JP5134799B2 - 光学フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、防汚性光拡散層を有する光学フィルム、並びにそのような光学フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置に関する。とりわけ、硬化性樹脂、光拡散性粒子、シリコーン基と重合性基を有する特定の化合物を含んでなる活性エネルギー線硬化型組成物より形成された光拡散性(ハードコート)フィルムと、それを用いた偏光板及び画像表示装置に関する。
透明プラスチックフィルム基材に光拡散性粒子を含有する光拡散層を積層した光拡散性フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置において、表面散乱性により、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、あるいは、内部散乱性により視野角拡大するために(特に光学補償フィルムを搭載した液晶表示装置において下方視野角拡大のために(例えば特許文献1参照))、ディスプレイの表面に配置される。そのため、このような光拡散性フィルムには高い視認性改良効果に加えて、高い物理強度(耐擦傷性など)が要求される。
近年、液晶テレビ等の低価格化に伴い、光拡散性フィルムを搭載した画像表示装置が急激に普及し、一般庶民に身近なものになってきている。これに伴い、搭載された光拡散性フィルムは、様々な環境下に晒される場面が増えてきている。例えば、直接指で触れられる機会、幼児にいたずらされる機会が増えてきている。このように人に直接触れられる機会が増えて来ることで、指紋、サインペン、化粧、汗などの汚れが付着する機会が急激に増えてきている。
近年、液晶テレビ等、光拡散性フィルムを搭載した画像表示装置の普及に伴い、より低価格で視認性が良好であり、高い物理強度を持ち、汚れが付着し難い(または除去し易い)液晶表示装置が市場で要求されてきている。従って、汚れが付着し難く、その汚れ付着防止性が持続し、耐擦傷性が強く低コストで作成できる光拡散性フィルムの開発が望まれている。
特許文献2には光拡散性粒子を含有する光拡散層上に、熱硬化性フッ素ポリマーを含有した光学膜厚λ/4の低屈折率層を設けることで防汚性を付与する方法が開示されている。しかしながらこの方法は硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化を2回繰り返すことが必要であり、生産性を著しく低下させ、低コスト化の点では限界がある。
特許文献3、4で本発明者等は汚れが付着し難く、その汚れ難付着性が持続し、高い物理強度を持ったハードコートフィルムの作成方法を開示しているが、視認性を改良するための光拡散性が付与されていなかった。特に視認性を改良するために表面散乱性を付与するために表面凹凸を形成することが行われるが、表面凹凸を付与することで防汚性または耐擦傷性が悪化する。これらの文献には視認性と防汚性または耐擦傷性を両立させる技術が開示されていなかった。
特許文献5に表面凹凸形状を有する防眩層上に形成された場合でも繰り返しの防汚性に優れている防汚層、および防汚層の製造方法が開示されているが、防汚層が防眩性とは別に設けられていることと、大気圧プラズマ方法を用いるため特別な装置が必要であるため、生産性を著しく低下させ、低コスト化の点では限界がある。
特開2005−77860号公報 特開2001−91707号公報 特開2003−335984号公報 特開2005−111756号公報 特開2005−219223号公報
本発明の目的は、視認性が高く、大量生産性に適し、耐擦傷性に優れるとともに、防汚性が高く、かつ防汚性が持続する光学フィルムを提供することである。更には、該光学フィルムを具備した偏光板および画像表示装置を提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、活性エネルギー線硬化樹脂と光拡散性粒子を含有する光拡散層を基材に積層することにより、表面硬度が硬く、耐擦傷性に優れ、良好な防汚性を持続的に発揮できる光拡散性フィルムを作成できることを見出した。
すなわち、上記目的は以下の各構成及び化合物の使用により達成できる。
<1>
透明プラスチックフィルム基材と、
少なくとも1種の活性エネルギー線重合性基およびポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物、界面活性能を有する光重合開始剤、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化樹脂、および平均粒径が5.0〜10.0μmである光拡散性粒子を含有する硬化性組成物から形成された光拡散層と、
を有する光学フィルムであって、前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の光拡散層の表面の水の接触角が90度以上であって、表面粗さが0.025〜0.5μmであることを特徴とする光拡散性フィルム。
<2>
前記活性エネルギー線重合性基およびポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物が、前記光拡散層表面に局在化して、前記活性エネルギー線重合性基の反応によって活性エネルギー線硬化樹脂に結合されていることを特徴とする<1>に記載の光拡散性フィルム。
<3>
前記活性エネルギー線重合性基およびポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物として、下記一般式(1)で表されるポリジメチルシロキサン骨格における、置換基Y、およびメチル基の、10〜25%が、(メタ)アクリレート基を含有するアルキル基で置換された化合物を有し、該化合物が、活性エネルギー線硬化樹脂に結合されていることを特徴とする<1>または<2>に記載の光拡散性フィルム。
一般式(1)
Figure 0005134799

一般式(1)中、2つのYは置換基を表し、pは10以上1500以下の整数を表す。
<4>
前記活性エネルギー線重合性基およびポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物が、ケイ素含有率が23〜32質量%である活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂であることを特徴とする<1>〜<3>の何れかに記載の光拡散性フィルム。
<5>
前記活性エネルギー線重合性基およびポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物が、活性エネルギー線硬化樹脂を形成するのに用いられる活性エネルギー線硬化型樹脂全量に対して0.001〜0.5質量%用いられることを特徴とする<1>〜<4>の何れかに記載の光拡散性フィルム。
<6>
光拡散層が、該層全固形分100質量部に対して光拡散性粒子を3〜35質量部含むことを特徴とする<1>〜<5>の何れかに記載の光拡散性フィルム。

光拡散層の平均膜厚が8.0〜40.0μmであることを特徴とする<1>〜<>の何れかに記載の光拡散性フィルム。

荷重4.9Nの鉛筆硬度が3H以上であることを特徴とする<1>〜<>の何れかに記載の光拡散性フィルム。

表面ヘイズが15%以下であることを特徴とする<1>〜<>の何れかに記載の光拡散性フィルム。
10
内部ヘイズが10〜70%であることを特徴とする<1>〜<>の何れかに記載の光拡散性フィルム。
11
<1>〜<10>の何れかに記載の光拡散性フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
12
<1>〜<10>の何れかに記載の光拡散性フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いたことを特徴とする偏光板。
13
<1>〜<10>の何れかに記載の光拡散性フィルム、または<11>または<12>の何れかに記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
14
画像表示装置が、TN、STN、IPS、VA及びOCBの何れかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする<13>に記載の画像表示装置。
本発明は上記<1>〜<14>に関するものであるが、参考のためその他の事項(例えば下記1〜37に記載した事項など)についても記載した。
1.透明プラスチックフィルム基材と、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化樹脂および光拡散性粒子を含有する光拡散層を有する光学フィルムであって、前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の光拡散層の表面の水の接触角が90度以上であることを特徴とする光拡散性フィルム。
2.該表面の水の接触角が95度以上であることを特徴とする特徴とする光拡散性フィルム。
3.該表面の水の接触角が100度以上であることを特徴とする特徴とする光拡散性フィルム。
4.前記光拡散層表面に局在化して、フッ素およびケイ素原子の何れかの原子と活性エネルギー線重合性基を含む化合物が、前記活性エネルギー線重合性基の反応によって活性エネルギー線硬化樹脂に結合されていることを特徴とする第1〜3項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
5.前記化合物が、パーフルオロアルキル基と活性エネルギー線重合性基を含むことを特徴とする第4項に記載の光拡散性フィルム。
6.前記化合物が有する活性エネルギー線重合性基が、(メタ)アクリレート基またはエポキシ基を含有する基であることを特徴とする第4項または第5項に記載の光拡散性フィルム。
7.前記化合物がポリジメチルシロキサン骨格と活性エネルギー線重合性基を含むことを特徴とする第4項または第6項に記載の光拡散性フィルム。
8.第7項に記載のポリジメチルシロキサン骨格が、下記式(1)で表されることを特徴とする光拡散性フィルム。
一般式(1)
Figure 0005134799
一般式(1)中、2つのYは置換基を表し、pは10以上1500以下の整数を表す。
9.第8項に記載の一般式(1)における、置換基Yおよびメチル基の、10〜25%が、(メタ)アクリレート基を含有するアルキル基で置換されていることを特徴とする光拡散性フィルム。
10.前記Yで表される置換基または前記メチル基が置換されている割合が、13〜22%であることを特徴とする第9項に記載の光拡散性フィルム。
11.前記Yで表される置換基または前記メチル基が置換されている割合が、16〜19%であることを特徴とする第9項に記載の光拡散性フィルム。
12.前記ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物が、ケイ素含有率が23〜32質量%である活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂であることを特徴とする第8項〜第11項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
13.前記ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物が、活性エネルギー線硬化樹脂を形成するのに用いられる活性エネルギー線硬化型樹脂全量に対して0.001〜0.5質量%用いられることを特徴とする第8項〜第12項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
14.該光拡散性フィルムの表面ESCA(X線電子分光法)による光電子スペクトル強度比Si/Cおよび/またはF/Cが0.6以上であることを特徴とする第1〜13項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
15.該光拡散性フィルムの表面にフッ素および/またはケイ素原子が偏析し、最表面と最表面から100nm下層におけるESCA(X線電子分光法)による光電子スペクトル強度比Si/Cおよび/またはF/Cが、該最表面において100nm下層よりも5倍以上大きいことを特徴とする第14項に記載の光拡散性フィルム。
16.該光拡散層が、活性エネルギー線硬化型樹脂の合計100質量部に対して光拡散性粒子を3〜35質量部含むことを特徴とする第1〜15項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
17.光拡散層の平均膜厚が8.0〜40.0μmであることを特徴とする第1〜16項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
18.光拡散層の平均膜厚が12.0〜35.0μmであることを特徴とする第1〜16項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
19.光拡散層の平均膜厚が20.0〜30.0μmであることを特徴とする第1〜16項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
20.荷重4.9Nの鉛筆硬度が3H以上であることを特徴とする第1〜19項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
21.荷重4.9Nの鉛筆硬度が4H以上であることを特徴とする第1〜19項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
22.荷重4.9Nの鉛筆硬度が5H以上であることを特徴とする第1〜19項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
23.光拡散性フィルムの硬化層表面を#0000のスチールウールを用い、1.96N/cm2の荷重を掛けながら10往復擦った時に、擦り跡が目視で見えないことを特徴とする第1〜22項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
24.光拡散層に含まれる光拡散性粒子の平均粒径が1〜15μmであることを特徴とする第1〜23項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
25.光拡散層に含まれる光拡散性粒子の平均粒径が3〜12μmであることを特徴とする第1〜23項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
26.光拡散層に含まれる光拡散性粒子の平均粒径が5〜10μmであることを特徴とする第1〜23項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
27.表面ヘイズが15%以下であることを特徴とする第1〜26項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
28.表面ヘイズが10%以下であることを特徴とする第1〜26項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
29.表面ヘイズが5%以下であることを特徴とする第1〜26項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
30.内部ヘイズが10〜70%であることを特徴とする第1〜29項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
31.内部ヘイズが15〜55%であることを特徴とする第1〜29項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
32.内部ヘイズが20〜40%であることを特徴とする第1〜29項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
33.光拡散性フィルムの表面粗さ(Ra)が0.025〜0.5μmであることを特徴とする第1〜32項の何れかに記載の光拡散性フィルム。
34.第1〜33項の何れかに記載の光拡散性フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
35.第1〜33項の何れかに記載の光拡散性フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いたことを特徴とする偏光板。
36.第1〜33項の何れかに記載の光拡散性フィルム、または第34項または35項の何れかに記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする、画像表示装置。
37.画像表示装置が、TN、STN、IPS、VA及びOCBの何れかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする第36項に記載の画像表示装置。
本発明の光拡散性フィルムは、視認性に優れ、大量生産性に適し、耐擦傷性、防汚性に優れ、かつ防汚性の持続する光拡散性フィルムである。
また、本発明の光拡散性フィルムを表面保護フィルムとして用いた偏光板は、視認性、耐擦傷性、防汚性に優れ、安価で大量に提供することができる。
更に本発明の画像表示装置は、上記光拡散性フィルム又は偏光板を備えており、視認性、耐擦傷性、防汚性にも優れる。
以下、本発明の光拡散性フィルム(以下、特に断らない限り、「光学フィルム」は「光拡散性フィルム」のことを示す。)の作成方法等について説明する。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は、「数値1以上〜数値2以下」の意味を表す。
<層構成>
本発明の光学フィルムについては、透明プラスチックフィルム基材上に光拡散層を形成した層構成を使用することができる。透明プラスチックフィルム基材と光拡散層との間には、次のような層を必要に応じて設けることができる。
透明プラスチックフィルム基材と光拡散層の間に設けても良い層として、帯電防止層(ディスプレイ側から表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、ハードコート層(上記構成だけでは硬度が不足する場合)、防湿層、密着改良層、干渉縞防止層(基材と光拡散層の間に0.03以上の屈折率差がある場合)等が挙げられる。
本発明の光拡散性フィルムの表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)は15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、8%以下であることがさらに好ましく、5%以下であることが特に好ましい。表面ヘイズが15%以下であれば、ディスプレイに画像を表示したときに白ボケが小さく本発明の目的とするレベルにすることができる。
また、本発明の光拡散性フィルムの内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズと呼称する)は10〜70%であることが好ましく、15〜55%であることがより好ましく、20〜40%以下であることが特に好ましい。内部ヘイズを上記範囲にすることで、文字ボケがすくなく適度な散乱性を有する光散乱フィルムとなる。
次に光拡散層について説明する。
<光拡散層>
光拡散層は表面散乱性、または内部散乱性、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに付与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与することのできる硬化樹脂、光拡散性を付与するための光拡散性粒子を含有する。硬化樹脂は、活性エネルギー線重合性樹脂であることが好ましく、その場合活性エネルギー線の照射により重合する活性エネルギー線重合性基を含む。
[防汚性の付与]
防汚性の観点から光拡散層(ハードコート層)表面の水に対する接触角は90度以上であり、95度以上とすることが好ましく、100度以上とすることが特に好ましい。光拡散層表面の水に対する接触角を上記範囲とするために、光拡散層を形成するための硬化性組成物に、フッ素およびケイ素原子の何れかの原子を有する化合物、即ちシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤を含有させることができる。
シリコーン系化合物の好ましい例としては、下記一般式(1)に例示されるジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位とした基本骨格、即ちポリジメチルシロキサン骨格を有し、複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基Yを有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基Yは同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
一般式(1)
Figure 0005134799
一般式(1)において、Yは置換基を表し、pは10以上1500以下の整数を表す。
シリコーン系化合物のケイ素原子含有量は18質量%以上であることが好ましく、23〜32質量%であることがより好ましく、26〜31質量%であることが特に好ましく、29〜31質量%であることが最も好ましい。
この範囲よりもケイ素含量が高くなりすぎると、塗膜の表面にのみ化合物が局在化してしまい、塗膜表面の結合性基の密度が低下するため防汚性が持続しなくなるという問題が発生したり、更に表面組成の不均一性が生じたりする場合がある。また、この範囲よりもケイ素含量が低くなりすぎると、表面の接触角が所望の範囲に高くすることができず、初期から防汚性が発現しない。
本発明のシリコーン系化合物は、活性エネルギー線重合性基を有する。シリコーン系化
合物に活性エネルギー線重合性基を導入することにより、シリコーン系化合物は、バインダーとしての活性エネルギー線硬化型樹脂と反応して結合させることにより、光拡散層に強固に固定することができる。
本発明においては、上述のシリコーン系化合物中のケイ素含量の制御と、重合性基の導入により、良好な防汚性表面と物理的な接触による防汚性化合物の消失を押さえることの両立を図ることができ、持続的な防汚性表面を得ることができる。
本発明のシリコーン系化合物が有する活性エネルギー線重合性基としては、例えばアクリル基等のラジカル重合性の二重結合やエポキシ基等のカチオン重合性基が挙げられる。特に好ましい活性エネルギー線重合性基としてはラジカル重合性のアクリレート基又はメタクリレート基であり、アクリレート基が最も好ましい。
シリコーン系化合物に活性エネルギー線重合性基を導入した構造として特開2003−202407号公報[0012]〜[0014]に例示されている下記の(1)〜(4)の構造が好ましく、なかでも(1)側鎖型、(2)側鎖両末端型がより好ましい。
(1)側鎖型
ポリシロキサンの側鎖に活性エネルギー線重合性基を導入した変性シリコーンオイル
(2)両末端型
ポリシロキサンの両末端に活性エネルギー線重合性基を導入した変性シリコーンオイル(3)片末端型
ポリシロキサンの片末端に活性エネルギー線重合性基を導入した変性シリコーンオイル(4)側鎖両末端型
ポリシロキサンの側鎖と両末端の両方に活性エネルギー線重合性基を導入した変性シリコーンオイル
活性エネルギー線重合性基を含むポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物としては、前記一般式(1)における、置換基Yおよびメチル基の、10〜25%が、(メタ)活性エネルギー線重合性基を含有するアルキル基で置換されていることが好ましい。
置換基Yおよびメチル基の、活性エネルギー線重合性基を含有するアルキル基で置換される割合としては13〜22%がより好ましく、16〜19%であることが最も好ましい。活性エネルギー線重合性基の割合がこれよりも少ないと、シリコーン樹脂以外のハードコート構成素材との結合が弱くなり、擦りや拭取りによる防汚性低下が悪化する。また活性エネルギー線重合性基の割合がこれよりも多くなると結果的に所望のケイ素含量に高めることができず、防汚性が発現しなくなる。
(メタ)アクリレート基を含有するアルキル基としては−(CH2)q−O−CO−C(X)=CH2で表される基(qは2〜8の整数を表し、3又は4が好ましい。Xは水素原子又はメチル基を表す。)が好ましい。
活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂としては、例えばチッソ株式会社製UMS−182が挙げられる。また、信越化学工業株式会社製X−22あるいはX−24、東亞合成化学株式会社製GS1015、チッソ株式会社製UMS−992、Gelest社製RMS−044、RMS−083などから、共重合組成比、アクリル変性の程度を適宜変更し、本発明のSi含量とすることができる。
また、カチオン重合性シリコーン化合物の具体例として、KF−105、X−22−163A、X−22−163B、X−22−163C、X−22−164C、X−22−173DX、KF−1001、KF−1001、KF−101、X−22−169AS、X−22−169B、KF−102、X−22−3667、X−22−4741(信越化学工業(株))などが挙げられる。
また、特開2004−314468号公報[0022]に市販のカチオン重合性ポリシロキサン化合物の例が具体的に記されており、本発明でもここに記されている市販品を好ましく用いることができる。
本発明に用いるポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物は、特開平7−70246号公報、特開平7−76611号公報、特開平9−3392号公報、及び特開2001−226487号公報に記載の方法により合成できる。
活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂の分子量としては1000〜100000のものから選択できるが、2000〜50000が好ましく、2500〜20000であることがさらに好ましい。
活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂の塗布量は0.4〜100mg/m2が好ましく、1〜45mg/m2が更に好ましく、2〜20mg/m2がより好ましく、3〜8mg/m2が特に好ましい。この範囲よりも使用量が少ない場合は、防汚性能が十分発現せず、多い場合には表面組成の不均一性が生じてしまい、特に画像表示装置の保護フィルムとして本発明の光拡散性フィルムは適さなくなる。光拡散層を形成する硬化性組成物における活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂の使用量を設ける光拡散層の膜厚に応じて調整することにより、シリコーン樹脂の塗布量が上記範囲となるようにすることができる。
本発明の硬化性組成物における活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂の含有量は、該硬化性組成物に用いる全活性エネルギー線硬化型樹脂に対して好ましくは0.001〜0.5質量%であり、より好ましくは0.001〜0.2質量%である。更に好ましくは0.005〜0.1質量%であり、最も好ましくは0.01〜0.05である。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3、−CH2(CF24H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32、−CH2CF(CF32、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに光拡散層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はなく用いられる。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明では、上記の活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂とフッ素含有化合物を併用
することもできる。
本発明においては、防汚性化合物即ち、上記のシリコーン樹脂とフッ素含有化合物を光拡散層の表面に偏在させることが効果的である。偏在は以下に述べる方法により定量的に測定することができる。
光拡散層表面のシリコーンまたはフルオロアルキル基の偏析の測定方法について説明する。各々の光拡散性フィルムについて島津製作所(株)製ESCA−3400で測定(真空度1×10−5Pa、X線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mA)された最表面のSi2p、F1s、C1sの光電子スペクトルの強度比Si2p/C1s(=Si(a))、F1s/C1s(=F(a))とESCA−3400に付属のイオンエッチング装置(イオンガン、電圧2kV、電流20mA)で光拡散層を表面から100nm削った下層において測定した光電子スペクトルの強度比Si2p/C1s(=Si(b))、F1s/C1s(=F(b))から、エッチング前後でのそれぞれの強度比の変化、Si(a)/Si(b)、F(a)/F(b)、を求め、それぞれのSi2p/C1s比、F1s/C1s比のエッチング前後における変化(低屈折率層最上部における光電子スペクトルの強度比/低屈折率層の表面から深さ100nm下層付近における光電子スペクトルの強度比)により、表面偏析度を決定できる。
なお光拡散層に無機シリカを含有する場合、F1s、C1sはそれぞれの光電子スペクトルのピーク位置で強度を求め、Si2pはシリコーン(ポリジメチルシロキサン)のSi原子由来のピーク位置(結合エネルギーが105eV付近)における強度を上記の強度比算出に用い、無機シリカ粒子由来のSi原子と区別できる。
あらかじめ種々のエッチング条件で光拡散層表面を徐々に削り進む予備実験を実施しておき、100nm、200nm、300nm下層に達するまでに要するエッチング条件を元に表面から深さ100nmなる条件を求めてから測定する。表面の特性のみをコントロールする場合に本明細書に記載の表面偏析化合物を適宜使用することによって、必要な成分のみを選択的に表面に配置可能であり、膜の内部の特性と表面の特性を独立にコントロールすることが可能となる。
光拡散性フィルムの表面ESCA(X線電子分光法)による光電子スペクトル強度比Si/Cおよび/またはF/Cが0.6以上とすることが好ましい。
また、該光拡散性フィルムの表面にフッ素および/またはケイ素原子が偏析し、最表面と最表面から100nm下層におけるESCA(X線電子分光法)による光電子スペクトル強度比Si/Cおよび/またはF/Cが、該最表面において100nm下層よりも5倍以上大きいことが好ましい。
[鉛筆硬度の付与]
本発明の光拡散性フィルムは、防汚性を継続的に維持することと同時に、表面の鉛筆硬度を高める必要がある。そのため、光拡散層の表面の鉛筆硬度は、3H以上が好ましく、4H以上がより好ましく、5H以上が特に好ましい。
鉛筆硬度に関しては、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、4.9Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度として求めることができる。
鉛筆硬度を高くする技術内容については、光散乱層の厚さ、構成バインダー、充填するフィラー、硬化条件等が挙げられ、後述する。
<光拡散性粒子>
本発明の光拡散性フィルムに用いられる光拡散性粒子の平均粒径は1.0μm以上であり、15.0μm以下であることが好ましい。好ましくは3.0〜12.0μmであり、より好ましくは5.0〜10.0μmである。平均粒径が1μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字ボケを引き起こしたりするため、好ましくない。一方、15μmを超えると、光拡散層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールが大きくなる、素材コストが上昇してしまう、等の問題が生じる。
本発明者の検討により、鉛筆硬度を改善するために膜厚を厚くすることが有効であり、平均粒径が5μm以上の比較的サイズの大きい光拡散性粒子と8μm以上の光拡散層の平均膜厚を組み合わせることによって、鉛筆硬度と光学特性を両立させることができることが分かった。
光学特性が良好な光拡散性フィルムを出発に膜厚を厚くすると、内部ヘイズが膜厚に比例して上昇し、使用可能範囲を越える。光拡散性粒子の添加量を減らすことで内部ヘイズを調整することはできるが、光拡散層に含まれる光拡散性粒子は硬化収縮緩和の役割を同時に担っており、添加量を減らすことで膜が脆くなってしまう。粒子サイズを大きくすることで、同じ添加量を用いても、表面積は小さくなり、ヘイズを下げることができることが分かった。
また、サイズを大きくすることで光の散乱角度を狭くすることができ、一般には好ましい方向である。
前記光拡散性粒子の具体例としては、例えばポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子(好ましくは樹脂ビーズ)が好ましく挙げられる。なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた光拡散性粒子の屈折率に合わせて硬化樹脂の屈折率を調整することにより、好ましい内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを調整することができる。具体的には、後述するような本発明の光拡散層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした硬化樹脂(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる光拡散性粒子の組合せが好ましく、特に前記硬化樹脂と架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる光拡散性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
光拡散性粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の粒径分布を示すS値は下記式で表され、2.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.7以下である。
S=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
D(0.1):体積換算粒径の積算値の10%値、
D(0.5):体積換算粒径の積算値の50%値、
D(0.9):体積換算粒径の積算値の90%値。
また、粒子径の異なる2種以上の光拡散性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の光拡散性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の光拡散性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
前記光拡散性粒子は、形成された光拡散層中に、光拡散層全固形分100質量部に対して3〜35質量部含有されるように配合される。好ましくは3〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部である。3質量部未満であると、光拡散性が不足し、35質量部を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、光拡散性粒子の塗設量は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2である。
本発明における硬化樹脂と光拡散性粒子の屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、硬化樹脂及び光拡散性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、硬化樹脂と光拡散性粒子との屈折率の差(光拡散性粒子の屈折率−硬化樹脂の屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、前記硬化樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。光拡散性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に光拡散性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
光拡散層の膜厚は、1〜50μmが好ましく、8〜40μmがより好ましく、12〜35μmが更に好ましく、20〜30μmが特に好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
本発明の光学フィルムの中心線平均表面粗さ(Ra)は、0.025〜0.50μmが好ましく、更に好ましくは0.04〜0.30μm、最も好ましくは0.05〜0.25μmである。この範囲にすることで白ボケなどの弊害がなく適度な散乱性能が得られる。
また、水の接触角を90°以上にするために用いられるフッ素系又はポリジメチルシロキサン系化合物は、光学フィルムをロール状態で保管した場合に裏面へ転写しやすく、転写した化合物が集まるとディスプレイの表面に接着する際に接着不良などを引き起こすことがある。本発明においては、上記中心線平均表面粗さ(Ra)が0.025以上あることで、該裏面への転写が減少するという効果を有しており好ましい。
<硬化樹脂>
硬化樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体を用いて得られるのが好ましい。
バインダーポリマーをより高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーや、フルオレン骨格を分子内に有するモノマー等を選択することもできる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドなどが挙げられる。
また、ウレタン結合を介して一分子中に2個以上のエチレン性不飽和基が導入された化合物や、イソシアヌル酸エトキシ変性ジアクリレートを用いることにより、より高い防汚耐久性を得ることができる。ウレタン結合を介して一分子中に2個以上のエチレン性不飽和基が導入された化合物としては、例えば、重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号公報、特開平2005−272702号公報 例示化合物 PETA−IPDI−PETA、PETA−TDI−PETA、HEA−IPDI−HEA,U−15HAなど)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号公報等)、を挙げることができる。
また、カール低減には、下記に記載のイソシアヌル酸エトキシ変性ジアクリレート(特開2005−103973号公報に記載)の化合物も好ましい。
イソシアヌル酸エトキシ変性ジアクリレート:(モノマー1)
Figure 0005134799
該化合物は、3官能以上のアクリレートと併用することで、低カールで耐擦傷性に優れる塗膜を形成することができる。
前記モノマーは2種以上併用してもよい。
高屈折率モノマーの具体例としては、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート類、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、前記光拡散層は、上述のエチレン性不飽和モノマー等の硬化樹脂形成用のモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、光拡散性粒子および光拡散層表面の水の接触角を上昇させる化合物、必要に応じて後述するような無機フィラー、レべリング剤、を含有する塗液を調製し、該塗液を透明基材上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、などが挙げられる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル、などが挙げられる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、などが挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、などが挙げられる。
活性エステル類の例にはIRGACURE OXE01(1、2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)] チバスペシャリティーケミカルス製)、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物、などが挙げられる。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、などが挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類の例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、などが挙げられる。
無機錯体の例にはビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、などが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンなどが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。本発明において特に、光拡散層の厚みを8μm以上に厚くする場合においては、長波に吸収をもつ光重合開始剤と長波に吸収を持たない光重合開始剤を併用することが好ましい。吸収のことなる2つ以上の開始剤を用いることで、光拡散層の表面から内部まで硬化させることが可能となり、鉛筆硬度やSW擦り耐性が向上できる。ここで長波に吸収をもつ光重合開始剤とは、アセトニトリル中0.1質量%に溶解したときの360nmでの1cmセル使用時の吸光度が0.2以上のものをいう。具体的商品としては、例えば、イルガキュア369(5以上)、イルガキュア819(2.0)、イルガキュア907(0.5)、イルガキュア1700(0.4)を挙げることができる(以上チバスペシャルティーケミカルズ製)。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等が好ましい例として挙げられる。
本発明において、防汚性を向上させるのに特に有効な光重合開始剤としては、以下に述べる界面活性能を有する光重合開始剤を挙げることができる。本発明の防汚性を改良する化合物は光拡散層の表面近傍に多く存在するため、その領域に光重合開始剤を選択的に存在せしめることで表面の硬化を進め、防汚性を改良する化合物を効果的に固定することが可能となる。
界面活性を有する光重合開始剤とは、分子内に表面配向性の官能基を有する光重合開始剤である。表面配向性の官能基としては、長鎖アルキル基、(ポリ)ジアルキルシロキサン単位を有する基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基などを挙げることができる。特に好ましくは長鎖アルキル基又は(ポリ)ジアルキルシロキサン単位を有する基である。
具体的な化合物については、特表2004−522819号に記載のものを用いることができ、実施例1〜14の化合物が好ましい。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、光拡散性粒子、光拡散層表面の水の接触角を上昇させる化合物、および必要に応じて後述するレべリング剤、無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明基材上に塗布後活性エネルギー線または熱による重合反応により硬化して光拡散層を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋
性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
[無機酸化物微粒子]
続いて本発明に用いることのできる無機酸化物微粒子について説明する。
無機酸化物微粒子は、得られる硬化性組成物の硬化被膜の無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子であることが好ましい。
これらの無機微粒子は光拡散層の高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化等を目的に導入され、硬化膜中の厚み方向に均一に分散されていることが好ましい。
これらの無機酸化物粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の粒子を挙げることができる。中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニアおよび酸化アンチモンの粒子が好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。さらには、無機酸化物粒子は、有機溶媒分散物として用いるのが好ましい。有機溶媒分散物として用いる場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
酸化物粒子の数平均粒子径は、1nm〜2000nmが好ましく、3nm〜200nmがさらに好ましく、5nm〜100nmが特に好ましい。数平均粒子径が2000μmを超えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
ケイ素酸化物粒子分散液(例えば、シリカ粒子)として市販されている商品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製メタノ−ルシリカゾル、MA−ST−MS、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−S
T−L、MIBK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等、触媒化成工業(株)製中空シリカCS60−IPA等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
また、アルミナの水分散品としては、日産化学工業(株)製アルミナゾル−100、−200、−520;アルミナのイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント(株)製AS−150I;アルミナのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製AS−150T;ジルコニアのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製HXU−110JC;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業(株)製セルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末および溶剤分散品としては、シーアイ化成(株)製ナノテック;アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業(株)製SN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル(株)製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製ニードラール等を挙げることができる。
酸化物粒子の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、または不定形状であり、好ましくは、球状である。酸化物粒子の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m2/gであり、さらに好ましくは、20〜500m2/gであり、最も好ましくは50〜300m2/gである。これら無機酸化物粒子は、乾燥状態の粉末を有機溶媒に分散することもできるが、例えば上記の酸化物の溶剤分散ゾルとして当業界に知られている微粒子状の酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。
[分散方法]
本発明において無機酸化物微粒子を粉体から溶媒中に分散して調製するには、分散剤を用いることもできる。本発明においては、アニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することもできる。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明においては、無機酸化物粒子を粉砕するのに分散機を用いることができる。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
[高屈折率無機微粒子]
光拡散層には、層の屈折率を高めるために、上記の光拡散性粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.001〜0.2μm以下、好ましくは0.001〜0.1μm、より好ましくは0.001〜0.06μm以下である無機微粒子が含有されることが好ましい。ハードコート層に用いられる無機微粒子の具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、スズをドープした酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。TiO2及びZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機微粒子は表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機微粒子の添加量は、光拡散層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、このような無機微粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
光拡散層のバインダー及び無機微粒子の混合物の屈折率は、1.57〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.60〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機微粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
[塗布液の溶媒]
以上説明した本発明に係る無機酸化物微粒子の有機溶媒分散液を用いて微粒子成分とし、バインダーと組み合わせてコーティング組成物となし、この組成物から光拡散層を形成することができる。コーティング組成物の溶媒に制限は無いが、少なくとも2種類の揮発性溶媒を含有することが好ましい。例えば、アルコールとその誘導体類、エーテル類、ケトン類、炭化水素類、エステル類、の中から選ばれる少なくとも2種を組み合わせて用いることが好ましい。バインダー成分の溶解度、無機微粒子の安定性、コーティング液の粘度調節などの観点から溶媒を選択することができる。溶媒を2種以上組み合わせて用いることで、本発明の規定になるよう制御して微粒子を膜内に配置することができる。本発明に用いられる溶媒の沸点は、50℃以上250℃以下が好ましく、更に好ましくは65℃以上200℃以下である。また、誘電率は20℃において、1以上50以下が好ましく、5以上30以下が更に好ましい。誘電率が10以上の溶媒を無機微粒子に対して10質量%以上含むと分散安定性上好ましい。
以下に本発明に用いることのできる溶媒を挙げるが、これらに限定されるものではない。
・ アルコールとその誘導体類
(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、第二アミルアルコール、3−ペンタノール、第三アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールイソアミルエーテル、メトキシメトキシエタノール、メトキシプロパノール、ブトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル)
・ エーテル類
(イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル)
・ ケトン類
(アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン)
・ 炭化水素類
(n−へキサン、イソへキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン)
・ エステル類
(ギ酸プロピル、ギ酸−n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸メチルイソアミル、酢酸メトキシブチル、酢酸第二へキシル、酢酸−2−エチルブチル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸シクロへキシル、酢酸メチルシクロへキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−ブチル、酪酸イソアミル、オキシイソ酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸−n−ブチル、乳酸イソブチル、乳酸−n−アミル、乳酸イソアミル、安息香酸メチル、シュウ酸ジエチル)
特に好ましい組み合わせはアルコールとその誘導体類、ケトン類、エステル類の中から少なくとも2種類、更に好ましくは3種類用いることである。好ましい例としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−メトキシプロパノール、2−ブトキシエタノール、イソプロピルアルコール、トルエンの中から2種又は3種を併用して用いることができる。
[透明プラスチック基材]
本発明の光拡散性フィルムは、透明プラスチック基材(以下透明支持体とも称する)上に光拡散層を含む各層を形成して作製される。透明プラスチックフィルム基材の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支
持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明プラスチック基材の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。
透明プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリスチレン(例えばシンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等)、ノルボルネン系樹脂{「アートン」(商品名)、JSR(株)製}、非晶質ポリオレフィン{「ゼオネックス」(商品名)、日本ゼオン(株)製}、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレート及びポリエーテルケトンなどが挙げられる。セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートが好ましい。
[セルロースアシレートフィルム]
特に、本発明の光拡散性フィルムを液晶表示装置に用いる場合、セルロースアシレートフィルムが好ましい。セルロースアシレートはセルロースをエステル化することにより作製される。エステル化前のセルロースとしては、リンター、ケナフ、パルプを精製して用いられる。
(セルロースアシレート)
本発明において、セルロースアシレートとはセルロースの脂肪酸エステルのことであるが、特に、低級脂肪酸エステルが好ましい。更には、セルロースの脂肪酸エステルフィルムが好ましい。
低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数が2〜4のセルロースアシレートが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることも好ましい。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(Dp)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。またセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)を指標とする分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜5.0であることが好ましい。より好ましくは、1.0〜3.0であり、特に好ましくは1.0〜2.0である。
透明支持体としては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアシレートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることがさらに好ましく、59.0〜61.5%が特に好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアシレート等の試験法)におけるアシル化度の測定及び計算によって求められる。
セルロースアシレートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシル基が均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるセルロースアシレートでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度又は多い方が好ましい。2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがさらに好ましく、32〜40%であることが最も好ましい。
透明支持体には、フィルムの機械的特性(膜の強度、カール、寸度安定性、滑り性等)、耐久性(耐湿熱性、耐候性等)等の特性を調整するために各種の添加剤を用いることができる。例えば、可塑剤(リン酸エステル類、フタル酸エステル類、ポリオールと脂肪酸とのエステル類等)、紫外線防止剤(例えば、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物等)、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、微粒子(例えばSiO2、Al23、TiO2、BaSO4、CaCO3、MgCO3、タルク、カオリン等)、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等が挙げられる。
これらの詳細は、発明協会公開技法公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会),p.17−22に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
これら添加剤の使用量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。
[表面処埋]
透明支持体に、表面処埋を実施してもよい。
表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理及びオゾン酸化処理が含まれる。具体的には、例えば、発明協会公開技法公技番号2001−1745号(発行2001年3月15日)p.30−31に記載の内容、特開2001−9973号公報に記載の内容等が挙げられる。好ましくは、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理及び火焔処理、更に好ましくはグロー放電処理と紫外線処理が挙げられる。
[鹸化処理]
本発明の光学フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の光学フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の光学フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に含フッ素ポリマーを主体とする最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏向膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏向膜と接着させる際に偏向膜と光学フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、光学機能を有する面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
(1)透明支持体上に光学機能層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に光学機能層を形成する前または後に、アルカリ液を該光学フィルムの光学フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
[塗膜形成方法]
本発明の光拡散性フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。これらの塗布方式のうち、グラビアコート法で塗布すると乾燥膜厚が8〜40μm程度になる塗布液を膜厚均一性高く塗布することができ、好ましい。グラビアコート法の中でもマイクログラビア法は膜厚均一性が高く、より好ましい。
また、ダイコート法を用いても塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができ、さらにダイコート法は前計量方式のため膜厚制御が比較的容易であり、さらに塗布部における溶剤の蒸散が少ないため、好ましい。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の光学フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の光学フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の光学フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70度傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45度傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
本発明の光拡散性フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および
(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶セル用には、2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムを本発明の光学フィルムと組み合わせて作成した偏光板が好ましく用いられる。2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムの作製方法については、例えば特開2001−249223号公報、特開2003−170492号公報などに記載の方法を用いることが好ましい。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを偏光膜の裏表2枚の保護フィルムの内の本発明の光学フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで適度な散乱性能、ハードコート性と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
本発明を詳細に説明するために、以下の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
なお、下記実施例1−1〜1−5、2−1、11−1〜11−5、21−1、31−1〜31−3、4−1〜4−8、5−1〜5−5は、「実施例」とあるのを「参考例」と読み替えるものとする。
[光拡散層用塗布液の調製]
{光拡散層用塗布液(HCL−1)の組成}
UV硬化性樹脂 600.0部
“PETA”{日本化薬(株)製}
「イルガキュア184」 20.0部
架橋ポリスチレン粒子トルエン分散液(30%) 17.0部
「SX−350H:平均粒径3.5μm:綜研化学(株)製の30wt%トルエン分散液」
架橋アクリル−スチレン粒子トルエン分散液(30%) 133.0部
「SX−350HL:平均粒径3.5μm:綜研化学(株)製の30wt%トルエン分散液」
トルエン 287.0部
シクロヘキサノン 98.0部
シリコーンオイル「X−22−164C」 0.1部
{光拡散層用塗布液(HCL−2)の組成}
UV硬化性樹脂 600.0部
“PETA”{日本化薬(株)製}
「イルガキュア184」 20.0部
架橋ポリスチレン粒子トルエン分散液(30%) 17.0部
「SX−350H:平均粒径3.5μm:綜研化学(株)製の30wt%トルエン分散液」
架橋アクリル−スチレン粒子トルエン分散液(30%) 133.0部
「SX−350HL:平均粒径3.5μm:綜研化学(株)製の30wt%トルエン分散液」
トルエン 287.0部
シクロヘキサノン 98.0部
{光拡散層用塗布液(HCL−3)の組成}
UV硬化性樹脂 600.0部
“PETA”{日本化薬(株)製}
「イルガキュア184」 20.0部
架橋ポリスチレン粒子トルエン分散液(30%) 17.0部
「SX−500H:平均粒径5.0μm:綜研化学(株)製の30wt%トルエン分散液」
架橋アクリル−スチレン粒子トルエン分散液(30%) 133.0部
「SX−350HLと同様の組成を有し平均粒径5.0μmの架橋アクリル−スチレン粒子の30wt%トルエン分散液」
トルエン 287.0部
シクロヘキサノン 98.0部
シリコーンオイル「X−22−164C」 0.1部
{光拡散層用塗布液(HCL−4)の組成}
UV硬化性樹脂 600.0部
“PETA”{日本化薬(株)製}
「イルガキュア184」 20.0部
架橋ポリスチレン粒子トルエン分散液(30%) 17.0部
「SX−350Hと同様の組成を有し平均粒径7.0μmの架橋ポリスチレン粒子の30wt%トルエン分散液」
架橋アクリル−スチレン粒子トルエン分散液(30%) 133.0部
「SX−350HLと同様の組成を有し平均粒径7.0μmの架橋アクリル−スチレン粒子の30wt%トルエン分散液」
トルエン 287.0部
シクロヘキサノン 98.0部
シリコーンオイル「X−22−164C」 0.1部
{光拡散層用塗布液(HCL−5)の組成}
UV硬化性樹脂 600.0部
“PETA”{日本化薬(株)製}
「イルガキュア184」 20.0部
架橋ポリスチレン粒子トルエン分散液(30%) 17.0部
「SX−350Hと同様の組成を有し平均粒径8.0μmの架橋ポリスチレン粒子の30wt%トルエン分散液」
架橋アクリル−スチレン粒子トルエン分散液(30%) 133.0部
「SX−350HLと同様の組成を有し平均粒径8.0μmの架橋アクリル−スチレン粒子の30wt%トルエン分散液」
トルエン 287.0部
シクロヘキサノン 98.0部
シリコーンオイル「X−22−164C」 0.1部
{光拡散層用塗布液(HCL−6)の組成}
ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液 612.0部
“デソライトZ7404”{粒径20nm:JSR(株)製}
UV硬化性樹脂 234.0部
“DPHA”{日本化薬(株)製}
シリカ粒子 53.4部
“KE−P150”{1.5μm:(株)日本触媒製}
架橋PMMA粒子 20.4部
“MXS−300”{3μm:綜研化学(株)製}
メチルエチルケトン(MEK) 174.0部
シクロヘキサノン 78.0部
シリコーンオイル「X−22−164C」 0.1部
{光拡散層用塗布液(HCL−7)の組成}
ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液 612.0部
“デソライトZ7404”{粒径20nm:JSR(株)製}
UV硬化性樹脂 234.0部
“DPHA”{日本化薬(株)製}
シリカ粒子 53.4部
“KE−P150”{1.5μm:(株)日本触媒製}
架橋PMMA粒子 20.4部
“MXS−300”{3μm:綜研化学(株)製}
メチルエチルケトン(MEK) 174.0部
シクロヘキサノン 78.0部
<光拡散性フィルムの作成>
実施例1−1
支持体(基材)として1340mm幅の長さ2600mのトリアセチルセルロースフィルム“TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出し、直接、前記の重合性基を有するシリコーンオイルを添加した光拡散層用塗布液(HCL−1)を、線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度15m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに酸素濃度が1.0体積%以下になるように、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、光拡散層(HC−1)を形成し、巻き取った。硬化後、光拡散層の平均厚さが6.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
比較例1−1
実施例1−1で示した光拡散性フィルムに対して、光拡散層用塗布液(HCL−1)に代えて、光拡散層用塗布液(HCL−2)を用い、光拡散層(HC−2)を形成し巻き取った。
実施例1−2
実施例1−1で示した光拡散性フィルムに対して、光拡散層用塗布液(HCL−1)に代えて、光拡散層用塗布液(HCL−3)を用い、光拡散層(HC−3)を形成し巻き取った。硬化後、光拡散層の平均厚さが10.0μmとなるようにグラビアロールの回転数を調整した。
実施例1−3
実施例1−1で示した光拡散性フィルムに対して、光拡散層用塗布液(HCL−1)に代えて、光拡散層用塗布液(HCL−4)を用い、光拡散層(HC−4)を形成し巻き取った。硬化後、光拡散層の平均厚さが20μmとなるようにグラビアロールの回転数を調整した。
実施例1−4
実施例1−3で示した光拡散性フィルムに対して、硬化後、光拡散層の平均厚さが24μmとなるようにグラビアロールの回転数を調整した。
実施例1−5
実施例1−1で示した光拡散性フィルムに対して、光拡散層用塗布液(HCL−1)に代えて、光拡散層用塗布液(HCL−5)を用い、光拡散層(HC−5)を形成し巻き取った。硬化後、光拡散層の平均厚さが24μmとなるようにグラビアロールの回転数を調整した。
実施例2−1
支持体として1340mm幅の長さ2600mのトリアセチルセルロースフィルム“TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出し、直接、前記の重合性基を有するシリコーンオイルを添加した光拡散層用塗布液(HCL−6)を、線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度15m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに酸素濃度が1.0体積%以下になるように、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、光拡散層(HC−6)を形成し、巻き取った。硬化後、光拡散層の平均厚さが8.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
比較例2−1
実施例2−1で示した光拡散性フィルムに対して、光拡散層用塗布液(HCL−6)に代えて、光拡散層用塗布液(HCL−7)を用い、光拡散層(HC−7)を形成し巻き取った。
Figure 0005134799
[光拡散性フィルムの鹸化処理]
光拡散性フィルム試料の作製後、これら光拡散性フィルム試料について次のような処理を行った。
1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した光拡散性フィルムをこの水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
[光拡散性フィルムの評価]
(1)平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における各光拡散性フィルム試料の分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの平均反射率を用いた。
(2)スチールウール(SW)耐傷性評価
光拡散性フィルム試料について、ラビングテスターを用い、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH。
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール{日本スチールウール(株)製、「グレードNo.0000」}を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:1.96N/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△:中程度の傷が見える。
△×〜×:一目見ただけで分かる傷がある。
(3)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。光拡散性フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する2H〜5Hの試験用鉛筆を用いて、4.9Nの荷重にて、以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。
n=5の評価において傷なし〜傷1つ :OK
n=5の評価において傷が3つ以上 :NG
(4)マジック拭き取り性
光拡散性フィルム試料をガラス面上に粘着剤で固定し、25℃60RH%の条件下で黒マジック「マッキー極細(商品名:ゼブラ(株)製)」のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねたベンコット(商品名、旭化成(株)製)でベンコットの束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。マジック痕が拭き取りで消えなくなるまで前記の書き込みと拭き取りを前記条件で繰り返し、拭き取りできた回数を求めた。上記テストを4回繰り返し、平均して下記5段階で評価した。
◎:10回以上拭き取り可能。マジック痕が簡単に取れる。
○:10回以上拭き取り可能。マジック痕がやや取れにくい。
△:数回〜10回未満拭き取れる。
×:1回だけ拭き取れる
××:1回も拭き取れない。
(5)接触角
接触角計[”CA−X”型接触角計、協和界面科学(株)製]を用い、乾燥状態(20℃/65%RH)で、液体として純水を使用して直径1.0mmの液滴を針先に作り、これをフィルムの表面に接触させてフィルム上に液滴を作った。フィルムと液体とが接する点における、液体表面に対する接線とフィルム表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角とする。
(6)ヘイズ
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
1. JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ(H)を測定する。
2. 得られたフィルムの光拡散層の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて表裏より挟んで、2枚のガラス板と得られたフィルムを完全に光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを内部ヘイズ(Hi)として算出した。
3. 上記1で測定した全ヘイズ(H)から上記2で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
Figure 0005134799
表2に示される結果より、以下のことが明らかである。
重合性基を有するシリコーンオイルを添加した光拡散層塗布液より形成される本発明の光拡散性フィルム(実施例1−1〜1−5)は、1層構成であるため、大量生産性に優れ、視認性が高く、耐擦傷性、防汚性に優れ、かつ持続的な防汚性のあることがわかった。
実施例2−1で示した光拡散性フィルムに関しても1層構成であるため、大量生産性に優れ、視認性が高く、耐擦傷性、防汚性に優れ、かつ持続的な防汚性のあることがわかった。
<偏光板の作製>
実施例11−1〜11−5
次に、実施例1−2〜1−5、2−1の本発明の光拡散性フィルム試料103〜107をそれぞれ、1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面に接着、保護して作製した偏光板と貼り合わせて光拡散性フィルム付き偏光板をそれぞれ作製した。この偏光板を用いて光拡散層を最表層に配置した液晶表示装置を作製したところ、外光の映り込みが少なくおよび/または視野角拡大が見られ、優れた視認性を有していた。
実施例21−1
濃度1.5mol/Lで、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬した後、中和、水洗した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写
真フイルム(株)製}と、実施例1−2の光拡散性フィルム試料103とを、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光膜の両面に接着、保護して偏光板を作製した。このようにして作製した偏光板を、光拡散層側が最表面となるように透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置{偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製“D−BEF”をバックライトと液晶セルとの間に有する}の視認側の偏光板と貼り代えたところ、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高く、防汚性にすぐれた表示装置が得られた。
<液晶表示装置>
実施例31−1〜31−3
本発明の光拡散性フィルム試料103〜105を夫々貼りつけた透過型TN液晶セルの、視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルム、及びバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムとして、視野角拡大フィルム「ワイドビューフィルムSA 12B」{富士写真フイルム(株)製}を用いたところ、上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
実施例4
[光拡散層用塗布液の調製]
非揮発成分の比率を表3に示すように変更した光拡散層用塗布液(HCL−8)〜(HCL−21)を調製した。希釈溶媒はトルエン/シクロヘキサノン=85/10(質量比)として、非揮発成分濃度が35%になるように調節した。
Figure 0005134799
表3において各成分の量は質量部を表す。
使用した成分の内容は以下の通りである。
PGMA(E−1):グリシジル基含有ポリマー(分子量12000、特開2005―111756、実施例1に記載の化合物)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ビスコート#295、大阪有機化学工業(株)製)
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PET−30、日本化薬(株)製)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)
モノマー1:イソシアヌル酸エトキシ変性ジアクリレート(本文例示化合物)
ウレタンアクリレート1:水添キシリレンジイソシアネートのイソシアネート基をペンタエリスリトールのアクリル酸エステルの水酸基と反応させて得られるウレタンアクリル化合物。
SH−200:無変性ポリジメチルシロキサン(商品名SH−200、動粘度500mm2/s、分子量約1万、東レダウコーニングシリコーン(株)製)
UMS−182:アクリル変性ポリジメチルシロキサン、分子量3500、Si含率30.5%、アクリル置換率18%(商品名UMS−182、チッソ(株)製)
X22−164C:アクリル変性ポリジメチルシロキサン、分子量約5000、Si含率37.2%、アクリル置換率2%(商品名X22−164C、信越化学工業(株)製)
Irg−184:光ラジカル重合開始剤(商品名イルガキュア184、チバスペシャルティーケミカルス社製)
ロードシル2074:光酸発生剤(商品名ロードシル2074,ローディア(株)製)
Irg−907:光ラジカル重合開始剤(商品名イルガキュア907、チバスペシャルティーケミカルス社製)
Irg−369:光ラジカル重合開始剤(商品名イルガキュア369、チバスペシャル
ティーケミカルス社製)
開始剤−1:ジメチルシロキサン部を有する光重合開始剤(特表2004−522819実施例4に記載の化合物)
開始剤−2:ジメチルシロキサン部を有する光重合開始剤(特表2004−522819実施例7に記載の化合物)
架橋ポリスチレン粒子:実施例1の(HCL−4)で使用の平均粒径7.0μmの粒子。
架橋アクリル/スチレン粒子:実施例1の(HCL−4)で使用の平均粒径7.0μmの粒子。
<光拡散性フィルムの作成>
実施例4−1
支持体(基材)として1340mm幅の長さ2600mのトリアセチルセルロースフィルム“TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出し、直接、前記の重合性基を有するシリコーンオイルを添加した光拡散層用塗布液(HCL−12)を、線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度15m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに酸素濃度が0.1体積%以下になるように、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量500mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、光拡散層(HC−12)を形成し、巻き取った。硬化後、光拡散層の平均厚さが20.0μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
実施例4−1の試料に対して、光拡散層用塗布液の種類を表4に示すように変え、平均厚さが20.0μmとなるようにして実施例4−2〜4−10、及び比較例4−1〜4−4の試料を作製した。
[光拡散性フィルムの評価]
このようにして得られた試料を用い、実施例1の評価に加え以下の評価を行った。
(7)中心線表面粗さ(Ra)
中心線平均粗さ(Ra)の測定は、JIS−B0601に準じて行なった。
(8)マジックふき取り耐久性評価
評価(4)のマジック拭き取り耐久性評価において、ふき取りができた回数を評価値とした。ふき取り回数は10回以上が好ましく、15回以上が更に好ましく、最も好ましくは20回以上である。
評価結果を表4に示す。
Figure 0005134799
表4に示される結果より、以下のことが明らかである。
水の接触角が90度以上の比較例の試料402および試料403に対して光散乱粒子を加えた本発明の試料405および406は、光散乱性が付与されマジック拭き取り耐久性を有することが分かる。本発明の試料で、接触角が90度以上で、拡散性の粒子を添加して散乱性を付与した試料においては、表面粗さを0.5μm以下とし、かつ表面ヘイズを15%以下とすることで、SW擦り耐性とマジック拭き取り性が改良されることが分かる(試料405、406と407,408との比較)。
また、分子内に活性エネルギー線重合性基を有するポリジメチルシロキサン系化合物を有する試料は、マジック拭き取り耐久性に優れることが分かる(試料407,408,409の比較)。また、活性エネルギー線硬化型樹脂として、イソシアヌル酸エトキシ変性ジアクリレート化合物やウレタンアクリレート系化合物を含有する試料(試料408と411、412との比較)や界面活性能を有する光重合開始剤を含有する試料(試料408と413、414の比較)は防汚耐久性に優れることが分かる。
実施例5
実施例4の試料410において、光拡散層の膜厚を表5に示すように変更した試料501〜505を作成した。膜厚の変更時に、ポリジメチルシロキサン化合物と光散乱粒子の量は変更することなく、紫外線硬化樹脂と光重合開始剤の量を両者の比率は一定のまま増減して膜厚を調節した。
実施例4に準じた評価を行った結果を表5に示す。
Figure 0005134799
表5に示される結果より、表面粗さが0.025〜0.50μm、表面ヘイズ15以下、膜厚8.0〜40.0μmの範囲にある試料は、SW擦り耐性とマジック拭き取り耐久性に優れることが分かる。

Claims (14)

  1. 透明プラスチックフィルム基材と、
    少なくとも1種の活性エネルギー線重合性基およびポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物、界面活性能を有する光重合開始剤、少なくとも1種の活性エネルギー線硬化樹脂、および平均粒径が5.0〜10.0μmである光拡散性粒子を含有する硬化性組成物から形成された光拡散層と、
    を有する光学フィルムであって、前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の光拡散層の表面の水の接触角が90度以上であって、表面粗さが0.025〜0.5μmであることを特徴とする光拡散性フィルム。
  2. 前記活性エネルギー線重合性基およびポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物が、前記光拡散層表面に局在化して、前記活性エネルギー線重合性基の反応によって活性エネルギー線硬化樹脂に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の光拡散性フィルム。
  3. 前記活性エネルギー線重合性基およびポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物として、下記一般式(1)で表されるポリジメチルシロキサン骨格における、置換基Y、およびメチル基の、10〜25%が、(メタ)アクリレート基を含有するアルキル基で置換された化合物を有し、該化合物が、活性エネルギー線硬化樹脂に結合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光拡散性フィルム。
    一般式(1)
    Figure 0005134799

    一般式(1)中、2つのYは置換基を表し、pは10以上1500以下の整数を表す。
  4. 前記活性エネルギー線重合性基およびポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物が、ケイ素含有率が23〜32質量%である活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光拡散性フィルム。
  5. 前記活性エネルギー線重合性基およびポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物が、活性エネルギー線硬化樹脂を形成するのに用いられる活性エネルギー線硬化型樹脂全量に対して0.001〜0.5質量%用いられることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光拡散性フィルム。
  6. 光拡散層が、該層全固形分100質量部に対して光拡散性粒子を3〜35質量部含むことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の光拡散性フィルム。
  7. 光拡散層の平均膜厚が8.0〜40.0μmであることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の光拡散性フィルム。
  8. 荷重4.9Nの鉛筆硬度が3H以上であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の光拡散性フィルム。
  9. 表面ヘイズが15%以下であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の光拡散性フィルム。
  10. 内部ヘイズが10〜70%であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の光拡散性フィルム。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の光拡散性フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
  12. 請求項1〜10の何れかに記載の光拡散性フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いたことを特徴とする偏光板。
  13. 請求項1〜10の何れかに記載の光拡散性フィルム、または請求項11または12の何れかに記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
  14. 画像表示装置が、TN、STN、IPS、VA及びOCBの何れかのモードの透過型、反射型又は半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
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