JP6258681B2 - 表面保護フィルム及び光学部材 - Google Patents

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本発明は、表面保護フィルム及び光学部材に関する。
従来より、光学部材や電子部材の輸送時、あるいは製品組み立て時に、光学部材等の表面に汚れや傷が生じないように、光学部材等の表面を表面保護フィルム(表面保護シート)で保護することが一般的に行われている。このような表面保護フィルムとして、例えば、基材の一方の面側にコート層を有し、他方の面側に粘着剤層を有する表面保護フィルムが挙げられる(特許文献1、2)。
特開2009−107329号公報 特開2011−20348号公報
このような表面保護フィルムとしては、該表面保護フィルムを貼り付けたまま被着体(例えば偏光板)の外観検査を行い得るという観点から、透明性を有するものが好ましく用いられる。近年、上記外観検査のしやすさや検査精度等の観点から、表面保護フィルムの外観品位に対する要求レベルが高くなってきており、例えば、表面保護フィルムの背面(被着体に貼り付けられる面とは反対側の面)に擦過傷がつきにくい性質が求められている。表面保護フィルムに擦過傷が存在すると、その傷が被着体の傷なのか、表面保護フィルムの傷なのかが、表面保護フィルムを貼り付けた状態のままでは判断できないためである。
表面保護フィルムの背面に擦過傷がつきにくくする手法の一つとして、該背面に硬質の表面層(トップコート層、コート層)を設ける手法が挙げられる。かかるトップコート層は、例えば、基材の背面にコーティング剤を塗布して乾燥および硬化させることにより形成される。上記トップコート層が適度な滑り性を有することは、より高い耐擦過性(耐スクラッチ性、表面に擦過傷がつきにくい特性)を実現する上で有利である。上記滑り性によって、トップコート層が擦られた場合に加わり得る応力を該トップコート層の表面に沿って受け流すことができるためである。トップコート層に滑り性を付与するための添加剤(滑剤)としては、一般に、シリコーン系滑剤(例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等のシリコーン化合物)等が用いられている。
しかし、本発明者らは、シリコーン系滑剤が添加して形成されたトップコート層は、その保存条件によっては(例えば、高温多湿条件下に保持されると)、外観が白っぽくなる事象(白化)を生じやすいことを見出した。表面保護フィルムのトップコート層が白化すると、該表面保護フィルムを透しての被着体表面の視認性が低下するという問題が生じる。例えば、表面保護フィルムを貼り付けたまま被着体の外観検査を行う場合の検査精度が低下するという問題が生じることがある。
また、表面保護フィルムは、光学部材の輸送工程後など、部材表面の保護が不要となった段階で、光学部材から剥離される。表面保護フィルムの剥離後、表面保護フィルムを貼り付けていた被着体表面に他の機能を有する層(他の層)などが、設けられる場合がある。表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面の状態によっては、他の層に対する濡れ性が悪くなったり、他の層が被着体と十分に密着(接着)しないなどが原因で、他の層が期待される機能を発揮できない場合や製品が不良となる場合があった。
具体的には、タッチパネル機能を有する層、ガラスやプラスチックから構成される保護層、などの他の層を液晶ディスプレイ表面に設置する際に、液晶ディスプレイ表面の偏光板(例えば、表層がハードコート層である偏光板など)の表面を保護するために設けられた表面保護フィルムを剥離した後、他の層と液晶ディスプレイ表面の偏光板表面との間に層間充填剤を塗布して透明な層を設ける場合において、偏光板表面の層間充填剤に対する濡れ性や、偏光板表面と層間充填剤との密着性が十分でないことがあった。
すなわち、表面保護フィルムを剥離した後、表面保護フィルムを貼り付けていた被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面を、他の層に対する濡れ性に優れ、且つ被着体表面と他の層との密着性に優れる状態にできる表面保護フィルムは知られていないのが現状である。
従って、本発明の目的は、耐白化性に優れ、外観が良好で、表面保護フィルムを剥離した後に、層間充填剤等の他の積層部材に対する被着体表面の密着性が損なわれることを防止できる表面保護フィルムを提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、基材の一方の面側に特定の成分を含むトップコート層を設け、他方の面側に特定の特性を有するアクリル系粘着剤層を設けた表面保護フィルムを用いると、耐白化性に優れ、外観が良好で、表面保護フィルムを剥離した後に、層間充填剤等の他の積層部材に対する被着体表面の密着性が損なわれることを防止できる表面保護フィルムが得られることを見出し、本願発明を完成した。
すなわち、本発明は、第一面および第二面を有する基材と、上記基材の上記第一面側に設けられたトップコート層と、上記基材の上記第二面側に設けられたアクリル系粘着剤層と、を備える表面保護フィルムであって、上記トップコート層は、滑り剤としてのワックスと、バインダとしてのポリエステル樹脂とを含み、上記ワックスが高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルであり、上記アクリル系粘着剤層がベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含み、下記(1)、(2)の特性を有することを特徴とする表面保護フィルムを提供する。
(1)上記表面保護フィルムの上記アクリル系粘着剤層表面を下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記表面保護フィルムを剥離した後の、上記被着体X表面の水接触角Aが70°以下
(2)上記表面保護フィルムの上記アクリル系粘着剤層表面を下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記表面保護フィルムを剥離した後の上記被着体X表面に対する、アクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)が、下記被着体X表面に対するアクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)よりも高い
被着体X:水接触角が80〜100°であるハードコートフィルム
上記基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムであることが好ましい。
上記トップコート層が、さらに帯電防止成分を含むことが好ましい。
上記アクリル系粘着剤層が、アニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
上記アニオン性界面活性剤の含有量が、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して0.2〜4重量部であることが好ましい。
上記表面保護フィルムは、光学部材用の表面保護フィルムであることが好ましい。
また、本発明は、上記表面保護フィルムを含む光学部材を提供する。
本発明の表面保護フィルムは、上記構成を有するので、耐白化性に優れ、外観が良好で、表面保護フィルムを剥離した後に、層間充填剤等の他の積層部材に対する被着体表面の密着性が損なわれることを防止できる。
表面保護フィルムの使用形態の一例を示す概略断面図である。 表面保護フィルムの使用前における形態の一例を示す概略断面図である。 表面保護フィルムの剥離方法の一例を示す概略断面図である。 背面剥離強度の測定方法を示す説明図である。
[表面保護フィルム]
本発明の表面保護フィルムは、第一面および第二面を有する基材と、上記基材の上記第一面側に設けられたトップコート層と、上記基材の上記第二面側に設けられたアクリル系粘着剤層とを備える表面保護フィルムである。
以下、本発明の表面保護フィルムについて、本発明の好適な実施形態の一例を挙げて説明する。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、製品として実際に提供される本発明の表面保護フィルムのサイズや縮尺を正確に表したものではない。
本明細書中において、「滑り剤」とは、トップコート層に含有されることによって該トップコート層の滑り性を向上させる作用を発揮し得る成分をいう。トップコートの滑り性が向上したことは、例えば、該トップコート層の摩擦係数が低下したことにより把握することができる。また、トップコート層における「バインダ」とは、該トップコート層の成膜に寄与する基本成分をいう。また、「ポリエステル樹脂」とは、ポリエステル(モノマー間のエステル結合により形成された主鎖を有するポリマーをいう。)を主成分(好ましくは50重量%よりも多く含まれる成分)とする樹脂をいう。「アクリル系粘着剤組成物」とは、アクリル系粘着剤層を形成するための組成物であって、アクリル系ポリマーをベースポリマー(該アクリル系粘着剤組成物に含まれるポリマー成分のなかの主成分、好ましく50重量%よりも多く含まれる成分)とする組成物をいう。「アクリル系ポリマー」とは、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(以下、これを「アクリル系モノマー」と称する場合がある。)を主構成単量体成分(モノマーの主成分、好ましくはアクリル系ポリマーを構成するモノマーの総量のうち50重量%以上を占める成分)とするポリマーを指す。上記「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを包括的に指す意味である。本明細書中において、「アルキレンオキシド鎖」とは、オキシアルキレン単位(−OR−)およびオキシアルキレン単位が2単位以上連続した部分(すなわち、−(OR)n−で表わされる構造部分。ただしn≧2。ポリアルキレンオキシド鎖としても把握され得る。)を包括的に指す用語である。
<表面保護フィルムの構成と使用形態>
本発明の表面保護フィルムの構成の一例及びその使用形態の一例を図1に示す。表面保護フィルム1は、第一面12Aおよび第二面12Bを有する基材12と、第一面(背面)12A上に設けられたトップコート層14と、第二面(前面)12Bに設けられたアクリル系粘着剤層20とを備える。基材12は、透明な樹脂フィルム(例えばポリエステル樹脂フィルム)であることが好ましい。また、図1に示すように、第一面12A上にトップコート層14が直接(他の層を介在することなく)設けられていることが好ましい。アクリル系粘着剤層20は、連続的に(第二面12Bの全面に)形成されることが好ましいが、かかる形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成されていてもよい。表面保護フィルム1は、被着体(保護対象、例えば偏光板等の光学部品)50の表面にアクリル系粘着剤層20の表面(粘着面、すなわち被着体への貼付面)20Aを貼り付けて使用される。使用前(すなわち、被着体への貼付前)の表面保護フィルム1は、好ましくは、図2に示すように、アクリル系粘着剤層20の表面20Aが剥離ライナー30によって保護された形態であってもよい。剥離ライナー30は、少なくともアクリル系粘着剤層20と対向する面が剥離面となっている。
被着体50を保護する役目を終えて不要となった表面保護フィルム1は、被着体50の表面から剥がして取り除かれる。被着体50の表面から表面保護フィルム1を除去する操作は、例えば図3に示すように、表面保護フィルム1の背面1A(トップコート層14の表面)に粘着テープ(ピックアップテープ)60を貼り付け、この粘着テープ60とともに表面保護フィルム1の少なくとも一部(好ましくは、少なくとも外縁の一部)を被着体50の表面から持ち上げる操作を含む操作が挙げられる。このように、表面保護フィルム1の背面1Aに貼り付けられたピックアップテープ60を引っ張ることにより、背面1Aに対するピックアップテープ60の粘着力を利用して、被着体50から表面保護フィルム1を引き剥がす端緒を得ることができる。かかる態様によると、被着体50から表面保護フィルム1を除去する操作を効率よく行うことができる。例えば、表面保護フィルム1の背面1Aにピックアップテープ60を、図3に仮想線で示すように、その一端が表面保護フィルム1の外縁からはみ出すように貼り付ける。そして、図3に実線で示すように、ピックアップテープ60の上記一端を掴んで表面保護フィルム1をその外縁から内側へと折り返す(捲る)ように引っ張るとよい。なお、図3に示すように被着体50から表面保護フィルム1の外縁が剥がれた後、表面保護フィルム1の残りの部分を被着体50から剥離する操作は、引き続きピックアップテープ60を引っ張ることにより行ってもよく、あるいは表面保護フィルム1のうち既に被着体50から剥がれた部分を直接掴んで引っ張ることにより行ってもよい。
<基材>
本発明の表面保護フィルムにおける上記基材は、特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムが好ましい。上記樹脂フィルムは、各種の樹脂材料をフィルム形状に成形したものであることが好ましい。上記樹脂材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性等のうち、1または2以上の特性に優れた樹脂フィルムを構成し得るものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース類;ポリカーボネート類;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー類等の樹脂を主成分(例えば、樹脂材料全量に対して50重量%よりも多く含まれる成分)とする樹脂材料から構成された透明(着色透明を包含する意味である。)な樹脂フィルムが好ましく挙げられる。上記樹脂フィルムを構成する樹脂材料の他の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン類;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン類;ポリ塩化ビニル類;ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド等のポリアミド類等を主成分とするものが挙げられる。あるいは、ポリイミド類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリビニルアルコール類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリビニルブチラール類、ポリアリレート類、ポリオキシメチレン類、エポキシ類等を主成分とする樹脂材料が挙げられる。中でも、高い透明性と光学特性(位相差等)の異方性の観点から、上記基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。なお、上記樹脂フィルムを構成する樹脂材料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、上記樹脂材料は、上記で挙げた樹脂のみから構成されていてもよい。
上記基材用の樹脂フィルムは、透明性を有し、かつその光学特性(位相差等)の異方性が少ないものが好ましい。特に、光学部品用の表面保護フィルムの基材に用いられる樹脂フィルムは、該樹脂フィルムの光学的異方性が少ないことが好ましい。上記樹脂フィルムは、単層構造であってもよく、組成の異なる複数の層が積層された構造であってもよい。中でも、単層構造の樹脂フィルムが好ましい。
上記樹脂フィルムの屈折率は、特に限定されないが、外観特性の観点から、1.43〜1.6の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.5の範囲である。上記屈折率の値としては、メーカー公証値を採用することができる。公証値のない場合には、JIS K 7142 A法により測定された値を採用することができる。また、上記樹脂フィルムの可視光波長領域における全光線透過率は、特に限定されないが、透明性の点より、70%以上(例えば70〜99%)であることが好ましく、より好ましくは80%以上(例えば80〜99%)、さらに好ましくは85%以上(例えば85〜99%)である。上記全光線透過率の値としては、メーカー公証値を採用することができる。公証値のない場合には、JIS K 7361−1に準拠して測定された値を採用することができる。
上記基材は、ポリエステルを主成分(例えば樹脂材料全量に対して50重量%よりも多く含まれる成分)とする樹脂(ポリエステル樹脂)がフィルム状に成形された樹脂フィルム(ポリエステル樹脂フィルム)であることが好ましい。特に、上記ポリエステルが主としてPETである樹脂フィルム(PETフィルム)、主としてPENである樹脂フィルム(PENフィルム)が好ましい。
上記基材を構成する樹脂材料には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止成分、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)等の各種添加剤が配合されていてもよい。基材の第一面(背面、すなわちトップコート層が設けられる側の表面)には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗布等の、公知または慣用の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、例えば、基材背面とトップコート層との密着性を高めるための処理であることが好ましい。さらに、基材背面にヒドロキシル基(−OH基)等の極性基が導入されるような表面処理も好ましい。加えて、本発明の表面保護フィルムにおいて、基材の第二面(前面、すなわちアクリル系粘着剤層が形成される側の表面)には、基材の第一面に施す表面処理として挙げた上述の表面処理から選ばれる表面処理が施されていてもよい。かかる表面処理は、基材(支持体)とアクリル系粘着剤層との密着性(粘着剤層の投錨性)を高めるための処理であることが好ましい。
また、上記基材の厚さは、表面保護フィルムの用途、目的、使用形態等を考慮して適宜選択することができる。上記基材の厚さは、強度や取扱性等の作業性と、コストや外観検査のしやすさ等との兼ね合いから、10〜200μmが好ましく、より好ましくは15〜100μm、さらに好ましくは20〜70μmである。
<バインダ>
本発明の表面保護フィルムは、上記基材の第一面(背面)側にトップコート層を有する。中でも、上記基材の第一面にトップコート層を有することが好ましい。上記トップコート層は、少なくとも、滑り剤としてのワックスと、バインダとしてのポリエステル樹脂とを含む。上記ポリエステル樹脂は、ポリエステルを主成分(好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上を占める成分)として含む樹脂材料である。上記ポリエステルは、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸類(好ましくはジカルボン酸類)およびその誘導体(当該多価カルボン酸の無水物、エステル化物、ハロゲン化物等)から選択される1種または2種以上の化合物(多価カルボン酸成分)と、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコール類(好ましくはジオール類)から選択される1種または2種以上の化合物(多価アルコール成分)とが縮合した構造を有する。
上記多価カルボン酸成分に相当する化合物は、特に限定されないが、例えば、シュウ酸、マロン酸、ジフルオロマロン酸、アルキルマロン酸、コハク酸、テトラフルオロコハク酸、アルキルコハク酸、(±)−リンゴ酸、meso−酒石酸、イタコン酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、メチルフマル酸、アセチレンジカルボン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、メチルグルタル酸、グルタコン酸、アジピン酸、ジチオアジピン酸、メチルアジピン酸、ジメチルアジピン酸、テトラメチルアジピン酸、メチレンアジピン酸、ムコン酸、ガラクタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、パーフルオロスベリン酸、3,3,6,6−テトラメチルスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、パーフルオロセバシン酸、ブラシル酸、ドデシルジカルボン酸、トリデシルジカルボン酸、テトラデシルジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸類;シクロアルキルジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸)、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸(ハイミック酸)、アダマンタンジカルボン酸、スピロヘプタンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、ジチオイソフタル酸、メチルイソフタル酸、ジメチルイソフタル酸、クロロイソフタル酸、ジクロロイソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、クロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキソフルオレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニレンジカルボン酸、ジメチルビフェニレンジカルボン酸、4,4”−p−テレフェニレンジカルボン酸、4,4”−p−クワレルフェニルジカルボン酸、ビベンジルジカルボン酸、アゾベンゼンジカルボン酸、ホモフタル酸、フェニレン二酢酸、フェニレンジプロピオン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジプロピオン酸、ビフェニル二酢酸、ビフェニルジプロピオン酸、3,3´−[4,4´−(メチレンジ−p−ビフェニレン)ジプロピオン酸、4,4´−ビベンジル二酢酸、3,3´(4,4´−ビベンジル)ジプロピオン酸、オキシジ−p−フェニレン二酢酸などの芳香族ジカルボン酸類;上記多価カルボン酸の酸無水物;上記多価カルボン酸のエステル(例えばアルキルエステル、モノエステル、ジエステル等であってもよい。);上記多価カルボン酸に対応する酸ハロゲン化物(例えばジカルボン酸クロリド)等が挙げられる。
中でも、上記多価カルボン酸成分に相当する化合物は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類およびその酸無水物;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸類およびその酸無水物;ハイミック酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式時カルボン酸類及びその酸無水物;ならびに上記ジカルボン酸類の低級アルキルエステル(例えば、炭素原子数1〜3のモノアルコールとのエステル)等が好ましい。
一方、上記多価アルコール成分に相当する化合物は、特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、キシリレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA等のジオール類が挙げられる。他にも、これらの化合物のアルキレンオキサイド付加物(例えば、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。
特に、上記ポリエステル樹脂は、水分散性ポリエステルを含むことが好ましい。つまり、水分散性ポリエステルを主成分として含むことが好ましい。かかる水分散性ポリエステルは、例えば、ポリマー中に親水性官能基(例えば、スルホン酸金属塩基、カルボキシル基、エーテル基、リン酸基などの親水性官能基等のうち1種または2種以上)を導入することにより水分散性を高めたポリエステルなどが挙げられる。ポリマー中に親水性官能基を導入する手法としては、親水性官能基を有する化合物を共重合させる方法、ポリエステルまたはその前駆体(例えば、多価カルボン酸成分、多価アルコール成分、それらのオリゴマー等)を変性して親水性官能基を生じさせる方法等の公知の手法が挙げられる。好ましい水分散性ポリエステルとしては、親水性官能基を有する化合物が共重合されたポリエステル(共重合ポリエステル)が挙げられる。
本発明の表面保護フィルムにおいて、トップコート層のバインダとして用いられるポリエステル樹脂は、特に限定されないが、飽和ポリエステルを主成分とするものであってもよく、不飽和ポリエステルを主成分とするものであってもよい。中でも、トップコート層のバインダとして用いられるポリエステル樹脂は、上記ポリエステル樹脂の主成分が飽和ポリエステルであるものが好ましい。特に、水分散性が付与された飽和ポリエステル(例えば、飽和共重合ポリエステル)を主成分とするポリエステル樹脂がより好ましい。
このようなポリエステル樹脂(水分散液の形態に調製されたものも含む)は、公知の方法により合成することができ、あるいは市販品を容易に入手することができる。
上記ポリエステル樹脂の分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、0.5×104〜15×104(好ましくは1×104〜6×104)が好ましい。また、上記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、0〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜80℃である。
上記トップコート層は、本発明の表面保護フィルムの性能(例えば、透明性、耐スクラッチ性、耐白化性等の性能)を損なわない範囲で、バインダとして、ポリエステル樹脂以外の樹脂(例えば、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、アクリル−スチレン樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリシラザン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂等から選択される1種または2種以上の樹脂)をさらに含有していてもよい。特に、本発明の表面保護フィルムにおいて、トップコート層のバインダは、実質的にポリエステル樹脂のみからなることが好ましい。例えば、該バインダに占めるポリエステル樹脂の割合が98〜100重量%であるトップコート層が好ましい。トップコート層全体に占めるバインダの割合は、特に限定されないが、50〜95重量%とすることが好ましく、より好ましくは60〜90重量%である。
<滑り剤>
本発明の表面保護フィルムにおける上記トップコート層は、滑り剤(滑り性付与成分)として(ワックスとして)、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル(以下「ワックスエステル」ともいう。)を含む。ここで、「高級脂肪酸」とは、炭素原子数が8以上(好ましく10以上、より好ましくは10以上40以下)のカルボン酸(特に一価のカルボン酸)をいう。また、「高級アルコール」とは、炭素原子数が6以上(好ましくは10以上、より好ましくは10以上40以下)のアルコール(特に一価または二価のアルコール、より好ましくは一価のアルコール)をいう。このようなワックスエステルと上記バインダ(ポリエステル樹脂)とを組み合わせて含む組成のトップコート層は、高温多湿条件に保持されても白化しにくい。したがって、かかるトップコート層を有する本発明の表面保護フィルムは、より外観品位の高いものとなる。
本発明の表面保護フィルムにおいて、上記構成のトップコート層により優れた耐白化性(例えば、高温多湿条件に保持されても白化しにくい性質)が実現される理由は明らかではないが、以下の理由が推測される。すなわち、従来使用されているシリコーン系滑剤は、トップコート層の表面にブリードすることにより該表面に滑り性を付与する機能を発揮するものと推測される。しかし、これらシリコーン系滑剤は、保存条件(温度、湿度、経時等)の違いによってブリードの程度が変動しやすい。このため、例えば、通常の保存条件(例えば、25℃、50%RH)に保持された場合に表面保護フィルムの製造直後から比較的長期間(例えば約3ヶ月)にわたって適度な滑り性が得られるようにシリコーン系滑剤の使用量を設定すると、この表面保護フィルムが高温多湿条件(例えば、60℃、95%RH)で2週間保存された場合には、滑剤のブリードが過剰に進行してしまう。このように過剰にブリードしたシリコーン系滑剤は、トップコート層(ひいては表面保護フィルム)を白化させる。
本発明の表面保護フィルムでは、滑り剤としてのワックスエステルと、トップコート層のバインダとしてのポリエステル樹脂という特定の組合せを採用されている。かかる滑り剤とバインダとの組合せによると、上記ワックスエステルのトップコート層からのブリードの程度が保存条件の影響を受けにくい。このことによって表面保護フィルムの耐白化性が向上したものと考えられる。
上記ワックスエステルは、特に限定されないが、下記一般式(W)で示される化合物であることが好ましい。また、上記ワックスエステルは、下記一般式(W)で示される化合物を1種含むものであってもよいし、2種以上含むものであってもよい。
X−COO−Y (W)
ここで、上記式(W)中のXおよびYは、それぞれ独立に、炭素原子数10〜40(好ましくは10〜35、より好ましくは14〜35、さらに好ましくは20〜32)の炭化水素基である。上記炭素原子数が小さすぎると、トップコート層に滑り性を付与する効果が不足しがちとなる場合がある。上記炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、飽和炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、芳香族の環を含む構造であってもよく、かかる芳香環を含まない構造(脂肪族性炭化水素基)であってもよい。また、脂肪族性の環を含む構造の炭化水素基(脂環式炭化水素基)であってもよく、鎖状(直鎖状および分岐鎖状を包含する意味である。)の炭化水素基であってもよい。
上記ワックスエステルは、上記式(W)におけるXおよびYが、それぞれ独立に、炭素原子数10〜40の鎖状アルキル基(より好ましくは直鎖状アルキル基)である化合物が好ましい。かかる化合物の具体例としては、セロチン酸ミリシル(CH3(CH224COO(CH229CH3)、パルミチン酸ミリシル(CH3(CH214COO(CH229CH3)、パルミチン酸セチル(CH3(CH214COO(CH215CH3)、ステアリル酸ステアリル(CH3(CH216COO(CH217CH3)等が挙げられる。
上記ワックスエステルの融点は、特に限定されないが、50℃以上であることが好ましく、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、特に好ましくは75℃以上である。かかるワックスエステルによると、より高い耐白化性を得ることができる。また、上記ワックスエステルは、融点が100℃以下であることが好ましい。かかるワックスエステルは、滑り性を付与する効果が高いので、より耐スクラッチ性の高いトップコート層を形成することができる。上記ワックスエステルの融点が100℃以下であると、該ワックスエステルの水分散液を調製しやすくなるので、好ましい。例えば、セロチン酸ミリシルが好ましく挙げられる。
上記トップコート層の原料としては、特に限定されないが、上記ワックスエステルを含有する天然ワックスが挙げられる。かかる天然ワックスとしては、不揮発分(NV)基準で、上記ワックスエステルの含有割合(2種以上のワックスエステルを含む場合にはそれらの含有割合の合計)が50重量%以上(好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上)のものが好ましく挙げられる。例えば、カルナバワックス(例えば、セロチン酸ミリシルを60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上の割合で含む。)、パームワックス等の植物性ワックス;蜜ロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス等の天然ワックスを用いることができる。使用する天然ワックスの融点は、特に限定されないが、50℃以上(より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、特に好ましくは75℃以上)であることが好ましい。また、上記トップコート層の原料は、化学的に合成されたワックスエステルであってもよく、天然ワックスを精製して該ワックスエステルの純度を高めたものであってもよい。これらの原料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
トップコート層全体に占める滑り剤の割合は、特に限定されないが、5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40重量%である。滑り剤の含有割合が5重量%以上であると、良好な耐スクラッチ性が得やすくなり、好ましい。また、滑り剤の含有割合が50重量%以下であると、耐白化性の向上効果が得やすくなり、好ましい。
本発明の表面保護フィルムでは、効果を損なわない範囲で、トップコート層が、上記ワックスエステルに加えて他の滑り剤を含んでいてもよい。このような他の滑り剤としては、特に限定されないが、例えば、石油系ワックス(パラフィンワックス等)、鉱物系ワックス(モンタンワックス等)、高級脂肪酸(セロチン酸等)、中性脂肪(パルミチン酸トリグリセリド等)のような各種ワックスが挙げられる。さらには、上記トップコート層には、上記ワックスエステルに加えて、一般的なシリコーン系滑剤、フッ素系滑剤等を補助的に含有されていてもよい。本発明の表面保護フィルムでは、かかるシリコーン系滑剤、フッ素系滑剤等を実質的に含有しない(これらの合計含有量がトップコート層全体の0.01重量%以下、もしくは検出限界以下であること)ことが好ましい。なお、滑剤とは別の目的で(例えば、後述するトップコート形成用コーティング剤の消泡剤として)用いられるシリコーン系化合物の含有を排除するものではない。
本発明の表面保護フィルムにおけるトップコート層は、必要に応じて、帯電防止成分、架橋剤、酸化防止剤、着色剤(顔料、染料等)、流動性調整剤(チクソトロピー剤、増粘剤等)、造膜助剤、界面活性剤(消泡剤、分散剤等)、防腐剤等の添加剤を含有していてもよい。
<トップコート層の帯電防止成分>
本発明の表面保護フィルムでは、上記トップコート層は、滑り剤としてのワックス、バインダとしてのポリエステル樹脂に加え、帯電防止成分を含有することが好ましい。本発明の表面保護フィルムが帯電防止に優れていると、例えば、液晶セルや半導体装置等のように静電気を嫌う物品の加工や搬送工程等において好ましく用いることができる。
トップコート層に帯電防止成分が含まれると、表面保護フィルムに耐スクラッチ性および帯電防止性の両方を付与することができる。したがって、帯電防止のために独自の層(帯電防止層)が設けられた構成(例えば、基材背面とトップコート層との間に帯電防止層が配置された構成)とは異なり、表面保護フィルムを構成する層の数を増やすことなく該表面保護フィルムに帯電防止性を付与し、あるいはその帯電防止性を高めることができる。このことは、表面保護フィルム越しに被着体の外観検査を行う場合における被着体表面の視認性向上等の観点から有利である。また、表面保護フィルムの生産性の観点からも好ましい。
上記帯電防止成分は、表面保護フィルムの帯電を防止または抑制する作用を発揮し得る成分である。トップコート層に帯電防止成分を含有させる場合、その帯電防止成分としては、特に限定されないが、例えば、有機または無機の導電性物質(有機導電性物質、無機導電性物質)、各種の帯電防止剤等が挙げられる。上記帯電防止成分は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記有機導電性物質としては、特に限定されないが、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基等のカチオン性官能基を有するカチオン型帯電防止剤;スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤;アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体等の両性イオン型帯電防止剤;アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体等のノニオン型帯電防止剤;上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基(例えば、4級アンモニウム塩基)を有するモノマーを重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体;ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンイミン、アリルアミン系重合体等の導電性ポリマーなどが挙げられる。上記有機導電性物質は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、上記無機導電性物質としては、特に限定されないが、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)等が挙げられる。なお、このような無機導電性物質は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記帯電防止剤としては、特に限定されないが、例えば、カチオン型帯電防止剤、アニオン型帯電防止剤、両性イオン型帯電防止剤、ノニオン型帯電防止剤、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有する単量体を重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体等を用いてもよい。
本発明の表面保護フィルムでは、上記トップコート層に用いられる帯電防止成分は、有機導電性物質を含むことが好ましい。上記有機導電性物質としては、特に限定されないが、良好な帯電防止性と高い耐スクラッチ性との両立の点より、各種の導電性ポリマーを好ましく挙げられる。導電性ポリマーとしては、特に限定されないが、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンイミン、アリルアミン系重合体等が好ましく挙げられる。このような導電性ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、上記導電性ポリマーなどの有機導電性物質は、他の帯電防止成分(無機導電性物質、帯電防止剤等)と組み合わせて用いられてもよい。上記導電性ポリマーの使用量は、特に限定されないが、トップコート層に含まれるバインダ100重量部に対して、10〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは25〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部である。導電性ポリマーの使用量が10重量部以上であると、良好な帯電防止効果が得やすくなり、好ましい。また、150重量部以下であると、トップコート層における導電性ポリマーの相溶性を十分に得て、トップコート層の良好な外観品位や良好な耐溶剤性が得やすくなり、好ましい。
本発明の表面保護フィルムにおいて、好ましい導電性ポリマーとしては、ポリチオフェンおよびポリアニリンが挙げられる。ポリチオフェンとしては、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」と表記する。)が40×104以下(より好ましくは30×104以下)であるものが好ましい。また、ポリアニリンとしては、Mwが50×104以下(より好ましくは30×104以下)であるものが好ましい。また、これら導電性ポリマーのMwは、0.1×104以上(より好ましくは0.5×104以上)であることが好ましい。なお、本明細書中においてポリチオフェンとは、無置換または置換チオフェンの重合体をいう。特に、置換チオフェン重合体としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が好ましい。
上記トップコート層を形成する方法として、トップコート層形成用のコーティング剤を基材に塗布して乾燥または硬化させる方法を採用する場合、該コーティング剤の調製に用いる導電性ポリマーは、該導電性ポリマーが水に溶解または分散した形態のもの(導電性ポリマー水溶液)が好ましい。かかる導電性ポリマー水溶液は、例えば、親水性官能基を有する導電性ポリマー(分子内に親水性官能基を有するモノマーを共重合させる等の手法により合成される。)を水に溶解または分散させることにより調製される。上記親水性官能基としては、スルホ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドラジノ基、カルボキシル基、四級アンモニウム基、硫酸エステル基(−O−SO3H)、リン酸エステル基(例えば−O−PO(OH)2)などが挙げられる。かかる親水性官能基は塩を形成していてもよい。ポリチオフェン水溶液の市販品としては、ナガセケムテック社製の商品名「デナトロン」シリーズが挙げられる。また、ポリアニリンスルホン酸水溶液の市販品としては、三菱レイヨン社製の商品名「aqua−PASS」が挙げられる。
本発明の表面保護フィルムでは、上記コーティング剤の調製にポリチオフェン水溶液を使用することが好ましく、ポリスチレンスルホネート(PSS)を含むポリチオフェン水溶液(ポリチオフェンにPSSがドーパントとして添加された形態であってもよい。)の使用がより好ましい。かかる水溶液は、ポリチオフェン:PSSを1:1〜1:10の質量比で含有するものであってもよい。上記水溶液におけるポリチオフェンとPSSとの合計含有量は、特に限定されないが、1〜5重量%であることが好ましい。このようなポリチオフェン水溶液の市販品としては、H.C.Stark社の商品名「ベイトロン(Baytron)」が挙げられる。
なお、上記のようにPSSを含むポリチオフェン水溶液を用いる場合には、ポリチオフェンとPSSとの合計量は、特に限定されないが、バインダ100重量部に対して5〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
上記トップコート層は、必要に応じて、導電性ポリマーと、他の1種または2種以上の帯電防止成分(導電性ポリマー以外の有機導電性物質、無機導電性物質、帯電防止剤など)とを共に含んでもよい。本発明の表面保護フィルムでは、上記トップコート層は、導電性ポリマー以外の帯電防止成分を実質的に含有しないことが特に好ましい。すなわち、上記トップコート層に含まれる帯電防止成分は実質的に導電性ポリマーのみであることが特に好ましい。
<架橋剤>
本発明の表面保護フィルムでは、トップコート層が架橋剤を含有することが好ましい。このような架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。かかる架橋剤によれば、耐スクラッチ性の向上、耐溶剤性の向上、印字密着性の向上、摩擦係数の低下(すなわち、滑り性の向上)のうち少なくとも1つの効果を得ることができる。中でも、上記架橋剤は、メラミン系架橋剤であることが好ましい。また、上記トップコート層は、架橋剤として実質的にメラミン系架橋剤のみを含む層、すなわち、メラミン系架橋剤以外の架橋剤を実質的に含有しない層であってもよい。
<トップコート層の形成>
上記トップコート層の形成方法は、特に限定されない。上記トップコート層は、上記バインダ、上記滑り剤、及び必要に応じて添加される添加剤を適当な溶媒に分散または溶解した液状組成物(トップコート層形成用のコーティング組成物)を基材に塗布することを含む手法によって形成されることが好ましい。例えば、上記トップコート層の形成方法としては、上記コーティング組成物を基材の第一面に塗布して乾燥させ、必要に応じて硬化処理(熱処理、紫外線処理など)を行う手法が好ましく挙げられる。上記コーティング組成物のNVは、特に限定されないが、5重量%以下(例えば0.05〜5重量%)であることが好ましく、より好ましくは1重量%以下(例えば0.10〜1重量%)である。厚さの薄いトップコート層を形成する場合には、上記コーティング組成物のNVを、0.05〜0.50重量%(特に0.10〜0.30重量%)とすることが好ましい。このように低NVのコーティング組成物を用いることにより、より均一なトップコート層が形成される。
トップコート層形成用の上記コーティング組成物を構成する溶媒としては、トップコート層形成成分を安定して溶解または分散し得るものが好ましい。かかる溶媒は、有機溶剤、水、またはこれらの混合溶媒であってもよい。上記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル等のエステル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル類;n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等の脂肪族または脂環族アルコール類;アルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなど)、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられる。また、上記有機溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、トップコート層形成用の上記コーティング組成物を構成する溶媒としては、水または水を主成分とする混合溶媒(例えば、水とエタノールとの混合溶媒)が好ましく挙げられる。
<トップコート層の性状>
本発明の表面保護フィルムにおけるトップコート層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは3〜500nm、より好ましくは4〜100nm、さらに好ましくは5〜60nmである。トップコート層の厚さが500nm以下であると、表面保護フィルムにおいて良好な透明性(光線透過性)が得やすくなり、好ましい。また、3nm以上であると、トップコート層を均一に形成することが容易となり(例えば、トップコート層の厚さにおいて、場所による厚さのバラツキが小さくなり)、このため表面保護フィルムの外観にムラが生じにくくなり、好ましい。
特に、本発明の表面保護フィルムでは、トップコート層の厚さは、特に限定されないが、より外観品位に優れたものを得る点より、3nm以上50nm未満であることが好ましく、より好ましくは3nm以上30nm未満、さらに好ましくは4nm以上20nm未満、最も好ましくは5nm以上11nm未満である。表面保護フィルムの外観品位が優れていると、表面保護フィルム越しに製品(被着体)の外観検査をより精度よく行うことができる。上記トップコート層の厚さが小さいことは、基材の特性(光学特性、寸法安定性等)に及ぼす影響が少ないという観点からも好ましい。
上記トップコート層の厚さは、該トップコート層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察することにより把握することができる。例えば、目的の試料(トップコート層が形成された基材、該基材を備える表面保護フィルム等)について、トップコート層を明瞭にする目的で重金属染色処理を行った後、樹脂包埋を行い、超薄切片法により試料断面のTEM観察を行うことにより、把握することができる。TEMとしては、日立社製のTEM、型式「H−7650」等が挙げられる。後述する実施例では、加速電圧:100kV、倍率:60,000倍の条件で得られた断面画像について、二値化処理を行った後、視野内のサンプル長さでトップコートの断面積を除算することでトップコート層の厚さ(視野内の平均厚さ)を実測した。
なお、重金属染色を行わなくてもトップコート層を十分明瞭に観察し得る場合には、重金属染色処理を省略してもよい。あるいは、TEMにより把握される厚さと、各種の厚さ検出装置(例えば、表面粗さ計、干渉厚み計、赤外分光測定機、各種X線回折装置等)による検出結果との相関につき、検量線を作成して計算を行うことにより、トップコート層の厚さを求めてもよい。
本発明の表面保護フィルムでは、上記トップコート層の表面における表面抵抗率は、特に限定されないが、1012Ω以下であることが好ましく、より好ましくは106Ω〜1012Ωである。かかる表面抵抗率を示す表面保護フィルムは、例えば、液晶セルや半導体装置等のように静電気を嫌う物品の加工または搬送過程等において使用される表面保護フィルムとして好ましく利用される。特に、表面抵抗率が1011Ω以下(好ましくは5×106〜1010Ω、より好ましくは107〜109Ω)の表面保護フィルムがより好ましい。上記表面抵抗率の値は、市販の絶縁抵抗測定装置を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で測定される表面抵抗の値から算出することができる。
本発明の表面保護フィルムでは、上記トップコート層の摩擦係数は、特に限定されないが、0.4以下であることが好ましい。このような摩擦係数の低いトップコート層によると、該トップコート層に荷重(スクラッチ傷を生じさせるような荷重)が加わった場合に、その荷重をトップコート層の表面に沿って受け流し、該荷重による摩擦力を軽減することができる。このことによって、トップコート層の凝集破壊(トップコート層がその内部で破壊する損傷態様)や界面破壊(トップコート層が基材背面から剥がれる損傷態様)が起こりにくくなる。したがって、トップコート層の摩擦係数を小さくすると、表面保護フィルムにスクラッチ傷を生じる事象をよりよく防止することができる。摩擦係数の下限は特に限定されないが、他の特性(外観品位、印字性等)とのバランスを考慮して、摩擦係数を0.1以上(例えば0.1以上0.4以下)とすることが適当であり、0.15以上(例えば0.15以上0.4以下)とすることが好ましい。上記摩擦係数としては、例えば、23℃、50%RHの測定環境下において、トップコート層の表面を垂直荷重40mNで擦過して求められる値を採用することができる。上記ワックスエステル(滑り剤)の使用量は、上記の好ましい摩擦係数が実現されるように設定されることが好ましい。上記摩擦係数の調整には、例えば、架橋剤の添加や成膜条件の調整によりトップコート層の架橋密度を高めることも有効である。
本発明の表面保護フィルムは、その背面(トップコート層の表面)が、油性インキにより(例えば、油性マーキングペンを用いて)容易に印字できる性質を有することが好ましい。かかる表面保護フィルムは、該表面保護フィルムを貼り付けた状態で行われる被着体(例えば光学部品)の加工や搬送等の過程において、保護対象たる被着体の識別番号等を上記表面保護フィルムに記載して表示するのに適している。したがって、外観品位に加えて印字性にも優れた表面保護フィルムが好ましい。例えば、溶剤がアルコール系であって顔料を含むタイプの油性インキに対して高い印字性を有することが好ましい。また、印字されたインキが擦れや転着により取れにくい(すなわち、印字密着性に優れる)ことが好ましい。本発明の表面保護フィルムは、また、印字を修正または消去する際に該印字をアルコール(例えばエチルアルコール)で拭き取っても外観に目立った変化を生じない程度の耐溶剤性を有することが好ましい。この耐溶剤性の程度は、例えば、後述する耐溶剤性評価により把握することができる。
本発明の表面保護フィルムにおけるトップコート層は、滑り剤としてのワックスエステルを含有するので、該トップコート層の表面にさらなる剥離処理(例えば、シリコーン系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤等の公知の剥離処理剤を塗布して乾燥させる処理)を施さなくても、十分な滑り性(例えば、上述した好ましい摩擦係数)を得ることができる。このようにトップコート層の表面にさらなる剥離処理が施されていない態様は、剥離処理剤に起因する白化(例えば、加熱加湿条件下に保存されることによる白化)を未然に防止し得る等の点で好ましい。また、耐溶剤性の点からも有利である。
<アクリル系粘着剤層>
本発明の表面保護フィルムは、上記基材の第二面(前面)側にアクリル系粘着剤層を有する。中でも、上記基材の第二面にアクリル系粘着剤層を有することが好ましい。
上記アクリル系粘着剤層は、下記(1)の特性を有する。
(1)本発明の表面保護フィルムのアクリル系粘着剤層表面を下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記表面保護フィルムを剥離した後の、被着体X表面の水接触角Aが70°以下(例えば55〜70°)。
被着体X:水接触角が80〜100°であるハードコートフィルム
本明細書において、本発明の表面保護フィルムを上記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記表面保護フィルムを剥離した後の、被着体X表面の水接触角を、「水接触角A」と称する場合がある。
水接触角は、後述の(評価)の「5.水接触角」に記載の方法によって測定することができる。
上記水接触角Aは、70°以下(例えば55〜70°)であり、例えば、好ましくは、65°以下(例えば55〜65°)である。上記水接触角Aが70°以下であることにより、表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面の他の層に対する濡れ性に優れる。そのため、他の層のハジキ性(粘着剤や塗料などがはじかれて、均一に付着しない性質)が低減される。
本発明の表面保護フィルムを被着体から剥離した後に、被着体表面に設けられる上記他の層としては、特に限定されないが、例えば、型番「SVR7000シリーズ」(デクセリアルズ社製)商品名「WORLD ROCK HRJ−21」(協立化学産業社製)などの液状の層間充填剤を塗布して設けられる層、層間接着剤などを塗布して設けられる層、光学用透明粘着テープ(例えば商品名「LUCIACS CS9886U」(日東電工社製)など)を貼付して設けられた層、が挙げられる。中でも、反射が防止され、映り込みが起こりにくくなるという観点から、アクリル系ポリマーからなる層(例えば、商品名「LUCIACS CS9886U」(日東電工社製)など)が好ましい。
上記アクリル系粘着剤層は、さらに、下記(2)の特性も有する。
(2)本発明の表面保護フィルムのアクリル系粘着剤層表面を下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体X表面に対する、アクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)が、下記被着体X表面に対するアクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)よりも高い。
被着体X:水接触角が80〜100°であるハードコートフィルム
本明細書において、本発明の表面保護フィルムを被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、表面保護フィルムを剥離した後の被着体X表面に対する、アクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)を、「粘着力A」と称する場合がある。また、上記被着体X表面(粘着テープを貼り付けるなどの処理をしていない被着体X表面)に対するアクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)を、「粘着力B」と称する場合がある。
すなわち、本発明のアクリル系粘着剤層は、上記粘着力Aを上記粘着力Bよりも高くする特性を有する。
上記粘着力Aは、特に限定されないが、例えば、7.0〜7.6N/19mmが好ましく、より好ましくは7.2〜7.6N/19mmである。
上記粘着力Aと上記粘着力Bとの差は、特に限定されないが、例えば、0.1N/19mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.3N/19mm以上、さらに好ましくは0.6N/19mm以上である。
上記粘着力Aは、本発明の表面保護フィルムが貼り合わされていた被着体X表面に、長さ70mm、幅19mmのアクリルテープ片(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着面を温度23℃、湿度30%で貼り付け、0.25MPa、300mm/分で圧着することにより貼付し、温度23℃、湿度30%で30分間放置した後、引張試験機を用いて測定した180°ピール粘着力(温度23℃、湿度30%RH、剥離角度180°、引張速度300mm/分)(N/19mm)をいうものとする。上記粘着力Bは、上記被着体X表面(粘着テープを貼り付けるなどの処理をしていない被着体X表面)にアクリルテープ片を貼り付ける以外は、上記粘着力Aと同様の方法で測定した180°ピール粘着力をいうものとする。より具体的には、後述の(評価)の「6.アクリルテープNo.31Bの粘着力」に記載の方法によって測定することができる。
上記特性(1)及び(2)の測定に用いる被着体Xの水接触角(被着体Xであるハードコールフィルムのハードコート層側表面の水接触角)は、80〜100°であり、より好ましくは85〜90°、さらに好ましくは86〜88°である。
上記アクリル系粘着剤層は、ベースポリマーとして、アクリル系ポリマーを含む。すなわち、上記アクリル系粘着剤層を形成するアクリル系粘着剤組成物は、ベースポリマーとして、アクリル系ポリマーを含むことが好ましい。上記アクリル系ポリマーは、構成モノマー成分として、アクリル系モノマー(分子中に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)を含むポリマーである。上記アクリル系ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書において、上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物を、単に「粘着剤組成物」と称する場合がある。
上記粘着剤組成物としては、特に限定されないが、ベースポリマーを必須成分とする粘着剤組成物、モノマー混合物又はその部分重合物を必須成分とする粘着剤組成物などが挙げられる。ベースポリマーを必須成分とする粘着剤組成物としては、いわゆる溶剤型の粘着剤組成物が挙げられる。また、モノマー混合物又はその部分重合物を必須成分とする粘着剤組成物としては、いわゆる活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物が挙げられる。また、上記粘着剤組成物は、必要に応じて、界面活性剤などの各種添加剤が含まれていてもよい。なお、上記「モノマー混合物」とは、ベースポリマーを構成するモノマー成分の混合物を意味する。上記「モノマー混合物」とは、モノマー成分のみからなる組成物であり、モノマー成分として1種のみを含む場合もモノマー混合物に含まれる。また、上記「部分重合物」とは、上記モノマー混合物のうち1又は2以上の成分が部分的に重合している組成物を意味する。
上記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。中でも、炭素数7〜13のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくは、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレートである。
上記アクリル系モノマーは、単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)に対する上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、特に限定されないが、例えば、70重量%以上(例えば、70〜98重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合が85重量%以上であることにより、本発明の表面保護フィルムが被着体への密着しやすくなる。
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、さらにヒドロキシル基含有モノマーを含んでいることが好ましい。上記ヒドロキシル基含有モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。
上記ヒドロキシル基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)に対する上記ヒドロキシル基含有モノマーの割合は、特に限定されないが、例えば、0.1〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜13重量%であり、さらに好ましくは3〜11重量%であり、特に好ましくは6〜10重量%である。ヒドロキシル基含有モノマーの割合が0.1重量%以上であることにより、架橋点ができ凝集力が得られるため、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面に糊残りが生じにくく、剥離した後の被着体表面の均一な濡れ性、粘着性の効果が得られる。ヒドロキシル基含有モノマーの割合が15重量%以下であることにより、本発明の表面保護フィルムが被着体に過度に密着し重剥離化することを防ぐ。特に6〜10重量%の場合には、表面保護フィルムの剥離性と被着体表面と他の層との密着性の両立が図れる表面保護フィルムを得ることができる。
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分に、アクリル系ポリマーに架橋構造を導入することができ、必要な凝集力が得られるという観点から、例えば、多官能モノマーが含まれていてもよい。
上記多官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N´−メチレンビスアクリルアミドなどが挙げられる。
上記多官能モノマーは、単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)に対する上記多官能モノマーの割合は、特に限定されないが、例えば、0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。多官能モノマーの割合が、0.1重量%以上であることにより、柔軟性、接着性に優れる。多官能モノマーの割合が、30重量%以下であることにより、凝集力が高くなりすぎず、適度な粘着力が得られる。
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、特に限定されないが、さらにアルキレンオキシド基含有反応性モノマーを含んでいることが好ましい。
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーのオキシアルキレン単位の平均付加モル数としては、特に限定されないが、界面活性剤を使用した場合の界面活性剤との相溶性の観点から3〜40であることが好ましく、より好ましくは4〜35、さらに好ましくは5〜30である。上記平均付加モル数が3以上の場合、界面活性剤使用による被保護体の汚染低減効果が効率よく得られる傾向がある。また、上記平均付加モル数が40より大きい場合、界面活性剤との相互作用が大きく、被着体表面への濡れ性向上効果が低下する傾向があるため好ましくない。なお、オキシアルキレン鎖の末端は、水酸基のままや、他の官能基などで置換されていてもよい。
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーの含有量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)に対して、10重量%以下が好ましく、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。アルキレンオキシド基含有反応性モノマーの含有量が10重量%超えると、粘着剤組成物の凝集力が低くなり易く、被着体への汚染性から好ましくない。
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーのオキシアルキレン単位としては、炭素数1〜6のアルキレン基を有するものがあげられ、例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられる。オキシアルキレン鎖の炭化水素基は直鎖でもよく、分岐していてもよい。
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーは、例えば、エチレンオキシド基を有する反応性モノマーであることがより好ましい。エチレンオキシド基を有する反応性モノマーを構成成分として有するアクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いることにより、ベースポリマーと界面活性剤との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物や、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有する反応性界面活性剤などがあげられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。
また、上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーとしての上記反応性界面活性剤の具体例としては、例えば、(メタ)アクリロイル基またはアリル基を有するアニオン型反応性界面活性剤、ノニオン型反応性界面活性剤、カチオン型反応性界面活性剤などがあげられる。
アニオン型反応性界面活性剤としては、例えば、式(A1)〜(A10)で表されるものなどがあげられる。
Figure 0006258681
[式(A1)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、R3およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(A2)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2およびR7は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R3およびR5は同一または異なって、水素またはアルキル基を表し、R4およびR6は同一または異なって、水素、アルキル基、ベンジル基またはスチレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(A3)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2は炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(A4)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、R3およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(A5)中のR1は炭化水素基、アミノ基、カルボン酸残基を表し、R2は炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の整数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(A6)中のR1は炭素数1から30の炭化水素基、R2は水素または炭素数1から30の炭化水素基を表し、R3は水素またはプロペニル基を表し、R4は炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(A7)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R3は炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(A8)中のR1およびR5は同一または異なって、水素またはメチル基を表し、R2およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R3は炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(A9)中のR1は炭素数1から6のアルキレン基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(A10)中のR1、R2、およびR3は同一または異なって、水素またはメチル基を表し、R4は炭素数0から30の炭化水素基(炭素数0の場合はR4がないことを示す)を表し、R5およびR6は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
上記式(A1)〜(A6)、および(A10)中のXは、アニオン性親水基を表す。アニオン性親水基としては、下記式(a1)〜(a2)で表されるものがあげられる。
Figure 0006258681
[式(a1)中のM1は水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表す。]。
Figure 0006258681
[式(a2)中のM2およびM3は同一または異なって、水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表す。]。
上記ノニオン型反応性界面活性剤としては、例えば、式(N1)〜(N6)で表されるものなどがあげられる。
Figure 0006258681
[式(N1)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、R3およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(N2)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2、R3およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数n、m、およびlは0〜40であって、(n+m+l)が3〜40となる数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(N3)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2およびR3は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R4は炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(N4)中のR1およびR2は同一または異なって、炭素数1から30の炭化水素基を表し、R3は水素またはプロペニル基を表し、R4は炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(N5)中のR1およびR3は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R2およびR4は同一または異なって、水素、炭素数1から30の炭化水素基、またはアシル基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
Figure 0006258681
[式(N6)中のR1、R2、およびR3は同一または異なって、水素またはメチル基を表し、R4は炭素数0から30の炭化水素基(炭素数0の場合はR4がないことを示す)を表し、R5およびR6は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーとしては、例えば、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマー50POEP−800B(以上、いずれも日本油脂社製)、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430(以上、いずれも花王社製)、アデカリアソープER−10、アデカリアソープNE−10(以上、いずれも旭電化工業社製)など市販品を用いてもよい。
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分には、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、上記ヒドロキシル基含有モノマー、上記多官能モノマー、上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマー以外のモノマー(他のモノマー)が含まれていてもよい。上記他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマー、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ビニルエーテルモノマー、N−アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。中でも、凝集力、耐熱性を向上させる観点から、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーが好ましい。また、接着力の向上や、架橋下記点として働く官能基を有するという観点から、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ビニルエーテルモノマー、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。
上記他のモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
上記ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられる。
上記芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどが挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N´−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
上記イミド基含有モノマーとしては、例えば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどが挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
上記エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
上記ビニルエーテルモノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)に対する上記他のモノマーの割合は、特に限定されないが、例えば、0〜40重量%(0重量%より多く40重量%以下)であることが好ましく、0〜35重量%(0重量%より多く35重量%以下)であることがより好ましく、0〜30重量%(0重量%より多く30重量%以下)であることが特に好ましい。
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、被着体に対する粘着力の上昇性を抑制するという観点から、カルボキシル基含有モノマー、スルホ基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、酸無水物基含有モノマーを含まないことが好ましい。即ち、上記その他のモノマーには、カルボキシル基含有モノマー、スルホ基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、酸無水物基含有モノマーが含まれないことが好ましい。
上記アクリル系ポリマーは、上記モノマー成分を重合することにより得ることができる。重合方法としては、特に限定されないが、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、光重合(活性エネルギー線重合)などが挙げられる。中でも、コストや生産性の観点から、溶液重合方法が好ましい。得られるアクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
上記溶液重合方法としては、特に限定されないが、例えば、上記モノマー成分、重合開始剤などを、溶剤に溶解し、加熱して重合し、アクリル系ポリマーを含むアクリル系ポリマー溶液を得る方法が挙げられる。
溶液重合方法に用いられる上記溶剤としては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤(重合溶剤)としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。
上記溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記溶剤の配合割合は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、10〜1000重量部が好ましく、より好ましくは50〜500重量部である。
溶液重合方法に用いられる重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤などが挙げられる。上記過酸化物系重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、パーオキシカーボネート、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルなどが挙げられ、より具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカンなどが挙げられる。上記アゾ系重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)ヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレートなどが挙げられる。
上記重合開始剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記重合開始剤の配合割合は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3重量部である。
上記溶液重合方法で、加熱して重合する際の加熱温度としては、特に限定されないが、例えば、50〜80℃が挙げられる。加熱時間としては、特に限定されないが、例えば、1〜24時間が挙げられる。
上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物中の上記アクリル系ポリマーの含有量は、特に限定されないが、例えば、粘着剤組成物全量(100重量%)に対して、70重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物中の上記アクリル系ポリマーの含有量が70重量%以上であることにより、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面と他の層との粘着力が一層高くなる。
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、10万〜500万が好ましく、より好ましくは20万〜400万、さらに好ましくは30万〜300万である。重量平均分子量が10万より小さい場合は、凝集力が小さくなり、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面に糊残りが生じ、剥離した後の被着体表面の均一な濡れ性、粘着性の効果が得られない場合がある。重量平均分子量が500万を超えると、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面の濡れ性が不充分となる場合がある。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定して得られたものをいう。より具体的には、例えば、GPC測定装置として、商品名「HLC−8220GPC」(東ソー(株)製)を用いて、下記の条件にて測定し、標準ポリスチレン換算値により算出することができる。
(分子量測定条件)
・サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:10μL
・サンプルカラム:TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
・リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流量:0.6mL/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度(測定温度):40℃
上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、例えば、0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下である。ガラス転移温度が0℃より高い場合は、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面の濡れ性が不充分となる場合がある。なお、上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の組成比を変えることにより、調整することができる。
ガラス転移温度(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tgn(℃)として、下記の式により求めることができる。
1/(Tg+273)=Σ〔Wn/(Tgn+273)〕
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wn(−)は各モノマーの重量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。〕
上記アクリル系ポリマーの酸価は、特に限定されないが、例えば、15以下であることが好ましい。酸価は、自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM−550)を用いて測定を行い、以下の式より算出できる。
A={(Y−X)×f×5.611}/M
A;酸価
Y;サンプル溶液の滴定量(ml)
X;混合溶媒50gのみの溶液の滴定量(ml)
f;滴定溶液のファクター
M;ポリマーサンプルの重量(g)。
測定条件は下記の通りである。
サンプル溶液:ポリマーサンプル約0.5gを混合溶媒(トルエン/2−プロパノール/蒸留水=50/49.5/0.5、重量比)50gに溶解してサンプル溶液とした。
滴定溶液:0.1N、2−プロパノール性水酸化カリウム溶液(和光純薬工業社製、石油製品中和価試験用)
電極:ガラス電極;GE−101、比較電極;RE−201
測定モード:石油製品中和価試験1。
上記アクリル系粘着剤層には、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面の濡れ性が一層向上するという観点から、さらに界面活性剤を含んでいることが好ましい。すなわち、上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、さらに界面活性剤を含むことが好ましい。
上記界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン脂肪酸エステル類などの非イオン性界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸アルカリ金属塩などのスルホコハク酸塩、高級脂肪酸アルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤、アルキレンオキシド基を有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤などが挙げられる。また、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有していてもよい。
上記界面活性剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
中でも、上記界面活性剤としては、本発明の表面保護フィルムを被着体に貼付した際、被着体表面に移行しやすく、また、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面と他の層との粘着力が一層高くなるという観点から、アニオン性界面活性剤が好ましい。中でも、特に優れた効果が得られるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類(特に、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム)、ジアルキルスルホコハク酸アルカリ金属塩(特にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)が挙げられる。
他にも、優れた効果が得られる界面活性剤として、下記の式(1)及び式(2)で挙げられる化合物が挙げられる。
Figure 0006258681
[式(1)中のRは、炭素数1〜12の炭化水素基(特に炭素数10の炭化水素基や炭素数12炭化水素基)を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]
Figure 0006258681
[式(2)中のXはアニオン性親水基を表す。]
上記式(1)で挙げられる化合物及び上記(2)で挙げられる化合物におけるアニオン性親水基としては、上記式(a1)〜(a2)で表されるものがあげられる。
上記式(1)で挙げられる化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウムなど挙げられる。また、上記式(2)で挙げられる化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムなど挙げられる。
上記アニオン性界面活性剤は、一般の市販品を用いることができ、例えば、商品名「アクアロンHS−10」(第一工業製薬社製)、商品名「ネオコールP」(第一工業製薬社製)、商品名「ハイテノールN−08」(第一工業製薬社製)などが挙げられる。他にも、商品名「ハイテノールNF−13」(第一工業製薬社製)、商品名「ハイテノールNF−17」(第一工業製薬社製)、商品名「アクアロンKH−10」(第一工業製薬社製)などが挙げられる。
上記界面活性剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物の全重量(100重量%)に対して、0.1〜4重量%が好ましく、より好ましくは0.15〜3重量%である。
また、上記界面活性剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.2〜4重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.3〜3重量部である。中でも、アニオン性界面活性剤の配合量(含有量)が、例えば、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.2〜4重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.3〜3重量部である。アクリル系ポリマー100重量部に対する界面活性剤の配合量が、0.2重量部以上であることにより、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面の濡れ性が一層向上する。4重量部以下であることにより、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面と他の層との粘着力が一層高くなる)。
上記アクリル系粘着剤層は、適度な凝集力が得られるという観点から、さらに架橋剤を含んでいてもよい。すなわち、上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、さらに架橋剤を含んでいてもよい。上記架橋剤としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、および金属キレート系架橋剤などが用いられる。中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。
上記架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートHL」日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物などが挙げられる。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N´,N´−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名「TETRAD−X」三菱瓦斯化学社製)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名「TETRAD−C」三菱瓦斯化学社製)などが挙げられる。
上記架橋剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物の全重量(100重量%)に対して、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%である。
また、上記架橋剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは2〜9重量部、特に好ましくは6〜8重量部である。アクリル系ポリマー100重量部に対する架橋剤の配合量が、0.01重量部以上であることにより、凝集力が得られるため、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面に糊残りが生じにくく、剥離した後の被着体表面の均一な濡れ性、粘着性の効果が得られる。15重量部以下であることにより、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面の濡れ性が一層向上する。特に6〜8重量部であることにより剥離した後の被着体表面の均一な濡れ性と軽剥離な粘着性の両立効果が得られる。
上記アクリル系粘着剤層は、さらに架橋触媒を含んでいてもよい。すなわち、上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、さらに架橋触媒を含んでいてもよい。上記架橋触媒としては、特に限定されず、例えば、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ナーセム第二鉄、ブチルスズオキシド、ジオクチルスズジラウレートなどの金属系架橋触媒(特にスズ系架橋触媒)が挙げられる。
上記架橋触媒は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
上記架橋触媒の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物の全重量(100重量%)に対して0.004〜0.05重量%が好ましく、より好ましくは0.004〜0.03重量%である。
また、上記架橋触媒の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.001〜0.05重量部が好ましく、より好ましくは0.003〜0.04重量部、さらに好ましくは0.005〜0.03重量部である。アクリル系ポリマー100重量部に対する上記架橋触媒の配合量が上記範囲であることにより、架橋が速やかに進行するため、生産性を向上させることができる。
上記アクリル系粘着剤層は、さらに架橋遅延剤を含んでいてもよい。すなわち、上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、さらに架橋遅延剤を含んでいてもよい。上記架橋遅延剤としては、特に限定されず、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ−ケトエステルや、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン等のβ−ジケトンが挙げられる。中でも、アセチルアセトンが好ましい。
上記架橋遅延剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
上記架橋遅延剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物の全重量(100重量%)に対して0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%である。
また、上記架橋遅延剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。アクリル系ポリマー100重量部に対する上記架橋遅延剤の配合量が上記範囲であることにより、粘着剤の可使時間を延長することができる。
上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、さらに溶剤が含まれていてもよい。すなわち、上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、溶剤系粘着剤組成物であってもよい。上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物における溶剤としては、例えば、上述の溶液重合方法に用いられる溶剤が挙げられる。上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物における溶剤は、溶液重合方法に用いられる溶剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物における溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、老化防止剤、着色剤(顔料や染料など)、帯電防止剤、粘着付与樹脂などの添加剤を含んでいてもよい。
上記アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、特に限定されないが、例えば、必要に応じて加えられる上記アクリル系ポリマー、上記架橋剤、上記架橋触媒、上記架橋遅延剤、及びその他の添加剤等を混合して調製することができる。
<アクリル系粘着剤層の形成方法>
本発明の表面保護フィルムにおけるアクリル系粘着剤層は、例えば、上記粘着剤組成物を上記基材の第二面に直接付与(塗布)して乾燥または硬化させる方法(直接法)により形成することができる。また、上記粘着剤組成物を剥離ライナーの表面(剥離面)に付与(塗布)して乾燥または硬化させることで該表面上にアクリル系粘着剤層を形成し、このアクリル系粘着剤層を基材フィルムに貼り合わせて該アクリル系粘着剤層を転写する方法(転写法)により形成することができる。アクリル系粘着剤層の投錨性の観点から、通常は上記直接法が好ましい。上記粘着剤組成物を塗布する際には、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、ダイコーターによるコート法等の、表面保護フィルムの分野において従来公知の各種方法が用いられてもよい。本発明の粘着剤組成物の乾燥は、必要に応じて加熱下で行うことができる。例えば、60〜150℃に加熱することにより行うことができる。他にも、本発明の粘着剤組成物を硬化させる手段としては、紫外線、レーザー線、α線、β線、γ線、X線、電子線等の活性エネルギー線を照射することが挙げられる。
上記アクリル系粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、1〜50μmが好ましく、より好ましくは1〜35μm、さらに好ましくは3〜25μmである。
上記アクリル系粘着剤層中の上記アクリル系ポリマーの含有量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系粘着剤層100重量%に対して、75重量%以上であることが好ましく、より好ましくは85重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。上記アクリル系粘着剤層中の上記アクリル系ポリマーの含有量が90重量%以上であることにより、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面と他の層との粘着力が一層高くなる。
本発明の表面保護フィルムにおけるアクリル系粘着剤層の表面は、剥離ライナー(セパレータ)によって保護されていてもよい。上記剥離ライナーの基材(ライナー基材)としては、特に限定されないが、例えば、紙やプラスチックフィルムなどが挙げられる。ライナー基材における上記プラスチックフィルム(樹脂フィルム)としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムなど)、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。ライナー基材の表面がポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン系樹脂など)により、ラミネート処理されていてもよい。
上記剥離ライナーのうち、アクリル系粘着剤層に貼り合わされる面には、離型剤(例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系、脂肪酸アミド系等)あるいはシリカ粉等を用いて、離型または防汚処理が施されていてもよい。
上記剥離ライナーの厚さは、特に限定されないが、例えば、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは15〜30μmである。
本発明の表面保護フィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば、25〜220μmが好ましく、より好ましくは25〜120μmである。
<表面保護フィルムの性能>
本発明の表面保護フィルムは、23℃、50%RHの測定環境下において測定される剥離帯電圧が、被着体(偏光板)側、表面保護フィルム側ともに±1kV以内(より好ましくは±0.8kV以内、さらに好ましくは±0.7kV以内)となる帯電防止性能を示すことが好ましい。特に、23℃、25%RHの測定環境(低湿度環境)下において測定される剥離帯電圧が、被着体側、表面保護フィルム側ともに±1kV以内(より好ましくは±0.8kV以内、さらに好ましくは±0.7kV以内)となる帯電防止性能を示す事が好ましい。少なくとも表面保護フィルム側の剥離帯電圧が、50%RHの測定条件、25%RHの測定条件のいずれの場合にも±0.1kV以内である表面保護フィルムが好ましい。
本発明の表面保護フィルムは、基材、トップコート層およびアクリル系粘着剤層に加えて、さらに他の層を含んでいてもよい。かかる「他の層」の配置としては、基材の第一面(背面)とトップコート層との間、基材の第二面(前面)とアクリル系粘着剤層との間等が挙げられる。基材背面とトップコート層との間に配置される層は、例えば、帯電防止成分を含む層(帯電防止層)であってもよい。基材前面とアクリル系粘着剤層との間に配置される層は、例えば、上記第二面に対するアクリル系粘着剤層の投錨性を高める下塗り層(アンカー層)、帯電防止層等であってもよい。基材前面に帯電防止層が配置され、該帯電防止層の上にアンカー層が配置され、その上にアクリル系粘着剤層が配置された構成の表面保護フィルムであってもよい。
本発明の表面保護フィルムは、例えば、ロール状に巻回された形態や、フィルムが積層された形態であってもよい。
本発明の表面保護フィルムでは、例えば図1に示すように、基材12の背面12Aにトップコート層14が直接設けられていることが好ましい。すなわち、基材背面12Aとトップコート層14との間に他の層(例えば帯電防止層)が介在しないこと(基材の第一面にトップコート層が設けられていること)が好ましい。かかる構成によると、基材背面12Aとトップコート層14との間に他の層を介在した構成に比べて、基材背面12Aとトップコート層14との密着性を高めることができる。したがって、より耐スクラッチ性に優れた表面保護フィルムが得やすくなる。
本発明の表面保護フィルムでは、例えば図1に示すように、基材12の前面12Bにアクリル系粘着剤層20が直接設けられていることが好ましい。即ち、前面12Bとアクリル系粘着剤層20との間に他の層が介在しないこと(基材の第二面にアクリル系粘着剤層が設けられていること)が好ましい。かかる構成にすることにより、基材とアクリル系粘着剤層との密着性が向上する。
また、本発明の表面保護フィルムは、例えば図3に示すように、被着体50に貼り付けられた表面保護フィルム1の背面(トップコート層14の表面)1Aに粘着テープ60を貼り付け、その粘着テープ(ピックアップテープ)60を引っ張って被着体50から表面保護フィルム1の少なくとも一部を持ち上げる操作(ピックアップ操作)により、被着体表面から剥離されてもよい。ピックアップテープ60としては、特に限定されないが、基材(好ましくは樹脂フィルム)64と、その片面に設けられた粘着剤層62とを備える片面粘着テープが好ましい。粘着剤層62を構成する粘着剤の種類は、特に限定されないが、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系、シリコーン系、ポリアミド系、フッ素系などの各種粘着剤が挙げられる。なお、このような各種粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。粘着剤層62の厚さは、特に限定されないが、3〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜30μmである。
ここで、表面保護フィルム1の背面1Aに対するピックアップテープ60の粘着力(以下、「背面剥離強度」と称する場合がある。)が、その粘着剤層62を構成する粘着剤の種類によって大きく異なると、使用するピックアップテープ60の選択自由度が低くなることがある。また、かかる背面剥離強度の相違は、ピックアップテープ60を用いて表面保護フィルム1を被着体50から除去する作業者を戸惑わせ、作業効率の低下や作業負荷の増大を招くおそれがある。一方、一般的なピックアップテープは、入手容易性やコストの観点から、アクリル系粘着剤からなる粘着剤層(アクリル系粘着剤層)を備えるアクリル系ピックアップテープ、ゴム系粘着剤からなる粘着剤層(ゴム系粘着剤層)を備えるゴム系ピックアップテープが多い。したがって、これら代表的な2種類のピックアップテープが比較的近い背面剥離強度を示す表面保護フィルムが好ましい。
本発明の表面保護フィルムに係るトップコート層は、滑り剤としてワックスエステルを含有する。かかる組成のトップコート層は、例えば上記ワックスエステルの代わりにシリコーン系滑剤を含む組成のトップコート層に比べて、ピックアップテープの粘着剤層の種類による背面剥離強度の違いが小さい(すなわち、背面剥離強度のピックアップテープ粘着剤依存性が小さい)傾向にあるので好ましい。
上記ピックアップテープの基材は、上記ピックアップ操作を行い得る強度および柔軟性を有するものであればよく、特に限定されない。例えば、表面保護フィルムの基材と同様の樹脂フィルムが好ましく挙げられる。他にも、天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート;ポリウレタン、ポリクロロプレンゴム、ポリエチレン等を発泡させてなる発泡体シート;クラフト紙、クレープ紙、和紙等の紙;綿布、スフ布等の布;セルロース系不織布、ポリエステル不織布、ビニロン不織布等の不織布;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;これらの複合体等が挙げられる。上記ピックアップシートの基材の厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、10〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜200μmである。
好ましい一態様に係る表面保護フィルムでは、アクリル系粘着剤層を有するピックアップテープ(例えば、日東電工社製の商品名「No.31B」)の背面剥離強度をFa(N/20mm)とし、ゴム系粘着剤層を有するピックアップテープ(例えば、ニチバン社製の商品名「セロテープ(登録商標)」)の背面剥離強度をFr(N/20mm)とした場合に、|Fa−Fr|が1.5(N/20mm)以下が好ましく、より好ましくは1.2(N/20mm)以下であり、さらに好ましくは1.0(N/20mm)以下である。かかる特性を有する表面保護フィルムは、背面剥離強度のピックアップテープ粘着剤依存性が小さい。したがって、上記ピックアップ操作における使用感が良いので好ましい。
なお、上記背面剥離強度は、23℃、50%RHの測定条件下にて、表面保護フィルムの背面にピックアップテープを貼り付け、30分間放置した後、該背面から上記ピックアップテープを剥離速度0.3m/分、剥離角度180度の条件で剥離し、このときの剥離強度を測定することにより得られる。測定に使用するピックアップテープの幅W1(mm)が20mmとは異なる場合には、その剥離強度に20/W1を乗じることにより、20mm幅における剥離強度に換算することができる。通常は、幅が10〜30mm(例えば15〜25mm)のピックアップテープを用いて背面剥離強度を測定することが好ましい。
上記背面剥離強度FaおよびFrは、いずれも3.0N/20mm以上であることが好ましく、より好ましくは4.0N/20mm以上、さらに好ましくは5.0N/20mm以上である。背面剥離強度が低すぎると、被着体表面から表面保護フィルムをピックアップできずに該表面保護フィルムの背面からピックアップテープが剥がれてしまうことがあり得る。背面剥離強度の上限は特に限定されない。通常は、Fa,Frがいずれも20N/20mm以下(例えば10N/20mm以下)であることが適当である。
好ましい一態様に係る表面保護フィルムは、上記背面剥離強度FaおよびFrのいずれか小さいほうの値(以下「(Fa,Fr)min」と表記することもある。単位はN/20mm。)と、該表面保護フィルムを被着体(典型的には偏光板。)に圧着して30分間放置した後、該被着体から剥離速度0.3m/分、剥離角度180°の条件で剥離して測定される剥離強度Fp(N/25mm)との関係が、次式:[(Fa,Fr)min/Fp]≧5;を満たすことが好ましい。(Fa,Fr)min/Fpが小さすぎると、被着体表面から表面保護フィルムをピックアップできずに該表面保護フィルムの背面からピックアップテープが剥がれてしまうことがあり得る。ピックアップ操作をより効率よく行うためには、(Fa,Fr)min/Fpが8以上が好ましく、より好ましくは10以上、さらに好ましくは25以上、特に好ましくは50以上である。(Fa,Fr)min/Fpの値の上限は特に限定されないが、200以下が好ましい。
なお、上記剥離強度Fp(N/25mm)は、23℃、50%RHの測定条件下にて、適当な幅の長尺状に裁断した表面保護フィルム(試験片)の粘着面を被着体(例えば、プレーン偏光板)に貼り付け、30分間放置した後、剥離速度0.3m/分、剥離角度180°の条件で剥離し、このときの剥離強度を測定することにより得られる。測定に使用する表面保護フィルムの幅W2(mm)が25mmとは異なる場合には、その剥離強度に25/W2を乗じることにより、25mm幅における剥離強度に換算することができる。通常は、幅10〜30mm(例えば20〜30mm)の試験片を用いて剥離強度Fpを測定することが好ましい。
本発明の表面保護フィルムにおけるトップコート層は、滑り剤として特定のワックス(すなわち、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル)を含有し、そのバインダとしてポリエステル樹脂を含有するため、高温多湿条件下においてもトップコート層の白化を効果的に抑制することができる。かかるトップコート層を背面に有する基材は、滑り剤を含有するので耐スクラッチ性が良く、しかも耐白化性に優れたものとなり得る。したがって、上記基材を備えた表面保護フィルムは、より外観品位の高いものとなり得る。
本発明の表面保護フィルムは、本発明の表面保護フィルムを上記被着体Xの表面に貼り付け、剥離した後の、被着体X表面の上記水接触角Aを70°以下(例えば50〜70°など)とすることができる表面保護フィルムである。
本発明の表面保護フィルムは、上記被着体X以外にも、例えば、アクリル板などの被着体に貼付した場合でも、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面の水接触角を低減させ、表面保護フィルムを貼り付けていた被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面を、被着体表面が他の層に対する濡れ性に優れる状態にすることができる。
本発明の表面保護フィルムは、上記粘着力Aを上記粘着力Bよりも高くすることができる表面保護フィルムである。
一般的に、被着体に貼付した表面保護フィルムを剥がす際に、表面保護フィルムの粘着剤層の一部が被着体に残り、被着体表面の汚染により、被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面と他の層との密着性(粘着性)は低下することが多い。しかしながら、本発明の表面保護フィルムは、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の被着体表面の密着性が向上する。
粘着剤組成物に界面活性剤が含まれると、被着体表面に界面活性剤が移行することで、本発明の表面保護フィルムを剥離した後の水接触角が低くなりやすく、他の層に対する濡れ性が一層優れる。また、他の層のハジキ性が低減する。特に、アニオン性界面活性剤は、被着体表面に移行しやすいため、他の層に対する濡れ性の向上効果が大きい。中でも、上記アクリル系粘着剤層に、アクリル系ポリマー及びアニオン性界面活性剤が含まれると、被着体表面にアニオン性界面活性剤とアクリル系ポリマーが移行し、アニオン性界面活性剤とアクリル系ポリマーが相互作用して他の層との密着性を向上させるためか、被着体表面の他の層に対する濡れ性が一層向上し、且つ被着体表面と他の層との密着性に一層優れる。特に、この効果は、粘着剤の一部が剥がれる場合と異なり、被着体全面に均一に得られる。
本発明の表面保護フィルムは、特に限定されないが、例えば、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有する部材の表面を保護し、且つ剥離した後に、本発明の表面保護フィルムを貼り付けていた被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面を、被着体表面が他の層に対する濡れ性に優れ、被着体表面と他の層との密着性に優れる状態する用途、及び/又は表面保護フィルム越し行う製品の外観検査用途などに用いられる。即ち、光学的特性を有する部材の表面保護フィルムであることが好ましく、より好ましくは、光学的特性を有する部材の表面保護、濡れ性向上、密着性向上用の表面保護フィルムである。
本発明の表面保護フィルムは、例えば、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の構成要素として用いられる光学部材の製造時、搬送時等に該光学部材を保護する用途に好適である。即ち、本発明の表面保護フィルムは、例えば、光学部材用(光部材用の表面保護フィルム)、光学部品用(光学部品用の表面保護フィルム)などとして用いられることが好ましい。
上記光学部材としては、特に限定されないが、例えば、表示装置(画像表示装置)や入力装置等の光学製品を構成する部材又はこれらの機器(光学製品)に用いられる部材が挙げられ、具体的には、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルム、ITOガラスなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板、光拡散シート、反射シート、これらが積層されている部材などが挙げられる。中でも、偏光板(偏光フィルム)、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、光拡散シート、反射シート等の光学部材が好ましく、より好ましくは液晶ディスプレイパネル用の偏光板、特に好ましくは上記被着体Xである。
本発明の表面保護フィルムを剥離した被着体に他の層を設ける方法としては、特に限定されないが、例えば、被着体に本発明の表面保護フィルムを貼付する工程(貼付工程)、本発明の表面保護フィルムを被着体から剥離する工程(剥離工程)、被着体表面に他の層を設ける工程(他の層を設ける工程)を含む方法が挙げられる。
上記貼付工程における被着体としては、例えば、上述の光学的特性を有する部材が挙げられる。中でも、上記被着体Xが好ましい。被着体に本発明の表面保護フィルムを貼り付ける際の温度及び圧力としては、例えば、温度0〜50℃、圧力1〜10atmが挙げられる。
上記貼付工程の後に、温度0〜50℃で1〜120時間静置させる工程(静置工程)を含んでいてもよい。静置する工程により、本発明の表面保護フィルムから、密着性を向上させる成分が、被着体表面に一層転写しやすくなる。
上記剥離工程において、剥離条件としては、例えば、引張速度300〜100000mm/分、剥離角度(引張角度)90〜180°が挙げられる。なお剥離工程における温度は、上記貼付工程や、静置工程と同じであってもよいし、異なっていてもよい。剥離工程における温度としては、例えば温度0〜50℃が挙げられる。
上記他の層を設ける工程は、上記剥離工程に連続して設けられてもよいし、間隔(例えば1〜24時間)が空いてもよい。
上記他の層を設ける工程における他の層としては、例えば、上述のものが挙げられる。中でも、上記層間充填剤を塗布して設けられた層が好ましい。
本発明の表面保護フィルムを貼付した被着体に他の層を設ける方法によれば、被着体と他の層とが密着性に優れる。
[光学部材]
本発明の光学部材は、本発明の表面保護フィルムを含む。本発明の光学部材としては、例えば、表示装置(画像表示装置)や入力装置等の光学製品を構成する部材又はこれらの機器(光学製品)に用いられる部材に本発明の表面保護フィルムを貼付したものなどが挙げられる。光学製品を構成する部材又はこれらの機器に用いられる部材としては、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルム、ITOガラスなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板、これらが積層されている部材などが挙げられる。中でも、偏光板が好ましい。
本発明の光学部材において、1の本発明の表面保護フィルムが貼付されていてもよいし、2以上の本発明の表面保護フィルムが貼付されていてもよい。
本発明の光学部材は、部材の表面全体が表面保護フィルムで覆われていてもよいし、表面の一部が表面保護フィルムで覆われていてもよい。中でも、コストの観点から、輸送や組み立て工程において傷つきやすい面にのみ表面保護フィルムを設けることが好ましい。
なお、貼付される本発明の表面保護フィルムの形状、大きさは特に限定されない。また、本発明の表面保護フィルムを貼付する方法も特に限定されない。
本発明の光学部材は、特に限定されないが、例えば、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有することが好ましい。
本発明の光学部材によれば、表面保護フィルムを貼り付けたまま外観検査を行うことができるため、外観検査の効率が向上する。また、表面保護フィルムを設けた部分は、傷がつきにくく、輸送や製品組み立ての作業の効率が向上する。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。また、以下の説明中の各特性は、それぞれ次のようにして測定又は評価した。
1.耐白化性評価
実施例及び比較例で得られた表面保護フィルムの背面(トップコート層の表面)を、手袋をはめた試験者が厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで1回強く擦り、その擦られた部分(擦過部)が周囲(非擦過部)と比べて透明に抜けるか否かを目視にて観察した。その結果、非擦過部と擦過部との透明性の違いが目視で確認できた場合には、白化が認められたと判定した。白化が顕著になると、透明な擦過部とその周囲(白化した非擦過部)とのコントラストが、よりはっきりする現象がみられる。
上記目視観察は、以下のとおり、暗室(反射法、透過法)および明室において行った。
(a)暗室での反射法による観察:外光を遮った室内(暗室)にて、各例に係る表面保護フィルムの背面(トップコート層の表面)から100cmの位置に100Wの蛍光灯(三菱電機株式会社製、商品名「ルピカライン」)を配置し、視点を変えながらサンプルの背面を目視観察した。
(b)暗室での透過法による観察:上記暗室にて、表面保護フィルムの前面(トップコート層が設けられた側とは反対側の表面)から10cmの位置に上記蛍光灯を配置し、視点を変えながらサンプルの背面を目視観察した。
(c)明室での観察:外光の入る窓を有する室内(明室)にて、晴天の日中に、直射日光の当たらない窓際にてサンプルの背面を目視観察した。
これら3種類の条件下における観察結果を、以下の5段階で表記した。
0:いずれの観察条件においても白化(擦過部と非擦過部とのが透明に)は認められ
なかった。
1:暗室での反射法による観察において僅かな白化が認められた。
2:暗室での透過法による観察において僅かな白化が認められた。
3:明室での観察において僅かな白化が認められた。
4:明室での観察において明らかな白化が認められた。
上記の耐白化性評価を、初期(作製後、50℃、15%RHの条件下に3日間保持した
もの)および加熱加湿後(作製後、50℃、15%RHの条件下に3日間保持し、さらに
60℃、95%RHという高温多湿条件下に2週間保持したもの)の表面保護フィルムに
ついて行った。
2.表面保護フィルム外観
表面保護フィルム作製前に、表面保護フィルムに用いるトップコート付き基材について、外光の入る窓を有する室内(明室)にて、晴天の日中に、直射日光の当たらない窓際にて、背面(トップコート層側の表面)を目視観察した。そして、ムラやスジが確認されなかったものをトップコート付き基材の外観が良好と評価し、ムラやスジが確認されたものをトップコート付き基材の外観が不良と評価した。
次に、表面保護フィルム作製後、表面保護フィルムのアクリル系粘着剤層表面の状態を目視で観察し、縦10cm、横10cmの観察範囲内の欠点(凹み及び気泡)の個数を測定した。そして、外見欠点の個数が0〜100個である場合、アクリル系粘着剤層の外観が良好と評価し、外観欠点の個数が101個以上である場合、アクリル系粘着剤層の外観が不良と評価した。
そして、トップコート付き基材の外観及びアクリル系粘着剤層の外観の両方が良好と評価できる場合、表面保護フィルム外観を良好「○」と評価した。一方、トップコート付き基材の外観及びアクリル系粘着剤層の外観の両方が不良と評価できる場合、トップコート付き基材の外観が良好と評価でき、アクリル系粘着剤層の外観が不良と評価できる場合、及び、トップコート付き基材の外観が不良と評価でき、アクリル系粘着剤層の外観が良好と評価できる場合、表面保護フィルム外観を不良「×」と評価した。
3.耐溶剤性評価
上記暗室において、実施例及び比較例で得られた表面保護フィルムの背面(すなわち、トップコート層の表面)を、エチルアルコールを染み込ませたウェス(布)で5回拭き、その背面の外観を目視観察した。その結果、エチルアルコールで拭いた部分と他の部分との間に外観上の相違が確認されなかった場合(エチルアルコールで拭いたことによる外観変化がみられなかった場合)には耐溶剤性「良」、拭きムラが確認された場合には耐溶剤性「不良」と評価した。
4.背面剥離強度測定
図4に示すように、実施例及び比較例で得られた表面保護フィルム1を幅70mm、長さ100mmのサイズにカットし、この表面保護フィルム1のアクリル系粘着面(アクリル系粘着剤層が設けられた側)20Aを、両面粘着テープ130を用いてSUS304ステンレス板132上に固定した。
セロハンフィルム(基材)164上に天然ゴム系粘着剤162を有する片面粘着テープ(商品名「セロテープ(登録商標)」、ニチバン社製、幅24mm)を100mmの長さにカットした。この粘着テープ160の粘着面162Aを、表面保護フィルム1の背面(すなわち、トップコート層14の表面)1Aに、0.25MPaの圧力、0.3m/分の速度で圧着した。これを23℃、50%RHの条件下に30分間放置した。その後、万能引張試験機を用いて、表面保護フィルム1の背面1Aから粘着テープ160を、剥離速度0.3m/分、剥離角度180度の条件で剥離し、このときの剥離強度[N/24mm]を測定した。
なお、両面粘着テープ130は、上記背面剥離強度をより的確に測定するために、表面保護フィルム1の背面Aから粘着テープ160を剥離する際に該表面保護フィルム1が粘着テープ160に引っ張られてステンレス板132から浮き上がることを防止する目的で用いられるものであって、かかる目的に合うものを適宜選択して使用することができる。ここでは日東電工株式会社社製の商品名「No.500A」を使用した。
5.水接触角
実施例及び比較例で得られた表面保護フィルムを被着体(ハードコートフィルム)の表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、オートクレーブに投入して温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件で処理して密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し剥離した。水接触角測定装置(商品名「DM700」、協和界面化学社製)を用いて、液適法により、温度23℃、湿度30%RHの雰囲気下で、表面保護フィルムが貼付されていた被着体表面に、約2.8μLの水滴を滴下し、滴下から1秒後の被着体表面と滴下水滴端部の接線からなる角度を測定し、「水接触角(°)」とした。上記水接触角が70°以下の場合を良好「○」、70°より大きいの場合を不良「×」と評価した。
なお、何も処理をしていない被着体の水接触角は、87.6°であった。すなわち、本評価で用いた被着体は、水接触角が87.6°のハードコートフィルムである。
6.アクリルテープNo.31Bの粘着力
実施例及び比較例で得られた表面保護フィルムを被着体(ハードコートフィルム)の表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、オートクレーブに投入して温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件で処理して密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記表面保護フィルムを剥離した。その後、表面保護フィルムが貼り合わされていた被着体表面に、長さ70mm、幅19mmのアクリルテープ片(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着面を、温度23℃、湿度30%で貼り付け、0.25MPa、300mm/分で圧着することにより貼付し、温度23℃、湿度30%で30分間放置した後、引張試験機を用いて180°ピール粘着力(温度23℃、湿度30%RH、剥離角度180°、引張速度300mm/分)(N/19mm)を測定し、得られた値を「アクリルテープNo.31Bの粘着力(N/19mm)」とした。
何も処理をしていない被着体に対するアクリルテープNo.31Bの粘着力(N/19mm)は、6.91N/19mmであった。
表面保護フィルムを剥離した後の被着体に対するアクリルテープNo.31Bの粘着力(N/19mm)が、6.91N/19mmより高い場合を良好「○」、6.91N/19mm以下である場合を不良「×」と評価した。
なお、本評価で用いた被着体は、上記「5.水接触角」の評価で用いた被着体と同じである。
7.層間充填剤の濡れ性
実施例及び比較例で得られた表面保護フィルムを被着体の表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、オートクレーブに投入して温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件で処理して密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置した。その後、表面保護フィルムを貼り付けた被着体を、長さ40mm、幅40mmに切り取り、長さ50mm、幅50mmのガラス板に貼り付け、そのガラス板をスピンコーター(商品名「K−359SD1」、共和理研社製)に固定した。その後、表面保護フィルムを被着体から剥がし、表面保護フィルムが貼付されていた被着体表面に、層間充填剤として商品名「SVR7000シリーズ」(デクセリアルズ社製)を4ml塗布し、1500rpm、15秒回転させ、層間充填剤を均一に伸ばした。温度23℃、湿度30%にて1時間静置した後、層間充填剤が、被着体の縁からはじかれた距離を定規で測定した。
また、層間充填剤として商品名「WORLD ROCK HRJ−21」(協立化学産業社製)を用いて、同様の測定を行った。
「SVR7000シリーズ」及び「WORLD ROCK HRJ−21」の何れの層間充填剤を用いた場合でも、縁からはじかれた距離が2mmより短い場合を良好「○」、何れか一方又は両方の層間充填剤を用いた場合に、縁からはじかれた距離が2mm以上となる場合を不良「×」と評価した。
なお、何も処理をしていない被着体は、不良「×」であった。なお、本評価で用いた被着体は、上記「5.水接触角」の評価で用いた被着体と同じである。
8.層間充填剤の密着性
実施例及び比較例で得られた表面保護フィルムを被着体の表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、オートクレーブに投入して温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件で処理して密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記表面保護フィルムを剥離した。
表面保護フィルムが貼付されていた被着体表面に、アプリケーターを用いて、層間充填剤(商品名「SVR7000シリーズ」デクセリアルズ社製)を100μmの厚さとなるように塗布し、層間充填剤が空気に触れないようPETフィルムで被覆した。その後、5000mJ以上のUVを照射して、層間充填剤を硬化させた。硬化後、長さ70mm、幅25mmの大きさに切りだした。引張試験機を用いて、被着体に対する層間充填剤からなる層の180°ピール粘着力(温度23℃、湿度30%RH、剥離角度180°、引張速度300mm/分)(N/25mm)を測定した。
また、層間充填剤として、商品名「WORLD ROCK HRJ−21」(協立化学産業社製)を用いて、同様の測定を行った。
一方、光学用透明粘着テープ(商品名「LUCIACS CS9886U」日東電工社製)の軽剥離セパレータを剥離してPETフィルムを貼り付け、長さ70mm幅25mmに切りだした光学用透明粘着テープを用意した。上記光学用透明粘着テープの重剥離セパレータを剥離し、上記と同様にして表面保護フィルムを剥離した被着体の、表面保護フィルムが貼付されていた被着体表面に、上記光学用透明粘着テープの粘着面を温度23℃、湿度30%の条件で貼り付け、0.25MPa、300mm/分で圧着し、温度23℃、湿度30%で30分放置した。その後、引張試験機を用いて、被着体に対する光学用透明粘着テープの180°ピール粘着力(温度23℃、湿度30%RH、剥離角度180°、引張速度300mm/分)(N/25mm)を測定した。
層間充填剤の密着性を、被着体に対する層間充填剤からなる層の180°ピール粘着力が1.47N/25mより高く、且つ、被着体に対する光学用透明粘着テープの180°ピール粘着力が16.7N/25mmより高い場合(表面保護フィルムが貼付されていた被着体表面に対する商品名「SVR7000シリーズ」からなる層の180°ピール粘着力が何も処理していない被着体に対する商品名「SVR7000シリーズ」からなる層の180°ピール粘着力より高く、且つ、表面保護フィルムが貼付されていた被着体表面に対する商品名「WORLD ROCK HRJ−21」からなる層の180°ピール粘着力が何も処理していない被着体に対する商品名「WORLD ROCK HRJ−21」からなる層の180°ピール粘着力より高く、且つ、表面保護フィルムが貼付されていた被着体表面に対する上記光学用透明粘着テープの180°ピール粘着力が何も処理していない被着体に対する180°ピール粘着力より高い場合)を良好「○」、被着体に対する層間充填剤からなる層の180°ピール粘着力が1.47N/25m以下の場合、及び/又は被着体に対する光学用透明粘着テープの180°ピール粘着力が16.7N/25mm以下の場合を不良「×」と評価した。
なお、何も処理をしていない被着体に対する、商品名「SVR7000シリーズ」からなる層の180°ピール粘着力は、1.47N/25mmであった。
また、何も処理をしていない被着体に対する、光学用透明粘着テープの180°ピール粘着力は、16.7N/25mmであった。なお、本評価で用いた被着体は、上記「5.水接触角」の評価で用いた被着体と同じである。
(実施例1)
(コーティング剤の調製)
バインダとしてのポリエステル樹脂を25%含む分散液(商品名「バイナロールMD−1480」東洋紡株式会社製、(飽和共重合ポリエステル樹脂の水分散液)(バインダ分散液)を用意した。また、滑り剤としてのカルナバワックス(ワックスエステル)の水分散液(滑り剤分散液)を用意した。さらに、導電性ポリマーとしてのポリ(3,4−ジオキシチオフェン)(PEDOT)0.5%およびポリスチレンスルホネート(数平均分子量15万)(PSS)0.8%を含む水溶液(商品名「Baytron P」、H.C.Stark社製品)(導電性ポリマー水溶液)を用意した。
水とエタノールとの混合溶媒に、上記バインダ分散液を固形分量で100部と、上記滑り剤分散液を固形分量で30部と、上記導電性ポリマー水溶液を固形分量で50部と、メラミン系架橋剤とを加え、約20分間攪拌して十分に混合した。このようにして、NV約0.15%のコーティング剤を調製した。
(トップコート層の形成)
一方の面(第一面)にコロナ処理が施された厚さ38μm、幅30cm、長さ40cmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。このPETフィルムのコロナ処理面に上記コーティング剤をバーコーターで塗付し、130℃に2分間加熱して乾燥させた。このようにして、PETフィルムの第一面に厚さ10nmの透明なトップコート層を有する基材(トップコート付き基材)を作製した。
(粘着剤組成物の調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート200重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、溶剤として酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は54万、ガラス転移温度(Tg)は−68℃、酸価は0.0であった。
上記アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.3重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、日本ポリウレタン工業社製)3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(商品名「OL−1」、東京ファインケミカル社製、0.5重量%酢酸エチル溶液)0.03重量部、架橋遅延剤としてアセチルアセトンを全溶剤量に対して3重量部を加えて混合撹拌を行い、アクリル系粘着剤組成物を調製した。
(表面保護フィルムの作製)
PETフィルムの片面にシリコーン系剥離処理剤による剥離処理が施された離型シートを用意した。この離型シートの剥離面(上記剥離処理が施された面)上に上記アクリル系粘着剤組成物を塗付し、乾燥させて、厚さ20μmのアクリル系粘着剤層を形成した。そのアクリル系粘着剤層を上記トップコート付き基材の他方の面(第二面、すなわち上記トップコート層が設けられていない面)に貼り合わせた後、50℃、15%RHの環境下で3日間養生(エージング)して、表面保護フィルムを得た。
(実施例2)
実施例1と同様のバインダ分散液、滑り剤分散液、導電性ポリマー水溶液、及びメラミン系架橋剤を用いて、NV約0.3%のコーティング剤を調製した。
トップコート層の厚さを50nmとした以外は、実施例1と同様にして、PETフィルムの第一面に厚さ50nmの透明なトップコート層を有する基材(トップコート付き基材)を作製した。20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)を0.7重量部添加した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系粘着剤組成物を調製した。上記トップコート付き基材及び上記アクリル系粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして表面保護フィルムを得た。
(実施例3)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)を2重量部添加した以外は、実施例2と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(実施例4)
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)の代わりに、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を、20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して0.3重量部添加した以外は、実施例2と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(実施例5)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を0.5重量部添加した以外は、実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(実施例6)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を3重量部添加した以外は、実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(実施例7)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を1重量部添加した以外は、実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(実施例8)
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.3重量部の代わりに、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「ハイテノールNF−13」、第一工業製薬社製)0.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(実施例9)
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.3重量部の代わりに、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「ハイテノールNF−17」、第一工業製薬社製)0.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(実施例10)
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.3重量部の代わりに、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンKH−10」、第一工業製薬社製)0.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(比較例1)
界面活性剤を添加しなかった以外は、実施例2と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(比較例2)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)を0.1重量部添加した以外は、実施例2と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(比較例3)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)を5重量部添加した以外は、実施例2と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(比較例4)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を0.1重量部添加した以外は、実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(比較例5)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を5重量部添加した以外は、実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(比較例6)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)を0.7重量部添加する代わりに、ノニオン系界面活性剤であるポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(商品名「ラムテルPD−420」、花王社製)1重量部を添加した以外は、実施例2と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(比較例7)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.7重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、日本ポリウレタン工業社製)3重量部を添加する代わりに、ノニオン系界面活性剤である商品名「アデカプルロニック25R−1」、株式会社ADEKA製)0.7重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、日本ポリウレタン工業社製)4重量部を添加した以外は、実施例2と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び表面保護フィルムを作製した。
(比較例8)
(コーティング剤の調製)
水−アルコール溶媒中に、カチオン性高分子からなる帯電防止剤(商品名「ボンディップ−P主剤」、コニシ株式会社製)と、硬化剤としてのエポキシ樹脂(商品名「ボンディップ−P硬化剤」、コニシ株式会社製)とを、NV基準で100:46.7の質量比で含む溶液を用意した。この溶液を、実施例1で用いたものと同じPETフィルムのコロナ処理面(第一面)にNV基準で0.06g/m2で塗布して乾燥させることにより、厚さ80nmのトップコート層を形成した。次いで、上記トップコート層の表面に、長鎖アルキルカルバメート系の剥離処理剤(商品名「ピーロイル1010」、一方社油脂工業株式会社製品)をNV基準で0.02g/m2となるように塗付して乾燥させることにより、トップコート層に滑り性を付与し、トップコート付き基材を得た。
(粘着剤組成物の調製)
実施例1と同様の製法により得られた上記アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.3重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、日本ポリウレタン工業社製)4重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(商品名「OL−1」、東京ファインケミカル社製、0.5重量%酢酸エチル溶液)0.03重量部、架橋遅延剤としてアセチルアセトンを全溶剤量に対して3重量部を加えて混合撹拌を行い、アクリル系粘着剤組成物を調製した。
(表面保護フィルムの作製)
上記トップコート付き基材とアクリル系粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、表面保護フィルムを得た。
(評価)
上記の実施例及び比較例で得られた表面保護フィルムについて、耐白化性、表面保護フィルム外観、耐溶剤性、背面剥離強度、水接触角、アクリルテープNo.31Bの粘着力、層間充填剤の濡れ性、層間充填剤の密着性を、上記の方法により評価した。評価結果は、表1及び表2に示した。
Figure 0006258681
Figure 0006258681
1 :表面保護フィルム
1A:表面(背面)
12 :基材
12A:第一面(背面)
12B:第二面(前面)
14 :トップコート層
20 :アクリル系粘着剤層
20A:表面(粘着面)
30 :剥離ライナー
50 :被着体
60 :粘着テープ(ピックアップテープ)
62 :基材
64 :粘着剤層
114 :トップコート層
120A:粘着面
130 :両面粘着テープ
132 :ステンレス板
160 :粘着テープ
162 :粘着剤
162A:粘着面

Claims (6)

  1. 第一面および第二面を有する基材と、
    前記基材の前記第一面側に設けられたトップコート層と、
    前記基材の前記第二面側に設けられたアクリル系粘着剤層と、
    を備える表面保護フィルムであって、
    前記トップコート層は、滑り剤としてのワックスと、バインダとしてのポリエステル樹脂とを含み、
    前記ワックスが高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルであり、
    前記アクリル系粘着剤層が、ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマー、および、当該アクリル系ポリマー100重量部に対して0.2〜4重量部のアニオン性界面活性剤を含み、下記(1)および(2)の特性を有し、
    前記アニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ジアルキルスルホコハク酸アルカリ金属塩、下記式(1)で表される化合物、および、下記式(2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む、表面保護フィルム。
    (1)前記表面保護フィルムの前記アクリル系粘着剤層表面を下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、前記表面保護フィルムを剥離した後の、前記被着体X表面の水接触角Aが70°以下
    (2)前記表面保護フィルムの前記アクリル系粘着剤層表面を下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、前記表面保護フィルムを剥離した後の前記被着体X表面に対する、アクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)が、下記被着体X表面に対するアクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)よりも高い
    被着体X:水接触角が80〜100°であるハードコートフィルム
    Figure 0006258681
    [式(1)中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す]
    Figure 0006258681
    [式(2)中、Xはアニオン性親水基を表す]
  2. 前記基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムである請求項1に記載の表面保護フィルム。
  3. 前記トップコート層が、さらに帯電防止成分を含む請求項1又は2に記載の表面保護フィルム。
  4. 前記アニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム、およびポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の表面保護フィルム。
  5. 光学部材用の表面保護フィルムである請求項1〜4の何れか1項に記載の表面保護フィルム。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の表面保護フィルムを含む光学部材。
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