JP5784457B2 - 塗布フィルム - Google Patents

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本発明は、塗布フィルムに関し、さらに詳しくは優れた塗布外観および透明性を有し、かつ良好な帯電防止性と耐溶剤を示す塗布フィルムに関する。
ポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、透明性等の優れた特性を有することから、磁気記録媒体のベースフィルム、製版用フィルム、包装用フィルム、各種ディスプレイに用いられる光学用フィルムおよびその表面保護フィルムなど幅広い用途に使用されている。
しかし、プラスチックフィルム共通の問題として、静電気が発生して帯電しやすいと言う点が挙げられる。そのため、フィルム加工時あるいは加工製品の走行性不良や、周囲の埃等を引きつけるという問題を起こす。
一般に、ポリエステルフィルムの帯電防止方法としては、有機スルホン酸塩等の低分子量のアニオン性界面活性剤タイプの化合物を練り込む方法、金属化合物を蒸着する方法、アニオン性化合物やカチオン性化合物、あるいはいわゆる導電性化合物を表面に塗布する方法等がある。
アニオン性化合物を練り込む方法は、安価に製造できるという利点があるものの、帯電防止効果において限界がある。さらに低分子量化合物を用いるため、いわゆるブルーミングによりアニオン性化合物がポリエステルフィルム表面に集まり、ポリエステルフィルムと上塗り層との接着力が低下したり、アニオン性化合物がフィルムや搬送ロールに転着したりする等の問題が生じる。また、このため、帯電防止性能も低下する。
金属化合物を蒸着する方法は、帯電防止性が優れ、近年は透明導電性フィルムとして用途が拡大しているものの、製造コストが高く、特定の用途には向いているが、一般の帯電防止フィルムとしては利用し難い。
帯電防止剤として高分子量のカチオン性化合物またはアニオン性化合物をフィルムに塗布する方法は、上記のような欠点が少なく優れた方法として採用されている。特に、フィルム製造工程中で塗布を行う方法(インラインコーティング) が経済性およびその特性の面から広く行われている。
典型的な例としては、縦延伸後横延伸前に塗布を行い、横延伸および熱固定する方法がある。しかし、帯電防止性フィルムを表面保護フィルムの用途に使用する場合、保護フィルムを偏光板に貼り合せて裁断した際に、裁断面から微粘着層の粘着剤がはみ出し、偏光板を重ね合わしたときに保護フィルム表面に付着してしまうことがある。
この保護フィルムの表面に付着した粘着剤は製品の検品の障害になるため、粘着剤が付着した場合、エタノールやメタノール・酢酸エチルなどの有機溶剤で表面を拭い取る作業が通常行われているが、この作業により表面固有抵抗の劣化が起こり、保護フィルムとして十分な性能を発現できなくなることがあるので、表面保護フィルムの用途には、良好な透明性や塗布外観だけでなく耐溶剤性も要求される。
例えば、特許文献1には帯電防止性のフィルムが開示されているが、かかる帯電防止層は耐溶剤性に劣り、使用方法によっては十分とは言えない。
一方、特許文献2では帯電防止層の耐久性を高めたフィルムが開示されている。しかし、これらの化合物の多くは、しばしばその分子間凝集力の高さから、例えば上記のような塗布後に延伸を行う工程では、塗布層が延伸に追随できずに表面に細かな亀裂を生じ、結果として光の散乱による塗布層の白濁や塗布外観の悪化や塗布層の耐久性の低下といった問題を生じることが多い。
このような塗布層の白濁や塗布外観の悪化は、高度な透明性および塗布外観が要求される、各種ディスプレイに用いられる光学用フィルムやその表面保護フィルムの用途において、極めて大きな障害となる。
特開2002−275296号公報 特開2006−142544号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、優れた塗布外観および透明性を有し、かつ良好な帯電防止性と耐溶剤性を示す塗布フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の種類の化合物の組み合わせからなる塗布層を設けることにより、上記課題が解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの片面に、カチオン性基を有するポリマー化合物(A)、アルコキシシラン化合物(B)、および架橋剤を含有する塗布液を、最終的な被膜としてみた際に0.003〜1.5g/mの塗工量となるように塗布してなることを特徴とする塗布フィルムに存する。
本発明によれば、優れた塗布外観および透明性を有し、かつ良好な帯電防止性と耐溶剤性を示す塗布フィルムを提供することができ、その工業的な利用価値は高い。
本発明の塗布フィルムの基材フィルムは、熱可塑性高分子、特にポリエステルが好ましい。かかるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸等を共重合しても構わない。
本発明のポリエステルとしては、代表的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、その他に上記の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよく、必要に応じて他の成分や添加剤を含有していてもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルムの走行性を確保したり、キズが入ることを防いだりする等の目的で粒子を含有させることができる。このような粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、さらに、ポリエステル製造工程時の析出粒子等を用いることができる。
用いる粒子の粒径や含有量は、フィルムの用途や目的に応じて選択されるが、平均粒径に関しては、通常は0.01〜5.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなりすぎたり、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなったりすることがある。平均粒径が0.01μm未満では、表面粗度が小さすぎて、十分な易滑性が得られない場合がある。粒子含有量については、ポリエステルに対し、通常0.0003〜1.0重量% 、好ましくは0.0005〜0.5 重量%の範囲である。粒子含有量が0.0003重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、1.0重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
また、本発明のフィルム中には、適宜、各種安定剤、潤滑剤、帯電防止剤を加えることもできる。
本発明のフィルムの製膜方法としては、通常知られている製膜法を採用でき、特に制限はない。例えば、まず溶融押出によって得られたシートを、ロール延伸法により、70〜145 ℃ で2〜6倍に延伸して、一軸延伸ポリエステルフィルムを得、次いで、テンター内で先の延伸方向とは直角方向に80〜160℃で2〜6倍に延伸し、さらに、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことでフィルムが得られる。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、単層または多層構造である。多層構造の場合は、表層と内層、あるいは両表層を目的に応じ化学組成や配合組成が異なるポリエステルを使用することができる。
本発明のポリエステルフィルムは塗布層を有するが、塗布層はフィルムの片面のみに設けていても、両面に設けていてもよく、一方の面の塗布層が後述するものであり、もう一方の塗布層が異なる塗布層であってもよい。
本発明で用いられる帯電防止剤(A)としては、電子伝導ポリマー、電荷移動錯体化合物、導電性カーボン、界面活性剤など帯電性を付与できる材料であれば本発明の帯電防止剤(A)として使用することが可能であるが、フィルムの透明性や帯電防止性能、帯電防止性能の耐久性、価格などを総合的に鑑みると、カチオン性基もしくはアニオン性基を有するポリマー化合物を使用することが好ましい。
カチオン性基を有するポリマー化合物としては4級アンモニウム塩などを有する化合物が挙げられ、アニオン性基を有するポリマー化合物としてはスルホン酸基、硫酸エステル基、カルボキシル基、リン酸塩などを有する化合物が挙げられるが、塗布液中の他の成分との相溶性の観点から帯電防止剤(A)として4級アンモニウム塩を含有するカチオン性ポリマー化合物を用いるのが好ましい。
4級アンモニウム塩を含有するカチオン性ポリマー化合物とは分子中の主鎖や側鎖に、4級アンモニウム塩基を含む構成要素を持つ化合物を指す。そのような構成要素としては例えば、ピロリジウム環、アルキルアミンの4 級化物、さらにこれらをアクリル酸やメタクリル酸と共重合したもの、N−アルキルアミノアクリルアミドの4級化物、ポリアリルアミンの4級化物、ビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩、2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。さらに、これらを組み合わせて、あるいは他の樹脂と共重合させても構わない。また、これらの4級アンモニウム塩の対イオンとして用いるアニオン種には特に制限は無いが、例えば、ハロゲン化物イオン、アルキルサルフェートイオン、アルキルスルホネートイオン、硝酸イオン等のアニオンが一般的に用いられる。
本発明では、上記の4級アンモニウム塩を含有するカチオン性ポリマー化合物の中でも、塗布フィルムの製膜時における高温による、帯電防止剤の分解を防ぐ観点から、主鎖構造に4級アンモニウム塩を含有しているカチオン性ポリマー化合物を用いることが好ましく、共重合によりかかるカチオン性ポリマー化合物中にメチロールやエポキシ等の反応性基を導入した化合物の使用は、架橋剤との反応等により塗膜強度を強め、耐溶剤性を向上させる観点からさらに好ましい。
また、このようなカチオン性ポリマー化合物の例としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの単独重合体あるいは共重合体などが好例である。
カチオン性ポリマー化合物の数平均分子量は、通常は1000以上、好ましくは2000以上、さらに好ましくは5000以上であることが望ましい。分子量がこの範囲より低い場合は、塗布層中から容易に除去されて経時的に性能の低下を引き起こしたり、塗布層がべたついたりするおそれがある。また、分子量が低いと耐熱安定性に劣る場合もある。
また一方で、かかる化合物は分子量が高すぎる場合は、塗布液の粘度が高くなりすぎて塗工性を悪化させる等の不具合を生じる場合がある。そのような不具合を生じないためには、数平均分子量が500000以下、好ましくは100000以下であることが好ましい。
塗布液の総固形分に占める帯電防止剤(A)の比率は、固形分重量比で5%〜90%の範囲が好ましく、より好ましくは10%〜80%の範囲、さらに好ましくは20%〜70%の範囲である。帯電防止剤の比率が、この範囲より小さい場合には、塗布層の帯電防止性能が不十分となる傾向があり、この範囲より大きいと塗布層の透明性や塗布層の耐久性が劣る場合がある。
本発明における塗布層を設けるための塗布液には、アルコキシシラン化合物(B)を含む。
本発明におけるアルコキシシラン化合物(B)とは、Si(OR)(n=1〜4)の構造を有する化合物であり、Rは通常メチル基もしくはエチル基であるが、例えばブチル基やイソプロピル基など合成上可能であるならば、どのようなアルキル基やその誘導体の基であってもよく、さらに本発明においてはアルコキシシラン化合物(B)を複数種併用して使用することも可能である。
本発明におけるアルコキシシラン化合物(B)には、フィルム物性の発現機構は不明であるが、特に良好な塗布外観、透明性および耐溶剤性を有する塗布フィルムを再現良く得ることができるので、シランカップリング剤をアルコキシシラン化合物(B)として用いることが好ましい。
シランカップリング剤とは、分子中に反応性基部位Xとアルコキシル基部位ORの2つを含有する、一般式:X―Si(OR)で表されるアルコキシシラン化合物のことであるが、分子中に反応性基部位Xとアルコキシル基部位ORを含有しているシラン化合物であれば、合成上可能であるどの様なシランカップリング剤でも、本発明において使用することが可能である。
シランカップリング剤が有する反応性基部位Xに関しては二重結合基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基、ウレイド基、クロロプロピル基、ヒドロキシル基等の反応性基を含んでいる構造となっていれば、どの様な構造でも反応性基部位Xとして用いることが可能である。
本発明においては、シランカップリング剤の中でも、塗布外観および透明性を改善する効果の観点から、アミノ基を含有する構造のシランカップリング剤の使用が好ましく、エポキシ基を含有する構造のシランカップリング剤やビニル基を含有する構造のシランカップリング剤の使用はさらに好ましい。
塗布液の総固形分に占めるアルコキシシラン化合物(B)の比率は、固形分重量比で1%〜90%の範囲が好ましく、より好ましくは3%〜50%の範囲、さらに好ましくは4%〜30%の範囲である。アルコキシシラン化合物(B)の比率が、この範囲より小さい場合には、塗布層の塗布外観や耐溶剤性が不十分となる傾向があり、この範囲より大きいと帯電防止性能や塗布外観および透明性の悪化が起きる場合がある。
本発明で使用する塗布液中には、水溶性または水分散性のバインダー樹脂(C)を1種もしくは2種以上含んでいてもよく、かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。
また、これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよく、複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。
上記のバインダー樹脂(C)の中でも他の基材との接着性を向上させる観点から、バインダー樹脂としてはポリエステルを用いることが好ましく、アクリルおよびポリウレタンをバインダー樹脂として用いることがさらに好ましい。
本発明において、バインダー樹脂(C)を含有する使用形態は、バインダー樹脂自身がもつ高分子量の性質やシランカップリング剤および架橋剤との架橋反応などにより、得られる塗布層の強度や他の基材フィルムへの密着性が大幅に向上するため、より好ましい使用形態である。
塗布液の総固形分に占めるバインダー樹脂(C)の比率は、固形分重量比で10%〜90%の範囲が好ましく、より好ましくは20%〜80%の範囲、さらに好ましくは30%〜40%の範囲である。バインダー樹脂(C)の比率が、上記の範囲にある時、得られる塗布層の強度や他の基材フィルムへの密着性を十分に得ることができる。
本発明で使用する塗布液中には、架橋剤(D)を含んでいてもよい。架橋剤は主に、他の樹脂や化合物に含まれる官能基との架橋反応や、自己架橋によって、塗布層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤性、耐水性等を改良することができる。
本発明において、使用することのできる架橋剤(D)には特に制限はなく、どのような種類の架橋剤でも使用することができ、例えばメラミン系、ベンゾグアナミン系、尿素系などのアミノ樹脂や、オキサゾリン系、エポキシ系、グリオキサール系、イソシアネート系、カルボジイミド系などが好適に用いられるが、良好な塗布外観および透明性の改善効果を相乗的に得ると言う観点から、エポキシ、オキサゾリン系の架橋剤を用いることがより好ましく、メラミン系の架橋剤を用いることがさらに好ましい。
また、これら架橋剤には他のポリマー骨格に反応性基を持たせた、ポリマー型架橋反応性化合物も含まれており、さらに本発明においては、これら架橋剤を2種以上併用して使用することも可能である。
本発明において、架橋剤(D)を含有する使用形態は、前述の改良効果があるため、バインダー樹脂(C)を含有する使用形態と同様に、より好ましい使用形態である。
塗布液の総固形分に占める架橋剤(D)の比率は、固形分重量比で1%〜90%の範囲が好ましく、より好ましくは3%〜50%の範囲、さらに好ましくは5%〜30%の範囲である。架橋剤(D)の比率が、上記の範囲にある時、アルコキシシラン(B)との相乗作用による塗布層の塗布外観および透明性の改善効果を十分に得ることができる。
本発明で使用する塗布液は、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
本発明における塗布液は、取扱い上、作業環境上、また塗布液組成物の安定性の面から、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
本発明による塗布層は、特定の化合物を含有する塗布液をフィルムに塗布することにより設けられ例えば、インラインコーティング等が好適である。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかにコーティングする。これらの中では、一軸延伸フィルムにコーティングした後にテンターにおいて乾燥および横方向への延伸を行い、さらに基材フィルムと共に熱処理をする方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層塗設を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、コーティング後に延伸を行うために薄膜コーティングが容易であり、コーティング後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温であるために塗布層の造膜性が向上し、また塗布層とポリエステルフィルムが強固に密着する。特に、塗布層に架橋反応性化合物を含有する場合には、インラインコーティングの高温の熱処理により、反応残基が残りにくくなるというメリットがある。塗布層中に反応残基があることは、フィルムをロール状に巻いたときのブロッキングや、後の工程で塗布層の上に別の層を設けた際に、上塗り層の成分と反応を起こすことがあり好ましくない。
ポリエステルフィルムに塗布液を塗布する方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布技術を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター、バーコーター等のような技術が挙げられる。
塗布層の塗工量
は、最終的な被膜としてみた際に、通常0.003〜1.5g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.3g/mである。塗工量が0.003g/m未満の場合は十分な性能が得られない恐れがあり、1.5g/mを超える塗布層は、外観の悪化や、コストアップを招き好ましくない。
なお、上記の塗工量における塗布層の厚みは、塗布層の比重によって変わるが、仮に塗布層の比重を1.2g/cmとすると、塗工量0.003〜1.5g/mは塗布厚さ0.0025〜1.25μmに相当する。
また、実際の塗布厚みは、塗布フィルムをルテニウム化合物やオスミウム化合物等の重金属を用いて染色を行い、超薄切片法により塗布フィルムの断面を調整した後、透過型電子顕微鏡にて塗布フィルム断面の塗布層を複数個所観測し、その実測値を平均することにより確認できる。
本発明のフィルムの塗布層の反対面には他の塗布層や処理が設けられていても構わない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における評価方法やサンプルの処理方法は下記のとおりである。
(1)塗布外観
塗布フィルムを暗室でハロゲンランプを用いて目視検査し、フィルム表面の塗布ムラを下記の基準により判定した。
○:塗布ムラが確認できない
○△:ほとんど塗布ムラが確認できない
△:若干の塗布ムラが確認できる
×:明確な塗布ムラが確認できる
製品としての性能を鑑みた結果、△以上を合格とした。
(2)透明性
JIS−K7136に準じて、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−2000によりフィルムのヘーズを測定し、塗布層を設けていないフィルム(ヘーズ0.7%)に対するヘーズの上昇値(ΔH)を求めた。塗布層を設けていないフィルムに対して、塗布層を設けることによるヘーズの上昇値(ΔH)が小さいほど、塗布層の透明性が優れるといえる。製品としての性能を鑑みた結果、ΔHが0.3%以下の値を合格とした。
○:ΔHが0.3%以下
×:ΔHが0.4%以上
(3)帯電防止性能
アジレントテクノロジー社製高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後、印可電圧100Vで1分後の塗布層の表面固有抵抗値を測定した。
試行回数は2回で、その平均を表面固有抵抗値とした。
製品としての性能を鑑みた結果、表面固有抵抗値が1×1011Ω未満の値を合格とした。
○:表面固有抵抗値が1×1011Ω未満
×:表面固有抵抗値が1×1011Ω以上
(4)耐溶剤性(帯電防止性能)
太平理化工業社ラビングテスター専用治具(5cm×7cmの鉄板)にシート状コットン(旭化成社製ベンコット)を巻き付け、そこにエタノールを2ml染みこませて、塗布フィルム表面に荷重が700gかかる状態で、塗布フィルム表面を5往復(15cm長の範囲)拭いてサンプルを調整した後、上記(3)に示すとおりの方法にて、コットンで擦った塗布フィルム表面の表面固有抵抗を測定した。
製品としての性能を鑑みた結果、表面固有抵抗値が1×1012Ω未満の値を合格とした。
○:表面固有抵抗値が1×1012Ω未満
×:表面固有抵抗値が1×1012Ω以上
実施例、比較例中で使用したポリエステル原料は次のとおりである。
(ポリエステル1)
実質的に粒子を含有しない、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレートのチップ(ポリエステル2)
平均粒径2.5μmの非晶質シリカを0.2重量部含有する、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレートのチップ
また、塗布組成物としては以下を用いた。
(A1):ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、数平均分子量が約30000
(A2):下記式1の構成単位と、下記式2の構成単位と、下記式3の構成単位を重量比率で80/10/10の比率で共重合した、数平均分子量21000の高分子化合物。
Figure 0005784457
Figure 0005784457
Figure 0005784457
(B1):3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、平均分子量236
(B2):3−アミノプロピルトリメトキシシラン、平均分子量179
(B3):ビニルトリメトキシシラン、平均分子量148
(C1):アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルを共重合した、Tgが約40℃のアクリル樹脂(日本カーバイド工業製 ニカゾール)
(C2):4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート78.7部、数平均分子量が1000の末端OH変性ポリヘキサメチレンカーボネートを570部、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン15.5部、からなるプレポリマーをジメチル硫酸と反応させ得られる、Tgが−20℃のポリウレタン樹脂の水分散体。
(D1):アルキロールメラミン/尿素共重合の架橋性樹脂(大日本インキ化学工業製 ベッカミン)
(D2):オキサゾリン基がアクリル系樹脂にブランチされたポリマー型架橋剤。(日本触媒社製、エポクロスWS−500)
(D3):グリシジルエーテルを有する多官能エポキシ化合物。(ナガセケムテックス社製、デナコールEX−521)
(E1):平均粒径0.07μmのシリカゾル水分散体
(E2):平均粒径0.10μmのシリカゾル水分散体
・ポリエステルフィルムの製造例
ポリエステル1とポリエステル2とを重量比で95/5でブレンドし、十分に乾燥した後、280〜300℃に加熱溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施し、フィルム厚みが100μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。なお、この二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムのヘーズを日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−2000により測定したところ0.7%であった。
比較例1〜、実施例1〜10
上記のポリエステルフィルムの製造例において、一軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した後、この一軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムに、下記の表1の比較例1〜6および実施例1〜11の塗布組成物を塗布し、次いで上記のポリエステルの製造例と同様の操作を行うことで、フィルム厚みが100μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、表1中に記載の塗工量の塗布層を有する塗布フィルムを得た。
上記で得られた結果をまとめて下記表1および2に示す。なお、表1中に記載してある比の数値は、固形分重量比を表している。
Figure 0005784457
Figure 0005784457
本発明のフィルムは、磁気記録媒体のベースフィルム、製版用フィルム、包装用フィルム、各種ディスプレイに用いる光学用フィルムおよびその表面保護フィルムなど幅広い用途において、好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムの片面に、カチオン性基を有するポリマー化合物(A)、アルコキシシラン化合物(B)、および架橋剤を含有する塗布液を、最終的な被膜としてみた際に0.003〜1.5g/mの塗工量となるように塗布してなることを特徴とする塗布フィルム。
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