JP2016216589A - ポリシロキサン、樹脂組成物、塗料及び積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、ポリシロキサン(a1)の構成材料として特定の長鎖アルキレン基を連結基として有することから、紫外線等による硬化の際に重合性二重結合を有する基が動き易くなるため、重合性二重結合が高い反応率を示し、高い耐擦傷性、耐候性を発現する。さらに、長期屋外使用においても、柔軟性のある長鎖アルキレン鎖が塗膜内部の応力を緩和するため、塗膜のクラック発生を防止できることを見出し、上記課題を解決した。
本発明におけるポリシロキサン(a1)は炭素原子数が6〜13であるアルキレン基に結合した重合性二重結合を有する基を有することを特徴とする。本発明のポリシロキサンは光開始剤の存在下で紫外線照射されると重合性二重結合間で架橋反応が進行することで硬化する。その際、特定の長鎖アルキレン基を連結基として含んでいるため、紫外線等による重合性二重結合基硬化の際に重合性不飽和基が動き易くなることから、重合性不飽和基が高い反応率を示し、架橋密度の高い強固なポリシロキサン構造が形成され、高い耐擦傷性、耐候性を発現する。さらに、長期屋外使用においても、柔軟性のある長鎖アルキレン鎖が塗膜内部の応力を緩和するため、塗膜のクラック発生を防止できる。その結果、得られる塗膜は、耐擦傷性および耐侯性に優れるものとなる。
(一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位)
具体的には、前記一般式(1)及び(2)におけるR1、R2及びR3のうち、少なくとも一つが、炭素原子数6−13のアルキレン器に結合した重合性二重結合を有する基である)
本発明のポリシロキサン(a1)において、一般式(1)及び(2)におけるR1、R2及びR3のうち、少なくとも1つがビニル系重合体(a2)であることが好ましい。ここで言うビニル系重合体(a2)とは、アクリル重合体、フルオロオレフィン重合体、ビニルエステル重合体、芳香族系ビニル重合体及びポリオレフィン重合体等のビニル系重合体である。ビニル系重合体(a2)を有する場合、基材との密着性や有機溶剤への相溶性、耐アルカリ性等の耐薬品性に優れるため、好ましい。さらには、塗膜の表面滑性等を向上させることが可能なシリコン樹脂も、アクリル系の樹脂や紫外線硬化性モノマーも比較的相溶しやすい。そのため相溶性のよい組成物を得ることができる。
本発明で用いるビニル系重合体(a2)を有するポリシロキサン(a1)は、具体的には下記(方法1)〜(方法3)に示す方法で製造する。
該方法においては、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに炭素原子数が6〜13であるアルキレン基に結合した重合性二重結合を併有するシラン化合物のシラノール基あるいは加水分解性シリル基と、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体(a2)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とが加水分解縮合反応し、前記ポリシロキサン(a1)が形成されると共に、前記ポリシロキサン(a1)と、ビニル系重合体(a2)とが結合する。
本発明の樹脂組成物は、本発明のポリシロキサン(a1)を有する。本発明のポリシロキサン(a1)は、前述の通り重合性二重結合を有するので、紫外線もしくは熱により硬化可能である。また、紫外線と熱の同時両方の硬化形式で硬化可能である。中でも、ポリカーボネートをはじめとするプラスチック素材からなる外装建築部材や自動車用外装部材の表面保護コーティング用塗料として使用する場合には、紫外線硬化が好ましい。以下本発明の具体的態様として紫外線硬化させる場合の例について述べる。
この場合、レオロジーをコントロールするために、前記樹脂組成物は、前記添加剤の他、溶剤を添加し適宜希釈して使用することが好ましい。溶剤は特に限定はなく、用途に応じて適宜選択すればよい。また塗装後の膜厚にも特に制限はないが、屋外での長期耐候性と優れた耐擦傷性を有する硬化塗膜を形成することができるという観点から、0.1〜300μmであることが好ましい。硬化塗膜の膜厚が0.1μm未満の場合、プラスチック基材に対して耐候性や耐擦傷性を付与できなくなるし、膜厚が300μmを超えて厚くなると、紫外線が塗膜内部に十分に照射されず、硬化不良を起こす場合があるので、注意が必要である。
(a)装置 : ゲル浸透クロマトグラフGPC−244(WATERS社製)
(b)カラム : Shodex HFIP 80M 2本(昭和電工(株)製)
(c)溶媒 : ジメチルホルムアミド
(d)流速 : 0.5ml/min
(e)温度 : 23℃
(f)試料濃度:0.1% 溶解度:完全溶解 ろ過:マイショリディスク W−13−5
(g)注入量 : 0.300ml
(h)検出器 : R−401型示差屈折率器(WATERS)
(i)分子量校正: ポリスチレン(標準品)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、MTMS(メチルトリメトキシシラン)415部、信越化学工業株式会社製KBM5803 151部、MPTS(3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)605部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、60℃まで昇温した。次いで、PhoslexA−4(堺化学株式会社製、ノルマルブチルアッシドホスフェート) 0.1部と脱イオン水 121部からなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間攪拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。
得られた反応生成物中に含まれるメタノールおよび水を、1〜30キロパスカル(kPa)の減圧下、40〜60℃の条件で除去することにより、数平均分子量が1000であるポリシロキサン(a1−1) 1000部を得た。
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、MTMS(メチルトリメトキシシラン)415部、MPTS 756部を仕込む以外は合成例1と同じ反応を実施することで、ポリシロキサン(a1−2)を得た。
<合成例1 ビニル系重合体前駆体(a2−1)の合成>
合成例1と同様の反応容器に、シラン化合物としてPTMS(フェニルトリメトキシシラン)20.1部、DMDMS(ジメチルジメトキシシラン) 24.4部、溶剤としてMIBK(メチルイソブチルケトン) 107.7部を仕込み、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。
次に、AA(アクリル酸) 1.5部、BA(ブチルアクリレート) 1.5部、MMA(メチルメタクリレート) 56.1部、BMA(n−ブチルメタクリレート) 14.4部、CHMA(シクロヘキシルメタクリレート) 37.5部、HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート) 30.0部、MPTS 9.0部、TBPEH(tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキノエート) 6.8部、MIBK 15部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した後、さらに同温度で2時間撹拌し、数平均分子量が5800、であるビニル系重合体を含有する反応液を得た。前記反応容器中に、PhoslexA−4 0.06部と脱イオン水 12.8部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で5時間攪拌することにより、シラン化合物の加水分解縮合反応を進行させた。反応生成物を、1H−NMRで分析したところ、前記反応容器中のシランモノマーが有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。次いで、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下である、ビニル系重合体前駆体(a2−1)を得た。尚、TBPEHの残存量は、ヨウ素滴定法により測定した。
合成例1と同様の装置に、ポリシロキサン(a1−1) 178.8部、ビニル系重合体(a2−1)を371.2部添加し、5分間攪拌したのち、脱イオン水 41.0部を加え、80℃で4時間攪拌を行い、前記反応生成物とポリシロキサンの加水分解縮合反応を行った。得られた反応生成物を、10〜30kPaの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、MIBK 195.0部を添加し、不揮発分が45.1%であるポリシロキサン(a1−3) 600部を得た。
合成例1により得たポリシロキサン(a1−1)の固形分50部に対し、PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート)を50部加え、BASFジャパン株式会社製の光重合開始剤Irgacure184を4部、紫外線吸収剤Tinuvin400、光安定化剤としてTinuvin123を1部添加することで、不揮発成分50%である組成物1を作製した。得られた組成物1を2mm×150mm×150mmのポリカーボネート板(レキサンLS2−111(SABIC社製))上に、乾燥膜厚が15μmになるよう塗布し、80℃で4分間乾燥させて樹脂組成物層を形成後、ランプ出力1kWの水銀ランプ下、約1000mJ/cm2の照射量で紫外線を照射することで積層体1を得た。これについて以下の評価を行い、結果を下記表1に示した。
(テーバー磨耗試験)
得られた積層体1に対し、テーバー磨耗試験にて、ASTM D1044に準拠した方法(磨耗輪:CS−10F、荷重:500g、回転数:100)にて擦り、初期状態とのくもり価の差、すなわち、ヘイズ値変化ΔH(%)を測定する。差が小さいほど、耐磨耗性が高いことを示す。ΔHの値から、下記の基準により耐磨耗性を評価した。
○:ΔH=15未満
×:ΔH=15以上
得られた積層体1に対し、岩崎電気製の超促進耐侯性試験機スーパーUVテスター(SUV)を使用して、照射強度90mW、ブラックパネル温度63℃湿度70%の条件にて100時間UV照射を実施した後に、硬化塗膜の外観を目視にて検査し、下記の判断基準にて試験結果を判定した。
○:表面状態に変化が無い。
×:表面にクラックが発生している。
ポリシロキサン(a1−1)の代わりにポリシロキサン(a1−3)を用いた以外は実施例3と同様の工程にて、組成物2及び積層体2を得た。実施例3と同様に評価を実施した結果を表1に示した。
ポリシロキサン(a1−1)の代わりにポリシロキサン(a1−2)を用いた以外は実施例3と同様の工程にて組成物3及び積層体3を得た。実施例3と同様に評価を実施した結果を表1に示した。
Claims (7)
- 炭素原子数が6〜13であるアルキレン基に結合した重合性二重結合を有する基を有することを特徴とする、ポリシロキサン(a1)。
- さらにシラノール基および/または加水分解性シリル基を有する、請求項1に記載のポリシロキサン(a1)。
- さらにビニル系重合体(a2)が結合していることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリシロキサン(a1)。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリシロキサン(a1)を含有することを特徴とする、樹脂組成物。
- 請求項4に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項4に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする塗料。
- 基材と、請求項5記載の硬化物とを積層してなる積層体。
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