JP2008242314A - 光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い防眩性を有し、反射防止性、耐傷性、および高精細画像表示装置に適用した際のギラツキ防止性能に優れる光学フィルムを提供すること。
【解決手段】透明支持体上に少なくとも1層の防眩層と低屈折率層とを有する光学フィルムであって、該防眩層が複数の樹脂からなる相分離構造を有してなり、該低屈折率層が(A)シリカ微粒子を含有する塗布組成物を塗設してなり、該低屈折率層におけるシリカ微粒子の表面被覆率が0%以上40%未満であることを特徴とする光学フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、該光学フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置に関し、更に詳細には、高い防眩性を有し、反射防止性、耐傷性、および高精細画像表示装置に適用した際のギラツキ防止性能に優れる光学フィルム、該光学フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置に関する。
一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラストの低下や像の映り込みを防止するために、表面に処理が施されるのが通例である。その手法としては膜表面に微細な凹凸を設け、表面反射光を散乱し、映り込み像をぼかす防眩処理や光学干渉の原理を用いて反射光を低減する方法などがある。防眩性を有する光学フィルムではクリアな反射防止フィルムと異なり、鑑賞者や背景が画像表示装置に映り込むことが低減される。
防眩性を有する光学フィルムとしては、透光性微粒子とバインダー樹脂の混合物を用いて表面に凹凸を付与する方法がよく用いられている(例えば、特許文献1参照)が、このような手法で作製された防眩性フィルムでは画素サイズの細かい高精細表示装置においては、その表面凹凸形状が原因で、表示のギラツキや文字ボケなどの画像品位低下を起こさないようにすることが困難であった。
そこで、外光の反射を効率よく防止できる防眩性を有する光学フィルムとして複数の硬化性樹脂からなる相分離構造を利用して表面に凹凸を付与する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、相分離構造を利用した防眩層上に低屈折率層を塗設しようとすると、濡れ性が悪い(ハジキの発生)ために均一に所望の膜厚で低屈折率層形成用塗布組成物を塗布することが困難であり、所望の低反射率層、ひいては低い反射率が得られにくいという問題があった。
一方、多官能の含フッ素モノマーと中空のシリカ微粒子とを含む反射防止フィルムが提案されている(特許文献3参照)。しかし、さらなる低反射率化を実現するためには薬品処理に対する耐性が十分でなかった。そこで、高い防眩性を有し、且つ低反射率で薬品処理が施された後でも高い耐擦傷性を有する光学フィルムが求められていた。
特開2000−338310号公報 特開2004−306328号公報 特開2006−28409号公報
本発明の目的は、防眩層として複数の硬化性樹脂からなる相分離構造を利用して防眩性を付与した防眩層を用い、その上に低屈折率層を設けた場合にハジキがなく均一な塗膜を形成することができ、所望の低反射化が得られ、耐擦傷性(特に薬品処理後の耐擦傷性)に優れた光学フィルムを提供することにある。
本発明の別の目的は、そのような光学フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置の提供にある。
上述のように、従来から知られている透光性微粒子とバインダー樹脂の混合物を用いて表面凹凸をもつ防眩層を有する光学フィルムでは、高精細の画像表示装置では、高い防眩性を有し、かつ低反射率で表示面での外景の映り込みやギラツキを防止した光学フィルムはいまだ提案されていない。
低屈折率層を有する光学フィルムをディスプレイに用いた場合、低屈折率層は光学フィルムの最表面に位置するため、該低屈折率には、高い耐擦傷性が要求される。低屈折率層は厚さ100nm前後の薄膜とするのが通常であるため、高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、及び下層への密着性が必要である。
また、光学フィルムを反射防止フィルムとして用いる場合、2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際に、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を向上させることが好ましく、そのためにアルカリ溶液にフィルムを浸漬する方法が一般に用いられている。そのために、この場合には光学フィルムにアルカリ溶液による処理に対して耐性が必要である、すなわちアルカリ溶液処理前後で膜が破壊される他、耐擦傷性等の必要性能が悪化しないことが要求される。
本発明者らは上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、相分離構造を利用した防眩層上に低屈折率層を塗設しようとすると、濡れ性が悪い(ハジキの発生)ために均一に所望の膜厚で低屈折率層形成用塗布組成物を塗布することが困難であり、所望の低反射率層、ひいては低い反射率が得られにくいという問題が、相分離により形成された防眩層の表面における表面自由エネルギーにムラがある(例えば、相分離により生じるポリマーの極在化)ことが要因であることを知見した。
そして、該知見に基づいてさらに検討した結果、下記構成により前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
1.透明支持体上に少なくとも1層の防眩層と低屈折率層とを有する光学フィルムであって、該防眩層が複数の樹脂からなる相分離構造を有してなり、該低屈折率層が(A)シリカ微粒子を含有する塗布組成物を塗設してなり、該低屈折率層におけるシリカ微粒子の表面被覆率が0%以上40%未満であることを特徴とする光学フィルム(以下、「第1発明」という場合にはこの発明を指す)。
2.前記シリカ微粒子がオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物によって表面処理されていることを特徴とする1に記載の光学フィルム。
3.前記シリカ微粒子の含有率が、低屈折率層形成用の前記塗布組成物中の全固形分に対して35〜70質量%である1または2に記載の光学フィルム。
4.透明支持体上に少なくとも1層の防眩層と低屈折率層を有する光学フィルムであって、該防眩層が複数の樹脂からなる相分離構造を有してなり、該低屈折率層が(A)シリカ微粒子を低屈折率層形成用の塗布組成物中の全固形分に対して35〜70質量%含有する塗布組成物を塗設してなり、該シリカ微粒子がオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物によって表面処理されている光学フィルム(以下、「第2発明」という場合にはこの発明を指す)。
5.前記塗布組成物が、さらに(B)重合性基を少なくとも二つ有する含フッ素多官能モノマーを含有し、かつ該含フッ素多官能モノマーのフッ素含有率が20.0質量%以上であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
6.前記塗布組成物が、さらに(C)少なくとも1種の非含フッ素多官能モノマーを含有することを特徴とする5に記載の光学フィルム。
7.前記シリカ微粒子が、内部に空孔を有する粒子を有することを特徴とする1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
8.前記シリカ微粒子が、粒径30nm以上100nm以下である粒子を含むことを特徴とする1〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
9.前記塗布組成物が、少なくとも一種のフッ素系化合物、及び/又は少なくとも一種のポリシロキサン系化合物を含有し、動摩擦係数が0.03以上0.40以下であることを特徴とする1〜7に記載の光学フィルム。
10.1〜9のいずれかに記載の光学フィルムが、偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
11.1〜9のいずれかに記載の光学フィルム又は10に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
本発明の光学フィルムは、高い防眩性を有し、反射防止性、耐傷性、および高精細画像表示装置に適用した際のギラツキ防止性能に優れる。
しかも全ての層を塗布法により製造することができ、低コストで製造可能である。
また、本発明の光学フィルムを保護層とした偏光板を装着した液晶表示装置は、コントラスト、視認性および画像の鮮明性等に優れ、ギラツキも防止されている。また、本発明の光学フィルムを直接用いた液晶表示装置も同様である。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
まず、本発明の第1発明について説明し、次いで第2発明について第1発明と異なる点を中心に説明する。
本発明の第1発明の光学フィルムは、透明支持体上に少なくとも1層の防眩層と低屈折率層とを有する光学フィルムであって、該防眩層が複数の樹脂からなる相分離構造を有してなり、該低屈折率層が(A)シリカ微粒子を含有する塗布組成物を塗設してなり、該低屈折率層におけるシリカ微粒子の表面被覆率が0%以上40%未満であることを特徴とする。
図1に本発明の光学フィルムの断面の模式図を示す。なお、図1は本発明の態様の一例にすぎず、本発明はこれらに限定されない。例えば後述するその他の層を有した態様などであってもよい。
本発明の光学フィルム1は、透明支持体2上に、防眩層3と低屈折率層4を有する。防眩層3は複数の樹脂からなる相分離構造を有しており、凹凸を有する。低屈折率層4は、シリカ微粒子5を含有している。図2は、本発明の光学フィルムを上から見た模式図である。本発明において、低屈折率層におけるシリカ微粒子の表面被覆率とは、シリカ微粒子5のうち、低屈折率層4の表面から出ている部分の層全体の表面を占める物質に対する存在比をいう。
〔低屈折率層〕
本発明において防眩層上に設けられる低屈折率層は、(A)シリカ微粒子を含有する塗布組成物を防眩層上に塗設してなる層である。
(A)シリカ微粒子
低屈折率層に用いることのできる、シリカ微粒子について述べる。本発明においては、低屈折率層にシリカ微粒子を用いることにより、低屈折率化、耐擦傷性改良が図れる。
シリカ微粒子のサイズ(粒径)は、耐擦傷性の改良の観点から平均粒子サイズが5nm以上であることが好ましく、低屈折率層表面に微細な凹凸ができず、黒の締まりなどの外観や積分反射率が良好であるという観点から120nm以下であることが好ましい。より好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは40〜100nmである。上記(A)シリカ微粒子として平均粒子サイズが30〜100nmのシリカ微粒子を少なくとも一種含むことが好ましい。平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
シリカ微粒子の屈折率は、シリカの屈折率である1.45以下であるのが好ましく、さらには1.40以下であることが好ましい。なお、屈折率が1.45〜1.46である非孔質のシリカ微粒子を単独で用いることもできるが、反射防止性能の点から多孔質または内部に空洞を有するシリカ系微粒子を少なくとも1種用いることが好ましい。
シリカ微粒子の少なくとも1種の屈折率は、1.10〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.15〜1.35、最も好ましくは1.20〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表す。微粒子のうち少なくとも1種の粒子の屈折率が、1.20以上1.30以下であることが好ましい。ここで、粒子全体の屈折率とは、粒子の局部的な屈折率ではなく、空隙部とシリカ部を含めた粒子全体の屈折率である。本発明の粒子は低屈折率層に用い、可視光で光散乱が実質起こらない120nm以下の粒子であり、単一の屈折率をもつ粒子として取り扱うことができる。粒子の屈折率は、特開2002−79616号公報に記載の方法で算出することができる。
シリカ微粒子としては、シリカを主成分とする粒子であれば如何なる組成や構造の微粒子であってもよい。本発明では粒子内部が多孔質または中空構造であるシリカ微粒子も用いることができるが、好ましくは内部に空孔を有する中空構造のシリカ微粒子を用いるのがよい。また、本発明ではコア/シェル型複合微粒子も好適に用いることができる。
シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
本発明ではシリカ微粒子が低屈折率層塗布組成物中の全固形分に対して35〜70質量%であることが、耐擦傷性、塗布性改良の観点から好ましく、より好ましくは40〜65質量%であり、最も好ましくは40〜60質量%である。
シリカ微粒子の塗設量は、耐擦傷性の改良の観点から1mg/m以上が好ましく、低屈折率層表面に微細な凹凸ができず、黒の締まりなどの外観や積分反射率が良好であるという観点から100mg/m以下が好ましい。より好ましくは10mg/m〜80mg/m、更に好ましくは20mg/m〜70mg/mである。
〔多孔質又は中空のシリカ微粒子〕
低屈折率化を図るには、微粒子のうち少なくとも1種が、多孔質又は中空構造のシリカ微粒子を使用することが好ましい。特に内部に空孔を有する中空構造の微粒子(以下、「中空シリカ」という場合もある)を用いることが好ましい。これらの多孔質または中空構造のシリカ微粒子の空隙率は、好ましくは10〜80%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空微粒子の空隙率を上述の範囲にすることが、低屈折率化と粒子の耐久性維持の観点で好ましい。
多孔質又は中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611号公報や特開2002−79616号公報に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616号公報に記載の方法で算出することができる。
多孔質又は中空シリカの好ましい塗設量は上述の通りである。少なすぎると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
多孔質又は中空シリカの平均粒径は、30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上80nm以下である。本発明においては、空孔含有微粒子はサイズ分布を有していてもよく、その変動係数は好ましくは60%〜5%、更に好ましくは50%〜10%である。また、平均粒子サイズの異なる2種又は3種以上の粒子を混合して用いることもできる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカの比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
[多孔質又は中空微粒子の調製方法]
中空微粒子の好ましい製造方法を以下に記載する。第1段階として、後処理で除去可能なコア粒子形成、第2段階としてシェル層形成、第3段階としてコア粒子の溶解、必要に応じて第4段階として追加シェル相の形成である。具体的には中空粒子の製造は、例えば特開2001−233611号公報に記載されている中空シリカ微粒子の製造方法に準じて行うことができる。
多孔質粒子の好ましい製造方法は、第1段階としてアルコキシドの加水分解や縮合の程度、共存物質の種類や量を制御し多孔質のコア粒子を製造し、第2段階としてその表面にシェル層を形成する方法である。具体的には多孔質粒子の製造は、例えば、特開2003−327424号公報、同2003−335515号公報、同2003−226516号公報、同2003−238140号公報等の各公報に記載された方法で行うことができる。
本発明においては、後述するシリカ微粒子の吸着水量を減らすことが好ましく、粒子サイズの変更、シェル厚の変更、水熱処理の条件等により制御することができる。また、粒子を焼成することで吸着水量を低減することもできる。
(シリカ微粒子の被覆)
本発明においては、シリカ微粒子は、シェル厚を厚くすることでシリカ微粒子表面の吸着サイトを減少させ、吸着水量を低減することが可能であり、好ましい。さらに導電性の成分でシェルを形成すると導電性も付与することができて好ましい。特に好ましくは、多孔質または中空のシリカ微粒子に、シェルとして、ZnO2、Y23、Sb25、ATO、ITO、SnO2を用いる組み合わせである。以下好ましい酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子について述べる。
本発明に係る酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子は、多孔質シリカ系微粒子または内部に空孔を有するシリカ系微粒子が酸化アンチモン被覆層によって被覆されてなるものである。前記多孔質シリカ系微粒子には、多孔質のシリカ微粒子とシリカを主成分とする複合酸化物微粒子が含まれ、特開平7−133105号公報に開示した、多孔性の無機酸化物微粒子の表面をシリカ等で被覆した低屈折率のナノメーターサイズの複合酸化物微粒子は好適に用いることができる。
また、内部に空孔を有するシリカ系微粒子としては、特開2001−233611号公報に開示した、シリカとシリカ以外の無機酸化物からなり、内部に空洞を有する低屈折率のナノメーターサイズのシリカ系微粒子も好適に用いることができる。
このような多孔質シリカ系微粒子または内部に空洞を有するシリカ系微粒子は、平均粒子径が4〜100nm、さらには10〜90nmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が4nm以上であれば、シリカ系微粒子を製造時の問題がなく得ることができ、得られた粒子も安定性が充分であり、また小サイズの粒子を用いた場合に起こり得る単分散の酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子が得られないといった問題が生じない。平均粒子径が100nm以下であれば、得られる酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径を120nm以下に抑えることができ、大サイズの酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子を用いて透明被膜を形成した場合に起こり得る透明性の低下や、ヘイズが高くなるといった問題を抑制できるため、好ましい。
前記多孔質シリカ系微粒子又は内部に空洞を有するシリカ系微粒子の屈折率は、シリカの屈折率である1.45以下、さらには1.40以下であることが好ましい。なお、屈折率が1.45〜1.46である非孔質のシリカ微粒子を単独で用いることもできるが、反射防止性能の点から多孔質または内部に空洞を有するシリカ系微粒子を用いることが好ましい。
酸化アンチモン被覆層の平均厚さは好ましくは0.5〜30nm、更に好ましくは1〜10nmの範囲である、被覆層の平均厚さが0.5nm以上であれば、シリカ系微粒子を完全に被覆でき、得られる酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の導電性も充分となるため、好ましい。被覆層の厚さが30nm以下であれば、導電性の向上効果が充分得られ、酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が小さい場合の屈折率の不足といった問題を抑制できるため、好ましい。
本発明に係る酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子は、平均粒子径が5〜120nm、さらには10〜100nmの範囲にあることが好ましい。酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が5nm以上であれば、該微粒子を製造時の問題がなく得ることができ、得られた粒子における凝集粒子を抑制でき、好ましい。また、小粒子で起こり得る、分散性が不充分であるために透明被膜形成に用いた場合に、透明性、ヘイズ、被膜強度、基材との密着性等が不充分となるといった問題が生じず、好ましい。酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径が120nm以下であれば、形成された透明被膜は透明性が充分であり、ヘイズも低く抑えられ、好ましい。また、基材との密着性が不充分となることもない。
酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の屈折率は1.25〜1.60、さらには1.30〜1.50の範囲にあることが好ましい。屈折率が1.25以上であれば、該粒子を製造時の問題がなく得ることができ、好ましい。また、得られた粒子の強度にも不足がない。他方、屈折率が1.60以下であれば、透明被膜の反射防止性能も充分であり、好ましい。
酸化アンチモン被覆シリカ微粒子の体積抵抗値は10〜5000Ω/cm、さらには10〜2000Ω/cmの範囲にあることが好ましい。体積抵抗値が10Ω/cm以上であれば該粒子を製造時の問題がなく得ることができ、好ましい。また、得られた粒子の屈折率も1.6以下となり、透明被膜の反射防止性能も充分であり、好ましい。他方、体積抵抗値が5000Ω/cm以下であれば、得られる透明被膜の帯電防止性能も充分であり、好ましい。
本発明の酸化アンチモン被覆シリカ微粒子は、必要に応じて常法によりシランカップリング剤により表面処理して用いることができる。
(微粒子の吸着水量)
本発明において、低屈折率層に用いることのできるシリカ微粒子は、吸着水量が6.1質量%以下であることが、塗布液中での分散性、塗膜の硬度、防汚性、の点で好ましい。
(空孔含有微粒子の吸着水量の測定)
本発明において、空孔含有シリカ微微粒子の吸着水量は以下の測定法により求めることができる。
シリカ微粒子の粉末を、ロータリーポンプを用いて、20℃、約1hPaの条件で1時間乾燥させた。その後20℃、55%RHで1時間保存した。島津(株)製“DTG−50”を用い、乾燥後の試料約10mgを白金セルに秤量し、加熱速度20℃/分で温度20℃から950℃まで上昇させた。吸着水量は、200℃まで昇温した際の質量減少百分率として以下により算出した。
吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
ここで、
20:昇温開始時の初期質量、
200:200℃まで昇温した時点での質量。
なお粒子が分散液の場合には、溶媒をエバポレーター(25℃、10hPaに減圧)で留去し、残渣をメノウ乳鉢ですりつぶして粉末とした後に、上記工程で測定することができる。
本発明においては、吸着水量は6.1質量%以下が好ましく、更に好ましくは5.5質量%以下、最も好ましくは5.0質量%以下である。特に粒子表面や内部に空孔を有する粒子においては、粒子表面のシェルの厚みや密度を上げたり、上述の酸化アンチモン被覆粒子のように異なる成分で表面を被覆することで、上記吸着水量を低下させることができる。また、吸着水量を低下させることで、耐擦傷性改良に効果がある。
本発明においては、空孔含有微粒子はサイズ分布を有していてもよく、その変動係数は好ましくは60%〜5%、更に好ましくは50%〜10%である。また、平均粒子サイズの異なる2種又は3種以上の粒子を混合して用いることもできる。
(シリカ微粒子の表面処理方法)
シリカ微粒子は、オルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物により表面処理されているのが低屈折率層形成用の塗料における分散性を改良する点で好ましい。また、表面処理の際には、酸触媒及び金属キレート化合物のいずれか、あるいは両者が使用されることが更に好ましい。
オルガノシランの構造は特に限定されないが、末端に(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。
本発明のシリカ微粒子の表面処理に用いることのできるオルガノシラン化合物について詳細に説明する。
一般式(I)
(R10m−Si(X)4-m
一般式(I)においてR10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびR2COO基(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO基、C25COO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。mは1〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
また、Xが加水分解可能な基として示される場合の例として以下に示す化合物も好ましい。
(R103−Si−(X)−Si−(R103
ここでR10は上記R10と同義であり、Xは加水分解可能な基を表す。Xとしては、例えば−O−、−NH−などが挙げられる。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチ基、i-プロピル基、プロピル基、t-ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i-プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-メチル-N-オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(II)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物として表すことができる。
一般式(II)
Figure 2008242314
一般式(II)においてR1は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。単結合、エステル基およびアミド基が好ましく、単結合およびエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、または内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、なかでも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基またはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基またはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は、一般式(I)のR10と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは、一般式(I)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
本発明に用いるオルガノシラン化合物として、下記一般式(III)で表されるものも好ましい。
一般式(III) (Rf−L1n−Si(R114-n
上記式中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rfは、炭素数3〜10の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。L1は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。R11は水酸基または加水分解可能な基を表し、炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、および塩素原子が更に好ましい。nは1〜3の整数を表す。
次に一般式(III)で表される含フッ素シランカップリング剤の中でも、下記一般式(IV)で表される含フッ素シランカップリング剤が好ましい。
一般式(IV) Cn2n+1−(CH2m−Si(R)3
上記式中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。nは4〜10が好ましく、mは1〜3が好ましく、Rはメトキシ基、エトキシ基、および塩素原子が好ましい。
一般式(I)の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008242314
Figure 2008242314
Figure 2008242314
Figure 2008242314
Figure 2008242314
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Figure 2008242314
Figure 2008242314
Figure 2008242314
また、ジシロキサン系やジシラザン系の化合物も表面処理剤として用いることができ、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジブチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザンなどが挙げられる。
これらの具体例の中で、(M-1)、(M-2)、(M-49)、(M-56)、(M-57)等が特に好ましい。また、特許第3474330号の参考例に記載のA,B,Cの化合物も分散安定性に優れ好ましい。本発明においては、一般式(I)で表されるオルガノシラン化合物の使用量は、特に制限はないが、無機微粒子当たり1質量%〜300質量%が好ましく、更に好ましくは3質量%〜100質量%、最も好ましくは5質量%〜50質量%である。無機酸化物の表面の水酸基基準の規定度濃度(Formol)当たりでは1〜300モル%が好ましく、更に好ましくは5〜300モル%、最も好ましくは10〜200モル%である。
オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜形成時に膜強度も上昇する。複数種のオルガノシラン化合物を併用することも好ましく、複数種の化合物を同時に添加することも、添加時間をずらして反応させることもできる。また、複数種の化合物を予め部分縮合物にしてから添加すると反応制御が容易であり好ましい。
本発明においては、上記オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物を無機微粒子表面と作用させて無機微粒子の分散性を改善するのが好ましい。
加水分解縮合反応は、加水分解性基(X)1モルに対して0.3〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる酸触媒または、金属キレート化合物の存在下、15〜100℃で、撹拌することにより行われることが好ましい。
[表面処理の溶媒]
上記オルガノシランの加水分解物および/または縮合反応物による分散性の改良処理は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができる。溶媒を用いる場合はオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物の濃度を適宜に定めることができる。溶媒としては成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒は、オルガノシラン加水分解物および/または縮合反応物と触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いられることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec -ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を併用して使用することもできる。該処理における溶媒に対するオルガノシラン化合物の濃度は特に限定されるものではないが通常0.1質量%〜70質量%の範囲であり、好ましくは1質量%〜50質量%の範囲である。
本発明においては、アルコール系溶媒で無機微粒子を分散した後に、分散性改良処理を行い、それに引き続いて分散溶媒を芳香族炭化水素溶媒やケトン系溶媒に置換することが好ましい。塗設時に併用するバインダーとの親和性や分散液自身の安定性の向上の点から、ケトン系溶媒への置換が好ましい。
[表面処理の触媒]
オルガノシランの加水分解物および/または縮合反応物による分散性の改良処理は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、無機微粒子液の製造安定性や保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)および/または金属キレート化合物が用いられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができる。オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。また、アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
酸触媒の使用量は、酸触媒が無機酸の場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、酸触媒が有機酸の場合には、水の添加量によって最適な使用量が異なるが、水を添加する場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、実質的に水を添加しない場合には、加水分解性基に対して1〜500モル%、好ましくは10〜200モル%であり、より好ましくは20〜200モル%であり、更に好ましくは50〜150モル%であり、特に好ましくは50〜120モル%である。
処理は15〜100℃で撹拌することにより行われるがオルガノシランの反応性により調節されることが好ましい。
[金属キレート化合物]
金属キレート化合物は、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコールおよび/または一般式R4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基を、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)で表される化合物を配位子とした、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物は、
一般式
Zr(OR3p1(R4COCHCOR5p2
Ti(OR3q1(R4COCHCOR5q2、および
Al(OR3r1(R4COCHCOR5r2
で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、これらは前記オルガノシラン化合物の縮合反応を促進する作用を及ぼしている。
上記金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1およびr2は、4あるいは6座配位となるように決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ-n-ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ-n-ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n-ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n-プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ-n-ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
本発明の金属キレート化合物は、縮合反応の速度および塗膜にした場合の膜強度の観点から、オルガノシラン化合物に対し、好ましくは、0.01〜50質量%、より好ましくは、0.1〜50質量%、さらに好ましくは、0.5〜10質量%の割合で用いられる。
[分散液の安定化添加剤]
本発明に用いられる分散液またはコーティング組成物には、上記オルガノシラン、酸触媒および/またはキレート化合物に加えて、下記(c)成分が添加されることが好ましい。
以下に、(c)成分をさらに説明する。本発明で使用される(c)成分は、一般式R4COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる分散液またはコーティング組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシランと金属キレート成分の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。(c)成分を構成するR4およびR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4およびR5と同様である。
この(c)成分のβ-ジケトン化合物および/またはβ-ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸-n-プロピル、アセト酢酸-i-プロピル、アセト酢酸-n-ブチル、アセト酢酸-sec-ブチル、アセト酢酸-t-ブチル、2,4-ヘキサン-ジオン、2,4-ヘプタン-ジオン、3,5-ヘプタン-ジオン、2,4-オクタン-ジオン、2,4-ノナン-ジオン、5-メチル-ヘキサン-ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ-ジケトン化合物および/またはβ-ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明において(c)成分のβ-ジケトン化合物および/またはβ-ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
(低屈折率層におけるシリカの表面被覆率)
低屈折率層におけるシリカ微粒子の表面被覆率は、0%以上40%未満であるが、0%以上30%未満であることが好ましく、0%以上25%未満であることがより好ましく、1%以上25%未満であることが最も好ましい。40%を超えると薬品に対する耐性が悪化し、耐擦傷性が低下する。
(低屈折率層におけるシリカの表面被覆率評価)
次に、低屈折率層におけるシリカの表面被覆率の測定方法について説明する。
光学フィルムについて日本電子製“JPS-9000MX 光電子分光装置” (X線源 : Mg Ka、電圧10 kV、電流 10 mA)を用いて評価する。測定は、光電子取り出し角 20°で行い、最表面のSi 2p、C 1s、O 1sおよびF 1sの光電子スペクトルを得る。 Si 2p、C 1s、O 1sおよびF 1sはそれぞれの光電子スペクトルのピーク位置について、主成分のC 1s (CHx)の結合エネルギーを285.0 eVとしエネルギー補正を行う。また、各ピークの積分値を求め、感度係数(Si 2p : 0.88、C 1s : 1.00、O 1s : 2.93、F 1s : 5.47)で規格化することによりその元素組成比率を求める。このときのSi 2pの元素組成比率をA%とする。
Si 2pについてはシリコーン系化合物由来(結合エネルギーが102 eV付近)のSi原子とシリカ微粒子由来(結合エネルギーが104 eV付近)のSi原子とを日本電子製のXPSソフトウェアSpecXPSを用いてGauss-Lorentz関数で波形分離し、シリカ微粒子由来のもののSi 2p全体に対する割合B%を求める。
シリカの膜表面被覆率は{A×(B/100)×3}%、シリコーンの膜表面被覆率は[{A×(100-B)/100}×4]%と定義する。
(B)含フッ素多官能モノマー
本発明においては、低屈折率層形成用の塗布組成物には、(B)重合性基を少なくとも2つ有する含フッ素多官能モノマーを含有するのが好ましい。該含フッ素多官能モノマーは重合性基を二つ以上有し、かつフッ素含有率が20.0質量%以上であればどのような化合物でもよく、特に限定されることはない。
フッ素含率は重合体の屈折率を下げるという観点から30.0質量%以上が好ましく、40.0質量%以上であることがより好ましい。
具体的には、特開2006−28409号公報の段落番号〔0018〕に記載の化合物f−1〜f−10、および段落番号〔0023〕から〔0027〕に記載のX−1〜X−32に加えて以下の化合物(X−33)、(X−34)、(X−35)も好ましく用いることができる。
Figure 2008242314
Figure 2008242314
Figure 2008242314
また、WO2005/059601号公報の段落番号0135から0149に記載の下記化合物
Figure 2008242314
(上記一般式(I)中、A〜Aは各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、α−フルオロアクリロイル基、又はトリフルオロメタクリロイル基を表し、 n,m,o,p,q,rは各々独立に、0〜2の整数を表し、 R〜Rは各々独立に、炭素数1〜3のアルキレン基、或いは、水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜3のフルオロアルキレン基を表す。)
Figure 2008242314
(上記一般式(II)中、A11〜A14は各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、α−フルオロアクリロイル基、又はトリフルオロメタクリロイル基を表し、 s,t,u,vは各々独立に、0〜2の整数を表し、R11〜R14は各々独立に、炭素数1〜3のアルキレン基、或いは、水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜3のフルオロアルキレン基を表す。)も好適に用いることができる。
さらには、特開2006−291077号公報の段落番号0014から0028に記載の化合物も好適に用いることができる。
(C)少なくとも1種の非含フッ素多官能モノマー
また、本発明において低屈折率層形成用の塗布組成物は、(C)少なくとも1種の非含フッ素多官能モノマーを含有するのが好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
該非含フッ素多官能モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基を有する化合物が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基を含有する化合物が好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性、あるいは薬品処理後の耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
重合性の不飽和結合を有する化合物の具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性の非含フッ素多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
また、非含フッ素多官能モノマーとして好適に用いられる(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類の具体化合物としては、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA、同DPHA−2C、同PET−30、同TMPTA、同TPA−320、同TPA−330、同RP−1040、同T−1420、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同GPO−303、大阪有機化学工業(株)製V#3PA、V#400、V#36095D、V#1000、V#1080等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物を挙げることができる。また紫光UV−1400B、同UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−6630B、同UV−7000B、同UV−7510B、同UV−7461TE、同UV−3000B、同UV−3200B、同UV−3210EA、同UV−3310EA、同UV−3310B、同UV−3500BA、同UV−3520TL、同UV−3700B、同UV−6100B、同UV−6640B、同UV−2000B、同UV−2010B、同UV−2250EA、同UV−2750B(日本合成化学(株)製)、UL−503LN(共栄社化学(株)製)、ユニディック17−806、同17−813、同V−4030、同V−4000BA(大日本インキ化学工業(株)製)、EB−1290K、EB−220、EB−5129、EB−1830,EB−4858(ダイセルUCB(株)製)、ハイコープAU−2010、同AU−2020((株)トクシキ製)、アロニックスM−1960(東亜合成(株)製)、アートレジンUN−3320HA,UN−3320HC,UN−3320HS、UN−904,HDP−4Tなどの3官能以上のウレタンアクリレート化合物、アロニックスM−8100,M−8030,M−9050(東亞合成(株)製、KRM−8307(ダイセルサイテック(株)製)〔以上、それぞれ商品名〕などの3官能以上のポリエステル化合物なども好適に使用することができる。
さらに、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等もあげられる。
さらに、非含フッ素多官能モノマーとして用いられる2官能(メタ)アクリレート化合物としては具体的に下式で示される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008242314
Figure 2008242314
非含フッ素多官能モノマーとしては、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
非含フッ素多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
本発明では、塗布組成物が、少なくとも一種のフッ素系化合物、及び/又は少なくとも一種のポリシロキサン系化合物を含有し、動摩擦係数が0.03以上0.40以下であることが好ましい。動摩擦係数は、0.03以上0.35以下であることがより好ましく、0.03以上0.30以下であることがさらに好ましい。
(フッ素系化合物、ポリシロキサン系化合物)
本発明では、塗布組成物が、少なくとも一種のフッ素系化合物、及び/又は少なくとも一種のポリシロキサン系化合物を含有するのが、防汚性、滑り性、耐水性、耐薬品性等の特性を付与する目的で好ましい。
これらの化合物を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
[ポリシロキサン系化合物]
次にポリシロキサン系化合物について説明する。本発明では滑り性付与による耐擦傷性向上、及び防汚性の付与を目的としてポリシロキサン構造を有する化合物を用いるのが好ましい。化合物の構造は特に制限はなく、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。また、ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。
ポリシロキサン構造を有する化合物の分子量には特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。
転写を防ぐという観点で、水酸基又は水酸基と反応して結合を形成する官能基を含有することが好ましい。この結合形成反応は、加熱条件下及び/又は触媒存在下で速やかに進行することが好ましい。そのような置換基としては、エポキシ基やカルボキシル基などが挙げられる。好ましい化合物の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(水酸基を含むもの)
“X−22−160AS”、“KF−6001”、“KF−6002”、“KF−6003”、“X−22−170DX”、“X−22−176DX”、“X−22−176D”、“X−22−176F”{以上、信越化学工業(株)製};“FM−4411”、“FM−4421”、“FM−4425”、“FM−0411”、“FM−0421”、“FM−0425”、“FM−DA11”、“FM−DA21”、“FM−DA25”{以上、チッソ(株)製};“CMS−626”、“CMS−222”{以上、Gelest社製}。
(水酸基と反応する官能基を含むもの)
“X−22−162C”、“KF−105”{以上、信越化学工業(株)製};“FM−5511”、“FM−5521”、“FM−5525”、“FM−6611”、“FM−6621”、“FM−6625”{以上、チッソ(株)製}。
上記ポリシロキサン系化合物に加えて、更に別のポリシロキサン系化合物を併用することもできる。好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、オキセタニル基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.0質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例 としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(フッ素系化合物)
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
(重合開始剤)
本発明の低屈折率層の硬化に有効な重合開始剤について述べる。低屈折率層の構成成分がラジカル重合性化合物の場合には、これら化合物の重合は、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
(光ラジカル開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルホリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノンなどが含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルなどが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどが含まれる。活性エステル類の例には1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。具体的には特開2000−80068号公報の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
上記活性ハロゲン類の具体例は以下の通りである。
Figure 2008242314
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無機錯体の例には、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル]チタニウムが挙げられる。クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いてもよい。
本発明において、分子量が高く塗膜から揮散しにくい化合物としては、オリゴマー型の重合開始剤が好ましい。オリゴマー型放射線重合開始剤としては、放射線照射により光ラジカルを発生する部位を有するものであれば、特に制限はない。熱処理による揮散防止のために、重合開始剤の分子量は280以上10,000以下が好ましく、更に好ましくは300以上10,000以下である。より好ましくは、その質量平均分子量が400〜10,000である。質量平均分子量が400以上であれば、揮散性が小さいので好ましく、10,000以下であれば、得られる硬化塗膜の硬度が十分なものとなるので好ましい。オリゴマー型放射線重合開始剤の具体例としては、下記一般式(5)に示すオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]を挙げることができる。
一般式(5):
Figure 2008242314
上記一般式(5)中、R51は、一価の基、好ましくは一価の有機基、qは2〜45の整数をそれぞれ示す。
上記一般式(5)に示すオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]の市販品としては、フラテツリ・ランベルティ社製商品名「エザキュアKIP150」(CAS−No.163702−01−0、q=4〜6)、「エザキュアKIP65LT」(「エザキュアKIP150」とトリプロピレングリコールジアクリレートの混合物)、「エザキュアKIP100F」(「エザキュアKIP150」と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの混合物)、「エザキュアKT37」、「エザキュアKT55」(以上、「エザキュアKIP150」とメチルベンゾフェノン誘導体の混合物)、「エザキュアKTO46」(「エザキュアKIP150」、メチルベンゾフェノン誘導体、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドの混合物)、「エザキュアKIP75/B」(「エザキュアKIP150」と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1オンの混合物)等を挙げることができる。
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜14
8にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア1870」(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤)、「イルガキュア500」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」、「イルガキュア127」、“OXE01”等;日本化薬(株)製の「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」、「カヤキュアーMCA」など;サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KTO46,KT37,KIP150,TZT)”等、及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、バインダー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントンなどを挙げることができる。更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DMBI,EPA)」などが挙げられる。
(熱ラジカル開始剤)
熱ラジカル開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
熱ラジカル開始剤は、バインダー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
(カチオン重合開始剤)
カチオン重合開始剤としては、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のプロトン酸、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ベンジルジメチルアミン、トリブチルアミン、トリス(ジメチルアミノ)メチルフェノール等の3級アミン、2−メチル−4−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トルエンスルホン酸シクロへキシルエステル、トルエンスルホン酸イソプロピルエステル等の加熱により分解してプロトン酸を発生する化合物、あるいは以下に記載する光の作用により酸触媒を発生する各種化合物を挙げることができる。
本発明では、特に皮膜形成用組成物のポットライフの観点から、光の作用により酸を発生する化合物が好ましい。
光の作用により酸を発生する化合物としては、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号等に種々の例が記載されておりこれら公知の化合物を使用することができる。具体的には、RSO (Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF 、SbF 、PF 、BF 等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩、トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類である。
これらの光の作用により、酸を発生する化合物と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
熱または光の作用によってカチオン重合を開始する化合物の添加量もラジカル開始剤と同様に、一般的には低屈折率層形成組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%である。
(低屈折率層の硬化条件)
本発明においては、低屈折率層に使用する各成分の硬化性官能基に適した硬化条件を選択することができる。
好ましい例を以下に述べる。
(a)水酸基含有含フッ素化合物、水酸基と反応する化合物との併用系、
硬化温度は、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜130℃、最も好ましくは80〜110℃である。支持体が高温で劣化しやすい場合には低温が好ましい。熱硬化に要する時間は、30秒〜60分が好ましく、更に好ましくは1分〜20分である。
また、特に下面が電離放射線硬化性(メタ)アクリレート基含有の光学フィルム構成層の場合には、低屈折率層に(メタ)アクリレート基含有化合物を添加することにより界面結合を強化することができる。好ましい硬化条件については、以下(B)の系の場合とあわせ後述する。
(b)(メタ)アクリレート基含有含フッ素化合物使用系
含フッ素化合物が(メタ)アクリレート基を含有する場合には、低屈折率層に更に(メタ)アクリレート基を含有する化合物を併用することが塗膜の強度向上の点で好ましい。電離放射線による照射と、照射の前、照射と同時又は照射後の熱処理とを組み合わせることにより、硬化することが有効である。
以下にいくつかの製造工程のパターンを示すが、これらに限定されるものではない。
照射前→ 照射と同時 →照射後(−は熱処理を行っていないことを示す。)
(1)熱処理→電離放射線硬化→ −
(2)熱処理→電離放射線硬化→熱処理
(3) − →電離放射線硬化→熱処理
その他、電離放射線硬化時に同時に熱処理を行う工程も好ましい。
(熱処理)
本発明においては、上記のとおり、電離放射線による照射と組み合わせて熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、光学フィルムの支持体、低屈折率層含めた構成層を損なうものでなければ特に制限はないが、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜130℃、最も好ましくは80〜110℃である。
温度を上げることにより、塗膜内で各成分の配向や分布を調節したり、光硬化の反応を制御することができる。電離放射線照射や熱による硬化前には、各成分が固定化されておらず、各成分の配向が比較的速やかに起こるが、硬化開始後には、各成分が固定され部分的にしか配向は起こらない。熱処理に要する時間は、使用成分の分子量、その他成分との相互作用、粘度などにより異なるが、30秒〜24時間、好ましくは60秒〜5時間、最も好ましくは3分〜30分である。
フィルムの膜面温度を所望の温度にする方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線又は赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号明細書に記載の、回転金属ロールに温水や蒸気を流して加熱する方法も利用できる。一方、下記で述べる電離放射線の照射時においては、フィルムの膜面温度が上がる場合には、ロールを冷却してフィルムに接触させる方法が利用できる。
(電離放射線照射条件)
電離線放射線照射時の膜面温度については、特に制限はないが、ハンドリング性及び面内の性能の均一性から、一般に20〜200℃、好ましくは30〜150℃、最も好ましくは40〜120℃である。膜面温度が該上限値以下であれば、バインダー中の低分子成分の流動性が上昇しすぎて面状が悪化したり、支持体が熱によりダメージを受けたりする問題が生じないので好ましい。また該下限値以上であれば、硬化反応の進行が十分で、膜の耐擦傷性が良好なものとなるので好ましい。
電離放射線の種類については、特に制限はなく、x線、電子線、紫外線、可視光、赤外線などが挙げられるが、紫外線が広く用いられる。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。照射の際には、前記エネルギーを一度に当ててもよいし、分割して照射することもできる。特に塗膜の面内での性能ばらつきを少なくする点からは、2〜8回程度に分割して照射することも好ましい。
電離放射線照射後フィルムが前記温度に保たれる時間は、電離放射線照射終了から0.1秒以上300秒以下が好ましく、0.1秒以上10秒以下がより好ましい。フィルムの膜面温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する低屈折率層形成用塗布組成物の反応を促進できず、逆に長すぎると設備が大きくなるなどの製造上の問題が生じてしまう。
(酸素濃度)
電離放射線照射時の酸素濃度は3体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1%体積以下であり、更に好ましくは0.1%以下である。酸素濃度3体積%以下で電離放射線を照射する工程に対して、その直前又は直後に酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で維持する工程を設けることにより、膜の硬化を十分に促進し、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
熱処理工程は、大気雰囲気下で行うことができるが、電離放射線照射時と同様に酸素濃度を低下させて行うことも好ましい。特に、重合開始剤や重合性化合物などの熱安定性が不十分なときは、酸素濃度を低下させて熱処理を行うことで、全硬化工程終了後の膜の強度を強く保つことができる。
酸素濃度を低下させる手段としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の不活性気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。電離放射線を照射する工程の前に、低酸素濃度の雰囲気下で搬送を行うことによって、塗膜表面及び内部の酸素濃度を有効に低減することができ、硬化を促進することができる。電離放射線照射前の搬送工程における酸素濃度は3体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1%体積以下であり、更に好ましくは0.1%以下である。
(含フッ素ポリマ−バインダー)
また、低屈折率層には含フッ素共重合体化合物をポリマーバインダーとして用いることもできる。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
上記含フッ素ビニルモノマーと架橋反応性付与のために下記(i)、(ii)、(iii)で示される単位との共重合体が好ましく利用できる。
(i):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、
(ii):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、
(iii):分子内に上記(i)、(ii)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(i)、(ii)の構成単位と反応させて得られる構成単位、(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)が挙げられる。
上記(iii)の構成単位は該架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。ここに、光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α-フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o-キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3-チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基含有共重合体を調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
a.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
b.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
c.エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
d.カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N、N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%の場合である。好ましいポリマーについては、特開2002−243907号、特開2002−372601号、特開2003−26732号、特開2003−222702号、特開2003−294911号、特開2003−329804号、特開2004−4444、特開2004−45462号に記載のものを挙げることができる。
本発明の含フッ素ポリマーには防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが例えば特開平6−93100号、特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法、特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平11−189621号の実施例1、2、及び3のポリマー、又は特開平2−251555号の共重合体A−2及びA−3を挙げることができる。これらのポリシロキサン成分はポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
本発明に好ましく用いることのできるポリマーの好ましい分子量は、質量平均分子量が5000以上、好ましくは10000〜500000、最も好ましくは15000〜200000である。平均分子量の異なるポリマーを併用することで塗膜面状の改良や耐傷性の改良を行うこともできる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号公報および特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、前記(B)含フッ素多官能モノマー、および(C)少なくとも1種の非含フッ素多官能モノマーを挙げることができる。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
本発明では、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分は特に限定されないが、前記(A)成分を35〜70重量%、(B)成分を5〜50重量%、(C)成分を5〜40重量%部含有する塗布組成物を塗設してなる低屈折率層を有することが好ましい。
前記(A)成分は40〜65重量%含有することがより好ましく、40〜55重量%含有することがさらに好ましい。
前記(B)成分は10〜40重量%含有することがより好ましい。
前記(C)成分は5〜30質量%含有することが好ましく、5〜20質量%含有することがより好ましい。(C)成分は含有量が多すぎると低屈折率層の屈折率が高くなることから好ましくなく、少なすぎると耐擦傷性が悪化する傾向にある。
本発明では、前記(A)シリカ微粒子、(B)重合性基を少なくとも二つ有する含フッ素多官能モノマー、(C)非含フッ素多官能モノマー(以下、これらをそれぞれ(A)成分、(B)成分、(C)成分という場合もある)の含有割合は特に限定されないが、(A)成分を35〜70重量%、(B)成分を5〜50重量%、(C)成分を5〜40重量%部含有する塗布組成物を塗設してなる低屈折率層を有することが好ましい。
前記(A)成分は40〜65重量%含有することがより好ましく、40〜60重量%含有することがさらに好ましい。
前記(B)成分は10〜40重量%含有することがより好ましい。
前記(C)成分は低屈折率層の屈折率と耐擦傷性の観点から5〜30重量%含有することが好ましく、5〜20重量%含有することがより好ましい。
(光学フィルムの層構成)
本発明の光学フィルムは、一般に、最も単純な構成では、透明支持体上に防眩層と低屈折率層のみを塗設した構成である。さらに、防塵性を付与するために帯電防止層を組み合わせて構成することも好ましい。
本発明の光学フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において、(帯電防止層)と表記したものは、その他の機能を有する層が帯電防止層の機能も合わせ持つ構成である。帯電防止層に帯電防止以外の機能を持たせることで、形成する層の数を減らすことができるため、該構成は生産性が向上し好ましい。
・支持体/防眩層(ハードコート層)/低屈折率層
・支持体/防眩層(帯電防止層)/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/防眩層(帯電防止層)/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層(帯電防止層)/防眩層/低屈折率層
光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。
〔透明支持体〕
本発明の光学フィルムの透明支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
<セルロースアシレートフィルム>
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。又、透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度とする。
本発明ではセルロースアシレートフィルムに、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6位の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム>
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性および耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
〔防眩層〕
防眩層は、表面散乱による防眩性を光学フィルムに付与するために設けられる層である。
本発明においては、防眩層がフィルムの対擦傷性を向上するためのハードコート性や帯電防止性を有することが好ましい。
防眩性を付与する方法としては、特開2005−195819号記載のように複数の樹脂の混合溶液から溶媒が蒸発する過程で相分離することを利用して表面凹凸を形成する方法、などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
防眩層の膜厚は、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。前記範囲内とすることで、ハードコート性、カール、脆性を満足することができる。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)はギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の観点から、0.09〜0.40μmの範囲が好ましい。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
[相分離]
防眩層は、複数の樹脂のスピノーダル分解により塗膜の表面に凹凸を形成する手法を用いて形成することができる。また、特に相分離した相の屈折率に差を与えることで、良好な防眩性を付与することが可能となる。スピノーダル分解により作成される防眩層は、互いに屈折率の異なる複数の樹脂で構成され、通常、使用雰囲気(特に、約10〜30℃程度の室温下)において、少なくとも共連続相構造を有する相分離構造を形成している。そして、前記共連続相構造は、複数の樹脂を含む液相(常温で液相、例えば、混合液又は溶液)からのスピノーダル分解により形成されている。前記共連続相構造は、通常、複数の樹脂を含み、かつ常温で液相を形成する組成物(例えば、混合液又は溶液)を用い、溶媒の蒸発を経たスピノーダル分解により形成されている。このような光散乱層は、液相から形成されるため、均一で微細な共連続相構造を有している。このような防眩性が付与された光学フィルムを用いると、入射光が実質的に等方的に散乱し、かつ透過散乱光に指向性を付与できる。そのため、高い光散乱性と指向性とを両立できる。
光散乱性を高めるため、複数の樹脂は、屈折率の差が、例えば、0.01〜0.2程度、好ましくは0.1〜0.15程度となるように組み合わせて使用できる。屈折率の差が0.01未満では透過散乱光の強度が低下し、屈折率の差が0.2より大きいと透過散乱光に高い指向性を付与できない。
また、光散乱性を付与することを目的として、複数の樹脂中に透光性粒子を併用することもできる。透光性粒子は、用いる樹脂と透光性粒子との屈折率の差が、例えば、0.01〜0.2程度、好ましくは0.1〜0.15程度となるように組み合わせて使用できる。屈折率の差が0.01未満では透過散乱光の強度が低下し、屈折率の差が0.2より大きいと透過散乱光に高い指向性を付与できない。
透光性粒子としては、以下の粒子があげられる。
例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。透光性粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに光学フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、光学フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、バインダーの屈折率と異なる透光性粒子を併用することにより大きく改善することができる。
上記透光性粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mとなるように防眩層に含有される。
複数の樹脂は、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などから適当に組み合わせて選択できる。
好ましい樹脂には、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが含まれる。複数の樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数の樹脂を溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。
これらの複数の樹脂は適当に組み合わせて使用できる。例えば、複数の樹脂の組合せにおいて、少なくとも1つの樹脂を、セルロース誘導体、特にセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2-4アルキルカルボン酸エステル類)とし、他の樹脂と組み合わせてもよい。
樹脂のガラス転移温度は、例えば、−100℃〜250℃、好ましくは−50〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、シートの強度や剛性の点から、構成樹脂のうち少なくとも1つの樹脂のガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。樹脂の重量平均分子量は、例えば、1,000,000以下(10,000〜1,000,000程度)、好ましくは10,000〜700,000程度の範囲から選択できる。
本発明では複数の樹脂を含む液相から溶媒を蒸発させてスピノーダル分解する湿式法を採用するため、原理的には複数の樹脂の相溶性の如何にかかわらず、実質的に等方性の共連続相構造を有する光散乱層を形成できる。そのため、互いに相溶性の複数の樹脂を組み合わせて構成してもよいが、通常、スピノーダル分解により相分離構造を容易に制御し、効率よく共連続相構造を形成するため、非相溶性(相分離性)の複数の樹脂を組み合わせる場合が多い。
複数の樹脂は、第1の樹脂と第2の樹脂との組み合わせにより構成でき、第1の樹脂及び第2の樹脂は、それぞれ単一の樹脂で構成してもよく複数の樹脂で構成してもよい。第1の樹脂と第2の樹脂との組み合わせは特に制限されない。例えば、第1の樹脂がセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、第2の樹脂は、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2-4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。
第1の樹脂と第2の樹脂との割合は、例えば、前者/後者=10/90〜90/10(重量比)程度、好ましくは20/80〜80/20(重量比)程度、さらに好ましくは30/70〜70/30(重量比)程度、特に40/60〜60/40(重量比)程度である。一方の樹脂の割合が多すぎると、分離した相間の体積比が偏るため、散乱光の強度が低下する。なお、3以上の複数の樹脂でシートを形成する場合、各樹脂の含有量は、通常、1〜90重量%(例えば、1〜70重量%、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜70重量%)程度の範囲から選択できる。
本発明の光学フィルムを構成する防眩層は、少なくとも共連続相構造を有しているのが好ましい。共連続相構造とは、共連続構造や三次元的に連続又は繋がった構造と称される場合があり、少なくとも2種の構成樹脂相が連続している構造(例えば、網目構造)を意味する。前記光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有していればよく、共連続相構造と液滴相構造(独立又は孤立した相構造)とが混在した構造を有していてもよい。なお、スピノーダル分解において、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、さらに相分離を進行させると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状などの独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造、すなわち、上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造も形成できる。本発明では、上記中間的構造も共連続相構造という。なお、相分離構造が共連続相構造と液滴構造との混在構造である場合、液滴相(独立樹脂相)の割合は、例えば、30%以下(体積比)、好ましくは10%以下(体積比)であってもよい。共連続相構造の形状は特に制限されず、ネットワーク状、特にランダムなネットワーク状であってもよい。
前記共連続相構造は、通常、層又はシート面内において異方性が低減されており、実質的に等方性である。なお、等方性とは、シート面内のどの方向に対しても共連続相構造の平均相間距離が実質的に等しいことを意味する。
共連続相構造は、通常、相間距離(同一相間の距離)に規則性を有する。そのため、シートに入射した光はブラッグ反射により透過散乱光が特定方向に指向する。従って、反射型液晶表示装置に装着しても、透過した散乱光を一定の方向に指向させることができ、表示画面を高度に明るくすることができ、従来の粒子分散型の透過型光散乱シートでは解決できなかった問題点、すなわち、パネルへの光源(例えば、蛍光灯など)の映りを回避できる。
光学フィルムにおいて共連続相の平均相間距離は、例えば、0.5〜20μm(例えば、1〜20μm)、好ましくは1〜15μm(例えば、1〜10μm)程度である。平均相間距離が小さすぎると、高い散乱光強度を得ることが困難であり、平均相間距離が大きすぎると、透過散乱光の指向性が低下する。
なお、共連続層の平均相間距離は、光散乱層又は光散乱シートの顕微鏡写真(透過型顕微鏡、位相差顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡など)から算出することができる。また、後述する散乱光の指向性の評価法と同様の方法により、散乱光強度が極大になる散乱角度θを測定し、下記のブラッグ反射条件の式より共連続相の平均相間距離dを算出してもよい。
2d・sin(θ/2)=λ
(式中、dは共連続相の平均相間距離、θは散乱角度、λは光の波長を示す)
本発明においては、上述の低屈折率層との関係で、下記の組成の塗布組成物を塗設して形成された防眩層が特に好ましく用いられる。
[ハードコート層]
本発明の光学フィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、防眩層に加えてハードコート層を設けることができる。
ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.52〜1.90であり、更に好ましくは1.55〜1.80である。本発明では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層あるので、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜10μm、最も好ましくは3μm〜7μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーまたは無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマーおよび/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.40であることがより好ましく、1.30〜1.37であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、30〜500nmであることが好ましく、70〜500nmであることがさらに好ましい。導電性付与のためには、低屈折率層を130〜500nmの厚みにすることが好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
〔帯電防止層、導電性層〕
本発明においては、帯電防止層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法、ポリチオフェンやポリアニリンのような導電性の高分子を含有させる等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層は、支持体に直接又は支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜10Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明の帯電防止層は、強度が優れており、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
(薬品処理)
薬品処理に用いられる薬品としては、酸、アルカリ、およびメタノール、エタノール、トルエンなどの溶剤等が挙げられるが、好ましくはアルカリによる処理が用いられる。本発明の光学フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の光学フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の光学フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に含フッ素ポリマーを主体とする最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。
鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と光学フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止膜面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
(1)透明支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該光学フィルムの光学フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
本発明において、以下に述べる条件を標準の鹸化条件とするが、偏光板製造工程において一般的に連続処理で鹸化され偏光板に加工された状態の偏光板も本発明の「鹸化後の光学フィルムを有する偏光板」と定義する。
鹸化標準条件:光学フィルムを以下の工程で処理・乾燥したものとする。
アルカリ浴:1.5mol/dm水酸化ナトリウム水溶液、55℃で120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
本発明の光学フィルムの動摩擦係数は0.03〜0.40であること好ましく、より好ましくは0.03〜0.35以下であり、さらには0.03〜0.30であることが最も好ましい。
本発明の光学フィルムは、鏡面反射率2.0%以下とするのが、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため好ましい。鏡面反射率は1.4%以下が特に好ましい。
本発明の光学フィルムは、画素数80〜200の高精細な光学フィルムとして特に有用である。
次に、第2発明について説明する。なお、以下の説明においては、第1発明と異なる点を中心に説明する。特に説明しない点については前述の第1発明における説明が適宜適用される。
本発明の第2発明の光学フィルムは、透明支持体上に少なくとも1層の防眩層と低屈折率層を有する光学フィルムであって、該防眩層が複数の樹脂からなる相分離構造を有してなり、該低屈折率層が(A)シリカ微粒子を低屈折率形成用の塗布組成物中の全固形分に対して35〜70質量%含有する塗布組成物を塗設してなり、該シリカ微粒子がオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物によって表面処理されていることを特徴とする。
すなわち、本発明の第2発明の光学フィルムにおいては、低屈折率層におけるシリカ微粒子がオルガノシランの加水分解物などにより表面処理されていることが必須であり、表面被覆率は必須の要件ではない。この点を除いて、上述の第1発明と同じである。
次に本発明の偏光板について説明する。
本発明の偏光板は、偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、本発明の光学フィルムである偏光板である。
本発明の光学フィルム又は偏光板は、特に用途は限定されないが反射防止フィルムとして好適に利用できる。反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために使用できる。
本発明の画像表示装置(好ましくは液晶表示装置)は、本発明の光学フィルム又は偏光板を有する。本発明の光学フィルム又は偏光板はディスプレイの表面(表示画面の視認側)に配置されることが好ましい。
(光学フィルムの各種評価)
まず、以下の実施例における評価方法について説明する。
(スチールウール耐傷性評価)
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とした。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定。
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
(動摩擦係数測定)
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。
(鏡面反射率)
鏡面反射率の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(内部に空孔を有する粒子の調製)
(分散液B−1の調製)
特開2002−79616の調製例4から調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。最終ステップで水分散液状態からメタノールに溶媒置換し、20%シリカ分散液とした。平均粒子径45nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.30の粒子が得られた。これを分散液(A−1)とする。
分散液(A−1)の500部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。総液量がほぼ一定になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換した。最終的に固形分が20%になるように調節して分散液B−1を調製した。
(光学フィルムの作製)
(低屈折率層用塗布液(Ln−1〜Ln−19)の調製)
各成分を表1のように混合し、MEKに溶解して固形分5%の低屈折率層用塗布液を作製した。
Figure 2008242314
なお、上記表中における略号は以下の通りである。
「P−1」:特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(重量平均分子量約50000)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
M−8030:アロニックスM−8030、東亜合成(株)製
UN−3320HC:アートレジンUN−3320HC、根上工業(株)製
Irg.127:イルガキュア127、重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)
Irg.907:イルガキュア907、重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)
Irg.184:イルガキュア184、重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)
I−1:重合開始剤の例示化合物7
I−2:重合開始剤の例示化合物22
X−22、X−31:特開2006−28409号公報に記載の含フッ素多官能アクリレート
X−33:含フッ素多官能モノマーの例示化合物
X−35:含フッ素多官能モノマーの例示化合物
RMS−033:メタクリロキシ変性シリコーン(Gelest(株)製)
(ゾル液aの調製)
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液aを120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
また1H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の一般式で表される構造であった。
Figure 2008242314
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、本シランカップリング剤ゾルは直鎖状構造部分が大部分であることが分かった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
(1)防眩層用塗布液の調製
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防眩層用塗布液1の組成
───────────────────────────────
CAP482−20 2.4g
サイクロマーP 13.4g
DPHA 16.3g
イルガキュア184 1.2g
MEK 51・0g
ブタノール 14.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 3.5g
───────────────────────────────
防眩層用塗布液2の組成
───────────────────────────────
PET−30 40.0g
DPHA 10.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 2.0g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.0g
FP−13 0.06g
ゾル液a 11.0g
トルエン 38.5g
───────────────────────────────
上記塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液1〜2を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・イルガキュア184:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・FP−13:フッ素系表面改質剤
Figure 2008242314
・CAP482−20:酢酸プロピオン酸セルロースエステル[イーストマンケミカル社製]
・サイクロマーP:反応性オリゴマー[ダイセル・ユーシービー(UCB)(株)製]
(防眩層101の作製)
トリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、防眩層用塗布液1を直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、70℃で180秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6.0μmの防眩性を有する防眩層を形成し、巻き取り防眩層101を作製した。
(防眩層102の塗設)
トリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、防眩層用塗布液2を直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ9.0μmの防眩性を有する防眩層を形成し、巻き取り防眩層102を作製した。
(光学フィルム試料1の作製)
防眩層101の上に、上記低屈折率層用塗布液Ln−1を用い、低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して、マイクログラビア塗工方式で光学フィルム試料1を作製した。
硬化条件
乾燥:80℃−120秒
(2)UV硬化:60℃−1分、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度120mW/cm2、照射量500mJ/cm2の照射量とした。
(光学フィルム試料2〜19の作製)
光学フィルム試料1の作製において、低屈折率層用塗布液(Ln−1)を用いる代わりに、(Ln−2)〜(Ln−19)を用いること以外は光学フィルム試料1と同様にして光学フィルム2〜19を作製した。
(光学フィルム試料20〜24の作製)
光学フィルム試料1の作製において、防眩層101の代わりに防眩層102を、低屈折率層用塗布液(Ln−1)を用いる代わりに、(Ln−1)、(Ln−3)、(Ln−17)、(Ln−18)、(Ln−19)を用いること以外は光学フィルム試料1と同様にして光学フィルム20〜24を作製した。
(光学フィルムの鹸化処理)
得られた光学フィルムを以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm水酸化ナトリウム水溶液、55℃で120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
(光学フィルムの評価)
上記の鹸化済みの光学フィルムを用いて以下の評価を行った。
(評価1)ハジキの有無
試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、低屈折率層のハジキを以下の基準で評価した。
A:注意深く見ても、ハジキが全く見えない。
B:注意深く見ると、僅かにハジキが見える。
C:一目見ただけでハジキが視認できる。
(評価2)シリカの表面被覆率評価
前記方法で低屈折率層におけるシリカの表面被覆率を評価した。
(評価3)動摩擦係数の測定
本文記載の方法により動摩擦係数の測定を行った。
(評価4)スチールウール耐傷性評価
本文記載の方法により試験し、こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。荷重500g/cm、回数は10往復とした。
A :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
B :非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
C :弱い傷が見える。
D :中程度の傷が見える。
E :一目見ただけで分かる傷がある。
(評価5)鏡面反射率の測定
本文記載の方法により450〜650nmの平均反射率を測定した。偏光板に加工されている試料は、偏光板形態のものをそのまま用い、フィルムそのものや偏光板を使用しない形態の表示装置の場合には、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
Figure 2008242314
上記表2に示す結果より、本発明で得られた複数の樹脂からなる相分離構造を有する防眩層上に低屈折率層を塗設した光学フィルムは膜表面のシリカの表面被覆率を0%以上40%未満にすることにより塗布後のハジキが無く均一で、かつ薬品処理後の耐擦傷性が良好な塗膜が得られることがわかった。
本発明の光学フィルムの断面の模式図である。 本発明の光学フィルムを上から見た場合の模式図である。
符号の説明
1 光学フィルム
2 透明支持体
3 防眩層
4 低屈折率層
5 シリカ微粒子

Claims (11)

  1. 透明支持体上に少なくとも1層の防眩層と低屈折率層とを有する光学フィルムであって、該防眩層が複数の樹脂からなる相分離構造を有してなり、該低屈折率層が(A)シリカ微粒子を含有する塗布組成物を塗設してなり、該低屈折率層におけるシリカ微粒子の表面被覆率が0%以上40%未満である光学フィルム。
  2. 前記シリカ微粒子がオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物によって表面処理されている請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記シリカ微粒子の含有率が、低屈折率層形成用の前記塗布組成物中の全固形分に対して35〜70質量%である請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 透明支持体上に少なくとも1層の防眩層と低屈折率層を有する光学フィルムであって、該防眩層が複数の樹脂からなる相分離構造を有してなり、該低屈折率層が(A)シリカ微粒子を低屈折率層形成用の塗布組成物中の全固形分に対して35〜70質量%含有する塗布組成物を塗設してなり、該シリカ微粒子がオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物によって表面処理されている光学フィルム。
  5. 前記塗布組成物が、さらに(B)重合性基を少なくとも二つ有する含フッ素多官能モノマーを含有し、かつ該含フッ素多官能モノマーのフッ素含有率が20.0質量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
  6. 前記塗布組成物が、さらに(C)少なくとも1種の非含フッ素多官能モノマーを含有する請求項5に記載の光学フィルム。
  7. 前記シリカ微粒子が、内部に空孔を有する粒子を有する請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
  8. 前記シリカ微粒子が、粒径が30nm以上100nm以下である粒子を含む請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
  9. 前記塗布組成物が、少なくとも一種のフッ素系化合物、及び/又は少なくとも一種のポリシロキサン系化合物を含有し、動摩擦係数が0.03以上0.40以下である請求項1〜7に記載の光学フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の光学フィルムが、偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に用いられている偏光板。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の光学フィルム又は請求項10に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられている画像表示装置。
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