。図1は本実施形態に係るタッチパネル付き表示装置の概略構成図であり、図2は本実施形態に係る表示パネルの概略構成図である。図3は本実施形態に係るタッチパネルの概略構成図であり、図4は本実施形態に係る第1の反射防止フィルムおよび第2の反射防止フィルム周辺を示す図である。図5は第1の反射防止フィルムと第2の反射防止フィルムとの貼り付き防止性を評価する際の一工程を示す図である。
〔タッチパネル付き表示装置〕
タッチパネル付き表示装置10は、図1に示されるように、主に、画像を表示するための表示パネル20と、表示パネル20よりも観察者側に配置されたタッチパネル40と、表示パネル20の背面側に配置されたバックライトユニット80とを備えている。本実施形態においては、表示パネル20が液晶表示パネルであるので、タッチパネル付き表示装置10がバックライトユニット80を備えているが、表示パネル(表示素子)の種類によってはバックライトユニット80を備えていなくともよい。表示パネル20とタッチパネル40は、空気層(エアギャップ)11を介して配置されている。本実施形態においては、表示パネル20とタッチパネル40は、空気層11を介して配置されているが、後述する第1の反射防止フィルム29の表面29Aと第2の反射防止フィルム60の表面60Aが離間していれば、透明粘着層によって貼り付けられていてもよい。
[表示パネル]
表示パネル20は、図2に示されるように、バックライトユニット80側から観察者側に向けて、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)等の保護フィルム21、偏光素子22、位相差フィルム23、透明粘着層24、表示素子25、透明粘着層26、位相差フィルム27、偏光素子28、第1の反射防止フィルム29の順に積層された構造を有している。表示パネル20は、表示素子25と、表示素子25よりも観察者側に配置された第1の反射防止フィルム29とを備えていればよく、保護フィルム21等は備えていなくともよい。
位相差フィルム23、27としては、トリアセチルセルロースフィルムやシクロオレフィンポリマーフィルムが挙げられる。位相差フィルム27は、保護フィルム21と同一であってもよい。透明粘着層24、26を構成する透明粘着剤としては、感圧接着剤(PSA)が挙げられる。
表示素子25は液晶表示素子である。ただし、表示素子は液晶表示素子に限られず、例えば、有機EL表示素子であってもよい。液晶表示素子は、2枚のガラス基材間に、液晶層、配向膜、電極層、カラーフィルタ等を配置したものである。
≪第1の反射防止フィルム≫
第1の反射防止フィルム29は、観察者側に向けて、第1の透明基材30と、第1のハードコート層31と、第1の反射防止層32とをこの順で積層した構造を有している。第1の反射防止フィルム29の表面29Aは、表示パネル20の観察者側の表面20Aをなしている。
第1の反射防止フィルム29と後述する第2の反射防止フィルム60は、下記方法によって貼り付き防止性を評価したとき、第1の反射防止フィルム29と第2の反射防止フィルム60が貼り付かない。
(貼り付き防止性の評価方法)
まず、図5に示されるような、第1の反射防止フィルム29を第1のガラス板101に透明粘着剤102を介して貼り付けた第1のサンプル100と、第2の反射防止フィルム60を第2のガラス板111に透明粘着剤112を介して貼り付けた第2のサンプル110とを作製する。次いで、図5に示されるように、第1の反射防止フィルム29の表面29Aと第2の反射防止フィルム60の表面60Aが接するように第1のサンプル100上に第2のサンプル110を重ね、その状態で第2のサンプル110上から2000g/cmの荷重を加える。ここで、荷重を2000g/cmとしたのは、指で画像表示面を強く押して、干渉縞が発生しやすいときの荷重がこの程度の荷重であるからである。そして、荷重を取り除き、その状態で、第2のサンプル110を第1のサンプル100に対してスライドさせたとき、第2のサンプル110が第1のサンプル100に対してスムーズに動く、または若干引っ掛かりがあるが動く場合を第1の反射防止フィルム29と第2の反射防止フィルム60が貼り付いていないとし、第2のサンプル110が第1のサンプル100に対して動かない場合を第1の反射防止フィルム29と第2の反射防止フィルム60が貼り付いているとする。第1のガラス板101および第2のガラス板111としては、それぞれ厚さ0.8mmのものを用いることが可能である。透明粘着剤102、112としては、例えば、パナック社製のPD−S1が挙げられる。
第1の反射防止フィルム29においては、表面29A側(第1の反射防止層32側)から測定した反射Y値が0.3%未満となっていることが好ましい。上記反射Y値は、干渉縞の発生をより抑制する観点から0.15%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが更に好ましい。
反射Y値は、JIS Z8722に準拠するものである。反射Y値は、例えば、島津製作所株式会社製のMPC3100等の分光光度計を用いて、第1の反射防止フィルムにおける第1の反射防止層側から入射角度5度の光を照射し、第1の反射防止フィルムで反射された正反射方向の反射光を受光して、380nm〜780nmの波長範囲の反射率を測定し、その後、人間が目で感じる明度として換算するソフトウェア(例えば、MPC3100に内蔵されたソフトウェア)によって算出することができる。本明細書において、「入射角度5度の光」とは、第1の反射防止フィルムのフィルム面の法線方向を0度としたとき、前記法線方向に対して5度傾いた光を意味する。「フィルム面」とは、対象となる第1の反射防止フィルムを全体的かつ大局的に見た場合におけるその平面方向と一致する面のことを言うものとする。なお、反射Y値を測定する場合、第1の反射防止フィルムの裏面反射を防止するため、予め第1の透明基材における第1のハードコート層が形成されている面とは反対側の面に黒テープを貼ることが好ましい。
反射Y値が0.3%未満となる第1の反射防止フィルム29は、主に、第1の低屈折率層34の屈折率や膜厚および/または第1の高屈折率層33の屈折率や膜厚を調整することによって得ることができる。
第1の反射防止フィルム29の表面29Aの十点平均粗さ(Rzjis)は10nm以上500nm以下となっている。第1の反射防止フィルムの表面の十点平均粗さが10nm以上100nm以下の範囲(例えば、40nm以上60nm以下の範囲)では、第1の反射防止フィルムの表面は白濁感を生じさせない程度の凹凸面となっており、また第1の反射防止フィルムの表面の十点平均粗さが100nmを超え500nm以下の範囲では、第1の反射防止フィルムの表面は若干白濁感を生じさせる凹凸面となっているが、後述する第2の反射防止フィルムは第1の反射防止フィルムよりも観察者側に位置しているので、第2の反射防止フィルムの表面の十点平均粗さが10nm以上100nm以下となっていれば、観察者は白濁感が生じているとは認識しにくい。なお、第1の反射防止フィルムの表面の十点平均粗さが10nm未満であると、第1の反射防止フィルムと第2の反射防止フィルムとの貼り付きが生じるおそれがあり、また第1の反射防止フィルムの表面の十点平均粗さが500nmを超えると、第2の反射防止フィルムの表面の十点平均粗さが10nm以上100nm以下であったとしても、観察者は白濁感が生じていることを認識してしまうおそれがある。Rzjisの定義は、JIS B0601−2001に従うものとする。本明細書において、「第1の反射防止フィルムの表面」とは、第1の反射防止フィルムの表示素子側の面とは反対側の面を意味する。「第2の反射防止フィルムの表面」とは、第2の反射防止フィルムの観察者側の面とは反対側の面を意味する。図2においては、第1の反射防止フィルム29の表面29Aは第1の反射防止層32の表面(第1の低屈折率層34の表面)となっており、図3においては、第2の反射防止フィルム60の表面60Aは第2の反射防止層63の表面(第2の低屈折率層65の表面)となっている。なお、図2〜図5においては、第1の反射防止フィルム29の表面29Aや第2の反射防止フィルム60の表面60Aは平坦として描かれているが、これは第1の反射防止フィルム29の表面29Aの凹凸や第2の反射防止フィルム60の表面60Aの凹凸が極めて小さいので便宜的に平坦として描いたものであり、これらの図は本明細書の記載と何ら矛盾するものではない。
<第1の透明基材>
第1の透明基材30としては、光透過性を有すれば特に限定されないが、例えば、セルロースアシレート基材、シクロオレフィンポリマー基材、ポリカーボネート基材、アクリル基材、ポリエステル基材、またはガラス基材が挙げられる。
セルロースアシレート基材としては、例えば、トリアセチルセルロース基材、ジアセチルセルロース基材が挙げられる。トリアセチルセルロース基材は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な基材である。トリアセチルセルロース基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
なお、トリアセチルセルロース基材としては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であってもよい。また、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、紫外線吸收剤、易滑剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
シクロオレフィンポリマー基材としては、例えばノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンモノマー等の重合体からなる基材が挙げられる。
ポリカーボネート基材としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート基材、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート基材等が挙げられる。
アクリル基材としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル基材、ポリ(メタ)アクリル酸エチル基材、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体基材等が挙げられる。
ポリエステル基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする基材等が挙げられる。
ガラス基材としては、例えば、ソーダライムシリカガラス、ホウ珪酸塩ガラス、無アルカリガラス等のガラス基材が挙げられる。
これらの中でも、以下の観点からアクリル基材が好ましい。第1の透明基材の表示素子側の面には偏光素子が設けられているが、この偏光素子は湿気で偏光素子中のヨウ素が溶出してしまうおそれがある。したがって、偏光素子中のヨウ素の溶出を抑制するために第1の透明基材としては、水分透過性が低い基材であるアクリル基材が好ましい。
第1の透明基材30の厚みは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下とすることが可能であり、第1の透明基材30の厚みの下限はハンドリング性等の観点から15μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。第1の透明基材30の厚みの上限は薄膜化の観点から80μm以下であることが好ましい。
<第1のハードコート層>
第1のハードコート層31は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を有する層である。鉛筆硬度を「H」以上とすることにより、第1のハードコート層31の硬さを第1の反射防止層32の表面に十分に反映させることができ、耐久性を向上させることができる。なお、第1のハードコート層31上に形成する第1の反射防止層32との密着性、靱性およびカールの防止の観点から、第1のハードコート層31の表面の鉛筆硬度の上限は4H程度程とすることが好ましい。
第1のハードコート層31の膜厚は1μm以上10μm以下であることが好ましい。第1のハードコート層31の膜厚がこの範囲であれば、所望の硬度を得ることができるとともに、第1のハードコート層の薄膜化を図ることができる。第1のハードコート層31の膜厚は、断面顕微鏡観察により測定することができる。
第1のハードコート層31の膜厚の下限は、第1のハードコート層の割れを抑制する観点から、8μm以下であることがより好ましい。また、第1のハードコート層の薄膜化を図る一方で、カールの発生を抑制する観点から、第1のハードコート層31の膜厚は0.5μm以上5.0μm以下であることがさらに好ましい。
第1のハードコート層31の屈折率は、1.50以上1.60以下であってもよい。第1のハードコート層31の屈折率の下限は、1.52以上であってもよく、第1のハードコート層31の屈折率の上限は、1.56以下であってもよい。第1の透明基材30と第1のハードコート層31との屈折率差は、干渉縞の発生をより抑制する観点から、0.10以内とすることが好ましく、0.06以内とすることがより好ましい。
第1のハードコート層31の屈折率は、単独の層を形成した後、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)やエリプソメータによって測定できる。また、第1の反射防止フィルム29となった後に屈折率を測定する方法としては、第1のハードコート層31をカッターなどで削り取り、粉状態のサンプルを作製し、JIS K7142(2008)B法(粉体または粒状の透明材料用)に従ったベッケ法(屈折率が既知のカーギル試薬を用い、前記粉状態のサンプルをスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に試薬を滴下し、試薬でサンプルを浸漬する。その様子を顕微鏡観察によって観察し、サンプルと試薬の屈折率が異なることによってサンプル輪郭に生じる輝線;ベッケ線が目視で観察できなくなる試薬の屈折率を、サンプルの屈折率とする方法)を用いることができる。
第1のハードコート層31は、少なくとも樹脂から構成することが可能である。なお、樹脂の他に、微粒子を含んでいてもよい。
〈樹脂〉
樹脂は、光重合性化合物の重合物(架橋物)を含むものである。樹脂は、光重合性化合物の重合物(架橋物)の他、溶剤乾燥型樹脂や熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。光重合性化合物は、光重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における、「光重合性官能基」とは、光照射により重合反応し得る官能基である。光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合が挙げられる。なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、光重合性化合物を重合する際に照射される光としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線のような電離放射線が挙げられる。
光重合性化合物としては、光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、または光重合性ポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。光重合性化合物としては、光重合性モノマーと、光重合性オリゴマーまたは光重合性ポリマーとの組み合わせが好ましい。
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーは、重量平均分子量が1000未満のものである。光重合性モノマーとしては、光重合性官能基を2つ(すなわち、2官能)以上有する多官能モノマーが好ましい。
2官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも硬度が高い第1の透明層を得る観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が好ましい。
(光重合性オリゴマー)
光重合性オリゴマーは、重量平均分子量が1000以上10000未満のものである。光重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましい。多官能オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、 ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(光重合性ポリマー)
光重合性ポリマーは、重量平均分子量が10000以上のものであり、重量平均分子量としては10000以上80000以下が好ましく、10000以上40000以下がより好ましい。重量平均分子量が80000を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光学積層体の外観が悪化するおそれがある。上記多官能ポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
溶剤乾燥型樹脂は、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂である。溶剤乾燥型樹脂を添加した場合、第1の透明層14を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
〈微粒子〉
微粒子は、無機微粒子、有機微粒子、またはこれらの混合物であってもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ(SiO)微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化スズ微粒子、アンチモンドープ酸化スズ(略称;ATO)微粒子、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物微粒子が挙げられる。
有機微粒子としては、例えば、プラスチック微粒子を挙げることができる。プラスチック微粒子としては、具体例としては、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子、アクリル微粒子、アクリル−スチレン共重合体微粒子、シリコーン微粒子、ベンゾグアナミン微粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合微粒子、ポリカーボネート微粒子、ポリエチレン微粒子等が挙げられる。
第1のハードコート層31を形成するためには、まず、第1の透明基材30の表面に、少なくとも光重合性化合物を含む第1のハードコート層用組成物を塗布する。次いで、塗膜状の第1のハードコート層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法で第1のハードコート層用組成物を乾燥させ溶剤を蒸発させる。その後、塗膜状の第1のハードコート層用組成物に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより第1のハードコート層用組成物を硬化させて、第1のハードコート層31を形成する。
第1のハードコート層用組成物を塗布する方法としては、スピンコート、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
第1のハードコート層用組成物を硬化させる際の光として、紫外線を用いる場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる紫外線等が利用できる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
第1のハードコート層用組成物には、必要に応じて、上記微粒子、上記熱可塑性樹脂、上記熱硬化性樹脂、溶剤、重合開始剤を添加してもよい。さらに、第1の透明層用組成物には、第1の透明層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
〈溶剤〉
溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘプタノン、ジエチルケトン等)、エーテル類(1,4−ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテルジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
〈レベリング剤〉
レベリング剤としては、特に限定されないが、後述するように防汚性を高める観点から光重合性官能基を有さない非重合性フッ素含有化合物が好ましい。非重合性フッ素含有化合物の中でも、重量平均分子量が30,000〜40,000の化合物が好ましい。このような非重合性フッ素含有化合物の市販品としては、例えば、DIC社製のF568やF477が挙げられる。
第1のハードコート層用組成物におけるレベリング剤の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましい。レベリング剤の含有量をこの範囲内にすることにより、ハードコート層の表面の平坦性を充分に確保することができる。
〈重合開始剤〉
重合開始剤は、光照射により分解されて、ラジカルを発生して光重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。
重合開始剤は、光照射によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば特に限定されない。重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、上記バインダ樹脂がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。
第1のハードコート層用組成物における重合開始剤の含有量は、光重合性化合物100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の含有量をこの範囲内にすることにより、ハードコート性能が充分に保つことができ、かつ硬化阻害を抑制できる。
第1の透明層用組成物中における原料の含有割合(固形分)としては特に限定されないが、通常は5質量%以上70質量%以下が好ましく、25質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。
<第1の反射防止層>
第1の反射防止層32の構成は特に限定されない。例えば、第1の反射防止層32は、第1の高屈折率層33と第1の高屈折率層33上に設けられた第1の低屈折率層34とから構成されていてもよいが、これに限定されず、第1の低屈折率層34のみから構成されていてもよい。ただし、優れた耐擦傷性や防汚性を得る観点から、第1の反射防止層32は、第1の高屈折率層33と第1の低屈折率層34とから構成されていることが好ましい。
(第1の高屈折率層)
第1の高屈折率層33は、第1のハードコート層31の屈折率よりも高い屈折率を有する層である。具体的には、第1の高屈折率層33の屈折率は、1.50以上2.00以下であってもよい。第1の高屈折率層33の屈折率の下限は、1.60以上であってもよく、第1の高屈折率層33の屈折率の上限は、1.75以下であってもよい。第1の高屈折率層33の屈折率は、上記第1のハードコート層31の屈折率と同様の方法によって測定することができる。第1のハードコート層31と第1の高屈折率層34との屈折率差は、0.05以上0.25以下であってもよい。
第1の高屈折率層33の膜厚は、200nm以下となっていることが好ましい。第1の高屈折率層33の膜厚の下限は、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましい。第1の高屈折率層33の膜厚の上限は、170nm以下であることが好ましく、160nm以下であることがより好ましい。
第1の高屈折率層33としては、第1のハードコート層31の屈折率より大きい屈折率を有する層であれば、特に限定されないが、第1の高屈折率層33は、例えば、高屈折率微粒子と、バインダ樹脂とから構成することができる。
第1の高屈折率層33を構成する高屈折率微粒子としては、金属酸化物微粒子が挙げられる。金属酸化物微粒子としては、具体的には、例えば、酸化チタン(TiO、屈折率:2.3〜2.7)、酸化ニオブ(Nb、屈折率:2.33)、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率:2.10)、酸化アンチモン(Sb、屈折率:2.04)、酸化スズ(SnO、屈折率:2.00)、スズドープ酸化インジウム(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、酸化セリウム(CeO、屈折率:1.95)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO、屈折率:1.90〜2.00)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb、屈折率:1.90〜2.00)、酸化亜鉛(ZnO、屈折率:1.90)、酸化イットリウム(Y、屈折率:1.87)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO、屈折率:1.75〜1.85)、リンドープ酸化スズ(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、等が挙げられる。これらの中でも、屈折率の観点から、酸化ジルコニウムが好ましい。
第1の高屈折率層33を構成するバインダ樹脂は特に制限されることがなく、熱可塑性樹脂を用いることもできるが、表面硬度を高くする観点から、熱硬化性樹脂又は光重合性化合物等の重合物(架橋物)であるものが好ましく、中でも光重合性化合物の重合物であるものがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を硬化させる際には、硬化剤を用いてもよい。
光重合性化合物としては、特に限定されないが、光重合性モノマー、オリゴマー、ポリマーを用いることができる。1官能の光重合性モノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。また、2官能以上の光重合性モノマーとしては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、これらの化合物をエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド等で変性した化合物等が挙げられる。
また、これらの化合物は、芳香族環、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄、窒素、リン原子等を導入して、屈折率を高く調整したものであってもよい。さらに、上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も使用することができる。光重合性化合物を重合(架橋)させる際には、第1のハードコート層の欄で説明した重合開始剤を用いてもよい。
第1の高屈折率層33は、例えば、第1のハードコート層31の形成方法と同様の方法によって形成することが可能である。具体的には、まず、第1のハードコート層31の表面に、少なくとも高屈折率微粒子と光重合性化合物と溶剤を含む第1の高屈折率層用組成物を塗布する。第1の高屈折率層用組成物には、レベリング剤が含まれていることが好ましい。
〈溶剤〉
第1の高屈折率層用組成物に用いる溶剤としては、第1のハードコート層で述べた溶剤と同様のものを用いることができる。
〈レベリング剤〉
レベリング剤としては、第1のハードコート層で述べたレベリング剤と同様のものを用いることができる。
次いで、塗膜状の第1の高屈折率層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法で第1の高屈折率層用組成物を乾燥させて、溶剤を蒸発させる。その後、塗膜状の第1の高屈折率層用組成物に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより第1の高屈折層用組成物を硬化させて、第1の高屈折率層15を形成することができる。
(第1の低屈折率層)
第1の低屈折率層34は、第1のハードコート層31の屈折率よりも低い屈折率を有する層である。具体的には、第1の低屈折率層34の屈折率は、1.20以上1.50以下であってもよい。第1の低屈折率層34の屈折率の上限は、1.49以下であってもよく、1.32以下であってもよい。第1の低屈折率層34の屈折率は、上記第1のハードコート層31の屈折率と同様の方法によって測定することができる。第1の高屈折率層33と第1の低屈折率層34との屈折率差は、0.10以上0.25以下であってもよい。
第1の低屈折率層34の膜厚は、200nm以下となっていることが好ましい。第1の低屈折率層34の膜厚の下限は、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましい。第1の低屈折率層34の膜厚の上限は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
第1の低屈折率層34としては、第1のハードコート層31の屈折率よりも低い屈折率を有する層であれば、特に限定されないが、第1の低屈折率層34は、例えば、低屈折率微粒子と、バインダ樹脂とから、または低屈折率樹脂から構成することができる。
低屈折率微粒子としては、例えば、シリカ、またはフッ化マグネシウムからなる中実または中空微粒子等が挙げられる。これらの中でも、中空シリカ微粒子が好ましく、このような中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
中空微粒子の中でも、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子が好ましい。通常の中空シリカ微粒子は、60nm以下の平均一次粒径を有するものであるので、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子は通常の中空シリカ微粒子に比べて平均一次粒径が大きいものであると言える。平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子を用いることにより、通常の中空シリカ微粒子を用いるよりも、少量添加で第1の反射防止フィルム29の反射Y値を0.1%以下に低下させることができる。また、低屈折率層中の平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子を少量とすることができるので、防汚性が良好になり、また耐擦傷性も向上させることができる。中空シリカ微粒子の平均一次粒径の下限は68nm以上であってもよく、また70nm以上であってもよい。中空シリカ微粒子の平均一次粒径の上限は82nm以下であってもよく、80nm以下であってもよい。
低屈折率微粒子としては、表面に光重合性官能基を有するシリカ微粒子(反応性シリカ微粒子)を用いることが好ましく、表面に光重合性官能基を有し、かつ平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子が特に好ましい。このような表面に光重合性官能基を有するシリカ微粒子は、シランカップリング剤等によってシリカ微粒子を表面処理することによって作成することができる。シリカ微粒子の表面をシランカップリング剤で処理する方法としては、シリカ微粒子にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、シリカ微粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
第1の低屈折率層34を構成するバインダ樹脂としては、第1の高屈折率層33を構成するバインダ樹脂と同様のものが挙げられる。ただし、バインダ樹脂に、フッ素原子を導入した樹脂や、オルガノポリシロキサン等の屈折率の低い材料を混合してもよい。
低屈折率樹脂としては、フッ素原子を導入した樹脂や、オルガノポリシロキサン等の屈折率の低い樹脂が挙げられる。
第1の低屈折率層34は、防汚剤を含んでいることが好ましい。これは、以下の理由からである。タッチパネル付き表示装置においては、第1の低屈折率層はタッチパネル付き表示装置の内部に存在するので、観察者の指等が第1の低屈折率層に触れることはないが、表示パネルの製造工程時に製造者の指等が触れるので、指紋等の汚れが付着するおそれがあるからである。また、第1の低屈折率層の表面には第1の反射防止フィルムを保護するための保護粘着層が貼り付けられることがあり、この保護粘着層は表示パネルの製造工程時に剥がされるが、第1の低屈折率層の防汚性が低いと、保護粘着層の残渣が第1の低屈折率層の表面に残存するおそれがあるからである。
〈防汚剤〉
防汚剤としては、光重合性官能基およびフッ素原子を有する重合性フッ素含有化合物が好ましい。なお、第1の低屈折率層の状態においては、このフッ素含有化合物は光重合性官能基によってバインダ樹脂と重合した状態で存在する。
重合性フッ素含有化合物の中でも、重量平均分子量が2,000〜10,000の重合性フッ素含有化合物が好ましい。重量平均分子量が2,000〜10,000の重合性フッ素含有化合物を用いることにより、後述するリフトアップ効果を確実に得ることができる。
重合性フッ素含有化合物の市販品としては、例えば、ダイキン社製のオプツールDAC、共栄社化学社製のLINC-3A-MI20(トリアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトール)やLINC-102A(1,2−ジアクリロキシメチルパーフルオロシクロヘキサン)等のLINCシリーズや、ソルベイソレクシス社製のFluorolinkシリーズ、DIC社製のRS71等が挙げられる。
低屈折率微粒子として中空微粒子を用いる場合、中空微粒子とバインダ樹脂を構成する光重合性化合物との合計量と、防汚剤としての重合性フッ素含有化合物との配合割合(重量基準)は、95:5〜85:15であることが好ましい。この範囲が好ましいとしたのは、重合性フッ素含有化合物の割合が上記範囲の割合よりも少ないと、充分な防汚性が得られないおそれがあり、また重合性フッ素含有化合物の割合が上記範囲の割合よりも多いと、耐擦傷性の低下や塗工ムラを引き起こすおそれがあるからである。
第1の低屈折率層34は、第1の低屈折率層34の耐擦傷性を向上させるために滑り剤を含んでいることが好ましい。
〈滑り剤〉
滑り剤としては、光重合性官能基およびケイ素原子を有する重合性ケイ素含有化合物が好ましい。なお、第1の低屈折率層の状態においては、このケイ素含有化合物は光重合性官能基によってバインダ樹脂と重合した状態で存在する。滑り剤の市販品としては、例えば、信越化学株式会社製のX22-164E等が挙げられる。
低屈折率微粒子として中空微粒子を用いる場合、中空微粒子とバインダ樹脂を構成する光重合性化合物との合計量と、滑り剤としての重合性ケイ素含有化合物との配合割合(重量基準)は、95:5〜85:15であることが好ましい。この範囲が好ましいとしたのは、重合性ケイ素含有化合物の割合が上記範囲の割合よりも少ないと、充分な滑り性が得られず、耐擦傷性が低下するおそれがあり、また重合性ケイ素含有化合物の割合が上記範囲の割合よりも多いと、塗工ムラを引き起こすおそれがあるからである。
第1の低屈折率層34は、例えば、第1のハードコート層31の形成方法と同様の方法によって形成することが可能である。具体的には、まず、第1の高屈折率層33の表面に、少なくとも低屈折率微粒子と光重合性化合物と溶剤を含む第1の低屈折率層用組成物を塗布する。
〈溶剤〉
第1の低屈折率層用組成物に用いる溶剤としては、第1のハードコート層で述べた溶剤と同様のものを用いることができる。
次いで、塗膜状の第1の低屈折率層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法で第1の低屈折率層用組成物を乾燥させ溶剤を蒸発させる。その後、塗膜状の第1の高屈折率層用組成物に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより第1の低屈折層用組成物を硬化させて、第1の低屈折率層34を形成することができる。
第1のハードコート層31および/または第1の高屈折率層33が非重合性フッ素含有化合物を含み、かつ第1の低屈折率層用組成物が防汚剤としての上記重合性フッ素含有化合物を含む場合には、防汚性を顕著に向上させることができる。この理由は定かではないが、以下のように推測される。非重合性フッ素含有化合物が第1のハードコート層31および/または第1の高屈折率層33中に存在した状態で、第1の低屈折率層用組成物の塗膜を第1の高屈折率層33上に形成すると、第1の低屈折率層用組成物の溶剤によって、第1のハードコート層31および/または第1の高屈折率層34中の非重合性フッ素含有化合物が溶出し、第1の低屈折率層用組成物の塗膜に入り込む。そして、第1の低屈折率層用組成物の塗膜中の非重合性フッ素含有化合物によって、この塗膜中の重合性フッ素含有化合物が低屈折率層用組成物の塗膜の表面付近まで押し上げられる(リフトアップ効果)。これにより、重合性フッ素含有化合物がこの塗膜の表面付近に存在するようになるので、防汚性を顕著に向上させることができる。なお、第1の低屈折率層用組成物に多量の重合性フッ素含有化合物を加えることも考えられるが、第1の低屈折率層用組成物に多量の重合性フッ素含有化合物を加えると、第1の低屈折率層に白濁感が生じてしまうおそれがあるので、このような手法を採ることはできない。また、第1の低屈折率層用組成物に重合性フッ素含有化合物の他に、非重合性フッ素含有化合物を加えると、非重合性フッ素含有化合物が第1の低屈折率層の表面に析出してしまい、防汚性が低下してしまうので、このような手法を採ることもできない。
[タッチパネル]
タッチパネル40は、センサ部50と、センサ部50よりも表示パネル20側に配置された第2の反射防止フィルム60と、センサ部50より観察者側に配置されたカバーガラス70と、センサ部50と第2の反射防止フィルム60とを固定するための透明粘着層41と、センサ部50とカバーガラス70とを固定するための透明粘着層42と、を備えている。タッチパネル40は、センサ部50と、第2の反射防止フィルム60とを備えていればよく、カバーガラス70、透明粘着層41、42を備えていなくともよい。
≪センサ部≫
センサ部50は、タッチパネル40のセンサとして機能する部分である。センサ部50としては、特に限定されないが、例えば、投影型静電容量方式に用いられるセンサが挙げられる。図3に示されるセンサ部50は、パターニングされた導電層52が設けられた基材フィルム51と、パターニングされた導電層53が設けられた基材フィルム51とを、透明粘着層54を介して積層した構造となっている。
<基材フィルム>
図3に示される基材フィルム51は、透明基材55と、透明基材55の一方の面上に設けられたハードコート層56と、ハードコート層56上に設けられた高屈折率層57と、高屈折率層57上に設けられた低屈折率層58と、透明基材55の他方の面上に積層されたハードコート層59とを備えている。
基材フィルム51の代わりに、透明基材と、透明基材の一方の面上に設けられたハードコート層と、ハードコート層上に設けられた高屈折率層と、高屈折率層上に設けられた低屈折率層と、透明基材の他方の面上に設けられたハードコート層と、ハードコート層上に設けられた高屈折率層と、この高屈折率層上に積層された低屈折率層とを備えた基材フィルムを用いてもよい。この場合、基材フィルムの両面に存在する低屈折率層上にそれぞれパターニングされた導電層を設ける。
透明基材55、ハードコート層56、高屈折率層57、および低屈折率層58としては、通常のタッチパネルセンサに用いられている透明基材、ハードコート層、高屈折率層、および低屈折率層を用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。
<導電層>
導電層52、53の形状は特に限定されないが、例えば、正方形状やストライプ状が挙げられる。導電層52、53は取出パターン(図示せず)を介して端子部(図示せず)に接続されている。導電層52、53は、透明導電材料から構成された例を示しているが、導電層はメッシュ状の導線から構成することが可能である。透明導電材料としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛、酸化インジウム(In)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化スズ、酸化亜鉛−酸化スズ系、酸化インジウム−酸化スズ系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物等が挙げられる。導線の材料としては、銀、銅、アルミニウム、またはこれらの合金等の遮光性のある金属材料が挙げられる。
導電層52、53の膜厚は、電気抵抗の仕様などに応じて適宜設定されるが、例えば10nm以上50nm以下であることが好ましい。
導電層52、53の形成方法は、特には限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、塗工法、印刷法などを用いることができる。導電層をパターニングする方法としては、例えばフォトリソグラフィー法が挙げられる。
導電層がメッシュ状の導線から構成されている場合、導線の幅は1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上15μm以下であることがより好ましい。これによって、観察者が視認する画像に対して導線が及ぼす影響を、無視可能な程度まで低くすることができる。
導電層がメッシュ状の導線から構成されている場合、導電層は導線によって形成された例えば矩形状の開口部を有している。導電層の開口率は、表示装置からの放出される映像光の特性などに応じて適宜設定されるが、例えば、80%以上90%以下の範囲内にある。また、開口部の配置ピッチは、求められる開口率や導線の幅の値に応じて、100μm以上1000μm以下の範囲内で適宜設定される。
≪第2の反射防止フィルム≫
第2の反射防止フィルム60は、第1の反射防止フィルム29に対して離間している。図4に示される第1の反射防止フィルム29の表面29Aと第2の反射防止フィルム60の表面60Aとの間の距離dは、タッチパネル付き表示装置の薄型化の観点から50μm以上1000μm以下となっていることが好ましい。この距離dは、観察者の指等が画像表示面10Aに触れていない状態の距離である。
第2の反射防止フィルム60は、表示パネル20側に向けて、第2の透明基材61と、第2のハードコート層62と、第2の反射防止層63とをこの順で積層した構造を有している。第2の反射防止フィルム60の表面60Aは、タッチパネル40の表示パネル20側の表面40Aをなしている。
第2の反射防止フィルム60の表面60Aの十点平均粗さ(Rzjis)は上述した白濁感の問題から10nm以上100nm以下となっている。第2の反射防止フィルムの表面の十点平均粗さが10nm未満であると、第1の反射防止フィルムと第2の反射防止フィルムとの貼り付きが生じるおそれがあり、また第2の反射防止フィルムの表面の十点平均粗さが100nmを超えると、観察者は白濁感が生じていると認識してしまうおそれがある。第2の反射防止フィルムは第1の反射防止フィルムより観察者側に位置しているので、第1の反射防止フィルムに白濁感が生じている場合よりも第2の反射防止フィルムに白濁感が生じている方が観察者から認識されやすい。したがって、白濁感が生じていると観察者に認識させないために、第2の反射防止フィルム60の表面60Aの十点平均粗さは10nm以上100nm以下となっている。なお、第1の反射防止フィルム29の表面29Aの十点平均粗さおよび第2の反射防止フィルム60の表面60Aの十点平均粗さがともに10nm以上100nm以下となっている場合には、第1の反射防止フィルム29および第2の反射防止フィルム60には観察者は白濁感が生じているとは認識しにくいので、第2の反射防止フィルム60の表面60Aの十点平均粗さは、第1の反射防止フィルム29の表面29Aの十点平均粗さよりも大きくても、または小さくてもよい。
第2の反射防止フィルム60における第2の反射防止層63側から測定した反射Y値が0.3%未満となっていることが好ましい。反射Y値は、干渉縞の発生をより抑制する観点から0.15%以下であることが好ましく、0.1%以下であることが更に好ましい。第2の反射防止フィルム60における反射Y値は、第1の反射防止フィルム29と同様の方法によって測定することができる。
反射Y値が0.3%未満となる第2の反射防止フィルム60は、主に、第2の低屈折率層64の屈折率や膜厚および/または第2の高屈折率層63の屈折率や膜厚を調整することによって得ることができる。
<第2の透明基材>
第2の透明基材61は第1の透明基材30と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。ただし、必ずしも第2の透明基材61は第1の透明基材30と同一材料の基材でなくともよい。例えば、第1の透明基材30は偏光素子28中のヨウ素の溶出を抑制するためにアクリル基材が好ましいが、タッチパネル40には偏光素子は設けられていないので、第2の透明基材61は水分透過性が低いことよりも光透過性が高いことが望まれる。このため、このため、第2の透明基材61としては、アクリル基材よりも光透過性に優れたセルロースアシレート基材、特にトリアセチルセルロース基材が好ましい。
<第2のハードコート層>
第2のハードコート層62は第1のハードコート層31と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。ただし、第2のハードコート層62の組成は第1のハードコート層31の組成と異なっていてもよい。
<第2の反射防止層>
第2の反射防止層63は、第2の反射防止フィルム60の上記反射Y値が0.3%未満となれば、特に構成や組成は限定されない。例えば、第2の反射防止層63は、第2の高屈折率層64と第2の高屈折率層64上に設けられた第2の低屈折率層65とから構成されていてもよいが、これに限定されず、第2の低屈折率層65のみから構成されていてもよい。
(第2の高屈率折層)
第2の高屈折率層64は第1の高屈折率層33と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。ただし、第2の高屈折率層64の組成は第1の高屈折率層33の組成と異なっていてもよい。
(第2の低屈折率層)
第2の低屈折率層65は第1の低屈折率層34と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。ただし、第2の低屈折率層65の組成は第1の低屈折率層34の組成と異なっていてもよい。
本実施形態によれば、第1の反射防止フィルム29の表面29Aにおける十点平均粗さ(Rzjis)が10nm以上500nm以下となっており、かつ第2の反射防止フィルム60の表面60Aにおける十点平均粗さ(Rzjis)が10nm以上100nm以下となっているので、観察者は白濁感が生じていることを認識しにくい。すなわち、第1の反射防止フィルム29の表面29Aおよび第2の反射防止フィルム60の表面60Aにおける十点平均粗さ(Rzjis)がそれぞれ10nm以上100nm以下となっている場合には、第1の反射防止フィルム29の表面29Aおよび第2の反射防止フィルム60の表面60Aはともに白濁感を生じさせない程度の凹凸面となっている。これにより、観察者は白濁感が生じているとは認識しにくい。また、第1の反射防止フィルム29の表面29Aにおける十点平均粗さ(Rzjis)が100nmを超え500nm以下であり、第2の反射防止フィルム60の表面60Aにおける十点平均粗さが10nm以上100nm以下となっている場合には、第1の反射防止フィルム29の表面29Aは若干白濁感を生じる凹凸面となっているが、第2の反射防止フィルム60の表面60Aは白濁感を生じさせない程度の凹凸面となっている。ここで、第2の反射防止フィルム60は第1の反射防止フィルム29より観察者側に位置しているので、第1の反射防止フィルム29の表面29Aの粗さよりも第2の反射防止フィルム60の表面60Aの粗さの方が、観察者が視認した場合の白濁感に影響を与える。したがって、第1の反射防止フィルム29の表面29Aは若干白濁感を生じる凹凸面となっているが、2の反射防止フィルム60の表面60Aは白濁感を生じさせない程度の凹凸面となっているので、観察者は白濁感が生じているとは認識しにくい。
本実施形態によれば、第1の反射防止フィルム29の表面29Aにおける十点平均粗さ(Rzjis)が10nm以上500nm以下となっており、第2の反射防止フィルム60の表面60Aにおける十点平均粗さ(Rzjis)が10nm以上100nm以下となっており、かつ第1の反射防止フィルム29と第2の反射防止フィルム60との貼り付き防止性を上記方法によって評価した場合に、第1の反射防止フィルム29と第2の反射防止フィルム60が貼り付かないので、たとえ指等で画像表示面10Aが強く押されて、第1の反射防止フィルム29の表面29Aと第2の反射防止フィルム60の表面60Aが接触した場合であっても、第1の反射防止フィルム29と第2の反射防止フィルム60の貼り付きを防止できる。この結果、指等が離れれば、第1の反射防止フィルム29と第2の反射防止フィルム60は離れるので、たとえ、第1の反射防止フィルム29と第2の反射防止フィルム60が接触することによって干渉縞が発生した場合であっても、短時間で干渉縞を消失させることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。なお、下記の「固形分100%換算値」とは、溶剤希釈品中の固形分を100%としたときの値である。
<ハードコート層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、透明層用組成物を得た。
(ハードコート層用組成物1)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬社製):100質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):4質量部
・レベリング剤(製品名「F568」、DIC社製):0.1質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):120質量部
(ハードコート層用組成物2)
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(製品名「ビームセット710」、荒川化学工業社製):100質量部
・スチレン−アクリル共重合体微粒子(平均粒径2μm):3質量部(固形分100%換算値)
・シリカ微粒子(平均粒径12nm):1質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):4質量部
・レベリング剤(製品名「F568」、DIC社製):0.1質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):120質量部
(ハードコート層用組成物3)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):100質量部
・シリカ微粒子(平均粒径3.5μm):7質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):4質量部
・レベリング剤(製品名「F568」、DIC社製):0.1質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):120質量部
<高屈折率層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、高屈折率層用組成物を得た。
(高屈折率層用組成物1)
・五酸化アンチモン微粒子(平均粒径20nm):400質量部(固形分100%換算値)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬社製):100質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):4質量部
・レベリング剤(製品名「F568」、DIC社製):15質量部(固形分100%換算)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):16000質量部
(高屈折率層用組成物2)
・五酸化アンチモン微粒子(平均粒径20nm):400質量部(固形分100%換算値)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬社製):100質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):4質量部
・レベリング剤(製品名「F568」、DIC社製):2.5質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):16000質量部
<低屈折率層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、低屈折率層用組成物を得た。
(低屈折率層用組成物1)
・中空シリカ微粒子(平均粒径75nm):150質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・重合性フッ素含有防汚剤(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):25質量部(固形分100%換算値)
・重合性ケイ素含有滑り剤(製品名「X22−164E」、信越化学社製):10質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物2)
・中空シリカ微粒子(平均粒径75nm):100質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・重合性フッ素含有防汚剤(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):20質量部(固形分100%換算値)
・重合性ケイ素含有滑り剤(製品名「X22−164E」、信越化学社製):8質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物3)
・中空シリカ微粒子(平均粒径60nm):200質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・重合性フッ素含有防汚剤(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):30質量部(固形分100%換算値)
・重合性ケイ素含有滑り剤(製品名「X22−164E」、信越化学社製):12質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物4)
・中空シリカ微粒子(平均粒径75nm):200質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・重合性フッ素含有防汚剤(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):30質量部(固形分100%換算値)
・重合性ケイ素含有滑り剤(製品名「X22−164E」、信越化学社製):12質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物5)
・中空シリカ微粒子(平均粒径60nm):170質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・重合性フッ素含有防汚剤(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):27質量部(固形分100%換算値)
・重合性ケイ素含有滑り剤(製品名「X22−164E」、信越化学社製):10.8質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物6)
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):100質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・重合性フッ素含有防汚剤(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):10質量部(固形分100%換算値)
・重合性ケイ素含有滑り剤(製品名「X22−164E」、信越化学社製):4質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物7)
・中空シリカ微粒子(平均粒径50nm):80質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):20質量部
・フッ素含有ポリマー(製品名「オプスターJN35」、JSR社製):80質量部(固形分100%換算値)
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・重合性フッ素含有防汚剤(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):18質量部(固形分100%換算値)
・重合性ケイ素含有滑り剤(製品名「X22−164E」、信越化学社製):7.2質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
(低屈折率層用組成物8)
・中空シリカ微粒子(平均粒径60nm):55質量部(固形分100%換算値)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「KAYARAD PET−30」、日本化薬社製):100質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア127」、BASFジャパン社製):4質量部
・重合性フッ素含有防汚剤(製品名「オプツールDAC」、ダイキン社製):15.5質量部(固形分100%換算値)
・重合性ケイ素含有滑り剤(製品名「X22−164E」、信越化学社製):6.2質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):8000質量部
<実施例1>
透明基材としての厚さ40μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「KC4UAW」、コニカミノルタ社製)を準備し、トリアセチルセルロース基材の片面に、上記ハードコート用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.2m/sの流速で70℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、屈折率が1.52および膜厚が8μmのハードコート層を形成した。次いで、ハードコート層上に、上記高屈折率層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、形成した塗膜を、40℃で1分間乾燥させた後、窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて、積算光量100mJ/cmで紫外線照射を行って硬化させて、屈折率が1.63および膜厚が150nmの高屈折率層を形成した。次いで、高屈折率層上に、低屈折率層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、形成した塗膜を、40℃で1分間乾燥させた後、窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて、積算光量100mJ/cmで紫外線照射を行って硬化させて、屈折率が1.29および膜厚が100nmの低屈折率層を形成した。これにより、サンプル1に係る反射防止フィルムを作製した。
<サンプル2>
サンプル2においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物2を用いて反射防止フィルムの低屈折率層を形成した以外は、サンプル1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。サンプル2に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.32であった。
<サンプル3>
サンプル3においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物3を用いて反射防止フィルムの低屈折率層を形成した以外は、サンプル1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。サンプル3に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.29であった。
<サンプル4>
サンプル4においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物4を用いて反射防止フィルムの低屈折率層を形成した以外は、サンプル1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。サンプル4に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.26であった。
<サンプル5>
サンプル5においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物5を用いて反射防止フィルムの低屈折率層を形成した以外は、サンプル1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。サンプル5に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.32であった。
<サンプル6>
サンプル6においては、ハードコート層用組成物1に代えてハードコート層用組成物2を用いて反射防止フィルムのハードコート層を形成し、またハードコート層の膜厚を4μmとした以外は、サンプル1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。サンプル6に係る反射防止フィルムのハードコート層の屈折率は1.52であった。
<サンプル7>
サンプル7においては、高屈折率層用組成物1に代えて高屈折率層用組成物2を用いて反射防止フィルムの高屈折率層を形成した以外は、サンプル1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。サンプル7に係る反射防止フィルムの高屈折率層の屈折率は1.63であった。
<サンプル8>
サンプル8においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物6を用いて反射防止フィルムの低屈折率層を形成した以外は、サンプル1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。サンプル8に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.42であった。
<サンプル9>
サンプル9においては、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物7を用いて反射防止フィルムの低屈折率層を形成した以外は、サンプル1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。サンプル9に係る反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は1.36であった。
<サンプル10>
サンプル10においては、ハードコート層用組成物1に代えてハードコート層用組成物2を用いて、サンプル1と同様の方法で膜厚が4μmのハードコート層を形成し、低屈折率層用組成物1に代えて低屈折率層用組成物8を用いて反射防止フィルムの低屈折率層を形成し、かつ高屈折率層を形成しなかった以外は、サンプル1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。サンプル10に係る反射防止フィルムのハードコート層の屈折率は1.52であり、低屈折率層の屈折率は1.42であった。
<サンプル11>
サンプル11においては、ハードコート層用組成物1に代えてハードコート層用組成物3を用いて、サンプル1と同様の方法で膜厚が4μmのハードコート層を形成して、防眩フィルムを作製した。なお、サンプル11の防眩フィルムは、ハードコート層上に高屈折率層低および低屈折率層が形成されていないものであった。サンプル11に係る防眩フィルムのハードコート層の屈折率は1.51であった。
<サンプル12>
サンプル12においては、ハードコート層用組成物1を用いて、サンプル1と同様の方法でハードコート層を形成して、ハードコートフィルムを作製した。なお、サンプル12のハードコートフィルムは、ハードコート層上に高屈折率層低および低屈折率層が形成されていないものであった。
<反射Y値測定>
サンプル1〜10の反射防止フィルム、サンプル11の防眩フィルムおよびサンプル12のハードコートフィルムについて、分光光度計(MPC3100、島津製作所株式会社製)を用いて、反射Y値を測定した。具体的には、それぞれのフィルムにおける表面側(サンプル1〜10の反射防止フィルムにおいては低屈折率層の表面側、サンプル11の防眩フィルムおよびサンプル12のハードコートフィルムにおいてはハードコート層の表面側)から入射角度5度の光を照射し、それぞれのフィルムで反射された正反射方向の反射光を受光して、380nm〜780nmの波長範囲の反射率を測定し、その後、人間が目で感じる明度として換算するソフトウェア(例えば、MPC3100に内蔵されたソフトウェア)によって反射Y値を算出した。なお、反射Y値の測定は、トリアセチルセルロース基材におけるハードコート層が形成されている面とは反対側の面(裏面)に黒テープ(寺岡製作所製)を貼り付けた状態で行った。
<十点平均粗さ(Rzjis)の測定>
サンプル1〜10の反射防止フィルムの表面(低屈折率層の表面)、サンプル11の防眩フィルムの表面(ハードコート層の表面)およびサンプル12のハードコートフィルムの表面(ハードコート層の表面)において、十点平均粗さ(Rzjis)を測定した。Rzjisは、具体的には、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/(株)小坂研究所製)を用いて、下記の測定条件により測定された。
1)表面粗さ検出部の触針((株)小坂研究所製の商品名SE2555N(2μ標準))
・先端曲率半径2μm、頂角90度、材質ダイヤモンド
2)表面粗さ測定器の測定条件
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
<防汚性評価>
指紋に対する防汚性評価
サンプル1〜10の反射防止フィルムの表面(低屈折率層の表面)、サンプル11の防眩フィルムの表面(ハードコート層の表面)およびサンプル12のハードコートフィルムの表面(ハードコート層の表面)に、それぞれ、指紋を付着させた後、旭化成株式会社製のベンコットM−3で拭取り、拭取りやすさを目視にて確認した。評価基準は以下の通りとした。
○:指紋が容易または比較的容易に拭取れた。
△:指紋を拭き取ることはできたが、容易ではなかった。
×:指紋を拭取ることができなかった。
<耐擦傷性評価>
サンプル1〜10の反射防止フィルムの表面(低屈折率層の表面)、サンプル11の防眩フィルムの表面(ハードコート層の表面)およびサンプル12のハードコートフィルムの表面(ハードコート層の表面)を、スチールウール♯0000(製品名「ボンスター」、日本スチールウール株式会社製)を用い、荷重150g/cmを加えながら、速度100mm/秒で10往復擦った後、それぞれのトリアセチルセルロース基材におけるハードコート層が形成されている面とは反対側の面に黒いテープを貼り、傷の有無を3波長蛍光ランプ下での目視により評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:傷が無かった。
△:傷が数本あった。
×:傷が多数あった。
以下、結果を表1に示す。
Figure 0006526380
<実施例1〜9および比較例1〜7>
サンプル1〜13に係るフィルムの中から2枚のフィルムを取り出し、一方を第1のフィルムとし、他方を第2のフィルムとした。各実施例および比較例におけるフィルムの組み合わせは、表2に示す。なお、取り出す2枚のフィルムは同一のサンプルであってもよい。そして、第1のフィルムと第2のフィルムを用いて、以下の貼り付き防止性評価および白濁感評価を行った。
<貼り付き防止性>
まず、第1のフィルムを厚さ0.8mmのガラス板に透明粘着剤(製品名「PD−S1」、パナック社製)を介して貼り付けて、第1のサンプルを作製した。また、同様に、第2のフィルムを厚さ0.8mmのガラス板に透明粘着剤(製品名「PD−S1」、パナック社製)を介して貼り付けて、第2のサンプルを作製した。そして、第1のフィルムの表面と第2のフィルムの表面が接するように第1のサンプル上に第2のサンプルを重ねた。その状態で、第2のサンプル上から2000g/cmの荷重を加え、その後荷重を取り除き、その状態で、第2のサンプルを第1のサンプルに対してスライドさせて、第1のフィルムと第2のフィルムの貼り付き性について調べた。評価基準は以下の通りとした。
○:第2のサンプルが第1のサンプルに対してスムーズに動き、または若干引っ掛かりがあるが動いた。
×:第2のサンプルが第1のサンプルに対して動かなかった。
<白濁感評価>
まず、第1のフィルムを厚さ0.8mmのガラス板に透明粘着剤(製品名「PD−S1」、パナック社製)を介して貼り付けて、第1のサンプルを作製した。また、同様に、第2のフィルムを厚さ0.8mmのガラス板に透明粘着剤(製品名「PD−S1」、パナック社製)を介して貼り付けて、第2のサンプルを作製した。そして、第1のフィルムの表面と第2のフィルムの表面が接するように第1のサンプル上に第2のサンプルを重ねた。この状態で、暗室にて、卓上スタンド(3波長蛍光灯管)から第2のサンプルに光を照射し、白濁感が確認されるか否か調べた。評価基準は以下の通りとした。
○:白濁感が観察されなかった。
×:白濁感が観察された。
以下、結果を表2に示す。
Figure 0006526380
表1に示されるように、比較例1〜7においては、第1のフィルムと第2のフィルムとの貼り付き防止性が劣っているか、または白濁感が観察された。これに対し、実施例1〜9においては、第1のフィルムと第2のフィルムとの貼り付き防止性に優れ、かつ白濁感が観察されなかった。
10…タッチパネル付き表示装置
10A…画像表示面
20…表示パネル
20A…表面
25…表示素子
29…第1の反射防止フィルム
29A…表面
30…第1の透明基材
31…第1のハードコート層
32…第1の反射防止層
33…第1の高屈折率層
34…第1の低屈折率層
40…タッチパネル
40A…表面
50…センサ部
60…第2の反射防止フィルム
60A…表面
61…第2の透明基材
62…第2のハードコート層
63…第2の反射防止層
64…第2の高屈折率層
65…第2の低屈折率層
100…サンプル1
101…第1のガラス板
110…サンプル2
111…第2のガラス板

Claims (4)

  1. 画像を表示するための表示パネルと、前記表示パネルよりも観察者側に配置されたタッチパネルとを備えるタッチパネル付き表示装置であって、
    前記表示パネルが、表示素子と、前記表示素子よりも観察者側に配置された第1の反射防止フィルムであって、観察者側に向けて、第1の透明基材と、第1のハードコート層と、第1の反射防止層とをこの順で積層し、かつ前記第1の反射防止フィルムの表面が前記表示パネルの観察者側の表面をなす第1の反射防止フィルムとを備え、
    前記タッチパネルが、センサ部と、前記センサ部よりも表示パネル側に配置され、かつ前記第1の反射防止フィルムに対して離間した前記第2の反射防止フィルムであって、表示パネル側に向けて、第2の透明基材と、第2のハードコート層と、第2の反射防止層とをこの順で積層し、かつ前記第2の反射防止フィルムの表面が前記タッチパネルの表示パネル側の表面をなす第2の反射防止フィルムとを備え、
    前記第1の反射防止フィルムの前記表面における十点平均粗さ(Rzjis)が10nm以上500nm以下であり、前記第2の反射防止フィルムの前記表面における前記十点平均粗さが10nm以上60nm以下である、タッチパネル付き表示装置。
  2. 前記第1の反射防止フィルムの前記表面と前記第2の反射防止フィルムの前記表面との間の距離が50μm以上1000μm以下である、請求項1に記載のタッチパネル付き表示装置。
  3. 前記第1の反射防止層が前記第1のハードコート層よりも屈折率が低い第1の低屈折率層を備え、前記第1の低屈折率層が、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子と、バインダ樹脂とを含む、請求項1または2に記載のタッチパネル付き表示装置。
  4. 前記第2の反射防止層が前記第2のハードコート層よりも屈折率が低い第2の低屈折率層を備え、前記第2の低屈折率層が、平均一次粒径が65nm以上85nm以下の中空シリカ微粒子と、バインダ樹脂とを含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のタッチパネル付き表示装置。
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