JP2009086047A - 偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルム等の積層物の劣化、変色、及び該積層物の剥離が抑制される偏光板及び液晶表示装置の提供。
【解決手段】本発明の偏光板は、護フィルムと、偏光子と、0.1〜500g/mの透湿度を有する第1のフィルムと、500g/mを超える透湿度を有する第2のフィルムと、をこの順で積層してなる偏光板であって、前記第2のフィルムが、第1の光学異方性層と、第2の光学異方性層とを有する光学補償フィルムであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置に用いられる偏光板は、膜状の偏光子を備える。この偏光子の一方の面に、セルローストリアセテート等からなる保護層(保護フィルム)を有し、他方の面に、透明支持体上に、棒状液晶化合物やディスコティック液晶化合物等からなる液晶層を配向させた光学異方性層を形成した光学補償フィルムを有する偏光板が知られている。
該偏光子の両面に形成されたフィルムは、通常、互いに異なった材質からなるため、大気中等の水分を透過する量(以下、透湿度)、水分を吸収して膨張する量(以下、膨張率)等も異なっている。
そのため、この種の偏光板は、使用環境によっては、両面のフィルム(層)及び偏光子の透湿度、膨張率等の相違により、偏光子と保護層との間等に隙間が発生することがあった。その結果、該偏光板には、偏光板の偏光度低下、光学補償フィルムの変色及び変形、該変色等による黒輝度、階調反転等の表示特性の低下等の問題が生じていた。
上記問題を解決するため技術として、例えば、特許文献1〜3に示される技術が提案されている。
しかしながら、これらの特許文献1〜3の偏光板を備えた液晶表示装置は、自動車の車室内等の湿度及び温度条件が大きく変化する環境や、高温多湿で保持される環境において、長時間の使用に十分耐え得るものではなかった。
特開2005−17435号公報 特開2004−67984号公報 特開2002−14230号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高温高湿下においても、フィルム等の積層物の劣化、変色、及び該積層物の剥離が抑制される偏光板及び液晶表示装置を提供する。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1>保護フィルムと、偏光子と、0.1〜500g/mの透湿度を有する第1のフィルムと、500g/mを超える透湿度を有する第2のフィルムと、をこの順で積層してなる偏光板であって、前記第2のフィルムが、第1の光学異方性層と、第2の光学異方性層とを有する光学補償フィルムであることを特徴とする偏光板である。
該<1>に記載の偏光板においては、0.1〜500g/mの透湿度を有する第1のフィルムが、500g/mを超える透湿度を有する第2のフィルム上に配置することによって、偏光板の変形を抑制する。
<2>前記第1のフィルムが、光学異方性を有する前記<1>記載の偏光板である。
<3>前記第1のフィルムが、環状オレフィン系樹脂組成物及びノルボルネン樹脂組成物からなる前記<1>又は前記<2>記載の偏光板である。
<4>前記第2の光学異方性層が、セルロースエステルからなる前記<1>から<3>のいずれかに記載の偏光板である。
<5>前記第1の光学異方性層が、ディスコティック液晶化合物からなる前記<1>から<4>のいずれかに記載の偏光板である。
<6>前記保護フィルムに、更に、少なくとも、表面保護層、反射防止層、防眩層及び光拡散層のいずれか1つを積層した前記<1>から<5>のいずれかに記載の偏光板である。
<7>前記<1>から<6>のいずれかに記載の偏光板を備えた液晶表示装置である。
<8>前記<1>から<6>のいずれかに記載の偏光板を製造する方法であって、保護フィルム上に膜状の偏光子を形成する工程と、第1のフィルムを、前記保護フィルムの偏光子上に貼り合せる工程と、前記第1のフィルムと第2の光学異方性層とが接触するように、前記第1のフィルム上に、第2のフィルムを貼り合せる工程と、を有する偏光板の製造方法である。
本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、高温高湿下においても、フィルム等の積層物の劣化、変色、及び該積層物の剥離が抑制される偏光板及び液晶表示装置を提供できる。
以下、本発明の偏光板、及び該偏光板を備えた液晶表示装置について説明する。
なお、本実施形態の説明において、「45°」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
また、本明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を上限値及び下限値として含む意味で使用される。
また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。
また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味し、「可視光領域」とは、380〜780nmのことをいう。
更に、屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(λ=550nm)での値である。
また、本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び液晶表示装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。
また、本実施形態の説明において「分子対称軸」とは、分子が回転対称軸を有する場合は、当該対称軸を指すが、厳密な意味で、分子が回転対称性であることを要求するものではない。
一般的に、円盤状液晶性化合物において、分子対称軸は、円盤面の中心を貫く円盤面に対して垂直な軸と一致し、棒状液晶性化合物において、分子対称軸は、分子の長軸と一致する。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(III)よりRthを算出することもできる。
・・・・・・式(A)
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・・式(II)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
〔偏光板〕
図1は、本発明の一実施形態にかかる偏光板の構成を示す説明図である。図1に示されるように、偏光板1は、第1のフィルム10と、第2のフィルム20と、偏光子30と、保護フィルム40とを備える。第2のフィルム20は、第1の光学異方性層21と、第2の光学異方性層22とを有する。
なお、第1のフィルム10と、第2のフィルム20とからなる積層物を、特に、光学フィルムと称する場合がある。
(光学フィルム)
光学フィルムは、少なくとも2層の光学異方性層が積層された積層構造を有する。
具体的には、光学フィルムは、少なくとも、第2のフィルムの第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層を有する。
<第2のフィルム>
(透湿度)
第2のフィルムは、500g/mを超える透湿度を有する。該透湿度は、JIS Z 0208に準拠して測定されるものである。
(第1の光学異方性層)
前記第1の光学異方性層は、液晶化合物から形成された光学異方性層であることが好ましい。
前記第1の光学異方性層は、後述する第2の光学異方性層の表面に直接形成してもよいし、第2の光学異方性層上に配向膜を形成し、該配向膜上に形成してもよい。また、別の基材に形成した液晶化合物層を、粘着剤等を用いて、第2の光学異方性層上に転写することで、光学フィルムを作製することも可能である。
第1の光学異方性層の形成に用いる液晶化合物としては、棒状液晶化合物及びディスコティック液晶化合物が挙げられる。棒状液晶化合物及びディスコティック液晶化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、更に、低分子液晶が架橋され、液晶性を示さなくなったものも含まれる。
第1の光学異方性層のReレターデーション値、及びRthレターデーション値は、それぞれ、下記式(I)及び(II)で定義される。なお、下記式(I)、及び(II)において、nxはフィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率を指し、nyは、フィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率を指し、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を指し、dは単位をnmとするフィルムの厚さを指す。
Re=(nx−ny)×d・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(I)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d・・・・・・・・・・・・式(II)
(棒状液晶化合物)
本発明に使用可能な棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも用いることができる。言い換えると、棒状液晶化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶化合物については、季刊化学総説第22巻「液晶の化学(1994)日本化学会編」の第4章、第7章、及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
本発明に用いる棒状液晶化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。棒状液晶化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、不飽和重合性基又はエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基が更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。
(ディスコティック液晶化合物)
ディスコティック液晶化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
前記ディスコティック液晶化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
ディスコティック液晶化合物から第1の光学異方性層を形成した場合、最終的に第1の光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。
例えば、低分子のディスコティック液晶化合物が熱、又は光で反応する基を有しており、熱又は光によって該基が反応して、重合又は架橋し、高分子量化することによって第1の光学異方性層が形成される場合などは、第1の光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。
ディスコティック液晶化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。
従って、重合性基を有するディスコティック液晶化合物は、下記一般式(1)で表わされる化合物であることが好ましい。
上記一般式(1)中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
円盤状コア(D)の例として、(D1)〜(D15)を以下に示す。以下の各例において、LQ(又はQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
また、上記一般式(1)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリ−レン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが更に好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが特に好ましい。
前記アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。前記アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。前記アリ−レン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例として、(L1〜L24)を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
上記一般式(1)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)は、不飽和重合性基又はエポキシ基であることが好ましく、不飽和重合性基であることが更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、上記一般式(1)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
前記第1の光学異方性層中に液晶化合物の配向については、第1の光学異方性層の分子対称軸の平均方向が、長手方向に対して43°〜47°であることが好ましい。
ハイブリッド配向では、液晶化合物の分子対称軸と第2の光学異方性層の面との角度が、第1の光学異方性層の深さ方向でかつ第2の光学異方性層の面からの距離の増加と共に増加又は減少している。
角度は、距離の増加と共に増加することが好ましい。更に、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。
角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。更に、角度は連続的に変化することが好ましい。
液晶化合物の分子対称軸の平均方向は、一般に液晶化合物もしくは配向膜の材料を選択することにより、又はラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。
本発明の好ましい実施態様として、第2の光学異方性層と液晶化合物層の遅相軸が互いに直交でも平行でもない光学フィルムの場合、第2の光学異方性層の遅相軸と異なる方向にラビング処理をすることで、液晶化合物層の遅相軸は、いかようにも簡便に調整することができる。
また、表面側(空気側)の液晶化合物の分子対称軸方向は、一般に、液晶化合物又は液晶化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。
液晶化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。分子対称軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶化合物と添加剤との選択により調整できる。特に界面活性剤に関しては、上述の塗布液の表面張力制御と両立することが好ましい。
液晶化合物と共に使用する可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーは、ディスコティック液晶化合物と相溶性を有し、液晶化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。前記重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基、及びメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。
また、上記化合物の添加量は、液晶化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が4以上のモノマーを混合して用いると、配向膜と第1の光学異方性層間の密着性を高めることができる。
液晶化合物としてディスコティック液晶化合物を用いる場合は、ディスコティック液晶化合物とある程度の相溶性を有し、ディスコティック液晶化合物に傾斜角の変化を与えられるポリマーを用いるのが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
ディスコティック液晶化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、ディスコティック液晶化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることが更に好ましい。
ディスコティック液晶化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がより好ましい。
本発明において、第1の光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることが更に好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。
(配向膜)
本発明の光学フィルムは、第2の光学異方性層と第1の光学異方性層との間に配向膜を有しているのが好ましい。
本発明において、前記配向膜は、架橋されたポリマーからなる層であるのが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーであっても、架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。
上記配向膜は、官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熱又はPH変化等により、ポリマー間で反応させて形成するか、又は、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。
架橋されたポリマーからなる配向膜は、通常、上記ポリマー又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、第2の光学異方性層上に塗布した後、加熱等を行なうことにより形成することができる。
後述のラビング工程において、配向膜の発塵を抑制するために、架橋度を上げておくことが好ましい。前記塗布液中に添加する架橋剤の量(Mb)に対して、架橋後に残存している架橋剤の量(Ma)の比率(Ma/Mb)を1から引いた値(1−(Ma/Mb))を架橋度と定義した場合、架橋度は50〜100%が好ましく、65〜100%がより好ましく、75〜100%が特に好ましい。
本発明において、前記配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。なお、双方の機能を有するポリマーを使用することもできる。
上記ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。
好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーであり、更にゼラチン、ポリビルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールが好ましく、特にポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
上記ポリマーの中で、ポリビニルアルコール、又は変性ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%のものであり、一般に鹸化度80〜100%のものであり、より好ましくは鹸化度85〜95%のものである。
重合度としては、100〜3,000の範囲が好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性したもの(変性基として、例えば、COONa、Si(OX)、N(CH・Cl、C19COO、SO、Na、C1225等が導入される)、連鎖移動により変性したもの(変性基として、例えば、COONa、SH、C1225等が導入されている)、ブロック重合による変性をしたもの(変性基として、例えば、COOH、CONH、COOR、C等が導入される)等のポリビニルアルコールの変性物を挙げることができる。
重合度としては、100〜3,000の範囲が好ましい。これらの中で、鹸化度80〜100%の未変性〜変性ポリビニルアルコールが好ましく、より好ましくは鹸化度85〜95%の未変性、又はアルキルチオ変性ポリビニルアルコールである。
配向膜に用いる変性ポリビニルアルコールとして、下記一般式(2)で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物が好ましい。なお、下記一般式(2)において、Rは無置換のアルキル基、又はアクリロリル基、メタクリロイル基もしくはエポキシ基で置換されたアルキル基を表わし、Wはハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表わし、Xは活性エステル、酸無水物又は酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、lは0又は1を表わし、nは0〜4の整数を表わす。
また、配向膜に用いる変性ポリビニルアルコールとして、下記一般式(3)で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物も好ましい。なお、下記一般式(3)において、Xは活性エステル、酸無水物又は酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、mは2〜24の整数を表わす。
前記一般式(2)、及び一般式(3)により表される化合物と反応させるために用いられるポリビニルアルコールとしては、上記変性されていないポリビニルアルコール、及び上記共重合変性したもの、即ち連鎖移動により変性したもの、ブロック重合による変性をしたもの等のポリビニルアルコールの変性物、を挙げることができる。
上記特定の変性ポリビニルアルコールの好ましい例としては、特開平8−338913号公報に詳しく記載されている。
配向膜にポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを使用する場合、硬膜度の観点から、含水率を制御することが好ましく、制御される含水率としては、0.4〜2.5%であることが好ましく、0.6〜1.6%であることがより好ましい。含水率は、市販のカールフィッシャー法の水分率測定器で測定することができる。
なお、配向膜は、10μm以下の膜厚であるのが好ましい。
(第2の光学異方性層)
前記第2の光学異方性層は、透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上である透明なポリマーフィルムが好ましい。
第2の光学異方性層として使用可能なポリマーフィルムとしては、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースジアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等からなるポリマーフィルムが挙げられる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、ア−トン(登録商標)、及びゼオネックス(登録商標)を用いてもよい。中でもセルロースエステルからなるフィルムが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルからなるフィルムが更に好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。特に、炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)が好ましい。
そして、これらの中でも、セルロースアセテートからなるフィルムが特に好ましい。また、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることもできる。
なお、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、国際公開WO00/26705号パンフレットに記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明において、第2の光学異方性層として用いることもできる。
ここで、本発明における光学フィルムを、偏光板の保護フィルム又は位相差フィルムとして使用する場合は、ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることが更に好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。
酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算によって求められる。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。
具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜40であることが好ましく、1.0〜1.65であることが更に好ましく、1.0〜1.6であることが特に好ましい。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位及び6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。
第2の光学異方性層として用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度又は多い方が好ましい。
2位、3位及び6位の置換度の合計に対する6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがより好ましく、32〜40%であることが特に好ましい。また、6位の置換度は0.88以上であることが好ましい。なお、各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の段落番号[0043]〜「0044」に記載の合成例1、段落番号[0048]〜[0049]に記載の合成例2、及び段落番号[0051]〜[0052]に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
第2の光学異方性層のReレターデーション値、及びRthレターデーション値は、それぞれ、下記式(I)及び(II)で定義される。なお、下記式(I)、及び(II)において、nxはフィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率を指し、nyは、フィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率を指し、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を指し、dは単位をnmとするフィルムの厚さを指す。
Re=(nx−ny)×d・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(I)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d・・・・・・・・・・・・式(III)
また、第2の光学異方性層は、それらの製膜方向、及び該製膜方向に直交する方向の光弾性係数の絶対値が、共に10×10−12/N以下であることが好ましい。
また、第2の光学異方性層にセルロースアセテートフィルムを用いる場合は、レターデーション上昇剤をフィルム中に含有させるのが好ましく、好ましい化合物例、及びその製造方法に関しては、特開2000−154261号公報、及び特開2000−111914号公報に記載されている。
<第1のフィルム>
(透湿度)
第1のフィルムは、0.1g/m〜500g/mの透湿度を有する。該透湿度は、JIS Z 0208に準拠して測定されるものである。
第1のフィルムは、光学等方性のフィルムであってもよいし、光学異方性を有するフィルムであってもよい。
なお、第1のフィルムが光学異方性を有する場合、第1のフィルムが、第3の光学異方性層となる。
第3の光学異方性層は、上記第2の光学異方性層として用いられる材料から適宜選択して用いることができる。
第1のフィルムは、適宜、公知の方法を選択して製造することができる。
<偏光子>
前記偏光子は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光子、又はバインダーとヨウ素、もしくは二色性色素とからなる偏光子が好ましい。
前記ヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
また、市販の偏光子は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
したがって、上記のように、バインダーの厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、偏光板を液晶表示装置に使用した場合に発生する光漏れ現象の観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下が更に好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光子のバインダーは架橋していてもよい。偏光子のバインダーとして、それ自体架橋可能なポリマーを用いてもよい。官能基を有するポリマー、又はポリマーに官能基を導入して得られたポリマーに、光、熱あるいはpH変化を与えて、官能基を反応させてポリマー間を架橋させ、偏光子を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてバインダー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、バインダー間を架橋することにより形成することができる。
架橋は一般に、架橋可能なポリマー、又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、支持体上に塗布した後、加熱することにより実施できる。最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なってもよい。
上記した様に、偏光子のバインダーとしては、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。
ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例、ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びそれらのコポリマー(例、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体)が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いてもよい。
水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが更に好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%が更に好ましく、95〜100%が特に好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5,000が好ましい。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合変性では、変性基として、COONa、Si(OH)、N(CH・Cl、C19COO、SO3Na、C1225を導入することができる。連鎖移動変性では、変性基として、COONa、SH、SC1225を導入することができる。
変性ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3,000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号公報、特開平9−152509号公報、及び特開平9−316127号公報に記載がある。
また、鹸化度が85〜95%の未変性ポリビニルアルコール、及びアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
更に、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載があり、本発明に用いることができる。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
バインダーの架橋剤は、多く添加すると、偏光子の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、バインダーに対して架橋剤を50質量%以上添加すると、ヨウ素、もしくは二色性色素の配向性が低下する。架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%が更に好ましい。
バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。ただし、残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
バインダー中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。すなわち、架橋剤の残留量が多い偏光子を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。
前記二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例には、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリ−ン59、C.I.アシッド・レッド37が含まれる。
二色性色素については、特開平1−161202号公報、特開平1−172906号公報、特開平1−172907号公報、特開平1−183602号公報、特開平1−248105号公報、特開平1−265205号公報、特開平7−261024号公報に記載がある。
二色性色素は、遊離酸、又はアルカリ金属塩、アンモニウム塩、もしくはアミン塩等の塩として用いられる。二種類以上の二色性色素を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)を用いた偏光子、あるいは黒色を呈するように各種の二色性分子を配合した偏光子又は偏光板が、単板透過率及び偏光率とも優れており、好ましい。
偏光子は、バインダーを偏光子の長手方向(MD方向)に延伸した後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は、2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍が更に好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。
また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。
延伸工程は、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。
延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。
偏光子の両面には、保護フィルムを配置するのが好ましく、一方の面の保護フィルムとして、本発明のロール状光学フィルムの一部を用いるのが好ましい。
例えば、保護フィルム/偏光子/第3の光学異方性層/第2の光学異方性層/第1の光学異方性層の順に積層されるか、保護フィルム/偏光子/第3の光学異方性層/第2の光学異方性層/配向膜/第1の光学異方性層の順に積層されることが好ましい。
但し、この構成に限定されず、偏光子と第1の光学異方性層の表面側とを貼りあわせてもよい。貼り合せには接着剤を用いてもよく、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を接着剤として用いることができる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。
接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜5μmの範囲にあることが特に好ましい。
<保護フィルム>
前記保護フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム等の公知の保護フィルムを選択して、用いることができる。
保護フィルムは、透明な基材(支持体とも言う。)上に、目的に応じて必要な機能層を単独又は複数層設けることにより作製することができる。該保護フィルムは、さらに表面保護層、反射防止層、防眩層、光拡散層のいずれかが少なくとも1つ具備されていることが好ましい。これらの層を少なくとも1つ設けることにより、液晶セル側に設置されたフィルムの変色及び劣化の防止にさらに効果がある。
本発明において、「表面保護層」とは、保護フィルムの、偏光子側とは反対側に設けられた、あらゆる層のことを指すが、例えば、ハードコート性、防湿性、ガスバリア性、防眩性、防汚性などの付与の目的のために必要な層のことを指す。
本発明の表面保護層、反射防止層、防眩層、光拡散層のいずれかが少なくとも1つ具備されている保護フィルムの好ましい一つの態様として、基材上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層された反射防止フィルムを挙げることができる。反射防止フィルムは、最も単純な構成では、基材上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。
また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
本発明の反射防止層を使用した保護フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。本発明の反射防止フィルムは、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。下記構成において基材フィルムは、フィルムで構成された支持体を指している。
・基材フィルム/低屈折率層
・基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
また、別の態様として、光学干渉を積極的には用いずに、ハードコート性、防湿性、ガスバリア性、防眩性、防汚性などの付与の目的のために必要な層を設けた保護フィルムも好ましい。
上記態様の保護フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、フィルムで構成された支持体を指している。
・基材フィルム/ハードコート層
・基材フィルム/ハードコート層/ハードコート層
・基材フィルム/防眩層
・基材フィルム/防眩層/防眩層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層
・基材フィルム/防眩層/ハードコート層
・基材フィルム/帯電防止層
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層
・基材フィルム/防湿層
・基材フィルム/ガスバリア層
・基材フィルム/ハードコート層/防汚層
・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層
・防眩層/基材フィルム/帯電防止層
これらの層は、蒸着、大気圧プラズマ、塗布などの方法により形成することができる。生産性の観点からは、塗布により形成することが好ましい。
(ハードコート層)
本発明のフィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、好ましくは透明支持体の一方の面にハードコート層を設けることができる。ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計からは、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.52〜1.90であり、更に好ましくは1.55〜1.80である。本発明の好ましい態様である、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層ある態様では、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜10μm、最も好ましくは3μm〜7μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記の重合性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性の官能基をバインダーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を有するモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜15.0μm、好ましくは1.5〜10.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーまたは無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマーおよび/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
ハードコート層のヘイズは、光学フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部及び表面にて光散乱機能を付与しない場合は、ヘイズ値は低い程良く、具体的には10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが5%〜15%であることが好ましく、5%〜10%であることがより好ましい。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜80%であり、最も好ましくは20%〜70%である。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得る為には、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.08μm以下とすることが好ましい。Raは、より好ましくは0.07μm以下であり、更に好ましくは0.06μm以下である。本発明のフィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、反射防止フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像
鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
(光開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
(面状改良剤)
支持体上のいずれかの層を作製するのに用いる塗布液には、面状故障(塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥など)を改良するために、フッ素系及びシリコーン系の少なくともいずれかの面状改良剤を添加することが好ましい。
面状改良剤は、塗布液の表面張力を1mN/m以上変化させることが好ましい。ここで、塗布液の表面張力が1mN/m以上変化するとは、面状改良剤を添加後の塗布液の表面張力が、塗布/乾燥時での濃縮過程を含めて、面状改良剤を添加してない塗布液の表面張力と比較して、1mN/m以上変化することを意味する。好ましくは、塗布液の表面張力を1mN/m以上下げる効果がある面状改良剤であり、更に好ましく2mN/m以上下げる面状改良剤、特に好ましくは3mN/m以上下げる面状改良剤である。
フッ素系の面状改良剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基を含有する化合物が挙げられる。好ましい化合物の例は、特開2005−115359号、特開2005−221963号、特開2005−234476号に記載の化合物を挙げることができる。
(防眩層)
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。
防眩性を付与する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の重量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2005−195819号記載のように複数のポリマーの混合溶液から溶媒が蒸発する過程で相分離することを利用して表面凹凸を形成する方法、などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
(透光性粒子使用)
本発明で用いることができる防眩層の1つの好ましい態様は、ハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、および溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものである。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
上記透光性粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の
粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mとなるように防眩層に含有される。
防眩層の膜厚は、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。前記範囲内とすることで、ハードコート性、カール、脆性を満足することができる。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)を0.09〜0.40μmの範囲が好ましい。0.40μmを超えると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(相分離)
本発明で用いることができる透光性粒子を使用して防眩性を発現する以外の防眩性を付与する手法の一例として、複数のポリマーのスピノーダル分解により塗膜の表面に凹凸を形成する手法が挙げられる。また、特に相分離した相の屈折率に差を与えることで、良好な光拡散性を付与することが可能となる。スピノーダル分解により作成される光散乱層は、互いに屈折率の異なる複数のポリマーで構成され、通常、使用雰囲気(特に、約10〜30℃程度の室温下)において、少なくとも共連続相構造を有する相分離構造を形成している。そして、前記共連続相構造は、複数のポリマーを含む液相(常温で液相、例えば、混合液又は溶液)からのスピノーダル分解により形成されている。前記共連続相構造は、通常、複数のポリマーを含み、かつ常温で液相を形成する組成物(例えば、混合液又は溶液)を用い、溶媒の蒸発を経たスピノーダル分解により形成されている。このような光散乱層は、液相から形成されるため、均一で微細な共連続相構造を有している。このような透過型光散乱シートを用いると、入射光が実質的に等方的に散乱し、かつ透過散乱光に指向性を付与できる。そのため、高い光散乱性と指向性とを両立できる。
光散乱性を高めるため、複数のポリマーは、屈折率の差が、例えば、0.01〜0.2程度、好ましくは0.1〜0.15程度となるように組み合わせて使用できる。屈折率の差が0.01未満では透過散乱光の強度が低下し、屈折率の差が0.2より大きいと透過散乱光に高い指向性を付与できない。
複数のポリマーは、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などから適当に組み合わせて選択できる。
好ましいポリマーには、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが含まれる。複数のポリマーとしては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーを溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。
これらの複数のポリマーは適当に組み合わせて使用できる。例えば、複数のポリマーの組合せにおいて、少なくとも1つのポリマーを、セルロース誘導体、特にセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2-4アルキルカルボン酸エステル類)とし、他のポリマーと組み合わせてもよい。
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−100℃〜250℃、好ましくは−50〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、シートの強度や剛性の点から、構成ポリマーのうち少なくとも1つのポリマーのガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。ポリマーの重量平均分子量は、例えば1,000,000以下(10,000〜1,000,000程度)、好ましくは10,000〜700,000程度の範囲から選択できる。
本発明では複数のポリマーを含む液相から溶媒を蒸発させてスピノーダル分解する湿式法を採用するため、原理的には複数のポリマーの相溶性の如何にかかわらず、実質的に等方性の共連続相構造を有する光散乱層を形成できる。そのため、互いに相溶性の複数のポリマーを組み合わせて構成してもよいが、通常、スピノーダル分解により相分離構造を容易に制御し、効率よく共連続相構造を形成するため、非相溶性(相分離性)の複数のポリマーを組み合わせる場合が多い。
複数のポリマーは、第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合せにより構成でき、第1のポリマー及び第2のポリマーは、それぞれ単一の樹脂で構成してもよく複数の樹脂で構成してもよい。第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わせは特に制限されない。例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。
第1のポリマーと第2のポリマーとの割合は、例えば、前者/後者=10/90〜90/10(重量比)程度、好ましくは20/80〜80/20(重量比)程度、さらに好ましくは30/70〜70/30(重量比)程度、特に40/60〜60/40(重量比)程度である。一方のポリマーの割合が多すぎると、分離した相間の体積比が偏るため、散乱光の強度が低下する。なお、3以上の複数のポリマーでシートを形成する場合、各ポリマーの含有量は、通常、1〜90重量%(例えば、1〜70重量%、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜70重量%)程度の範囲から選択できる。
本発明の光散乱シートを構成する光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有している。共連続相構造とは、共連続構造や三次元的に連続又は繋がった構造と称される場合があり、少なくとも2種の構成ポリマー相が連続している構造(例えば、網目構造)を意味する。前記光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有していればよく、共連続相構造と液滴相構造(独立又は孤立した相構造)とが混在した構造を有していてもよい。なお、スピノーダル分解において、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、さらに相分離を進行させると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状などの独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造、すなわち、上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造も形成できる。本発明では、上記中間的構造も共連続相構造という。なお、相分離構造が共連続相構造と液滴構造との混在構造である場合、液滴相(独立ポリマー相)の割合は、例えば、30%以下(体積比)、好ましくは10%以下(体積比)であってもよい。共連続相構造の形状は特に制限されず、ネットワーク状、特にランダムなネットワーク状であってもよい。
前記共連続相構造は、通常、層又はシート面内において異方性が低減されており、実質的に等方性である。なお、等方性とは、シート面内のどの方向に対しても共連続相構造の平均相間距離が実質的に等しいことを意味する。
共連続相構造は、通常、相間距離(同一相間の距離)に規則性を有する。そのため、シートに入射した光はブラッグ反射により透過散乱光が特定方向に指向する。従って、反射型液晶表示装置に装着しても、透過した散乱光を一定の方向に指向させることができ、表示画面を高度に明るくすることができ、従来の粒子分散型の透過型光散乱シートでは解決できなかった問題点、すなわち、パネルへの光源(例えば、蛍光灯など)の映りを回避できる。
光散乱シートにおいて共連続相の平均相間距離は、例えば、0.5〜20μm(例えば、1〜20μm)、好ましくは1〜15μm(例えば、1〜10μm)程度である。平均相間距離が小さすぎると、高い散乱光強度を得ることが困難であり、平均相間距離が大きすぎると、透過散乱光の指向性が低下する。
なお、共連続層の平均相間距離は、光散乱層又は光散乱シートの顕微鏡写真(透過型顕微鏡、位相差顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡など)から算出することができる。また、後述する散乱光の指向性の評価法と同様の方法により、散乱光強度が極大になる散乱角度θを測定し、下記のブラッグ反射条件の式より共連続相の平均相間距離dを算出してもよい。
2d・sin(θ/2)=λ
(式中、dは共連続相の平均相間距離、θは散乱角度、λは光の波長を示す)
(エンボス)
光散乱層の作成手法として、透光性粒子を使用して防眩性を発現する以外の手法の一例として、エンボス法により光散乱層を作成する手法が挙げられる。
エンボス法により作成される光散乱層とは、透明基板上に、表面が微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムで賦形された電離放射線硬化型樹脂組成物、または熱硬化型樹脂組成物から本質的に構成される光拡散層が形成されたものである。
上記光散乱層の製造方法は、樹脂が電離放射線硬化型樹脂組成物の場合には、透明基板上に電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工し、次に塗工された電離放射線硬化型樹脂組成物の未硬化状態の塗膜上に表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートし、次に前記賦型フィルムがラミネートされた塗膜上に電離放射線を照射することにより前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜を硬化させ、次に硬化した電離放射線硬化型樹脂の塗膜から賦型フィルムを剥離する製造方法で製造することが好ましい。
また、樹脂が熱硬化型樹脂組成物の場合には、透明基板上に熱硬化型樹脂組成物を塗工し、次に塗工された熱硬化型樹脂組成物の未硬化状態の塗膜上に表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートし、次に前記賦型フィルムがラミネートされた前記塗膜を加熱して硬化させ、次に硬化した熱硬化型樹脂組成物の塗膜から賦型フィルムを剥離する製造方法で製造することが好ましい。
賦型フィルムを未硬化の電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜上にラミネートする際には、塗工した樹脂が溶剤希釈系のものであれば、溶剤を乾燥した後にラミネートを行い、また、塗工した樹脂が無溶剤系のものであれば、そのままラミネートを行う。
エンボス法の光拡散層に用いられる電離放射線硬化型樹脂組成物の皮膜形成成分は、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
特に好適には、ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物が用いられる。その理由は、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコートを得るのに適しているが、ポリエステルアクリレート単独ではその塗膜は衝撃性が低く、脆くなるので、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるためにポリウレタンアクリレートを併用する。ポリエステルアクリレート100重量部に対するポリウレタンアクリレートの配合割合は30重量部以下とする。この値を越えると塗膜が柔らかすぎてハード性がなくなってしまうからである。
さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーn−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
(高屈折率層、中屈折率層)
本発明のフィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、後述の低屈折率層とともに光学干渉を利用すると反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いられる無機粒子の具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOとSiO等が挙げられる。TiO及びZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
(低屈折率層)
本発明のフィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いることが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
好ましい硬化物組成の態様としては、(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素ポリマーを含有する組成物、(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、が挙げられる。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物
架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性または重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。含フッ素モノマーとしては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。
架橋性基付与のためのモノマーとしては、1つの態様としては、グリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。又別の態様としては、水酸基等の官能基を有するモノマーを用い含フッ素共重合体を合成後、さらにそれら置換基を修飾して架橋性若しくは重合性の官能基を導入するモノマーを使用する方法である。これらモノマーとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者の態様は特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報により開示されている。
上記含フッ素共重合体には、溶解性、分散性、塗布性、防汚性、帯電防止性などの観点から、適宜共重合可能な成分を含むことができる。特に防汚性・滑り性付与のためには、シリコーンを導入することが好ましく、主鎖にも側鎖にも導入することができる。
主鎖へのポリシロキサン部分構造導入方法は、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS-0501、1001(商品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法が挙げられる。また、側鎖に導入する方法は、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、反応性基を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。
これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記光拡散層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
本発明の低屈折率層には、上記の光散乱層の頁で述べた重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明の低屈折層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
本発明の光拡散層は、透光性樹脂と、透光性樹脂の屈折率とは異なる屈折率を有する透光性微粒子を含む層である。透光性粒子と透光性樹脂の屈折率差、透光性粒子の粒子径、透光性粒子の含有量により散乱光プロファイル及びヘイズ値を調整する。本発明では、透光性粒子は1種類以上使用すればよいが、2種類以上の粒径および/または材質の異なる透光性微粒子を用いることが、散乱光プロファイル及びヘイズ値を調整できる点で好ましい。
透光性微粒子の屈折率と、光拡散層全体を構成する透光性樹脂の屈折率(後述する、層の屈折率調整のために無機微粒子等を透光性樹脂に添加した場合は、その光学的な平均屈折率)との差が0.03〜0.30であることが好ましい。屈折率差が0.03未満の場合は、両者の屈折率の差が小さすぎて、光拡散効果を得にくく、屈折率差が0.30よりも大きい場合は、光拡散性が大きすぎて、フイルム全体が白化する。屈折率差は、0.06〜0.25がより好ましく、0.09〜0.20が最も好ましい。
本発明においては、視角特性改善ために適度な散乱性を得るために、透光性微粒子(第1の透光性微粒子)の粒子径は、0.5〜3.5μmが好ましく、0.5〜2.0μmであることがより好ましく、最も好ましくは0.6〜1.8μmである。拡散効果が大きければ大きい程、視角特性は向上する。しかし、表示品位という点で正面の明るさを維持するためには、出来る限り透過率を高めることも必要である。前記粒子径を0.5μm未満とした場合、散乱の効果が大きく、視角特性は向上するが、後方散乱が大きくなり明るさの減少が大きい。一方、3.5μmを超える場合は、散乱効果が小さくなり、視角特性の向上は小さくなっていく。
また、拡散効果付与を主目的としない透光性微粒子(第2の透光性微粒子)をさらに添加することも好ましい。拡散フィルムの表面に凹凸を設け、映り込み防止機能を設ける等に用いられる。第2の透光性微粒子の粒子径は第1の透光性粒子の粒子径より大きいことが好ましく、2.5μm乃至10.0μmであることが更に好ましい。これにより、好適な表面散乱を付与することができる。良好な表示品位を達成するには、外光の写り込みを防止する事も必要である。表面のヘイズ値が低いほど外光による白ちゃけ感が小さくなり、明瞭なディスプレイ表示を得ることができるが、表面ヘイズ値が低すぎると、映り込みが大きくなるため、最外層に光拡散層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を設け、低反射率化することも好ましい。表面ヘイズ値を制御するには、第2の透光性微粒子により樹脂層表面に適度な凹凸を設けることが好ましいが、この限りではない。粒子径を2.5μm以下にした場合、所望の表面凹凸を設ける場合に、層の厚みを薄くせざるを得ず、膜硬度の点で好ましくなく、一方、10μm以上にした場合、粒子1個1個の重量が大きくなるため、塗布液中の粒子沈降安定性の点で必ずしも好ましくない。従って、第2の透光性微粒子の粒子径は、2.7〜9.0μmが好ましく、3.0〜8.0μmが最も好ましい。
第2の透光性粒子の屈折率は光拡散層全体を構成する透光性樹脂の屈折率との差が第1の透光性粒子より小さいことが好ましい。
表面凸凹は、表面粗さRaが0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることが更に好ましく、最も好ましくは、0.2μm以下である。表面粗さRa(中心線平均粗さ)の測定は、JIS−B0601に準じて行うことができる。
本発明における、表示品位を上げる(視角特性改善)ためには、ゴニオフォトメータの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度を特定の範囲内にするのが特に好ましい。ゴニオフォトメータの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度は、0.05〜0.3%であることが好ましく、0.05〜0.2%であることがより好ましく、0.05〜0.15%であることが特に好ましい。この範囲にすることで、正面輝度の低下が少なく必要な視角特性改善効果を得ることができる。この散乱光プロファイルは上記の内部ヘイズの好ましい範囲と同時に満たすことが更に好ましい。
本発明の光拡散フィルムの表面散乱起因のヘイズ(表面ヘイズ)は、映り込み低減と白茶け感低減の両立の観点から、0.1〜30%が好ましく、10%以下が好ましく、5%以下が特に好ましい。外光による白茶け感低減を重視するのであれば、4%以下が好ましく、2%以下が更に好ましい。表面ヘイズを低減すると映り込みが大きくなるため、低屈折率層を設け、5度入射における積分反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値を3.0%以下にすることが好ましく、2.0%以下がより好ましく、最も好ましくは1.0%以下である。本発明における、表示品位を上げる(視角特性改善)ことに関しては、前述の内部散乱性の調整が必要であるが、同時に表面ヘイズおよび/または反射率を好適な範囲にすることで、明室下でのコントラストが改善され、最も好ましい効果を発現できる。
前記透光性微粒子は、単分散の有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズの設計が容易となる。前記透光性微粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、透光性樹脂との屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。有機微粒子としては、ポリメチルメタクリレートビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.52〜1.57)、メラミンビーズ(屈折率1.57〜1.65)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、スチレンビーズ(屈折率1.60)、架橋ポリスチレンビーズ(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ(屈折率1.68)等が用いられる。無機微粒子としては、シリカビーズ(屈折率1.44〜1.46)、アルミナビーズ(屈折率1.63)等が用いられる。透光性微粒子は、透光性樹脂100質量部に対して5〜30質量部含有させるとよい。
上記のような透光性微粒子の場合には、樹脂組成物(透光性樹脂)中で透光性微粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性微粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、透光性樹脂に対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
<偏光板の製造方法>
前期偏光板の製造方法は、例えば、保護フィルム上に膜状の偏光子を形成する工程と、第1のフィルムを、前記保護フィルムの偏光子上に貼り合せる工程と、前記第1のフィルムと第2の光学異方性層とが接触するように、前記第1のフィルム上に、第2のフィルムを貼り合せる工程と、を有する製造方法がある。各フィルムの貼り合わせは、ロールtoロールで行うことが好ましい。
〔液晶表示装置〕
本発明の光学フィルム、又は該光学フィルムを用いた偏光板は、複屈折モードの液晶表示装置、特にOCB方式の液晶表示装置、及びECB型反射型液晶表示装置、等、光学フィルムが装着されないと黒/白表示が困難な液晶表示装置に有利に用いられる。
透過型液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
光学フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号明細書、及び米国特許5410422号明細書に開示されている。棒状液晶分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。
そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
また、OCB方式は、高速応答駆動が可能なため、フィールドシーケンシャル駆動方式と組み合わせることが好ましい。
本発明の液晶表示装置に用いられる液晶セルは、無電圧印加状態(液晶層に電圧を印加しない状態での液晶セル中の液晶材料の配向状態下)でのΔnd値が、Δnd値が500以上1500未満であることが好ましく、800以上1300未満であることがより好ましい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
〔偏光板〕
<第1のフィルム>
第1のフィルム10として、幅1,340mmのロール状をなす、ノルボルネン系透明支持体(JSR社製、商品名アートン)の両面にコロナ放電処理を施したもの(透明支持体101)を用いた。
(第1のフィルムの光学特性の測定)
第1のフィルム10(透明支持体101)について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用い、波長550nmの光でRe値を測定した。また面内の遅相軸をあおり軸とし、あおり角を40°、及び−40°としてRe(40°)、及びRe(−40°)を測定した。
更に、膜厚、及び遅相軸方向の屈折率nxをパラメータとし、これらの測定値Re(550nm)、Re(40°)、Re(−40°)にフィッティングするように進相軸方向の屈折率ny、及び厚み方向の屈折率nzを計算で求め、Rth値を決定した。結果は表1に示した。
(第1のフィルムの透湿度)
第1のフィルム10(透明支持体101)の透湿度を、JIS Z 0208に準拠して測定した。結果は表1に示した。
<第2のフィルム>
<<第2の光学異方性層>>
以下に示されるセルロースアシレートフィルム(透明性支持体201)を、第2の光学異方性層22として用いた。
(セルロースアシレートフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテート溶液組成)
セルロースアセテート溶液組成 内層 外層
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 293質量部 314質量部
メタノール(第2溶媒) 71質量部 76質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5質量部 1.6質量部
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0質量部 0.8質量部
下記レターデーション上昇剤 1.5質量部 0質量部
得られた内層用ドープ及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアシレートフィルム(外層:3μm、内層:75μm、外層:3μm)を作製した。得られたセルロースアシレートフィルムの幅は1340mmであり、厚さは80μmであった。
得られたセルロースアシレートフィルムのRe(630)は8nm(流延方向に遅相軸)、Rth(630)は92nmだった。
(鹸化処理)
上記ロールフィルムの片面を温度60℃の誘電式加熱ロール上を通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記の組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて、14mL/m塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒間滞留させた後、同じくバーコーターを用いて純水を3mL/m塗布した。このときのフィルム温度は40℃であった。次いでファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返して後に、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
(アルカリ溶液組成)
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
1633O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
(配向膜の形成)
その後さらに、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、形成した膜に、セルロースアシレートフィルムの流延方向と平行な方向に配向するようにラビング処理を実施した(即ち、ラビング軸はセルロースアシレートフィルムの流延方向と平行であった)。
(配向膜塗布液組成)
下記変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
<<第1の光学異方性層>>
第1の光学異方性層21を、第2の光学異方性層22上に形成する前に、第2の光学異方性層(セルロースアシレートフィルム)の遅相軸(波長632.8nmで測定)に対して45゜の方向になるように、配向膜にラビング処理を実施した。
<<第1の光学異方性層の形成>>
(光学異方性層用塗布液の調製)
合計で265kgの塗布液になるよう、下記のディスコティック液晶性化合物91質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート“V#360”{大阪有機化学(株)製}9質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB−531−1、イーストマンケミカル社製)0.5質量部、及びセルロースアセテートブチレート(CAB−551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.5質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、及び増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を、メチルエチルケトン54質量部に溶解し、この溶液に更にフッ素系ポリマー(メガファックF780、大日本インキ化学工業(株)製)1質量部を加えて、更にメチルエチルケトンで27℃における比重が0.914になるように調整し、光学異方性層用塗布液とした。
上記で作製した光学異方性層用塗布液を、#3.2のワイヤーバーを780回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されている上記第2の光学異方性層21の配向膜形成面上に連続的に塗布した。
室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、130℃の乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶性化合物層の膜面風速がフィルムの搬送方向に平行に2.5m/秒となるようにし、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。
次に、60℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約80℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶性化合物をその配向のままで固定して光学異方性層を形成した。
その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、ロール状をなす光学補償フィルム(第2のフィルム)20を作製した。この130℃の乾燥ゾーンでのディスコティック液晶性化合物層の膜面温度は、127℃であった。
(第2のフィルムの光学特性の測定)
第2のフィルム20(透明支持体201)について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用い、波長550nmの光でRe値を測定した。また面内の遅相軸をあおり軸とし、あおり角を40°、及び−40°としてRe(40°)、及びRe(−40°)を測定した。
更に、膜厚、及び遅相軸方向の屈折率nxをパラメータとし、これらの測定値Re(550nm)、Re(40°)、Re(−40°)にフィッティングするように進相軸方向の屈折率ny、及び厚み方向の屈折率nzを計算で求め、Rth値を決定した。結果は表2に示した。
(第2のフィルムの透湿度)
第2のフィルム20の透湿度(g/m)を、JIS Z 0208に準拠して測定した。結果は表2に示した。
<偏光子(偏光膜)>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜(偏光子)30を作製した。
<保護フィルム>
市販のセルロールトリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、以下に示す方法で鹸化処理したもの(高分子フィルム001)を、保護フィルム40として用いた。
(鹸化処理)
前記セルローストリアセテートフィルムの両面に、1.5規定の水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を、その塗布量が25ml/mとなるように塗布し、25℃で5秒間放置した後、流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルムの表面を乾燥した。
<偏光板の作製(楕円偏光板の作製)>
第1のフィルムと、第2のフィルムとを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、第1のフィルムと、第2のフィルムの第2光学異方性層側の面とが、接するように積層し、これらのフィルムを貼り付けた。
次に、第1のフィルム及び第2のフィルムからなる積層物の第1のフィルム側に、上記偏光子(偏光膜)を、ポリビニル系接着剤を用いて、貼り付けた。なお、第1のフィルムの遅相軸と、偏光子(偏光膜)の透過軸とが、平行になるように、偏光子(偏光膜)を、前記第1のフィルム側に貼り付けた。
更に、第1のフィルム、第2のフィルム及び偏光子からなる積層物の偏光子側に、上記保護フィルムを、ポリビニル系接着剤を用いて貼り付け、偏光板(楕円偏光板)を得た。
<ベンド配向液晶セルの作製>
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、液晶セルの厚さを7.2μmに設定した。液晶セルの間隙にΔnが0.1396の液晶化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向の液晶セルを作製した。
<液晶表示装置の作製>
前記ベンド配向液晶セルと、上記一対の偏光板とを組み合わせて液晶表示装置を作製した。なお、液晶セルと、一対の偏光板との配置は、偏光板が第1の光学異方性層、及び液晶セルの基板が対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対向する第1の光学異方性層のラビング方向とが反平行となるようにした。作製した液晶セルを鋏むように、それぞれ別の透明基板に、視認側、及びバックライト側に偏光板をそれぞれ貼り付けた。
偏光板の第1の光学異方性層が前記透明基板に対向し、液晶セルのラビング方向とそれに対向する第1の光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置し、液晶セルの大きさが20インチである液晶表示装置を作製した。
<変形及び接着剤剥がれ>
上記実施例1の偏光板を用いた液晶表示装置を、温度:80℃、湿度:90%の条件下で、480時間置き、その後の保護フィルム、第1のフィルム及び第2のフィルムの変形の有無と、粘着剤(接着剤)の剥がれの有無を、目視にて観察した。結果は、表3に示した。
<ヘイズ及び偏光度>
更に、上記条件下に置いた偏光板のヘイズ及び偏光度を測定した。ヘイズは、ヘイズメーター装置(NDH2000、日本電色製)を用いて測定した。
また、作製した偏光板のそれぞれについて、偏光度を、自記分光光度計(UV3100、株式会社島津製作所製)にて測定した。2枚の偏光板を、吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率をH0(%)、吸収軸を直交させて重ねた場合の透過率をH1(%)として、次式より、偏光度Pを求めた。なお単板透過率、偏光度は視感度補正を行った。
P=〔(H0−H1)/(H0+H1)〕1/2×100
結果は、表3に示した。
<黒輝度>
更に、温度25℃、湿度60%の環境において、前記偏光板を具備した液晶表示装置の黒輝度を評価した。黒輝度は、輝度計(BM−5、TOPCON製)を用いて測定した。結果は表3に示した。評価基準の内容は以下の通りである。
◎:最も暗い
○:暗い
△:普通
×:白味、青味、赤味、緑味のいずれかを帯びる
<階調反転>
更に、温度25℃、湿度60%の環境において、前記偏光板を具備した液晶表示装置の階調反転を評価した。電圧を変えて画面の上下左右方向の輝度を前記輝度計で計測し、階調反転の有無を判定した。
また、測定機(EZ−CONTRAST 160D、ELDIM社製)を用い、視野角測定を行い、上下左右での階調反転の発生の有無を判定した。結果は表3に示した。評価基準の内容は以下の通りである。
◎:上下左右120°以下では階調反転なし
○:上下左右120°以下で階調反転
△:上下左右110°以下で階調反転
×:上下左右100°以下で階調反転
(実施例2)
第1のフィルム10として、幅1,340mmのロール状をなすノルボルネン系透明支持体(日本ゼオン社製、商品名ゼオノア)の両面にコロナ放電処理を施したもの(透明支持体102)を用いたこと以外は、上記実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
(実施例3)
第1のフィルム10として、幅1,340mmのロール状をなすノルボルネン系透明支持体(積水化学社製、商品名エスシーナ)の両面にコロナ放電処理を施したもの(透明支持体103)を用いたこと以外は、上記実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
(実施例4)
第1のフィルム10として、幅1,340mmのロール状をなすノルボルネン系透明支持体の両面にコロナ放電処理を施したもの(透明支持体104)を用いたこと以外は、上記実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。なお、透明支持体104は、下記の方法を用いて作製した。
<透明支持体104の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、製膜用ドープを調製した。
(ノルボルネン系樹脂溶液(D−104))
Appear3000(Ferrania製) 100質量部
ジクロロメタン 276質量部
メタノール 24質量部
IRGANOX1010
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.3質量部
次に、上記方法で作製したノルボルネン系樹脂溶液D−104を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
(マット剤分散液 M−1)
平均一次粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル株式会社製) 2質量部
ジクロロメタン 73質量部
メタノール 10質量部
環状ポリオレフィン溶液D−1 10質量部
上記ノルボルネン系樹脂溶液 D−104を100質量部、マット剤分散液 M−104を1.43質量部を混合し、製膜用ドープを調製し、バンド流延機にて流延した。残留溶剤量約30質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、テンターを用いて延伸率18%まで拡幅した後、延伸率が14%となるように140℃で60秒間緩和させ、乾燥した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から140℃で乾燥し、1,440mm幅のノルボルネン系フィルムF−1を得た。このノルボルネン系フィルムF−1を1,340mmにカットし、透明支持体104を得た。透明支持体104の膜厚は46μmであった。得られた透明支持体104のRe(630)は58nm(流延方向に遅相軸)、Rth(630)は214nmであった。
(実施例5)
保護フィルム40として、幅1,340mmのロール状をなすノルボルネン系透明支持体(JSR社製、商品名アートン)の両面にコロナ放電処理を施したもの(実施例1の第1のフィルム10(透明支持体101)と同じ材料)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
(実施例6)
保護フィルム40として、高分子フィルム002を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
なお、以下の方法を用いて、保護用の高分子フィルム002を作製した。
<ハードコート層用塗布液の調製>
<<ゾル液aの調製>>
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還流下2時間加熱攪拌した。この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液(a)を120g得た。
このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
またH−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の一般式で表される構
造であった。
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、本シランカップリング剤ゾルは直鎖状構造部分が大部分であることが分かった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
(1)光散乱層用塗布液の調製
<ハードコート層用塗布液1の組成>
PET−30 40.0質量部
DPHA 10.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 2.0質量部
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.0質量部
FP−13 0.06質量部
ゾル液(a) 11.0質量部
トルエン 38.5質量部
<ハードコート層用塗布液2の組成>
デソライトZ7404 100.0質量部
DPHA 31.0質量部
KBM−5103 10.0質量部
KE−P150 8.9質量部
MXS−300 3.4質量部
MEK 29.0質量部
MIBK 13.0質量部
<ハードコート層用塗布液3の組成>
DPHA 15.0質量部
PETA 72.9質量部
イルガキュア184 1.2質量部
イルガキュア127 1.2質量部
5.0μスチレン粒子 7.6質量部
1.5μベンゾグアナミン粒子 2.1質量部
MEK 50.0質量部
MIBK 50.0質量部
<ハードコート層用塗布液4の組成>
PET−30 46.0質量部
イルガキュア184 1.7質量部
MX−600(30%) 23.0質量部
FP−2 0.06質量部
KBM−5103 6.0質量部
MIBK 19.0質量部
MEK 5.0質量部
上記塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液1〜4を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・イルガキュア184:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・イルガキュア127:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・FP−13フッ素系表面改質剤
MX−600:
平均粒径6μmPMMA粒子[屈折率1.49、綜研化学(株)製、30%MIBK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・デソライトZ7404:ジルコニア微粒子含有光重合性ハードコート組成液[JSR(株)製]
・KBM−5103:γアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン[信越化学工業(株)製]
・KE−P150:1.5μmシリカ粒子[日本触媒(株)製]
MXS−300:3μm架橋PMMA粒子[綜研化学(株)製]
(低屈折率用塗布液の調製)
(ゾル液bの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120質量部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液(b)を得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(分散液Aの調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して作成)500質量部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30質量部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部加え混合した後に、イオン交換水を、9質量部加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加した。この分散液500質量部にほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
(低屈折率層用塗布液1の調製)
ポリシロキサンおよび水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)13質量部、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3質量部、前記ゾル液(b)0.65質量部、およびメチルエチルケトン4.4質量部、シクロヘキサノン1.2質量部を添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層塗布液1を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.45であった。
(低屈折率層用塗布液2の調製)
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(特開2005−89536公報製造例3に記載のフッ素ポリマー(A−1))固形分として45.0質量部をメチルイソブチルケトン500質量部に溶解し、更に、分散液Aを195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、コロイダルシリカ分散物(シリカ、MEK−STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)30.0質量部(固形分として9.0質量部)、ゾル液b17.0質量部(固形分として5.0質量部)、PM980M(光重合開始剤、和光純薬製)2.0質量部を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈して低屈折率用塗布液4を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.38であった。
(ハードコート101の塗設)
トリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液1を直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度を0.1%以下にして160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ5.0μmの防眩性を有する防眩層を形成し、巻き取りハードコート101を作製した。
(ハードコート102〜103の作製)
ハードコート101の作製において、ハードコート層用塗布液の種類と塗布膜厚が以下の様になるように塗布量を変更した以外はハードコート101と同様にして、ハードコート102〜103を作製した。
ハードコート102:ハードコート層用塗布液3使用、厚さ8.0μm
ハードコート103:ハードコート層用塗布液4使用、厚さ10.0μm
(保護用の高分子フィルム002の塗設)
上記の様にして得られたハードコート101の上に、スロットルダイを有するコーターを用いて、低屈折率層用塗布液1をバックアップロール上のハードコート層を塗布してある面上に直接押し出して塗布し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し巻き取り反射防止膜101を作製した。乾燥・硬化条件を以下に示す。
乾燥:90℃で60秒間乾燥した。
硬化:110℃で10分硬化の後、窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量400mJ/cmの紫外線を照射した。
(実施例7)
保護フィルム40として、高分子フィルム003を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
なお、高分子フィルム003は、実施例6の高分子フィルム002の塗設におけるハードコートを、ハードコート102に変更したこと以外は、実施例6と同様の方法によって、作製した。
(実施例8)
保護フィルム40として、高分子フィルム004を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
なお、高分子フィルム004は、実施例6の高分子フィルム002のハードコート101の作製において、紫外線照射量を400mJ/cmに変更した以外は、ハードコート101と同様にして、厚さ5.0μmの高分子フィルム004を作製した。
(実施例9)
保護フィルム40として、高分子フィルム005を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
なお、高分子フィルム005は、実施例6の高分子フィルム002の塗設におけるハードコートを、ハードコート103に変更し、低屈折率層用塗布液を低屈折率層塗布液2に変更し、乾燥・硬化条件を以下に示すように変更したこと以外は、実施例6と同様の方法によって、作製した。
乾燥:90℃で60秒間乾燥した。
硬化:窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量400mJ/cmの紫外線を照射した。
(実施例10)
第1のフィルム10として、幅1,340mmのロール状をなすノルボルネン系透明支持体(JSR社製、商品名アートン)の両面にコロナ放電処理を施したもの(透明支持体106)を用い、かつ、第2のフィルムの第2の光学異方性層として、下記の透明支持体202を用いたこと以外は、上記実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
<透明支持体202の作製>
<<セルロースアセテート溶液の調製>>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液(CA−1)を調製した。
[セルロースアセテート原液(CA−1)組成]
・セルロースアセテート(酢化度60.9%)(リンター) 80質量部
・セルロースアセテート(酢化度60.8%)(リンター) 20質量部
・トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
・ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
・メタノール(第2溶媒) 54質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
<<レターデーション上昇剤溶液(RC−1)の調製>>
別のミキシングタンクに、酢化度60.9%のセルロースアセテート(リンター)4質量部、実施例1で使用したレターデーション上昇剤16質量部、シリカ微粒子(粒径20nm、モース硬度約7)0.5質量部、メチレンクロライド87質量部、及びメタノール13質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液(RC−1)を調製した。
セルロースアセテート溶液464質量部に、レターデーション上昇剤溶液36質量部を混合し、充分に攪拌してドープ(D−202)を調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、5.0質量部であった。
得られたドープ(D−202)を、バンド流延機を用いて流延した。該バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、残留溶媒量が43質量%のフィルムを剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、テンターを用いて幅方向に28%延伸した。
この後、135℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶媒量が0.3質量%の透明支持体202を製造した。得られた透明支持体202の幅は1,340mmであり、厚さは62μmであった。
また、透明支持体202のRe値は45nmであり、Rth値は112nmであった。また、MD方向及びTD方向の光弾性係数は、15.0×10−12/Nであった。
作製した透明支持体202のバンド面側に、1.0mol/Lの水酸化カリウム溶液(溶媒:水/イソプロピルアルコール/プロピレングリコール=69.2質量部/15質量部/15.8質量部)を10mL/m塗布し、約40℃の状態で30秒間保持した後、アルカリ液を掻き取り、純水で水洗し、エアーナイフで水滴を削除した。その後、100℃で15秒間乾燥した。この透明支持体202の純水に対する接触角を求めたところ、42°であった。
この透明支持体202のアルカリ処理面上に、実施例1と同様の方法で配向膜塗布液を塗布し、配向膜を作製した。
(実施例11)
第1のフィルム10として、幅1,340mmのロール状をなすノルボルネン系透明支持体(日本ゼオン社製、商品名ゼオノア)の両面にコロナ放電処理を施したもの(透明支持体106)を用い、かつ、第2のフィルムの第2の光学異方性層として、上記実施例11の透明支持体202を用いたこと以外は、上記実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
(比較例1)
第1のフィルム10として、透明支持体107を用いた以外は、上記実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。なお、透明支持体107は、透明支持体202の作製において、以下の変更を加えて作製した。
セルロールアセテート溶液464質量部に、レターデーション上昇剤溶液(RC−1)50質量部を混合し、充分に攪拌してドープ(D−107)を調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、7.0質量部であった。
得られたドープ(D−107)を、バンド流延機を用いて流延した。該バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、残留溶媒量が43質量%のフィルムを剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、テンターを用いて幅方向に33%延伸した。
(比較例2)
保護フィルム40として、実施例6の高分子フィルム002を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
(比較例3)
実施例1の第2のフィルムにおいて、第1の光学異方性層を形成しないこと以外は、実施例1と同様の方法によって、偏光板を作製した。
(比較例4)
実施例10の第2のフィルムにおいて、第1の光学異方性層を形成しないこと以外は、実施例10と同様の方法によって、偏光板を作製した。
(比較例5)
第1のフィルムを用いないこと以外は、実施例1と同様の方法によって、偏光板を形成した。
(比較例6)
第1のフィルムとして、透明性支持体202を用い、第2のフィルムの第2の光学異方性層として、透明支持体105を用いたこと以外は、実施例10と同様の方法によって、偏光板を作製した。
実施例2〜11及び比較例1〜6の偏光板を用いて、実施例1と同様に、液晶表示装置を作製し、これらの液晶表示装置を、実施例1と同様に、評価した。結果は、表1に示した。
以上の結果より、実施例1〜11の液晶表示装置は、高温高湿度の環境下においても、液晶セルと偏光子の光学補償フィルム及び透明支持体の品質が劣化しない上、ヘイズ、偏光度が低下せず、かつ、表示特性(黒輝度、階調反転)も優れるものであることが確かめられた。
比較例1の結果より、第1のフィルムの透湿度が500g/mを超えると、保護フィルムが剥離し、第2のフィルムにクラックが発生することが確かめられた。
また、比較例2の結果より、第1のフィルムの透湿度が500g/mを超えると、第2のフィルムが透明となり、表示特性が劣化することが確かめられた。
また、比較例5の結果より、第1のフィルムが無いと、保護フィルムが偏光子から剥離し、かつ、第2のフィルムにクラックが発生することが確かめられた。
また、比較例6の結果より、第1のフィルムの透湿度が500g/mを超え、かつ、第2のフィルムの透湿度が500g/m未満であると、表示特性が悪くなることが確かめられた。
なお、比較例3及び4の結果より、第2のフィルムに、第1の光学異方性層が無いと、光学補償できないことが確認された。
図1は、本発明の一実施形態にかかる偏光板の構成を示す説明図である。
符号の説明
1 偏光板
10 第1のフィルム
20 第2のフィルム
21 第1の光学異方性層
22 第2の光学異方性層
30 偏光子
40 保護フィルム
50 液晶セル

Claims (7)

  1. 保護フィルムと、
    偏光子と、
    0.1〜500g/mの透湿度を有する第1のフィルムと、
    500g/mを超える透湿度を有する第2のフィルムと、をこの順で積層してなる偏光板であって、
    前記第2のフィルムが、第1の光学異方性層と、第2の光学異方性層とを有する光学補償フィルムであることを特徴とする偏光板。
  2. 前記第1のフィルムが、光学異方性を有する請求項1記載の偏光板。
  3. 前記第1のフィルムが、環状オレフィン系樹脂組成物及びノルボルネン樹脂組成物からなる請求項1又は2記載の偏光板。
  4. 前記第2の光学異方性層が、セルロースエステルからなる請求項1から3のいずれかに記載の偏光板。
  5. 前記第1の光学異方性層が、ディスコティック液晶化合物からなる請求項1から4のいずれかに記載の偏光板。
  6. 前記保護フィルムに、更に、少なくとも、表面保護層、反射防止層、防眩層及び光拡散層のいずれか1つを積層した請求項1から5のいずれかに記載の偏光板。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の偏光板を備えた液晶表示装置。
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