JP2006106714A - 反射防止フィルム、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示装置等のディスプレイの視認性を向上するため、外光の映り込みを防止し、白呆け、画像の呆け、ギラツキ現象が無く、虹ムラを改良した反射防止フィルムを提供すること。
【解決手段】透明樹脂からなる支持体1上に、支持体1の透明樹脂とハードコート層2Aの電離放射線硬化性樹脂とが混合した混合領域4と、電離放射線硬化性樹脂からなるハードコート層2Aと、最外層に位置し平均粒径が5〜200nmであり且つ屈折率が1.17〜1.40である中空シリカ微粒子を含有している低屈折率層3とを有し、表面粗さRa(中心線平均粗さ)が0.10μm以下である反射防止フィルム10とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コンピュータ、ワードプロセッサ、テレビジョン等の画像表示に用いる表示素子に関し、詳しくは表示品位の向上を図る反射防止フィルム、偏光板、及び液晶表示装置に関する。
反射防止フィルムは一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止し、画像の視認性を向上するために、光拡散と光学干渉の原理を用いて、ディスプレイの最表面に配置される。
従来の反射防止フィルムとしては、表面反射光を拡散することにより、外光の正反射を抑え、外部環境の映り込みを防ぐ、防眩性の反射防止フィルムがある。例えば、特許文献1の反射防止フィルムでは、ハードコート層に適当な微粒子を含有させて表面に凹凸を付与させて外光を拡散させて画面の眩しさを和らげることがなされている。また、特許文献2及び3の反射防止フィルムでは、表面微細凹凸形状を有する防眩性ハードコート層上に低屈折率層を1層設けて、表面における外光の拡散に加えて、光干渉の原理を利用して反射率を抑えている。更に、特許文献4の反射防止フィルムでは、低屈折率層の下に高屈折率層を設けて、光干渉を有効に利用して外光反射を低減させている。
しかし、これら防眩性の反射防止フィルムは、表面の微細凹凸で外光を拡散させると同時に、表示画面が白くなる(白呆け)、画像の鮮明性が低下する(画像の呆け)、更には微細凹凸構造のレンズ効果に起因するギラツキ現象という問題が避けられない。これらの問題に対して、防眩層のヘイズ、画像鮮明度、微細凹凸形状などを制御して改良を試みているが、充分満足できるものは得られていない。
一方、画像の鮮明性が高く、且つ白呆けやギラツキ現象がない反射防止フィルムとして、表面微細凹凸が非常に小さい、あるいは表面が平らな反射防止フィルムも提案されている。特許文献5では基材フィルム上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順に積層構造を形成し、表面微細凹凸構造が無く、光干渉だけを利用した反射防止フィルムが提案されている。また特許文献6では表面粗さを非常に小さく保ったまま、ハードコート層に内部散乱性を付与して、鮮明な画像を実現するとともに、視野角特性を改良できる反射防止フィルムが提案されているが、いずれも最表面の低屈折率層の屈折率がそれ程低くなく、明室での視認性としては、やはり満足できるレベルは得られていない。
また、最表面の低屈折率層の屈折率を下げて、反射防止性能を高める試みもなされている。特許文献7には、全く粒子を含有しない平滑な表面のハードコート層の上に、中空シリカ微粒子を含有させた低屈折率層を塗設し、中空シリカ微粒子の屈折率を下げる効果により反射防止性を改良した反射防止フィルムが提案されている。
しかしながら、中空シリカ微粒子による低屈折率層の低屈折率化は、反射防止フィルムとしての反射率を下げることには非常に有効であるが、同時に、下層のハードコート層との屈折率差が大きくなり、ハードコート層の干渉ムラが目立ち易くなる。ハードコート層の干渉ムラは、ハードコート層と支持体との界面での反射光と、ハードコート層と低屈折率層との界面での反射光の干渉により、虹色のムラが生じる現象である。それぞれの界面の屈折率差が大きい程、干渉が強くなり、虹色のムラも強くなる。よって、平滑なハードコート層を用いる場合は、単純に低屈折率層の屈折率を下げるだけでは、返ってディスプレイの視認性を劣化させ、またディスプレイの美観を損なうことになる。
特開2000−338310号公報 特開2002−196117号公報 特開2003−161816号公報 特開2003−121620号公報 特開2003−75603号公報 特開2003−57415号公報 特開2002−317152号公報
本発明の目的は、液晶表示装置等のディスプレイの視認性を向上するため、外光の映り込みを防止し、白呆け、画像の呆け、ギラツキ現象が無く、虹ムラを改良した反射防止フィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、充分な反射防止性能を有しながら、耐擦傷性が改善された反射防止フィルムを提供することにある。
更に本発明の他の目的は、反射防止フィルムにより高度な視認性を有し、視野角(特に下方向視野角)が拡大し、そして視角変化による、コントラスト低下、階調または黒白反転、および色相変化等がほとんど発生することのない偏光板、およびそれを用いた液晶表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記1.〜10.の反射防止フィルム、下記11.、12.の偏光板、および下記13.、14.の液晶表示装置により達成される。
1. 透明樹脂からなる支持体と、少なくとも一層の電離放射線硬化性樹脂からなるハードコート層と、最外層に位置する低屈折率層とをこの順で有する反射防止フィルムであって、
(i)該支持体と該ハードコート層の間に、該支持体の透明樹脂と該ハードコート層の電離放射線硬化性樹脂とが混合した混合領域を有し、
(ii)該反射防止フィルムの表面粗さRa(中心線平均粗さ)が0.10μm以下であり、そして
(iii)該低屈折率層が、平均粒径が5〜200nmであり且つ屈折率が1.17〜1.40である中空シリカ微粒子を含有している、
ことを特徴とする反射防止フィルム。
2. 前記ハードコート層および/または前記低屈折率層が、(a)水酸基または加水分解可能な基がケイ素に直接結合しているオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、ならびに(b)一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti又はAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物を含んでいることを特徴とする1.に記載の反射防止フィルム。
3. 前記混合領域の層の厚さが0.2〜10μmであることを特徴とする1.または2.に記載の反射防止フィルム。
4. 前記支持体が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
5. 前記ハードコート層が、前記支持体の透明樹脂を溶解または膨潤させる溶剤を含む塗布液を塗布、乾燥、硬化によって形成されることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
6. 前記ハードコート層が、少なくとも電離放射線硬化性樹脂と溶剤を含む塗布組成物を塗布、乾燥して形成された反射防止フィルムにおいて、風速0.1m/秒以上10m/秒以下の乾燥風で乾燥することを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
7. 前記ハードコート層の屈折率が1.55以上であることを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
8. 前記ハードコート層が、バインダーおよび該バインダーと屈折率の異なる少なくとも一種の透光性粒子を含有していることを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
9. 前記反射防止フィルムの透過画像鮮明度が60%以上であることを特徴とする1.〜8.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
10. 前記ハードコート層のヘイズ値が10%以上であることを特徴とする1.〜9.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
11. 前記ハードコート層のゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する出射角30°の散乱光強度が0.01%〜0.2%であることを特徴とする1.〜10.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
12. 偏光膜の両面を保護フィルムで挟持した偏光板であって、一方の保護フィルムに1.〜11.のいずれかに記載の反射防止フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
13. 前記保護フィルムのうち前記反射防止フィルムを用いていない他方の保護フィルムが、光学異方性層を有する光学補償フィルムであり、該光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物を含む層であり、該ディスコティック構造単位の円盤面が該保護フィルム表面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と該保護フィルム表面とのなす角度が該光学異方層の深さ方向に変化していることを特徴とする12.に記載の偏光板。
14. 1.〜11.のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは12.,13.のいずれかに記載の偏光板をディスプレイの最表層に用いたことを特徴とする液晶表示装置。
15. 1.〜11.のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは12.に記載の偏光板を、液晶セルがVAモードあるいはIPSモードであるディスプレイの最表層に用いたことを特徴とする液晶表示装置。
16. 1.〜11.のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは12.,13.のいずれかに記載の偏光板を、液晶セルがOCBモードであるディスプレイの最表層に用いたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、外光の映り込みを防止し、白呆け、画像の呆け、ギラツキ現象、虹ムラが無い液晶表示装置等のディスプレイの視認性を向上することができ、耐擦傷性を改良した反射防止フィルムを提供することができる。
また、本発明の反射防止フィルムは、偏光板の保護フィルムとして用いることができる。この本発明の反射防止フィルムや偏光板は、液晶表示装置に用いることにより、高度な視認性を有し、更に視野角、特に下方向視野角が拡大し、視角変化による、コントラスト低下、階調または黒白反転、および色相変化等がほとんど発生することのない液晶表示装置を提供することができる。
以下、まず本発明の反射防止フィルムの実施形態を、図面を参照して説明する。
図1〜3に、本発明の反射防止フィルムの構成例を断面図で模式的に示す。本発明の反射防止フィルム10は、図1に示すように、透明支持体1と、ハードコート層2Aと、更に最外層に中空シリカ微粒子を含有する低屈折率層3とを積層してなり、透明支持体1とハードコート層2Aとの間に、混合領域4を有する。混合領域とは、ハードコート層を透明支持体上に塗布、乾燥、硬化後に生成した、支持体の透明樹脂とハードコート層の電離放射線硬化性樹脂とが混合した領域のことである。
各層の態様やフィルムの層構成は適宜変更可能であり、例えば、図2の反射防止フィルム20に示すように、ハードコート層2Bの内部に、内部散乱性を付与できる透光性粒子5を含有してもよいし、図3の反射防止フィルム30に示すように、ハードコート層2Cの上に、光干渉による反射防止性を高める目的で中屈折率層6、高屈折率層7を設けて、最外層に低屈折率層3を配置してもよい。
次に、本発明の反射防止フィルムを構成する各層について詳細に説明する。なお、本明細書において、物性値又は特性値を表す「(数値A)〜(数値B)」という記載は「(数値A)以上(数値B)以下」の意味を表す。
(透明支持体)
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。又、透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度とする。
本発明のセルロースアシレートフィルムには、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明のセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
(セルロースアシレートフィルムの製造)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、溶液製膜法(ソルベントキャスト法)により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その好ましい炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の上記で特定した好ましい炭素原子数の範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
セルロースアシレート溶液(ドープ)の調整は一般的な方法で行なえる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。非塩素系溶媒を用いることもでき、それについては発明協会公開技報公技番号2001−1745号に記載されているものが挙げられる。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。
容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保持する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。
ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許第2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許第640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
複数の調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用い、ソルベントキャスト法により2層以上を流延してフィルムを作製することもできる。この場合、ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、などの各公報に記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。
或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
さらに本発明では、セルロースアシレート溶液を、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)形成用溶液と同時に流延し、機能層とフィルム形成を同時形成することも実施しうる。
単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多い。この解決法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延する。これにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
セルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、またはフィルム製造の際における流延後の乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)、ジフェニルビフェニルホスフェート、およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースアシレートの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−197073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、劣化防止剤の効果及びフィルム表面へのブリードアウト(滲み出し)を考慮して、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
セルロースアシレートフィルムには、フィルムのレターデーションを調整するため、必要に応じてレターデーション上昇剤を使用することができる。フィルムのレターデーションとしては、膜厚方向のRth(λ)には0〜300nm、面内方向のRe(λ)には0〜1000nmのものが好ましく用いられる。Rth(λ)及びRe(λ)については後述する。
少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として好ましく、芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
詳しくは、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、同2002−236215号公報、国際公開第00/065384号パンフレット等に記載されている。
(セルロースアシレートフィルムの延伸処理)
作製されたセルロースアシレートフィルムは、さらに延伸処理により乾燥ムラや乾燥収縮で発生する膜厚ムラ、表面凹凸を改善することができる。また、延伸処理はレターデーションを調整することにも用いられる。
巾方向延伸処理の方法に特に限定はないが、その例としてテンターによる延伸方法が挙げられる。
また、更に好ましくは、ロールの長手方向に縦延伸を行うことであり、ロールフィルムを搬送するパスロール間にて、それぞれのパスロールのドロー比(パスロール同士の回転比)を調節することにより、縦延伸が可能となる。
(セルロースアシレートフィルムの表面処理)
セルロースアシレートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のようにセルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」,リアライズ社,1989.12.10発行に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のセルロースアシレートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
以下に、表面処理についてアルカリ鹸化処理を例に具体的に説明する。
フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、これらのアルカリの濃度は0.1mol/l〜3.0mol/lであることが好ましく、0.5mol/l〜2.0mol/lであることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲が好ましく、40℃〜70℃がさらに好ましい。
生産性の観点から、アルカリ液を塗布し、鹸化処理後に水洗によりフィルム表面よりアルカリ除去する事が好ましい。濡れ性の観点から、塗布溶媒としてはIPA、n−ブタノール、メタノール、エタノール等のアルコール類が好ましく、アルカリ溶解の助剤として水、プロピレングリコール、エチレングリコール、等を加える事が好ましく用いられる。
(ハードコート層)
本発明の反射防止フィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、少なくとも透明支持体の一方の面にハードコート層が設けられる。本発明においては、ハードコート層の干渉ムラを防止する為に、ハードコート層を透明支持体上に塗布、乾燥、硬化後に、支持体の透明樹脂とハードコート層の電離放射線硬化性樹脂とが混合した混合領域が生成し、透明支持体とハードコート層との間に、混合領域の層が形成される。更にハードコート層上に、低屈折率層が設けられ、好ましくはハードコート層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、本発明の反射防止フィルムを構成する。
本発明の反射防止フィルムは、白呆け、画像の呆け、ギラツキ現象を改善するために、表面を平らにすることが必須である。具体的には表面粗さを示す特性のうち、中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とする。Raは、より好ましくは0.09μm以下であり、更に好ましくは0.08μm以下である。本発明の反射防止フィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを上記範囲とすることにより、反射防止フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
本発明の反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
ここで、透過画像鮮明度は、JIS K 7105に従い、スガ試験機(株)製の写像性測定器(ICM−2D型)にて、スリット幅が5mmの光学櫛を用いて測定できる。
本発明のハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.52〜1.90であり、更に好ましくは1.55〜1.80である。本発明では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層あるので、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜10μm、最も好ましくは3μm〜7μmである。
また、ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層塗布後に形成される混合領域は、ハードコート層用塗布液の固形分濃度、溶剤種、溶剤組成、電離放射線硬化性化合物の種類、添加剤、ハードコート層が塗布される透明支持体の種類、ハードコート層用塗布液の塗布量、乾燥条件、硬化条件など、様々な条件によって影響を受ける。本発明においては、透明支持体とハードコート層との間に混合領域が形成され、ハードコート層の干渉ムラを抑制する効果があれば、特に上記条件が制限されることは無い。
混合領域の層の厚さは、0.2〜10μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.3〜7μmであり、更に好ましくは0.5〜5μmである。混合領域の層の厚さがこの範囲より小さいとハードコート層の干渉ムラの抑制効果が小さく、この範囲より大きいとハードコート層の強度が低下する傾向がある。混合領域の層の厚さは、反射防止フィルムの断面をミクロトームを用いて切削し、断面から走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−570)を用いて反射電子モードで観察し、撮影された写真より混合領域の層の厚さを求めることができる。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製のイルガキュア(651,184,500,907,369,1173,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159に記載されている。市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製のイルガキュア(651,184,907)等が挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
光重合反応は、ハードコート層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
ハードコート層の架橋又は重合しているバインダーは、ポリマーの主鎖が架橋又は重合している構造を有する。ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は、飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖は、ウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖は、イミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋又は重合構造を有する。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーまたは無機微粒子、或いは両者を加えることができる。無機微粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマーおよび/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機微粒子を含んでバインダーと称する。
高屈折率モノマーの例には、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。
無機微粒子の例には、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、その他BaSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンなどが含まれ、粒径100nm以下、好ましくは50nm以下であることが好ましい。無機微粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわないハードコート層を形成できる。
ハードコート層を高屈折率化する目的に対しては、無機微粒子としてはAl、Zr、Zn、Ti、InおよびSnから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物超微粒子が好ましく、具体例としては、ZrO2、TiO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO等が挙げられる。これらの中でも、特にZrO2が好ましく用いられる。
高屈折率のモノマーや無機微粒子の添加量は、バインダーの全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。無機微粒子はハードコート層内で二種類以上用いても良い。
ハードコート層のヘイズは、反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、光散乱機能を有さない場合は、ヘイズ値は低い程良く、具体的には10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、表面の反射率を抑える機能に加えて、散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、ヘイズ値は10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜80%であり、最も好ましくは20%〜70%である。
本発明の反射防止フィルムは、表面凹凸が非常に小さいあるいはほとんど無く、表面ヘイズがほとんど無いフィルムであり、ヘイズを付与する場合は内部ヘイズとして設けることが好ましい。したがって、ハードコート層が内部ヘイズを有する、すなわち内部散乱性を有することが好ましい。
視野角拡大機能を付与する為に、上記ヘイズ値を調整することに加えて、ハードコート層のゴニオフォトメータで測定される散乱光の強度分布(散乱光プロファイル)を調整することが重要である。例えば、液晶ディスプレイの場合、バックライトから出射された光が視認側の偏光板表面に設置された反射防止フィルムで拡散されればされるほど視野角特性が良くなる。しかし、あまり拡散されすぎると、後方散乱が大きくなり、正面輝度が減少する、あるいは、散乱が大きすぎて画像鮮明性が劣化する等の問題が生じる。従って、ハードコート層の散乱光強度分布をある範囲に制御することが必要となる。所望の視認特性を達成するには、散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対して、特に視野角改良効果と相関ある出射角30°の散乱光強度が0.01%〜0.2%であることが好ましく、0.02%〜0.15%が更に好ましく、0.02%〜0.1%が最も好ましい。
散乱光プロファイルは、ハードコート層を設けた反射防止フィルムについて、(株)村上色彩技術研究所製の自動変角光度計GP−5型を用いて測定できる。
ハードコート層に内部散乱性を付与する方法、あるいは所望の散乱プロファイルを付与する方法としては、バインダー(屈折率を調整しうる上記無機粒子などを含む)中に、バインダーと屈折率の異なる透光性粒子を含有させることが好ましい。バインダーと透光性粒子との屈折率差としては、0.02〜0.20であることが好ましい。上記範囲の屈折率の差は、適度な光拡散効果が生じると共に、過度な光拡散効果によりフィルム全体が白化する心配もない。なお、前記屈折率差は、0.03〜0.15がより好ましく、0.04〜0.13が最も好ましい。
バインダーと透光性粒子の組み合わせは、上記屈折率差を調整する目的で、適宜選択できる。
透光性粒子の粒子径は、0.5μm〜5μmであることが好ましい。粒径が上記範囲であれば、光拡散効果が適度であり、後方散乱が小さく光の利用効率が十分となると共に、表面の凹凸が小さく白呆けやギラツキ現象が殆ど発生しない。なお、前記透光性粒子の粒径は、0.7μm〜4.5μmが好ましく、1.0μm〜4.0μmが最も好ましい。
ハードコート層に透光性粒子を含有させる場合には、該粒子による表面凹凸が生成しないように、ハードコート層の膜厚を調整する必要がある。通常は膜厚を大きくして粒子の突起がハードコート表面から突出しないようにすることで、表面粗さRa(中心線平均粗さ)を0.10μm以下にすることができる。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性微粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレートビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.54)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、スチレンビーズ(屈折率1.60)、架橋ポリスチレンビーズ(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカビーズ(屈折率1.44)、アルミナビーズ(屈折率1.63)等が用いられる。
透光性粒子の粒径は、前述のように0.5〜5μmのものを適宜選択して用いるとよく、2種類以上混合して用いてもよく、バインダー100質量部に対して5〜30質量部含有させるとよい。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性微粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
ハードコート層を形成するための塗布液の溶剤は、支持体とハードコート層の間に混合領域を形成する為に、本発明においては、支持体を溶解または膨潤させる性質を持った溶剤を選択する必要がある。これは、塗布液にそのような溶剤を用いれば、塗布直後から支持体を溶解あるいは膨潤しつつハードコート層を形成する為に、支持体をハードコート層の界面が不明確になると同時に、ハードコート層の樹脂成分と支持体の樹脂成分が混合した領域の層が形成される。
また、ハードコート層表面の凹凸の制御(凹凸を小さくする、あるいは平らにする)およびハードコート層の強度の両立を図るために、透明支持体(例えばトリアセチルセルロース支持体)を溶解しない溶剤を、少なくとも一種類以上混合するのが好ましい。より好ましくは、透明支持体を溶解する溶剤のうちの少なくとも一種類が、透明支持体を溶解しない溶剤のうちの少なくとも一種類よりも高沸点であることが好ましい。さらに好ましくは、透明支持体を溶解する溶剤のうち最も沸点の高い溶剤と、透明支持体を溶解しない溶剤のうち最も沸点の高い溶剤との沸点温度差が30℃以上であることであり、最も好ましくは50℃以上であることである。
支持体がセルロースアシレートフィルムの場合、支持体を溶解または膨潤させる性質を持った溶剤としては、
炭素子数が3〜12のエーテル類:具体的には、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等、
炭素数が3〜12のケトン類:具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等、
炭素数が3〜12のエステル類:具体的には、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−ブチロラクトン等、
2種類以上の官能基を有する有機溶媒:具体的には、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、およびアセト酢酸エチル等
が挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。透明支持体を溶解する溶剤としてはケトン系溶剤が好ましく、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
透明支持体(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解しない溶剤として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ペンタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、トルエンが挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
透明支持体を溶解する溶剤の総量(A)と透明支持体を溶解しない溶剤の総量(B)の質量割合(A/B)は、10/90〜100/0が好ましく、より好ましくは20/80〜100/0であり、さらに好ましく30/70〜100/0である。
(低屈折率層)
本発明の反射防止フィルムは、最外層に低屈折率層を有する。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.46が好ましく、1.25〜1.41がより好ましく、最も好ましくは1.30〜1.39である。さらに、低屈折率層は下記数式(1)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。

数式(1): (m1/4)λ×0.7<n11<(m1/4)λ×1.3
上記数式(1)中、m1は正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そしてd1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。なお、上記数式(1)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(1)を満たすm1(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などが含まれる。含フッ素ポリマーあるいは含フッ素ゾルゲルとしては、熱または電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.15であり、水に対する接触角90〜120°となる素材が好ましい。本発明の低屈折率層には膜強度向上のための無機フィラーを用いることもできる。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーとしてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学工業(株)製)やM−2020(ダイキン工業(株)製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
架橋反応性付与のための構成単位としてはグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシル基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号の各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用してもよい。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%の場合である。含フッ素ポリマーの好ましい具体例としては、特開2004−45462号公報の[0035]〜[0047]に記載されたものを挙げることができ、該公報に記載の方法により合成することができる。
また本発明の含フッ素ポリマーには防汚性を付与する目的で、ポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが例えば特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法、特開平2−251555号、同2−308806号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。これらのポリシロキサン成分はポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。また、特開2003−329804号公報の[0011]〜[0045]に記載された化合物も本発明に好ましく用いることができる。
防汚性付与に対しては上記以外にも反応性基含有ポリシロキサン(例えばKF−100T,X−22−169AS,KF−102,X−22−3701IE,X−22−164B,X−22−5002,X−22−173B,X−22−174D,X−22−167B,X−22−161AS(以上商品名、信越化学工業(株)製)、AK−5,AK−30,AK−32(以上商品名、東亜合成(株)製)、サイラプレーンFM0275,サイラプレーンFM0721(以上商品名、チッソ(株)製)等)を添加する手段も好ましい。この際これらのポリシロキサンは低屈折率層全固形分の0.5〜10質量%の範囲で添加さ
れることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
本発明の低屈折率層中に、低屈折率と耐擦傷性を両立させる目的で、中空のシリカ微粒子を含有させる。
中空のシリカ微粒子の屈折率は1.17〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最も好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空シリカ微粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、空隙率xは下記数式(2)で算出される。

数式(2): x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
空隙率xは、好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ微粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、これら中空シリカ微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなった。
中空シリカ微粒子の製造方法は、例えば特開2001−233611号公報や特開2002−79616号公報に記載されている。
中空シリカ微粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。塗設量が上記範囲であると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が発現すると共に、低屈折率層表面に微細な凹凸が発生せず、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する心配もない。
中空シリカ微粒子の平均粒径は、5nm以上200nm以下であり、20nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
中空シリカ微粒子の粒径が上記範囲であれば、空腔部の割合が適度で屈折率が低下し、かつ低屈折率層表面に微細な凹凸に基づく黒の締まりといった外観、積分反射率の悪化がない。
中空シリカ微粒子の外殻部分のシリカは、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良い。また中空シリカ微粒子のサイズ分布は、単分散粒子が好ましいが、多分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球形が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、中空シリカ微粒子の平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明においては、耐擦傷性向上の目的に対し、中空シリカ微粒子と併用して、その他の無機フィラーを含有することができる。
該無機フィラーは、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカが挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、空腔のないシリカ微粒子が好ましい。空腔のないシリカ微粒子の好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上80nm以下、最も好ましくは40nm以上60nm以下である。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
シリカ微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング剤が好ましく、後述する一般式(1)および(2)で表されるオルガノシラン化合物が好ましく、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するシランカップリング剤による処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いてもよいが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
シリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明では、ハードコート層と低屈折率層のうちの少なくとも1層には、オルガノシラン化合物の加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれか、いわゆるゾル成分(以降このように称する)を含有することが耐擦傷性の点で好ましく、ハードコート層と低屈折率層の両方に含有することが、より好ましい。
オルガノシランのゾルの適宜な含有量は、添加する層によっても異なるが、低屈折率層への添加量は低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾルの使用量は、ゾルの使用の効果、層の屈折率、及び形成される層の形状・面状等の観点から、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
ハードコート層へのオルガノシランのゾルの添加量は、ハードコート層の全固形分の0.5〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。それ以外の層への添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
用いられるオルガノシラン化合物は、下記一般式(1)で表すことができる。

一般式(1): (R10m−Si(X)4-m
上記一般式(1)において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。
Xは加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン(例えばCl、Br、I等)、又はR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。mとしては、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式(2)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式(2):
Figure 2006106714
一般式(2)においてR1は、水素原子、アルキル基(メチル基、エチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)を表す。なかでも、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基、またはウレア基を表す。なかでも、単結合、エステル基、およびアミド基が好ましく、単結合およびエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは2価の連結基を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられる。なかでも、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、および内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、および内部にエーテルあるいはエステルからなる連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、および内部にエーテルあるいはエステルからなる連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。nとして好ましくは0である。
10は、一般式(1)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは、一般式(1)と同義であり、ハロゲン、水酸基、および無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、および無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、および炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
オルガノシラン化合物として、一般式(1)、一般式(2)で表される化合物を、2種類以上を併用してもよい。以下に一般式(1)、一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006106714
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オルガノシランの加水分解・縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒は、オルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒を塗布液あるいは塗布液の一部として用いることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜90%の範囲であり、好ましくは20%〜70%の範囲である。
オルガノシランの加水分解・縮合反応は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、TiまたはAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられるが、ゾル液の製造安定性やゾル液の保存安定性の点から、酸触媒(無機酸類、有機酸類)および金属キレート化合物が好ましい。酸触媒としては、無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
加水分解・縮合反応は、通常、オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして好ましくは触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
加水分解性基がアルコキシドで触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができ、オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
触媒の使用量は、触媒が無機酸の場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、触媒が有機酸の場合には、水の添加量によって最適な使用量が異なるが、水を添加する場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、実質的に水を添加しない場合には、加水分解性基に対して1〜500モル%、好ましくは10〜200モル%であり、より好ましくは20〜200モル%であり、更に好ましくは50〜150モル%であり、特に好ましくは50〜120モル%である。
反応は25〜100℃で撹拌することにより行われるが、オルガノシランの反応性により適宜調節されることが好ましい。
金属キレート化合物は、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとR4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(OR3p1(R4COCHCOR5p2、Ti(OR3q1(R4COCHCOR5q2、およびAl(OR3r1(R4COCHCOR5r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5
、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
本発明の金属キレート化合物は、縮合反応の速度および塗膜にした場合の膜強度の観点から、オルガノシランに対し、好ましくは、0.01〜50質量%、より好ましくは、0.1〜50質量%、さらに好ましくは、0.5〜10質量%の割合で用いられる。
本発明に係る低屈折率層を形成するために用いる塗布液の溶媒組成としては、単独および混合のいずれでもよく、混合のときは、沸点が100℃以下の溶媒が50〜100%であることが好ましく、より好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%、さらに好ましくは100%である。沸点が100℃以下の溶媒が上記範囲であると、乾燥速度が速く、塗布面状が良好であり、塗布膜厚が均一であるため、反射率などの光学特性も良好である。
沸点が100℃以下の溶媒としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃、以下「℃」を省略する)、ヘプタン(98.4)、シクロヘキサン(80.7)、ベンゼン(80.1)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8)、クロロホルム(61.2)、四塩化炭素(76.8)、1,2−ジクロロエタン(83.5)、トリクロロエチレン(87.2)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6)、ジイソプロピルエーテル(68.5)、ジプロピルエーテル(90.5)、テトラヒドロフラン(66)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2)、酢酸メチル(57.8)、酢酸エチル(77.1)、酢酸イソプロピル(89)などのエステル類、アセトン(56.1)、2−ブタノン(=メチルエチルケトン、79.6)などのケトン類、メタノール(64.5)、エタノール(78.3)、2−プロパノール(82.4)、1−プロパノール(97.2)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6)、プロピオニトリル(97.4)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2)、などが挙げられる。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃以上の溶媒としては、例えば、オクタン(125.7)、トルエン(110.6)、キシレン(138)、テトラクロロエチレン(121.2)、クロロベンゼン(131.7)、ジオキサン(101.3)、ジブチルエーテル(142.4)、酢酸イソブチル(118)、シクロヘキサノン(155.7)、2−メチル−4−ペンタノン(=MIBK、115.9)、1−ブタノール(117.7)、N,N−ジメチルホルムアミド(153)、N,N−ジメチルアセトアミド(166)、ジメチルスルホキシド(189)、などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
低屈折率層成分を前述の組成の溶媒で希釈することにより、低屈折率層用塗布液が調製される。塗布液濃度は、塗布液の粘度、層素材の比重などを考慮して適宜調節されることが好ましいが、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
(高屈折率層)
本発明の反射防止フィルムには、ハードコート層上に高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。本発明の高屈折率層、中屈折率層の屈折率は1.55〜2.40が好ましい。以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
本発明の高屈折率層には、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子を含有することが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明における二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
無機微粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。無機微粒子の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、二酸化チタンが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明の高屈折率層の耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
Ti(チタン)に対するCo(コバルト)、Al(アルミニウム)又はZr(ジルコニウム)の含有量は、それぞれTiに対して0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜7質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。
Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)は、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部と表面の少なくともいずれかに存在させることができるが、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在させることが好ましく、内部と表面の両方に存在することが最も好ましい。
Co(コバルト)、Al(アルミニウム)、Zr(ジルコニウム)を二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在させる(例えば、ドープする)には、種々の手法がある。例えば、青木康,「イオン注入法」,表面科学,1998,Vol.18,No.5,p.262−268や、特開平11−263620号公報、特表平11−512336号公報、欧州特許出願公開第335773号明細書、特開平5−330825号公報に記載の手法があげられる。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の粒子形成過程において、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)、Zr(ジルコニウム)を導入する手法(例えば、特表平11−512336号公報、欧州特許出願公開第335773号明細書、特開平5−330825号公報に記載)が特に好ましい。
Co(コバルト)、Al(アルミニウム)、Zr(ジルコニウム)は、酸化物として存在することも好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子には、目的により、さらに他の元素を含むこともできる。他の元素は、不純物として含んでいてもよい。他の元素の例には、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Mg、Si、PおよびSが含まれる。
本発明に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施する。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO2,Co23,Co34など)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al23,Al(OH)3など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO2,Zr(OH)4など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiO2など)、鉄を含有する無機化合物(Fe23など)などが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)3、Zr(OH)4が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。なかでも、シランカップリング剤が最も好ましく、例えば一般式(1)あるいは一般式(2)で表されるシランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、高屈折率層の全固形分の1〜90質量%が好ましく、より好ましくは2〜80質量%、特に好ましくは5〜50質量%である。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、のどのテトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
表面処理に用いるその他の有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基を有する有機化合物である。
ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもできる。アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
本発明の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
高屈折率層に含有される二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましく、特に好ましくは不定形状、紡錘形状である。
(分散剤)
本発明の高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、分散剤を用いることができる。
本発明の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、アニオン性基を有する分散剤を用いることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(及びスルホ基)、リン酸基(及びホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びその塩が好ましく、カルボキシル基及びリン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよい。
無機微粒子の分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明の高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散に用いる好ましい分散剤は、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤である。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤は、上記アニオン性基を側鎖又は末端に有する。側鎖にアニオン性基を導入する方法としては、例えばアニオン性基含有モノマー(例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、部分エステル化マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、燐酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル等を重合させる方法、水酸基、アミノ基等を有するポリマーに対して酸無水物を作用させる方法等の高分子反応の利用によって合成できる。
側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有繰返し単位の組成は、全繰返し単位のうち、10-4〜100mol%の範囲であり、好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは5〜20mol%である。
一方、末端にアニオン性基を導入する手法としては、アニオン性基含有連鎖移動剤(例えばチオグリコール酸等)の存在下で重合反応を行なう手法、アニオン性基含有重合開始剤(例えば和光純薬工業性V−501)を用いて重合反応を行なう手法等によって合成できる。
特に好ましい分散剤は、側鎖にアニオン性基を有する分散剤である。
架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
1分子当たりの分散剤に含有される架橋又は重合性官能基の数は、平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有される架橋又は重合性官能基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
本発明に用いる好ましい分散剤において、側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰返し単位の例としては、ポリ−1,2−ブタジエンおよびポリ−1,2−イソプレン構造あるいは、(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドの繰返し単位であって、それに特定の残基(−COORまたは−CONHRのR基)が結合しているものが利用できる。上記特定の残基(R基)の例としては、−(CH2n−CR1=CR23、−(CH2O)n−CH2CR1=CR23、−(CH2CH2O)n−CH2CR1=CR23、−(CH2n−NH−CO−O−CH2CR1=CR23、−(CH2n−O−CO−CR1=CR23および−(CH2CH2O)2−X(R1〜R3はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、R1とR2またはR3は互いに結合して環を形成してもよく、nは1〜10の整数であり、そしてXはジシクロペンタジエニル残基である)を挙げることができる。エステル残基の具体例には、−CH2CH=CH2、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2CH2OCOCH=CH2、−CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C65、−CH2CH2OCOCH=CH−C65、−CH2CH2−NHCOO−CH2CH=CH2および−CH2CH2O−X(Xはジシクロペンタジエニル残基)が含まれる。アミド残基の具体例には、−CH2CH=CH2、−CH2CH2−Y(Yは1−シクロヘキセニル残基)および−CH2CH2−OCO−CH=CH2、−CH2CH2−OCO−C(CH3)=CH2が含まれる。
上記のエチレン性不飽和基を有する分散剤においては、その不飽和結合基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、分子間で直接、または重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、分子間に架橋が形成されて硬化する。あるいは、分子中の原子(例えば不飽和結合基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、分子間に架橋が形成されて硬化する。
側鎖に架橋又は重合性官能基を導入する方法は、例えば特開平3−249653号公報等に記載のごとく架橋又は重合性官能基含有モノマー(例えばアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリアルコキシシリルプロピルメタクリレート等)の共重合、ブタジエンあるいはイソプレンの共重合、3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーの共重合を行なった後に脱塩化水素を行なう方法、高分子反応による架橋又は重合性官能基の導入(例えばカルボキシル基含有ポリマーへのエポキシ基含有ビニルモノマーの高分子反応)等によって合成することができる。
架橋又は重合性官能基の含有単位は、アニオン性基含有繰返し単位以外の全ての繰返し単位を構成していてもよいが、好ましくは全架橋又は繰返し単位のうちの5〜50mol%であり、特に好ましくは5〜30mol%である。
本発明の好ましい分散剤は、架橋又は重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外の適当なモノマーとの共重合体であっても良い。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
本発明の好ましい分散剤の形態は特に制限はないが、ブロック共重合体またはランダム共重合体であることが好ましくコストおよび合成的な容易さからランダム共重合体であることが特に好ましい。
以下に本発明に好ましく用いられる分散剤の具体例を示すが、本発明用の分散剤はこれらに限定されるものではない。なお特に記載の無い場合はランダム共重合体を表す。
Figure 2006106714
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分散剤の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
(高屈折率層及びその形成法)
高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層の形成に使用する。無機微粒子の分散において、前記の分散剤の存在下で、分散媒体中に分散する。
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機微粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
無機微粒子は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。
無機微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層を形成できる。
本発明に用いる高屈折率層は、上記のようにして分散媒体中に無機微粒子を分散した分散液に、バインダー(例えば、ハードコート層の説明で例示した電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤、増感剤、塗布溶媒等を加えて高屈折率層形成用の塗布組成物とし、ハードコート層上に高屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。バインダー、光重合開始剤、増感剤、塗布溶媒の具体例は、ハードコート層で例示した化合物を用いることができる。
さらに、高屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機微粒子を含有する高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
無機微粒子は高屈折率層の屈折率を制御する効果と共に、硬化収縮を抑える機能がある。
高屈折率層の中において、無機微粒子はなるべく微細に分散されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。高屈折率層中の無機微粒子の質量平均径は、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。
無機微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層を形成できる。
高屈折率層における無機微粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機微粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有するので、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
例えば、ハードコート層上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順に3層設ける場合、中屈折率層の屈折率は1.55〜1.80、高屈折率層の屈折率は1.80〜2.40、低屈折率層の屈折率は1.20〜1.46であることが好ましい。
高屈折率層には、前記の成分(無機微粒子、重合開始剤、光増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子、などを添加することもできる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
(反射防止フィルムのその他の層)
より優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製するために、高屈折率層の屈折率と、透明支持体の屈折率の間の屈折率を有する中屈折率層を設けることが好ましい。
中屈折率層は、本発明の高屈折率層において記載したのと同様に作製することが好ましく、屈折率の調整には皮膜中の無機微粒子の含有率を制御することで可能である。
反射防止フィルムには、以上に述べた以外の層を設けてもよい。例えば、接着層、シールド層、防汚層、滑り層や帯電防止層を設けてもよい。シールド層は電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
本発明の反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
[塗布液の調整]
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
ハードコート層等を形成する塗布液中には、直接その上に形成される層(低屈折率層、中屈折率層等)の乾燥膜厚(50nm〜120nm程度)に相当する異物を概ね全て(90%以上を指す)除去できるろ過をすることが好ましい。光拡散性を付与する為の透光性粒子が低屈折率層や中屈折率層の膜厚と同等以上であるため、前記ろ過は、透光性粒子以外の全ての素材を添加した中間液に対して行うことが好ましい。また、前記のような粒径の小さな異物を除去可能なフィルターが入手できない場合には、少なくとも直接その上に形成される層のウエット膜厚(1〜10μm程度)に相当する異物を概ね全て除去できるろ過をすることが好ましい。このような手段により、直接その上に形成される層の点欠陥を減少することができる。
[塗布・乾燥]
次に、ハードコート層等、直接支持体上の塗布する層を形成するための塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。その後、光照射および加熱の少なくともいずれかの手段により、硬化する。これによりハードコート層等が形成される。
ここで、必要であればハードコート層を複数層とすることができる。
次に、同様にして低屈折率層を形成するための塗布液をハードコート層上に塗布し、溶剤を乾燥した後に光照射および加熱の少なくともいずれかを行い、低屈折率層が形成される。このようにして、本発明の反射防止フィルムが得られる。
ハードコート層を形成する際には、基材フィルム上に直接又は他の層を介してウエット塗布膜厚として6〜30μmの範囲で前記塗液を塗布するのが好ましい。塗布法としてはマイクログラビアコート方式によりリバース塗布することが好ましい。
また、低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層を形成する際には、ハードコート層上に直接、或いは他の層を介してウエット塗布膜厚として1〜10μmの範囲で塗布組成物を塗布するのが好ましく、2〜5μmの範囲で塗布されるのがより好ましい。
ハードコート層および低屈折率層は、基材フィルム上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送される。その際の乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後、乾燥ゾーン内で基材フィルムの塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと基材フィルムとの温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
ハードコート層の干渉ムラを抑制するには、支持体とハードコート層との混合領域を形成することが必要である。乾燥が速すぎると支持体とハードコート層が充分に混合しない、乾燥が遅すぎると生産性が悪くなり、具体的には、乾燥風の風速は、0.1m/秒以上10m/秒以下が好ましく、より好ましくは0.3m/秒以上8m/秒以下、更に好ましくは0.5m/秒以上5m/秒以下である。
[硬化]
次に、本発明のハードコート層、低屈折率層、必要に応じて形成する中屈折率層、高屈折率層の硬化手段について説明する。
本発明のハードコート層、低屈折率層、必要に応じて形成する中屈折率層、高屈折率層は、溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線および熱の少なくともいずれかの手段により、各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化する。例えば紫外線で硬化する場合には、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。本発明において、電離放射線とは、通常用いられている意味で用いており、物質中を通過するときに励起やイオン化を引き起こす放射線、すなわち単に放射線とも呼んでいる粒子線及び電磁波を指しており、具体的にはα線、β線、γ線、高エネルギー粒子、中性子、電子線、光線(紫外線及び可視光線)などである。特に本発明に好ましい電離放射線は、紫外線及び可視光線である。
硬化時の酸素濃度は、15体積%以下が好ましく、より好ましくは1体積%以下であり、さらに好ましくは0.3体積%以下である。硬化時の酸素濃度が15体積%を超えると、本発明の各層の溶剤乾燥後の膜厚が0.1μm〜数十μm程度と薄い(体積あたりの表面積が大きい)等の理由から、酸素によるラジカルの失活が顕著となり、その結果、硬化後の膜の耐擦傷性、具体的には後述する耐擦傷性が致命的に劣ってしまう、上層を塗布した際に表面が一部膨潤、または溶解してしまうために界面混合が起こり、反射特性が悪化してしまう、等の問題が起こる。
硬化時の酸素濃度を上記のように制御するためには、窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下するのが好ましい。
また、ハードコート層の硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に本発明の低屈折率層を設けて電離放射線および熱の少なくともいずれかの手段により低屈折率層を硬化した際に下層のハードコート層の硬化率が低屈折率層を設ける前よりも高くなると、ハードコート層と低屈折率層との間の密着性が改良され、好ましい。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の保護フィルムからなる。
一方の保護フィルムとして、本発明の反射防止フィルムを用いることができる。他方の保護フィルムは、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、上述の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、反射防止フィルムに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることが好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
反射防止フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体やポリマーフィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
本発明の光拡散フィルム、反射防止フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m2・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m2・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。
上記透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
(光学補償フィルム)
本発明の光学補償フィルムの光学異方性層に用いられる液晶化合物は、棒状液晶でも、ディスコティック液晶でもよく、またそれらが高分子液晶、もしくは低分子液晶、さらには、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含む。液晶性化合物として最も好ましいのは、ディスコティック液晶である。
棒状液晶の好ましい例としては、特開2000−304932号公報に記載のものが挙げられる。
ディスコティック液晶の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics Lett.A、78巻、82頁(1990年)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。
上記ディスコティック液晶は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等が放射線状に置換された構造であり、液晶性を示す。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。
また、本発明において、光学異方性層中のディスコティック構造単位を有する化合物とは、光学異方性層中で最終的にできた化合物がディスコティック化合物である必要はなく、例えば、前記低分子ディスコティック液晶が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。上記ディスコティック液晶の好ましい例は特開平8−50206号公報に記載されている。
本発明の光学異方層は、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる層であって、そしてディスコティック構造単位の円盤面が、透明支持体面(即ち、保護フィルム表面)に対して傾き、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面(即ち、保護フィルム表面)とのなす角度が、光学異方層の深さ方向に変化していることが好ましい。
ディスコティック構造単位の面の角度(傾斜角)は、一般に、光学異方層の深さ方向でかつ光学異方層の底面からの距離の増加と共に増加または減少している。上記傾斜角は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、及び増加及び減少を含む間欠的変化等を挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜角は、変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していることが好ましい。さらに、傾斜角は全体として増加していることが好ましく、特に連続的に変化することが好ましい。
光学異方層は、一般にディスコティック化合物及び他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコティックネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。あるいは、光学異方層は、ディスコティック化合物及び他の化合物(さらに、例えば重合性モノマー、光重合開始剤)を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコティックネマチック相形成温度まで加熱したのち重合させ(UV光の照射等により)、さらに冷却することにより得られる。本発明に用いるディスコティック液晶性化合物のディスコティックネマチック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に70〜170℃が好ましい。
支持体側のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック単位の傾斜角は、一般にディスコティック化合物あるいはディスコティック化合物とともに使用する他の化合物(例、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマー)を選択することにより調整することができる。さらに、傾斜角の変化の程度も上記選択により調整することができる。
上記可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しない限り、どのような化合物も使用することができる。これらの中で、重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)が好ましい。上記化合物は、ディスコティック化合物に対して一般に1〜50質量%(好ましくは5〜30質量%)の量にて使用される。さらに、好ましい重合性モノマーの例としては、多官能アクリレートが挙げられる。官能基の数は3官能以上が好ましく、4官能以上がさらに好ましい。最も好ましいのは6官能モノマーである。6官能モノマーの好ましい例としては、ジペンタエリストリトールヘキサアクリレートが挙げられる。また、これら官能基数の異なる多官能モノマーを混合して使用することも可能である。
上記ポリマーとしては、ディスコティック化合物と相溶性を有し、液晶性ディスコティック化合物に傾斜角の変化を与えられる限り、どのようなポリマーでも使用することができる。ポリマー例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。上記ポリマーは、液晶性ディスコティック化合物の配向を阻害しないように、ディスコティック化合物に対して一般に0.1〜10質量%(好ましくは0.1〜8質量%、特に0.1〜5質量%)の量にて使用される。
本発明では、光学異方性層は、保護フィルム(例えば、セルロースアセテートフィルム)などの上に設けられた配向膜上に形成されたディスコティック液晶からなり、配向膜が架橋されたポリマーからなるラビング処理された膜であることが好ましい。
(配向膜)
本発明で光学異方性層の液晶性化合物の配向を調整するために設ける配向膜は、架橋された2種のポリマーからなる層であることが好ましい。2種のうち少なくとも1種に、それ自体架橋可能なポリマー、あるいは架橋剤により架橋されるポリマー、のいずれかを使用することが好ましい。上記配向膜は、官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熱、pH変化等により、ポリマー間で反応させて形成するか、あるいは、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。
このような架橋は、通常上記ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱等を行なうことにより実施されるが、最終商品の段階で耐久性が確保できればよいので、配向膜を支持体上に塗設した後から、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で架橋させる処理を行なってもよい。配向膜上に形成される光学異方性層がディスコティック化合物で形成される場合、ディスコティック化合物の配向性を考えると、該化合物を配向させたのちに、充分架橋を行なうことも好ましい。すなわち、支持体上に、ポリマー及び該ポリマーを架橋することができる架橋剤を含む塗布液を塗布した場合、加熱乾燥した後(一般に架橋が行なわれるが、加熱温度が低い場合にはディスコティックネマチック相形成温度に加熱された時にさらに架橋が進む)、ラビング処理を行なって配向膜を形成し、次いでこの配向膜上に円盤状構造単位を有する化合物を含む塗布液を塗布し、ディスコティックネマチック相形成温度以上に加熱した後、冷却して光学異方層を形成する。
本発明で配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。勿論両方可能なポリマーもある。上記ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート、ゼラチン等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーであり、さらにゼラチン、ポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが好ましく、特にポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
上記ポリマーの中で、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールが好ましく、重合度の異なるポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを2種類併用することが最も好ましい。
ポリビニルアルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%のものであり、一般に鹸化度80〜100%のものであり、より好ましくは鹸化度85〜95%のものである。重合度としては、100〜3000の範囲が好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性したもの(変性基として、例えば、COONa、Si(OX)4、N(CH33・Cl、C919COO、SO3、Na、C1225等が導入されている)、連鎖移動により変性したもの(変性基として、例えば、COONa、SH、C1225等が導入されている)、ブロック重合による変性をしたもの(変性基として、例えば、COOH、CONH2、COOR、C65等が導入されている)等のポリビニルアルコールの変性物を挙げることができる。これらの中で、鹸化度80〜100%の未変性乃至変性ポリビニルアルコールが好ましく、鹸化度85〜95%の未変性ないしアルキルチオ変性ポリビニルアルコールがより好ましい。
これら変性ポリマーの合成方法、可視吸収スペクトル測定、および導入率の決定方法等は、特開平8−338913号公報に詳しい記載がある。
上記ポリビニルアルコール等のポリマーと共に使用される架橋剤の具体例として、下記のものを挙げることができるが、これらは上記水溶性ポリマー、特にポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール(上記特定の変性物も含む)、と併用する場合に好ましい。例えば、アルデヒド類(例、ホルムアルデヒド、グリオキザール及びグルタルアルデヒド)、N−メチロール化合物(例、ジメチロール尿素及びメチロールジメチルヒダントイン)、ジオキサン誘導体(例、2,3−ジヒドロキシジオキサン)、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物(例、カルベニウム、2−ナフタレンスルホナート、1,1−ビスピロリジノ−1−クロロピリジニウム及び1−モルホリノカルボニル−3−(スルホナトアミノメチル))、活性ビニル化合物(例、1、3、5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホン)メタン及びN,N’−メチレンビス−[β−(ビニルスルホニル)プロピオンアミド])、活性ハロゲン化合物(例、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン)、イソオキサゾール類、及びジアルデヒド澱粉、などを挙げることができる。これらは、単独または組合せて用いることができる。生産性を考慮した場合、反応活性の高いアルデヒド類、とりわけグルタルアルデヒドの使用が好ましい。
架橋剤としては、特に限定はなく、添加量は、耐湿性に関しては、多く添加した方が良化傾向にある。しかし、配向膜としての配向能が、ポリマーに対して50質量%以上添加した場合に低下することから、0.1〜20質量%が好ましく、特に0.5〜15質量%が好ましい。この場合、配向膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含むこともあるが、その架橋剤の量は、配向膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、特に0.5質量%以下であることが好ましい。配向膜中に1.0質量を超える量で架橋剤が含まれていると、充分な耐久性が得られない。即ち、液晶表示装置に使用した場合、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、レチキュレーションが発生することがある。
本発明の配向膜は、配向膜形成材料である上記ポリマーおよび架橋剤を含む塗布液を、透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋させ)、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってよい。そして、前記のポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のあるメタノール等の有機溶媒と水の混合溶媒とすることが好ましく、その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が一般的であり、0:100〜91:9であることが好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、さらには光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。塗布方法としては、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。特にE型塗布法が好ましい。また、膜厚は0.1〜10μmが好ましい。
加熱乾燥は20℃ないし110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成させるためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができる。好ましくは5分間〜30分間である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、架橋剤にグルタルアルデヒドを使用した場合は、pHは4.5〜5.5が好ましく、5が特に好ましい。
配向膜は、透明支持体上、または透明支持体と配向膜を密着し得る下塗り層を介して設けられる。下塗り層は、透明支持体と配向膜との組み合わせにおいて、両者の密着性を向上できるものであれば、特に限定されない。
配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディスコティック化合物の配向方向を規定するように機能する。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行なうことにより実施される。
(光学異方性層を塗設する透明支持体)
光学異方性層を設ける透明支持体は、セルロースアセテートフィルムが好ましく、光学的に一軸性でも二軸性であってもよい。
光学異方性層を塗設する透明支持体は、それ自身が光学的に重要な役割を果たすため、透明支持体のRe(λ)が0〜200nmであり、そして、Rth(λ)が70〜400nmに調節されることが好ましい。
液晶表示装置に二枚の光学的異方性セルロースアセテートフィルムを使用する場合、フィルムのRth(λ)は70〜250nmであることが好ましい。
液晶表示装置に一枚の光学的異方性セルロースアセテートフィルムを使用する場合、フィルムのRth(λ)は150〜400nmであることが好ましい。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。波長λとしては、通常450〜750nmの範囲の値が用いられる。本願においては、589.3nmの値を用いている。ここで平均屈折率の仮定値は「ポリマーハンドブック」(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
(液晶表示装置)
本発明の反射防止フィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
本発明を、以下の実施例にて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(ハードコート層用塗布液Aの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液Aとした。
(ハードコート層用塗布液A組成)
KAYARAD DPHA 100質量部
(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)
KBM−5103 10質量部
(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)
トルエン 60質量部
シクロヘキサノン 40質量部
(ハードコート層用塗布液Bの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液Bとした。
(ハードコート層用塗布液B組成)
デソライトZ7401 100質量部
(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:固形分濃度48質量%、ジルコニア微粒子含量70質量%対固形分、平均粒子径約20nm、溶剤組成シクロヘキサノン:MEK=5:5、JSR(株)製)
KAYARAD DPHA 20質量部
(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製)
KBM−5103 8質量部
(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)
イルガキュア184 4質量部
(光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
メチルエチルケトン(MEK) 15質量部
シクロヘキサノン 15質量部
(ハードコート層用塗布液Cの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液Cとした。
(ハードコート層用塗布液C組成)
デソライトZ7404 100質量部
(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:固形分濃度60質量%、ジルコニア微粒子含量70質量%対固形分、平均粒子径約20nm、溶剤組成MIBK:MEK=9:1、JSR(株)製)
KAYARAD DPHA 31質量部
(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製)
KBM−5103 10質量部
(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)
メチルイソブチルケトン(MIBK) 45質量部
(ハードコート層用塗布液Dの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液Dとした。
(ハードコート層用塗布液Dの組成)
デソライトZ7401 100質量部
(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:固形分濃度48質量%、ジルコニア微粒子含量70質量%対固形分、平均粒子径約20nm、溶剤組成シクロヘキサノン:MEK=5:5、JSR(株)製)
KAYARAD DPHA 20質量部
(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製)
KBM−5103 8質量部
(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)
イルガキュア184 4質量部
(光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
KE−P150 2.5質量部
(1.5μmシリカ粒子:日本触媒(株)製)
メチルエチルケトン(MEK) 15質量部
シクロヘキサノン 15質量部
なお、上記1.5μmシリカ粒子は平均粒径1.5μmのシリカ粒子を意味する。この粒子は、透光性粒子である。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業(株)製)を使用した。
この粒子257.1gに、下記分散剤38.6g、およびシクロヘキサノン704.3gを添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
分散剤
Figure 2006106714
(中屈折率層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してその後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、中屈折率層用塗布液を調製した。
(中屈折率層用塗布液組成)
二酸化チタン微粒子分散液 100質量部
KAYARAD DPHA 66質量部
(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製)
イルガキュア907 3.5質量部
(光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
カヤキュアーDETX−S 1.2質量部
(光増感剤:日本化薬(株)製)
メチルエチルケトン(MEK) 543質量部
シクロヘキサノン 2103質量部
(高屈折率層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してその後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、高屈折率層用塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液組成)
二酸化チタン微粒子分散液 100質量部
KAYARAD DPHA 8.2質量部
(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製)
イルガキュア907 0.68質量部
(光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
カヤキュアーDETX−S 0.22質量部
(光増感剤:日本化薬(株)製)
メチルエチルケトン(MEK) 78質量部
シクロヘキサノン 243質量部
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120質量部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103(商品名);信越化学工業(株)製)100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12(商品名)、ホープ製薬(株))3質量部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。 質量平均分子量は1800であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は0.53MPa(5.4kg/cm2)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm2)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
Figure 2006106714
(中空シリカ微粒子分散液の調製)
中空シリカ微粒子ゾル(粒子サイズ約40〜50nm、シエル厚6〜8nm、屈折率1.31、固形分濃度20%、主溶媒イソプロピルアルコール、特開2002−79616号公報の調製例4に準じて粒子サイズを変更して作製)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−5103)30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株))1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、中空シリカ微粒子分散液を得た。得られた中空シリカ微粒子分散液の固形分濃度は18質量%、溶剤乾燥後の屈折率は1.31であった。
(低屈折率層用塗布液Aの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Aを調製した。
(低屈折率層用塗布液Aの組成)
KAYARAD DPHA 1.4質量部
(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製)
パーフルオロオレフィン共重合体(1) 5.6質量部
中空シリカ微粒子分散液 20.0質量部
RMS−033 0.7質量部
(反応性シリコーン:Gelest(株)製)
イルガキュア907 0.2質量部
(光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
ゾル液a 6.2質量部
メチルエチルケトン(MEK) 306.9質量部
シクロヘキサノン 9.0質量部
(低屈折率層用塗布液Bの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Bを調製した。
(低屈折率層用塗布液Bの組成)
KAYARAD DPHA 1.4質量部
(UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製)
パーフルオロオレフィン共重合体(1) 5.6質量部
シリカ微粒子分散物 MEK−ST−L 12.0質量部
(MEK−STの粒径違い品、平均粒径45nm:日産化学(株)製)
RMS−033 0.7質量部
(反応性シリコーン:Gelest(株)製)
イルガキュア907 0.2質量部
(光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
ゾル液a 6.2質量部
メチルエチルケトン(MEK) 306.9質量部
シクロヘキサノン 9.0質量部
(低屈折率層用塗布液Cの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、その後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Cを調製した。
(低屈折率層用塗布液Cの組成)
オプスターJTA113(6%) 55質量部
(ポリシロキサンおよび水酸基含有フッ素ポリマー溶液、固形分の屈折率1.44、固形分濃度6%、JSR(株)製)
中空シリカ微粒子分散液 40質量部
ゾル液a 6質量部
メチルエチルケトン(MEK) 240質量部
シクロヘキサノン 9質量部
(反射防止フィルムA−01の作製)
支持体として厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、支持体上に、上記のハードコート層用塗
布液Aを、グラビアコーターを用いて、支持体との混合が無ければ乾燥膜厚が5μmとなるように調節して塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層1を形成した。
ハードコート層1の屈折率は1.54であった。
上記ハードコート層1を塗設した支持体を再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液Aを、グラビアコーターを用いて、乾燥膜厚が100nmとなるように調節して塗布した。120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層1を形成し、巻き取った。
(反射防止フィルムA−02〜06の作製)
ハードコート層用塗布液Aのトルエン/シクロヘキサノンの添加量を、40質量部/60質量部、20質量部/80質量部、0質量部/100質量部、0質量部/200質量部、100質量部/0質量部に変更してハードコート層を形成した以外は、反射防止フィルムA−01と同様にして、反射防止フィルムA−02、A−03、A−04、A−05、A−06をそれぞれ作製した。
(反射防止フィルムA−07の作製)
低屈折率層用塗布液Bを用いて低屈折率層を形成した以外は、反射防止フィルムA−03と同様にして、反射防止フィルムA−07を作製した。
(反射防止フィルムA−08の作製)
低屈折率層用塗布液Aのゾル液aを添加しなかった以外は、反射防止フィルムA−03と同様にして、反射防止フィルムA−08を作製した。
(反射防止フィルムA−09の作製)
ハードコート層用塗布液Bを用いてハードコート層9を形成した以外は、反射防止フィルムA−01と同様にして、反射防止フィルムA−09を作製した。
ハードコート層9を構成するジルコニア微粒子を含有するバインダーの屈折率は1.62であった。
(反射防止フィルムA−10〜12の作製)
ハードコート層用塗布液Bに、5.0μmの架橋ポリスチレン粒子SX−500を2質量部、5質量部、10質量部添加してハードコート層を形成した以外は、反射防止フィルムA−09と同様にして、反射防止フィルムA−10、A−11、A−12をそれぞれ作製した。
(反射防止フィルムA−13、14の作製)
ハードコート層用塗布液Bのメチルエチルケトン/シクロヘキサノンの添加量を、30質量部/0質量部、0質量部/30質量部に変更してハードコート層を形成した以外は、反射防止フィルムA−09と同様にして、反射防止フィルムA−13、A−14をそれぞれ作製した。
(反射防止フィルムA−15の作製)
ハードコート層用塗布液Cを用いてハードコート層15を形成した以外は、反射防止フィルムA−01と同様にして、反射防止フィルムA−15を作製した。
ハードコート層15を構成するジルコニア微粒子を含有するバインダーの屈折率は1.62であった。
(反射防止フィルムA−16の作製)
低屈折率層用塗布液Cを用いて低屈折率層を形成した以外は、反射防止フィルムA−09と同様にして、反射防止フィルムA−16を作製した。
(反射防止フィルムA−17の作製)
ハードコート層用塗布液Dを用いてハードコート層17を形成した以外は、反射防止フィルムA−01と同様にして、反射防止フィルムA−17を作製した。
ハードコート層17を構成するジルコニア微粒子を含有するバインダー、シリカ1.5μm粒子の屈折率はそれぞれ1.62、1.44であった。
(反射防止フィルムA−18の作製)
ハードコート層用塗布液CのKE−P150(シリカ1.5μm粒子)の添加量を、5質量部に変更してハードコート層を形成した以外は、反射防止フィルムA−17と同様にして、反射防止フィルムA−18を作製した。
(反射防止フィルムA−19の作製)
ハードコート層用塗布液Aを用いて作製したハードコート層1を塗設した支持体を巻き出して、ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.65、膜厚67nm)を形成した。
中屈折率層の上に、高屈折率層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.93、膜厚107nm)を形成した。
高屈折率層の上に、低屈折率層用塗布液Aを、グラビアコーターを用いて塗布した。80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層(屈折率1.43、膜厚86nm)を形成した。このようにして、ハードコート層上に反射防止層を形成し、反射防止フィルムA−19を作製した。
(反射防止フィルムの鹸化処理)
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.005mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済み反射防止フィルムを作製した。
(反射防止フィルム付き偏光板PA−01〜19の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。鹸化処理済みの反射防止フィルムA−01〜A−19に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、反射防止フィルムの支持体側(トリアセチルセルロース)が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。また、光学補償層を有する視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムスーパーエース、富士写真フイルム(株)製)を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板PA−01〜19を作製した。
(反射防止フィルム及び偏光板の評価)
得られた反射防止フィルム及び偏光板について、以下の項目の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)中心線平均粗さRa
反射防止フィルムの表面粗さは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope、SPI3800N、セイコーインスツルメント(株)製)にて測定した。
(2)混合領域の層の厚さ測定
反射防止フィルムの断面をミクロトームを用いて切削し、断面から走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−570)を用いて反射電子モードで観察し、撮影された写真より混合領域の層の厚さを求めた。
(3)ヘイズ
反射防止フィルムのヘイズをヘイズメーターMODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
(4)透過画像鮮明度(画像呆け)
反射防止フィルムの透過画像鮮明度をスガ試験機(株)製の写像性測定器(ICM−2D型)を用いて、0.5mmの光学櫛にて測定した。
(5)積分反射率
反射防止フィルムを、分光光度計V−550(日本分光(株)製)の積分球に装着して、380〜780nmの波長領域において、積分反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
(6)干渉ムラ(虹ムラ)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(TH−15TA2、松下電器産業(株)製)に設けられている視認側の偏光板を剥がし、代わりに偏光板PA−01〜19を、反射防止膜側が視認側に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付けた。三波長蛍光管を設置した1000luxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、種々の視角から目視により以下の基準で評価した。
(干渉ムラの判定基準)
A:干渉ムラが全くない
B:干渉ムラがほとんどない
C:弱い干渉ムラがある
D:強い干渉ムラがある
(7)白呆け
上記干渉ムラの評価で作成した液晶表示装置について、1000luxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、種々の視角から目視により以下の基準で評価した。
(白呆けの判定基準)
A:白呆けが全くない
B:白呆けがほとんどない
C:弱い白呆けがある
D:強い白呆けがある
(8)ゴニオフォトメータ散乱強度比
自動変角光度計GP−5型((株)村上色彩技術研究所製)を用いて、入射光に対して反射防止フィルムを垂直に配置し、全方位に渡って散乱光プロファイルを測定した。出射角0°の光強度に対する出射角30°の散乱光強度を求めた。
(9)左右色味変化
上記干渉ムラの評価で作成した液晶表示装置について、視角を左右に傾けた時の白表示の黄色着色度合いを、目視により以下の基準で評価した。
(左右色味変化の判定基準)
A:黄色の着色を感じない
B:微かに黄色に着色する
C:弱く黄色に着色する
D:強く黄色に着色する
(10)視野角
上記干渉ムラの評価で作成した液晶表示装置について、測定器(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示と白表示の測定から、コントラスト10の視野角を算出した。
(11)スチールウール耐傷性
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール(株)製、No.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
A:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
B:弱い傷が見える。
C:中程度の傷が見える。
D:一目見ただけで分かる傷がある。
(12)鉛筆硬度
JIS K 5400に準じて、鉛筆硬度試験用鉛筆を用いて、500gの荷重にて評価した。
Figure 2006106714
表1に示された結果から以下のことが明らかである。中空シリカ微粒子を含有する低屈折率層により反射防止効果を高め、ハードコート層と支持体界面に混合領域を形成することにより干渉ムラを改良し、Raを0.10μm以下にすることにより白呆け、画像の呆けが殆ど発生しないレベルを達成した。更に、屈折率中間層を設けることにより、干渉ムラは完全に改良されている。
更に、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を使用することによりスチールウール耐傷性が改良され、ハードコート層に内部散乱性を付与することにより、視野角特性が改良され、中/高/低屈折率層と多層光干渉層を積層することにより、極めて優れた反射防止性が達成された。
VAモード液晶セルを使用した液晶表示装置(LC−22GD3、シャープ(株)製)、IPSモードモード液晶セルを使用した液晶表示装置(KLV−23HR1、ソニー(株)製)に設けられている視認側の偏光板を剥がし、代わりに、偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するようにプレーン偏光板(HLCS−5618、サンリッツ(株)製)を貼り、更に粘着剤を介して、反射防止膜側が視認側になるように、反射防止フィルムA−01〜19を貼り付けた。
VAモード液晶セルを使用した液晶表示装置及びIPSモード液晶セルを使用した液晶表示装置においても、TNモード液晶セルを使用した液晶表示装置における結果と同様に、本発明の反射防止フィルムの効果を確認した。
特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置においても、本発明の反射防止フィルムの効果を確認した。
(反射防止フィルムA−20〜A−25の作製)
ハードコート層塗布液Aの溶剤組成及びハードコート層の乾燥風条件を変更した以外は、反射防止フィルムA−01と同様にして、反射防止フィルムA−20〜A−25を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2006106714
表2に示された結果から以下のことが明らかである。ハードコート層と支持体界面に混合領域を形成することにより干渉ムラが改良されている。さらに、ハードコート塗布組成物が支持体の透明樹脂を溶解または膨潤させる溶剤を含み、ハードコート塗布液組成物を風速10m/秒以下の乾燥風で乾燥すると、干渉ムラが高度なレベルで改良されている。
本発明の反射防止フィルムの一実施形態の構成例を示す概略断面図である。 本発明の反射防止フィルムの別の実施形態の構成例を示す概略断面図である。 本発明の反射防止フィルムの他の実施形態の構成例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 透明支持体
2A、2B、2C ハードコート層
3 低屈折率層
4 混合領域
5 透光性粒子
6 中屈折率層
7 高屈折率層
10、20、30 反射防止フィルム

Claims (16)

  1. 透明樹脂からなる支持体と、少なくとも一層の電離放射線硬化性樹脂からなるハードコート層と、最外層に位置する低屈折率層とをこの順で有する反射防止フィルムであって、
    (i)該支持体と該ハードコート層の間に、該支持体の透明樹脂と該ハードコート層の電離放射線硬化性樹脂とが混合した混合領域を有し、
    (ii)該反射防止フィルムの表面粗さRa(中心線平均粗さ)が0.10μm以下であり、そして
    (iii)該低屈折率層が、平均粒径が5〜200nmであり且つ屈折率が1.17〜1.40である中空シリカ微粒子を含有している、
    ことを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記ハードコート層および/または前記低屈折率層が、(a)水酸基または加水分解可能な基がケイ素に直接結合しているオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、ならびに(b)一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti又はAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記混合領域の層の厚さが0.2〜10μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記支持体が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  5. 前記ハードコート層が、前記支持体の透明樹脂を溶解または膨潤させる溶剤を含む塗布液を塗布、乾燥、硬化によって形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  6. 前記ハードコート層が、少なくとも電離放射線硬化性樹脂と溶剤を含む塗布組成物を塗布、乾燥して形成された反射防止フィルムにおいて、風速0.1m/秒以上10m/秒以下の乾燥風で乾燥することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  7. 前記ハードコート層の屈折率が1.55以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  8. 前記ハードコート層が、バインダーおよび該バインダーと屈折率の異なる少なくとも一種の透光性粒子を含有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  9. 前記反射防止フィルムの透過画像鮮明度が60%以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  10. 前記ハードコート層のヘイズ値が10%以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  11. 前記ハードコート層のゴニオフォトメータで測定される散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する出射角30°の散乱光強度が0.01%〜0.2%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の反射防止フィルム。
  12. 偏光膜の両面を保護フィルムで挟持した偏光板であって、一方の保護フィルムに請求項1〜11のいずれかに記載の反射防止フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
  13. 前記保護フィルムのうち前記反射防止フィルムを用いていない他方の保護フィルムが、光学異方性層を有する光学補償フィルムであり、該光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物を含む層であり、該ディスコティック構造単位の円盤面が該保護フィルム表面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と該保護フィルム表面とのなす角度が該光学異方層の深さ方向に変化していることを特徴とする請求項12に記載の偏光板。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは請求項12,13のいずれかに記載の偏光板をディスプレイの最表層に用いたことを特徴とする液晶表示装置。
  15. 請求項1〜11のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは請求項12に記載の偏光板を、液晶セルがVAモードあるいはIPSモードであるディスプレイの最表層に用いたことを特徴とする液晶表示装置。
  16. 請求項1〜11のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは請求項12,13のいずれかに記載の偏光板を、液晶セルがOCBモードであるディスプレイの最表層に用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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