JP2005309392A - 反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 Download PDF

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裕一 福重
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Abstract

【課題】 十分な反射性能を有しながら耐擦傷性に優れた反射防止フィルムの製造方法を提供すること。並びに該製造方法によって得られた反射防止フィルムを提供すること。さらには、該反射防止フィルムを具備した偏光板及び画像表示装置提供すること。
【課題を解決する手段】 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上の少なくとも一層を下記(1)および(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程
(2)大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射することにより、該塗布層を硬化する工程。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低反射率で耐擦傷性に優れた反射防止フィルムの製造方法、および前記製造方法により得られる反射防止フィルムに関する。さらには、前記反射防止フィルムを具備する、偏光板および画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する様にディスプレイの最表面に配置される。
このような反射防止フィルムは、最表面に適切な膜厚の低屈折率層、場合により支持体(基材)との間に適宜高屈折率層、中屈折率層、ハードコート層などを形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。また反射防止フィルムはディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性が要求される。厚さ100nm前後の薄膜において高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、および下層への密着性が必要である。
材料の屈折率を下げるには、フッ素原子を導入する、密度を下げる(空隙を導入する)という手段があるがいずれも皮膜強度および密着性が損なわれ耐擦傷性が低下する方向であり、低い屈折率と高い耐擦傷性の両立は困難な課題であった。
特許文献1〜3には、含フッ素ポリマー中にポリシロキサン構造を導入することにより皮膜表面の摩擦係数を下げ、耐擦傷性を改良する手段が記載されている。該手段は耐擦傷性改良に対してある程度有効であるが、本質的な皮膜強度および界面密着性が不足している皮膜に対して該手法のみでは十分な耐擦傷性が得られなかった。
一方、特許文献4には低酸素濃度で光硬化樹脂を硬化させることで硬度があがることが記載されている。しかしながら反射防止フィルムをウェッブで効率よく製造するためには、窒素置換できる濃度に限界があり、満足する硬度をえることが出来なかった。
特許文献5〜10には、窒素置換するための具体的な手段が記載されているが、低屈折率層のような薄膜を十分に硬化させるまで酸素濃度を下げるためには、多量の窒素が必要であり、製造コストが上がってしまうという問題があった。
また特許文献11には熱ロール表面に巻きつけて電離放射線を照射する方法が記載されているが、これも低屈折率層のような特殊な薄膜を十分に硬化させるには不十分であった。
特開平11−189621号公報 特開平11−228631号公報 特開2000−313709号公報 特開2002−156508号公報 特開平11−268240号公報 特開昭60−90762号公報 特開昭59−112870号公報 特開平4−301456号公報 特開平3−67697号公報 特開2003−300215号公報 特公平7−51641号公報
本発明の目的は、十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性の向上した反射防止フィルムの製造方法、及び該方法により得られる反射防止フィルムを提供することである。さらに、そのような反射フィルムを具備した偏光板及び画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下の反射防止フィルムの製造方法、該方法により得られた反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置により本発明の上記目的が達成されることを見出した。
[1]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を下記(1)および(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射することにより、該塗布層を硬化する工程。
[2]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
[3]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上のに積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
[4]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
[5]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
[6]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の層形成方法が、電離放射線照射による塗布層の硬化工程に連続して、該硬化後のフィルムを酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら搬送する工程を含むことを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
[7]前記反射防止層が膜厚200nm以下の低屈折率層を有し、該低屈折率層が上記[1]〜[6]のいずれかに記載の層形成方法で形成されることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
[8]前記電離放射線が紫外線であることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
[9]前記電離放射線の照射時および/または照射前に行なわれる加熱、および/または電離放射線照射後の加熱を、膜面温度が25℃以上170℃以下となるように行なうことを特徴とする上記[3]〜[8]のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
[10]前記電離放射線の照射時および/または照射前に行なわれる加熱、および/または電離放射線照射後の加熱を、加熱したロールにフィルムを接触させることによって行なうことを特徴とする上記[3]〜[9]のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
[11]前記電離放射線の照射時および/または照射前に行なわれる加熱、および/または電離放射線照射後の加熱を、加熱した窒素ガスを吹き付けることによって行なうことを特徴とする上記[3]〜[9]のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
[12]上記[1]〜[11]のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法において、前記搬送工程および/または電離放射線照射による硬化工程が各々窒素で置換された低酸素濃度ゾーンで行なわれ、かつ電離放射線照射による硬化工程を行なうゾーンの窒素をそれ以前の工程を行なうゾーンおよび/またはそれ以降の工程を行なうゾーンに排気することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
[13]上記[1]〜[12]のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とする反射防止フィルム。
[14]前記低屈折率層が、下記一般式1で表わされる含フッ素ポリマーを含有する塗布液から形成されたことを特徴とする上記[13]に記載の反射防止フィルム。
一般式1
Figure 2005309392
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。
[15]前記低屈折率層が中空シリカ微粒子を含有していることを特徴とする上記[13]または[14]に記載の反射防止フィルム。
[16]上記[13]〜[15]のいずれかに記載の反射防止フィルムを、偏光板における2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に有することを特徴とする偏光板。
[17]上記[13]〜[15]のいずれかに記載の反射防止フィルム、または上記[16]に記載の偏光板を、ディスプレイの最表面に有することを特徴とする画像表示装置。
本発明の反射防止フィルムの製造方法により、十分な反射防止能を有しながら耐擦傷性の向上した反射防止フィルムを提供することができる。
本発明により製造された反射防止フィルムあるいは偏光板を備えた画像表示装置は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高く、また耐擦傷性に優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
[反射防止フィルムの層構成]
本発明の反射防止フィルムは、透明な基材(以後、基材フィルムと称することもある)上に、必要に応じて後述のハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数及び層順等を考慮して積層された反射防止層を有する。反射防止フィルムの最も単純な構成は、基材上に低屈折率層のみを塗設したものである。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材またはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましい。また、本発明の反射防止フィルムは防眩層や帯電防止層等の機能性層を有していることも好ましい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい構成の例を下記に示す。
基材フィルム/低屈折率層、
基材フィルム/防眩層/低屈折率層、
基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層、
基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層。
本発明の反射防止フィルムは、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。高屈折率層は防眩性のない光拡散性層であってもよい。また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子または金属酸化物微粒子(例えば、SnO2、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布または大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
[皮膜の形成方法]
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、反射防止フィルムの透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記の層形成方法によって形成することを特徴とする。
以下、本発明にかかる第1〜5の層形成方法について詳細に説明する。
(第1の層形成方法)
下記(1)および(2)の工程を含む層形成方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射することにより、該塗布層を硬化する工程。
(第2の層形成方法)
下記(1)〜(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程
(第3の層形成方法)
下記(1)〜(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
(第4の層形成方法)
下記(1)〜(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
(第5の層形成方法)
下記(1)〜(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
特に最外層である低屈折率層がこれらの方法で形成されることが好ましい。
以下、第1〜5の層形成方法に関してまとめて説明する。
透明基材上の塗布層は、透明基材上に、形成しようとする層の塗布組成物(塗布液)を塗布し、これを乾燥させることにより形成される。塗布液の塗布方法は特に限定されるものではない。また、本発明の透明基材は、切り出したもの、及びウェブ状のいずれでもよいが、製造コスト上、ウェブ状のものが好ましい。
電離放射線を照射する工程は、皮膜硬度の観点から、酸素濃度が大気酸素濃度より低い環境、好ましくは3体積%以下、より好ましくは1体積%以下、更に好ましくは0.1体積%以下の雰囲気下で行なう。
上記電離放射線を照射する工程時は大気中の酸素濃度よりも低い酸素濃度であることが必要である。
上記2〜5の層形成方法では、搬送工程と連続して電離放射線照射による硬化工程を行なう。塗布層を塗設(塗布・乾燥)したフィルムに電離放射線を照射する工程の直前に、該フィルムを大気酸素濃度より低い低酸素濃度の雰囲気下(以下、照射前低酸素濃度ゾーンとも称する)で搬送することによって、塗膜表面および内部の酸素濃度を有効に低減することができ、硬化を促進することができる。
尚、上記の、搬送工程と連続して硬化工程を行なう態様とは、硬化工程を行なう低酸素濃度雰囲気下(以下、電離放射線照射ゾーンとも称する)に搬入されるフィルムを、電離放射線照射ゾーン進入直前に大気中の酸素濃度より低い低酸素濃度ゾーンを通過させる態様であり、例えば低酸素濃度に保たれた同一室内で、搬送工程および硬化工程を順に行なう態様も考えられる。
層形成方法2〜5では、透明基材上に塗布層を有するフィルムが、照射前低酸素濃度ゾーンを通過し、連続して電離放射線を照射する工程を有する態様であればよく、照射前低酸素濃度ゾーンにて乾燥工程や加熱工程が含まれていてもよい。
前記電離放射線照射前の搬送工程における酸素濃度の上限は、大気中の酸素濃度未満であれば良く、15体積%以下が好ましく、10体積%以下がより好ましく、5体積%以下が最も好ましい。
また、前記電離放射線照射前の搬送工程における酸素濃度の下限は、コスト性の観点から、電離放射線を照射する工程以上の酸素濃度であればよい。
上記層形成方法3〜5では電離放射線照射工程時および/または電離放射線照射前の搬送工程時に、膜面が25℃以上となるように加熱することを特徴とする。好ましくは膜面が25℃〜170℃、より好ましくは60℃〜170℃、更に好ましくは80℃〜130℃となるように加熱する。電離放射線照射前の搬送工程時に加熱することで、電離放射線照射時のスムースな加熱を促進できる。電離放射線照射時に加熱することで電離放射線で開始させた硬化反応が熱で加速し、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。25℃以上にすることで加熱の効果が得られやすく、170℃以下にすることで基材の変形といった問題の発生を避けることができる。なお、膜面とは硬化しようとする層の膜面近傍を指す。
また膜面が前記温度に保持される時間は、電離放射線照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。膜面温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を促進できない。また、逆に長すぎてもフィルムの光学性能が低下し、設備が大きくなるなどの製造上の問題も生じる。
加熱する方法には特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムを接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気を流して加熱する方法も利用できる。
上記1〜5の層形成方法では、電離放射線照射による硬化工程に連続して、硬化後のフィルムを更に酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上に加熱しながら搬送する工程を有していても良い。
硬化後の搬送工程時における酸素濃度は、より好ましくは3体積%以下、更に好ましくは1体積%以下である。加熱時の膜面温度、該膜面温度の保持時間、加熱方法等は、前記した硬化前の搬送工程と同様である。
電離放射線照射後にフィルムを加熱することにより、時間と共に生成してくる高分子膜中でも更に重合反応が進行しやすくなるという効果がある。
これらの層形成方法により、十分な反射防止性能を有しながら、耐擦傷性の向上した反射防止フィルムを製造することが可能である。
酸素濃度を低下させる手段としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の不活性気体で置換することが好ましく、窒素で置換(窒素パージ)することが特に好ましい。
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができる。本発明では紫外線による照射が好ましい。重合速度が早く設備をコンパクトにできる、選択できる化合物種が豊富でかつ低価格であることから紫外線硬化が好ましい。
紫外線の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等が利用できる。また電子線照射の場合は、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器から放出される50〜1000keVのエネルギーを有する電子線が用いられる。
[皮膜形成バインダー]
本発明において、皮膜形成組成物の主たる皮膜形成バインダー成分として、エチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが、皮膜強度、塗布液の安定性、塗膜の生産性、などの点で好ましい。主たる皮膜形成バインダー成分とは、無機粒子を除く皮膜形成成分のうち10質量%以上100質量%以下を占めるものをいう。好ましくは、20質量%以上100質量%以下、更に好ましくは30質量%以上95%以下である。
主たる皮膜形成バインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。更に、これらポリマーは架橋構造を有していることが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
さらに、高屈折率にする場合には、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4-ジビニルベンゼン、4-ビニル安息香酸-2-アクリロイルエチルエステル、1,4-ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。
上記モノマーは2種以上併用してもよい。尚、本明細書においては、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」は、それぞれ「アクリレート又はメタクリレート」、「アクリロイル又はメタクリロイル」、「アクリル酸又はメタクリル酸」を表す。
更に、高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4-メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4-メタクリロキシフェニル-4'-メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ-ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ-ジメチル-p-イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4'-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3'、4、4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。具体的には特開2000-80068号公報記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類の例にはS-トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(3-Br-4-ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-トリハロメチル-5-(p-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58-15503号公報のp14〜p30、特開昭55-77742号公報のp6〜p10、特公昭60-27673号公報のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60-239736号公報のp443〜p444のNo.1〜No.17、US-4701399明細書のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6−ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI-403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S,BP-100,BDMK,CTX,BMS,2-EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光ラジカル開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、有機アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
本発明においてはポリエーテルを主鎖として有するポリマーを使用することもでき、多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。光酸発生剤および熱酸発生剤としては、公知のものが使用できる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
[低屈折率層用材料]
低屈折率層は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分とする共重合体の硬化皮膜によって形成されるのが好ましい。該共重合体由来の成分は皮膜固形分の60質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることがより好ましく、80質量%以上を占めることが特に好ましい。低屈折率化と皮膜硬度の両立の観点から多官能(メタ)アクリレート等の硬化剤も相溶性を損なわない範囲の添加量で好ましく用いられる。
また特開平11−228631号記載の化合物も好ましく使用される。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは200nm以下であることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
以下に本発明の低屈性率層に好ましく用いられる共重合体について説明する。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR-2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
本発明の共重合体は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分として有するのが好ましい。これらの(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上するが屈折率も高くなる。含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位は5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p-ヒドロキシメチルスチレン、p-メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N-ジメチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N、N-ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明において下記一般式1で記載される含フッ素ポリマーが好ましく用いられる。
一般式1
Figure 2005309392
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH2) 2−O−**, *−(CH2) 2−NH−**, *−(CH2)4−O−**, *−(CH2)6−O−**, −(CH2) 2−O−(CH2) 2−O−**,*−CONH−(CH2)3−O−**, *−CH2CH(OH)CH2−O−**, *−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
ビニルモノマーの好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p-ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい態様として一般式2が挙げられる。
一般式2
Figure 2005309392
一般式2においてX、x、yは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式1又は2で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
以下に本発明で有用な共重合体の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005309392
Figure 2005309392
Figure 2005309392
Figure 2005309392
Figure 2005309392
本発明に用いられる共重合体は特開2004−45462号明細書に記載の方法により合成することができる。また、本発明に用いられる共重合体の合成は、上記以外の種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することによって行なうこともできる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、電離放射線を照射する方法等がある。
これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kPa、特に、1〜30kPa程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
本発明の反射防止フィルムにおいて、低屈折率層に好ましく用いることのできる無機粒子について説明する。
無機微粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましく、例えば、シリカまたは中空シリカの微粒子が挙げられる。
本発明では、低屈折率層の屈折率を低下させるために、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましい。該中空のシリカ微粒子は屈折率が1.15〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最も好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ微粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(VIII)で表される空隙率xは
(数式VIII)
x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ微粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.15未満の低屈折率の粒子は好ましくない。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611や特開2002−79616に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ微粒子の屈折率は特開2002−79616に記載の方法で算出することができる。
中空シリカ微粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
中空シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
中空シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。中空シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカ微粒子の表面積は、20〜300m2/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m2/g、最も好ましくは40〜90m2/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
本発明においては、中空シリカ微粒子と併用して空腔のないシリカ微粒子を用いることができる。空腔のないシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。
シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することもできる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
中空シリカ微粒子およびシリカ微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するシランカップリング剤による処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
中空シリカ微粒子およびシリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。半発明に好ましく用いることのできる表面処理剤および触媒の具体的化合物は、例えば、WO 2004/017105号に記載のオルガノシラン化合物および触媒を挙げることができる。
本発明においては、膜強度の向上の点から、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物(ゾル)を添加することが好ましい。ゾルの好ましい添加量は、無機酸化物粒子の2〜200質量%が好ましく、5〜100質量%が更に好ましく、最も好ましくは、10〜50質量%である。
本発明においては、防汚性向上の観点から、反射防止膜表面の表面自由エネルギーを下げることが好ましい。具体的には、含フッ素化合物やポリシロキサン構造を有する化合物を低屈折率層に使用することが好ましい。ポリシロキサン構造を有する添加剤としては、反応性基含有ポリシロキサン(例えばKF−100T、X−22−169AS、KF−102、X−22−3701IE、X−22−164B、X−22−5002、X−22−173B、X−22−174D、X−22−167B、X−22−161AS(以上商品名、信越化学工業(株)製)、AK−5、AK−30、AK−32(以上商品名、東亜合成(株)製)、サイラプレーンFM0725、サイラプレーンFM0721(以上商品名、チッソ(株)製)、DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221 (以上商品名、Gelest社製)、等)を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383の[表2]、[表3]に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。これらのポリシロキサンは低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
上記含フッ素ポリマーの重合は、前述の光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、上記含フッ素ポリマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、無機微粒子を含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明基材上に塗布後、電離放射線または熱による重合反応により硬化して、低屈折率層を形成することができる。
[ハードコート層]
ハードコート層は、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性を有する。また、表面散乱および内部散乱の少なくともいずれかの散乱による光拡散性とをフィルムに寄与する目的でも好ましく使用される。従って、ハードコート性を付与するための透光性樹脂、及び光拡散性を付与するための透光性粒子を含有することが好ましく、更に必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機微粒子を含有する。
ハードコート層の膜厚は、ハードコート性を付与する目的で、1〜10μmが好ましく、1.2〜6μmがより好ましい。膜厚が上記範囲であれば、ハードコート性が十分付与され、しかもカールや脆性が悪化して加工適性が低下することもない。
前記透光性樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
バインダーポリマーをより高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーを選択することもできる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリ
アクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4-ジビニルベンゼン、4-ビニル安息香酸-2-アクリロイルエチルエステル、1,4-ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。これらモノマーは2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、前述の低屈折率層に含まれる重合開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、前記ハードコート層は、上述のエチレン性不飽和モノマー等の透光性樹脂形成用のモノマー、電離放射線または熱によりラジカルを発生する開始剤、透光性粒子および必要に応じて無機微粒子を含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明基材上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
電離放射線または熱によりラジカルを発生する重合開始剤に加えて、前述の低屈折率層に含有してもよい光増感剤を用いてもよい。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、透光性粒子および無機微粒子を含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明基材上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化してハードコート層を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層のヘイズは、反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、光散乱機能を有さない場合は、ヘイズ値は低い程良く、具体的には10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、表面の反射率を抑える機能に加えて、散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、ヘイズ値は10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜80%であり、最も好ましくは20%〜70%である。
ハードコート層に用いられる透光性粒子は、防眩性又は光拡散性付与の目的で用いられるものであり、その平均粒径が0.5〜5μm、好ましくは1.0〜4.0μmである。
平均粒径が0.5μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字解像度の低下を引き起こしたり、表面凹凸が形成しにくくなるため防眩性が不足したりするため、好ましくない。一方、5μmを超えると、ハードコート層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールが大きくなる、素材コストが上昇してしまう、等の問題が生じる。
前記透光性粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、メタクリル粒子、架橋メタクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリルスチレン粒子、シリカ粒子が好ましい。
透光性粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに反射防止フィルムを貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与する透光性粒子より小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なる透光性粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、前記透光性粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つ透光性粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布とすることができる。
前記透光性粒子は、形成されたハードコート層中に、光散乱効果、像の解像度、表面の白濁及びギラツキ等を考慮して、ハードコート層全固形分中に好ましくは3〜30質量%含有されるように配合される。より好ましくは5〜20質量%である。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2である。
透光性粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
ハードコート層には、層の屈折率を高めるために、前記の透光性粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、及びアンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機微粒子が含有されることが好ましい。
また逆に、透光性粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率透光性粒子を用いたハードコート層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は上記の無機微粒子と同じである。
ハードコート層に用いられる無機微粒子の具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機微粒子は表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、微粒子表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機微粒子を用いる場合、その添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、このような無機微粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該微粒子が分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
また、ハードコート層にもオルガノシラン化合物、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物(ゾル)の少なくともいずれかを用いることができる。
低屈折率層以外の層へのゾル成分の添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。ハードコート層の場合には、前記オルガノシラン化合物またはそのゾル成分の添加量に対する制約が低屈折率層ほど厳しくないため、前記オルガノシラン化合物が好ましく用いられる。
透光性樹脂と透光性粒子との混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を前記範囲とするには、透光性樹脂及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また透光性樹脂と透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率-透光性樹脂の屈折率)は0.02〜0.2が好ましく、より好ましくは0.05〜0.15である。この差が上記範囲であると、内部散乱の効果が十分であり、ギラツキが発生せず、しかもフィルム表面が白濁することもない。
また、前記透光性樹脂の屈折率は、1.45〜2.00であるのが好ましく、1.48〜1.70であるのが更に好ましい。
ここで、透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
ハードコート層は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者をハードコート層形成用の塗布液中に含有する。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。
面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である
[防眩層]
次に、防眩層について以下に説明する。
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、好ましくはハードコート性を付与することのできる透光性樹脂、防眩性を付与するための透光性微粒子、および溶媒を必須成分として含有する。透光性樹脂、透光性微粒子は、前述ハードコートと同様のものを使用できる。
以下に本発明の反射防止フィルムの好適な構成例を図面を参照しながら説明する。ここで、図1は、防眩性を有する反射防止フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す防眩性反射防止フィルム1は、透明基材2と、透明基材2上に形成された防眩層3と、そして防眩層3上に形成された低屈折率層4とからなる。防眩層の上に低屈折率層を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
防眩層3は、透光性樹脂と透光性樹脂中に分散された透光性微粒子5とからなる。
上記構成の反射防止フィルムにおいて、各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
防眩層の屈折率>透明基材の屈折率>低屈折率層の屈折率
本発明においては、防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、本実施形態においては、1層で形成されたものを例示しているが、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。また、本実施形態のように透明基材上に直接設けてもよいが、帯電防止層や防湿層等の他の層を介して設けてもよい。
本発明反射防止フィルムに防眩層を設ける場合は、フィルムの表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5度の面が10%以上となるように設計するのが、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成されるので、好ましい。Raが0.08未満では充分な防眩性が得られず、0.30を超えるとギラツキ、外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。
また、C光源下でのCIE1976L***色空間における反射光の色味がa*値−2〜2、b*値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の比0.5〜0.99とするのが、反射光の色味がニュートラルとなるので、好ましい。またC光源下での透過光のb*値を0〜3とすると、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムに防眩性を付与する場合には、その光学特性を内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズと呼称する)が5%〜20%であることが好ましく、5%〜15%であることがより好ましい。内部ヘイズが5%未満とするには、使用できる素材の組合せが限定され、防眩性その他の特性値の合わせこみが困難となり、また、高コストとなる。内部散乱が20%を超えると、暗室コントラストが大幅に悪化してしまう。また、表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)が1%〜10%であることが好ましく、2%〜7%であることがより好ましく、更にくし幅0.5mmにおける透過像鮮明度5%〜30%とするのが、充分な防眩性と画像ボケ、暗室コントラスト低下の改善が両立されるので、好ましい。表面ヘイズが1%未満では防眩性が不足し、10%を超えると外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、鏡面反射率2.5%以下、透過率90%以上とするのが、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため、好ましい。
[高(中)屈折率層]
本発明の反射防止フィルムには、より良い反射防止能を付与するために、高屈折率層及び/又は中屈折率層を設けることが好ましい。本発明の反射防止フィルムにおける高屈折率層の屈折率は、1.60〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。屈折率は、添加する無機微粒子やバインダーの使用量などを調節することにより適宜調節できる。
高(中)屈折率層には、層の屈折率を高めるため、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機微粒子が含有されることが好ましい。
また、高(中)屈折率層に含有されるマット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた高(中)屈折率層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述のハードコート層における無機微粒子と同じである。
高(中)屈折率層に用いられる無機微粒子の具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機微粒子は表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、微粒子表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機微粒子の添加量は、必要な屈折率に合わせて調節するが、高屈折率層の場合、全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜70質量%である。
なお、このような微粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該微粒子が分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明に用いる高(中)屈折率層は、前記のようにして分散媒体中に無機微粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要な皮膜形成バインダー成分(前述のハードコート層で説明した二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー等)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層形成用の塗布液とし、透明基材上に高屈折率層形成用の塗布液を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤としては、前述の低屈折率層と同様のものが用いられる。
高(中)屈折率層には、前記の成分(無機微粒子、重合開始剤、光増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、防眩性付与粒子、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子、などを添加することもできる。
高(中)屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高(中)屈折率層を光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
[透明基材]
本発明の反射防止フィルムの透明基材としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、代表的には富士写真フイルム社製TAC-TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001-1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001-1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
[反射防止フィルムの製造方法]
<反射防止フィルムの塗布による形成>
透明基材上に積層される各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ダイコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)により、塗布により形成することができる。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
(塗布用分散媒)
塗布用分散媒としては、特に限定されない。単独でも2種以上を混合して使用してもよい。好ましい分散媒体は、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、オルトージクロルベンゼン等の塩化芳香族炭化水素類、モノクロルメタン等のメタン誘導体、モノクロルエタン等のエタン誘導体等を含む塩化脂肪族炭化水素類、メタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、エチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素類、脂肪族または芳香族炭化水素の混合物等が該当する。これら溶媒の中でもケトン類の単独あるいは2種以上の混合により作成される塗布用分散媒が特に好ましい。
(濾過)
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
ろ過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
<層形成方法>
本発明の反射防止フィルムの製造方法では、基材フィルム上に形成される層の少なくとも一層を、塗布層を形成した後、下記1〜5のいずれかの方法によって硬化形成することを特徴とする。
(第一の方法)
塗布層を有するフィルムに大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程を含む形成方法。
(第二の方法)
下記(2)および(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる形成方法。
(2)塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程
(第三の方法)
下記(2)および(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる形成方法。
(2)塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
(第四の方法)
下記(2)および(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる形成方法。
(2)塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
(第5の方法)
下記(2)および(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる形成方法。
(2)塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
上記1〜5の方法において、電離放射線照射による塗布層の硬化工程の後、更に、該硬化後のフィルムを酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上となるように加熱しながら搬送する工程を有していても良い。
本発明の反射防止フィルムを連続的に製造するために、ロール状の基材フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程(すなわち塗布層を形成する工程である)、塗膜(塗布層)を硬化する工程、硬化した層を有する基材フィルムを巻き取る工程が行われる。
ロール状の基材フィルムから基材フィルムがクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、基材フィルムに帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続き基材フィルム上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液が基材フィルム上に塗布され、塗布された基材フィルムは乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有する基材フィルムは乾燥室から放射線硬化室へ送り出され、放射線が照射されて塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、必要に応じて、放射線により硬化した層を有する基材フィルムは熱硬化部へ送られ、加熱されて硬化を完結させ、硬化が完結した層を有する基材フィルムは巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−放射線硬化部−熱硬化室を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能であるが、生産性の観点から各層の形成を連続的に行う事が好ましい。各層の塗布を連続的に行う装置の構成例を図2に示す。該装置はロール状の基材フィルムを連続的に送り出す工程10と、ロール状の基材フィルムを巻き取る工程20の間に製膜ユニット100,200、300、400を適宜必要な数だけ設置したものである。図2で示される装置は4層を巻き取ることなく連続的に塗布する際の構成の一例であるが、層構成に合わせて製膜ユニット数を変化させることはもちろん可能である。製膜ユニット100は塗布液を塗布する工程101、塗膜を乾燥する工程102、塗膜を硬化する工程103から構成されている。例えば、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層および低屈折率層を有する反射防止フィルムを製造する場合には、製膜ユニットが3つ設置された装置を用いて、前記ハードコート層を塗設したロール状の基材フィルムを連続的に送り出し、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を各製膜ユニットで順次塗設した後に巻き取る事がより好ましく、製膜ユニットが4つ設置された、図2に示す装置を用いて、ロール状の基材フィルムを連続的に送り出し、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を各製膜ユニットで順次塗設した後に巻き取る事が更に好ましい。
本発明の反射防止フィルムにおいては、少なくとも高屈折率層と低屈折率層を積層することが好ましく、該積層構造では、ゴミ、ほこり等の異物が存在したとき、輝点欠陥が目立ちやすい。本発明における輝点欠陥とは、前記したように目視により、塗膜上の反射で見える欠陥のことで、塗布後の反射防止フィルムの裏面を黒塗りする等の操作により目視で検出できる。目視により見える輝点欠陥は、一般的に50μm以上である。輝点欠陥が多いと製造時の得率が低下し、大面積の反射防止フィルムを製造することができない。
本発明の反射防止フィルムは、輝点欠陥の数が1平方メートル当たり20個以下、好ましくは10個以下、さらに好ましくは5個以下、特に好ましくは1個以下とする。
輝点欠陥の少ない反射防止フィルムを作成するためには、高屈折率層用塗布物中の高屈折率超微粒子分散度を精密に制御すること、および塗布液の精密濾過操作が挙げられる。
と同時に、反射防止層を形成する各層は上記の塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行なう方法、特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、基材フィルム上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後の基材フィルムの帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
本発明の上記製造方法では、電離放射線を照射する工程、電離放射線を照射する前の搬送工程、さらに必要に応じて行なわれる電離線放射線照射後の加熱工程の各工程は、それぞれ互いに仕切られていても、連続していてもよい、所望の酸素濃度に制御された低酸素濃度雰囲気下(低酸素濃度濃度ゾーン)においてなされればよい。製造コスト低減の観点から、電離放射線照射ゾーンの酸素濃度を下げるために使用した不活性気体を、それ以前の工程が行なわれる低酸素濃度ゾーン(照射前低酸素濃度ゾーン)および/またはそれ以降の工程が行なわれる低酸素濃度ゾーン(照射後低酸素濃度ゾーン)に排気し、不活性気体を有効に利用することが好ましい。
なお、上記工程に限らず、いずれの工程においても低酸素濃度雰囲気下で行なってもよい。また、電離放射線照射ゾーンを複数に分けて電離放射線の照射を行なう場合には、各ゾーンの間に低酸素濃度ゾーンを設けても良い。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002-86554号公報の段落[0020]〜[0030]に詳しい記載がある。
[鹸化処理]
本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。また、本発明の反射防止フィルムと偏光板と組み合わせて用いてもよい。透明基材がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明基材に含フッ素ポリマーを主体とする最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明基材の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明基材表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の(1)及び(2)の2つの手段から選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止層面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて反射防止層が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
(1)透明基材上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明基材上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの反射防止フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
[画像表示装置]
本発明の反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2-176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶セル用には、2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムを本発明の反射防止フィルムと組み合わせて作成した偏光板が好ましく用いられる。2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムの作製方法については、例えば特開2001-249223号公報、特開2003-170492号公報などに記載の方法を用いることが好ましい。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001-100043号公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを偏光膜の裏表2枚の保護フィルムの内の本発明の反射防止フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
[実施例1]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによっていささかも限定して解釈されるものではない。
尚、本実施例において、「部」とは「質量部」を示すものである。
(ハードコート層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295(大阪有機化学(株)製)750.0重量部に、質量平均分子量15000のポリグリシジルメタクリレート270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50.0質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。ポリグリシジルメタクリレートはメチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレートを溶解させ、熱重合開始剤(V-65(和光純薬工業(株)製)を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得た。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT-129C、石原産業(株)製、TiO2:Co34:Al23:ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5重量比)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤 41.1質量部、およびシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、重量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
分散剤
Figure 2005309392
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液99.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)68.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)3.6質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.2質量部、メチルエチルケトン279.6質量部およびシクロヘキサノン1049.0質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液469.8質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)40.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)3.3質量部、光増感剤(カヤキュア-DETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン526.2質量部、およびシクロヘキサノン459.6質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
本発明に係る本文記載の共重合体 P−3をメチルイソブチルケトン(MIBK)に7質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)を固形分に対して3%、前記光ラジカル発生剤イルガキュアOXE01(商品名)を固形分に対して5質量%添加し、低屈折率層用塗布液を調製した。
(反射防止フィルム 101の作製)
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フイルム(株)製)上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布した。
中屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の中屈折率層は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の高屈折率層は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
低屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とした。また、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の低屈折率層は屈折率1.440、膜厚85nmであった。このようにして、反射防止フィルム 101を作製した。
低屈折率層の硬化条件のみを表1の条件に変え、試料102〜112を作製した。紫外線照射後に加熱する場合には、照射後のフィルムを温水又は加圧蒸気を通した回転金属ロールに接触させて行った。なお、加熱を行なっていない試料(例えば試料101)におけるフィルム温度は、紫外線照射時の反応熱によるものである。
Figure 2005309392
得られたフィルムに対して、以下の項目の評価を行った。その結果を表2に示す。
[鏡面反射率]
分光硬度計V-550(日本分光(株)製)にアダプターARV-474を装着して380〜780nmの波長領域において入射角5度における出射角-5度の鏡面反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
[鉛筆硬度]
JIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定するH〜5Hの試験用鉛筆を用いて、500gの荷重にて以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。
n=5の評価において傷なし〜傷1つ :OK
n=5の評価において傷が3つ以上 :NG
[スチールウール擦り耐性]
#0000のスチールウールに1.96N/cm2の荷重をかけ30往復したときの傷の状態を観察して、以下の5段階で評価した。
◎:傷が全くつかなかったもの
○:ほとんど見えない傷が少しついたもの
△:明確に見える傷がついたもの
×:明確に見える傷が顕著についたもの
××:膜の剥離が生じたもの
Figure 2005309392
本発明の形成条件により、本発明の反射防止フィルムは十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性にも優れていることがわかる。また後加熱の時間は0.1秒以上が好ましい。
また本発明では、紫外線照射時の酸素濃度、照射量が振れても安定な性能を確保できる。
[実施例2]
実施例1の試料102、103、104、105、108、109の作製方法において、紫外線照射ゾーン前に窒素置換したゾーンを通過させることのみ異なる試料113〜118を作製し、同様の評価を行った。なお、試料119及び120は、実施例1における試料105の作製方法において、紫外線照射ゾーン前に窒素置換したゾーンを通過させることのみ異なるものである。
紫外線照射後に加熱する場合には、照射後のフィルムを温水又は加圧蒸気を通した回転金属ロールに接触させて行った。
Figure 2005309392
結果を表4に示す。紫外線照射前に低酸素濃度の窒素置換ゾーンを通過させることにより、耐擦傷性の向上が認められる。紫外線照射後の加熱された低酸素濃度の窒素置換ゾーンを通過させる工程と組み合わせることで硬化は顕著になる。
また、紫外線照射前の低酸素濃度の窒素置換ゾーンを加熱することによっても耐擦傷性の向上が認められた。
Figure 2005309392
[実施例3]
実施例1〜2において低屈折率層で用いた含フッ素ポリマーを本文記載のP−1、P−2にそれぞれ変え(等質量置き換え)同様の評価を行った結果、実施例1〜2と同様の効果が得られた。
[実施例4]
(ハードコート層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
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ハードコート層用塗布液組成
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デソライトZ7404 (ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:固形分濃度60wt%、ジルコニア微粒子含量70wt%対固形分、平均粒子径約20nm、溶剤組成MIBK:MEK=9:1、開始剤含む、JSR(株)製)
100質量部
DPHA (UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製) 31質量部
KBM−5103 (シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)
10質量部
KE−P150 (1.5μmシリカ粒子:日本触媒(株)製)
8.9質量部
MXS−300 (3μm架橋PMMA粒子:綜研化学(株)製)
3.4質量部
MEK 29質量部
MIBK 13質量部
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(低屈折率層用塗布液の調製)
実施例1と同様の方法により低屈折率層用塗布液を調製した。
(反射防止フィルム401の作製)
透明基材としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、上記のハードコート層用塗布液を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後、ハードコート層の厚さが3.6μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
上記ハードコート層を塗設した透明基材を再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を線数200本/インチ、深度30μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、90℃で30秒乾燥の後、酸素濃度0.1体積%雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層を形成し、巻き取った。硬化後、低屈折率層の厚さが100nmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。紫外線照射後に加熱する場合には、照射後のフィルムを温水又は加圧蒸気を通した回転金属ロールに接触させて行った。
低屈折率層の硬化条件を表5のように変え試料402〜412を作製した。
Figure 2005309392
これら試料に実施例1と同様の評価を行った。結果を表6に示す。
本発明の形成方法により、反射防止性能を保ちつつ、優れた耐擦傷性を有する反射防止フィルムが得られることがわかる。
Figure 2005309392
[実施例5]
実施例4の試料401、403、404、405、408、409の作製方法において、紫外線照射ゾーン前に窒素置換したゾーンを通過させることのみ異なる試料413〜418をそれぞれ作製し、同様の評価を行った。なお、試料419及び420は、実施例3の試料405の作製方法において、紫外線照射ゾーン前に窒素置換したゾーンを通過させることのみ異なるものである。
Figure 2005309392
結果を表8に示す。紫外線照射前に低酸素濃度の窒素置換ゾーンを通過させることにより、耐擦傷性の向上が認められる。さらに、紫外線照射後の加熱された低酸素濃度の窒素置換ゾーンを通過させる工程と組み合わせることで硬化は顕著になる。
Figure 2005309392
[実施例6]
実施例1〜5の低屈折率層用塗布液を以下の低屈折率層用塗布液A及びBにそれぞれ変更した反射防止フィルムを作製し評価を行ったところ、同様な本発明の効果を確認できた。
中空シリカ微粒子を用いることで更に耐擦傷性が優れた低反射率の反射防止フィルムを作製することができた。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(商品名:ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(中空シリカ微粒子分散液の調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、KBM−5103)30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート(商品名:ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、中空シリカ分散液を得た。得られた中空シリカ分散液の固形分濃度は18質量%、溶剤乾燥後の屈折率は1.31であった
(低屈折率層用塗布液Aの調製)
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低屈折率層用塗布液A組成
───────────────────────────────────
DPHA 3.3g
中空シリカ微粒子分散液 40.0g
RMS−033 0.7g
イルガキュアOXE01 0.2g
ゾル液a 6.2g
メチルエチルケトン 290.6g
シクロヘキサノン 9.0g
───────────────────────────────────
(低屈折率層用塗布液Bの調製)
───────────────────────────────────
低屈折率層用塗布液B組成
───────────────────────────────────
DPHA 1.4g
共重合体P−3 5.6g
中空シリカ微粒子分散液 20.0g
RMS−033 0.7g
イルガキュアOXE01 0.2g
ゾル液a 6.2g
メチルエチルケトン 306.9g
シクロヘキサノン 9.0g
───────────────────────────────────
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
KBM−5103:シランカップリング剤(信越化学工業(株)製)。
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスルヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
RMS−033:反応性シリコーン(Gelest(株)製)
イルガキュアOXE01:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
[実施例7]
実施例1〜5の低屈折率層用塗布液を下記の低屈折率層用塗布液Cにそれぞれ変更した反射防止フィルムを作製して評価を行ったところ、同様な本発明の効果を確認できた。またオプスターJN7228Aをこれに対して架橋度を高めたJTA113(JSR(株)製)に等質量で置き換えた低屈折率層でも同様の効果が得られた。
(低屈折率層用塗布液Cの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Cを調製した。
───────────────────────────────────
低屈折率層用塗布C液組成
───────────────────────────────────
オプスターJN7228A (ポリシロキサンおよび水酸基を含有する熱架橋性含フッ素ポリマー組成液、JSR(株)製)
100質量部
MEK−ST (シリカ分散物 平均粒径15nm、日産化学(株)製)
4.3質量部
MEK−STの粒径違い品 (シリカ分散物 平均粒径45nm、日産化学(株)製)
5.1質量部
ゾル液a 2.2質量部
MEK 15質量部
シクロヘキサノン 3.6質量部
───────────────────────────────────
上記低屈折率層用塗布液を線数200本/インチ、深度30μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で12分乾燥させてから、実施例1記載の紫外線照射を行い、試料を作製した。硬化後の低屈折率層の厚さが100nmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
[実施例8]
(偏光板用保護フィルムの作製)
1.5 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を50℃に保温した鹸化液を調整した。
さらに、0.005 mol/Lの希硫酸水溶液を調製した。
実施例1〜7で作製した反射防止フィルムにおいて、それぞれ本発明の硬化層を有する側とは反対側の透明基材の表面を、上記鹸化液を用いて鹸化処理した。
鹸化処理した透明基材表面の水酸化ナトリウム水溶液を、水で十分に洗浄した後、上記の希硫酸水溶液で洗浄し、さらに希硫酸水溶液を水で十分に洗浄し、100℃で十分に乾燥させた。
反射防止フィルムの硬化層を有する側とは反対側の、鹸化処理した透明基材の表面の水に対する接触角を評価したところ、40度以下であった。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
[実施例9]
(偏光板の作製)
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000質量部、ヨウ素7質量部、ヨウ化カリウム105質量部からなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。
次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に実施例8にて鹸化した実施例1〜7で作製の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したトリアセチルセルロースフィルムを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を反射防止フィルムがディスプレイの最表面になるように装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れていた。特にVAモードにおいてその効果は顕著であった。
[実施例10]
(偏光板の作製)
光学補償フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)において、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例8と同様の条件で鹸化処理した。実施例9で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例8にて鹸化した実施例1〜7で作製の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面をそれぞれ貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を反射防止フィルムがディスプレイの最表面になるように装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、さらに、反射防止性能に優れ、極めて視認性と表示品位が優れていた。
特にVAモードにおいてその効果は顕著であった。
防眩性を有する反射防止フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の反射防止フィルムを製造するための装置の構成の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 防眩性反射防止フィルム
2 透明基材
3 防眩層
4 低屈折率層
5 透光性微粒子
W ウェブ
10 基材フィルムのロール
20 巻き取りロール
100,200,300,400 製膜ユニット
101,201,301,401 塗布部
102,202,302,402 乾燥部
103,203,303,403 硬化装置

Claims (11)

  1. 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を下記(1)および(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
    (1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
    (2)大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射することにより、該塗布層を硬化する工程。
  2. 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
    (1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
    (2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
    (3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程
  3. 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
    (1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
    (2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
    (3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
  4. 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
    (1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
    (2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
    (3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
  5. 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
    (1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
    (2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
    (3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
  6. 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載の層形成方法が、電離放射線照射による塗布層の硬化工程に連続して、該硬化後のフィルムを酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら搬送する工程を含むことを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
  7. 前記反射防止層が膜厚200nm以下の低屈折率層を有し、該低屈折率層が請求項1〜6のいずれかに記載の層形成方法で形成されることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
  8. 前記電離放射線が紫外線であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法で作製された反射防止フィルム。
  10. 請求項9に記載の反射防止フィルムを、偏光板における2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に有することを特徴とする偏光板。
  11. 請求項9に記載の反射防止フィルム、または請求項10に記載の偏光板をディスプレイの最表面に有していることを特徴とする画像表示装置。
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