JP2006293329A - 反射防止フィルム及びその製造方法、並びにそのような反射防止フィルムを用いた偏光板、及びそのような反射防止フィルム又は偏光板を用いた画像表示装置。 - Google Patents

反射防止フィルム及びその製造方法、並びにそのような反射防止フィルムを用いた偏光板、及びそのような反射防止フィルム又は偏光板を用いた画像表示装置。 Download PDF

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博之 米山
Yasuhiro Okamoto
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Abstract

【課題】生産性が高く、且つ安価に製造可能であり、しかも十分な反射防止性能と耐擦傷性、さらには防汚性を有する反射防止フィルム及びその製造方法を提供すること、並びにこのような優れた反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置を提供すること。
【解決手段】支持体から最も遠くに位置する低屈折率層が、電離放射線照射により硬化する樹脂と、ポリシロキサン部分構造を有する化合物を含有してなり、該低屈折率層の最表面における珪素原子の光電子スペクトル強度{Si(a)}と、最表面から該低屈折率層の厚みの80%下層における珪素原子の光電子スペクトル強度{Si(b)}との比Si(a)/Si(b)が5.0以上であることを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フィルム及びその製造方法、並びにそのような反射防止フィルムを用いた偏光板、及びそのような反射防止フィルム又は偏光板を用いた画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するディスプレイの最表面に配置される。
反射防止フィルムにおいて、反射率を低減するためには、低屈折率層を十分に低屈折率化しなければならない。屈折率を下げる素材としては、無機物ではフッ化マグネシウムやフッ化カルシウム、有機物ではフッ素含率の大きい含フッ素化合物が挙げられるが、これらフッ素化合物は凝集力がないためディスプレイの最表面に配置するフィルムとしては耐擦傷性が不足していた。
また最表面に配置されるフィルムのため、防汚性を付与することも不可欠となっているが、特許文献1及び特許文献2に開示されているような、いわゆる含フッ素のゾル/ゲル系のバインダー技術だけでは十分な防汚性を得ることが困難であった。
さらに特許文献3には、ポリシロキサン部分構造を有する化合物を添加して防汚性を向上させる検討がなされているが、バインダーの種類を変更したり無機微粒子を併用したりすると、はじきなどの面状故障を起こしたり、塗膜からシリコーン化合物が転写を起こし製造工程を汚染したりする問題を有していた。
さらにまた、防汚性付与のため、防汚層を低屈折率層の上に形成することが、特許文献4や非特許文献1に記載されている。しかしながら、これらに記載されているフルオロアルキル基含有オルガノシラン系化合物は、塗布液調製に際して溶解させるために、取り扱いの難しいフッ素系の溶媒を必要としたり、塗布故障を引き起こし易かったりするという問題を有していた。また、新たに防汚層を形成するのに製造上の負荷が大きくなり、生産性が低下する。
特開2002−265866号公報 特開2002−317152号公報 特開2003−329804号公報 特開2002−277604号公報 反射防止膜特性と最適設計・膜作製技術
上記のように、低反射化と十分な耐擦傷性及び防汚性を同時に満たすためには低屈折率で、強度に優れ、且つ表面に汚れが付き難い、いわゆる低表面自由エネルギー化合物が必要であるが、多くの場合、一方を改良すると他方が悪化するというトレードオフの関係にあり、反射率の低減化と耐擦傷性及び防汚性とをいずれも満たすことは困難であった。
一方、反射防止フィルムの低屈折率層の製造においては、塗膜の強度を高めるために、
架橋性の化合物を塗設後に硬化させる方法が広く用いられており、熱硬化及び電離放射線硬化の材料が広く提案されている。
熱硬化方式では、十分な強度を得るのに高温が必要であるが、支持体が樹脂組成物の場合には、そのような支持体が変質しない温度までしか温度を上げることができず、十分な硬度が得られなかった。また、そのような温度範囲では、時間をかけて硬化反応を進める必要があり、生産性に課題を有している。それに比べて光硬化方式では、重合反応時間が短いことが知られており、生産性を向上できることが期待される。
本発明の目的は、生産性が高く、且つ安価に製造可能であり、しかも十分な反射防止性能と耐擦傷性、さらには防汚性を有する反射防止フィルムを提供することである。
本発明の他の目的は、上記性能を満足する反射防止フィルムの製造方法を提供することであり、更にこのような優れた反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置を提供することである。
本発明によれば、下記構成の反射防止フィルム、その製造方法、偏光板及び画像表示装置が提供され、上記目的が達成される。
(1)支持体から最も遠くに位置する低屈折率層が、電離放射線照射により硬化する樹脂と、ポリシロキサン部分構造を有する化合物を含有してなり、該低屈折率層の最表面における珪素原子の光電子スペクトル強度{Si(a)}と、最表面から該低屈折率層の厚みの80%下層における珪素原子の光電子スペクトル強度{Si(b)}との比Si(a)/Si(b)が5.0以上であることを特徴とする反射防止フィルム。
(2)ポリシロキサン部分構造を有する化合物が下記一般式(1)で表される上記(1)に記載の反射防止フィルム。
一般式(1):
Figure 2006293329
{式中、L11は炭素数1〜10の連結基を表し、s1は0又は1を表す。R11は水素原子又はメチル基を表す。A11は側鎖に水酸基を持つ繰り返し単位を表す。Y11はポリシロキサン部分構造を主鎖に含む構成成分を表わす。x,y,zは、Y11以外の全繰返し単位を基準とした場合のそれぞれの繰返し単位のモル%を表し、30≦x≦60、0≦y≦70、0≦z≦50を満たす値を表す。ただし、x+y+z=100(モル%)である。uは共重合体中の構成成分Y11の質量%を表し、0.01≦u≦20である。}
(3)ポリシロキサン部分構造を有する化合物が下記一般式(2)で表される上記(1)に記載の反射防止フィルム。
一般式(2):
Figure 2006293329
{式中、Rf21は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基を表し、Rf22は炭素数1〜30の直鎖、分岐又は脂環構造を有する含フッ素アルキル基を表し、エーテル結合を有していてもよく、A21は架橋反応に関与し得る反応性基を有する構成単位を表し、B21は任意の構成成分を表す。R21及びR22は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。p1は10〜500の整数を表す。R23〜R25は、互いに独立に、置換又は無置換の1価の有機基又は水素原子を表し、R26は水素原子又はメチル基を表
わす。L21は炭素数1〜20の任意の連結基又は単結合を表す。a〜dはそれぞれポリシロキサン部分構造を含有する重合単位を除く各構成成分のモル分率(%)を表し、それぞれ10≦a+b≦55、10≦a≦55、0≦b≦45、10≦c≦50、0≦d≦40の関係を満たす値を表す。eはポリシロキサン部分構造を含有する重合単位の、他の成分全体の質量に対する質量分率(%)を表し、0.01<e<20の関係を満たす。}
(4)最表面の表面自由エネルギーが25mN/m以下である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
(5)支持体から最も遠くに位置する低屈折率層及び該低屈折率層より下の層の、少なくともいずれかの層に、
酸触媒及び金属キレート化合物の少なくともいずれかの存在下で製造されてなる下記一般式(3)で表されるオルガノシランの加水分解物及びその部分縮合物の少なくともいずれかを含む上記(1)に記載の反射防止フィルム。
一般式(3):(R30m1Si(X314-m1
(式中、R30は、置換もしくは無置換のアルキル基又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。X31は水酸基又は加水分解可能な基を表す。m1は1〜3の整数を表す。)
(6)低屈折率層が屈折率1.15〜1.40の無機微粒子を含有する上記(1)又は(5)に記載の反射防止フィルム。
(7)低屈折率層に分子量が250以上の光重合開始剤を含有する上記(1)に記載の反射防止フィルム。
(8)反射防止フィルムが、低屈折率層と支持体との間にさらに少なくとも1層の薄膜を有する反射防止フィルムし、且つ該薄膜層が面状改良剤を含有する上記(1)に記載の反射防止フィルム。
(9)支持体から最も遠くに位置する低屈折率層に、電離放射線照射により硬化する樹脂と、ポリシロキサン部分構造又はフルオロアルキル基を有する化合物を含有する塗布組成物を支持体上に塗布して、電離放射線による照射と、その前、同時又は後の熱処理とを組み合わせることにより硬化し、該反射防止フィルムの低屈折率層の最表面における珪素原子の光電子スペクトル強度{Si(a)}と、最表面から該低屈折率層の厚みの80%下層における珪素原子の光電子スペクトル強度{Si(b)}との比Si(a)/Si(b)が5.0以上にせしめたことを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(10)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の反射防止フィルム、又は上記(9)に記載の反射防止フィルムの製造方法によって得られた反射防止フィルムを、少なくとも一方の側に備えたことを特徴とする偏光板。
(11)(1)〜(8)のいずれかに記載の反射防止フィルム、(9)に記載の反射防止フィルムの製造方法によって得られた反射防止フィルム、又は(10)に記載の偏光板が配置されていることを特徴とする画像表示装置。
本発明の反射防止フィルムは、生産性高く、且つ安価に製造可能であり、しかも十分な反射防止性能と耐傷性、さらには防汚性を有する。また本発明によればこれら性能を満足する反射防止フィルムの製造方法が提供される。
さらに、本発明の上記反射防止フィルムを備えた偏光板が提供され、これら反射防止フィルムや偏光板を具備する本発明の画像表示装置は、該反射防止フィルムが最表面に配置されるので、視認性に優れると共に、耐傷性、さらには防汚性に優れている。
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
<反射防止フィルム>
〔低屈折率層〕
まず、本発明の反射防止フィルムの低屈折率層について説明する。
本発明における低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.28〜1.48、更に好ましくは1.34〜1.44の範囲にある。さらに、低屈折率層は下記数式(1)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(1):(m1λ/4)×0.7<n11<(m1λ/4)×1.3
式中、m1は正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そしてd1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、上記数式(1)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(1)を満たすm1(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
[電離放射線硬化樹脂]
本発明における低屈折率層には、電離放射線照射により硬化する樹脂が使用される。このような電離放射線硬化樹脂としては、樹脂自身の屈折率が低い含フッ素ポリマーや含フッ素ゾル/ゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素ポリマーや含フッ素ゾル/ゲル素材は、電離放射線及び、必要に応じて、熱により架橋する。形成される低屈折率層表面の動摩擦係数は0.03〜0.15であることが好ましく、水に対する接触角は90〜120°となることが好ましい。また、電離放射線照射により硬化する多官能の反応性基を有する低分子の化合物を用いることもできる。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーや含フッ素ゾル/ゲル素材としては、ペルフルオロアルキル基含有シラン化合物{例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン}の加水分解物、その脱水縮合物などの他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類[例えば「ビスコート6FM」{大阪有機化学工業(株)製}、“M−2020”{ダイキン工業(株)製}等]、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはペルフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
架橋反応性付与のための構成単位としては主として以下の(A)、(B)、(C)で示される単位が挙げられる。
(A):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように、分子内に自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、
(B):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー{例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等}の重合によって得られる構成単位、
(C):分子内に上記(A)、(B)の官能基と反応する基と、それとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(A)、(B)の構成単位と反応させて得られる構成単位(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)。
上記(C)の構成単位は、特に本発明においては、該架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。
ここに、光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基及びシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
[ポリシロキサン部分構造を有する化合物]
本発明において、特に好ましく用いることのできるポリシロキサン部分構造を有する化合物について、以下に詳細に述べる。
このような化合物としては、大別すると、一般式(1)に代表されるポリシロキサン部分構造がポリマー主鎖に含まれるもの、及び一般式(2)に代表されるポリシロキサン部分構造がポリマー側鎖に含まれるものを好ましく用いることができる。
(ポリマー主鎖にポリシロキサン部分構造を有するポリマー)
ポリマー主鎖にポリシロキサン部分構造を有するポリマーとしては、主鎖にポリシロキサン部分構造と共に、含フッ素ビニルモノマーからの繰返し単位を含み、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位及び、水酸基を有する繰り返し単位を含んでなる含フッ素ポリマーであることが好ましい。このようなポリマーは、電離放射線照射により硬化する樹脂と、ポリシロキサン部分構造を有する化合物を兼ねることができる。このポリマーは、下記一般式(1)で表わされることが好ましい。
一般式(1):
Figure 2006293329
上記一般式(1)中、L11は炭素数1〜10の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。好ましい例としては、*−(CH22−O−**、*−(CH22−NH−**、*−(CH24−O−**、*−(CH26−O−**、*−(CH22−O−(CH22−O−**、−CONH−(CH23−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**{*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す}等が挙げられる。
s1は0又は1を表す。
11は水素原子又はメチル基を表し、硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
11は側鎖に水酸基を持つ繰り返し単位を表し、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶媒への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一又は複数のビニルモノマーによって構成されていてもよい。
11を構成するビニルモノマーの好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を例として挙げることができるが、好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。膜硬化時に酸素の影響を受けにくいという観点からは、グリシジル基を含有するモノマーが好ましい。
11はポリシロキサン部分構造を主鎖に含む構成成分を表わす。
主鎖へのポリシロキサン部分構造導入方法には特に制限はなく、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS-0501、1001(商品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法、重合開始剤、連鎖移動剤由来の反応性基(例えばメルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)をポリマー末端に導入した後、片末端あるいは両末端反応性基(例えばエポキシ基、イソシアネート基等)含有ポリシロキサンと反応させる方法、ヘキサメチルシクロトリシロキサン等の環状シロキサンオリゴマーをアニオン開環重合にて共重合させる方法等が挙げられるが、中でもポリシロキサン部分構造を有する開始剤を利用する手法が容易であり好ましい。
x,y,zは、Y11以外の全繰返し単位を基準とした場合のそれぞれの繰返し単位のモル%を表し、30≦x≦60、0≦y≦70、0≦z≦50を満たす値を表し、好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦35の範囲である。ただし、x+y+z=100(モル%)である。uは共重合体中の構成成分Y11の質量%を表し、0.01≦u≦20である。
その中でも、特に好ましいポリマーとしては、下記一般式(1−2)で表されるものを挙げることができる。
一般式(1−2):
Figure 2006293329
上記一般式(1−2)中、R11、Y11、x、y、uはそれぞれ一般式(1)と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
11は任意のビニルモノマーからの繰返し単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。例としては、前記一般式(1)におけるA11の例として説明し
たものが当てはまる。
z1及びz2は、Y11以外の全繰返し単位を基準とした場合の、それぞれの繰返し単位のモル%を表し、0≦z1≦40、0≦z2≦40を満たす値を表し、それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100(モル%)である。またt1は2≦t1≦10を満たす整数を表し、2≦t1≦6であることが好ましく、2≦t1≦4であることが特に好ましい。更に好ましくは、上記一般式(1−2)で表される共重合体が、40≦x≦60、40≦y≦60、z2=0を満たすものである。
本発明の共重合体に導入されるポリシロキサン部分構造として、特に好ましくは、下記一般式(1−3)で表される構造である。
一般式(1−3):
Figure 2006293329
一般式(1−3)において、R111、R112、R113及びR114はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基(炭素数1〜5が好ましい。例としてメチル基、エチル基が挙げられる)、アリール基(炭素数6〜10が好ましい。例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる)、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜5が好ましい。例としてメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が挙げられる)、又はシアノ基を表し、好ましくはアルキル基及びシアノ基であり、特に好ましくは、メチル基及びシアノ基である。
115〜R120は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基(炭素数1〜5が好ましい。例としてメチル基、エチル基が挙げられる)、ハロアルキル基(炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましい。例としてトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が挙げられる)又はフェニル基を表し、好ましくはメチル基又はフェニル基であり、特に好ましくはメチル基である。
t2及びt5は、それぞれ独立して、1〜10の整数を表し、好ましくは1〜6の整数であり、特に好ましくは2〜4の整数である。t3及びt4は、それぞれ独立して、0〜10の整数を表し、好ましくは1〜6の整数であり、特に好ましくは2〜4の整数である。p2は10〜1000の整数を表し、好ましくは20〜500の整数であり、特に好ましくは50〜200の整数である。
上記一般式(1−3)で表されるポリシロキサン部分構造は、本発明で用いられるポリマー中の0.01〜20質量%の範囲で導入されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で導入される場合であり、特に好ましくは0.5〜5質量%の範囲で導入される場合である。
上記のポリシロキサン部分構造の導入によって、皮膜に防汚性、防塵性が付与されると供に、皮膜表面に滑り性が付与され耐傷性にも有利である。
本発明に有用なポリマーでは、上記含フッ素ビニルモノマーからの繰返し単位及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶媒への溶解性、透明性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜40モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜30モル%の範囲であることがより好ましく、0〜20モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
以下に、本発明で有用なポリマーの好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006293329
表1において、50/y/zはモル比を示し、uは質量%を示し、VPS−1001は、和光純薬工業(株)製ポリシロキサン含有マクロアゾ開始剤“VPS1001”(商品名)由来の成分を表す(以下同様)。
Figure 2006293329
表2において、x/y/zはモル比を示し、uは共重合体中の質量%を示す。VPS−0501は、和光純薬工業(株)製ポリシロキサン含有マクロアゾ開始剤“VPS0501”(商品名)由来の成分を示す。
Figure 2006293329
Figure 2006293329
表3及び表4において、x/y/z1/z2と50/y/zとはそれぞれモル比を示し、uは質量%を示す。またt1はメチレンユニットの数を示す。
Figure 2006293329
Figure 2006293329
表5及び表6において、x/y/zはモル比を示し、uは質量%を示す。またt1はメチレンユニットの数を示す。
Figure 2006293329
表7において、ビニルモノマーの成分の比(50/50)はモル比を示し、uは質量%を示し、p2はジメチルシロキサン部分構造の数を示す。
(ポリマー側鎖にポリシロキサン部分構造を有するポリマー)
次にポリマー側鎖にポリシロキサン部分構造を有するポリマーについて詳細に説明する。
本発明で特に好ましいポリマーの形態は一般式(2)で表わされる形態である。
一般式(2):
Figure 2006293329
一般式(2)において、Rf 21は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基を表し、Rf 22は炭素数1〜30の直鎖、分岐又は脂環構造を有する含フッ素アルキル基を表し、エーテル結合を有していてもよく、A21は架橋反応に関与し得る反応性基を有する構成単位を表し、B21は任意の構成成分を表す。R21及びR22は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。p1は10〜500の整数を表す。R23〜R25は、互いに独立に、置換又は無置換の1価の有機基又は水素原子を表し、R26は水素原子又はメチル基を表わす。L21は炭素数1〜20の任意の連結基又は単結合を表す。
a〜dは、それぞれ、ポリシロキサン部分構造を含有する重合単位を除く各構成成分のモル分率(%)を表し、それぞれ10≦a+b≦55、10≦a≦55(より好ましくは40≦a≦55)、0≦b≦45(より好ましくは0≦b≦30)、10≦c≦50(より好ましくは20≦c≦50)、0≦d≦40(より好ましくは0≦d<30)の関係を満たす値を表す。eはポリシロキサン部分構造を含有する重合単位の、他の4成分全体の質量に対する質量分率(%)を表し、0.01<e<20(好ましくは0.1<e<10、より好ましくは0.5<e<5)の関係を満たす。
ペルフルオロオレフィンとしては、炭素数3〜7のものが好ましく、重合反応性の観点からはペルフルオロプロピレン又はペルフルオロブチレンが好ましく、入手性の観点からペルフルオロプロピレンであることが特に好ましい。
ポリマー中のペルフルオロオレフィンの含率は、10〜55モル%である。素材の低屈折率化のためにはペルフルオロオレフィンの導入率を高めることが望まれるが、重合反応性の点で一般的な溶液系ラジカル重合反応では50〜70モル%程度の導入が限界でありこれ以上は困難である。本発明においては、該含率は10%〜55モル%であることが好ましく、40〜55モル%であることが特に好ましい。
(含フッ素ビニルエーテル)
本発明では、低屈折率化のために下記一般式(M1)で表わされる含フッ素ビニルエーテルを共重合させてもよい。該共重合成分は、0〜45モル%の共範囲で重合体中に導入されていてよいが、好ましくは0〜30モル%であり、特に好ましくは0〜20モル%の場合である。特に、低屈折率層の皮膜硬度を高めに設定すべき場合(例えば、低屈折率フィラーを低屈折率層に多量に含み、層の屈折率をバインダーポリマーで下げるよりも、むしろ皮膜強度を上げる方が好適な場合などに該当する)、下記一般式(M1)で表される含フッ素ビニルエーテルで表される共重合成分の導入率は0モル%が好ましい。これは、該共重合成分を除くことで、後述する架側鎖に架橋反応に関与し得る反応性基を有する重合単位の導入率を上げることができるからである。
Figure 2006293329
一般式(M1)中、Rf 22は炭素数1〜30の含フッ素アルキル基を表し、好ましくは
炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜15の含フッ素アルキル基であり、直鎖{例えば、−CF2CF3、−CH2(CF24H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2
CF24H等}であっても、分岐構造{例えば、CH(CF32、CH2CF(CF32、CH(CH3)CF2CF3、CH(CH3)(CF25CF2H等}を有していてもよく、また脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)を有していてもよく、エーテル結合(例えばCH2OCH2CF2CF3、CH2CH2OCH248H、CH2CH2OCH2CH2817、CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)を有していてもよい。
一般式(M1)で表わされる上記単量体は、例えば、“Macromolecules”,32巻(21)、p.7122(1999年)、特開平2−721号公報等に記載のごとく、ビニロキシアルキルスルフォネート、ビニロキシアルキルクロリド等の離脱基置換アルキルビニルエーテル類に対して、塩基触媒存在下含フッ素アルコールを作用させる方法;国際出願第92/05135号パンフレット記載のごとく、含フッ素アルコールとブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類をパラジウム触媒存在下混合してビニル基の交換を行う方法;米国特許第3420793号明細書記載のごとく、含フッ素ケトンとジブロモエタンをフッ化カリウム触媒存在化で反応させた後アルカリ触媒により脱HBr反応を行う方法等により合成することができる。
以下に一般式(M1)で表わされる構成成分の好ましい例を示す。
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
(架橋反応に関与し得る反応性基を有する構成単位)
本発明において、低屈折率層を構成する含フッ素ポリマーに含まれる、架橋反応に関与し得る反応性基(以下、架橋反応性基ともいう)を有する構成単位の構造には、特に制限はないが、含フッ素オレフィンとの重合反応性の観点から、ビニル基を有する化合物であることが好ましく、ビニルエーテル類又はビニルエステル類であることがより好ましい。
上記架橋反応性基としては、例えば、活性水素原子を有する基(例えば、水酸基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(例えば、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等)、酸無水物、ラジカル種による付加又は重合が可能な不飽和二重結合を有する基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基等)、加水分解性シリル基(例えば、アルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、求核剤によって置換され得る基(例えば、活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が挙げられる。
これらのうちで不飽和二重結合を有する基は、水酸基を有するポリマーを合成した後、(メタ)アクリル酸クロリド等の酸ハリド、(メタ)アクリル酸無水物等の酸無水物、又
は(メタ)アクリル酸を作用させる方法;3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で、脱塩化水素する方法等の定法によって形成できる。また同様に他の官能基も、モノマー段階から導入されていてもよいし、水酸基等の反応性基を有するポリマーを合成後に導入してもよい。
上記の架橋反応性基の中では、水酸基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基又は加水分解性シリル基が好ましく、エポキシ基又は(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基が最も好ましい。これらの架橋反応性基を有する共重合成分の導入量は、10〜50モル%の範囲であり、20〜50モル%の範囲であることが好ましく、25〜50モル%の範囲であることが特に好ましい。
以下に、架橋反応に関与し得る重合単位の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
(ポリシロキサン部分構造)
本発明で使用される、側鎖にポリシロキサン部分構造を有するポリマーにおけるポリシロキサン部分構造について説明する。ポリシロキサン部分構造は、一般に、下記一般式(2−1)の繰り返しシロキサン部位を有している。
一般式(2−1):
Figure 2006293329
一般式(2−1)中、R21及びR22は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基およびフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。p1は10〜500の整数を表わし、好ましくは10〜350であり、特に好ましくは10〜250の場合である。
側鎖に一般式(2−1)であらわされるポリシロキサン構造を有するポリマーは、例えば“J.A.Appl.Polym.Sci.”,2000巻、p.78(1955年)、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、エポキシ基、水酸基、カルボキシル、酸無水物基等の反応性基を有するポリマーに対して、反応性を有する反応性基(例えばエポキシ基、酸無水物基に対してアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)を片末端に有するポリシロキサン[例えば「サイラプレーン」シリーズ{チッソ(株)製}など]を高分子反応によって導入する方法;ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。本発明ではシリコンマクロマーの重合によって導入する方法がより好ましい。
側鎖に繰り返しシロキサン部位を含む重合単位は、共重合体中の0.01〜20質量%を占めることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%の場合であり、特に好まし
くは、0.5〜5%の場合である。
以下に、本発明に有用な、側鎖に繰り返しシロキサン部位を含む重合単位の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
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Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
上記以外の、側鎖に繰り返しシロキサン部位を含む重合単位としては、前記のように、他の重合単位が有する反応性基に対して、反応性を有する反応性基を片末端に有するポリシロキサンを高分子反応させることにより形成されるものも使用することができ、このような市販のポリシロキサンとしては、次のものを例示することができる。
S−(36):「サイラプレーンFM−0711」{チッソ(株)製}
S−(37):「サイラプレーンFM−0721」(同上)
S−(38):「サイラプレーンFM−0725」(同上)
(その他の共重合成分)
上記以外の共重合成分もまた、硬度、基材への密着性、溶媒への溶解性、透明性等種々の観点から、適宜選択することができる。
このような共重合成分としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類を例として挙げることができる。これらの共重合成分の導入量は、0〜40モル%の範囲であり、0〜30モル%の範囲であることが好ましく、1〜20モル%の範囲であることが特に好ましい。
下記の表8及び表9に、本発明で有用なポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお表8及び表9には、重合単位の組み合わせとして表記する。シリコーンを含む重合単位を除いた成分の中のモル分率及び、シリコーンを含む重合単位の質量分率を示す。
Figure 2006293329
Figure 2006293329
本発明に用いられるポリシロキサン部分構造を有する化合物である、主鎖又は側鎖にポリシロキサン構造を有するポリマーは、ゲルパーミッションクロマトグラフィーで測定し
たポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000の範囲であることが好ましく、更に好ましくは5,000〜300,000の範囲であることが好ましい。
上記の主鎖又は側鎖にポリシロキサン構造を有するポリマーの合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行なうことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の任意の操作で行うことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光又は放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971年)や、大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」(化学同人、昭和47年刊)、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶媒は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶媒の単独又は2種以上の混合物でもよいし、水との混合溶媒としてもよい。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
反応圧力は適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
(多官能化合物の併用)
本発明のポリマーに対して、膜強度の向上、塗布面状改良、微粒子添加時の面状安定性の観点から、1分子内に2個以上の重合性又は縮合性官能基を有する化合物を用いることもできる。好ましくは、エチレン性不飽和基を有する化合物、又はカチオン重合性基を有する化合物を挙げることができる。
まず、エチレン性不飽和基を含有する化合物について述べる。
(エチレン性不飽和基を有する化合物)
本発明のポリマーに対して、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を併用することが好ましい。該2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート}、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート等}、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン等)、ビニルスルホン(例えばジビニルスルホン等)、アクリルアミド誘導体(例えばメチレンビスアクリルアミド等)及びメタクリルアミド誘導体などが挙げられる。上記化合物は2種以上併用してもよい。
(カチオン重合性基を有する化合物)
カチオン重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等が挙げられるが、好ましくは開環重合性の基であり、より好ましくはエポキシ基またはオキセタニル基であり、特に好ましくはエポキシ基である。これらの基は可能な位置に置換基を有していても良い。
これらのカチオン重合性基は、カチオン重合性基を有する化合物一分子当たり、複数個導入されていることが好ましく、より好ましくは、1分子当たり、2〜20個導入されたものであり、特に好ましくは3〜10個導入されたものである。
本発明において好適に使用される化合物としては、例えば市販のものでは、デナコールEX314,同411,同421,同521,同611,同612等(以上ナガセ化成工業株式会社製、)、セロキサイド、GT301,同401等(以上ダイセル工業株式会社製)等を挙げることができる。
その他、本発明に有用な多官能化合物を以下に例示する。
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
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(多官能化合物の使用量)
上記化合物の分子量には特に制限はないが、好ましくは200〜10000であり、より好ましくは200〜3000、特に好ましくは400〜1500の範囲である。分子量が小さすぎると、皮膜形成過程での揮発が問題になり、大きすぎると含フッ素ポリマーとの相溶性が悪くなる。
上記多官能化合物の添加量は、皮膜を形成する固形分に対して0.1〜50質量%の範囲で添加されることが好ましく、1〜30質量%の場合がより好ましく、3〜20質量%の場合が特に好ましい。
本発明のフィルム、特にフィルムの最上層には、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、ポリシロキサン系の、滑り剤等を適宜添加することもできる。
これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲
で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
[ポリシロキサン構造を有する化合物]
本発明では滑り性付与による耐擦傷性向上を目的としてポリシロキサン構造を有する化合物を用いることができる。
好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、オキセタニル基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.0質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−160AS、X−22−162C、X−22−163C、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−173DX、X−22−174DX、X−22−176D、X−22−176DX、X−22−176F、X−22−1821、X−22−2426、KF−105、KF−6001、KF−6002、KF−6003、(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0411、FM−0421、FM−0425、FM−0725、FM−1121、FM−4411、FM−4421、FM−4425、FM−5511、FM−5521、FM−5525、FM−6611、FM6621、FM−6625、FM−7725、FM−DA11、FM−DA21、FM−DA25(以上商品名)やGelest製、CMS−626、CMS−222、DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221 (以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明においては、塗布性の改良の観点からフッ素系化合物を使用することもできる。これら化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3,−CH2(CF24H,−CH2(CF28CF3,−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF32,CH2CF(CF32,CH(CH3)CF2CF3,CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCH2OCH2CF2CF3,CH2CH2OCH248H,CH2CH2OCH2CH2817,CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ
素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300 (以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
[低屈折率層の各種評価]
(珪素原子の表面偏析度評価)
次に、低屈折率層表面への珪素原子の偏析の測定方法について説明する。
それぞれの反射防止フィルムついて島津製作所(株)製“ESCA−3400”で(真空度1×10-5Pa、X線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mA)最表面のSi2p及びC1sの光電子スペクトルを測定した。これらのシグナル強度比Si2p/C1sを最表面のSi(a)と定義する。
“ESCA−3400”に付属のイオンエッチング装置(イオンガン、電圧2kV、電流20mA)で、低屈折率層をエッチングし、表面から該低屈折率層の厚みの80%下層における光電子スペクトルを測定し、強度比Si2p/C1sを算出した。この値をSi(b)と定義する。
予め種々のエッチング条件で低屈折率層表面を徐々に削り進む予備実験を実施しておき、下層に達するまでに要するエッチング条件を元に、表面から深さ80%となる条件を求めてから測定した。
本発明の反射防止フィルムは、その低屈折率層におけるSi(a)/Si(b)の値が5.0以上であることを特徴とするものである。Si(a)/Si(b)の値として、更に好ましくは6.0以上、最も好ましくは7.0以上である。珪素原子が低屈折率層の表面からその厚みの80%下層において存在しなければ、Si(a)/Si(b)の値は無限大になる。この値が大きければシリコーンが表面に存在していることを示す。上記の値の範囲とすることで防汚性を所望のものとすることが出来る。また、低屈折率層の上にさらに防汚層を設けることなく、低屈折率層が防汚層を兼ねることが出来る。なおC1sはそれぞれの光電子スペクトルのピーク位置で強度を求め、Si2pはシリコーン(ポリジメチルシロキサン)の珪素原子由来のピーク位置(結合エネルギーが105eV付近)における強度を用い、無機シリカ粒子由来のSi原子と区別した。[低屈折率層の硬化方法]に後述するように、硬化工程において電離放射線による照射と熱処理とを組み合わせることで、Si(a)/Si(b)を効果的に上記の範囲とすることができる。
(表面自由エネルギー)
本発明の反射防止フィルムの表面自由エネルギー(γsv:単位、mN/m)は、D.K.Owens,“J.Appl.Polym.Sci.”,13巻、p.1741(1969年)を参考に、反射防止フィルム上で実験的に求めた、純水H2Oとヨウ化メチレンCH22のそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から、以下の連立方程式(1)及び(2)より求めた、γsdとγshの和で表される値γsv(=γsd+γsh)で算出される、反射防止フィルムの表面張力で定義される。このγsvが小さく、表面自由エネルギーが低いほど、表面のはじき性が高く、一般に防汚性が優れたものになる。反射防止フィルムの表面自由エネルギーは25mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以下であることが特に好ましい。
(1):1+cosθH2O=2√γsd(√γH2Od/γH2Ov)+2√γsh(√γH2Oh/γH2Ov
(2):1+cosθCH2I2=2√γsd(√γCH2I2d/γCH2I2v)+2√γsh(√γCH2I2h/γCH2I2v
*γH2Od=21.8、γH2Oh=51.0、γH2Ov=72.8、γCH2I2d=49.5、γCH2I2h=1.3、γCH2I2v=50.8で、接触角の測定は25℃、60%RHの条件下で、1時間以上反射防止フィルムを調湿した後に、同条件下において実施するものとする。
[微粒子]
本発明において、低屈折率層に好ましく用いることのできる微粒子について説明する。
微粒子の塗設量は、1〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5〜80mg/m2、更に好ましくは10〜60mg/m2である。微粒子の塗設量が該下限値以上であれば、耐擦傷性が顕著に改良され、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化するなどの不具合が生じることがないので好ましい。該微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。
微粒子は無機酸化物粒子であることが好ましく、得られる低屈折率層の無色性の観点から、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる、少なくとも1種の元素の酸化物粒子であることが好ましい。
これらの無機微粒子としては、例えば、シリカ、フッ化マグネシウム、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の酸化物粒子を挙げることができる。中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化アンチモンの粒子が好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに無機微粒子は、有機溶媒分散物として用いるのが好ましい。有機溶媒分散物として用いる場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶媒が好ましい。
このような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
酸化物粒子の数平均粒子径は、1〜200nmが好ましく、3〜150nmがさらに好ましく、5〜100nmが特に好ましい。数平均粒子径が200nm以下であれば、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化したりするなどの不都合が生じないので好ましい。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
珪素酸化物粒子分散液(例えば、シリカ粒子)として市販されている商品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製シリカゾル“MA−ST−MS”、“IPA−ST”、“IPA−ST−MS”、“IPA−ST−L”、“IPA−ST−ZL”、“IPA−ST−UP”、“EG−ST”、“NPC−ST−30”、“MEK−ST”、“MEK−ST−L”、“MIBK−ST”、“NBA−ST”、“XBA−ST”、“DMAC−ST”、“ST−UP”、“ST−OUP”、“ST−20”、“ST−40”、“ST−C”、“ST−N”、“ST−O”、“ST−50”、“ST−OL”等;触媒化成工業(株)製中空シリカ“CS60−IPA”等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製「アエロジル130」、「アエロジル300」、「アエロジル380」、「アエロジルTT600」、「アエロジルOX50」;旭硝子(株)製「シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122」;日本シリカ工業(株)製“E220A”、“E220”、“SS−50”、“SS50A”、“SS−50F”;富士シリシア(株)製“SYLYSIA470”;日本板硝子(株)製「SGフレ−ク」等を挙げることができる。
また、アルミナの水分散品としては、日産化学工業(株)製「アルミナゾル−100、−200、−520」;アルミナのイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント(株)製“AS−150I”;アルミナのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製“AS−150T”;ジルコニアのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製“HXU−110JC”;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業(株)製「セルナックス」;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶媒分散品としては、シーアイ化成(株)製「ナノテック」;ATOの水分散ゾルとしては、石原産業(株)製“SN−100D”;ITO粉末としては、三菱マテリアル(株)製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製ニードラール等を挙げることができる。
酸化物粒子の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、鎖状、パールネックレス状、又は不定形状であり、好ましくは、球状又は中空状である。中空状のシリカ粒子については後述する。無機微粒子の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m2/gであり、さらに好ましくは、20〜500m2/gであり、最も好ましくは50〜300m2/gである。これら無機酸化物粒子は、乾燥状態の粉末を有機溶媒に分散することもできるが、例えば上記の酸化物の溶媒分散ゾルとして当業界に知られている微粒子状の酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。
(中空シリカ粒子)
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層においては、屈折率の低い中空状の無機微粒子を用いるのが特に好ましい。中空シリカ粒子について、以下に記載する。
中空のシリカ微粒子は、屈折率が1.15〜1.40であることが好ましく、更に好ましくは1.15〜1.35、最も好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は、粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をri、粒子外殻の半径をroとす
ると、空隙率xは下記数式(1)で表される。中空シリカ粒子の空隙率xは、好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
数式(1):x=(ri/ro3×100
中空シリカ微粒子の平均粒径は、電子顕微鏡写真から求めることができる。
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から、中空のシリカ粒子の屈折率は、通常、1.17以上である。
中空シリカ粒子の製造方法は、例えば特開2001−233611号公報や特開2002−79616号公報に記載されている。本発明において用いられる中空シリカ粒子としては、外殻の内部に空洞を有している粒子で、その外殻の細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616号公報に記載の方法で算出することができる。
中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。シリカ微粒子の粒径が該下限値以上であれば、空腔部の割合が十分であり、屈折率の低下が見込めるので好ましく、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化するなどの弊害が生じることがないので好ましい。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカの比表面積は、20〜300m2/gが好ましく、更に好ま
しくは30〜120m2/g、最も好ましくは40〜90m2/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることができる。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
(小サイズ粒径のシリカ微粒子)
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を、上記の粒径のシリカ粒子(「大サイズ粒径のシリカ粒子」と称す)と併用することもできる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コスト及び保持剤効果の点で好ましい。
(無機微粒子の表面処理)
本発明の低屈折率層に用いることのできる無機微粒子は、分散液中又は塗布液中で、分
散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。
無機微粒子が、下記一般式(3)で表されるオルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物により表面処理がなされており、処理の際に、酸触媒及び金属キレート化合物のいずれか、又は両者が使用されることが好ましい。
一般式(3):(R30m1Si(X314-m1
式中、R30は、置換もしくは無置換のアルキル基又は、置換もしくは無置換のアリール基を表す。X31は水酸基又は加水分解可能な基を表す。m1は1〜3の整数を表す。
無機微粒子の上記分散性改良処理は、オルガノシランと無機酸化物微粒子と、必要に応じて水とを、加水分解機能を有する触媒及び縮合機能を有する金属キレート化合物の少なくともいずれかの存在下に、接触させることにより行われる。オルガノシランは、一部加水分解されていてもよいし、部分縮合していてもよい。オルガノシランは、加水分解に引き続いて部分縮合し、これが無機酸化物微粒子の表面を修飾して、分散性が向上し、安定した無機酸化物微粒子の分散液が得られる。
(金属キレート化合物)
金属キレート化合物は、下記一般式(4−1)で表されるアルコールと、下記一般式(4−2)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti又はAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物であれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用してもよい。
一般式(4−1):R41OH
一般式(4−2):R42COCH2COR43
式中、R41及びR42は、同一又は異なってもよく、炭素数1〜10のアルキル基を示し、R43は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。
[オルガノシラン化合物]
本発明の反射防止フィルムは、その低屈折率層及び該低屈折率層より下の層のうち、いずれかの層に、酸触媒及び金属キレート化合物の少なくともいずれかの存在下で製造されてなる下記一般式(3)で表されるオルガノシランの、加水分解物及びその部分縮合物のいずれかが用いられることが好ましい。次ぎに、このオルガノシラン化合物について詳細に説明する。
一般式(3):(R30m1−Si(X314-m1
一般式(3)において、R30は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t−ブチル基、s−ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
31は、水酸基又は加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR32COO基(R32は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO基、C25COO基等)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
m1は1〜3の整数を表す。R30もしくはX31が複数存在するとき、複数のR30もしくはX31はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。m1として好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
30に含まれる置換基としては、特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチ基、i−プロピル基、プロピル基、t−ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1−プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−メチル−N−オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
30が複数ある場合は、少なくとも1つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(3−1)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物として表すことができる。
一般式(3−1):
Figure 2006293329
一般式(3−1)において、R32は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R32としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
31は、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基又はウレア基を表す。単結合、エステル基及びアミド基が好ましく、単結合及びエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
31は、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、又は内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、なかでも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい
m2は0又は1を表す。X31が複数存在するとき、複数のX31は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。m2として好ましくは0である。
30は、一般式(3)のR30と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
31は、一般式(3)のX31と同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
本発明に用いるオルガノシラン化合物として、下記一般式(3−2)で表されるものも好ましい。
一般式(3−2):(Rf 31−L32m3−Si(R33m3-4
上記一般式(3−2)中、Rf 31は炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、又は炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rf 31は、炭素数3〜10の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。L32は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。R33は水酸基又は加水分解可能な基を表し、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子が更に好ましい。m3は1〜3の整数を表す。
次に一般式(3−2)で表される含フッ素オルガノシラン化合物の中でも、下記一般式(3−3)で表される含フッ素オルガノシラン化合物が好ましい。
一般式(3−3):Cn2n+1−(CH2t6−Si(R343
上記一般式(3−3)中、nは1〜10の整数、t6は1〜5の整数を表す。R34は炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。nは4〜10が好ましく、t6は1〜3が好ましく、R34はメトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子が好ましい。
一般式(3)の化合物は、2種類以上を併用してもよい。以下に一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006293329
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Figure 2006293329
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Figure 2006293329
Figure 2006293329
これらの具体例の中で、(OS−1)、(OS−2)、(OS−56)、(OS−57)等が特に好ましい。また、特許第3474330号公報の参考例に記載のA,B,Cの化合物も分散安定性に優れ好ましい。
本発明においては、一般式(3)で表されるオルガノシラン化合物の使用量は、特に制限はないが、無機微粒子当たり1質量%〜300質量%が好ましく、更に好ましくは3質量%〜100質量%、最も好ましくは5質量%〜50質量%である。無機酸化物の表面の水酸基基準の規定度濃度(Formol)当たりでは1〜300モル%が好ましく、更に好ましくは5〜300モル%、最も好ましくは10〜200モル%である。オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜形成時に膜強度も上昇する。
複数種のオルガノシラン化合物を併用することも好ましく、複数種の化合物を同時に添加することも、添加時間をずらして反応させることもできる。また、複数種の化合物を予め部分縮合物にしてから添加すると反応制御が容易であり好ましい。
(オルガノシラン化合物の使用層)
本発明においては、低屈折率層および低屈折率層より下の層の、少なくともいずれかの層に、上述のオルガノシラン化合物、その加水分解物、およびその加水分解縮合物の少なくともいずれかを使用することが好ましい。オルガノシラン化合物の加水分解及びその縮合については、上記無機微粒子に関する記載の中で述べた酸触媒及び/又は金属キレート化合物を用いることが好ましい。
低屈折率層に用いる場合の好ましい使用量は、該低屈折率層を形成する固形分当たり1〜95質量%が好ましく、更に好ましくは2〜70質量%、最も好ましくは2〜45%である。低屈折率層に隣接する層に使用する場合には、該低屈折率層隣接層を形成する固形分当たり0.1〜70質量%が好ましく、更に好ましくは0.2〜50質量%、最も好ましくは1〜30%である。
[低屈折率層の硬化方法]
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、電離放射線照射により硬化する樹脂と、ポリシロキサン部分構造又はフルオロアルキル基を有する化合物を含有する低屈折率層形成用塗布組成物を支持体上に塗布して、電離放射線による照射と、照射の前、照射と同時又は照射後の熱処理とを組み合わせることにより、硬化するものであり、これにより効果的に前記Si(a)/Si(b)を前記の範囲とすることができる。
以下にいくつかの製造工程のパターンを示すが、これらに限定されるものではない。
照射前→ 照射と同時 →照射後(−は熱処理を行っていないことを示す。)
(1)熱処理→電離放射線硬化→ −
(2)熱処理→電離放射線硬化→熱処理
(3) − →電離放射線硬化→熱処理
その他、電離放射線硬化時に同時に熱処理を行う工程も好ましい。
(熱処理)
本発明においては、上記のとおり、電離放射線による照射と組み合わせて熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、低屈折率層とその下層との界面から低屈折率層の表面までの各種成分の存在状態を変化させるものであれば特に制限はないが、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜130℃、最も好ましくは80〜110℃である。
温度を上げることにより、本発明において表面自由エネルギーを低下させる、ポリシロキサン系成分や含フッ素系成分の、低屈折率層表面近傍への配向を促進することができる。電離放射線照射による硬化前には、各成分が固定化されておらず、上記配向が比較的速やかに起こるが、電離放射線照射による硬化後には、各成分が固定され部分的にしか配向は起こらない。熱処理に要する時間は、使用成分の分子量、その他成分との相互作用、粘度などにより異なるが、30秒〜24時間、好ましくは60秒〜5時間、最も好ましくは3分〜30分である。
フィルムの膜面温度を所望の温度にする方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線又は赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号明細書に記載の、回転金属ロールに温水や蒸気を流して加熱する方法も利用できる。一方、下記で述べる電離放射線の照射時においては、フィルムの膜面温度が上がる場合には、ロールを冷却してフィルムに接触させる方法が利用できる。
(電離放射線照射条件)
電離線放射線照射時の膜面温度については、特に制限はないが、ハンドリング性及び面内の性能の均一性から、一般に20〜200℃、好ましくは30〜150℃、最も好ましくは40〜120℃である。膜面温度が該上限値以下であれば、バインダー中の低分子成分の流動性が上昇しすぎて面状が悪化したり、支持体が熱によりダメージを受けたりする問題が生じないので好ましい。また該下限値以上であれば、硬化反応の進行が十分で、膜の耐擦傷性が良好なものとなるので好ましい。
電離放射線の種類については、特に制限はなく、x線、電子線、紫外線、可視光、赤外線などが挙げられるが、紫外線が広く用いられる。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。照射の際には、前記エネルギーを一度に当ててもよいし、分割して照射することもできる。特に塗膜の面内での性能ばらつきを少なくする点からは、2〜8回程度に分割して照射することも好ましい。
電離放射線照射後フィルムが前記温度に保たれる時間は、電離放射線照射終了から0.1秒以上300秒以下が好ましく、0.1秒以上10秒以下がより好ましい。フィルムの膜面温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する低屈折率層形成用塗布組成物の反応を促進できず、逆に長すぎると設備が大きくなるなどの製造上の問題が生じてしまう。
(酸素濃度)
電離放射線照射時の酸素濃度は3体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1%体積以下であり、更に好ましくは0.1%以下である。酸素濃度3体積%以下で電離放射線を照射する工程に対して、その直前又は直後に酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で維持する工程を設けることにより、膜の硬化を十分に促進し、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
熱処理工程は、大気雰囲気下で行うことができるが、電離放射線照射時と同様に酸素濃
度を低下させて行うことも好ましい。特に、重合開始剤や重合性化合物などの熱安定性が不十分なときは、酸素濃度を低下させて熱処理を行うことで、全硬化工程終了後の膜の強度を強く保つことができる。
酸素濃度を低下させる手段としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の不活性気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。電離放射線を照射する工程の前に、低酸素濃度の雰囲気下で搬送を行うことによって、塗膜表面及び内部の酸素濃度を有効に低減することができ、硬化を促進することができる。電離放射線照射前の搬送工程における酸素濃度は3体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1%体積以下であり、更に好ましくは0.1%以下である。
(重合開始剤)
本発明のバインダーの重合は、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
(光ラジカル開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルホリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノンなどが含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルなどが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどが含まれる。活性エステル類の例には1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。具体的には特開2000−80068号公報の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホ
ニウム塩が挙げられる。ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類の例には、S−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、例えば2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503号公報のp14〜p30、特開昭55−77742号公報のp6〜p10、特公昭60−27673号公報のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736号公報のp443〜p444のNo.1〜No.17、米国特許第4701399号明細書のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例には、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル]チタニウムが挙げられる。クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いてもよい。
本発明において、分子量が高く塗膜から揮散しにくい化合物としては、オリゴマー型の重合開始剤が好ましい。オリゴマー型放射線重合開始剤としては、放射線照射により光ラジカルを発生する部位を有するものであれば、特に制限はない。オリゴマー型放射線重合開始剤の具体例としては、下記一般式(5)に示すオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]を挙げることができる。
一般式(5):
Figure 2006293329
上記一般式(5)中、R51は、一価の基、好ましくは一価の有機基、qは2〜45の整数をそれぞれ示す。
上記一般式(5)に示すオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]の市販品としては、フラテツリ・ランベルティ社製商品名「エザキュアKIP150」(CAS−No.163702−01−0、q=4〜6)、「エザキュアKIP65LT」(「エザキュアKIP150」とトリプロピレングリコールジアクリレートの混合物)、「エザキュアKIP100F」(「エザキュアKIP150」と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの混合物)、「エザキュアKT37」、「エザキュアKT55」(以上、「エザキュアKIP150」とメチルベンゾフェノン誘導体の混合物)、「エザキュアKTO46」(「エザキュアKIP150」、メチルベンゾフェノン誘導体、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドの混合物)、「エザキュアKIP75/B」(「エザキュアKIP150」と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1オンの混合物)等を挙げることができる。
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
(株)製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア1870」(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤)、「イルガキュア500」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」、“OXE01”等;日本化薬(株)製の「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」、「カヤキュアーMCA」など;サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KTO46,KT37,KIP150,TZT)”等、及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、バインダー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
熱処理による揮散防止のために、重合開始剤の分子量は250以上10,000以下が好ましく、更に好ましくは300以上10,000以下である。より好ましくは、その質量平均分子量が300〜5,000である。質量平均分子量が300以上であれば、揮散性が小さいので好ましく、10,000以下であれば、得られる硬化塗膜の硬度が十分なものとなるので好ましい。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントンなどを挙げることができる。更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DMBI,EPA)」などが挙げられる。
(熱ラジカル開始剤)
熱ラジカル開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
(カチオン重合開始剤)
カチオン重合開始剤としては、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のプロトン酸、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ベンジルジメチルアミン、トリブチルアミン、トリス(ジメチルアミノ)メチルフェノール等の3級アミン、2−メチル−4−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トルエンスルホン酸シクロへキシルエステル、トルエンスルホン酸イソプロピルエステル等の加熱により分解してプロトン酸を発生する化合物、あるいは以下に記載する光の作用により酸触媒を発生する各種化合物を挙げることができる。
本発明では、特に皮膜形成用組成物のポットライフの観点から、光の作用により酸を発生する化合物が好ましい。
光の作用により酸を発生する化合物としては、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号等に種々の例が記載されておりこれら公知の化合物を使用することができる。具体的には、RSO3 -(Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、BF4 -等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩、トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類である。
これらの光の作用により、酸を発生する化合物と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
熱または光の作用によってカチオン重合を開始する化合物の添加量もラジカル開始剤と同様に、一般的には低屈折率層形成組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%である。
〔反射防止フィルムの層構成〕
本発明の反射防止フィルムは、透明な基材(支持体とも言う。)上に、必要に応じて、後述のハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されている。反射防止フィルムは、最も単純な構成では、基材上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、フィルムで構成された支持体を指している。
・基材フィルム/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層。
本発明の反射防止フィルムは、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。
高屈折率層は防眩性のない光拡散性層であってもよい。
また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子又は金属酸化物微粒子(例えば、ATO、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布又は大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。防汚層を設ける場合は、上記構成の最上層に設けることができる。
〔高屈折率層〕
本発明には高屈折率層を設けることが好ましい。高屈折率層は、バインダー、防眩性を付与するためのマット粒子、及び高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーから形成されることができる。
[マット粒子]
高屈折率層には、防眩性付与の目的で、無機フィラー粒子より大きく、平均粒径が0.1〜5.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は樹脂粒子が含有させることができる。マット粒子とバインダー間の屈折率差は、フィルムの白濁防止と、光拡散効果のよさの観点から、0.02〜0.20であることが好ましく、0.04〜0.10であることが特に好ましい。マット粒子のバインダーに対する添加量も、屈折率と同様の観点から、3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の
粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、真球又は不定形のいずれも使用できる。
異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。
2種類以上のマット粒子を用いる場合には、両者の混合による屈折率制御を効果的に発揮するため、屈折率の差が0.02以上、0.10以下であることが好ましく、0.03以上、0.07以下であることが特に好ましい。
またより大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに反射防止フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子より小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほどよい。例えば、平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を「粗大粒子」と定義した場合には、この粗大粒子の割合は、全
粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
上記マット粒子は、形成された高屈折率層中のマット粒子量が、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2となるように高屈折率層に含有される。
マット粒子の粒度分布は、コールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
[高屈折率粒子]
高屈折率層には、層の屈折率を高めるため、及び硬化収縮を低減するために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた高屈折率層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の低屈折率層に用いられる酸化物粒子と同じである。
[無機フィラー]
高屈折率層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2及びZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、高屈折率層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜70%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は、光学的に均一な物質として振舞う。
本発明の高屈折率層のバインダー及び無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
〔ハードコート層〕
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、必要に応じて、支持体の表面に設けるものである。特に、支持体と上記高屈折率層(又は中屈折率層)の間に設けることが好ましい。またハードコート層は、層中に上記の高屈折率粒子などを含有させることにより、高屈折率層を兼ねることもできる。
ハードコート層は、電離放射線硬化性樹脂の架橋反応、又は重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む
塗布組成物を支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は重合反応させることにより形成することができる。
またハードコート層は、上記の上記高屈折率層と同様、マット粒子や無機フィラーを、同様の量範囲で用いることができる。
このようにして形成された本発明の反射防止フィルムは、ヘイズ値が3〜70%、好ましくは4〜60%の範囲にあり、そして450nmから650nmの平均反射率が3.0%以下、好ましくは2.5%以下である。本発明の光学反射防止が、これらの範囲のヘイズ値及び平均反射率であることにより、透過画像の劣化を伴なわずに良好な防眩性及び反射防止性が得られる。
[面状改良剤]
支持体上のいずれかの層を作製するのに用いる塗布液には、面状故障(塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥など)を改良するために、フッ素系及びシリコーン系の少なくともいずれかの面状改良剤を添加することが好ましい。
面状改良剤は、塗布液の表面張力を1mN/m以上変化させることが好ましい。ここで、塗布液の表面張力が1mN/m以上変化するとは、面状改良剤を添加後の塗布液の表面張力が、塗布/乾燥時での濃縮過程を含めて、面状改良剤を添加してない塗布液の表面張力と比較して、1mN/m以上変化することを意味する。好ましくは、塗布液の表面張力を1mN/m以上下げる効果がある面状改良剤であり、更に好ましく2mN/m以上下げる面状改良剤、特に好ましくは3mN/m以上下げる面状改良剤である。
フッ素系の面状改良剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基を含有する化合物(「フッ素系面状改良剤」と略記する)が挙げられる。特に、下記一般式(6)のモノマーに相当する繰り返し単位、及び、下記一般式(7)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が好ましい。
このような単量体としては、“Polymer Handbook”,第2版,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)刊、第2章,P.1〜483記載のものを用いることが好ましい。
具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる、付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
一般式(6):
Figure 2006293329
一般式(6)において、R61は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。U61は酸素原子、イオウ原子又は−N(R62)−を表し、酸素原子又は−N(R62)−がより好ましく、特に酸素原子が好ましい。R62は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。aは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが特に好ましい。bは1〜18の整数を表し、4〜12がより好ましく、6〜8が特に好ましい。
フッ素系面状改良剤中には、一般式(6)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーが2種類以上構成成分として含まれていてもよい。
一般式(7):
Figure 2006293329
一般式(7)において、R71は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。U71は酸素原子、イオウ原子又は−N(R73)−を表し、酸素原子又は−N(R73)−がより好ましく、特に酸素原子が好ましい。R73は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。
72は水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基、又は置換もしくは無置換の芳香族基(例えば、フェニル基又はナフチル基)を表す。炭素数1〜12の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、又は総炭素数6〜18の芳香族がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基が更に好ましい。
以下でポリ(アルキレンオキシ)基について説明する。
ポリ(アルキレンオキシ)基は、−(OR)−を繰り返し単位とした基であり、Rは2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、例えば−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−が挙げられる。
上記のポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位(上記−OR−)は、ポリ(オキシプロピレン)におけるように同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のオキシアルキレンが不規則に分布されたものであってもよい。該オキシアルキレン単位は、直鎖もしくは分岐状のオキシプロピレン又はオキシエチレン単位であってもよく、また直鎖もしくは分岐状のオキシプロピレン単位のブロック又はオキシエチレン単位のブロックのように存在するものであってもよい。
このポリ(オキシアルキレン)鎖は1つ又はそれ以上の連鎖結合(例えば−CONH−Ph−NHCO−、−S−など:Phはフェニレン基を表す)で連結されたものも含むことができる。連鎖の結合が3つ又はそれ以上の原子価を有する場合には、これは分岐鎖のオキシアルキレン単位を得るための手段を供する。またこの共重合体を本発明に用いる場合には、ポリ(オキシアルキレン)基の分子量は250〜3000が適当である。
ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名「プルロニック」{旭電化工業(株)製}、「アデカポリエーテル」{旭電化工業(株)製}、「カルボワックス」(グリコ・プロダクス製)、「トリトン(Toriton)」(ローム・アンド・ハース製)及び“P.E.G”{第一工業製薬(株)製}として販売されているものを公知の方法で、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリド又は無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
本発明で用いられるフッ素系面状改良剤において、フッ素系面状改良剤の形成に用いられる全モノマー量に対する、一般式(6)で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量が50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは70〜100モル%であり、特
に好ましくは80〜100モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系面状改良剤の好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、6,000〜80,000がより好ましく、8,000〜60,000が更に好ましい。ここで、質量平均分子量は、“TSKgel GMHxL”、“TSKgel G4000HxL”、“TSKgel G2000HxL”{何れも東ソー(株)製の商品名}のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量であり、含有量は、分子量が300以上の成分のピーク面積を100%とした場合の、前記分子量範囲のピークの面積%である。
更に、本発明で用いられるフッ素系面状改良剤の好ましい添加量は、添加する層の塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。
以下、本発明によるフッ素系面状改良剤の具体的な構造の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
Figure 2006293329
本発明の面状改良剤は、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン等)を含有する塗布液に用いることが好ましくい。特に、ケトン系溶媒が好ましい。ケトン系溶媒の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが好ましい。
面状改良剤は、層と層の界面の密着性を悪化させることがある。従って、層の表面に存在する面状改良剤を、該層の隣接層を形成する塗布液中に溶出させて、層と層の界面近傍に面状改良剤が残らないようにすることが好ましい。そのため、隣接層の塗布液中に面状改良剤を溶解する溶媒を含有させることが好ましい。そのような溶媒としては、上記ケトン系溶媒が好ましい。
支持体上に形成する層の塗布液において、面状改良剤を添加するのが特に好ましいのは、ハードコート層、防眩性ハードコート層、帯電防止層、高屈折率層、低屈折率層を形成するための塗布液であり、特に好ましいのはハードコート層、防眩性ハードコート層、を形成するための塗布液である。
〔支持体〕
本発明の反射防止フィルムの支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル{例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フィルム(株)製“TAC−TD80U”,“TAC−TD80UF”等}、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂{「アートン」(商品名)、JSR(株)製}、非晶質ポリオレフィン{「ゼオネックス」(商品名)、日本ゼオン(株)製}などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルム及びその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
[鹸化処理]
本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設けるなどしてディスプレイの最表面に配置する。該支持体がトリアセチルセルロースの場合は、偏光板の偏光膜を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの点から好ましい。
上記のように、本発明の反射防止フィルムをディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用する場合には、接着性を向上させるため、支持体上に低屈折率層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。
鹸化処理は、公知の手法、例えば本発明の反射防止フィルムを、アルカリ液の中に適切な時間浸漬することにより実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和したりすることが好ましい。鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の支持体の表面の、水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止フィルムの反射防止層まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
(1)支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)支持体上に反射防止層を形成する前又は後に、アルカリ液を反射防止フィルムの反射防止層を形成する側の面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗及び/又は中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
〔塗膜形成方法〕
本発明の反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に限定されるものではない。
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。
得られた塗布液を用いて、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書参照)により支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。これらの塗布方式のうち、グラビアコート法で塗布すると、反射防止層の各層を形成する場合のように、塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができるので好ましい。グラビアコート法の中でも、マイクログラビア法は膜厚均一性が高く、より好ましい。
またダイコート法を用いても、塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができ、さらにダイコート法は前計量方式のため、膜厚制御が比較的容易であり、さらに塗布部における溶媒の蒸散が少ないため、好ましい。
2層以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許第2761791号、同第2941898号、同第3508947号、同第3526528号の各明細書及び原崎勇次著、「コーティング工学」、253頁、{朝倉書店(1973年)}に記載がある。
<偏光板>
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
[偏光膜]
偏光膜としては、公知の偏光膜を用いることができ、また偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない、長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いることもできる。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない、長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
すなわち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を、保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向をフィルム両端を保持させた状態で屈曲させて行う延伸方法によって製造することができる。特に45゜傾斜させたものが、生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落[0020]〜[0030]に詳しい記載がある。
[液晶表示装置との組み合わせ]
本発明の反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル{“SID97,Digest of tech.Papers”(予稿集)、28集(1997年)、p.845記載}、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル{「日本液晶討論会」の予稿集、p.58〜59(1998年)記載}、及び、
(4)SURVAIVALモードの液晶セル(「LCDインターナショナル98」で発表)が含まれる。
VAモードの液晶セル用には、2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムを、本発明の反射防止フィルムと組み合わせて作製した偏光板が好ましく用いられる。2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムの作製方法については、例えば特開2001−249223号公報、特開2003−170492号公報などに記載の方法を用いることが好ましい。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させる、ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許第4583825号、同第5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」(東レリサーチセンター発行)(2001年)などに記載されている。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを、偏光膜の裏表2枚の保護フィルムの内、本発明の反射防止フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<反射防止フィルム>
実施例1−1
[ゾル液aの調製]
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”{信越化学工業(株)製}100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得
た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量1000〜20000の成分が100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分の濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
[ハードコート層用塗布液(HCL−1)の調製]
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物“PETA”{日本化薬(株)製}50.0部に、重合開始剤「イルガキュア184」{日本チバガイギー(株)製}2.0部、面状改良剤{本文例示化合物(F−63)}0.06部、オルガノシラン化合物“KBM5103”{信越化学工業(株)製}10.0部、トルエン38.5部を添加して撹拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
さらにこの溶液に、ポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子“SX−350”{屈折率1.60、綜研化学(株)製}の30%トルエン分散液1.7部、及びポリトロン分散機にて10000rpmで分散した平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子{屈折率1.55、綜研化学(株)製}の30%トルエン分散液13.3部を添加して撹拌した。次いで孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−1)を調製した。この塗布液による塗膜の屈折率は1.51であった。得られた防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−1)の表面張力は32mN/mであった。
[低屈折率層用塗布液(LLL−1)の調製]
メチルエチルケトン200部に対して、含フッ素共重合体{本文例示化合部(P−3)(質量平均分子量35000)}87.0部、ゾル液aを17.2部(固形分として5部)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製)}5.0部、光ラジカル発生剤「イルガキュアOXE01」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}3部を溶解した。塗布液全体の固形分濃度が6%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が20対80になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(LLL−1)を調製した。
〔反射防止フィルム(101)の作製〕
[ハードコート層(HC−1)の作製]
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フィルム(株)製}上に、ハードコート層用塗布液(HCL−1)を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照
射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚5.5μmの防眩性
を有するハードコート層を作製した。このようにしてハードコート層(HC−1)を得た。
[低屈折率層(LL1−1)の形成]
このようにして得られたハードコート層(HC−1)の上に、上記低屈折率層用塗布液(LLL−1)を用い、低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して、マイクログラビア塗工方式で低屈折率層(LL1−1)を形成し、反射防止フィルム試料(101)を作製した。
硬化条件を以下に示す。
(1)乾燥:80℃−120秒
(2)照射前熱処理:95℃−5分
(3)UV硬化:90℃−1分、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度120mW/cm2、照射量240mJ/cm2の照射量とした。
(4)照射後熱処理:30℃−5分
実施例1−2〜1−5及び比較例1−1〜1−4
実施例1−1において、前熱処理、UV硬化、及び後熱処理の条件を表14に示すように変更した以外は、反射防止フィルム試料(101)に準じて低屈折率層(LL1−2)〜(LL1−9)を形成し、反射防止フィルム試料(102)〜(109)を作製した。
[反射防止フィルムの鹸化処理]
上記の様にして得られた反射防止フィルム試料(101)〜(109)を、以下の鹸化処理を行った。
1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.005モル/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。
作製した反射防止フィルムを、上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬して水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬して希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、鹸化処理済み反射防止フィルムを作製した。
[反射防止フィルムの評価]
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。
(評価1)平均反射率
反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行った。分光光度計{日本分光(株)製}を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの平均反射率を用いた。
(評価2)珪素原子の表面偏析度
それぞれの反射防止フィルムついて島津製作所(株)製“ESCA−3400”(真空度1×10-5Pa、X線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mA)で、最表面のSi2p及びC1sの光電子スペクトルを測定した。これらのシグナル強度比Si2p/C1sを最表面のSi(a)と定義する。
“ESCA−3400”に付属のイオンエッチング装置(イオンガン、電圧2kV、電流20mA)で低屈折率層をエッチングし、表面から低屈折率層厚みの80%下層における光電子スペクトルを測定し、強度比Si2p/C1sを算出した。この値をSi(b)と定義
する。
予め、種々のエッチング条件で低屈折率層表面を徐々に削り進む予備実験を実施しておき、下層に達するまでに要するエッチング条件を元に、表面から深さ80%となる条件を求めてから測定した。
Si(a)/Si(b)の値を算出し、珪素原子の表面偏析度を評価した。この値が大きいほどシリコーンが表面に存在することを示している。
(評価3)表面自由エネルギー
純水とヨウ化メチレンの接触角を25℃60%の条件下で1時間反射防止フィルムを調湿した後に測定し、表面自由エネルギーを算出した。
(評価4)マジック拭き取り性
ラビングテスターを用いて、以下の条件で事前こすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に、「ベンコット」(商品名){旭化成(株)製}を巻いて、動かないようバンド固定した。「ベンコット」に3mLのイソプロピルアルコールを含浸させた後、下記条件の往復こすり運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:30往復。
上記事前こすり後に、25℃、60RH%の条件下で、黒マジック「マッキー極細」(商品名){ZEBRA(株)製}のペン先(細)にて、直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねた「ベンコット」(商品名){旭化成(株)}で、「ベンコット」の束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取った。マジック跡が拭き取りで消えなくなるまで前記の書き込みと拭き取りを前記条件で繰り返し、拭き取りできた回数を求めた。上記テストを4回繰り返し、平均して下記5段階で評価した。
◎:15回以上拭き取り可能。
○:10回以上15回未満拭き取り可能。
△:数回〜10回未満拭き取れる。
×:1回だけ拭き取れる。
××:1回も拭き取れない。
(評価5)耐擦傷性評価
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール{(株)日本スチールウール製、No.0000}を巻いて、動かないようバンド固定した。その上で下記条件の往復こすり運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
○:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△:弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
×:一目見ただけで分かる傷がある。
評価結果を表14に示す。
Figure 2006293329
表14に示される結果より、以下のことが明らかである。
Si(a)/Si(b)の値が本発明の範囲内である試料101〜103および107〜108は、マジック拭き取り性耐擦傷性とも充分に所望の結果が得られた。またUV硬化の前に、照射前熱処理を行った試料101及び103は、試料102に比べてSi(a)/Si(b)の値が大きくなり、マジック拭き取り性が改良されることがわかる。さらに、UV硬化の後に照射後熱処理を行った試料107と108は、照射前熱処理よりも効果は小さいも
のの同様の効果があることが分かる。
実施例2−1〜2−9及び比較例2−1
[シリカ分散液Aの調製]
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径40nm、シェル厚み6nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.30、特開2002−79616号公報の調製例4に準じ、サイズを変更して作製)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”{信越化学工業(株)製}28部、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン{GE東芝シリコーン(株)製}2部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。この分散液500gに、ほぼシリカの含量が一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し、26%にしたときの粘度は、25℃で10mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.0%であった。
[低屈折率層用塗布液(LLL−2)〜(LLL−11)の調製]
前記低屈折率層用塗布液(LLL−1)の調製において、組成を下表15に示すように変更した以外は(LLL−1)と同様にして、低屈折率層用塗布液(LLL−2)〜(LLL−11)を調製した。
Figure 2006293329
表15中で使用した化合物について以下に内容を示す。また、表中の部数は全て固形分の質量部を表す。
含フッ素含シロキサンポリマー:
P−3*:本文例示化合物P−3
PP−5*:本文例示化合物PP−5
Polym1*:特開平2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−
3、本発明の例示化合物P−3に対してシリコーン部分を含有しない構造。
光重合性シリコーン:
RMS33*“RMS−33”、Gelest(株)製
DPHA:光重合性化合物“DPHA”、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、日本化薬(株)製。
光重合開始剤:
OXE01*:「イルガキュアOXE01」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(
株)製、分子量451。
184*:「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、
分子量204。
907*:「イルガキュア907」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、
分子量279。
369*:「イルガキュア369」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、
分子量367。
KIP*:「エザキュアKIP150」、フラテツリ ランベルティ(株)製、オリ
ゴ(2−ヒドロキシ2−メチル1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)n=4〜6、平均分子量約1000。
微粒子:
MEK−ST*:“MEK−ST”、微粒子シリカ分散物、溶媒メチルエチルケトン
(MEK)、平均粒子サイズ15nm、日産化学(株)製。
MEK−ST−L*:“MEK−ST−L”、微粒子シリカ分散物、溶媒MEK、平
均粒子サイズ45nm、日産化学(株)製。
分散液A:シリカ分散液A。
〔反射防止フィルム(201)〜(210)の作製〕
実施例1−1と同様にして得られたハードコート層(HC−1)の上に、上記で得られた低屈折率層用塗布液(LLL−2)〜(LLL−11)を用い、実施例1−1の反射防止フィルム試料(101)と同様の条件で、塗布・硬化して、低屈折率層(LL2−1)〜(LL11−1)を形成し、次いで実施例1−1と同様に鹸化処理して、反射防止フィルム試料(201)〜(210)を作製した。得られた反射防止フィルム試料について、実施例1に準じた評価を行った。反射防止フィルム試料の層構成と、得られた評価結果を表16に示す。
Figure 2006293329
表16に示される結果より、以下のことが明らかである。
本発明における、ポリシロキサンをポリマー本体に含有するポリマーを用いると、試料のSi(a)/Si(b)の値が大きくなり、マジック拭き取り性、耐擦傷性が改良されることが分かる。また、中空状の微粒子を併用しても、耐擦傷性・マジック拭き取り性を維持したまま、屈折率を低下することができる。さらに本発明における分子量範囲を満たす光重合開始剤を使用すると、マジック拭き取り性と耐擦傷性が改良されることも分かる。
実施例3−1
以下に示す多層の反射防止フィルムを作製した。
[ハードコート層用塗布液(HCL−2)の調製]
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
トリメチロールプロパントリアクリレート“TMPTA”{日本化薬(株)製}750.0部に、質量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0部、メチルエチルケトン730.0部、シクロヘキサノン500.0部、光カチオン重合開始剤(ロードシル2074)25.0質量部及び光重合開始剤「イルガキュア184」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}50.0部、面状改良剤{本文例示化合物(F−63)}1.0部を添加して攪拌した。次いで孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液(HCL−2)を調製した。
[二酸化チタン微粒子分散液の調製]
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、且つ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子“MPT−129C”{石原産業(株)製、TiO2:Co34:Al23:ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5質量比)を使用した。
この粒子257.1部に、下記分散剤41.1部、及びシクロヘキサノン701.8部を添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
Figure 2006293329
[中屈折率層用塗布液(MLL−1)の調製]
上記の二酸化チタン分散液99.1部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA” {日本化薬(株)
製}68.0部、光重合開始剤「イルガキュア907」{チバ・スペシャルティ・ケミカ
ルズ(株)製}3.6部、光増感剤「カヤキュアーDETX」{日本化薬(株)製}1.2部、メチルエチルケトン279.6部及びシクロヘキサノン1049.0部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液(MLL−1)を調製した。
[高屈折率層用塗布液(HLL−1)の調製]
上記の二酸化チタン分散液469.8部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}40.0部、光重合開始剤「イルガキュア907」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}3.3部、光増感剤「カヤキュアーDETX」{日本化薬(株)製}1.1部、メチルエチルケトン526.2部、及びシクロヘキサノン459.6部を添加して攪拌した。次いで孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液(HLL−1)を調製した。
〔反射防止フィルム(301)の作製〕
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80UF”{富士写真フイルム(株)製}上に、上記ハードコート層用塗布液(HCL−2)を、グラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層(HC−2)を形成した。
次ぎにハードコート層(HC−2)の上に、中屈折率層用塗布液(MLL−1)、高屈折率層用塗布液(HLL−1)及び低屈折率層用塗布液(LLL−1)を、3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布した。
中屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。硬化後の中屈折率層(ML−1)は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。硬化後の高屈折率層(HL−1)は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
低屈折率層の硬化条件を以下に示す。
(1)乾燥:80℃−120秒
(2)照射前熱処理:95℃−5分
(3)UV硬化:90℃−1分、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。
(4)照射後熱処理:30℃−5分
硬化後の低屈折率層(LL1−10)は屈折率1.44、膜厚85nmであった。
実施例3−2〜3−11
実施例3−1において、低屈折率層用塗布液(LLL−1)用いる代わりに低屈折率層
の塗布液を(LLL−2)〜(LLL−11)用いた以外は実施例3−1と同様にして、低屈折率層(LL2−2)〜(LL11−2)を形成し、反射防止フィルム試料(302)〜(311)を作製した。得られた反射防止フィルム試料の層構成を下表17にまとめる。
Figure 2006293329
得られた反射防止フィルム試料(301)〜(311)に対して、実施例1に準じた評価を行った結果、中屈折率層と高屈折率層を設けることでどの試料も反射率が大きく低下した。また、硬化条件を実施例1−1と同一にした試料(301)〜(311)は、表16における対応する試料とほぼ同様のSi(a)/Si(b)を示した。本発明に従えば、低反射でマジック拭き取り性・耐擦傷性に優れる反射防止フィルムが得られることが分かった。
実施例4
[ハードコート層用塗布液(HCL−3)の調製]
「デソライトZ7404」{ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:JSR(株)製}100部、“DPHA”{UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製}31部、“KBM−5103”{シランカップリング剤:信越化学工業(株)製}10部、“KE−P150”{1.5μmシリカ粒子:日本触媒(株)製}8.9部、“MXS−300”{3μm架橋PMMA粒子:綜研化学(株)製}3.4部、MEK 29部、メチルイソブチルケトン(MIBK)13部及び面状改良剤{本文例示化合物(F−63)}0.05部をミキシングタンクに投入し攪拌してハードコート層塗布液(HCL−3)とした。
〔反射防止フィルム(401)の作製〕
支持体としてトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、上記のハードコート層用塗布液(HCL−3)を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層(HC−3)を形成し、巻き取った。硬化後のハードコート層の厚さが4.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。このようにして得られたハードコート層(HC−3)の表面粗さは、中心線平均あらさ(Ra)=0.02μm、自乗平均面あらさ(RMS)=0.03μm、n点平均あらさ(Rz)=0.25μmであった。なお、Ra、RMS、Rzは、走査型プローブ顕微鏡システム“SPI3800”{セイコーインスツルメンツ(株)製}にて測定した。
上記で形成されたハードコート層(HC−3)上に、実施例1−1で使用した低屈折率層用塗布液(LLL−1)を用い、実施例1−1と同様の条件で低屈折率層(LL1−11)を塗設して反射防止フィルム試料(401)を作製した。
[反射防止フィルムの鹸化処理]
上記の様にして得られた反射防止フィルム試料(401)を、以下の鹸化処理を行った。
1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.005モル/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。
作製した反射防止フィルム試料(401)を、上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬して水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の
希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬して希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、鹸化処理済み反射防止フィルムを作製した。
〔反射防止フィルム付き偏光板の作製〕
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。鹸化処理済みの反射防止フィルム(401)に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、反射防止フィルムの支持体側(トリアセチルセルロース)が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。また、ディスコティック構造単位の円盤面が支持体面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と支持体面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向において変化している光学異方性層を有する視野角拡大フィルム「ワイドビューフィルムSA」{富士写真フイルム(株)製}を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして反射防止フィルム付き偏光板(401P)を作製した。
得られた反射防止フィルム付き偏光板(401P)について、実施例1に準じた評価を行った結果、低反射で、マジック拭き取り性・耐擦傷性に優れる反射防止フィルム付き偏光板が得られることが分かった。
実施例5
[ハードコート層用塗布液(HCL−4)の調製]
MEK90部に対して、シクロヘキサノン10部、部分カプロラクトン変性の多官能アクリレート“DPCA−20”{日本化薬(株)製}85部、“KBM−5103”{シランカップリング剤:信越化学工業(株)製}10部、光重合開始剤「イルガキュア184」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}5部、面状改良剤{本文例示化合物(F−63)}0.04部を添加して攪拌した。次いで孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液(HCL−4)を調製した。
〔反射防止フィルムの作製・評価〕
支持体としてのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}上に、ハードコート層用塗布液(HCL−4)を、実施例3−1に準じて塗布・硬化した。その際硬化後のハードコート層(HC−4)の厚さが4.5μmとなるように、グラビアロール回転数を調整した。
上記で形成されたハードコート層(HC−4)上に、実施例1−1で使用した低屈折率層用塗布液(LLL−1)を用い、実施例1−1と同様の条件で低屈折率層(LL1−12)を塗設して反射防止フィルム試料(501)を作製し、次いで該反射防止フィルム試料(501)の鹸化処理を行った。
得られた反射防止フィルム試料(501)について、実施例1に準じた評価を行った結果、低反射で、マジック拭き取り性・耐擦傷性に優れる反射防止フィルムが得られることが分かった。
実施例6
[低屈折率層用塗布液(LLL−12)の調製]
メチルエチルケトン200部に対して、含フッ素含シロキサンポリマー{本文例示化合部(P−23)(質量平均分子量50000)}48.0部、ゾル液aを17.2部(固形分として5部)、多官能エポキシ化合物{本文例示化合部(A−1)}5.0部、光ラジカル発生剤「イルガキュア369」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}2部、光カチオン重合開始剤「UVI−6990」{ユニオンカーバイド日本(株)製}1部を溶解した。更に、前記実施例2で調製したシリカ分散液A(表面処理中空シリカ分散
液、固形分濃度26%)150部を添加した。最終的に塗布液全体の固形分濃度が6%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が20対80になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(LLL−12)を調製した。
[低屈折率層用塗布液(LLL−13)の調製]
メチルエチルケトン200部に対して、含フッ素含シロキサンポリマー{本文例示化合部(PP−36)(質量平均分子量35000)}47.0部、ゾル液aを17.2部(固形分として5部)、多官能エポキシ化合物{本文例示化合部(A−1)}5.0部、エポキシ変性ジメチルシロキサン化合物「X22−163C」{信越化学(株)製}、光ラジカル発生剤「イルガキュア369」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}1.5部、光カチオン重合開始剤「UVI−6990」{ユニオンカーバイド日本(株)製}1.5部を溶解した。更に、前記実施例2で調製したシリカ分散液A(表面処理中空シリカ分散液、固形分濃度26%)150部を添加した。最終的に塗布液全体の固形分濃度が6%となり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が20対80になるようにシクロヘキサノンとメチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液(LLL−13)を調製した。
〔反射防止フィルム(601)〜(605)の作製〕
実施例1−1と同様にして作製したハードコート層(HC−1)の上に、上記で得られた低屈折率層用塗布液(LLL−12)〜(LLL−13)を用い、低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して、表18に示す層構成と硬化条件で塗布・硬化した。この際に前熱処理の工程は酸素濃度が0.1%以下になるように窒素パージして行った。塗布速度、UV照射量は実施例1の低屈折率層(LL1−1)に準じて行った。このようにして得られたフイルムを実施例1−1と同様に鹸化処理して、反射防止フィルム試料(601)〜(605)を作製した。得られた反射防止フィルム試料について、実施例1に準じた評価を行った。反射防止フィルム試料の層構成と、得られた評価結果を表18に示す。
Figure 2006293329
表18の結果より、光カチオン重合型の化合物を用いた場合でも、UV照射前及び後の加熱により、Si(a)/Si(b)の値が大きくなり、マジック拭き取り性・耐擦傷性とも改良効果が認められた。

Claims (11)

  1. 支持体から最も遠くに位置する低屈折率層が、電離放射線照射により硬化する樹脂と、ポリシロキサン部分構造を有する化合物を含有してなり、該低屈折率層の最表面における珪素原子の光電子スペクトル強度{Si(a)}と、最表面から該低屈折率層の厚みの80%下層における珪素原子の光電子スペクトル強度{Si(b)}との比Si(a)/Si(b)が5.0以上であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. ポリシロキサン部分構造を有する化合物が下記一般式(1)で表される請求項1に記載の反射防止フィルム。
    一般式(1):
    Figure 2006293329
    {式中、L11は炭素数1〜10の連結基を表し、s1は0又は1を表す。R11は水素原子又はメチル基を表す。A11は側鎖に水酸基を持つ繰り返し単位を表す。Y11はポリシロキサン構造を主鎖に含む構成成分を表わす。x,y,zは、Y11以外の全繰返し単位を基準とした場合のそれぞれの繰返し単位のモル%を表し、30≦x≦60、0≦y≦70、0≦z≦50を満たす値を表す。ただし、x+y+z=100(モル%)である。uは共重合体中の構成成分Y11の質量%を表し、0.01≦u≦20である。}
  3. ポリシロキサン部分構造を有する化合物が下記一般式(2)で表される請求項1に記載の反射防止フィルム。
    一般式(2):
    Figure 2006293329
    {式中、Rf21は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基を表し、Rf22は炭素数1〜30の直鎖、分岐又は脂環構造を有する含フッ素アルキル基を表し、エーテル結合を有していてもよく、A21は架橋反応に関与し得る反応性基を有する構成単位を表し、B21は任意の構成成分を表す。R21及びR22は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。p1は10〜500の整数を表す。R23〜R25は、互いに独立に、置換又は無置換の1価の有機基又は水素原子を表し、R26は水素原子又はメチル基を表わす。L21は炭素数1〜20の任意の連結基又は単結合を表す。a〜dはそれぞれポリシロキサンを含有する重合単位を除く各構成成分のモル分率(%)を表し、それぞれ10≦a+b≦55、10≦a≦55、0≦b≦45、10≦c≦50、0≦d≦40の関係を満たす値を表す。eはポリシロキサンを含有する重合単位の、他の成分全体の質量に対する質量分率(%)を表し、0.01<e<20の関係を満たす。}
  4. 最表面の表面自由エネルギーが25mN/m以下である請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 支持体から最も遠くに位置する低屈折率層及び該低屈折率層より下の層の、少なくともいずれかの層に、
    酸触媒及び金属キレート化合物の少なくともいずれかの存在下で製造されてなる下記一般式(3)で表されるオルガノシランの、加水分解物及びその部分縮合物の少なくともいずれかを含む請求項1に記載の反射防止フィルム。
    一般式(3):(R30m1Si(X314-m1
    (式中、R30は、置換もしくは無置換のアルキル基又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。X31は水酸基又は加水分解可能な基を表す。m1は1〜3の整数を表す。)
  6. 低屈折率層が屈折率1.15〜1.40の無機微粒子を含有する請求項1又は5に記載の反射防止フィルム。
  7. 低屈折率層に分子量が250以上の光重合開始剤を含有する請求項1に記載の反射防止フィルム。
  8. 反射防止フィルムが、低屈折率層と支持体との間にさらに少なくとも1層の薄膜を有し、且つ該薄膜層が面状改良剤を含有する請求項1に記載の反射防止フィルム。
  9. 支持体と、低屈折率層とを有する反射防止フィルムの製造方法であって、
    電離放射線照射により硬化する樹脂と、ポリシロキサン部分構造又はフルオロアルキル基を有する化合物とを含有する、前記支持体から最も遠くに位置する低屈折率層塗布組成物を、
    支持体上に塗布して、電離放射線による照射と、その前、同時又は後の熱処理とを組み合わせることにより硬化し、該反射防止フィルムの低屈折率層の最表面における珪素原子の光電子スペクトル強度{Si(a)}と、最表面から該低屈折率層の厚みの80%下層における珪素原子の光電子スペクトル強度{Si(b)}との比Si(a)/Si(b)を5.0以上にせしめることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルム、又は請求項9に記載の反射防止フィルムの製造方法によって得られた反射防止フィルムを、少なくとも一方の側に備えたことを特徴とする偏光板。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルム、請求項9に記載の反射防止フィルムの製造方法によって得られた反射防止フィルム、又は請求項10に記載の偏光板が配置されていることを特徴とする画像表示装置。
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