JP6772564B2 - 光学積層体の水接触角制御方法、および保護フィルム付き光学積層体 - Google Patents

光学積層体の水接触角制御方法、および保護フィルム付き光学積層体 Download PDF

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Description

本発明は、光学積層体の水接触角制御方法、および保護フィルム付き光学積層体に関する。
従来から、液晶ディスプレイ等の表示パネル上にタッチパネルを配置したタッチパネル付き画像表示装置が知られている。このようなタッチパネル付き表示装置においては、画像表示面を指などで触れることにより情報を直接入力することができる。
タッチパネルを表示パネル上に固定する方法としては、タッチパネルと表示パネルとを空気層を介して固定するエアギャップ方式と、タッチパネルと表示パネルとを光透過性接着層を介して固定するダイレクトボンディング方式(例えば、特許文献1参照)がある。
エアギャップ方式では、タッチパネルと空気層との屈折率の違い、および空気層と表示パネルとの屈折率の違いにより、それぞれの界面において光が反射して視認性が低下するおそれがある。このため、現在、ダイレクトボンディング方式のタッチパネル付き画像表示装置が増えつつある。
特開2014−130290号公報
ダイレクトボンディング方式のタッチパネル付き画像表示装置においては、表示パネルとタッチパネルとが光透過性接着層で固定されているが、光透過性接着層を形成する際には、親水性を有する液状の硬化性接着層用組成物を用いることが多い。硬化性接着層用組成物に対する濡れ性を考えると、表示パネルの表面を構成しているハードコート層の表面の水に対する接触角は低いことが求められている。
一方で、ハードコート層が、ボンディング用途ではなく、画像表示装置の表面付近に設けられるクリアハードコート層用途で用いられる場合には、防汚性等の観点から、水に対する接触角が65°以上であることが求められている。
ボンディング用途のハードコート層の表面の水に対する接触角は低いので、現在、クリアハードコート層用途においては、ボンディング用途とは異なるハードコート層を用いている。しかしながら、ボンディング用途のハードコート層であっても、ハードコート層の表面における水に対する接触角を大きくできれば、クリアハードコート層用途としても用いることができる。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。すなわち、ハードコート層の表面の水に対する接触角を大きくして、前記接触角を65°以上とすることが可能な光学積層体の水接触角制御方法および保護フィルム付き光学積層体を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、光透過性基材と、前記光透過性基材の少なくとも片面側に設けられたハードコート層とを備える光学積層体の水に対する接触角を制御する光学積層体の水接触角制御方法であって、光透過性基材の少なくとも片面側に形成されたハードコート層の表面に、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面に設けられ、かつ前記ハードコート層の表面の水に対する接触角を増大させる水接触角増大材を含む粘着層とを備える保護フィルムを前記粘着層によって剥離可能に貼り付ける工程と、前記ハードコート層から前記保護フィルムを剥離して、前記保護フィルムの剥離後における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角を前記保護フィルムの貼り付け前における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角よりも大きくして、前記保護フィルムの剥離後における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角を65°以上とする工程とを備える、光学積層体の水接触角制御方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、光学積層体と、前記光学積層体に剥離可能に貼り付けられた保護フィルムとを備える保護フィルム付き光学積層体であって、前記光学積層体が、光透過性基材と、前記光透過性基材の少なくとも片面側に設けられたハードコート層とを備え、前記保護フィルムが、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面に設けられ、前記ハードコート層の表面の水に対する接触角を増大させる水接触角増大材を含み、かつ前記ハードコート層の表面に貼り付いた粘着層とを備え、前記保護フィルムを前記光学積層体から剥離したときに、前記保護フィルムの剥離後における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角が、前記保護フィルムの貼り付け前における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角より大きく、かつ前記保護フィルムの剥離後における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角が65°以上となる、保護フィルム付き光学積層体が提供される。
本発明の一の態様の光学積層体の水接触角制御方法によれば、粘着層がハードコート層の表面の水に対する接触角を増大させる水接触角増大材を含むので、ハードコート層から保護フィルムを剥離したとき、保護フィルムの剥離後におけるハードコート層の表面の水に対する接触角が前記保護フィルムの貼り付け前におけるハードコート層の表面の水に対する接触角よりも大きくなり、保護フィルムの剥離後におけるハードコート層の表面の水に対する接触角を65°以上とすることができる。
本発明の他の態様の保護フィルム付き光学積層体によれば、粘着層がハードコート層の表面の水に対する接触角を増大させる水接触角増大材を含むので、保護フィルムを光学積層体から剥離したときに、保護フィルムの剥離後におけるハードコート層の表面の水に対する接触角を、保護フィルムの貼り付け前におけるハードコート層の表面の水に対する接触角より大きくすることができ、保護フィルムの剥離後におけるハードコート層の表面の水に対する接触角を65°以上とすることができる。
実施形態に係る光学積層体の製造工程を模式的に示す図である。 実施形態に係る光学積層体の製造工程を模式的に示す図である。 実施形態に係るタッチパネル付き画像表示装置の概略構成図である。
以下、本発明の実施形態に係る光学積層体の水接触角制御方法および保護フィルム付き光学積層体について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「積層体」、「シート」、「フィルム」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「積層体」は、フィルムやシートとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられる。また、本明細書における「光透過性」とは、光を透過させる性質を意味し、例えば、全光線透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることを含む。図1および図2は本実施形態に係る光学積層体の製造工程を概略構成図である。
<<<光学積層体の水接触角制御方法および保護フィルム付き光学積層体>>>
まず、図1(A)に示されるように、光透過性基材11と、光透過性基材11の少なくとも片面側に形成されたハードコート層12とを備える光学積層体を用意する。
<<光透過性基材>>
光透過性基材11としては、光透過性を有すれば特に限定されないが、例えば、セルロースアシレート基材、シクロオレフィンポリマー基材、ポリカーボネート基材、アクリル基材、ポリエステル基材、またはガラス基材が挙げられる。
セルロースアシレート基材としては、例えば、トリアセチルセルロース基材、ジアセチルセルロース基材が挙げられる。トリアセチルセルロース基材は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な基材である。トリアセチルセルロース基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
なお、トリアセチルセルロース基材としては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であってもよい。また、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、紫外線吸收剤、易滑剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
シクロオレフィンポリマー基材としては、例えばノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンモノマー等の重合体からなる基材が挙げられる。
ポリカーボネート基材としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート基材、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート基材等が挙げられる。
アクリル基材としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル基材、ポリ(メタ)アクリル酸エチル基材、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体基材等が挙げられる。
ポリエステル基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする基材等が挙げられる。
ガラス基材としては、例えば、ソーダライムシリカガラス、ホウ珪酸塩ガラス、無アルカリガラス等のガラス基材が挙げられる。
これらの中でも、光透過性基材におけるハードコート層側の面とは反対側の面に偏光板を張り合わせる際の取り扱い性が容易であり、またハードコート層の一部を光透過性基材に浸透させることで密着性等を向上させることができることからトリアセチルセルロース基材が好ましい。
光透過性基材11の厚みは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下とすることが可能であり、光透過性基材11の厚みの下限はハンドリング性等の観点から15μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。光透過性基材11の厚みの上限は薄膜化の観点から80μm以下であることが好ましい。
<<ハードコート層>>
ハードコート層12は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を有する層である。鉛筆硬度を「H」以上とすることにより、光学積層体が硬くなり、耐久性を向上させることができる。なお、ハードコート層の靱性およびカールの防止の観点から、ハードコート層12の表面の鉛筆硬度の上限は4H程度程とすることが好ましい。
ハードコート層12の膜厚は1μm以上10μm以下であることが好ましい。ハードコート層12の膜厚がこの範囲であれば、所望の硬度を得ることができるとともに、ハードコート層の薄膜化を図ることができる。ハードコート層の膜厚は、ハードコート層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより求めることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡の画像を用い、1画像の中で3箇所ハードコート層の膜厚を計測し、これを5画像分行い、計測された膜厚の平均値を算出する。
ハードコート層12の膜厚の下限は、ハードコート層の割れを抑制する観点から、8μm以下であることがより好ましい。また、ハードコート層の薄膜化を図る一方で、カールの発生を抑制する観点から、ハードコート層12の膜厚は0.5μm以上5.0μm以下であることがさらに好ましい。
ハードコート層12の屈折率は、1.50以上1.60以下であってもよい。ハードコート層12の屈折率の下限は、1.52以上であってもよく、ハードコート層12の屈折率の上限は、1.56以下であってもよい。光透過性基材11とハードコート層12との屈折率差は、干渉縞をより不可視化する観点から、0.10以内とすることが好ましく、0.06以内とすることがより好ましい。
ハードコート層12の屈折率は、単独の層を形成した後、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)やエリプソメータによって測定できる。また、光学積層体となった後に屈折率を測定する方法としては、ハードコート層12をカッターなどで削り取り、粉状態のサンプルを作製し、JIS K7142(2008)B法(粉体または粒状の透明材料用)に従ったベッケ法(屈折率が既知のカーギル試薬を用い、前記粉状態のサンプルをスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に試薬を滴下し、試薬でサンプルを浸漬する。その様子を顕微鏡観察によって観察し、サンプルと試薬の屈折率が異なることによってサンプル輪郭に生じる輝線(ベッケ線)が目視で観察できなくなる試薬の屈折率を、サンプルの屈折率とする方法)を用いることができる。
ハードコート層12は、少なくとも樹脂から構成することが可能である。なお、ハードコート層12は、樹脂の他に、レベリング剤、粒子、および水接触角低下材を含んでいてもよい。
<樹脂>
樹脂としては、特に限定されないが、重合性化合物の重合物(硬化物、架橋物)を含むものが挙げられる。樹脂は、重合性化合物の重合物の他、溶剤乾燥型樹脂を含んでいてもよい。重合性化合物としては、電離放射線重合性化合物の重合物(架橋物)および/または熱重合性化合物が挙げられる。
電離放射線重合性化合物は、電離放射線重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における、「電離放射線重合性官能基」とは、電離放射線照射により重合反応し得る官能基である。電離放射線重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、電離放射線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。
電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマー、電離放射線重合性オリゴマー、または電離放射線重合性ポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマーと、電離放射線重合性オリゴマーまたは電離放射線重合性ポリマーとの組み合わせが好ましい。
(電離放射線重合性モノマー)
電離放射線重合性モノマーとしては、電離放射線重合性官能基を2つ(すなわち、2官能)以上有する多官能モノマーが好ましい。本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。
2官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも硬度が高いハードコート層を得る観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が好ましい。
(光重合性オリゴマー)
光重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましい。多官能オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、 ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(光重合性プレポリマー)
光重合性プレポリマーの重量平均分子量としては10000以上80000以下が好ましく、10000以上40000以下がより好ましい。重量平均分子量が80000を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光学積層体の外観が悪化するおそれがある。上記多官能プレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
熱重合性化合物としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
溶剤乾燥型樹脂は、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂である。溶剤乾燥型樹脂を添加した場合、ハードコート層を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
<レベリング剤>
レベリング剤とは、ハードコート層の表面張力が不均一となることによって生じる、ハジキ、凹み、ピンホール、ユズハダ等の欠陥を防止し、表面を滑らかにする添加剤を意味する。レベリング剤は、特に限定されないが、ポリエーテル基、ポリウレタン基、エポキシ基、カルボキシル基、アクリレート基、メタクリレート基、カルビノール基又は水酸基を有する化合物である。上記レベリング剤は、ポリエーテル基、ポリウレタン基、エポキシ基、カルボキシル基、アクリレート基、メタクリレート基、カルビノール基又は水酸基を主鎖の末端(片末端、両末端)に有していてもよく、側鎖に有していてもよく、主鎖の末端及び側鎖に有していてもよい。レベリング剤としては、ポリエーテル基、ポリウレタン基、エポキシ基、カルボキシル基、アクリレート基、メタクリレート基、カルビノール基又は水酸基を有する化合物であれば、特に限定されず、例えば、シリコーン系、フッ素系、シリコーン/フッ素混合系、アクリル系、メタクリル系、芳香族系のレベリング剤を挙げることができる。
これらの中でも、レベリング性の観点から、フッ素系レベリング剤が好ましい。フッ素系レベリング剤としては、DIC社製のF477、F568やネオス社製のフタージェント212M等が挙げられる。
レベリング剤の含有量は、後述するハードコート層用組成物中の重合性化合物100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましい。レベリング剤の含有量をこの範囲内にすることにより、ハードコート層の表面の平坦性を充分に確保することができる。
<粒子>
粒子は、無機粒子、有機粒子、またはこれらの混合物であってもよい。無機粒子としては、例えば、シリカ(SiO)粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、酸化スズ粒子、アンチモンドープ酸化スズ(略称:ATO)粒子、酸化亜鉛粒子等の無機酸化物粒子が挙げられる。
有機粒子としては、例えば、プラスチック粒子を挙げることができる。プラスチック粒子としては、具体例としては、ポリスチレン粒子、メラミン樹脂粒子、アクリル粒子、アクリル−スチレン共重合体粒子、シリコーン粒子、ベンゾグアナミン粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合粒子、ポリカーボネート粒子、ポリエチレン粒子等が挙げられる。
<水接触角低下材>
水接触角低下材は、ハードコート層の表面における水に対する接触角を低下させるための材料である。水接触角低下材は、親水性を有すれば、特に限定されないが、水接触角低下材としては、親水基を有する材料が挙げられる。親水基としては、例えば、第4級アンモニウム塩基、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アミド基、カルボニル基、ポリオキシメチレン基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基が挙げられる。水接触角低下材の中でも、水接触角低下材の表面に析出しやすい観点から帯電防止剤が好ましい。
(帯電防止剤)
帯電防止剤としては、公知の帯電防止剤を使用することが可能である。帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩基、ピリジニウム塩基や第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン型帯電防止剤;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン型帯電防止剤;アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性イオン型帯電防止剤;アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体等のノニオン型帯電防止剤;導電性ポリマー;アルカリ金属塩;イオン性液体等が挙げられる。このような帯電防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光透過性基材11の少なくとも片面側に、ハードコート層12を形成するためには、例えば、まず、光透過性基材11の片面に、少なくとも重合性化合物を含むハードコート層用組成物を塗布する。次いで、塗膜状のハードコート層用組成物を乾燥させるために加熱されたゾーンに搬送し、各種の公知の方法でハードコート層用組成物を乾燥させ溶剤を蒸発させる。その後、塗膜状のハードコート層用組成物に紫外線等の光を照射して、または熱を加えて、重合性化合物を重合(架橋)させることによりハードコート層用組成物を硬化させて、ハードコート層12を形成する。
ハードコート層用組成物を塗布する方法としては、スピンコート、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
ハードコート層用組成物を硬化させる際の光として、紫外線を用いる場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる紫外線等が利用できる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
ハードコート層用組成物には、必要に応じて、上記粒子、上記レベリング剤、溶剤、重合開始剤を添加してもよい。さらに、ハードコート層用組成物には、ハードコート層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、または屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
<溶剤>
溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘプタノン、ジエチルケトン等)、エーテル類(1,4−ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテルジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、またはこれらの混合物が挙げられる。
<重合開始剤>
重合開始剤は、光または熱により分解されて、ラジカルやイオン種を発生させて重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。
重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、電離放射線重合性化合物がエチレン性不飽和基を有する化合物である場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。
ハードコート層用組成物における重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の含有量をこの範囲内にすることにより、ハードコート性能が充分に保つことができ、かつ硬化阻害を抑制できる。
光学積層体を用意した後、図1(B)に示されるように、ハードコート層12の表面12Aに保護フィルム13を剥離可能に貼り付ける。これにより、保護フィルム付き光学積層体14を得ることができる。
保護フィルム13は、基材フィルム15と、基材フィルム15の一方の面に設けられた粘着層16とを備えており、保護フィルム13は粘着層16によってハードコート層12の表面12Aに対し剥離可能に貼り付けられる。保護フィルム13をハードコート層12の表面12Aに貼り付けることにより、光学積層体に鹸化処理を施した際における水残りを抑制し、またハードコート層12に汚れが付着するのを抑制することができる。
<<基材フィルム>>
基材フィルム15は、光透過性であってもよいが、表示パネルに光学積層体を組み込む際には、保護フィルム13は剥離されるので、光透過性でなくともよい。基材フィルム15としては、特に限定されないが、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム)、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム、セルロースジアセテートフィルム)、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリメタクリル酸メチルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム等が挙げられる。これらの中でも、透明性や張り合わせ時のハンドリング性能の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
基材フィルム15の厚みは、特に限定されないが、16μm以上100μm以下とすることが可能であり、基材フィルム15の厚みの下限は透明性や光学積層体10との張り合わせ時のハンドリング性能の観点から25μm以上が好ましく、38μm以上がより好ましい。基材フィルム15の厚みの上限は光学積層体10との張り合わせ時のハンドリング性能の観点から50μm以下であることが好ましい。
<<粘着層>>
粘着層16は、保護フィルムを剥離することによりハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角を増大させる水接触角増大材を含むものである。粘着層16がハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角を増大させる水接触角増大材を含むことにより、保護フィルム13の剥離の際に、水接触角増大材がハードコート層12の表面12Aに移行し、またはハードコート層の表面に存在する帯電防止剤が粘着層側に移行して、これによりハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角を増大させることができる。
<水接触角増大材>
水接触角増大材は、保護フィルムの剥離後におけるハードコート層の表面の水に対する接触角を、保護フィルムを貼り付ける前のハードコート層の表面の水に対する接触角よりも大きくする材料である。本明細書においては、保護フィルムの剥離後におけるハードコート層の表面の水に対する接触角が保護フィルムを貼り付ける前のハードコート層の表面の水に対する接触角よりも大きければ、保護フィルムの粘着層が水接触角増大材を含んでいると判断する。
水接触角増大材は、粘着層16に添加された粘着性を有しない添加剤および/または粘着層16を構成する粘着剤であってもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系材料、フッ素系材料、およびフッ素シリコーン系材料からなる群から選択される1以上の材料が好ましい。シリコーン系材料としてはシリコーン系レベリング剤等が挙げられ、フッ素系材料としてはフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
粘着層16は、水接触角増大材として機能する粘着剤のみ、または水接触角増大材と、水接触角増大材として機能しない粘着剤とから構成されていてもよい。水接触角増大材が粘着剤である場合、粘着剤としては、ハードコート層12の表面12Aにおける水に対する接触角を増大させる機能を有すれば、特に限定されない。
粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤、酢酸ビニル/塩化ビニル系粘着剤、変性ポリオレフィン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、フッ素系粘着剤、ゴム系粘着剤、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、保護フィルムとして機能する適度な粘着力を有しているが、剥離強度が比較的小さく、ハードコート層からの剥離が容易であること、ハードコート層の表面に移行した場合において、ボンディング用途として使用されても、屈折率が光透過性接着層およびハードコート層の屈折率と大きな差がないために目立ちにくく、また保護フィルムの光透過性基材の選択肢が多く、かつ透明性のあるポリエチレンテレフタレート基材を用いることができる観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
(アクリル系粘着剤)
アクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明では、上記アクリル酸エステルの中でも、アクリル酸−n−ブチル及びアクリル酸−2−エチルヘキシルが、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、透明性に優れる点において好ましい。他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチル、メタクリル酸−n−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系粘着剤として用いられるアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、80万以上200万以下の範囲内であることが好ましく、100万以上150万以下であることがより好ましい。重量平均分子量が80万未満であると、粘着層が軟らかくなり、基材フィルムの変形には十分追従するが、高温多湿の長期条件下で繰り返される内部応力に耐えることができず粘着層に内部破壊が生じるおそれがある。また、アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が200万を超えると粘着層が硬くなり浮きが生じるおそれがある。
(ウレタン系粘着剤)
ウレタン系粘着剤としては、ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン樹脂からなるものが挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
(ゴム系粘着剤)
ゴム系粘着剤としては、主成分として、例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
ハードコート層12に保護フィルム13を貼り付けた後、図2(A)に示されるように、ハードコート層12から保護フィルム13を剥離する。これにより、ハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角が保護フィルム13の貼り付け前におけるハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角よりも大きくなり、図2(B)に示される光学積層体10を得ることができる。
ハードコート層の防汚性の観点から、保護フィルム13の剥離後におけるハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角は保護フィルム13の貼り付け前におけるハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角より5°以上大きいことが好ましく、7°大きいことがより好ましい。ハードコート層の表面における水に対する接触角は、以下のようにして測定することができる。まず、接触角測定装置(製品名「Drop Master500」、協和界面化学株式会社製)を用いて、1μLの水をハードコート層の表面に滴下した後、10秒後の接触角を1秒間隔で10点測定し、それらの平均値を算出する。そして、同一の操作を、位置を変えて3回行い、平均値により水に対する接触角を算出する。
保護フィルム13の剥離後におけるハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角は、65°以上となっている。この接触角が65°以上であることにより、ボンディング用途のハードコート層であっても、クリアハードコート層の用途としても用いることができる。
保護フィルム13を貼り付ける前のハードコート層12の表面12Aにおける水に対する接触角は、65°未満となっていることが好ましく、60°以下となっていることが好ましい。保護フィルム13の剥離後におけるハードコート層12の表面12Aにおける水に対する接触角は、後工程の加工条件等を工夫すればボンディング用途にも適用でき、またクリアハードコート層用途においても適度な防汚性を発揮させる観点から95°以下となっていることが好ましい。保護フィルム13の剥離後におけるハードコート層12の表面12Aにおける水に対する接触角は、ボンディング用途において容易に加工できる観点から80°以下となっていることが好ましい。
光学積層体10の透明性維持の観点から、保護フィルム13を剥離した後の光学積層体10のヘイズ値(%)は、保護フィルム13を貼り付ける前の光学積層体のヘイズ値(%)と比べて変化がないことが好ましい。本明細書において、「変化がない」とは、保護フィルム剥離後の光学積層体のヘイズ値(%)が、保護フィルムを貼り付ける前の光学積層体のヘイズ値(%)の±0.5%未満であることを意味する。ヘイズ値は、JIS K7136:2000に従って、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて測定するものとする。保護フィルム13を剥離した後の光学積層体10のヘイズ値(%)は、保護フィルム13を貼り付ける前の光学積層体のヘイズ値(%)の±0.3%未満であることが好ましい。
本実施形態においては、粘着層16が、ハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角を増大させる水接触角増大材を含んでいるので、ハードコート層12の表面12Aに保護フィルム13を剥離可能に貼り付けて、その後ハードコート層12の表面12Aから保護フィルム13を剥離したとき、保護フィルム13の剥離後におけるハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角を保護フィルム13の貼り付け前におけるハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角よりも大きくでき、また保護フィルム13の剥離後におけるハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角65°以上とすることができる。これは、理由は定かではないが、ハードコート層から保護フィルムを剥離すると、水接触角増大材が粘着剤である場合や粘着剤でない場合であっても、保護フィルムの粘着層中の水接触角増大材の一部が、ハードコート層の表面に移行するために、保護フィルム13の剥離後におけるハードコート層の表面における水に対する接触角が大きくなると考えられる。また、粘着層に含まれる水接触角増大材が粘着剤であって、ハードコート層が水接触角低下材を含む場合には、保護フィルムを剥離すると、粘着剤の一部がハードコート層の表面に移行するとともに、粘着層残存する粘着剤がハードコート層の表面に存在する水接触角低下材を粘着して引き剥がすために保護フィルム13の剥離後におけるハードコート層12の表面12Aにおける水に対する接触角が大きくなると考えられる。一般的には、保護フィルムは、ハードコート層の表面を保護するためのものであるので、保護フィルムを剥離したとき、ハードコート層の表面に粘着層の成分が付着することは好ましくないのが技術常識である。したがって、あえて粘着層の成分をハードコート層の表面に付着させることによって、ハードコート層の表面における水に対する接触角を大きくするという本発明の効果は当業者が予期せぬ効果であると言える。
従来から、ハードコート層の表面には、鹸化処理前に保護フィルムが貼り付けられることがあるが、本実施形態においては、保護フィルム13を利用して、ハードコート層12の表面12Aの水に対する接触角を制御しているので、別途特殊な部材等を必要とせず、簡易な方法で、ハードコート層12の表面12Aにおける水に対する接触角を制御することができる。
本実施形態における光学積層体10は、ボンディング用途およびクリアハードコート層用途の両方に適用できるので、生産性に優れる。
本実施形態の光学積層体10においては、保護フィルム13によって接触角を制御できるので、同じハードコート層であっても用途毎に所望の接触角に変えることができる。これにより、コスト低減を図ることができる。
このような光学積層体10は、例えば、タッチパネル付き画像表示装置やタッチパネルを備えない画像表示装置に組み込んで使用することが可能である。図3は、タッチパネル付き画像表示装置の概略構成図である。
<<<タッチパネル付き画像表示装置>>>
図3に示されるように、タッチパネル付き画像表示装置20は、主に、画像を表示するための表示パネル30と、表示パネル20の背面側に配置されたバックライト装置40と、表示パネル30よりも観察者側に配置されたタッチパネル50と、表示パネル30とタッチパネル50との間に介在した光透過性接着層60とを備えている。本実施形態においては、表示パネル30が液晶表示パネルであるので、タッチパネル付き表示装置20がバックライト装置40を備えているが、表示パネル(表示素子)の種類によってはバックライト装置40を備えていなくともよい。
<<表示パネル>>
表示パネル30は、図3に示されるように、バックライト装置40側から観察者側に向けて、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)等の保護フィルム31、偏光素子32、位相差フィルム33、透明粘着層34、表示素子35、透明粘着層36、位相差フィルム37、偏光素子38、光学積層体10の順に積層された構造を有している。表示パネル30は、表示素子35と、表示素子35よりも観察者側に配置された光学積層体10とを備えていればよく、保護フィルム31等は備えていなくともよい。
位相差フィルム33、37としては、トリアセチルセルロースフィルムやシクロオレフィンポリマーフィルムが挙げられる。位相差フィルム37は、保護フィルム31と同一であってもよい。透明粘着層34、36を構成する透明粘着剤としては、感圧接着剤(PSA)が挙げられる。
表示素子35は液晶表示素子である。ただし、表示素子は液晶表示素子に限られず、例えば、有機EL表示素子であってもよい。液晶表示素子は、2枚のガラス基材間に、液晶層、配向膜、電極層、カラーフィルタ等を配置したものである。
偏光素子38としては、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等が挙げられる。光学積層体10と偏光素子38とを積層する際には、予め光学積層体10に鹸化処理を施すことが好ましい。光学積層体10に鹸化処理を施すことによって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
光学積層体10は、表示素子35よりも観察者側に配置され、かつ光透過性基材11よりハードコート層12が観察者側に位置するように配置されている。光学積層体10の観察者側の表面(ハードコート層12の表面12A)は光透過性接着層60に接している。
<<バックライト装置>>
バックライト装置40は、表示パネル30の背面側から表示パネル30を照明するものである。バックライト装置40としては、公知のバックライト装置を用いることができ、またバックライト装置40はエッジライト型や直下型のバックライト装置のいずれであってもよい。
<<タッチパネル>>
タッチパネル50は、センサ部70と、センサ部70より観察者側に配置されたカバーガラス80と、センサ部70とカバーガラス80とを固定するための透明粘着層81と、を備えている。タッチパネル50は、センサ部70を備えていればよく、カバーガラス80、透明粘着層81を備えていなくともよい。
<センサ部>
センサ部70は、タッチパネル50のセンサとして機能する部分である。センサ部70としては、特に限定されないが、例えば、投影型静電容量方式に用いられるセンサが挙げられる。図3に示されるセンサ部70は、パターニングされた導電層72が設けられた基材フィルム71と、パターニングされた導電層73が設けられた基材フィルム71とを、透明粘着層74を介して積層した構造となっている。
(基材フィルム)
図3に示される基材フィルム71は、光透過性基材75と、光透過性基材75の一方の面上に設けられたハードコート層76と、ハードコート層76上に設けられた高屈折率層77と、高屈折率層77上に設けられた低屈折率層78と、透明基材75の他方の面上に積層されたハードコート層79とを備えている。
基材フィルム71の代わりに、光透過性基材と、光透過性基材の一方の面上に設けられたハードコート層と、ハードコート層上に設けられた高屈折率層と、高屈折率層上に設けられた低屈折率層と、光透過性基材の他方の面上に設けられたハードコート層と、ハードコート層上に設けられた高屈折率層と、この高屈折率層上に積層された低屈折率層とを備えた基材フィルムを用いてもよい。この場合、基材フィルムの両面に存在する低屈折率層上にそれぞれパターニングされた導電層を設ける。
光透過性基材75、ハードコート層76、79、高屈折率層77、および低屈折率層78としては、通常のタッチパネルセンサに用いられている光透過性基材、ハードコート層、高屈折率層、および低屈折率層を用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。
(導電層)
導電層72、73の形状は特に限定されないが、例えば、正方形状やストライプ状が挙げられる。導電層72、73は取出パターン(図示せず)を介して端子部(図示せず)に接続されている。導電層72、73は、透明導電材料から構成された例を示しているが、導電層はメッシュ状の導線から構成することが可能である。透明導電材料としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛、酸化インジウム(In)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化スズ、酸化亜鉛−酸化スズ系、酸化インジウム−酸化スズ系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物等が挙げられる。導線の材料としては、銀、銅、アルミニウム、またはこれらの合金等の遮光性のある金属材料が挙げられる。
導電層72、73の膜厚は、電気抵抗の仕様などに応じて適宜設定されるが、例えば10nm以上50nm以下であることが好ましい。
導電層72、73の形成方法は、特には限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、塗工法、印刷法などを用いることができる。導電層をパターニングする方法としては、例えばフォトリソグラフィー法が挙げられる。
導電層がメッシュ状の導線から構成されている場合、導線の幅は1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上15μm以下であることがより好ましい。これによって、観察者が視認する画像に対して導線が及ぼす影響を、無視可能な程度まで低くすることができる。
導電層がメッシュ状の導線から構成されている場合、導電層は導線によって形成された例えば矩形状の開口部を有している。導電層の開口率は、表示装置からの放出される映像光の特性などに応じて適宜設定されるが、例えば、80%以上90%以下の範囲内にある。また、開口部の配置ピッチは、求められる開口率や導線の幅の値に応じて、100μm以上1000μm以下の範囲内で適宜設定される。
<<光透過性接着層>>
光透過性接着層60は、表示パネル30とタッチパネル50との間に介在し、かつ表示パネル30とタッチパネル50の両方に接着されている。これにより、表示パネル30とタッチパネル50とが固定されている。光透過性接着層60は、硬化性樹脂前駆体を含む液状の硬化性接着層用組成物(例えば、OCR:optically clear resin)の硬化物から構成されている。
光透過性接着層60によって、表示パネル30とタッチパネル50とを固定する際には、まず、ハードコート層12の表面12Aに液体状の硬化性接着層用組成物を塗布して、硬化性接着層用組成物の塗膜を形成する。次いで、タッチパネル50を介して硬化性接着層用組成物の塗膜に光を照射して、または熱を加えて、この塗膜を硬化させる。これにより、光透過性接着層60が形成されるとともに、表示パネル30とタッチパネル50が光透過性接着層60を介して一体化され、固定される。
光透過性接着層60の膜厚は、30μm以上300μm以下であることが好ましい。光透過性接着層60の膜厚がこの範囲であれば、密着性を確保しつつ、画像表示装置の輝度を向上させることができる。光透過性接着層の膜厚は、光透過性接着層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより求めることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡の画像を用い、1画像の中で3箇所光透過性接着層の膜厚を計測し、これを5画像分行い、計測された膜厚の平均値を算出する。
図3においては、光学積層体10よりも観察者側には、光透過性接着層60やタッチパネル30が配置されているが、保護フィルム13の剥離後におけるハードコート層12の表面12の水に対する接触角は65°以上となっているので、光透過性接着層60やタッチパネル30が配置されていない画像表示装置に光学積層体10を組み込むことも可能である。この場合、ハードコート層12は、クリアハードコート層として機能する。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。なお、下記の「固形分100%換算値」とは、溶剤希釈品中の固形分を100%としたときの値である。
<ハードコート層用組成物>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用組成物等を得た。
(ハードコート層用組成物1)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬社製):100質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):4質量部
・レベリング剤(製品名「フタージェント212M」、ネオス社製):0.5質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK)およびメチルエチルケトン(MEK)の混合物(MIBK/MEK=50/50):156.8質量部
<粘着層用組成物>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、粘着層用組成物等を得た。
(粘着層用組成物1)
・アクリル酸エステル共重合樹脂(製品名「アロンタックSCL−200」、東亜合成化学社製、固形分40%):10質量部
・シリコーン系レベリング剤(製品名「10−28」、大日精化工業社製):0.15質量部
・トルエン:10質量部
・酢酸エチル:10質量部
(粘着層用組成物2)
・アクリル酸エステル共重合樹脂(製品名「アロンタックSCL−200」、東亜合成化学社製、固形分40%):10質量部
・フッ素系界面活性剤(製品名「フタージェント601ADH2」、ネオス社製):0.15質量部
・トルエン:10質量部
・酢酸エチル:10質量部
(粘着層用組成物3)
・アクリル酸エステル共重合樹脂(製品名「アロンタックSCL−200」、東亜合成化学社製、固形分40%):10質量部
・フッ素シリコーン系材料(製品名「KP−911」、信越シリコーン社製):0.15質量部
・トルエン:10質量部
・酢酸エチル:10質量部
(粘着層用組成物4)
粘着層用組成物4として、溶剤型ゴム系粘着剤(製品名「オリバインBPS3757−1」、東洋インキ社製)を用いた。
(粘着層用組成物5)
・アクリル酸エステル共重合樹脂(製品名「アロンタックSCL−200」、東亜合成化学社製、固形分40%):10質量部
・トルエン:10質量部
・酢酸エチル:10質量部
(粘着層用組成物6)
粘着層用組成物6として、ウレタン系粘着剤(製品名「オリバインSH−101」、東洋インキ社製)を用いた。
<実施例1>
まず、光透過性基材としての厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルム(製品名「TD60UL」、富士フイルム社製)を準備し、トリアセチルセルロースフィルムの片面に、ハードコート層組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.5m/sの流速で50℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、ハードコート層としての5μm厚み(硬化時)のハードコート層を形成した。
一方で、厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、粘着層用組成物1を塗布して、膜厚20μmの粘着層を形成し、これにより保護フィルムを形成した。
次いで、ハードコート層におけるトリアセチルセルロースフィルム側の面とは反対側の面に、ハードコート層と粘着層が密着するように、保護フィルムを貼り付けた。これにより、保護フィルム付き光学積層体を作製した。最後に、ハードコート層の表面から保護フィルムを剥離して、光学積層体を得た。
<実施例2>
実施例2においては、粘着層用組成物1の代わりに粘着層用組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学積層体を作製した。
<実施例3>
実施例3においては、粘着層用組成物1の代わりに粘着層用組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学積層体を作製した。
<実施例4>
実施例4においては、粘着層用組成物1の代わりに粘着層用組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学積層体を作製した。
<実施例5>
実施例5においては、粘着層用組成物1の代わりに粘着層用組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学積層体を作製した。
<比較例1>
比較例1においては、粘着層用組成物1の代わりに粘着層用組成物6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学積層体を作製した。
<水に対する接触角測定>
実施例および比較例で得られた光学積層体において、以下のようにして、水に対する接触角を測定した。具体的には、保護フィルムを貼り付け前の光学積層体と、保護フィルムを剥離した後の光学積層体において、接触角測定装置(製品名「Drop Master500」、協和界面化学株式会社製)を用い、それぞれ1μLの水をハードコート層の表面に滴下した後、10秒後の接触角を1秒間隔で10点測定し、それらの平均値を算出した。同一の操作を、位置を変えて3回行い、平均値により水に対する接触角を算出した。
<外観評価>
実施例および比較例で得られた光学積層体において、ヘイズ値を測定し、保護フィルムを剥離した後の光学積層体が保護フィルムを貼り付ける前の光学積層体に比べてヘイズ値が変化しているか否か、また保護フィルムを剥離した後の光学積層体におけるハードコート層の表面の様子を目視により観察し、評価した。評価基準は以下の通りとした。ヘイズ値は、JIS K7136:2000に従って、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて測定し、保護フィルムを剥離した後の光学積層体のヘイズ値(%)が保護フィルムを貼り付ける前の光学積層体のヘイズ値(%)の±0.5%未満であれば、ヘイズ値の変化が確認されなかったとし、保護フィルムを剥離した後の光学積層体のヘイズ値(%)が保護フィルムを貼り付ける前の光学積層体のヘイズ値(%)の±0.5%以上変化していれば、ヘイズ値の変化が確認されたとした。
○:ヘイズ値の変化および外観汚れ等の欠陥が確認されず、またはヘイズ値の変化や外観汚れ等の欠陥が若干確認されたが、実用上問題のないレベルであった。
×:ヘイズ値の変化や外観汚れ等の欠陥が明確に確認された。
<防汚性評価>
実施例および比較例で得られた光学積層体において、保護フィルムの剥離後におけるハードコート層の表面の防汚性を評価した。防汚性評価は、10人の被験者が、ハードコート層の表面に10秒間、各々自己の親指指紋を密着させ、その後、ワイパー(製品名「アズピュアプロプレアII、アズワン社製)で拭き取り、各々自己の指紋が拭き取れたか否かを確認することにより行った。評価基準は以下の通りとした。
○:指紋が拭き取れたと評価した被験者が7人以上であった。
×:指紋が拭き取れたと評価した被験者が6人以下であった。
以下、結果を表1に示す。
Figure 0006772564
比較例1に係る光学積層体においては、保護フィルムの剥離前よりも保護フィルムの剥離後の方が、水に対する接触角が大きくなったが、接触角は、65°以上となっていなかった。これに対し、実施例1〜5に係る光学積層体においては、保護フィルムの剥離前よりも保護フィルムの剥離後の方が、水に対する接触角が大きくなり、また接触角は65°以上となっていた。
実施例1〜5に係る光学積層体においては、ヘイズ値の変化、外観汚れ等の欠陥および平坦性低下が確認されなかった、またはヘイズ値の変化、外観汚れ等の欠陥や平坦性低下が若干確認されたが、実用上問題のないレベルであったので、透明性に影響を与えずに、水に対する接触角を増大させることができた。
実施例4、実施例5および比較例1で用いられた保護フィルム付き光学積層体において、保護フィルムを剥離する際の剥離性について調べたところ、実施例4で用いられた保護フィルムおよび実施例5で用いられた保護フィルムは共に保護フィルムとして機能する適度な粘着力を有していたとともに、実施例5で用いられた保護フィルム付き光学積層体の方が実施例4で用いられた保護フィルム付き光学積層体よりも保護フィルムを容易に剥離できた。したがって、粘着剤としてアクリル粘着剤を用いた方が、ゴム系粘着剤よりも容易にハードコート層から保護フィルムを剥離することができることが確認された。なお、比較例1で用いられた保護フィルム付き光学積層体においては、粘着剤としてウレタン系粘着剤を用いているので、粘着力が弱く、ハードコート層から容易に剥がれてしまった。
10…光学積層体
11…光透過性基材
12…ハードコート層
13…保護フィルム
14…保護フィルム付き光学積層体
15…基材フィルム
16…粘着層
20…タッチパネル付き画像表示装置
30…表示パネル
35…表示素子
40…バックライト装置
50…タッチパネル
60…光透過性接着層

Claims (6)

  1. 光透過性基材と、前記光透過性基材の少なくとも片面側に設けられたハードコート層とを備える光学積層体の水に対する接触角を制御する光学積層体の水接触角制御方法であって、
    光透過性基材の少なくとも片面側に形成されたハードコート層の表面に、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面に設けられ、かつ前記ハードコート層の表面の水に対する接触角を増大させる水接触角増大材を含む粘着層とを備える保護フィルムを前記粘着層によって剥離可能に貼り付ける工程と、
    前記ハードコート層から前記保護フィルムを剥離して、前記保護フィルムの剥離後における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角を前記保護フィルムの貼り付け前における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角よりも大きくして、前記保護フィルムの剥離後における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角を65°以上95°以下とする工程と
    を備える、光学積層体の水接触角制御方法。
  2. 前記保護フィルムの剥離後における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角が前記保護フィルムの貼り付け前における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角より5°以上大きい、請求項1に記載の光学積層体の水接触角制御方法。
  3. 前記水接触角増大材が、シリコーン系材料、フッ素系材料、およびフッ素シリコーン系材料からなる群から選択される1以上の材料である、請求項1に記載の光学積層体の水接触角制御方法。
  4. 光学積層体と、前記光学積層体に剥離可能に貼り付けられた保護フィルムとを備える保護フィルム付き光学積層体であって、
    前記光学積層体が、光透過性基材と、前記光透過性基材の少なくとも片面側に設けられたハードコート層とを備え、
    前記保護フィルムが、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面に設けられ、前記ハードコート層の表面の水に対する接触角を増大させる水接触角増大材を含み、かつ前記ハードコート層の表面に貼り付いた粘着層とを備え、
    前記保護フィルムを前記光学積層体から剥離したときに、前記保護フィルムの剥離後における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角が、前記保護フィルムの貼り付け前における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角より大きく、かつ前記保護フィルムの剥離後における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角が65°以上95°以下となる、保護フィルム付き光学積層体。
  5. 前記保護フィルムの剥離後における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角が前記保護フィルムの貼り付け前における前記ハードコート層の表面の水に対する接触角より5°以上大きい、請求項4に記載の保護フィルム付き光学積層体。
  6. 前記水接触角増大材が、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤、およびフッ素シリコーン系粘着剤からなる群から選択される1以上の材料である、請求項4に記載の保護フィルム付き光学積層体。
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