JP2007219110A - 偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の偏光板10は、偏光子2と、偏光子2の下側の面に接着層4を介して設けられる入射側保護フィルム3と、偏光子2の上側の面に接着層4を介して設けられる出射側保護フィルム1とを備える。出射側保護フィルム1は、親水性樹脂層1Bと、親水性樹脂層1Bの両表面にそれぞれ設けられる熱可塑性樹脂層1Aとを備えた3層構成であり、その残留溶剤含有量が0.01重量%以下である。
【選択図】図1
Description
本発明に用いる偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるもの、またはポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させ延伸し、さらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるものなどが挙げることができる。また、偏光子としては、グリッド偏光子、多層偏光子、およびコレステリック液晶偏光子などの偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子を挙げることもできる。この中でも、偏光子としては、ポリビニルアルコールを含んでなるものが好ましい。偏光子の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の厚み(平均厚み)は、好ましくは5μm〜80μmである。
本発明において、第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルムの少なくとも一方の保護フィルムは、熱可塑性樹脂からなる層を複数備えている。つまり、本発明の偏光板における保護フィルムの構成としては、(1)第1の保護フィルムのみ、または、第2の保護フィルムのみが複数の層を備える構成、(2)第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルムのそれぞれが複数の層を備える構成とすることができる。
保護フィルムが複数の層から構成されていない場合、つまり単層である場合において、この保護フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロースエステル、および脂環式オレフィンポリマーなどを挙げることができる。脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05−310845号公報、米国特許第5179171号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報、米国特許第5202388号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報(国際公開99/20676号公報)に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン開環重合体及びその水素添加物等を挙げることができる。
次に、複数の層を備える保護フィルムについて説明する。
第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルムのうちの少なくとも一方の保護フィルムは、複数の層のうちの少なくとも1層が親水性基を有する高分子化合物を含んでなる親水性樹脂層であり、親水性樹脂層以外の他の層が他の熱可塑性樹脂からなる層である。つまり、本発明の偏光板において、複数の層からなる保護フィルムは、(1)一方の保護フィルムが親水性樹脂層を含む複数の層からなる構成であって、他方の保護フィルムが親水性樹脂層を含まない複数の層からなる構成、(2)両方の保護フィルムが親水性樹脂層を含む複数の層からなる構成である。なお、親水性樹脂層は、単層であってもよいし複数層であってもよい。
親水性樹脂層を含まない複数の層からなる保護フィルムにおいて、各層に用いられる熱可塑性樹脂としては、前記単層の保護フィルムに用いられる熱可塑性樹脂と同様のものを用いることができる。
(親水性樹脂層)
親水性樹脂層を構成する高分子化合物の親水性基としては、親水性や水分散性機能を有する官能基であればよく、例えば、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、エステル基、アミド基、アミノ基、水酸基、グリシジル基、およびアセチル基などを挙げることができる。この中でも、親水性基としては、水酸基が好ましい。
親水性樹脂層を含む複数の層からなる保護フィルムにおいて、親水性樹脂層以外の他の層に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、および脂環式オレフィンポリマーなどを挙げることができる。この中でも、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂からなる層は、単層または複数層とすることができる。
|na(λ)−nb(λ)| ≦ 0.05 (1)
特に、|na(λ)−nb(λ)|≦0.045であることがより好ましい。なお、na(λ)及びnb(λ)は、波長λにおける主屈折率の平均値である。|na(λ)−nb(λ)|の値が上記値を超える場合には、界面での屈折率差によって生じる界面反射により、保護層表面に干渉縞が生じるおそれがある。
本発明の偏光板は、保護フィルムの表面に下記機能を有する機能層を備えていてもよい。このような機能層としては、例えば、ハードコート層、反射防止層、帯電防止層、防眩層、および防汚層などを挙げることができる。これらの機能層は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
ハードコート層は、保護フィルムの硬度を補強するための層であり、JIS K5600-5-4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板を用いる)で「H」以上の硬度を示すことが好ましい。このようなハードコート層が設けられた保護フィルムは、その鉛筆硬度が4H以上になることが好ましい。ハードコート層を形成する材料(ハードコート材料)としては、熱や光硬化性の材料であることが好ましく、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;二酸化ケイ素などの無機系ハードコート材料;などを挙げることができる。これらの中でも、ハードコート材料としては、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系ハードコート材料の使用が好ましい。
反射防止層は、外光の移りこみを防止するための層であり、出射側保護フィルムの表面(外部に露出する面)に直接またはハードコート層等の他の層を介して積層される。反射防止層が設けられた反射防止層付き出射側保護フィルムは、入射角5°、波長430nm〜700nmにおける反射率が2.0%以下であることが好ましく、波長550nmにおける反射率が1.0%以下であることが好ましい。
防汚層は、被積層体の表面に撥水性、撥油性、耐汗性、および防汚性などを付与できる層である。防汚層を形成するために用いる材料としては、フッ素含有有機化合物が好適である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボン、パーフルオロシラン、又はこれらの高分子化合物などを挙げることができる。また、防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法、CVD等の化学的気相成長法、湿式コーティング法等を用いることができる。防汚層の平均厚みは、好ましくは1nm〜50nm、より好ましくは3nm〜35nmである。
以上説明したような偏光板としては、具体的には、例えば下記構成とすることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る偏光板10を模式的に示す図である。図1に示すように、偏光板10は、光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とをこの順に備える図示しない液晶表示装置において、前記出射側偏光板に用いられるものである。偏光板10は、偏光子2と、偏光子2の前記液晶セル側(図1中の下側)の表面に接着層4を介して設けられる入射側保護フィルム3と、偏光子2の前記液晶セル側とは反対側(図1中の上側)の面に接着層4を介して設けられる出射側保護フィルム1とを備えている。出射側保護フィルム1は、親水性樹脂層1Bと、この親水性樹脂層1Bの両表面にそれぞれ設けられる熱可塑性樹脂層1Aとを備えた3層構成である。
本発明の液晶表示装置は、光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とをこの順に有する液晶表示装置であって、入射側偏光板および出射側偏光板の少なくともいずれかが、前記親水性樹脂層を含む複数の層からなる保護フィルムを含む偏光板である。この際、表示品位に優れた液晶表示装置を提供できる点で、出射側偏光板が、親水性樹脂層を含む複数の層からなる保護フィルムを含む偏光板であることが好ましい。さらに、出射側偏光板において、液晶セル側の保護フィルムが、親水性樹脂層を含む複数の層からなる保護フィルムであることが好ましい。高温・高湿度下でも光漏れや剥がれ等が少なく十分な光学性能を確保できる。
実施例および比較例に示す偏光板および液晶表示装置は、下記の方法により評価を行った。
高速分光エリプソメトリ(J.A.Woollam社製、M-2000U)を用い,温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、入射角度55度、60度、及び65度で、波長領域400〜1000nmのスペクトルを測定し、これらの測定結果から算出した。
熱可塑性樹脂を単層にて成形し、プリズムカプラ-(Metricon社製、model2010)を用い、温度20℃±2℃、湿度60±5%の条件下で、波長633nm、407nm、532nmにおける屈折率の値から、Caucyの分散式により、380nm〜780nmの屈折率を算出した。
熱可塑性樹脂を単層にて成形して、1cm×25cmの試験片を切り出し、ASTM882に基づき、引張試験機(東洋ボールドウィン社製、テンシロンUTM-10T-PL)を用いて引張速度25mm/minの条件で測定した。同様の測定を5回行い、その算術平均値を引張弾性率の代表値とした。
保護フィルムをエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム(大和工業社製、RUB-2100)を用いてスライスし、走査電子顕微鏡を用いて断面を観察し測定した。
40℃、92%RHの環境下に24時間放置する試験条件で、JIS Z 0208に記載のカップ法に準じた方法で測定した。透湿度の単位はg/m2・24hである。
保護フィルムの残留溶剤含有量は、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した内径4mmのガラスチューブの試料容器に保護フィルム50mgを入れた後、その容器を温度200℃で30分間加熱し、容器から出てきた気体を連続的に捕集した。そして、捕集した気体を熱脱着ガスクロマトグラフィー質量分析計(TDS-GC-MS)で分析した。
前述した方法により、線状凹部の深さ、線状凸部の高さ、およびこれらの幅を測定した。得られた凹部深さ及び凸部高さの最大値、その最大値を示した凹部の幅及び凸部の幅を、そのフィルムの線状凹部の深さ、線状凸部の高さ及びそれらの幅とし、以下の基準で評価した。
◎:線状凹部の深さ、または凸部の高さが20nm以下で,且つ幅が800nm以上
○:線状凹部の深さ、または凸部の高さが30nm以下で、且つ幅が700nm以上
×:線状凹部の深さ、または凸部の高さが50nm以下で、且つ幅が500nm以上
作製した偏光板を温度60℃、湿度90%で300時間放置し、放置後の偏光板端面の界面剥離を目視観察した。
○:剥離なし
×:端面に剥離が見られる
JIS K5600−5−4を参考にして、上から500gの荷重を掛けるとともに、45度の角度に傾けた鉛筆で、偏光板を構成する保護フィルムの表面(偏光子側とは反対側の面)を5mm程度引っかき、傷の付き具合を確認した。
暗幕のような光を通さない黒布の上に偏光板を置き、三波長蛍光灯(松下電器社製、ナショナル蛍光灯:FL20SS・ENW/18)で照らして、偏光板の表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:干渉縞が見えない
△:干渉縞がうっすらと見える
×:干渉縞が目立つ
偏光板を1cm×5cmに打ち抜いて試験フィルムを得た。得られた試験フィルム3mmφのスチール製の棒に巻きつけ、巻きつけたフィルムが棒のところで折れるか否かをテストした。合計10回テストを行い、折れなかった回数によって下記指標で可撓性を表した。
○:割れたフィルム片が1枚以下
×:割れたフィルム片が2枚以上
偏光板を10インチ四方の大きさに切り出し、ガラス板の片面に、感圧性接着剤を介して、偏光板を構成する一方の保護フィルム(後述する保護フィルムA)の面がガラス板側になるように貼り合わせ、試験用偏光板を作製した。この試験用偏光板を温度60℃、湿度90%の恒温槽に500時間放置し、試験用偏光板の対角線交点(図3中、(5)の位置)における高温高湿下の放置前後での偏光度の変動幅を測定した。
○:偏光度の変動幅が0.5以下
×:偏光度の変動幅が0.5より大きい
2枚の試験用偏光板を保護フィルム同士が向かい合うようにしてクロスニコル配置し、図4で示した9箇所の光線透過率を測定し、それら測定値を下記式に代入し、光漏れ度を算出した。
光漏れ度=((T2+T4+T6+T8)/4)/((T1+T3+T5+T7+T9)/5) なお、Txは、測定点(x)における光透過率を表し、(1),(2),(3),(4),(6),(7),(8),及び(9)は端部から10mmの位置を測定点とした。(5)は試験用偏光板の対角線交点を測定点とした。
○:光漏れ度が2以下
×:光漏れ度が2より大きい
作製した液晶表示装置を暗室内で明表示した表示画面全体を真正面から観察し、以下の指標で評価した。
○:全体的に均一な白表示になっており、色づきがない
×:画面上に虹むらが見られる
作製した液晶表示装置について、温度60℃、湿度90%で300時間の環境試験に対するコントラスト変動を求めた。コントラスト値は、液晶表示装置の中心部正面に対し5度傾いた角度から輝度を色彩輝度計(トプコン社製、色彩輝度計BM-7)を用い、明表示の輝度と暗表示の輝度の比(=明表示の輝度/暗表示の輝度)を計算した。コントラスト変動は、試験前のコントラストをCR1とし、同様に試験後の値をCR2として、次式で算出する。
コントラスト変動(ΔCR)=(CR1−CR2)/CR1×100 [%]
○:10%未満
×:10%以上
親水性基を有する高分子化合物であるアセチルアシルセルロースとしてのセルロースアセテートブチレート(アセチル基の置換度:1.0、ブチリル基の置換度:1.7、重量平均分子量:15.5万;イーストマンケミカル社製CAB−381−20)91重量%と、可塑剤であるジグリセリンテトラカプリレート9重量%を二軸エクストルーダーを用いて190℃で混練し、5mm程度にカッティングしてセルロースアセテートブチレートを得た。
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部に対し、t−ブチルパーオキシネオデカノエート0.67重量部およびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1050重量部を仕込み、窒素で数回パージした後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃で6時間反応を行った。得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体粒子を遠心分離後乾燥した。得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体の元素分析結果(C;64.7重量%、H;7.8重量%、N;8.4重量%)より、生成N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体中のN−メチルマレイミド単位及びイソブテン単位は、それぞれ50モル%であった。上記N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体80重量%およびアクリロニトリル含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体20重量%をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、溶融混練の後、ペレット化した。得られた樹脂組成物ペレットのガラス転移温度は140℃であった。
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー30部、ブチルアクリレート40部、イソボロニルメタクリレート30部、および2,2-ジフェニルエタン-1-オン10部を、ホモジナイザーで混合し、五酸化アンチモン微粒子(平均粒子径20nm、水酸基がパイロクロア構造の表面に現れているアンチモン原子に1つの割合で結合している。)の40%メチルイソブチルケトン溶液を、五酸化アンチモン微粒子の重量がハードコート層形成用組成物全固形分の50重量%を占める割合で混合して、ハードコート材料Hを調製した。
含フッ素モノマーである、フッ化ビニデリン70重量部およびテトラフルオロエチレン30重量部をメチルイソブチルケトンに溶解した。次に、この溶解物に、中空シリカイソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業社製、固形分20重量%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚み約8nm)を、含フッ素モノマー固形分に対して中空シリカ固形分で30重量%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(信越化学社製)を前記固形分に対して3重量%、光ラジカル発生剤イルガキュア184(チバ・スペシャリティケミカルズ社製)を前記固形分に対して5重量%添加し、低屈折率形成用材料Lを調製した。
酢化度61.0%のトリアセチルセルロース(TAC)100質量部とトリフェニルフォスフェート15質量部を塩化メチレン450質量部とメタノール50質量部の混合溶媒に溶解し、35℃のステンレスベルト上に流延し、剥離可能となったところでステンレスベルトから剥がし、ロール搬送装置を用いて搬送しながら、徐々に温度を上げ、最終的に120℃で乾燥しトリアセチルセルロースフィルムを作製した。
波長380nmにおける屈折率が1.545、波長780nmにおける屈折率が1.521で、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、2.5倍に一軸延伸し、ヨウ素0.2g/L及びヨウ化カリウム60g/Lを含む30℃の水溶液中に240秒間浸漬し、次いでホウ酸70g/L及びヨウ化カリウム30g/Lを含む水溶液に浸漬すると同時に6.0倍に一軸延伸して5分間保持した。最後に、室温で24時間乾燥し、平均厚さ30μmで、偏光度.99.95%の偏光子Pを得た。
(保護フィルムの作成)
ポリメチルメタクリレート樹脂(表中PMMAと表記、吸水率0.3%)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置した第1のダブルフライト型一軸押出機に投入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂を、マルチマニホールドダイを構成する、ダイスリップの表面粗さRaが0.1μmである第1のマニホールドダイに供給した。
保護フィルム1の両面に、高周波発信機(出力0.8KW)を用いてコロナ放電処理を行い、表面張力が0.055N/mの保護フィルム1Aを得た。次に、保護フィルム1Aの片面に、温度25℃、湿度60%RHの環境下で、ダイコーターを用いてハードコート材料Hを塗工し、80℃の乾燥炉の中で5分間乾燥させて被膜を得た。さらに、この皮膜に紫外線を照射(積算照射量300mJ/cm2)して、厚さ5μmのハードコート層を形成し、ハードコート層付き保護フィルム1Bを得た。ハードコート層の屈折率は1.62であり、ハードコート層側の鉛筆硬度が4Hを越えるものであった。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、反射防止層付き保護フィルム1Cの反射防止層が積層されていない面と、保護フィルム1Aのコロナ放電処理面とを偏光子Pのそれぞれの面に向けて重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板1を得た。偏光板1はおおむね図3に示すような構成である。評価結果を表1に示した。
市販の液晶テレビ(シャープ社製、LC-13C5-S)から液晶パネルを取り外し、この液晶パネルから出射側偏光板を剥がし、代わりに本実施例で得られた偏光板を反射防止層が積層された面が出射側(観察者側)になるように前記液晶セルに貼り合わせ、液晶テレビを組み直し、液晶表示装置D1として表示性能を評価した。評価結果を表1に示した。
(反射防止層付き保護フィルムの作製)
実施例1で用いたマルチマニホールドダイを2層構成のフィルムを得るためのマルチマニホールドダイに置き換えて、実施例1と同様にしてポリメチルメタクリレート樹脂層(32μm:樹脂層A)−接着層(4μm)−セルロースアセテートブチレート層(44μm:樹脂層B)の2層構成(接着層を除く)からなる、幅600mm、厚さ80μmの保護フィルム2を得た。保護フィルム2は、その透湿度が92.0g/m2・24hであり、その残留溶剤含有量が0.01重量%以下であり、光弾性係数が4.5×10−13cm2/dynであった。また、保護フィルムの表面の、線状凹部の深さまたは凸部の高さは、20nm以下であり、かつ幅が800nm以上の範囲であった。そして、保護フィルム1の代わりに保護フィルム2を用い、ポリメチルメタクリレート樹脂層側をハードコート層、低屈折率層のコート面とする他は、実施例1と同様にして反射防止層付き保護フィルム2Cを得た。ハードコート層側の鉛筆硬度が4Hであった。
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、反射防止層付き保護フィルム2Cのセルロースアセテートブチレート層面と、保護フィルム2のセルロースアセテートブチレート層面を偏光子Pのそれぞれの面に向けて重ね、ロールトゥロール法により貼り合わせ偏光板2を得た。さらに、実施例1において、偏光板1に代えて、偏光板2を用いる他は実施例1と同様にして液晶表示装置D2を得た。評価結果を表1に示した。
実施例1においてポリメチルメタクリレート樹脂の代わりに製造例2で得られたマレイミド・オレフィン共重合体(表中、MIOと表記)を用いる他は、実施例1と同様にして保護フィルム3を作製した。保護フィルム3は、その透湿度が79.0g/m2・24hであり、その残留溶剤含有量が0.01重量%以下であり、光弾性係数が9.5×10−13cm2/dynであった。また、保護フィルムの表面の、線状凹部の深さまたは凸部の高さは、20nm以下であり、かつ幅が800nm以上の範囲であった。保護フィルム1に代えて保護フィルム3を用いる他は実施例1と同様にして偏光板3を得た。偏光板3はおおむね図3に示すような構成である。なお、ハードコート層側の鉛筆硬度が4Hを越えるものであった。さらに、実施例1において、偏光板1に代えて偏光板3を用いる他は実施例1と同様にして液晶表示装置D3を得た。評価結果を表1に示した。
厚み32μmの脂環式オレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルム、表中COPと表記)の両面に、ポリスチレン樹脂(表中、PSと表記)からなる厚み20μmの単層押出成形フィルムを圧着ラミネートより貼り合せ保護フィルム4を作製した。保護フィルム4は、その透湿度が3.2g/m2・24hであり、その残留溶剤含有量が0.01重量%以下であり、光弾性係数が6.0×10−13cm2/dynであった。また、保護フィルムの表面の、線状凹部の深さまたは凸部の高さは、20nm以下であり、かつ幅が800nm以上の範囲であった。保護フィルム1に代えて保護フィルム4を用いる他は実施例1と同様にして偏光板4を得た。ハードコート層側の鉛筆硬度が3Hであった。さらに、実施例1において、偏光板1に代えて、偏光板4を用いる他は実施例1と同様にして液晶表示装置D4を得た。評価結果を表1に示した。
製造例5で得られた厚み32μmのトリアセチルセルロースフィルム(表中TACと表記、吸水率4%)の両面にポリメチルメタクリレート樹脂からなる厚み20μmの単層押出成形フィルムをアクリル系接着剤により貼り合せ、保護フィルム5を作製した。保護フィルム5は、その透湿度が84g/m2・24hであり、その残留溶剤含有量が0.2重量%であり、光弾性係数が2×10−13cm2/dynであった。また、保護フィルムの表面の、線状凹部の深さまたは凸部の高さは、30nm以下であり、かつ幅が700nm以上の範囲であった。保護フィルム1に代えて保護フィルム5を用いる他は実施例1と同様にして偏光板5を得た。なお、ハードコート層側の鉛筆硬度が4Hを越えるものであった。さらに、実施例1において、偏光板1に代えて偏光板5を用いる他は実施例1と同様にして液晶表示装置D5を得た。評価結果を表1に示した。
保護フィルム1に代えて、ポリメチルメタクリレート樹脂からなる厚み80μmの単層押出成形フィルムを保護フィルム6として用いた。保護フィルム6は、その透湿度が60g/m2・24hであり、その残留溶剤含有量が0.01重量%以下であり、光弾性係数が−6×10−13cm2/dynであった。また、保護フィルムの表面の、線状凹部の深さまたは凸部の高さは、20nm以下であり、かつ幅が800nm以上の範囲であった。保護フィルム6を用いた他は実施例1と同様にして偏光板6を得た。なお、ハードコート層側の鉛筆硬度が4Hであった。評価結果を表1に示した。
基材フィルム1に代えて、トリアセチルセルロースからなる厚み80μmの単層キャスト成形フィルムを保護フィルム7として用いた。保護フィルム7は、その透湿度が250g/m2・24hであり、その残留溶剤含有量が0.2重量%以下であり、光弾性係数が12×10−13cm2/dynであった。また、保護フィルムの表面の、線状凹部の深さまたは凸部の高さは、20nm以下であり、かつ幅が800nm以上の範囲であった。保護フィルム7として用い、ハードコート層の硬化後の厚みを15μmにした他は実施例1と同様にして偏光板7を得た。なお、ハードコート層側の鉛筆硬度が4Hであった。さらに、実施例1において、偏光板1に代えて、偏光板7を用いる他は実施例1と同様にして液晶表示装置D7を得た。評価結果を表1に示した。
1A 熱可塑性樹脂層
1B 親水性樹脂層
2 偏光子
3 入射側保護フィルム
4 接着層
5 ハードコート層
6 低屈折率層
10,20,30 偏光板
Claims (12)
- 偏光子と、この偏光子の一方の面に設けられる第1の保護フィルムと、前記偏光子の他方の面に設けられる第2の保護フィルムとを備える偏光板であって、
前記第1の保護フィルムおよび前記第2の保護フィルムの少なくとも一方の保護フィルムは、熱可塑性樹脂からなる複数の層を備え、
前記複数の層の少なくとも1層は、親水性基を有する高分子化合物を含んでなる親水性樹脂層であり、
その残留溶剤含有量が0.01重量%以下であることを特徴とする偏光板。 - 請求項1に記載の偏光板において、
前記親水性基を有する高分子化合物は、セルロースエステル類であることを特徴とする偏光板。 - 請求項2に記載の偏光板において、
前記セルロースエステル類は、炭素数3〜6個のアシル基を有するアセチルアシルセルロースであることを特徴とする偏光板。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板において、
前記少なくとも一方の保護フィルムは、その透湿度が10g/m2・24h以上であることを特徴とする偏光板。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板において、
前記少なくとも一方の保護フィルムは、共押出成形法により得られたものであることを特徴とする偏光板。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板において、
前記少なくとも一方の保護フィルムは、その厚みが200μm以下であることを特徴とする偏光板。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板において、
前記第1の保護フィルムまたは前記第2の保護フィルムにおける外部に露出する面は、線状凹部または線状凸部が実質的に形成されていない平坦な面であることを特徴とする偏光板。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板において、
前記少なくとも一方の保護フィルムにおいて、その少なくとも1層は、その引張弾性率が3.0GPa以上であることを特徴とする偏光板。 - 光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とをこの順に備える液晶表示装置に用いられる偏光板であって、
前記入射側偏光板および/または前記出射側偏光板は、請求項1〜8のいずれかに記載の偏光板であることを特徴とする偏光板。 - 請求項9に記載の偏光板において、
前記出射側偏光板は、前記液晶セルとは反対側の保護フィルムの上に設けられた反射防止層を備えることを特徴とする偏光板。 - 請求項9または10に記載の偏光板において、
前記入射側偏光板または前記出射側偏光板は、前記液晶セル側の保護フィルムの光弾性係数が30×10−13cm/dyn以下であることを特徴とする保護フィルム。 - 光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とをこの順に備える液晶表示装置であって、
前記入射側偏光板および前記出射側偏光板の少なくともいずれかが請求項1〜11のいずれかに記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
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