JP5685571B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させることにより得られた、安定性及びラジカル硬化性に優れた有機ケイ素化合物を含有し、且つ、硬化性に優れ、耐傷性、及び、基材に対する密着性に優れる硬化物を与える硬化性組成物に関する。
従来、重合性官能基等を有するケイ素化合物及びその製造方法は、知られている。例えば、特許文献1には、重合性官能基を有し3個のアルコキシル基を有する反応性アルコキシシランと、アルコキシル基を有するアルコキシシランとを、系に不溶な固体触媒、及び特定量の水分存在下で加水分解共重縮合させるポリシロキサン系マクロモノマーの製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、オキセタニル基を有し3個の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と、アルコキシ基等のシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物とを酸性触媒存在下で加水分解共重縮合させるカチオン硬化性含ケイ素化合物の製造方法が開示されている。
更に、特許文献3には、オキセタニル基を有し3個の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物をpH7以上の雰囲気下で加水分解させる光カチオン硬化性組成物の製造方法及び光カチオン硬化性ハードコート剤組成物が開示されている。
特開平6−32903号公報 WO2004/076534号公報 特開平11−29640号公報
特許文献1に記載のポリシロキサン系マクロモノマーは、系に不溶な固体触媒、及び特定量の水分存在下で加水分解共重縮合されることにより、重合や反応を行った時のゲル化が抑制されて得られたものである。しかし、このポリシロキサン系マクロモノマーは、アルコキシシランの加水分解縮合反応に十分な量の水を使用しないことを特徴とするものなので、安定性はあっても、組成物の硬化性は十分とは言えなかった。
また、特許文献1には、反応溶媒として1−プロパノールを用いること、及び、シロキサン結合生成基を4個有する有機ケイ素化合物(Qモノマー)をアルコール交換させた後に、加水分解共重縮合させること、については何ら記載がされていない。
また、特許文献2に記載のカチオン硬化性含ケイ素化合物は、酸性触媒条件下で加水分解共重縮合によって得られた化合物であり、安定性に劣る場合があり、この有機ケイ素化合物又はこの化合物を含有する組成物の使用目的によっては、用途が制限される。
また、特許文献3に記載の光カチオン硬化性組成物は、Qモノマーを用いて得られた有機ケイ素化合物を含有しておらず、硬化性がいまだ十分とはいえない。
本発明の課題は、安定性に優れた有機ケイ素化合物を含有し、且つ、硬化性に優れ、耐傷性、及び、基材に対する密着性に優れる硬化物を与える硬化性組成物を提供することを目的とする。
また、参考発明の課題は、製造中又は製造後のゲル化が抑制され、安定性に優れるとともに、有機溶剤への溶解性及びラジカル硬化性に優れる有機ケイ素化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
1.下記一般式(1)で示されるケイ素化合物(A1)と、下記一般式(2)で示されるケイ素化合物(B1)とを、上記ケイ素化合物(A1)1モルに対して、上記ケイ素化合物(B1)0.3〜1.8モルの割合で、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させる工程を備える方法により得られる有機ケイ素化合物(C1)、及び、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有し、
Figure 0005685571
〔一般式(1)において、Rはメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を有する有機基であり、Xは加水分解性基であり、Xは同一であっても異なっても良く、nは0又は1である。〕
SiY (2)
〔一般式(2)において、Yはシロキサン結合生成基であり、Yは同一であっても異なっても良い。〕
上記ケイ素化合物(B1)は、n−プロポキシ基を有さないアルコキシシラン化合物を、1−プロパノール中で、アルコール交換反応させることにより得られたn−プロポキシ基を有するケイ素化合物を含むことを特徴とする硬化性組成物。
2.上記一般式(1)におけるRは、下記一般式(3)で表される有機基である上記1に記載の硬化性組成物。
Figure 0005685571
〔一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜6のアルキレン基である。〕
3.上記一般式(1)におけるXは、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基及びアリールアルコキシ基のうちの少なくとも1種である上記1又は2に記載の硬化性組成物。
4.上記(メタ)アクリレート化合物が、3官能以上の多価(メタ)アクリレート化合物及びウレタン(メタ)アクリレート化合物から選ばれた少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
5.基材と、該基材の表面に上記1乃至4のいずれかに記載の硬化性組成物から形成された硬化膜と、を備えることを特徴とする物品。
本発明の硬化性組成物は、特定の製造方法により得られたメタクリロイル基又はアクリロイル基と、シロキサン結合とを有する、安定性に優れるケイ素化合物(C1)、及び、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有するため、硬化性に優れ、その硬化性組成物から形成される硬化膜は、耐傷性、及び、基材に対する密着性に優れる。
また、ケイ素化合物(A1)が備える有機基Rを、上記一般式(3)で表される有機基とした場合に、メタクリロイル基又はアクリロイル基の特性が十分に発現され、より優れた硬化性と耐傷性とを与える硬化性組成物とすることができる。
更に、ケイ素化合物(A1)の加水分解性基をアルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基及びアリールアルコキシ基のうちの少なくとも1種とした場合に、ポリシロキサン構造が十分に形成され、より優れた硬度と安定性とを与える硬化性組成物とすることができる。
また、(メタ)アクリレート化合物が、3官能以上の多価(メタ)アクリレート化合物及びウレタン(メタ)アクリレート化合物から選ばれた少なくとも1種である場合には、形成される硬化物の硬度、機械的強度、耐薬品性及び密着性等の物性が更に優れる。
更に、本発明の物品は、基材と、本発明の硬化性組成物から形成された硬化膜とを備えることから、耐傷性、硬度及び安定性に優れる物品とすることができる。
参考発明の有機ケイ素化合物の製造方法によれば、ケイ素化合物(A2)を1−プロパノール中でアルコール交換反応させる反応工程と、反応させて得られた組成物に、ケイ素化合物(B2)を添加し、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させる縮合工程とを備え、ケイ素化合物(A2)及びケイ素化合物(B2)の使用割合が、特定の範囲であることから、製造中又は製造後にゲル化が抑制され、安定性に優れ、有機溶剤への溶解性及びラジカル硬化性に優れる有機ケイ素化合物(C2)を効率よく製造することができる。
また、ケイ素化合物(B2)が備えるRを、上記一般式(3)で表される有機基とした場合は、更にラジカル硬化性に優れた有機ケイ素化合物(C2)を製造することができる。
また、参考発明の製造方法において、アルカリ性条件とするためのアルカリ剤として、水酸化テトラアルキルアンモニウムが使用される場合は、反応中にゲルが生じることがなく、保存安定性に優れる有機ケイ素化合物(C2)を効率よく製造することができる。
更に、アルカリ剤の使用量が、上記ケイ素化合物(A2)及び上記ケイ素化合物(B2)の合計モル数を100モルとしたときに、0.1〜20モルである場合は、反応中にゲルが生じることがなく、保存安定性に優れる有機ケイ素化合物(C2)を効率よく製造することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基を意味する。
1.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、下記一般式(1)で示されるケイ素化合物(A1)と、下記一般式(2)で示されるケイ素化合物(B1)とを、上記ケイ素化合物(A1)1モルに対して、上記ケイ素化合物(B1)0.3〜1.8モルの割合で、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させることにより得られた有機ケイ素化合物(C1)、及び、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有し、
Figure 0005685571
〔一般式(1)において、Rはメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を有する有機基であり、Xは加水分解性基であり、Xは同一であっても異なっても良く、nは0又は1である。〕
SiY (2)
〔一般式(2)において、Yはシロキサン結合生成基であり、Yは同一であっても異なっても良い。〕
上記ケイ素化合物(B1)は、n−プロポキシ基を有さないアルコキシシラン化合物を、1−プロパノール中で、アルコール交換反応させることにより得られたn−プロポキシ基を有するケイ素化合物を含むことを特徴とする。
以下、有機ケイ素化合物(C1)を形成する原料化合物から説明する。
1−1.ケイ素化合物(A1)
本発明におけるケイ素化合物(A1)は、上記一般式(1)で表される化合物である。
このケイ素化合物(A1)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ケイ素化合物(A1)は、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基を備え、有機ケイ素化合物(C1)に硬化性を付与するための成分である。
一般式(1)におけるRは、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基であれば、特に限定されない。
はメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基であり、炭素数は20以下が好ましく、より好ましくは4〜9である。Rの炭素数が20以下の場合、ケイ素化合物(A1)及びケイ素化合物(B1)を加水分解共重縮合させることにより得られる有機ケイ素化合物(C1)に、良好且つ安定したラジカル硬化性を付与することができる。
また、下記一般式(3)で表される構造を有する有機基は、上記一般式(1)におけるRとして好ましいものである。
Figure 0005685571
一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、好ましくはメチル基である。
更に、一般式(3)におけるRは、炭素数1〜6のアルキレン基であり、好ましくはプロピレン基(トリメチレン基)である。その理由は、このような有機官能基を形成する化合物の入手又は合成が容易なためである。
尚、上記一般式(3)におけるRの炭素数が大きすぎると、得られる有機ケイ素化合物(C1)を含有する組成物を用いて得られる硬化物の表面硬度が低下する場合がある。
上記一般式(1)におけるRは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を有する有機基であれば、特に限定されない。
一般式(1)におけるXは加水分解性基であり、加水分解性を有する基であれば、特に限定されない。複数存在するXは同一であっても異なっても良い。
としては、具体的には、水素原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基及びアリールオキシ基及びアリールアルコキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシ基は、好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基であり、その例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基及びn−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
上記シクロアルコキシ基は、好ましくは、炭素数3〜8のシクロアルコキシ基であり、その例としては、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
上記アリールオキシ基は、好ましくは、炭素数6〜10のアリールオキシ基であり、その例としては、フェニルオキシ基、o−トルイルオキシ基、m−トルイルオキシ基、p−トルイルオキシ基及びナフチルオキシ基等が挙げられる。
また、上記アリールアルコキシ基は、好ましくは、炭素数7〜12のアラルキルオキシ基であり、その例としては、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
これらのうち、加水分解性が良好であることから、上記一般式(1)のXは、アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基であることがより好ましい。また、原料入手が容易であり安価であること、並びに加水分解反応が制御しやすいことから、メトキシ基が更に好ましい。
上記一般式(1)おけるnは、0又は1である。nが0である場合のケイ素化合物(A1)は、加水分解性基を3個有しており、「Tモノマー」とも呼ばれる。また、nが1である場合のケイ素化合物(A1)は、加水分解性基を2個有しており、「Dモノマー」とも呼ばれる。
得られる有機ケイ素化合物(C1)における、後述される無機部分及び有機部分の割合は限定されないが、無機部分の割合をより大きくするためには、nが0であるTモノマーを用いることが好ましい。
上記Tモノマーとしては、2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、得られる有機ケイ素化合物(C1)の有機溶剤への溶解性を向上させるためには、nは1であるDモノマーを用いることが好ましい。
上記Dモノマーとしては、アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシエチルメチルジエトキシシラン、アクリロキシエチルメチルジプロポキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、アクリロキシメチルエチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルエチルジエトキシシラン、アクリロキシメチルエチルジプロポキシシラン、アクリロキシエチルエチルジメトキシシラン、アクリロキシエチルエチルジエトキシシラン、アクリロキシエチルエチルジプロポキシシラン、アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルエチルジプロポキシシラン、アクリロキシメチルプロピルジメトキシシラン、アクリロキシメチルプロピルジエトキシシラン、アクリロキシメチルプロピルジプロポキシシラン、アクリロキシエチルプロピルジメトキシシラン、アクリロキシエチルプロピルジエトキシシラン、アクリロキシエチルプロピルジプロポキシシラン、アクリロキシプロピルプロピルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルプロピルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルプロピルジプロポキシシラン、アクリロキシメチルフェニルジメトキシシラン、アクリロキシメチルフェニルジエトキシシラン、アクリロキシメチルフェニルジプロポキシシラン、アクリロキシエチルフェニルジメトキシシラン、アクリロキシエチルフェニルジエトキシシラン、アクリロキシエチルフェニルジプロポキシシラン、アクリロキシプロピルフェニルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルフェニルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルフェニルジプロポキシシラン、アクリロキシメチルメチルジフェノキシシラン、アクリロキシエチルメチルジフェノキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、アクリロキシメチルエチルジフェノキシシラン、アクリロキシエチルエチルジフェノキシシラン、アクリロキシプロピルエチルジフェノキシシラン、アクリロキシメチルメチルジベンジロキシシラン、アクリロキシエチルメチルジベンジロキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、アクリロキシメチルエチルジベンジロキシシラン、アクリロキシエチルエチルジベンジロキシシラン、アクリロキシプロピルエチルジベンジロキシシラン等が挙げられる。
更に、有機ケイ素化合物(C1)における無機部分の割合と有機溶剤への溶解性とのバランスから、nが0のケイ素化合物(Tモノマー)と、nが1のケイ素化合物(Dモノマー)とを併用することができる。これらの化合物を併用する場合、nが0のケイ素化合物(Tモノマー)の使用量、及び、nが1のケイ素化合物(Dモノマー)の使用量の割合は、得られる有機ケイ素化合物(C1)を用いる用途により、適宜、選択される。
上記ケイ素化合物(A1)としては、Tモノマーが好ましい。
1−2.ケイ素化合物(B1)
本発明におけるケイ素化合物(B1)は、上記一般式(2)で表される化合物である。
このケイ素化合物(B1)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このケイ素化合物(B1)は、シロキサン結合生成基であるYを4個有するもの(Qモノマー)であり、本発明の硬化性組成物に含有される有機ケイ素化合物(C1)の無機部分の割合を大きくするための成分である。このケイ素化合物(B1)が有するシロキサン結合生成基は、ケイ素化合物(A1)の加水分解性基との反応により、シロキサン結合を生成する。
上記一般式(2)におけるシロキサン結合生成基Yは、水酸基又は加水分解性基を意味する。また、複数存在するYは、互いに同一であっても異なっていても良い。
加水分解性基としては、加水分解性を有する基であれば良く、具体的には、水素原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基及びn−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
上記シクロアルコキシ基としては、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
上記アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、o−トルイルオキシ基、m−トルイルオキシ基、p−トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
また、上記アリールアルコキシ基としては、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
これらの加水分解性基のうち、加水分解性が良好であることからアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましい。
上記ケイ素化合物(B1)としては、以下に例示される。
(i)シロキサン結合生成基Yの4個が、互いに同一又は異なって、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はアリールアルコキシ基であるケイ素化合物
(ii)シロキサン結合生成基Yの1個がアルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はアリールアルコキシ基であり、3個が、互いに同一又は異なって、水酸基又は水素原子であるケイ素化合物
(iii)シロキサン結合生成基Yの2個が、互いに同一又は異なって、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はアリールアルコキシ基であり、2個が、互いに同一又は異なって、水酸基又は水素原子であるケイ素化合物
(iv)シロキサン結合生成基Yの3個が、互いに同一又は異なって、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はアリールアルコキシ基であり、1個が、水酸基又は水素原子であるケイ素化合物
(v)シロキサン結合生成基Yの4個が、互いに同一又は異なって、水酸基又は水素原子であるケイ素化合物
上記態様(i)のケイ素化合物としては、テトラメトキシシランSi(OCH、テトラエトキシシランSi(OC、テトラプロポキシシランSi(OC、テトラブトキシシランSi(OC、トリエトキシメトキシシラン、トリプロポキシメトキシシラン、トリメトキシエトキシシラン、トリメトキシプロポキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン等が挙げられる。アルコキシ基を形成する炭化水素基は、直鎖状でも分岐状でもよいが、分岐したものは立体障害が起きやすくなるので、直鎖状の炭化水素基であることが好ましい。
上記態様(ii)のケイ素化合物としては、HSiOCH、HSiOC、HSiOC等が挙げられる。
上記態様(iii)のケイ素化合物としては、HSi(OCH、HSi(OC、HSi(OC等が挙げられる。
上記態様(iv)のケイ素化合物としては、HSi(OCH、HSi(OC、HSi(OC等が挙げられる。
また、上記態様(v)のケイ素化合物としては、HSi(OH)、HSi(OH)、HSi(OH)、SiH、Si(OH)等が挙げられる。
上記ケイ素化合物(B1)としては、製造後における有機ケイ素化合物(C1)の安定性の観点から、上記態様(i)の化合物が好ましく、中でも、炭素数が3以下のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物が好ましい。本発明では、ケイ素化合物(B1)は、テトラ−n−プロポキシシラン、トリメトキシ−n−プロポキシシラン、ジメトキシジ−n−プロポキシシラン、メトキシトリ−n−プロポキシシラン等のn−プロポキシ基を有するアルコキシシラン化合物等のn−プロポキシ基を有するケイ素化合物(B1)を含む
上記n−プロポキシ基を有するケイ素化合物として、n−プロポキシ基を有するアルコキシシラン化合物を用いることにより、製造後の安定性及び保存安定性に特に優れる有機ケイ素化合物(C1)を得ることができ、この有機ケイ素化合物(C1)を含有する硬化性組成物により、耐傷性及び基材に対する密着性に優れた硬化膜(硬化物)を効率よく形成することができる。尚、n−プロポキシ基を有するアルコキシシラン化合物に含まれるn−プロポキシ基の数は、通常、1以上、好ましくは2、3又は4である。
上記ケイ素化合物(B1)がn−プロポキシ基を有するケイ素化合物(n−プロポキシ基を有するアルコキシシラン化合物)を含有する場合、n−プロポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の含有量は、上記効果が確実に得られることから、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。上記ケイ素化合物(B1)が、n−プロポキシ基を有するアルコキシシラン化合物と、他の化合物とからなる場合、他の化合物は、特に限定されない。
また、本発明においては、n−プロポキシ基の数が互いに異なるアルコキシシラン化合物の2種以上をケイ素化合物(B1)として用いることが特に好ましい。この場合、n−プロポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の全体において、n−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物1分子あたり、Si原子に結合するn−プロポキシ基の数の平均が、好ましくは1.2〜3.8、より好ましくは1.5〜3.6、更に好ましくは1.8〜3.4であると、上記効果が顕著となる。
上記好ましいn−プロポキシ基数を有するn−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物は、上記一般式(2)で表されるケイ素化合物(B1)であり且つn−プロポキシ基を有さない化合物(以下、「前駆体(b)」という。)を、1−プロパノール中でアルコール交換反応させることにより得られ、この反応により得られた組成物をそのまま用いる。
尚、上記前駆体(b)は、上記のように、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。本発明において、上記前駆体(b)は、好ましくは、テトラメトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランである。
上記アルコール交換反応により得られたケイ素化合物は、上記1−プロパノール由来のn−プロポキシ基を備える。尚、上記アルコール交換反応において用いる前駆体(b)が1種のみの場合であっても、通常、2種以上のn−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物が形成される。反応生成物は、例えば、互いにn−プロポキシ基の数が異なるn−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物である。
上記アルコール交換反応により、前駆体(b)が有するシロキサン結合生成基の少なくとも一部がn−プロポキシ基に交換されて、n−プロポキシ基を有するアルコキシシラン化合物が形成されると、この化合物を含むケイ素化合物(B1)と、ケイ素化合物(A1)との反応性(共縮重合)のバランスが良くなる。即ち、加水分解共重縮合工程(後述する第1工程)においてケイ素化合物(A1)と均一で円滑な共重縮合反応が進行する。
上記1−プロパノールの使用量は、前駆体(b)が有するシロキサン結合生成基1当量に対して、好ましくは0.1〜10当量、より好ましくは0.5〜6当量である。
尚、アルコール交換反応に際しては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の他のアルコールを併用してもよい。
上記アルコール交換反応における反応温度は、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは10℃〜60℃、更に好ましくは15℃〜30℃である。
また、反応時間は5分〜30時間であり、好ましくは10分〜24時間、更に好ましくは15分〜24時間である。
上記アルコール交換反応における反応系のpHは、特に限定されず、アルカリ性、中性及び酸性のいずれでもよいが、ケイ素化合物(A1)及びケイ素化合物(B1)の反応を、アルカリ性条件により進行させることから、同じ反応系を利用することができ、アルカリ性条件下で行うことが好ましい。
上記アルコール交換反応をアルカリ性条件下で進める場合、反応液のpHは7を超える値である。その場合、反応液のpHは、好ましくは8以上であり13以下である。更に好ましくはpHが9以上であり12以下である。
上記アルコール交換反応をアルカリ性条件下で進める場合、通常、アルカリ剤が添加される。そのアルカリ剤は、上記ケイ素化合物(B1)のアルコキシ基と、1−プロパノールとのアルコール交換反応を円滑に進行させるための反応触媒としても作用する。
上記アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、有機アミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、コリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらのうち、触媒活性の良好な第4級窒素原子を有するアンモニウム化合物が好ましく、アルコール交換反応を円滑に進められることから、水酸化テトラメチルアンモニウムがより好ましい。上記アルカリ剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルカリ剤の使用量は、上記ケイ素化合物(B1)1モルに対して、好ましくは0.001〜0.1モル、より好ましくは0.01〜0.08モル、更に好ましくは0.01〜0.06モルである。アルカリ剤の使用量が0.001〜0.1モルである場合、アルコール交換反応の進行が効率的であり、経済的にも好ましい。
上記アルコール交換反応により得られた組成物に含まれる反応生成物は、上記ケイ素化合物(B1)に含まれる。そして、この組成物は、原料成分の種類により、n−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物のみからなるものとすることができる。また、このn−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物と、未反応の前駆体(b)とからなる場合がある。このn−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物の含有量は、上記組成物に含まれるケイ素化合物(B1)を100質量%とした場合に、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。
また、このようなアルコール交換反応により得られた組成物に含まれるn−プロポキシ基含有ケイ素化合物の種類及び含有量は、上記組成物のガスクロマトグラフィー分析を行うことにより求めることができる。また、このガスクロマトグラフィー分析の定量値から、n−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物1分子あたりの、Si原子に結合するn−プロポキシ基の数の平均値を算出することもできる。
1−3.有機ケイ素化合物(C1)の製造方法
上記有機ケイ素化合物(C1)の製造方法は、上記ケイ素化合物(A1)と、上記ケイ素化合物(B1)とを、上記ケイ素化合物(A1)1モルに対して、上記ケイ素化合物(B1)0.3〜1.8モルの割合で、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させる工程(以下、「第1工程」という。)を含む。上記有機ケイ素化合物(C1)の製造に際して、更に、以下の工程を含むことができる。
(第2工程)第1工程で得られた反応液を、酸により中和する工程。
(第3工程)第2工程で得られた中和液から揮発性成分を除去する工程。
(第4工程)第3工程で得られた濃縮物と、洗浄用有機溶剤とを、混合及び接触させて、少なくとも有機ケイ素化合物(C1)を洗浄用有機溶剤に溶解する工程。
(第5工程)第4工程で得られた有機系液を水により洗浄した後、有機ケイ素化合物(C1)を含む有機溶液を得る工程。
(第6工程)第5工程で得られた有機溶液から揮発性成分を除去する工程。
上記有機ケイ素化合物(C1)の製造方法は、第1工程、第2工程及び第5工程を含むことが好ましい。
1−3−1.第1工程
上記第1工程は、上記ケイ素化合物(A1)と、上記ケイ素化合物(B1)とを、特定の割合で使用して、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させる工程である。
上記ケイ素化合物(A1)は1種のみでもよく、2種以上であってもよい。また、上記ケイ素化合物(B1)は1種のみでもよく、2種以上であってもよい。
上記ケイ素化合物(A1)及び上記ケイ素化合物(B1)の使用割合は、上記ケイ素化合物(A1)1モルに対して、上記ケイ素化合物(B1)が0.3〜1.8モルであり、好ましくは0.8〜1.8モルであり、更に好ましくは1〜1.8モルである。上記ケイ素化合物(A1)1モルに対して、上記ケイ素化合物(B1)が0.3〜1.8モルである場合、加水分解共重縮合反応が好適に進行し、反応中及び反応後にゲルを生ずることなく、有機ケイ素化合物(C1)を効率よく製造することができる。
尚、上記第1工程においては、上記ケイ素化合物(B1)として、アルコール交換反応により得られた組成物が用いられるが、上記ケイ素化合物(A1)及び(B1)の使用割合におけるケイ素化合物(B1)の計算対象は、アルコール交換反応により得られた組成物に含まれるケイ素化合物(ケイ素化合物(B1)に含まれる)ではなく、アルコール交換反応に供した前駆体(b)(ケイ素化合物(B1)に含まれる)とする。
また、上記第1工程において、加水分解する際、通常、水が用いられる。その水の使用量は、上記原料ケイ素化合物(ケイ素化合物(A1)及び加水分解性基を有する場合のケイ素化合物(B1))に含まれる加水分解性基1当量に対して0.5〜10当量であることが好ましく、より好ましくは1〜5当量である。水の使用量が少ない場合、反応が不十分となる場合があり、水の使用量が多い場合、反応後に水を除去する工程が長くなり経済的でない。
上記第1工程はアルカリ性条件下での反応であり、反応液のpHは7を超える値である。反応液のpHは好ましくは8以上であり、更に好ましくはpHが9以上である。尚、上限は、通常、pH13である。反応系を上記pHとすることにより、保存安定性に優れた有機ケイ素化合物(C1)を高い収率で製造することができる。
酸性条件下(pH7未満)で加水分解共重縮合させて得られる有機ケイ素化合物は、保存安定性に劣るものとなり、反応条件等によっては保存中にゲル化することもある。
また、中性条件下(pH7付近)では、加水分解共重縮合反応が進行し難く、有機ケイ素化合物を収率よく得ることができない。
上記第1工程において、反応系をアルカリ性条件とする方法は特に限定されない。反応系を上記好ましいpH範囲とするために、通常、アルカリ剤が添加される。尚、上記ケイ素化合物(B1)が、アルカリ性条件下、前駆体(b)のアルコール交換反応により得られたものであり、且つ、同じ反応系で第1工程を進める場合であって、反応系が上記好ましいpH範囲にある場合には、アルカリ剤を新たに添加することなく、加水分解共重縮合を行うことができる。
上記アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、有機アミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、コリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム等が挙げられる。これらのうち、触媒活性の良好な第4級窒素原子を有するアンモニウム化合物が好ましく、加水分解共重縮合反応を円滑に進められることから、水酸化テトラメチルアンモニウムがより好ましい。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルカリ剤は、上記ケイ素化合物(B1)が有するシロキサン結合生成基と、上記ケイ素化合物(A1)が有する加水分解性基とを利用した加水分解により、共重縮合反応を円滑に進行させるための反応触媒として作用する。
上記アルカリ剤を使用する場合、その使用量は、上記ケイ素化合物(A1)及びケイ素化合物(B1)の合計モル数1モルに対して、0.001〜0.20モルが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1モル、更に好ましくは0.01〜0.08モルである。アルカリ剤の使用量が0.001〜0.1モルである場合、加水分解共重縮合反応が円滑に進行する。
上記第1工程では、反応溶媒として、有機溶媒が使用されることが好ましい。この有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ヘキサン、リグロイン等が挙げられる。このうち、アルコール類やケトン類等の極性の高い溶媒は、有機ケイ素化合物(C1)の溶解性が高いため好ましく、より好ましくは1−プロパノールである。尚、これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記第1工程における反応温度は0℃〜120℃が好ましく、より好ましくは10℃〜80℃であり、更に好ましくは40℃〜80℃である。
また、反応時間は30分〜30時間であり、好ましくは30分〜10時間、更に好ましくは1〜5時間である。
1−3−2.第2工程
上記第2工程は、上記第1工程で得られた、有機ケイ素化合物(C1)を含む反応液を、酸により、中和する工程である。酸の例としては、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸、乳酸、アクリル酸等のカルボン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸等の有機酸が挙げられる。これらのうち、メタクリロイル基及びアクリロイル基の安定性に悪影響を及ぼし難く(メタクリロイル基及びアクリロイル基への付加反応が起こり難く)、水洗により比較的除去されやすいことから、硝酸が好ましい。酸の使用量は、有機ケイ素化合物(C1)を含む反応液のpHに応じて、適宜、選択されるが、反応液に含まれるアルカリ剤1当量に対して1〜1.1当量であることが好ましく、1〜1.05当量であることがより好ましい。
1−3−3.第3工程
上記第3工程は、上記第2工程で得られた中和液から揮発性成分を除去する工程である。この工程では、常圧(大気圧)又は減圧の条件における蒸留が行われる。除去される揮発性成分としては、上記第1工程の反応溶媒として使用された有機溶剤が主である。反応溶媒として、例えば、メタノールのように水と混和する有機溶剤が使用された場合には、後述する水による洗浄(第5工程)に支障が出る場合があるため、通常、本工程が実施される。
尚、第1工程における反応溶媒が、水と混和しないものであり、第5工程における水による洗浄に適した有機溶剤である場合、及び、第1工程における反応溶媒が、アルコール等の水と混和する溶媒であったとしても、第5工程における水による洗浄に適した有機溶剤を多量に追加することで洗浄工程を行うことが可能な場合、には、この第3工程及び第4工程を省略することができる。
1−3−4.第4工程
上記第4工程は、上記第3工程で得られた濃縮物と、洗浄用有機溶剤とを、混合及び接触させて、少なくとも有機ケイ素化合物(C1)を洗浄用有機溶剤に溶解する工程である。洗浄用有機溶剤としては、反応生成物である有機ケイ素化合物(C1)を溶解し、水と混和しない化合物を使用する。ここで、水と混和しないとは、水と洗浄用有機溶剤とを十分混合した後、静置すると、水層と有機層とに分離することを意味する。
好ましい洗浄用有機溶剤としては、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;トルエン等の芳香族炭化水素;ヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
上記洗浄用有機溶剤は、第1工程において用いられた反応溶媒と同一であってよいし、異なってもよい。
1−3−5.第5工程
上記第5工程は、上記第4工程で得られた有機系液を水により洗浄した後、有機ケイ素化合物(C1)を含む有機溶液を得る工程である。尚、この有機系液は、第3工程及び第4工程が省略された場合、第2工程で得られた液を意味する。この第5工程によって、第1工程において使用されたアルカリ剤、及び、第2工程において使用された酸、並びにそれらの塩は、水層に含まれ、有機層から実質的に除かれる。
尚、上記第5工程は、水と有機系液とを混合し、水と有機系液とを接触させる工程、並びに、水層と有機層(有機ケイ素化合物(C1)を含む層)と分離し、有機層(有機溶液)を回収する工程を含む。これらの工程において、水と有機系液との混合、及び、水と有機系液との接触が不十分の場合、並びに、水層と有機層(有機系液)との分離が不十分の場合等には、得られる有機ケイ素化合物(C1)は、不純物を多く含む場合があり、また、安定性の悪い有機ケイ素化合物(C1)となる場合がある。
上記第5工程における、水と有機系液とを混合し、水と有機系液とを接触させる工程の温度は、特に限定されないが、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜60℃である。また、水層と有機層とを分離する工程の温度もまた、特に限定されないが、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜60℃である。2つの工程における処理温度を40℃〜60℃程度とすることは、水層及び有機層の分離時間の短縮効果があるため、好ましい。
1−3−6.第6工程
上記第6工程は、上記第5工程で得られた有機溶液から揮発性成分を除去する工程である。この工程では、常圧(大気圧)又は減圧条件における蒸留が行われる。この第6工程において除去される揮発性成分は、主として、第4工程で用いた洗浄用有機溶剤であるが、他に揮発性成分が含まれていれば、この工程において、同時に除去される。
以上の工程によって、有機ケイ素化合物(C1)は単離される。
尚、有機ケイ素化合物(C1)が有機溶剤に溶解されてなる溶液とする場合には、上記第4工程で用いた洗浄用有機溶剤をそのまま有機ケイ素化合物(C1)の溶媒として使用することができ、第6工程を省略することができる。
上記有機ケイ素化合物(C1)の製造方法において、ケイ素化合物(A1)及びケイ素化合物(B1)の縮合率は、92%以上とすることができ、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上である。シロキサン結合生成基(加水分解性基を含む)は実質的に全てが縮合されていることが最も好ましいが、縮合率の上限は、通常、99.9%である。
上記有機ケイ素化合物(C1)を製造する場合において、反応系、有機ケイ素化合物(C1)を含む反応液、中和液、有機系液及び有機溶液の少なくとも1つに対して、アクリロイル基及びメタクリロイル基の重合を禁止する重合禁止剤を添加することもできる。
重合禁止剤は、特に限定されず、一般的に用いられているラジカル捕捉剤を使用してもよい。例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、3−ヒドロキシチオフェノール、α−ニトロソ−β−ナフトール、p−ベンゾキノン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、銅塩等が挙げられる。
これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合禁止剤が、ハイドロキノンやハイドロキノンモノメチルエーテル等のように、嫌気条件下では重合禁止能力を発揮しない場合は、適宜、酸素を供給することが好ましい。
上記重合禁止剤の使用量は、有機ケイ素化合物(C1)の理論収量に対して1質量ppmから2,000質量ppmが好ましく、より好ましくは10質量ppmから1,000質量ppmであり、更に好ましくは100質量ppmから500質量ppmである。重合禁止剤の使用量が上記範囲にあると、減圧下での脱溶媒中にゲルが生じたり、得られた有機ケイ素化合物(C1)の保存安定性が悪くなったりする不具合を抑制することができる。尚、重合禁止剤の使用量が多すぎると、重合禁止剤由来の着色が強くなったり、得られた有機ケイ素化合物(C1)を含む組成物を硬化させる際の阻害要因となったりする場合がある。
上記重合禁止剤の使用方法としては、縮合工程の開始前であってよいし、反応中であってもよい。
尚、上記のように、酸性条件での製造方法等、公知の方法によるQモノマーとTモノマーとの共重縮合反応においては、両者を均一に反応させることは難しく、ゲルが生じやすい。このため、トリメチルアルコキシシランやヘキサメチルジシロキサン等の、シロキサン結合生成基を1つのみ有するケイ素化合物(Mモノマー)を末端封止剤として作用させることでゲル化を回避する方法が知られている。
しかしながら、所定量以上のMモノマーを併用することで、ゲル化は回避できても、得られる有機ケイ素化合物の無機的性質は低下する傾向にある。本発明では、Tモノマー及び/又はDモノマーと、Qモノマーとをゲル化させずに共重縮合させているが、無機的性質を低下させない程度の低い割合でMモノマーを併用することは可能である。具体的には、第1工程の際に、Mモノマーの使用量を、ケイ素化合物(A1)及びケイ素化合物(B1)の合計モル数100モルに対して、10モル以下とすることができる。
1−4.有機ケイ素化合物(C1)
上述の工程により得られた有機ケイ素化合物(C1)は、ケイ素化合物(B1)に含まれるシロキサン結合生成基及び、ケイ素化合物(A1)に含まれる加水分解性基が加水分解して形成された三次元のシロキサン結合(Si−O−Si)と、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基とを有するポリシロキサンである。上記第1工程において、ケイ素化合物(A1)に含まれるメタクリロイル基及び/又はアクリロイル基に由来する重合を抑制しつつ、シロキサン結合生成基及び加水分解性基の大部分がシロキサン結合に転化されたのである。
また、上記有機ケイ素化合物(C1)は、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を有するため、ラジカル硬化性を備える。有機ケイ素化合物(C1)をラジカル硬化させることにより、表面硬度が大きく耐傷性に優れた硬化物を与えることができる。
上記有機ケイ素化合物(C1)は、その構造中において、有機部分及び無機部分を有する。ケイ素化合物(A1)を表す上記一般式(1)におけるR及びRは有機部分を形成する。また、ケイ素化合物(B1)に由来する加水分解性基(アルコキシ基等)、及び、ケイ素化合物(A1)に由来する加水分解性基(アルコキシ基等)、の少なくとも一方のうちの一部が残存する場合は、これも有機部分を形成する。上記有機部分以外の部分は、炭素原子を含まない無機部分である。
上記のように、有機ケイ素化合物(C1)の製造方法において、ケイ素化合物(A1)及びケイ素化合物(B1)の縮合率を92%以上とすることができるので、得られた有機ケイ素化合物(C1)は、無機部分の割合が高く、ポリシロキサン構造が十分に形成された化合物である。縮合率が低い場合、この有機ケイ素化合物(C1)を用いて得られる硬化物の硬度が低下する傾向がある。また、有機ケイ素化合物(C1)の保存安定性が低下する傾向がある。
上記有機ケイ素化合物(C1)が、シロキサン結合生成基(加水分解性基を含む)を有する場合には、その残存割合は、H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)チャートから算出することができる。尚、「加水分解性基の実質的に全てが縮合されている」ことは、例えば、得られた有機ケイ素化合物(C1)(ポリシロキサン化合物)のH−NMRチャートにおいて加水分解性基に基づくピークがほとんど観察されないことにより確認することができる。
上記有機ケイ素化合物(C1)が、ケイ素化合物(A1)としての、上記一般式(1)におけるnが0の化合物(加水分解性基を3個有するTモノマー)と、ケイ素化合物(B1)(シロキサン結合生成基を4個有するQモノマー)とを加水分解共重縮合反応させて得られた有機ケイ素化合物である場合、構成単位としてTモノマー単位及びQモノマー単位を有するものとなる。
上記の場合、有機ケイ素化合物(C1)は、部分的にラダー(はしご)状、かご状又はランダム状の構造をとることができる。
上記有機ケイ素化合物(C1)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析による標準ポリスチレン換算で、好ましくは500〜100,000、より好ましくは1,000〜50,000、更に好ましくは2,000〜20,000である。
本発明に係る有機ケイ素化合物(C1)は、ケイ素化合物(A1)と、n−プロポキシ基を有するアルコキシシラン化合物を1種又は2種以上含むケイ素化合物(B1)とを加水分解共重縮合させる工程を備える方法により得られた有機ケイ素化合物である。
1−5.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、上記有機ケイ素化合物(C1)及び重合性不飽和化合物を含有し、更に、目的、用途等に応じて、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、ラジカル重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、有機ポリマー、フィラー、金属粒子、顔料、重合開始剤、増感剤、有機溶剤等が挙げられる。
上記重合性不飽和化合物としては、本発明の硬化性組成物から形成される硬化物の硬度、機械的強度、耐薬品性及び密着性等の物性を調整すること、基材への密着性に優れた硬化膜を得ること、硬化性組成物の粘度及び硬化性等を調整すること等を目的として、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物(以下、「(メタ)アクリレート化合物」という。)が用いられる。
上記(メタ)アクリレート化合物としては、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記単官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド変性フェノールの(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノールの(メタ)アクリレート等の、フェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート;エチレンオキサイド変性ノニルフェノールの(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノールの(メタ)アクリレート等の、アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート;2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、アクリル酸のマイケル付加型のダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノール(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンメチロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。この単官能(メタ)アクリレートは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性水添ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアリルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。この多官能(メタ)アクリレートは、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、有機ポリイソシアネートとヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを付加反応させて得られた化合物、ポリオールと有機ポリイソシアネートとヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを付加反応させて得られた化合物等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
また、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメチロール、及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、低分子量ポリオール及び/又はポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応生成物が挙げられる。
上記ポリオールは、単独で用いてもよく、2つ以上を併用することもできる。
有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。上記有機ポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、2つ以上を併用することもできる。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のアルキレンオキサイド3モル付加物のジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートは、単独で用いてもよく、2つ以上を併用することもできる。
上記の(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多価(メタ)アクリレート、及び、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、これらにより、特に硬度の高い、耐汚染性の優れた硬化物を得ることができる。
他の重合性不飽和化合物としては、マレイミド基、アミド基、ビニル基等を有する重合性不飽和化合物が挙げられる。
マレイミド基を有する不飽和化合物としては、N−(2−(メタ)アクリロキシエチル)ヘキサヒドロフタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)シトラコンイミド等が挙げられる。
アミド基を有する不飽和化合物としては、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。
ビニル基を有する不飽和化合物としては、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物において、上記有機ケイ素化合物(C1)と(メタ)アクリレート化合物とを併用する場合の含有割合は、使用目的により異なり、特に制限されるものではない。上記有機ケイ素化合物(C1)100質量部に対する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、得られる硬化物の耐汚染性、密着性、硬度等の間の物性バランスの観点から、好ましくは1〜100,000質量部、より好ましくは、10〜10,000質量部、更に好ましくは、80〜1,000質量部である。
上記ラジカル重合禁止剤としては、ハイドロキノンやハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール系化合物が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールや、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール等のイオウ系二次酸化防止剤、リン系二次酸化防止剤等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
上記ラジカル重合禁止剤及び酸化防止剤を用いることにより、硬化性組成物の保存安定性、熱安定性等を向上させることができる。
上記硬化性組成物が、ラジカル重合禁止剤を含有する場合、このラジカル重合禁止剤の含有量は、上記有機ケイ素化合物(C1)1,000,000質量部に対して、好ましくは1〜10,000質量部、より好ましくは10〜2,000質量部、更に好ましくは100〜500質量部である。
上記硬化性組成物が、酸化防止剤を含有する場合、この酸化防止剤の含有量は、上記有機ケイ素化合物(C1)1,000,000質量部に対して、好ましくは1〜10,000質量部、より好ましくは10〜2,000質量部、更に好ましくは100〜500質量部である。
上記紫外線吸収剤としては、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤や、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、酸化チタン微粒子や酸化亜鉛微粒子等の紫外線を吸収する無機微粒子等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。また、光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤及び光安定剤を用いることにより、UV耐性や耐候性を高めることができる。
上記硬化性組成物が、紫外線吸収剤を含有する場合、この紫外線吸収剤の含有量は、上記有機ケイ素化合物(C1)100質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
上記硬化性組成物が、光安定剤を含有する場合、この光安定剤の含有量は、上記有機ケイ素化合物(C1)100質量部に対して、好ましくは0.01〜100質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。
上記レベリング剤としては、シリコーン系ポリマー、フッ素原子含有ポリマー等が挙げられる。
上記レベリング剤を用いることにより、硬化性組成物を塗布した際のレベリング性を向上させることができる。
上記有機ポリマーとしては、(メタ)アクリル系ポリマーが挙げられ、好適な構成モノマーとしては、メチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、N−(2−(メタ)アクリロキシエチル)テトラヒドロフタルイミド等が挙げられる。
上記有機ポリマーを用いることにより、硬化性組成物を用いて得られた硬化物の硬化収縮を抑制することができる。
上記フィラーとしては、シリカやアルミナ等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性組成物及び熱硬化性組成物とすることができ、目的に応じて、重合開始剤が選択され、配合される。
本発明の硬化性組成物が、活性エネルギー線硬化性組成物である場合に含有される光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン〕及び2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルファイド等のベンゾフェノン系化合物;メチルベンゾイルフォルメート、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−〔2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ〕−エチルエステル及びオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−〔2−ヒドロキシ−エトキシ〕−エチルエステル等のα−ケトエステル系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;チタノセン系化合物;1−(4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフィニル)プロパン−1−オン等のアセトフェノン/ベンゾフェノンハイブリッド系光開始剤;1,2−オクタンジオン、1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム))等のオキシムエステル系光重合開始剤;並びにカンファーキノン等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
上記硬化性組成物が、光重合開始剤を含有する場合、この光重合開始剤の含有量は、上記有機ケイ素化合物(C1)100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
本発明の硬化性組成物が、活性エネルギー線硬化性組成物である場合には、硬化速度を高めたり、基材との密着性を高めたりする目的等で、光増感剤を添加しても良い。
好適な光増感剤としては、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物や、アセトフェノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物が、熱硬化性組成物である場合に含有される熱重合開始剤としては、ジクミルペルオキシド、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、AIBN等のアゾ系化合物等が挙げられる。
上記硬化性組成物が、熱重合開始剤を含有する場合、この熱重合開始剤の含有量は、上記有機ケイ素化合物(C1)100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
本発明の硬化性組成物は、ハードコート等のように薄膜でコーティングされる場合や、上記有機ケイ素化合物(C1)の縮合度が高く高粘度である又は固体である場合には、有機溶剤を含むことが好ましい。
上記有機溶剤の種類は、特に限定するものではないが、上記有機ケイ素化合物(C1)及びその他の成分を溶解する有機溶剤が好ましい。
上記有機溶剤としては、エタノール及びイソプロピルアルコール等のアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;トルエン及びキシレン等の芳香族化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン;ジブチルエーテル等のエーテル;並びにN−メチルピロリドン等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
上記有機溶剤としては、有機ケイ素化合物(C1)製造時の反応溶媒を、そのまま組成物の有機溶剤として用いることができる。この場合には、製造コストを低減できるという長所がある。また、上記反応溶媒を他の有機溶剤に置換することにより調製された組成物であってもよい。例えば、組成物を塗布する基材が、木材等の、有機溶剤が微量残りやすいものである場合には、有機ケイ素化合物(C1)製造時の反応溶媒を脱溶剤し、エタノール等の安全性の高い有機溶剤に置換することができる。
本発明の硬化性組成物が、有機溶剤を含有する場合、上記有機ケイ素化合物(C1)の濃度は、特に限定されないが、濃度の下限値は、通常、0.1質量%である。
但し、本発明の硬化性組成物は、無溶剤系の硬化性組成物とすることもできる。
本発明の硬化性組成物は、原料成分を混合することにより得ることができる。混合の際には、従来、公知の混合機等を用いればよい。具体的には、反応用フラスコ、チェンジ缶式ミキサー、プラネタリーミキサー、ディスパー、ヘンシェルミキサー、ニーダー、インクロール、押出機、3本ロールミル、サンドミル等が挙げられる。
1−6.硬化物の形成方法
上記のように、本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性組成物又は熱硬化性組成物とすることができる。即ち、本発明の硬化性組成物を用いて塗膜等を形成した後、紫外線、電子線、X線又は熱等のエネルギーによる硬化が可能であり、耐傷性、基材に対する密着性等に優れた硬化物(硬化膜)を好適に形成することができる。
活性エネルギー線の具体例としては、電子線、紫外線、可視光等が挙げられるが、紫外線が特に好ましい。紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV無電極ランプ、LED等が挙げられる。照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて、適宜、設定される。一例として高圧水銀ランプを使用する場合、UV−A領域の照射エネルギーで100〜5,000mJ/cmが好ましく、より好ましくは500〜3,000mJ/cmであり、更に好ましくは2,000〜3,000mJ/cmである。
また、熱硬化する場合、硬化温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、より好ましくは80℃〜150℃である。上記範囲内で、温度を一定としてもよいし、昇温させてもよい。更には、昇温と降温とを組み合わせてもよい。硬化時間は、熱重合開始剤の種類、他の成分の含有割合等により、適宜、選択されるが、通常、0.01〜24時間、好ましくは0.1〜5時間である。
尚、硬化前の塗膜の形成方法は、特に限定されず、基材の構成材料、形状等に応じて、適宜、選択される。基材がフィルム、シート等の平板状である場合には、アプリケーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター等を用いて、被膜を形成することができる。また、ディップコート法、スキャット法、スプレー法等を用いることもできる。
1−7.硬化性組成物の用途及び硬化膜を備える物品
本発明の硬化性組成物は、種々の用途に使用することが可能である。例えば、コーティング剤及び接着剤等を挙げることができる。
活性エネルギー線硬化型組成物としては、これらの用途に加え、光導波路のクラッド材、電気配線の絶縁被覆材及びフォトレジストにも使用することができる。
本発明の物品は、基材と、この基材の表面に配された、上記本発明の硬化性組成物から形成された硬化膜とを備えることを特徴とする。
適用できる上記基材としては、特に限定されず、その構成材料は、有機材料及び無機材料のいずれでもよい。具体的には、単体金属、合金、ガラス、セラミックス、樹脂、紙材、木、コンクリート等を使用することができる。また、その形状としては、フィルム、シート、板(平板、曲板)、立方体、直方体、角錐、円錐、線状体(直線、曲線等)、環状体(円形、多角形等)、管、球等の定形体、凹凸、溝、貫通孔、角部等を有する不定形体が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、コーティング剤として好ましく使用することができ、ポリマー材料のハードコート及び木工用塗料等に好適に使用することができる。
ポリマー材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、MS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、ポリエーテルサルホン、ポリアミド、ポリイミド、ユリア・メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ乳酸、液晶ポリマー等が挙げられる。ポリマーが難接着性である場合は、密着性を高めるために、コロナ処理等の易接着処理をすることが好ましい。
本発明の硬化性組成物の最も好ましい使用形態は、活性エネルギー線硬化型ハードコート用組成物である。
この場合、塗工性を改良する目的で有機溶剤を含む組成物が好ましい。有機溶剤の具体例としては、硬化性組成物の項で記載した通りである。
組成物中の有機溶剤の含有割合としては、30〜99.9質量%が好ましい。
ハードコートの製造方法としては、常法に従えば良く、例えば、基材に硬化性組成物を塗布して加熱乾燥させた後、活性エネルギー線を照射させて硬化させる方法等が挙げられる。
この場合の塗工条件及び加熱乾燥条件は、常法に従えば良い。活性エネルギー線照射は、前記した好ましい条件に従えば良い。
活性エネルギー線硬化型ハードコート用組成物は、液晶ディスプレイやプロジェクションテレビ等に使用される光学シートのハードコートや、メガネレンズ、ゴーグル、オートバイのヘルメットの前面板等の視界に関わるプラスチック製品のハードコートに好適に使用することができる。又、携帯電話等のモバイル製品や家電製品等の筐体へのハードコートとしても好適に使用することができる。更に、ガラス代替プラスチックのハードコートとしても好適に使用することができる。具体的には、自動車や電車の窓ガラスや、建材や家具等のガラス部分等を、プラスチックで代替する場合のハードコートとしても好適に使用することができる。
プラスチック以外の基材に対しても、例えば木製床材のハードコートや、自動車、自転車、電車等の車両外装用塗料など、様々な用途に使用することができる。
本発明の組成物をコーティング剤として使用する場合、本発明は、基材の表面に、本発明の組成物の硬化膜を形成してなる物品にも関する。
この場合の基材の具体例及び好ましい例としては、前記と同様のものが挙げられる。
硬化膜の形成方法としては、常法に従えば良く、基材に組成物を塗布した後、熱硬化型組成物の場合には加熱し、活性エネルギー線硬化型組成物の場合には、活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
この場合の組成物の塗布方法、加熱条件及び活性エネルギー線の照射条件等は、常法に従えば良い。
上記物品の製造方法は、特に限定されず、通常の方法を、適宜、用いることができるが、好ましくは、ポリカーボネート等からなる基板上に、上述の硬化性組成物を用いて被膜を形成させる被膜形成工程と、上記被膜に100mJ/cm以上の活性エネルギー線を照射し、該被膜を硬化させて硬化膜を形成させる硬化工程と、を備える方法とすることができる。
以下、基板がポリカーボネートからなる場合について、説明する。
上記ポリカーボネート基板の大きさ、形状等は特に限定されない。硬化膜を形成させるポリカーボネート板が用いられる用途により、適宜、選択される。
また、ポリカーボネート基板への被膜形成方法は、通常の方法を用いることができる。例えば、バーコーター等を用いて、硬化性組成物をポリカーボネート板上に塗布する方法等が挙げられる。
そして、ポリカーボネート基板上に塗布された硬化性組成物は、有機溶剤を揮発させ被膜形成させる。有機溶剤を揮発させる場合の温度は、20℃〜300℃が好ましく、より好ましくは30℃〜100℃、更に好ましくは40℃〜80℃である。
また、有機溶剤を揮発させる時間は、1〜30分が好ましく、より好ましくは2〜15分、更に好ましくは3〜10分である。
ポリカーボネート基板上に形成される被膜の厚さは特に限定されない。この積層体が用いられる用途により、適宜、選択されるが、好ましくは0.1〜100μmであり、より好ましくは1〜50μmであり、更に好ましくは5〜30μmである。
上記硬化工程は、上記被膜形成工程で得られたポリカーボネート基板上に形成された被膜に100mJ/cm以上の活性エネルギー線を照射し、該被膜を光硬化させて硬化膜を形成させる。
活性エネルギー線の具体例としては、電子線、紫外線、可視光等が挙げられるが、紫外線が特に好ましい。紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV無電極ランプ、LED等が挙げられる。
照射エネルギーは、通常、100mJ/cm以上であり、100〜5,000mJ/cmが好ましく、より好ましくは500〜3,000mJ/cmであり、更に好ましくは2,000〜3,000mJ/cmである。
本発明の物品は、優れた硬化性、耐傷性、硬度及び安定性に優れるため、自動車部品、電気製品各種部品、建築資材、その他一般工業材料に好適に用いることができる。特に透明性にも優れるため、ガラス等の高脆材の代替等にも最適に用いることができる。
2.有機ケイ素化合物の製造方法
参考発明の有機ケイ素化合物(以下、「有機ケイ素化合物(C2)」という。)の製造方法は、下記一般式(5)で表されるケイ素化合物(A2)を、1−プロパノール中でアルコール交換反応させる反応工程と、上記反応させて得られた組成物に、下記一般式(6)で表されるケイ素化合物(B2)を添加し、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させる縮合工程とを備え、上記ケイ素化合物(A2)と上記ケイ素化合物(B2)との配合割合は、上記ケイ素化合物(B2)1モルに対して、上記ケイ素化合物(A2)が0.3〜1.8モルであることを特徴とする。
SiX (5)
〔一般式(5)において、Xはシロキサン結合生成基であり、Xは同一であっても異なっても良い。〕
Figure 0005685571
〔一般式(6)において、Rはメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を有する有機基であり、Yは加水分解性基であり、Yは同一であっても異なっても良く、nは0又は1である。〕
2−1.反応工程
上記反応工程は、上記一般式(5)で表されるケイ素化合物(A2)を、1−プロパノール中でアルコール交換反応させる工程であり、上記ケイ素化合物(A2)中のシロキサン結合生成基をn−プロポキシ基に置換し、少なくとも1つのn−プロポキシ基を有するケイ素化合物(以下、「n−プロポキシ基含有ケイ素化合物」ともいう。)を得る工程である。尚、得られたケイ素化合物は、上記ケイ素化合物(A2)に含まれる。
上記ケイ素化合物(A2)は、下記一般式(5)で表される化合物である。
SiX (5)
〔一般式(5)において、Xはシロキサン結合生成基であり、Xは同一であっても異なっても良い。〕
このケイ素化合物(A2)は、シロキサン結合生成基であるXを4個有するもの(Qモノマー)である。このケイ素化合物(A2)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のように、この反応工程により得られるケイ素化合物もまた、n−プロポキシ基を有し、このn−プロポキシ基は、シロキサン結合生成基に含まれる。このn−プロポキシ基含有ケイ素化合物が有するシロキサン結合生成基は、ケイ素化合物(B2)の加水分解性基との反応により、シロキサン結合を生成する。
上記一般式(5)におけるシロキサン結合生成基Xは、水酸基又は加水分解性基を意味する。また、複数存在するXは、互いに同一であっても異なっていても良い。
加水分解性基としては、加水分解性を有する基であれば良く、具体的には、水素原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基及びアリールアルコキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基及びn−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
上記シクロアルコキシ基としては、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
また、アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、o−トルイルオキシ基、m−トルイルオキシ基、p−トルイルオキシ基及びナフチルオキシ基等が挙げられる。
また、アリールアルコキシ基としては、例えばベンジルオキシ基等が挙げられる。
これらの加水分解性基のうち、加水分解性が良好であることからアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましい。原料入手が容易であり安価であること、並びにアルコール交換反応が制御しやすいことから、メトキシ基が更に好ましい。
上記ケイ素化合物(A2)としては、以下に例示される。
(i)シロキサン結合生成基Xの4個が、互いに同一又は異なって、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はアリールアルコキシ基であるケイ素化合物
(ii)シロキサン結合生成基Xの1個がアルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はアリールアルコキシ基であり、3個が、互いに同一又は異なって、水酸基又は水素原子であるケイ素化合物
(iii)シロキサン結合生成基Xの2個が、互いに同一又は異なって、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はアリールアルコキシ基であり、2個が、互いに同一又は異なって、水酸基又は水素原子であるケイ素化合物
(iv)シロキサン結合生成基Xの3個が、互いに同一又は異なって、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はアリールアルコキシ基であり、1個が、水酸基又は水素原子であるケイ素化合物
(v)シロキサン結合生成基Xの4個が、互いに同一又は異なって、水酸基又は水素原子であるケイ素化合物
上記態様(i)のケイ素化合物としては、テトラメトキシシランSi(OCH、テトラエトキシシランSi(OC、テトラプロポキシシランSi(OC、テトラブトキシシランSi(OC、トリエトキシメトキシシラン、トリプロポキシメトキシシラン、トリメトキシエトキシシラン、トリメトキシプロポキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン等が挙げられる。アルコキシ基を形成する炭化水素基は、直鎖状でも分岐状でもよいが、分岐したものは立体障害が起きやすくなるので、直鎖状の炭化水素基であることが好ましい。
上記態様(ii)のケイ素化合物としては、HSiOCH、HSiOC、HSiOC等が挙げられる。
上記態様(iii)のケイ素化合物としては、HSi(OCH、HSi(OC、HSi(OC等が挙げられる。
上記態様(iv)のケイ素化合物としては、HSi(OCH、HSi(OC、HSi(OC等が挙げられる。
また、上記態様(v)のケイ素化合物としては、HSi(OH)、HSi(OH)、HSi(OH)、SiH、Si(OH)等が挙げられる。
上記ケイ素化合物(A2)として好ましい化合物は、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランである。更に、入手が容易であり、1−プロパノールを用いたアルコール交換反応を効率よく進めることができることから、より好ましくはテトラメトキシシランである。
上記反応工程で用いられるアルコールは、1−プロパノールである。これにより得られるn−プロポキシ基含有ケイ素化合物を含む組成物と、ケイ素化合物(B2)との反応性のバランスが良くなり、後述する縮合工程において、均一で円滑な共重縮合反応を進めることができる。
上記1−プロパノールの使用量は、ケイ素化合物(A2)が有するシロキサン結合生成基1当量に対して、好ましくは0.1〜10当量、より好ましくは0.5〜6当量である。
尚、アルコール交換反応に際しては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の他のアルコールを併用してもよい。
上記反応工程における反応温度は、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは10℃〜60℃、更に好ましくは15℃〜30℃である。
また、反応時間は5分〜30時間であり、好ましくは10分〜24時間、更に好ましくは15分〜24時間である。
上記反応工程における反応系のpHは、特に限定されず、アルカリ性、中性及び酸性のいずれでもよいが、後述の縮合工程を、アルカリ性条件により進行させることから、同じ反応系を利用することができ、アルカリ性条件下で行うことが好ましい。
上記反応工程がアルカリ性条件下である場合、反応液のpHは7を超える値である。その場合、反応液のpHは、好ましくは8以上であり13以下である。更に好ましくはpHが9以上であり12以下である。
上記反応工程をアルカリ性条件下で進める場合、通常、アルカリ剤が添加される。そのアルカリ剤は、上記ケイ素化合物(A2)のアルコキシ基と、1−プロパノールとのアルコール交換反応を円滑に進行させるための反応触媒としても作用する。
上記アルカリ剤としては、アンモニア、有機アミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、コリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらのうち、触媒活性の良好な第4級窒素原子を有するアンモニウム化合物が好ましく、アルコール交換反応を円滑に進められることから、水酸化テトラメチルアンモニウムがより好ましい。上記アルカリ剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルカリ剤の使用量は、上記ケイ素化合物(A2)1モルに対して、好ましくは0.001〜0.1モル、より好ましくは0.01〜0.08モル、更に好ましくは0.01〜0.06モルである。アルカリ剤の使用量が0.001〜0.1モルである場合、アルコール交換反応の進行が効率的であり、経済的にも好ましい。
上記反応工程により、n−プロポキシ基を少なくとも1つ有するn−プロポキシ基含有ケイ素化合物を含む組成物が製造される。尚、この組成物には、未反応のケイ素化合物(A2)が含まれる場合がある。
上記n−プロポキシ基含有ケイ素化合物は、上記ケイ素化合物(A2)が有する4個のシロキサン結合生成基のうち、2個、3個又は4個のシロキサン結合生成基がn−プロポキシ基に交換されていることが好ましい。
上記反応工程により得られる組成物は、通常、n−プロポキシ基の数が異なるケイ素化合物の2種以上を含む組成物である。この組成物に含まれるn−プロポキシ基含有ケイ素化合物の全体において、n−プロポキシ基含有ケイ素化合物1分子あたり、Si原子に結合するn−プロポキシ基の数の平均は、好ましくは1.2〜3.8、より好ましくは1.5〜3.6、更に好ましくは1.8〜3.4である。上記n−プロポキシ基の数の平均値は、上記組成物をガスクロマトグラフィーにより分析し、検出成分の定性及び定量により求めることができる。
上記反応工程により得られた組成物に含まれる反応生成物は、n−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物のみからなるものとすることができる。また、上記のように、反応生成物は、このn−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物と、未反応のケイ素化合物(A2)とからなる場合がある。このn−プロポキシ基含有アルコキシシラン化合物の含有量は、上記組成物に含まれるケイ素化合物を100質量%とした場合に、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。
2−2.縮合工程
上記縮合工程は、上記反応工程により得られた、n−プロポキシ基含有ケイ素化合物を含む組成物に、下記一般式(6)で表されるケイ素化合物(B2)を添加し、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させる工程である。
上記組成物は、参考発明の効果を損なわない範囲で、n−プロポキシ基含有ケイ素化合物を除くケイ素化合物(A2)を含んでもよい。
Figure 0005685571
〔一般式(6)において、Rはメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を有する有機基であり、Yは加水分解性基であり、Yは同一であっても異なっても良く、nは0又は1である。〕
上記組成物は、反応工程における反応後の反応溶液をそのまま用いることができる。
上記ケイ素化合物(B2)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ケイ素化合物(B2)は、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基を備え、参考発明の製造方法により得られる有機ケイ素化合物(C2)にラジカル硬化性を付与するための成分である。
一般式(6)におけるRは、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基であれば、特に限定されない。
はメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基であり、炭素数は20以下が好ましく、より好ましくは4〜9である。Rの炭素数が20以下の場合、参考発明の製造方法により得られる有機ケイ素化合物(C2)に、良好且つ安定したラジカル硬化性を付与することができる。
また、下記一般式(7)で表される構造を有する有機基は、上記一般式(6)におけるRとして好ましいものである。
Figure 0005685571
一般式(7)において、Rは水素原子又はメチル基であり、好ましくはメチル基である。
更に、一般式(7)におけるRは、炭素数1〜6のアルキレン基であり、好ましくはプロピレン基(トリメチレン基)である。その理由は、このような有機官能基を形成する化合物の入手又は合成が容易なためである。
一般式(6)におけるRは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を有する有機基であれば、特に限定されない。
一般式(6)におけるYは加水分解性基であり、加水分解性を有する基であれば、特に限定されない。複数存在するYは同一であっても異なっても良い。
としては、具体的には、水素原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基及びアリールオキシ基及びアリールアルコキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシ基は、好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基であり、その例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基及びn−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
上記シクロアルコキシ基は、好ましくは、炭素数3〜8のシクロアルコキシ基であり、その例としては、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
また、上記アリールオキシ基は、好ましくは、炭素数6〜10のアリールオキシ基であり、その例としては、フェニルオキシ基、o−トルイルオキシ基、m−トルイルオキシ基、p−トルイルオキシ基及びナフチルオキシ基等が挙げられる。
また、上記アリールアルコキシ基は、好ましくは、炭素数7〜12のアラルキルオキシ基であり、その例としては、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
これらのうち、加水分解性が良好であることから、上記一般式(6)のYは、アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基であることがより好ましい。また、原料入手が容易であり安価であること、並びに加水分解反応が制御しやすいことから、メトキシ基が更に好ましい。
一般式(6)におけるnは、0又は1である。nが0である場合のケイ素化合物(B2)は、加水分解性基を3個有しており、「Tモノマー」とも呼ばれる。また、nが1である場合のケイ素化合物(B2)は、加水分解性基を2個有しており、「Dモノマー」とも呼ばれる。
参考発明において、得られるケイ素化合物(C2)における、後述される無機部分及び有機部分の割合は、限定されないが、無機部分の割合をより大きくするためには、nが0であるTモノマーを用いることが好ましい。
上記Tモノマーとしては、2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、参考発明において、得られるケイ素化合物(C2)の有機溶剤への溶解性を向上させるためには、nが1であるDモノマーを用いることが好ましい。
上記Dモノマーとしては、アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシエチルメチルジエトキシシラン、アクリロキシエチルメチルジプロポキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、アクリロキシメチルエチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルエチルジエトキシシラン、アクリロキシメチルエチルジプロポキシシラン、アクリロキシエチルエチルジメトキシシラン、アクリロキシエチルエチルジエトキシシラン、アクリロキシエチルエチルジプロポキシシラン、アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルエチルジプロポキシシラン、アクリロキシメチルプロピルジメトキシシラン、アクリロキシメチルプロピルジエトキシシラン、アクリロキシメチルプロピルジプロポキシシラン、アクリロキシエチルプロピルジメトキシシラン、アクリロキシエチルプロピルジエトキシシラン、アクリロキシエチルプロピルジプロポキシシラン、アクリロキシプロピルプロピルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルプロピルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルプロピルジプロポキシシラン、アクリロキシメチルフェニルジメトキシシラン、アクリロキシメチルフェニルジエトキシシラン、アクリロキシメチルフェニルジプロポキシシラン、アクリロキシエチルフェニルジメトキシシラン、アクリロキシエチルフェニルジエトキシシラン、アクリロキシエチルフェニルジプロポキシシラン、アクリロキシプロピルフェニルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルフェニルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルフェニルジプロポキシシラン、アクリロキシメチルメチルジフェノキシシラン、アクリロキシエチルメチルジフェノキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジフェノキシシラン、アクリロキシメチルエチルジフェノキシシラン、アクリロキシエチルエチルジフェノキシシラン、アクリロキシプロピルエチルジフェノキシシラン、アクリロキシメチルメチルジベンジロキシシラン、アクリロキシエチルメチルジベンジロキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジベンジロキシシラン、アクリロキシメチルエチルジベンジロキシシラン、アクリロキシエチルエチルジベンジロキシシラン、アクリロキシプロピルエチルジベンジロキシシラン等が挙げられる。
更に、有機ケイ素化合物(C2)における無機部分の割合と有機溶剤への溶解性とのバランスから、nが0のケイ素化合物(B2)と、nが1のケイ素化合物(B2)とを併用することができる。これらの化合物を併用する場合、nが0のケイ素化合物(B2)の使用量、及び、nが1のケイ素化合物(B2)の使用量の割合は、得られる有機ケイ素化合物(C2)を用いる用途により、適宜、選択される。
上記ケイ素化合物(B2)としては、Tモノマーが好ましい。
上記ケイ素化合物(A2)及び上記ケイ素化合物(B2)の使用割合は、上記ケイ素化合物(B2)1モルに対して、上記ケイ素化合物(A2)が0.3〜1.8モルであり、好ましくは0.8〜1.8モルであり、更に好ましくは1〜1.8モルである。上記ケイ素化合物(B2)1モルに対して、上記ケイ素化合物(A2)が0.3〜1.8モルである場合、加水分解共重縮合反応が好適に進行し、反応中及び反応後にゲルを生ずることなく、有機ケイ素化合物(C2)を効率よく製造することができる。
また、上記縮合工程において、加水分解する際、通常、水が用いられる。その水の使用量は、上記原料ケイ素化合物(ケイ素化合物(B2)及び加水分解性基を有する場合のケイ素化合物(A2))に含まれる加水分解性基1当量に対して0.5〜10当量であることが好ましく、より好ましくは1〜5当量である。水の使用量が少ない場合、反応が不十分となる場合があり、水の使用量が多い場合、反応後に水を除去する工程が長くなり経済的ではない。
上記縮合工程はアルカリ性条件下での反応であり、反応液のpHは7を超える値である。反応液のpHは好ましくは8以上であり、更に好ましくはpHが9以上である。尚、上限は、通常、pH13である。反応系を上記pHとすることにより、保存安定性に優れた有機ケイ素化合物(C2)を高い収率で製造することができる。
酸性条件下(pH7未満)で加水分解共重縮合させて得られる有機ケイ素化合物は、保存安定性に劣るものとなり、反応条件等によっては保存中にゲル化することもある。
また、中性条件下(pH7付近)では、加水分解共重縮合反応が進行し難く、有機ケイ素化合物を収率よく得ることができない。
即ち、反応液のpHが8以上である場合は、加水分解共重縮合の反応が収率よく進行する。
上記縮合工程において、反応系をアルカリ性条件下とする方法は、特に限定されない。反応系を上記好ましいpH範囲とするために、通常、アルカリ剤が添加される。尚、この縮合工程を、上記ケイ素化合物(A2)のアルコール交換反応により得た反応工程と同じ反応系で進める場合であって、反応系が上記好ましいpH範囲にある場合には、アルカリ剤を新たに添加することなく、加水分解共重縮合を行うことができる。
上記アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、有機アミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、コリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム等が挙げられる。これらのうち、触媒活性の良好な第4級窒素原子を有するアンモニウム化合物が好ましく、加水分解共重縮合反応を円滑に進められることから、水酸化テトラメチルアンモニウムがより好ましい。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルカリ剤は、上記反応工程により得られたn−プロポキシ基含有ケイ素化合物が有するシロキサン結合生成基と、上記ケイ素化合物(B2)が有する加水分解性基とを加水分解し、加水分解共重縮合反応を円滑に進行させるための反応触媒として作用する。
上記縮合工程において上記アルカリ剤を使用する場合、その使用量は、上記ケイ素化合物(A2)及びケイ素化合物(B2)の合計モル数1モルに対して、0.001〜0.20モルが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1モル、更に好ましくは0.01〜0.08モルである。アルカリ剤の使用量が0.001〜0.1モルである場合、加水分解共重縮合反応が円滑に進行する。
上記縮合工程では、反応溶媒として、有機溶媒を使用することが好ましい。この有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、トルエン、1,4−ジオキサン、ヘキサン、リグロイン等が挙げられる。このうち、アルコール類やケトン類等の極性の高い溶媒は、有機ケイ素化合物(C2)の溶解性が高いため好ましい。尚、これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記縮合工程における反応温度は0℃〜120℃が好ましく、より好ましくは10℃〜80℃であり、更に好ましくは40℃〜80℃である。
また、反応時間は30分〜30時間であり、好ましくは30分〜10時間、更に好ましくは1〜5時間である。
上記縮合工程において、アクリロイル基及びメタクリロイル基の重合を禁止する重合禁止剤を用いることもできる。
重合禁止剤は、特に限定されず、一般的に用いられているラジカル捕捉剤を使用してもよい。例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、3−ヒドロキシチオフェノール、α−ニトロソ−β−ナフトール、p−ベンゾキノン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、銅塩等が挙げられる。
これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合禁止剤が、ハイドロキノンやハイドロキノンモノメチルエーテル等のように、嫌気条件下では重合禁止能力を発揮しない場合は、適宜、酸素を供給することが好ましい。
上記重合禁止剤の使用量は、有機ケイ素化合物(C2)の理論収量に対して1質量ppmから2,000質量ppmが好ましく、より好ましくは10質量ppmから1,000質量ppmであり、更に好ましくは100質量ppmから500質量ppmである。重合禁止剤の使用量が上記範囲にあると、減圧下での脱溶媒中にゲルが生じたり、得られた有機ケイ素化合物(C2)の保存安定性が悪くなったりする不具合を抑制することができる。尚、重合禁止剤の使用量が多すぎると、重合禁止剤由来の着色が強くなったり、得られた有機ケイ素化合物(C2)を含む組成物を硬化させる際の阻害要因となったりする場合がある。
上記重合禁止剤の使用方法としては、縮合工程の開始前であってよいし、反応中であってもよい。
尚、参考発明においては、後述するように、中和工程等の他の工程を備えることができるが、重合禁止剤を使用する時期は、各工程の後であってもよい。
2−3.その他の工程
また、参考発明のケイ素化合物の製造方法において、上記縮合工程の後、更に、中和工程、揮発成分除去工程(1)、溶解工程、洗浄工程及び揮発成分除去工程(2)を備えることができる。
上記中和工程は、上記縮合工程で得られた、有機ケイ素化合物(C2)を含む反応液を、酸により、中和する工程である。酸の例としては、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸、乳酸、アクリル酸等のカルボン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸等の有機酸が挙げられる。これらのうち、メタクリロイル基及びアクリロイル基の安定性に悪影響を及ぼし難く(メタクリロイル基及びアクリロイル基への付加反応が起こり難く)、水洗により比較的除去されやすいことから、硝酸が好ましい。酸の使用量は、有機ケイ素化合物(C2)を含む反応液のpHに応じて、適宜、選択されるが、反応液に含まれるアルカリ剤1当量に対して1〜1.1当量であることが好ましく、1〜1.05当量であることがより好ましい。
上記揮発成分除去工程(1)は、上記中和工程で得られた中和液から揮発性成分を除去する工程である。この揮発成分除去工程(1)では、常圧(大気圧)又は減圧の条件における蒸留が行われる。除去される揮発性成分としては、上記中和工程の反応溶媒として使用された有機溶剤が主である。反応溶媒として例えばメタノールのように水と混和する有機溶剤が使用された場合には、後述する水による洗浄(洗浄工程)に支障が出る場合があるため、通常、本工程が実施される。
尚、上記縮合工程における反応溶媒が、水と混和しないものであり、洗浄工程における水による洗浄に適した有機溶剤である場合、及び、縮合工程における反応溶媒が、アルコール等の水と混和する溶媒であったとしても、洗浄工程における水による洗浄に適した有機溶剤を多量に追加することで洗浄工程を行うことが可能な場合には、この揮発成分除去工程(1)及び後述の溶解工程は省略することができる。
上記溶解工程は、上記揮発成分除去工程(1)で得られた濃縮物と、洗浄用有機溶剤とを、混合及び接触させて、少なくとも有機ケイ素化合物(C2)を洗浄用有機溶剤に溶解する工程である。洗浄用有機溶剤としては、反応生成物である有機ケイ素化合物(C2)を溶解し、水と混和しない化合物を使用する。ここで、水と混和しないとは、水と洗浄用有機溶剤とを十分混合した後、静置すると、水層と有機層とに分離することを意味する。
好ましい洗浄用有機溶剤としては、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;トルエン等の芳香族炭化水素;ヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
上記洗浄用有機溶剤は、上記縮合工程において用いられた反応溶媒と同一であってよいし、異なってもよい。
上記洗浄工程は、上記溶解工程で得られた有機系液を水により洗浄した後、有機ケイ素化合物(C2)を含む有機溶液を得る工程である。尚、この有機系液は、揮発成分除去工程(1)及び溶解工程が省略された場合、中和工程で得られた液を意味する。この洗浄工程によって、縮合工程において使用されたアルカリ剤、及び、中和工程において使用された酸、並びにそれらの塩は、水層に含まれ、有機層から実質的に除かれる。
尚、上記洗浄工程は、水と有機系液とを混合し、水と有機系液とを接触させる工程、並びに、水層と有機層(有機ケイ素化合物(C2)を含む層)と分離し、有機層(有機溶液)を回収する工程を含む。これらの工程において、水と有機系液との混合、及び、水と有機系液との接触が不十分の場合、並びに、水層と有機層(有機系液)との分離が不十分の場合等には、得られる有機ケイ素化合物(C2)は、不純物を多く含む場合があり、また、安定性の悪い有機ケイ素化合物(C2)となる場合がある。
上記洗浄工程における、水と有機系液とを混合し、水と有機系液とを接触させる工程の温度は、特に限定されないが、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜60℃である。また、水層と有機層とを分離する工程の温度もまた、特に限定されないが、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜60℃である。2つの工程における処理温度を40℃〜60℃程度とすることは、水層及び有機層の分離時間の短縮効果があるため、好ましい。
上記揮発成分除去工程(2)は、上記洗浄工程で得られた有機溶液から揮発性成分を除去する工程である。この揮発成分除去工程(2)では、常圧(大気圧)又は減圧条件における蒸留が行われる。揮発成分除去工程(2)において除去される揮発性成分は、主として、溶解工程で用いた洗浄用有機溶剤であるが、他に揮発性成分が含まれていれば、この工程において、同時に除去される。
以上の工程によって、有機ケイ素化合物(C2)は単離される。
尚、有機ケイ素化合物(C2)が有機溶剤に溶解されてなる溶液とする場合には、上記溶解工程で用いた洗浄用有機溶剤をそのまま有機ケイ素化合物(C2)の溶媒として使用することができ、揮発成分除去工程(2)を省略することができる。
参考発明の有機ケイ素化合物(C2)の製造方法において、n−プロポキシ基含有ケイ素化合物を含む組成物と、ケイ素化合物(B2)との縮合率は、92%以上とすることができ、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上である。シロキサン結合生成基(加水分解性基を含む)は実質的に全てが縮合されていることが最も好ましいが、縮合率の上限は、通常、99.9%である。
尚、上記のように、酸性条件での製造方法等、公知の方法によるQモノマーとTモノマーとの共重縮合反応においては、両者を均一に反応させることは難しく、ゲルが生じやすい。このため、トリメチルアルコキシシランやヘキサメチルジシロキサン等の、シロキサン結合生成基を1つのみ有するケイ素化合物(Mモノマー)を末端封止剤として作用させることでゲル化を回避する方法が知られている。
しかしながら、所定量以上のMモノマーを併用することで、ゲル化は回避できても、得られる有機ケイ素化合物の無機的性質は低下する傾向にある。参考発明では、Tモノマー及び/又はDモノマーと、Qモノマーとをゲル化させずに共重縮合させているが、無機的性質を低下させない程度の低い割合でMモノマーを併用することは可能である。具体的には、縮合工程の際に、Mモノマーの使用量を、ケイ素化合物(A2)及びケイ素化合物(B2)の合計モル数100モルに対して、10モル以下とすることができる。
2−4.ケイ素化合物(C2)
上述の工程により有機ケイ素化合物(C2)が製造される。得られた有機ケイ素化合物(C2)は、シロキサン結合生成基、加水分解性基及びn−プロポキシ基が加水分解して形成された三次元のシロキサン結合(Si−O−Si)と、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基とを有するポリシロキサンである。上記縮合工程において、ケイ素化合物(A2)に含まれるメタクリロイル基及び/又はアクリロイル基に由来する重合を抑制しつつ、シロキサン結合生成基、加水分解性基及びn−プロポキシ基の大部分がシロキサン結合に転化されたのである。
また、上記有機ケイ素化合物(C2)は、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を有するため、ラジカル硬化性を備える。有機ケイ素化合物(C2)をラジカル硬化させることにより、表面硬度が大きく耐傷性に優れた硬化物被膜を与えることができる。
上記有機ケイ素化合物(C2)は、その構造中において、有機部分及び無機部分を有する。ケイ素化合物(B2)を表す上記一般式(6)におけるR及びRは有機部分を形成する。また、上記組成物に含まれたn−プロポキシ基含有ケイ素化合物及びケイ素化合物(B2)に由来する加水分解性基(アルコキシ基等)、の少なくとも一方のうちの一部が残存する場合は、これも有機部分を形成する。上記有機部分以外の部分は、炭素原子を含まない無機部分である。
上記有機ケイ素化合物(C2)が、シロキサン結合生成基(加水分解性基を含む)を有する場合には、その残存割合は、H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)チャートから算出することができる。尚、「加水分解性基の実質的に全てが縮合されている」ことは、例えば、得られた有機ケイ素化合物(C2)(ポリシロキサン化合物)のH−NMRチャートにおいて加水分解性基に基づくピークがほとんど観察されないことにより確認することができる。
上記有機ケイ素化合物(C2)は、通常、構成単位としてTモノマー単位及びQモノマー単位を有する。
上記の場合、有機ケイ素化合物(C2)は、部分的にラダー(はしご)状、かご状又はランダム状の構造をとることができる。
上記有機ケイ素化合物(C2)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析による標準ポリスチレン換算で、好ましくは500〜100,000、より好ましくは1,000〜50,000、更に好ましくは2,000〜20,000である。
参考発明において、製造中又は製造後のゲル化が抑制され、安定性に優れた有機ケイ素化合物(C2)を製造する好ましい方法は、上記ケイ素化合物(A2)としてn−プロポキシ基含有化合物を1種又は2種以上用い、このn−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均値が1.2〜3.8である組成物を形成する反応工程、及び、この組成物と、ケイ素化合物(B2)とを加水分解共重縮合させる縮合工程を備える方法である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。
尚、実施例及び参考例の記載における「Mn」は、数平均分子量を意味し、「Mw」は、重量平均分子量を意味し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(以下、「GPC」と略す)により標準ポリスチレンを用いて算出したものである。
また、得られた有機ケイ素化合物(C1)及び(C2)のH−NMR分析は、測定試料約1gと、内部標準物質であるヘキサメチルジシロキサン(以下、「HMDSO」という)約100mgとを、それぞれ精秤して混合し、HMDSOのプロトンを基準として行った。
1.硬化性組成物の製造及び評価
1−1.有機ケイ素化合物(C1)の合成
合成例1−1
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、アルコール交換反応用の1−プロパノール150gと、Qモノマーとしてのテトラメトキシシラン(以下、「TMOS」という)36.53g(0.24モル)とを仕込んだ後、これらを撹拌しながら、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液4.37g(メタノール0.1モル、水酸化テトラメチルアンモニウム12ミリモル)を徐々に加えて、温度25℃、pH9で6時間反応させた。その後、内温を60℃にして攪拌しながら更に1時間反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)及び未反応のTMOSが検出された。TMOSは痕跡量しか検出されなかった。これらのうちのn−プロポキシ基含有化合物の割合は、合計でほぼ100質量%であった。ガスクロマトグラムにおける生成物のピーク面積に基づいて、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、2.7であった。
次に、上記反応液に、Tモノマーとしての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン59.62g(0.24モル)を加え、更に水30.2gを加えた。そして、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液7.88g(メタノール0.18モル、水酸化テトラメチルアンモニウム21.6ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で24時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液22.2g(35.3ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液を、ジイソプロピルエーテル120g及び水180gの混合液の中に加えて抽出を行った。このジイソプロピルエーテル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミシアルミニウム塩(商品名「Q−1301」、和光純薬工業株式会社製)を11.5mg加えた。得られたジイソプロピルエーテル溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C1−1)を得た(表1参照)。その収量は57.72gであった。以後、こうして得られる収量を「単離収量」と呼ぶ。
有機ケイ素化合物(C1−1)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在することを確認した。
また、このH−NMR分析により、ケイ素化合物(A1)、即ち、Tモノマーに由来する構造単位(Tモノマー単位)の含有量及び有機ケイ素化合物(C1)のアルコキシ基の含有量を求め、これを基にしてケイ素化合物(B1)、即ち、Qモノマーに由来する構造単位(Qモノマー単位)の含有量を計算した。その結果、得られた有機ケイ素化合物(C1)は、ケイ素化合物(A1)及びケイ素化合物(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることが確認された。
有機ケイ素化合物(C1−1)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して2.5%に相当する量であった。
また、Mnは9,600であった。
合成例1−2
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール56.3gと、TMOS15.22g(0.1モル)とを仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液1.82g(メタノール0.04モル、水酸化テトラメチルアンモニウム5ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で1時間反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)及び未反応のTMOSが検出された。これらのうちのn−プロポキシ基含有化合物の割合は、合計で99質量%であった。合成例1−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、2.9であった。その後、反応液に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.42g(0.1モル)を加え、更に水12.6gを加えた。次に、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液3.28g(メタノール0.08モル、水酸化テトラメチルアンモニウム9ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度65℃、pH9で2時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液9.3g(14.7ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液を、酢酸エチル80g及び水125gの混合液の中に加えて抽出を行った。この酢酸エチル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を4.3mg加えた。得られた酢酸エチル溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C1−2)を得た(表1参照)。単離収量は21.5gであった。
有機ケイ素化合物(C1−2)をH−NMR分析し、アクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−2)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−2)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して6%に相当する量であった。
また、Mnは11,000であった。
合成例1−3
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール270gとTMOS45.68g(0.3モル)とを仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液2.46g(メタノール0.06モル、水酸化テトラメチルアンモニウム6.75ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で24時間反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)が検出され、TMOSは検出されなかった。合成例1−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、3.3であった。その後、反応液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン49.67g(0.2モル)を加え、更に水32.4gを加えた。次に、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液15.77g(メタノール0.37モル、水酸化テトラメチルアンモニウム43.25ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度65℃、pH9で2時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液33.1g(52.5ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液を、ジイソプロピルエーテル220g及び水200gの混合液の中に加えて抽出を行った。このジイソプロピルエーテル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を11mg加えた。得られたジイソプロピルエーテル溶液から減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C1−3)を得た(表1参照)。単離収量は53.94gであった。
有機ケイ素化合物(C1−3)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−3)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−3)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して1.3%に相当する量であった。
また、Mnは3,300であった。
合成例1−4
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール80gとTMOS11.00g(0.07モル)とを仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液0.57g(メタノール0.01モル、水酸化テトラメチルアンモニウム1.55ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で20分反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)が検出され、TMOSは検出されなかった。合成例1−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、2.6であった。その後、反応液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン9.93g(0.04モル)を加え、更に水7.36gを加えた。その後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液3.53g(メタノール0.08モル、水酸化テトラメチルアンモニウム9.67ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度65℃、pH9で2時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液7.41g(11.75ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液を、ジイソプロピルエーテル70gと水65gの混合液へ加えて抽出を行った。このジイソプロピルエーテル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を2.2mg加えた。得られたジイソプロピルエーテル溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、淡黄色透明な固体の有機ケイ素化合物(C1−4)を得た(表1参照)。単離収量は11.42gであった。
有機ケイ素化合物(C1−4)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−4)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−4)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基及びn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して3.8%に相当する量であった。
なお、Mnは、GPCカラムの排除限界(分子量40万)を超える成分が含まれていたために正確に測定できなかった。得られたクロマトグラムより、排除限界を超える成分(保持時間が6〜10分)の面積と、排除限界を超えない成分(保持時間が10分を超えて16分以下)の面積とを測定したところ、その比は、5:3であった。
合成例1−5
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、メタノール55g、テトラn−プロポキシシラン26.44g(0.1モル)及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.84g(0.1モル)を仕込んだ後、7質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液13.51g(水0.7モル、水酸化テトラメチルアンモニウム10ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、pH9のもと、25℃で3時間、65℃で2時間反応させた。その後、反応液に、10質量%硝酸水溶液6.6g(10.5ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液に上記重合禁止剤2.4mgを加えた。そして、減圧下で有機溶剤及び水を除去した。次に、得られた残渣を、酢酸エチル90g及び水25gの混合液の中に加えて抽出を行った。この酢酸エチル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を2.2mg加えた。得られた酢酸エチル溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C1−5)を得た(表2参照)。単離収量は22.77gであった。
有機ケイ素化合物(C1−5)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−5)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−5)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して3.6%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C1−5)のMnは8,200であった。
合成例1−6
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、メタノール185g、テトラメトキシシラン15.21g(0.1モル)及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.85g(0.1モル)を仕込んだ後、9.2質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液13.9g(水0.7モル、水酸化テトラメチルアンモニウム14ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、pH9のもと、25℃で30分、60℃で2.5時間反応させた。その後、反応液に、10質量%硝酸水溶液9.26g(14.7ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液に上記重合禁止剤2.4mgを加えた。そして、減圧下で有機溶剤及び水を除去した。次に、得られた残渣を、酢酸エチル90g及び水30gの混合液の中に加えて抽出を行った。この酢酸エチル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を2.5mg加えた。得られた酢酸エチル溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C1−6)を得た(表2参照)。単離収量は22.0gであった。
有機ケイ素化合物(C1−6)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−6)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−6)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して4.2%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C1−6)のMnは6,000であった。
合成例1−7
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、メタノール86.35g、テトラメトキシシラン10.95g(0.072モル)及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン9.95g(0.04モル)を仕込んだ後、8.9質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液8.07g(水0.41モル、水酸化テトラメチルアンモニウム7.84ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、pH9のもと、25℃で1時間、60℃で1.5時間反応させた。その後、反応液に、10質量%硝酸水溶液5.28g(8.38ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液に上記重合禁止剤2.4mgを加えた。そして、減圧下で有機溶剤及び水を除去した。次に、得られた残渣を、酢酸エチル80g及び水40gの混合液の中に加えて抽出を行った。この酢酸エチル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を2.9mg加えた。得られた酢酸エチル溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C1−7)を得た(表2参照)。単離収量は10.5gであった。
有機ケイ素化合物(C1−7)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−7)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−7)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して2.7%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C1−7)のMnは9,700であった。
合成例1−8
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、メタノール13.41g、テトラn−プロポキシシラン33.01g(0.125モル)及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.86g(0.100モル)を仕込んだ後反応溶液を60℃に昇温した。そこに25質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液5.74g(水酸化テトラメチルアンモニウム15.73ミリモル)と水10.15g(0.8モル)とメタノール14.41gの混合液を徐々に加えて、撹拌しながら、pH9のもと、60℃で2時間反応させた。その後、反応液に、10%硝酸水溶液10.4g(16.5ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液に上記重合禁止剤3.8mgを加えた。そして、減圧下で有機溶剤及び水を除去した。次に、得られた残渣を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」という)51g及び水25gの混合液の中に加えて抽出を行った。このPGMEA層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を3.0mg加えた。得られたPGMEA溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C1−8)を得た(表2参照)。単離収量は22.6gであった。
有機ケイ素化合物(C1−8)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−8)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−8)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して0.9%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C1−8)のMnは10,000であった。
合成例1−9
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール28.52g、テトラメトキシシラン19.03g(0.125モル)及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.82g(0.1モル)を仕込んだ後反応溶液を60℃に昇温した。そこに25質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液5.8g(水酸化テトラメチルアンモニウム15.9ミリモル)と水10.21g(0.8モル)と1−プロパノール13.84gの混合液を徐々に加えて、撹拌しながら、pH9のもと、60℃で2時間反応させた。その後、反応液に、10%硝酸水溶液10.5g(16.7ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液に上記重合禁止剤3mgを加えた。そして、減圧下で有機溶剤及び水を除去した。次に、得られた残渣を、PGMEA45g及び水25gの混合液の中に加えて抽出を行った。このPGMEA層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を3.3mg加えた。得られたPGMEA溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C1−9)を得た(表2参照)。単離収量は22.9gであった。
有機ケイ素化合物(C1−9)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−9)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−9)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して2.1%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C1−9)のMnは15,000であった。
合成例1−10
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール85gと、TMOS11.60g(0.08モル)とを仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液0.57g(メタノール0.01モル、水酸化テトラメチルアンモニウム1.55ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で15分反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)が検出され、TMOSは検出されなかった。合成例1−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、2.9であった。その後、反応液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン9.94g(0.04モル)を加え、更に水7.65gを加えた。次に、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液3.65g(メタノール0.09モル、水酸化テトラメチルアンモニウム10ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度65℃、pH9で2時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液7.7g(12.22ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液を、ジイソプロピルエーテル70g及び水65gの混合液の中に加えて抽出を行った。このジイソプロピルエーテル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を2.3mg加えた。得られたジイソプロピルエーテル溶液から減圧下で溶剤を留去し、白色固体の有機ケイ素化合物(C1−10)を得た(表3参照)。得られた固体は有機溶剤(テトラヒドロフラン、メタノール、メチルイソブチルケトン)に不溶であり、ゲル化していた。
合成例1−11
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、2−プロパノール155g、テトラn−プロポキシシラン26.44g(0.1モル)及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.84g(0.1モル)を仕込んだ後、0.6質量%塩酸水溶液12.81g(水0.7モル、塩酸2ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH5で24時間反応させた。その後、反応液に、上記重合禁止剤を5.3mg加えた。次いで、減圧下で溶剤を留去し、淡黄色透明な液体(極めて粘度が高く流動性が小さい液体)の有機ケイ素化合物(C1−11)を得た(表3参照)。単離収量は26.54gであった。
有機ケイ素化合物(C1−11)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−11)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−11)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基、iso−プロポキシ基及びn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して17%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C1−11)のMnは990であった。
合成例1−12
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、2−プロパノール160g、テトラn−プロポキシシラン26.44g(0.1モル)及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.43g(0.1モル)を仕込んだ後、0.6質量%塩酸水溶液12.81g(水0.7モル、塩酸2ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH5で24時間反応させた。その後、反応液に、上記重合禁止剤を5.6mg加えて、減圧下で溶剤を留去し、淡黄色透明な液体(極めて粘度が高く流動性が小さい液体)の有機ケイ素化合物(C1−12)を得た(表3参照)。単離収量は28.02gであった。
有機ケイ素化合物(C1−12)をH−NMR分析し、アクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−12)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−12)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基、iso−プロポキシ基及びn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して20%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C1−12)のMnは800であった。
合成例1−13
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、2−プロパノール290g及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン248.48g(1モル)を仕込んだ後、1.6質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液57.69g(水3モル、水酸化テトラメチルアンモニウム10ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で1時間反応させた。その後、反応液に、10質量%硝酸水溶液6.62gを加えて中和した。そして、上記重合禁止剤を17.6mg加えた。次に、減圧下で有機溶剤と水を留去した。その後、得られた残渣をジイソプロピルエーテルに溶解させ、水洗を行うことで塩類や過剰の酸を除去し、ここへ上記重合禁止剤を17.3mg加えた。次いで、得られたジイソプロピルエーテル溶液から、減圧下で溶剤を留去し、淡黄色透明な液体(極めて粘度が高く流動性が小さい液体)の有機ケイ素化合物(C1−13)を得た(表3参照)。単離収量は173.86gであった。
有機ケイ素化合物(C1−13)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C1−13)が、ケイ素化合物(A1)及び(B1)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−13)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したiso−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して0.8%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C1−13)のMnは2,700であった。
合成例1−14
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、2−プロパノール78g及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン70.27g(300ミリモル)を仕込んだ後、1.7質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液16.5g(水900ミリモル、水酸化テトラメチルアンモニウム3ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で1時間反応させた。その後、反応液に、10質量%硝酸水溶液1.95gを加えて中和した。そして、中和液に、上記重合禁止剤を4.9mg加えた。次いで、減圧下で有機溶剤と水を留去して、得られた残渣をジイソプロピルエーテルに溶解させ、水洗を行うことで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を4.6mg加えた。得られたジイソプロピルエーテル溶液から、減圧下で溶剤を留去し、淡黄色透明な液体(極めて粘度が高く流動性が小さい液体)の有機ケイ素化合物(C1−14)を得た(表3参照)。単離収量は48.61gであった。
有機ケイ素化合物(C1−14)をH−NMR分析し、アクリロイル基が存在することを確認した。
有機ケイ素化合物(C1−14)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したiso−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して1%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C1−14)のMnは3,000であった。
合成例1−15
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール22gとTMOS15.20g(0.1モル)とを仕込んだ後、35質量%塩酸水溶液0.52g(水0.02モル、塩酸5ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH5で1時間反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)及び未反応のTMOSが検出された。これらのうちのn−プロポキシ基含有化合物の割合は、合計で99質量%であった。合成例1−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、2.3であった。その後、反応液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.83g(0.1モル)を加え、更に水12.65gを加えた。次に、10質量%塩酸水溶液3.3g(水0.17モル、塩酸9ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH4で2時間反応させた。その後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液4.38g(12ミリモル)加えて中和した。そして、この中和液を、ジイソプロピルエーテル70g及び水65gの混合液の中に加えて抽出を行った。次いで、このジイソプロピルエーテル層をエバポレーターで濃縮し、その濃縮物にメチルイソブチルケトン(MIBK)を加えて溶解した。その後、このMIBK溶液を水洗することで塩類や過剰の酸を除去した。そして、上記重合禁止剤を2.7mg加えて減圧下で溶剤を留去し、淡黄色透明液体の有機ケイ素化合物(C1−15)を得た(表3参照)。得られた液体は25℃一日で有機溶剤に不溶となり、ゲル化していた。そのため、H−NMR及びGPCによる分析並びに硬化物物性(耐傷性、密着性、硬化性)の評価は行うことができなかった。
1−2.有機ケイ素化合物の評価
(1)合成評価
上記有機ケイ素化合物の合成評価は、その製造工程において、有機ケイ素化合物がゲルを生じることなく製造できるか、否かを評価した。この合成評価については、その製造工程においてゲル化しなかったものを「○」、ゲル化したものを「×」と判定した。評価結果を表1〜表3に示す。
また、表1〜表3における溶媒の配合量を示す「NV%」とは、反応させる原料モノマーが、全て完全に加水分解したときの収量(質量)を全仕込み質量で割ったときの%で表される。尚、モノマーが完全に加水分解したときとは、加水分解により4つのシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物(Qモノマー)からは、SiOが、3つの加水分解性基を有するケイ素化合物(Tモノマー)からはSiO1.5が得られたことをいう。
(2)物性評価
上記において、ゲル化することなく製造できた有機ケイ素化合物(C1)に関して、その有機ケイ素化合物の収率(質量%)及び残留アルコキシ基の含有量(%)を下記要領で測定及び算出した。
収率(質量%)は、{(単離収量)/(QモノマーのアルコキシシランがすべてSiOに加水分解され、TモノマーのアルコキシシランがすべてSiO1.5に加水分解されたと仮定したときの理論収量)}×100によって算出される。
残留アルコキシ基の含有量(%)は、H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)チャートから算出した。
尚、有機ケイ素化合物(C1)の製造工程において、ゲルが生じたものについては、評価せず、「−」を表示した。
(3)安定性評価
上記有機ケイ素化合物(C1)の安定性評価を行った。合成例1−1で得られた化合物と合成例1−11で得られた化合物とを、別々に、等量のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させ、この溶液を60℃の乾燥器内で保管して経時的に観察した。合成例1−11で得られた生成物は10時間後にはゲル化していたのに対し、合成例1−1で得られた生成物は3日経ってもゲル化はしていなかった。また、合成例1−1で得られた生成物は、25℃で2ヶ月以上経ってもゲル化しないのに対して、合成例1−11で得られた生成物は1日でゲル化してしまった。
合成例1−11で得られた生成物には未反応アルコキシ基が17%残存していたのに対し、合成例1−1で得られた生成物には4%程度しか残っていなかった。このことより、残留している未反応アルコキシ基が上記有機ケイ素化合物の安定性を阻害することが推測される。
よって、上記有機ケイ素化合物の安定性は、残留アルコキシ基の含有量(%)により評価した。
残留アルコキシ基の含有量(%)が高い場合、有機ケイ素化合物の安定性が阻害されるため、有機ケイ素化合物が安定性を有するかどうかについて、有機ケイ素化合物の残留アルコキシ基の含有量(%)が8%以下の場合を「○」、8%より大きい場合を「×」と判定した。
Figure 0005685571
Figure 0005685571
Figure 0005685571
表1及び表2から明らかなように、Tモノマー1モルに対して、Qモノマーを0.3〜1.8モルの割合で、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させることにより得られた有機ケイ素化合物(合成例1−1〜1−9)は、製造工程においてゲルを生じることなく製造された。また、これらの有機ケイ素化合物の残留アルコキシ基の含有量は、8%以下であり、製造後も有機ケイ素化合物の安定性に優れていた。
一方、表3から明らかなように、Tモノマー1モルに対し、ケイ素化合物であるQモノマーを2.0モル配合した合成例1−10では、縮合工程でゲルが生じた。また、酸性触媒を用いて製造した合成例1−11及び1−12では、残留アルコキシ基含有量が、高い数値(17%及び20%)を示し、有機ケイ素化合物の安定性が十分ではなく、硬化物の性能に劣ることが推測される。
更に、1−プロパノールを用いてQモノマーのアルコキシ基の一部をアルコール交換させ、酸触媒でTモノマーと加水分解共重縮合した合成例1−15では、有機ケイ素化合物を合成してまもなくゲル化しており、安定性が非常に低かった。
1−3.硬化性組成物の調製及び評価(1)
参考例1−1〜1−9及び比較参考例1−1〜1−4
上記において、ゲル化せずに得られた合成例1−1〜1−9及び1−11〜1−14の有機ケイ素化合物(C1)100質量部と、ラジカル重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン3質量部とを、溶剤であるPGMEA100質量部に溶解させて、濃度約50質量%のPGMEA溶液である硬化性組成物(S1)〜(S13)を調製した(表4参照)。
Figure 0005685571
硬化性組成物(S1)〜(S13)について、下記項目の評価を行った。その結果を表5に示す。
(1)硬化性試験
バーコーターを用いて、硬化性組成物をポリカーボネート板に塗布し、約50℃で5分間加熱して溶剤を揮発させて約10μmの厚さの被膜を形成させた。その後、大気中、下記の条件により紫外線照射を行って硬化させ、表面のタックがなくなるまでの照射回数を測定した。
[紫外線照射条件]
ランプ:80W/cm高圧水銀ランプ
ランプ高さ:10cm
コンベアスピード:10m/min
(2)耐傷性試験
バーコーターを用いて、硬化性組成物をポリカーボネート板に塗布し、約50℃で5分間加熱して溶剤を揮発させて約10μmの厚さの被膜を形成させた。その後、上記(1)硬化性試験と同じ条件で紫外線硬化(紫外線照射回数15回)させて硬化膜を得た。
この硬化膜について、以下の条件においてテーバー摩耗試験を実施し、試験前後の硬化膜のヘイズを測定した。
テーバー摩耗試験の条件は、摩耗輪として「CS−10F」を使用し、各250gの荷重をかけ、500回転で摩耗させた。尚、ヘイズの測定ごとに「ST−11」(砥石)にて摩耗輪のリフェージングを実施した。
また、ヘイズは、23℃±2℃、50%±5%RHの恒温室内に設置された日本電色工業(株)製ヘーズメーター「NDH2000」(型式名)を用いて、JIS K7105、JIS K7361−1及びJIS K7136に準拠して測定した。
(3)密着性試験
バーコーターを用いて、硬化性組成物をポリカーボネート板に塗布し、約50℃で5分間加熱して溶剤を揮発させて約10μmの厚さの被膜を形成させた。その後、上記(1)硬化性試験と同じ条件で紫外線硬化(紫外線照射回数15回)させて硬化膜を得た。
この硬化膜について、JIS K5600−5−6(1999)に準じて、碁盤目剥離試験を実施し、密着性の分類を6段階(0〜5)で行った。碁盤目は2mm角のマス目25マスとした。以下において、「膜残存数」とは、密着テープの剥離後、25マス中に硬化膜が残存していたマス目の数である。
Figure 0005685571
表5によれば、合成例1−1〜1−9で得られた有機ケイ素化合物を用いた硬化性組成物(S1)〜(S9)は、硬化性試験において、1回の紫外線照射で被膜のタックが消失し、硬化性に優れていることが分かる。
また、硬化性組成物(S1)〜(S9)から形成された硬化膜は、摩耗試験前後のヘイズ(H)の差が、6%以下であり、耐傷性に優れていることが分かる。
更に、硬化性組成物(S1)〜(S9)から形成された硬化膜は、剥離試験において、全く剥がれず、全ての硬化膜の膜残存数は25/25であり、密着性に優れていることが分かる。
しかしながら、表5から明らかなように、硬化性組成物(S10)〜(S13)は、硬化性試験において、被膜のタックが消失するまでに、2回以上の紫外線照射を必要とし、硬化性に劣ることが分かる。
また、硬化性組成物(S10)〜(S13)から形成された硬化膜は、耐傷性及び密着性に劣ることが分かる。
1−4.硬化性組成物の調製及び評価(2)
実施例1−10〜1−11及び比較例1−5〜1−7
合成例1−1により得られた有機ケイ素化合物(C1−1)又は合成例1−13により得られた有機ケイ素化合物(C1−13)、下記方法により得られたウレタンアクリレート、光重合開始剤として、チバ・ジャパン社製1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「Irg184」、以下、「ラジカル重合開始剤(R1)」という。)及びチバ・ジャパン社製フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(商品名「Irg819」、以下、「ラジカル重合開始剤(R2)」という。)、チバ・ジャパン社製ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(商品名「Tinuvin400」)、チバ・ジャパン社製ヒンダードアミン系光安定剤(商品名「Tinuvin123」)、及び、溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を、表6に記載の割合で混合して硬化性組成物(S14〜S18)を調製した。
尚、上記ウレタンアクリレートの詳細を以下に説明する。
セパラブルフラスコに、300gのイソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(商品名「アロニックスM−313」、東亞合成社製)、0.10gのジブチルスズジラウレート及び0.16gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを仕込み、液温70℃〜75℃で攪拌しながら、22.2gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を滴下した。滴下終了後、85℃で2時間攪拌し、反応生成物のIR(赤外吸収)分析で、イソシアネート基が消失していることを確認して、反応を終了し、ウレタンアクリレートを得た。
Figure 0005685571
硬化性組成物(S14〜S18)は、耐傷性試験及び密着性試験により評価した。その結果を表7に示す。尚、硬化膜の作製方法は、以下の通りである。
バーコーターを用いて、硬化性組成物をポリカーボネート板に塗布し、約100℃で10分加熱して溶剤を揮発させて約5μmの厚さの被膜を形成させた。その後、大気中、下記の条件により紫外線を照射し硬化膜を作製した。形成された硬化膜の厚さを表7に併記する。
[紫外線照射条件]
ランプ:120W/cmメタルハライドランプ
ランプ高さ:110mm
コンベアスピード:5m/分
照射回数:3回
Figure 0005685571
表6及び表7によれば、ウレタンアクリレート及び重合開始剤を含有する硬化性組成物(S16)は、摩耗前後のヘイズ差ΔHが22.5と非常に高かった。一方、このウレタンアクリレート及び有機ケイ素化合物(C1−1)を含有する硬化性組成物(S14及びS15)を用いると、耐傷性が著しく向上することが分かった。この実施例1−10及び1−11において、硬化膜は、ポリカーボネート板に対する高い密着性を維持したままであった。
一方、合成例1−13で得られた有機ケイ素化合物及びウレタンアクリレートを含有する組成物(S17及びS18)では、耐傷性は向上せず、むしろ低下する結果となった。
1−5.硬化性組成物の調製及び評価(3)
参考例1−12
合成例1−1から得られた有機ケイ素化合物(C1−1)、重合開始剤及び溶剤を混合して、硬化性組成物(S19)を調製した。
配合量は、有機ケイ素化合物(C1−1)100質量部に対して、水溶性アゾ系重合開始剤である、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(商品名「V−501」、和光純薬工業株式会社製)を0.3質量部、PGMEAを100質量部とした(表8参照)。
硬化性組成物(S19)は、耐傷性試験及び密着性試験により評価した。その結果を表8に示す。尚、硬化膜の作製方法は、以下の通りである。
バーコーターを用いて、硬化性組成物をポリカーボネート板に塗布し、約130℃で3時間加熱し、10μmの厚さの硬化膜を形成させた。
Figure 0005685571
表8によれば、硬化性組成物(S19)を加熱により硬化させた膜は、耐傷性及び密着性を兼ね備えていることが分かる。
2.有機ケイ素化合物(C2)の製造及び評価
以下の参考例及び比較参考例に基づいて有機ケイ素化合物を製造し、各種評価を行った。
参考例2−1
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、アルコール交換反応用の1−プロパノール150gと、Qモノマーとしてのテトラメトキシシラン(以下、「TMOS」という)36.53g(0.24モル)とを仕込んだ後、これらを撹拌しながら、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液4.37g(メタノール0.1モル、水酸化テトラメチルアンモニウム12ミリモル)を徐々に加えて、温度25℃、pH9で6時間反応させた。その後、内温を60℃にして攪拌しながら更に1時間反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)及び未反応のTMOSが検出された。TMOSは痕跡量しか検出されなかった。これらのうちのn−プロポキシ基含有化合物の割合は、合計でほぼ100質量%であった。ガスクロマトグラムにおける生成物のピーク面積に基づいて、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、2.7であった。
次に、上記反応液に、Tモノマーとしての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン59.62g(0.24モル)を加え、更に水30.2gを加えた。そして、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液7.88g(メタノール0.18モル、水酸化テトラメチルアンモニウム21.6ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で24時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液22.2g(35.3ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液を、ジイソプロピルエーテル120g及び水180gの混合液の中に加えて抽出を行った。このジイソプロピルエーテル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミシアルミニウム塩(商品名「Q−1301」、和光純薬工業株式会社製)を11.5mg加えた。得られたジイソプロピルエーテル溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C2−1)を得た(表9参照)。その収量は57.72gであった。以後、こうして得られる収量を「単離収量」と呼ぶ。
有機ケイ素化合物(C2−1)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在することを確認した。
また、このH−NMR分析により、ケイ素化合物(B2)、即ち、Tモノマーに由来する構造単位(Tモノマー単位)の含有量及び有機ケイ素化合物(C2−1)のアルコキシ基の含有量を求め、これを基にしてケイ素化合物(A2)、即ち、Qモノマーに由来する構造単位(Qモノマー単位)の含有量を計算した。その結果、得られた有機ケイ素化合物(C2−1)は、ケイ素化合物(A2)及びケイ素化合物(B2)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることが確認された。
有機ケイ素化合物(C2−1)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して2.5%に相当する量であった。
また、Mnは9,600であった。
参考例2−2
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール56.3gと、TMOS15.22g(0.1モル)とを仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液1.82g(メタノール0.04モル、水酸化テトラメチルアンモニウム5ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で1時間反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)及び未反応のTMOSが検出された。これらのうちのn−プロポキシ基含有化合物の割合は、合計で99質量%であった。参考例2−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、2.9であった。その後、反応液に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.42g(0.1モル)を加え、更に水12.6gを加えた。次に、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液3.28g(メタノール0.08モル、水酸化テトラメチルアンモニウム9ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度65℃、pH9で2時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液9.3g(14.7ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液を、酢酸エチル80g及び水125gの混合液の中に加えて抽出を行った。この酢酸エチル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を4.3mg加えた。得られた酢酸エチル溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C2−2)を得た(表9参照)。単離収量は21.5gであった。
有機ケイ素化合物(C2−2)をH−NMR分析し、アクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C2−2)が、ケイ素化合物(A2)及び(B2)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C2−2)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して6%に相当する量であった。
また、Mnは11,000であった。
参考例2−3
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール270gとTMOS45.68g(0.3モル)とを仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液2.46g(メタノール0.06モル、水酸化テトラメチルアンモニウム6.75ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で24時間反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)が検出され、TMOSは検出されなかった。参考例2−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、3.3であった。その後、反応液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン49.67g(0.2モル)を加え、更に水32.4gを加えた。次に、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液15.77g(メタノール0.37モル、水酸化テトラメチルアンモニウム43.25ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度65℃、pH9で2時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液33.1g(52.5ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液を、ジイソプロピルエーテル220g及び水200gの混合液の中に加えて抽出を行った。このジイソプロピルエーテル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を11mg加えた。得られたジイソプロピルエーテル溶液から減圧下で有機溶剤を留去し、無色透明な固体の有機ケイ素化合物(C2−3)を得た(表9参照)。単離収量は53.94gであった。
有機ケイ素化合物(C2−3)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C2−3)が、ケイ素化合物(A2)及び(B2)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C2−3)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して1.3%に相当する量であった。
また、Mnは3,300であった。
参考例2−4
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール80gとTMOS11.00g(0.07モル)とを仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液0.57g(メタノール0.01モル、水酸化テトラメチルアンモニウム1.55ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で20分反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)が検出され、TMOSは検出されなかった。参考例2−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、2.6であった。その後、反応液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン9.93g(0.04モル)を加え、更に水7.36gを加えた。その後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液3.53g(メタノール0.08モル、水酸化テトラメチルアンモニウム9.67ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度65℃、pH9で2時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液7.41g(11.75ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液を、ジイソプロピルエーテル70gと水65gの混合液へ加えて抽出を行った。このジイソプロピルエーテル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を2.2mg加えた。得られたジイソプロピルエーテル溶液から、減圧下で有機溶剤を留去し、淡黄色透明な固体の有機ケイ素化合物(C2−4)を得た(表9参照)。単離収量は11.42gであった。
有機ケイ素化合物(C2−4)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C2−4)が、ケイ素化合物(A2)及び(B2)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C2−4)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して3.8%に相当する量であった。
なお、Mnは、GPCカラムの排除限界(分子量40万)を超える成分が含まれていたために正確に測定できなかった。得られたクロマトグラムより、排除限界を超える成分(保持時間が6〜10分)の面積と、排除限界を超えない成分(保持時間が10分を超えて16分以下)の面積とを測定したところ、その比は、5:3であった。
参考例2−5
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール20.8gと、TMOS4.76g(31.25ミリモル)とを仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液0.5g(メタノール12ミリモル、水酸化テトラメチルアンモニウム1.4ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で1時間反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)及び未反応のTMOSが検出された。これらのうちのn−プロポキシ基含有化合物の割合は、合計で91質量%であった。参考例2−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、1.7であった。その後、反応液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6.21g(25ミリモル)を加え、更に水3.6gを加えた。次に、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液0.92(メタノール21.5ミリモル、水酸化テトラメチルアンモニウム2.53ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度60℃、pH9で2時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液を加え中和した。次いで、上記重合禁止剤を1.6mg加えた。そして、この反応液をエバポレーターで濃縮し、その濃縮物にメチルイソブチルケトン(MIBK)を加えて溶解した。その後、このMIBK溶液を水洗し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。次いで、濾紙(No.2)でろ過し、淡黄色透明の有機ケイ素化合物(C2−5)を含むMIBK溶液12.98gを得た(表9参照)。この溶液の一部を採取して脱溶剤した結果、単離収率は98%であった。また、MIBK溶液の濃度はNV48%に相当した。
有機ケイ素化合物(C2−5)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C2−5)が、ケイ素化合物(A2)及び(B2)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C2−5)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して3.9%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C2−5)のMnは12,000であった。
参考例2−6
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール53gと、TMOS36.53g(0.24モル)とを仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液4.37g(メタノール0.1モル、水酸化テトラメチルアンモニウム12ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で1時間反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)及び未反応のTMOSが検出された。これらのうちのn−プロポキシ基含有化合物の割合は、合計で83質量%であった。参考例2−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、1.6であった。その後、反応液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン59.61g(0.24モル)を加え、更に水30.2gを加えた。次に、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液7.88g(メタノール0.18モル、水酸化テトラメチルアンモニウム21.6ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度23℃、pH9で3時間、更に、温度65℃で30分間反応させた後、10質量%硝酸水溶液加えて中和した。その後、この中和液を、酢酸エチル160g及び水70gの混合液の中に加えて抽出を行った。この酢酸エチル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去した。そして、上記重合禁止剤を9.7mg加えた。得られた酢酸エチル溶液から減圧下で溶剤を留去し、無色透明固体の有機ケイ素化合物(C2−6)を得た(表10参照)。単離収量は54.70gであった。
有機ケイ素化合物(C2−6)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C2−6)が、ケイ素化合物(A2)及び(B2)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C2−6)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して0.7%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C2−6)のMnは10,000であった。
比較参考例2−1
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール85gと、TMOS11.60g(0.08モル)とを仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液0.57g(メタノール0.01モル、水酸化テトラメチルアンモニウム1.55ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で15分反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物が検出され、TMOSは検出されなかった。参考例2−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、2.9であった。その後、反応液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン9.94g(0.04モル)を加え、更に水7.65gを加えた。次に、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液3.65g(メタノール0.09モル、水酸化テトラメチルアンモニウム10ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度65℃、pH9で2時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液7.7g(12.22ミリモル)加えて中和した。次いで、この中和液を、ジイソプロピルエーテル70g及び水65gの混合液の中に加えて抽出を行った。このジイソプロピルエーテル層を水洗することで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を2.3mg加えた。得られたジイソプロピルエーテル溶液から減圧下で溶剤を留去し、白色固体の有機ケイ素化合物(C2−8)を得た(表10参照)。得られた固体は有機溶剤(テトラヒドロフラン、メタノール、メチルイソブチルケトン)に不溶であり、ゲル化していた。
比較参考例2−2
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、2−プロパノール155g、テトラn−プロポキシシラン26.44g(0.1モル)及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.84g(0.1モル)を仕込んだ後、0.6質量%塩酸水溶液12.81g(水0.7モル、塩酸2ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH5で24時間反応させた。その後、反応液に、上記重合禁止剤を5.3mg加えた。次いで、減圧下で溶剤を留去し、淡黄色透明な液体(極めて粘度が高く流動性が小さい液体)の有機ケイ素化合物(C2−9)を得た(表10参照)。単離収量は26.54gであった。
有機ケイ素化合物(C2−9)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C2−9)が、ケイ素化合物(A2)及び(B2)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C2−9)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基、n−プロポキシ基及びiso−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して17%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C2−9)のMnは990であった。
比較参考例2−3
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、2−プロパノール160g、テトラn−プロポキシシラン26.44g(0.1モル)及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.43g(0.1モル)を仕込んだ後、0.6質量%塩酸水溶液12.81g(水0.7モル、塩酸2ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH5で24時間反応させた。その後、反応液に、上記重合禁止剤を5.6mg加えて、減圧下で溶剤を留去し、淡黄色透明な液体(極めて粘度が高く流動性が小さい液体)の有機ケイ素化合物(C2−10)を得た(表10参照)。単離収量は28.02gであった。
有機ケイ素化合物(C2−10)をH−NMR分析し、アクリロイル基が存在すること、並びに、有機ケイ素化合物(C2−10)が、ケイ素化合物(A2)及び(B2)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることを確認した。
有機ケイ素化合物(C2−10)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基、iso−プロポキシ基及びn−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して20%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C2−10)のMnは800であった。
比較参考例2−4
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、1−プロパノール22gとTMOS15.20g(0.1モル)とを仕込んだ後、35質量%塩酸水溶液0.52g(水0.02モル、塩酸5ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH5で1時間反応させた。ここで、反応液をガスクロマトグラフ分析(TCD検出器)したところ、TMOSのメトキシ基がn−プロポキシ基に置換された化合物(1置換体から4置換体)及び未反応のTMOSが検出された。これらのうちのn−プロポキシ基含有化合物の割合は、合計で99質量%であった。参考例2−1と同様にして、1−プロパノールの置換数(n−プロポキシ基含有化合物1分子あたりのn−プロポキシ基の数の平均)を求めたところ、2.3であった。その後、反応液に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.83g(0.1モル)を加え、更に水12.65gを加えた。次に、10質量%塩酸水溶液3.3g(水0.17モル、塩酸9ミリモル)を加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH4で2時間反応させた。その後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液4.38g(12ミリモル)加えて中和した。そして、この中和液を、ジイソプロピルエーテル70g及び水65gの混合液の中に加えて抽出を行った。次いで、このジイソプロピルエーテル層をエバポレーターで濃縮し、その濃縮物にメチルイソブチルケトン(MIBK)を加えて溶解した。その後、このMIBK溶液を水洗することで塩類や過剰の酸を除去した。そして、上記重合禁止剤を2.7mg加えて減圧下で溶剤を留去し、淡黄色透明液体の有機ケイ素化合物(C2−11)を得た(表10参照)。得られた液体は25℃一日で有機溶剤に不溶となり、ゲル化していた。そのため、H−NMR及びGPCによる分析並びに硬化物物性(耐傷性、密着性、硬化性)の評価は行うことができなかった。
比較参考例2−5
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、2−プロパノール290g及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン248.48g(1モル)を仕込んだ後、1.6質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液57.69g(水3モル、水酸化テトラメチルアンモニウム10ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH8で1時間反応させた。その後、反応液に、10質量%硝酸水溶液6.62gを加えて中和した。そして、上記重合禁止剤を17.6mg加えた。次に、減圧下で有機溶剤と水を留去した。その後、得られた残渣をジイソプロピルエーテルに溶解させ、水洗を行うことで塩類や過剰の酸を除去し、ここへ上記重合禁止剤を17.3mg加えた。次いで、得られたジイソプロピルエーテル溶液から、減圧下で溶剤を留去し、淡黄色透明な液体(極めて粘度が高く流動性が小さい液体)の有機ケイ素化合物(C2−12)を得た(表10参照)。単離収量は173.86gであった。
有機ケイ素化合物(C2−12)をH−NMR分析し、メタクリロイル基が存在することを確認した。
有機ケイ素化合物(C2−12)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したiso−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して0.8%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C2−12)のMnは2,700であった。
比較参考例2−6
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、2−プロパノール78g及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン70.27g(300ミリモル)を仕込んだ後、1.7質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液16.5g(水900ミリモル、水酸化テトラメチルアンモニウム3ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH8で1時間反応させた。その後、反応液に、10質量%硝酸水溶液1.95gを加えて中和した。そして、中和液に、上記重合禁止剤を4.9mg加えた。次いで、減圧下で有機溶剤と水を留去して、得られた残渣をジイソプロピルエーテルに溶解させ、水洗を行うことで塩類や過剰の酸を除去し、その後、上記重合禁止剤を4.6mg加えた。得られたジイソプロピルエーテル溶液から、減圧下で溶剤を留去し、淡黄色透明な液体(極めて粘度が高く流動性が小さい液体)の有機ケイ素化合物(C2−13)を得た(表10参照)。単離収量は48.61gであった。
有機ケイ素化合物(C2−13)をH−NMR分析し、アクリロイル基が存在することを確認した。
有機ケイ素化合物(C2−13)のH−NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したiso−プロポキシ基)の含有割合は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して1%に相当する量であった。
また、得られた有機ケイ素化合物(C2−13)のMnは3,000、Mwは4,000であった。
比較参考例2−7
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、メタノール26g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.84g(0.1モル)及びTMOS19.02g(0.125モル)を仕込んだ後、1.4質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液14.6g(水0.8モル、水酸化テトラメチルアンモニウム2.25ミリモル)を徐々に加えて、25℃で攪拌したところ、白色の不溶物が析出してきてゲル化してしまった。
比較参考例2−8
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、メタノール26g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.84g(0.1モル)及びTMOS19.02g(0.125モル)を仕込んだ後、10質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液15.7g(水0.8モル、水酸化テトラメチルアンモニウム15.75ミリモル)を徐々に加えて、25℃で攪拌したところ、白色の不溶物が析出してきてゲル化してしまった。
比較参考例2−9
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、2−プロパノール80gとTMOS12.18g(0.08モル)を仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液1.46g(メタノール0.03モル、水酸化テトラメチルアンモニウム4ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で24時間反応させた。その後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン19.86g(0.08モル)、更に水10.08gを加えた。次いで、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液4.08g(メタノール0.1モル、水酸化テトラメチルアンモニウム11.2ミリモル)を加え、撹拌しながら、温度25℃、pH9で反応させた。この温度で数時間反応させても、65℃で加熱反応させても、反応液のガスクロマトグラフ分析では3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと反応をしていない置換シランが残った状態を示し、加水分解共重縮合が進行しなかったことを示した。
比較参考例2−10
攪拌機及び温度計を備えた反応器に、エタノール22gとTMOS15.23g(0.1モル)を仕込んだ後、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液1.8g(メタノール0.04モル、水酸化テトラメチルアンモニウム5ミリモル)を徐々に加えて、撹拌しながら、温度25℃、pH9で1時間反応させた。その後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.84g(0.1モル)、更に水12.6gを加えた。次いで、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液3.28g(メタノール0.08モル、水酸化テトラメチルアンモニウム9ミリモル)を加え、撹拌しながら、温度25℃、pH9で3時間反応させた。その後、10質量%硝酸水溶液10.1g加え中和したところ、白色のゲルが生じた。
Figure 0005685571
Figure 0005685571
上記で得られた有機ケイ素化合物について、下記評価を行った。
(1)合成評価
上記有機ケイ素化合物について、ゲルを生じることなく製造できるか、否かを評価した。この合成評価については、その製造工程においてゲル化しなかったものを「○」、ゲル化したものを「×」と判定した。評価結果を表9及び表10に示す。
また、表9及び表10における溶媒の配合量を示す「NV%」とは、反応させる原料モノマーが、全て完全に加水分解したときの収量(質量)を全仕込み質量で割ったときの%で表される。尚、モノマーが完全に加水分解したときとは、加水分解により4つのシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物(Qモノマー)からは、SiOが、3つの加水分解性基を有するケイ素化合物(Tモノマー)からはSiO1.5が得られたことをいう。
(2)物性評価
ゲル化することなく製造できた有機ケイ素化合物(C2)に関して、その有機ケイ素化合物の収率(%)及び残留アルコキシ基の含有量(%)を下記要領で測定及び算出した。
収率(%)は、{(単離収量)/(QモノマーのアルコキシシランがすべてSiOに加水分解され、TモノマーのアルコキシシランがすべてSiO1.5に加水分解されたと仮定したときの理論収量)}×100によって算出される。
残留アルコキシ基の含有量(%)は、H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)チャートから算出した。
尚、有機ケイ素化合物(C2)の製造工程において、ゲルが生じたものについては、評価せず、「−」を表示した。
(3)安定性評価
上記有機ケイ素化合物の安定性評価を行った。参考例2−1で得られた有機ケイ素化合物(C2−1)と比較参考例2−2で得られた有機ケイ素化合物(C2−9)のそれぞれを、等量のPGMEAに溶解させ、この溶液を60℃の乾燥器内で保管して経時的に外観を観察した。比較参考例2−2で得られた有機ケイ素化合物(C2−9)は10時間後にはゲル化していたのに対し、参考例2−1で得られた有機ケイ素化合物(C2−1)は3日経ってもゲル化はしていなかった。また、参考例2−1で得られた有機ケイ素化合物(C2−1)は、25℃で2ヶ月以上経ってもゲル化しないのに対して、比較参考例2−2で得られた有機ケイ素化合物(C2−9)は1日でゲル化してしまった。
比較参考例2−2で得られた有機ケイ素化合物(C2−9)には未反応アルコキシ基が17%残存していたのに対し、参考例2−1で得られた有機ケイ素化合物(C2−1)には4%程度しか残っていなかった。このことより、残留している未反応アルコキシ基が上記有機ケイ素化合物の安定性を阻害することが推測される。
よって、上記有機ケイ素化合物の安定性は、残留アルコキシ基の含有量(%)により評価した。
有機ケイ素化合物が安定性を有するかどうかについて、残留アルコキシ基の含有量(%)が高い場合、有機ケイ素化合物の安定性が阻害されるため、有機ケイ素化合物の残留アルコキシ基の含有量(%)が8%以下の場合を「○」、8%より大きい場合を「×」と判定した。
(4)有機溶剤に対する溶解性
参考例2−1〜2−6で得られた有機ケイ素化合物(C2−1)〜(C2−6)について、25℃におけるメタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1−プロパノール(1−PrOH)、2−プロパノール(2−PrOH)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(AcOEt)、1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル(PGMEA)、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びジイソプロピルエーテル(DIPE)に対する溶解性を調べた。尚、試料量は有機溶剤3mlに対して0.3gである。その結果を表9に併記した。
(5)硬化物の製造及び評価
上記有機ケイ素化合物の製造において、ゲル化せずに得られた参考例2−1〜2−6及び比較参考例2−2〜2−5の有機ケイ素化合物100質量部、ラジカル重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン3質量部を、溶剤であるPGMEA100質量部に溶解させて、50質量%のPGMEA溶液であるラジカル硬化性組成物V1〜V10を調製した(表11参照)。ただし、参考例2−5の有機ケイ素化合物の場合は、PGMEAを使用せず、得られたMIBK溶液のまま組成物とした。
上記で得た硬化性組成物について、硬化性の評価を行った。
バーコーターを用いて、組成物V1〜V10を、ポリカーボネート板上に塗布し、約50℃で5分間加熱して溶剤を揮発させ、約10μmの厚さの被膜を形成させた。その後、大気中、下記の条件により紫外線照射を行い、表面のタックがなくなるまでの照射回数を測定した。その結果を表11に併記した。
[紫外線照射条件]
ランプ:80W/cm高圧水銀ランプ
ランプ高さ:10cm
コンベアスピード:10m/min
Figure 0005685571
表9の結果によれば、ケイ素化合物であるQモノマーを1−プロパノールとアルコール交換反応させた後、ケイ素化合物であるTモノマーと加水分解共縮合させ、ケイ素化合物であるTモノマー1モルに対し、ケイ素化合物であるQモノマーを0.3〜1.8モル配合した参考例2−1〜2−6では、縮合工程でゲル化を生じることなく、有機ケイ素化合物が効率よく製造された。また、参考例2−1〜2−6で得られた有機ケイ素化合物の残留アルコキシ基の含有量が、8%以下であり、有機ケイ素化合物の安定性に優れることが推測される。更に、表11の結果によれば、参考例2−1〜2−6で得られた有機ケイ素化合物を用いた硬化性組成物は、優れた硬化性を有している。
一方、表10の結果によれば、Tモノマー1モルに対し、有機ケイ素化合物であるQモノマーを1.9モル配合した比較参考例2−1では、縮合工程でゲルが生じ、目的とする有機ケイ素化合物を製造することができなかった。また、酸性触媒を用いて製造した比較参考例2−2及び2−3では、残留アルコキシ基含有量が、高い数値(17%及び20%)を示し、有機ケイ素化合物の安定に劣ることが推測される。また、比較参考例2−4及び2−5では、縮合工程でゲルを生じることなく、また、有機ケイ素化合物の安定性にも問題がないものの、表11の結果によれば、これらの化合物を用いた硬化性組成物は、硬化性に劣ることが分かる。
本発明により得られる有機ケイ素化合物は、その構造中に占める無機部分の割合が高く、製造後の安定性及び保存安定性が良好である。そして、この有機ケイ素化合物を含有する硬化性組成物もまた、安定性に優れる。
また、本発明の硬化性組成物は、表面硬度が大きく、耐傷性に優れた硬化物を与えることができる。そして、この組成物は、ラジカル硬化性を有し、得られる硬化物は、ハードコート、各種基材の保護膜、レジスト被膜、各種高分子材料の改質剤、プラスチックの強化剤、各種コーティング材料の改質剤、コーティング材料用原料、低誘電率材料、絶縁膜材料等として有用である。更に、本発明の硬化性組成物は、木工用塗料等としても好適である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で示されるケイ素化合物(A1)と、下記一般式(2)で示されるケイ素化合物(B1)とを、上記ケイ素化合物(A1)1モルに対して、上記ケイ素化合物(B1)0.3〜1.8モルの割合で、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させる工程を備える方法により得られる有機ケイ素化合物(C1)、及び、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有し、
    Figure 0005685571
    〔一般式(1)において、Rはメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する有機基であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を有する有機基であり、Xは加水分解性基であり、Xは同一であっても異なっても良く、nは0又は1である。〕
    SiY (2)
    〔一般式(2)において、Yはシロキサン結合生成基であり、Yは同一であっても異なっても良い。〕
    上記ケイ素化合物(B1)は、n−プロポキシ基を有さないアルコキシシラン化合物を、1−プロパノール中で、アルコール交換反応させることにより得られたn−プロポキシ基を有するケイ素化合物を含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. 上記一般式(1)におけるRは、下記一般式(3)で表される有機基である請求項1に記載の硬化性組成物。
    Figure 0005685571
    〔一般式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1〜6のアルキレン基である。〕
  3. 上記一般式(1)におけるXは、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基及びアリールアルコキシ基のうちの少なくとも1種である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 上記(メタ)アクリレート化合物が、3官能以上の多価(メタ)アクリレート化合物及びウレタン(メタ)アクリレート化合物から選ばれた少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 基材と、該基材の表面に請求項1乃至4のいずれかに記載の硬化性組成物から形成された硬化膜と、を備えることを特徴とする物品。
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