JP2007256925A - 光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、ディスプレイ装置、光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、ディスプレイ装置、光学フィルムの製造方法 Download PDF

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裕一 福重
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Abstract

【課題】耐擦傷性が向上した光学フィルム、十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性をより向上させた反射防止フィルム、該光学フィルムの製造方法、該光学フィルム又は該反射防止フィルムを具備した、十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性を有する偏光板及びディスプレイ装置を提供すること。
【解決手段】透明支持体上に、被覆組成物を塗布してなる少なくとも1層の機能層を有する光学フィルムであって、該少なくとも1層の機能層が、該被覆組成物を熱エネルギー及び光エネルギーにより硬化してなる層である光学フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、ディスプレイ装置、光学フィルムの製造方法に関する。
反射防止フィルムは、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために光学干渉の原理を用いて反射率を低減するようディスプレイ装置の最表面に配置される。通常、反射防止フィルムは、支持体上に、ハードコート層などの高屈折率層、さらにその上に適切な膜厚の低屈折率層を形成することにより作製できる。多くの場合反射防止フィルムの最上層となる低屈折率層には、高い耐擦傷性が要求される。しかしながら、薄膜である低屈折率層において高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、及び下層への密着性が必要である。
一方、反射防止フィルムにおいて、低い反射率を実現するために、低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。層の屈折率を下げるには、(1)フッ素原子を導入する、(2)密度を下げる(空隙を導入する)などの手段があるが、いずれも皮膜強度や密着性が損なわれ耐擦傷性が低下する方向であり、低い屈折率と高い耐擦傷性の両立は困難であった。
例えば、含フッ素ポリマー中にポリシロキサン構造を導入することにより、皮膜表面の摩擦係数を下げて耐擦傷性を改良する手段が記載されている(特許文献1〜3参照)。これらの文献に開示された技術は、耐擦傷性改良に対してある程度有効であるが、耐擦傷性が十分でなかった。
支持体上との密着性を確保しながら、反射防止フィルムの表面の耐擦傷性、耐磨耗性、耐候性を確保する為に、少なくとも2層構造の被覆層の内、支持体表面層にはコロイド状
シリカを含まず、その上層にコロイド状シリカを含んだ被覆成形品とする技術が記載されている(特許文献4参照)。しかしながら、この手段では光学フィルム、特に反射防止フィルムとしての種々の性能(屈折率、硬度、脆性、カール特性、内部ヘイズ、表面ヘイズなど)を発現させるには十分でない。
特開平11−189621号公報 特開平11−228631号公報 特開2000−313709号公報 特許第3687230号公報
本発明の目的は、耐擦傷性が向上した光学フィルム、十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性をより向上させた反射防止フィルム、及び該光学フィルムの製造方法の提供にある。本発明の別の目的は、該光学フィルム又は該反射防止フィルムを具備した、十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性を有する偏光板及びディスプレイ装置の提供にある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記の通りである。
(1)透明支持体上に、被覆組成物を塗布してなる少なくとも1層の機能層を有する光学フィルムであって、該少なくとも1層の機能層が、該被覆組成物を熱エネルギー及び光エネルギーにより硬化してなる層である光学フィルム。
(2)前記熱エネルギー及び光エネルギーが、逐次又は同時に複数回印加されてなる前記1に記載の光学フィルム。
(3)前記被覆組成物が、熱硬化材料と光硬化材料とを含有する被覆組成物である前記1又は2に記載の光学フィルム。
(4)前記被覆組成物が、熱硬化部位と光硬化部位とを同一分子内に含む化合物を含有する被覆組成物である前記1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
(5)前記少なくとも1層の機能層が、透明支持体の表面に接する層である前記1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
(6)前記少なくとも1層の機能層が、低屈折率層及び/又はハードコート層である前記1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
(7)前記少なくとも1層の機能層が、少なくとも2層の機能層である前記1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
(8)前記1〜7のいずれかに記載の光学フィルムに反射防止層を有する反射防止フィルム。
(9)一対の保護フィルムの間に偏光膜を有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一つが前記1〜7のいずれかに記載の光学フィルム、又は前記8に記載の反射防止フィルムである偏光板。
(10)前記8に記載の反射防止フィルム、又は前記9に記載の偏光板を有し、かつ該偏光板の低屈折率層が視認側になるように配置されているディスプレイ装置。
(11)透明支持体上に、少なくとも1層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、被覆組成物を塗布、乾燥し、熱エネルギー及び光エネルギーにより硬化して該少なくとも1層の機能層を形成する工程を含む光学フィルムの製造方法。
(12)前記熱エネルギー及び光エネルギーが、逐次又は同時に複数回印加される前記11に記載の製造方法。
(13)前記被覆組成物が、熱硬化材料と光硬化材料とを含有する被覆組成物である前記11又は12に記載の製造方法。
(14)前記被覆組成物が、熱硬化部位と光硬化部位とを同一分子内に含む化合物を含有する被覆組成物である前記11〜13のいずれかに記載の製造方法。
(15)前記少なくとも1層の機能層が、透明支持体の表面に接する層である前記11〜14のいずれかに記載の製造方法。
(16)前記少なくとも1層の機能層が、低屈折率層及び/又はハードコート層である前記11〜15のいずれかに記載の製造方法。
(17)前記少なくとも1層の機能層が、少なくとも2層の機能層である前記11〜16のいずれかに記載の製造方法。
(18)前記少なくとも2層の機能層が、ハードコート層及び反射防止層である前記11〜17のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、被覆組成物を熱エネルギー及び光エネルギーの複数のエネルギー(好ましくは、熱エネルギー及び光エネルギーを逐次又は同時に複数回印加すること)により硬化することで、膜強度の高い光学フィルムを安価に得ることができる。また十分な反射防止性能を有しながら、耐擦傷性をより向上した反射防止フィルムが製造できる。透明支持体上の被覆組成物を複数のエネルギーにより硬化することで、迅速な硬化とそれに伴い耐擦傷性が向上された光学フィルムが得られる。さらに反射防止フィルムのような少なくとも2層構造以上の場合に、層内の硬度向上と層間の結合促進を行うことで所望の性能を発現できる。さらに本発明により製造された反射防止フィルム又は偏光板を備えたディスプレイ装置(画像表示装置)は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高い特徴を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本発明でいう「重合」には、共重合も含む趣旨である。さらに、本発明でいう「支持体上」には、該支持体の直接の表面をいう場合と、該支持体の上に何らかの層(膜)を設けた表面をいう場合の両方を含む趣旨である。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
<光学フィルム>
本発明の光学フィルムは、透明支持体上に、少なくとも1層の機能層を有する光学フィルムであって、該少なくとも1層の機能層が、該被覆組成物を熱エネルギー及び光エネルギーにより硬化してなる層である光学フィルムである。
前記少なくとも1層の機能層は、特に限定されないが、光学的に機能する層(光学機能層)であればよい。機能層は、例えば、ハードコート層(モノマーを硬化することによって得られたハードコート層)及び/又は低屈折率層であることが好ましい。機能層はハードコート層及び防眩層を兼ねた防眩性ハードコートであってもよい。機能層は、例えば、防眩性や内部散乱性を付与するための透光性微粒子とハードコート性を付与するための透光性樹脂から形成される層が挙げられ、該機能層は高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含有してもよい。また、該機能層は帯電防止層とハードコート層を兼ねた帯電防止性ハードコート層でもよく、帯電防止層と防眩層を兼ねた帯電防止性防眩層でもよい。更に前記少なくとも1層の機能層が、透明支持体の表面に接する層であることが好ましい。
本発明では、被覆組成物を硬化してなる層は、熱エネルギー及び光エネルギーにより硬化される。熱エネルギー及び光エネルギーの印加は、逐次でも同時でもよい。例えば、逐次では、
(1)熱エネルギーの印加後、光エネルギーを印加する方法、
(2)光エネルギーの印加後、光エネルギーを印加する方法、又は
(3)熱エネルギー及び光エネルギーの両方を同時に印加する方法
のいずれであってもよい。またこれらの(1)乃至(3)方法を組み合わせて、熱エネルギー及び光エネルギーを逐次又は同時に複数回印加することが好ましい。本発明では、熱エネルギー及び光エネルギーの両方を同時に印加する方法が好ましい。
本発明の光学フィルムが少なくとも2層の機能層(上層及び下層)を有する場合、透明支持体上の1層目の機能層(下層)上に別の層(上層)を塗布、乾燥し、硬化することで該光学フィルムは製造できる。上層は、下層とは異なるエネルギーで硬化してもよい。また下層(上層)が、上層(下層)を硬化するエネルギーにより硬化反応を起してもよい。
前記被覆組成物は、熱硬化材料と光硬化材料とを含有する被覆組成物、及び/又は熱硬化部位と光硬化部位とを同一分子内に含む化合物を含有する被覆組成物であることが好ましい。
熱硬化材料と光硬化材料とを含有する被覆組成物は、特に限定されないが、それぞれの材料を2種以上混合した組成物が挙げられる。
前記熱硬化部位と光硬化部位とを同一分子内に含む化合物は、特に限定されないが、少なくとも1個の光重合性部位(例えば(メタ)アクリレート基、エポキシ基など)と少なくとも1個の熱硬化性部位(例えばヒドロキシ基、アミノ基など)を1つの化合物内に同時に合わせ持つ化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマー等)が挙げられる。なお、前記被覆組成物を硬化してなる層がハードコート層である場合、以下に記載したハードコート層に用いるバインダーポリマー、モノマーからなる組成物が、熱硬化材料と光硬化材料とを含有する被覆組成物、又は熱硬化部位と光硬化部位とを同一分子内に含む化合物を含有する被覆組成物に相当する。
前記光エネルギーによる硬化方法は、公知の手段が適用できるが、光エネルギーの光の波長が200〜500nmの範囲にあるエネルギー線が好ましい。エネルギー線の光源としては、紫外線および可視光線を発するものが好ましく、例えばメタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、殺菌ランプ、キセノンランプ等が好適に使用される。
前記熱エネルギーによる硬化方法は、加熱により(熱重合を行い)硬化する方法である。加熱条件は、特に限定されず、使用する熱重合開始剤の種類等により適宜決定すればよい。熱風及び/又は温水浴等の加熱方法を使用して、60℃〜140℃で10分〜120分間加熱することにより行うことができる。加熱方法は多段階に昇温を行ってもよい。
<反射防止フィルム>
〔反射防止フィルムの層構成〕
本発明の光学フィルムが、反射防止層(好ましくはハードコート層及び少なくとも一層の反射防止層)を少なくとも有する場合、このフィルムは反射防止フィルムとして機能する。反射防止フィルムは、ハードコート層及び反射防止層の他に、別の光学機能層を有してよい。本発明の反射防止フィルムは、透明支持体(以後、基材又は基材フィルムと称することもある)上に、後述のハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように、屈折率、膜厚、層の数及び層順等を考慮して積層された反射防止層を有する。該反射防止層の最も単純な構成は、基材フィルムよりも屈折率の高いハードコート層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。
反射防止フィルムの構成例は、基材フィルム上にハードコート層を設け、さらに低屈折率層を設けたものや、基材フィルム上にハードコート層を設け、さらに高屈折率層/低屈折率層の2層を設けたものや、ハードコート層上に、屈折率の異なる3層、すなわち中屈折率層(基材フィルム又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層したもの等が挙げられる。更に多くの反射防止層を積層してもよい。また、本発明の反射防止フィルムは防眩性層や帯電防止層等の機能性層を有していてもよい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい構成の例を下記に示す。概略図を図1〜5に示す。
a.透明支持体/ハードコート層/低屈折率層(図1)
b.透明支持体/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
c.透明支持体/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層(図2)
d.透明支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層(図3)
e.透明支持体/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
f.帯電防止層/透明支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
上記a(図1)のように、透明支持体(1)上にハードコート層(2)を塗布した上に、低屈折率層(5)を積層すると、反射防止フィルムとして好適に用いることができる。低屈折率層(5)はハードコート層(2)の上に低屈折率層(5)を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
また、c(図2)のように透明支持体(1)上にハードコート層(2)を塗布した上に、高屈折率層(4)、低屈折率層(5)を積層しても反射防止フィルムとして好適に用いることができる。さらに、d(図3)のように透明支持体(1)、ハードコート層(2)、中屈折率層(3)、高屈折率層(4)、そして低屈折率層(5)の順序の層構成を設置することにより、反射率を1%以下とすることができる。
上記反射防止フィルムa〜fの層構成において、ハードコート層(2)は防眩性を有する防眩性ハードコート層とすることができる。防眩性の付与は、図4に示されるようなマット粒子の分散によるものでも、図5に示されるようなエンボス加工などの方法による表面の賦形によって形成されてもよい。マット粒子の分散によって形成される防眩性ハードコート層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性ハードコート層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えたものであるが、ハードコート層は、防眩性ハードコート層と平滑なハードコート層など複数層で構成されていてもよい。またハードコート層とは別に防眩層を設けることもできる。
また支持体とそれよりも表面側の層の間、あるいは最表面に設けてもよい層として、干渉ムラ(虹ムラ)防止層、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、別のハードコート層(1層のハードコート層又は防眩性ハードコート層だけで硬度が不足する場合)、ガスバリアー層、水吸収層(防湿層)、密着改良層、防汚層(汚染防止層)、等が挙げられる。
本発明における反射防止層を有する反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
ハードコート層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
本発明の反射防止フィルムは、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。
高屈折率層は防眩性のない光拡散性層であってもよい。また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子又は金属酸化物微粒子(例えば、SnO2、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布又は大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
〔ハードコート層〕
本発明の光学フィルムは、透明支持体上にハードコート層を有し、さらにその上に低屈折率層を有することが好ましい。さらには、要求される性能に応じ、該ハードコート層を防眩性ハードコート層とした反射防止フィルムとすることもできる。本発明の反射防止フィルムでは、膜強度を向上させる目的で、防眩性ハードコート層の下層に、さらに防眩性ではないハードコート層を設けることもできる。
ハードコート層の膜厚の総和は1〜40μmが好ましく、1μmを下回ると、必要な耐擦傷性が低下する方向であり、好ましくない。一方、ハードコート層の層厚の総和が40μmを越えると、脆性やフィルムカールに問題が出始め、好ましくない。
[バインダーポリマー]
ハードコート層に用いられるバインダーとしては、飽和炭化水素鎖又はポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
(飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマー)
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和基を有するモノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、且つ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、1個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
該ハードコート層を高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
1個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー(多官能性化合物(a))としては、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル{例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサントリオールトリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート等}、エステルのエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼン及びその誘導体{例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−(メタ)アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン等}、ビニルスルホン(例えばジビニルスルホン)、(メタ)アクリルアミド(例えばメチレンビスアクリルアミド)などが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。また、(三次元)樹状構造の多官能モノマー(例えばデンドリマー)でもよい。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
1個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに、又はそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
本発明において、被覆組成物は熱エネルギー及び光エネルギーにより硬化する化合物を用いることが特徴である為、上記1個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと上記架橋性官能基と反応する部位を有するモノマーを混合して用いることが好ましく、更には下記に示すような例えば、1分子内に1個以上のエチレン性不飽和基と上記架橋性官能基と反応する部位とを有する化合物を用いることが好ましい。1分子内に1個以上のエチレン性不飽和基と上記架橋性官能基と反応する部位とを有する化合物例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007256925
Figure 2007256925
Figure 2007256925
上記の例示化合物に加え、例えばPerstorp社のBOLTORN H20、BOLTORN H2003、BOLTORN H2004、BOLTORN H30、BOLTORN H40、BOLTORN P1000のような多価アルコールに、Et3N共存下、(メタ)アクリル酸クロライドによるエステル化か、酸触媒共存下エチレン性不飽和基含有カルボン酸を脱水縮合することにより得られるアルコール部位(-OH)含有のエチレン性不飽和基含有化合物も好ましく利用できる。含有するアルコール部位(-OH)の数は上記合成方法を調整することにより任意に選択可能である。アルコール部位(-OH)の数は1〜60個が好ましく、特には1〜30個が好ましく、更には1〜5個が好ましい。
以下に本発明に用いることのできるアルコール部位(-OH)含有のエチレン性不飽和基含有化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007256925

Figure 2007256925
Figure 2007256925
Figure 2007256925
(重合開始剤)
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤、金属酸化物粒子及び、必要に応じてマット粒子を含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線又は熱による重合反応により硬化してハードコート層を形成することができる。
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報等に記載)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、オニウム塩類、ボレート塩、活性ハロゲン化合物などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが含まれる。
「最新UV硬化技術」{発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行}、p.159、及び「紫外線硬化システム」(加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製の商品名「イルガキュア(651,184,907)」等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
(光増感剤)
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。
(熱ラジカル開始剤)
熱ラジカル開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド;無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等;アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンジニトリル)等;ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
(ポリエーテルを主鎖として有するバインダーポリマー)
ポリエーテルを主鎖として有するバインダーポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤又は熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤又は熱酸発生剤、マット粒子及び金属酸化物粒子を含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線又は熱による重合反応により硬化してハードコート層を形成することができる。
[金属酸化物粒子]
支持体上に形成されるハードコート層をはじめ各層には、金属酸化物粒子を添加することが好ましい。各層に添加する金属酸化物粒子はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、各層の屈折率、膜強度、膜厚、塗布性などの必要性能に応じて、種類、添加量は調節されることが好ましい。
本発明に使用する金属酸化物粒子の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、球状、板状、繊維状、棒状、不定形、中空等のいずれも好ましい。
上記粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。
シリカ粒子としては、1次粒子径0.5〜10μmの球状粒子でもよいが、特に一次粒子径が数十nmの粒子が凝集体を形成した凝集性のシリカが白化防止及び適度な表面ヘイズを安定に付与できる点で好ましい。
凝集性のシリカは、珪酸ナトリウムと硫酸の中和反応により合成された、いわゆる湿式法により得ることができるがこれに限らない。湿式法はさらに沈降法、ゲル化法に大別されるが、本発明はどちらの方法であってもよい。凝集性シリカの二次粒径は、0.1〜10.0μmの範囲が好ましいが、粒子を含有するハードコート層の層厚と組み合わせて選択される。
特に凝集性シリカ粒子の二次粒子径をハードコート層の膜厚で除した値が0.1〜1.0であることが好ましく、0.3〜0.8であることがより好ましい。
また、金属酸化物粒子の種類についても特に制限されるものではないが、非晶質のものが好ましく用いられ、金属の酸化物、窒化物、硫化物又はハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物が特に好ましい。金属原子としては、Zr、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、Pb及びNi等が挙げられる。
金属酸化物粒子の平均粒子径は、透明な硬化膜を得るためには、1nm〜200nmの範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは1nm〜100nm、さらに好ましくは1nm〜80nmである。ここで、粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
金属酸化物粒子は、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、金属酸化物粒子表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの金属酸化物粒子の添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。金属酸化物粒子の添加量は、後述する防眩性ハードコート層及び平滑なハードコート層のいずれの場合も、同じ使用量範囲の中で適宜選択することができる。
なお、このような金属酸化物粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明における金属酸化物粒子の使用方法は、特に制限されるものではなく、例えば乾燥状態で使用することができるし、あるいは水又は有機溶媒に分散した状態で使用することもできる。
[分散安定化剤]
本発明において、金属酸化物粒子の凝集、沈降を抑制する目的で、分散安定化剤を併用することも好ましい。分散安定化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、ポリアミド、リン酸エステル、ポリエーテル、界面活性剤及び、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を使用することができる。特にシランカップリング剤が硬化後の皮膜が強いため好ましい。
分散安定化剤としてのシランカップリング剤の添加量は、特に制限されるものではないが、例えば、金属酸化物粒子100質量部に対して、1質量部以上の値とするのが好ましい。また分散安定化剤としてのシランカップリング剤の添加方法も、特に制限されるものではないが、予め加水分解したものを添加することもできるし、また分散安定化剤であるシランカップリング剤と金属酸化物粒子とを混合後、さらに加水分解及び縮合する方法を採ることができるが、後者の方がより好ましい。
上記のように、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物は、金属酸化物粒子の分散安定化剤として用いることができるが、それ以外に、さらに後記する低屈折率層形成用組成物の硬化性化合物など、各層のマトリックス構成成分の一部として、塗布液調製時の添加剤としても用いることができる。特に本発明においては、低屈折率層に特定のオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物を使用することが好ましく、このことは詳細に後述する。
[防眩性ハードコート層]
次に、本発明で好ましく用いられる防眩性ハードコート層について説明する。防眩性ハードコート層はハードコート性を付与するためのバインダー、防眩性を付与するためのマット粒子、及び高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための金属酸化物粒子などから形成される。
(マット粒子)
防眩性ハードコート層には、防眩性付与の目的で、凝集性のシリカ粒子、フィラー粒子より大きな、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は透光性の樹脂粒子が含有される。
上記粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。
シリカ粒子としては、1次粒子径0.5〜10μmの球状粒子でもよいが、特に一次粒子径が数十nmの粒子が凝集体を形成した凝集性のシリカが白化防止及び適度な表面ヘイズを安定に付与できる点で好ましい。
凝集性のシリカは、珪酸ナトリウムと硫酸の中和反応により合成された、いわゆる湿式法により得ることができるがこれに限らない。湿式法にはさらに沈降法、ゲル化法に大別させるが、本発明はどちらの方法であってもよい。凝集性シリカの二次粒径は、0.1〜10.0μmの範囲が好ましいが、粒子を含有するハードコート層の層厚と組み合わせて選択される。
特に凝集性シリカ粒子の二次粒子径をハードコート層の膜厚で除した値が0.1〜1.0であることが好ましく、0.3〜0.8であることがより好ましい。
前述のシリカ粒子、好ましくは凝集性シリカ粒子と併用することができる透光性の樹脂粒子について記述する。
併用できる透光性の樹脂粒子の具体例としては、例えばポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく、特に架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が最も好ましく用いられる。これらの粒子の中から選ばれた各透光性微粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率、及び添加量を調整することにより、内部ヘイズ、表面ヘイズを所望の範囲にすることができる。
併用できる透光性の樹脂粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。
併用できる透光性の樹脂粒子としては、耐擦傷性を向上するために、樹脂粒子の圧縮強度が2.2〜10.0kgf/mm2であることが好ましく、2.5〜8.0kgf/mm2であることがより好ましい。樹脂粒子の圧縮強度を高めるためには、架橋剤の選択や架橋度を高めることが効果的である。
マット粒子の形状は、真球又は不定形のいずれも使用できる。また、異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは30〜100mg/m2となるように防眩性ハードコート層に含有される。
また、特に好ましい態様は、マット粒子として架橋スチレン粒子を用い、防眩性ハードコート層の膜厚の2分の1よりも大きい粒径の架橋スチレン粒子が、該架橋スチレン粒子全体の40〜100%を占める態様である。
ここで、マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。
より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133dpi以上の高精細ディスプレイ装置に反射防止フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。これはフィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、表示性能の均一性を失うことに由来するが、これは防眩性を付与するマット粒子よりも、5〜50%粒子径の小さなマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては、単分散であることが好ましく、全粒子の粒子径は同一に近ければ近いほどよい。例えば、平均粒子径よりも20%以上粒子径の異なる粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は、通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット粒子を得ることができる。
(金属酸化物粒子)
防眩性ハードコート層には、層の屈折率を高めるために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が、1nm〜200nmの範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは1nm〜100nm、さらに好ましくは1nm〜80nmである。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために高屈折率マット粒子を用いた防眩性ハードコート層では、層の屈折率を低目に保つために、珪素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は上記の無機フィラーと同じである。
防眩性ハードコート層に用いられる金属酸化物粒子の具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO(インジウム−錫酸化物)、SiO2等が挙げられる。TiO2及びZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。これら金属酸化物粒子は、前記のように、その表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダーと反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
なお、このような金属酸化物粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明の反射防止フィルムにおける防眩性ハードコート層の、バインダー及び金属酸化物粒子の混合物の合計の屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び金属酸化物粒子の種類及び量の割合を選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に知ることができる。
(界面活性剤)
本発明における防眩性ハードコート層は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を抑制して面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、又はその両者を防眩性ハードコート層形成用の塗布組成物中に含有させることが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、大日本インキ(株)製の「メガファックF−171」、「メガファックF−172」、「メガファックF−173」、「メガファックF−176」(いずれも商品名)等のペルフルオロアルキル基含有オリゴマー等が挙げられる。シリコーン系の界面活性剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のオリゴマー等の各種の置換基で側鎖や主鎖の末端が変性されたポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
しかしながら、上記のような界面活性剤を使用することにより、防眩性ハードコート層表面に、F原子を含有する官能基及び/又はSi原子を有する官能基が偏析して防眩性ハードコート層の表面エネルギーが低下し、該防眩性ハードコート層上に低屈折率層をオーバーコートしたとき、反射防止性能が低下することがある。これは低屈折率層形成用塗布液の、防眩性ハードコート層表面に対する濡れ性が低下することにより、低屈折率層の膜厚の目視では検知できない微小なムラが生じるためと推定される。
このような問題を解決するためには、フッ素系及び/又はシリコーン系の界面活性剤の構造と添加量を調整することにより、防眩性ハードコート層の表面エネルギーを、好ましくは25〜70mN・m-1に、より好ましくは35〜70mN・m-1に制御することが効果的であり、さらに後述するように、低屈折率層の塗布溶媒の50〜100質量%を沸点100℃以下の溶媒とすることがより効果的である。
また、上記のような表面エネルギーを実現するためには、X線光電子分光法で測定した、フッ素原子由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるF/Cが0.40以下、及び/又は珪素原子由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるSi/Cが0.30以下でとなるようにすることが好ましい。
防眩性ハードコート層の膜厚は、1〜10μmが好ましく、1.2〜6μmがより好ましい。
[平滑なハードコート層]
本発明の反射防止フィルムでは、更なるフィルム強度向上の目的で、防眩性ではないいわゆる平滑なハードコート層も好ましく用いられる。平滑なハードコート層は、より好ましくは防眩性ハードコート層と併用することが好ましく、透明支持体と防眩性ハードコート層の間に塗設される。
平滑なハードコート層に用いる素材は、防眩性付与のためのマット粒子を用いないこと以外は、防眩性ハードコート層において挙げたものと同様であり、バインダーと好適には金属酸化物粒子とから形成される。
本発明における平滑なハードコート層では、金属酸化物粒子としては、強度及び汎用性の点でシリカ、アルミナが好ましく、特にシリカが好ましい。また該金属酸化物粒子は、表面をシランカップリング処理されることが好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
平滑なハードコート層の膜厚は1〜10μmが好ましく、1.2〜6μmがより好ましい。
〔低屈折率層〕
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層について以下に説明する。
本発明の反射防止フィルムにおける低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.38〜1.49であり、より好ましくは1.38〜1.44の範囲にある。
さらに、低屈折率層は下記数式(1)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(1):(jλ/4)×0.7<n11<(jλ/4)×1.3
式中、jは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。低屈折率層の膜厚(d1)は70〜150nmが好ましく、更には80〜120nmが好ましく、更には85〜115nmが最も好ましい。
なお、上記数式(1)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(1)を満たすj(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
本発明における低屈折率層を形成する各素材について以下に説明する。
本発明に用いられる低屈折率層は、バインダーポリマー、少なくとも1種の重合開始剤、及びエチレン性不飽和基を有する硬化性化合物を含有する低屈折率層形成用組成物により形成される。さらには、重合開始剤及び硬化性化合物が低屈折率層の下部に局在化して硬化されたものであることが好ましい。
好ましくは、重合開始剤(C)が、熱及び/または光分解性の開始剤である。また、バインダーポリマー(A)が、架橋性又は重合性の官能基を有する含フッ素ポリマーであり、硬化性化合物(B)が非フッ素化合物であることが好ましい。
[バインダーポリマー](A)
{含フッ素ポリマー}
含フッ素ポリマーは、硬化被膜にした場合の被膜の動摩擦係数が0.03〜0.20、水に対する接触角が90〜120°、純水の滑落角が70°以下であり、熱又は電離放射線により架橋するポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムをディスプレイ装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、500gf以下が好ましく、300gf以下がより好ましく、100gf以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーは、架橋性又は重合性の官能基を含む含フッ素化合物であることが好ましく、例えばペルフルオロアルキル基含有シラン化合物{例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン}の加水分解物や脱水縮合物の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーとの含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素共重合体の場合、主鎖は炭素原子のみからなるのが好ましい。すなわち、主鎖骨格に酸素原子や窒素原子などを有しないのが好ましい。
含フッ素ポリマーのフッ素原子含有率は35〜80質量%であることが好ましい。
含フッ素モノマーの具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオリド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類[例えば「ビスコート6FM」{大阪有機化学工業(株)製}や“M−2020”{ダイキン工業(株)製}等]、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはペルフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素モノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、被膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素モノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
架橋性基付与のための構成単位としては主として以下の(a)、(b)、(c)で示される単位が挙げられる。
(a):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位。(b):カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、この場合共重合の後、架橋構造を導入できることが特開平10−25388号公報及び特開平10−147739号公報に記載されている。
(c):分子内に上記(a)、(b)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(a)、(b)の構成単位と反応させて得られる構成単位(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)。
上記(c)の構成単位は、特に本発明においては、該架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基及びシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基含有共重合体を調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
(2)水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
(3)エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
(4)カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
なお上記光重合性基の導入量は、任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機微粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
また上記含フッ素モノマーと、架橋性基付与のためのモノマーとの共重合体だけでなく、これら以外のモノマーが共重合された共重合体を用いてもよい。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層に好ましく用いることができるバインダーとして、特開2004−45462号公報の[0030]〜[0047]に記載の共重合体が挙げられる。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、ペルフルオロオレフィンとビニルエーテル類又はビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基{(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基}等を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70モル%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60モル%の場合である。
好ましいポリマーについては、特開2002−243907号、特開2002−372601号、特開2003−26732号、特開2003−222702号、特開2003−294911号、特開2003−329804号、特開2004−4444、特開2004−45462号に記載のものを挙げることができる。
また本発明で用いられる含フッ素ポリマーには、防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが、例えば特開平6−93100号、特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法;特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法;などが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平11−189621号公報の実施例1、2、及び3のポリマー、又は特開平2−251555号公報の共重合体A−2及びA−3を挙げることができる。これらのポリシロキサン成分はポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
本発明に好ましく用いることのできるポリマーの好ましい分子量は、質量平均分子量が5000以上、好ましくは10000〜500000、最も好ましくは15000〜200000である。平均分子量の異なるポリマーを併用することで塗膜面状の改良や耐傷性の改良を行うこともできる。
(含フッ素ポリマーの好ましい形態)
本発明に用いられる含フッ素ポリマーの好ましい形態として、下記一般式6又は一般式7で記載される含フッ素ポリマーが好ましく用いられる。
一般式6
Figure 2007256925
一般式6中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**,*−(CH22−NH−**,*−(CH24−O−**,*−(CH26−O−**,*−(CH22−O−(CH22−O−**,*−CONH−(CH23−O−**,*−CH2CH(OH)CH2−O−**,*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式6中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式6中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。
本発明に用いられる共重合体の更に好ましい形態として一般式7も挙げられる。
一般式7
Figure 2007256925
一般式7においてRは炭素数1〜10のアルキル基、又は一般式6のようなエチレン性不飽和基(−C(=O)C(−X)=CH2)でもよい。
mは1≦n≦10の整数を表わし、1≦n≦6であることが好ましく、1≦n≦4であることが特に好ましい。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。また、シリコーン部位を含んでいても良い。
x、y、z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、0≦y≦70を満たすのが好ましく、更に好ましくは、35≦x≦55、0≦y≦60の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、0≦y≦55の場合である。z1及びz2については、1≦z1≦65、1≦z2≦65を満たすのが好ましく、更に好ましくは1≦z1≦40、1≦z2≦10であることが好ましく、1≦z1≦30、1≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
本発明の含フッ素ポリマーは、防汚性を付与するために下記ポリシロキサン構造を有する構成単位を有することも好ましい。本発明で有用なポリシロキサン構造を有する含フッ素ポリマーとしては、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位、および(c)側鎖に下記一般式1で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなるグラフト部位を有する重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、主鎖が炭素原子のみからなる含フッ素ポリマーが挙げられる。
一般式1
Figure 2007256925
一般式1中、R1、R2は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。アルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基およびフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。pは2〜500の整数を表わし、好ましくは5〜350であり、特に好ましくは8〜250の場合である。
側鎖に一般式1であらわされるポリシロキサン構造を有するポリマーは、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、エポキシ基、水酸基、カルボキシル、酸無水物基等の反応性基を有するポリマーに対して、相対する反応性基(例えばエポキシ基、酸無水物基に対してアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。本発明ではシリコンマクロマーの重合によって導入する方法がより好ましい。
シリコンマクロマーとしては、含フッ素オレフィンとの共重合が可能な重合性基を有しているものであれば良く、好ましくは一般式2〜5のいずれかで表わされる構造である。
Figure 2007256925
一般式2〜5においてR1、R2およびpは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲もそれらと同じである。R3〜R5はそれぞれ独立に、置換または無置換の1価の有機基または水素原子を表わし、炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、オクチル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、炭素数6から20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が特に好ましい。R6は水素原子またはメチル基を表わす。L1は炭素数1〜20の任意の連結基を表わし、置換または無置換の直鎖、分岐または脂環式のアルキレン基、または置換または無置換のアリーレン基が挙げられるが、好ましくは、炭素数1〜20の無置換の直鎖アルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基またはプロピレン基である。これらの化合物は例えば特開平6−322053号記載の方法で合成される。
一般式2〜5で表される化合物はどれも本発明に好ましく用いることができるが、これらの中でも特に含フッ素オレフィンとの共重合性の観点から一般式2、3または4で表わされる構造のものが好ましい。上記のポリシロキサン部位はグラフト共重合体中の0.01〜20質量%を占めることが好ましく、より好ましくは0.05〜15質量%の場合であり、特に好ましくは、0.5〜10%の場合である。
以下に本発明に有用な側鎖にポリシロキサン部位を含む重合体グラフト部位の重合単位の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007256925
Figure 2007256925
Figure 2007256925
Figure 2007256925
Figure 2007256925
Figure 2007256925
Figure 2007256925
S−(36) サイラプレーン FM−0711 (チッソ(株)製)
S−(37) サイラプレーン FM−0721 (同上)
S−(38) サイラプレーン FM−0725 (同上)
該ポリシロキサン構造の導入によって、皮膜に防汚性、防塵性が付与されると供に、皮膜表面に滑り性が付与され耐傷性にも有利である。
(硬化剤)
含フッ素ポリマーに架橋性化合物を硬化剤として配合することにより、さらなる硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基を含有する場合には、硬化剤として使用できる化合物は、水酸基と反応しうる官能基を1分子内に2個以上有する硬化剤ものであれば特に限定はなく、例えばポリイソシアネート類、イソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステル皮膜などとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物、アミノプラスト類、多塩基酸又はその無水物などを挙げることができる。これら硬化剤を用いる際には、水酸基含有のモノマーユニットの含率は1%以上65%以下が好ましく、更に好ましくは1%以上50%以下である。
水酸基と反応する硬化剤の中で、本発明では、保存時の安定性と架橋反応の活性の両立の観点、及び形成される膜の強度の観点から、酸性条件下で水酸基含有化合物と架橋反応するアミノプラスト類が好ましい。アミノプラスト類は、含フッ素ポリマー中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、すなわちヒドロキシアルキルアミノ基もしくはアルコキシアルキルアミノ基、又は窒素原子に隣接し、且つアルコキシ基で置換された炭素原子を含有する化合物である。具体的には、例えばメラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物等を挙げることができる。
上記メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているもので、具体的にはメラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができる。特に、メラミンとホルムアルデヒドを塩基性条件下で反応して得られるメチロール化メラミン及びアルコキシ化メチルメラミン、並びにその誘導体が好ましく、特に保存安定性からアルコキシ化メチルメラミンが特に好ましい。またメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンについて特に制約はなく、例えば「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されているような方法で得られる、各種樹脂の使用も可能である。
また上記尿素化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、さらには環状尿素構造であるグリコールウリル骨格や2−イミダゾリジノン骨格を有する化合物も好ましい。前記尿素誘導体等のアミノ化合物についても前記「ユリア・メラミン樹脂」等に記載の各種樹脂の使用が可能である。
本発明において架橋剤として好適に用いられる化合物としては、含フッ素共重合体との相溶性の点から、特にメラミン化合物又はグリコールウリル化合物が好ましく、その中でも反応性の観点から、架橋剤が分子中に窒素原子を含有し、且つ該窒素原子に隣接するアルコキシ基で置換された炭素原子を2個以上含有する化合物であることが好ましい。特に好ましい化合物は下記H−1、H−2で表される構造を有する化合物、及びそれらの部分縮合体である。式中R31及びR32は炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を表す。
Figure 2007256925
含フッ素ポリマーに対するアミノプラストの添加量としては、共重合体100質量部当たり、1〜50質量部であり、好ましくは3〜40質量部であり、さらに好ましくは5〜30質量部である。1質量部以上であれば、本発明の特徴である薄膜としての耐久性を十分に発揮することができ、50質量部以下であれば、光学用途に利用する際に本発明における低屈折率層の特徴である低屈折率を維持できるので好ましい。硬化剤を添加しても屈折率を低く保つという観点からは、添加しても屈折率の上昇が少ない硬化剤が好ましく、その観点では上記化合物のうち、H−2で表される骨格を有する化合物がより好ましい。
(硬化触媒)
本発明の反射防止フィルムを、加熱しながら含フッ素ポリマーの水酸基と前記硬化剤との架橋反応で膜を硬化する場合には、この系では酸により硬化が促進されるため、硬化性樹脂組成物に、酸性物質を添加することが望ましいが、通常の酸を添加すると塗布液中でも架橋反応が進行してしまい、故障(ムラ、ハジキなど)の原因となる。従って、熱硬化系で保存安定性と硬化活性を両立するために、加熱により酸を発生する化合物を硬化触媒として添加することがより好ましい。
硬化触媒は、酸と有機塩基から構成される塩であることが好ましい。酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられ、ポリマーに対する相溶性の観点から有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MsOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる{( )内は略称}。
硬化触媒は、酸と組み合わせる有機塩基の塩基性及び沸点によって大きく変化する。以下にそれぞれの観点から本発明で好ましく用いられる硬化触媒について説明する。
有機塩基の塩基性が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましいが、塩基性が低すぎると保存安定性が不十分になる。従って、適度な塩基性を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基性の指標として共役酸のpKaを用いて表すと、本発明で用いる有機塩基のpKaは5.0〜10.5である必要があり、6.0〜10.0であることがより好ましく、6.5〜10.0であることがさらに好ましい。有機塩基のpKaの値は水溶液中での値が化学便覧 基礎編(改訂5版、日本化学会編、丸善、2004年)第2巻のII−334〜340頁に記載があるので、その中から適当なpKaを有する有機塩基を選ぶことができる。また、該文献に記載がなくても構造上適当なpKaを有すると推定できる化合物も好ましく用いることができる。表1に該文献に記載の適当なpKaを有する化合物を示すが、本発明に好ましく用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007256925
有機塩基の沸点が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましい。従って、適度な沸点を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基の沸点としては、120℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましい。
本発明で好ましく用いることができる有機塩基としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。( )内は沸点を示す。
b−3:ピリジン(115℃)、b−14:4−メチルモルホリン(115℃)、b−20:ジアリルメチルアミン(111℃)、b−19:トリエチルアミン(88.8℃)、b−21:t−ブチルメチルアミン(67〜69℃)、b−22:ジメチルイソプロピルアミン(66℃)、b−23:ジエチルメチルアミン(63〜65℃)、b−24:ジメチルエチルアミン(36〜38℃)、b−18:トリメチルアミン(3〜5℃)。
本発明で好ましく用いることができる有機塩基の沸点は35℃以上85℃以下である。これ以上の温度では耐擦傷性の悪化が生じ、また35℃未満では塗布液が不安定となる。沸点は45℃以上80℃以下であることがさらに好ましく、55℃以上75℃以下であることが最も好ましい。
本発明において酸触媒として用いる時には、前記酸と有機塩基からなる塩を単離して用いてもよいし、酸と有機塩基を混合して溶液中で塩を形成させ、その溶液を用いてもよい。また、酸、有機塩基とも1種類だけで用いてもよいし、複数種類のものを混合して用いてもよい。酸と有機塩基を混合して用いる時には、酸と有機塩基の当量比が1:0.9〜1.5となるように混合することが好ましく、1:0.95〜1.3であることがより好ましく、1:1.0〜1.1であることが好ましい。
この酸触媒の使用割合は、上記硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.2〜3質量部である。
本発明では上述した加熱により酸を発生する化合物、すなわち熱酸発生剤の他に、光照射により酸を発生する化合物、すなわち感光性酸発生剤をさらに添加してもよい。酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、又はマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。該感光性酸発生剤は当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。
この感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ピリジニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等(好ましくはジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩)の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;(6)トリハロメチルトリアジン類;その他を挙げることができ、適宜使用することができる。上記(1)については、例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005−43876号記載の内容などを用いることができる。
これらの感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。感光性酸発生剤の使用割合は、低屈折率層形成用組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。感光性酸発生剤の割合が該上限値以下であれば、得られる硬化膜の強度が優れたものとなり、透明性も良好なので好ましい。
上述した硬化剤、硬化触媒は、開始剤と前述した上記1個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと架橋性官能基と反応する部位を有するモノマーを混合して用いる場合や、開始剤と1分子内に1個以上のエチレン性不飽和基と上記架橋性官能基と反応する部位を有する化合物と共に合わせて用いることが好ましい。
次にエチレン性不飽和基を有する硬化性化合物(B)について説明する。
{エチレン性不飽和基を含有する硬化性化合物(B)}
硬化性化合物(B)としては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーが挙げられ、該モノマーとしては、前記〔ハードコート層〕の[バインダーポリマー]における(飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマー)の中で例示した各種のモノマー類の中から、適宜選択して用いることができる。これらのモノマーは、バインダー中の架橋基の密度を上げることができ、硬度の高い硬化膜を形成できるが、含フッ素ポリマーバインダーに比較すると屈折率は低くない。しかしながら、中空構造を有する無機微粒子と併用することで、本発明の反射防止フィルムの低屈折率層として十分に有効な屈折率を得ることができる。
(オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物)
また、硬化性化合物は、含フッ素バインダーよりも下部に局在化させるために表面自由エネルギーをフッ素化合物よりも高くしたい観点から、非フッ素化合物であることが好ましい。中でも、エチレン性不飽和基を有し、且つ水酸基又は加水分解可能な基が珪素に直接結合している、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物、いわゆるゾル成分であることが特に好ましい。
オルガノシラン化合物は、下記一般式(b)で表されるものが好ましい。
一般式(b):(R31m3−SiX31 4-m3
上記一般式(b)において、R31は置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
31は、水酸基又は加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR32COO(R32は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
m3は0〜3の整数を表し、好ましくは1又は2である。
31又はX31が複数存在するとき、複数のR31又はX31はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
31に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
31が複数ある場合は、少なくとも1つが置換アルキル基又は置換アリール基であることが好ましい。
上記オルガノシラン化合物は、単独でも複数種類を用いて加水分解物及び/又はその部分縮合物を調製してもよい。
硬化性化合物(B)として好適に用いられる、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物は、エチレン性不飽和基を含有するものであり、ゾル成分の調製に用いられるオルガノシラン化合物の少なくとも1つが上記一般式(b)のR31がエチレン性不飽和基を有するものを用いることによって調製することができる。
本発明の効果を得るためには、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物における、前記エチレン性不飽和基を有するオルガノシラン化合物の含有量は、30質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%がより好ましく、70質量%〜95質量%が更に好ましい。前記エチレン性不飽和基を有するオルガノシラン化合物の含有量が30質量%以上であれば、不溶解分が生じたり、液が濁ったり、ポットライフが悪化したり、分子量の制御が困難(分子量の増大)であったり、重合性基の含有量が少ないために重合処理を行った場合の性能(例えば反射防止膜の耐傷性)の向上が得られにくかったりするなどの不具合が生じないので好ましい。
本発明に用いられるオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物の、少なくともいずれかは、塗布品性能の安定化のためには揮発性を抑えることが好ましく、具体的には、105℃における1時間当たりの揮発量が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
(オルガノシランゾルの調製方法)
次にオルガノシランゾルの調製方法について説明する。
オルガノシラン化合物の加水分解及び/又は縮合反応は、例えば加水分解可能な基1モルに対して0.3〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.0モルの水を添加し、金属キレート化合物の存在下、25〜100℃で、撹拌することにより行われるが、使用されるここのオルガノシラン化合物の反応性により調節されることが好ましい。
得られたオルガノシランゾルの質量平均分子量は、分子量が300未満の成分を除いた場合に、450〜20000が好ましく、500〜10000がより好ましく、550〜5000が更に好ましく、600〜3000が特に好ましく、1000〜2000が最も好ましい。またオルガノシランゾルにおける分子量が300以上の成分のうち、分子量が20000より大きい成分は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。分子量が20000より大きい成分が20質量%以下であれば、そのようなオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物を含有する組成物を硬化させて得られる硬化皮膜は、透明性や基板との密着性が優れたものになるので好ましい。
さらにオルガノシランゾルにおける分子量300以上の成分のうち、分子量450〜20000の成分は80質量%以上であることが好ましい。分子量450〜20000の成分が該下限値以上であれば、そのようなオルガノシランゾルを含有する組成物を硬化させて得られる硬化皮膜は、透明性や基材フィルムとの密着性が優れたものとなるので好ましい。
ここで、質量平均分子量及び分子量は、“TSKgel GMHxL”、“TSKgel G4000HxL”、“TSKgel G2000HxL”{何れも東ソー(株)製の商品名}のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒テトラヒドロフラン(THF)、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量であり、含有量は、分子量が300以上の成分のピーク面積を100%とした場合の、前記分子量範囲のピークの面積%である。
分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は3.0〜1.1が好ましく、2.5〜1.1がより好ましく、2.0〜1.1が更に好ましく、1.5〜1.1が特に好ましい。
オルガノシラン化合物の加水分解及び/又は縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができる。この反応により、硬化性化合物を製造することができる。
(溶媒)
溶媒を用いる場合はオルガノシランゾルの濃度を適宜に定めることができる。溶媒としては、成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。また溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液又は塗布液の一部として用いられることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性又は分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコール又は2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなど;エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノブチルエーテルなど;ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなど;エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステルなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。該反応における溶媒に対する固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1〜90質量%の範囲であり、好ましくは20〜70質量%の範囲である。
(触媒)
オルガノシラン化合物の加水分解及び/又は縮合反応は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;蓚酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、ゾル液の製造安定性やゾル液の保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)が用いられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数{pKa値(25℃)}が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、蓚酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、蓚酸が特に好ましい。
加水分解及び/又は縮合反応は、通常、オルガノシラン化合物の加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下又は不在下で、そして酸触媒及び金属キレート化合物の存在下、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができ、オルガノシラン化合物のアルコキシ基等の加水分解性基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
酸触媒の使用量は、酸触媒が無機酸の場合には、加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、酸触媒が有機酸の場合には、水の添加量によって最適な使用量が異なるが、水を添加する場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、実質的に水を添加しない場合には、加水分解性基に対して1〜500モル%、好ましくは10〜200モル%であり、より好ましくは20〜200モル%であり、更に好ましくは50〜150モル%であり、特に好ましくは50〜120モル%である。
(金属キレート化合物)
金属キレート化合物は、一般式R41OH(式中、R41は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと、一般式R42COCH2COR43(式中、R42は炭素数1〜10のアルキル基を、R43は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti又はAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用してもよい。
本発明に用いられる金属キレート化合物は、一般式Zr(OR41p1(R42COCHCOR43p2、Ti(OR41q1(R42COCHCOR43q2及びAl(OR41r1(R42COCHCOR43r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、オルガノシラン化合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR41及びR42は、同一又は異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基(具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基)、又はフェニル基などである。また、R43は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1及びr2は、4又は6座配位となるように決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独で又は2種以上混合して使用することができる。また、金属キレート化合物としては、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
金属キレート化合物は、前記一般式(b)で表されるオルガノシラン化合物に対し、好ましくは、0.01〜50質量%、より好ましくは、0.1〜50質量%、さらに好ましくは、0.5〜10質量%の割合で用いられる。金属キレート化合物成分が該下限値以上であれば、オルガノシラン化合物の縮合反応が順調に進み、得られる塗膜の耐久性も優れており、一方、該上限値以下であれば、該オルガノシラン化合物と金属キレート化合物成分を含有してなる組成物の保存安定性が低下するなどの問題が生じないので好ましい。
オルガノシラン化合物の加水分解及び/又は縮合反応は、25〜100℃で撹拌することにより行われるが、使用される個々のオルガノシラン化合物の反応性により調節されることが好ましい。
オルガノシランゾルの低屈折率層への添加量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。
なおオルガノシランゾルは、低屈折率層以外の層に対しても添加することができ、その場合の添加量は、添加される層の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
オルガノシランゾルの使用量(比)は、例えば、低屈折率層における含フッ素ポリマーに対して5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が該下限値以上であれば、本発明の効果が十分に発揮され、使用量が該上限値以下であれば、屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするなどの不具合が生じないので好ましい。
低屈折率形成用組成物に含有される重合開始剤(C)は、前述したように、熱及び/または光分解性の開始剤であることが好ましい。重合開始剤(C)は前述した通常用いられるものであれば特に限定はされず用いることができる。
(光ラジカル重合開始剤骨格)
光ラジカル重合開始剤骨格としては、前記ハードコート層形成用バインダーポリマーの項で例示した光ラジカル重合開始剤と同様の化合物であればどんな骨格であってもよい。
(熱ラジカル開始剤骨格)
熱ラジカル開始剤骨格についても、前記ハードコート層形成用バインダーポリマーの項で例示した熱ラジカル重合開始剤と同様の化合物であればどんな骨格であってもよい。
これらの開始剤は単独でも混合して用いてもよい。
本発明で好ましく用いることができる開始剤を下記に示すが、これらに制限はない。
Figure 2007256925
また、エチレン性不飽和基を有する硬化性化合物と、重合開始部位が分子内で連結結合した、自己重合開始性の硬化性化合物を次に例示する。
Figure 2007256925
これらの重合開始剤の使用量に特に制限はないが、併用して用いる硬化性化合物100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。
またこれらの重合開始剤化合物は、1種でも、また複数種を使用してもよいし、他の光増感剤などと併用して使用してもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
[防汚剤]
本発明の反射防止フィルム、特にその最上層である低屈折率層には防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン構造を有する化合物又はフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。
(ポリシロキサン構造を有する化合物)
上記のポリシロキサン構造を有する化合物は、低屈折率層に添加することにより、滑り性を付与して耐擦傷性及び防汚性の向上を図ることができる。化合物の構造には特に制限はなく、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。また、ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。
ポリシロキサン構造を有する化合物の分子量には特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。
一般に、反射防止フィルムは、その表面保護の目的で、粘着剤層を介して保護フィルムが貼付され巻き取られて製品となるため、低屈折率層に含まれるポリシロキサン構造を有する化合物は、粘着剤層や保護フィルムに転写しがちであり、また該化合物が低屈折率層の下の層、例えば高屈折率層やハードコート層に移行しやすい。このような転写や移行を防ぐという観点から、該化合物には水酸基又は水酸基と反応して結合を形成する官能基を含有させることが好ましい。
この結合形成反応は、加熱条件下及び/又は触媒存在下で速やかに進行することが好ましい。そのような置換基としては、エポキシ基やカルボキシル基などが挙げられる。好ましいポリシロキサン構造を有する化合物の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(水酸基を含むもの)
“X−22−160AS”、“KF−6001”、“KF−6002”、“KF−6003”、“X−22−170DX”、“X−22−176DX”、“X−22−176D”、“X−22−176F”{以上、信越化学工業(株)製};“FM−4411”、“FM−4421”、“FM−4425”、“FM−0411”、“FM−0421”、“FM−0425”、“FM−DA11”、“FM−DA21”、“FM−DA25”{以上、チッソ(株)製};“CMS−626”、“CMS−222”{以上、Gelest社製}。
(水酸基と反応する官能基を含むもの)
“X−22−162C”、“KF−105”{以上、信越化学工業(株)製};“FM−5511”、“FM−5521”、“FM−5525”、“FM−6611”、“FM−6621”、“FM−6625”{以上、チッソ(株)製}。
上記ポリシロキサン系化合物に加えて、更に別のポリシロキサン系化合物を併用することもできる。好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、オキセタニル基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。
分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。
シリコーン系化合物の珪素原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.0質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
(フッ素系化合物)
防汚剤として用いられるフッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖{例えば−CF2CF3、−CH2(CF2)4H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2(CF24H等}であっても、分岐構造{例えばCH(CF32、CH2CF(CF32、CH(CH3)CF2CF3、CH(CH3)(CF25CF2H等}であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であってもよく、エーテル結合(例えばCH2OCH2CF2CF3、CH2CH2OCH248H,CH2CH2OCH2CH2817、CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)を有していてもよい。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
これらのフッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成又は相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
フッ素系化合物は、フッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限はないが、20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。
好ましいフッ素系化合物の例としては、ダイキン工業(株)製の“R−2020”、“M−2020”、“R−3833”、“M−3833”(以上商品名);大日本インキ化学工業(株)製の「メガファックF−171」、「メガファックF−172」、「メガファックF−179A」、「ディフェンサMCF−300」(以上商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これら防汚剤を添加する場合には、低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
[防塵剤、帯電防止剤等]
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。
これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製の「メガファックF−150」(商品名)、東レダウコーニング(株)製の“SH−3748”(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
[金属酸化物粒子]
低屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、低屈折率のものが好ましく用いられ、好ましい金属酸化物粒子は、シリカ粒子、中空シリカ粒子であり、特に中空シリカ粒子が好ましい。該金属酸化物粒子の平均粒径は1nm〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1nm〜100nm、さらに好ましくは1nm〜80nmである。フィラーの粒径はなるべく均一(単分散)であることが好ましい。
(シリカ粒子)
シリカ粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。シリカ粒子の粒径が該下限値以上であれば、耐擦傷性の改良効果が発揮され、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて黒の締まりといった外観や、積分反射率が悪くなるなどの不具合が生じないので好ましい。
シリカ粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
(中空のシリカ粒子)
低屈折率層の屈折率を低下させるために、中空のシリカ粒子を用いることが好ましい。該中空のシリカ粒子は屈折率が1.15〜1.40であることが好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最も好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をri、粒子外殻の半径をroとすると、空隙率xは下記数式(2)で表される。中空シリカ粒子の空隙率xは、好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
数式(2):x=(4πri 3/3)/(4πro 3/3)×100
外殻の厚みが十分厚く、粒子の強度として強くなるため、耐擦傷性の観点から1.15以上の屈折率の粒子が好ましい。
中空シリカ粒子の製造方法は、例えば特開2001−233611号公報や特開2002−79616号公報に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は、特開2002−79616号公報に記載の方法で算出することができる。
中空シリカの塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。中空シリカの塗設量が該下限値以上であれば、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が発揮され、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて黒の締まりといった外観や、積分反射率が悪くなるなどの不具合が生じないので好ましい。
中空シリカ粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカ粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。シリカ粒子の粒径が該下限値以上であれば、空腔部の割合が小さくなりすぎないので屈折率の低下効果が発揮され、該上限値以下であれば、低屈折率層表面に微細な凹凸ができて黒の締まりといった外観や、積分反射率が悪くなるなどの不具合が生じないので好ましい。
中空シリカ粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれのものであってもよく、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において、中空シリカ粒子の比表面積は、20〜300m2/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m2/g、最も好ましくは40〜90m2/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることができる。
本発明においては、中空シリカ粒子と併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ粒子(「小サイズ粒径のシリカ粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ粒子(「大サイズ粒径のシリカ粒子」と称す)と併用することもできる。
小サイズ粒径のシリカ粒子は、大サイズ粒径のシリカ粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ粒子を用いると、原料コスト及び保持剤効果の点で好ましい。
(表面処理)
シリカ粒子や中空シリカ粒子は、分散液中又は塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。これらの表面処理剤は金属酸化物粒子に対して0.1質量%〜100質量%添加して処理することが好ましく、1.0質量%〜50質量%が更に好ましく、5.0質量%〜35質量%が特に更に好ましい。
カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例えば、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等)が好ましく用いられる。なかでも、上記の無機微粒子及び中空シリカ粒子の少なくともいずれか一方は、下記一般式(a)で表されるオルガノシラン化合物で表面処理されることが好ましい。
一般式(a):(R11m1−SiX11 4-m1
上記一般式(a)において、R11は置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
11は、水酸基又は加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
m1は0〜3の整数を表し、好ましくは1又は2である。
11又はX11が複数存在するとき、複数のR11又はX11はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
11に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
11が複数ある場合は、少なくとも1つが置換アルキル基又は置換アリール基であることが好ましい。
本発明において、特に好ましく用いることのできるオルガノシラン化合物は、上記一般式(a)の中でもビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましく、中でも一般式(a)におけるR11が、(メタ)アクリロイル基を含有する基であること、すなわちR11に含まれる置換基が、(メタ)アクリロイルオキシ基であることが特に好ましい。
また一般式(a)におけるR11が、エポキシ基を含有する基である、すなわちR11に含まれる置換基がエポキシ基であるオルガノシラン化合物も、同様に、特に好ましく用いることができる。
シリカ粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。本発明に好ましく用いることのできる表面処理剤及び触媒の具体的化合物は、例えば、国際公開第04/017105号パンフレットに記載のオルガノシラン化合物及び触媒を挙げることができる。
低屈折率層に用いられる金属酸化物粒子は、粒子径の異なる2種類の金属酸化物粒子を併用してもよい。特に粒子径が20nm〜80nmの金属酸化物粒子と粒子径が20nm以下の金属酸化物粒子を併用することにより、反射率と耐擦傷性を両立させることができる。粒子径の異なる2種類の金属酸化物粒子それぞれの添加量の割合は、欲しい反射率と耐擦傷性のバランスにより0〜1の間を自由に変化させることが可能である。反射率を低減させたい場合には粒子径の小さな金属酸化物粒子が大部分を占めることが好ましく、耐擦傷性を強化したい場合には粒子径の大きな金属酸化物粒子の割合を上げていくことが好ましい。
金属酸化物粒子の添加量は、低屈折率層の全質量の5〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%であると更に好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
[分散安定化剤]
本発明においては、低屈折率層における金属酸化物粒子の凝集、沈降を抑制する目的で、分散安定化剤を併用することも好ましい。ここでの分散安定化剤は、前記ハードコート層において用いられた分散安定化剤と同じものを、同様の方法で使用することができる。好ましい添加量等も同様である。
〔各層形成用塗布液の溶媒〕
本発明に係るハードコート層、低屈折率層を形成するために用いる塗布液の溶媒組成としては、単独又は混合のいずれでもよく、混合のときは、全溶媒中、沸点が100℃以下の溶媒が50〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、さらに好ましくは100質量%である。沸点が100℃以下の溶媒が該下限値以上であれば、乾燥速度が遅くなりすぎることがなく、塗布面状が悪化したり、塗布膜厚にムラが生じたりすることがなく、反射率などの光学特性が悪化するなどの問題が生じることがないので好ましい。本発明では、沸点が100℃以下の溶媒を多く含む塗布液を用いることにより、これらの問題を解決することができる。
沸点が100℃以下の溶媒としては、例えばヘキサン(沸点68.7℃、以下「℃」を省略する)、ヘプタン(98.4)、シクロヘキサン(80.7)、ベンゼン(80.1)などの炭化水素類;例えばジクロロメタン(39.8)、クロロホルム(61.2)、四塩化炭素(76.8)、1,2−ジクロロエタン(83.5)、トリクロロエチレン(87.2)などのハロゲン化炭化水素類;例えばジエチルエーテル(34.6)、ジイソプロピルエーテル(68.5)、ジプロピルエーテル(90.5)、テトラヒドロフラン(66)などのエーテル類;例えばギ酸エチル(54.2)、酢酸メチル(57.8)、酢酸エチル(77.1)、酢酸イソプロピル(89)などのエステル類;例えばアセトン(56.1)、2−ブタノン(メチルエチルケトン=MEK、79.6)などのケトン類;例えばメタノール(64.5)、エタノール(78.3)、2−プロパノール(82.4)、1−プロパノール(97.2)などのアルコール類;例えばアセトニトリル(81.6)、プロピオニトリル(97.4)などのシアノ化合物類;二硫化炭素(46.2)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃以上の溶媒としては、例えばオクタン(125.7)、トルエン(110.6)、キシレン(138)、テトラクロロエチレン(121.2)、クロロベンゼン(131.7)、ジオキサン(101.3)、ジブチルエーテル(142.4)、酢酸イソブチル(118)、シクロヘキサノン(155.7)、2−メチル−4−ペンタノン(メチルイソブチルケトン=MIBK、115.9)、1−ブタノール(117.7)、N,N−ジメチルホルムアミド(153)、N,N−ジメチルアセトアミド(166)、ジメチルスルホキシド(189)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
本発明に係るハードコート層、低屈折率層成分を上記組成の溶媒で希釈することにより、それらの層形成用塗布液が調製される。塗布液濃度は、塗布液の粘度、層素材の比重などを考慮して調節されることが好ましいが、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
〔透明支持体〕
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル{例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士写真フイルム(株)製“TAC−TD80U”、“TAC−TD80U”、“TAC−TD80UF”(以上商品名)等}、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂{「アートン」(商品名)、JSR(株)製}、非晶質ポリオレフィン{「ゼオネックス」(商品名)、日本ゼオン(株)製}などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
トリアセチルセルロースフィルムは、単層又は複数の層からなる。単層のトリアセチルセルロースフィルムは、特開平7−11055号公報等で開示されているドラム流延、又はバンド流延等により作製され、後者の複数の層からなるトリアセチルセルロースフィルムは、特開昭61−94725号公報、特公昭62−43846号公報等で開示されている、いわゆる共流延法により作製される。
すなわち、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(ギ酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)などの溶媒で溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベルト又は回転するドラムからなる支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶媒を除去することからなる方法である。
上記のような、トリアセチルセルロースを溶解するための溶媒としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし地球環境や作業環境の観点から、溶媒はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。ジクロロメタン等を実質的に含まない溶媒を用いてトリアセチルセルロースのドープを調製する場合には、次のような特殊な溶解法が必須となる。
第一の溶解法は冷却溶解法と称され、以下に説明する。
まず室温近辺の温度(−10〜40℃)で、溶媒中にトリアセチルセルロースを撹拌しながら徐々に添加する。次にその混合物は、−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却される。冷却は、例えばドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、トリアセチルセルロースと溶媒の混合物は固化する。さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、溶媒中でトリアセチルセルロースが流動する溶液となる。昇温は、室温中に放置するだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。
第二の方法は高温溶解法と称され、以下に説明する。
まず室温近辺の温度(−10〜40℃)で、溶媒中にトリアセチルセルロースを撹拌しながら徐々に添加する。本発明で用いられるトリアセチルセルロース溶液は、各種溶媒を含有する混合溶媒中にトリアセチルセルロースを添加し、予め膨潤させることが好ましい。本法において、トリアセチルセルロースの溶解濃度は30質量%以下が好ましいが、フィルム製膜時の乾燥効率の点から、なるべく高濃度であることが好ましい。次に有機溶媒混合液は、0.2MPa〜30MPaの加圧下で70〜240℃に加熱される(好ましくは80〜220℃、更に好ましく100〜200℃、最も好ましくは100〜190℃)。次にこれらの加熱溶液はそのままでは塗布できないため、使用された溶媒の最も低い沸点以下に冷却する必要がある。その場合、−10〜50℃に冷却して常圧に戻すことが一般的である。冷却は、トリアセチルセルロース溶液が内蔵されている高圧高温容器やラインを、室温に放置するだけでもよく、更に好ましくは、冷却水などの冷媒を用いて該装置を冷却してもよい。
ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアセテートフィルム及びその製造法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されている。
〔光学フィルムの製造方法〕
本発明の光学フィルムの製造方法は透明支持体上に、少なくとも1層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、被覆組成物を塗布、乾燥し、熱エネルギー及び光エネルギーにより硬化して該少なくとも1層の機能層を形成する工程を含む。
本発明の製造方法において、被覆組成物は前述のものを用いることができる。
該少なくとも1層の機能層は、透明支持体の表面に接する層であることが好ましい。また、少なくとも1層の機能層が、低屈折率層及び/又はハードコート層であることが好ましい。
該少なくとも1層の機能層は、少なくとも2層の機能層であってもよく、該少なくとも2層の機能層が、ハードコート層及び反射防止層であることが好ましい。
多層構成の光学フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ダイコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書記載)により、塗布により形成することができるが、ダイコート法で塗布することが好ましく、更には後述する新規ダイコーターを用いて塗布を行うことがより好ましい。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許第2761791号、同第2941898号、同第3508947号、同第3526528号の各明細書、及び原崎勇次著「コーティング工学」朝倉書店(1973年)253頁に記載がある。
本発明の光学フィルムを連続的に製造するためには、例えば、ロール形態の基材フィルム(透明支持体)を連続的に巻き出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する基材フィルムを巻き取る工程が行われる。
具体的には次のように行うことができる。
ロール形態の基材フィルムから基材フィルムがクリーン室に連続的に巻き出され、クリーン室内で、基材フィルムに帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続き基材フィルム上に付着している異物を、除塵装置により除去する。次いでクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液が基材フィルム上に塗布され、塗布された基材フィルムは乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有する基材フィルムは、乾燥室から熱硬化部へ送られ、加熱されて硬化したのちに放射線硬化室へ送り出され、放射線が照射されて塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。場合によっては直接放射線硬化室へ送り出され、放射線が照射されて、塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化を完結させ、硬化が完結した層を有する基材フィルムは巻き取られてロール状となる。
本発明では、より高い生産速度の観点から、塗布方法として、ダイコート法が好ましく用いられる。ダイコート法は、生産性と塗布ムラのない面状を高次元で両立できるため、好ましく用いられる。
[硬化方法]
本発明では、熱エネルギー及び光エネルギーの複数のエネルギーによる硬化方法は、以下の何れか又はそれらを組み合わせた方法が好ましく適用できる。
前記熱エネルギー及び光エネルギーは、逐次又は同時に複数回印加されることが好ましい。
(a) 透明支持体上に被覆組成物を塗布、乾燥後に直接電離放射線を照射したのち、加熱処理する。
(b) 透明支持体上に被覆組成物を塗布、乾燥後に、加熱処理したのち、電離放射線を照射する。
(c) 透明支持体上に被覆組成物を塗布、乾燥後に加熱しながら、直接電離放射線を照射する。
(d) 透明支持体上に被覆組成物を塗布、乾燥後に直接電離放射線を照射したのち、更に第二層を塗布、乾燥し、更に加熱処理する。
(e) 透明支持体上に被覆組成物を塗布、乾燥後に直接電離放射線を照射したのち、更に第二層を塗布、乾燥し、加熱処理したのち電離放射線を照射する。
(f) 透明支持体上に被覆組成物を塗布、乾燥後に加熱処理したのち、更に第二層を塗布、乾燥し、電離放射線を照射する。
(g) 透明支持体上に被覆組成物を塗布、乾燥後に加熱処理したのち、更に第二層を塗布、乾燥し、加熱処理したのち更に電離放射線を照射する。
(h) 透明支持体上に被覆組成物を塗布、乾燥後に直接電離放射線を照射したのち、更に第二層を塗布、乾燥し、加熱処理したのち、更に加熱しながら電離放射線を照射する。
本発明の光学フィルムの製造方法において、上記(a)乃至(h)の硬化方法において、少なくとも1層の機能層を有する光学フィルムの場合、(a)〜(c)の硬化方法が好ましい。また、少なくとも2層の機能層を有する光学フィルムの場合、(d)〜(h)の硬化方法が好ましく、更には(e)、(h)の硬化方法が好ましい。
上記の中で、熱重合開始剤と熱架橋剤を合わせて用いた場合には、乾燥後に加熱処理するだけで重合と熱架橋硬化が同時に起こるため、効率がよい。
更に上記の場合の中で電離放射線を照射して硬化させる際には、酸素濃度3体積%以下の雰囲気で電離放射線を照射し、且つ電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、酸素濃度3体積%以下の雰囲気に維持する工程によって硬化することが好ましい。不活性な気体を電離放射線照射室に供給し、且つ照射室のウェブ入り口側にやや吹き出す条件にすることで、ウェブ搬送にともなう導搬エアーを排除し反応室の酸素濃度を有効に下げられるとともに、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。照射室のウェブ入り口側での不活性気体の流れの方向は、照射室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。
不活性気体をウェブ表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましく用いられる。特に最外層であり、かつ膜厚が薄い低屈折率層がこの方法で硬化されることが好ましい。
また上記反応室の前に前室を設け、事前にウェブ表面の酸素を排除することで、より硬化を効率よく進めることができる。また電離放射線反応室又は前室のウェブ入口側を構成する側面は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェブ表面とのギャップは0.2〜15mmが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとするのがもっとも好ましい。
しかし、ウェブを連続製造するには、ウェブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、電離放射線反応室又は前室の入口面とウェブのギャップをあまり狭くすると、接合テープなど接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするためには、電離放射線反応室又は前室の入口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分ギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、電離放射線反応室又は前室の入口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げるやり方や、電離放射線反応室又は前室の入口面をウェブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げるやり方を採ることができる。
電離放射線を照射する時の雰囲気の酸素濃度は3体積%以下であり、1体積%以下が好ましく、0.5体積%以下がさらに好ましい。酸素濃度を低くするには、窒素などの不活性気体の多量の使用量が必要となるので、製造コストの観点から、酸素濃度は必要以上に低下させないことが好ましい。酸素濃度を低下させる手段としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の不活性気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
本発明では、透明基材上に積層された少なくとも一層が、酸素濃度3体積%以下の雰囲気で電離放射線照射され、且つ電離放射線照射開始から0.5秒以上、酸素濃度3体積%以下の雰囲気に維持されていることが好ましい。低酸素濃度の雰囲気に維持される時間は0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。低酸素濃度維持時間は時間が0.5秒以上であれば、硬化反応が十分に進行し、十分な硬化を行うことができるので好ましい。また長時間低酸素条件を維持することは、設備が大型化し、多量の不活性ガスが必要となるので、該時間は60秒以下であることが好ましい。
本発明では、透明基材上に積層された少なくとも一層を、複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線が酸素濃度20体積%を超えることのない連続した反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。特に高生産性のため製造速度を上げる場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために、複数回の電離放射線照射を行うことが好ましく、硬化反応に必要な反応時間の確保と合わせ、上記の態様が有効である。
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができるが、本発明では紫外線による照射が好ましい。重合速度が早く設備をコンパクトにでき、選択できる化合物種が豊富でかつ低価格であることから紫外線硬化が好ましい。
紫外線の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等が利用できる。また電子線照射の場合は、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器から放出される50〜1000keVのエネルギーを有する電子線が用いられる。
〔反射防止フィルムの利用〕
本発明の反射防止フィルムをディスプレイ装置、例えば液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイ装置の最表面に配置することができる。また偏光板の偏光膜を保護する保護フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルムがしばしば用いられるが、本発明の反射防止フィルムの透明支持体がトリアセチルセルロースフィルムの場合は、該反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
[鹸化処理]
本発明の反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイ装置の最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。
鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に反射防止フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和したりすることが好ましい。鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に、偏光膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の、水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の2つから選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で下記(1)が優れているが、反射防止膜面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、下記(2)が優れている。
(1)透明支持体上に反射防止膜を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止膜を形成する前又は後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの反射防止膜を形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗及び/又は中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
<反射防止フィルムの用途>
〔偏光板〕
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
[偏光膜]
偏光膜としては、公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は、以下の方法により作製される。
すなわち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を、保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
偏光膜の2枚の保護フィルムのうち、反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
〔ディスプレイ装置〕
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のようなディスプレイ装置に用いられる。
[液晶表示装置]
本発明の反射防止フィルム、及びそれを用いた偏光板は、液晶表示装置等のディスプレイ装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に1枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
(TNモード)
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
(VAモード)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル{“SID97,Digest of tech.Papers”(予稿集)、28集(1997年)、p.845記載}、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル{日本液晶討論会の予稿集p.58〜59(1998年)記載}及び、
(4)SURVAIVALモードの液晶セル(「LCDインターナショナル98」で発表)が含まれる。
(OCBモード)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4,583,825号、同第5,410,422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
(IPSモード)
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくは“Proc.IDRC”(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
(ECBモード)
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの1つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
[液晶表示装置以外のディスプレイ]
(PDP)
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の2枚である。2枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。2枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのようなディスプレイ装置では、光学フィルターとして本発明の反射防止フィルムをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターとしての反射防止フィルムを貼り付けることもできる。
(タッチパネル)
本発明の反射防止フィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
(有機EL素子)
本発明の反射防止フィルムは、有機EL素子等の保護フィルムとして用いることができる。
本発明の反射防止フィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
〔各種特性値〕
以下に本発明の反射防止フィルムに関する各種測定法と、好ましい特性値を示す。
[反射率]
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計”V−550”[日本分光(株)製]にアダプター”ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。
積分反射率は分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]の積分球に装着して、380〜780nmの波長領域において積分反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出することができる。
[色味]
本発明の反射防止フィルムをその保護フィルムとして用いた偏光板は、CIE標準光源D65の、波長380nmから780nmの領域における入射角5゜の入射光に対して、正反射光の色味、すなわちCIE1976L***色空間のL*、a*、b*値を求めることで色味を評価することができる。
*、a*、b*値は、それぞれ3≦L*≦20、−7≦a*≦7、且つ、−10≦b*≦10の範囲内であることが好ましい。この範囲とすることで、従来の偏光板で問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味が低減され、さらに3≦L*≦10、0≦a*≦5、且つ、−7≦b*≦0の範囲内とすることで大幅に低減され、液晶表示装置に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、気にならない。詳しくはa*≦7であれば赤味が強くなりすぎることがなく、a*≧−7であればシアン味が強くなりすぎることがなく好ましい。またb*≧−7であれば青味が強くなりすぎることがなく、b*≦0であれば黄味が強くなりすぎることがなく好ましい。
更には、反射光の色味均一性は、反射光の380nm〜680nmの反射スペクトルにより求めたL***色度図上でのa**より、下記の数式(3)に従って色味の変化率として得ることができる。
数式(3):
Figure 2007256925
ここで、a* max及びa* minは、それぞれa*値の最大値及び最小値;b* max及びb* minは、それぞれb*値の最大値及び最小値;a* av及びb* avは、それぞれa*値及びa*値の平均値である。色の変化率は、それぞれ30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、8%以下であることが最も好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムは、耐候性試験前後の色味の変化であるΔEwが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。この範囲において、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えばディスプレイ装置の最表面に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味が、ニュートラルで、表示画像の品位が良好となり、好ましい。
上記の色味の変化ΔEwは、下記の数式(4)に従って求めることができる。
数式(4):ΔEw=[(ΔLw2+(Δaw2+(Δbw21/2
ここで、ΔLw,Δaw,Δbwは、耐候性試験前後のL*値,a*値,b*値それぞれの変化量である。
[透過画像鮮明度]
透過画像鮮明度は、JIS K−7105に従い、スガ試験機(株)製の写像性測定器「ICM−2D型」にて、スリット幅が0.5mmの光学櫛を用いて測定できる。
本発明の反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像のボケ具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は、好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
[表面粗さ]
本発明の反射防止フィルムにおける中心線平均粗さ(Ra)の測定は、JIS B−0601に準じて行うことができる。
[ヘイズ]
本発明の反射防止フィルムのヘイズは、日本電色工業(株)製の濁度計“NDH−1001DP”を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される値を用いた。
本発明の反射防止フィルムのヘイズは、1.5%以下であることが好ましく、1.2%以下がさらに好ましく、1.0%以下が最も好ましい。
[ゴニオフォトメータ散乱強度比]
自動変角光度計「GP−5型」{(株)村上色彩技術研究所製}を用いて、入射光に対して反射防止フィルムを垂直に配置し、全方位に亘って散乱光プロファイルを測定した。出射角0°の光強度に対する出射角30°の散乱光強度から求めることができる。
[耐擦傷性]
(スチールウール耐傷性評価)
「ラビングテスター」を用いて、以下の条件で擦りテストを行うことで、耐擦傷性の指標とすることができる。
評価環境条件:25℃、60%RH。
擦り材:スチールウール{日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000}を、試料と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定。
移動距離(片道):13cm。
擦り速度:13cm/秒。
荷重:500g/cm2、及び200g/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm。
擦り回数:10往復。
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、擦り部分の傷を反射光で目視観察して、擦った部分以外との反射光量との差を観察することによって評価する。
(消しゴム擦り耐擦傷性評価)
「ラビングテスター」を用いて、以下の条件で擦りテストを行うことで、耐擦傷性の指標とすることができる。
評価環境条件:25℃、60%RH。
擦り材:プラスチック消しゴム{(株)トンボ鉛筆性 MONO}を、試料と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)に固定。
移動距離(片道):4cm。
擦り速度:2cm/秒。
荷重:500g/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm。
擦り回数:100往復。
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察し、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
(テーパー試験)
JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量から擦傷性を評価することができる。この摩耗量が少ないほど好ましい。
[硬度]
(鉛筆硬度)
本発明の反射防止フィルムの硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験で評価することができる。鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(表面弾性率)
本発明の反射防止フィルムにおける表面弾性率は、微小表面硬度計{(株)フィッシャー・インスツルメンツ製:「フィッシャースコープH100VP−HCU」}を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
(ユニバーサル硬度)
また上記の微小表面硬度計を用いて、表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
[防汚性試験]
(マジックインキ拭き取り性)
反射防止フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃、60RH%の条件下で黒「マジックインキ」(「マッキー極細」){商品名:ゼブラ(株)製}のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねた「ベンコット」{商品名:旭化成(株)}で「ベンコット」の束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。「マジックインキ」跡が拭き取りで消えなくなるまで、この書き込みと拭き取りを同一の条件で繰り返し、拭き取りできた回数により防汚性を評価することができる。
消えなくなるまでの回数は5回以上であることが好ましく、10回以上であることが更に好ましい。
黒「マジックインキ」については、「マジックインキNo.700(M700−T1黒)極細」を用い、試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶし、24時間放置後に「ベンコット」で擦り、「マジックインキ」が拭き取れるかどうかによっても評価することができる。
[表面張力]
本発明では、低屈折率層などの機能層を形成する塗布液の表面張力を、温度25℃の環境下で表面張力計{協和界面科学(株)製、“KYOWA CBVP SURFACE TENSIOMETER A3”}を用いて測定することができる。
[接触角]
接触角計[“CA−X”型接触角計、協和界面科学(株)製]を用い、乾燥状態(20℃、65%RH)で、液体として純水を使用して直径1.0mmの液滴を針先に作り、これを反射防止フィルムの表面に接触させて該フィルム上に液滴を作った。反射防止フィルムと液体とが接する点における、液体表面に対する接線と反射防止フィルム表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角とする。
[表面自由エネルギー]
表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」{(株)リアライズ社出版、1989.12.10発行}に記載のように、接触角法、湿潤熱法、及び吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
本発明の反射防止フィルムの表面自由エネルギー(γsv:単位、mN/m)とは、D.K.Owensの“J.Appl.Polym.Sci.”、13巻、p.1741(1969年)を参考に、反射防止フィルム上で実験的に求めた、純水H2Oとヨウ化メチレン(CH22)のそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から、以下の連立方程式a,b{数式(5)}より求めた値γsdとγshの和として表される値γsv(=γsd+γsh)で定義され、反射防止フィルムの表面張力を表す。このγsvが小さく、低表面自由エネル
ギーであるほど表面の撥き性が高く、一般に防汚性に優れる。
数式(5):
a.1+cosθH2O=2√γsd(√γH2O d/γH2O v)+2√γsh(√γH2O h/γH2O v
b.1+cosθCH2I2= 2√γsd(√γCH2I2 d/γCH2I2 v)+2√γsh(√γCH2I2 h/γCH2I2 v
γH2O d=21.8、γH2O h=51.0、γH2O v=72.8、
γCH2I2 d=49.5、γCH2I2 h=1.3、γCH2I2 v=50.8
接触角の測定は、反射防止フィルムを25℃、60%RHの条件下で1時間以上調湿した後に、協和界面科学(株)製、自動接触角計「CA−V150型」を用いて、2μLの液滴をフィルム上に滴下してから30秒後に接触角を求めた。
本発明のフィルムの表面自由エネルギーは25mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以下であることが特に好ましい。
[カール]
カールの測定は、JIS K−7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。
測定条件は25℃、60%RH、調湿時間10時間である。
本発明における反射防止フィルムは、カールを以下の数式(6)で表したときの値が、−15〜+15の範囲に入っていることが好ましく、−12〜+12の範囲がより好ましく、さらに好ましくは−10〜+10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェブ形態での塗布の場合、基材の搬送方向について測ったものである。
数式(6):カール=1/R
Rは曲率半径(m)を表す。
これは、フィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれを起こさないための重要な特性である。カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。ここで、カールが「+」とはフィルムの塗設側が湾曲の内側になるカールをいい、「−」とは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、本発明におけるフィルムは、上記したカール測定法に基づいて、相対湿度のみを80%と10%に変更したときの各カール値の差の絶対値が、24〜0が好ましく、15〜0がさらに好ましく、8〜0が最も好ましい。これはさまざまな湿度下でフィルムを貼り付けたときのハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
[密着性評価]
反射防止フィルムの層間、又は支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価することができる。
塗布層を有する側の表面に、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ“NO.31B”を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。100個の升目中、剥がれが10升以内であることが好ましく、2升以内であることが更に好ましい。
[脆性試験(耐ひび割れ性)]
耐ひび割れ性は、反射防止フィルムの塗布、加工、裁断、粘着剤の塗布、種々の物体への貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
反射防止フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃、60%RHの条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める曲率直径を測定し、表面のひび割れを評価することができる。
本発明のフィルムの耐ひび割れ性は、塗布層側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率直径が、50mm以下であることが好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。
[表面抵抗]
本発明のフィルム表面抵抗は、超絶縁抵抗/微小電流計“TR8601”{(株)アドバンテスト製}を用いて、25℃、60%RHの条件下で測定した。表面抵抗(Ω/□)の常用対数をとり、logSRの値を算出する。
[塵埃除去性]
本発明の反射防止フィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけ、クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃除去性を評価することができる。
6回の拭取りで完全に取除けることが好ましく、3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除けることが更に好ましい。
[液晶表示装置の描画性能]
以下に、本発明の反射防止フィルムを表示装置上に用いたときの特性の評価方法と好ましい状況について記載する。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置“TH−15TA2”{松下電器産業(株)製}に設けられている視認側の偏光板を剥がし、代わりに本発明の反射防止フィルム又は偏光板を、塗布面が視認側に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付ける。500Lxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、種々の視角から目視により以下の各種特性を評価することができる。
(描画画像のムラ、色味評価)
測定機(“EZ−Contrast 160D”、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)時の描画ムラや色味変化を複数の観察者により目視評価する。
10人が評価し、ムラ、左右色味変化、温湿度による色味変化、白ボケを認識できるものが3人以下であることが好ましく、1人も認識できないことがより好ましい。
また、外光の映り込みは蛍光灯を用いて行い、目視にて映り込みの変化を相対的に評価することができる。
(黒表示の光漏れ)
液晶表示装置正面からの方位方向45゜、極角方向70゜における黒表示の光漏れ率を測定する。光漏れ率が0.4%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
(コントラスト、及び視野角)
コントラスト及び視野角は、測定機“EZ−Contrast 160D”(ELDIM社製)を用いて、コントラスト比及び左右方向(セルのラビング方向と直交方向)の視野角(コントラスト比が10以上となる角度範囲の広さ)を調べることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<反射防止フィルムの作製>
〔各層形成用塗布液の調製〕
[ゾル液(a−1)の調製]
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1000mLの反応容器に、3−アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80モル)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20モル)、メタノール320g(10モル)とフッ化カリウム(KF)0.06g(0.001モル)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86モル)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。この後、低沸点成分を減圧留去し、更に濾過することによりゾル液(a−1)を120g得た。
このようにして得た物質をGPCで測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30質量%であった。またH−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の一般式で表される構造であった。
Figure 2007256925
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、本シランカップリング剤ゾルは直鎖状構造部分が大部分であることが分かった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5質量%以下の残存率であった。
[ゾル液(b−1)の調製]
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器内において、メチルエチルケトン119質量部、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM−5103”{シランカップリング剤、信越化学工業(株)製}101質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液(b−1)を得た。
ゾル液(b−1)の質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100質量%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。このゾル液(b−1)のSP値は22.4であった。
[ハードコート層塗布液の調整]
Figure 2007256925
ハードコート層塗布液のHC-1〜HC-8は、上記の表に従って、十分に混合した各液を、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して調整した。表中の数字は質量(g)を意味する。尚、表中の表記は以下の通りである。
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、日本化薬(株)製、
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]、
「デソライトZ7401」:市販のシリカ含有UV硬化型ハードコート液、固形分濃度70.1質量%、シリカ含率35%質量、平均粒径22nm、JSR(株)製、
“MEK−ST”:シリカゾル、平均粒径15nm、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製、
凝集性シリカ:2次凝集径1.5μm(1次粒径数十nm)、[日本シリカ(株)性]、
“SX−350”:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、30質量%トルエン分散液、綜研化学(株)製。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用、
架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm(屈折率1.55)、30質量%トルエン分散液、綜研化学(株)製、
イルガキュア184:重合開始剤、[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)
製]、
イルガキュア907:重合開始剤、[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]、
“FP−132”:下記構造式のフッ素系表面改質剤、
Figure 2007256925
“R−30”:フッ素系レベリング剤 大日本インキ化学工業製(市販品)
(ハードコート層の塗設)
特開2003−211052号の図1に記載されたスロットダイコーターを用いて、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製、屈折率:1.49)をロール形態で巻き出して、ハードコート層塗布液HC−1〜HC−8を、各々16cc/m2の塗布量になるように塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥させ、前述の硬化方法a〜cのいずれかの方法で処理した。この際、電離放射線硬化は窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量50mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させる処理を行い、加熱硬化を併用する場合は各々100℃で8分間の加熱処理を行った。更に加熱しながら電離放射線硬化させる場合は100℃で加熱しながら紫外線を照射した。上記処理により厚さ2.5から6.0μmのハードコート層を有した光学フィルムを作製し、巻き取った。
[低屈折率層塗布液の調製]
低屈折率層塗布液LN-1〜LN-9については、下記の表に従って調整した。表中の数字は質量部の表記になっている。なお、表中のp−トルエンスルホン酸のb-14塩化合物は
、前述した酸と有機塩基から構成される塩(硬化触媒)を表す。
Figure 2007256925
上記の各々の塗布液を、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して低屈折率層塗布液(LN−1〜5)を完成させた。
上記の各々の塗布液の作製に使用した化合物を以下に示す。
“B−1”:特開平11−189621、実施例1に記載の含フッ素熱硬化ポリマー:80g、硬化剤としてサイメル303 20g(日本サイテックインダストリーズ株式会社製)、硬化触媒としてキャタリスト4050 2.0g(日本サイテックインダストリーズ株式会社製)をメチルエチルケトンに溶解して6%にしたもの、
“B−2”:特開平2003−183322、実施例1に記載のエチレン性不飽和基含有フッ素重合体A−1:固形分濃度15.2質量%、溶剤メチルイソブチルケトン
“P−3”:特開平2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体(P−3)、質量平均分子量約50000、固形分濃度23.8質量%、溶剤メチルエチルケトン、
“MEK−ST−L”:シリカ粒子分散液、平均粒径45nm、固形分濃度30質量%、分散溶剤メチルエチルケトン、日産化学(株)製、
中空シリカ分散物:CS−60 IPA(触媒化成工業(製))屈折率1.31、平均粒径60nm、シェル厚み10nm、固形分濃度18.2%“KBM−5103”表面修飾中空シリカゾル(表面修飾率対シリカ30質量%)
“1C-1化合物溶液”:固形分濃度2質量%、溶剤メチルエチルケトン、
“MP−トリアジン”:光重合開始剤、(株)三和ケミカル製、
“RMS−033”:反応性シリコーン樹脂、Gelest社製。
(低屈折率層の塗設−1)
本発明の各種ハードコート層を塗設した後、さらに、上記低屈折率層用塗布液LN-1〜LN-8については、バーコーターにて、低屈折率層の乾燥膜厚が95nmになるようにウエット塗布し、続いて、120℃で150秒間乾燥の後、前述の硬化方法d〜hのいずれかの方法で処理した。この際、加熱硬化は各々100℃で8分間の加熱処理を行った。その後の電離放射線硬化は窒素パージにより、酸素濃度100ppmの雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量110mJ/cm2の紫外線を照射して処理した。電離放射線硬化が先の場合は酸素濃度100ppmの雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射した後、100℃で8分間の加熱処理を行った。更に加熱しながら電離放射線硬化させる場合は100℃で加熱しながら紫外線を照射した。以上のようにして低屈折率層が積層された反射防止フィルムを作成した。
[反射防止フィルム試料の評価]
得られた反射防止フィルム試料に対して、以下の項目の評価を行った。その結果を表4に示す。
(鏡面反射率)
分光硬度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5゜に対する出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
積分反射率は分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]の積分球に装着して、380〜780nmの波長領域において積分反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出した。
(鉛筆硬度)
JIS K−5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。
反射防止フィルムを温度25℃、60%RHで2時間調湿した後、JIS S−6006に規定するH〜5Hの試験用鉛筆を用いて、500gの荷重にて以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。
n=5の評価において傷なし〜傷1つ :OK
n=5の評価において傷が3つ以上 :NG
(スチールウール擦り耐性)
#0000のスチールウールに200g/cm2の荷重をかけ、10往復したときの傷の状態を観察して、以下の5段階で評価した。
◎:傷が全くつかなかったもの。
○:ほとんど見えない傷が少しついたもの。
△:明確に見える傷がついたもの。
×:明確に見える傷が顕著についたもの。
××:膜の剥離が生じたもの。
Figure 2007256925
表4からわかるように、透明支持体上の被覆組成物を複数のエネルギーにより硬化することで、十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性に優れた膜が得られることがわかる。
<偏光板用保護フィルムの作製>
実施例19
1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を、50℃に保温した鹸化液を調製した。さらに、0.005モル/Lの希硫酸水溶液を調製した。
実施例1〜18で作製した反射防止フィルムについて、それぞれ反射防止フィルムの低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面を、上記鹸化液を用いて鹸化処理した。次いで鹸化処理した透明支持体表面の水酸化ナトリウム水溶液を、水で十分に洗浄した後、上記の希硫酸水溶液で洗浄し、さらに希硫酸水溶液を水で十分に洗浄し、100℃で十分に乾燥させた。
反射防止フィルムの鹸化処理を施した側の透明支持体の表面の、水に対する接触角を評価したところ、40°以下であった。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
〔偏光板の作製〕
[偏光膜の作製]
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム{(株)クラレ製}を、水1000質量部、ヨウ素7質量部、ヨウ化カリウム105質量部からなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、上記で鹸化処理した反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したトリアセチルセルロースフィルムを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
〔ディスプレイ装置での評価〕
このようにして作製した本発明の実施例3の各偏光板を、反射防止フィルムがディスプレイの最表面になるように装着した、TN、STN、IPS、VA、OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れていた。特にVAモードにおいてその効果は顕著であった。
実施例20
〔偏光板の作製〕
光学補償層を有する光学補償フィルム「ワイドビューフィルムSA 12B」{富士写真フイルム(株)製}について、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例19と同様の条件で鹸化処理した。
実施例19で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例1及び2で作製した反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理した面をそれぞれ貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には、上記の鹸化処理した光学補償フィルムの光学補償層を有する側とは反対側の表面を、同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
〔ディスプレイ装置での評価〕
このようにして作製した実施例22の各偏光板を、反射防止フィルムがディスプレイの最表面になるように装着した、TN、STN、IPS、VA、OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、さらに、反射防止性能に優れ、極めて視認性と表示品位が優れていた。特にVAモードにおいてその効果は顕著であった。
図1は本発明の光学フィルム(反射防止フィルム)の断面図の一例である。 図2は本発明の光学フィルム(反射防止フィルム)の別の断面図の一例である。 図3は本発明の光学フィルム(反射防止フィルム)のさらに別の断面図の一例である。 図4は本発明の防眩性ハードコート層を有する光学フィルム(反射防止フィルム)の断面図の一例である。 図5は本発明の防眩性ハードコート層を有する光学フィルム(反射防止フィルム)の別の断面図の一例である。
符号の説明
1:支持体
2:ハードコート層
3:中屈折率層
4:高屈折率層
5:低屈折率層

Claims (18)

  1. 透明支持体上に、被覆組成物を塗布してなる少なくとも1層の機能層を有する光学フィルムであって、該少なくとも1層の機能層が、該被覆組成物を熱エネルギー及び光エネルギーにより硬化してなる層である光学フィルム。
  2. 前記熱エネルギー及び光エネルギーが、逐次又は同時に複数回印加されてなる請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記被覆組成物が、熱硬化材料と光硬化材料とを含有する被覆組成物である請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記被覆組成物が、熱硬化部位と光硬化部位とを同一分子内に含む化合物を含有する被覆組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
  5. 前記少なくとも1層の機能層が、透明支持体の表面に接する層である請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
  6. 前記少なくとも1層の機能層が、低屈折率層及び/又はハードコート層である請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
  7. 前記少なくとも1層の機能層が、少なくとも2層の機能層である請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルムに反射防止層を有する反射防止フィルム。
  9. 一対の保護フィルムの間に偏光膜を有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一つが請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルム、又は請求項8に記載の反射防止フィルムである偏光板。
  10. 請求項8に記載の反射防止フィルム、又は請求項9に記載の偏光板を有し、かつ該偏光板の低屈折率層が視認側になるように配置されているディスプレイ装置。
  11. 透明支持体上に、少なくとも1層の機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、被覆組成物を塗布、乾燥し、熱エネルギー及び光エネルギーにより硬化して該少なくとも1層の機能層を形成する工程を含む光学フィルムの製造方法。
  12. 前記熱エネルギー及び光エネルギーが、逐次又は同時に複数回印加される請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記被覆組成物が、熱硬化材料と光硬化材料とを含有する被覆組成物である請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 前記被覆組成物が、熱硬化部位と光硬化部位とを同一分子内に含む化合物を含有する被覆組成物である請求項11〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 前記少なくとも1層の機能層が、透明支持体の表面に接する層である請求項11〜14のいずれかに記載の製造方法。
  16. 前記少なくとも1層の機能層が、低屈折率層及び/又はハードコート層である請求項11〜15のいずれかに記載の製造方法。
  17. 前記少なくとも1層の機能層が、少なくとも2層の機能層である請求項11〜16のいずれかに記載の製造方法。
  18. 前記少なくとも2層の機能層が、ハードコート層及び反射防止層である請求項11〜17のいずれかに記載の製造方法。
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