JP2015079262A - 反射防止フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光透過性基材と、前記光透過性基材上に形成され、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細凹凸を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムであって、反射防止層は、電離放射線硬化性樹脂と、シランカップリング剤及び/又はその加水分解物と、を含有し、反射防止層表面の対スチールウール動摩擦係数が0.35未満である。また、反射防止層表面の水に対する接触角が100℃以上であることが好ましく、シランカップリング剤及び/又はその加水分解物が、アルキル基又はフルオロアルキル基を有するアルコキシシラン又はその加水分解物であり、それぞれのアルキル基又はフルオロアルキル基の炭素数が1であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
前記反射防止層は、
(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性のモノマー、オリゴマー、及びプレポリマーより選択される1種以上と、
両末端がメタクリル変性されているシリコーンオイルと、を含有する樹脂組成物を電離放射線で硬化してなり、
下記で定義される前記反射防止層表面の対スチールウール動摩擦係数が0.35未満である反射防止フィルム。
対スチールウール動摩擦係数:スチールウ−ル冶具を用い、測定距離30mm、速度5mm/秒、垂直荷重100gで測定
本発明の光透過性基材に相当する基材フィルムは、所望の透明性、機械的強度、電離放射線硬化性樹脂との接着性等の要求適性を勘案の上、各種材料の各種厚さのものを選択すればよい。基材フィルムの形態はフィルム状でもシート状でも板状でもよい。通常は、樹脂製の透明フィルムが好ましく用いられる。基材フィルムとしては、アクリル樹脂(ここでは、所謂、メタクリル樹脂も包含する概念として用いる)、ポリエステル樹脂等をベースとするフィルムが好ましいが、これに限定されない。樹脂材料としては、具体的には、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリロニトリル等が使用できる。なかでも、二軸延伸PETフィルムが透明性、耐久性に優れ、しかもその後の工程で電離放射線照射処理や加熱処理を経た場合でも熱変形等しない耐熱性を有する点で好適である。
反射防止層は、上記の光透過性基材上に例えば1μmから100μm厚さで形成され、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細凹凸を有する。この微細凹凸は、反転した微細凹凸を表面に有する原版に、電離放射線硬化性樹脂、重合開始剤、シランカップリング剤及び/又はその加水分解物を含む樹脂組成物を圧着して、微細凹凸形状を樹脂組成物側に転写することにより賦型し、その後に電離放射線で硬化した後に原版から剥離して得られる。電離放射線としては、紫外線又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線等の荷電粒子線を用いることもできる。
図1は本発明に好適に用いられる反射防止層3の表面付近の拡大断面図であり、その表面には多数の略円錐形状の凸部31が規則的に形成されている。
電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー(単量体)、或いはプレポリマーやオリゴマーが用いられる。モノマーとしては、例えば、ラジカル重合性モノマー、具体的には、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。また、プレポリマー(乃至はオリゴマー)としては、例えば、ラジカル重合性プレポリマー、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマー、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートという表記は、アクリレート又はメタクリレートという意味である。これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
樹脂組成物は、シランカップリング剤(ケイ素化合物)及び/又はその加水分解物を含有する。その結果、耐スティッキング性と耐SW性の両立を可能としたものである。従来はヤング率や貯蔵弾性率に代表される樹脂の硬さを変更することで検討されていたが、これでは上記のようなトレードオフの関係を超えることができなかった。本発明においては、シランカップリング剤及び/又はその加水分解物の反射防止層への均一添加によって、樹脂の硬さに拠らずに耐スティッキング性と耐SW性の両立を可能した。この点に本発明の新規な点がある。すなわち、ベースの電離放射線樹脂が硬い場合には、滑り性アップにより動摩擦係数を低減でき、これにより耐SW性を向上できる。一方、ベースの電離放射線樹脂が軟らかい場合に耐スティッキング性を向上できるのは、微細凹凸の凸部間の表面エネルギー(凝集力)を低減しているためと推定される。
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2SiCH3(OCH3)2
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)CH2CH2CH2Si(OCH3)3
樹脂組成物は、帯電防止剤を含有していてもよい。帯電防止剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド(EO)付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール類、アルキルフェノールEO付加体、ポリエチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド系、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットおよびソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪族アミド等の多価アルコール類、多価アルコールエステル類などの非イオン界面活性剤、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩類、燐酸塩類、ホスホン酸塩類、ホスホン酸エステル塩類などのアニオン界面活性剤、高級アルキルアミン類、環状アミン、ヒダントイン誘導体、アミドアミン、エステルアミド、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩類、ピリジンそのほかの複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類などのカチオン界面活性剤、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のアルキルベタイン類などの両性界面活性剤などの界面活性剤、また、サポニン等の天然界面活性剤、カーボンブラック、グラファイト、変性グラファイト、カーボンブラックグラフトポリマー、酸化スズ−酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン、酸化スズ、酸化チタン−酸化スズ−酸化アンチモン等の導電性粉末なども適用できる。
樹脂組成物には、必要に応じて他の適宜添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、体質顔料、光拡散剤等が挙げられる。
[実施例1]
アクリルモノマーA100質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア184の2.5質量部と、イルガキュア819の1.5質量部)、分子両末端にメタクリル基を有する撥水性の変性シリコーンオイル(信越シリコーン株式会社製 X−22−164)1質量部からなる樹脂組成物を固形分50%、粘度5.0mPa・s(25℃)となるように溶剤(MEK)で調整して樹脂組成物を得た。
アクリルモノマーAの代わりにアクリルオリゴマーBを用いた以外は実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
更に帯電防止剤として住友スリーエム社製LJ−603010(Li-TFSI)を更に5質量部を添加した以外は実施例2と同様にして反射防止フィルムを得た。
アクリルモノマーAの代わりにウレタンアクリレートモノマーCを用い、分子の両末端にアルコール性水酸基を有する親水性の変性シリコーンオイル(東レダウコーニング社製:SF8427)を用いた以外は実施例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
ウレタンアクリレートモノマーCの代わりにウレタンアクリレートモノマーDを用いた以外は、比較例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
ウレタンアクリレートモノマーCの代わりにウレタンアクリレートモノマーEを用いた以外は、比較例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
ウレタンアクリレートモノマーCの代わりにウレタンオリゴマーFを用いた以外は、比較例1と同様にして反射防止フィルムを得た。
50mm×5mm×1mmの硬化樹脂片を作製し、株式会社UBM製の動的粘弾性測定装置RHEOGEL−Eを用い、5mmの方向で挟み、周波数10Hz、測定温度範囲−40℃〜200℃、昇温速度4℃/minの条件で硬化樹脂片の引張時の貯蔵弾性率および損失弾性率を求めた。なお、Tgはtanδが極大となる温度である。
フィッシャー社製PICODENTO(R)HM−500を用いて、微細凹凸表面上で1mN/10secで荷重増加し、5秒保持の後、荷重増加と同条件で除荷、5秒保持の条件で位置を変えて5点測定し、その平均値によりマルテンス硬さおよびヤング率を求めた。
新東化学株式会社製のHEIDON、HS−2000を用いて微細凹凸表面に対してスチールウ−ル冶具(#0000のSWを基材との接触面が10mmφ専用の型につめて冶具を作製)を用い、測定距離30mm、速度5mm/秒、垂直荷重100gの条件で位置を変えて3点測定し、その平均値で表面擦傷時の動摩擦係数を算出した。
協和界面化学株式会社製の接触角測定装置Drop Master500を用いて、1μLの水を微細凹凸表面に滴下した後、10秒後の接触角を1秒間隔で10点測定し、それらの平均値を算出した。同一の操作を位置を変えて3回行い、平均値により水接触角を算出した。
SEM観察により、○、△、×の3段階で目視評価した。
微細凹凸面上でスチールウール#0000にて、試験幅40mm以上、100g/cm2荷重、10往復磨耗後、裏面に黒テープを貼り蛍光灯下にて傷の有無を確認した。レベル1:キズ無し、レベル2:キズ1〜10本、レベル3:キズ11〜20本、レベル4:キズ21本以上の4段階で目視評価した。
31 … 凸部
P … 周期
Q … 高さ
R … 間隔
Claims (3)
- 光透過性基材と、前記光透過性基材上に形成され、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細凹凸を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムであって、
前記反射防止層は、
(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性のモノマー、オリゴマー、及びプレポリマーより選択される1種以上と、
両末端がメタクリル変性されているシリコーンオイルと、を含有する樹脂組成物を電離放射線で硬化してなり、
下記で定義される前記反射防止層表面の対スチールウール動摩擦係数が0.35未満である反射防止フィルム。
対スチールウール動摩擦係数:スチールウ−ル冶具を用い、測定距離30mm、速度5mm/秒、垂直荷重100gで測定 - 前記対スチールウール動摩擦係数が0.34未満である請求項1に記載の反射防止フィルム。
- 前記反射防止層表面の水に対する接触角が100℃以上である請求項1又は2に記載の反射防止フィルム。
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