JP2007233114A - 偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】偏光板は、偏光子と、偏光子の一方の面に設けられる保護フィルムと、偏光子の他方の面に設けられる光学異方体とを備える。保護フィルムは、熱可塑性樹脂からなる複数の層を備え、その総厚みが200μm以下であり、その透湿度が10〜200g/m2・24hである。光学異方体の面内レターデーションReのばらつきが10nm以内である。
【選択図】なし
Description
本発明に用いる偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるもの、またはポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させ延伸し、さらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるものなどが挙げることができる。また、偏光子としては、グリッド偏光子、多層偏光子、およびコレステリック液晶偏光子などの偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子を挙げることもできる。この中でも、偏光子としては、ポリビニルアルコールを含んでなるものが好ましい。偏光子の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の厚み(平均厚み)は、好ましくは5μm〜80μmである。
本発明において、保護フィルムは、熱可塑性樹脂からなる層を複数備え、その総厚みが200μm以下であり、かつその透湿度が10〜200g/m2・24hである。このような構成とすることにより、高温・高湿度環境下でも吸湿等による寸法変化がなく、十分な光学性能を発揮できる。
前記親水性樹脂層を構成する高分子化合物の親水性基としては、親水性や水分散性機能を有する官能基であればよく、例えば、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、エステル基、アミド基、アミノ基、水酸基、グリシジル基、およびアセチル基などを挙げることができる。この中でも、親水性基としては、水酸基が好ましい。
親水性樹脂層を含む複数の層からなる保護フィルムにおいて、親水性樹脂層以外の他の層に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、および脂環式オレフィンポリマーなどを挙げることができる。この中でも、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂からなる層は、単層または複数層とすることができる。
|na(λ)−nb(λ)| ≦ 0.05 (1)
特に、|na(λ)−nb(λ)|≦0.045であることがより好ましい。なお、na(λ)及びnb(λ)は、波長λにおける主屈折率の平均値である。|na(λ)−nb(λ)|の値が上記値を超える場合には、界面での屈折率差によって生じる界面反射により、保護層表面に干渉縞が生じるおそれがある。
本発明の偏光板は、保護フィルムの表面に下記機能を有する機能層を備えていてもよい。このような機能層としては、例えば、ハードコート層、反射防止層、帯電防止層、防眩層、および防汚層などを挙げることができる。これらの機能層は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
ハードコート層は、保護フィルムの硬度を補強するための層であり、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板を用いる)で「H」以上の硬度を示すことが好ましい。このようなハードコート層が設けられた保護フィルムは、その鉛筆硬度が4H以上になることが好ましい。ハードコート層を形成する材料(ハードコート材料)としては、熱や光硬化性の材料であることが好ましく、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;二酸化ケイ素などの無機系ハードコート材料;などを挙げることができる。これらの中でも、ハードコート材料としては、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系ハードコート材料の使用が好ましい。
反射防止層は、外光の移りこみを防止するための層であり、出射側保護フィルムの表面(外部に露出する面)に直接またはハードコート層等の他の層を介して積層される。反射防止層が設けられた反射防止層付き出射側保護フィルムは、入射角5°、波長430nm〜700nmにおける反射率が2.0%以下であることが好ましく、波長550nmにおける反射率が1.0%以下であることが好ましい。
防汚層は、被積層体の表面に撥水性、撥油性、耐汗性、および防汚性などを付与できる層である。防汚層を形成するために用いる材料としては、フッ素含有有機化合物が好適である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボン、パーフルオロシラン、又はこれらの高分子化合物などを挙げることができる。また、防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法、CVD等の化学的気相成長法、湿式コーティング法等を用いることができる。防汚層の平均厚みは、好ましくは1nm〜50nm、より好ましくは3nm〜35nmである。
本発明に用いられる光学異方体とは、色補償、視野角補償等の光学補償の機能を備え、液晶表示装置の視認性を向上させる効果を有する、幅方向及び長手方向で複屈折性が制御されたフィルムであり、その面内レターデーションReのばらつきが10nm以内である。このような光学異方体としては、一軸性を有するフィルム、二軸性を有するフィルム、およびこれらの積層体を挙げることができ、使用する液晶セルのモードに応じて適宜選択される。なお、面内レターデーションRe、後述する厚さ方向のレターデーションRthは、該フィルムの面内の主屈折率をnx、nyとし、該フィルムの厚さ方向の屈折率をnzとし、該フィルムの厚さをd(nm)とした際に、Re=(nx−ny)×d、Rth=((nx+ny)/2−nz)×dで示される値である。
(1)2.5<(A+B)<2.9
(2)1.5<A<2.9
以上説明したような偏光板としては、具体的には、例えば下記構成とすることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る偏光板10を模式的に示す図である。図1に示すように、偏光板10は、光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とをこの順に備える図示しない液晶表示装置において、前記出射側偏光板に用いられるものである。偏光板10は、偏光子2と、偏光子2の前記液晶セル側(図1中の下側)の表面に接着層4を介して設けられる光学異方体3と、偏光子2の前記液晶セル側とは反対側(図1中の上側)の面に接着層4を介して設けられる保護フィルム1とを備えている。保護フィルム1は、親水性樹脂層1Bと、この親水性樹脂層1Bの両表面にそれぞれ設けられる熱可塑性樹脂層1Aとを備えた3層構成である。また、偏光板10は、保護フィルム1の表面に設けられた機能層を備えている。本実施形態の機能層は、保護フィルム1の表面に設けられるハードコート層5と、ハードコート層5の表面に設けられる低屈折率層6とを備えている。
本発明の液晶表示装置は、光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とをこの順に有する液晶表示装置であって、入射側偏光板および出射側偏光板の少なくともいずれかが前記偏光板である。
実施例および比較例に示す偏光板および液晶表示装置は、下記の方法により評価を行った。
高速分光エリプソメトリ(J.A.Woollam社製、M−2000U)を用い,温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、入射角度55度、60度、及び65度で、波長領域400〜1000nmのスペクトルを測定し、これらの測定結果から算出した。
熱可塑性樹脂を単層にて成形し、プリズムカプラ−(Metricon社製、model2010)を用い、温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、波長633nm、407nm、532nmにおける屈折率の値から、Caucyの分散式により、380nm〜780nmの屈折率を算出した。
熱可塑性樹脂を単層にて成形して、1cm×25cmの試験片を切り出し、ASTM882に基づき、引張試験機(東洋ボールドウィン社製、テンシロンUTM−10T−PL)を用いて引張速度25mm/minの条件で測定した。同様の測定を5回行い、その算術平均値を引張弾性率の代表値とした。
保護フィルムをエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム(大和工業社製、RUB−2100)を用いてスライスし、走査電子顕微鏡を用いて断面を観察し測定した。
40℃、92%RHの環境下に24時間放置する試験条件で、JIS Z 0208に記載のカップ法に準じた方法で測定した。透湿度の単位はg/m2・24hである。
前述した方法により、線状凹部の深さ、線状凸部の高さ、およびこれらの幅を測定した。得られた凹部深さ及び凸部高さの最大値、その最大値を示した凹部の幅及び凸部の幅を、そのフィルムの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅とし、以下の基準で評価した。
◎:線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm未満で,且つ幅が800nm以上
○:線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm以上、50nm以下で、且つ幅が500nm以上、800nm未満
×:線状凹部の深さ、または凸部の高さが50nmを超えで、且つ幅が500nm未満
光学異方体において、波長550nmにおける正面方向の面内レターデーションRe、および正面方向の面内レターデーションのばらつきは、自動複屈折計(王子計測器社製、KOBRA−21)を用いて測定した。なお、面内レターデーションReのばらつきは、光学異方体の幅方向に10mm間隔で正面レターデーションReを測定し、その測定値の算術平均値と面内レターデーションReの代表値とした。そして、前記測定値の内、最大値と最小値との差を面内レターデーションReのばらつきとした。
作製した偏光板を温度60℃、湿度90%で300時間放置し、放置後の偏光板端面の界面剥離を目視観察した。
○:剥離なし
×:端面に剥離が見られる
JIS K5600−5−4を参考にして、上から500gの荷重を掛けるとともに、45度の角度に傾けた鉛筆で、偏光板を構成する保護フィルムの表面(偏光子側とは反対側の面)を5mm程度引っかき、傷の付き具合を確認した。
暗幕のような光を通さない黒布の上に偏光板を置き、三波長蛍光灯(松下電器社製、ナショナル蛍光灯:FL20SS・ENW/18)で照らして、偏光板の表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:干渉縞が見えない
△:干渉縞がうっすらと見える
×:干渉縞が目立つ
偏光板を1cm×5cmに打抜いて試験フィルムを得た。得られた試験フィルム3mmφのスチール製の棒に巻きつけ、巻きつけたフィルムが棒のところで折れるか否かをテストした。合計10回テストを行い、折れなかった回数によって下記指標で可撓性を表した。
○:割れたフィルム片が1枚以下
×:割れたフィルム片が2枚以上
偏光板を10インチ四方の大きさに切り出し、ガラス板の片面に、感圧性接着剤を介して、偏光板を構成する一方の保護フィルム(後述する保護フィルムA)の面がガラス板側になるように貼り合わせ、試験用偏光板を作製した。この試験用偏光板を温度60℃、湿度90%の恒温槽に500時間放置し、試験用偏光板の対角線交点(図3中、(5)の位置)における高温高湿下の放置前後での偏光度の変動幅を測定した。
○:偏光度の変動幅が0.5以下
×:偏光度の変動幅が0.5より大きい
偏光板を10cm×10cmの大きさに切り出し、温度60℃、湿度90%の恒温槽に500時間放置した後取り出し、水平盤上に置き、試験片のカール状態を観察して次の基準にてカール性を評価した。
◎:全くカールが認められず、良好である
○:殆ど目立たないが、わずかにカールが認められる
×:明らかにカールが認められ、実用上問題がある
偏光板を、直径35mmの円形刃を用いて、裁断機(トーコー社製、TCM−500A)にて打抜きを行い、下記の基準で打抜き性を評価した。
○:端面に割れが生じない
×:端面に割れが観察された
作製した液晶表示装置を暗室内で明表示した表示画面全体を真正面から観察し、以下の指標で評価した。
○:全体的に均一な白表示になっており、色づきがない
×:画面上に虹むらが見られる
作製した液晶表示装置について、温度60℃、湿度90%で300時間の環境試験に対するコントラスト変動を求めた。コントラスト値は、液晶表示装置の中心部正面に対し5度傾いた角度から輝度を色彩輝度計(トプコン社製、色彩輝度計BM−7)を用い、明表示の輝度と暗表示の輝度の比(=明表示の輝度/暗表示の輝度)を計算した。コントラスト変動は、試験前のコントラストをCR1とし、同様に試験後の値をCR2として、次式で算出する。
コントラスト変動(ΔCR)=(CR1−CR2)/CR1×100 (%)
○:10%未満
×:10%以上
親水性基を有する高分子化合物であるアセチルアシルセルロースとしてのセルロースアセテートブチレート(アセチル基の置換度:1.0、ブチリル基の置換度:1.7、重量平均分子量:15.5万;イーストマンケミカル社製CAB−381−20)91重量%と、可塑剤であるジグリセリンテトラカプリレート9重量%を二軸エクストルーダーを用いて190℃で混練し、5mm程度にカッティングしてセルロースアセテートブチレートを得た。
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部に対し、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.67重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1050重量部を仕込み、窒素で数回パージした後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃で6時間反応を行った。得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体粒子を遠心分離後乾燥した。得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体の元素分析結果(C;64.7重量%、H;7.8重量%、N;8.4重量%)より、生成N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体中のN−メチルマレイミド単位及びイソブテン単位は、それぞれ50モル%であった。上記N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体80重量%およびアクリロニトリル含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体20重量%をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(日本製鋼所社製、商品名TEX30)に供し、溶融混練の後、ペレット化した。得られた樹脂組成物ペレットのガラス転移温度は140℃であった。
ポリメチルメタクリレート樹脂(表中PMMAと表記、吸水率0.3%)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置した第1のダブルフライト型一軸押出機に投入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂を、マルチマニホールドダイを構成する、ダイスリップの表面粗さRaが0.1μmである第1のマニホールドダイに供給した。
製造例3で用いたマルチマニホールドダイを2層構成のフィルムを得るためのマルチマニホールドダイに置きかえて、実施例1と同様にしてポリメチルメタクリレート樹脂層(32μm:樹脂層A)−接着層(4μm)−セルロースアセテートブチレート層(44μm:樹脂層B)の2層構成(接着層を除く)からなる、幅600mm、厚さ80μmの保護フィルム2を得た。保護フィルム2は、その透湿度が92.0g/m2・24hであり、その残留溶剤含有量が0.01重量%以下であり、光弾性係数が4.5×10−13cm2/dynであった。また、保護フィルム2の表面の、線状凹部の深さまたは凸部の高さは、20nm以下であり、かつ幅が800nm以上の範囲であった。
製造例3においてポリメチルメタクリレート樹脂の代わりに製造例2で得られたマレイミド・オレフィン共重合体(表中、MIOと表記)を用いる他は、製造例3と同様にして保護フィルム3を作製した。保護フィルム3は、その透湿度が79.0g/m2・24hであり、その残留溶剤含有量が0.01重量%以下であり、光弾性係数が9.5×10−13cm2/dynであった。また、保護フィルム3の表面の、線状凹部の深さまたは凸部の高さは、20nm以下であり、かつ幅が800nm以上の範囲であった。
厚み32μmの脂環式オレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルム、表中COPと表記)の両面に、ポリスチレン樹脂(表中、PSと表記)からなる厚み20μmの単層押出成形フィルムを圧着ラミネートより貼り合せ保護フィルム4を作製した。保護フィルム4は、その透湿度が3.2g/m2・24hであり、その残留溶剤含有量が0.01重量%以下であり、光弾性係数が6.0×10−13cm2/dynであった。また、保護フィルム4の表面の、線状凹部の深さまたは凸部の高さは、20nm以下であり、かつ幅が800nm以上の範囲であった。
ノルボルネン系重合体(日本ゼオン社製、ZEONOR1420R)のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した後、リーフディスク形状のポリマーフィルター(濾過精度30μm)を設置した65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ(Tダイの幅350mm、ダイスリップ部材質が炭化タングステンで#1000番のダイヤモンド砥石で研磨したもので、内面に平均高さRa=0.05μmのクロムメッキを施したもの)式フィルム溶融押出成形機を使用して、押出成形機の温度260℃、ダイス温度260℃で押出し、押出されたシート状の熱可塑性樹脂を3本の冷却ドラム(直径300mm、ドラム温度100℃、引取り速度0.35m/s)に通して冷却し、厚さ200μm、幅300mmの原反フィルム1を得た。フィルムの長手方向に直線状に走る、線状凹部の深さ及び線状凸部の高さ(ダイラインの深さ及び高さ)は、最大で30nm、その幅が最小で1300nmであった。
(ドープの調整)
下記材料を所定量混合し、その混合物を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら徐々に昇温し、60分かけて45℃まで上げて溶解させた。容器内を1.2気圧に調整した。この溶液を安積濾紙社製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、一晩そのまま放置しドープを得た。
セルロースエステル(アセチル基置換度2.88)30重量部
セルロースエステル(アセチル基置換度2.52)70重量部
トリフェニルフォスフェート 3質量部
メチルフタリルエチルグリコレート 4質量部
チヌビン109(チバ・スペシャリティケミカルズ社製) 3質量部
メチレンクロライド 455質量部
エタノール 36質量部
下記化1示すレターデーション上昇剤 5質量部
上記のように調製したドープをダイからステンレスベルト(流延用支持体ともいう)上にドープ温度30℃で流延しウェブを形成した。ステンレスベルトの裏面から25℃の温度の温水を接触させて温度制御されたステンレスベルト上でウェブを1分間乾燥した後、さらにステンレスベルトの裏面に、15℃の冷水を接触させて15秒間保持した後、ウェブをステンレスベルトから剥離した。剥離時のウェブ中の残留溶媒量は100質量%であった。次いでテンターを用いて、剥離したウェブの両端をクリップで掴み、クリップ間隔を巾方向に変化させることで、延伸倍率1.15でフィルムを延伸した。その際のフィルム温度は140℃になるように調整し、膜厚60μmの光学異方体2を得た。光学異方体2は、波長550nmで測定した面内レターデーションReが50nm、厚さ方向のレターデーションRthが145nmであった。面内レターデーションReのばらつきは、幅方向で±3nmであり、長手方向で±2nmであった。
トリアセチルセルロースフィルム(Re=3nm、Rth=45nm)のケン化処理が施された面に、下記組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。その後、60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にフィルムの遅相軸方向と平行の方向にラビング処理を施して、配向膜を得た。
下記の変性ポリビニルアルコール:10質量部
水:371質量部
メタノール:119質量部
グルタルアルデヒド:0.5質量部
厚さ0.1μmのゼラチン薄膜を塗設した100μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フィルム社製、面内レターデーション5nm、厚さ方向のレターデーション40nm)上に、ポリビニルアルコール3%溶液を#16ワイヤバーコーターで塗布し、80℃の温風で乾燥させた後、ラビング処理して配向膜を得た。
T型ダイスとして、ダイスリップの内面に平均高さRa=0.23μmのクロムメッキを施した、幅350mmのものを使用した他は製造例7と同様にして、原反フィルム2を得た。また、線状凹部の深さ、線状凸部の高さは、最大で80nm、その幅が最小で850nmであった。原反フィルム1に代えて、原反フィルム2を用いる以外は、製造例7と同様にして光学異方体5を得た。得られた光学異方体5は、波長550nmで測定したフィルム幅方向中心部におけるReが50nm、Rthが130nmであり、Reのばらつきは幅方向で±25nm、長手方向で±12nmであった。
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー30部、ブチルアクリレート40部、イソボロニルメタクリレート30部、および2,2−ジフェニルエタン−1−オン10部を、ホモジナイザーで混合し、五酸化アンチモン微粒子(平均粒子径20nm、水酸基がパイロクロア構造の表面に現れているアンチモン原子に1つの割合で結合している。)の40%メチルイソブチルケトン溶液を、五酸化アンチモン微粒子の重量がハードコート層形成用組成物全固形分の50重量%を占める割合で混合して、ハードコート材料Hを調製した。
含フッ素モノマーである、フッ化ビニデリン70重量部およびテトラフルオロエチレン30重量部をメチルイソブチルケトンに溶解した。次に、この溶解物に、中空シリカイソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業社製、固形分20重量%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚み約8nm)を、含フッ素モノマー固形分に対して中空シリカ固形分で30重量%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(信越化学社製)を前記固形分に対して3重量%、光ラジカル発生剤イルガキュアー184(チバ・スペシャリティケミカルズ社製)を前記固形分に対して5重量%添加し、低屈折率形成用材料Lを調製した。
酢化度61.0%のトリアセチルセルロース(TAC)100質量部とトリフェニルフォスフェート15質量部を塩化メチレン450質量部とメタノール50質量部の混合溶媒に溶解し、35℃のステンレスベルト上に流延し、剥離可能となったところでステンレスベルトから剥がし、ロール搬送装置を用いて搬送しながら、徐々に温度を上げ、最終的に120℃で乾燥し、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを作製した。次いで、トリアセチルセルロースフィルムの一方の面に、水酸化カリウムの1.5モル/Lイソプロピルアルコール溶液を25mL/m2塗布し、25℃で5秒間乾燥した。次いで、流水で10秒間洗浄し、最後に25℃の空気を吹き付けることによりフィルムの表面を乾燥して、トリアセチルセルロースフィルムの一方の表面のみをケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムを得た。
波長380nmにおける屈折率が1.545、波長780nmにおける屈折率が1.521で、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、2.5倍に一軸延伸し、ヨウ素0.2g/L及びヨウ化カリウム60g/Lを含む30℃の水溶液中に240秒間浸漬し、次いでホウ酸70g/L及びヨウ化カリウム30g/Lを含む水溶液に浸漬すると同時に6.0倍に一軸延伸して5分間保持した。最後に、室温で24時間乾燥し、平均厚さ30μmで、偏光度.99.95%の偏光子Pを得た。
(ハードコート層および反射防止層の形成)
製造例3で得られた保護フィルム1の両面に、高周波発信機(出力0.8KW)を用いてコロナ放電処理を行い、表面張力が0.055N/mの保護フィルム1Aを得た。次に、保護フィルム1Aの片面に、温度25℃、湿度60%RHの環境下で、ダイコーターを用いてハードコート材料Hを塗工し、80℃の乾燥炉の中で5分間乾燥させて被膜を得た。さらに、この皮膜に紫外線を照射(積算照射量300mJ/cm2)して、厚さ5μmのハードコート層を形成し、ハードコート層付き保護フィルム1Bを得た。ハードコート層の屈折率は1.62であり、ハードコート層側の鉛筆硬度が4Hを越えるものであった。
製造例13で得られた偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、偏光子Pの一方の面に、光学異方体1の一面を光学異方体1の遅相軸と偏光子の吸収軸が垂直になるように貼り合わせ、偏光子Pの他方の面に、反射防止層付き保護フィルム1Cの反射防止層が形成されていない面を向けて重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ観察者側偏光板FP1を得た。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、偏光子Pの一面に、光学異方体1の一面を光学異方体1の遅相軸と偏光子の吸収軸が垂直になるように貼り合わせ、偏光子Pのもう一方の面に、製造例3で得られた保護フィルム1の一面を向けて重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせバックライト側偏光板BP1を得た。
厚さ2.74μm、誘電異方性が正、波長550nmの複屈折率Δn=0.09884、プレチルト角90°のバーチカルアラインメントモード(表中、VAと標記)の液晶セルの一面に、保護フィルム1が液晶セル側となるように観察者側偏光板FP1を貼り合わせ、液晶セルの他方の面に、保護フィルム1が液晶セル側となるようにバックライト側偏光板BP1を貼り合わせて、液晶表示装置1を作製した。
光学異方体1に代えて光学異方体2を用いた以外は、実施例1と同様にして観察者側偏光板FP2およびバックライト側偏光板BP2をそれぞれ得た。そして、実施例1の液晶表示装置1において、観察者側偏光板FP1に代えて観察者側偏光板BP2を用い、バックライト側偏光板BP1に代えてバックライト側偏光板BP2を用いて、液晶表示装置2を得た。
光学異方体1に代えて光学異方体3を用いた以外は、実施例1と同様にして観察者側偏光板FP3を得た。具体的には、偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、偏光子Pの一方の面に、トリアセチルセルロースフィルムのケン化処理が施された面を、遅相軸と偏光子Pの吸収軸が垂直になるように貼り合わせた。さらに、偏光子Pの他方の面に反射防止層付き保護フィルム1Cの反射防止層が形成されていない面を向けて重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ観察者側偏光板FP3を得た。また、光学異方体1に代えて光学異方体3を用いた以外は、実施例1および観察者側偏光板FP3と同様にして、バックライト側偏光板BP3を得た。
厚さ2.74μm、誘電異方性が正、波長550nmの複屈折率Δn=0.09884、プレチルト角0°のインプレーンスイッチングモード(表中IPSと記載)の液晶セルを用いた。この液晶セルの一方の面に、観察者側偏光板BP3を、光学異方体3の遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように、かつディスコティック液晶塗布面側が液晶セル側になるように貼り付けた。次いで、液晶セルの他方の面に、バックライト側偏光板BP3をクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置3を得た。
(偏光板の作製)
偏光子Pの一方の面に、反射防止層付き保護フィルム1Cの反射防止層が形成されていない面が接するように、ポリビニルアルコール系接着剤で貼り合せた。さらに、偏光子Pの他方の面に、光学異方体4のトリアセチルセルロースフィルム側の面が接し、かつ偏光子Pの吸収軸と光学異方体4のラビング方向が45°になるようにして、ポリビニルアルコール系接着剤で貼り合せた。このようにして観察者側偏光板FP4を得た。反射防止層付き保護フィルム1Cの代わりに、反射防止層のない保護フィルム1を用いた以外は、観察者側偏光板FP4と同様にして、バックライト側偏光板BP4を得た。
ITO電極付ガラス基板にポリイミド膜を配向膜として設け、一方向にラビング処理を行った。この配向膜を有するガラス基板2枚をラビング方向が平行となるように向かい合わせ、セルギャップ10μmで接合し、メルク社製液晶ZLI1132(Δn=0.1396)を注入して、ベンド配向型の液晶セル(表中OCBと表記)を得た。ベンド配向型の液晶セルの一方の面に、液晶層がセルに面するようにして観察者側偏光板FP4を配置し、液晶セルの他方の面に、液晶層がセルに面するようにしてバックライト側偏光板BP4を配置した。この際、配置された観察者側偏光板FP4とバックライト側偏光板BP4とは、互いにクロスニコルの関係になり、ガラス基板のラビング方向と光学異方体のラビング方向とは互いに逆向きで平行になるように配置して液晶表示装置4を得た。
保護フィルム2のポリメチルメタクリレート樹脂層に、温度25℃、湿度60%RHの環境下で、ダイコーターを用いてハードコート材料Hを塗工し、80℃の乾燥炉の中で5分間乾燥させて被膜を得た。さらに、この皮膜に紫外線を照射(積算照射量300mJ/cm2)して、厚さ5μmのハードコート層を形成し、ハードコート層付き保護フィルム2Bを得た。ハードコート層の屈折率は1.62であり、ハードコート層側の鉛筆硬度が4Hであった。次いで、ハードコート層付き保護フィルム2Bのハードコート層側に、温度25℃、湿度60%RHの環境下でワイヤーバーコーターを用いて低屈折率層形成用材料Lを塗工し、1時間放置して乾燥させ、得られた被膜を120℃で10分間、酸素雰囲気下で熱処理し、次いで出力160W/cm、照射距離60mmの条件で紫外線を照射して厚さ100nmの低屈折率層(屈折率1.37)を形成し、反射防止層付き保護フィルム2Cを得た。反射防止層付き保護フィルム1Cに代えて反射防止層付き保護フィルム2Cを用いる以外は、実施例1と同様にして観察者側偏光板FP5を得た。また、保護フィルム1に代えて製造例4で得られた保護フィルム2を用いる以外は、実施例1と同様にしてバックライト側偏光板BP5を得た。そして、観察者側偏光板FP1に代えて観察者側偏光板FP5を用い、バックライト側偏光板BP1に代えてバックライト側偏光板BP5を用いて液晶表示装置5を得た。
保護フィルム1に代えて、製造例5で得られた保護フィルム3を用いる以外は、実施例1と同様にして反射防止層付き保護フィルム3Cを得た。反射防止層付き保護フィルム1Cに代えて反射防止層付き保護フィルム3Cを用いる以外は、実施例1と同様にして観察者側偏光板FP6を得た。また、保護フィルム1に代えて製造例5で得られた保護フィルム3を用いる以外は、実施例1と同様にしてバックライト側偏光板BP6を得た。そして、観察者側偏光板FP1に代えて観察者側偏光板FP6を用い、バックライト側偏光板BP1に代えてバックライト側偏光板BP6を用いて液晶表示装置6を得た。
保護フィルム1に代えて、製造例6で得られた保護フィルム4を用いる以外は、実施例1と同様にして反射防止層付き保護フィルム4Cを得た。反射防止層付き保護フィルム1Cに代えて反射防止層付き保護フィルム4Cを用いる以外は、実施例1と同様にして観察者側偏光板FP7を得た。また、保護フィルム1に代えて製造例6で得られた保護フィルム4を用いる以外は、実施例1と同様にしてバックライト側偏光板BP7を得た。そして、観察者側偏光板FP1に代えて観察者側偏光板FP7を用い、バックライト側偏光板BP1に代えてバックライト側偏光板BP7を用いて液晶表示装置7を得た。
光学異方体1に代えて光学異方体5を用いた以外は、実施例1と同様にして観察者側偏光板FP8を得た。また、光学異方体1に代えて光学異方体5を用いた以外は、実施例1と同様にしてバックライト側偏光板BP8を得た。そして、観察者側偏光板BP1に代えて観察者側偏光板FP8を用い、バックライト側偏光板BP1に代えてバックライト側偏光板BP8を用いて液晶表示装置8を得た。
保護フィルム1に代えて、ポリメチルメタクリレート樹脂からなる厚み80μmの単層押出成形フィルムを保護フィルム5として用いる他は、実施例1と同様にして反射防止層付き保護フィルム5Cを作製した。保護フィルム5の透湿度は、41g/m2・24hであった。反射防止層付き保護フィルム1Cに代えて、反射防止層付き保護フィルム5Cを用いる以外は、実施例1と同様にして観察者側偏光板FP9を得た。また、保護フィルム1に代えて、保護フィルム5を用いる以外は、実施例1と同様にしてバックライト側偏光板BP9を得た。そして、観察者側偏光板FP1に代えて観察者側偏光板FP9を用い、バックライト側偏光板BP1に代えてバックライト側偏光板BP9を用いて液晶表示装置9を得た。
保護フィルム1に代えて、トリアセチルセルロースからなる厚み80μmの単層キャスト成形フィルムを保護フィルム6として用い、ハードコート層の厚みを15μmとした他は実施例1と同様にして反射防止層付き保護フィルム6Cを作製した。保護フィルム6の透湿度は250g/m2・24hであった。反射防止層付き保護フィルム1Cに代えて、反射防止層付き保護フィルム6Cを用いる他は、実施例1と同様にして観察者側偏光板FP10を得た。保護フィルム1に代えて保護フィルム6を用いる以外は、実施例1と同様にしてバックライト側偏光板BP10を得た。そして、観察者側偏光板FP1に代えて観察者側偏光板FP10を用い、バックライト側偏光板BP1に代えてバックライト側偏光板BP10を用いて液晶表示装置10を得た。
1A 熱可塑性樹脂層
1B 親水性樹脂層
2 偏光子
3,21 光学異方体
4 接着層
5 ハードコート層
6 低屈折率層
10,20 偏光板
Claims (7)
- 偏光子と、この偏光子の一方の面に設けられる保護フィルムと、前記偏光子の他方の面に設けられる光学異方体とを備える偏光板であって、
前記保護フィルムは、熱可塑性樹脂からなる複数の層を備えるとともに、その総厚みが200μm以下であり、かつその透湿度が10〜200g/m2・24hであり、
前記光学異方体は、その面内レターデーションRe(Re=(nx−ny)×d)のばらつきが10nm以内であることを特徴とする偏光板。 - 請求項1に記載の偏光板において
前記保護フィルムは、共押出成形法により得られたものであることを特徴とする偏光板。 - 請求項1または2に記載の偏光板において、
前記保護フィルムの表面は、線状凹部または線状凸部が実質的に形成されていない平坦な面であることを特徴とする偏光板。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板において、
前記保護フィルムは、その少なくとも1層の引張弾性率が3.0GPa以上であることを特徴とする偏光板。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板において、
前記保護フィルムの光弾性係数が30×10−13cm2/dyn以下であることを特徴とする偏光板。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板において、
前記保護フィルムの前記偏光子とは反対側の面に設けられる反射防止層をさらに備えることを特徴とする偏光板。 - 光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とをこの順に備える液晶表示装置であって、前記入射側偏光板および前記出射側偏光板の少なくともいずれかの偏光板は、請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板であり、当該偏光板の光学異方体が偏光子より前記液晶セル側に位置することを特徴とする液晶表示装置。
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