JP4209584B2 - 表面保護フィルムおよびその積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面保護フィルムに関し、詳しくは、表面の粗い被保護面に対して貼り合せても気泡等の混入による浮きが生じず、貼り合せた被保護面からの剥離が経時に関係なく軽く剥がれる改善された粘着層が設けられた、高透明で貼り合せた被保護面に対する検査性を損なわない表面保護フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
表面保護フィルムは、一般的にプラスチックフィルムの基材と該基材の片面に設けられる粘着剤層からなり、光学用部品の表面保護用として使用される。ここで、光学用部品とは、例えば、テレビ、コンピュータ、ワードプロセッサまたはカーナビゲーションなどのディスプレイが挙げられ、表面保護とは、保護すべき部品を製造中にその表面に表面保護フィルムを貼り付け、組立て完了後または実際の使用の際に表面保護フィルムを剥離するといった使用を意味する。また、液晶ディスプレイが急激に伸びてきていることから、表面保護フィルムは液晶ディスプレイの表面保護、さらにはその製造工程で使用される偏光板、位相差板または視野角拡大フィルムといった光学部品の表面保護に多用されてきている。
【0003】
ところで、これらの表面保護フィルムは、一般に基材としてポリエチレンやポリプロピレン等の透明なオレフィン系フィルムが使用されてきた。しかしながら、近年のTFT方式(薄膜トランジスター方式)に代表されるような液晶ディスプレイの高精細さ化や高応答性化などによって、その製造中に使用する表面保護フィルムへの要求も厳しくなり、従来の表面保護フィルムでは不十分なものしか得られなくなってきていた。例えば、従来のポリエチレンフィルム等のようなオレフィン系フィルムを基材に用いたものでは、透明性が劣ったり、フィシュアイ等のゲル物が多かったりして、偏光板や液晶ディスプレイ等の製造時に表面保護フィルムを貼り合せたまま製品の欠陥検査を行うと、表面保護フィルムの異物が異物欠点となり製品の検査精度を低下させる問題があった。この問題は、検査工程の簡略化が要求されていることから、重要な問題である。
【0004】
また、検査工程で表面保護フィルムを貼り合せたまま使用するなど、表面保護フィルムは、偏光板や液晶ディスプレイ等に一度貼られると次の製造工程まで長時間貼られたままであることが多い。そして、検査等の終了後、表面保護フィルムを剥がす際に剥離が重くなると作業性が悪くなったり、また、粘着剤の一部がディスプレイなどの被保護面に残る問題があった。後者の問題は、表示検査等で異物やひずみなどの欠陥となることから重要な問題である。
【0005】
更にまた、偏光板等の液晶ディスプレイ部品の中には、表示部のぎらつき感を抑えるため、表面に微小な凹凸を設けることで、光の反射を抑制したものもある。これらに対しても表面保護フィルムは使用されるが、一般に表面保護フィルムの粘着剤層は再剥離性をもたせるために粘着力を弱めている。粘着力を弱める手段としては、一般に粘着剤の凝集力を高めたり、ガラス転移温度(Tg)の高い成分或いはハードセグメントを多く含めるなど粘着剤層を硬くしたりする方法をとることが多い。しかし、このような粘着力を弱めた粘着剤層を有する表面保護フィルムを表面に凹凸を設けた偏光板等の被保護面に貼り合せると、その凹凸のために表面保護フィルムの粘着剤は十分にぬれ広がらず、接触しない部分が多くなって、その部分においては空気等が抜け切らないという問題があった。この問題は、該空気が気泡となって異物等の外観検査時に障害をきたすことから重要な問題である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、かかる従来技術の問題を解消し、貼り合せた被保護面の検査性を損なわず、且つ、優れた貼りつきと経時よって変動しない剥離性とを兼備した表面保護フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、基材として二軸配向ポリエステルフィルムを用い、粘着剤層として適度な軟らかさとぬれ性を有する特定の粘着剤を用いることで、改善された表面保護フィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
かくして、本発明によれば、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の面に粘着剤層を、他方の面に保護層を設けた積層フィルムであって、粘着剤層が
(1)ガラス転移温度が−60℃以上−20℃以下であること;
(2)引張り弾性率が0.1MPa以上0.2MPa以下であること;
(3)表面張力が15μN/cm以上25μN/cm以下であること;
(4)ステンレス板に貼り合せて23℃で1日間放置した後の粘着力(A)が30mN/25mm以上500mN/25mm以下であること;
(5)ステンレス板に貼り合せて60℃で1週間放置した後の粘着力(B)を粘着力(A)で割った値が0.5以上2以下であること;および、
(6)厚みが3μm以上50μm以下であること
を同時に具備することを特徴とする表面保護フィルムが提供される。
【0009】
また、本発明によれば、上述の本発明の表面保護フィルムに、二軸配向ポリエステルフィルムが一辺の長さ210mmとそれに直行する辺の長さ148mmの広さ(面積310.8cm2)当り、大きさ25μm以上の異物が存在せず、且つ、大きさ5μm以上25μm未満の異物が10個以下であること、保護層が離形剤および帯電防止剤を含有すること、保護層の粘着剤層に対する剥離力が10mN/25mm以上5000mN/25mm以下であることまたは表面保護フィルムの可視光線透過率が70%以上でかつヘーズが10%以下であることを具備させた表面保護フィルムも提供される。
【0010】
さらにまた、本発明によれば、上述したそれらの表面保護フィルムと該フィルムの粘着剤層の上に積層される剥離紙、特に該剥離紙の粘着剤層と貼り合わされる面がシリコーン樹脂、フッ素樹脂および脂肪族ワックスから選ばれた少なくとも1種を離形層として形成されている剥離紙とからなる積層体も提供される。
【0011】
そして、本発明によれば、これら本発明の表面保護フィルムおよび積層体は、偏光板、位相差板および視野角拡大フィルムから選ばれる少なくとも1つの積層体の表面保護に用いられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における表面保護フィルムは、基材となる二軸配向ポリエステルフィルム、該基材の一方の面に積層される粘着剤層および他方の面に積層される保護層からなる。まず、二軸配向ポリエステルフィルム、粘着剤層および保護層について、以下に説明する。
【0013】
[二軸配向ポリエステルフィルム]
本発明における表面保護フィルムの基材は、高い透明性、生産性、加工性に優れる二軸配向ポリエステルフィルムを用いる。二軸配向ポリエステルフィルムとしては、特に制限はないが、二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、あるいは二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムが好ましい。また、二軸配向ポリエステルフィルムは、単層のフィルムでも、共押出しによる複数の層が積層された多層構造のフィルムであってもよい。
【0014】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分とからなる結晶性の線状飽和ポリエステルであることが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等を挙げることができる。また、これらの一部が他成分に置換された共重合体や、ポリアルキレングリコールあるいは他の樹脂との混合物であっても良い。
【0015】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法は、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法などの従来から知られている方法を採用すればよい。例えば、逐次二軸延伸法は、前述のポリエステルポリマーを十分に乾燥してから、溶融押出し法にて、ダイ(例えばT−ダイ、I−ダイ等)から冷却ドラム上に押出し、急冷して未延伸フィルム、または共押出し未延伸フィルムを製造し、続いて該未延伸フィルムを60〜140℃の温度で縦方向に2〜5倍の範囲で延伸し、次いで80〜150℃の温度で横方向に2〜5倍の範囲で延伸を行ない、さらに160〜260℃の温度で1〜100秒間で熱固定することにより製造することができる。なお、熱固定は収縮を制限した状態で行なってもよく、また、溶融押出しの際は静電密着法を使用することが好ましい。
【0016】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、破断を特定方向に起こさせないために、できるだけ等方性であった方が良く、例えば、前述の縦方向および横方向の延伸倍率を同じにすることが好ましい。フィルムの厚みは、5〜500μmが好ましい。さらに好ましいフィルムの厚みは、貼り合せ等の加工性、生産性の向上を図るために、10〜200μmが好ましい。
【0017】
また、本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの巻取り時の滑り性または粘着剤塗工等の加工時のハンドリング性を向上させるのに、滑剤を含有させるのが好ましい。好ましい滑剤としては、炭酸カルシウム、アルミナ、カオリン、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウムもしくはゼオライト等のような無機微粒子、または、シリコーン樹脂、架橋ポリスチレンもしくはアクリル樹脂等の有機微粒子が挙げられる。勿論、本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、これらの滑剤のほかに、他の添加剤、例えば安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤等を含有させることもできる。微粒子や添加剤等の添加時期は、二軸配向ポリエステルフィルムを製膜する迄の段階であれば特に制限はなく、例えば重合段階で添加してもよく、また製膜の際に添加してもよい。
【0018】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)が2nm以上500nm以下であることが好ましい。中心線平均粗さが2nm未満であると、加工の際滑り難い等の搬送性に支障を来すおそれがある。他方、中心線平均粗さが500nmより大きいと、透明性が悪くなって検査性が落ちたり、粘着剤層を設ける時、特に保護面に粘着剤を塗布し転写法で二軸配向ポリエステルフィルムに粘着剤層を設ける場合、二軸配向ポリエステルフィルムの凹凸のために粘着剤と二軸配向ポリエステルフィルムとが一様に密着しない場合がある。
【0019】
最後に本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、一辺の長さ210mmとそれに直交する辺の長さ148mmの広さ(面積310.8cm2)当りのフィルム中に、25μm以上の大きさの異物が存在せず、5μm以上25μm未満の大きさの異物が10個以下であることが好ましい。25μm以上の異物が存在すると、粘着剤の塗布時や転写時に、ボイド等が発生し、その大きさ以上にその部分だけ粘着剤が抜けたり、または盛り上がったりするため、目視でも確認できるくらいの局所的な外観欠点となることがある。また、5μm以上25μm未満の異物が10個より多いと、その大きさは目視では確認し難いくらいではあるが、その多さのため、欠点が目立つ恐れがある。以下、一辺の長さ210mmとそれに直交する辺の長さ148mmの広さ(面積310.8cm2)当りのフィルム中に存在する25μm以上の大きさの異物数を視認異物数、5μm以上25μm未満の異物数を非視認異物数と称することがある。
【0020】
[粘着剤層]
本発明における粘着剤層は、被保護面(偏光板、ステンレス板など)と容易に接着でき、かつ容易に剥離できる特性を有することが必要であり、以下の特性を具備することが必要である。
(1)ガラス転移温度が−60℃以上−20℃以下であること;
(2)引張り弾性率が0.1MPa以上0.2MPa以下であること;
(3)表面張力が15μN/cm以上25μN/cm以下であること;
(4)ステンレス板に貼り合せて23℃で1日間放置した後の粘着力(A)が30mN/25mm以上500mN/25mm以下であること;
(5)ステンレス板に貼り合せて60℃で1週間放置した後の粘着力(B)を粘着力(A)で割った値が0.5以上2以下であること;および、
(6)厚みが3μm以上50μm以下であること。
【0021】
粘着剤層のガラス転移温度(Tg)が−60℃未満であったり、また粘着剤層の引張り弾性率が0.1MPa未満であると、室温等の通常の使用環境時でも極めて軟らかく、貼り合わせた被保護面へ必要以上にぬれ広がり、過度に粘着力を高めた剥離性の乏しいものとなる。他方、粘着剤層のガラス転移温度が−20℃を超えたり、また粘着剤層の引張り弾性率が0.2MPaを超えると、室温等の環境下で軟らかさに欠け、貼り合わせた被保護面へ十分にぬれ広がらない。粘着層の表面張力が15μN/cm未満であると、貼り合わせる被保護面との所望の粘着力が得られず、他方、25μN/cmを超えると、被保護面との間に必要以上の粘着力が発生し剥離性に欠けたものとなる。
【0022】
また、ステンレス板に貼り合せて23℃で1日間放置した後の粘着力(A)が30mN/25mm未満であると、端捲れが発生したり、またなんらかの接触で容易に剥がれてしまう。なお、端捲れとは、例えば偏光板を特定の長方形にカットした際に、偏光板の温度・湿度下での収縮・膨張が大きいため、その変位を十分には吸収できず、特にカドの部分で保護フィルム(プロテクトフィルム)が剥がれやすくなる現象を意味する。他方、該粘着力(A)が500mN/25mmを超えると、被保護面から剥離する工程で、容易に剥がれず、非保護面を傷つける場合がある。なお、該粘着力Aを、以下、単に粘着力Aと称することがある。
【0023】
さらにまた、ステンレス板に対する粘着は経時で変化しないことが必要であり、ステンレス板に貼り合せて60℃で1週間放置した後の粘着力(B)を前述の粘着力(A)で割った値が0.5倍未満または2倍より大きいと、粘着力が過度に変化するため、機械で自動的に表面保護フィルムを剥離する際の設定や管理が煩雑になり、さらにひどい場合は、剥離の際に被保護面を傷つけたりまたは剥離する前に剥がれて被保護面を保護しなくなったりする。なお、該粘着力Bを、以下、単に粘着力Bと称することがある。
【0024】
最後に、粘着剤層の厚みが3μm未満であると、凹凸のある偏光板等に貼り合せた時、表面保護フィルムの基材である二軸配向ポリエステルフィルムの硬さに支配され、粘着剤が偏光板表面に十分ぬれ広がらなかったり、必要な粘着力が得られずに貼り合せた時に部分的に浮きが生じる。他方、該厚みが50μmより大きいと、粘着力が過度に高くなったり、粘着剤を塗設する際の厚み斑が発生したり、塗設された粘着剤層の硬化が均一の施せなかったり、さらには製造コストが高騰する。
【0025】
本発明における粘着剤層の好ましい態様について以下に述べる。
本発明における粘着剤層の中心線平均粗さ(Ra)は2nm以上500nm以下が好ましい。中心線平均粗さが小さいものにおいては特に大きな支障はないが、500nmより大きいと、偏光板等に貼り合せた際に、粘着剤層の厚みや粘着力、剥離力が上記の範囲を満足していても完全に密着せず、歪みが生じたり、また凹みの部分で気泡等が生じたりすることがある。
【0026】
本発明における粘着剤層を構成する粘着剤は、屋内だけでなく屋外で放置しても劣化しないこと、検査時の様々な光線、特に紫外線に耐えられることおよび貼り合せた被保護面へ粘着剤層の成分移行しないことが必要であり、アクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤は、溶剤系、エマルジョン系等があるが、前述の粘着剤の物性を具備させやすい溶剤系粘着剤が特に好ましい。アクリル溶剤系粘着剤は、各種特性を満たすように溶液重合で作ることができ、原料としては、アクリル粘着剤の溶液重合用の公知のものを使用できる。
【0027】
好ましいアクリル溶剤系粘着剤は、骨格である主モノマーがエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートもしくはオクチルアクリレートなどのアクリル酸エステルで、凝集力を向上させるためのコモノマーが酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンもしくはメチルメタクリレートなどで、さらに高架橋を促進して安定した低い粘着力を付与させる官能基含有モノマーがメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレートもしくはグリシジルメタクリレートなどであるものが挙げられる。これらの中でも、低い粘着性やタック性、および高い凝集力を持たせられることから、イソシアネート系硬化剤、アジリジン系硬化剤等などで高架橋化が図れる、水酸基を多く含むものが好ましい。また、凹凸のある被保護面に貼り合せた時の気泡の発生を防止するには、粘着剤層を通常よりも軟らかくする必要があり、上記成分の中でも、ガラス転移温度(Tg)が低い骨格としての主モノマー成分を多く用い、Tgの高い凝集力を向上させるコモノマー成分を少なくするのが好ましい。
【0028】
本発明における粘着剤の合成方法は、それ自体公知の方法で行うことができる。例えば、酢酸エチルやトルエン等の有機溶剤の存在下で、反応槽内に必要な原料を投入し、ベンゾイルパーオキサイド等のパーオキサイド系やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾビス系を触媒として、加熱下で重合すればよい。分子量を上げるためには、例えば、初期にモノマーを一括投入する方法や、また、使用する有機溶剤種では、トルエンは連鎖移動係数が大きいためポリマー成長を抑制するので酢酸エチルを使用すると良い。この時、重量平均分子量(Mw)は30万以上が好ましく、40万以上がさらに好ましい。分子量が30万未満では、イソシアネート硬化剤で架橋されても、凝集力が十分なものが得られず、荷重をかけての保持力評価でもすぐに落下したり、またステンレス板や偏光粘着剤層等に貼り合せてから経時させると、剥離した際に粘着剤がステンレス板や偏光板などの被保護面に残ることがある。分子量の向上には、重合段階での制御が重要であるが、一般に溶剤系では十分な粘着力は得られても分子量は高くならないため、使用時の硬化剤の添加量により分子量の向上ないしは架橋率の向上をはかる必要がある。
【0029】
粘着剤の硬化剤としては、特定するものではないが、特にアクリル溶剤系では一般的なイソシアネート系、エポキシ系、アジリジン系硬化剤等が使用できる。粘着剤には、添加剤として、例えば安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤等を含有させることもできる。また、添加剤は低いガラス転移温度の粘着剤を用いることで上昇する粘着力を抑制するため、また、経時による粘着力の上昇を抑制するためにも必要である。添加剤として、ワックス等の有機樹脂、シリコーンオイル、フッ素系樹脂等が使用できるが、それらの成分が貼り合せた被保護面に移行し、検査性を損なわないことが好ましい。そのため、粘着剤成分と一部反応していることが良く、例えば、ワックス等の有機樹脂では、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミン基、イソシアネート基等の反応性官能基を有する高級脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
【0030】
粘着剤溶液の二軸配向ポリエステルフィルムへの塗布は、任意の段階で行うことができる。また、その塗液を二軸配向ポリエステルフィルムに塗布する際には、必要に応じて、密着性、塗工性を向上させるための予備処理として、二軸配向ポリエステルフィルム表面に火炎処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施すか、あるいは、製膜中または製膜後において、有機樹脂系や無機樹脂系の塗料を塗布する化学的表面処理を施すことにより、粘着剤と二軸配向ポリエステルフィルムの密着性を強固にすることができる。
【0031】
粘着剤の塗工方法としては、任意の公知の方法が使用でき、例えばダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、デップコート法等が好ましく挙げられ、単独または組合せて用いることができる。粘着剤を塗布する時の乾燥温度は、残留溶剤ができるだけ少なくなることが好ましく、具体的には乾燥温度50〜150℃で乾燥時間10秒〜5分で乾燥させるのが好ましい。なお、粘着剤は流動性があるため、または、架橋剤としてイソシアネート系硬化剤等を使用する場合は加熱乾燥直後は反応が完結しておらず、その反応を完了させて安定した粘着力を得るため、キュアリングがするのが好ましい。キュアリングは、一般的に、室温だと約1週間以上、加熱する場合だと例えば50℃位であると3日以上が好ましい。加熱の場合、温度を上げすぎると基材である二軸配向ポリエステルフィルムの平面性が悪化するおそれがあるため、あまり上げすぎない方が良い。
【0032】
[保護層]
本発明における保護層は、粘着剤層を相手構成体から剥離する時に発生する剥離帯電で保護している工学部品、例えば、TFT型ディスプレイ板のトランジスタが破壊されるのを防ぐことまたは表面保護フィルムの表面へのゴミの付着防止もしくは付着したゴミを容易に除去できることが好ましく、離形剤や帯電防止剤を含むことが好ましい。離形剤や帯電防止剤は、混合して1層で設けてもよく、また、まず帯電防止剤を含む帯電防止層を設け、その上に離形剤を含む離形層を設けてもよい。なお、帯電防止剤は粘着剤層に混合、または、粘着剤層と二軸配向ポリエステルフィルムとの間に設けてもよく、その場合、保護層は帯電防止剤を含んでいなくてもよい。
【0033】
離形剤や帯電防止剤は、保護層の強度、耐水性、耐溶剤性もしくはブロッキング性の向上または二軸配向ポリエステルフィルムへの密着性を向上させる観点から、バインダーに含有させて層を形成するのが好ましい。バインダーとしては、熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性アクリル樹脂、または、ウレタン樹脂、メラミン樹脂もしくはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂といった高分子化合物が挙げられる。上記樹脂とともに用いる架橋剤としては、メチロール化もしくはアルキロール化したメラミン系、尿素系もしくはアクリルアミド系等の化合物、エポキシ化合物またはポリイソシアネートから選ばれた少なくとも1種類を含有することが特に好ましい。なお、帯電防止層と離形層を別々に設ける場合、双方に用いるバインダ成分は、主成分が類似したものが密着性が優れるので好ましい。
【0034】
本発明における帯電防止剤は、特に限定はされないが、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基等のカチオン性を有する各種カチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硝酸エステル塩基、リン酸エステル塩基等のアニオン性を有するアニオン性帯電防止剤、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性帯電防止剤、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性帯電防止剤等の各種界面活性剤型帯電防止剤、さらにはこれらを高分子化したものが好ましく使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性ポリマーやスズ、アンチモン等の酸化物系フィラーを分散したものも好ましく使用できる。さらには、帯電防止層として、銀、スズ等の金属層を気相成長法や真空蒸着法、スパッター法またはプラズマCVD法等で設けたものも好ましい。
【0035】
保護層の表面が離形層である場合、表面保護フィルム面の汚れ防止や汚れの拭取り性向上といった観点から、離形層の粘着剤層との剥離力は10mN/25mm以上5000mN/25mm以下であることが好ましい。剥離力が10mN/25mm未満であると、ハンドリングの点で滑り易くなり好ましくない。また5000mN/25mmを超えると汚れ等の付着物が容易に取り除けなくなり好ましくない。かかる離形剤としては、シリコーン系、フッ素系またはアルキルポリマー系の離形剤等が挙げられるが、工程内へのコンタミネーションを防ぐため移行性の特に低いアルキルポリマー系が好ましい。好ましいアルキルポリマー系は、長いアルキル側鎖を有するポリマーで、炭素数12以上、特に16〜20のアルキル基を有するアルキルアクリレートとアクリル酸とのコポリマーが好ましい。アルキルアクリレートのアルキル鎖の炭素数が12未満では十分な剥離性が得られないことがある。中でも、ポリビニルアルコールまたはポリエチレイミンを塩素化アルキロイルまたはアルキルイソシアネートで長鎖アルキル化した共重合体が特に好ましい。
【0036】
本発明における保護層の形成方法は、二軸配向ポリエステルフィルムの結晶配向が完了する前の製膜時または結晶配向が完了した製膜後に、保護層を形成する塗液を塗布すればよい。二軸配向ポリエステルフィルムへの塗布方法としては、公知の任意の方法が適用でき、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法またはスプレーコート法などを単独あるいは組合せて使用できる。保護層の塗設はそれぞれを形成する成分を含む塗液を基材に塗布し、加熱乾燥させて塗膜を形成させる。加熱条件としては80〜160℃で10〜120秒間、特に120〜150℃で20〜60秒間が好ましい。また、塗液を二軸配向ポリエステルフィルムに塗布する際は、必要に応じて、密着性、塗工性を向上させるための予備処理として、前述の粘着剤層を塗布する時と同様に二軸配向ポリエステルフィルム表面に火炎処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施すか、または、製膜中または製膜後に有機樹脂系や無機樹脂系の塗料を塗布する化学的表面処理を施すことが好ましい。
【0037】
上述の二軸配向ポリエステルフィルム、粘着剤層および保護層からなる本発明の表面保護フィルムは、さらに容易な検査性を確保するために透明性が高いことが好ましく、具体的には、可視光線透過率が70%以上で、ヘーズが10%以下であることが好ましい。光線透過率が70%未満またはヘーズが10%より大きいと、透明性が乏しく、例えば表面保護フィルムを偏光板と貼り合せた時の異物等の欠点検査において、異物を検知できないことが懸念される。また、本発明の表面保護フィルムは、前述の離形剤を含有した保護層を設けている場合は、保護層と粘着剤層とを重ねたフィルムロールの状態で使用できるが、粘着剤層の表面に他のフィルム、すなわち剥離紙を重ねた積層体としてもよい。本発明における剥離紙について以下に述べる。
【0038】
[剥離紙]
本発明においては、表面保護フィルムの粘着剤層を保護する目的で、剥離紙と表面保護フィルムとを重ねた積層体としても良い。勿論、保護層を剥離紙の離形層代用とすることで剥離紙を使用しなくとも良い。剥離紙の基材としては、前述の二軸配向ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。該剥離紙は、少なくとも片面に離形層を形成することが好ましく、離形層成分としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、脂肪族等ワックスあるいはオレフィン系樹脂などが好ましい。なお、粘着剤の種類によっては離形層を設けなくても良い場合もあり、離形層を形成する成分には、本発明の目的を妨げない範囲で公知の各種添加剤を配合しても良い。添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、顔料、消泡剤、帯電防止剤等を挙げることができる。離形層の塗設は離形層を形成する成分を含む塗液を基材フィルムに塗布し、加熱乾燥させて塗膜を形成させることにより行なうことができる。加熱条件としては80〜160℃で10〜120秒間、特に120〜150℃で20〜60秒間が好ましい。塗布方法は、任意の公知の方法が使用でき、例えばロールコーター法、ブレードコーター法等が好ましく挙げられる。
【0039】
本発明においては、剥離紙用基材フィルムである二軸配向ポリエステルフィルムと離形層の密着性を高めるために、基材フィルムと離形層の間に接着層を設けることが好ましい。この接着層を形成する成分としては、例えば離形層がシリコーン樹脂層の場合、シランカップリング剤が好ましい。このシランカップリング剤としては一般式Y−Si−X3で表されるものがさらに好ましい。ここで、Yは例えばアミノ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、メルカプト基等で代表される官能基、Xはアルコキシ基で代表される加水分解性の官能基を表す。かかる接着層の厚みは、0.01〜5μmの範囲が好ましく、0.02〜2μmの範囲が特に好ましい。接着層の厚みが上記の範囲であると基材フィルムと離形層の密着性が良好となり、かつ接着層を設けた基材フィルムがブロッキングしにくいため、離形フィルムの取り扱いで問題が生じにくい利点がある。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例における各物性値は以下の方法で測定および評価した。
【0041】
(1)剥離力
表面保護フィルムの保護層面にニットー31Bテープ(日東電工(株)製)をゴムローラーで貼りつけ、その上から2kgゴムローラーにて1往復し、密着させる。そのまま温度23℃で湿度55±5%RHの条件下で30分放置し、25mm幅の短冊状に切り取る。これを引張試験機(東洋精機(株)製ストログラフ)にて、31Bテープの方を300mm/分で180°にて引張り、その強度をもって剥離力とする。
【0042】
(2)ステンレス板との粘着力(A)
洗浄されたステンレス板の上に、表面保護フィルムの粘着剤層面を直接ゴムローラーで貼りつけ、その上から2kgゴムローラーにて1往復し、密着させる。そのまま温度23℃、湿度55±5%RHの条件下で1日放置し、その後25mm幅の短冊状に切り取る。これを引張試験機(東洋精機(株)製ストログラフ)に取り付けステンレス板を固定し、積層フィルムの方を、300mm/分で180°にて引張り、その強度をもってステンレス板との粘着力(A)とする。
【0043】
(3)ステンレス板との粘着力(B)
上記粘着力(A)と同様に作成したサンプルを、60℃で1週間放置した後、室温に戻し、30分放置した後の粘着力を引張り試験機にて測定し、その強度をもってステンレス板との粘着力(B)とする。
【0044】
(4)ガラス転移温度(Tg)
粘着剤層のみを均一厚みのシート状に作成し、動的粘弾性測定装置(エイアンドデイ(株)製バイブロン)を用い、周波数110Hz、昇温速度3℃/分の条件にて測定する。貯蔵弾性率(E’)が大きく減少し、かつtanδの極大値となる温度をガラス転移温度(Tg)とする。
【0045】
(5)粘着剤の引張り弾性率
粘着剤層のみを均一厚みのシート状に作成し、10mm幅の短冊にする。この時シートの厚みを測定する。次にこれを引張試験機(東洋精機(株)製ストログラフ)に取り付け、5mm/分の速度で引張り、応力・歪み曲線を作成する。立ち上がり時の接線の傾きを求め、断面積で割り、引張り弾性率とする。
【0046】
(6)粘着剤の表面張力
粘着剤の表面に水(表面張力72.8μN/cm内、非極性成分21.8μN/cm、極性成分51.0μN/cm)、エチレングリコール(表面張力48.0μN/cm内、非極性成分29.0μN/cm、極性成分19.0μN/cm)、ジヨードメタン(表面張力50.8μN/cm内、非極性成分50.8μN/cm、極性成分0μN/cm)の3液を滴下し、それぞれの液による接触角を測定する。これらの各成分から拡張Forkesの式を用い、粘着剤の表面張力を産出する。
【0047】
(7)光線透過率
550nmの波長において、透過率を測定(日本精密光学(株)製、ポイックヘーズメーターSEP−HS−D1型)する。
【0048】
(8)プラスチックフィルム内異物数
プラスチックフィルムサンプルを縦210mm×横148mm(面積310.8cm2)に切取り、このフィルムの全範囲をクロスニコル法にて目視検査による異物検査を行った。次いで検出されたサンプルフィルムの中の異物を、光学顕微鏡を用いて透過光により観察し、光学的に異常な範囲として観察される部分の最大径を異物の大きさとした。なお、異物粒子周辺に存在する空洞(ボイド)が光学的に異常な範囲として観察される場合は異物粒子の大きさに含めた。そして、異物粒子の大きさを5μm以上25μm未満および25μm以上のものに分けてそれぞれカウントし、異物数とした。
【0049】
(9)表面欠点数
得られた表面保護フィルムを偏光板に貼り合せ、縦210mm×横148mm(面積310.8cm2)に切取り、蛍光灯下でその反射光にて表面の凹凸を目視にて確認できるレベルのものをカウントした。
【0050】
[実施例1]
平均粒径0.15μmの真球状シリカ粒子を0.1重量%含有した固有粘度0.62(35℃−オルトクロロフェノール溶液)のポリエチレンテレフタレートポリマーを押出し機で溶融し、ダイスから40℃に維持してある回転冷却ドラム上に、静電密着法を用いて密着させて急冷し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを縦方向に3.5倍、引続き横方向に3.6倍延伸し、さらに220℃にて熱固定を行なって厚さ50μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にコロナ処理を行い、一方の面に、保護層として1層目に帯電防止層、2層目に離形層をこの順で設けた。なお、帯電防止層は、チオフェン誘導体ポリマー25部、共重合ポリエステル75部(ジカルボン酸成分として、テレフタル酸60モル%、イソフタル酸35モル%、アジピン酸5モル%、グリコール成分として、エチレングリコール95モル%、ジエチレングリコール5モル%)、およびノニオン系界面活性剤5部からなる固形成分が3重量%の水性塗液を乾燥後の厚みが0.1μmとなるように塗布して形成したものであり、離形層は、ポリエチレンイミンオクタデシルカルバメート(日本触媒株式会社製、RP−20)40部、バインダー成分として、帯電防止層と同様にポリエステル系のポリエステル樹脂(日立化成工業株式会社製、エスペル1510)100部、およびメラミン樹脂(三和ケミカル株式会社製、ニカラックNS−11)30部を混合して得られた塗工液を乾燥後の厚みが0.2μmとなるように塗布し、140℃で1分間乾燥および硬化して形成させたものである。
【0051】
次に、アクリル系粘着剤として、2−エチルヘキシルアクリレート(主モノマー)、n−ブチルアクリレート(主モノマー)、酢酸ビニル(コモノマー)、ヒドロキシエチルメタクリレート(官能基含有モノマー)が5:2:2:1の重量比で混合された組成物と、エポキシ変性ステアリルアクリレートからなる添加剤とを、前者の組成物10重量部に対し後者の添加物0.5重量部となるように加え、酢酸エチルの溶剤下で反応触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを用い溶液重合した。得られた粘着剤用ポリマーの重量平均分子量は約35万であった。この粘着剤用ポリマーは、TDI系イソシアネート架橋剤を添加された後、剥離紙の片面に乾燥後の厚みが15μmとなるように塗布して、剥離紙と粘着剤の積層体を得た。
【0052】
そして、該積層物の粘着剤側の面を、前述のコロナ処理を施された二軸配向ポリエチレンテレフタレートの他方の面、すなわち、離形層が形成された側とは異なる面に、貼り合わせ、100℃2分乾燥した後巻取り、45℃で1週間のエージング処理を行い表面保護フィルムと剥離紙の積層体を得た。得られた積層体から剥離紙を剥がして表面保護フィルムの特性を測定した。得られた表面保護フィルムの特性を表1に示す。
【0053】
[実施例2]
実施例1において、アクリル系粘着剤を溶液重合するのに用いる組成物を、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、酢酸ビニルおよびヒドロキシエチルメタクリレートを2:4:2.5:1.5の重量比で混合したものに変更し、エポキシ変性ステアリルアクリレートの添加量を該組成物10部に対し0.7部に変更する以外は同様な操作を繰り返した。この時得られた粘着剤用ポリマーの重量平均分子量は約40万であった。また、剥離紙に塗布した粘着剤層の厚みは5μmとした。得られた表面保護フィルムの特性を表1に示す。
【0054】
[実施例3]
実施例1において、アクリル系粘着剤を溶液重合するのに用いる組成物を、2−エチルヘキシルアクリレート、酢酸ビニルおよびヒドロキシエチルメタクリレートを7.5:1.5:1の重量比で混合したものに変更し、エポキシ変性ステアリルアクリレートの添加量を該組成物10部に対し0.8部に変更する以外は同様な操作を繰り返した。この時得られた粘着剤用ポリマーの重量平均分子量は約44万であった。また、剥離紙に塗布した粘着剤層の厚みは23μmとした。得られた表面保護フィルムの特性を表1に示す。
【0055】
[比較例1]
実施例1において、アクリル系粘着剤を溶液重合するのに用いる組成物を、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートを7:2:1の重量比で混合したものに変更し、エポキシ変性ステアリルアクリレートの添加量を該組成物10部に対し0.1部に変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた表面保護フィルムの特性を表1に示す。
【0056】
[比較例2]
実施例1において、表面保護フィルムの基材を、密度0.925でメルトインデックス2.5のポリエチレン樹脂をインフレーションで製膜した厚み50μmのコロナ処理を施したポリエチレンフィルムに変えた以外は、同様な操作を繰り返した。得られた表面保護フィルムの特性を表1に示す。
【0057】
[比較例3]
実施例1において、アクリル系粘着剤を溶液重合するのに用いる組成物を、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、酢酸ビニルおよびヒドロキシエチルメタクリレートを2:3:3:2の重量比で混合したものに変更し、エポキシ変性ステアリルアクリレートの添加量を該組成物10部に対し2部に変更する以外は同様な操作を繰り返した。この時得られた粘着剤用ポリマーの重量平均分子量は約25万であった。また、剥離紙に塗布した粘着剤層の厚みは10μmとした。得られた表面保護フィルムの特性を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
以下、表1を考察する。
本発明の実施例1〜3の表面保護フィルムは、優れた貼りつきと経時よって変動しない剥離性とを兼備し、且つ、貼り合せた被保護面の検査性を損なわない優れたものであった。これに対して、粘着力が強すぎて剥離し難く、しかも経時でより剥離し難くなる比較例1の表面保護フィルムは、ひどい場合は剥離する際に被保護面の表面を傷めるような取り扱い性に欠けるものであった。また、基材にポリエチレンフィルムを用いた比較例2の表面保護フィルムは、貼り合せた被保護面の検査性を損なうものであった。さらにまた、粘着力が過度に軽く、しかも経時によってより粘着力が低下する比較例3の表面保護フィルムは、被保護面に貼り合わせている間に自然に剥離する信頼性に欠けるものであった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の表面保護フィルムは、偏光板等の液晶ディスプレイ関連部品製造時に使用することで、表面に凹凸のある被保護面に対しても気泡の混入がなく、その粘着力の低さ及び経時変化の小さいことから生産性や歩留りを向上でき、また、異物の少ない透明性の優れたポリエステルフィルムを基材とするので検査性も向上できる。また、粘着層の反対面に帯電防止処理や離形処理を持たせることで、剥離時の帯電の抑制や表面のゴミ等の除去も容易なものとすることもできる。
Claims (6)
- 二軸配向ポリエステルフィルムの一方の面に粘着剤層を、他方の面に保護層を設けた積層フィルムであって、粘着剤層が
(1)ガラス転移温度が−60℃以上−20℃以下であること;
(2)引張り弾性率が0.1MPa以上0.2MPa以下であること;
(3)表面張力が15μN/cm以上25μN/cm以下であること;
(4)ステンレス板に貼り合せて23℃で1日間放置した後の粘着力(A)が30mN/25mm以上500mN/25mm以下であること;
(5)ステンレス板に貼り合せて60℃で1週間放置した後の粘着力(B)を粘着力(A)で割った値が0.5以上2以下であること;および、
(6)厚みが3μm以上50μm以下であること
を同時に具備することを特徴とする表面保護フィルム。 - 二軸配向ポリエステルフィルムが一辺の長さ210mmとそれに直行する辺の長さ148mmの広さ(面積310.8cm2)当り、大きさ25μm以上の異物が存在せず、且つ、大きさ5μm以上25μm未満の異物が10個以下である請求項1記載の表面保護フィルム。
- 保護層が、離形剤および帯電防止剤を含有し、且つ、保護層の粘着剤層に対する剥離力が10mN/25mm以上5000mN/25mm以下である請求項1記載の表面保護フィルム。
- 表面保護フィルムの可視光線透過率が70%以上で、ヘーズが10%以下である請求項1記載の表面保護フィルム。
- 偏光板、位相差板、視野角拡大フィルムまたはそれらの積層体の表面保護に用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の表面保護フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の表面保護フィルムの粘着剤層(B)の上に剥離紙を積層した積層体であって、該剥離紙の粘着剤層と貼り合わされる面がシリコーン樹脂、フッ素樹脂および脂肪族ワックスから選ばれた少なくとも1種を離形層として形成していることを特徴とする表面保護用積層体。
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