JP2008213401A - 押出しアクリル系樹脂フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】加工時の取り扱い性に優れる押出しアクリル系樹脂フィルムを提供することである。
【解決手段】押出成形により得られるアクリル系樹脂フィルム1であって、フィルム押出し方向Aに対して長さ方向が平行である試験片2のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値が50〜150kJ/m2である。フィルム押出し方向Aに対して長さ方向が垂直である試験片3のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値が150kJ/m2以下であるのが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、加工時の取り扱い性を改善した押出しアクリル系樹脂フィルムに関する。また、本発明は、この押出しアクリル系樹脂フィルムを用いてなる積層フィルム、さらに積層成形体にも関係する。
アクリル系樹脂フィルムは、耐候性と可視光域の透明性に優れることから、単独で使用される他、各種基材に積層され、基材に耐候性と共に透明性に由来する意匠性を付与するためのフィルムとして好ましく用いられている。また、アクリルとその他の樹脂を共押出によりフィルム化し加飾用途に用いることも種々検討されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
アクリル系樹脂フィルムを得る方法として、例えばT(型)ダイより溶融樹脂を押出して、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却・延伸してフィルム化する方法(以下、「両面タッチ法」と言う。)がある。この両面タッチ法により製造された押出しアクリル系樹脂フィルムは、フィルム表面の平滑性が高いことから印刷適正が高く、印刷ヌケが生じ難いため印刷収率が高いという長所がある。
ここで、両面タッチ法等の押出成形により得られたアクリル系樹脂フィルムを表層に使用した積層成形体等を得る際には、不要部分を一般に手で割って除去している。
しかしながら、押出成形により得られるアクリル系樹脂フィルムには、フィルム内に配向性が存在するので、フィルム押し出し方向に対して平行な方向(以下、MDと言う。)と、フィルム押出し方向に対して垂直な方向(以下、TDと言う。)との間で割れやすさに大きな差があり、MDに比べてTDが割れにくいという問題がある。そのため、該フィルムを表層に使用した積層成形体を得る際に不要部分をうまく手で割って除去できず、生産効率が低下するという不具合があった。
特開平7−34623号公報 特開平9−239889号公報 特開2001−71444号公報 特開2001−239622号公報 特開2002−273835号公報 特許第3451785号公報
本発明の課題は、加工時の取り扱い性に優れる押出しアクリル系樹脂フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、フィルム押出し方向に対して長さ方向が平行である試験片のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値が50〜150kJ/m2である場合には、TDの割れ性が向上し、MDの割れ性と、TDの割れ性との差が小さくなるので、加工時の取り扱い性が向上するという新たな事実を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の押出しアクリル系樹脂フィルムは、以下の構成からなる。
(1)押出成形により得られるアクリル系樹脂フィルムであって、フィルム押出し方向に対して長さ方向が平行である試験片のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値が50〜150kJ/m2であることを特徴とする押出しアクリル系樹脂フィルム。
(2)フィルム押出し方向に対して長さ方向が垂直である試験片のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値が150kJ/m2以下である前記(1)記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
(3)フィルム押出し方向に対して長さ方向が平行な前記試験片のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値と、フィルム押出し方向に対して長さ方向が垂直な前記試験片のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値との差が50kJ/m2以下である前記(1)または(2)記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
(4)厚さ300μm以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
(5)フィルムを構成する樹脂組成物が、メタクリル樹脂およびアクリルゴム粒子を含む前記(1)〜(4)のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
(6)中間層の両面に接するように表層を備えた多層構造からなり、前記中間層は、メタクリル樹脂、またはメタクリル樹脂およびアクリルゴム粒子を含むアクリル系樹脂組成物で構成され、前記表層は、メタクリル樹脂およびアクリルゴム粒子を含むアクリル系樹脂組成物で構成される前記(1)〜(4)のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
(7)前記表層を構成するアクリル系樹脂組成物のアクリルゴム粒子濃度よりも、前記中間層を構成するアクリル系樹脂組成物のアクリルゴム粒子濃度の方が低い(アクリルゴム粒子濃度が0の場合も含む)前記(6)記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
(8)前記メタクリル樹脂が、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体であり、前記アクリルゴム粒子が、アクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体を含む粒子である前記(5)〜(7)のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
(9)前記アクリルゴム粒子が、前記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する多層構造の粒子である前記(8)記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
(10)前記アクリルゴム粒子が、前記弾性重合体の層の内側に、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する多層構造の粒子である前記(8)または(9)記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
(11)Tダイより押し出されたフィルムを構成する樹脂組成物の両面が同時にロールに接するように冷却固化されて製造される前記(1)〜(10)のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
(12)片面に印刷が施されている前記(1)〜(11)のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
本発明の積層フィルムは、前記(12)記載の押出しアクリル系樹脂フィルムの印刷が施された面に、樹脂層が設けられてなることを特徴とする。
本発明の積層成形体は、前記(12)記載の押出しアクリル系樹脂フィルムの印刷が施された面に、樹脂成形体が積層されてなることを特徴とする。
本発明の他の積層成形体は、前記(13)記載の積層フィルムの樹脂層が設けられた面に、樹脂成形体が積層されてなることを特徴とする。
本発明の押出しアクリル系樹脂フィルムによれば、TDの割れ性が改善するので、MDの割れ性と、TDの割れ性との差が小さくなり、よってTD,MDともに簡単に手で割ることができ、加工時の取り扱い性に優れ、生産効率が向上するという効果を有する。すなわち、手で簡単に積層フィルムや積層成形体の不要部分を除去できないという製造時の不具合が発生し難いので、これを用いることにより、積層フィルム、さらには積層成形体を容易に得ることができる。より具体的には、本発明の押出しアクリル系樹脂フィルムは、例えば片面に印刷を施すこともでき、また、その印刷が施された面に樹脂層を設けることにより、積層フィルムとすることもできる。そして、上記アクリル系樹脂フィルムの印刷が施された面、または上記積層フィルムの樹脂層が設けられた面に樹脂成形体を積層することにより、積層成形体を得ることができる。
特に、前記(11)によれば、両面タッチ法で押出しアクリル系樹脂フィルムを得るので、両面タッチ法の長所である印刷ヌケが少ないという印刷適正を維持したまま、TDの割れ性を向上させ、TD,MDの手での割れ性の差を小さくすることで、積層フィルムや積層成形体を得る際の効率を改善することができる。なお、本発明は、両面タッチ法以外の手法によるフィルムに対しても適用可能である。
以下、本発明にかかる押出しアクリル系樹脂フィルム(以下、アクリルフィルムと言う。)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかる試験片を示す概略説明図である。図2は、本実施形態にかかる積層構造からなるアクリルフィルムを示す部分拡大概略断面図である。
本実施形態にかかるアクリルフィルムは、押出成形により得られるものであり、このアクリルフィルムにかかる所定の試験片において、シャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値を特定の値に規定したものである。
前記シャルピー衝撃試験とは、JIS K 7111に規定されているプラスチックの衝撃吸収エネルギーを測定する手法である。このシャルピー衝撃試験では、試験片を打ち抜く打ち抜きハンマーが、試験片を該試験片の長さ方向に対して垂直方向に打ち抜く形状をしている。したがって、フィルムの押出し方向を長軸に取った試験片は、TDの衝撃吸収エネルギーを測定する試験片として、フィルムの押出し方向とは垂直方向を長軸に取った試験片は、MDの衝撃吸収エネルギーを測定する試験片として試験にそれぞれ供することにより、フィルムのMD,TDの各方向の衝撃吸収エネルギーを測定することができる。
より具体的には、図1に示すように、アクリルフィルム1のフィルム押出し方向(図1中の矢印A方向)に対して長さ方向が平行な試験片2についてシャルピー衝撃試験を行うと、試験片2は、該試験片2の長さ方向に対して直交する打ち抜き線10に沿って打ち抜きハンマーにて打ち抜かれる。打ち抜き線10はTDと平行であり、よって試験片2を用いると、アクリルフィルム1のTDの衝撃吸収エネルギーを測定することができる。
一方、前記フィルム押出し方向に対して長さ方向が垂直な試験片3ついてシャルピー衝撃試験を行うと、試験片3は、該試験片3の長さ方向に対して直交する打ち抜き線11に沿って打ち抜きハンマーにて打ち抜かれる。打ち抜き線11はMDと平行であり、よって試験片3を用いると、アクリルフィルム1のMDの衝撃吸収エネルギーを測定することができる。
そして、本実施形態にかかる前記シャルピー衝撃試験は、JIS K 7111に準拠して、試験片2,3の衝撃吸収エネルギーを測定する。具体的には、例えば厚さ300μm以下のアクリルフィルム1から幅5〜15mm程度、長さ70〜90mm程度の試験片2,3を打ち抜きまたは切り出す等して得る。ついで、打ち抜きハンマーでの打ち抜き時の衝撃により試験片が動かないように試験片2,3の両端部を支持台に固定し、シャルピー衝撃試験器にて試験片2,3の破断に要するエネルギー(すなわち衝撃吸収エネルギー)を測定する。なお、この衝撃吸収エネルギーが大きいほど試験片、すなわちアクリルフィルム1が割れにくいことを示す。
ここで、本実施形態では、前記したフィルム押出し方向に対して長さ方向が平行である試験片2のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値が50〜150kJ/m2、好ましくは50〜120kJ/m2である。これにより、TDの割れ性が向上し、MDの割れ性と、TDの割れ性との差が小さくなるので、加工時の取り扱い性が向上する。これに対し、前記測定値が50kJ/m2より小さいと、押出成形中にアクリルフィルム1に割れが生じて歩留り低下するおそれがあり、150kJ/m2より大きいと、手で折り曲げた際にアクリルフィルム1が簡単に割れず、よって積層フィルムや積層成形体を製造する際の効率が低下するおそれがある。
また、前記したフィルム押出し方向に対して長さ方向が垂直である試験片3のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値が150kJ/m2以下、好ましくは50〜150kJ/m2、より好ましくは70〜150kJ/m2であるのがよい。これに対し、前記測定値が150kJ/m2より大きいと、手で折り曲げた際にアクリルフィルム1が簡単に割れないおそれがある。また、前記測定値が50kJ/m2より小さいと、アクリルフィルム1の製造時に、押出し方向に対して平行にスリットして端部を除去する場合に、押出し方向に対して垂直にノッチが入ってフィルムが破断してしまうことがあるため、フィルムの製造効率が低下してしまうおそれがある。
また、前記した通り、本実施形態によればTDの割れ性が向上して、MDの割れ性とTDの割れ性との差が小さくなるが、具体的にこの差としては、試験片2のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値(すなわちTDの割れ性)と、試験片3のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値(すなわちMDの割れ性)との差が50kJ/m2以下、好ましくは30kJ/m2以下であるのがよい。これにより、確実に前記した効果を奏することができる。これに対し、前記差が50kJ/m2を超えると、MDの割れ性とTDの割れ性との差が大きくなるので、割れにくい方向にアクリルフィルム1を割った際には衝撃が強すぎ、割れやすい方向に亀裂が生じることがあり、よって積層フィルムや積層成形体の収率が低下するおそれがある。
試験片2,3のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値を前記した特定の値にするには、例えば下記で説明するアクリルフィルム1の厚さ、アクリルフィルム1を構成する樹脂組成物であるメタクリル樹脂およびアクリルゴム粒子の組成および割合、アクリルゴム粒子の粒子径およびアクリルフィルム1を特定の多層構造にすること等によって達成することができる。
アクリルフィルム1の厚さは300μm以下、好ましくは30〜250μm、より好ましくは40〜200μmであるのがよい。これに対し、厚さが300μmより大きいと、手で折り曲げた際にアクリルフィルム1が割れ難くなるとともに、製造や取り扱いが困難であり、単位面積あたりの単価が増加してコスト的にも不利となり、30μmより薄いと、特に表面平滑性の高いものを得ようとする場合には、成膜し難くなるので好ましくない。
また、アクリルフィルム1を構成する樹脂組成物が、メタクリル樹脂およびアクリルゴム粒子を含むのが好ましい。具体的には、アクリルフィルム1を構成する基材樹脂であるメタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%であり、より好ましくは、メタクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、アクリル酸アルキルが0.1〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
メタクリル酸アルキルおよびアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。
単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアルケニルシアン化合物等が挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリル等の不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多塩基酸のポリアルケニルエステル;ジビニルベンゼン等の芳香族ポリアルケニル化合物等が挙げられる。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、およびこれら以外の単量体は、それぞれ必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
メタクリル樹脂は、フィルムの耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であるのが好ましく、60℃以上であるのがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、例えば懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の方法により重合させることにより調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、または好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて適宜決定すればよい。
メタクリル樹脂に紫外線吸収剤を配合して、その組成物によりアクリルフィルム1を構成してもよい。紫外線吸収剤の例としてはベンゾトリアゾール系の、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては株式会社ADEKAの「LA31」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447.6;市販品の例としてはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社の「チヌビン234」)等が挙げられる。また、ベンゾエート系紫外線吸収剤の例として、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(分子量438.7;市販品の例としては住友化学株式会社の「Sumisorb400」)も挙げられる。なお、上記紫外線吸収剤は、それぞれ必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。また必要により上記紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸誘導体、置換アクリロニトリル、ニッケル錯体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等をフィルムに含有させることもできる。
前記アクリルゴム粒子は、ゴム成分としてアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を含有する粒子であり、この弾性重合体のみからなる単層構造の粒子であってもよいし、この弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であってもよいが、フィルムの表面硬度の点から、多層構造の粒子であることが好ましい。また、この弾性重合体は、アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、アクリル酸エステルとしては、通常、アクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、アクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、これ以外の単官能単量体が0〜49.9重量%、多官能単量体が0.1〜10重量%である。
ここで、アクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは4〜8である。
また、アクリル酸アルキル以外の単官能単量体は、メタクリル酸アルキルその他の単官能単量体であることができ、その例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例や、メタクリル酸アルキルおよびアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様である。
多官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様であり、中でも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや、多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましく用いられる。
なお、上記のアクリル酸アルキル、これ以外の単官能単量体、および多官能単量体は、それぞれ必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
アクリルゴム粒子として多層構造のものを使用する場合、その好適な例としては、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を内層とし、メタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも2層構造のものを挙げることができる。ここで、外層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、外層の重合体は、内層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。外層の重合体を、内層の弾性重合体100重量部に対し10重量部以上とすることで、該弾性重合体の凝集が生じ難くなり、フィルムの透明性が良好となる。
上記外層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
メタクリル酸アルキルおよびアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体であってもよいし、多官能単量体であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。そして、この単官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、およびこれら以外の単量体は、それぞれ必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
また、多層構造のアクリルゴム粒子の好適な例として、上記2層構造の内層であるアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を有するもの、すなわち、このメタクリル酸エステルを主体とする重合体を内層とし、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を中間層とし、先のメタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とする、少なくとも3層構造のものを挙げることもできる。ここで、内層の重合体の単量体成分であるメタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸アルキルが用いられる。また、内層の重合体は、中間層の弾性重合体100重量部に対し、通常10〜400重量部、好ましくは20〜200重量部の割合で形成するのがよい。
上記内層の重合体の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸アルキルが70〜100重量%、これ以外の単量体0〜30重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたメタクリル酸アルキルの例と同様であり、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、メタクリル酸アルキル以外の単量体は、アクリル酸アルキルその他の単官能単量体であってもよいし、多官能単量体であってもよい。そして、この単官能単量体の例は、先にメタクリル樹脂の単量体成分として挙げたアクリル酸アルキルの例や、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単官能単量体の例と同様であり、また、多官能単量体の例は、先にメタクリル酸樹脂の単量体成分として挙げた多官能単量体の例と同様である。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、およびこれら以外の単量体は、それぞれ必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
このような3層構造のアクリルゴム粒子は、例えば特公昭55−27576号公報(米国特許第3793402号明細書)に開示されている。特に、同公報の実施例3に記載のものは、好ましい組成の一つである。
アクリルゴム粒子は、先に述べたアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法等により、少なくとも1段の反応で重合させることにより調製することができる。その際、先に述べた通り、上記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、この外層の重合体の単量体成分を、上記弾性重合体の存在下に、乳化重合法等により、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。また、先に述べた通り、上記弾性重合体の層の内側に、さらにメタクリル酸エステルを主体とする重合体の層を形成する場合は、まず、この内層の重合体の単量体成分を、乳化重合法等により、少なくとも1段の反応で重合させ、次いで、得られる重合体の存在下に、上記弾性重合体の単量体成分を、乳化重合法等により、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記内層の重合体にグラフトさせ、さらに、得られる弾性重合体の存在下に、上記外層の重合体の単量体成分を、乳化重合法等により、少なくとも1段の反応で重合させることにより、上記弾性重合体にグラフトさせればよい。なお、各層の重合を、それぞれ2段以上で行う場合、いずれも、各段の単量体組成ではなく、全体としての単量体組成が所定の範囲内にあればよい。
ゴム粒子としては、平均粒子径が0.05〜0.4μmであるものが好ましく用いられる。ゴム粒子の平均粒子径が0.05μmより小さいと、フィルムの表面硬度が低下して傷が付き易くなったり、フィルムの耐衝撃性や柔軟性が低下して印刷等の工程において支障が出るほどに割れ易くなり問題となるおそれがある。一方、ゴム粒子の平均粒子径が0.4μmより大きいと、フィルムの透明性や表面平滑性が低下して外観が悪化し易くなるので好ましくない。ゴム粒子は、一般的には乳化重合により製造することができ、その際、乳化剤の添加量や単量体の仕込み量などを調節することによって、平均粒子径を所望の値にコントロールすることができる。
ここで、上記したメタクリル樹脂とアクリルゴム粒子との混合比率を調節することにより衝撃吸収エネルギーを適宜調節でき、試験片2,3のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値を前記した特定の値となるアクリルフィルム1が得られる。具体的には、メタクリル樹脂とアクリルゴム粒子との混合比(重量部)は、それらの種類にもよるが、メタクリル樹脂:アクリルゴム粒子=95:5〜30:70の範囲にするのが好ましい。
さらにフィルムを多層構成として、表層と中間層に使用する上記の樹脂組成と、表層と中間層の厚み比率を調節することでもまた、衝撃吸収エネルギーを調整でき、本実施形態にかかるアクリルフィルム1が得られる。
具体的には、図2に示すように、アクリルフィルム1を中間層1aの両面に接するように表層1b,1cを備えた多層構造で構成し、中間層1aをメタクリル樹脂、またはメタクリル樹脂およびアクリルゴム粒子を含むアクリル系樹脂組成物で構成し、表層1b,1cをメタクリル樹脂およびアクリルゴム粒子を含むアクリル系樹脂組成物で構成する。なお、中間層1aとしては、メタクリル樹脂からなるアクリル系樹脂組成物で構成するのが好ましい。また、表層1b,1cの組成は、それぞれ同一または異なる組成であってもよい。
アクリルフィルム1を多層構造で構成する場合には、全体の厚さは前記した300μm以下が好ましく、各層の厚さとしては、その組成にもよるが、中間層1aが30〜250μm、表層1b,1cが5〜100μmであるのが好ましい。また、中間層1aの厚さが表層1b,1cの厚さよりも大きいのが好ましい。なお、表層1b,1cの厚さは、それぞれ同一または異なる厚さであってもよい。
上記多層フィルムの各層のアクリルゴム粒子濃度については、中間層ゴム粒子濃度が両表層ゴム粒子濃度以下であるのが好ましい。すなわち、表層1b,1cを構成するアクリル系樹脂組成物のアクリルゴム粒子濃度よりも、中間層1aを構成するアクリル系樹脂組成物のアクリルゴム粒子濃度の方が低いのがよい(アクリルゴム粒子濃度が0の場合も含む)。これに対し、表層1b,1cのゴム粒子濃度が中間層1aのそれよりも低くなると、表層1b,1cの衝撃吸収エネルギーが中間層1aのそれよりも低くなるため、手で割った際に表面に亀裂が入りやすく、外観が低下する。
なお、上記樹脂組成物には、ゴム粒子の他、安定剤、加工助剤、可塑剤等の一般の配合剤を必要に応じて含有させてもよい。
以上説明したメタクリル樹脂、アクリルゴム粒子および必要に応じて他の成分を含有する樹脂組成物をフィルム化することにより、本実施形態にかかるアクリルフィルム1が得られる。このフィルム化の方法は適宜選択されるが、Tダイ法などの溶融押出法が有利に採用される。すなわち、Tダイより押し出されたフィルムを構成する樹脂組成物の両面が同時にロールに接するように冷却固化されて製造される両面タッチ法が好ましい。
本実施形態にかかるアクリルフィルム1は、アクリルフィルム本来の優れた耐候性および透明性を有するうえ、製造時に取り扱いやすいことから基材に意匠性を付与するためのフィルムとして好適に用いられる。その際、少なくとも一方の面、好ましくは片面には、加飾手段としての印刷を施すのが有利であり、その方法としては、例えばグラビア印刷法やシルク印刷法等が挙げられる。
また、特に片面に印刷が施されたアクリルフィルム1は、その印刷が施された面に樹脂層を設けることにより、積層フィルムとするのも有利である。ここで、樹脂層を構成する基材樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂等が挙げられ、発泡樹脂であってもよい。かかる積層フィルムは、印刷が施されたアクリルフィルム1と上記樹脂層を構成する基材樹脂からなるフィルムとを、熱ラミネーションや接着剤による接着などにより貼り合わせることにより、有利に製造できる。
そして、片面に印刷が施されたアクリルフィルム1、またはその印刷が施された面に樹脂層が設けられてなる上記積層フィルムを、アクリルフィルム層が表側に配置されるように樹脂成形体に積層することにより、すなわち上記アクリルフィルム1であれば印刷が施された面に樹脂成形体を積層することにより、また、上記積層フィルムであれば、樹脂層が設けられた面に樹脂成形体を積層することにより、黄変し難い積層成形体を得ることができる。ここで樹脂成形体を構成する基材樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂等が挙げられ、発泡樹脂であってもよい。
上記積層成形体を得るための方法としては、射出成形同時貼合法が有利に採用される。具体的には、上記フィルムを予備成形することなく射出成形金型内に挿入し、そこに溶融樹脂を射出して、上記フィルムと一体化する方法(狭義の射出成形同時貼合法と呼ばれることもある)や、上記フィルムを真空成形や圧空成形などにより予備成形してから射出成形金型内に挿入し、そこに溶融樹脂を射出して、上記フィルムと一体化する方法(インサート成形法と呼ばれることもある)、上記フィルムを射出成形金型内で真空成形や圧空成形等により予備成形した後、そこに溶融樹脂を射出して、上記フィルムと一体化する方法(インモールド成形法と呼ばれることもある)等が挙げられる。射出成形同時貼合法のさらに詳しい説明は、例えば特公昭63−6339号公報、特公平4−9647号公報、特開平7−9484号公報等に記載されている。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。また、以下の実施例および比較例で使用した材料は次の通りである。
(メタクリル樹脂)
メタクリル樹脂として、メタクリル酸メチルと少量のアクリル酸メチルを用いて重合させた熱可塑性重合体(ガラス転移温度104℃)のペレットを用いた。
(アクリルゴム粒子A,B)
アクリルゴム粒子AおよびBとして、特公昭55−27576号公報の実施例3に準じて製造され、最内層がメタクリル酸メチルと少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた硬質重合体、中間層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレンおよび少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた弾性重合体、最外層がメタクリル酸メチルと少量のアクリル酸メチルを用いて重合させた硬質重合体からなる球形3層構造であり、平均粒子径が0.22μmのものをアクリルゴム粒子Aとして、平均粒子径が0.14μmのものをアクリルゴム粒子Bとして用いた。
(アクリルゴム粒子C)
アクリルゴム粒子Cとして、アクリル酸ブチルを主成分とした、平均粒子径が0.08μmのものを用いた。
(ペレットA)
メタクリル樹脂のペレットを80部、アクリルゴム粒子Aを20部の割合でスーパーミキサーにて混合し、二軸押出機で溶融混練して樹脂組成物のペレットAとした。
(ペレットB)
メタクリル樹脂のペレットを97部、アクリルゴム粒子Aを3部の割合でスーパーミキサーにて混合し、二軸押出機で溶融混練して樹脂組成物のペレットBとした。
(ペレットC)
メタクリル樹脂のペレットを50部、アクリルゴム粒子Cを50部の割合でスーパーミキサーにて混合し、二軸押出機で溶融混練して樹脂組成物のペレットCとした。
(ペレットD)
メタクリル樹脂のペレットを95部、アクリルゴム粒子Aを5部の割合でスーパーミキサーにて混合し、二軸押出機で溶融混練して樹脂組成物のペレットDとした。
(ペレットE)
メタクリル樹脂のペレットを70部、アクリルゴム粒子Bを30部の割合でスーパーミキサーにて混合し、二軸押出機で溶融混練して樹脂組成物のペレットEとした。
[実施例1〜6および比較例1〜4]
<アクリルフィルムの製造>
上記した各材料を表1に示す組み合わせで用いた。すなわち、上記ペレットAを直径65mmの一軸押出機により溶融し、上記メタクリル樹脂のペレットを直径40mmの一軸押出機により溶融し、溶融したこれらをフィードブロックを介して積層し、ペレットAが表層、メタクリル樹脂が中間層となるようにTダイより共押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、表1の実施例1〜3および比較例4に示す膜厚比を有する厚さ125μmの3層構造のアクリルフィルムを得た。
上記ペレットCを直径65mmの一軸押出機によりTダイを介して押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、表1の実施例4に示す単層125μmのアクリルフィルムを得た。
上記ペレットDを直径65mmの一軸押出機によりTダイを介して押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、表1の実施例5に示す単層125μmのアクリルフィルムを得た。
上記ペレットEを直径65mmの一軸押出機によりTダイを介して押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、表1の実施例6に示す単層125μmのアクリルフィルムを得た。
アクリルゴム粒子を含まないメタクリル樹脂を直径65mmの一軸押出機によりTダイを介して押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、表1の比較例1に示す単層125μmのアクリルフィルムを得た。
上記ペレットAを直径65mmの一軸押出機によりTダイを介して押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、表1の比較例2に示す単層125μmのアクリルフィルムを得た。
上記ペレットBを直径65mmの一軸押出機によりTダイを介して押出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、表1の比較例3に示す単層125μmのアクリルフィルムを得た。
<評価>
上記で得た各アクリルフィルムについて、シャルピー衝撃試験、安定生産性および手による割れ性を評価した。各評価方法を以下に示すと共に、その結果を表2に併せて示す。
(シャルピー衝撃試験)
上記で得た各アクリルフィルムから、図1に示す試験片2,3を切り出した。すなわち、上記で得た各アクリルフィルムから、フィルム押出し方向(図1中の矢印A方向)に対して長さ方向が平行となるように試験片2を、前記フィルム押出し方向に対して長さ方向が垂直となるように試験片3を、それぞれ厚み125μm、幅10mm、長さ82mmの形状で切り出した。そして、ハンマーでの打ち抜き時の衝撃により試験片が動かないように試験片2,3の両端部を支持台に固定して安田精機製シャルピー衝撃試験器によりフィルムの破断に要するエネルギー(すなわち衝撃吸収エネルギー)を測定した。この衝撃吸収エネルギーが大きいほど、フィルムが割れにくいことを示す。なお、表2中、「TD」とは、試験片2のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値を意味し、「MD」とは、試験片3のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値を意味する。
(安定生産性)
フィルム成膜時の状況を目視観察して安定生産性を評価した。なお、判定基準は以下のものを用いた。
○:問題なし
△:破断することがある
×:破断する
(手による割れ性)
得られた各アクリルフィルムについて、手でMD,TDの各方向に折り曲げ、折り曲げた際に割れるか否かによって手によるフィルムの割れ性を評価した。なお、各アクリルフィルムにおける測定数は5回とし、判定基準は以下のものを用いた。
○:割れる
△:割れないことがある
×:割れない
Figure 2008213401
Figure 2008213401
表1,2から明らかなように、実施例1〜6は、比較例1〜4よりも安定生産性および手による割れ性に優れているのがわかる。
本発明の一実施形態にかかる試験片を示す概略説明図である。 本発明の一実施形態にかかる積層構造からなるアクリルフィルムを示す部分拡大概略断面図である。
符号の説明
1 アクリルフィルム
1a 中間層
1b,1c 表層
2,3 試験片
10,11 打ち抜き線

Claims (15)

  1. 押出成形により得られるアクリル系樹脂フィルムであって、フィルム押出し方向に対して長さ方向が平行である試験片のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値が50〜150kJ/m2であることを特徴とする押出しアクリル系樹脂フィルム。
  2. フィルム押出し方向に対して長さ方向が垂直である試験片のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値が150kJ/m2以下である請求項1記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  3. フィルム押出し方向に対して長さ方向が平行な前記試験片のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値と、フィルム押出し方向に対して長さ方向が垂直な前記試験片のシャルピー衝撃試験による衝撃吸収エネルギーの測定値との差が50kJ/m2以下である請求項1または2記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  4. 厚さ300μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  5. フィルムを構成する樹脂組成物が、メタクリル樹脂およびアクリルゴム粒子を含む請求項1〜4のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  6. 中間層の両面に接するように表層を備えた多層構造からなり、
    前記中間層は、メタクリル樹脂、またはメタクリル樹脂およびアクリルゴム粒子を含むアクリル系樹脂組成物で構成され、
    前記表層は、メタクリル樹脂およびアクリルゴム粒子を含むアクリル系樹脂組成物で構成される請求項1〜4のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  7. 前記表層を構成するアクリル系樹脂組成物のアクリルゴム粒子濃度よりも、前記中間層を構成するアクリル系樹脂組成物のアクリルゴム粒子濃度の方が低い(アクリルゴム粒子濃度が0の場合も含む)請求項6記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  8. 前記メタクリル樹脂が、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体であり、前記アクリルゴム粒子が、アクリル酸アルキルを主体とする弾性重合体を含む粒子である請求項5〜7のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  9. 前記アクリルゴム粒子が、前記弾性重合体の層の外側に、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する多層構造の粒子である請求項8記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  10. 前記アクリルゴム粒子が、前記弾性重合体の層の内側に、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する多層構造の粒子である請求項8または9記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  11. Tダイより押し出されたフィルムを構成する樹脂組成物の両面が同時にロールに接するように冷却固化されて製造される請求項1〜10のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  12. 片面に印刷が施されている請求項1〜11のいずれかに記載の押出しアクリル系樹脂フィルム。
  13. 請求項12記載の押出しアクリル系樹脂フィルムの印刷が施された面に、樹脂層が設けられてなることを特徴とする積層フィルム。
  14. 請求項12記載の押出しアクリル系樹脂フィルムの印刷が施された面に、樹脂成形体が積層されてなることを特徴とする積層成形体。
  15. 請求項13記載の積層フィルムの樹脂層が設けられた面に、樹脂成形体が積層されてなることを特徴とする積層成形体。
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