JP2005309392A - 反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents
反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題を解決する手段】 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上の少なくとも一層を下記(1)および(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程
(2)大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射することにより、該塗布層を硬化する工程。
【選択図】 なし
Description
特許文献5〜10には、窒素置換するための具体的な手段が記載されているが、低屈折率層のような薄膜を十分に硬化させるまで酸素濃度を下げるためには、多量の窒素が必要であり、製造コストが上がってしまうという問題があった。
また特許文献11には熱ロール表面に巻きつけて電離放射線を照射する方法が記載されているが、これも低屈折率層のような特殊な薄膜を十分に硬化させるには不十分であった。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射することにより、該塗布層を硬化する工程。
[2]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
[3]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上のに積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
[4]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
[5]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
[6]透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の層形成方法が、電離放射線照射による塗布層の硬化工程に連続して、該硬化後のフィルムを酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら搬送する工程を含むことを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
[7]前記反射防止層が膜厚200nm以下の低屈折率層を有し、該低屈折率層が上記[1]〜[6]のいずれかに記載の層形成方法で形成されることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
[8]前記電離放射線が紫外線であることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
[9]前記電離放射線の照射時および/または照射前に行なわれる加熱、および/または電離放射線照射後の加熱を、膜面温度が25℃以上170℃以下となるように行なうことを特徴とする上記[3]〜[8]のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
[10]前記電離放射線の照射時および/または照射前に行なわれる加熱、および/または電離放射線照射後の加熱を、加熱したロールにフィルムを接触させることによって行なうことを特徴とする上記[3]〜[9]のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
[11]前記電離放射線の照射時および/または照射前に行なわれる加熱、および/または電離放射線照射後の加熱を、加熱した窒素ガスを吹き付けることによって行なうことを特徴とする上記[3]〜[9]のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
[12]上記[1]〜[11]のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法において、前記搬送工程および/または電離放射線照射による硬化工程が各々窒素で置換された低酸素濃度ゾーンで行なわれ、かつ電離放射線照射による硬化工程を行なうゾーンの窒素をそれ以前の工程を行なうゾーンおよび/またはそれ以降の工程を行なうゾーンに排気することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
[14]前記低屈折率層が、下記一般式1で表わされる含フッ素ポリマーを含有する塗布液から形成されたことを特徴とする上記[13]に記載の反射防止フィルム。
一般式1
[15]前記低屈折率層が中空シリカ微粒子を含有していることを特徴とする上記[13]または[14]に記載の反射防止フィルム。
[16]上記[13]〜[15]のいずれかに記載の反射防止フィルムを、偏光板における2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に有することを特徴とする偏光板。
[17]上記[13]〜[15]のいずれかに記載の反射防止フィルム、または上記[16]に記載の偏光板を、ディスプレイの最表面に有することを特徴とする画像表示装置。
本発明により製造された反射防止フィルムあるいは偏光板を備えた画像表示装置は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高く、また耐擦傷性に優れている。
本発明の反射防止フィルムは、透明な基材(以後、基材フィルムと称することもある)上に、必要に応じて後述のハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数及び層順等を考慮して積層された反射防止層を有する。反射防止フィルムの最も単純な構成は、基材上に低屈折率層のみを塗設したものである。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材またはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましい。また、本発明の反射防止フィルムは防眩層や帯電防止層等の機能性層を有していることも好ましい。
基材フィルム/低屈折率層、
基材フィルム/防眩層/低屈折率層、
基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層、
基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層。
本発明の反射防止フィルムは、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。高屈折率層は防眩性のない光拡散性層であってもよい。また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子または金属酸化物微粒子(例えば、SnO2、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布または大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、反射防止フィルムの透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記の層形成方法によって形成することを特徴とする。
以下、本発明にかかる第1〜5の層形成方法について詳細に説明する。
下記(1)および(2)の工程を含む層形成方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射することにより、該塗布層を硬化する工程。
下記(1)〜(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程
下記(1)〜(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
下記(1)〜(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
下記(1)〜(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
透明基材上の塗布層は、透明基材上に、形成しようとする層の塗布組成物(塗布液)を塗布し、これを乾燥させることにより形成される。塗布液の塗布方法は特に限定されるものではない。また、本発明の透明基材は、切り出したもの、及びウェブ状のいずれでもよいが、製造コスト上、ウェブ状のものが好ましい。
上記電離放射線を照射する工程時は大気中の酸素濃度よりも低い酸素濃度であることが必要である。
尚、上記の、搬送工程と連続して硬化工程を行なう態様とは、硬化工程を行なう低酸素濃度雰囲気下(以下、電離放射線照射ゾーンとも称する)に搬入されるフィルムを、電離放射線照射ゾーン進入直前に大気中の酸素濃度より低い低酸素濃度ゾーンを通過させる態様であり、例えば低酸素濃度に保たれた同一室内で、搬送工程および硬化工程を順に行なう態様も考えられる。
層形成方法2〜5では、透明基材上に塗布層を有するフィルムが、照射前低酸素濃度ゾーンを通過し、連続して電離放射線を照射する工程を有する態様であればよく、照射前低酸素濃度ゾーンにて乾燥工程や加熱工程が含まれていてもよい。
前記電離放射線照射前の搬送工程における酸素濃度の上限は、大気中の酸素濃度未満であれば良く、15体積%以下が好ましく、10体積%以下がより好ましく、5体積%以下が最も好ましい。
また、前記電離放射線照射前の搬送工程における酸素濃度の下限は、コスト性の観点から、電離放射線を照射する工程以上の酸素濃度であればよい。
また膜面が前記温度に保持される時間は、電離放射線照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。膜面温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を促進できない。また、逆に長すぎてもフィルムの光学性能が低下し、設備が大きくなるなどの製造上の問題も生じる。
加熱する方法には特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムを接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気を流して加熱する方法も利用できる。
硬化後の搬送工程時における酸素濃度は、より好ましくは3体積%以下、更に好ましくは1体積%以下である。加熱時の膜面温度、該膜面温度の保持時間、加熱方法等は、前記した硬化前の搬送工程と同様である。
電離放射線照射後にフィルムを加熱することにより、時間と共に生成してくる高分子膜中でも更に重合反応が進行しやすくなるという効果がある。
これらの層形成方法により、十分な反射防止性能を有しながら、耐擦傷性の向上した反射防止フィルムを製造することが可能である。
紫外線の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等が利用できる。また電子線照射の場合は、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器から放出される50〜1000keVのエネルギーを有する電子線が用いられる。
本発明において、皮膜形成組成物の主たる皮膜形成バインダー成分として、エチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが、皮膜強度、塗布液の安定性、塗膜の生産性、などの点で好ましい。主たる皮膜形成バインダー成分とは、無機粒子を除く皮膜形成成分のうち10質量%以上100質量%以下を占めるものをいう。好ましくは、20質量%以上100質量%以下、更に好ましくは30質量%以上95%以下である。
主たる皮膜形成バインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。更に、これらポリマーは架橋構造を有していることが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
さらに、高屈折率にする場合には、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
上記モノマーは2種以上併用してもよい。尚、本明細書においては、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」は、それぞれ「アクリレート又はメタクリレート」、「アクリロイル又はメタクリロイル」、「アクリル酸又はメタクリル酸」を表す。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ-ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ-ジメチル-p-イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4'-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3'、4、4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。具体的には特開2000-80068号公報記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、有機アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
低屈折率層は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分とする共重合体の硬化皮膜によって形成されるのが好ましい。該共重合体由来の成分は皮膜固形分の60質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることがより好ましく、80質量%以上を占めることが特に好ましい。低屈折率化と皮膜硬度の両立の観点から多官能(メタ)アクリレート等の硬化剤も相溶性を損なわない範囲の添加量で好ましく用いられる。
また特開平11−228631号記載の化合物も好ましく使用される。
低屈折率層の厚さは200nm以下であることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR-2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
一般式1
好ましい例としては、*−(CH2) 2−O−**, *−(CH2) 2−NH−**, *−(CH2)4−O−**, *−(CH2)6−O−**, −(CH2) 2−O−(CH2) 2−O−**,*−CONH−(CH2)3−O−**, *−CH2CH(OH)CH2−O−**, *−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式2
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
無機微粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましく、例えば、シリカまたは中空シリカの微粒子が挙げられる。
(数式VIII)
x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ微粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.15未満の低屈折率の粒子は好ましくない。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611や特開2002−79616に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ微粒子の屈折率は特開2002−79616に記載の方法で算出することができる。
中空シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
中空シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。中空シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカ微粒子の表面積は、20〜300m2/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m2/g、最も好ましくは40〜90m2/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。
シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することもできる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
中空シリカ微粒子およびシリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。半発明に好ましく用いることのできる表面処理剤および触媒の具体的化合物は、例えば、WO 2004/017105号に記載のオルガノシラン化合物および触媒を挙げることができる。
従って、上記含フッ素ポリマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、無機微粒子を含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明基材上に塗布後、電離放射線または熱による重合反応により硬化して、低屈折率層を形成することができる。
ハードコート層は、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性を有する。また、表面散乱および内部散乱の少なくともいずれかの散乱による光拡散性とをフィルムに寄与する目的でも好ましく使用される。従って、ハードコート性を付与するための透光性樹脂、及び光拡散性を付与するための透光性粒子を含有することが好ましく、更に必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機微粒子を含有する。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
バインダーポリマーをより高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーを選択することもできる。
アクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4-ジビニルベンゼン、4-ビニル安息香酸-2-アクリロイルエチルエステル、1,4-ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。これらモノマーは2種以上併用してもよい。
従って、前記ハードコート層は、上述のエチレン性不飽和モノマー等の透光性樹脂形成用のモノマー、電離放射線または熱によりラジカルを発生する開始剤、透光性粒子および必要に応じて無機微粒子を含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明基材上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
従って、多官能エポキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、透光性粒子および無機微粒子を含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明基材上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化してハードコート層を形成することができる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層のヘイズは、反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、光散乱機能を有さない場合は、ヘイズ値は低い程良く、具体的には10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、表面の反射率を抑える機能に加えて、散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、ヘイズ値は10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜80%であり、最も好ましくは20%〜70%である。
平均粒径が0.5μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字解像度の低下を引き起こしたり、表面凹凸が形成しにくくなるため防眩性が不足したりするため、好ましくない。一方、5μmを超えると、ハードコート層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールが大きくなる、素材コストが上昇してしまう、等の問題が生じる。
前記透光性粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、メタクリル粒子、架橋メタクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリルスチレン粒子、シリカ粒子が好ましい。
透光性粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2である。
透光性粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
また逆に、透光性粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率透光性粒子を用いたハードコート層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は上記の無機微粒子と同じである。
ハードコート層に用いられる無機微粒子の具体例としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機微粒子は表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、微粒子表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機微粒子を用いる場合、その添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、このような無機微粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該微粒子が分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
また、ハードコート層にもオルガノシラン化合物、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物(ゾル)の少なくともいずれかを用いることができる。
低屈折率層以外の層へのゾル成分の添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。ハードコート層の場合には、前記オルガノシラン化合物またはそのゾル成分の添加量に対する制約が低屈折率層ほど厳しくないため、前記オルガノシラン化合物が好ましく用いられる。
また透光性樹脂と透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率-透光性樹脂の屈折率)は0.02〜0.2が好ましく、より好ましくは0.05〜0.15である。この差が上記範囲であると、内部散乱の効果が十分であり、ギラツキが発生せず、しかもフィルム表面が白濁することもない。
また、前記透光性樹脂の屈折率は、1.45〜2.00であるのが好ましく、1.48〜1.70であるのが更に好ましい。
ここで、透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である
次に、防眩層について以下に説明する。
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、好ましくはハードコート性を付与することのできる透光性樹脂、防眩性を付与するための透光性微粒子、および溶媒を必須成分として含有する。透光性樹脂、透光性微粒子は、前述ハードコートと同様のものを使用できる。
以下に本発明の反射防止フィルムの好適な構成例を図面を参照しながら説明する。ここで、図1は、防眩性を有する反射防止フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
防眩層3は、透光性樹脂と透光性樹脂中に分散された透光性微粒子5とからなる。
上記構成の反射防止フィルムにおいて、各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
防眩層の屈折率>透明基材の屈折率>低屈折率層の屈折率
本発明においては、防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、本実施形態においては、1層で形成されたものを例示しているが、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。また、本実施形態のように透明基材上に直接設けてもよいが、帯電防止層や防湿層等の他の層を介して設けてもよい。
また、C光源下でのCIE1976L*a*b*色空間における反射光の色味がa*値−2〜2、b*値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の比0.5〜0.99とするのが、反射光の色味がニュートラルとなるので、好ましい。またC光源下での透過光のb*値を0〜3とすると、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。
本発明の反射防止フィルムには、より良い反射防止能を付与するために、高屈折率層及び/又は中屈折率層を設けることが好ましい。本発明の反射防止フィルムにおける高屈折率層の屈折率は、1.60〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。屈折率は、添加する無機微粒子やバインダーの使用量などを調節することにより適宜調節できる。
また、高(中)屈折率層に含有されるマット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた高(中)屈折率層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述のハードコート層における無機微粒子と同じである。
高(中)屈折率層に用いられる無機微粒子の具体例としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機微粒子は表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、微粒子表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機微粒子の添加量は、必要な屈折率に合わせて調節するが、高屈折率層の場合、全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜70質量%である。
なお、このような微粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該微粒子が分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
高(中)屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高(中)屈折率層を光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
本発明の反射防止フィルムの透明基材としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、代表的には富士写真フイルム社製TAC-TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001-1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001-1745号と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
<反射防止フィルムの塗布による形成>
透明基材上に積層される各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ダイコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)により、塗布により形成することができる。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
塗布用分散媒としては、特に限定されない。単独でも2種以上を混合して使用してもよい。好ましい分散媒体は、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、オルトージクロルベンゼン等の塩化芳香族炭化水素類、モノクロルメタン等のメタン誘導体、モノクロルエタン等のエタン誘導体等を含む塩化脂肪族炭化水素類、メタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、エチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素類、脂肪族または芳香族炭化水素の混合物等が該当する。これら溶媒の中でもケトン類の単独あるいは2種以上の混合により作成される塗布用分散媒が特に好ましい。
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
ろ過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
本発明の反射防止フィルムの製造方法では、基材フィルム上に形成される層の少なくとも一層を、塗布層を形成した後、下記1〜5のいずれかの方法によって硬化形成することを特徴とする。
塗布層を有するフィルムに大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程を含む形成方法。
下記(2)および(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる形成方法。
(2)塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程
下記(2)および(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる形成方法。
(2)塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
下記(2)および(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる形成方法。
(2)塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
下記(2)および(3)の工程を含み、かつ下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる形成方法。
(2)塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。
上記1〜5の方法において、電離放射線照射による塗布層の硬化工程の後、更に、該硬化後のフィルムを酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上となるように加熱しながら搬送する工程を有していても良い。
ロール状の基材フィルムから基材フィルムがクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、基材フィルムに帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続き基材フィルム上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液が基材フィルム上に塗布され、塗布された基材フィルムは乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有する基材フィルムは乾燥室から放射線硬化室へ送り出され、放射線が照射されて塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、必要に応じて、放射線により硬化した層を有する基材フィルムは熱硬化部へ送られ、加熱されて硬化を完結させ、硬化が完結した層を有する基材フィルムは巻き取られてロール状となる。
本発明の反射防止フィルムは、輝点欠陥の数が1平方メートル当たり20個以下、好ましくは10個以下、さらに好ましくは5個以下、特に好ましくは1個以下とする。
と同時に、反射防止層を形成する各層は上記の塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行なう方法、特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
なお、上記工程に限らず、いずれの工程においても低酸素濃度雰囲気下で行なってもよい。また、電離放射線照射ゾーンを複数に分けて電離放射線の照射を行なう場合には、各ゾーンの間に低酸素濃度ゾーンを設けても良い。
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。また、本発明の反射防止フィルムと偏光板と組み合わせて用いてもよい。透明基材がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明基材の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と反射防止フィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明基材表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
(1)透明基材上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明基材上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの反射防止フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
本発明の反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セル用には、2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムを本発明の反射防止フィルムと組み合わせて作成した偏光板が好ましく用いられる。2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムの作製方法については、例えば特開2001-249223号公報、特開2003-170492号公報などに記載の方法を用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによっていささかも限定して解釈されるものではない。
尚、本実施例において、「部」とは「質量部」を示すものである。
(ハードコート層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295(大阪有機化学(株)製)750.0重量部に、質量平均分子量15000のポリグリシジルメタクリレート270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50.0質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。ポリグリシジルメタクリレートはメチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレートを溶解させ、熱重合開始剤(V-65(和光純薬工業(株)製)を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得た。
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT-129C、石原産業(株)製、TiO2:Co3O4:Al2O3:ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5重量比)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤 41.1質量部、およびシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、重量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
上記の二酸化チタン分散液99.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)68.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)3.6質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.2質量部、メチルエチルケトン279.6質量部およびシクロヘキサノン1049.0質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
上記の二酸化チタン分散液469.8質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)40.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)3.3質量部、光増感剤(カヤキュア-DETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン526.2質量部、およびシクロヘキサノン459.6質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
本発明に係る本文記載の共重合体 P−3をメチルイソブチルケトン(MIBK)に7質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)を固形分に対して3%、前記光ラジカル発生剤イルガキュアOXE01(商品名)を固形分に対して5質量%添加し、低屈折率層用塗布液を調製した。
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フイルム(株)製)上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布した。
硬化後の中屈折率層は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
硬化後の高屈折率層は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
硬化後の低屈折率層は屈折率1.440、膜厚85nmであった。このようにして、反射防止フィルム 101を作製した。
低屈折率層の硬化条件のみを表1の条件に変え、試料102〜112を作製した。紫外線照射後に加熱する場合には、照射後のフィルムを温水又は加圧蒸気を通した回転金属ロールに接触させて行った。なお、加熱を行なっていない試料(例えば試料101)におけるフィルム温度は、紫外線照射時の反応熱によるものである。
[鏡面反射率]
分光硬度計V-550(日本分光(株)製)にアダプターARV-474を装着して380〜780nmの波長領域において入射角5度における出射角-5度の鏡面反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
[鉛筆硬度]
JIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定するH〜5Hの試験用鉛筆を用いて、500gの荷重にて以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。
n=5の評価において傷なし〜傷1つ :OK
n=5の評価において傷が3つ以上 :NG
#0000のスチールウールに1.96N/cm2の荷重をかけ30往復したときの傷の状態を観察して、以下の5段階で評価した。
◎:傷が全くつかなかったもの
○:ほとんど見えない傷が少しついたもの
△:明確に見える傷がついたもの
×:明確に見える傷が顕著についたもの
××:膜の剥離が生じたもの
また本発明では、紫外線照射時の酸素濃度、照射量が振れても安定な性能を確保できる。
実施例1の試料102、103、104、105、108、109の作製方法において、紫外線照射ゾーン前に窒素置換したゾーンを通過させることのみ異なる試料113〜118を作製し、同様の評価を行った。なお、試料119及び120は、実施例1における試料105の作製方法において、紫外線照射ゾーン前に窒素置換したゾーンを通過させることのみ異なるものである。
紫外線照射後に加熱する場合には、照射後のフィルムを温水又は加圧蒸気を通した回転金属ロールに接触させて行った。
また、紫外線照射前の低酸素濃度の窒素置換ゾーンを加熱することによっても耐擦傷性の向上が認められた。
実施例1〜2において低屈折率層で用いた含フッ素ポリマーを本文記載のP−1、P−2にそれぞれ変え(等質量置き換え)同様の評価を行った結果、実施例1〜2と同様の効果が得られた。
(ハードコート層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液組成
───────────────────────────────────
デソライトZ7404 (ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:固形分濃度60wt%、ジルコニア微粒子含量70wt%対固形分、平均粒子径約20nm、溶剤組成MIBK:MEK=9:1、開始剤含む、JSR(株)製)
100質量部
DPHA (UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製) 31質量部
KBM−5103 (シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)
10質量部
KE−P150 (1.5μmシリカ粒子:日本触媒(株)製)
8.9質量部
MXS−300 (3μm架橋PMMA粒子:綜研化学(株)製)
3.4質量部
MEK 29質量部
MIBK 13質量部
───────────────────────────────────
実施例1と同様の方法により低屈折率層用塗布液を調製した。
透明基材としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、上記のハードコート層用塗布液を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後、ハードコート層の厚さが3.6μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
低屈折率層の硬化条件を表5のように変え試料402〜412を作製した。
本発明の形成方法により、反射防止性能を保ちつつ、優れた耐擦傷性を有する反射防止フィルムが得られることがわかる。
実施例4の試料401、403、404、405、408、409の作製方法において、紫外線照射ゾーン前に窒素置換したゾーンを通過させることのみ異なる試料413〜418をそれぞれ作製し、同様の評価を行った。なお、試料419及び420は、実施例3の試料405の作製方法において、紫外線照射ゾーン前に窒素置換したゾーンを通過させることのみ異なるものである。
実施例1〜5の低屈折率層用塗布液を以下の低屈折率層用塗布液A及びBにそれぞれ変更した反射防止フィルムを作製し評価を行ったところ、同様な本発明の効果を確認できた。
中空シリカ微粒子を用いることで更に耐擦傷性が優れた低反射率の反射防止フィルムを作製することができた。
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(商品名:ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、KBM−5103)30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート(商品名:ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、中空シリカ分散液を得た。得られた中空シリカ分散液の固形分濃度は18質量%、溶剤乾燥後の屈折率は1.31であった
───────────────────────────────────
低屈折率層用塗布液A組成
───────────────────────────────────
DPHA 3.3g
中空シリカ微粒子分散液 40.0g
RMS−033 0.7g
イルガキュアOXE01 0.2g
ゾル液a 6.2g
メチルエチルケトン 290.6g
シクロヘキサノン 9.0g
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
低屈折率層用塗布液B組成
───────────────────────────────────
DPHA 1.4g
共重合体P−3 5.6g
中空シリカ微粒子分散液 20.0g
RMS−033 0.7g
イルガキュアOXE01 0.2g
ゾル液a 6.2g
メチルエチルケトン 306.9g
シクロヘキサノン 9.0g
───────────────────────────────────
KBM−5103:シランカップリング剤(信越化学工業(株)製)。
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスルヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
RMS−033:反応性シリコーン(Gelest(株)製)
イルガキュアOXE01:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
実施例1〜5の低屈折率層用塗布液を下記の低屈折率層用塗布液Cにそれぞれ変更した反射防止フィルムを作製して評価を行ったところ、同様な本発明の効果を確認できた。またオプスターJN7228Aをこれに対して架橋度を高めたJTA113(JSR(株)製)に等質量で置き換えた低屈折率層でも同様の効果が得られた。
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Cを調製した。
───────────────────────────────────
低屈折率層用塗布C液組成
───────────────────────────────────
オプスターJN7228A (ポリシロキサンおよび水酸基を含有する熱架橋性含フッ素ポリマー組成液、JSR(株)製)
100質量部
MEK−ST (シリカ分散物 平均粒径15nm、日産化学(株)製)
4.3質量部
MEK−STの粒径違い品 (シリカ分散物 平均粒径45nm、日産化学(株)製)
5.1質量部
ゾル液a 2.2質量部
MEK 15質量部
シクロヘキサノン 3.6質量部
───────────────────────────────────
(偏光板用保護フィルムの作製)
1.5 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を50℃に保温した鹸化液を調整した。
さらに、0.005 mol/Lの希硫酸水溶液を調製した。
実施例1〜7で作製した反射防止フィルムにおいて、それぞれ本発明の硬化層を有する側とは反対側の透明基材の表面を、上記鹸化液を用いて鹸化処理した。
鹸化処理した透明基材表面の水酸化ナトリウム水溶液を、水で十分に洗浄した後、上記の希硫酸水溶液で洗浄し、さらに希硫酸水溶液を水で十分に洗浄し、100℃で十分に乾燥させた。
反射防止フィルムの硬化層を有する側とは反対側の、鹸化処理した透明基材の表面の水に対する接触角を評価したところ、40度以下であった。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
(偏光板の作製)
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000質量部、ヨウ素7質量部、ヨウ化カリウム105質量部からなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。
次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に実施例8にて鹸化した実施例1〜7で作製の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したトリアセチルセルロースフィルムを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
このようにして作製した本発明の偏光板を反射防止フィルムがディスプレイの最表面になるように装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れていた。特にVAモードにおいてその効果は顕著であった。
(偏光板の作製)
光学補償フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)において、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例8と同様の条件で鹸化処理した。実施例9で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例8にて鹸化した実施例1〜7で作製の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面をそれぞれ貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
このようにして作製した本発明の偏光板を反射防止フィルムがディスプレイの最表面になるように装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、さらに、反射防止性能に優れ、極めて視認性と表示品位が優れていた。
特にVAモードにおいてその効果は顕著であった。
2 透明基材
3 防眩層
4 低屈折率層
5 透光性微粒子
W ウェブ
10 基材フィルムのロール
20 巻き取りロール
100,200,300,400 製膜ユニット
101,201,301,401 塗布部
102,202,302,402 乾燥部
103,203,303,403 硬化装置
Claims (11)
- 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を下記(1)および(2)の工程を含む層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射することにより、該塗布層を硬化する工程。 - 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程 - 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。 - 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。 - 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に積層される層の少なくとも一層を、下記(1)〜(3)の工程を含み、さらに下記(2)の搬送工程と(3)の硬化工程とが連続して行なわれる層形成方法によって形成することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
(1)透明基材上に塗布層を塗設する工程、
(2)該塗布層を有するフィルムを、膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら、大気中の酸素濃度より低い酸素濃度雰囲気下で搬送する工程、
(3)該フィルムに酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら電離放射線を照射し、塗布層を硬化する工程。 - 透明基材上に、少なくとも一層からなる反射防止層を有する反射防止フィルムの製造方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載の層形成方法が、電離放射線照射による塗布層の硬化工程に連続して、該硬化後のフィルムを酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で膜面温度が25℃以上になるように加熱しながら搬送する工程を含むことを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
- 前記反射防止層が膜厚200nm以下の低屈折率層を有し、該低屈折率層が請求項1〜6のいずれかに記載の層形成方法で形成されることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
- 前記電離放射線が紫外線であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法で作製された反射防止フィルム。
- 請求項9に記載の反射防止フィルムを、偏光板における2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に有することを特徴とする偏光板。
- 請求項9に記載の反射防止フィルム、または請求項10に記載の偏光板をディスプレイの最表面に有していることを特徴とする画像表示装置。
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