JP4816506B2 - 偏光板保護フィルム、反射防止フィルム、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents
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例えば高温高湿の条件下では、TACフィルムを透過した水分により、偏光子が脱色し、偏光特性は大きく低下してしまう。また、偏光板が大型化した場合には、湿度による偏光子、およびTACフィルムの寸法変化が原因となり、偏光板周辺部の偏光特性が低下してしまう現象が観られる。
従って、自動車搭載用等、高温高湿の過酷な条件下に曝される場合、あるいは大型テレヴィジョン等の大画面用途においては、より耐高温高湿性に優れた保護フィルムが要求される。
1点目は、機械的強度に劣り、非常に脆く、裂けやすいということである。容易に破断してしまうため、ロールトゥロールの合理的な製造工程で偏光板を生産することができない。
2点目は耐熱性が低いということである。偏光板の耐久性試験条件では、温度90℃/95%RHという過酷な高温高湿下となる。斯様な高温条件下においては、PMMA樹脂の機械強度が著しく低下し、偏光子を支持することができない。
1. メタクリル樹脂を含有してなる樹脂層を2層以上有する積層フィルムであって、
(1)積層フィルムを構成する層のうち、少なくとも1層が、ビカット軟化点が120℃以上である、メチルメタクリレート単位70重量%以上含有するメタクリル樹脂Aにより形成された層Aであり、
(2)積層フィルムを構成する層のうち、少なくとも別の1層が、ビカット軟化点が95℃〜115℃、引張り破壊ひずみが15%以上である、メチルメタクリレート単位70重量%以上含有するメタクリル樹脂Bにより形成された層Bであり、
(3)積層フィルムの一方の最表面が層Bである
ことを特徴とする積層フィルム。
2. 積層フィルム全体の厚さが100μm以下であり、層Aの厚さが30μm以上であり、かつ層Bの厚みが積層フィルム全体の厚みの10%以上である上記1.記載の積層フィルム。
3. 最表面にある層Bの表面粗さが8〜30nmで上記1.〜2.記載の積層フィルム。
4. メタクリル樹脂Aが、N−アルキルマレイミド単位、無水マレイン酸単位、及びエステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル化合物単位からなる群より選ばれるモノマー単位の合計が、全モノマー単位中2〜30重量%である上記1.〜3.記載の積層フィルム。
5. メタクリル樹脂Bが多層構造アクリルゴム粒子を含有するものである上記1.〜4.記載の積層フィルム。
6. 他方の最表面が層Aである上記1.〜5.記載の積層フィルム。
7. 上記6.記載の最表面の層A上に、更にハードコート層、反射防止層が順次積層されてなる反射防止フィルム。
8. 上記1〜6記載の積層フィルムの層B上に、偏光子が積層された偏光板。
9. 上記7.記載の反射防止フィルムの最表面の層B上に、偏光子が積層された偏光板。
10. 光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とをこの順に有する液晶表示装置であって、前記入射側偏光板および/または出射側偏光板が、上記8又は9に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
本発明に用いるメタクリル樹脂は、メチルメタクリレート単位を70重量%以上、好ましくは70〜98重量%、より好ましくは70〜95重量%、特に好ましくは75〜95重量%含有する。メタクリル樹脂がメチルメタクリレートの単独重合体でない場合、これと共重合可能なモノマー単位の含有量は、30重量%以上、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。メタクリル樹脂は、メチルメタクリレートと、必要に応じて用いられるこれと共重合可能なモノマーとを、常法に従って重合することにより得られる。
共重合可能なモノマーとしては、N−アルキルマレイミド;無水マレイン酸;エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル化合物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族;アクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸アルキルエステル;など、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を分子内に1つ有する化合物が挙げられる。芳香族ビニル化合物は、メチルメタクリレートとN−アルキルマレイミドや無水マレイン酸との共重合反応性を高めることができる。また、アクリル酸エステルを共重合することで、樹脂の高温での熱分解を抑制することができる。
メチルメタクリレートと共重合可能なモノマーの種類や使用割合を制御すること、他の配合剤を用いることなどにより、層Aや層Bを形成することができる。
更に、本発明の積層フィルムは、一方の最表面が層Bである。
このようなビカット軟化点を与えるメタクリル樹脂Aとしては、メチルメタクリレート単位の他に、N−アルキルマレイミド単位、無水マレイン酸単位、及びエステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル化合物単位のいずれか1種以上を2〜30重量%、好ましくは5〜20重量%含有するものが好適な例として挙げられる。メチルメタクリレート単位以外の単位の割合が2重量%未満では耐熱性の改善がみられず、30重量%を超えると成形性が損なわれる。もちろん、メタクリル樹脂Aは、ビカット軟化点が規定の範囲である限りにおいて、N−アルキルマレイミド単位、無水マレイン酸単位、及びエステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル化合物単位以外の単位を有していても良い。
この接着剤からなる層の平均厚さは、通常0.01〜30μm、好ましくは0.1〜15μmである。
フィルム全体の厚さが100μmより厚いと、フィルムの屈曲性が悪化する。
また、層Aの厚さが30μm以上であって、かつ層Bの厚みが積層フィルム全体の厚みの10%以上であることが好ましい。層Bの厚みは30%以上であることがより好ましい。層Aの厚さが30μmより薄いと、フィルムの耐熱性が悪化する場合がある。また層Bの厚みが積層フィルム全体の厚みの10%より小さいと、フィルムの屈曲性、耐衝撃性が悪化する場合がある。尚、本発明において積層フィルム中に層Aが複数ある場合、その合計厚さが上記範囲であればよく、層Bが複数ある場合、その合計厚さが上記範囲であれば良い。
但し、複数の層A及び/又は層Bがある場合であっても、層A及び層Bの各1層の厚みは、それぞれ、いずれも1μm以上とするのが、生産性と光学特性とのバランスの観点から望ましい。
一方で表面粗さが大き過ぎると、表面での光の散乱により、フィルムの透明性が損なわれてしまう。
各機能層は、表示素子製造に採用される通常の機能層を選択すればよく、積層方法は常法に従えば良い。
このハードコート層は、その屈折率nHが、その上に積層する低屈折率層の屈折率nLとの間に、nH≧1.53、及びnH 1/2−0.2<nL<nH 1/2+0.2、の関係を有することが、反射防止機能を発現させるために好ましい。
低屈折率層を形成するための材料としては、耐傷性を向上できる点で、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム等の微粒子をアルコール溶媒に分散したゾルが含まれたものを用いることができる。前記微粒子は、反射防止性の観点から、屈折率が低いものほど好ましい。このような微粒子は、空隙を有するものであってもよく、特にシリカ中空微粒子が好ましい。中空微粒子の平均粒径は、5nm〜2,000nmが好ましく、20nm〜100nmがより好ましい。ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求められる数平均粒径である。
低屈折率層の厚さは特に制限されないが、0.05〜0.3μm程度、特に0.1〜0.3μmとするのが好ましい。
これらの機能層の形成方法に格別な限定はなく、各機能層の形成に一般的な方法を採用すればよい。
実施例および比較例で得た保護フィルムを下記の方法により評価した。
<試験・評価方法>
(1)ビカット軟化点
樹脂のビカット軟化点はJIS K 6717−2に準拠して試験片を作成し、測定した。
(2)曲げ弾性率
樹脂の曲げ弾性率は、JIS K 6717−2に準拠して試験片を作成し、測定した。
(3)引っ張り破壊ひずみ
樹脂の引っ張り破壊ひずみは、JIS K 6717−2に準拠して試験片を作成し、測定した。サンプルが降伏を伴わずに破壊する場合は、引張破壊ひずみ、降伏後に破壊する場合は、引張破壊時呼びひずみの測定値をもって引っ張り破壊ひずみとした。
フィルムの表面粗さRa値は、原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡)を用いて測定した。セイコーインスツルメント社製の走査型プローブ顕微鏡(SPI3800シリーズ)を用い、ダイナミックフォースモードでフィルムの表面を30μm角の範囲で原子間力顕微鏡計測走査を行ない、得られる表面のプロファイル曲線よりJIS B 0601の規定するRaに相当する算術平均粗さより求めた。面内方向の拡大倍率は、1万〜5万倍、高さ方向の拡大倍率は100万倍程度とした。この値が小さすぎると(例えば5nm以下)、フィルムのハンドリング性が低下する。
恒温槽及び自動伸び計を設置した精密万能試験機(製品名「オートグラフAG−IS」、島津製作所社製)で測定を行った。JIS K 7139に準拠しB形の試験片を作成し、50mmの間隔で標線を設けた。温度を100±0.5℃に保持し、試験片両端を1Nの荷重で引っ張りながら、500秒間保持した後、自動伸び計で50mmの標線間隔の変位(ΔL)を測定した。測定値から以下の式によってクリープを算出した。
β=ΔL/50
この値が小さいほど、耐熱性は高くなる。
JIS K 5600−5−1に準拠して測定した。サンプルフィルムに割れ、クレージングが生じる最も大きなマンドレルの直径をもって屈曲性の指標とした。
(7)静摩擦係数
JIS K 7125に準拠して測定した。下になる一方の試験片として、鏡面仕上げのSUS304板を使用した。
この値が小さいほど、フィルムのハンドリング性は良好となる。
(8)△nd(位相差)
高速分光エリプソメーター「M−2000U」(製品名、J.A.Woollam社製)を用いて、波長550nmにおける値を求めた。この値が小さいほど、光学特性に優れた偏光板となる。
JIS K 5600−5−4に準拠し測定した。円柱状に削った鉛筆芯を45度の角度に傾け、上から750gの荷重を掛け、被測定物の表面を5mm程度引っかいて傷の有無を確認する。傷の付かない最も高い鉛筆の硬度を鉛筆硬度とした。
(10)偏光板耐久試験
偏光板を90℃/95%RHの条件下に500時間放置し、処理後の偏光度Pを測定した。偏光度Pは、2枚平行透過率Tpと2枚直行透過率Tcから次式により算出される。
P=[(Tp−Tc)/(Tp+Tc)]1/2
この値が大きいほど、耐熱性に優れた偏光板となる。
メチルメタクリレート(以下、MMAと記す)100重量部、N−シクロへキシルマレイミド15重量部、スチレン15重量部、アゾ−t−ブタン0.05重量部、トルエン200重量部を有する混合物を調整した後、孔径0.05μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過しながら、重合槽に仕込んだ。重合槽中、窒素加圧下、130℃で16時間溶液重合した後、徐々に加熱して、最終的に180℃で16時間保持し、重合開始剤を分解させた。更に昇温して230℃で1時間保持した後、窒素加圧下で脱モノマー工程に供し、未反応モノマー等を除去して樹脂1を得た。
樹脂1のビカット軟化点は、128℃、曲げ弾性率は3300MPaであった。
また、樹脂1の各構造単位の割合(重量比)は、1H−NMRスペクトルによる測定の結果、MMA/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン=77/11/12であった。
樹脂2として、超耐熱性PMMA樹脂「デルペット980N」(製品名、旭化成ケミカルズ社製;メチルメタクリレート/スチレン/無水マレイン酸の共重合体)を使用した。該樹脂には、無水マレイン酸単位が約10重量%共重合されている。
樹脂2のビカット軟化点は、125℃、曲げ弾性率は3800MPaであった。
樹脂3として、PMMA樹脂「デルペット80NH」(製品名、旭化成ケミカルズ社製;メチルメタクリレート/メチルアクリレート共重合体)を使用した。この樹脂には、N−アルキルマレイミド単位、無水マレイン酸単位、およびエステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル化合物単位のいずれも含まれていない。
樹脂3のビカット軟化点は、118℃、曲げ弾性率は3300MPaであった。
かき混ぜ機とコンデンサーを備えた反応器中に、蒸留水6860mlと乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ソーダ20gとを投入し、攪拌しながら、窒素雰囲気下75℃に昇温し、酸素の影響が無い状態下に、乳化剤入り蒸留水を得た。
この乳化剤入り蒸留水中に、MMA220g、n−ブチルアクリレート33g、アリルメタクリレート(以下、ALMAと記す)0.8g及びジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド(以下、PBPと記す)0.2gからなる混合液を加え、80℃で15分間保持し、第1層目を重合した。
次にn−ブチルアクリレート1270g、スチレン320g、ジエチレングリコールアクリレート20g、ALMA13.0g及びPBP1.6gからなる混合液を、第1層目の重合を終えた反応液中に、1時間にわたって連続的に滴下し、滴下終了後、更に40分かけて反応を進行させ、第2層目を重合した。
次に3層目の重合として、第2層目の反応を終えた反応液中に、MMA340g、n−ブチルアクリレート2.0g、PBP0.3g及びn−オクチルメルカプタン0.1gからなる混合液を添加し、更にMMA340g、n−ブチルアクリレート2.0g、PBP0.3g及びn−オクチルメルカプタン1.0gからなる混合液を添加した。その後、温度を95℃に上げ30分間保持し、多層構造アクリル系ゴム粒子のラテックスを得た。ラテックスを少量採取し、吸光度法により平均粒径を求めたところ、200μmであった。
得られたラテックスを0.5%塩化アルミニウム水溶液中に投入して重合体を凝集させ、温水で5回洗浄後、乾燥して多層アクリル系ゴム粒子Aを得た。
PMMA樹脂「デルペット80NH」(製品名、旭化成ケミカルズ社製;メチルメタクリレート/メチルアクリレート共重合体)80重量部と、多層アクリル系ゴム粒子A20重量部とを混合した後、2軸押出機を用いて260℃で溶融混錬し樹脂3を得た。
樹脂4のビカット軟化点は、102℃、曲げ弾性率は2500MPaであった。
多層アクリル系ゴム粒子添加量を80重量部とする他は、樹脂4と同様にして樹脂5を作成した。
樹脂5のビカット軟化点は、90℃、曲げ弾性率は1500MPaであった。
PMMA樹脂「デルペット80NH」の替わりに樹脂1を用いる他は、樹脂4の製造方法と同様に樹脂6を作成した。
樹脂6のビカット軟化点は、115℃、曲げ弾性率は2500MPaであった。
<積層フィルムの作製>
2種2層の多層共押出装置を使用し、樹脂1、樹脂4をそれぞれ、20kg/hr、20kg/hrの押出量で、700mm幅、スリットの間隙が1mmのT型ダイスよりシート状にして吐出させ、該シートを100℃の金属ロールで10m/分程度の速度で引き取りながら冷却し、樹脂1層40μm厚−樹脂4層40μm厚が積層された積層フィルム1を得た。上記金属ロール面には樹脂1層が接触し、樹脂4層は金属ロールとは非接触となるように吐出させた。T型ダイスより吐出した直後のシートの厚みは約1mmあり、T型ダイスよりはき出されたシートは、最終的に10倍以上延伸されたことになる。
積層フィルム1の、クリープ、屈曲性、金属ロール非接触面の静摩擦係数、△ndを測定した。また樹脂4からなる層(層B)の表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
積層フィルム1を使用して、以下の通りに反射防止フィルムを作成した。
五酸化アンチモンのメチルイソブチルケトンゾル(固形分濃度40%、触媒化成社製)100部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8部、トリメチロールプロパントリアクリレート2部、光重合開始剤2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.4部を混合し、紫外線硬化型のハードコート剤1を得た。
中空シリカ微粒子のイソプロピルアルコールゾル(固形分濃度20%、触媒化成社製)100部に、テトラメトキシシランのオリゴマー「メチルシリケート51」(製品名、コルコート社製)20部、アンモニア水(アンモニア28重量%)34部、メタノール600部を混合して低屈折率層形成用塗工液1を得た。
積層フィルム1の樹脂1から形成された層A上に、ワイヤーバーを用いて、ハードコート剤1を塗布、乾燥(100℃×2分間)、紫外線照射(積算光量1000mW/cm2)することにより、膜厚5μmのハードコート層(高屈折率層)を得た。
次いで、高屈折率層上に、ワイヤーバーを用いて、低屈折率層用塗工液1を塗布、加熱(130℃×10分間)し、膜厚100nmの低屈折率層を形成して、積層フィルム1の層A側に反射防止層が形成された反射防止フィルム1を得た。
反射防止フィルム1の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
ウレタン系接着剤を介して積層フィルム1と反射防止フィルム1とを、厚さ30μmのヨウ素・PVA系偏光フィルムの両面に接着し、偏光板1を作成した。
尚、本実施例、比較例において得られる偏光板は、積層フィルムの層B側(層Bに相当する層が無い場合は、他の樹脂からなる層側)と、反射防止フィルムの反射防止層が形成されていない側とが偏向フィルムに対抗するように配置されたものである。
偏光板1の耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
<積層フィルムの作製>
樹脂1の替わりに樹脂2を使用する他は実施例1と同様にして、積層フィルム2を作成した。
積層フィルム2の、クリープ、屈曲性、金属ロール非接触面の静摩擦係数、△ndを測定した。また樹脂4からなる層(層B)の表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
積層フィルム2を用い、実施例1と同様にして、積層フィルム2の層A側に反射防止層が形成された反射防止フィルム2を作成した。反射防止フィルム2の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
積層フィルム2と反射防止フィルム2とを用い、実施例1と同様にして偏光板2を作成した。偏光板2の耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
2種3層の多層共押出装置を使用し、樹脂1、樹脂4をそれぞれ、20kg/hr、20kg/hrの押出量で、700mm幅、スリットの間隙が1mmのT型ダイスよりシート状にして吐出させ、該シートを100℃の金属ロールで10m/分程度の速度で引き取りながら冷却し、樹脂4層20μm厚−樹脂1層40μm厚−樹脂4層20μm厚が積層された積層フィルム3を得た。
積層フィルム3の、クリープ、屈曲性、金属ロール非接触面の静摩擦係数、△ndを測定した。また樹脂4からなる層(層B)の表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
積層フィルム3を用い、実施例1と同様にして、積層フィルム3の層A側に反射防止層が形成された反射防止フィルム3を作成した。反射防止フィルム3の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
積層フィルム3と反射防止フィルム3とを用い、実施例1と同様にして偏光板3を作成した。偏光板3の耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
トリアセチルセルロースフィルム「KC8UX2M」(製品名、コニカ・ミノルタ社製、厚み80μm;表中は「TAC」と表記)をフィルム4とした。
フィルム4の、クリープ、屈曲性、金属ロール非接触面の静摩擦係数、△ndを測定した。またフィルム4の表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
フィルム4を用い、実施例1と同様にして反射防止フィルム4を作成した。反射防止フィルム4の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
フィルム4と反射防止フィルム4とを用い、実施例1と同様にして偏光板4を作成した。
偏光板4の耐久性試験を行った。90℃/95%RH環境下に500時間放置後の偏光板4は、不透明に白濁してしまい、偏光度Pの測定が不可能であった。
単層押出装置を使用し、樹脂1を40kg/hrの押出量で、700mm幅、スリットの間隙が1mmのT型ダイスよりシート状にして吐出させ、該シートを100℃の金属ロールで10m/分程度の速度で引き取りながら冷却し、80μm厚のフィルム5を得た。
フィルム5の、クリープ、屈曲性、金属ロール非接触面の静摩擦係数、△ndを測定した。またフィルム5の表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
フィルム5を用い、実施例1と同様にして反射防止フィルム5を作成した。反射防止フィルム5の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
フィルム5と反射防止フィルム5とを用い、実施例1と同様にして偏光板5の作成を試みた。しかしフィルムが極めて脆く、偏光フィルムとの接着加工が不可能であり、偏光板が作成できなかった。
単層押出装置を使用し、樹脂1を40kg/hrの押出量で、700mm幅、スリットの間隙が1mmのT型ダイスよりシート状にして吐出させ、該シートを100℃の金属ロールで2.3m/分程度の速度で引き取りながら冷却し、350μm厚のフィルムを得た。
このフィルムを、パンタグラフ式延伸試験機を用い、延伸温度145℃で縦、横両方向にそれぞれ2.1倍延伸し、厚さ80μmのフィルム6を得た。
フィルム6の、クリープ、屈曲性、金属ロール非接触面の静摩擦係数、△ndを測定した。またフィルム6の表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
フィルム6を用い、実施例1と同様にして反射防止フィルム6の作成を試みた。しかし、低屈折率層の加熱処理中に、フィルムが著しくカールしてしまい、反射防止フィルムを得ることができなかった。
フィルム6を2枚用い、実施例1と同様にして偏光板6を作成した。偏光板6の耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
樹脂1の替わりに樹脂3を使用する他は実施例1と同様にして、積層フィルム7を作成した。
積層フィルム7の、クリープ、屈曲性、金属ロール非接触面の静摩擦係数、△ndを測定した。結果を表1に示す。
積層フィルム7を用い、実施例1と同様にして、反射防止フィルム7の作成を試みた。しかし、低屈折率層の加熱処理中に、フィルムの平面性が著しく悪化し、ハードコート層がひび割れてしまい、反射防止フィルムを得ることができなかった。
積層フィルム7を2枚用い、実施例1と同様にして、積層フィルム7の他の樹脂を用いて得られた層側に偏光板7を作成した。偏光板7の耐久性試験を行った。また樹脂4からなる層(層B)の表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
樹脂4の替わりに樹脂5を使用する他は実施例1と同様にして、積層フィルム8を作成した。
積層フィルム8の、クリープ、屈曲性、金属ロール非接触面の静摩擦係数、△ndを測定した。また樹脂5からなる層の表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
積層フィルム8を用い、実施例1と同様にして、積層フィルム8の層A側に反射防止層が形成された反射防止フィルム8を作成した。低屈折率層の加熱処理中にフィルムの平面性が悪化し、ハードコート層にひび割れが生じたが、一部サンプルを採取することができた。反射防止フィルム8の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
積層フィルム8と反射防止フィルム8とを用い、実施例1と同様にして偏光板8を作成した。偏光板8の耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
2種2層の多層共押出装置を使用し、樹脂1、樹脂5をそれぞれ、15kg/hr、25kg/hrの押出量で、700mm幅、スリットの間隙が1mmのT型ダイスよりシート状にして吐出させ、該シートを2本のポリシング金属ロール(温度100℃)の間に、シートの両面がロール表面に接するように挟み込み、10m/分程度の速度で引き取りながら冷却し、樹脂1層40μm厚−樹脂5層30μm厚が積層された積層フィルム9を得た。
積層フィルム9の、クリープ、屈曲性、金属ロール非接触面の静摩擦係数、△ndを測定した。また樹脂5からなる層の表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
積層フィルム9を用い、実施例1と同様にして、積層フィルム9の層A側に、反射防止層が形成された反射防止フィルム9を作成した。低屈折率層の加熱処理中にフィルムの平面性が悪化し、ハードコート層にひび割れが生じたが、一部サンプルを採取することができた。
反射防止フィルム9の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
積層フィルム9と反射防止フィルム9とを用い、実施例1と同様にして偏光板9を作成した。偏光板9の耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
樹脂1の替わりに樹脂6を使用する他は比較例2と同様にして、フィルム10を作成した。
フィルム10の、クリープ、屈曲性、金属ロール非接触面の静摩擦係数、△ndを測定した。またフィルム10の表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
フィルム10を用い、実施例1と同様にして反射防止フィルム10を作成した。低屈折率層の加熱処理中にフィルムの平面性が悪化し、ハードコート層にひび割れが生じたが、一部サンプルを採取することができた。
反射防止フィルム10の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
フィルム10と反射防止フィルム10とを用い、実施例1と同様にして偏光板10を作成した。偏光板10の耐久性試験を行った。結果を表1に示す。
層Bに相当するビカット軟化点が115℃の樹脂層のみを有し、層Aに相当する樹脂層がない場合(比較例7)、屈曲性に劣り、また高温高湿条件下での耐久性に劣る偏光板しか得られないことが判る。
一方、本願発明の積層体を用いると(実施例1〜3)、偏光板保護フィルムとして好適な、光学性能、耐高温高湿性、及びハンドリング性に優れ、十分な表面硬度が得られ、良質な反射防止層を形成できることが判る。
10 積層フィルム
20 ハードコート層
30 低屈折率層
A メタクリル樹脂層(層A)
B メタクリル樹脂層(層B)
Claims (10)
- メタクリル樹脂を含有してなる樹脂層を2層以上有する偏光板保護フィルムであって、
(1)偏光板保護フィルムを構成する層のうち、少なくとも1層が、ビカット軟化点が120℃以上である、メチルメタクリレート単位70重量%以上含有するメタクリル樹脂Aにより形成された層Aであり、
(2)偏光板保護フィルムを構成する層のうち、少なくとも別の1層が、ビカット軟化点が95℃〜115℃、引張り破壊ひずみが15%以上であるメタクリル樹脂Bにより形成された層Bであり、
(3)偏光板保護フィルムの一方の最表面が層Bであり、
前記メタクリル樹脂Bは、メチルメタクリレート単位を70重量%以上含有するメタクリル樹脂と、多層構造アクリルゴム粒子とを含有し、前記多層構造アクリルゴム粒子の含有割合が、メタクリル樹脂B全体量の20〜60重量%である
ことを特徴とする偏光板保護フィルム。 - 偏光板保護フィルム全体の厚さが100μm以下であり、層Aの厚さが30μm以上であり、かつ層Bの厚みが偏光板保護フィルム全体の厚みの10%以上である請求項1記載の偏光板保護フィルム。
- 最表面にある層Bの表面粗さが8〜30nmである請求項1又は2記載の偏光板保護フィルム。
- メタクリル樹脂Aが、N−アルキルマレイミド単位、無水マレイン酸単位、及びエステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル化合物単位からなる群より選ばれるモノマー単位の合計が、全モノマー単位中2〜30重量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の偏光板保護フィルム。
- 他方の最表面が層Aである請求項1〜4のいずれか1項記載の偏光板保護フィルム。
- 前記層Bが、偏光子に向くようにして用いられる、請求項1〜5のいずれか1項記載の偏光板保護フィルム。
- 請求項5記載の偏光板保護フィルムの最表面の層A上に、更にハードコート層、反射防止層が順次積層されてなる反射防止フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の偏光板保護フィルムの最表面の層B上に、偏光子が積層された偏光板。
- 請求項7記載の反射防止フィルムの最表面の層B上に、偏光子が積層された偏光板。
- 光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とをこの順に有する液晶表示装置であって、前記入射側偏光板および/または出射側偏光板が、請求項8又は9に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
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