JP5313455B2 - 表面保護フィルム - Google Patents

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本発明は、摩擦や剥離による帯電が抑制された表面保護フィルムに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、偏光板や位相差板等の光学機能を有する光学用シートの表面保護用として特に好適で、しかもその表面に容易に印字することができる表面保護フィルムに関するものである。
従来ワープロ、コンピュータ、テレビ等の各種ディスプレイ、または偏光板や位相差板、視野角制御シート、それに準じた積層体等の光学シート部品の表面には、表面保護の目的でポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の透明な保護フィルムが積層されている。特に偏光板は、偏光板の製造工程から液晶ディスプレイ等に組み込まれるまでにロール状態で巻き取られ、再度巻き出して離型フィルムに粘着剤を塗工したシートをラミネートされ、再々度巻き取られるか、あるいはそのまま所望のサイズに断裁される。断裁された偏光板は積重ねされ、梱包、出荷される。液晶ディプレイ製造工程では積重ねられた偏光板を1枚ずつピックアップされ使用される。これらの製造工程で搬送ロールとの摩擦帯電や剥離帯電により、周囲のゴミが巻き込まれるという問題がある。
一方、表面保護フィルムで表面を保護された光学シート部品等は、使用されるサイズや目的により多くの種類があり、これらを識別する目的で光学シート毎に品名や製造番号、偏光軸方向などを表示するために、光学シート上に積層された表面保護フィルム上にインクジェットやスタンプ等により印字される。これらの印字に使用されるインキは、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン系溶剤に溶解された速乾性のインキが通常使用されている。
さらには、近年大型のモニターやテレビ用のディスプレイは、駆動部分を接続する前の工程に液晶ディスプレイを水で洗浄する工程があり、表面のゴミを入念に落とされた後、欠点検査工程へ送られている。したがって、表面保護層には、帯電防止性と印字性の2つの特性を有し、水洗浄工程において印字部分の定着性に優れ、しかも表面層自体にキズや塗膜の脱落などによる色目の変化が生じないことが要求される。
特開平11−256116号公報 特開2003−41205号公報
本発明は、上記背景技術に鑑みなされたもので、その目的は、各種光学シート、特に大面積の大型ディスプレイ用の各種光学シートの表面保護用として用いた場合、優れた摩擦帯電防止と剥離帯電防止の効果を有し、しかも、表面に印字する際の印字適正が良好な表面保護フィルムを提供することにある。
また、別の目的は、例えば偏光板の表面保護フィルムとして用いる場合など、積層された状態での各種製品の欠陥検査時に障害とならない表面保護フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、一方の面にインキ印字性を有する樹脂成分と帯電防止剤とから形成される表面層、他方の面に粘着剤層を設ければ、優れた摩擦帯電・剥離帯電防止効果と表面印字適正とが同時に達成できることを見出し、さらに検討を重ねた結果本発明に到達した。
かくして本発明によれば、ポリエステルフィルムの片面に表面層、他面に粘着剤層を有する表面保護フィルムの製造方法であって、
ポリエステルフィルムの片面に、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂の群から選択される少なくとも1種の樹脂成分、帯電防止剤および濡れ調整剤の含有量が下記式(1)〜(3)を満足する塗液から表面層を形成するに際して
該濡れ調整剤が、炭素数が12以上のアルキル側鎖を持つアルキルアクリレートとアクリル酸との共重合体、または、ポリビニルアルコールまたはポリエチレンイミンを塩素化アルキロイルまたはアルキルイソシアネートで長鎖アルキル化した共重合体であり、
該塗液は、沸点150℃以上の水溶性または水混和性の液体を該塗液中の溶媒総重量を基準として0.2〜3.0重量%含有す
とを特徴とする表面保護フィルムの製造方法が提供される。
(1)7≦A≦40
(2)0≦B≦3
(3)57≦C≦93
(式中、Aは帯電防止剤の含有量(重量%)、Bは濡れ調整剤の含有量(重量%)、Cはポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂の群から選択される少なくとも1種の樹脂成分の含有量(重量%)を表す。ここで含有量(重量%)は、塗液中の有効成分(溶媒を除いた成分)重量を基準とした含有量である。)
また好ましい態様として、
・帯電防止剤が下記一般式で表される単位を主たる繰返し単位とするポリチオフェンからなる導電性ポリマーであり、かつ表面保護フィルムの表面層の膜厚が0.03〜0.10μmであり、表面固有抵抗率が1×10 〜1×10 12 Ω/□であること、
Figure 0005313455
(式中、RおよびRは、相互に独立して水素または炭素数1〜4のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって任意に置換されてもよい炭素数1〜12のアルキレン基を表す)
・濡れ調整剤が、ポリビニルアルコールまたはポリエチレンイミンを塩素化アルキロイルまたはアルキルイソシアネートで長鎖アルキル化した共重合体であって、表面保護フィルムの表面層の水の接触角が70°以下であること、
表面保護フィルムの表面層のアクリル系粘着テープに対する剥離強度が5N/25mm以上であること、
表面保護フィルムが、ポリエステルフィルムと表面層との間に、主成分としてシランカップリング剤を含有する塗液から形成されたプライマー層を有すること、
表面保護フィルムの粘着剤層の粘着力が0.03〜0.50N/25mmであること
・表面保護フィルムが、偏光板、位相差板または視野角拡大フィルムの表面保護に用いられること、
の少なくともひとつの要件を具備する表面保護フィルムの製造方法が提供される。
本発明の表面保護フィルムは、ポリエステルフィルムの片側面に特定の塗液から形成された表面層を有しているので、優れた摩擦帯電・剥離帯電防止効果と表面印字適正とを有している。したがって、例えば偏光板、位相差板、視野角拡大フィルムなどの光学シート製造工程、あるいはそれらの光学シートを使用するパネル製造工程において使用すれば、各工程で光学シートの表面に摩擦や剥離による帯電を抑えることができ、しかも、ケトン系溶剤のインクに対しても優れた印字性を有する。さらには、濡れ調整剤を適度に併用すれば表面層の耐水性が向上し、水洗浄工程を経ても良好な帯電防止性を維持できるので、例えば偏光板の表面保護フィルム用として用いれば、製品の欠陥検査が精度よく行うことができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の表面保護フィルムは、ポリエステルフィルムの片側の面に、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂の群から選択される少なくとも1種の樹脂成分(以下単に樹脂成分と称することがある)、好ましくはケトン系溶剤を含有するインキに対する印字性を有する樹脂成分、帯電防止剤、および、必要に応じてさらに濡れ調整剤を含有する塗液から形成された表面層を有し、他方の面に粘着剤層を有している必要がある。
ここで用いられる、好ましくはインキに対する印字性を有する樹脂は、その二次転移温度が20〜150℃の範囲であることが好ましい。この温度が20℃未満の場合には表面層の耐ブロッキング性が悪くなり易く、逆に150℃を超える場合には表面層塗膜の耐削れ性が不足しやすくなる。
好ましく用いられる印字性を有するポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分として、例えばテレルタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4.4´−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸等、また、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA・アルキレンオキシド付加物等を用いたポリエステルをあげることができ、なかでもこれらの成分を含有する共重合ポリエステルが好ましい。なお、二次転移温度が20〜150℃のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸を主成分として用い、グリコール成分を二次転移温度が上記範囲となるように適宜選択組合わせることにより容易に得ることができる。
かかるポリエステル樹脂は常法により製造することができ、表面層塗膜の耐削れ性および耐ブロッキング性の点からその重量平均分子量は10,000〜50,000の範囲であることが好ましい。
次に、好ましく用いられる印字性を有するアクリル樹脂としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、クロトン酸エチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル系単量体を含む共重合体をあげることができる。
このアクリル樹脂は、上記のアクリル酸エステル系単量体の少なくとも1種の他に、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ソーダ、メタクリル酸カリウム、アクリル酸アンモニウム、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド等の他のアクリル系単量体を共重合成分として含んでいてもよく、また、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルエーテル、ブタジエン、イソプレン、ビニルスルホン酸ソーダ等のアクリル系以外の単量体を共重合成分として含んでいてもよい。
なお、このアクリル樹脂には、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリル酸、アクリルアミド、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−メチロールアクリルアミド等の親水性単量体が共重合成分として含まれることが、表面層の塗液を水性塗液とする場合、分散性や溶解性が良好となるので好ましい。また、アクリル樹脂の分子側鎖に種々の官能基を導入した共重合体であってもよい。
また、二次転移温度が20〜150℃のアクリル樹脂は、メタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルのような硬質成分を主成分として用い、共重合成分としてアクリル酸エステルのような軟質成分を二次転移温度が上記の範囲となる割合で共重合させることにより得ることができる。さらにアクリル樹脂の二次転移温度は、メチロール基やメトキシメチル基等を有する成分を共重合成分として用い、これらの基を架橋させることにより調整することもできる。
かかるアクリル樹脂の重量平均分子量は表面層塗膜の耐削れ性および耐ブロッキング性の点から10,000〜500,000の範囲であることが好ましい。
次に、好ましく用いられる印字性を有するアクリル変性ポリエステル樹脂(以下、単に変性ポリエステル樹脂と称することがある)としては、前記のポリエステル樹脂に前記のアクリル酸エステル系単量体および/または他のアクリル系単量体を重合して得られる二次転移温度が20〜150℃の変性ポリエステル樹脂をあげることができる。かかる変性ポリエステル樹脂は、例えば水性液中のポリエステル樹脂に、前記のアクリル酸エステル系単量体および/または他のアクリル系単量体を、ラジカル重合開始剤を用いてグラフト重合させることにより得ることができる。この変性樹脂は、分子側鎖に官能基を有するものであってもよい。また、変性樹脂の重量平均分子量は表面層塗膜の耐削れ性および耐ブロッキング性の点から10,000〜500,000の範囲であることが好ましい。
なお、二次転移温度が20〜150℃のアクリル変性ポリエステル樹脂は、二次転移温度が20〜150℃の共重合ポリエステル樹脂を用い、メタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルのような硬質成分とアクリル酸エステルのような軟質成分とを、得られるアクリル変性ポリエステル樹脂の二次転移温度が20〜150℃となる割合でグラフト共重合させることにより得ることができる。
次に、好ましく用いられる印字性を有するポリウレタン樹脂としては、例えば脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステル、ジイソシアネート、ジアミン、グリコール、ジメチロールプロピオン酸塩等から製造される、二次転移温度が20〜150℃のポリウレタン樹脂をあげることができる。かかるポリウレタン系重合体の重量平均分子量は、表面層塗膜の耐削れ性および耐ブロッキング性の点から5,000〜50,000の範囲であることが好ましい。
なお、二次転移温度が20〜150℃のポリウレタン樹脂は、ポリエーテルまたはポリエステルに適宜芳香族成分を含有させるか、芳香族ジイソシアネート、アルキレンジアミン、アルキレングリコール、ジメチロールプロピオン酸塩等の使用量を制御することにより容易に得ることができる。
以上に説明した樹脂は、それぞれ単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても構わない。なお、かかる樹脂は、水または水を主成分とする溶液に分散した水分散液または水溶化した水溶液の状態で使用するのが、取扱い性の点から好ましい。また、得られる表面層塗膜の耐水性と耐ブロッキング性を改善するため、メチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系などの化合物、エポキシ化合物、ポリイソシアネートから選ばれた少なくとも1種類の架橋剤を含有させることができる。しかし、添加量が多くなりすぎると、耐溶剤性が上がりすぎて印字性が不十分になる場合があるので、高々5重量%にすることが好ましい。
本発明の表面層に好ましく用いられる帯電防止剤としては、例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性ポリマーをあげることができ、なかでも、下記一般式で表される単位を主たる繰返し単位とするポリチオフェンからなる導電性ポリマー、特に対アニオンがスチレンスルホン酸を共重合成分として含むポリスルホン酸から誘導されたポリアニオンである導電性ポリマーが好ましい。
Figure 0005313455
(式中、RおよびRは、相互に独立して水素または炭素数1〜4のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって任意に置換されてもよい炭素数1〜12のアルキレン基を表す)
好ましく用いられるポリチオフェン系の導電性ポリマー(ポリカチオン状のポリチオフェンとアニオンとの複合体)としては、例えば特開2005−88389号公報に記載の帯電防止層として用いられているポリチオフェン、特開2006−294532号公報に記載されているポリチオフェンなどをあげることができ、具体的には、例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[チオフェン環の約1/3がカチオン化されたもの]とポリスチレンスルホン酸(スルホン酸の約半分がアニオン化されたもの)との複合体をあげることができる。
本発明の表面層に必要に応じて用いられる濡れ調整剤としては、長いアルキル側鎖を持つポリマー、例えば炭素数が12以上、特に16〜20のアルキル側鎖を持つ、アルキルアクリレートとアクリル酸との共重合体、ポリビニルアルコールまたはポリエチレンイミンを塩素化アルキロイルまたはアルキルイソシアネートで長鎖アルキル化した共重合体をあげることができる。具体的には、ポリビニルアルコールとオクタデシルイソシアネートとの反応によって得られるポリビニル−N−オクタデシルカルバメートや、ポリエチレンイミンとオクタデシルイソシアネートとの反応によって得られるポリエチレンイミン−N−オクタデシルカルバメートなどがあげられる。
これらの濡れ調整剤は、前述の印字性を有する樹脂および帯電防止剤と混合するため、水または水を主溶剤とする溶媒中に分散させたものを用いるのが好ましい。具体的には、一方社油脂工業社製のピーロイル406、日本触媒社製のPX−RP10W、中京油脂社製のレザムM−643などをあげることができる。
本発明においては、印字性を損なわない範囲内で表面層に汚れ防止剤、例えばシリコーン系離形剤、フッ素系離形剤、パラフィンワックス、カルナバワックスなどを併用しても構わない。
以上に説明した成分の塗液中の含有割合は、塗液中の有効成分(水などの溶媒を除いた成分)重量を基準として、帯電防止剤が7〜40重量%好ましくは10〜25重量%、樹脂成分が60〜93重量%好ましくは75〜90重量%、濡れ調整剤が0〜3重量%の割合で含有する必要があり、かつ表面層は、該塗液中に沸点が150℃以上の水溶性または水混和性の液体を溶媒総重量を基準として0.2〜3.0重量%含有するものを用いて作成されたものである必要がある。
ここで、帯電防止剤と樹脂成分の割合がいずれも上記範囲内にある場合には、ポリエステルフィルムと表面層との接着性が良好となり、また表面層の耐水性と耐削れ性が良好なものとなる。
さらに、濡れ調整剤が3重量%以下の範囲で含有する場合には、表面保護フィルムの表面層を水洗浄する際の水の除去性が向上するので好ましい。なお、濡れ調整剤が多くなりすぎて3重量%を超える場合には、インクジェットインキ等のインキがハジキ易くなるばかりか、印字部分の密着性も悪くなるため好ましくない。
さらに本発明の表面層は、表面固有抵抗率が1×10〜1×1012Ω/□の範囲であることが好ましい。この値が1×10Ω/□未満の場合には帯電防止層がもろくなりやすく、逆に1×1012Ω/□を超える場合には帯電防止性が不足する場合がある。
次に、表面層を形成するための塗液中に配合される、沸点が150℃以上の水溶性または水混和性を有する液体としては、例えばグリセリン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、1−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができるが、沸点が150℃以上で水溶性または水混和性を有する液体であればこれらに限定されるものではない。
本発明においては、かかる沸点が150℃以上で水溶性または水混和性を有する液体の少なくとも1種以上を、塗液中の溶剤重量を基準として0.2〜3.0重量%含有している必要がある。沸点が150℃以上で水溶性または水混和性を有する液体の含有量が0.2重量%未満の場合には、帯電防止剤を前記の範囲で含有していても十分な表面固有抵抗率を得ることが難しくなる。一方、この液体の含有量が3.0重量%を超えてもその効果が増大しないばかりか、溶剤コストがあがるとか、溶剤の蒸発速度が遅くなって塗工速度を下げる必要が出るため生産性が下がる等の問題を生ずる。
表面層の膜厚は0.02〜0.20μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.10μmの範囲である。
本発明の表面層を形成するための塗液には、上記の成分の他に、塗膜の滑り性や耐ブロッキング性を良好なものとするため、滑剤として平均粒径が0.01〜0.5μmの無機または有機の微粒子を、例えば0.001〜5重量%の割合で含有させることができる。かかる微粒子の具体例としては、シリカ、カオリン等の無機微粒子、ポリスチレン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、架橋アクリル樹脂、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機微粒子等をあげることができる。なお有機微粒子は、塗膜内で微粒子の状態を保つことができる樹脂であれば、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよく、また目的に応じた架橋度で架橋された樹脂であってもよい。
また架橋剤として、メチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系などの化合物、エポキシ化合物、ポリイソシアネートから選ばれた少なくとも1種類の架橋剤を含有させることができる。しかし、架橋剤の含有量が多くなりすぎると、ケトン系溶剤等に対する耐溶剤性が向上しすぎて印字性が悪くなる場合があるので5重量%以下にするのが好ましい。
上記塗液のポリエステルフィルム面への塗布方法は、従来公知の任意の塗布方法を採用することができる。例えばロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独または組み合わせて適用すればよい。ハジキなど塗布外観の安定性を助ける目的で若干量の有機溶剤や界面活性剤を含有させてもよい。
本発明の表面保護フィルムは、以上に説明した表面層を設ける面とは反対側の面に粘着剤層を設ける。さらに、この粘着剤層表面には、必要に応じて離形剤で処理した剥離(離形)フィルムを貼り合せても構わない。
上記粘着剤層を形成するための粘着剤としては、アクリル系、ゴム系またはウレタン系の粘着剤を用いることができ、特に粘着剤層の耐久性の点からアクリル系粘着剤が好ましい。また粘着剤層は、剥離フィルムなどを貼り合せた後に再剥離する際、相手側に粘着剤の移行がないことが大切であり、かかる要件を満足するため粘着剤層の粘着力は0.03〜0.50N/25mmの範囲内であることが好ましい。
また、粘着剤のタイプとしては、熱硬化タイプ、UV(紫外線)硬化タイプ、EB(電子線)硬化タイプ、ホットメルトタイプのいずれであってもよく、さらに、粘着剤層の耐久性や粘着剤の移行を抑えるという点から、イソシアネート系やエポキシ系の架橋剤を適宜使用してもよい。
なお、粘着剤層の粘着力は、ステンレス板(SUS304)に粘着剤層面を貼合せ、23℃で1日経時後に300mm/分の速度で180度の角度で剥離するときの力で表わされるす。
上記粘着剤層の塗布方法も、前述の表面層の塗布方法と同じく任意の方法を採用することができ、例えばロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法、ダイコート法、ドクターブレードコート法などを単独または組み合わせて適用すればよい。
粘着剤層の厚みは、3〜100μm、特に5〜50μmの範囲であることが好ましい。厚みが3μm未満の場合には十分な接着効果が得られないことがあり、他方100μmを超える場合は過剰品質であって不経済である。
上記の表面層および粘着剤層が形成されるポリエステルフィルムは、下記ジカルボン酸成分とグリコール成分とから形成されるポリエステルからなるフィルムである。
好ましく用いられるジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4.4´−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等をあげることができ、なかでもフィルムの機械的性質の点からテレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
またグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等をあげることができ、なかでもフィルムの機械的性質の点からエチレングリコールが好ましい。
かかるポリエステルには、第3成分として上記ジカルボン酸成分あるいはグリコール成分を共重合したコポリエステルであってもよく、三官能以上の多価カルボン酸成分あるいはポリオール成分を、得られるポリエステルが実質的に線状となる範囲(例えば5モル%以下)で共重合したポリエステルであってもよい。
なかでも、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
かかるポリエステルは常法により製造することができ、ポリエステルの固有粘度(オルトクロロフェノール中、35℃)は0.45以上であることが、フィルムの剛性が大きい等の機械的特性が良好となるため好ましい。
上記ポリエステルには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微粒子、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の耐熱性ポリマーからなる有機微粒子を含有させることができる。このほかに、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンコポリマー、オレフィン系アイオノマー等の他の樹脂、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤等を必要に応じて含有させることもできる。なお、本発明の表面保護フィルムは、用途によっては透明性が高いことが要求されるので、上記各種添加剤は、各種用途の要求特性に応じてその使用量を適宜選択することが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、従来知られている任意の方法で製造することができる。例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステルを乾燥後、押出し機にて溶融し、ダイ(例えばT−ダイ、I−ダイ等)から回転冷却ドラム上に押出し、急冷して未延伸フィルムを製造し、次いで該未延伸フィルムを縦方向および横方向に延伸し、必要に応じて熱固定することによって製造することができる。ポリエステルフィルムの厚さは5〜250μmが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、片面すなわち表面層を設ける面に、コロナ処理またはプライマー層(易接着性の塗膜)を形成させること、特にシランカップリング剤を含有する塗液から形成されたプライマー層を形成させることが表面層の耐水性向上の点から好ましい。プライマー層を形成するための成分としては、例えばシランカップリング剤、アルカリ性無機微粒子、pHを調整する酸、界面活性剤などがあげられる。シランカップリング剤は、一般式YRSiXで表わされる化合物である。ここでYはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等の有機官能基、Rはメチレン、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、Xはメトキシ基、エトキシ基等の加水分解基またはアルキル基である。具体的化合物としては、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等をあげることができる。これらのなかで好ましいシランカップリング剤は、水溶性または水分散性を有するもの、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
かかるシランカップリング剤と共にプライマー層を形成するためのアルカリ性無機微粒子としては、例えば酸化鉄ゾル、アルミナゾル、酸化スズゾル、酸化ジルコニウムゾル、シリカゾル等を挙げることができるが、特にアルミナゾル、シリカゾルが好ましい。なかでもシランカップリング剤の初期反応性(ダイマー化、トリマー化等)を促進する点から、シリカゾルが好ましい。アルカリ性無機微粒子は表面積の大きい小粒径のものがよく、平均粒径が1〜150nm、さらには2〜100nm、特に3〜50nmであるものが好ましい。平均粒径が150nmより大きくなると、表面積が小さくなりすぎ、シランカップリング剤の反応促進作用が低下し、かつプライマー層の表面が粗面化するため好ましくない。他方、平均粒径が1nmより小さくなると、表面積が大きすぎ、シランカップリング剤の反応制御が困難となり好ましくない。アルカリ性無機微粒子の量は、シランカップリング剤の量に対して、1〜50重量%、さらには2〜20重量%であることが好ましい。この量が1重量%未満であると、架橋反応が進まず、他方50重量%を超えると塗布液の安定性に欠け、例えば無機微粒子の添加後短時間で塗布液中に沈澱が発生するので好ましくない。
シランカップリング剤およびアルカリ性無機微粒子を含有するプライマー塗布液、特に水性塗布液は、そのpHを4.0〜7.0、好ましくは5.0〜6.7に調整する。このpHが4.0未満になると、無機微粒子の触媒活性が失われ、他方7.0を超えると塗液が不安定となり、沈澱が生じるので好ましくない。このpHを調整する酸としては塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸や蓚酸、蟻酸、クエン酸、酢酸等の有機酸が用いられるが、特に有機酸が好ましい。
かかる塗布液、特に水性液には、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性等の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。かかる界面活性剤としては、塗布液の表面張カを0.5N/m以下、好ましくは0.4N/m以下に下げることができ、ポリエステルフィルムへの濡れ性を促進するものが好ましく、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、第4級アイモニウムクロライド塩、アルキルアミン塩酸等をあげることができる。さらに本発明の効果を消失させない範囲で、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、有機フィラー、潤滑剤、ブロッキング防止剤等の他の添加剤を混合することもできる。
プライマー層は、ポリエステルフィルムの片面に上記の塗布液を通常のプライマー塗布方法で塗布し、次いで乾燥、熱架橋させることにより形成することができる。例えば二軸延伸熱固定したポリエステルフィルムを製造した後に塗布する方法で形成してもよいが、プライマーとしての効果やコストの面、さらに芥、塵挨等の巻込みやスクラッチ等を減らすため、ポリエステルフィルム製造工程での塗布が好ましい。特に、この工程中で結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムの片面(表面層を設ける側)に水性塗布液として塗布することが好ましい。ここで、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムとは、ポリエステルを熱溶融してそのままフィルム状となした未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向(長手方向)または横方向(幅方向)の何れか一方に配向せしめた一軸延伸フィルム、さらには縦方向及び横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめた状態の二軸延伸フィルム(最終的に縦方向または横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。通常の工程においては、縦方向に一軸延伸後に塗布するのが好ましい。塗布液を塗布した、結晶配向完了する前のポリエステルフィルムは、乾燥され、延伸、熱固定等の工程に導かれる。例えば塗布液を塗布した縦一軸延伸ボリエステルフィルムは、ステンターに導かれて横延伸および熱固定される。この間、塗布液は乾燥され熱架橋される。かかる処理は、従来当業界に蓄積された条件で行うことができる。好ましい条件としては、例えば乾燥条件は90〜130℃×2〜10秒であり、延伸温度はポリエチレンテレフタレートの場合は90〜130℃、ポリエチレンナフタレート(PEN)の場合は120〜180℃、延伸倍率は縦方向3〜5倍、横方向3〜5倍、必要ならば再縦方向1〜3倍であり、熱固定する場合はポリエチレンテレフタレートの場合は180〜240℃、PENの場合は220〜240℃、熱固定時間は2〜20秒である。かくして、20〜1000nmの厚みからなるプライマー層を有する、ポリエステルフィルムが得られる。
塗布方法としては、公知の任意の方法が適用できる。例えば、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、リバースコート法、オフセットグラビアコート法、マイヤバーコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、合浸法、カーテンコート法などを単独または組み合わせて適用するとよいが、リバースロールコーターによる方法が好ましく例示される。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中における各評価は下記の方法にしたがった。
(1)表面固有抵抗率
アドバンテスト社製抵抗率計を使用し、測定温度23℃、測定湿度65%RHの雰囲気で、印加電圧100Vで1分後の表面固有抵抗率を測定した。なお、表面固有抵抗率としては、1×1012Ω/□以下であること好ましい。
(2)印字性
LINX社製インクジェットプリンター(16ドット仕様)で、赤インク1018(MEKとして75〜85重量%含有)を使用し、表面保護フィルムの粘着剤層面をガラス板に貼り合せ、表面層側を上にして30m/分のコンベアに流し、「0」を印字して評価用サンプルを得た。得られた評価用サンプルを使い、(i)ドットの観察と(ii)セロハンテープでの印字部分密着性を評価した。
(i)ドット観察
コロナ処理をしたポリエステルフィルムに印字した時のドットの平均直径を1.00とした場合の、測定サンプルのドットの平均直径の比率より、下記基準で判定し、△以上を合格とした。
○:0.85以上、1.20未満
△:0.60以上、0.85未満又は1.20以上、1.50未満
×:0.60未満
(ii)印字部分の密着性
印字部分にセロハンテープ(ニチバン製エルパック18mm幅または24mm幅)をゴムロールで貼合せ、ついで5kgの圧着ローラーで圧着して5分後に、180°剥離して印字部分をルーペで観察し、下記の基準で判定した。△以上を合格とした。
○:印字部分の脱落が殆ど認められない。
△:印字部分の脱落が部分的に認められる。
×:印字部分の殆どが表面層とインキの界面で剥がれている。
(3)耐水性
イオン交換水に1分間浸漬した後、イオン交換水を含ませたベンコットに500g/cmとなるように重りをのせ、一方方向に5回擦って表面層の脱落度合を目視観察し、下記基準で判定。
◎:擦る回数を10回にしても変化がない。
○:全く変化しないか、薄くキズが残る。
△:擦った後が薄く変色する。
×:擦った部分の50%以上が完全にポリエステルフィルムの地肌が現れる。または白く濁る。
(4)水の接触角
エルマ接触角測定画像解析装置を用いて、水を滴下後10秒後の接触角を測定した。
(5)表面層の剥離強度
表面保護フィルムの表面層側にアクリル系粘着テープ(ニットー31B)をゴムロールで貼合せ、5kgの圧着ローラーで圧着し1時間放置後、表面保護フィルムの粘着剤層側に積層されている離型フィルムを剥離除去して粘着剤面をアルミ支持板に両面テープで固定し、該アクリル系粘着テープを180°に折り返し、引張試験機にて剥離強度を測定した。なお、剥離強度の好ましい範囲は5N/25mm以上である。剥離強度が5N/25mm未満であると表面保護フィルムを剥離する粘着テープの貼り付きが悪く、表面保護フィルムを剥離できないといった不具合を生じるため好ましくない。
(6)粘着力
洗浄されたステンレス板の上に、表面保護フィルムを直接ゴムローラー(軽荷重)で貼りつけ、その上から荷重2kgのゴムローラーにて1往復し、密着させる。そのまま温度23℃、湿度50〜60%RHの条件下で1日放置し、その後25mm幅の短冊状に切り取る。これを引張試験機(東洋精機(株)製ストログラフ)に取り付けステンレス板を固定し、積層フィルムの方を、300mm/分で180°にて引張り、その強度をもって粘着力とする。
[実施例1、2および比較例1〜4]
厚みが38μmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にコロナ処理を行い、ぬれ張力試験用混合液でぬれ張力が54mN/m以上にしたポリエステルフィルムの片面に表1に記載の表面層組成1〜6を有効成分として濃度が2重量%になるように作成した塗工液を、リバースロールコーターを用いて塗布量を4g/mで塗工し、ドライヤーゾーン140℃下で1分間の乾燥により、表面層を設けたポリエステルフィルムを得た。次に、アクリル系粘着剤として、2−エチルヘキシルアクリレート(主モノマー)、n−ブチルアクリレート(主モノマー)、酢酸ビニル(コモノマー)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(官能基含有モノマー)が5:2:2:1の重量比で混合された組成物と、エポキシ変性ステアリルアクリレートからなる添加剤とを、前者の組成物10重量部に対し後者の添加物0.5重量部となるように加え、酢酸エチルの溶剤下で反応触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを用い溶液重合した。得られた粘着剤用ポリマーの重量平均分子量は約35万であった。この粘着剤用ポリマーに、TDI系イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートL)を固形分比で粘着剤用ポリマー100重量部に対し、架橋剤7重量部の割合で添加した後、25μmのポリエステルフィルムの片面にシリコーン離型層を持つ剥離フィルムの離型層側面に乾燥後の厚みが15μmとなるように塗布し、100℃2分乾燥した後、前記表面層を設けたポリエステルフィルムの表面層とは反対側の面と該粘着剤面とを貼り合せた、45℃で1週間のエージング処理を行い実施例1、2と比較例1〜4の表面保護フィルムを得た。得られた表面保護フィルムの物性を表2にまとめた。
[実施例3]
縦延伸終了後のフィルムの片面に、プライマー層として下記の塗布液を、乾燥横延伸後の厚みが40nmとなるように塗布し、同じ条件で製膜した2軸配向ポリエステルフィルムを使用したこと以外、実施例2と同じ条件で表面保護フィルムを作成した。得られた表面保護フィルムの物性を表2にまとめた。
プライマー層に用いた塗布液:シランカップリング剤(γ−グリシドプロピルトリメトキシシラン)83重量部、無機微粒子(平均粒径6nm、20%分散液pH9.5のシリカゾル)2重量部、ノニオン界面活性剤15重量部を含み、クエン酸でpH6.3に調整した水性塗布液。
Figure 0005313455
プラスコートZ450 互応化学工業株式会社
バイトロンP スタルク株式会社
レザムM643 中京油脂株式会社
DMSO 和光純薬工業株式会社
エマルゲン420 花王株式会社
Figure 0005313455
表2から明らかなように、本発明の表面保護フィルムは、表面層の表面固有抵抗率、印字性および耐水性に優れているので、偏光板、位相差板および視野角拡大フィルムなどの光学用シート製造工程、或いはそれらの光学シートを使用するパネル製造工程で、表面保護フィルムとして好適であることがわかる。
以上に説明した本発明の表面保護フィルムは、例えば偏光板、位相差板、視野角拡大フィルムなどの光学用シート製造工程で使用される場合、あるいはそれらの光学シートを使用するパネル製造工程において使用される場合、各工程で光学シートの表面に摩擦や剥離による帯電を抑え、ケトン系溶剤のインクに対する印字性に優れ、しかも水洗浄工程を経ても良好な耐久性を有する表面保護フィルムを提供することができる。

Claims (7)

  1. ポリエステルフィルムの片面に表面層、他面に粘着剤層を有する表面保護フィルムの製造方法であって、
    ポリエステルフィルムの片面に、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂の群から選択される少なくとも1種の樹脂成分、帯電防止剤および濡れ調整剤の含有量が下記式(1)〜(3)を満足する塗液から表面層を形成するに際して、
    該濡れ調整剤が、炭素数が12以上のアルキル側鎖を持つアルキルアクリレートとアクリル酸との共重合体、または、ポリビニルアルコールまたはポリエチレンイミンを塩素化アルキロイルまたはアルキルイソシアネートで長鎖アルキル化した共重合体であり、
    該塗液は、沸点150℃以上の水溶性または水混和性の液体を該塗液中の溶媒総重量を基準として0.2〜3.0重量%含有す
    とを特徴とする表面保護フィルムの製造方法
    (1)7≦A≦40
    (2)0≦B≦3
    (3)57≦C≦93
    (式中、Aは帯電防止剤の含有量(重量%)、Bは濡れ調整剤の含有量(重量%)、Cはポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂の群から選択される少なくとも1種の樹脂成分の含有量(重量%)を表す。ここで含有量(重量%)は、塗液中の有効成分(溶媒を除いた成分)重量を基準とした含有量である。)
  2. 帯電防止剤が、下記一般式で表される単位を主たる繰返し単位とするポリチオフェンからなる導電性ポリマーであり、かつ表面保護フィルムの表面層の膜厚が0.03〜0.10μmであり、表面固有抵抗率が1×10 〜1×10 12 Ω/□である請求項1記載の表面保護フィルムの製造方法
    Figure 0005313455
    (式中、RおよびRは、相互に独立して水素または炭素数1〜4のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって任意に置換されてもよい炭素数1〜12のアルキレン基を表す)
  3. 濡れ調整剤が、ポリビニルアルコールまたはポリエチレンイミンを塩素化アルキロイルまたはアルキルイソシアネートで長鎖アルキル化した共重合体であって、表面保護フィルムの表面層の水の接触角が70°以下である請求項1または2記載の表面保護フィルムの製造方法
  4. 表面保護フィルムの表面層のアクリル系粘着テープに対する剥離強度が5N/25mm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面保護フィルムの製造方法
  5. 表面保護フィルムが、ポリエステルフィルムと表面層との間に、主成分としてシランカップリング剤を含有する塗液から形成されたプライマー層を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面保護フィルムの製造方法
  6. 表面保護フィルムの粘着剤層の粘着力が0.03〜0.50N/25mmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面保護フィルムの製造方法
  7. 表面保護フィルムが、偏光板、位相差板または視野角拡大フィルムの表面保護に用いられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面保護フィルムの製造方法
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