JP2017146367A - 位相差フィルム - Google Patents

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勇太 高橋
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Abstract

【課題】近赤外光領域の波長の光に対して所定の光学特性を示すと共に、裁断性にも優れる位相差フィルムを提供する。
【解決手段】 液晶化合物を含む光学異方性層を備える位相差フィルムであって、800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおける、前記位相差フィルムの面内レタデーションRe(λ)がλ/2±100nmの範囲内である、位相差フィルム。
【選択図】図4A

Description

本発明は、位相差フィルムに関する。
フィルムの位相差を制御して様々な機能を付与した位相差フィルムは、様々な用途に用いられている。例えば、液晶ディスプレイにおいて視野角の拡大を目的として、位相差フィルムが用いられている。
このような位相差フィルムとしては、例えば、特許文献1で具体的に使用されているような、ポリカーボネート樹脂フィルムなどの樹脂フィルムが挙げられる。
特開2005−31170号公報
一方で、近年、赤外光領域(特に、近赤外光領域)の波長の光に対してλ/2程度の位相差を生じる位相差フィルム(いわゆる、λ/2板)が要望されている。
本発明者は、特許文献1に記載されるような樹脂フィルムを用いて、上記のような特性を満たす位相差フィルムを作製しようとしたところ、従来よりも樹脂フィルムをより延伸する必要があり、このような延伸フィルムは裁断性に劣る(裁断によってクラックが生じる)ことが分かった。
なお、延伸する以外にも樹脂フィルムの厚みを厚くすることにより、上記位相差の特性を満たすこともできる。しかしながら、そのような厚みを厚くしたフィルムにおいても、裁断性が劣る。
本発明は、上記実情に鑑みて、近赤外光領域の波長の光に対して所定の光学特性を示すと共に、裁断性にも優れる位相差フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行ったところ、液晶化合物を含む光学異方性層を用いることにより、所望の効果が得られることを知見した。
すなわち、下記構成により、上記課題が解決できることを見出した。
(1) 液晶化合物を含む光学異方性層を備える位相差フィルムであって、
800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおける、上記位相差フィルムの面内レタデーションRe(λ)がλ/2±100nmの範囲内である、位相差フィルム。
(2) 上記光学異方性層が、ディスコティック液晶化合物を含む第1光学異方性層と、棒状液晶化合物を含む第2光学異方性層とを含む、(1)に記載の位相差フィルム。
(3) 波長350nmにおける透過率が10%以下である、(1)または(2)に記載の位相差フィルム。
(4) さらに、ハードコート層を備える、(1)〜(3)のいずれかに記載の位相差フィルム。
(5) さらに、反射防止層を備える、(1)〜(4)のいずれかに記載の位相差フィルム。
本発明によれば、近赤外光領域の波長の光に対して所定の光学特性を示すと共に、裁断性にも優れる位相差フィルムを提供することができる。
本発明の位相差フィルムの第1実施形態の断面図である。 本発明の位相差フィルムの第2実施形態の断面図である。 本発明の位相差フィルムの第3実施形態の断面図である。 本発明の位相差フィルムの第3実施形態の変形例の断面図である。 本発明の位相差フィルムの第4実施形態の断面図である。 本発明の位相差フィルムの第4実施形態の変形例の断面図である。 本発明の位相差フィルムの第4実施形態の変形例の断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
Re(λ)は、波長λにおける面内レタデーションを表す。Re(λ)は、KOBRA−WX100/IR(王子計測機器(株)製)などを用いて測定することができる。なお、Re(λ)は、位相差フィルムの表面の法線方向における測定値である。
また、本明細書において、角度の関係(例えば、「平行」および「直交」)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。具体的には、厳密な角度±10°未満の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下が好ましく、3°以下がより好ましい。
本発明の位相差フィルムは、液晶化合物を含む光学異方性層を用いているため裁断性に優れる。また、位相差フィルム(特に、ハードコート層または反射防止層を形成した面)は、耐擦傷性にも優れる。
なお、液晶化合物を含む光学異方性層は、樹脂フィルムと比較して、薄い厚みで所定の光学特性を満たすことが可能であり、位相差フィルム自体の薄型化が可能となる。
<第1実施形態>
本発明の位相差フィルムの第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1に、位相差フィルムの第1実施形態の断面図を示す。なお、本発明における図は模式図であり、各層の厚みの関係および位置関係などは必ずしも実際のものとは一致しない。
位相差フィルム10aは、支持体12と、液晶化合物を含む光学異方性層14とを備える。なお、支持体12は任意の構成部材であり、位相差フィルム10aには含まれなくてもよい。
以下に、位相差フィルム10aを構成する部材について詳述する。
(支持体)
支持体12は、液晶化合物を含む光学異方性層14を支持する板である。なかでも、透明支持体であることが好ましい。なお、透明支持体とは、可視光の透過率が60%以上である支持体を意図し、その透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
支持体12を構成する材料は特に制限されず、例えば、セルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、アミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、および、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマーなどが挙げられる。
なかでも、セルロース系ポリマー(例えば、セルロースアシレート)、熱可塑性ノルボルネン系ポリマー(日本ゼオン(株)製のゼオネックスおよびゼオノア、JSR(株)製のアートン)、(メタ)アクリル系ポリマー、または、ポリエステル系ポリマーが好ましい。
支持体12には、UV(紫外線)吸収剤、マット剤微粒子、可塑剤、劣化防止剤、および、剥離剤などの各種添加剤が含まれていてもよい。
支持体12の光学特性は、位相差フィルム10aが後述する光学特性を示せば、特に制限されない。なかでも、支持体12としては、実質的に光学異方性がない透明支持体を用いることが好ましく、波長550nmでの面内レタデーションが0〜10nmの透明支持体を用いることがより好ましい。
支持体12の厚みは特に制限されないが、位相差フィルム10aの薄型化、および、取り扱い性の点から、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。
上記厚みは平均厚みを意図し、支持体12の任意の5点の厚みを測定し、それらを算術平均したものである。
(光学異方性層)
光学異方性層14は、液晶化合物を含む層である。
液晶化合物の種類は、特に制限されない。なお、光学異方性層14としては、例えば、低分子液晶化合物をネマチック配向させた後、光架橋もしくは熱架橋によって固定化して得られる層、または、高分子液晶化合物をネマチック配向させた後、冷却することによって配向を固定化して得られる層を用いることもできる。
一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(ディスコティック液晶化合物、円盤状液晶化合物)とに分類できる。さらに、棒状タイプおよび円盤状タイプには、それぞれ低分子タイプと高分子タイプとがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできる。また、2種以上の棒状液晶化合物、2種以上のディスコティック液晶化合物、または、棒状液晶化合物とディスコティック液晶化合物との混合物を用いてもよい。
なお、棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報の請求項1および特開2005−289980号公報の段落[0026]〜[0098]に記載のものを好ましく用いることができる。ディスコティック液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報の段落[0020]〜[0067]および特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0108]に記載のものを好ましく用いることができる。
光学異方性層14は、温度および/または湿度による各種特性(例えば、光学特性)の変化を小さくできることから、重合性基を有する棒状液晶化合物、または、重合性基を有するディスコティック液晶化合物を用いて形成することがより好ましい。
つまり、光学異方性層14は、重合性基を有する棒状液晶化合物または重合性基を有するディスコティック液晶化合物が重合によって固定されて形成された層であることが好ましい。なかでも、重合性基を有する棒状液晶化合物または重合性基を有するディスコティック液晶化合物を配向させて、重合によってその配向を固定化させて形成された層であることがより好ましい。この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
棒状液晶化合物およびディスコティック液晶化合物に含まれる重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましい。より具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、または、アリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
光学異方性層14の光学特性は、位相差フィルム10aが後述する光学特性を示せば、特に制限されない。なかでも、所望の位相差フィルム10aが得られやすい点で、800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおける光学異方性層14の面内レタデーションRe(λ)は、λ/2±100nmの範囲内であることが好ましい。
面内レタデーションRe(λ)の好適範囲、および、波長λの好適数値は、後述する位相差フィルムの面内レタデーションRe(λ)の好適範囲、および、波長λの好適数値と同じである。
(その他の層)
例えば、位相差フィルム10aには、液晶化合物の配向方向を規定する機能を有する配向膜が含まれていてもよい。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、および、無機化合物の斜方蒸着など公知の方法で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与、または、光照射(好ましくは偏光)により、配向膜を形成する方法も知られている。
なかでも、配向膜は、ポリマー膜のラビング処理により形成することが好ましい。
配向膜の形成に用いられるポリマーとしては、例えば、特開平8−338913号公報の段落[0022]に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、および、ポリカーボネートなどが挙げられる。
配向膜は、例えば、配向膜形成材料であるポリマーおよび任意の添加剤(例えば、架橋剤)を含む溶液を支持体上に塗布した後、塗膜を加熱乾燥(架橋させ)し、さらに塗膜にラビング処理を施すことにより形成することができる。
ラビング処理は、LCD(liquid crystal display)の液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、塗膜の表面を、紙、ガーゼ、フェルト、ゴム、ナイロン、または、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向膜を得る方法を用いることができる。
(位相差フィルム)
位相差フィルム10aは、支持体12と光学異方性層14とを少なくとも含むフィルムである。
位相差フィルム10aは、800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおける面内レタデーションRe(λ)がλ/2±100nmの範囲内であるフィルムである。つまり、位相差フィルム10aは、800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおいて、上記面内レタデーションRe(λ)の範囲を示せばよい。より具体的には、例えば、波長λとして1000nmを選択した場合、面内レタデーションRe(1000)が500±100nmの範囲内であるフィルムが、位相差フィルム10aに該当する。
上記面内レタデーションRe(λ)はλ/2±100nmの範囲内であり、なかでも、λ/2±90nmの範囲内であることが好ましく、λ/2±80nmの範囲内であることがより好ましい。
上述したように、位相差フィルム10aは、800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおいて、上記面内レタデーションが所定の範囲であればよい。なかでも、位相差フィルム10aは、900±10nm、1000±10nm、および、1100±10nmのいずれかの波長において上記面内レタデーションRe(λ)を示すフィルムであることが好ましい。
位相差フィルム10aの波長350nmにおける透過率は特に制限されないが、光学異方性層12aの耐久性がより優れる点、および、位相差フィルムと組み合わせる他の部材を紫外線から保護する点で、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0%が挙げられる。
(位相差フィルムの製造方法)
位相差フィルム10aは、種々の方法で作製することができる。その一例は、以下の通りである。
まず、支持体12を用意し、その上に、配向膜を形成する。次に、配向膜表面に重合性基を有する液晶化合物を含む光学異方性層形成用組成物(以後、単に「組成物」とも称する)を塗布して、塗膜を形成する。この塗膜を所望により加熱して、塗膜中の液晶化合物を配向させる。その後、塗膜に硬化処理(光照射処理(例:紫外線照射)または加熱処理)を施して重合を進行させて、その配向を固定し、光学異方性層14を得る。
上記組成物には、液晶化合物以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて選択され、例えば、熱重合開始剤および光重合開始剤が挙げられる。例えば、光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、および、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。
また、組成物には、液晶化合物とは異なる重合性モノマーが含まれていてもよい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性およびカチオン重合性の化合物が挙げられる。重合性モノマーとしては、多官能性ラジカル重合性モノマーが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報中の段落[0018]〜[0020]に記載の重合性モノマーが挙げられる。
また、組成物には、界面活性剤が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられ、特に、フッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば、特開2001−330725号公報中の段落[0028]〜[0056]に記載の化合物、および、特願2003−295212号明細書中の段落[0069]〜[0126]に記載の化合物が挙げられる。
また、組成物には溶媒が含まれていてもよく、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、例えば、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、ヘテロ環化合物系溶媒、炭化水素系溶媒、アルキルハライド系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、および、エーテル系溶媒が挙げられる。
また、組成物には、垂直配向促進剤、および、水平配向促進剤などの各種配向剤が含まれていてもよい。
さらに、組成物には、上記成分以外に、密着改良剤、可塑剤、または、ポリマーなどが含まれていてもよい。
(用途)
上述した位相差フィルム10aは、種々の用途に適用することができる。例えば、赤外線センサーの受光部上に配置するフィルムなどが挙げられる。
<第2実施形態>
以下に、本発明の位相差フィルムの第2実施形態について図面を参照して説明する。図2に、位相差フィルムの第2実施形態の断面図を示す。
位相差フィルム10bは、支持体12と、液晶化合物を含む第1光学異方性層14aと、液晶化合物を含む第2光学異方性層14bとをこの順で備える。図2に示す位相差フィルム10bは、光学異方性層を2層有する点で、図1に示す位相差フィルム10aと異なる。2層の光学異方性層を用いることにより、位相差フィルム全体の面内レタデーションRe(λ)の調整がより容易となる。
位相差フィルム10bに含まれる支持体12は、図1に示す位相差フィルム10aに含まれる支持体12と同一の部材である。
また、上述した位相差フィルム10aと同様に、位相差フィルム10bにおいては、800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおける面内レタデーションRe(λ)がλ/2±100nmの範囲内である。面内レタデーションRe(λ)の好適範囲および波長λの好適数値は、上述した第1実施形態と同じである。
第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bには、液晶化合物が含まれる。液晶化合物の定義は、上述した第1実施形態で述べた通りである。
第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bの好適態様としては、第1実施形態と同様に、重合性基を有する棒状液晶化合物または重合性基を有するディスコティック液晶化合物が重合によって固定されて形成された層が挙げられる。
また、位相差フィルム10bのレタデーション値の入射光角度依存性がより小さくなる点で、第1光学異方性層14aにディスコティック液晶化合物が含まれる場合は、第2光学異方性層14bには棒状液晶化合物が含まれることが好ましく、第1光学異方性層14aに棒状液晶化合物が含まれる場合は、第2光学異方性層14bにはディスコティック液晶化合物が含まれることが好ましい。なお、第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bは、いずれも、重合性基を有する液晶化合物が重合によって固定されて形成された層であることが好ましい。
第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bの光学特性は、位相差フィルム10bが所定の光学特性を示せば、特に制限されない。
例えば、800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおいて、第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bのそれぞれの面内レタデーションRe(λ)が、λ/4±50nmの範囲である態様が挙げられる。つまり、第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bが、それぞれ、所定の波長λに対するλ/4板である態様が挙げられる。このようなλ/4板である第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bを2層積層することにより、λ/2板としての特性が得られる。
第1光学異方性層14aの遅相軸と第2光学異方性層14bの遅相軸との関係は、位相差フィルム10bが所定の光学特性を示せば特に制限されない。例えば、上述したように、第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bが、それぞれ所定の波長λに対するλ/4板である場合、第1光学異方性層14aの遅相軸と第2光学異方性層14bの遅相軸とは平行であることが好ましい。
なお、位相差フィルム10bには、支持体12、第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14b以外の層が含まれていてもよい。例えば、支持体12と第1光学異方性層14aとの間、および/または、第1光学異方性層14aと第2光学異方性層14bとの間には、配向膜が配置されていてよい。配向膜の定義は、上述した第1実施形態で述べた通りである。
第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bの製造方法は、第1実施形態で述べた方法が挙げられる。
より具体的には、支持体12を用意し、その上に、配向膜を形成し、配向膜表面に重合性基を有する液晶化合物を含む第1光学異方性層形成用組成物を塗布して、塗膜を形成する。この塗膜を所望により加熱して、塗膜中の液晶化合物を配向させる。その後、塗膜に硬化処理(光照射処理(例:紫外線照射)または加熱処理)を施して重合を進行させて、その配向を固定し、第1光学異方性層14aを得る。次に、第1光学異方性層14a上に、重合性基を有する液晶化合物を含む第2光学異方性層形成用組成物を塗布して、第1光学異方性層14aの形成手順と同様の方法により、第2光学異方性層14bを得ることができる。
なお、図2においては、位相差フィルム10b中に光学異方性層が2層含まれているが、3層以上の光学異方性層が含まれていてもよい。
<第3実施形態>
以下に、本発明の位相差フィルムの第3実施形態について図面を参照して説明する。図3Aに、位相差フィルムの第3実施形態の断面図を示す。
位相差フィルム10cは、支持体12と、支持体12の一方の表面上に配置された液晶化合物を含む光学異方性層14と、支持体12の他方の表面上に配置されたハードコート層16および反射防止層18とを備える。
図3Aに示す位相差フィルム10cは、ハードコート層16および反射防止層18を備える点を除いて、図1に示す位相差フィルム10aと同様の層を有するものであり、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
なお、上述した位相差フィルム10aと同様に、位相差フィルム10cにおいては、800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおける面内レタデーションRe(λ)がλ/2±100nmの範囲内である。面内レタデーションRe(λ)の好適範囲および波長λの好適数値は、上述した第1実施形態と同じである。
以下では、ハードコート層16および反射防止層18について詳述する。
(ハードコート層)
ハードコート層16とは、この層を形成することで位相差フィルム10cの鉛筆硬度が上昇する層をいう。実用的には、ハードコート層積層後の位相差フィルム10cの鉛筆硬度(JIS K5400)はH以上が好ましく、2H以上がより好ましく、3H以上がさらに好ましい。
ハードコート層16の厚みは、0.4〜35μmが好ましく、1〜30μmがより好ましく、1.5〜20μmがさらに好ましい。
ハードコート層16の形成方法は特に制限されず、不飽和二重結合を有する化合物、および、必要に応じて用いられる添加剤(例えば、重合開始剤、透光性粒子、溶媒)を含有するハードコート層形成用組成物を、支持体12上に直接または他の層を介して塗布して塗膜を形成し、塗膜を硬化することにより形成することができる。
不飽和二重結合を有する化合物は、硬化後にバインダーとして機能することができる。不飽和二重結合を有する化合物は、重合性不飽和基を2つ以上有する多官能モノマーであることが好ましい。また、重合性不飽和基は3つ以上であることがより好ましい。
不飽和二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、または、アリル基などの重合性不飽和基を有する化合物が挙げられる。なかでも、重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、または、−C(O)OCH=CHが好ましい。
重合性不飽和基を有する化合物の具体例としては、アルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、および、ポリエステル(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
ハードコート層形成用組成物に含まれるその他の添加剤の具体例としては、特開2012−103689号公報の段落0025〜0043に記載の光重合開始剤、透光性粒子、および、溶媒などを参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
(反射防止層)
反射防止層18は、最も単純な構成では、低屈折率層のみを配置した構成が挙げられる。より反射率を低下させるには、屈折率の高い高屈折率層と屈折率の低い低屈折率層とを組み合わせて反射防止層を構成することが好ましい。構成例としては、例えば、図3Aにおいては、ハードコート層16側から順に、高屈折率層/低屈折率層の2層の屈折率の異なる層を配置する態様が挙げられる。また、さらに反射率をより低下させるためには、中屈折率層(低屈折率層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)と、高屈折率層と、低屈折率層とをこの順に積層した反射防止層を用いる態様が挙げられる。
高屈折率層の波長550nmにおける屈折率は、1.70〜1.74であることが好ましく、1.71〜1.73であることがより好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整される。中屈折率層の波長550nmにおける屈折率は、1.60〜1.64であることが好ましく、1.61〜1.63であることがより好ましい。低屈折率層の波長550nmにおける屈折率は、1.30〜1.47であることが好ましい。多層薄膜干渉型の反射防止フィルム(中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層)の場合の低屈折率層の波長550nmにおける屈折率は、1.33〜1.38であることが好ましく、1.34〜1.37であることがより好ましい。
高屈折率層、中屈折率層、および、低屈折率層の形成方法は、塗布法、化学蒸着(CVD)法、および、物理蒸着(PVD)法が挙げられる。
高屈折率層、中屈折率層、および低屈折率層としては、特開2009−98658号公報の段落[0197]〜[0211]に記載のものを使用することができる。
なお、図3Aにおいては、支持体12上にハードコート層16および反射防止層18を配置する態様を述べたが、この態様には限定されず、図3Bに示すように、支持体12、光学異方性層14、ハードコート層16、および、反射防止層18の順に各層を配置する態様であってもよい。
また、図3Aおよび図3Bにおいては、ハードコート層16および反射防止層18の両方が含まれる態様について述べたが、ハードコート層16および反射防止層18の一方のみが位相差フィルム中に含まれていてもよい。
<第4実施形態>
以下に、本発明の位相差フィルムの第4実施形態について図面を参照して説明する。図4Aに、位相差フィルムの第4実施形態の断面図を示す。
位相差フィルム10dは、支持体12と、液晶化合物を含む第1光学異方性層14aと、粘着層20と、液晶化合物を含む第2光学異方性層14bと、支持体12とを備える。位相差フィルム10dは、上述した第2実施形態と同様に、2層の光学異方性層(第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14b)を備える。第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bの構成は、上述した第2実施形態で述べた通りである。
また、支持体12の構成は、上述した第1実施形態で述べた通りである。
また、上述した位相差フィルム10aと同様に、位相差フィルム10dにおいて、800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおける面内レタデーションRe(λ)がλ/2±100nmの範囲内である。面内レタデーションRe(λ)の好適範囲および波長λの好適数値は、上述した第1実施形態と同じである。
位相差フィルム10dにおいては、第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bを挟むように、2つの支持体12が配置されている。そのため、第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bが、外部からの影響を受けにくい。
例えば、2つの支持体12にはUV(紫外線)吸収剤が含まれていてもよく、その場合、第1光学異方性層14aおよび第2光学異方性層14bの外光(特に、紫外線)による劣化を防止することができる。
位相差フィルム10dに含まれる粘着層20は、第1光学異方性層14aと第2光学異方性層14bとを貼り合わせるための層である。粘着層20を構成する材料としては、公知の粘着剤を用いることができる。
なお、粘着層20は任意の部材であり、第1光学異方性層14aと第2光学異方性層14bとを直接貼り合わせてもよい。
位相差フィルム10dの製造方法としては、例えば、支持体12および支持体12上に配置された第1光学異方性層14aを有する第1フィルムと、支持体12および支持体12上に配置された第2光学異方性層14bを有する第2フィルムとを、第1光学異方性層14aと第2光学異方性層14bとが対向するようにして、粘着層を介して両者を貼り合わせることにより、製造する方法が挙げられる。
一般的に、面内レタデーションの大きい光学異方性層を形成するためには、光学異方性層の厚みを厚くする必要がある。このような厚みの厚い光学異方性層を製造する場合、製造プロセスが煩雑となりやすく、かつ、製造時間もより長くなる。
それに対して、上記のような、フィルム同士を貼り合わせる方法によれば、生産性が高い、面内レタデーションの小さい光学異方性層を有するフィルムを作製し、これらを複数枚貼り合わせることにより、生産性良く、所望の光学特性を示す位相差フィルムを製造することができる。
位相差フィルム10dには、支持体12、2層の光学異方性層、および、粘着層20以外の層が含まれていてもよく、例えば、図4Bに示すように、さらに、2つの支持体12上にハードコート層16および反射防止層18がそれぞれ配置されていてもよい。
なお、図4Aにおいては、2層の光学異方性層を貼り合わせて形成される位相差フィルム10dの態様を示したが、この態様には限定されず、例えば、図4Cに示すように、4層の光学異方性層14cを粘着層20でそれぞれ貼り合わせることにより位相差フィルムを製造してもよい。この場合、光学異方性層14cとしては、いわゆるλ/8板を使用することが好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔実施例1〕
<セルロースアシレートフィルムの作製>
(コア層セルロースアシレートドープの調製)
下記の成分をミキシングタンクに投入し、これらの混合物を攪拌して各成分を溶解し、コア層セルロースアシレートドープを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.88のセルロースアシレート 100質量部
・エステルオリゴマーA 10質量部
・偏光子耐久性改良剤(化−1) 4質量部
・紫外線吸収剤(UV−1) 2質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 430質量部
・メタノール(第2溶媒) 64質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
偏光子耐久性改良剤(化−1)
紫外線吸収剤(UV−1)
(外層セルロースアシレートドープの調製)
コア層セルロースアシレートドープ90質量部に下記のマット剤溶液10質量部を加え、外層セルロースアシレートドープを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
“AEROSIL R972”(日本アエロジル(株)製)
2質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
・メタノール(第2溶媒) 11質量部
・コア層セルロースアシレートドープ 1質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(セルロースアシレートフィルムの作製)
コア層セルロースアシレートドープとその両側に外層セルロースアシレートドープとを、3層同時に流延口から20℃のドラム上に流延した。ドラム上に形成されたフィルムの溶媒含有率が略20質量%の状態で、フィルムをドラム上から剥ぎ取った。次に、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、フィルム中の残留溶媒が3〜15質量%の状態で、フィルムを横方向に1.1倍延伸しつつ乾燥した。その後、得られたフィルムを熱処理装置のロール間に搬送することにより、さらに乾燥し、厚さ40μmのセルロースアシレートフィルム1を作製した。
<ハードコート層および反射防止層の形成>
下記に示す各層形成用塗布液を調製した。
(ハードコート層形成用塗布液HC−1の調製)
以下に示す成分を混合し、最終溶媒組成がMIBK(メチルイソブチルケトン)とMEK(メチルエチルケトン)との50:50質量%混合比となるように調整して、最終的に固形分50質量%の混合液を調製した。
PET−30 60.0g
ビスコート360 40.0g
イルガキュア127 3.0g
8μm架橋アクリル粒子(30質量%分散液) 11.0g
8μm架橋アクリル・スチレン粒子(30質量%分散液) 7.0g
CABポリマー(20質量%溶液) 10.0g
SP−13(2質量%溶液) 1.0g
上記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、ハードコート層形成用塗布液HC−1を調製した。
なお、ハードコート層形成用塗布液HC−1を用いて形成されるハードコート層の波長550nmにおける屈折率は、1.525であった。
使用した材料を以下に示す。
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・ビスコート360:エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート[大阪有機化学(株)製]
・イルガキュア127:重合開始剤[BASF社製]
・8μm架橋アクリル粒子 屈折率1.49(30質量%MIBK分散液)
・8μm架橋アクリル・スチレン粒子 屈折率1.55(30質量%MIBK分散液)
・CABポリマー:セルロースアセテートブチレート(20質量%溶液)[イーストマン・ケミカル(株)製531・1のMIBK溶液]
・SP−13(レベリング剤):下記フッ素ポリマーの2質量%MEK溶液
(中屈折率層形成用塗布液の調製)
リン含有酸化錫(PTO)分散液(触媒化成工業(株)製 ELCOM JX−1001PTV)、および、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA)を混合し、硬化後の層の波長550nmにおける屈折率が1.62になるよう調整した中屈折率層形成用塗布液Mn−1を調製した。
(高屈折率層形成用塗布液Hn−1の調製)
ZrO微粒子含有ハードコート剤(デソライトZ7404[屈折率1.72、固形分濃度:60質量%、酸化ジルコニウム微粒子含量:70質量%(対固形分)、酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径:約20nm、溶媒組成:メチルイソブチルケトン/メチルエチルケトン=9/1、JSR(株)製])15.7質量部に、メチルエチルケトン61.9質量部、メチルイソブチルケトン3.4質量部、および、シクロヘキサノン1.1質量部を添加して、得られた混合物を攪拌した。その後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターを用いて、得られた混合物をろ過して、高屈折率層形成用塗布液Hn−1を調製した。
(低屈折率層形成用塗布液Ln−1の調製)
各成分を下記のように混合し、さらに、得られた混合物をMEK/MMPG−ACの90/10混合物(質量比)に溶解して、固形分5質量%の混合液を調製した。
(Ln−1の組成)
下記のパーフルオロオレフィン共重合体(P−1) 15質量部
DPHA 7質量部
RMS−033 5質量部
下記の含フッ素モノマー(M−1) 20質量部
中空シリカ粒子(固形分) 50質量部
イルガキュア127 3質量部
使用した化合物を以下に示す。
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(日本化薬(株)製)
・RMS−033:シリコーン系多官能アクリレート(Gelest製、Mwt=28000)
・イルガキュア127:光重合開始剤(BASF社製)
・中空シリカ:中空シリカ粒子分散液(平均粒子サイズ:45nm、屈折率1.25、アクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理された粒子、MEK分散液濃度:20質量%)
・MEK:メチルエチルケトン
・MMPG−Ac:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
上記混合液を孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層形成用塗布液Ln−1を調製した。
なお、低屈折率層形成用塗布液Ln−1を用いて形成される低屈折率層の波長550nmにおける屈折率は、1.34であった。
(ハードコート層および反射防止層の形成)
上記で作製したセルロースアシレートフィルム1の表面に、特開2006−122889号公報の実施例1に記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件でハードコート層形成用塗布液HC−1を塗布した。その後、ハードコート層形成用塗布液HC−1が塗布されたセルロースアシレートフィルム1を、60℃で150秒間乾燥して、塗膜を形成した。その後、窒素パージ下、酸素濃度約0.1%で、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cmおよび照射量100mJ/cmの条件にて紫外線を塗膜に照射して、ハードコート層を形成し、ハードコート層が形成されたセルロースアシレートフィルム1を巻き取った。なお、ハードコート層の膜厚は11μmになるよう塗布量を調整した。
このハードコート層上に、上記中屈折率層形成用塗布液Mn−1を塗布した。その後、中屈折率層形成用塗布液Mn−1が塗布されたフィルムを、90℃で30秒間乾燥して、塗膜を形成した。その後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージし、180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cmおよび照射量240mJ/cmの条件にて紫外線を塗膜に照射して、中屈折率層を形成した。中屈折率層の波長550nmにおける屈折率は1.62、膜厚は120nmであった。
続いて、形成した中屈折率層上に、上記高屈折率層形成用塗布液Hn−1を塗布した。その後、高屈折率層形成用塗布液Hn−1が塗布されたフィルムを、90℃で30秒間乾燥して、塗膜を形成した。その後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージし、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cmおよび照射量240mJ/cmの条件にて紫外線を塗膜に照射して、高屈折率層を形成した。高屈折率層の波長550nmにおける屈折率は1.72、膜厚は220nmであった。
続いて、形成した高屈折率層上に、上記低屈折率層形成用塗布液Ln−1を塗布した。その後、低屈折率層形成用塗布液Ln−1が塗布されたフィルムを、60℃で60秒間乾燥して、塗膜を形成した。その後、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージし、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cmおよび照射量300mJ/cmの条件にて紫外線を塗膜に照射して、低屈折率層を形成した。低屈折率層の波長550nmにおける屈折率は1.34、膜厚は190nmであった。
以上のように、セルロースアシレートフィルム1上にハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、および、低屈折率層がこの順で積層されたフィルムAR1を作製した。なお、中屈折率層、高屈折率層、および、低屈折率層は、近赤外光領域の光に対する反射防止層を構成する。
<光学異方性層の形成>
(フィルムの鹸化処理)
上記で得られたフィルムAR1を温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した。その後、フィルムAR1のハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、および、低屈折率層が形成された面とは反対側の面に、下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14mL/m2で塗布した。その後、アルカリ溶液が塗布されたフィルムAR1を、110℃に加熱したスチーム式遠赤外ヒーター((株)ノリタケカンパニーリミテド製)の下に10秒間滞留させた。
次いで、同じくバーコーターを用いて、アルカリ溶液で処理されたフィルムAR1の表面上に、純水を3mL/m2塗布した。
次いで、得られたフィルムに対して、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りとを3回繰り返した。その後、得られたフィルムを70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、フィルムAR1中のセルロースアシレートフィルム1の表面に対して鹸化処理を施した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルカリ溶液の組成
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・水酸化カリウム 4.7質量部
・水 15.7質量部
・イソプロパノール 64.8質量部
・界面活性剤(C1633O(CH2CH2O)10H) 1.0質量部
・プロピレングリコール 14.9質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(配向膜の形成)
上記で得られたフィルムAR1中のセルロースアシレートフィルム1の鹸化処理面に、下記に示す組成の配向膜形成用塗布液を、ワイヤーバーコーターで24mL/m2塗布した。その後、配向膜形成用塗布液が塗布されたフィルムAR1を100℃の温風で120秒乾燥し、配向膜を形成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜形成用塗布液の組成
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・下記に示す変性ポリビニルアルコール 28質量部
・クエン酸エステル(AS3、三共化学(株)製) 1.2質量部
・光開始剤(イルガキュア2959、BASF社製) 0.84質量部
・グルタルアルデヒド 2.8質量部
・水 699質量部
・メタノール 226質量部
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(変性ポリビニルアルコール)
(光学異方性層の形成)
上記作製した配向膜に、連続的にラビング処理を施した。
このとき、長尺状のフィルム(配向膜を有するフィルムAR1)の長手方向と搬送方向とは平行であり、フィルム長手方向に対して、ラビングローラーの回転軸が反時計回りに45°となるように調節した。
下記の組成のディスコティック液晶化合物を含む光学異方性層形成用塗布液(D)を、作製した配向膜上にワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度は40m/minとした。光学異方性層形成用塗布液(D)中の溶媒の乾燥、および、ディスコティック液晶化合物の配向熟成のために、光学異方性層形成用塗布液(D)が塗布されたフィルムを120℃の温風で90秒間加熱して、塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に対して80℃にてUV照射を行い、ディスコティック液晶化合物の配向を固定化して光学異方性層を形成し、フィルムD1を作製した。形成された光学異方性層(すなわち液晶化合物層)の厚さは、2.2μmであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用塗布液(D)の組成
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・下記のディスコティック液晶化合物−1 80質量部
・下記のディスコティック液晶化合物−2 20質量部
・エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(ビスコート#360、大阪有機化学(株)製) 5質量部
・下記の紫外線吸収剤−A 5質量部
・光重合開始剤(イルガキュア907、BASF社製) 4質量部
・下記の配向膜界面配向剤−1 2質量部
・下記の配向膜界面配向剤−2 0.2質量部
・下記のフッ素系ポリマー(FP1) 0.21質量部
・下記のフッ素系ポリマー(FP2) 0.1質量部
・下記のフッ素系ポリマー(FP3) 0.05質量部
・メチルエチルケトン 209質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
ディスコティック液晶化合物−1
ディスコティック液晶化合物−2
紫外線吸収剤−A
配向膜界面配向剤−1
配向膜界面配向剤−2
(FP1)
(FP2)
(FP3)
作製したフィルムD1中の光学異方性層の遅相軸の方向は、ラビングローラーの回転軸と平行であった。すなわち、フィルムD1の長手方向に対して、光学異方性層の遅相軸は反時計回りに45°の方向であった。ディスコティック液晶化合物の円盤面のフィルム面に対する平均傾斜角は90°であり、ディスコティック液晶化合物がフィルム面に対して垂直に配向していることを確認した。フィルムD1の面内レタデーションRe(902)、Re(1000)、および、Re(1090)は、それぞれ250nm、240nm、および、239nmであった。
上記フィルムD1の作製において、ラビングローラーの回転軸を時計回りに45°となるように調節した以外は同様にして、厚さ2.2μmの光学異方性層を形成し、フィルムD2を作製した。
作製したフィルムD2中の光学異方性層の遅相軸の方向は、ラビングローラーの回転軸と平行であった。すなわち、フィルムD2の長手方向に対して、光学異方性層の遅相軸は時計回りに45°の方向であった。ディスコティック液晶化合物の円盤面のフィルム面に対する平均傾斜角は90°であり、ディスコティック液晶化合物がフィルム面に対して垂直に配向していることを確認した。フィルムD2の面内レタデーションRe(902)、Re(1000)、および、Re(1090)は、それぞれ250nm、240nm、および、239nmであった。
<位相差フィルムの作製>
上記作製した長尺状のフィルムD1およびフィルムD2を、反射防止層同士が外側になるように、すなわち、光学異方性層同士が内側になるように、粘着剤を用いて、連続的に貼り合せた。このようにして、位相差フィルムDDを作製した。このとき、フィルムD1に含まれる光学異方性層の遅相軸の方向と、フィルムD2に含まれる光学異方性層の遅相軸の方向は平行であり、位相差フィルムDDの遅相軸方向とフィルム長手方向とのなす角度は45°であった。
〔実施例2〕
<光学異方性層の形成>
上記実施例1と同様にして、フィルムAR1を作製し、セルロースアシレートフィルム1の表面に鹸化処理を行った後、配向膜を形成した。
作製した配向膜に、連続的にラビング処理を施した。このとき、長尺状のフィルム(配向膜を有するフィルムAR1)の長手方向と搬送方向とは平行であり、フィルム長手方向に対して、ラビングローラーの回転軸が反時計回りに45°となるように調節した。
下記の組成の棒状液晶化合物を含む光学異方性層形成用塗布液(C)を、作製した配向膜上にワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度は40m/minとした。光学異方性層形成用塗布液(C)中の溶媒の乾燥および棒状液晶化合物の配向熟成のために、光学異方性層形成用塗布液(C)が塗布されたフィルムを80℃の温風で60秒間加熱し、塗膜を形成した。その後、塗膜に対して60℃にてUV照射を行い、棒状液晶化合物の配向を固定化して光学異方性層を形成し、フィルムC1を作製した。形成された光学異方性層(すなわち液晶化合物層)の厚さは、2.1μmであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層形成用塗布液(C)の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物−1 83質量部
棒状液晶化合物−2 15質量部
棒状液晶化合物−3 2質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(ビスコート#360、大阪有機化学(株)製) 8質量部
光重合開始剤(イルガキュア907、BASF製) 6質量部
上記のフッ素系ポリマー(FP1) 0.25質量部
上記のフッ素系ポリマー(FP3) 0.1質量部
メチルエチルケトン 193質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
[棒状液晶化合物−1]
[棒状液晶化合物−2]
[棒状液晶化合物−3]
作製したフィルムC1中の光学異方性層の遅相軸の方向は、ラビングローラーの回転軸と直交していた。すなわち、フィルムC1の長手方向に対して、光学異方性層の遅相軸は時計回りに45°の方向であった。棒状液晶化合物の長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は0°であり、棒状液晶化合物がフィルム面に対して平行に配向していることを確認した。フィルムC1の面内レタデーションRe(902)、Re(1000)、および、Re(1090)は、それぞれ270nm、258nm、および、257nmであった。
<位相差フィルムの作製>
上記作製した長尺状のフィルムD1およびフィルムC1を、反射防止層同士が外側になるように、すなわち、光学異方性同士が内側になるように、粘着剤を用いて、連続的に貼り合せた。このようにして、位相差フィルムDCを作製した。このとき、フィルムD1に含まれる光学異方性層の遅相軸の方向と、フィルムC1に含まれる光学異方性層の遅相軸の方向は平行であり、位相差フィルムDCの遅相軸方向とフィルム長手方向とのなす角度は45°であった。
〔比較例1〕
日本ゼオン(株)製ゼオノアフィルムZF16(厚み100μm)を、175℃で1.5倍1軸延伸し、厚み70μmのフィルムH1を作製した。このフィルムを延伸軸が一致するように2枚貼り合せて、位相差フィルムHHを作製した。フィルムH1の面内レタデーションRe(902)、Re(1000)、および、Re(1090)は、それぞれ248nm、248nm、および、247nmであった。
<光学特性の測定>
作製した位相差フィルムDD、DC、および、HHの近赤外光領域の面内レタデーションRe(λ)は、KOBRA−WX100/IR(王子計測機器(株)製)を用いて測定した。
紫外線透過率は、分光光度計U−3310(日立計測器製)を用いて測定した。
<裁断性の評価>
トムソン刃をセットした1cm角の打ち抜き機を用いて、作製した位相差フィルムDD、DC、および、HHを裁断した。裁断された各位相差フィルムの辺(裁断辺)を顕微鏡で観察し、クラックが認められないものは「A」、クラックが発生しているものは「B」とした。
<スチールウール耐傷性の評価>
ラビングテスターを用いて、こすりテストを行った。具体的には、こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)を、試料(位相差フィルムDD、DC、および、HH)と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定した。スチールウールを巻きつけたこすり先端部を、位相差フィルムDD、DC、および、HHの表面に接触させ、移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g/cm、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復の条件にて、こすりテストを行った。
こすりテスト終えた試料(位相差フィルムDD、DC、および、HH)の裏側(位相差フィルムDD、DC、および、HHのこすった面とは反対側)に油性黒インキを塗り、こすり部分を反射光で目視観察して、こすり部分の傷を評価した。傷が見えないもの、または、非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見えるものを「A」、注意深く見なくても、傷が見えるものを「B」とした。
評価結果を表1に示す。本発明の位相差フィルムは、近赤外光領域で1/2波長板(
λ/2板)としての機能を有し、裁断性および耐擦傷性に優れたフィルムであった。
10a,10b,10c,10d 位相差フィルム
12 支持体
14,14c 光学異方性層
14a 第1光学異方性層
14b 第2光学異方性層
16 ハードコート層
18 反射防止層
20 粘着層

Claims (5)

  1. 液晶化合物を含む光学異方性層を備える位相差フィルムであって、
    800〜1200nmから選択されるいずれかの波長λにおける、前記位相差フィルムの面内レタデーションRe(λ)がλ/2±100nmの範囲内である、位相差フィルム。
  2. 前記光学異方性層が、ディスコティック液晶化合物を含む第1光学異方性層と、棒状液晶化合物を含む第2光学異方性層とを含む、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 波長350nmにおける透過率が10%以下である、請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  4. さらに、ハードコート層を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  5. さらに、反射防止層を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20200080174A (ko) 2018-12-26 2020-07-06 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 적층체 및 그의 제조 방법

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