JP5175468B2 - 光学フィルム、偏光板および画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明における光学フィルムは、一般に、ディスプレイ装置(CRT、PDP、ELD、SED、LCD、等)の表示性能の向上、保護性能の向上のために、ディスプレイ装置の最表面に配置される。
液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、ディスプレイの最表面に、表示性能向上機能、保護性能向上機能を有する光学フィルムが配置され、例えば、外光の反射による像の映り込みを防止するための、表面散乱層(防眩層)や光干渉層(反射防止層)を有した光学フィルムが配置される。
近年、液晶テレビ等の大画面化、高性能化(高コントラスト化、高精細化)が一段と進むに伴い、光学フィルム(表面フィルム)に対する要求が急激に高まってきた。
表面フィルムに対する要求を具体的に挙げると、〔1〕明室、暗室下での高コントラストの実現、〔2〕外光の表面散乱による白ちゃけ感の低減と防眩性の両立、〔3〕粗雑な扱いに対する耐擦傷性の実現、特に低屈折率層を有する光学フィルムの高耐擦傷性の実現、〔4〕防汚性、防塵性の実現、〔5〕外観面状の均一化、等である。
このような高い要求を満たす光学フィルムはこれまでになく、例えば特許文献1のような従来知られている技術では、上記の課題に最適な光学フィルムが得られなかった。
特開平11−326608号公報
これを安定に、しかも安価に、実現するための検討を本発明者ら鋭意行ってきた。
本発明の目的は、前述の通り、〔1〕明室下での黒表示の高品位化による明室下高コントラストの実現および〔2〕フィルム表面のざらつき感(突起の粗密感)の低減を目的とし、更には、〔3〕粗雑な扱いに対する耐擦傷性の実現、特に低屈折率層を有する光学フィルムの高耐擦傷性の実現、〔4〕防汚性、防塵性の実現、〔5〕外観面状の均一化の実現、を可能にする光学フィルムを提供することである。また、本発明の他の目的は、前記光学フィルムを具備する偏光板、および表示装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下の構成の光学フィルムにより本発明の上記目的が達成されることを見出した。
[1]
透明支持体上に透光性樹脂及び凝集性のシリカ粒子を含んでなる少なくとも1層のハードコート層を有し
表面ヘイズ値が0〜%、かつ内部ヘイズ値が0〜5%、かつSm値が50〜200μmであり、
前記凝集性のシリカ粒子の二次粒子径をハードコート層の層厚で除した値が0.3〜0.6であり、
前記ハードコート層が塗設された面側の最外層にこれに隣接する層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を有し、
前記低屈折率層厚の35%以上70%以下の平均粒径の中空のシリカ微粒子を前記低屈折率層中に少なくとも1種含有する、光学フィルム。
[2
[1]に記載の前記ハードコート層の少なくともいずれか1層に、少なくとも一種のフッ素系レベリング剤、及び/又は少なくとも一種のシリコーン系レベリング剤を含有することを特徴とする光学フィルム。
[3
1]又は[2]に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層が塗布により形成され、前記低屈折率層を形成する塗布液が、紫外線(UV)硬化、および/または熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂を少なくとも1種含むことを特徴とする光学フィルム。

]〜[]のいずれか一項に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層が塗布により形成され、前記低屈折率層を形成する塗布液が少なくとも2種以上の透光性樹脂を含み、そのうち少なくとも1種の透光性樹脂が紫外線(UV)硬化できる官能基を有し、これとは異なる少なくとも1種の透光性樹脂が熱硬化できる官能基を有していることを特徴とする光学フィルム。

]に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に、さらに、少なくとも1種の重合開始剤、および、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤を含んでなることを特徴とする光学フィルム。

]に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に、さらに、少なくとも1種の熱硬化を促進する硬化触媒を含むことを特徴とする光学フィルム。

]又は[]に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に含まれる、少なくとも1種の紫外線(UV)硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の重合開始剤の重量の総和を、少なくとも1種の熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤の重量の総和で除した値が、0.05〜0.19であることを特徴とするとする光学フィルム。

]〜[]のいずれか一項に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層に少なくとも一種のフッ素系レベリング剤、及び/又は少なくとも一種のシリコーン系レベリング剤を含んでなることを特徴とする光学フィルム。

]〜[]のいずれか一項に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液に含まれる溶剤のうち、沸点120℃以下の溶剤が、前記塗布液溶剤の全質量の50質量%〜100質量%であることを特徴とする光学フィルム。
[1
[1]〜[]のいずれか一項に記載の前記光学フィルムにおいて、全層に金属酸化物粒子を含有することを特徴とする光学フィルム。
[1
偏光子を2枚の保護フィルムで挟んでなる偏光板において、該偏光板の一方の保護フィルムが[1]〜[1]のいずれか一項に記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
[1
[1]〜[1]のいずれか一項に記載の光学フィルムまたは[1]に記載の偏光板を具備したことを特徴とする画像表示装置。
[1
前記画像表示装置が横電界(In−Plane−Switching)方式のTFT液晶表示装置であることを特徴とする[1]に記載の画像表示装置。
[14]
透明支持体上に透光性樹脂及び凝集性のシリカ粒子を含んでなる少なくとも1層のハードコート層を有し、
表面ヘイズ値が0〜5%、かつ内部ヘイズ値が0〜5%、かつSm値が50〜200μmであり、
前記凝集性のシリカ粒子の二次粒子径をハードコート層の層厚で除した値が0.3〜0.6であり、
前記ハードコート層が塗設された面側の最外層にこれに隣接する層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を有し、
前記低屈折率層厚の35%以上70%以下の平均粒径の中空のシリカ微粒子を前記低屈折率層中に少なくとも1種含有する、光学フィルムの製造方法であって、
透明支持体上に、コールターカウンター法により測定した二次粒子径が0.1〜10.0μmの凝集性のシリカ粒子及び透光性樹脂を含有させてなるハードコート層塗布液を塗布し、乾燥し、硬化して層厚の総和が1.5〜40μmの少なくとも1層のハードコート層を形成する工程、及び
前記ハードコート層が塗設された面側の最外層として、これに隣接する層上に平均粒径35nm以上60nm以下の中空のシリカ微粒子を含有させてなる低屈折率層塗布液を塗布し、乾燥し、硬化して厚さ70〜120nmの低屈折率層を形成する工程
を有する光学フィルムの製造方法。
本発明は上記[1]〜[1]に関するものであるが、以下、その他の事項についても参考のために記載した。
(1)透明支持体上に透光性樹脂及び凝集性の金属酸化物粒子を含んでなる少なくとも1層のハードコート層を有し、表面ヘイズ値が0〜12%、かつ内部ヘイズ値が0〜35%、かつSm値が50〜200μmであることを特徴とする光学フィルム。
(2)(1)に記載の前記光学フィルムにおいて、凝集性の金属酸化物粒子が凝集性のシリカ粒子であることを特徴とする光学フィルム。
(3)(1)または(2)のいずれかに記載の前記光学フィルムにおいて、最外層にこれに隣接する層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を有することを特徴とする光学フィルム。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の前記ハードコート層の少なくともいずれか1層に、圧縮強度が2.0〜10.0kgf/mm2であり、かつ平均粒径が0.5〜10μmの樹脂粒子を少なくとも1種含有することを特徴とする光学フィルム。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の前記ハードコート層の少なくともいずれか1層に、少なくとも一種のフッ素系レベリング剤、及び/又は少なくとも一種のシリコーン系レベリング剤を含有することを特徴とする光学フィルム。
(6)(5)に記載の前記低屈折率層を有する光学フィルムにおいて、450nm〜650nmの波長領域での、5°正反射率の平均値をA、積分反射率の平均値をBとしたとき、Bが3%以下であり、B−Aが1.5%以下であることを特徴とする光学フィルム。
(7)(5)、(6)のいずれかに記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層中に前記低屈折率層の層厚の15%以上150%以下の粒径の微粒子を少なくとも1種含有することを特徴とする光学フィルム。
(8)(7)に記載の前記微粒子の少なくとも1種が中空状の微粒子であることを特徴とする光学フィルム。
(9)(3)〜(8)に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層が塗布により形成され、前記低屈折率層を形成する塗布液が、紫外線(UV)硬化、および/または熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂を少なくとも1種含むことを特徴とする光学フィルム。
(10)(3)〜(9)に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層が塗布により形成され、前記低屈折率層を形成する塗布液が少なくとも2種以上の透光性樹脂を含み、そのうち少なくとも1種の透光性樹脂が紫外線(UV)硬化できる官能基を有し、これとは異なる少なくとも1種の透光性樹脂が熱硬化できる官能基を有していることを特徴とする光学フィルム。
(11)(10)に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に、さらに、少なくとも1種の重合開始剤、および、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤を含んでなることを特徴とする光学フィルム。
(12)(11)に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に、さらに、少なくとも1種の熱硬化を促進する硬化触媒を含むことを特徴とする光学フィルム。
(13)(11)〜(12)に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に含まれる、少なくとも1種の紫外線(UV)硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の重合開始剤の重量の総和を、少なくとも1種の熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤の重量の総和で除した値が、0.05〜0.19であることを特徴とするとする光学フィルム。
(14)(3)〜(13)に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層に少なくとも一種のフッ素系レベリング剤、及び/又は少なくとも一種のシリコーン系レベリング剤を含んでなることを特徴とする光学フィルム。
(15)(3)〜(14)に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液に含まれる溶剤のうち、沸点120℃以下の溶剤が、前記塗布液溶剤の全質量の50質量%〜100質量%であることを特徴とする光学フィルム。
(16)(1)〜(15)に記載の前記光学フィルムにおいて、全層に金属酸化物粒子を含有することを特徴とする光学フィルム。
(17)(1)〜(16)に記載の前記光学フィルムにおいて、25℃60%RH環境下で測定した前記光学フィルム表面の純水による接触角が90°以上であることを特徴とする光学フィルム。
(18)(1)〜(17)に記載の前記光学フィルムにおいて、25℃60%RH環境下で測定した前記光学フィルム表面の動摩擦係数が0.3以下であることを特徴とする光学フィルム。
(19)(1)〜(18)に記載の前記光学フィルムにおいて、ポリエチレンテレフタレートに対する25℃60%RH環境下で測定した垂直剥離帯電量が−500pc(ピコクーロン)/cm2〜+500pc(ピコクーロン)/cm2であることを特徴とする光学フィルム。
(20)(1)〜(19)に記載の前記光学フィルムにおいて、25℃60%RH環境下で測定した表面抵抗値が1×1011Ω/□未満であることを特徴とする光学フィルム。
(21)偏光子を2枚の保護フィルムで挟んでなる偏光板において、該偏光板の一方の保護フィルムが(1)〜(20)のいずれかに記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
(22)(1)〜(20)のいずれかに記載の光学フィルムまたは(21)に記載の偏光板を具備したことを特徴とする画像表示装置。
(23)前記画像表示装置が横電界 (In-Plane-Switching)方式のTFT液晶表示装置であることを特徴とする(22)に記載の画像表示装置。
本発明の光学フィルムは、画像表示装置の、〔1〕明室、暗室下での高コントラスト化が図れ、〔2〕外光の表面散乱による白ちゃけ感の低減と防眩性の両立ができ、〔3〕粗雑な扱いに対する耐擦傷性、特に低屈折率層を有する光学フィルムの高耐擦傷性、〔4〕防汚性、防塵性の付与、〔5〕外観面状の均一化の実現、を可能にすることができた。本発明の光学フィルムを具備した画像表示装置は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
[光学フィルムの構成]
本発明の光学フィルムは、透明支持体上に透光性樹脂を含んでなる少なくとも一層のハードコート層を有する。図1を参照に、本発明の光学フィルムについて説明する。
図1は、本発明の光学フィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。
図1(A)の光学フィルムは、透明支持体(1)上に、一層のハードコート層(2)を有し、最外層に、隣接するハードコート層(2)の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層(4)を有する。ハードコート層(2)には、金属酸化物粒子(3)が含有される。
ハードコート層は複数層で形成されていても好ましく、図1(B)の光学フィルムは、透明支持体(1)上に、2層のハードコート層(透明支持体側から、ハードコート層(6)、ハードコート層(5))を有し、最外層に低屈折率層(4)が積層される。金属酸化物粒子は最外層である低屈折率層側のハードコート層(5)に含有されることが好ましい。
(ヘイズ)
まず、本発明の表面ヘイズ、内部ヘイズについて、詳述する。[1]JIS−K7136に準じて、得られた光学フィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。[2]光学フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られた光学フィルムを密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
本発明の光学フィルムの表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)は好ましくは0%〜12%である。更に好ましくは0%〜8%であり、最も好ましくは0%〜5%である。表面ヘイズが12%を超えると、明室下でのコントラストの低下、黒表示時の黒の締まりの劣化が著しく、画像表示装置として適当でない。
また、本発明の光学フィルムは、内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズと呼称する)は0%〜35%が好適であり、好ましくは0%〜25%である。更に好ましくは0%〜12%であり、最も好ましくは0%〜5%である。
内部ヘイズがあることで、画像表示装置の視角特性をある程度改善(平均化)できる効果がある一方、暗室下での黒の締まりやコントラストを重視する画像表示装置であれば、この内部ヘイズは低い方が好ましい。内部ヘイズが35%を超えると、暗室下でのコントラスト低下が許容できない。
上記のように、画像表示装置品質の設計コンセプトに合わせ、光学フィルムの表面ヘイズ、内部ヘイズを各々独立に選択すればよく、表面ヘイズ、内部ヘイズの範囲は、本発明の範囲が好適である。
(表面粗さ)
本発明の光学フィルムは、明室下での白ちゃけ感の低減と、防眩性(像の写り込み防止)の両立のために、その表面凹凸形状としては、中心線平均粗さRaは0.03〜0.30μmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.05〜0.25である。また、粗さ曲線が中心線と交差する交点から求めた山谷-周期の間隔の平均値Smは、明室下での黒の締まりの点で、50〜200μmの範囲が好ましく、より好ましくは70〜160μm、更に好ましくは、90〜130μmの範囲である。50μmを下回ると、表面散乱する突起周波数が高く、白ちゃけ感が増す方向であり、一方、200μmを上回ると、突起と平坦部の粗密感が目立つようになり(見た目の印象が悪い)、その点で好ましくない。
[ハードコート層]
ハードコート層は、光学フィルムの耐擦傷性(中でも押し込み硬度)を向上するためのハードコート性を付与する目的で形成され、電離放射線硬化型の透光性樹脂、好ましくは、紫外線(UV)硬化型樹脂で形成され、透明支持体上に、少なくとも1層、必要に応じて2層以上が塗設される。ハードコ−ト層の層厚の総和が1.5〜40μmの範囲が好ましく、1μmを下回ると、必要な耐擦傷性が不足する方向であり、好ましくない。一方、ハードコート層の層厚の総和が40μmを越えると、脆性やフィルムカールに問題が出始め、好ましくない。
(バインダー)
本発明にかかるハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、重合反応により形成される。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成する。電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光(紫外線)、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの
(メタ)アクリル酸ジエステル類;2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
多官能モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることが出来る。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーや多官能オリゴマーのバインダー、は二種類以上を併用してもよい。これらのエチレン性不飽和基を有するバインダーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
本発明にはバインダーとして、ポリマーあるいは架橋しているポリマーを併用して用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(-O-)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(-NH-CO-NH-)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖はウレタン結合(-NH-CO-O-)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N-メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(-CO-O-)によって繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N-メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖はイミノ結合(-NH-)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(-NH-CO-)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、-CO-、-O-、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組合せから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)するものであるが、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、-CO-、-O-、-S-、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組合せから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に無機粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、-CO-、-NH-、-O-、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組合せから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
(透光性微粒子)
本発明は、ハードコート層の少なくとも1層に、少なくとも1種の凝集性の金属酸化物粒子を透光性微粒子として含有する。複数のハードコート層や全てのハードコート層に使用しても構わない。凝集性の金属酸化物粒子は、ハードコート層の〔1〕屈折率調整、〔2〕硬度アップ、〔3〕脆性、カール改良、〔4〕表面ヘイズ付与、等を目的に使用されるが、本発明の表面ヘイズ付与に対し、透明性と安価である点から、凝集性のシリカ粒子と凝集性のアルミナ粒子が好適であり、なかでも、一次粒子径が数十nmの粒子が凝集体を形成した凝集性のシリカが、適度な表面ヘイズを安定に付与できる点で好ましい。凝集性のシリカは、例えば、珪酸ナトリウムと硫酸の中和反応により合成された、いわゆる湿式法により得ることができるがこれに限らない。湿式法にはさらに沈降法、ゲル化法に大別させるが、本発明はどちらの方法であってもよい。凝集性シリカの二次粒径は、0.1〜10.0μmの範囲が好ましいが、粒子を含有するハードコート層の層厚と組合わせて選択される。二次粒径の調整は、粒子の分散度(サンドミル等を用いた機械的な分散、分散剤等を用いた化学的な分散、による制御を行う)で行う。特に凝集性シリカ粒子の二次粒子径を、これを含有するハードコート層の層厚で除した値が0.1〜2.0であることが好ましく、0.3〜1.0であることがより好ましい。
凝集性シリカ粒子の二次粒子径は、コールターカウンター法により測定される。
凝集性シリカ粒子は、ハードコート層中に0.1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、1質量%〜50質量%がより好ましく、1質量%〜30質量%が更に好ましい。
透光性微粒子として前述の凝集性の金属酸化物粒子、好ましくは凝集性シリカ粒子と併用することができる透光性の樹脂粒子について記述する。透光性の樹脂粒子は、ハードコート層に含有され、〔1〕表面ヘイズ、内部ヘイズの調整、〔2〕表面硬度アップ、〔3〕脆性、カール改良、等を目的に用いられる。透光性の樹脂粒子は、ハードコート層の少なくとも1層に、少なくとも1種使用し、複数、あるいは全てのハードコート層に使用しても構わず、また、前記凝集性の金属酸化物粒子を含有するハードコート層と同一、あるいは別層に使用しても構わない。
併用できる透光性の樹脂粒子の具体例としては、例えばポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく、特に架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が最も好ましく用いられる。これらの粒子の中から選ばれた各透光性微粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率、及び添加量を調整することにより、内部ヘイズを所望の範囲にすることができる。併用できる透光性の樹脂粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは1〜8μmである。
併用できる透光性の樹脂粒子の平均粒径は、コールターカウンター法により測定される。
透光性の樹脂粒子は、ハードコート層中に0.1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、1質量%〜50質量%がより好ましく、1質量%〜30質量%が更に好ましい。
併用できる透光性の樹脂粒子としては、表面硬度(押し込み硬度)を向上するために、樹脂粒子の圧縮強度が2.0〜10.0kgf/mm2であることが好ましく、2.5〜10.0kgf/mm2であることがより好ましい。更に好ましくは、3.0〜10.0kgf/mm2である。樹脂粒子の圧縮強度を高めるためには、架橋剤の選択や架橋度を高めることが効果的である。圧縮強度が10.0kgf/mm2よりも大きいと、フィルムの表面硬度付与の点からは、さらに好ましい方向であるが、粒子自体が脆弱になるため、分散時等の粒子破壊の懸念から10.0kgf/mm2を上限とすることが好ましい。
本発明において、圧縮強度は粒子径が10%変形するときの圧縮強度をいう。粒径が10%変形するときの圧縮強度とは、粒子圧縮強度(S10強度)であり、島津製作所製微小圧縮試験機MCTW201を用いて、25℃、65%RHで樹脂粒子単体を1gfの荷重まで圧縮試験を行い、粒子径が10%変形したときの荷重と圧縮前の粒子径とを次式に導入して得られる値である。
S10強度(kgf/mm2)=2.8×荷重(kgf)/{(π×粒子径(mm)×粒子径(mm))
尚、試験用圧子:FLAT20、試験荷重:19.6(mN)、負荷速度:0.710982(mN/sec)、変位フルスケール:5(μm)の条件で、粒子単体について行ったときの変位10%の試験力から前記記載の式にて求めた。
[低屈折率層] 本発明の低屈折率層には含フッ素共重合体化合物を好ましく用いることが出来る。含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
架橋反応性付与のための構成単位としては主として以下の(A)、(B)、(C)で示される単位が挙げられる。
(A):グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、
(B):カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、
(C):分子内に上記(A)、(B)の官能基と反応する基とそれとは別に架橋性官能基を有する化合物を、上記(A)、(B)の構成単位と反応させて得られる構成単位、(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で合成できる構成単位)が挙げられる。
上記(C)の構成単位は該架橋性官能基が光重合性基であることが好ましい。ここに、光重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α-フェニルマレイミド基、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o-キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3-チアジアゾール基、シクロプロペン基、アザジオキサビシクロ基などを挙げることができ、これらは1種のみでなく2種以上であってもよい。これらのうち、(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
光重合性基含有共重合体を調製するための具体的な方法としては、下記の方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
a.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸クロリドを反応させてエステル化する方法、
b.水酸基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、イソシアネート基を含有する
(メタ)アクリル酸エステルを反応させてウレタン化する方法、
c.エポキシ基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化する方法、
d.カルボキシル基を含有してなる架橋性官能基含有共重合体に、エポキシ基を含有する含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させてエステル化する方法。
尚、上記光重合性基の導入量は任意に調節することができ、塗膜面状安定性・無機粒子共存時の面状故障低下・膜強度向上などの点からカルボキシル基やヒドロキシル基等を一定量残すことも好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N、N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%の場合である。好ましいポリマーについては、特開2002−243907号、特開2002−372601号、特開2003−26732号、特開2003−222702号、特開2003−294911号、特開2003−329804号、特開2004−4444、特開2004−45462号に記載のものを挙げることができる。
また本発明の含フッ素ポリマーには防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが例えば特開平6−93100号、特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法、特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平11−189621号の実施例1、2、及び3のポリマー、又は特開平2−251555号の共重合体A−2及びA−3を挙げることができる。これらのポリシロキサン成分はポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
本発明に好ましく用いることのできるポリマーの好ましい分子量は、質量平均分子量が5000以上、好ましくは10000〜500000、最も好ましくは15000〜200000である。平均分子量の異なるポリマーを併用することで塗膜面状の改良や耐傷性の改良を行うこともできる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号公報および特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、前記ハードコート層で述べた多官能モノマーを挙げることができる。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.42であることがより好ましく、1.30〜1.38であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜150nmであることが好ましく、70〜120nmであることがさらに好ましい。
本発明の低屈折率層に好ましく用いることのできる微粒子について説明する。
微粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜70mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、外観や積分反射率が悪化する。該微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。
具体的には、金属酸化物微粒子、中空の金属酸化物微粒子、あるいは中空の有機樹脂微粒子であって、低屈折率のものがあることが好ましい。例えば、シリカまたは中空シリカの微粒子が挙げられる。低屈折率層に用いる微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの15%以上150%以下が好ましく、より好ましくは25%以上100%以下、更に好ましくは35%以上70%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、微粒子の粒径は15nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは25nm以上100nm以下、更に好ましくは、35nm以上60nm以下である。耐擦傷性の強化を図るためには、光学フィルム全層に金属酸化物粒子が含まれていることが好ましく、最も好ましくは、光学フィルム全層にシリカ粒子が含まれていることが好ましい。
上記のような、(中空)シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、外観、積分反射率が悪化する。(中空)シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、凝集粒子(この場合は、2次粒子径が、低屈折率層の層厚の15%〜150%であることが好ましい)でも構わない。また、2種類以上の複数の粒子(種類、あるいは粒径)を用いても構わない。粒子の形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
低屈折率層の屈折率を低下させるために、中空のシリカ微粒子を用いることが特に好ましい。該中空シリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、空隙率xは下記数式(I)で算出される。
(数式 I) x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
空隙率xは、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなった。
本発明においては、防汚性向上の観点から、更に、低屈折率層表面の表面自由エネルギーを下げることが好ましい。具体的には、含フッ素化合物やポリシロキサン構造を有する化合物を低屈折率層に使用することが好ましい。ポリシロキサン構造を有する添加剤としては、反応性基含有ポリシロキサン(例えばKF-100T,X-22-169AS,KF-102,X-22-3701IE,X-22-164B,X-22-5002,X-22-173B,X-22-174D,X-22-167B,X-22-161AS(以上商品名、信越化学工業社製)、AK-5,AK-30,AK-32(以上商品名、東亜合成社製)、サイラプレーンFM0725,サイラプレーンFM0721(以上商品名、チッソ社製)等)を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。これらのポリシロキサンは低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
[ハードコート層および/または低屈折率層に含有される成分]
(オルガノシラン化合物)
本発明の光学フィルムを構成する層のうちの少なくとも1層は、その層内に、オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物の少なくとも一種の成分、いわゆるゾル成分(以降このように称する場合もある)を含有することが耐擦傷性の点で好ましい。特に、低屈折率層を有する光学フィルムにおいては、反射防止性能と耐擦傷性を両立させるために、低屈折率層にゾル成分を含有させることが特に好ましい。このゾル成分は、塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成し、上記低屈折率層のバインダーの一部となる。また、該硬化物が重合性不飽和結合を有する場合、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
オルガノシラン化合物は、下記一般式1で表されるものが好ましい。
一般式1:(R1)m−Si(X)4−m
上記一般式1において、R1は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基か好ましく、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アルキル基の具体例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C2H5COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1〜2である。
Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。R1に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
R1は置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
また、下記一般式2で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物も好ましい。
Figure 0005175468
上記一般式2において、Rは水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは*−COO−**、*−CONH−**または*−O−**を表し、単結合、*−COO−**および*−CONH−**が好ましく、単結合および*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
l(l=100−mの数式を満たす数を表す)およびmはモル比率を表わし、mは0〜50の数を表す。mは0〜40の数がより好ましく、0〜30の数が特に好ましい。
〜Rは、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基、もしくは無置換のアルキル基が好ましい。R〜Rは塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基もしくはメトキシ基が特に好ましい。
は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルキル基はメチル基、エチル基など、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。Rは水酸基、または置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表し、水酸基または無置換のアルキル基がより好ましく、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基が更に好ましく、水酸基またはメチル基が特に好ましい。
一般式1の化合物は2種類以上を併用しても良い。特に一般式2の化合物は一般式1の化合物の少なくとも1種類を出発原料として合成される。以下に一般式1の化合物および一般式2で表される化合物の出発原料の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 0005175468
Figure 0005175468
Figure 0005175468
Figure 0005175468
Figure 0005175468
Figure 0005175468
Figure 0005175468
M-48 メチルトリメトキシシラン
これらのうち、重合性基を含有するオルガノシランとしては(M−1)、(M−2)、及び(M−25)が特に好ましい。
本発明の効果を得るためには、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物における前記ビニル重合性基を含有するオルガノシランの含有量は、30質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%がより好ましく、70質量%〜95質量%が更に好ましい。前記ビニル重合性基を含有するオルガノシランの含有量が30質量%より少ないと、固形分が生じたり、液が濁ったり、ポットライフが悪化したり、分子量の制御が困難(分子量の増大)であったり、重合性基の含有量が少ないために重合処理を行った場合の性能(例えば反射防止膜の耐傷性)の向上が得られにくいために好ましくない。一般式2で表される化合物を合成する場合は、前記ビニル重合性基を含有するオルガノシランとして(M−1)、(M−2)、ビニル重合性基を有さないオルガノシランとして(M−19)〜(M−21)および(M−48)の中からそれぞれ1種をそれぞれ上記の量を組み合わせて用いると好ましい。
本発明のオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかは塗布品性能の安定化のためには揮発性を抑えることが好ましく、具体的には、105℃における1時間当たりの揮発量が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
本発明に用いられるゾル成分は上記オルガノシランを加水分解および/または部分縮合することにより調製される。
加水分解縮合反応は加水分解性基(X)1モルに対して0.05〜2.0モル、好ましくは0.1〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる触媒の存在下、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明のオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかにおいて、ビニル重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物いずれかの重量平均分子量は、分子量が300未満の成分を除いた場合に、450〜20000が好ましく、500〜10000がより好ましく、550〜5000が更に好ましく、600〜3000が更に好ましい。
オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物における分子量が300以上の成分のうち、分子量が20000より大きい成分は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。10質量%より多く含有すると、そのようなオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性組成物を硬化させて得られる硬化皮膜は、透明性や基板との密着性が劣る場合がある。
ここで、重量平均分子量及び数平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量であり、含有量は、分子量が300以上の成分のピーク面積を100%とした場合の、前記分子量範囲のピークの面積%である。
分散度(重量平均分子/数平均分子量)は3.0〜1.1が好ましく、2.5〜1.1がより好ましく、2.0〜1.1が更に好ましく、1.5〜1.1が特に好ましい。
本発明のオルガノシランの加水分解物および部分縮合物の29Si−NMR分析により一般式1のXが−OSiの形で縮合している状態を確認できる。
この時、Siの3つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T3)、Siの2つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T2)、Siの1つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T1)、Siが全く縮合していない場合を(T0)とした場合に縮合率αは
数式(II):α=(T3×3+T2×2+T1×1)/3/(T3+T2+T1+T0)で表され、縮合率は0.2〜0.95が好ましく、0.3〜0.93がより好ましく、0.4〜0.9がとくに好ましい。
0.1より小さいと加水分解や縮合が十分でなく、モノマー成分が増えるため硬化が十分でなく、0.95より大きいと加水分解や縮合が進みすぎ、加水分解可能な基が消費されてしまうため、バインダーポリマー、樹脂基板、無機微粒子などの相互作用が低下してしまい、これらを用いても効果が得られにくくなる。
本発明で用いるオルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物について詳細を説明する。
オルガノシランの加水分解反応、それに引き続く縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、酪酸、マレイン酸、クエン酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート等の金属アルコキシド類;Zr、TiまたはAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等;KF、NHFなどの含F化合物が挙げられる。
上記触媒は単独で使用しても良く、或いは複数種を併用しても良い。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜100%の範囲である。
オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.05〜2モル、好ましくは0.1〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明においては、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5 (式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物の存在下で、25〜100℃で撹拌することにより加水分解を行うことが好ましい。
もしくは触媒に含フッ素化合物を使用する場合、含フッ素化合物が完全に加水分解・縮合を進行させる能力が有るため、添加する水量を選択することにより重合度が決定でき、任意の分子量の設定が可能となるので好ましい。すなわち、平均重合度Mのオルガノシラン加水分解物/部分縮合物を調整するためには、Mモルの加水分解性オルガノシランに対して(M−1)モルの水を使用すれば良い。
金属キレート化合物は、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとR4COCHCOR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(OR3)p1(R4COCHCOR5)p2、Ti(OR3)q1(R4COCHCOR5)q2、およびAl(OR3)r1(R4COCHCOR5)r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec −ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec −ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、 金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
金属キレート化合物は、前記オルガノシラン化合物に対し、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%の割合で用いられる。金属キレート化合物が上記範囲で用いられることによりオルガノシラン化合物の縮合反応が早く、塗膜の耐久性が良好であり、オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物と金属キレート化合物を含有してなる組成物の保存安定性が良好である。
本発明に用いられる塗布液には、上記ゾル成分および金属キレート化合物を含む組成物に加えて、β−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物の少なくともいずれかが添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R4 COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物の少なくともいずれかであり、本発明に用いられる組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよびアルミニウム化合物の少なくともいずれかの化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物を構成するR4およびR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4およびR5と同様である。
このβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec-ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
上記オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物の含有量は、比較的薄膜である反射防止層の場合は少なく、厚膜であるハードコート層や防眩層の場合は多いことが好ましい。含有量は効果の発現、屈折率、膜の形状・面状等を考慮すると、含有層(添加層)の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が最も好ましい。
前記ビニル重合性基を含有するオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を用いる時には、光分解性の開始剤を併用することが好ましい。これらの開始剤骨格については後述する開始剤の項で例示した化合物がある。
(重合開始剤)
<光開始剤>
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
上記活性ハロゲン類の具体例は以下の通りである。
Figure 0005175468
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無機錯体の例にはビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<光増感剤>
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
<熱開始剤>
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
(架橋剤(架橋性化合物))
本発明を構成するモノマーあるいはポリマーバインダ−が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。特に低屈折率層に含有させることが有効である。
例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
架橋剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは10〜40質量部である。
(硬化触媒)
本発明のフィルムには、硬化を促進する硬化触媒として電離放射線または熱の照射によりラジカルや酸を発生する硬化触媒を使用することができる。
<熱酸発生剤>
本発明の光学フィルムの一例として、加熱することで、含フッ素ポリマーの水酸基と、この水酸基と架橋できる硬化剤との架橋反応で膜を硬化させることができる。この系では酸により硬化が促進される為、硬化性樹脂組成物に、酸性物質を添加することが望ましいが、通常の酸を添加すると塗布液中でも架橋反応が進行してしまい、故障(ムラ、ハジキなど)の原因となる可能性もあり、従って、熱硬化系で保存安定性と硬化活性を両立するために、加熱により酸を発生する化合物を硬化触媒として添加することがより好ましい。
硬化触媒は、酸と有機塩基からなる塩であることが好ましい。酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられ、ポリマーに対する相溶性の観点から有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MsOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる(( )内は略称)。
硬化触媒は、酸と組み合わせる有機塩基の塩基性および沸点によって大きく変化する。以下にそれぞれの観点から本発明で好ましく用いられる硬化触媒について説明する。
有機塩基の塩基性が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましいが、塩基性が低すぎると保存安定性が不十分になる。従って、適度な塩基性を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基性の指標として共役酸のpKaを用いて表すと、本発明で用いる有機塩基のpKaは5.0〜11.0であることが好ましく、6.0〜10.5であることがより好ましく、6.5〜10.0であることがさらに好ましい。有機塩基のpKaの値は水溶液中での値が化学便覧 基礎編(改訂5版、日本化学会編、丸善、2004年)第2巻のII−334〜340頁に記載があるので、その中から適当なpKaを有する有機塩基を選ぶことができる。また、該文献に記載がなくても構造上適当なpKaを有すると推定できる化合物も好ましく用いることができる。下表1に該文献に記載の適当なpKaを有する化合物を示すが、本発明に好ましく用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005175468
有機塩基の沸点が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましい。従って、適度な沸点を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基の沸点としては、120℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましい。
本発明で好ましく用いることができる有機塩基としては例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。( )内は沸点を示す。
b−3:ピリジン(115℃)、b−14:4−メチルモルホリン(115℃)、b−20:ジアリルメチルアミン(111℃)、b−19:トリエチルアミン(88.8℃)、b−21:t−ブチルメチルアミン(67〜69℃)、b−22:ジメチルイソプロピルアミン(66℃)、b−23:ジエチルメチルアミン(63〜65℃)、b−24:ジメチルエチルアミン(36〜38℃)、b−18:トリメチルアミン(3〜5℃)。
酸触媒として用いる時には、前記酸と有機塩基からなる塩を単離して用いても良いし、酸と有機塩基を混合して溶液中で塩を形成させ、その溶液を用いても良い。また、酸、有機塩基とも1種類だけで用いても良いし、複数種類のものを混合して用いても良い。酸と有機塩基を混合して用いる時には、酸と有機塩基の当量比が1:0.9〜1.5となるように混合することが好ましく、1:0.95〜1.3であることがより好ましく、1:1.0〜1.1であることが好ましい。
熱酸発生剤の市販されている材料としては、キャタリスト4040、キャタリスト4050、キャタリスト600、キャタリスト602、キャタリスト500、キャタリスト296−9、以上日本サイテックインダストリーズ(株)製、やNACUREシリーズ155、1051、5076、4054JやそのブロックタイプのNACUREシリーズ2500、5225、X49−110、3525、4167以上キング社製などが挙げられる。
この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.2〜3質量部である。添加量がこの範囲であると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好で塗膜の耐擦傷性も良好なものとなる。
<感光性酸発生剤、光酸発生剤>
更に光重合開始剤として用いることができる光酸発生剤について詳述する。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、またはマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物およびそれらの混合物等が挙げられる。また、酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム化合物等が挙げられ、これらのうち有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物の具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;を挙げることができる。
オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられる。中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005―43876号記載の内容などを用いることができる。
本発明の光学フィルムにおいて、前記低屈折率層は塗布により形成することができ、前記低屈折率層を形成する塗布液に、皮膜形成成分として、紫外線(UV)硬化、および/または熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂を少なくとも一種有していることが好ましい。紫外線(UV)硬化、および/または熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂とは、紫外線(UV)硬化できる官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基などの前述の光重合性基を指し、熱硬化できる官能基としては、架橋剤と熱反応する水酸基を指し、これらの官能基を有する透光性樹脂である。好ましくは前述の含フッ素共重合体やオルガノシラン化合物等である。
また、本発明の光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液に、皮膜形成成分として、少なくとも2種以上の透光性樹脂を含み、そのうち少なくとも1種の透光性樹脂が紫外線(UV)硬化できる官能基を有し、これとは異なる少なくとも1種の透光性樹脂が熱硬化できる官能基を有していることが更に好ましい。加えて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に少なくとも1種の重合開始剤、および、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤を含んでいることがなお好ましい。さらに加えて、前記低屈折率層中に、熱硬化を促進する硬化触媒を含んでいることがなおいっそう好ましい(重合開始剤、熱硬化できる架橋剤、および熱硬化を促進する硬化触媒は、前述のものが好ましく使用できる)。
また、本発明の光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に含まれる、少なくとも紫外線(UV)硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の重合開始剤の重量の総和を、少なくとも1種の熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤の重量の総和で除した値が、0.05〜0.19であることが、耐擦傷性とコストの点で好ましい。より好ましくは0.10〜0.19である。0.05を下回ると、耐擦傷性の点で好ましくなく、0.19を越えると、UV硬化成分の比率が大きくなるため、UV硬化時の重合効率を高めるための工程条件(UV硬化時の窒素パージ、膜面温度アップ、等)の付加がより必要になってくる。窒素パージによる、UV硬化時の酸素濃度は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましく、50ppm以下が最も好ましい。また、UV硬化時の膜面温度は、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、90℃以上が更に好ましい。あまり温度を高くしすぎると、支持体が軟化し、ハンドリング(搬送)不良を起こすようになるため、上限温度はこれで決定される。
(レベリング剤)
本発明の少なくとも1層のハードコート層に、面状改良(ムラ防止)を目的として各種のレベリング剤を使用することが好ましい。さらに、本発明の低屈折率層に、同じく、ムラ防止を目的として各種のレベリング剤を使用することが好ましい。レベリング剤としては、具体的にはフッ素系レベリング剤、又はシリコーン系レベリング剤が好ましく、特にフッ素系レベリング剤とシリコーン系レベリング剤の両方を併用することはムラ防止能が高くより好ましい。また、全層にレベリング剤が使用されることがより好ましい。
また、レベリング剤は、低分子化合物よりもオリゴマーやポリマーであることが好ましい。レベリング剤を添加すると、塗布された液膜の表面にレベリング剤が速やかに偏在し、膜乾燥後もレベリング剤がそのまま表面に偏在することになるので、レベリング剤を添加したハードコート層や低屈折率層の膜の表面エネルギーは、レベリング剤によって低下する。
従って、ハードコート層のムラを防止するという観点からはハードコート層の表面エネルギーが低いことが好ましい。ハードコート層の表面エネルギー(γsv:単位、mJ/m2)とはD.K.Owens:J.Appl.Polym.Sci.,13,1741(1969)を参考に、防眩性ハードコート層上で実験的に求めた純水H2Oとヨウ化メチレンCH22のそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から以下の連立方程式(1)(2)より求めたγsdとγshの和で表される値γsv(=γsd+γsh)で定義する防眩性ハードコート層の表面張力のエネルギー換算値である。(mN/m単位をmJ/m2単位としたもの)サンプルは測定する前に所定の温湿度条件で一定時間以上調湿を行うことが必要である。この際の温度は20℃〜27℃、湿度は50RH%〜65RH%の範囲であることが好ましく、調湿時間は2時間以上であることが好ましい。
(1)1+cosθH2O=2√γsd(√γH2Od/γH2Ov)+2√γsh(√γH2Oh/γH2Ov)
(2)1+cosθCH2I2=2√γsd(√γCH2I2d/γCH2I2v)+2√γsh(√γCH2I2h/γCH2I2v)
ここで、γH2O d=21.8°、γH2O h=51.0°、γH2O v=72.8°、γCH2I2 d=49.5°、γCH2I2 h=1.3°、γCH2I2 v=50.8°である。
ハードコート層の好ましい表面エネルギーは、45mJ/m2以下の範囲であり、20〜45mJ/m2の範囲がより好ましく、20〜40mJ/m2の範囲がさらに好ましい。ハードコート層の表面エネルギーを45mJ/m2以下とすることにより、ハードコート層のムラが生じにくいという効果が得られる。
ただし、ハードコート層の上にさらに低屈折率層などの上層を塗布する場合には、レベリング剤は上層へ溶出することが好ましく、ハードコート層の上層塗布液の溶媒(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、等)でハードコート層を浸漬、洗い流しした後のハードコート層の表面エネルギーは、むしろ高いことが好ましく、表面エネルギー35〜70mJ/m2であることが好ましい。
以下ではハードコート層のレベリング剤として好ましいフッ素系レベリング剤について説明する。シリコーン系レベリング剤については後述する。
フッ素系レベリング剤としては、フルオロ脂肪族基を有する重合体が好ましく、さらに下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)の重合体、又は下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)および下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。このような単量体としては、PolymerHandbook2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2,Page 1〜483記載のものを用いることが出来る。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
(i)下記一般式Aで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式A
Figure 0005175468
上記一般式Aにおいて、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基が好ましい。Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、酸素原子または−N(R12)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R12は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。Rfは−CF3または−CF2Hを表す。
一般式A中のmは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。
一般式A中のnは1〜11の整数を表し、1〜9がより好ましく、1〜6が更に好ましい。Rfは−CF2Hが好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式Aで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーから誘導される重合単位が2種類以上構成成分として含まれていても良い。
(ii)上記(i)と共重合可能な下記一般式Bで示されるモノマー
一般式B
Figure 0005175468
上記一般式Bにおいて、R13は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、酸素原子または−N(R15)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R15は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。
14は、置換基を有しても良い炭素数1〜60の直鎖、分岐状、あるいは環状のアルキル基、または置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。該アルキル基はポリ(アルキレンオキシ)基を含んでも良い。さらに、炭素数1〜20の直鎖、分岐状あるいは環状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10の直鎖、分岐状のアルキル基が極めて好ましい。好ましいフッ素系ポリマーの製造に用いられる上記一般式Aで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの単量体全量に基づいて、10質量%以上であり、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70〜100質量%であり、さらに好ましくは80〜100質量%の範囲である。
以下、好ましいフッ素系ポリマーの具体的な構造例を示すがこの限りではない。なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 0005175468
Figure 0005175468
Figure 0005175468
フッ素系ポリマーを構成するフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位の量は、10質量%を超えることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、ハードコート層のムラを防止するという観点を重視すれば、75〜100質量%であることが最も好ましく、ハードコート層の上に低屈折率層を塗布する場合は、50〜75質量%であることが最も好ましい。(該フッ素系ポリマーを構成する全重合単位で記載した)
次に、シリコーン系レベリング剤について、説明する。
シリコーン系レベリング剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のオリゴマー等の各種の置換基で、側鎖、主鎖の末端が変性されたポリジメチルシロキサン等が挙げられ、信越化学社製のKF−96、X−22−945などがある。その他、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤も好ましく用いることができる。
これらの非イオン活性剤の具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191があり、さらにSUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましく、特開平6−49486号が参考にできる。
これらの具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208等が挙げられる。
塗布液に対する上記含フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤の添加量は、0.001質量%〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%〜0.2質量%である。
(低屈折率層の塗布液溶剤)
本発明の光学フィルムの低屈折率層の塗布液溶剤は、低屈折率層の乾燥ムラを抑えるため、沸点120℃以下の低沸点溶剤を、低屈折率層の塗布液溶剤全質量の50質量%〜100質量%、好ましくは70質量%〜100質量%、さらに90質量%〜100質量%含んでいることが好ましい。後述する本発明試料の低屈折率層の溶剤組成を上記のように変えることで、低屈折率層の面状評価にて、この効果が確認できた。具体的な塗布液溶剤としては、低屈折率層中の含フッ素ポリマーの溶解性が良い、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエンが代表例である。
(ハードコート層の増粘剤)
ハードコート層には、塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
増粘させることにより、含有する粒子の沈降を抑えたり、ムラ防止の効果を期待できる。ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、さらに好ましくは1〜50cPであり、最も好ましくは2〜50cPである。
増粘剤として用いられる高分子ポリマーは、フッ素原子および/または珪素原子を実質的に含まないことが好ましい。ここでいう「実質的に」とは高分子ポリマー質量中フッ素原子および/または珪素原子の含有量が0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下という意味である。
このような増粘剤としては高分子ポリマーが好ましく、具体的に以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
ポリビニルアセテート
ポリビニルプロピオネート
ポリビニルブチレート
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
この中で、特にポリメタクリル酸エステル(具体的にはポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル)、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが好ましい。
また、これらの質量平均分子量としては10万〜100万のものが好ましい。
この他にも特開平8−325491号記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイト及びポリアクリル酸ソーダ、特開平10−219136エチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することが出来る。
[透明支持体]
本発明のフィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルムポリオレフィン、脂環式構造を有するポリマー(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製))、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有するポリマーが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。
支持体の巾は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることがさらに好ましい。支持体はロール形態の長尺で取り扱うことができ、通常100m〜5000m、好ましくは500m〜3000mのものである。
支持体の表面は平滑であることが好ましく、平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることがさらに好ましい。
<セルロースアシレートフィルム>
上記各種フィルムの中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましい。
セルロースアシレートフィルムについては力学特性、透明性、平面性などを改良する目的のため、種々の改良技術が知られており、公開技報2001−1745に記載された技術は公知のものとして本発明のフィルムに用いることができる。
本発明ではセルロースアシレートフィルムの中でもセルローストリアセテートフィルムが特に好ましく、セルロースアシレートフィルムに酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
セルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、またはフィルム製造の際における流延後の乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)、ジフェニルビフェニルホスフェート、およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジシクロヘキシルフタレート(DCyP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)およびO−アセチルクエン酸トリシクロヘキシル(OACTCy)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。なかでもフタル酸エステル系可塑剤及びクエン酸エステル系可塑剤が好ましく用いられる。DEP、DPP及びOACTCyが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースアシレートの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
[光学フィルムの特性]
本発明の光学フィルム表面の、25℃60%RH環境下で測定した、純水に対する接触角は90゜以上であることが防汚性の点で好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。また、偏光板加工時に必要となる鹸化処理(後述)前後での接触角の変化が5°以下が好ましく、更に好ましくは3°以下であり、最も好ましくは1°以下である。
本発明の光学フィルムの、ポリエチレンテレフタレートに対する、25℃60%RH環境下で測定した垂直剥離帯電量は、−500pc(ピコクーロン)/cm2〜+500pc
(ピコクーロン)/cm2であることが、防塵性の点で好ましい。好ましくは、−200pc(ピコクーロン)/cm2〜+200pc(ピコクーロン)/cm2、さらに好ましくは、−100pc(ピコクーロン)/cm2〜+100pc(ピコクーロン)/cm2である。なお、垂直剥離帯電量は以下の通りである。
測定サンプルを予め25℃60%RHの環境下で2時間以上放置しておく。測定装置は、測定サンプルを置く台と相手のフィルムを保持して測定サンプルに上から圧着と剥離を繰り返せるヘッドからなり、このヘッドにポリエチレンテレフタレートを装着する。測定部分を除電した後、ヘッドを測定サンプルに圧着させ、剥離させることを繰り返し、1回目の剥離時と、5回目の剥離時の帯電量の値を読み、これを平均する。サンプルを変えて3サンプルでこれを繰り返し、全てを平均したものを垂直剥離帯電量とする。
また、低屈折率層の構成材料のうち、少なくとも1種が含フッ素材料からなる光学フィルムの場合、上記垂直剥離帯電量の好ましい範囲に収めるためには、光電子スペクトル強度比F/Cが0.5〜5、好ましくは0.5〜3、さらに0.5〜2であることが好ましい。また、垂直剥離帯電量の調整として、フッ素同様に表面配向性の高いシリコーンを含有させることが好ましく、結果、光電子スペクトル強度比Si/Cが0.05〜0.5、好ましくは0.1〜0.5、さらに0.2〜0.5であることが好ましい。尚、F/C(=F1s/C1s)、Si/C(=Si2p/C1s)は以下で測定された値である。
島津製作所(株)製ESCA-3400(真空度1×10−5Pa、X線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mA)で光学フィルムの最表面のSi2p、F1s、C1sの光電子スペクトルを測定した。
更に防塵性を強化するためには、本発明の光学フィルムの表面抵抗値を1×1011Ω/□未満、好ましくは1×1010Ω/□未満、更に好ましくは1×10Ω/□未満にするとよい。尚、表面抵抗値の測定方法は後述する。本発明の光学フィルムには導電性を付与するために、各種の導電性粒子を用いることができる。導電性粒子は、金属の酸化物または窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが含まれる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が含まれる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
帯電防止層に用いる導電性無機粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される帯電防止層中の導電性無機粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
導電性無機粒子を表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、アルミナおよびシリカが含まれる。シリカ処理が特に好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。二種類以上の表面処理を組み合わせて実施してもよい。
導電性無機粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましい。
二種類以上の導電性粒子を特定の層内あるいはフィルムとして併用してもよい。帯電防止層中の導電性無機粒子の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。また、導電性無機粒子は、分散物の状態で帯電防止層の形成に使用することができる。
表面抵抗値の測定方法は、サンプルフィルムを予め25℃60%RHの環境下で2時間以上放置しておく。この後、塗布層側の表面抵抗を、超絶縁抵抗/微小電流計TR8601((株)アドバンテスト製)で測定した。
本発明の光学フィルムの動摩擦係数は、0.3以下が耐擦傷性向上(応力集中防止)の点で好ましい。より好ましくは、0.2以下、更に好ましくは0.1以下である。動摩擦係数の測定方法は以下の通りである。
測定サンプルを予め25℃60%RHの環境下で2時間以上放置しておく。この後、HEIDON−14動摩擦測定器により、5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/分にて測定した値を用いた。
本発明の光学フィルムにおいて、450nm〜650nmの波長領域での、5°正反射率の平均値をA、積分反射率の平均値をBとしたとき、Bが3%以下であり、B−Aが1.5%以下であることが、明室環境下での黒表示の締まりや明室コントラスト向上の点で好ましい。Bは2%以下がより好ましく、さらに1%以下が好ましい。また、B−Aは1%以下がより好ましく、さらに0.5%以下が好ましい。5°正反射率と積分反射率の平均値の測定は以下の通りである。
鏡面反射率の測定は、分光光度計"V−550"[日本分光(株)製]にアダプター"ARV−474"を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均の鏡面反射率を算出した。積分反射率の測定は、分光光度計"V−550"[日本分光(株)製]にアダプター"ILV−471"を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、450〜650nmの平均の積分反射率を算出した。
[光学フィルムの作製方法]
本発明の光学フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
(塗布液の調整)
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
(濾過)
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルタは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜50μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜40μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
濾過フィルタ部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
(塗布前の処理)
本発明で使用する支持体は、塗布前に、ベース変形の矯正のための加熱処理、あるいは、塗工性改良や塗設層との接着性改良のための表面処理を施すことが好ましい。表面処理の具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
さらに、塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行う方法、特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、フィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のようにセルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
(塗布)
本発明のフィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)
(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至フッ素含有オレフィン系重合体を含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、ハードコート層や低屈折率層において、ウエット塗布量の少ない領域(20ml/m2以下)で好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に説明する。
<ダイコーターの構成>
図2は本発明を実施したスロットダイを用いたコーターの断面図である。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、例えば図2に示すような略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの進行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
図3は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は本発明のスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、本発明のスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは30μm以上100μm以下であり、好ましくは30μm以上80μm以下、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。下流側リップのランド長さILOが30μmよりも短い場合は、先端リップのエッジあるいはランドが欠けやすく、塗膜にスジが発生しやすくなり、結果的には塗布が不可能になる。また、下流側の濡れ線位置の設定が困難になり、塗布液が下流側で広がりやすくなるという問題も発生する。この下流側での塗布液の濡れ広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながることが従来より知られている。一方、下流側リップのランド長さILOが100μmよりも長い場合は、ビードそのものを形成することができないために、薄層塗布を行うことは不可能である。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成が可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェブWの隙間GLとは、下流側リップランド18bとウェブWの隙間を示す。
図4は、本発明を実施した塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。
ウェブWの進行方向側とは反対側に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間にはそれぞれ隙間GB、GSが存在する。
図5は、近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。サイドプレートとバックプレートは図5のようにチャンバー本体と一体のものであってもよいし、適宜隙間を変えられるようにチャンバーにネジなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェブWの間、サイドプレート40bとウェブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB、GSと定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェブWとの隙間GBとは、減圧チャンバー40を図4のようにウェブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェブWまでの隙間を示す。
バックプレート40aとウェブWとの隙間GBをスロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GLよりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェブWとの隙間GLが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェブWの間の隙間GBは100μm以上500μm以下が好ましい。
<材質、精度>
前記ウェブの進行方向側の先端リップのウェブ走行方向における長さは、長いほどビード形成に不利であり、この長さがスロットダイ幅方向における任意の個所間でばらつくと、かすかな外乱によりビードが不安定になる。したがって、この長さをスロットダイ幅方向における変動幅が20μm以内とすることが好ましい。
また、スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまい、前記のようにスロットダイ先端リップのウェブ走行方向における長さを30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足できない。したがって、高い加工精度を維持するためには、特許第2817053号公報に記載されているような超硬材質のものを用いることが重要である。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布を実現するためには、先端リップのウェブ進行方向側のランドの前記長さ及びウェブとの隙間のスロットダイ幅方向のばらつきも重要な因子となる。この二つの因子の組合せ、つまり隙間の変動幅をある程度抑えられる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、前記隙間のスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップとバックアップロールの真直度を出す。
(塗布速度)
上記の様なバックアップロール及び先端リップの精度を達成することにより、本発明で好ましく用いられる塗布方式は高速塗布時における膜厚の安定性が高い。さらに、前記塗布方式は前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。低塗布量の塗布液に対して、該塗布方式は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。他の塗布方式でも塗布は可能であるが、ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であり、段状のムラが発生しやすい。リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすい。また、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難である。前記ダイコート法を用い、50m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
(乾燥)
本発明のフィルムは、支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。
溶剤を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては特開2001−286817号、同2001−314798号、同2003−126768号、同2003−315505号、同2004−34002号などが挙げられる。
乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を支持体上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を支持体上に塗布した後、乾燥ゾーン内で支持体の塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと支持体との温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
(硬化)
本発明の光学フィルムは溶剤の乾燥の後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を、電離放射線を照射しかつ電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、膜面温度50℃以上に加熱した状態で、酸素濃度1000ppm、好ましくは500ppm、さらに好ましくは、100ppm、最も好ましくは50ppm以下の雰囲気で電離放射線を照射する工程によって硬化することが好ましい。
また電離放射線照射と同時および/または連続して、低酸素濃度の雰囲気で加熱されることも好ましい。
特に最外層であり、かつ膜厚が薄い低屈折率層がこの方法で硬化されることが好ましい。硬化反応が熱で加速され、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
電離放射線を照射する時間については0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.5秒以下では、硬化反応が完了することができず、十分な硬化を行うことができない。また長時間低酸素条件を維持することは、設備が大型化し、多量の不活性ガスが必要であり好ましくない。
酸素濃度を1000ppm以下にする手法としては、大気を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
不活性ガスを、電離放射線による硬化反応が行なわれる電離放射線照射室(「反応室」ともいう)に供給し、かつ反応室のウェッブ入口側にやや吹き出す条件にすることで、ウェッブ搬送にともなう導搬エアーを排除し反応室の酸素濃度を有効に下げられるとともに、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。反応室のウェッブ入口側での不活性ガスの流れの方向は、反応室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。
不活性ガスをウェッブ表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましく用いられる。
また前記反応室の前に前室を設け、事前にウェッブ表面の酸素を排除することで、より硬化を効率よく進めることができる。また電離放射線反応室または前室のウェッブ入口側を構成する側面は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェッブ表面とのギャップは0.2〜15mmが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとするのがもっとも好ましい。しかし、ウェッブを連続製造するには、ウェッブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、電離放射線反応室または前室の入口面とウェッブのギャップをあまり狭くすると、接合テープなど接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするためには、電離放射線反応室または前室の入口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分ギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、電離放射線反応室または前室の入口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げるやり方や、電離放射線反応室または前室の入口面をウェッブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げるやり方を取ることができる。
紫外線照射は、構成する複数の層それぞれに対して1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線が酸素濃度1000ppmを超えることのない連続した反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。
特に高生産性のため製造速度をあげた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となる。
また、硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に層を設けて電離放射線および/または熱により硬化した際に下層の硬化率が上層を設ける前よりも高くなると、下層と上層との間の密着性が改良され、好ましい。
(ハンドリング)
本発明のフィルムを連続的に製造するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程が行われる。
ロール状のフィルム支持体からフィルム支持体がクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、フィルム支持体に帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続きフィルム支持体上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液がフィルム支持体上に塗布され、塗布されたフィルム支持体は乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有するフィルム支持体は乾燥室から硬化室へ送り出され、塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、硬化した層を有するフィルム支持体は硬化部へ送られ硬化を完結させ、硬化が完結した層を有するフィルム支持体は巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−硬化部を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能である。
本発明のフィルムを作成するためには、前記したように塗布液の精密濾過操作と同時に、塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
(鹸化処理)
本発明のフィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作製する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
a.アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、塗布層を有する表面と反対の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、塗布層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に塗布層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、フィルムが受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
b.アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を塗布層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
c.ラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、塗布層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、塗布層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
d.中途層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
下層層まではアルカリ液に対する耐性があるが、上層のアルカリ液に対する耐性不足である場合には、下層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に上層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、たとえば、ハードコート層とフッ素含有ゾルーゲル膜の低屈折率層とからなるフィルムにおいて、親水基を有する場合にはハードコート層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
e.予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに塗布層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して塗布層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、塗布層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから塗布層を形成することで対処できる。また、塗布層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
[偏光膜の作製]
本発明のフィルムは、偏光膜およびその片側ないし両側に配置された保護フィルムとして使用し、偏光膜として使用することができる。
一方の保護フィルムとして、本発明のフィルムを用い、他方の保護フィルムには、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、上述の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が本発明の光学フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることが好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
光学フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体やポリマーフィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。
この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。
上記透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、本発明の光学フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
[本発明の使用形態]
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明に従う光学フィルムは、プラズマディスプレイパネル(PDP)または陰極管表示装置(CRT)など公知のディスプレイ上に用いることが出来る。
[液晶表示装置]
本発明の光学フィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
一般的に、液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルとして、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードは本発明の光学フィルム、およびそれを含む偏光板と組み合わせて使用することが好ましく、特に明室下での黒表示の高品位化による明室下の高コントラストが実現できるという観点では、VAモード、IPSモードがより好ましく、その中でも黒表示時の光漏れが起こりやすいIPSモードとの組合せが最も好ましい。
(TNモード)
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
(VAモード)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
(OCBモード)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
(IPSモード)
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
(ECBモード)
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
[液晶表示装置以外のディスプレイ]
(PDP)
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルムをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)または裏側(ディスプレイ側)に光学フィルムを貼り付けることもできる。
(タッチパネル)
本発明の光学フィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
(有機EL素子)
本発明の光学フィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明の光学フィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
以下、本発明の実施例を示すがこれに示す限りではない。なお、以下において、実施例試料201、202、204、205、213、214以外の実施例試料は「参考例試料」と読み替えるものとする。
Figure 0005175468
ハードコート層塗布液のHC-1〜HC-3については、上記の表に従って調整した。表中の数字は質量%の表記になっている。尚、PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]、DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]、単分散シリカ:シーホスタKE-P150、粒径1.5μm、[日本触媒(株)製]、凝集性シリカ:2次凝集径1.5μm(1次粒径数十nm)、[日本シリカ(株)性]、イルガキュア184:重合開始剤、[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]、イルガキュア907:重合開始剤、[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]である。上記を十分に混合した各液を、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、ハードコート層塗布液HC−1〜HC−3を完成させた。
(ハードコート層の塗設)
特開2003−211052号の図1に記載されたスロットダイコーターを用いて、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、ハードコート層塗布液HC−1〜HC−3を塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量50mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、各々厚さ2.5μmのハードコート層を有した光学フィルムを作製し、巻き取った。
また、上記HC−2の単分散シリカ、あるいは上記HC−3の凝集性シリカのハードコート層中のシリカ添加量を変える以外、HC−2、あるいはHC−3と全く同じように作製したハードコート層付き光学フィルムを作製した。
HC−2−(1)は、HC−2の単分散シリカの添加量を2倍に増量した。
また、HC−3−(1)〜(8)は、HC−3の凝集性シリカの添加量を0.1倍〜5倍以内で変更調節した。
これら試料を実施例試料または比較試料1〜14とする。また、実施例試料6、実施例試料8の凝集性シリカを、凝集性アルミナ:2次凝集径1.5μm(1次粒径数十nm)、[住友化学工業(株)性]に変える以外、全く同じように作製した試料を実施例試料13(塗布液名HC-4-(1))、実施例試料14(塗布液名HC-4-(2))とする。詳しくは表3に記載した。
(黒表示時の黒の締まり<表示性能>)
IPS方式液晶セルを使用した液晶表示装置(32”TV:W32-L7000、日立
(株)製)に設けられている視認側の表面フィルムを剥がし、代わりに本発明の光学フィルムを、塗布面を視認側にして、裏面に粘着剤を介して貼り付けた。1000luxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、目視により評価し、下記判定を行った。
20点満点で評価。20点は、外光による白ちゃけ感が全く感じられず、黒表示としては輝度が低く、明室下コントラストが申し分なく高い。一方、5点未満は、外光による白ちゃけ感が強すぎて、黒表示として許容外(NG)であり、明室下コントラストが低い。
(鉛筆硬度<耐擦傷性(i)>)
本発明の光学フィルムに対し、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した。
(表面へイズ)
[1]JIS−K7136に準じて、得られた光学フィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
[2]光学フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られた光学フィルムを密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出した。
Figure 0005175468
表3からわかるように、〔1〕黒表示時の黒の締まりは、表面ヘイズが0〜12%であることが必要であり、好ましくは0〜8%、更に好ましくは0〜5%であった。また、黒の締まりは、単分散シリカよりも凝集性アルミナや凝集性シリカの方が良好であって、特に凝集性のシリカ粒子が最も良好の結果であった。さらに、〔2〕金属酸化物粒子(表3では単分散シリカ、凝集性シリカ、凝集性アルミナ、等)を用いることで、鉛筆硬度を高めることができ、表面フィルムとしてはより好ましいものであった。
次に、HC-1液を用いて、表4に記載の厚みになるように、ハードコート層第1層として塗設し、さらにHC-3-(2)液をハードコート層第2層として、そのまま塗設する以外は、実施例試料6と全く同様に作製した試料を実施例試料15〜19とした。詳しくは下表4に記載した。
Figure 0005175468
表4からわかるように、本発明の態様にて、ハードコート層厚を厚くすることは、鉛筆硬度を高める点で好ましく、耐擦傷性の良好な、しかも、黒の締まりの良好な光学フィルム(画像表示装置)を提供できる。総膜厚が40μmを越える実施例試料19では、膜厚が厚いため、カールがやや大きく、製造ラインでのハンドリングの安定性を考え、40μm以下が好ましい。
次に、実施例試料16において、ハードコート層第1層中に、表5に示す粒子を、表5に示す量だけ含有させた以外は、実施例試料16と全く同じに作製した試料を実施例試料20〜28とする。尚、表5で記載の(1)粒子は、MX−800(架橋ポリメチルメタクリレート粒子)、粒径8μm、綜研化学(株)製であり、(2)粒子は、SX−500(架橋ポリスチレン粒子)、粒径5μm、綜研化学(株)製であり、(3)粒子は、SBX−8(高架橋ポリスチレン粒子)、粒径8μm、積水化成(株)製である。これら各粒子に対し、前述の測定条件にて圧縮強度を測定したところ、(1)粒子は、1.5kgf/mm2、(2)粒子は2.1kgf/mm2、(3)粒子は5.8kgf/mm2であった。詳しくは下表5に記載した。
Figure 0005175468
表5からわかるように、圧縮強度2kgf/mm2に満たない粒子(表5では粒子(1))を使用しても、鉛筆硬度の更なる向上は図れていないが、圧縮強度2kgf/mm2を越える粒子(表5では粒子(2)や粒子(3))を使用すると、鉛筆硬度の更なる向上ができており、硬度の高い光学フィルムを提供する上で好ましい。
(表面粗さ)
粗さ曲線が中心線と交差する交点から求めた山谷-周期の間隔の平均値Smの測定は、JIS−B0601に準じて行った。
実施例試料8において、HC-3-(4)塗布液の塗工厚みを表6に示すように塗工し、Smの異なるサンプルを作製する以外は、実施例試料8と全く同じように作製した試料を、実施例試料29〜42とする。詳しくは下記の表6に記載した。尚、光学フィルム表面のざらつき感については下記の評価を行った
(ざらつき感の評価)
トリアセチルセルロースのTAC-TD80U(富士写真フイルム(株)製、厚み80μm)で作製した偏光板と、本発明の光学フィルムで作製した偏光板とをクロスニコルで貼りあわせ、検査用サンプルを作製した後、1000luxの明室にて、光学フィルム側表面のざらつき感(突起の粗密感)を目視評価(反射検査)した。詳しくは下表6に記載した。
ざらつき感非常に良好(非常にキメが細かい): ◎
ざらつき感良好: ○
ざらつき感まずまず: ○△
ざらつき感、やや気になる: △
ざらつき感、問題: ×
Figure 0005175468
表6からわかるように、黒の締まりと、さらに外観のざらつき感を良好にするためには、Sm値は50〜200μmが好ましく、70〜160μmがさらに好ましく、90〜130μmが最も好ましい。
次に、実施例試料5、6、13、16、27について、各々のハードコート層に用いているフッ素系レベリング剤FP-7に対し、(1)FP-7を除去する、(2)FP-7を除去し、FP-7の変わりに、フッ素系レベリング剤FP−86を同量用いる。(3)FP-7を除去し、FP-7の変わりに、シリコーン系レベリング剤X−22−945(信越化学(株)製)を同量用いる。(4)FP-7を半分量とし、シリコーンレベリング剤X−22−945を、FP-7の半分量追添する、の4種の処方に変えた以外は全く同様に作製した光学フィルムの外観面状を評価した。尚、外観面状については、下記の通りである。
(外観面状の評価)
トリアセチルセルロースのTAC-TD80U(富士写真フイルム(株)製、厚み80μm)で作製した偏光板と、本発明の光学フィルムで作製した偏光板とをクロスニコルで貼りあわせ、検査用サンプルを作製した後、室内を暗室にし、スタンド式3波長蛍光灯にて、光学フィルム側表面の外観面状を目視評価(反射検査)した。
実施例試料5、6、13、16、27は非常に良好な面状であったに対し、(1)にした各試料群は面状が劣り、好ましいものではなかった。一方、(2)あるいは(3)にした各試料群は、実施例試料5、6、13、16、27同様、面状は良好であり優れた光学フィルムであった。また、フッ素系レベリング剤とシリコーン系レベリング剤を併用した、(4)の試料群は、面状が1ランクさらに向上しており、非常に優れた光学フィルムであった。
また、ハードコート層を2層有する実施例試料16、27において、各々、(5)ハードコート第1層のみフッ素系レベリング剤FP-7を除去、(6)ハードコート層第2層のみフッ素系レベリング剤FP-7を除去、した以外、実施例試料16、27と全く同様に作製した光学フィルムの外観面状を評価したところ、ハードコート層第1層、ハードコート層第2層の両方にレベリング剤を使用した、実施例試料16、27が最も外観面状が良く、光学フィルムの全層にレベリング剤を使用することが好ましいことがわかった。
(低屈折率層の塗設)[ゾル液(a)の調製]
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器内において、メチルエチルケトン119質量部、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM−5103”{信越化学工業(株)製)101質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液(a)を得た。ゾル液(a)の質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100質量%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。最終的にはメチルエチルケトンで調整し、固形分濃度29重量%とした。
[低屈折率層塗布液の調製]
低屈折率層塗布液LN-1〜LN-9については、下記の表に従って調整した。表中の数字は質量部の表記になっている。
Figure 0005175468
上記の各々の塗布液を、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して低屈折率層塗布液(LN−1〜9)を完成させた。
上記の各々の塗布液の作製に使用した化合物を以下に示す。“JTA−113”(JSR(株)製):熱架橋性の、シリコーン部位含有の含フッ素ポリマー溶液、屈折率1.44、固形分濃度6質量%(溶剤としてメチルエチルケトン使用)、固形分のうち、熱架橋性シリコーン部位含有の含フッ素ポリマー78質量%、メラミン系架橋剤20質量%、パラトルエンスルフォン酸塩2質量%、
“P−3”:特開平2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体(P−3)、質量平均分子量約50000、固形分濃度23.8質量%(溶剤としてメチルエチルケトン使用)、
“MEK−ST”(日産化学(株)製):シリカ粒子分散液、平均粒径15nm、固形分濃度30質量%(分散溶剤メチルエチルケトン)、
“MEK−ST−L”(日産化学(株)製):シリカ粒子分散液、平均粒径45nm、固形分濃度30質量%(分散溶剤メチルエチルケトン)、
“本明細書〔化12〕に記載の21化合物溶液”:固形分濃度2質量%(溶剤としてメチルエチルケトン使用)、
“MP−トリアジン”((株)三和ケミカル製):光重合開始剤、
“RMS−033”(Gelest社製):反応性シリコーン樹脂、固形分濃度6質量%(メチルエチルケトンで希釈)
さらに後述する中空シリカ分散液は、「中空シリカ分散液」:CS−60、分散溶剤イソプロピルアルコール、触媒化成工業(製)、屈折率1.31、平均粒径60nm、シェル厚み10nm、の中空シリカ粒子に「KBM−5103(信越化学(株)製シランカップリング剤)」を表面修飾した中空シリカ粒子分散液(表面修飾率:対中空シリカ30質量%)であり、固形分濃度18.2質量%の分散液である。
(低屈折率層の塗設−1)
本発明の各種ハードコート層を塗設した後、さらに、上記低屈折率層用塗布液LN-1〜LN-8については、バーコーターにて、低屈折率層の乾燥膜厚が95nmになるようにウエット塗布し、続いて、120℃で150秒間乾燥の後、更に100℃で8分間乾燥させてから、窒素パージにより、酸素濃度100ppmの雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量110mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層を形成させて巻き取った。
(低屈折率層の塗設−2)
本発明の各種ハードコート層を塗設した後、さらに、上記低屈折率層用塗布液LN-9については、ダイコーターにて、低屈折率層の乾燥膜厚が95nmになるようにウエット塗布し、続いて、120℃で70秒間乾燥の後、さらに窒素パージにより、酸素濃度100ppmの雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層を形成させて巻き取った。
実施例試料4〜10、13〜19、および、実施例試料29〜42、の各ハードコート層上に、上記のLN-6塗布液を上記の低屈折率層塗設方法に従って塗設した以外は、実施例試料4〜10、13〜19、および、実施例試料29〜42と全く同様に試料を作製した。これらを、実施例試料104〜110、113〜119、および、実施例試料129〜142とした。黒の締まりの結果を下表8〜10に示す。
Figure 0005175468
Figure 0005175468
Figure 0005175468
表8〜10でわかるように、本発明のハードコート層上にさらに低屈折率層を設けることで、黒表示の締まりがいっそう良くなり、非常に表示品位の高い、また明室コントラストの高い光学フィルムを提供できる。
実施例試料106において、(1)ハードコート層中の凝集性シリカの量を変更する(表面ヘイズを調整)、(2)下記に記載の二酸化チタン微粒子をハードコート層に添加し、ハードコート層の屈折率を上げる(ハードコート層の屈折率を二酸化チタン塗布量で調整する)、(3)低屈折率層中のシリカ微粒子量を、前記中空シリカ微粒子に置き換える(低屈折率層の屈折率を調整)、それ以外は実施例試料106と全く同様に作製した試料を実施例試料201〜214とし、各塗布量、およびそれらの積分反射率と鏡面反射率の値は下表11に記載する。
なお、各々の実施例試料の表面ヘイズ値、内部ヘイズ値、およびSm値は、いずれも請求項1の範囲であった。
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業
(株)製、TiO:Co:Al:ZrO=90.5:3.0:4.0:0.5重量比)を使用した。この二酸化チタン微粒子257.1質量部に、下記分散剤41.1質量部、およびシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、重量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製し、本発明のハードコート層塗布液に入れて、処方量を調整した。
Figure 0005175468
(反射率)
鏡面反射率の測定は、分光光度計"V−550"[日本分光(株)製]にアダプター"ARV−474"を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均の鏡面反射率を算出した。積分反射率の測定は、分光光度計"V−550"[日本分光(株)製]にアダプター"ILV−471"を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、450〜650nmの平均の積分反射率を算出した。
Figure 0005175468
表11からわかるように、本発明試料において、Bが3%以下であり、B−Aが1.5%以下であることが、明室環境下での黒表示時の黒の締まりが良好である光学フィルムである。さらに、Bは2.5%以下がより好ましく、2%以下がいっそう好ましい。また、B−Aは1%以下がより好ましく、0.5%以下がいっそう好ましいことがわかる。
実施例試料106において、LN-6塗布液を、LN-1〜5、7〜9塗布液に変え、前記の低屈折率層塗設方法に従って塗設した以外は、実施例試料106と全く同様に作製した試料を実施例試料301〜305、実施例試料307〜309とした。また、LN-6塗布液において、低屈折率層中に含まれるシリカ微粒子のサイズを45nmから95nm(低屈折率層の厚みの100%)、145nm(低屈折率層の厚みの150%)、160nm(低屈折率層の厚みの160%)、に変更する(塗布液名;LN-61、LN-62、LN-63とする)以外は実施例試料106と全く同様に作製した試料を実施例試料310〜312とした。詳しくは下表12に記載した。
なお、各々の実施例試料の表面ヘイズ値、内部ヘイズ値、およびSm値は、いずれも請求項1の範囲であり、実施例試料106とほぼ同じであった。
(スチールウール擦り耐性<耐擦傷性(ii)>)
ラビングテスターを用いて、以下の条件で擦り試験を行うことで、光学フィルムの耐擦傷性を評価することができる。
評価環境条件:25℃、60%RH、擦り材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.#0000)、試料と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)に巻いてバンド固定、移動距離(片道):13cm、擦り速度:13cm/秒、荷重:500g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、擦り回数:10往復。
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光にて、擦った部分(の傷)と、擦っていない部分とを目視で比較し評価判定(10点満点)した。10点は、傷が全く見えないものとした。2点以下は耐擦傷性としてあまり好ましくない。
Figure 0005175468
実施例試料312のスチールウール擦り耐性はやや低下傾向となり、これはシリカ微粒子の粒径が低屈折率層の厚みの160%となったため、低屈折率層内にシリカ微粒子が保持されにくくなったものと考えられる。
表12から以下がわかる。本発明の光学フィルムにおいて、(1)低屈折率層厚の15%以上150%以下の平均粒径である微粒子を低屈折率層中に含有する、(2)低屈折率層を構成する少なくとも1種の透光性樹脂が紫外線(UV)硬化、および/または熱硬化できる官能基を有している、(3)低屈折率層が少なくとも2種以上の透光性樹脂からなり、そのうち少なくとも1種の透光性樹脂が紫外線(UV)硬化できる官能基を有し、これとは異なる少なくとも1種の透光性樹脂が熱硬化できる官能基を有している、(4)低屈折率層中に、さらに、少なくとも1種の重合開始剤、および、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤を含んでいる、(5)低屈折率層中に、さらに、熱硬化を促進する硬化触媒を含んでいる、ことで、いっそう耐擦傷性の優れた光学フィルムを提供できる。(5)の効果は、LN-8塗布液中に含まれる、本明細書[表1]記載のb−13化合物を、本明細書[表1]記載のb−19化合物に変えても同様の効果を確認できた。
また、低屈折率層中に含まれる、少なくとも1種の紫外線(UV)硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の重合開始剤の重量の総和を、少なくとも1種の熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤の重量の総和で除した値(X)は、LN-5が0.26(実施例試料305)、LN-6が0.18(実施例試料106)であり、(X)を0〜0.3の範囲に調節した低屈折率層塗布液を作製し、それ以外は実施例試料106と全く同様に作製した試料(実施例試料401〜410)を評価したところ、下記の表13の結果が得られ、本発明の光学フィルムにおける(X)は、0.05〜0.30が好ましく、0.10〜0.19がより好ましく、0.12〜0.16がさらに好ましいことがわかった。
Figure 0005175468
実施例試料309において、低屈折率層塗布液LN-9塗布液中のRMS-033量を0〜125%の範囲で調節する以外は、実施例試料309と全く同様に作製した試料を実施例試料501〜508とする。詳しくは下記表14に記載する。
なお、各々の実施例試料の表面ヘイズ値、内部ヘイズ値、およびSm値は、いずれも請求項1の範囲であった。
(防汚性の評価)
得られた光学フィルムに対し、防汚性の良否の指標として、(1)マジック汚れと、(2)指紋汚れ、の除去性を評価した((1)マジック汚れ除去性;黒色のマッキーケア極細(ZEBRA(株)製)を用いて、光学フィルム上に書いて、丸1日放置した後、ティッシュペーパーで拭き取り除去性を評価。(2)指紋汚れ除去性;光学フィルムに指を押し付け、指紋を付着させた後、丸一日放置した後、ティッシュペーパーで拭き取り除去性を評価)。6点満点で、6点は軽く拭くだけで、簡単にマジックや指紋が拭き取れる最高レベルとした。
また、各々の光学フィルム表面に、純水を滴下して接触角を測定し、防汚性との対応を調べた。
Figure 0005175468
表14からわかるように、本発明の光学フィルムの純水接触角が90°以上であることが防汚性の点で好ましく、95°以上であることがより好ましく、さらに好ましくは100°以上であり、最も好ましくは105°以上であった。本発明の光学フィルムの接触角を所望の範囲に調整することで、非常に良好な防汚性を有する光学フィルムを提供できる。
次に、実施例試料305において、低屈折率層塗布液LN-5塗布液中に、さらにKF−96(10cs)[シリコーンオイル、信越化学(株)製]を、追添する以外、実施例試料305と全く同様に作製した試料を実施例試料601〜606とする。また、実施例試料106において、低屈折率層塗布液LN-6塗布液中に、さらにKF−96(10cs)[シリコーンオイル、信越化学(株)製]を追添する以外、実施例試料106と全く同様に作製した試料を実施例試料607〜608とする。KF−96の添加量は、低屈折率層の全固形分に対する質量%で表し、表15に示す。また、前記の実施例試料309、および前記の実施例試料502、504、506、507、508を準備した。これらの光学フィルムに対し、スチールウール擦り耐性評価を行った。詳しくは下記表15に記載した。
なお、各々の実施例試料の表面ヘイズ値、内部ヘイズ値、およびSm値は、いずれも請求項1の範囲であった。
(動摩擦係数の測定)
本発明の光学フィルムを予め25℃60%RHの環境下で2時間以上放置しておく。この後、HEIDON−14動摩擦測定器により、5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/分にて測定した値を用いた。
Figure 0005175468
表15からわかるように、本発明の光学フィルムの動摩擦係数が0.3以下であることが好ましく、0.2以下がより好ましく、0.1以下が最も好ましい。本発明の光学フィルムの動摩擦係数を所望の範囲に調整することで、非常に良好な耐擦傷性を有する光学フィルムを提供できる。
次に、本発明の光学フィルムに対し、防塵性の評価を行った。防塵性の評価は下記の通りである。
(防塵性の評価)
本発明の光学フィルムに対し、光学フィルムを25℃60%RHで2時間調湿した後、そのままの環境下で、除電機にて除電し(ゼロキャンセル)、その後、乾いたティッシュペーパーで強く一定の力で20回擦り、次に、別に用意したティッシュペーパー屑を光学フィルム上にふりかけた。その後、光学フィルム面を机に垂直に立てて、光学フィルムの端面を机の上で3回たたき、ティッシュペーパー屑の落ち方(防塵性)を評価した。10点満点で評価し、10点は、全くティッシュペーパー屑がつかない最高のレベルとした。
(帯電防止層用塗布液の調整)
市販の透明帯電防止用塗料「ペルトロンC−4456S−7」(固形分濃度45%、日本ペルノックス(株)製)を本発明の帯電防止層用塗布液として用いた(但し、本発明の帯電防止層は、これに限るものではない)。C−4456S−7は分散剤を用いて分散された導電性微粒子ATOを含有する透明帯電防止層用塗料である。この塗料による塗膜の屈折率は1.55であった。
(帯電防止層の塗設)
本発明の光学フィルムのハードコート層と低屈折率層との間に上記透明帯電防止層を塗設した。塗設方法は、前記帯電防止層用塗布液をマイクログラビア塗布方式で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量50mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、表16に示すように塗布層厚に調節し、透明帯電防止層を設けた。
(表面抵抗値の測定)
本発明の光学フィルムの塗布層側の表面抵抗を、超絶縁抵抗/微小電流計TR8601((株)アドバンテスト製)を用いて測定した。測定サンプルに対しては、予め25℃60%RHの環境下で2時間以上放置しておく。表記は、Ω/□のオーダー表記とした。
(垂直剥離帯電量の測定)
上記表面抵抗値の測定と同様、測定サンプルを予め25℃60%RHの環境下で2時間以上放置しておく。測定装置は、測定サンプルを置く台と相手のフィルムを保持して測定サンプルに上から圧着と剥離を繰り返せるヘッドからなり、このヘッドにポリエチレンテレフタレートを装着する。測定部分を除電した後、ヘッドを測定サンプルに圧着させ、剥離させることを繰り返し、1回目の剥離時と、5回目の剥離時の帯電量の値を読み、これを平均する。サンプルを変えて3サンプルでこれを繰り返し、全てを平均したものを垂直剥離帯電量とする。
実施例試料106のハードコート層と低屈折率層との間に、前記帯電防止層を塗設する以外は実施例試料106と全く同様に作製した試料を実施例試料701〜705とし、表面抵抗値を変えた。また、前記の実施例試料309、および前記の実施例試料501、502、504、505、506、507、508を準備し、光学フィルムの表面抵抗値、垂直剥離帯電量、防塵性を評価した。詳細は下記表16に記載する。
なお、各々の実施例試料の表面ヘイズ値、内部ヘイズ値、およびSm値は、いずれも請求項1の範囲であった。
Figure 0005175468
表16からわかるように、防塵性に優れる光学フィルムを得るためには、本発明の光学フィルムにおいて、25℃60%RHでの垂直剥離帯電量の絶対値が、500pc(ピコクーロン)/cm2以下が好ましく、より好ましくは、200pc(ピコクーロン)/cm2以下であり、さらに好ましくは、100pc(ピコクーロン)/cm2以下である。更にいっそう防塵性を強化するためには、本発明の光学フィルムの表面抵抗値を1×1011Ω/□未満、より好ましくは1×1010Ω/□未満、更に好ましくは1×10Ω/□未満にすることで達成できる。
次に、実施例試料106の低屈折率層の溶剤組成を下記表17に示すように変える以外、実施例試料106と全く同様に作製した試料を実施例試料801〜831とする。
なお、各々の実施例試料の表面ヘイズ値、内部ヘイズ値、およびSm値は、いずれも請求項1の範囲であった。
(低屈折率層の乾燥ムラの評価)
トリアセチルセルロースのTAC-TD80U(富士写真フイルム(株)製、厚み80μm)で作製した偏光板と、本発明の光学フィルムで作製した偏光板とをクロスニコルで貼りあわせ、検査用サンプルを作製した後、室内を暗室にし、スタンド式3波長蛍光灯にて、光学フィルム側表面の外観面状を目視評価(反射検査)した。15満点で評価した。全く乾燥ムラが見えないレベルを15点とした。
Figure 0005175468
沸点:メチルエチルケトン(80℃)、メチルイソブチルケトン(113℃)、トルエン(111℃)、ブチルメチルケトン(127℃)、シクロヘキサノン(156℃)。
表17からわかるように、本発明の光学フィルムにおいて、低屈折率層の塗布液に含まれる溶剤のうち、沸点120℃以下の溶剤が、前記低屈折率層の塗布液溶剤の全質量の50質量%〜100質量%にすることで、低屈折率層の乾燥ムラ(面状)を良化することができ、より好ましくは、全質量の70質量%〜100質量%であり、最も好ましくは、全質量の90質量%〜100質量%である。このようにすることで、非常に優れた外観面状の光学フィルムを提供できた。
次に以下のようにして実施例試料901と902を作製した。
支持体の作製(1)
特開平2005−156642号公報の実施例1のセルロースアシレートフィルム(CA1−1)において、同組成のセルロースアシレート溶液(A−1)を用い、幅4mの流延バンドを使用して、長さ3500m、幅2200mm、厚み40μmのセルロースアシレートフィルム(CA1−1W)を作製した。
使用する支持体を前述のCA1−1Wに変更する以外、実施例試料106と全く同じ構成にて作製した実施例試料901を得た。このものは塗布長3400m、塗布幅2150mmで作製した。
支持体の作製(2)
特開平2005−156642号公報の実施例2のセルロースアシレートフィルム(CA2)において、セルロースアシレート溶液(A−2)に使用の可塑剤を、同量のエチルヘキシルフタレート(EHP)とO−アセチルクエン酸トリシクロヘキシル(OACTCy)の1:1混合物に変更して、回転ドラム流延機を使用して、長さ2500m、幅2200mm、厚み78μmのセルロースアシレートフィルム(CA2−2W)を作製した。
使用する支持体を前述のCA2−2Wに変更する以外、実施例試料106と全く同じ構成にて作製した実施例試料902を得た。このものは塗布長2400m、塗布幅2150mmで作製した。
実施例試料901及び902のいずれも明室下での黒表示が優れたものであった。
本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明を実施したスロットダイ13を用いたコーター10の断面図である。 (A)は本発明のスロットダイ13の断面形状を示し、(B)は従来のスロットダイ30の断面形状を示す。 本発明を実施した塗布工程のスロットダイ13及びその周辺を示す斜視図である。 近接している減圧チャンバー40とウェブWを示す断面図である。(バックプレート40aはチャンバー40本体と一体)
符号の説明
1 支持体
2 ハードコート層
3 粒子
4 低屈折率層
5 ハードコート層第2層
6 ハードコート層第1層
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
UP 上流側リップランド18aのランド長さ
LO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ(下流側リップランド18bと上流側リップランド18aの
ウェブWとの距離の差)
先端リップ17とウェブWの隙間(下流側リップランド18bとウェブWの隙間)
30 従来のスロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
バックプレート40aとウェブWの間の隙間
サイドプレート40bとウェブWの間の隙間

Claims (14)

  1. 透明支持体上に透光性樹脂及び凝集性のシリカ粒子を含んでなる少なくとも1層のハードコート層を有し
    表面ヘイズ値が0〜%、かつ内部ヘイズ値が0〜5%、かつSm値が50〜200μmであり、
    前記凝集性のシリカ粒子の二次粒子径をハードコート層の層厚で除した値が0.3〜0.6であり、
    前記ハードコート層が塗設された面側の最外層にこれに隣接する層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を有し、
    前記低屈折率層厚の35%以上70%以下の平均粒径の中空のシリカ微粒子を前記低屈折率層中に少なくとも1種含有する、光学フィルム。
  2. 請求項1に記載の前記ハードコート層の少なくともいずれか1層に、少なくとも一種のフッ素系レベリング剤、及び/又は少なくとも一種のシリコーン系レベリング剤を含有することを特徴とする光学フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層が塗布により形成され、前記低屈折率層を形成する塗布液が、紫外線(UV)硬化、および/または熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂を少なくとも1種含むことを特徴とする光学フィルム。
  4. 請求項のいずれか一項に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層が塗布により形成され、前記低屈折率層を形成する塗布液が少なくとも2種以上の透光性樹脂を含み、そのうち少なくとも1種の透光性樹脂が紫外線(UV)硬化できる官能基を有し、これとは異なる少なくとも1種の透光性樹脂が熱硬化できる官能基を有していることを特徴とする光学フィルム。
  5. 請求項に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に、さらに、少なくとも1種の重合開始剤、および、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤を含んでなることを特徴とする光学フィルム。
  6. 請求項に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に、さらに、少なくとも1種の熱硬化を促進する硬化触媒を含むことを特徴とする光学フィルム。
  7. 請求項又はに記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液中に含まれる、少なくとも1種の紫外線(UV)硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の重合開始剤の重量の総和を、少なくとも1種の熱硬化できる官能基を有する透光性樹脂と、少なくとも1種の熱硬化できる架橋剤の重量の総和で除した値が、0.05〜0.19であることを特徴とするとする光学フィルム。
  8. 請求項のいずれか一項に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層に少なくとも一種のフッ素系レベリング剤、及び/又は少なくとも一種のシリコーン系レベリング剤を含んでなることを特徴とする光学フィルム。
  9. 請求項のいずれか一項に記載の前記光学フィルムにおいて、前記低屈折率層を形成する塗布液に含まれる溶剤のうち、沸点120℃以下の溶剤が、前記塗布液溶剤の全質量の50質量%〜100質量%であることを特徴とする光学フィルム。
  10. 請求項1〜のいずれか一項に記載の前記光学フィルムにおいて、全層に金属酸化物粒子を含有することを特徴とする光学フィルム。
  11. 偏光子を2枚の保護フィルムで挟んでなる偏光板において、該偏光板の一方の保護フィルムが請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学フィルムまたは請求項1に記載の偏光板を具備したことを特徴とする画像表示装置。
  13. 前記画像表示装置が横電界(In−Plane−Switching)方式のTFT液晶表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  14. 透明支持体上に透光性樹脂及び凝集性のシリカ粒子を含んでなる少なくとも1層のハードコート層を有し、
    表面ヘイズ値が0〜5%、かつ内部ヘイズ値が0〜5%、かつSm値が50〜200μmであり、
    前記凝集性のシリカ粒子の二次粒子径をハードコート層の層厚で除した値が0.3〜0.6であり、
    前記ハードコート層が塗設された面側の最外層にこれに隣接する層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を有し、
    前記低屈折率層厚の35%以上70%以下の平均粒径の中空のシリカ微粒子を前記低屈折率層中に少なくとも1種含有する、光学フィルムの製造方法であって、
    透明支持体上に、コールターカウンター法により測定した二次粒子径が0.1〜10.0μmの凝集性のシリカ粒子及び透光性樹脂を含有させてなるハードコート層塗布液を塗布し、乾燥し、硬化して層厚の総和が1.5〜40μmの少なくとも1層のハードコート層を形成する工程、及び
    前記ハードコート層が塗設された面側の最外層として、これに隣接する層上に平均粒径35nm以上60nm以下の中空のシリカ微粒子を含有させてなる低屈折率層塗布液を塗布し、乾燥し、硬化して厚さ70〜120nmの低屈折率層を形成する工程
    を有する光学フィルムの製造方法。
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