[ニュートンリング防止フィルム]
ニュートンリング防止フィルム(アンチニュートンリングフィルム)は、少なくともアンチニュートンリング層で構成されており、このアンチニュートンリング層の相分離構造は、液相からのスピノーダル分解(湿式スピノーダル分解)により形成されている。すなわち、ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶媒とで構成された樹脂組成物を用い、この樹脂組成物の液相(又は均一溶液やその塗布層)から、溶媒を乾燥などにより蒸発又は除去する過程で、濃縮に伴って、スピノーダル分解による相分離が生じ、相間距離が比較的規則的な相分離構造を形成できる。より具体的には、前記湿式スピノーダル分解は、通常、1又は複数のポリマーと1又は複数の硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む混合液又は樹脂組成物(均一溶液)を支持体にコーティングし、形成された塗布層から溶媒を蒸発させることにより行うことができる。前記支持体として剥離性支持体を用いる場合には、硬化した塗布層を支持体から剥離することによりアンチニュートンリング層単独で構成されたニュートンリング防止フィルムを得ることができ、支持体として非剥離性支持体(好ましくは透明支持体)を用いることにより、支持体とアンチニュートンリング層とで構成された積層構造のニュートンリング防止フィルムを得ることができる。
(ポリマー成分)
ポリマー成分としては、通常、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの熱可塑性樹脂のうち、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが好ましい。樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂が好ましく、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、セルロース誘導体が特に好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体などが使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、前記スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸イソボルニルなどが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。さらに、(メタ)アクリル系樹脂は、シリコーン含有(メタ)アクリル系樹脂であってもよい。
セルロース誘導体としては、セルロースエステル類、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC1−6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)などが例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。セルロース誘導体には、セルロースカーバメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(例えば、シアノエチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロースなどのC1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロースなど)なども含まれる。
これらのうち、セルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2−4アルキルカルボン酸エステル類)が好ましい。
ポリマー成分としては、硬化反応に関与する官能基(又は硬化性化合物と反応可能な官能基)を有するポリマーを用いることもできる。前記ポリマーは、官能基を主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。前記官能基は、共重合や共縮合などにより主鎖に導入されてもよいが、通常、側鎖に導入される。このような官能基としては、縮合性基や反応性基(例えば、ヒドロキシル基、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基又はイミノ基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基など)、重合性基(例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、アリルなどのC2−6アルケニル基、エチニル、プロピニル、ブチニルなどのC2−6アルキニル基、ビニリデンなどのC2−6アルケニリデン基、又はこれらの重合性基を有する基((メタ)アクリロイル基など)など)などが挙げられる。これらの官能基のうち、重合性基が好ましい。
重合性基を側鎖に導入する方法としては、例えば、反応性基や縮合性基などの官能基を有する熱可塑性樹脂と、前記官能基との反応性基を有する重合性化合物とを反応させる方法を用いることができる。
官能基を有する熱可塑性樹脂としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂、ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂、アミノ基を有する熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド系樹脂など)、エポキシ基を有する熱可塑性樹脂などが例示できる。
重合性化合物としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂の場合は、エポキシ基やヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基などを有する重合性化合物などを用いることができる。ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やイソシアネート基などを有する重合性化合物などが挙げられる。アミノ基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やエポキシ基、イソシアネート基などを有する重合性化合物などが挙げられる。エポキシ基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やアミノ基などを有する重合性化合物などが挙げられる。
前記重合性化合物のうち、エポキシ基を有する重合性化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキセニル(メタ)アクリレートなどのエポキシシクロC5−8アルケニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが例示できる。ヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2−4アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのC2−6アルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが例示できる。アミノ基を有する重合性化合物としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノC1−4アルキル(メタ)アクリレート、アリルアミンなどのC3−6アルケニルアミン、4−アミノスチレン、ジアミノスチレンなどのアミノスチレン類などが例示できる。イソシアネート基を有する重合性化合物としては、例えば、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートやビニルイソシアネートなどが例示できる。カルボキシル基又はその酸無水物基を有する重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸や無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物などが例示できる。
代表的な例としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂とエポキシ基含有化合物、特に(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート(エポキシシクロアルケニル(メタ)アクリレートやグリシジル(メタ)アクリレートなど)の組み合わせが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂のカルボキシル基の一部に重合性不飽和基を導入したポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートのエポキシ基を反応させて、側鎖に光重合性不飽和基を導入した(メタ)アクリル系ポリマー(サイクロマーP、(株)ダイセル製)などが使用できる。
熱可塑性樹脂に対する硬化反応に関与する官能基(特に重合性基)の導入量は、熱可塑性樹脂1kgに対して、0.001〜10モル、好ましくは0.01〜5モル、さらに好ましくは0.02〜3モル程度である。
これらのポリマーは適宜組み合わせて使用できる。すなわち、ポリマーは複数のポリマーで構成されていてもよい。複数のポリマーは、液相スピノーダル分解により、相分離可能であってもよい。また、複数のポリマーは、互いに非相溶であってもよい。複数のポリマーを組み合わせる場合、第1の樹脂と第2の樹脂との組み合わせは特に制限されないが、加工温度付近で互いに非相溶な複数のポリマー、例えば、互いに非相溶な2つのポリマーとして適当に組み合わせて使用できる。例えば、第1の樹脂が(メタ)アクリル系樹脂(例えば、重合性基を有する(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、第2の樹脂は、セルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)であってもよい。
第1のポリマーと第2のポリマーとの割合(重量比)は、例えば、前者/後者=1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは10/90〜90/10程度の範囲から選択できる。
(メタ)アクリル系樹脂とセルロース誘導体とを組み合わせる場合、両者の割合(重量比)は、(メタ)アクリル系樹脂/セルロース誘導体=99/1〜10/90程度の範囲から選択でき、例えば、95/5〜50/50、好ましくは90/10〜60/40、さらに好ましくは85/15〜65/35(特に80/20〜70/30)程度である。セルロース誘導体の割合が多すぎる場合、少なすぎる場合のいずれの場合でも、適切な凹凸構造が形成されず、アンチニュートンリング性が急激に低下する。
なお、スピノーダル分解により生成された相分離構造は、活性光線(紫外線、電子線など)や熱などにより最終的に硬化し、硬化樹脂を形成する。そのため、硬化樹脂で構成されたアンチニュートンリング層の存在により、ITO膜などの透明導電層をスパッタリングなどにより形成する際における透明支持体のダメージを軽減できる。特に、透明支持体がポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックである場合、ダメージの軽減に加えて、透明支持体の内部から熱によりオリゴマーなどの低分子成分が析出することも抑制できる。さらに、アンチニュートンリング層に耐擦傷性を付与でき、タッチパネル操作を繰り返しても表面構造の損傷などが抑制でき、耐久性を向上できる。
硬化後の耐擦傷性の観点から、複数のポリマーのうち、少なくとも一つのポリマー、例えば、互いに非相溶なポリマーのうち一方のポリマー(第1の樹脂と第2の樹脂とを組み合わせる場合、特に両方のポリマー)が硬化性樹脂前駆体と反応可能な官能基を側鎖に有するポリマーであるのが好ましい。
なお、相分離構造を形成するためのポリマーとしては、前記非相溶な2つのポリマー以外にも、前記熱可塑性樹脂や他のポリマーが含まれていてもよい。
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−100〜250℃、好ましくは−50〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、表面硬度の観点から、ガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて測定でき、例えば、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製「DSC6200」)を用い、窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定できる。ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1,000,000以下、好ましくは1,000〜500,000程度の範囲から選択できる。
(硬化性樹脂前駆体)
硬化性樹脂前駆体(硬化性オリゴマー及び/又はモノマー)としては、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などにより反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物が使用できる。前記樹脂前駆体としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基などを有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂など)]、活性光線(紫外線など)により硬化可能な光硬化性化合物(光硬化性モノマー、オリゴマーなどの紫外線硬化性化合物など)などが例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物などであってもよい。なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂などの光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。
光硬化性化合物には、例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂)が含まれる。単量体は、例えば、1つの重合性基を有する単官能単量体と、少なくとも2つの重合性基を有する多官能単量体とに分類できる。
単官能単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体、ビニルピロリドンなどのビニル系単量体、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能単量体には、2〜8程度の重合性基を有する多官能単量体が含まれ、2官能単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
3〜8官能単量体としては、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
オリゴマー又は樹脂としては、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体の(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなど)、ポリエステル(メタ)アクリレート(例えば、脂肪族ポリエステル型(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル型(メタ)アクリレートなど)、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート(ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレートなど)、シリコーン(メタ)アクリレートなどが例示できる。これらの(メタ)アクリレートオリゴマー又は樹脂には、前記ポリマー成分における(メタ)アクリル系樹脂の項で例示された共重合性単量体が含まれていてもよい。これらの光硬化性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい硬化性樹脂前駆体は、短時間で硬化できる光硬化性化合物、例えば、紫外線硬化性化合物(モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい樹脂など)、EB硬化性化合物である。特に、実用的に有利な樹脂前駆体は、紫外線硬化性樹脂である。さらに、繰り返しの使用に対する耐久性を向上させるため、光硬化性樹脂は、2官能以上(好ましくは2〜10官能、さらに好ましくは3〜8官能程度)の光硬化性化合物、特に、多官能(メタ)アクリレート、例えば、3官能以上(特に4〜8官能)の(メタ)アクリレートを含むのが好ましい。
さらに、本発明では、硬化性樹脂前駆体は、5〜7官能(メタ)アクリレートと、3〜4官能(メタ)アクリレートとを組み合わせてもよい。両者を組み合わせる場合、両者の割合(重量比)は、例えば、ポリマー及びフッ素系レベリング剤の割合に応じて、前者/後者=90/10〜0/100、好ましくは85/15〜10/90、さらに好ましくは80/20〜30/70程度の範囲から選択できる。ポリマーの割合が大きい場合(例えば、硬化性組成物中において、ポリマーの割合が25重量%以上、好ましくは25〜35重量%、さらに好ましくは25〜30重量%程度の割合)、5〜7官能(メタ)アクリレート/3〜4官能(メタ)アクリレート=60/40〜10/90、好ましくは50/50〜20/80、さらに好ましくは45/55〜30/70(特に45/55〜35/65)程度である。一方、ポリマーの割合が小さい場合(例えば、硬化性組成物中において、ポリマーの割合が25重量%未満、好ましくは20〜23重量%程度の割合)、5〜7官能(メタ)アクリレート/3〜4官能(メタ)アクリレート=100/0〜50/50、好ましくは90/10〜60/40、さらに好ましくは85/15〜70/30(特に85/15〜75/25)程度である。5〜7官能(メタ)アクリレートの割合が多すぎると、ヘイズが高くなるとともに、透過像鮮明度が低下し、少なすぎるとニュートンリング防止性が低下する。
硬化性樹脂前駆体の数平均分子量としては、ポリマーとの相溶性を考慮して5000以下、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下程度である。なお、数平均分子量は、膜浸透圧法で測定できる。
硬化性樹脂前駆体は、その種類に応じて、硬化剤を含んでいてもよい。例えば、熱硬化性樹脂では、アミン類、多価カルボン酸類などの硬化剤を含んでいてもよく、光硬化性樹脂では光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、慣用の成分、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光硬化剤などの硬化剤の含有量は、硬化性樹脂前駆体100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部(特に1〜5重量部)程度であり、3〜8重量部程度であってもよい。
さらに、硬化性樹脂前駆体は硬化促進剤を含んでいてもよい。例えば、光硬化性樹脂は、光硬化促進剤、例えば、第三級アミン類(ジアルキルアミノ安息香酸エステルなど)、ホスフィン系光重合促進剤などを含んでいてもよい。
少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体のうち、少なくとも2つの成分が、加工温度付近で互いに相分離する組み合わせで使用される。相分離する組み合わせとしては、例えば、(a)複数のポリマー同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせ、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体とが非相溶で相分離する組み合わせや、(c)複数の硬化性樹脂前駆体同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせなどが挙げられる。これらの組み合わせのうち、通常、(a)複数のポリマー同士の組み合わせや、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体との組み合わせであり、特に(a)複数のポリマー同士の組み合わせが好ましい。相分離させる両者の相溶性が高い場合、溶媒を蒸発させるための乾燥過程で両者が有効に相分離せず、アンチニュートンリング層としての機能が低下する。
なお、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂前駆体(又は硬化樹脂)とは、互いに相溶であってもよく、非相溶であってもよい。ポリマーと硬化性樹脂前駆体とが非相溶で相分離する場合に、ポリマーとして複数のポリマーを用いてもよい。複数のポリマーを用いる場合、少なくとも1つのポリマーが樹脂前駆体(又は硬化樹脂)に対して非相溶であればよく、他のポリマーは前記樹脂前駆体と相溶してもよい。
また、互いに非相溶な2つの熱可塑性樹脂と、硬化性化合物(特に複数の硬化性官能基を有するモノマー又はオリゴマー)との組み合わせであってもよい。さらに、硬化後の耐擦傷性の観点から、前記非相溶な熱可塑性樹脂のうち一方のポリマー(特に両方のポリマー)が硬化反応に関与する官能基(前記硬化性樹脂前駆体の硬化に関与する官能基)を有する熱可塑性樹脂であってもよい。
ポリマーを互いに非相溶な複数のポリマーで構成して相分離する場合、硬化性樹脂前駆体は、非相溶な複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーと加工温度付近で互いに相溶する組合せで使用される。すなわち、互いに非相溶な複数のポリマーを、例えば、第1の樹脂と第2の樹脂とで構成する場合、硬化性樹脂前駆体は少なくとも第1の樹脂又は第2の樹脂のどちらかと相溶すればよく、好ましくは両方のポリマー成分と相溶してもよい。両方のポリマー成分に相溶する場合、第1の樹脂及び硬化性樹脂前駆体を主成分とした混合物と、第2の樹脂及び硬化性樹脂前駆体を主成分とした混合物との少なくとも二相に相分離する。
具体的には、複数のポリマーがセルロース誘導体と重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂の組み合わせであり、かつ硬化性樹脂前駆体が多官能(メタ)アクリレートである場合、ポリマー同士が非相溶で相分離するとともに、重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂と多官能(メタ)アクリレートとの組み合わせも非相溶で相分離し、セルロース誘導体と多官能(メタ)アクリレートとが相溶であってもよい。
選択した複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体の相溶性が高い場合、溶媒を蒸発させるための乾燥過程でポリマー同士又はポリマーと前駆体とが有効に相分離せず、アンチニュートンリング層としての機能が低下する。複数のポリマーや前駆体の相分離性は、双方の成分に対する良溶媒を用いて均一溶液を調製し、溶媒を徐々に蒸発させる過程で、残存固形分が白濁するか否かを目視にて確認することにより簡便に判定できる。
さらに、ポリマーと硬化又は架橋樹脂との屈折率の差、複数のポリマー(第1の樹脂と第2の樹脂)との屈折率の差は、例えば、0.001〜0.2、好ましくは0.05〜0.15程度であってもよい。なお、屈折率は、プリズムカプラー(メトリコン社製)を用いて、波長633nmで測定できる。
スピノーダル分解において、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、さらに相分離が進行すると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状、円盤状や楕円体状などの独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造(上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造)も形成できる。本発明のアンチニュートンリング層の相分離構造は、海島構造(液滴相構造、又は一方の相が独立または孤立した相構造)、共連続相構造(又は網目構造)であってもよく、共連続相構造と液滴相構造とが混在した中間的構造であってもよい。これらの相分離構造により溶媒乾燥後にはアンチニュートンリング層の表面に微細な凹凸を形成できる。
前記相分離構造において、表面凹凸構造を形成し、かつ表面硬度を高める点からは、少なくとも島状ドメインを有する液滴相構造であるのが有利である。なお、ポリマーと前記前駆体(又は硬化樹脂)とで構成された相分離構造が海島構造である場合、ポリマー成分が海相を形成してもよいが、表面硬度の観点から、ポリマー成分が島状ドメインを形成するのが好ましい。なお、島状ドメインの形成により、乾燥後にはアンチニュートンリング層の表面に微細な凹凸を形成できる。本発明では、相分離した樹脂成分で凹凸構造が形成されているため、硬質の微粒子などを含有させて凹凸構造を形成した場合に比べて、表面の凹凸構造がなだらかな形状であり、かつ凸部の脱落も抑制できる。従って、打鍵耐久性に優れ、ITOなどの金属酸化物で透明導電層を形成し、繰り返し打鍵しても(例えば、数十万回以上打鍵しても)、透明導電層の割れや損傷を抑制できる。
さらに、前記相分離構造のドメイン間の平均距離は、不規則であってもよいが、通常、実質的に規則性又は周期性を有している。例えば、ドメインの平均相間距離は、例えば、1〜70μm(例えば、1〜40μm)、好ましくは2〜50μm(例えば、3〜30μm)、さらに好ましくは5〜20μm(例えば、10〜20μm)程度であってもよい。なお、ドメインの平均相間距離は、透過型電子顕微鏡写真の観察により測定できる。
ポリマーと硬化性樹脂前駆体との割合(重量比)は、特に制限されず、例えば、前者/後者=5/95〜95/5程度の範囲から選択でき、表面硬度の観点から、例えば、5/95〜50/50、好ましくは10/90〜40/60、さらに好ましくは15/85〜35/65程度である。ポリマーの割合が多すぎる場合、少なすぎる場合のいずれの場合でも、ヘイズが高くなるとともに、透過像鮮明度が低下する。
(フッ素系レベリング剤)
本発明では、相分離により形成された前記凹凸構造の傾斜角を大きくすることによりアンチニュートンリング性を向上し、かつアンカーコート層などのコート層を形成するための塗布液(特に水を含む塗布液)を均一に塗布するために、前記ポリマー及び硬化性樹脂前駆体を含む硬化性組成物に、特定のフッ素系レベリング剤を配合する。
フッ素系レベリング剤は、ラジカル重合性基と分岐構造のフルオロ脂肪族炭化水素基とを有する重合体で構成されている。ラジカル重合性基は、(メタ)アクリロイルオキシ基及び/又はビニル基などであってもよく、通常、(メタ)アクリロイルオキシ基である。ラジカル重合性基は重合体の主鎖の末端に位置していてもよいが、通常、側鎖に位置している場合が多い。分岐構造のフルオロ脂肪族炭化水素基は、分岐構造を有するアルキル基及び/又はアルケニル基で構成され、かつ少なくとも一部の脂肪族炭化水素基がフッ素化されている。すなわち、フッ素系レベリング剤は、側鎖に、分岐構造を有するフルオロアルキル基及び/又はフルオロアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体で構成されている。
フルオロ脂肪族炭化水素基としては、例えば、フルオロイソプロピル、フルオロイソブチル、フルオロs−ブチル、フルオロt−ブチル、フルオロイソペンチル、フルオロネオペンチル、フルオロt−ペンチル、フルオロイソヘキシル、フルオロ2−エチルヘキシル基などのフルオロC3−16アルキル基、又はこれらのアルキル基に対応するフルオロC3−16アルケニル基(例えば、フルオロネオペンタン−1−イル基、フルオロネオペンタン−2−イル基、フルオロt−ペンタン−1−イル基、フルオロt−ペンタン−2−イル基など)であってもよい。脂肪族炭化水素基は、高度に分岐した構造を有するのが好ましく、最も長い炭素鎖を基準にして2〜6個(好ましくは2〜4個)のアルキル基が分岐していてもよく、このアルキル鎖はメチル基であってもよく、炭素数2以上のアルキル鎖(例えば、C2−4アルキル基)は直鎖状であってもよくイソプロピル基などのように分岐していてもよい。このような高度に分岐した構造の炭化水素基は、例えば、アルケン(プロピレン、ブテン、イソブテン、ペンテン、イソペンテンなどのC3−6アルケン、特に分岐鎖状アルケン)のダイマー(二量体)、トリマー(三量体)、テトラマー(四量体)などの多量体(好ましくは二量体〜四量体、特に三量体)の炭化水素基に対応する場合が多い。
このような分岐構造を有するフルオロアルキル基及び/又はフルオロアルケニル基に対応するアルキル基及び/又はアルケニル基としては、例えば、1,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチル−2−イソプロピルブチル基、2−エチル−2−ブチル−ヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチル−2−イソブチルペンチル基などの分岐鎖状C6−18アルキル基;プロピレンダイマーに対応する基(1,3−ジメチル−1−ブテニル基、1,3−ジメチル−2−ブテン−1−イル基)、プロピレントリマーに対応する基(1,3−ジメチル−2−イソプロピリデンブテニル基、1,3−ジメチル−2−イソプロピル−1−ブテニル基)、ブテントリマーに対応する基(2−エチル−2−ブチル−1−ヘキセン−1−イル基、2−エチル−2−ブチル−2−ヘキセン−1−基)、イソブテンダイマーに対応する基(2,2,4−トリメチル−1−ペンテン−1−イル基、2,2,4−トリメチル−−2−ペンテン−1−イル基)、イソブテントリマーに対応する基(2,2,4−トリメチル−2−イソブチル−1−ペンテン−1−イル基、2,2,4−トリメチル−2−イソブチル−2−ペンテン−1−イル基)などの分岐鎖状C6−18アルケニル基などが例示できる。
また、分岐構造を有する脂肪族炭化水素基は少なくとも一部の水素原子がフッ素原子で置換されていればよく、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロ脂肪族炭化水素基であってもよい。
分岐フルオロアルキル基及び/又は分岐フルオロアルケニル基は、最小の分岐鎖単位として、例えば、少なくとも1つのフルオロ分岐アルキル基及び/又はフルオロ分岐アルケニルキ基を含んでいる場合が多く、フルオロ分岐アルキル基としては、例えば、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロイソペンチル基などのパーフルオロC4−6アルキル基などが例示でき、フルオロ分岐アルケニル基としては、例えば、パーフルオロイソプロピリデン基、パーフルオロ−1−イソブテニル基、パーフルオロ−1−イソペンテニル基などのパーフルオロC4−6アルケニル基などが例示できる。特に、最小の分岐鎖単位として、パーフルオロC4−6アルキル基及びパーフルオロC4−6アルケニル基のうち少なくとも一方又は双方を含んでいる場合が多い。
このような最小の分岐鎖単位を含むフルオロ脂肪族炭化水素基としては、例えば、下記式(1)のR3で表される基、例えば、パーフルオロ(1,3−ジメチル−2−イソプロピリデンブテニル)基(=2−パーフルオロイソプロピリデン−2−パーフルオロイソプロピル−1−(トリフルオロメチル)エチル基)、(パーフルオロ1,3−ジメチル−2−イソプロピル−1−ブテニル)基(=2,2−ジ(パーフルオロイソプロピル)−1−(トリフルオロメチル)ビニル基)などが例示できる。
このような分岐構造のフルオロ脂肪族炭化水素基を有する重合性単量体は、例えば、下記式(1)で表される重合性単量体を含んでいてもよい。
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2はアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基を示し、R3は下記式(2a)又は(2b)
で表される分岐フルオロアルケニル基を示す)
なお、R2で表されるアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基は、前記ヒドロキシル基を有する重合性単量体((メタ)アクリレート)に対応する基である。
フッ素レベリング剤は、少なくとも分岐構造のフルオロ脂肪族炭化水素基を有する重合性単量体(例えば、分岐フルオロアルキル基及び/又は分岐フルオロアルケニル基を有する(メタ)アクリル系単量体)を単量体成分として含む重合体(例えば、(メタ)アクリル系重合体)であり、重合体の側鎖には分岐構造のフルオロ脂肪族炭化水素基を有している。
フッ素レベリング剤は、重合性基を有する限り、分岐構造のフルオロ脂肪族炭化水素基を有する重合性単量体の単独重合体であってもよいが、少なくとも反応性官能基を有する重合性単量体を含む共重合性単量体との共重合体である場合が多い。共重合性単量体としては、硬化性樹脂前駆体の項に記載の単官能性単量体と同様の(メタ)アクリル系単量体や、ビニル系単量体(酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル、N−ビニルピロリドンなど)が使用できる。これらの単官能性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。単官能性単量体は、少なくとも反応性官能基を有する重合性単量体を含んでおり、非反応性基を有する重合性単量体を含んでいてもよい。反応性官能基を有する重合性単量体としては、例えば、ヒドロキシル基を有する重合性単量体[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2−10アルキル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリオキシC2−4アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど]、カルボキシル基を有する重合性単量体[(メタ)アクリル酸]、エポキシ基を有する重合性単量体[グリシジル(メタ)アクリレートなど]、アルコキシシリル基を有する重合性単量体[2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのC1−2アルコキシシリル基及び重合性基を有する重合性単量体]、イソシアネート基を有する重合性単量体[2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートなどのイソシアネートアルキル(メタ)アクリレートなど)]などが例示できる。これらの反応性官能基を有する重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。反応性官能基を有する重合性単量体としては、ヒドロキシル基を有する重合性単量体、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレートを用いる場合が多い。
非反応性基を有する重合性単量体としては、例えば、C1−20アルキル(メタ)アクリレート;C5−10シクロアルキル(メタ)アクリレート;アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの橋架け環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレートなどのアラルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシC2−4アルキレングリコールモノC1−4アルキルエーテルモノ(メタ)アクリレートなどが例示できる。非反応性基を有する重合性単量体としては少なくともC1−6アルキル−(メタ)アクリレートを用いる場合が多い。
分岐構造のフルオロ脂肪族炭化水素基を有する重合性単量体の含有量は、単量体成分全体に対して、5〜75重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%(例えば、20〜40重量%)程度であってもよく、10〜50重量%(例えば、25〜35重量%)程度であってもよい。反応性官能基(ヒドロキシル基など)を有する重合性単量体の割合は、単量体成分全体に対して、5〜50重量%(例えば、7.5〜40重量%)、好ましくは10〜30重量%程度であってもよく、非反応性基(アルキル基、アラルキル基など)を有する重合性単量体の割合は、単量体成分全体に対して、0〜70重量%(例えば、5〜60重量%)、好ましくは10〜55重量%、さらに好ましくは20〜50重量%程度であってもよい。なお、単量体成分の合計は100重量%である。
重合性基は、反応性官能基を有する重合性単量体を含む単量体成分の重合体を生成させ、この重合体の反応性官能基に、反応性基を有する重合性単量体を反応させることにより導入できる。例えば、反応性官能基を有する重合性単量体として、ヒドロキシル基を有する重合性単量体(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど)を用いる場合、生成した重合体のヒドロキシル基に対して、アルコキシシリル基を有する重合性単量体、イソシアネート基を有する重合性単量体、無水マレイン酸などの酸無水物基を有する重合性単量体と反応させることにより重合性基を導入でき、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有重合性単量体を用いる場合、共重合体のカルボキシル基に対して、ヒドロキシル基を有する重合性単量体、エポキシ基を有する重合性単量体、アルコキシシリル基を有する重合性単量体などと反応させることにより、重合性基を導入できる。また、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有する重合性単量体を用いる場合、共重合体のエポキシ基に対してカルボキシル基を有する重合性単量体などを反応させることにより重合性基を導入できる。
フッ素系レベリング剤は、分岐フルオロアルキル基又は分岐フルオロアルケニル基を有する(メタ)アクリル系単量体と、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体と、必要によりこれらの(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な共重合性単量体とを含む単量体成分の重合体であって、この重合体の側鎖のヒドロキシル基に(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物がウレタン結合した重合体であってもよい。このようなフッ素系レベリング剤については、特開2010−47680号公報などを参照できる。
フッ素系レベリング剤は、例えば、単量体成分を重合し、生成した共重合体の反応性官能基と、反応性基を有する単量体とを反応させることにより調製できる。
フッ素系レベリング剤の数平均分子量(ポリスチレン換算)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにおいて、例えば、500〜50000、好ましくは1000〜30000、さらに好ましくは2000〜20000程度であってもよい。また、フッ素系レベリング剤の二重結合当量(例えば、アクリロイルオキシ当たりの分子量)は、例えば、100〜3000g/eq、好ましくは200〜2000g/eq、さらに好ましくは300〜1000g/eq程度あってもよい。
このようなフッ素系レベリング剤は、低揮発性で熱安定性が高く、表面平滑性を付与するのに適している。
なお、分岐構造のフルオロ脂肪族炭化水素基を有する重合体(フッ素系レベリング剤)については、前記特開2010−047680号公報、特開2010−241879号公報、特開2011−057589号公報、特開2011−074129号公報などを参照できる。分岐構造のフルオロ脂肪族炭化水素基を有する重合体(フッ素系レベリング剤)は、例えば、(株)ネオスから商品名「フタージェント602A」などの「フタージェント」として入手できる。
フッ素系レベリング剤の割合は、硬化性樹脂前駆体の100重量部に対して、例えば、0.001〜1重量部、好ましくは0.003〜0.5重量部(例えば、0.005〜0.1重量部、さらに好ましくは0.01〜0.05重量部(特に0.02〜0.03重量部)程度である。フッ素系レベリング剤の割合が多すぎると、ギラツキが発生し易くなり、少なすぎると、アンチニュートンリング性を向上できず、コート層などを形成するための塗布液を均一に塗布できない。
(アンチニュートンリング層の特性)
アンチニュートンリング層の表面には、相分離により形成された比較的傾斜の大きい凹凸構造が形成されており、ニュートンリング防止性を向上できる。具体的には、アンチニュートンリング層の表面において、算術平均粗さRaは、例えば、0.07〜0.20μm、好ましくは0.075〜0.12μm、さらに好ましくは0.075〜0.1μm(特に0.08〜0.095μm)程度である。算術平均粗さRaが小さすぎると、アンチニュートンリング性を向上できず、大きすぎると、ギラツキが発生し易くなり、防眩性を向上できない。
なお、本発明では、算術平均粗さRaは、JIS B0601に準拠した方法で測定できる。
本発明におけるアンチニュートンリング層は、濡れ性が高いため、ITO膜などの透明導電層のための下地コート層を形成するための塗布液に対する親和性も高く、表面の水接触角は、例えば、60〜80°、好ましくは60〜75°、さらに好ましくは60〜70°(特に62〜66°)程度である。水接触角が高すぎると、前記下地コート層塗布液に対する親和性が低く、塗布液をはじいて均一な塗布が困難となる。一方、水接触角が低すぎると、アンチニュートンリング層の製造が困難となる。アンチニュートンリング層は、疎水性及び親水性の各種溶媒を含む塗布液に対する親和性に優れているが、少なくとも水性溶媒(特に水及び/又はアルコール)を含む塗布液に対する親和性に特に優れている。そのため、本発明のニュートンリング防止フィルムのアンチニュートンリング層の上には、各種のコート層を均一な厚みで形成できる。
アンチニュートンリング層の厚みは、例えば、0.3〜20μm程度、好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは2〜12μm(特に3〜10μm)程度である。なお、アンチニュートンリング層単独でニュートンリング防止フィルムを構成する場合、アンチニュートンリング層の厚みは、例えば、1〜100μm、好ましくは3〜50μm程度の範囲から選択してもよい。
前記のように、ニュートンリング防止フィルムは、アンチニュートンリング層単独で構成してもよく、支持体と、この支持体上に形成されたアンチニュートンリング層とで構成してもよい。支持体としては、光透過性を有する支持体、例えば、合成樹脂フィルムなどの透明支持体が使用される。また、光透過性を有する支持体は、光学部材を形成するための透明ポリマーフィルムで構成されていてもよい。
(透明支持体)
透明支持体(又は基材シート)としては、ガラス、セラミックスの他、樹脂シートが例示できる。透明支持体を構成する樹脂としては、前記アンチニュートンリング層と同様の樹脂が使用できる。好ましい透明支持体としては、透明性ポリマーフィルム、例えば、セルロース誘導体[セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテートなどのセルロースアセテートなど]、ポリエステル系樹脂[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート系樹脂など]、ポリスルホン系樹脂[ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど]、ポリエーテルケトン系樹脂[ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなど]、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、環状ポリオレフィン系樹脂[トパス(TOPAS)、アートン(ARTON)、ゼオネックス(ZEONEX)など]、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニリデンなど)、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、酢酸ビニル又はビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコールなど)などで形成されたフィルムが挙げられる。透明支持体は1軸又は2軸延伸されていてもよい。
光学的に等方性の透明支持体には、ガラス、未延伸又は延伸プラスチックシート又はフィルムが例示でき、例えば、ポリエステル系樹脂(PET、PBTなど)、セルロースエステル類(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3−4有機酸エステル)、特に、PETなどのポリエステル系樹脂で形成されたシート又はフィルムが例示できる。これらの支持体のうち、ニュートンリング防止フィルムを上部電極基板(指又はペンなどの押圧部材と接触する側の電極基板)に用いる場合は、可撓性が必要であるため、プラスチックシート又はフィルム(未延伸又は延伸プラスチックシート又はフィルム)を利用できる。
二次元的構造の支持体の厚みは、例えば、5〜2000μm、好ましくは15〜1000μm、さらに好ましくは20〜500μm程度の範囲から選択できる。
(ニュートンリング防止フィルムの特性)
本発明のニュートンリング防止フィルムは、表面に前記相分離構造に対応した凹凸構造が多量に形成されているため、タッチパネル(特に抵抗膜方式タッチパネル)におけるニュートンリングの発生を有効に予防又は抑制できる。さらに、透過像の鮮明性も高いため、表示装置の表示部に対して、ギラツキが抑制された鮮明な画像を表示できる。
本発明のニュートンリング防止フィルムの全光線透過率は、例えば、70〜100%、好ましくは80〜100%、さらに好ましくは85〜100%(例えば、85〜95%)、特に88〜100%(例えば、90〜99%)程度である。
本発明のニュートンリング防止フィルムのヘイズは、例えば、1〜10%、好ましくは3.5〜8%、さらに好ましくは3.5〜7%(特に4〜6%)程度である。本発明では、このような低いヘイズ値を有することにより、アンチニュートンリング性と表示装置の表示部における視認性とを両立できる。
本発明のニュートンリング防止フィルムの透過像鮮明度は、0.5mm幅の光学櫛を使用した場合、例えば、50〜80%、好ましくは55〜80%、さらに好ましくは60〜78%程度である。透過像鮮明度が前記範囲にあると、直進透過光の散乱が少ないため、タッチパネルを高精細表示装置の上に配設した場合であっても、各々の画素からの散乱が少なくなり、その結果ギラツキを防止できる。
透過像鮮明度とは、フィルムを透過した光のボケや歪みを定量化する尺度である。透過像鮮明度は、フィルムからの透過光を移動する光学櫛を通して測定し、光学櫛の明暗部の光量により値を算出する。すなわち、フィルムが透過光をぼやかす場合、光学櫛上に結像されるスリットの像は太くなるため、透過部での光量は100%以下となり、一方、不透過部では光が漏れるため0%以上となる。透過像鮮明度の値Cは光学櫛の透明部の透過光最大値Mと不透明部の透過光最小値mから次式により定義される。
C(%)=[(M−m)/(M+m)]×100
すなわち、Cの値が100%に近づく程、ニュートンリング防止フィルムによる像のボケが小さい[参考文献;須賀、三田村,塗装技術,1985年7月号]。
湿式スピノーダル分解において、溶媒は、前記ポリマー及び硬化性樹脂前駆体の種類及び溶解性に応じて選択でき、少なくとも固形分(複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。また、溶媒は混合溶媒であってもよい。
本発明のニュートンリング防止フィルムは、前記ポリマーと硬化性樹脂前駆体とフッ素系レベリング剤と溶媒とを含む液相(又は液状組成物)から、前記溶媒の蒸発に伴うスピノーダル分解により、相分離構造を形成する工程と、前記硬化性樹脂前駆体及び前記フッ素系レベリング剤を硬化させ、少なくともアンチニュートンリング層を形成する工程とを経ることによりを得ることができる。前記相分離工程は、通常、前記ポリマーと硬化性樹脂前駆体とフッ素系レベリング剤と溶媒とを含む混合液(特に均一溶液などの液状組成物)を前記支持体に塗布又は流延する工程と、塗布層又は流延層から溶媒を蒸発させて規則的又は周期的な平均相間距離を有する相分離構造を形成する工程とで構成されており、前記前駆体を硬化させることによりニュートンリング防止フィルムを得ることができる。好ましい態様では、前記混合液として、前記熱可塑性樹脂と、光硬化性化合物と、フッ素系レベリング剤と、光重合開始剤と、前記熱可塑性樹脂及び光硬化性化合物を可溶な溶媒とを含む組成物が使用でき、スピノーダル分解により形成された相分離構造の光硬化成分を光照射により硬化することによりアンチニュートンリング層が形成される。また、他の好ましい態様では、前記混合液として、前記互いに非相溶な複数のポリマーと、光硬化性化合物と、フッ素系レベリング剤と、光重合開始剤と、溶媒とを含む組成物が使用でき、スピノーダル分解により形成された相分離構造の光硬化成分を光照射により硬化することによりアンチニュートンリング層が形成される。
混合液中の溶質(ポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)の濃度は、相分離が生じる範囲及び流延性やコーティング性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは15〜40重量%(特に20〜40重量%)程度である。
なお、透明支持体に前記混合液を塗布すると、溶媒の種類によっては透明支持体が溶解又は膨潤する場合がある。例えば、トリアセチルセルロースフィルムに、複数の樹脂を含有する塗布液(均一溶液)を塗布すると、溶媒の種類によって、トリアセチルセルロースフィルムの塗布面が溶出、侵食若しくは膨潤する場合がある。このような場合、透明支持体(トリアセチルセルロースフィルムなど)の塗布面に予め耐溶剤性コーティング剤を塗布し、光学的に等方性の耐溶剤性コーティング層を形成していてもよい。このようなコーティング層は、例えば、AS樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)などの熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、紫外線硬化型樹脂などの硬化性樹脂などを用いて形成できる。
また、混合液又は塗布液を透明支持体に塗布する場合、透明支持体の種類に応じて、透明支持体を溶解・侵食若しくは膨潤しない溶媒を選択してもよい。例えば、透明支持体としてポリエステルフィルムを用いる場合、混合液又は塗布液の溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、トルエンなどを用いると、フィルムの性質を損なうことなく、アンチニュートンリング層を形成できる。
前記混合液を流延又は塗布した後、溶媒の沸点よりも低い温度(例えば、溶媒の沸点よりも1〜120℃、好ましくは5〜50℃、特に10〜50℃程度低い温度)で溶媒を蒸発させることにより、スピノーダル分解による相分離を誘起することができる。溶媒の蒸発は、通常、乾燥、例えば、溶媒の沸点に応じて、30〜200℃、(例えば、30〜100℃)、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは40〜80℃程度の温度で乾燥させることによリ行うことができる。
このような溶媒の蒸発を伴うスピノーダル分解により、相分離構造のドメイン間の平均距離に規則性又は周期性を付与できる。そして、スピノーダル分解により形成された相分離構造は、前駆体を硬化させることにより直ちに固定化できる。前駆体の硬化は、硬化性樹脂前駆体の種類に応じて、加熱、光照射など、あるいはこれらの方法の組合せにより行うことができる。加熱温度は、前記相分離構造を有する限り、適当な範囲、例えば、50〜150℃程度から選択でき、前記層分離工程と同様の温度範囲から選択してもよい。
光照射は、光硬化成分などの種類に応じて選択でき、通常、紫外線、電子線などが利用できる。汎用的な露光源は、通常、紫外線照射装置である。なお、光照射は、必要であれば、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
[電極基板]
本発明の電極基板は、タッチパネル(特に抵抗膜方式タッチパネル)の電極基板であり、前記ニュートンリング防止フィルムのアンチニュートンリング層の上に透明導電層が形成されている。
(透明導電層)
透明導電層は、透明電極として利用されている慣用の透明導電層、例えば、酸化インジウム−酸化錫系複合酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、InO2、SnO2、ZnOなどの金属酸化物や、金、銀、白金、パラジウムなどの金属で構成された層(特に、ITO膜などの金属酸化物層)で構成されている。このような透明導電層は、慣用の方法、例えば、スパッタリング、蒸着、化学的気相成長法など(通常、スパッタリング)により形成できる。透明導電層の厚みは、例えば、0.01〜0.05μm、好ましくは0.015〜0.03μm、さらに好ましくは0.015〜0.025μm程度である。本発明では、アンチニュートンリング層の凹凸構造を有する表面に、透明導電層を形成することにより、透明導電層を均一で規則的な凹凸構造とすることができ、透明導電層と両極の透明導電層間に含まれる空気層との界面反射光の干渉によるニュートンリングの発生を抑制できる。さらに、このような凹凸構造は、相分離により形成されているため、なだらかで且つ規則的な凹凸構造を有し、透明導電層がITOなどの金属酸化物で形成されていても、打鍵耐久性に優れる。
アンチニュートンリング層の上に形成される透明導電層は、タッチパネルの種類に応じて、通常、アナログ方式では面状に形成され、デジタル方式ではストライプ状に形成される。透明導電層を面状又はストライプ状に形成する方法としては、例えば、アンチニュートンリング層の全面に透明導電層を形成した後、エッチングにより面状又はストライプ状にパターン化する方法、予めパターン状に形成する方法などが挙げられる。
(アンカーコート層)
本発明の電極基板は、耐久性や透明導電層との密着性などを向上させるために、アンチニュートンリング層と透明導電層との間に、アンカーコート層を介在させてもよい。
アンカーコート層は、金属酸化物などの無機材料で形成された透明導電層と、ポリマーなどの有機材料で形成されたアンチニュートンリング層との密着性を向上できる点から、加水分解性縮合基を有する有機金属化合物を含む層であってもよい。
このような有機金属化合物は、加水分解性縮合基として、少なくともアルコキシ基(C-アルコキシ基)、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(塩素原子など)から選択された少なくとも一種の基を有する有機金属化合物であってもよい。好ましい加水分解性縮合基は、アルコキシ基(特にC1−2アルコキシ基)である。
有機金属化合物には、有機ケイ素化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物などが含まれる。これらの有機金属化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機金属化合物のうち、有機ケイ素化合物が汎用される。
加水分解性縮合基を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラC1−4アルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、(イソ)プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシランなどのC1―12アルキルトリC1−4アルコキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどのジC2―4アルキルジC1−4アルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのアリールC1−4アルコキシシランなどが挙げられる。なお、他の有機金属化合物としては、これらの有機ケイ素化合物に対応する化合物が挙げられる。これらの加水分解性縮合基を有する有機金属化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
アンカーコート層は、前記有機金属化合物の加水分解縮合物(例えば、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物)であってもよい。
アンカーコート層は、アンカー効果を向上できる点から、微粒子(有機粒子又は無機微粒子)を含んでいてもよい。これらの微粒子のうち、前記有機金属化合物との親和性などの点から、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物粒子が好ましい。微粒子の平均一次粒径は、例えば、1〜50nm、好ましくは2〜30nm、さらに好ましくは3〜15nm程度である。微粒子の割合は、前記有機金属化合物100重量部に対して、例えば、1〜120重量部、好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは10〜80重量部程度である。
アンカーコート層は、通常、前記有機金属化合物(及び必要に応じて微粒子)を含む塗布液をアンチニュートンリング層の上に塗布して乾燥して得られる。前記有機金属化合物として、有機金属化合物の加水分解縮合物を含む場合、通常、塗布液は溶媒として水を含むが、前述のように、アンチニュートンリング層は濡れ性に優れるため、塗布液をアンチニュートンリング層に塗布しても、アンチニュートンリング層上ではじかれることなく、均一に塗布できる。
アンカーコート層の厚みは、例えば、0.02〜5μm、好ましくは0.04〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1μm程度である。
アンカーコート層としては、例えば、特許第3741928号公報、特許第4484347号公報に記載のアンカーコート層などを利用できる。
(他の層)
本発明の電極基板は、透明導電層が形成された面の反対面に、さらにハードコート層が形成されていてもよい。ハードコート層としては、慣用の透明樹脂層、例えば、前記硬化性樹脂前駆体の項で例示された光硬化性化合物で形成されたハードコート層の他、透明樹脂中に無機又は有機微粒子を含有する防眩性ハードコート層、アンチニュートンリング層と同様に透明樹脂を相分離させて得られる防眩性ハードコート層などが利用できる。ハードコート層の厚みは、例えば、例えば、0.5〜30μm、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは2〜15μm程度である。
本発明の電極基板は、さらに他の光学要素(例えば、偏光板、位相差板、導光板などの光路内に配設される種々の光学要素)と組み合わせてもよい。すなわち、光学要素の少なくとも一方の光路面に前記電極基板を配設又は積層してもよい。例えば、前記位相差板の少なくとも一方の面に電極基板を積層してもよく、導光板の出射面に電極基板を配設又は積層してもよい。偏光板や位相差フィルムと組み合わされた電極基板は、反射防止機能を有するインナー型タッチパネルに好適に利用できる。
[タッチパネル]
本発明のタッチパネル(特に抵抗膜方式タッチパネル)は、前記電極基板を備えている。図1は、本発明のタッチパネルの一例を示す概略断面図である。このタッチパネル10は、上部電極基板11と下部電極基板13とがスペーサー12を介して積層されており、上部電極基板11の透明導電層11aと下部電極基板13の透明導電層13aとが対向し、液晶パネル20の上に配設されている。
上部電極基板11は、透明プラスチックフィルムで構成された透明基板11cの一方の面(パネル表側又は上部の面)にハードコート層11dが形成され、他方の面(パネル裏側又は下部の面)にアンチニュートンリング層11bが形成されている。アンチニュートンリング層11bの表面(パネル裏側又は下部の面)には前記透明導電層11aが形成されており、アンチニュートンリング層11bの表面が均一で規則的な凹凸構造を有するため、透明導電層11aの表面もアンチニュートンリング層11bの凹凸構造に追従した凹凸構造を有している。上部電極基板11は、指やペンなどの押圧部材によって押圧することより、透明導電層11aが撓んで下部電極基板13の透明導電層13aと接触して導通し、位置検出が行われる。本発明では、上部電極基板11の透明導電層11aの表面がアンチニュートンリング層11bに追随して均一な凹凸構造を有しているため、上部電極基板11を押圧しても、上部電極基板11とスペーサー12によって形成された空間(空気層)との界面反射光の干渉によるニュートンリングの発生を抑制できる。
スペーサー12は、透明樹脂で構成されており、タッチパネルの非押圧時に上部電極基板11と下部電極基板13とを非接触状態に保持するため、透明導電層11a及び13aの表面でパターン化された点状又はドット状に形成されている。このようなスペーサー12は、通常、硬化性樹脂前駆体の項で例示された光硬化性化合物などを用いて光照射に対するマスクを利用したパターニングにより形成される。スペーサーは形成しなくてもよく、形成する場合には、例えば、隣接するスペーサー同士の間隔を、例えば、0.1〜20mm(特に1〜10mm)程度に調整してもよい。スペーサーの形状は、特に限定されず、円柱状、四角柱状、球状などであってもよい。スペーサーの高さは、例えば、1〜100μm程度であり、通常、3〜50μm(特に5〜20μm)程度である。スペーサーの平均径は、例えば、1〜100μm程度であり、通常、10〜80μm(特に20〜50μm)程度である。
下部電極基板13は、前記スペーサー12を介在させて、上部電極基板11の下部に配設されており、ガラスで構成された透明基板13cの一方の面(パネル表側又は上部の面)に、透明導電層13aが形成され、他方の面(パネル裏側又は下部の面)にハードコート層13dが形成されている。下部電極基板13の透明導電層13aの表面は平滑であるが、上部電極基板11と同様に、アンチニュートンリング層を形成し、表面に凹凸構造を形成してもよい。上部電極基板11及び下部電極基板13の双方にアンチニュートンリング層を形成することにより、アンチニュートンリング効果を向上できる。一方、上部電極基板11に凹凸構造を形成することなく、下部電極基板13にアンチニュートンリング層を形成してもよい。アンチニュートンリング効果とタッチパネルの下部に配設する表示装置の視認性とを両立できる点からは、一方の電極基板(特に上部電極基板)にアンチニュートンリング層を形成するのが好ましい。透明基板13cは、上部電極基板の透明基板11cとは異なり、可撓性は必要ないため、ガラス基板などの非可撓性材料であってもよいが、透明基板11cと同様の可撓性を有する透明プラスチックフィルムであってもよい。
このような上下電極基板を備えたタッチパネル10は、液晶表示(LCD)装置である液晶パネル20の上に配設されている。本発明では、前記アンチニュートンリング層11bは、透過光を等方的に透過して散乱させながら、特定の角度範囲での光散乱強度を向上できるため、ニュートンリングの防止だけでなく、液晶パネル20の視認性をも向上できる。具体的には、液晶パネルの表示部におけるギラツキを抑制できるとともに、透過像の鮮明性に優れ、表示面での文字ボケを抑制できる。
なお、液晶表示装置は、外部光を利用して、液晶セルを備えた表示ユニットを照明する反射型液晶表示装置であってもよく、表示ユニットを照明するためのバックライトユニットを備えた透過型液晶表示装置であってもよい。前記反射型液晶表示装置では、外部からの入射光を、表示ユニットを介して取り込み、表示ユニットを透過した透過光を反射部材により反射して表示ユニットを照明できる。反射型液晶表示装置では、前記反射部材から前方の光路内に、偏光板とニュートンリング防止フィルムとを組み合わせたタッチパネルを配設してもよい。
透過型液晶表示装置において、バックライトユニットは、光源(冷陰極管などの管状光源,発光ダイオードなどの点状光源など)からの光を一方の側部から入射させて前面の出射面から出射させるための導光板(例えば、断面楔形状の導光板)を備えていてもよい。また、必要であれば、導光板の前面側にはプリズムシートを配設してもよい。
タッチパネルの下部に配設する表示装置は、液晶表示装置に限定されず、プラズマディスプレイ装置、有機又は無機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置などの表示装置であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で使用した原料の各成分の略号は下記の通りであり、実施例及び比較例で得られたニュートンリング防止フィルムを以下の項目で評価した。
[原料の略号]
サイクロマーP:側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂[(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートを付加させた化合物;(株)ダイセル製、商品名「サイクロマーP(ACA)Z322M」、固形分40重量%、溶剤:1−メトキシ−2−プロパノール(MMPG)(沸点119℃)]
CAP:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=2.5%、プロピオニル化度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75,000;イーストマン社製、商品名「CAP−482−20」)
DPHA:六官能アクリル系UV硬化モノマー(ダイセル・サイテック(株)製、商品名「DPHA」)
PETIA:三官能アクリル系UV硬化モノマー(ダイセル・サイテック(株)製、商品名「PETIA」)
PETRA:三官能アクリル系UV硬化モノマー(ダイセル・サイテック(株)製、商品名「PETRA」)
Polyfox3320:フッ素系レベリング剤(Omnova Solution社製、商品名「Polyfox3320」)
FT602A:ラジカル重合性基と分岐フルオロ脂肪族炭化水素基とを有するフッ素系レベリング剤[(株)ネオス製、商品名「フタージェント602A」;二重結合濃度8.2×10−4mol/g(不揮発分);オリゴマーの酢酸エチル溶液、固形分50重量%]
Irg184:光開始剤(BASFジャパン(株)製、商品名「イルガキュア184」)
Irg907:光開始剤(BASFジャパン(株)製、商品名「イルガキュア907」)
MEK:メチルエチルケトン、沸点80℃
BuOH:1−ブタノール、沸点113℃
MMPG:1−メトキシ−2−プロパノール、沸点119℃
KEL86W:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「KEL86W」、厚み188μm]。
[ヘイズ及び全光線透過率]
ヘイズメーター(日本電色(株)製、商品名「NDH−5000W」)を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。なお、ヘイズの測定は、凹凸構造を有する表面が受光器側となるように配置して測定した。
[透過像鮮明度]
ニュートンリング防止フィルムの写像鮮明度を、写像測定器(スガ試験機(株)製、商品名「ICM−1T」)を用いて、光学櫛(櫛歯の幅=0.5mm)で、JIS K7105に基づいて測定した。
[算術平均粗さRa]
JIS B0601に準拠して、接触式表面粗さ計(東京精密(株)製、surfcom570A)を用いて、走査範囲3mm、走査回数2回の条件で、算術平均粗さRaを測定した。
[水接触角]
自動・動的接触角計(協和界面科学(株)製「型式DCA−UZ」)を使用し、塗膜に対し、約5μLの各液の接触角を5点測定して平均した。
[鉛筆硬度]
JIS K5400に準拠し、荷重750gで測定した。
[アンチニュートンリング性(ANR性)]
黒色アクリル板(サイズ:210mm×297mm×3mm)の上に、無処理の光学ガラス(ソーダガラス板、サイズ:200mm×120mm×2mm)を載置し、その上に得られたニュートンリング防止フィルムを配設した。真上から三波長蛍光灯(YAMAZEN(株)製「インバータスタンドHSX−T27」、27W)で照射し、次に示す方法で、指で強くフィルムをこすって評価した。すなわち、真上からのぞき込む角度を0°として20°の角度で、アンチニュートンリング層の表面を指でなぞった後に表れるニュートンリングにおける色の濃さ・出易さ・消え易さを観察し、以下の基準で評価した。
◎:ニュートンリングの発生がなかった
○:ニュートンリングが発生したが、色は薄く、すぐに消えた
×:ニュートンリングが濃い色で直ちに発生し、しばらく残存した。
[ギラツキの評価]
表示面におけるギラツキの判定は、17インチサイズのLCDモニター(画素数1024×1280;SXGA、解像度96ppi)上に、厚み3mmの透明アクリル板(住友化学(株)製、スミペックス)を載置し、その上に得られたニュートンリング防止フィルムを配設し、白表示として目視にて以下の基準で評価した。なお、用いたLCDモニターの表層側偏光板は、クリアタイプの偏光板であった。
◎:ギラツキが感じられない
○:ギラツキが僅かに感じられる
×:ギラツキが感じられる。
比較例1
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(サイクロマーP)15.8重量部(固形分の配合量6.32重量部)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)1.7重量部、六官能アクリル系UV硬化モノマー(DPHA)19.6重量部、三官能アクリル系UV硬化モノマー(PETIA)8.4重量部、フッ素系レベリング剤(Polyfox3320)0.04重量部、光開始剤(Irg184)0.3重量部を、メチルエチルケトン39.2重量部、1−ブタノール11.4重量部及び1−メトキシ−2−プロパノール3.8重量部の混合溶媒に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー♯28を用いてPETフィルム(KEL86W)上に流延した後、50℃のオーブン内で30秒間放置し、溶媒を蒸発させて厚み約12μmのアンチニュートンリング層を形成した。その後、コートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm2)に通して、紫外線硬化処理を行い、ハードコート性及び表面凹凸構造を有する層を形成した。
得られたニュートンリング防止フィルムの表面をレーザー顕微鏡で観察した結果を図2に示す。図2の写真では、非常に細かく、浅い凹凸形状が形成されていた。
実施例1
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(サイクロマーP)13.4重量部(固形分の配合量5.36重量部)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)1.3重量部、六官能アクリル系UV硬化モノマー(DPHA)5.0重量部、三官能アクリル系UV硬化モノマー(PETIA)15.1重量部、ラジカル重合性基と分岐フルオロ脂肪族炭化水素基とを有するフッ素系レベリング剤(FT602A)0.01重量部(固形分の配合量0.005重量部)、光開始剤(Irg184)0.5重量部、光開始剤(Irg907)0.3重量部を、メチルエチルケトン46.4重量部、1−ブタノール13.1重量部及び1−メトキシ−2−プロパノール5.0重量部の混合溶媒に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー♯18を用いてPETフィルム(KEL86W)上に流延した後、80℃のオーブン内で30秒間放置し、溶媒を蒸発させて厚み約7μmのアンチニュートンリング層を形成した。その後、コートフィルムを前記紫外線照射装置に通して、紫外線硬化処理を行い、ハードコート性及び表面凹凸構造を有する層を形成した。
実施例2〜7
表1に示す配合割合で実施例1と同様にして、ニュートンリング防止フィルムを製造した。
実施例2及び7で得られたニュートンリング防止フィルムの表面をレーザー顕微鏡で観察した結果を図3〜4に示す。図3〜4の写真では、全て良好な凹凸形状が形成されていた。
比較例及び実施例のアンチニュートンリング層を構成する各成分を表1に示す。さらに、比較例及び実施例で得られたニュートンリング防止フィルムの評価結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、実施例のニュートンリング防止フィルムは、硬度が高く、アンチニュートンリング性に優れ、かつギラツキも抑制できる。特に、実施例2〜4のフィルムは、高度にアンチニュートンリング性と防眩性とを両立できる。一方、比較例のニュートンリング防止フィルムは、アンチニュートンリングを向上できない。