JP2013073022A - 複屈折パターンを有する物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複屈折性が異なる領域を二つ以上含むパターン化光学異方性層を含む物品であって、前記パターン化光学異方性層が少なくとも1つの反応性基を有する液晶性化合物を含む組成物から形成された光学異方性層から作製された層であり、前記パターン化光学異方性層における前記液晶性化合物の残存量が前記パターン化光学異方性層の質量に対して、0〜15質量%である物品。前記組成物は好ましくは前記液晶性化合物が有する反応性基と反応できる反応性基を3つ以上有するモノマーを含む。
【選択図】なし
Description
しかし、液晶性化合物を用いて作製された複屈折パターンを有する物品は、耐薬品性が悪かったり、人体に影響して皮膚のかぶれなどを引き起こしたりする場合がある。
[1]複屈折性が異なる領域を二つ以上含むパターン化光学異方性層を含む物品であって、
前記パターン化光学異方性層が少なくとも1つの反応性基を有する液晶性化合物を含む組成物から形成された光学異方性層から作製された層であり、
前記パターン化光学異方性層における前記液晶性化合物の残存量が前記パターン化光学異方性層の質量に対して、0〜15質量%である物品。
[3]前記モノマーが液晶性を有さないモノマーである[2]に記載の物品。
[4]前記モノマーの反応性基の少なくとも1つがアクリル基、メタクリル基またはエポキシ基である[2]または[3]に記載の物品。
[5]前記液晶性化合物がラジカル重合性の反応性基またはカチオン重合性の反応性基を有する[1]〜[4]のいずれか一項に記載の物品。
[7]前記ラジカル重合性の反応性基がアクリル基およびメタクリル基から選択される1つ以上の基であり、かつ前記カチオン性基がビニルエーテル基、オキセタン基およびエポキシ基から選択される1つ以上の基である[5]または[6]に記載の物品。
[8]前記パターン化光学異方性層が、以下の工程を含む方法で形成された層である[1]〜[7]のいずれか一項に記載の物品。
(1)前記組成物を加熱または光照射して前記光学異方性層を形成する工程
(2)前記光学異方性層をパターン露光する工程;
(3)前記パターン露光後の層を50℃以上400℃以下に加熱する工程。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
複屈折パターンとは、広義には複屈折性の異なる2つ以上の領域が2次元の面内または3次元的に配置されて描かれたパターンを差す。なお特に2次元の面内においては、複屈折性は屈折率が最大となる遅相軸の方向と領域内のレターデーションの大きさの2つのパラメータにより定義される。例えば液晶性化合物による位相差フィルムなどにおける面内の配向欠陥や厚み方向の液晶の傾斜分布も広義には複屈折パターンと言えるが、狭義にはあらかじめ決めたデザインなどを基に、意図して複屈折性を制御してパターン化したものを複屈折パターンと定義することが望ましい。複屈折パターンは特に記載しない限り、複数層に渡っていてもよく、複数層のパターンの境界は一致していても異なっていてもよい。
本明細書において、「複屈折パターンを有する物品」とは、複屈折性の異なる領域を2つ以上有する物品を意味する。本発明の物品は、パターン化光学異方性層を含む。本発明の物品は、パターン化光学異方性層のほか、後述する各種機能層を含んでいてもよい。本発明の物品は、基材上に直接、または他の層を介して後述の光学異方性層を塗布し、乾燥、パターン露光などの工程を経て形成されたものであってもよく、仮支持体および接着層等を有する複屈折パターン転写箔から、所定のプロセスを経ることによりパターン化光学異方性層を基材となる物品に転写させて形成されたものであってもよい。複屈折パターン転写箔を用いる態様については特開2010−113249号公報の記載を参照できる。
本明細書において「パターン化光学異方性層」とは複屈折パターンを有する光学異方性層のことであり、複屈折性の異なる領域を2つ以上有する光学異方性層を意味する。パターン化光学異方性層は複屈折性の異なる領域を3つ以上有することがさらに好ましい。複屈折性が同一である個々の領域は連続的形状であっても非連続的形状であってもよい。パターン化光学異方性層は例えば、後述のように、液晶性化合物を含む組成物から形成された層を用い、パターン露光を含む方法で複屈折のパターンを形成することによって作製される。
本発明の物品は、パターン化光学異方性層において、未反応で残存する液晶性化合物の量がパターン化光学異方性層の質量に対し0〜15質量%であり、好ましくは0〜10質量%である。上記の量が15質量%を超えると、物品のパターン化光学異方性層部分の耐薬品性が悪くなったり、皮膚のかぶれを起こしやすくなったりする。未反応で残存する液晶性化合物の量はパターン化光学異方性層をメタノールで抽出し、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で対象の液晶性化合物を定量することにより確認できる。
図1〜8は、複屈折パターンを有する物品の例である。複屈折パターンを有する物品は少なくとも一層のパターン化光学異方性層101を有する。本明細書において「パターン化光学異方性層」とは複屈折性が異なる領域をパターン状に有する光学異方性層を意味する。パターン化光学異方性層は例えば後述の複屈折パターン作製材料を用いて容易に作製することができる。
図では複屈折性が異なる領域を101A、101B、101Cとして例示する。
以下に、複屈折パターン形成法の一例である、複屈折パターン作製材料を用いる方法について説明する。複屈折パターン作製材料は複屈折パターンを作製する為の材料であり、所定の工程を経ることで複屈折パターンを有する物品を作成することができる材料を指す。複屈折パターンの形成法については、特に記載がない限りこの方法に限定されない。
光学異方性層から、後述の方法などにより、パターン化光学異方性層を形成される。パターン形成のためには、フォトマスクによる露光あるいは走査露光などのパターン露光を用いることが好ましい。該パターニング工程に加えて必要に応じて熱や薬液による漂白、現像などと組み合わせてパターンを形成することもできる。この場合支持体の制約が少ないことから熱による漂白、現像が好ましい。図9(b)に示す複屈折パターン作製材料は、自己支持性を有する光学異方性層12に反射層13を付した例である。
図11(a)〜(c)に示す複屈折パターン作製材料は配向層14を有する例である。
図12(a)〜(d)は粘着層を有する複屈折パターン作製材料の例である。
図13(a)〜(d)は印刷層を有する複屈折パターン作製材料の例である。
図15(a)〜(d)は添加剤層を有する複屈折パターン作製材料の例である。
複屈折パターン作製材料における光学異方性層は、レターデーションを測定したときにレターデーションが実質的に0でない入射方向が一つでもある、即ち等方性でない光学特性を有する層である。
光学異方性層は20℃においてレターデーションが5nm以上であればよく、10nm以上10000nm以下であることが好ましく、20nm以上2000nm以下であることが最も好ましい。レターデーションが5nm以下では複屈折パターンの形成が困難である場合がある。レターデーションが10000nmを越えると、誤差が大きくなり実用できる精度を達成することが困難である場合がある。
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできるが、棒状液晶性化合物を用いることが好ましい。
なお、本明細書において、液晶性化合物を含む組成物から形成された層について記載されるとき、この形成された層において液晶性を有する化合物が含まれる必要はない。例えば、前記低分子液晶性化合物が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものが含まれる層であってもよい。また、液晶性化合物としては、2種以上の棒状液晶性化合物、2種以上の円盤状液晶性化合物、又は棒状液晶性化合物と円盤状液晶性化合物との混合物を用いてもよい。温度変化や湿度変化を小さくできることから、反応性基を有する棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物を用いて形成することがより好ましく、少なくとも1つは1液晶分子中の反応性基が2以上あることがさらに好ましい。2種以上の液晶性化合物の混合物の場合、少なくとも1つが2以上の反応性基を有していることが好ましい。
液晶性化合物として、反応性基を有する円盤状液晶性化合物を用いる場合、水平配向、垂直配向、傾斜配向、およびねじれ配向のいずれの配向状態で固定されていてもよい。
前記の液晶性化合物を含む組成物は、前記液晶性化合物が有する反応性基と反応できる反応性基を3つ以上有するモノマーを含むことが好ましい。このようなモノマーの使用により、形成されるパターン化光学異方性層中の未反応で残存する液晶性化合物の量を調整することができる。前記モノマーは、液晶性を有さないモノマーであることが好ましい。このようなモノマーの好ましい例としては前記液晶性化合物が有する反応性基にもよるが、アクリル基、メタクリル基またはエポキシ基を有するモノマーがあげられる。具体的なモノマーの例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロルプロパントリアクリレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物、3、4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3、'4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレートがあげられる。
液晶性化合物を含有する組成物を、塗布液として、例えば支持体又は後述する配向層等の表面に塗布する場合の塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
液晶性化合物の配向の固定化は、液晶性化合物に導入した反応性基の架橋反応により実施することが好ましく、反応性基の重合反応により実施することがさらに好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合のいずれでも構わない。ラジカル光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。カチオン光重合開始剤の例には、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系等を例示する事ができ、有機スルフォニウム塩系、が好ましく、トリフェニルスルフォニウム塩が特に好ましい。これら化合物の対イオンとしては、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロフォスフェートなどが好ましく用いられる。
前記光学異方性層は、偏光照射による光配向で面内のレターデーションが発現あるいは増加した層であってもよい。偏光照射は、特開2009−69793号公報の段落「0091」〜「0092」の記載、特表2005−513241号公報(国際公開WO2003/054111)の記載などを参照して行うことができる。
前述したように、液晶性化合物が重合条件の異なる2種類以上の反応性基を有することもまた好ましい。この場合、条件を選択して複数種類の反応性基の一部種類のみを重合させることにより、未反応の反応性基を有するポリマーを含む光学異方性層を作製することが可能である。このような液晶性化合物として、ラジカル性の反応基とカチオン性の反応基を有する液晶性化合物(具体例としては例えば、前述のI−22〜I−25)を用いた場合に特に適した重合固定化の条件について以下に説明する。
前記光学異方性層の形成用組成物中に、特開2009−69793号公報の段落「0098」〜「0105」に記載の、一般式(1)〜(3)で表される化合物および一般式(4)のモノマーを用いた含フッ素ホモポリマーまたはコポリマーの少なくとも一種を含有させることで、液晶性化合物の分子を実質的に水平配向させることができる。尚、本明細書において「水平配向」とは、棒状液晶の場合、分子長軸と透明支持体の水平面が平行であることをいい、円盤状液晶の場合、円盤状液晶性化合物のコアの円盤面と透明支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
水平配向剤の添加量としては、液晶性化合物の質量の0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。なお、特開2009−69793号公報の段落「0098」〜「0105」に記載の一般式(1)〜(4)にて表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
上記のように複屈折パターン作製材料は、光学異方性層を2層以上有してもよい。2層以上の光学異方性層は法線方向に互いに隣接していてもよいし、間に別の機能性層を挟んでいてもよい。2層以上の光学異方性層は互いにほぼ同等のレターデーションを有していてもよく、異なるレターデーションを有していてもよい。また遅相軸の方向が互いにほぼ同じ方向を向いていてもよく、異なる向きを向いていてもよい。遅相軸の方向が互いにほぼ同じ方向を向いている2層以上の光学異方性層を用いることによって、大きなレターデーションを有するパターンを作製することができる。
作製された光学異方性層を改質するために、様々な後処理を行ってもよい。後処理としては例えば、密着性向上の為のコロナ処理や、柔軟性向上の為の可塑剤添加、保存性向上の為の熱重合禁止剤添加、反応性向上の為のカップリング処理などが挙げられる。また、光学異方性層中のポリマーが未反応の反応性基を有する場合、該反応性基に対応する重合開始剤を添加することも有効な改質手段である。例えば、カチオン性の反応性基とラジカル性の反応性基を有する液晶性化合物をカチオン光重合開始剤を用いて配向固定化した光学異方性層に対してラジカル光重合開始剤を添加することで、後にパターン露光を行う際の未反応のラジカル性の反応性基の反応を促進することができる。可塑剤や光重合開始剤の添加手段としては、例えば、光学異方性層を該当する添加剤の溶液に浸漬する手段や、光学異方性層の上に該当する添加剤の溶液を塗布して浸透させる手段などが挙げられる。また、光学異方性層の上に他の層を塗布する際にその層の塗布液に添加剤を添加しておき、光学異方性層に浸漬させる添加剤層を用いる方法もあげられる。この際に浸漬させる添加剤、特には光重合開始剤の種類や量により、後に述べる複屈折パターン作製材料へのパターン露光時の各領域への露光量と最終的に得られる各領域のレターデーションとの関係を調整し、所望する材料特性に近づけることが可能である。
複屈折パターン作製材料は、力学的な安定性を保つ目的で支持体を有してもよい。複屈折パターン作製材料における支持体がそのまま複屈折パターンを有する物品における支持体となっていてもよく、複屈折パターンを有する物品における支持体が複屈折パターン作製材料における支持体とは別に(複屈折パターン形成時または形成後に、複屈折パターン作製材料における支持体と代わって又は追加で)設けられてもよい。支持体としては特に限定はなく、剛直なものでもフレキシブルなものでもよい。剛直な支持体としては特に限定はないが表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、アルミ板、鉄板、SUS板などの金属板、樹脂板、セラミック板、石板などが挙げられる。フレキシブルな支持体としては特に限定はないがセルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステルおよびポリスルホン、ノルボルネン系ポリマーなどのプラスチックフィルムや紙、アルミホイル、布などが挙げられる。取扱いの容易さから、剛直な支持体の膜厚としては、100〜3000μmが好ましく、300〜1500μmがより好ましい。フレキシブルな支持体の膜厚としては、3〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。支持体は後に述べるベークで着色したり変形したりしないだけの耐熱性を有することが好ましい。後述する反射層の代わりに、支持体自体が反射機能を有することもまた好ましい。
既に説明したように、光学異方性層の形成には、配向層を利用してもよい。配向層は、一般に支持体もしくは仮支持体上又は支持体もしくは仮支持体上に塗設された下塗層上に設けられる。配向層は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するように機能する。配向層は、光学異方性層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でもよい。配向層の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、アゾベンゼンポリマーやポリビニルシンナメートに代表される偏光照射により液晶の配向性を発現する光配向層、無機化合物の斜方蒸着層、およびマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。配向層としてはラビングの態様ではポリビニルアルコールを含むことが好ましく、配向層の上または下の少なくともいずれか1層と架橋できることが特に好ましい。配向方向を制御する方法としては、光配向層およびマイクログルーブが好ましい。光配向層としては、ポリビニルシンナメートのように二量化によって配向性を発現するものが特に好ましく、マイクログルーブとしてはあらかじめ機械加工またはレーザ加工により作製したマスターロールのエンボス処理が特に好ましい。
複屈折パターン作製材料は、後述のパターン露光及びベーク後に作製される複屈折パターンを有する物品をさらに他の物品に貼付するための粘着層を有していてもよい。粘着層の材料は特に限定されないが、複屈折パターン作製の為のベークの工程を経てた後でも粘着性を有する材料であることが好ましい。粘着層は、複屈折パターン形成後の複屈折パターンを有する物品上に形成してもよい。
光学異方性層、所望により形成される配向層、などの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、スリットコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
複屈折パターン作製材料に少なくとも、パターン露光及び加熱(ベーク)をこの順に行うことにより、複屈折パターンを有する物品を作製することができる。
本明細書において、パターン露光とは、複屈折パターン作製材料の一部の領域のみが露光されるように行う露光又は2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光を意味する。互いに露光条件の異なる露光には、未露光(露光しないこと)が含まれていてもよい。パターン露光の手法としてはマスクを用いたコンタクト露光、プロキシ露光、投影露光などでもよいし、レーザや電子線などを用いてマスクなしに決められた位置にフォーカスして直接描画する走査露光を用いてもよい。また、複屈折パターン作製材料の形態が枚葉であればバッチ式露光、ロール形態であればRtoR式露光でもよい。前記露光の光源の照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、青色レーザ等が挙げられる。好ましい露光量としては通常3〜2000mJ/cm2程度であり、より好ましくは5〜1000mJ/cm2程度、最も好ましくは10〜500mJ/cm2程度である。パターン露光の解像度を1200dpi以上にすることにより、マイクロ印刷潜像が形成でき、好ましい。解像度を高めるためには、パターン露光時にパターン化光学異方性層が固体であり、尚且つ厚みが10μm以下であることが必要であり、好ましい。厚み10μm以下で実現するためにはパターン化光学異方性層が重合性液晶化合物を含む層を配向固定化したものであることが好ましく、重合性液晶化合物が架橋機構の異なる2種類以上の反応性基を有することが特に好ましい。また、RtoR式露光を使用する場合に用いる巻き芯としては、特に制限は無いが、外径10mm〜3000mm程度のものが好ましく、より好ましくは20mm〜2000mm程度のもの、さらに好ましくは30mm〜1000mm程度のものである。巻き芯に巻きつける際のテンションとしては、特に制限は無いが、1N〜2000N程度が好ましく、より好ましくは3N〜1500N程度であり、さらに好ましくは5N〜1000N程度である。
複屈折パターン作製材料の2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光を行う際、「2つ以上の領域」は互いに重なる部位を有していても有していなくてもよいが、互いに重なる部位を有していないことが好ましい。パターン露光は複数回の露光によって行われてもよく、もしくは、例えば領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスク等を用いて1回の露光によって行われていてもよく、又は両者が組み合わされていてもよい。すなわち、パターン露光時に、異なる露光条件で露光された2つ以上の領域を生ずるような形で露光が行われていればよい。走査露光を用いる場合には、露光領域によって光源強度を変える、露光領域の照射スポットを変える、走査速度を変えるなどの手法で領域ごとに露光条件を変えることが可能であり、好ましい。
露光条件の異なる露光領域を生じる手段の一つとして、露光マスクを用いた露光は有用である。例えば1つの領域のみを露光するような露光マスクを用いて露光を行った後に、温度、雰囲気、露光照度、露光時間、露光波長を変えて別のマスクを用いた露光や全面露光を行うことで、先に露光された領域と後に露光された領域の露光条件は容易に変更することができる。また、露光照度、あるいは露光波長を変えるためのマスクとして領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスクは特に有用である。この場合、ただ一度の露光を行うだけで複数の領域に対して異なる露光照度、あるいは露光波長での露光を行うことができる。異なる露光照度の下で同一時間の露光を行うことで異なる露光量を与えることができることは言うまでもない。
走査露光は、例えば、光により所望の2次元パターンを描画面上に形成する描画装置を応用して行うことができる。
このような描画装置の代表的な例として、光ビーム発生手段から導出された光ビームを、光ビーム偏向走査手段を介して被走査体上に走査させることにより、所定の画像等を記録するように構成された画像記録装置がある。この種の画像記録装置では、画像等の記録に際して、光ビーム発生手段から導出される光ビームを画像信号に対応して変調させる(特開平7−52453号公報)。
露光ヘッドの光源としては、上記したレーザ光源の他に、ランプ等も使用可能である。
複屈折パターン作製材料にパターン露光を行って得られた積層体の上に新たな複屈折パターン作製用転写材料を転写し、その後に新たにパターン露光を行ってもよい。この場合、一度目及び二度目ともに未露光部である領域(通常レターデーション値が一番低い)、一度目に露光部であり二度目に未露光部である領域、及び、一度目及び二度目ともに露光部である領域(通常レターデーション値が一番高い)でベーク後に残るレターデーションの値を効果的に変えることができる。なお、一度目に未露光部であり二度目に露光部である領域は、二度目の露光により一度目及び二度目ともに露光部である領域と同様となると考えられる。同様にして転写とパターン露光を交互に三度、四度と行うことにより、四つ以上の領域を作ることも容易にできる。この手法は、異なる領域の間で、露光条件だけでは与え得ないような差異(光学軸の方向の違いや非常に大きなレターデーションの差異など)を持たせたい時に有用である。
パターン露光された複屈折パターン作製材料に対して50℃以上400℃以下、好ましくは80℃以上400℃以下に加熱を行うことにより複屈折パターンを作製することができる。加熱に使用する機器としては、温風炉、マッフル炉、IRヒーター、セラミックヒーター、電気炉等が使用できる。また、複屈折パターン作製材料の形態が枚葉であればバッチ式加熱、ロール形態であればRtoR式加熱でもよい。RtoR式加熱を使用する場合に用いる巻き芯としては、特に制限は無いが、外径10mm〜3000mm程度のものが好ましく、より好ましくは20mm〜2000mm程度のもの、さらに好ましくは30mm〜1000mm程度のものである。巻き芯に巻きつける際のテンションとしては、特に制限は無いが、1N〜2000N程度が好ましく、より好ましくは3N〜1500N程度であり、さらに好ましくは5N〜1000N程度である。
なお、複屈折パターンはレターデーションが実質的に0である領域を含んでいてもよい。例えば、2種類以上の反応性基を有する液晶性化合物を用いて光学異方性層を形成した場合において、パターン露光で未露光であると上記ベークによってレターデーションが消失し、実質的に0となる場合がある。
上記のように、未露光領域にベークを行うことによってレターデーションを実質的に0にすることが可能であるため、複屈折パターンを有する物品には、パターン露光に基づく潜像に加えて、熱書き込みによる潜像が含まれていてもよい。熱書き込みはサーマルヘッド又は、赤外線やYAGなどのレーザ描画を用いて行うことができる。例えば、サーマルヘッドを有する小型のプリンタとの組み合わせで、秘匿を必要とする情報(個人情報、暗証番号、意匠性を損なう商品管理コードなど)を簡便に潜像化することができ、ダンボール箱などに熱書き込みする赤外線やYAGレーザをそのまま用いることもできる。
本発明の物品が含みうる機能性層としてはパターン化光学異方性層の他に、支持体、配向層、印刷層等のほか、複屈折パターン転写箔を用いて作製された物品場合においては、接着層、などが挙げられる。これらの機能性層はあらかじめ複屈折パターン作製材料に含まれていてもよいし、パターン化光学異方性層が作製された後に形成されてもよい。
本発明の物品を構成する支持体としては特に限定はなく剛直なものでもフレキシブルなものでもよいが、フレキシブルなものが好ましい。剛直な支持体としては特に限定はないが表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、アルミ板、鉄板、SUS板などの金属板、樹脂板、セラミック板、石板などが挙げられる。フレキシブルな支持体としては特に限定はないがセルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステルおよびポリスルホン、ノルボルネン系ポリマーなどのプラスチックフィルムや紙、アルミホイル、布などが挙げられる。取扱いの容易さから、剛直な支持体の膜厚としては、100〜3000μmが好ましく、300〜1500μmがより好ましい。フレキシブルな支持体の膜厚としては、3〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
前述のように支持体が前記の物品であってもよい。
複屈折パターン転写箔を用いて作製された本発明の物品などにおいては、接着層が含まれていてもよい。接着層としては感圧性樹脂層、感光性樹脂層および感熱性樹脂層などを用いることができる。
複屈折パターン転写を有する物品は必要とする視覚効果を得るために反射層を有していてもよい。反射層としては特に限定されないが、例えばアルミや銀などの金属層、誘電体多層膜の他、パール顔料などの反射性粒子を分散した層、あるいは円偏光選択性反射機能のあるコレステリック液晶層、特開2009−126959公報に記載の反射シート、US Patent Number 5,486,949に記載の反射型偏光分離シートが挙げられる。反射層と複屈折パターン層の間には色を調整するための着色層、偏光層、散乱層を有していてもよい。
反射層は複屈折パターン作製材料において設けられていてもよい。
また、反射層は透過率が30〜95%の半透過半反射層であってもよい。
誘電体薄膜層は単層膜であっても、多層膜であってもよい。用いる材料としては隣接する層との屈折率差が大きい材料を用いて作製された薄膜が好ましい。高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化インジウム等が挙げられる。低屈折率材料としては、二酸化珪素、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等が挙げられる。
支持体として反射性を有するものを用いてもよい。
本発明の物品は必要とする視覚効果を得るために印刷層を有していてもよい。印刷層とは、可視または紫外線や赤外線などで視認できるパターンを形成した層などが挙げられる。UV蛍光インクやIRインクはそれ自体もセキュリティ印刷であるため、セキュリティ性が向上するので好ましい。印刷層を形成する方法は特に限定はないが、一般的に知られている凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷の他、インクジェットやゼログラフィなどを用いることができる。インクとしては、各種インクを用いることができるが、耐久性の観点から、UVインクを用いることが好ましい。また、解像度を1200dpi以上のマイクロ印刷にすることによっても、セキュリティ性を高めることができるので好ましい。
本発明の物品表面の複屈折パターンは通常はほぼ無色透明で、ほとんど視認できないか、印刷層などに基づく像が視認できるのみである一方で、偏光板を介した場合においては、追加の特徴的な明暗、あるいは色を示し容易に目視で認識できる。この性質を生かして、本発明の物品は、例えば偽造防止手段として利用することができる。すなわち、複屈折パターン有する物品は、偏光板を用いることで通常の目視ではほぼ不可視である多色の画像が識別することができる。複屈折パターンは偏光板を介さずにコピーしても何も映らず、逆に偏光板を介してコピーすると永続的な、つまりは偏光板無しでも目視可能なパターンとして残る。従って複屈折パターンの複製は困難である。このような複屈折パターンの作製法は広まっておらず、材料も特殊であることから、偽造防止手段として用いるに適していると考えられる。
また、上記の製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品は光学素子への利用も可能である。例えば上記の製造方法により得られる複屈折パターンを有する物品を構造的な光学素子として用いた場合、特定の偏光にのみ効果を与える特殊な光学素子の作製が可能である。一例として、複屈折パターンを有する回折格子は特定の偏光を強く回折する偏光分離素子として機能し、プロジェクターや光通信分野への応用が可能である。
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────―
配向層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────―
ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.21
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.48
蒸留水 52.10
メタノール 43.21
──────────────────────────────────―
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−1として用いた。
LC−1−1は2つの反応性基を有する液晶化合物であり、2つの反応性基の片方はラジカル性の反応性基であるアクリル基、他方はカチオン性の反応性基であるオキセタン基である。4官能エポキシ架橋剤は置換度約4のソルビトールポリグリシジルエーテルである。
光学異方性層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────―
重合性液晶化合物(LC−1−1) 30.35
重合性液晶化合物(LC−1−2) 1.82
水平配向剤(LC−1−3) 0.05
カチオン系光重合開始剤
(CPI100−P、サンアプロ株式会社製) 0.66
4官能エポキシ架橋剤(LC−1−4)
(デナコール EX−612、ナガセケムテックス株式会社製) 0.71
重合制御剤
(IRGANOX1076、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
0.07
メチルエチルケトン 46.34
シクロヘキサノン 20.00
───────────────────────────────────
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−2として用いた。
LC−1−1は2つの反応性基を有する液晶化合物であり、2つの反応性基の片方はラジカル性の反応性基であるアクリル基、他方はカチオン性の反応性基であるオキセタン基である。
光学異方性層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────―
重合性液晶化合物(LC−1−1) 31.06
重合性液晶化合物(LC−1−2) 1.82
水平配向剤(LC−1−3) 0.05
カチオン系光重合開始剤
(CPI100−P、サンアプロ株式会社製) 0.66
重合制御剤
(IRGANOX1076、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
0.07
メチルエチルケトン 46.34
シクロヘキサノン 20.00
──────────────────────────────────―
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、転写接着層用塗布液OC−1として用いた。ラジカル光重合開始剤RPI−1としては2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)1,3,4−オキサジアゾールを用いた。下記組成はその溶液としての使用量である。
添加剤層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────―
バインダ(MH−101−5、藤倉化成(株)製) 7.63
ラジカル光重合開始剤(RPI−1) 0.49
界面活性剤 0.03
(メガファックF−176PF、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 91.85
──────────────────────────────────―
厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200H、東レデュポン(株)製)の上にアルミニウムを60nm蒸着し、反射層つき支持体を作製した。そのアルミニウムを蒸着した面上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した。乾燥膜厚は0.5μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度90℃で2分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。光学異方性層のレターデーションは400nmであり、20℃で固体のポリマーであった。最後に、光学異方性層の上に添加剤層用塗布液OC−1を塗布、乾燥して0.8μmの添加剤層を形成し、実施例1の複屈折パターン作製材料P−1を作製した。
P−1をレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図17に示すように、0mJ/cm2、8mJ/cm2、25mJ/cm2の露光量を用いてRtoRでパターン露光した。図中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が8mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が25mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が210℃となるように20分間加熱して、複屈折パターンを有する物品P−2を作製した。物品P−2の上に偏光板(HLC−5618、サンリッツ(株)製)をかざしたところ、所定の方向でかざしたときに、物品P−2に施した複屈折パターンを確認することができた。物品P−2の上に偏光板を介して観察されるパターンの拡大図を図18に示す。図中、地のアルミ箔が銀色を呈するのに対し、格子部は紺色ないし水色、斜線部は黄色ないし橙色を呈する二色のパターンが観察される。P−2中の残存モノマー(LC−1−1およびLC−1−2)をメタノールで抽出後、HPLCで定量したところ、P−2中のパターン化光学異方性層の質量に対して9質量%であった。エタノール滴下による表面の白化は見られなかった。また、背面との接着故障も見られなかった。
厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200H、東レデュポン(株)製)の上にアルミニウムを60nm蒸着し、反射層つき支持体を作製した。そのアルミニウムを蒸着した面上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した。乾燥膜厚は0.5μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−2を塗布、膜面温度90℃で2分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。光学異方性層のレターデーションは400nmであり、20℃で固体のポリマーであった。最後に、光学異方性層の上に添加剤層用塗布液OC−1を塗布、乾燥して0.8μmの添加剤層を形成し、比較例1の複屈折パターン作製材料P−3を作製した。
P−3をレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図1に示すように、0mJ/cm2、8mJ/cm2、25mJ/cm2の露光量を用いてRtoRでパターン露光した。図中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が8mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が25mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が210℃となるように20分間加熱して、複屈折パターンを有する物品P−4を作製した。物品P−2の上に偏光板(HLC−5618、サンリッツ(株)製)をかざしたところ、所定の方向でかざしたときに、物品P−4に施した複屈折パターンを確認することができた。物品P−4の上に偏光板を介して観察されるパターンの拡大図を図18に示す。図中、地のアルミ箔が銀色を呈するのに対し、格子部は紺色ないし水色、斜線部は黄色ないし橙色を呈する二色のパターンが観察される。P−4中の残存モノマー(LC−1−1およびLC−1−2)をメタノールで抽出後、HPLCで定量したところ、P−4中のパターン化光学異方性層の質量に対して20質量%であった。P−3上にエタノールを滴下したところ、白化した。また、背面との接着故障が見られた。
11 (仮)支持体
12 光学異方性層
13 反射層又は半透過半反射層
14 配向層
15 粘着層
16 印刷層
17 力学特性制御層
18 転写層
19 添加剤層又は表面層
Claims (8)
- 複屈折性が異なる領域を二つ以上含むパターン化光学異方性層を含む物品であって、
前記パターン化光学異方性層が少なくとも1つの反応性基を有する液晶性化合物を含む組成物から形成された光学異方性層から作製された層であり、
前記パターン化光学異方性層における前記液晶性化合物の残存量が前記パターン化光学異方性層の質量に対して、0〜15質量%である物品。 - 前記組成物が、前記液晶性化合物が有する反応性基と反応できる反応性基を3つ以上有するモノマーを、前記光学異方性層形成前の前記組成物中の前記液晶性化合物の質量に対して0.1質量%〜50質量%含む請求項1に記載の物品。
- 前記モノマーが液晶性を有さないモノマーである請求項2に記載の物品。
- 前記モノマーの反応性基の少なくとも1つがアクリル基、メタクリル基またはエポキシ基である請求項2または3に記載の物品。
- 前記液晶性化合物がラジカル重合性の反応性基またはカチオン重合性の反応性基を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品。
- 前記液晶性化合物が1分子中にラジカル重合性の反応性基およびカチオン重合性の反応性基を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品。
- 前記ラジカル重合性の反応性基がアクリル基およびメタクリル基から選択される1つ以上の基であり、かつ前記カチオン性基がビニルエーテル基、オキセタン基およびエポキシ基から選択される1つ以上の基である請求項5または6に記載の物品。
- 前記パターン化光学異方性層が、以下の工程を含む方法で形成された層である請求項1〜7のいずれか一項に記載の物品。
(1)前記組成物を加熱または光照射して前記光学異方性層を形成する工程
(2)前記光学異方性層をパターン露光する工程;
(3)前記パターン露光後の層を50℃以上400℃以下に加熱する工程。
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