JP2012078539A - 偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外光の影響による白茶けおよび映り込みが非常に少なく、また表示ムラがなく広い視野角の範囲で高いコントラストを実現することができる垂直配向モード用の偏光板および液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】反射防止層を有する反射防止フィルム、偏光子、及び位相差フィルムをこの順に有し、反射防止フィルムが、前記偏光子と反対側の表面が平坦で、反射率が1.3%以下で、内部ヘイズ値が30〜90%であり、位相差フィルムの550nmにおけるReが130〜160nmであり、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との角度が40〜50°であるVAモード用の偏光板、及び該偏光板を供えた液晶表示装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板及び液晶表示装置に関し、特に、反射防止フィルムと位相差フィルムを有する偏光板と該偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(以下、「LCD」ともいう。)は、薄型・軽量・低消費電力といった特長を活かし、様々な分野で用いられている。一般にLCDは、偏光板と液晶セルから構成されている。液晶表示装置の表示品位上の欠点は、外光の映り込みと視野角である。
外光の映り込みについては、特に屋外用途で用いられる場合、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みが顕著となるため、光学干渉の原理を用いた反射率低減機能や表面及び内部散乱を利用した防眩機能を付与させた反射防止フィルムが用いられている。防眩機能を付与した反射防止フィルムでは外光の映り込みの影響を軽減させることができるが、像周辺ボケや白茶けが生じ、表示品位(画像鮮明度)が低下するため、表面ヘイズの小さい、即ち、表面が平坦なクリア表面の使用のニーズが高い。クリア表面の反射防止フィルムでは、フィルムの低反射率化にて映り込みを防止しているが、低反射率化に伴いパネル内部からの反射の寄与が無視できないことが分かってきた。
また、視野角特性の改善方法として、反射防止フィルムに内部散乱性を付与する方法が知られている。例えば、特許文献1には、光拡散性層と低屈折率層を有し、光拡散性層の内部ヘイズが30〜60%、表面ヘイズが2%以下で、波長450〜650nmでの平均反射率が2.5%以下の反射防止フィルムが記載されている。
しかし、クリア表面の反射防止フィルムに内部散乱を付与した場合にも、映り込みの像周辺ボケにより表示品位が低減する問題が発生する。特に、低反射率化に伴ってこの問題が顕著となるが、これはパネル内部からの反射光が散乱するために発生していることが分かってきた。このため、実際的には低反射率のクリア表面の反射防止フィルムは高い内部散乱性を付与することができず、大きな視野角特性の改善は難しかった。
パネル内部からの反射光を抑える手段の一つとして、VAモードのLCDでは、直線偏光板と液晶セルとの間にλ/4板を配置することにより、透過光の損失なく内部反射を軽減させる方法が知られている。しかしながら、このような構成は、偏光子の透過軸とλ/4板の遅相軸のなす角が45度になっていることとλ/4板のレターデーションが大きいことから、軸がずれた際の黒表示における光漏れが大きく、原理的に、従来の位相差フィルムよりも光モレやムラが生じやすくなる。
また、λ/4板の波長分散を逆分散にすることで、視野角特性が改善されることが知られており(非特許文献1)、その波長分散性制を御するため、2枚以上の位相差フィルムを積層する方法(非特許文献2)や1枚の位相差フィルムにレターデーション調整剤を添加する方法(特許文献2)がある。しかし、貼合工程が増えること、貼り合せ時に軸ズレが起こることやコストがかかるなどの課題がある。
したがって、偏光子とλ/4板との軸ズレなく液晶表示装置全体としての視野角特性する課題については未だ改善の余地があった。
なお、特許文献3には、IPSモードのLCDに関して、液晶セルと偏光子との間にλ/4板を配置し、最表層にヘイズを抑えた反射防止フィルムを有する構成が記載されている。また、特許文献4には、VAモードのLCDにおいて、液晶セル上に、λ/4板ではない位相差フィルム、偏光子、内部ヘイズのある反射防止層をこの順に有する構成が記載されている。
特開2006−53538号公報 特開2001−91743号公報 国際公開2007/119560号 特開2005−266800号公報
2003液晶討論会予稿集 119頁 SID 09 DIGEST 402頁
上記状況に鑑み、本発明の目的は、外光の影響による白茶け及び映り込みが非常に少なく、また表示ムラがなく広い視野角の範囲で高いコントラストを実現することができる垂直配向モード(VAモード)用の偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは、クリア表面の反射防止フィルムにおいて、白茶けがなく、外光の映り込みが抑制可能なLCDの実現を目指し、円偏光板を有するVAモードLCDで検証を行った。一定レベル以上の反射率を有するクリア表面フィルムを備えたLCDでは表面反射の影響が顕著であり、円偏光板による効果がほとんど確認できないことが分かった。そこで、表面反射に対する内部反射の影響を見積もると共に、円偏光板の効果を検証したところ、クリア表面の反射防止フィルムでは反射率1.3%以下とすることで円偏光板による効果が十分に発揮され、映り込みがほとんど気にならないレベルとなることを確認した。
一方、表示ムラ及び視野角特性の確保は難しく、改善が必要との課題を再認識した。ここで、視野角改善の一つの手法である反射防止フィルムにおける内部散乱性付与で起こる白茶けは、パネル内部にて反射した光が散乱することで発生していることを考察し、パネル内部反射を軽減した円偏光板を用いた態様においては、高い内部散乱性を付与可能であることを突き止めた。
そこで、クリア表面の反射防止フィルムに内部散乱性を付与することで、通常内部反射における反射像が白茶ける弊害を受けることなく、視野角特性改良を達成可能であることを見出した一方、黒表示時に発生するムラも均一化し、改善可能であることを見出した。
以上の結果、外光の影響による白茶け及び映り込みが非常に少なく、また表示ムラがなく、広い視野角の範囲で高いコントラストを実現することができるVAモード用の偏光板及び液晶表示装置を提供可能とした。
即ち、上記本発明の目的は、下記手段により達成することができる。
[1]
反射防止層を有する反射防止フィルム、偏光子、及び位相差フィルムをこの順に有するVAモード用の偏光板であって、
前記反射防止フィルムが、偏光子と反対側の表面が平坦で、反射率が1.3%以下で、内部ヘイズ値が30〜90%であり、
前記位相差フィルムの550nmにおける下記式で定義されるReが130〜160nmであり、
前記位相差フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸との角度が40〜50°である、偏光板。
Re=(nx−ny)×d
ここで、nx及びnyはそれぞれ位相差フィルムの面内の遅相軸方向及び進相軸方向の屈折率を表し、dは位相差フィルムの厚み(nm)を表す。
[2]
前記位相差フィルムの550nmにおける下記式で定義されるRthが120〜180nmである、[1]に記載の偏光板。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
ここで、nx及びnyはそれぞれ位相差フィルムの面内の遅相軸方向及び進相軸方向の屈折率を表し、nzは位相差フィルムの厚み方向の屈折率を表し、dは位相差フィルムの厚さ(nm)を表す。
[3]
前記反射防止フィルムの反射色味が、CIE1976 L色空間のa、b値でそれぞれ−2≦a≦2及び−2≦b≦2の範囲内にある、[1]又は[2]に記載の偏光板。
[4]
前記反射防止フィルムの内部ヘイズ値が45〜75%である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の偏光板。
[5]
前記反射防止フィルムが、前記偏光子側から、中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層を有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の偏光板。
[6]
更に、前記反射防止層と前記偏光子との間にハードコート層を有する、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の偏光板。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載の偏光板を有するVAモードの液晶表示装置。
本発明によれば、外光の影響による白茶け及び映り込みが非常に少なく、また表示ムラがなく、広い視野角の範囲で高いコントラストを実現することができるVAモード用の偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
本発明の偏光板は、反射防止フィルム、偏光子、及び位相差フィルムをこの順に有し、
反射防止フィルムが、偏光子と反対側の表面が平坦で、反射率が1.3%以下で、内部ヘイズ値が30〜90%であり、
位相差フィルムの550nmにおける下記式で定義されるReが130〜160nmであり、
位相差フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸との角度が40〜50°である。
Re=(nx−ny)×d
(ここで、nx及びnyはそれぞれ位相差フィルムの面内の遅相軸方向及び進相軸方向の屈折率を表し、dは位相差フィルムの厚み(nm)を表す。)
上記のとおり、表面が平坦なクリア表面で低反射率の反射防止フィルムに内部散乱性を付与し、該反射防止フィルムと円偏光機能を有する偏光板(上記Reが130〜160nmの位相差フィルムと偏光子)組み合わせることで、白茶け及び映り込みが非常に少なくすることができる。更に、位相差フィルムの軸バラツキに起因する表示ムラも改善でき、広い視野角の範囲で高いコントラストを実現することができる。
以下、本発明の偏光板の各構成要素について説明する。
[反射防止フィルム]
本発明に係る反射防止フィルムは、透明支持体上に、反射防止層、及び目的に応じて必要な機能層を単独又は複数層設けることにより作製することができる。
好ましい一つの態様としては、透明支持体上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層された反射防止フィルムを挙げることができる。
反射防止フィルムは、最も単純な構成では、反射防止層として透明支持体より屈折率の低い低屈折率層のみを透明支持体上に塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、透明支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、透明支持体よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、透明支持体側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(透明支持体よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層してもよい。
好ましくは、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、反射防止層以外にハードコート層を設けた構成である。ハードコート層を設けた構成としては、以下の構成が挙げられる。
透明支持体/ハードコート層/低屈折率層
透明支持体/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
透明支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
なかでも、反射率低減の観点から、「透明支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層」の構成の反射防止フィルムが好ましい。
また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
本発明の偏光板における反射防止フィルムは、偏光子と反対側の表面(液晶表示装置に用いた際の視認側表面)が平坦である。本発明において、表面が平坦とは、算術平均粗さRaが0.2μm以下であることを意味する。Raは、0.1μm以下がより好ましく、0.08μm以下が更に好ましく、0.04μm以下が特に好ましい。
算術平均粗さRaはJIS−B0601(1994、2001)に準拠して測定することができる。
Raが0.2μm以下であると、表面での光の拡散が抑えられ、白茶け等がなく、クリア感のある表示品位が得られるので好ましい。
本発明に係る反射防止フィルムは、内部ヘイズ値が30〜90%である。好ましくは45〜75%である。反射防止フィルムの内部ヘイズ値をこの範囲とすることで、フィルムに内部散乱性が付与され、液晶表示装置の視野角特性を向上させ、軸ズレによるムラを改善することができる。
内部ヘイズ値、表面ヘイズ値は以下の手順で測定することができる。
(1) JIS−K7136に準じてフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2) フィルムの表面及び裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3) 上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
内部へイズ値は、反射防止フィルムの構成層におけるバインダーと粒子の屈折率差、粒径、粒子充填量等により調整することができる。例えば、ハードコート層においてバインダーと屈折率差のある粒子を添加することで内部ヘイズ値を調製することができる。
本発明に係る反射防止フィルムの反射率(鏡面反射率の平均値)は1.3%以下である。好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.5%以下である。反射率をこの範囲とすることで映り込みを著しく低減することができるので好ましい。
本発明に係る反射防止フィルムの反射色味は、CIE1976 L色空間のa、b値でそれぞれ−4≦a≦4及び−4≦b≦4の範囲内にあることが好ましい。すなわち、本発明の構成においてはパネル内部からの反射がほとんどないために、映り込みによる反射色味は反射防止フィルムの反射色味が支配的となる。これにより、採用する液晶パネルに依存せず、反射防止フィルムの色味をニュートラルとすることで、色味付きによる違和感を軽減することができる。
ここで、本発明においては、反射色味とは、波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を意味するものとする。a、b値は好ましくは-4≦a≦4及び-4≦b≦4であり、より好ましくは-2≦a≦2及び-2≦b≦2である。a、b値をこの範囲とすることで、反射色がニュートラルで、色味付きによる妨害感がないため好ましい。
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計“V−550”(日本分光(株)製)にアダプター“ARV−474”を装着して、CIE標準光源D65として380〜780nmの波長領域において、入射角θ(θ=5〜45°、5°間隔)における出射角−θの鏡面反射率を測定し、450〜650nmの鏡面反射率の平均値を算出することができる。更に、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の各入射角の入射光に対する正反射光の色味を表すCIE1976L色空間のL値、a値、b値を算出することができる。
上記の反射率及び色味を得る上で、反射防止層が透明支持体側から中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層をこの順に有する構成であって、
中屈折率層の波長550nmにおける屈折率が1.45〜1.75であり、厚さが50nm〜85nmであり、
高屈折率層が波長550nmにおける屈折率が1.6〜1.8であり、厚さが60nm〜100nmであり、
低屈折率層が波長550nmにおける屈折率が1.3〜1.4であり、低屈折率層の厚さが70nm〜110nmである
ことが好ましい。
更には、反射防止層が透明支持体側から中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層をこの順に有する構成であって、
中屈折率層の波長550nmにおける屈折率が1.55〜1.7であり、厚さが60nm〜80nmであり、
高屈折率層が波長550nmにおける屈折率が1.65〜1.75であり、厚さが70nm〜90nmであり、
低屈折率層が波長550nmにおける屈折率が1.3〜1.36であり、低屈折率層の厚さが80nm〜100nmである
ことがより好ましい。
なお、各層の屈折率の測定は、各層の塗布液を3〜5μmの厚みになるようにガラス板に塗布し、多波長アッベ屈折計DR−M2(アタゴ(株)製)にて測定することができる。本明細書では、「DR−M2,M4用干渉フィルター546(e)nm 部品番号:RE−3523」のフィルターを使用して測定した屈折率を波長550nmにおける屈折率として採用した。
また、各層の膜厚は光の干渉を利用した反射分光膜厚計“FE−3000”(大塚電子(株)製)や、TEM(透過型電子顕微鏡)による断面観察により測定することができる。反射分光膜厚計でも膜厚と同時に屈折率の測定も可能であるが、膜厚の測定精度を上げるために、別手段で測定した各層の屈折率を用いることが望ましい。各層の屈折率が測定できない場合は、TEMによる膜厚測定が望ましい。その場合は、10箇所以上測定し、平均した値を用いることができる。
以下、本発明に係る反射防止フィルムを構成する透明支持体及び各層について詳細に説明する。
(透明支持体)
反射防止フィルムにおける透明支持体は、透明な基板であれば特に限定されず、プラスチック基板やガラス基板等を用いることができ、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリペットVRL20A:商品名、三菱レイヨン社製、特開2004−70296号公報や特開2006−171464号公報記載の環構造含有アクリル系樹脂)などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。
透明支持体の表面は平滑であることが好ましく、算術平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることが更に好ましい。
透明支持体については、特開2009−98658号公報の段落[0163]〜[0169]に記載されており、本発明においても同様である。
(ハードコート層)
本発明の反射防止フィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、ハードコート層を設けることができる。ハードコート層を設けなくてもよいが、ハードコート層を設けた方が鉛筆引掻き試験などの耐擦傷性面が強くなり、好ましい。
また、ハードコート層に内部散乱性を付与し、反射防止フィルムの内部ヘイズを調整することが好ましい。
なお、ハードコート層は、2層以上が積層されて構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.60である。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、更に好ましくは3μm〜15μmである。
ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。更に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性のエチレン性不飽和基の等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマー(1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー)の具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
更にはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。更に好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
(重合開始剤)
各種のエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
本発明に係る反射防止フィルムを作製するに当り、光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を併用することができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
また、「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,127,184,500,819,907,369,379,1173,1870,2959,4265,4263など)及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの有機樹脂粒子又は無機粒子を含有させることが好ましい。
該粒子は、所望の内部ヘイズを得る上で、ハードコート層の全固形分に対して、0.1〜50質量%含まれることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
粒子は透光性粒子であることが好ましい。粒子は1種用いても、2種以上を併用してもよい。所望の屈折率、平均粒径に応じて粒子を選択することができる。以下に粒子の具体例を説明するが、これらに限定されない。
有機樹脂粒子の具体例としては、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋メチルメタアクリレート−メチルアクリレート共重合粒子、架橋アクリレート−スチレン共重合粒子、アミノ樹脂粒子(メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、メラミン・ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子)等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、アミノ樹脂粒子が好ましい。更にはこれらの樹脂粒子の表面にフッ素原子、シリコン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、燐酸基等を含む化合物を化学結合させた所謂表面修飾した粒子やシリカやジルコニアなどのナノサイズの無機微粒子を表面に結合した粒子も好ましく挙げられる。
また、無機粒子の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子等が好ましく挙げられるが、シリカ粒子が特に好ましく用いられる。
粒子の形状は、真球又は真球以外の不定形のいずれも使用できる。粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御性、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。粒子径の均一さを表すCV値は15%以下が好ましく、より好ましくは13%以下、更に好ましくは10%以下である。更に、平均粒子径よりも33%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以下であり、更に好ましくは、0.4%以下である。粗大粒子が多すぎると表面の粗面化が強調して認識されてしまうため、ブツブツ感が悪化し、好ましくない。
平均粒径よりも16%以上粒子径が小さな粒子を微小粒子と規定した場合、この微小粒子の割合は全粒子数の10%以下であることが好ましく、より好ましくは6%以下であり、更に好ましくは、4%以下である。このような粒子径分布を持つ粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布の粒子を得ることができる。分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
粒子の粒子径の測定方法は、粒子の粒子径を測る測定方法であれば、任意の測定方法が適用できるが、粒子の粒度分布をコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算して得られた粒子分布から算出する方法や、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒径とする方法がある。
なお、本発明において平均粒径はコールターカウンター法によって得られた値を用いる。
粒子の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n−ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
ハードコート層には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者をハードコート層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特に、フッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。これにより、面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、例えば、特開2007−188070号公報の段落番号0049〜0074に記載の化合物が挙げられる。
界面活性剤(特に、フッ素系ポリマー)の好ましい添加量は、ハードコート層形成用塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。界面活性剤の添加量が0.001質量%以上で効果が十分であり、また5質量%以下とすることで、塗膜の乾燥が十分に行われ、塗膜としての良好な性能(例えば反射率、耐擦傷性)が得られる。
(低屈折率層)
本発明に係る反射防止フィルムでは、反射率を低減するため、透明支持体よりも屈折率が低い低屈折率層を有することが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることが更に好ましい。低屈折率層の全ヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
低屈折率層は下記態様の組成物から形成することができる。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと無機微粒子(特に中空構造を有する無機微粒子が好ましい。)を含有する組成物
(1)及び(2)に関しても、無機微粒子を含有することが好ましく、更に屈折率の低い中空構造を有する無機微粒子用いると、低屈折率化や無機微粒子添加量と屈折率の調整などの観点で特に好ましい。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物
架橋性又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性又は重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、特許317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子の屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記ハードコート層の説明で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを硬化させたものを挙げることができる。
本発明に用いられる低屈折率層用の組成物には、上記ハードコート層の説明で述べた光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明に用いられる低屈折率層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
ポリシロキサン構造を有する添加剤としては、反応性基含有ポリシロキサン{例えば“KF−100T”,“X−22−169AS”,“KF−102”,“X−22−3701IE”,“X−22−164B”,“X−22−5002”,“X−22−173B”,“X−22−174D”,“X−22−167B”,“X−22−161AS” (商品名)、以上、信越化学工業(株)製;“AK−5”,“AK−30”,“AK−32”(商品名)、以上東亜合成(株)製;、「サイラプレーンFM0725」,「サイラプレーンFM0721」(商品名)、以上チッソ(株)製等}を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383号公報の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、更に低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833、オプツールDAC(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300、MCF−323(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらのフッ素系化合物やポリシロキサン構造を有する化合物は低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
<高屈折率層、中屈折率層>
本発明の反射防止フィルムでは、ハードコート層と低屈折率層との間に高屈折率層を設け、低屈折率層とともに光学干渉を利用すると反射防止性を高めることができる。更に、ハードコート層と高屈折率層の間にハードコート層と高屈折率層の中間の屈折率を有する中屈折率層を設けることが好ましい。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を形成して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.4〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80、である。高屈折率層の膜厚は、80〜180nmであることが好ましく、100〜160nmであることが更に好ましい。
透明支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作製する場合、高屈折率層の屈折率は、1.50〜2.00であることが好ましく、1.60〜1.90であることが更に好ましい。高屈折率層の膜厚は、50〜120nmであることが好ましく、60〜100nmであることが更に好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.45〜1.80であることが好ましく、1.55〜1.70がより好ましい。中屈折率層の膜厚は、40〜100nmであることが好ましく、50〜80nmであることが更に好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層に用いられる無機粒子の具体例としては、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOなどの無機酸化物を主成分とする無機粒子が好ましく、屈折率調整のためSiOを主成分とする無機粒子を加えることもできる。高屈折率層に用いるにはTiO及びZrOが高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
反射防止層については上記したもの以外にも特開2007−298974号公報に詳細に記載されている。
本発明に係る反射防止フィルムにおいて、反射防止層のうち少なくとも1層が導電性薄膜からなることが、帯電防止性能と反射防止層の屈折率調整という観点で好ましい。
導電性薄膜を形成する材料としては、透明なITO(インジウムスズ酸化物)、SnO(酸化スズ)、ZnOx(酸化亜鉛)、又は光吸収性を有するTiN(窒化チタン)膜、NbN(窒化ニオブ)膜に代表される窒化遷移金属膜、更にはAg(銀)膜やNi−Fe(ニッケル・鉄合金)のような金属薄膜などが挙げられ、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO2(酸化スズ)、ZnOx(酸化亜鉛)が好ましく、SnO(酸化スズ)、ZnOx(酸化亜鉛)がより好ましい。これにより反射防止フィルムの表面抵抗値は1011Ω以下であることが好ましく、10Ω以下がより好ましい。
(反射防止フィルムの作製)
本発明に係る反射防止フィルムは以下の方法で作製することができるが、この方法に制限されない。まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。
塗布組成物には、有機溶媒を添加することができる。
有機溶媒としては、例えばアルコール系では、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、イソアミルアルコール、1−ペンタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール等、ケトン系では、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等、エステル系では、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸n−アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル等、エーテル、アセタール系では、1,4ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルアセタール等、炭化水素系では、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、リグロイン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ジビニルベンゼン等、ハロゲン炭化水素系では、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン、1,1,1,2−テトラクロルエタン等、多価アルコール及びその誘導体系では、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、グリセリンモノアセテート、グリセリンエーテル類、1,2,6−ヘキサントリオール等、脂肪酸系では、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、絡酸、イソ絡酸、イソ吉草酸、乳酸等、窒素化合物系では、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル等、イオウ化合物系では、ジメチルスルホキシド等、が挙げられる。
有機溶媒の中でメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、1−ペンタノール等が特に好ましい。また、有機溶媒には、凝集性制御の目的でアルコール、多価アルコール系の溶媒を適宜混合して用いてもよい。これらの有機溶媒は、単独でも混合して用いてもよく、塗布組成物中に有機溶媒総量として、20質量%〜90質量%含有することが好ましく、30質量%〜80質量%含有することがより好ましく、40質量%〜70質量%含有することが最も好ましい。内部散乱性を有する層の表面形状を安定化させるためには、沸点が100℃未満の溶媒と沸点が100℃以上の溶媒を併用することが好ましい。
各層を形成するための塗布液はディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号明細書参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。また、逐次塗布でも同時塗布でもよい。
その後、紫外線、電離放射線などの光照射あるいは加熱、好ましくは加熱下で電離放射線の照射により、各層を形成する硬化性化合物を重合して硬化する。これにより各層が形成される。
紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。紫外線による硬化は、窒素パージ等で酸素濃度が4体積%以下、更に好ましくは2体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下の雰囲気下で硬化することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、偏光板用保護フィルムとして兼用することができる。その場合には、十分に接着させるためには透明支持体上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。反射防止フィルムの透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
[位相差フィルム]
本発明に係る位相差フィルムは、550nmにおける下記式で定義されるReが130〜160nmである。
Re=(nx−ny)×d
(ここで、nx及びnyはそれぞれ位相差フィルムの面内の遅相軸方向及び進相軸方向の屈折率を表し、dは位相差フィルムの厚み(nm)を表す。)
本発明に係る位相差フィルムを偏光子と組み合わせることで円偏光板を形成し、液晶表示装置の内部反射による白茶けや映り込みを抑えることでき、更に、本発明に係る内部散乱のある反射防止フィルムと組み合わせることで、軸ズレによる表示ムラやコントラスト低下を抑えることができる。
位相差フィルムの550nmにおけるReは、好ましくは125〜150nmであり、より好ましくは130〜145nmである。
更に、下記式で定義する550nmにおけるRthが120〜180nmであることが好ましく、125〜175nmであることがより好ましく、130〜170nmであることが更に好ましい。Rthがこの範囲にあると、液晶セルの斜め方向のリタデーションを補償し、斜め方向の黒表示時の光モレを抑制(視野角コントラスト拡大に対応)することができ、好ましい。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(ここで、nx及びnyはそれぞれ位相差フィルムの面内の遅相軸方向及び進相軸方向の屈折率を表し、nzは位相差フィルムの厚み方向の屈折率を表し、dは位相差フィルムの厚さ(nm)を表す。)
Re及びRthは次のようにして測定できる。
ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
位相差フィルムは、上記のRe(好ましくは更にRth)の要件を満足するのであれば、特に制限はないが、ポリマーフィルムが好ましい。そのようなポリマーフィルムとして用いるポリマーとしては、例えば、セルロースエステルのようなセルロース樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、アクリル樹脂、ポリアリレート及びそれらの共重合体が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネートフィルム、セルロースエステルフィルムである。
ポリカーボネートフィルムの位相差フィルムとしては、市販品であるピュアエース(帝人社製)などを用いることができる。
また、ノルボルネン樹脂の位相差フィルムとしては、ゼオノア(日本ゼオン)などを用いることができる。
位相差フィルムに用いるセルロースエステルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステルが更に好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
セルロースアセテートの平均酢化度(アセチル化度)は、45.0乃至62.5%であることが好ましく、55.0乃至61.0%であることが更に好ましい。
所望のReやRthを発現させるために、ポリマーフィルムにレターデーション調整剤を添加することも好ましい。
レターデーション調整剤としては、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環を有する化合物が好ましい。
レターデーション調整剤は、ポリマー100質量部に対して、0.2〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.5〜10質量部の範囲で使用することが更に好ましく、1〜5質量部の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上のレターデーション調整剤を併用してもよい。
レターデーション調整剤としては、特開2008−242464号の[0011]〜[0020]に記載のものが使用することができる。
所望のReやRthを発現させるために、ポリマーフィルムに延伸処理を施して、屈折率(面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny及び厚み方向の屈折率nz)を調整することもできる。
[偏光子]
偏光板は、偏光子の表側及び裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明に係る反射防止フィルム及び位相差フィルムは、偏光子を両面から挟む2枚の保護フィルムとして用いることが好ましい。本発明に係る反射防止フィルム及び位相差フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。
偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子及び染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光子の厚さは、通常の偏光板で採用されている厚さを特に制限無く採用できる。
本発明の偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明に係る反射防止フィルム及び位相差フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
シクロオレフィン系ポリマーフィルムを偏光板の保護膜として用いる場合には、接着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックスに加えて、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、変成オレフィン系ポリマー、スチレンブタジエン系ポリマー、特殊合成ゴム等の接着剤を用いることができる。
接着性を高めるために表面処理を行ってもおい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理又は紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号明細書に記載のように、下塗り層を設けることも好ましい。
本発明の偏光板おいては、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との角度を40〜50°とする。該角度は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることが更に好ましく、44〜46°であることが最も好ましい。
位相差フィルムの遅相軸は、王子計測器製KOBRA 21ADHにて、偏光子の吸収軸の角度は、王子計測器製KOBRA WX100/IRにて、それぞれ測定することができる。
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を有する。
液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明の偏光板は、液晶セルに対して視認側に設けることが好ましい。
液晶表示装置のモードとしては、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモード等が挙げられる。本発明の偏光板は、λ/4板のRe及びRthの範囲がVAモードの斜め方向における黒表示の光モレ抑制に適しているためVAモードの液晶表示装置に好適である。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech.Papers(予稿集)28(1997)845頁記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59頁(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
本発明を更に詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[反射防止フィルムの作製]
(ハードコート層の形成)
(アミノ樹脂粒子1の合成)
四つ口フラスコにメラミン75部、ベンゾグアナミン75部、濃度37%のホルマリン238部及び濃度10%の炭酸ナトリウム水溶液1.07部を仕込み混合物とした。この混合物を攪拌しながら85℃に昇温して重合を行い、水混和度250%の初期縮合物を得た。別に、ノニオン系界面活性剤のエマルゲン430(花王製、ポリオキシエチレンオレイルエーテル)6.0部を水2455部に溶解しておき、この界面活性剤水溶液の温度を50℃に昇温して攪拌した。攪拌状態下にある界面活性剤水溶液に上記初期縮合物を投入して、初期縮合物の乳濁液を得た。これに5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液90部を加え、50〜60℃の温度で3時間保って縮合硬化し、硬化樹脂の乳濁液を得た。この乳濁液を冷水3000部に投入し急冷した。次いで、この乳濁液から硬化樹脂を沈降分離して得られたペーストを上記エマルゲン430 7.5部とドデシルベンゼンスルホン酸4.5部とを水2000部に溶解させて得た水溶液中に、超音波分散機を用いて分散した。分散して得られた乳濁液を徐々に90℃まで昇温することにより再縮合硬化し、1時間保持した後に急冷した。この乳濁液から硬化樹脂を沈降分離することにより、メラミン/ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒドのアミノ樹脂の硬化球状微粒子を得た。
上記アミノ樹脂の硬化球状微粒子50g、水450g、スルファミン酸アンモニウム0.5gを、2リットルのオートクレーブに仕込んだ。窒素で置換した後、170℃まで昇温して3時間加熱加圧処理した。この処理後、粒子をろ別により分離し、純水で数回洗浄した後、160℃で4時間加熱処理することで乾燥し、その後解砕して、白色であるアミノ樹脂粒子1を得た。得られたアミノ樹脂粒子1の粒度分布はレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置[マスターサイザー2000(商品名)マルバーン社製]で測定したところ、平均粒子径が3.5μm、CV値が3.2%であった。また、アミノ樹脂粒子1のNMR面積比:C(II)/C(I)は3.9であり、10%変形時の圧縮弾性率が1050kg/mmであり、25℃における屈折率が1.61であった。
(ハードコート層形成用塗布液の調製)
下記に示す各々の成分をミキシングタンクに投入し、攪拌したのち、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して調製した。
(ハードコート層形成用塗布液(HCL−1)の調製)
PETA 42.1質量部
イルガキュア907 2.2質量部
FZ−2191 0.03質量部
メチルイソブチルケトン 26.2質量部
メチルエチルケトン 17.5質量部
(ハードコート層形成用塗布液(HCL−2)の調製)
PETA 42.1質量部
アミノ樹脂粒子1 5.5質量部
イルガキュア907 2.2質量部
FZ−2191 0.03質量部
メチルイソブチルケトン 26.2質量部
メチルエチルケトン 17.5質量部
(ハードコート層形成用塗布液(HCL−3)の調製)
PETA 42.1質量部
アミノ樹脂粒子1 9.2質量部
イルガキュア907 2.2質量部
FZ−2191 0.03質量部
メチルイソブチルケトン 26.2質量部
メチルエチルケトン 17.5質量部
(ハードコート層形成用塗布液(HCL−4)の調製)
PETA 42.1質量部
アミノ樹脂粒子1 12.8質量部
イルガキュア907 2.2質量部
FZ−2191 0.03質量部
メチルイソブチルケトン 26.2質量部
メチルエチルケトン 17.5質量部
(ハードコート層形成用塗布液(HCL−5)の調製)
PETA 42.1質量部
アミノ樹脂粒子1 18.0質量部
イルガキュア907 2.2質量部
FZ−2191 0.03質量部
メチルイソブチルケトン 26.2質量部
メチルエチルケトン 17.5質量部
上記各塗布液で使用した溶剤以外の成分は以下の通りである。
・PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬製、屈折率1.51)
・イルガキュア907:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)。
・FZ−2191:ポリエーテル変性シリコーン。(東レ・ダウコーニング(株)製)
(ハードコート層の塗設)
特開2003−211052号の図1に記載されたスロットダイコーターを用いて、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、ハードコート層形成用塗布液HCL−1〜HCL−5を、各々12g/mの塗布量になるように塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、更に窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量70mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、各々厚さ6μmのハードコート層を有したハードコートフィルムHC−1〜HC−5を作製し、巻き取った。
(反射防止フィルムの作製)
(反射防止層の形成)
(中屈折率層用塗布液の調製)
市販の導電性微粒子ATO「アンチモンドープ酸化錫T−1」{比表面積80m2/g、三菱マテリアル(株)製}20.0部に、アニオン性基とメタアクリロイル基を有する下記の分散剤(B−1)6.0部、メチルイソブチルケトン74部を添加して撹拌した。
Figure 2012078539
メディア分散機(直径0.1mmのジルコニアビーズ使用)を用いて、上記液中のATO粒子を分散した。光散乱法で分散液中のATO粒子の質量平均粒径を評価した結果、55nmであった。このようにして、ATO分散液を作製した。
上記ATO分散液100部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物“DPHA”{日本化薬(株)製}6部、重合開始剤「イルガキュア184」{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}0.8部を添加して撹拌した。このようにして中屈折率層用塗布液を調製した。この塗料による塗膜の屈折率は1.65であった。
(高屈折率層用塗布液の調製)
ZrO微粒子含有ハードコート剤(デソライトZ7404[屈折率1.72、固形分濃度:60質量%、酸化ジルコニウム微粒子含量:70質量%(対固形分)、酸化ジルコニウム微粒子の平均粒子径:約20nm、溶剤組成:MIBK/MEK=9/1、JSR(株)製])15.7質量部に、メチルエチルケトン61.9質量部、メチルイソブチルケトン3.4質量部、シクロヘキサノン1.1質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用塗布液を調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
Figure 2012078539
上記構造式中、50:50はモル比を表す。
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7g及び過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。更にヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は、0.53MPa(5.4kg/cm)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。更にこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.422であった。
(中空シリカ粒子分散液の調製)
中空シリカ粒子微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シエル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.51部加え混合した後に、イオン交換水9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、分散液を得た。その後、シリカの含率がほぼ一定になるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力30Torrで減圧蒸留による溶媒置換を行い、最後に濃度調整により固形分濃度18.2質量%の分散液Aを得た。得られた分散液のIPA残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ0.5%以下であった。
(低屈折率層用塗布液の調製)
以下の各成分を混合し、メチルエチルケトン(MEK)に溶解して固形分5質量%の低屈折率層用塗布液を作製した。
パーフルオロオレフィン共重合体(1) 15質量部
DPHA 7質量部
含フッ素多官能アクリレート 20質量部
MF1 5質量部
イルガキュア127 3質量部
前記中空シリカ粒子分散液A 50質量部
上記で使用した化合物を以下に示す。
・DPHA : ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
・含フッ素多官能アクリレート:特許第4484612号の段落[0027]記載のX−31(下記)
Figure 2012078539
・MF1:特開2010−152311号の段落[0066]の化合物d−5(下記)
(CH=CHCOOCH−C−CONH−(CF(CF)CFO)CF(CF)−CONH−C−(CHOCOCH=CH
・イルガキュア127: 光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
ハードコート層上に、それぞれ所望の屈折率、膜厚となるように調整した、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布、乾燥し、各層を形成した。積層順後は、ハードコート層側から、中屈折率層(Mn)、高屈折率層(Hn)、低屈折率層(Ln)の順である。
なお、各層の屈折率の測定は、各層の塗布液を約4μmの厚みになるようにガラス板に塗布し、多波長アッベ屈折計DR−M2(アタゴ(株)製)にて測定した。「DR−M2,M4用干渉フィルター546(e)nm 部品番号:RE−3523」のフィルターを使用して測定した屈折率を波長550nmにおける屈折率として採用した。
各層の膜厚は、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を積層後に反射分光膜厚計“FE−3000”(大塚電子(株)製)を用いて算出した。算出の際に各層の屈折率は上記アッベ屈折率計で導出した値を使用した。
中屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm、照射量240mJ/cmの照射量とした。硬化後の中屈折率層における層厚は、表1に示す通りなるように塗布条件(具体的には塗布量)により変えた。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm、照射量240mJ/cmの照射量とした。硬化後の高屈折率層における層厚は、表1に示す通りなるように塗布条件(具体的には塗布量)により変えた。
低屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量600mJ/cmの照射量とした。硬化後の低屈折率層における層厚は、表1に示す通りなるように塗布条件(具体的には塗布量)により変えた。
Figure 2012078539
上記のようにして、ハードコートフィルムHC−1〜HC−5のハードコート層上に、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を有する、表2に示す反射防止フィルムを作製した。
作製した反射防止フィルムの反射率、内部ヘイズ、算術平均粗さ(Ra)を下記のようにして測定した。
(1)反射率
分光光度計“V−550”(日本分光(株)製)にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角θ(θ=5〜45°、5°間隔)における出射角−θの鏡面反射率を測定し、450〜650nmの鏡面反射率の平均値として算出した。
(2)内部ヘイズ
JIS−K7136に準じてフィルムの全ヘイズ値(H)を測定した。
次に、フィルムの表面及び裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
(3)算術平均粗さ(Ra)
JIS−B0601(1994、2001)に準じて、小坂研究所(株)製、サーフコーダー MODEL SE−3500を用いて算術平均粗さRaの測定を行った。
Figure 2012078539
(実施例1)
[偏光板の作製]
上記作成の反射防止フィルム1〜5及びフジタックTD80UL(富士フイルム社製)、フジタックDPR80(富士フイルム製)、フジタックV−TAC(富士フイルム製)を用意し、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、更に100℃の温風で乾燥した。
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。
<偏光板1の作製>
ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、反射防止フィルム1とDRP80の間に偏光膜を挟んで貼り合わせて、偏光板1を作製した。
<偏光板2の作製>
偏光板1の作製において、反射防止フィルム1を反射防止フィルム2に変えた以外は同様にして偏光板2を作製した。
<偏光板3の作製>
偏光板1の作製において、反射防止フィルム1を反射防止フィルム3に変えた以外は同様にして偏光板3を作製した。
<偏光板4の作製>
ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、TD80ULとV−TAC(550nmにおけるRe=55nm、Rth=200nm)の間に偏光膜を挟んで貼り合わせて、偏光板4を作製した。このとき、偏光膜の吸収軸とV−TACの遅相軸が直交となるようにした。
<円偏光板1の作製>
ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、反射防止フィルム1とDRP80の間に偏光膜を挟んで貼り合わせた。更に、DRP80上にピュアエース(帝人製、550nmにおけるRe=145nm、Rth=65nm)を貼り合せた。このとき、偏光膜の吸収軸とピュアエースの遅相軸が45度となるようにした。このようにして円偏光板1を作製した。
<円偏光板2の作製>
円偏光板1の作製において、反射防止フィルム1を反射防止フィルム2に変えた以外は同様にして円偏光板2を作製した。
<円偏光板3の作製>
円偏光板1の作製において、反射防止フィルム1を反射防止フィルム3に変えた以外は同様にして円偏光板3を作製した。
<円偏光板4の作製>
円偏光板1の作製において、反射防止フィルム1を反射防止フィルム4に変えた以外は同様にして円偏光板4を作製した。
<円偏光板4−2の作製>
円偏光板4のDRP80とピュアエース側のみをお湯につけ、DRP80とピュアエースを剥がし、常温常湿で3日乾燥させたあと、剥がしたDRP80とピュアエースの代わりにゼオノア(日本ゼオン製、550nmにおけるRe=140nm、Rth=155nm)を貼り合せた。このとき、偏光膜の吸収軸とゼオノアの遅相軸が45度となるようにし、円偏光板4−2を作製した。
<円偏光板5の作製>
円偏光板1の作製において、反射防止フィルム1を反射防止フィルム5に変えた以外は同様にして円偏光板5を作製した。
<円偏光板6の作製>
ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、TD80ULとDRP80の間に偏光膜を挟んで貼り合わせた。更に、DRP80上にピュアエース(帝人製、550nmにおけるRe=145nm、Rth=65nm)を貼り合せた。このとき、偏光膜の吸収軸とピュアエースの遅相軸が45度となるようにした。このようにして円偏光板6を作製した。
<円偏光板6−2の作製>
円偏光板6のDRP80とピュアエース側のみをお湯につけ、DRP80とピュアエースを剥がし、常温常湿で3日乾燥させたあと、剥がしたDRP80とピュアエースの代わりにゼオノア(日本ゼオン製、550nmにおけるRe=140nm、Rth=155nm)を貼り合せた。このとき、偏光膜の吸収軸とゼオノアの遅相軸が45度となるようにした。このようにして円偏光板6−2を作製した。
[液晶表示装置の作製]
VAモードの液晶セルにフロント側(視認側)偏光板とリア側(バックライト側)偏光板をそれぞれ貼りあわせて、液晶表示装置1〜9を作製した。フロント側偏光板とリア側偏光板の組み合わせは表3に示した。
ここで、フロント側偏光板とリア側偏光板とは偏光膜の吸収軸が互いに直交するように配置して液晶セルに貼り合せた。更に円偏光板の場合には、フロント側偏光板とリア側偏光板とで、偏光膜の吸収軸が互いに直交するのに加えて、位相差フィルム(ピュアエース)の遅相軸も互いに直交するように配置して液晶セルに貼り合せた。
作製した液晶表示装置1〜9について、以下の評価を行った。評価結果を表3に示す。
(1)視野角CR
EZ−Contrast XL88、ELDIM社製を用いて、暗室内で黒表示及び白表示の輝度を測定し、観察方向を変えて各方向でコントラスト比(白輝度/黒輝度)を算出し、コントラスト比が10となるディスプレイ法線方向から角度θを求め、以下の基準で評価した。
◎:2θが176度以上
○:2θが150度以上176度未満
△:2θが130度以上150度未満
×:2θが130度未満
(2)映り込み
蛍光灯の映り込みを目視にて以下の基準で評価した。
◎:気にならない
○:わずかに気になる
△:気になる
×:非常に気になる
(3)白茶け
物体が映り込んだ明室環境下(500lx)での画面の白茶けを目視にて以下の基準で評価した。
◎:気にならない
○:わずかに気になる
△:気になる
×:非常に気になる
(4)軸ズレムラ
暗室環境下にて黒表示をさせ、面内の光漏れのムラを目視にて以下の基準で評価した。
◎:気にならない
○:わずかに気になる
△:気になる
×:非常に気になる
Figure 2012078539
表3の結果から、次のことが分かる。
通常偏光板を用いた液晶表示装置では、外光の映り込みが顕著であり、反射防止フィルムに内部ヘイズを付与すると白茶けが生じる。また、内部ヘイズを有さない円偏光板では、視野角CRが劣り、軸ズレ起因の表示ムラが顕著であった。一方、円偏光板に内部ヘイズを有する反射防止フィルムを採用すると、反射防止フィルムの内部ヘイズが30%以下では視野角CR、軸ズレムラの改善が不十分であり、内部ヘイズが90%以上であると若干の白茶けが生じた。それに対し、反射防止フィルムの内部ヘイズ30%以上90%以下の場合にはいずれの性能も良好な結果が得られた。
(実施例2)
<偏光板5の作製>
実施例1の偏光板1の作製において、反射防止フィルム1を反射防止フィルム6に変えた以外は同様にして偏光板5を作製した。
<円偏光板7の作製>
実施例1の円偏光板1の作製において、反射防止フィルム1を反射防止フィルム6に変えた以外は同様にして円偏光板7を作製した。
実施例1で作製した偏光板3及び円偏光板3、上記のように作製した偏光板5及び円偏光板7について、以下の評価を行った。評価結果を表4に示す。
(1)反射色味a、b
CIE標準光源D65として380〜780nmの波長領域において、入射角θ(θ=5〜45°、5°間隔)における出射角−θの鏡面反射率を測定し、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の各入射角の入射光に対する正反射光の色味を表すCIE1976L色空間のL値、a値、b値を算出した。
(2)実装反射色味
VAモードの液晶表示装置(LC46−LX1、シャープ製)のフロント側偏光板を剥がし、その代わりに、偏光板3、5、円偏光板3、7を粘着剤(綜研化学SK-2057)を介して貼りあわせた。得られた液晶表示装置に対して、CIE標準光源D65の蛍光灯の映り込みの色味を目視で評価した。
◎:色味付きがなく、良好
○:色味付きを認識できるが、特に気にならない
△:色味付きが目立ち、気になる
×:色味付きが顕著であり、非常に気になる
Figure 2012078539
表4から以下のことが分かる。
ここで用いた液晶ディスプレイに対して通常の偏光板を用いた場合には、ニュートラルな反射色味を得るためには、反射防止フィルムの反射色をニュートラル(a/b=0/0)でなく紫色(a/b=9/−12)とする必要があることが分かった。これは、ディスプレイ内部の反射色である黄緑色と逆の色相とすることで、色味を打ち消し合わせる必要があるためである。内部反射の色味はディスプレイに依存するため、一義的に好ましい反射防止フィルムの反射色を規定することが難しく、反射防止フィルム6の色味が良いとは限らない。
一方、円偏光板を用いた場合では、内部反射の影響がないため、採用するディスプレイによらず反射防止フィルムの反射色をニュートラルに設計することで、好ましい反射色とすることができる。

Claims (7)

  1. 反射防止層を有する反射防止フィルム、偏光子、及び位相差フィルムをこの順に有するVAモード用の偏光板であって、
    前記反射防止フィルムが、前記偏光子と反対側の表面が平坦で、反射率が1.3%以下で、内部ヘイズ値が30〜90%であり、
    前記位相差フィルムの550nmにおける下記式で定義されるReが130〜160nmであり、
    前記位相差フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸との角度が40〜50°である、偏光板。
    Re=(nx−ny)×d
    ここで、nx及びnyはそれぞれ位相差フィルムの面内の遅相軸方向及び進相軸方向の屈折率を表し、dは位相差フィルムの厚み(nm)を表す。
  2. 前記位相差フィルムの550nmにおける下記式で定義されるRthが120〜180nmである、請求項1に記載の偏光板。
    Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
    ここで、nx及びnyはそれぞれ位相差フィルムの面内の遅相軸方向及び進相軸方向の屈折率を表し、nzは位相差フィルムの厚み方向の屈折率を表し、dは位相差フィルムの厚さ(nm)を表す。
  3. 前記反射防止フィルムの反射色味が、CIE1976 L色空間のa、b値でそれぞれ−2≦a≦2及び−2≦b≦2の範囲内にある、請求項1又は2に記載の偏光板。
  4. 前記反射防止フィルムの内部ヘイズ値が45〜75%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
  5. 前記反射防止フィルムが、前記偏光子側から、中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
  6. 更に、前記反射防止層と前記偏光子との間にハードコート層を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏光板を有するVAモードの液晶表示装置。
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