JP2007204620A - 発泡樹脂成形体貼合用アクリルフィルム及び積層成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】発泡樹脂からなる基材層と、割れ難い表面層を有し、外観が悪化し難い積層成形体を提供する。
【解決手段】メタクリル樹脂及びゴム粒子を含有する樹脂組成物からなり、厚さが30〜500μmであるアクリルフィルムを、発泡樹脂成形体に貼合する。メタクリル樹脂としては、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体が好ましく用いられ、ゴム粒子としては、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を含有する粒子が好ましく用いられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡樹脂成形体に貼合するためのアクリルフィルムに関する。また、本発明は、このアクリルフィルムを発泡樹脂成形体に貼合してなる積層成形体にも関係している。
発泡樹脂は、その軽量性や加工性を生かして、住宅や自動車の内装部材や外装部材の材料として、好ましく用いられている。このような発泡樹脂製品は、表面を保護するためや、深み感を与えるために、発泡樹脂からなる基材層と透明樹脂からなる表面層を有する積層成形体として構成されることが多く、この透明樹脂としては、耐侯性や表面硬度などの点から、アクリル樹脂が好ましく用いられている。例えば、特開平4−25428号公報(特許文献1)、特開平7−329229号公報(特許文献2)、特開平9−216268号公報(特許文献3)、特開平10−329253号公報(特許文献4)、特開平11−254569号公報(特許文献5)には、発泡樹脂からなる基材層とアクリル樹脂からなる表面層を有する積層成形体を、共押出成形や押出ラミネート成形により得ることが開示されている。
特開平4−25428号公報 特開平7−329229号公報 特開平9−216268号公報 特開平10−329253号公報 特開平11−254569号公報
従来の発泡樹脂からなる基材層とアクリル樹脂からなる表面層を有する積層成形体は、表面層の耐衝撃性や柔軟性が必ずしも十分でないため、衝撃を受けたり、変形したりしたときに、表面層が割れ易く、外観が悪化し易いという問題があった。
そこで、本発明者らは、かかる問題を解消すべく、鋭意検討を行った結果、上記積層成形体を得るための処方として、発泡樹脂成形体にフィルムを貼合するという処方を採用し、かつ、この貼合用フィルムとして、所定の組成及び厚さを有するアクリルフィルムを採用することにより、割れ難い表面層を有し、外観が悪化し難い積層成形体が容易に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、発泡樹脂成形体に貼合するためのアクリルフィルムであって、メタクリル樹脂及びゴム粒子を含有する樹脂組成物からなり、厚さが30〜500μmであることを特徴とするアクリルフィルムを提供するものである。
また、本発明によれば、このアクリルフィルムを発泡樹脂成形体に貼合してなる積層成形体も提供される。
本発明のアクリルフィルムを発泡樹脂成形体に貼合することにより、割れ難い表面層を有し、外観が悪化し難い積層成形体を容易に得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のアクリルフィルムは、発泡樹脂成形体に貼合するためのアクリルフィルムであって、メタクリル樹脂及びゴム粒子を必須に含有する樹脂組成物からなるものである。
この樹脂組成物の必須成分の1つであるメタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%であり、より好ましくは、メタクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、アクリル酸アルキルが0.1〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。そして、この単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物などが挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
メタクリル樹脂は、フィルムの耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であるのが好ましく、60℃以上であるのがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより、調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
アクリルフィルムを構成する樹脂組成物のもう1つの必須成分であるゴム粒子としては、例えば、アクリル系、ブタジエン系、スチレン−ブタジエン系などのものを用いることができるが、中でも、耐侯性の点から、アクリルゴム粒子が好ましく用いられる。
アクリルゴム粒子は、ゴム成分としてアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を含有する粒子であり、この弾性重合体のみからなる単層構造の粒子であってもよいし、この弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であってもよいが、フィルムの表面硬度の点から、多層構造の粒子であることが好ましい。また、この弾性重合体は、アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、アクリル酸エステルとしては、通常、アクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、アクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、これ以外の単官能単量体が0〜49.9重量%、多官能単量体が0.1〜10重量%である。
ここで、アクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは4〜8である。
また、アクリル酸アルキル以外の単官能単量体は、メタクリル酸アルキルその他の単官能単量体であることができ、その例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例や、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様である。
また、多官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様であり、中でも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや、多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましく用いられる。
なお、上記のアクリル酸アルキル、これ以外の単官能単量体、及び多官能単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
アクリルゴム粒子として多層構造のものを使用する場合、その好適な例としては、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を内層とし、メタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも2層構造のものを挙げることができる。ここで、外層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、外層の重合体は、内層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。外層の重合体を、内層の弾性重合体100重量部に対し10重量部以上とすることで、該弾性重合体の凝集が生じ難くなり、フィルムの透明性が良好となる。
上記外層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体であってもよいし、多官能単量体であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。そして、この単官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
また、多層構造のアクリルゴム粒子の好適な例として、上記2層構造の内層であるアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、このメタクリル酸エステルを主体とする重合体を内層とし、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を中間層とし、先のメタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも3層構造のものを挙げることもできる。ここで、内層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、内層の重合体は、中間層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。
上記内層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが70〜100重量%、これ以外の単量体0〜30重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、メタクリル酸アルキル以外の単量体は、アクリル酸アルキルその他の単官能単量体であってもよいし、多官能単量体であってもよい。そして、この単官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例や、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体の例は、先にメタクリル酸樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
このような3層構造のアクリルゴム粒子は、例えば、特公昭55−27576号公報(米国特許第3793402号明細書)に開示されている。特に、同公報の実施例3に記載のものは、好ましい組成の一つである。
アクリルゴム粒子は、先に述べたアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、調製することができる。その際、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、この外層の重合体の単量体成分を、上記弾性重合体の存在下に、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。また、先に述べた如く、上記弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、まず、この内層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させ、次いで、得られる重合体の存在下に、上記弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記内層の重合体にグラフトさせ、さらに、得られる弾性重合体の存在下に、上記外層の重合体の単量体成分を、乳化重合法などにより、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。なお、各層の重合を、それぞれ2段以上で行う場合、いずれも、各段の単量体組成ではなく、全体としての単量体組成が所定の範囲内にあればよい。
ゴム粒子としては、平均粒子径が0.05〜0.4μmであるものが好ましく用いられる。ゴム粒子の平均粒子径があまり小さいと、フィルムの表面硬度が低下して、傷が付き易くなったり、フィルムの耐衝撃性や柔軟性が低下して、割れ易くなったりする。一方、ゴム粒子の平均粒子径があまり大きいと、フィルムの透明性や表面平滑性が低下して、外観が悪化し易くなる。ゴム粒子は、一般的には乳化重合により製造することができ、その際、乳化剤の添加量や単量体の仕込み量などを調節することによって、平均粒子径を所望の値にコントロールすることができる。
メタクリル樹脂とゴム粒子との配合割合は、両者の合計100重量部を基準に、通常、メタクリル樹脂が30〜95重量部、ゴム粒子が5〜70重量部であり、好ましくは、メタクリル樹脂が40〜90重量部、ゴム粒子が10〜60重量部である。メタクリル樹脂の割合があまり小さく、ゴム粒子の割合があまり大きいと、フィルムの表面硬度が低下して、傷が付き易くなったり、フィルムの透明性や表面平滑性が低下して、外観が悪化し易くなったりする。一方、メタクリル樹脂の割合があまり大きく、ゴム粒子の割合があまり小さいと、フィルムの耐衝撃性や柔軟性が低下して、割れ易くなる。
以上説明したメタクリル樹脂及びゴム粒子を含有する樹脂組成物は、必要に応じて他の成分、例えば、紫外線吸収剤、有機系染料、無機系染料、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤などを含有してもよい。
上記樹脂組成物をフィルム化することにより、本発明のアクリルフィルムが得られる。このフィルム化の方法は適宜選択されるが、押出成形法、特に、上記樹脂組成物を溶融押出し、一対の鏡面ロールに挟み込んで成形する方法が、フィルムの表面平滑性や厚さの均一性の点から、有利に採用される。
こうして得られるアクリルフィルムは、その厚さが30〜500μmであり、好ましくは40〜200μmである。あまり薄いフィルムは、特に表面平滑性の高いものを得ようとする場合に、成膜し難くなる。一方、あまり厚いフィルムは、特に発泡樹脂成形体に連続的に貼合する場合に、取り扱い難くなり、単位面積あたりの単価が増加して、コスト的にも不利となる。フィルムの厚さは、製膜速度、T型ダイスの吐出口厚み、ロールの間隙などを調節することにより、調整できる。
上記アクリルフィルムを発泡樹脂成形体に貼合することにより、割れ難い表面層を有し、外観が悪化し難い積層成形体を容易に得ることができる。また、このアクリルフィルムに着色や印刷などの加飾を施しておくことにより、積層成形体に意匠性を付与することができる。特に、フィルムの片面に印刷などの加飾を施し、該加飾面を発泡樹脂成形体側に向けて貼合すると、深み感のある意匠性を付与することができて、好ましい。
発泡樹脂成形体を構成する発泡樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂の如きポリオレフィン樹脂などを発泡させたものを用いることができる。なお、発泡樹脂には、必要に応じて、紫外線吸収剤、有機系染料、無機系染料、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤などの添加剤が配合されていてもよい。
発泡樹脂成形体の形状は特に限定されないが、シートやフィルムが代表的である。また、発泡樹脂成形体の表面は、平面であってもよいし、曲面になっていてもよいし、凹凸が設けられていてもよい。なお、発泡樹脂成形体は、必要に応じて、発泡樹脂からなる層以外の層、例えば、非発泡の樹脂からなる加飾層や補強層などを有していてもよい。
発泡樹脂成形体への上記アクリルフィルムの貼合は、例えば、フィルムを熱融着させることにより行ってもよいし、接着剤を用いて行ってもよい。接着剤としては、例えば、化学反応型、溶剤揮散型、熱溶融型、感圧型などのものが挙げられる。接着剤を用いる場合、例えば、アクリルフィルム、フィルム状接着剤及び発泡樹脂成形体を重ね合わせることにより貼合してもよいし、アクリルフィルム及び発泡樹脂成形体の少なくとも一方の表面に、塗布などにより接着剤層を形成した後、両者を重ね合わせることにより貼合してもよい。また、貼合の際、接着剤の種類に応じて、加熱したり、紫外線などのエネルギー線を照射したりすればよい。また、この貼合は、枚葉で行ってもよいし、連続的に行ってもよい。こうして得られる積層成形体は、住宅や自動車の内装部材や外装部材をはじめ、各種用途に使用できる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。
メタクリル樹脂として、メタクリル酸メチルと少量のアクリル酸メチルを用いて重合させた熱可塑性重合体(ガラス転移温度104℃)のペレットを用いた。
ゴム粒子(A)として、特公昭55−27576号公報の実施例3に準じて製造され、最内層がメタクリル酸メチルと少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた硬質重合体、中間層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた弾性重合体、最外層がメタクリル酸メチルと少量のアクリル酸メチルを用いて重合させた硬質重合体からなる球形3層構造であり、平均粒子径が0.22μmのものを用いた。
ゴム粒子(B)として、特公昭55−27576号公報の実施例3に準ずるが、最内層の硬質重合体層を形成することなく製造され、内層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた弾性重合体、外層がメタクリル酸メチルと少量のアクリル酸メチルを用いて重合させた硬質重合体からなる球形2層構造であり、平均粒子径が0.09μmのものを用いた。
実施例1
メタクリル樹脂のペレット80部とゴム粒子(A)20部とをスーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混練して樹脂組成物のペレットとした。このペレットを、65mmφ一軸押出機によりT型ダイを介して溶融押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、厚さ125μmのアクリルフィルムを得た。
次いで、このアクリルフィルムを31cm×31cmに切断し、これに30cm×30cmに切断した厚さ150μmの接着性フィルム〔東ソー・ニッケミ(株)のメルセンG7053〕、及び31cm×31cmに切断した厚さ1.0mmの発泡ポリプロピレンシート〔東レ(株)のトーレペフ〕をこの順番で重ね合わせ、ラミネーター〔フジプラ(株)のLPA450〕により、ロール温度130℃、ロール速度20cm/minで熱貼合して、積層シートを得た。この積層シートを観察したところ、アクリルフィルム層に割れは見られず、良好な外観を有していた。また、この積層シートを折り曲げたり、落としたりしても、アクリルフィルム層が割れることはなく、良好な外観が維持された。
実施例2
メタクリル樹脂50部とゴム粒子(B)50部とをスーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混練して樹脂組成物のペレットとした。このペレットを、65mmφ一軸押出機によりT型ダイを介して溶融押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、厚さ125μmのアクリルフィルムを得た。
次いで、このアクリルフィルムを31cm×31cmに切断し、これに30cm×30cmに切断した厚さ150μmの接着性フィルム(同上)、及び31cm×31cmに切断した厚さ1.0mmの発泡ポリプロピレンシート(同上)をこの順番で重ね合わせ、ラミネーター(同上)により、ロール温度130℃、ロール速度40cm/minで熱貼合して、積層シートを得た。この積層シートを観察したところ、アクリルフィルム層に割れは見られず、良好な外観を有していた。また、この積層シートを折り曲げたり、落としたりしても、アクリルフィルム層が割れることはなく、良好な外観が維持された。
比較例1
メタクリル樹脂を、65mmφ一軸押出機によりT型ダイを介して溶融押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、厚さ125μmのアクリルフィルムを得た。
次いで、このアクリルフィルムを31cm×31cmに切断し、これに30cm×30cmに切断した厚さ150μmの接着性フィルム(同上)、及び31cm×31cmに切断した厚さ1.0mmの発泡ポリプロピレンシート(同上)をこの順番で重ね合わせ、ラミネーター(同上)により、ロール温度130℃において、各種ロール速度で熱貼合を行ったが、いずれの場合もアクリルフィルム層が網目状にひび割れ、外観が良好な積層シートを得ることができなかった。また、この積層シートを折り曲げると、アクリルフィルム層の割れていない部分も、この折り曲げにより割れてしまい、外観がさらに悪化した。

Claims (6)

  1. 発泡樹脂成形体に貼合するためのアクリルフィルムであって、メタクリル樹脂及びゴム粒子を含有する樹脂組成物からなり、厚さが30〜500μmであることを特徴とするアクリルフィルム。
  2. メタクリル樹脂が、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体である請求項1に記載のアクリルフィルム。
  3. ゴム粒子が、アクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体を含有する粒子である請求項1又は2に記載のアクリルフィルム。
  4. ゴム粒子が、前記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する多層構造の粒子である請求項3に記載のアクリルフィルム。
  5. ゴム粒子が、前記弾性重合体の層の内側に、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する多層構造の粒子である請求項4に記載のアクリルフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のアクリルフィルムを、発泡樹脂成形体に貼合してなる積層成形体。
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