JP2008026658A - 反射防止フィルム、該反射防止フィルムを用いた偏光板及び、該反射防止フィルム又は該偏光板をディスプレイの最表面に用いた画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、該反射防止フィルムを用いた偏光板及び、該反射防止フィルム又は該偏光板をディスプレイの最表面に用いた画像表示装置 Download PDF

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顕夫 田村
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Abstract

【課題】十分な反射防止性を有しながら耐擦傷性・防汚性の向上した反射防止フィルムを提供すること、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供すること。
【解決手段】特定の構造を有する水酸基含有分岐ポリグリセロール変性シリコーンと、含フッ素共重合体とを含有する塗布液組成物を硬化させることによって形成された低屈折率層を含む反射防止フィルム、そのような反射防止フィルムが、偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの一方に用いられている偏光板、及びそのような反射防止フィルム又は偏光板がディスプレイの最表面に用いられている画像表示装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止フィルム、該反射防止フィルムを用いた偏光板及び、該反射防止フィルム又は該偏光板をディスプレイの最表面に用いた画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)などのような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する様ディスプレイの最表面に配置される。
このような反射防止フィルムは、一般的には、支持体上に、該支持体より低屈折率の、適切な膜厚の低屈折率層を形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために、低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料の使用が望まれる。また反射防止フィルムは、ディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性が要求される。厚さ100nm前後の薄膜において、高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、及び下層への密着性が必要である。
材料の屈折率を下げるには、(1)フッ素原子を導入する、(2)密度を下げる(空隙を導入する)などの手段があるが、いずれも皮膜強度や界面の密着性が低下し、耐擦傷性が低下する方向であり、低い屈折率と高い耐傷性の両立は困難な課題であった。また反射防止フィルムはディスプレイなどの表面に設置することから、付着した汚れを拭き取りやすくすることも求められており、防汚性向上も課題であった。
ある程度の皮膜強度を高める方法として、特許文献1及び2に、フッ素含有ゾル/ゲル膜を用いる技術が提案されている。
特許文献3及び特許文献4には、含フッ素ポリマーを塗布後硬化させて低屈折率層を形成する技術が提案されている。
一方、特許文献5〜7には、含フッ素ポリマー中にポリシロキサン構造を導入することにより、耐擦傷性を改良する技術が提案されている。
また特許文献8には、含フッ素ポリマー中にポリシロキサン構造を導入し、且つ水酸基の含率を高くする技術が提案されている。
特開2002−265866号公報 特開2002−317152号公報 特登3498381号公報 特開2003−26732号公報 特開平11−189621号公報 特開平11−228631号公報 特開2000−313709号公報 特開2004−307524号公報
特許文献1及び2の技術では、(1)硬化に長時間加熱を要し、製造の負荷が大きい、(2)鹸化液(アルカリ処理液)耐性がないため、反射防止フィルムの透明支持体面を鹸化処理する場合に、反射防止フィルム製膜後に行うことができないなどの大きな制約が発生してしまう。
特許文献3及び特許文献4の技術で形成した膜は、確かにその屈折率は低いものの耐擦傷性は不十分であった。
特許文献5〜7の技術は、皮膜表面の摩擦係数が下がり、耐擦傷性改良に対してある程度有効であるが、本質的な皮膜強度及び界面密着性が不足しているような皮膜に対しては、該技術のみでは十分な耐擦傷性が得られない。
特許文献8には、提案されている技術により耐擦傷性を改良できる旨が開示されているが、これでも十分な耐擦傷性は得られない。
その上、特許文献3及び5〜8に記載のポリマーは重合時間が20時間と長く、生産性が低いことも問題である。防汚性の点では、ポリシロキサン導入によりある程度改良されてはきたが、更に改良が必要なレベルであった。
本発明の目的は、十分な反射防止性を有しながら耐擦傷性・防汚性の向上した反射防止フィルムを提供することにある。更には、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、任意の含フッ素ポリマー、及びある特定の構造を有するポリシロキサン構造を有する化合物を含んでなる低屈折率層を用いることにより、耐擦傷性、防汚性に優れた反射防止フィルムを形成できることを見出した。
本発明によれば、下記構成の反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置が提供され、上記目的が達成される。
[1]下記一般式(1)で表される構造を有する水酸基含有分岐ポリグリセロール変性シリコーンと、含フッ素共重合体とを含有する塗布液組成物を硬化させることによって形成された低屈折率層を含むことを特徴とする反射防止フィルム。
一般式(1):
Figure 2008026658
(式中、R11〜R18は、相互に同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基もしくはアリール基、又は、水酸基を有する分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基であり、R11〜R18のうち少なくとも1つは該分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基であり;tは0〜10,000の数を示す。複数の、R14またはR15は同一でも異なっていてもよい。)
[2]分岐ポリグリセロール鎖が、下記構造式(1a−1)〜(1a−4)で表されるグリセロール単位よりなる群から選択される構成単位を含む前記[1]に記載の反射防止フィルム。
一般式(1a−1)〜(1a−4):
Figure 2008026658
(式中、*は連結基又は他の構成単位の**との結合、**は他の構成単位の*との結合を示す。)
[3]前記分岐ポリグリセロール鎖中の構造式(1a−1)、(1a−2)、(1a−3)および(1a−4)の平均結合数を、それぞれx、y、zおよびuとした場合に、x/(x+y+z+u)が1/50以上1未満である前記[2]記載の反射防止フィルム。
[4]前記分岐ポリグリセロール変性シリコーン中に含まれる水酸基数が、珪素原子1つあたり0.001以上50以下である前記1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。[5]含フッ素共重合体が、下記一般式(2)で表される前記[1]〜[4]のいずれかに記載の反射防止フィルム。
一般式(2):
Figure 2008026658
{一般式(2)中、Rf21は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基を表し、Rf22は炭素数1〜30の直鎖、分岐又は脂環構造を有する含フッ素アルキル基を表し、エーテル結合を有していてもよい。Bは水酸基含有モノマーに基づく重合単位を表す。Aは任意のビニルモノマーに基づく重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。a〜dはそれぞれ各構成単位のモル分率(%)を表し、30≦a+b≦90、5≦a≦90、0≦b≦70、0≦c≦50、10≦dを満たす値を表す}
[6]塗布液組成物が、さらに、水酸基と反応可能な架橋剤を含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の反射防止フィルム。
[7]架橋剤が、窒素原子に隣接し、アルコキシ基で置換された炭素原子を、1分子中に2個以上有する化合物である前記[6]に記載の反射防止フィルム。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの一枚に用いられていることを特徴とする偏光板。
[9]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の反射防止フィルム、又は前記[8]に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
本発明の反射防止フィルムは、十分な反射防止性を有しながら耐擦傷性、防汚性に優れている。更に、本発明の反射防止フィルムを備えた画像表示装置及び、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板を備えた画像表示装置は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本発明でいう「支持体上」には、該支持体の直接の表面をいう場合と、該支持体の上に何らかの層(膜)を設けた表面をいう場合の両方を含む趣旨である。
<反射防止フィルム>
本発明の反射防止フィルムは、後述する特定の塗布液組成物を硬化させることによって形成された低屈折率層を含むことを特徴とするものである。
〔反射防止フィルムの層構成〕
本発明の反射防止フィルムは、通常、透明な基材上に、必要に応じて、後述のハードコート層を形成し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように、屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されている。
低反射性の反射防止フィルムは、最も単純な構成では、基材上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。
本発明の反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、支持体として機能している。
・基材フィルム/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層。
光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。高屈折率層は防眩性のない光拡散性層であってもよい。また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子又は金属酸化物微粒子(例えば、ATO、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布又は大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
次に本発明の実施の一形態として、好適な反射防止フィルムの基本的な構成を、図面を参照しながら説明する。
図1(a)に模式的に示される断面図は、本発明の反射防止フィルムの一例である。反射防止フィルム1aは、透明支持体2、ハードコート層3、防眩ハードコート層4、そして低屈折率層5の順序の層構成を有する。
防眩性ハードコート層4には、マット粒子(不図示)が分散しており、防眩性ハードコート層4のマット粒子以外の部分の素材の屈折率は1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層5の屈折率は1.20〜1.47の範囲にあることが好ましい。
本発明においてハードコート層は、このように防眩性を有するハードコート層でもよいし、防眩性を有しないハードコート層でもよく、1層でもよいし、複数層、例えば2層〜
4層で構成されていてもよい。又はハードコート層は無くてもよい。従って、図1に示したハードコート層3及び防眩性ハードコート層4は必須ではないが、フィルム強度付与のためにこれらのハードコート層のいずれかが塗設されることが好ましい。低屈折率層は最外層に塗設される。
図1(b)に模式的に示される断面図は、本発明の反射防止フィルムの一例であり、反射防止フィルム1bは、透明支持体2、ハードコート層3、中屈折率層7、高屈折率層8、低屈折率層(最外層)5の順序の層構成を有する。透明支持体2、中屈折率層7、高屈折率層8及び低屈折率層5は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。
図1(b)のような層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記数式(1)、高屈折率層が下記数式(2)、低屈折率層が下記数式(3)をそれぞれ満足することがより優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる点で好ましい。
数式(1):(hλ/4)×0.7<n11<(hλ/4)×1.3
数式(2):(iλ/4)×0.7<n22<(iλ/4)×1.3
数式(3):(jλ/4)×0.7<n33<(jλ/4)×1.3
数式(1)〜(3)において、hは正の整数(一般に1、2又は3)であり、iは正の整数(一般に1、2又は3)であり、jは正の奇数(一般に1)である。n1、n2及びn3は、それぞれ中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の屈折率であり、そして、d1、d2及びd3は、それぞれ中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
図1(b)のような層構成では、中屈折率層が下記数式(1−1)、高屈折率層が下記数式(2−1)、低屈折率層が下記数式(3−1)をそれぞれ満足することが、特に好ましい。ここで、λは500nm、hは1、iは2、jは1である。
数式(1−1):(hλ/4)×0.80<n11<(hλ/4)×1.00
数式(2−1):(iλ/4)×0.75<n22<(iλ/4)×0.95
数式(3−1):(jλ/4)×0.95<n33<(jλ/4)×1.05
なお、ここで記載した高屈折率、中屈折率、低屈折率とは層相互の相対的な屈折率の高低をいう。また、図1(b)では、高屈折率層を光干渉層として用いており、極めて優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる。
〔低屈折率層〕
本発明における低屈折率層について以下に説明する。
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.47であることが好ましく、より好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。
さらに、低屈折率層は下記数式(3−2)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(3−2):(jλ/4)×0.7<n33<(jλ/4)×1.3
数式(3−2)中、jは正の奇数であり、n3及びd3は、前記のとおり、それぞれ低屈
折率層の屈折率及び膜厚(nm)である。またλは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、上記数式(3−2)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(3−2)を満たすj(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
[一般式(1)で表される構造を有する水酸基含有分岐ポリグリセロール変性シリコーン:分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)]
本発明の反射防止フィルムにおける低屈折率層は、滑り性付与による耐擦傷性向上、及び防汚性の付与を目的として、一般式(1)で表される構造を有する水酸基含有分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S){以下、単に分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)ともいう}を含有する組成物を、含フッ素共重合体と共に硬化させることによって形成される。この分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)は、添加量を適宜調節することにより、シロキサン成分の導入量を自在に制御することができる。さらに、シロキサンの表面偏在性及び水酸基の存在により、シロキサン部位のみを効果的に表面に偏析させて低屈折率層皮膜中に効果的にアンカリングさせることができる。また、分岐ポリグリセロール基を有しているため、架橋基として機能する水酸基が十分に存在し、十分な皮膜強度が得られ、耐擦傷性の高い膜を形成することができる。
一般式(1):
Figure 2008026658
一般式(1)中、R11〜R18は、相互に同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基もしくはアリール基、又は水酸基を有する分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基であり、R11〜R18のうち少なくとも1つは該分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基であり;tは0〜10,000の数を示す。R14またはR15が複数ある場合には、これらは同一でも異なっていてもよい。
{分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基}
(分岐ポリグリセロール鎖)
本発明に用いられる分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)が有する分岐ポリグリセロール鎖は、下記構造式(1a−1)〜(1a−4)で表されるグリセロール単位よりなる群から選択される構成単位を含むものであることが好ましい。
Figure 2008026658
上記構造式(1a−1)〜(1a−4)中、*は連結基又は他の構成単位の**との結合、**は他の構成単位の*との結合を示す。
本発明に用いられる分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)において、分岐ポリグリセロール鎖は、分岐基として1個以上の構造式(1a−1)で表わされる分岐グリセロール基{以下、基(a1)という}を含有することが好ましい。分岐ポリグリセロール鎖の構造は、x個の基(a1)、y個の構造式(1a−2)で表されるグリシドール基{以下、基(a2)という}、z個の構造式(1a−3)で表されるグリセロール基{以下、基(a3)という}、及び末端基としてu個の構造式(1a−4)で表されるグリセロール基{以下、基(a4)という}が結合してなるものであることが好ましい。
分岐ポリグリセロール鎖中において、基(a1)、(a2)及び(a3)は、任意の配列で相互に結合していてもよい。基(a1)の数が多いほど分岐構造が発達しており、各分岐鎖の末端に、基(a4)が存在する。
本発明に用いられる分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)において、分岐ポリグリセロール鎖が基(a1)の分岐構造を1個以上含有することは、13C−NMR解析において、基(a1)特有のピークが見られることから証明することができる。好ましくは、分岐ポリグリセロール鎖当たりの平均の、基(a1)の含有数が1以上である。
同様に、基(a2)〜(a4)についても13C−NMR解析にて分岐の割合を求めることができる。なお、基(a2)〜(a4)の各炭素由来のピークの帰属は、Macromolecules,1999,32,4240記載の値を参考にした。
分岐ポリグリセロール鎖中、分岐の割合は各基の個数から、x/(x+y+z+u)が、1/50以上1未満が好ましく、1/20以上1未満がより好ましく、1/10以上1未満が更に好ましく、1/6以上1未満が特に好ましい。
分岐ポリグリセロール鎖中において、基(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)は、任意に結合していてもよい。
本発明に用いられる分岐ポリグリセロール変性シリコーン中の水酸基数は、珪素原子1つあたり0.001以上50以下が好ましく、より好ましくは0.01以上50以下であり、さらに好ましくは0.05以上50以下である。シリコーン中に含まれる水酸基数を上記の範囲とすることで硬化が促進され、より耐擦傷性の高いフィルムを得ることができる。
上記水酸基数は、分岐割合と基数から算出できる。
(連結基)
分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)における、シリコーンの珪素原子と、前記の分岐ポリグリセロール鎖を結合する連結基は、エーテル基又はエステル基を有する2価の基であることが好ましい。
エーテル基を有する2価の基としては、一般式(1b−1)で表わされる基{以下、連結基(b1)という}が好ましい。
一般式(1b−1):−R113−O−(R110O)q1
一般式(1b−1)中、R113は、置換基を有していてもよい、炭素数2〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、アルケニレン基又は炭素数8〜22のアリーレン基を示し、R110は炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数6〜10のアリーレン基を示し、及びq1は0〜30の数を示し、q1個のR110Oは同一でも異なっていてもよい。なお、連結基(1b−1)は、R113側がシリコーン鎖の珪素原子に結合し、(R110O)q1側が分岐ポリグリセロール鎖に結合する。
エステル基を有する2価の基としては、一般式(1b−2)で表わされる基{以下、連結基(b2)という}が好ましい。
一般式(1b−2):−R114−COO−(R110O)q2
一般式(1b−2)中、R114は、置換基を有していてもよい、炭素数2〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、アルケニレン基又は炭素数8〜22のアリーレン基、R110は一般式(1b−1)におけるR110と同じ意味を示し、q2は0〜30の数を示し、q2個のR110Oは同一でも異なっていてもよい。なお、連結基(1b−2)は、R114側がシリコーン鎖の珪素原子に結合し、(R110O)q2側が分岐ポリグリセロール鎖に結合する。
連結基(1b−1)及び(1b−2)において、R113及びR114中のアリーレン基は、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基を含む。R113及びR114としては、好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜12のアルキレン基又はアルケニレン基であり、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン基等が挙げられる。これらの中ではエチレン、プロピレン又はトリメチレン基がさらに好ましい。
q1及びq2は、同一でも又は異なっていてもよく、0〜15が好ましく、0〜8が更に好ましく、0〜5が特に好ましい。
q1個のR110O、q2個のR110Oは、同一でも又は異なっていてもよく、交互、ランダムもしくはブロック又はこれら以外の周期配列であってもよいし、何れの形態で結合していてもよい。R110は、好ましくはエチレン基、プロピレン基又はフェニレン基であり、更に好ましくはエチレン基である。
113及びR114中の置換基として、ヒドロキシ基、アミノ基(炭素数1〜22)、イミノ基(炭素数1〜22)、カルボキシ基、アルコキシ基(炭素数1〜22)、アシル基(炭素数1〜22)等が挙げられる。
最も好ましい連結基は、下記一般式(1b−3)で表される連結基{以下、連結基(b3)という}である。なお、連結基(b3)では、トリメチレン側がシリコーン鎖の珪素原子に結合し、酸素原子側が分岐ポリグリセロール鎖に結合する。
一般式(1b−3):−CH2CH2CH2−O−CH2CH2−O−
本発明に用いられる分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)は、反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロールと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとを反応させて得ることができる。このような反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロールとしては、反応性不飽和基と、前記の分岐ポリグリセロール鎖とを含むものであることが好ましい。以下、反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロール及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンについて説明する。
(反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロール)
反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロールにおける反応性不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基等を含む1価の基が挙げられ、ビニル基を含む1価の基が好ましい。
反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロールとしては、下記一般式(1c−1)又は(1c−2)で表わされる構造を有するものが更に好ましい。
一般式(1c−1):X11−(R111p−O−(R110O)q1−Y11
一般式(1c−2):X11−(R112p−COO−(R110O)q2−Y11
一般式(1c−1)及び(1c−2)において、X11は、上記反応性不飽和基、すなわち、ビニル基、ビニレン基又はビニリデン基を示し、R111及びR112は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基、アルケニレン基又は炭素数6〜20のアリーレン基、R110は炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数6〜10のアリーレン基、pは0又は1、q1及びq2は、0〜30の数を示し、q1個及びq2個のR110Oは、同一でも異なっていてもよい。Y11は分岐ポリグリセロール鎖を示す
一般式(1c−1)及び(1c−2)において、R111及びR112のアリーレン基は、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基を含む。R111及びR112としては、好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜12のアルキレン基又はアルケニレン基であり、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン基等が挙げられる。これらの中ではメチレン、エチレン、プロピレン又はトリメチレン基が更に好ましい。
q1及びq2は、同一でも又は異なっていてもよく、0〜15が好ましく、0〜8が更に好ましく、0〜5が特に好ましい。
q1個のR110O、q2個のR110Oは、同一でも又は異なっていてもよく、交互、ランダムもしくはブロック又はこれら以外の周期配列であってもよいし、何れの形態で結合していてもよい。R110は、好ましくはエチレン基、プロピレン基又はフェニレン基であり、更に好ましくはエチレン基である。
111及びR112の置換基として、ヒドロキシ基、アミノ基(炭素数1〜22)、イミノ基(炭素数1〜22)、カルボキシ基、アルコキシ基(炭素数1〜22)、アシル基(炭素数1〜22)等が挙げられる。
最も好ましい反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロールは、下記一般式(1c−3)で表される化合物である。
一般式(1c−3):X11−CH2−O−CH2CH2−O−Y11
(式中、X11及びY11は、前記と同じ意味を示す)
(反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロールの製法)
反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロールは、反応性不飽和基と官能基(好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシ基)を有する化合物に、酸性触媒又は塩基性触媒存在下、グリシドール(2,3−エポキシ−1−プロパノール)を添加して、反応させることにより得ることができる。
(反応性不飽和基と官能基を有する化合物)
反応性不飽和基と官能基(ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を有する化合物としては、下記一般式(1d−1)又は(1d−2)で表わされる化合物が好ましい。
一般式(1d−1):X11−(R111p−O−(R110O)q1−H
一般式(1d−2):X11−(R112p−COO−(R110O)q2−H
{一般式(1d−1)及び(1d−2)中、X11、R111、R112、R110、p、q1及びq2は前記と同じ意味を示す}
(触媒)
酸性触媒としては、BF3・OEt2、HPF6・OEt2、TiCl4、SnCl4、硫酸、PhCOSbF6、過塩素酸、フルオロ硫酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のルイス酸が挙げられる(ここで、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す)。
塩基性触媒としては、LiOH、NaOH、KOH、CsOH等の金属水酸化物、Li
、Na、K、Cs等のアルカリ金属単体又はこれらの水銀アマルガム、一般式R01OM1(R01:アルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、M1:アルカリ金属)で表わされる金属アルコラート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の金属水素化物、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ペンタジエニルカリウム、ナフタレンカリウム、グリニャール試薬等の有機金属化合物等が挙げられる。これらの中では、アルカリ金属単体、金属水酸化物、金属アルコラートや有機金属化合物が、高活性で好ましく、中でも、K、KOH、CsOH、カリウム水素化物、カリウムメトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムブトキシドが、利便性と高活性を兼備した触媒種として特に好ましい。
触媒量は、官能基の1モル当量に対して、0.01〜2モル当量が好ましく、0.03〜1.0モル当量が更に好ましく、0.05〜0.8モル当量が特に好ましい。
グリシドールの使用量は、目的とする分岐ポリグリセロール鎖の導入量により適宜選択すればよい。グリシドールの使用モル数で、分岐ポリグリセロール鎖当たりの平均のグリセロール基数を調節することが可能で、反応性不飽和基と官能基を有する化合物1モルに対して、グリシドールは、0.1モル当量以上、好ましくは3モル当量以上であり、3〜200モル当量であることがより好ましく、3〜100モル当量であることがさらに好ましく、3〜50モル当量であることが特に好ましく、3〜20モル当量であることが最も好ましい。
溶媒は、用いても、用いなくてもよいが、触媒種、触媒量、グリシドールの添加量により、反応系が著しく高粘度又は固体状、ないし不均一なスラリー混合物となる場合は、適当な溶媒を用いてその中で重合を行うことができる。
重合温度は、使用する触媒の重合活性や、官能基の濃度等により、適宜決定すればよいが、−78〜220℃、−30〜150℃がより好ましい。
グリシドールを添加するには、好ましくは攪拌しながら添加するのがよく、総量を一度に添加するのではなく、滴下するか又は分割して間欠的に添加することが重要である。
グリシドールの滴下速度は、反応温度や触媒量に依存するが、一般に反応性不飽和基と官能基を有する化合物1モルに対して、分岐構造の点から、0.1〜1.5モル/時間の速度で滴下することが好ましく、0.1〜1.0モル/時間の滴下速度が更に好ましい。滴下速度を遅くすることで、分岐度の高い反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロールを製造することができる。
(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)
本発明に用いられるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、珪素原子を2つ以上有するポリシロキサンから誘導されるものであり、シリコーンの形状は直鎖状、分岐鎖状、環状の何れであってもよい。また、ポリシロキサンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは300〜70万、より好ましくは300〜20万、更に好ましくは1000〜10万である。
本発明に用いられるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記一般式(3)で表わされる直鎖状シリコーン{以下シリコーン(3)ともいう}が好ましい。
一般式(3):
Figure 2008026658
一般式(3)中、R31〜R38は、同一でも又は異なっていてもよく、水素原子、或いは
置換基を有していてもよい、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、或いはアリール基を示し、R31〜R38のうち少なくとも1つは水素原子である。sは0〜10,000の数を示す。複数の、R34またはR35は同一でも異なっていてもよい。
シリコーン(3)において、R31〜R38のうち水素原子以外の基は、好ましくは、同一でも又は異なっていてもよく、また置換基を有していてもよい、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、或いは炭素数6〜22のアリール基であり、炭素数1〜22のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、トリフルオロプロピル等が挙げられ、炭素数1〜22のアルケニル基としては、ビニル基やアリル基が挙げられ、炭素数1〜22のアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、フェノキシ基等が挙げられる。これらの中では、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、ビニル基、アリル基、又は炭素数6〜12のアリール基が好ましく、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基であり、特に好ましくはメチル基、プロピル基又はフェニル基である。このうち、汎用性及び価格の点からはメチル基がより好ましいが、耐熱性の点からはフェニル基がより好ましい。
シリコーン(3)において、R31〜R38が有していてもよい置換基として、フェニル基、フェノール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基(炭素数0〜14)、イミノ基、(アミノエチル)アミノ基、(ジメチルアミノエチル)アミノ基、ポリオキシアルキレン基、メルカプト基、及びエポキシ基等が挙げられる。これらの置換基を有する場合、R31〜R38としてプロピル基が特に好ましい。
シリコーン(3)において、R31〜R38のうち少なくとも1つ、好ましくは1〜10個、更に好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜2個は、水素原子である。この水素原子は、シリコーン(3)の側鎖、片末端及び/又は両末端のいずれに位置していてもよいし、またその混合物でもよい。
シリコーン(3)中のsは、0〜10,000の数を示し、好ましくは1〜3,000の数を、更に好ましくは5〜500の数を、特に好ましくは10〜150の数を示す。
シリコーン(3)としては、下記のものを好ましく用いることができる。
“X−22−160AS”、“KF−6001”、“KF−6002”、“KF−6003”、“X−22−170DX”、“X−22−176DX”、“X−22−176D”、“X−22−176F”、“X−22−162C”、“KF−105”{以上、信越化学工業(株)製};“FM−4411”、“FM−4421”、“FM−4425”、“FM−0411”、“FM−0421”、“FM−0425”、“FM−DA11”、“FM−DA21”、“FM−DA25”、“FM−5511”、“FM−5521”、“FM−5525”、“FM−6611”、“FM−6621”、“FM−6625”、”IC−8461−1f20−BL”{以上、チッソ(株)製};“CMS−626”、“CMS−222”{以上、Gelest社製}。
本発明における方法で得られる分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜100万、更に好ましくは750〜20万、特に好ましくは1000〜10万である。
本発明の分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)は、シリコーン(3)中の水素原子が、分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基で置換されて前記一般式(1)で表され
るシリコーンが得られたものであることが好ましい。
本発明で得られる分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)は、シリコーン中の珪素原子数(Si)と、分岐ポリグリセロール鎖中の、基(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)の合計数(以下グリセロール基数という)(G)の比(G/Si)が、0.001〜50が好ましく、0.05〜10がより好ましく、0.1〜3が更に好ましく、0.15〜1が特に好ましい。
本発明で用いられる分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)において、該分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)の特徴である、前記のシリコーン的特徴や、前記の親水的性質や高吸着性を著しく阻害しない限りに於いて、分岐ポリグリセロール鎖中に、少量のエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基が存在していてもよい。エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基は、分岐ポリグリセロール鎖中にランダムに存在してもよいし、複数のエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基が連鎖をなして分岐ポリグリセロール鎖中にブロック的に存在していてもよい。この際、複数のエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基からなるブロックは、分岐ポリグリセロール鎖の連結基の近傍に存在してもよいし、末端に存在してもよいし、或いは中間に存在していてもよい。エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基が存在する場合は、グリセロール基1モル当量に対して、エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基は0.001〜0.5モル当量存在することが好ましく、0.02〜0.2モル当量存在することが更に好ましい。
本発明で用いられる塗布液組成物における分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)の添加量は、後述する含フッ素ポリマーに対して0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜15質量%であることがより好ましく、0.1〜10質量%であることがさらに好ましい。
{分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)の具体例}
以下、本発明で有用な分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2008026658
Figure 2008026658
[含フッ素共重合体]
本発明の反射防止フィルムにおける低屈折率層は、前述の分岐ポリグリセロール変性シリコーン(S)と共に、含フッ素共重合体とを含有する組成物を硬化させることによって形成される。また、含フッ素共重合体は、一般式(2)で表される構造であることが好ましい。
一般式(2):
Figure 2008026658
一般式(2)中、Rf21は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基を表し、Rf22は炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜15の直鎖、分岐又は脂環構造を有する含フッ素アルキル基であり、エーテル結合を有していてもよい。
Rf21を有する重合単位及びRf22を有する重合単位は、いずれも含フッ素ビニルモノマーに基づく重合単位であり、具体的な含フッ素ビニルモノマーの例としては、フルオロ
オレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオリド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)類{例えばペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)}、ペルフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類{例えばペルフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)}を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を併用することができる。
屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から、特に好ましくはヘキサフルオロプロピレン単独、又は、ヘキサフルオロプロピレンとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)類もしくはペルフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類の併用である。
一般式(2)中、Aは任意のビニルモノマーに基づく重合単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンなどの含フッ素ビニルモノマーと共重合可能な単量体に基づく構成単位であれば、特に制限はなく、低屈折率化、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶媒への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜50モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
Aとして併用可能なビニルモノマー単位には、特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、含フッ素ビニルエーテル類、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
上記併用可能なビニルモノマーのうち、さらなる低屈折率化という観点から、ビニルエーテル類又は含フッ素ビニルエーテル類を導入するのが好ましい。
さらに本発明で用いられる共重合体は、一般式(2)中のBで表される水酸基含有モノマーに基づく重合単位(以下、B成分ともいう)を、必須の構成成分として有することが好ましい。該水酸基は架橋剤と反応して硬化する機能を有するため、水酸基の含率が高いほど硬い膜を形成できて好ましい。
水酸基含有ビニルモノマーは、前記の含フッ素モノマー重合単位と共重合可能なものであれば、ビニルエーテル類、(メタ)アクリレート類、スチレン類など、特に制限なく使用することができる。例えば含フッ素モノマーとしてペルフルオロオレフィン(ヘキサフルオロプロピレンなど)を用いた場合には、共重合性が良好な水酸基含有ビニルエーテルを用いることが好ましく、具体的には2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、8−ヒドロキシオクチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルビニルエーテルなどが
好適である。これら水酸基含有ビニルエーテルは単独で導入してもよいし、2種以上を組み合わせてもよく、その含率は10モル%以上であることが必要であり、20モル%より多く60モル%以下の範囲であることが好ましく、25〜50モル%の範囲であることが特に好ましい。
a、b、c、dはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦a+b≦90、5≦a≦90、0≦b≦70、0≦c≦50、10≦dを満たす値を表す。好ましくは、35≦a+b≦70、30≦a≦60、0≦b≦30、0≦c≦40、20≦d≦60の場合であり、特に好ましくは40≦a+b≦60、40≦a≦55、0≦b≦20、0≦c≦30、25≦d≦50の場合である。
前記一般式(2)で表わされる含フッ素共重合体の質量平均分子量(Mw)は、103〜106であることが好ましく、より好ましくは5×103〜5×105であり、特に好ましくは104〜105の場合である。
本発明に用いられる含フッ素共重合体の特に好ましい形態として、一般式(2’)が挙げられる。一般式(2’)においてRf21、Rf22、A、a、b、c、d、は一般式(2)と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
一般式(2’):
Figure 2008026658
一般式(2’)中、L21は2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
連結基L21の好ましい例としては、*−(CH22−O−**、*−(CH22−NH−**、*−(CH24−O−**、*−(CH26−O−**、*−(CH22−O−(CH22−O−**、−CONH−(CH23−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−*、*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は水酸基側の連結部位を表す)等が挙げられる。
(各重合単位の好適例)
以下に、上記一般式(2’)で示される、本発明に用いられる含フッ素共重合体における各重合単位の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008026658
Figure 2008026658
Figure 2008026658
Figure 2008026658
Figure 2008026658
Figure 2008026658
(含フッ素共重合体の具体例)
表1に本発明で有用な含フッ素共重合体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定され
るものではない。なお、表1には重合単位の組み合わせとして表記するが、表中の記号、Q、N、M1、H及びa〜dは、何れも前記一般式(2’)に示されるものである。
Figure 2008026658
(含フッ素共重合体の合成)
本発明に用いられる、一般式(2)で表される含フッ素共重合体の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合によって行うことができる。また回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で合成することができる。
重合の開始方法は、ラジカル開始剤を用いる方法、光又は放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971年)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶媒は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶媒のそれぞれ単独、又は2種以上の混合物でもよいし、水との混合溶媒としてもよい。
重合温度は、生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は適宜選定可能であるが、通常は0.01〜10MPa、好ましくは0.05〜5MPa、より好ましくは0.1〜2MPa程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーは、反応液をそのまま本発明の用途に用いることもできるし、再沈殿や分液操作によって精製して用いることもできる。
[硬化剤(架橋剤)]
本発明の反射防止フィルムに用いられる低屈折率層用塗布液組成物は、含フッ素共重合体及び/又は分岐ポリグリセロール変性シリコーンの水酸基と反応し得る化合物(硬化剤)を含む。硬化剤は水酸基と反応する部位を2個以上有することが好ましく、4個以上有することが更に好ましい。硬化剤の構造は、水酸基と反応しうる官能基を前記個数有するものであれば特に限定はなく、例えばポリイソシアネート類、ポリイソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステル皮膜などとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物、アミノプラスト類、多塩基酸又はその無水物などを挙げることができる。
(アミノプラスト類)
本発明で、硬化剤として特に好ましく用いることができるものはアミノプラスト類であり、該アミノプラスト類は、含フッ素共重合体中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、すなわちヒドロキシアルキルアミノ基もしくはアルコキシアルキルアミノ基、又は窒素原子に隣接し、且つアルコキシ基で置換された炭素原子を含有する化合物である。具体的には、例えばメラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
上記メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているもので、具体的にはメラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができる。特に、メラミンとホルムアルデヒドを塩基性条件下で反応して得られるメチロール化メラミン及びアルコキシ化メチルメラミン、並びにその誘導体が好ましく、特に保存安定性からアルコキシ化メチルメラミンが特に好ましい。またメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンについて特に制約はなく、例えばプラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂(日刊工業新聞社)に記載されているような方法で得られる各種樹脂の使用も可能である。
また、上記尿素化合物としては尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、さらには環状尿素構造であるグリコールウリル骨格や2−イミダゾリジノン骨格を有する化合物も好ましい。前記尿素誘導体等のアミノ化合物についても前記「ユリア・メラミン樹脂」等に記載の各種樹脂の使用が可能である。
本発明における硬化性低屈折率層用塗布液組成物の製造に用いられるアミノ化合物としては、含フッ素共重合体及び分岐ポリグリセロール変性シリコーンとの相溶性の観点から、特にメラミン化合物又はグリコールウリル化合物が好ましく、さらに反応性からアルコキシ化メチル化されたメラミン化合物、又はグリコールウリル化合物が好ましい。その中でも、架橋剤が分子中に窒素原子を含有し、且つ該窒素原子に隣接し、アルコキシ基で置換された炭素原子を、1分子中に2個以上含有する化合物であることが好ましい。特に好ましい化合物は下記構造式(H−1)及び(H−2)で表される化合物、及びそれらの部分縮合体である。式中R02は炭素数1〜6のアルキル基、又は水酸基を表す。
構造式(H−1)及び(H−2):
Figure 2008026658
低屈折率層用塗布液組成物におけるアミノプラストの添加量としては、含フッ素共重合体及び分岐ポリグリセロール変性シリコーンの合計100質量部当り、1〜50質量部であり、好ましくは3〜40質量部であり、さらに好ましくは5〜30質量部である。1質量部以上であれば、本発明の特徴である、薄膜としての耐久性を十分に発揮することができ、50質量部以下であれば、光学用途に利用する際に本願材料の特徴である低屈折率を維持することができるので好ましい。硬化剤を添加しても屈折率を低く保つという観点からは、添加しても屈折率の上昇が少ない硬化剤が好ましく、その観点では上記化合物のうち、H−2で表される骨格を有する化合物がより好ましい。
[硬化触媒]
本発明における低屈折率層は、酸触媒により硬化が促進されるので、酸性物質を添加することが望ましい。保存安定性と硬化活性を両立するために、加熱により酸を発生する化合物(熱酸発生剤)及び/又は光照射により酸を発生する化合物(感光性酸発生剤)を添加することがより好ましい。
(熱酸発生剤)
本発明で用いられる、硬化性の低屈折率層用塗布液組成物(以下、低屈折率層用硬化性樹脂組成物、又は単に硬化性樹脂組成物ともいう)に配合することができる熱酸発生剤は、当該硬化性樹脂組成物の塗膜等を加熱して硬化させる場合に、その加熱条件を、より穏和なものに改善することができる物質である。
この熱酸発生剤の具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸
、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の含フッ素共重合体及び分岐ポリグリセロール変性シリコーンの合計100質量部に対して、好ましくは0〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。この割合が過大となることがなければ、硬化性樹脂組成物の保存安定性が悪くなるなどの不具合が生じないので好ましい。
(感光性酸発生剤)
本発明で用いられる硬化性樹脂組成物に配合することができる感光性酸発生剤は、当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。
代表的な感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)下記一般式(4)で示されるスルホンイミド化合物類;(5)下記一般式(5)で示されるジアゾメタン化合物類;その他を挙げることができる。
一般式(4)及び(5):
Figure 2008026658
一般式(4)中、U41は、アルキレン基、アリレーン基、アルコキシレン基等の2価の基を示し、R41は、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。また一般式(5)中、R51及びR52は、互いに同一でも異なってもよく、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の含フッ素共重合体及び分岐ポリグリセロール変性シリコーンの合計100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。この割合が該上限値以下であれば、得られる硬化膜の強度が優れたものとなり、透明性も良好なので好ましい。
本発明における低屈折率層は、以上延べた少なくとも2種のポリマー、すなわち含フッ素共重合体及び分岐ポリグリセロール変性シリコーン、硬化剤、並びに硬化触媒を含む硬化性樹脂組成物に、さらに無機微粒子や、後述するオルガノシラン化合物を含有することも好ましい。
[低屈折率層用無機微粒子]
低屈折率層中への無機微粒子の配合量は、1〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5〜80mg/m2、更に好ましくは10〜60mg/m2である。無機微粒子の配合量が該下限値以上であれば、耐擦傷性の改良効果が顕著であり、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化するなどの不具合が生じないので、上述の範囲内とするのが好ましい。
上記無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
これら無機微粒子のサイズは、好ましくは1〜200nm、更に好ましくは5〜90nmである。該無機微粒子の粒径が該下限値以上であれば、耐擦傷性の改良効果が大きくなり、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化するなどの不具合が生じないので、上述の範囲内とするのが好ましい。
無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。
[オルガノシラン化合物]
本発明においては、低屈折率層はさらにオルガノシラン化合物を含む硬化性樹脂組成物から形成されてもよい。オルガノシラン化合物の定義や好ましい化合物の構造などは特開2004−331812号公報の[0137]〜[0138]に記載されている内容と同じである。
[その他の添加剤]
本発明における低屈折率層用塗布液組成物である硬化性樹脂組成物は、前述の含フッ素共重合体、分岐ポリグリセロール変性シリコーンを少なくとも含み、必要に応じて、硬化剤、硬化触媒、無機微粒子及びオルガノシラン化合物と共に、さらには各種添加剤及びラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤を添加し、これらを適当な溶媒に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが、一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1〜20質量%程度である。
低屈折率層と直接接する下層との界面密着性等の観点からは、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸又はその無水物等の硬化剤を少量添加することもできる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して30質量%以下の範囲とすることが好ましく、20質量%以下の範囲とすることがより好ましく、10質量%以下の範囲とすることが特に好ましい。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、上記オルガノシラン化合物以外にも公知のシリコーン系化合物又はフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には、低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
(シリコーン系化合物)
シリコーン系化合物の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。また、ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。
置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置
換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
シリコーン系化合物の分子量には特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3,000〜30,000であることが最も好ましい。
シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが、18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては、信越化学工業(株)製の“X−22−174DX”、“X−22−2426”、“X−22−164B”、“X22−164C”、“X−22−170DX”、“X−22−176D”、“X−22−1821”(以上商品名);チッソ(株)製の“FM−0725”、“FM−7725”、“FM−4421”、“FM−5521”、“FM−6621”、“FM−1121”;Gelest製“DMS−U22”、“RMS−033”、“RMS−083”、“UMS−182”、“DMS−H21”、“DMS−H31”、“HMS−301”、“FMS121”、“FMS123”、“FMS131”、“FMS141”、“FMS221”(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(フッ素系化合物)
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖{例えば−CF2CF3、−CH3(CF34H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2(CF24H等}であっても、分岐構造{例えば−CH(CF32、−CH2CF(CF32、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(CF25CF2H等}であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であってもよく、エーテル結合を有していてもよい(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成又は相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。
フッ素系化合物中のフッ素原子含有量には特に制限はないが、20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としては、ダイキン工業(株)製、"R−2020"、"M−2020"、"R−3833"、"M−3833"(以上商品名);大日本インキ化学工業(株)製、「メガファックF−171」、「メガファックF−172」、「メガファックF−179A」、「ディフェンサMCF−300」(以上商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(防塵剤、帯電防止剤等)
低屈折率層形成用の硬化性樹脂組成物には、防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、さらに公知のカチオン系界面活性剤又はポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は、上記のシリコーン系化合物やフッ素系化合物に、その構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。
これらを添加剤として添加する場合には、低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
好ましい化合物の例としては、大日本インキ化学工業(株)製「メガファックF−150」(商品名)、東レダウコーニング(株)製"SH−3748"(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
[低屈折率層塗設用の溶媒]
本発明において、低屈折率層を形成するための塗布液組成物に用いられる溶媒としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶媒が使用できる。乾燥にかかる負荷の少なさの観点からは、常圧、室温における沸点が100℃以下の溶媒を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶媒を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶媒としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶媒としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン{メチルイソブチルケトン(MIBK)と同じ、115.9℃}、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
〔低屈折率層以外の層〕
[皮膜形成バインダー]
本発明において、低屈折率層以外の層を形成する皮膜形成組成物の主たる皮膜形成バイ
ンダー成分としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが、皮膜強度、塗布液の安定性、塗膜の生産性、などの点で好ましい。主たる皮膜形成バインダーとは、無機粒子を除く皮膜形成成分のうち10質量%以上をしめるものをいう。好ましくは、20質量%以上100質量%以下、更に好ましくは30質量%以上95%以下である。
飽和炭化水素鎖又はポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、且つ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
形成される皮膜を高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート等}、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン等)、ビニルスルホン(例えばジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えばメチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
なお本明細書においては、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を表す。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾ
インイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが含まれる。
また、「最新UV硬化技術」のP.159{発行人;高薄一弘、発行所;(株)技術情報協会、1991年発行}にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア(651,184,907)」等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド;無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等;アゾ化合物として2−アゾビスイソブチロニトリル、2−アゾビスプロピオニトリル、2−アゾビスシクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
熱ラジカル開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
本発明においてはポリエーテルを主鎖として有するポリマーを使用することもできる。多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、感光性酸発生剤又は熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに、又はそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
[ハードコート層]
本発明にはハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層は、バインダー並びに必要に応じて防眩性を付与するためのマット粒子、及び高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーから形成することができる。
(マット粒子)
ハードコート層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が0.1〜5.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は樹脂粒子が含有させることができる。
マット粒子とバインダー間の屈折率差は大きすぎるとフィルムが白濁し、小さすぎると十分な光拡散効果をえることができないため、0.02〜0.20であることが好ましく、0.04〜0.10であることが特に好ましい。マット粒子のバインダーに対する添加量も屈折率同様、大きすぎるとフィルムが白濁し、小さすぎると十分な光拡散効果をえることができないため、3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、真球又は不定形のいずれも使用できる。
異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。
2種類以上のマット粒子を用いる場合には両者の混合による屈折率制御を効果的に発揮するために屈折率の差が0.02以上、0.10以下であることが好ましく、0.03以上、0.07以下であることが特に好ましい。またより大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに反射防止フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子より小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては、単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほどよい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
上記マット粒子は、形成されたハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2となるようにハードコート層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子
数分布に換算する。
(無機フィラー)
ハードコート層には、層の屈折率を高めるため、及び硬化収縮を低減するために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いたハードコート層では、層の屈折率を低目に保つために珪素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は上記の無機フィラーと同じである。
ハードコート層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO、SiO2等が挙げられる。TiO2及びZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。
無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜70%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明におけるハードコート層の、バインダー及び無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を該範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
このようにして形成された本発明の反射防止フィルムは、ヘイズ値が3〜70%、好ましくは4〜60%の範囲にあり、そして450nmから650nmの平均反射率が3.0%以下、好ましくは2.5%以下である。本発明の反射防止フィルムが該範囲のヘイズ値及び平均反射率であることにより、透過画像の劣化を伴わずに良好な防眩性及び反射防止性が得られる。
〔支持体〕
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル{例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フイルム(株)製“TAC−TD80U”、“TAC−TD80UF”等}、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂{「アートン」(商品名)、JSR(株)製}、非晶質ポリオレフィン{「ゼオネックス」(商品名)、日本ゼオン(株)製}などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルム、及びその製造法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
[鹸化処理]
本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。また画像表示装置の表面には、通常、偏光板が配置され、その偏光板の偏光膜を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられることが多いので、反射防止フィルムの透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は、本発明の反射防止フィルムをそのまま偏光板の保護フィルムとして用いることがコストの上では好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用したりする場合には、十分に接着させるため、透明支持体上に分岐ポリグリセロール変性シリコーン及び含フッ素共重合体を主体とする最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。
鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗し、また希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に、偏光膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の、透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止フィルム面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れている。
(1)透明支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前又は後に、アルカリ液を反射防止フィルムの反射防止層を形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗及び/又は中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
〔塗膜形成方法〕
本発明の反射防止フィルムは、以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)等により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。
これらの塗布方式のうち、グラビアコート法での塗布では、反射防止フィルムの各層のような、塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができるので好ましい。グラビアコート法の中でも、マイクログラビア法は膜厚均一性が高く、より好ましい。
またダイコート法を用いても、塗布量の少ない塗布液を膜厚均一性高く塗布することができ、さらにダイコート法は、前計量方式のため膜厚制御が比較的容易であり、さらに塗布部における溶媒の蒸散が少ないため、好ましい。
複数の層からなる反射防止フィルムにおいては、2層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許第2,761,791号、同第2,941,898号、同第3,508,947号、同第3,526,528号の各明細書、及び原崎勇次著「コーティング工学」、253頁、{朝倉書店(1973年)}に記載がある。
<反射防止フィルムの用途>
〔偏光板〕
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
[偏光膜]
偏光膜としては、公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。
偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は、以下の方法により作製される。すなわち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を、保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45゜傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落[0020]〜[0030]に詳しい記載がある。
〔画像表示装置〕
本発明の画像表示装置は、前記反射防止フィルム又は上記偏光板をディスプレイの最表面に用いたものである。例えば、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた態様では、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル{“SID97,Digest of tech.Papers”(予稿集)、28集(1997年)、p.845記載}、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル{日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998年)記載}及び、
(4)SURVAIVALモードの液晶セル(「LCDインターナショナル98」で発表)が含まれる。
VAモードの液晶セル用には、2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムを、本発明の反射防止フィルムと組み合わせて作製した偏光板が好ましく用いられる。2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムの作製方法については、例えば、特開2001−249223号公報、特開2003−170492号公報などに記載の方法を用いることが好ましい。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許第4,583,825号、同第5,410,422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」{東レリサーチセンター発行(2001年)}などに記載されている。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを、偏光膜の裏表2枚の保護フィルムの内の本発明の反射防止フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
以下に実施例に基づき本発明について更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の実施例、合成例中、特に断らない限り%は質量%を表す。
<反射防止フィルムの作製>
〔分岐ポリグリセロール変性シリコーンの合成〕
合成例1:{S−(3)の合成}
(1)反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロールの製造
攪拌器、冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた内容積300mLの4口フラスコに、2−アリルオキシエタノール25.7g(0.25mol)を仕込み、KOH触媒を0.36g加え70℃で加熱した。滴下ロートより日本油脂(株)製グリシドール170mL(2.55mol)を6時間かけて徐々に滴下した。反応生成物を70℃で2時間攪拌した後に、同温度で1時間減圧下揮発分を留去した。その後に、協和化学工業(株)製の吸着剤「キョワード600」を13g、水を125g添加し室温で0.5時間攪拌した後に、濾過をすることで反応生成物170.5gを得た。
得られた生成物は、1H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルより、下記構造式(c1)で表される反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロールであることを確認した。
構造式(c1):CH2=CHCH2OCH2CH2OY11
(Y11は、分岐ポリグリセロール鎖を示す)
13C−NMRスペクトルの解析により、Y11は基(a1)を有する分岐ポリグリセロールであることを確認した。また1H−NMRスペクトルの解析により、平均グリセロール基数(G)=10.0、13C−NMRスペクトルと1H−NMRスペクトルの解析により、分岐の割合[x/(x+y+z+u)]は、1/5.0、珪素原子1つあたりの水酸基数は0.18であった。
(2)分岐ポリグリセロール変性シリコーンの製造
攪拌機を備えた内容積100mLの2口フラスコに、上記(1)で得た反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロール58.3g(40mmol)と塩化白金酸の2%イソプロピルアルコール溶液0.4g(0.015mmol)とを混合させ20℃で1時間攪拌した。攪拌機、温度計をとりつけた内容積500mLの4つ口フラスコに、両末端に水素原子を有するチッソ(株)製オルガノハイドロジェンポリシロキサン[型番:IC−8461−1f20−BL、水酸基当量=3000、数平均分子量(Mn)=6000(GPC条件はカラム:g4000HXL+g2000HXL、THF溶液(50mmol/L酢酸添加)、40℃)]30.0g、上記の反応性不飽和基を有する分岐ポリグリセロール−塩化白金酸混合物58.7g、酢酸カリウムの10%エタノール溶液0.4g(0.4mmol)及びイソプロピルアルコール100mLを仕込み20℃で12時間反応させ、更に1−ヘキセンを20.5g(240mmol)入れ30℃で5時間攪拌した。溶媒1−ヘキセンを留去後、反応生成物をイソプロピルアルコール37.5mLに溶解・濾過することにより、微黄色粘性液体{S−(3)}を22.2g得た。13C−NMRスペクトル、1H−NMRスペクトル、GPCを測定することにより、G=10.0、数平均分子量(Mn)=6200、質量平均分子量(Mw)=18000である分岐ポリグリセロール変性シリコーンであることを確認した。
合成例2:{S−(4)の合成}
合成例1におけるグリシドールの添加量を340ml(5.10mol)、滴下時間を6時間から12時間に変更したこと以外は合成例1とほぼ同様にして{S−(4)}を合成した。{S−(4)}の1H−NMRスペクトルの解析により、平均グリセロール基数(G)=12.2、13C−NMRスペクトルと1H−NMRスペクトルの解析により、分岐の割合[x/(x+y+z+u)]は、1/3.2、珪素原子1つあたりの水酸基数は0.82、数平均分子量(Mn)=8000、質量平均分子量(Mw)=26800であった。
[含フッ素共重合体の合成]
合成例3:(T−1)の合成
内容量100mLのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル40mL、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)14.7g及び過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温
度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.2kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションで溶媒を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから、2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ヘキサフルオロプロピレンとヒドロキシエチルビニルエーテルのモル比1:1の含フッ素共重合体(T−1)の28gを得た。得られたポリマーの質量平均分子量(Mw)は2.6万であった。
合成例12〜4:(T−2)、(T−4)、(T−5)及び(T−8)の合成
合成例11における(T−1)の合成とほぼ同様にして、(T−2)、(T−4)、(T−5)及び(T−8)を合成した。それぞれの各構成成分のモル分率(モル%)と質量平均分子量(Mw)は、前記の表1に示したとおりである。
比較合成例1:比較共重合体(U−1)の合成
合成例11と同様の条件において、さらに高分子開始剤“VPS−1001”を0.75g加えて重合を行うことにより、ポリシロキサン構造を有する共重合体部位が2%導入された、下記の比較共重合体(U−1)を得た。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は6.2万であった。
比較共重合体(U−1):
Figure 2008026658
[反射防止フィルムの作製]
実施例1−1〜1−20及び比較例1−1〜1−5
[低屈折率層用塗布液(Ln−1〜Ln〜20)の調製]
表2に示す各成分を混合し、2−ブタノンに溶解して固形分6%の低屈折率層形成用組成物を作製した。表2中の( )内の数字は各成分の固形分の質量部を表す。
Figure 2008026658
なお表中、コロイダルシリカは日産化学工業(株)製“MEK−ST”を表し、CY303は「サイメル303」{日本サイテックインダストリーズ(株)製メチロール化メラミン}を表す。H−11、H−21はそれぞれ下記構造の化合物を表す。また、PTSはp−トルエンスルホン酸一水和物を表す。
構造式(H−11)及び(H−21)
Figure 2008026658
[比較例用低屈折率層用塗布液(Lnr1〜Lnr5)の調製]
上記の低屈折率層用塗布液の例と同じように、表3に示す各成分を混合し、2−ブタノンに溶解して固形分6%の比較例低屈折率層用塗布液を作製した。表3中の( )内は各成分の固形分の質量部を表し、略号の意味は前述したとおりである。
Figure 2008026658
比較シリコーン化合物(U−3)
チッソ社製サイラプレーン「FM−1121」(Mw=5000)
Figure 2008026658
[ハードコート層形成用組成物(HC−1)の調製]
“PET−30” 50.0g
「イルガキュア184」 2.0g
“SX−350”(30質量%) 1.5g
架橋アクリル−スチレン粒子(30質量%) 13.9g
“KBM−5103” 10.0g
トルエン 38.5g
上記の混合液を、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層形成用組成物(HC−1)を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
“PET−30”:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物{日本化薬(株)製}
「イルガキュア184」:重合開始剤{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}
“SX−350”:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子{屈折率1.60、綜研化学(株)製、30質量%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}。
架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm{屈折率1.55、綜研化学(株)製、30質量%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}。
“KBM−5103”:アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン{信越化学工業(株)製}。
[反射防止フィルムの作製]
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}を、ロール形態で巻き出して、直接、上記のハードコート層形成用組成物(HC−1)を、線数180本/in、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールと、ドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1体積%で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度400mW/cm2、照射量110mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの層を形成し、巻き取った。このようにして作製した試料得られたハードコート層の表面粗さは、Ra=0.18μm、Rz=1.40μm、ヘイズ35%であった。
このようにして得られたハードコート層の上に、前記低屈折率層形成用組成物(本発明Ln1〜20及び比較例Lnr1〜5)を用いて、低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して反射防止フィルム(101)〜(120)及び(R01)〜(R05)を作製した。低屈折率層の乾燥条件は120℃、10分とし、紫外線硬化条件は、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照度120mW/cm2、照射量240mJ/cm2の照射量とした。得られたそれぞれの反射防止フィルムに用いられた、ハードコート層形成用組成物及び低屈折率層形成用組成物の組み合わせを表4に示す。
[反射防止フィルムの鹸化処理]
得られた反射防止フィルムは以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
(1)アルカリ浴:1.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液、55℃−120秒
(2)第1水洗浴:水道水、60秒
(3)中和浴:0.05mol/L硫酸、30℃−20秒
(4)第2水洗浴:水道水、60秒
(5)乾燥:120℃−60秒
[反射防止フィルムの評価]
このようにして得られた鹸化済みの反射防止フィルムを用いて、以下の評価を行った。得られた結果を表4に示す。
(評価1)平均反射率の測定
分光光度計“V−550”{日本分光(株)製}を用い、380〜780nmの波長領域において、積分球を用いて、入射角5°における分光反射率を測定した。分光反射率の評価において、450〜650nmの平均反射率を用いた。
偏光板に加工されている試料は、偏光板形態のものをそのまま用い、フィルムそのものや偏光板を使用しない形態の表示装置の場合には、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
(評価2)耐擦傷性(1)−スチールウール耐性評価
ラビングテスターを用いて、以下の条件で擦りテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH、
擦り材:試料と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)にスチールウール“No.0000”{(株)日本スチールウール製}を巻いて、動かないようバンド固定した。その上で下記条件の往復擦り運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:200g/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm、
擦り回数:10往復。
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、擦り部分の傷を、以下の基準で評価した。
○ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△ :弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
(評価3)耐擦傷性(2)−消しゴム擦り耐性評価
ラビングテスターを用いて、以下の条件で擦りテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
擦り材:試料と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)にプラスチック消しゴム{(株)トンボ鉛筆製“MONO”}を固定した。
移動距離(片道):4cm、
擦り速度:2cm/秒、荷重:500g/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm、
擦り回数:100往復。
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、擦り部分の傷を、以下の基準で評価した。
○ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△ :弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
××:一面膜が傷ついている。
(評価4)「マジックインキ」付着性評価
表面の耐汚染性の指標として、光学材料を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、サンプル表面に「マジックインキ」(商品名)を付着させてから、それをクリーニングクロスで拭き取ったときの状態を観察して、以下のように「マジックインキ」付着性を評価した。
◎:「マジックインキ」の跡が完全に拭き取れる。
○:「マジックインキ」の跡がわずかに見える。
△:「マジックインキ」の跡が少し見える。
×:「マジックインキ」の跡がほとんど拭き取れない。
Figure 2008026658
本実施例で明らかなように、本発明の反射防止フィルムは十分に強靭な膜強度を有し、防汚性にも優れていることがわかる。また、本発明の反射防止フィルムは、分岐ポリグリセロール変性シリコーンを含むため、比較例(フィルムNo.R01、R02、R04、R05)に比べて防汚性に優れ、かつ比較例(フィルムNo.R03)に比べて耐擦傷性に優れている。
<画像表示装置の作製>
実施例2−1〜2−20及び比較例2−1〜2−5
上記実施例及び比較例で作製した反射防止フィルム(フィルムNo.101〜120及びR01〜R05)を、日本電気(株)より入手したパーソナルコンピューター“PC9821NS/340W”の液晶ディスプレイ表面に貼り付け、画像表面装置サンプルを作製し、その表面反射による風景映り込み程度を目視にて評価した。
本発明の実施例の反射防止フィルム(フィルムNo.101〜120)を設置した画像表示装置は、周囲の風景映り込みが殆どなく、快適な視認性を示し、防汚性に優れ、かつ充分な表面強度を有するものであったのに対し、比較例の反射防止フィルム(フィルムNo.R01〜R05)を設置した画像表示装置は、周囲の映り込みは低減できるものの、防汚性と表面強度に劣るものであった。
図1は、本発明の反射防止膜が複合膜の場合の層構成を示す断面模式図であり、(a)は4層構成、(b)は5層構成の例を示す。
符号の説明
1a:反射防止フィルム
1b:反射防止フィルム
2:透明支持体
3:ハードコート層
4:高屈折率層
5:低屈折率層(最外層)
6:中屈折率層

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を有する水酸基含有分岐ポリグリセロール変性シリコーンと、含フッ素共重合体とを含有する塗布液組成物を硬化させることによって形成された低屈折率層を含むことを特徴とする反射防止フィルム。
    一般式(1):
    Figure 2008026658
    (式中、R11〜R18は、相互に同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基もしくはアリール基、又は、水酸基を有する分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基であり、R11〜R18のうち少なくとも1つは該分岐ポリグリセロール鎖が結合した連結基であり;tは0〜10,000の数を示す。複数の、R14またはR15は同一でも異なっていてもよい。)
  2. 分岐ポリグリセロール鎖が、下記構造式(1a−1)〜(1a−4)で表されるグリセロール単位よりなる群から選択される構成単位を含む請求項1記載の反射防止フィルム。
    一般式(1a−1)〜(1a−4):
    Figure 2008026658
    (式中、*は連結基又は他の構成単位の**との結合、**は他の構成単位の*との結合を示す。)
  3. 前記分岐ポリグリセロール鎖中の構造式(1a−1)、(1a−2)、(1a−3)および(1a−4)の平均結合数を、それぞれx、y、zおよびuとした場合に、x/(x+y+z+u)が1/50以上1未満である請求項2記載の反射防止フィルム。
  4. 前記分岐ポリグリセロール変性シリコーン中に含まれる水酸基数が、珪素原子1つあたり0.001以上50以下である請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 含フッ素共重合体が、下記一般式(2)で表される請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
    一般式(2):
    Figure 2008026658
    {一般式(2)中、Rf21は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基を表し、Rf22は炭素数1〜30の直鎖、分岐又は脂環構造を有する含フッ素アルキル基を表し、エーテル結合を有していてもよい。Bは水酸基含有モノマーに基づく重合単位を表す。Aは任意のビニルモノマーに基づく重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。a〜dはそれぞれ各構成単位のモル分率(%)を表し、30≦a+b≦90、5≦a≦90、0≦b≦70、0≦c≦50、10≦dを満たす値を表す}
  6. 塗布液組成物が、さらに、水酸基と反応可能な架橋剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  7. 架橋剤が、窒素原子に隣接し、アルコキシ基で置換された炭素原子を、1分子中に2個以上有する化合物である請求項6に記載の反射防止フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルムが、偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの一枚に用いられていることを特徴とする偏光板。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム、又は請求項8に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。

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