JP5645781B2 - 誘導加熱調理器及びそのプログラム - Google Patents
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Description
そのような誘導加熱調理器は、設置形態によって流し台等の上面に置かれて使用される据置型と、流し台などの厨房家具の中にある設置空間にセットされるビルトイン(組込)型とに大別されるが、何れのタイプにおいても、上面のほぼ全体が耐熱ガラス板等から形成されたトッププレート(天板ともいう)で覆われ、その下方には、一つ又は複数個の誘導加熱源が配置されている。その誘導加熱源としては、同心上かつ略同一平面上に配置した径の異なる複数個の加熱コイルと、加熱コイル夫々に高周波電力を供給する高周波発生電力回路(インバーター回路ともいう)が使用されている(例えば特許文献1参照)。このような構成によれば、径の異なる複数の加熱コイルに対する高周波電力の出力制御を各々個別に行うことができるので、種々の加熱パターンを形成することができる。
また同様に被調理物に対流を発生させる目的で、トッププレートの下方に略同一平面に配置され、異なる円心を有する複数の円環状の加熱コイルを備えたものにおいて、その複数の加熱コイルのうち、半数以上、全部未満の前記加熱コイルに誘導加熱電力を供給する量を、残りの加熱コイルの誘導加熱電力よりも多く制御するようにしたものもある(例えば特許文献5参照)。
図1〜図19は、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器を示すものであって、ビルトイン(組込)型の誘導加熱調理器の例を示している。なお、各図において同じ部分又は相当する部分には同じ符号を付している。
加熱手段Dの「動作条件」とは、加熱するための電気的、物理的な条件を言い、通電時間、通電量(火力)、加熱温度、通電パターン(連続通電、断続通電等)等を総称したものである。つまり加熱手段Dの通電条件をいうものである。
100は、前記表示手段Gの表示画面であって、例えば液晶表示画面であり、左右中心線CL1を跨ぐように本体部Aの左右中心部に配置されている。
本体部Aは図2に示すように、外形形状が流し台等の厨房家具(図示せず)に形成した設置口を覆う大きさ、スペースに合わせて、略正方形に形成されている。
本体部Aの外郭を形成する金属製薄板から形成された本体ケース2の上部は、内側寸法で横幅W3が540mm(又は550mm)、奥行DP2が402mmの箱形に設計されている。この本体ケースの内部に前記第1の誘導加熱部6L、第2の誘導加熱部6R及び中央電気加熱部7がそれぞれ設置されている。第1、第2の誘導加熱部6L、6Rは、円板状に巻かれた誘導加熱コイル6LC、6RCをそれぞれ備えている。
前記トッププレート21の上に磁性を有する、例えば金属から成る鍋等の被加熱物N(以下、単に「鍋」と称する場合有る)が置かれて、その下方に設置された第1の誘導加熱部6L、第2の誘導加熱部6Rによって誘導加熱される構成になっている。
また、この主加熱コイルは、渦巻状に0.1mm〜0.3mm程度の細い線を30本程束にして、この束(以下、集合線という)を1本又は複数本撚りながら巻き、中心点X1を基点として外形形状が円形になるようにして最終的に円盤形に成形されている。主加熱コイルMCの直径(最大外径寸法)は約180mm〜200mm程度であり、半径R1は90〜100mmである。この主加熱コイルは、この実施の形態1では例えば、最大火力が1500Wの能力を備えている。
4つの副加熱コイルSC1〜SC4は、それぞれの集合線が長円形に湾曲しながら伸びて電気的に一本の閉回路を構成している。また主加熱コイルMCの垂直方向寸法(高さ寸法、厚さともいう)と各副加熱コイルSC1〜SC4の垂直方向寸法は同じであり、しかもそれら上面と前記トッププレートの下面との対向間隔は同一寸法になるように水平に設置、固定されている。
本発明の電源装置では、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4に流れる、それぞれの電流量を検出するための電流検出部(検出手段)280を有する。この電流検出部は、後述する被加熱物載置判断部400の一種である。
この実施の形態において、前記表示画面100は、全ての加熱源に共通で用いられるものであるため、統合表示手段とも呼ばれる。全ての加熱源とは、第1、第2の誘導加熱部6L、6Rと、輻射式中央電気加熱部7、更にはグリル庫を備えるものでは、当該電気加熱手段も含むものである。この実施の形態1の統合表示手段で使用されている表示画面100は、周知のドットマトリックス型液晶表示画面である。また高精細(320×240ピクセルの解像度を備えているQVGAや640×480ドット、16色の表示が可能なVGA相当)の画面を実現でき、文字を表示する場合でも多数の文字を表示することができる。液晶表示画面は1層だけではなく、表示情報を増やすために上下2層以上で表示するものを使用しても良い。また、単純マトリクス駆動方式を用いたSTN(Super Twisted Nematic)液晶によって構成しても良い。なお、この表示画面を通じて使用者が加熱動作の指令も行えるが、この点については後で説明する。
前記表示画面は、図示していないが、表示駆動回路で駆動される。その表示部駆動回路は前記通電制御回路200に接続されている。
50は、第1の誘導加熱部6L、第2の誘導加熱部6R、中央加熱部7の全ての電源を一斉に投入・遮断する主電源スイッチ(図示せず)の操作キーであり、使用者が押し下げると電源が入り、再度押すと電源が切れるという構造になっている。
被加熱物Nに加える火力を手動で設定できる。
主加熱コイルMCと副加熱コイルの合計火力は、150W〜3000Wまでの範囲で次の16段階(第1段〜第16段)の中から使用者が1段階選定する。
150W(第1段)、200W(第2段)、300W(第3段)、400W(第4段)、500W(第5段)、625W(第6段)、750W(第7段)、875W(第8段)、1000W(第9段)、1250W(第10段)、1500W(第11段)、1750W(第12段)、2000W(第13段)、2250W(第14段)、2500W(第15段)、3000W(第16段)。なお、3000Wを定格最大火力、150Wを定格最小火力と呼ぶ場合がある。これは以下の各種動作モードに拘わりなく、共通である。
揚げ物油を入れた被加熱物N(天ぷら鍋等)を所定の温度まで加熱し(第1工程)、その後被加熱物Nの温度を所定範囲に維持するように、通電制御回路200が火力を自動的に調節(第2工程)する。
第1工程:所定の温度(例えば180℃)まで急速に加熱する。
主加熱コイル火力は2500W
第2工程:ここで揚げ物が実施され、天ぷらの具材等が投入される。最大30分間運転。この工程では、火力設定部による(任意の)火力設定は禁止される。30分経過後に自動的に加熱動作終了(延長指令も可能)。
主副火力比は、第1工程、第2工程とも所定範囲内になるように自動的に決定され、使用者が主加熱コイルと副加熱コイルの火力比を任意に設定することはできない。例えば主副火力比は(大火力時)2:3〜(小火力時)1:1まで自動的に変化する。
火力設定や変更を禁止して、予め決められた火力で被加熱物Nを加熱する第1予熱工程を行い、第1予熱工程終了後は(温度センサーからの検出温度信号を利用して)被加熱物Nを所定温度範囲に維持する保温工程を行う。
予熱工程:
主加熱コイル1000W(固定)
副加熱コイル1500W(固定)
保温工程:最大5分間。この間に(任意の)火力設定が行われない場合、5分経過後に自動的に加熱動作終了。
主加熱コイル300W〜100W(使用者には設定不可能)
副加熱コイル300W〜100W(使用者には設定不可能)
任意の火力設定を保温工程期間中した場合、高速加熱と同じになる。
任意の火力設定は、主加熱コイルMCと副加熱コイルの合計火力が、150W〜3000Wまでの範囲で次の16段階の中から使用者が1段階を選定できる。
150W、200W、300W、400W、500W、625W、750W、875W、1000W、1250W、1500W、1750W、2000W、2250W、2500W、3000W。
この場合、主副火力比は、所定火力比の範囲内になるように自動的に通電制御回路200で決定され、使用者が任意に設定することはできない。例えば主副火力比は(大火力時)1:3〜(小火力時)1:1まで。なお、この主副火力比は、被加熱物Nの材質やその大きさによってその都度前記主副火力比から変化する場合がある。
なお、保温工程では、使用者の指令に基づいて対流促進制御が開始される。この対流促進制御については後述する。
被加熱物N内の水を、使用者が任意の火力で加熱開始し、水が沸騰(温度センサーにより、被加熱物Nの温度や温度上昇度変化等の情報から通電制御回路200が沸騰状態と判定)した際に、表示手段Gによって使用者にその旨を知らせる。その後火力は自動的に設定され、そのまま2分間だけ沸騰状態維持する。
湯沸し工程:
主加熱コイルと副加熱コイル合計の火力が150W〜3000W(火力1〜火力9まで16段階の中から任意設定。デフォルト設定値は火力13=2000W)。
主副火力比は、使用者が選定した上記合計火力を超えない限度で、所定火力比の範囲内になるように自動的に通電制御回路200で決定され、使用者が任意に設定することはできない。例えば主副火力比は(大火力時)2:3〜(小火力時)1:1まで。なお、この主副火力比は、被加熱物Nの材質やその大きさによってその都度前記主副火力比から変化する場合がある。
保温工程:最大2分間。2分経過後に自動的に加熱動作終了。
主加熱コイル1000W以下(使用者には設定不可能)
副加熱コイル1500W以下(使用者には設定不可能)
この期間中に、使用者が任意の火力を設定した場合、高速加熱と同じになる。火力も150W〜3000Wの範囲にある16段階の中から任意に一つ選択可能。
使用者が米飯と水を適当量入れた被加熱物Nとなる容器をセットし、その容器を所定の炊飯プログラム(吸水工程・加熱工程・沸騰工程・蒸らし工程などの一連のプログラム)に従って加熱し、自動で炊飯を行う。
吸水工程及び炊飯工程
主加熱コイル600W以下(使用者には設定不可能。工程の進行に応じて自動的に変化)
副加熱コイル700W以下(使用者には設定不可能。工程の進行に応じて自動的に変化)
蒸らし工程:5分間
主コイル 加熱ゼロ(火力 0W)
保温工程:最大5分間。
主加熱コイル200W以下(使用者には設定不可能)
副加熱コイル200W以下(使用者には設定不可能)
加熱工程(沸騰まで):
被加熱物Nに加える火力を手動で設定できる。
主加熱コイルMCと副加熱コイルの合計火力は、150W〜3000Wまでの範囲で次の16段階の中から使用者が1段階選定する。
150W、200W、300W、400W、500W、625W、750W、875W、1000W、1250W、1500W、1750W、2000W、2250W、2500W、3000W。
デフォルト値は2000W(使用者が火力を選択しない場合、2KWで加熱開始)。
主副火力比は、所定の火力比の範囲内になるように自動的に通電制御回路200で決定され、使用者が任意に設定することはできない。例えば主副火力比は(大火力時)2:3〜(小火力時)1:1まで。なお、この主副火力比は、被加熱物Nの材質やその大きさによってその都度前記主副火力比から変化する場合がある。
沸騰以後:
水が沸騰(温度検出回路31の温度センサーにより、被加熱物Nの温度や温度上昇度変化等の情報から制御部は沸騰状態と推定)した際に、使用者にその旨を知らせる。
その後連続30分間(延長可能)、沸騰状態を維持するようにデフォルト値(600W)で自動的に加熱動作を継続するが、使用者が沸騰以後の火力を任意に選んでも良い。
被加熱物N内の水を、使用者が任意の火力で加熱開始し、水が沸騰(温度センサーにより、被加熱物Nの温度や温度上昇度変化等の情報から制御部は沸騰状態と推定)した際に、使用者には表示部Gよってその旨を知らせる。その後火力は自動的に設定され、そのまま2分間だけ沸騰状態維持する。
湯沸し工程:
主加熱コイルと副加熱コイル合計の火力が150W〜3000W(火力1〜火力9まで16段階の中から任意設定。デフォルト設定値は火力13=2000W)。
主副火力比は、使用者が選定した上記合計火力を超えない限度で、所定火力比の範囲内になるように自動的に通電制御回路200で決定され、使用者が任意に設定することはできない。例えば主副火力比は(大火力時)2:3〜(小火力時)1:1まで。なお、この主副火力比は、被加熱物Nの材質やその大きさによってその都度前記主副火力比から変化する場合がある。
保温工程:最大10分間。10分経過後に自動的に加熱動作終了。
主加熱コイル1000W以下(使用者には設定不可能)
副加熱コイル1500W以下(使用者には設定不可能)
加熱工程(沸騰まで):
被加熱物Nに加える火力を手動で設定できる)。
任意に火力設定する場合、主加熱コイルMCと副加熱コイルの合計火力は、150W〜3000Wまでの範囲で次の16段階の中から使用者が1段階選定する。
150W、200W、300W、400W、500W、625W、750W、875W、1000W、1250W、1500W、1750W、2000W、2250W、2500W、3000W。
デフォルト値は2000W(使用者が火力を選択しない場合、2000Wで加熱開始)。
主副火力比は、所定の火力比の範囲内になるように自動的に通電制御回路200で決定され、使用者が任意に設定することはできない。例えば主副火力比は(大火力時)2:3〜(小火力時)1:1まで。なお、この「煮込みモード」における主副火力比は、被加熱物Nの材質やその大きさによってその都度前記主副火力比から変化する場合がある。またこの「煮込みモード」でいう主副火力比は、沸騰状態になった以後の通電においては、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4を同時に駆動した場合の、両者の火力の比ではない。後述するように「煮込みモード」の沸騰以後においては、基本的に主加熱コイルMCの通電期間と、各副加熱コイルSC1〜SC4の通電期間とは別であり、加熱コイルMCと、各副加熱コイルSC1〜SC4とを同時に加熱駆動する通電パターンを採用していないからである。
沸騰以後:
水や調理液が沸騰(温度検出回路31の温度センサーにより、被加熱物Nの温度や温度上昇度変化等の情報から制御部は沸騰状態と推定)した際に、使用者にその旨を知らせる。
その後最長で連続30分間(短縮も延長も1分刻みで任意に設定可能)、次のような通電パターンで主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4を駆動する。なお、4つの副加熱コイルの上方に鍋がなく、3個以下の副加熱コイルしか駆動しない場合には、この「煮込みモード」は適用しない。
以下の通電パターンである。
以下の第1の区間〜第5の区間の加熱動作を2回以上繰り返す通電パターンをいう。
第1の区間:主加熱コイルMCを駆動する。
第2の区間:加熱休止期間を設ける(主加熱コイルMC、副加熱コイルともに駆動しない)。
第3の区間:一部(2個)の副加熱コイルMCを駆動する(他の副加熱コイルは駆動しない)。
第4の区間:加熱休止期間を設ける(主加熱コイルMC、副加熱コイルともに駆動しない)。
第5の区間:残りの2個の副加熱コイルMCを駆動する(他の副加熱コイルは駆動しない)。またこの「煮込みモード」では、沸騰時点になったら通電制御回路200は主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4の両者の火力とその通電期間を、自動的に「所定の値」となるように設定する。主副火力比は、後述する所定の煮込み火力の範囲内になるように自動的に通電制御回路200で決定され、使用者が任意に設定することはできない。例えば主副火力比は(大火力時)1:1.2〜(小火力時)1:4まで。ここでいう「所定の値」とは、後述する「第1の火力値」と、これよりも大きな「第2の火力値」が含まれている。または、後述する「煮込み火力値」をいうものである。前記「第1の火力値」や「第2の火力値」、「煮込み火力」は、前記主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4を実際に駆動して、多くの調理実験を重ねて決定している。
表示手段Gの表示画面100に表示される動作モードとしては、上記した「高速加熱モード」、「揚げ物モード」、「湯沸しモード」、「予熱モード」、「炊飯モード」、「茹でモード」、「湯沸し+保温モード」、「煮込みモード」という8つである。以下の説明ではモードという記述を省略し、例えば「高速加熱モード」は「高速加熱」と記載する場合がある。
次に、「煮込みモード」で重要な「焦げ付き抑制制御」について説明する。なお、沸騰以降又は沸騰直前、例えば98℃まで被加熱物Nの温度が上昇したことを温度センサーが検知した場合、または調理開始からの経過時間から沸騰状態に近いと通電制御回路200が判定した場合等においては、それ以降において使用者の任意に指令した時期、例えば操作直後に、焦げ付き抑制制御が開始されるようにしておくことが望ましいが、特定の調理メニューの場合、沸騰状態になったら使用者が禁止したり、途中で加熱停止したりしない限り、自動的に焦げ付き抑制制御に移行するようにしても良い。
この場合、被加熱物Nの発熱部は副加熱コイルSC2、SC3の真上の部分になる。従ってその発熱部を基準として被加熱物Nの内部に収容された被調理物、例えばカレー、シチュー等は副加熱コイルSC2、SC3の真上の部分で加熱される。また、副加熱コイルSC2、SC3の火力の総和は、100〜300W程度の小さな火力とする。
この場合、被加熱物Nの発熱部は副加熱コイルSC1、SC4の真上の部分になる。従ってその発熱部を基準として被加熱物Nの内部に収容された被調理物、例えばカレー、シチュー等は副加熱コイルSC1、SC4の真上の部分で加熱される。また、副加熱コイルSC1、SC4の火力の総和は、100〜300W程度の小さな火力とする。
また、火力の弱い、煮豆などの調理をする場合は、主加熱コイルMC、副加熱コイルSC1〜4で同時に加熱すると煮汁の温度が上昇しすぎて、うまく煮ることができない。
前記の通り、主加熱コイルMC→第一の組の副加熱コイルSC2、SC3→第二の組の副加熱コイルSC1、SC4の順に加熱をすることにより、加熱箇所が対角線上で移動することで、具材が冷める期間が設けられ、なべ底の温度を局部的に上昇せずに、焦げ付きを防止することができる。また、弱い火力で長時間煮込むのに適した火力を持続することができる。
まず、通常の温度変化(実線)の温度グラフについて説明する。第1の区間T1〜第2の区間T2では、温度t0からt0+5℃まで上昇する。第3の区間T3〜第6の区間T6では、温度t0+5℃からt0まで下降する。
次に、なべ底にじゃがいもなどの具が張り付いているときの温度変化(破線)の温度グラフについて説明する。第1の区間T1〜第2の区間T2では、温度t0からt0+10℃まで上昇する。第3の区間T3〜第6の区間T6では、温度t0+10℃からt0まで下降する。具が張り付いている部分のほうが、温度が上昇しやすくなる。
上記のように、図5のように加熱コイルの加熱部位を、中心部〜対称的な周辺部〜別の対称的な周辺部、へと時間的に移動させることにより、鍋底の温度を平均的に制御することができ、被調理物の温度を局部的に上げることなく、焦げ付きを抑制することができる。
前記「火力1」は第1の区間T1〜第4の区間T4の90秒間で見ると約222Wになる。つまり、最初40秒間(区間T1)は主加熱コイルMCが100Wの火力で駆動され、次に5秒間(区間T2)は加熱動作なく、次の40秒間(区間T3)は、2つの副加熱コイルSC2、SC3が400Wの火力になるように駆動される。さらに次の第4の区間T4では加熱駆動は行われないので、これら90秒間の平均火力を計算すると約222Wになる。被加熱物Nに対して実際に効力のある火力という意味で「実効火力1」ともいう。
次に、「対流促進制御」について説明する。なお、沸騰以降又は沸騰直前、例えば98℃まで被加熱物Nの温度が上昇したことを温度センサーが検知した場合、または調理開始からの経過時間から沸騰状態に近いと通電制御回路200が判定した場合等においては、それ以降において使用者の任意に指令した時期、例えば操作直後に、対流促進制御が開始されるようにしておくことが望ましいが、特定の調理メニューの場合、沸騰状態になったら使用者が禁止したり、途中で加熱停止したりしない限り、自動的に対流促進制御に移行するようにしても良い。
この場合、被加熱物Nの発熱部は主加熱コイルMCの真上の部分になる。従ってその発熱部を基準として被加熱物Nの内部に収容された、例えば煮物などの煮汁は主加熱コイルMCの真上の部分で加熱され、上昇気流が発生する。従って、この状態を継続すると、図3(B)に矢印YCに示したように、外側に向かって対流を発生させることができる。このことにより具材に煮汁がかかる。また、主加熱コイルMCの火力は、750W〜1000W程度の中〜強火力とする。
この場合、被加熱物Nの発熱部は副加熱コイルSC1〜4の真上とそれぞれの副加熱コイル間に亘る部分になる。従ってその発熱部を基準として被加熱物Nの内部に収容された、例えば煮物などの煮汁は副加熱コイルSC1〜4の真上とそれぞれの副加熱コイル間に亘る部分で加熱され、上昇する流れが発生する。従って、この状態を継続すると、図3(A)に矢印YCに示したように、内側に向かって対流を発生させることができる。このことにより具材に煮汁がかかる。また、副加熱コイルSC1〜4の火力の総和は、750W〜1500W程度の中〜強火力とする。
第1の区間T1〜第2の区間T2では、温度t0からt0+5℃まで上昇する。第2の区間T2〜第3の区間T3では、t0+5℃を保っている。第4の区間T4では、温度t0+5℃からt0まで下降する。
上記のように、図3のように主加熱コイルMCから副加熱コイルSC1〜4に交互に火力を入れ、間に休止期間を入れることにより、なべに対流を起こし、一度調理物が冷め、味のしみ込みを促進することできる。
この図9(A)で示す区間T1の長さ(第1の区間時間)は40秒。第2の区間T2の長さ(第2の区間時間)は5秒。第3の区間時間は40秒。第4の区間時間は5秒となる。なお、この図9で示した「対流促進制御」の第1の区間時間〜第4の区間時間は、図7で示した「煮込みモード」の第1の区間時間〜第4の区間時間と全く同じであるが、このように同一にする必要はない。
図9(B)の「火力2」の場合は、第1の区間T1は、主加熱コイルが500W。第3の区間T3は、第一の組の副加熱コイルSC2、SC3が600W(2つの副加熱コイルの合計値)、第二の組の副加熱コイルSC1、SC4が600W(同じく、2つの副加熱コイルの合計値)となる。
前記「火力2」は第1の区間T1〜第4の区間T4の90秒間で見ると約756Wになる。つまり、最初40秒間(区間T1)は主加熱コイルMCが500Wの火力で駆動され、次に5秒間(区間T2)は加熱動作なく、次の40秒間(区間T3)は、4つの副加熱コイルSC1〜SC4が600W+600Wの火力になるように駆動される。さらに次の第4の区間T4(5秒間)では加熱駆動は行われないので、これらトータル90秒間の平均火力を計算すると約756Wになる。被加熱物Nに対して実際に効力のある火力という意味で「実効火力2」ともいう。
前記「火力3」は第1の区間T1〜第4の区間T4の90秒間で見ると約978Wになる。つまり、最初40秒間(区間T1)は主加熱コイルMCが700Wの火力で駆動され、次に5秒間(区間T2)は加熱動作なく、次の40秒間(区間T3)は、4つの副加熱コイルSC1〜SC4が750W+750Wの火力になるように駆動される。さらに次の第4の区間T4では加熱駆動は行われないので、これら90秒間の平均火力を計算すると約978Wになる。被加熱物Nに対して実際に効力のある火力という意味で「実効火力3」ともいう。
この図9(A)で示す第1の区間T1〜第4の区間T4の各区間時間は、それぞれ1〜60秒程度でよい。なお、1〜60秒程度という意味は、第1の区間T1〜第4の区間T4を全て10秒間隔にし、次にまた第1の区間T1〜第4の区間T4の制御をする場合は、10秒と同じ時間にする場合、及び異なる時間にする場合、の2つのケースを意味する。後者のケースでは、例えば第1の区間T1〜第4の区間T4を全て15秒間隔にすることが考えられる。なお、第1の区間T1と第2の区間T2、また第3の区間T3と第4の区間T4の、各区間時間時間が異なっても良い。例えば第1の区間T1の第1の区間時間は10秒間、第2の区間時間は15秒間、第3の区間時間は10秒間、第4の区間時間は15秒間に設定することである。
次に誘導加熱調理時の統合表示手段Gの表示画面100について説明する。
図10において、表示画面100は、前記第1の誘導加熱部6L、第2の誘導加熱部6R、中央電気加熱部7及び加熱室12を使用した調理の少なくとも何れか1つを行う場合に起動される。 図10は第1の誘導加熱部6Lにおいて調理メニューを選択する直前の状態を示す。
すなわち、前記各種入力キーE1A、E2A、E3A等の部分(区域)を構成する前記トッププレート21表面には、キーの入力機能を示す文字や図形などが印刷や刻印等で何ら表示されていないが、これらキーの下方の表示画面100には、それら入力キーの操作場面毎に、キーの入力機能を示す文字や図形を表示する構成になっている。
25は火力の大きさを棒グラフ状の図形で表示する火力表示図形(「火力表示バー」ともいう)であり、16段階の火力に合せて16本あるように表示される。26A、26Bは一対の火力調節キーであり、プラス記号のあるキー26Aは火力を増加させ、マイナス記号のあるキー26Bは火力を減らすためのものである。これらキー26A、26Bに1回触れると、その度に火力は1段階変更される。ここで、火力調節は、火力ダイヤルでも可能である。
図18において、28は加熱時間を1分単位で表示する時間表示部、27A、27Bはその加熱時間の調節キーであり、プラス記号のあるキー27Aは時間を増加させ、マイナス記号のあるキー27Bは時間を減らすためのものである。これらキー27A、27Bに1回触れると、その度に時間は1分ずつ変更される。なお、調理メニューによっては調理時間が表示されない場合もある。また自動的に標準的な時間が表示された場合、前記調節キー27A、27Bで調節すれば良い。調節できない(調整しない)調理メニューの場合は、調節キー27A、27B、26A、26Bが表示されない。
次に「煮込みモード」の微調整モードについて説明する。前記、焦げ付き抑制制御、対流促進制御において、調理に適した制御を設定しているが、調理によっては、火加減が合わない場合がある。この「微調整モード」の制御は、「煮込みモード」火力を微調整できるキーを具備し、「煮込みモード」火力を微調整できるものである。
例えば最初は、火力を示す長方形状の表示バー25の図形は緑色であるが、火力が選択されると、その選択された火力を示す長方形状の表示バー25部分は赤い色に変わる。ここで、火力ダイヤルを使用しても火力を選択できる。次に、時間設定キー27A、27Bで、好みの時間を選択すると表示28が変化する。ここで、メニューキー24を選択すれば、図10の画面に戻る。好みの時間を選択したら、加熱開始キー32Aを選択し、煮込み調理が始まる。
火力調節キー26A、26Bで火力を微調整することができる。中間火力を設定した場合は中間火力の火力表示バー25Aが規定の火力の火力表示バー25と違う色で表示される。通常煮込みモードの選択キー35Bを押すと通常煮込みモードの図14の画面に戻る。このとき、微調整火力で動作中に通常煮込みモードに移行した場合は、微調火力の一段階下の煮込み火力で調理が始まる。
次に「煮込みモード」から別の動作モードへの移行動作について説明する。前記、焦げ付き抑制制御、対流促進制御において、調理に適した制御を設定しているが、調理によっては、火加減が合わない場合がある。この移行動作は、「煮込みモード」で調理中に、別の動作モードへ移行できるキーを具備し、火力を調整することができる。また、別モードへ移行した後も、「煮込みモード」へ移行できるキーを具備し、「煮込みモード」へ再度戻ることができるものである。
次に、「煮込み火力」の火力変更が行われたか判断する(ST30)。ここで火力変更と判断された場合は、火力変更して加熱が継続される(ST31)。次に、別モード(ここではIH通常加熱)が選択されたか判断する(ST32)。ここで別モードが選択されたと判断すると「煮込みモード」を解除する(ST33)。次に、別モード(ここではIH通常加熱。代表として前記した「高速加熱モード」)に移行する(ST34)。前記ステップST30で、火力変更がなかった場合、及びステップST33で、別モードが選択されなかった場合の、いずれの場合でも、設定時間に達したか判断する(ST35)。次に、設定時間に到達した場合は、「煮込みモード」終了・報知を行う(ST36)。
火力の微調整についての変形例として、図16の画面に表示が切り替わって煮込みモードが実行されている状態で、使用者が火力調節キー26Bで、第1の煮込み火力(実効火力:220W)の状態よりも更に小さな火力、具体的には定格最小火力の150Wに下げる操作を行った場合、及び、逆に火力調節キー26Aで、第3の煮込み火力(実効火力:980W)の状態よりも更に大きな火力、具体的には16段階の火力の内、1000W(第9段)又はこれ以上に上げる操作を行った場合、何れも図18の画面が表示され、「煮込みモード」以外の、通常のIH加熱に移行できるようにしても良い。以下変形例について説明する。
第1の発明に係る誘導加熱調理器は、特に図18に示したように「煮込みモード」に適する制御として以下の構成を備えている。
すなわち、独立して加熱駆動される環状の主加熱コイルMCと、この主加熱コイルの周囲にあって、主加熱コイルと協働加熱時に駆動される複数の副加熱コイルSC1〜SC4と、前記主加熱コイルMC及び前記副加熱コイルSC1〜SC4に高周波電力を供給するインバーター回路MIV、SIVと、前記インバーター回路を制御し、被加熱物Nの大きさに応じて前記主加熱コイルMCのみの駆動と、主加熱コイルMCの駆動に加えて前記副加熱コイルSC1〜SC4の全部又は一部を選択的に駆動する通電制御回路200と、「煮込み」モードを含む複数の動作モードの何れか一つを選択して前記通電制御回路200に指令できる操作部40と、を備え、前記通電制御回路200は、前記「煮込み」モードが選択された場合、前記主加熱コイルMCのみを駆動する期間T1と、副加熱コイルのみを駆動する2つ以上の期間T3、T5とを設け、それら期間を所定の順序で複数回自動的に繰り返すとともに、当該駆動時の主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4の両者の通電条件として、第1の煮込み火力値(例:220W)と、この火力より大きい第2の煮込み火力値(例:760W)と、を規定値として備え、さらに前記操作部40には、前記第1の煮込み火力値と第2の煮込み火力値の間、及びその第1の煮込み火力値と第2の煮込み火力値の範囲よりも高火力側に、それぞれ用意されている微調整用の火力値を少なくとも1つ選択できる微調整キー35Aを具備しているものである。
つまり実施の形態で説明したように、「煮込み」モードにおいて、第1の煮込み火力値(例:220W)と第2の煮込み火力値(例:760W)の中間域に、更に3段階の微調整火力(350W、480W、620W)を設けている。また第2の煮込み火力(760W)よりも高火力側にある第3の煮込み火力(980W)の中間域に、3段階の微調整火力(810W、870W、920W)を設けている。
この構成であるため、「煮込みモード」において、煮込み火力の調節を簡単に行うことができる。
すなわち、独立して加熱駆動される環状の主加熱コイルMCと、この主加熱コイルの周囲にあって、主加熱コイルと協働加熱時に駆動される複数の副加熱コイルSC1〜SC4と、前記主加熱コイル及び前記副加熱コイルに高周波電力を供給するインバーター回路MIV、SIVと、前記インバーター回路を制御し、被加熱物Nの大きさに応じて前記主加熱コイルMCのみの駆動と、主加熱コイルの駆動に加えて前記副加熱コイルSC1〜SC4の全部又は一部を選択的に駆動する通電制御回路200と、「煮込み」モードを含む複数の動作モードの何れか一つを選択して前記通電制御回路200に指令できる操作部40と、を備え、前記通電制御回路200は、前記「煮込み」モードが選択された場合、前記主加熱コイルMCのみを駆動する期間T1と、副加熱コイルSC1〜SC4のみを駆動する複数の期間T3、T5とを設け、それら期間を所定の順序で複数回自動的に繰り返すとともに、当該駆動時の主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4の両者の通電条件として、少なくとも1つの煮込み火力値(例:760W)を規定値として備え、さらに前記通電制御回路は、前記「煮込み」モード時において前記煮込み火力値以外の火力が前記操作部から指令された場合、前記「煮込み」モードを解除し、「煮込みモード」以外の動作モードに移行できるものである。
つまり予め設定されている所定の煮込み火力での煮込み調理の状況を使用者が観察していて、その煮込み火力では火力が不足又は過大であると判断した場合、例外的にその規定の煮込み火力によらず、使用者が任意に(16段階の火力の内から)一つの火力を自由に選ぶことができ、その選択時に、一旦煮込み調理を停止し、その後通常の誘導加熱を開始するというような手間を要することはなく、「煮込みモード」以外の動作モードの選択と新たな火力設定、あるいは新たな火力設定だけの操作によって、「煮込みモード」を解除して加熱動作を継続することができる。
(ア)温度検出回路31が、一方の副加熱コイルSC1を所定火力で駆動した場合、その副加熱コイルSC1の上方にある鍋の部分的な温度が何度であるかどうかを検知するようにする(このとき、同時に主加熱コイルMCも駆動していて良い)。
(イ)主加熱コイルMCや副加熱コイルSC1等を駆動した場合の温度上昇傾向、例えば1000W投入した場合に、75℃から85℃に至る間の所要時間又は温度上昇率を、予め1000Wで水を加熱した場合のデータ(基準値1)と比較する(通電制御回路200がこのようは比較判定処理を行う)。
(ウ)基準値1よりも時間が短い場合、又は温度上昇率が大きい場合、被調理液体(例えばカレーなど)の粘性が高いと通電制御回路200は判定する。
(エ)当該判定以後、主加熱コイルMCと副加熱コイルに対する通電状態を変化させる(例えば総和火力を1段階落として主・副加熱コイル全体で875W又は2段階落として750W以下になるようにするか、あるいは主・副加熱コイルの通電継続時間を短くし、単位時間あたりの加熱量を低下させる)。
(オ)上記(エ)の処理により例えば750W投入してさらに加熱継続した場合に、85℃から95℃に至る間の所要時間又は温度上昇率を、予め750Wで水を加熱した場合のデータ(基準値2)と比較する(通電制御回路200でこれを行う)。
(カ)基準値2よりも時間を要した場合、又は温度上昇率が小さい場合、被調理液体(例えばカレーなど)の粘性は低い状態にあると通電制御回路200は判定する(例えばカレーは温度上昇に伴って途中から粘性が低くなる)。
(キ)前記(カ)の処理で粘性が低いと判定された場合は、前記したような対流促進制御を行う。しかし、依然として粘性が高いと判定された場合は、単一の期間(区間)毎の火力を減らしたり、あるいは各期間の時間幅を短くしたりする制御を採用する等、被加熱物Nに対する単位時間(例えば10秒)あたりの加熱量を減少させる処理をする。
以上によって、不用意に大きな火力を投入して加熱継続することを防止でき、焦げ付きの発生を更に抑制することができるという効果が期待できる。
なお、主加熱コイルMCを挟んでその両側にある1対の副加熱コイル、例えば図2においてSC1とSC4の組、またはSC2とSC3の組で加熱される領域の温度を個別に検知できるように、温度センサーを(主加熱コイルMCを挟んで)離れた2箇所以上に設けると、鍋全体の温度変化をより正確に把握することができるので望ましい。
Claims (21)
- 独立して加熱駆動される環状の主加熱コイルと、
前記主加熱コイルの周囲にあって、前記主加熱コイルと協働加熱時に駆動される複数の副加熱コイルと、
前記主加熱コイル及び前記副加熱コイルに高周波電力を供給するインバーター回路と、
前記インバーター回路を制御し、被加熱物の大きさに応じて前記主加熱コイルおよび前記副加熱コイルの全部又は一部を選択的に駆動する通電制御回路と、
「煮込み」モードを含む複数の動作モードの何れか一つの選択を受け付け、前記通電制御回路に指令する操作部と、を備え、
前記通電制御回路は、前記「煮込み」モードが選択された場合、前記主加熱コイルのみを駆動する期間と、前記副加熱コイルのみを駆動する2つ以上の期間とを設け、それら期間を所定の順序で複数回自動的に繰り返すとともに、当該駆動時の主加熱コイルと副加熱コイルの通電条件として、第1の煮込み火力値と、この火力より大きい第2の煮込み火力値と、を規定値として備え、
前記操作部には、前記第1の煮込み火力値と第2の煮込み火力値の間又はその範囲外にある少なくとも1つの微調整火力値を選択できる微調整キーを具備し、
前記副加熱コイルは、前記主加熱コイルの側部に近接して4つ以上配置され、
前記副加熱コイルを、半数以上で全数未満の互いに離れた位置にある副加熱コイルからなる第1の組と残りの副加熱コイルからなる第2の組とに分け、
前記「煮込み」モードにおいては、前記主加熱コイル、前記第1の組の副加熱コイル及び第2の組の副加熱コイル、の3つのグループを順番に前記インバーター回路が駆動し、
前記第1の煮込み火力値の場合、前記主加熱コイルのみを所定期間駆動し、このあと全ての加熱コイルを駆動しない休止期間を設け、この休止期間のあとに第1の組の副加熱コイルのみを所定期間駆動し、この後前記休止期間を設け、さらに第2の組の副加熱コイルのみを所定期間駆動し、この後再び前記休止期間を設けるという動作を繰り返すことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 独立して加熱駆動される環状の主加熱コイルと、
前記主加熱コイルの周囲にあって、前記主加熱コイルと協働加熱時に駆動される複数の副加熱コイルと、
前記主加熱コイル及び前記副加熱コイルに高周波電力を供給するインバーター回路と、
前記インバーター回路を制御し、被加熱物の大きさに応じて前記主加熱コイルおよび前記副加熱コイルの全部又は一部を選択的に駆動する通電制御回路と、
「煮込み」モードを含む複数の動作モードの何れか一つの選択を受け付け、前記通電制御回路に指令する操作部と、を備え、
前記通電制御回路は、前記「煮込み」モードが選択された場合、前記主加熱コイルのみを駆動する期間と、前記副加熱コイルのみを駆動する2つ以上の期間とを設け、それら期間を所定の順序で複数回自動的に繰り返すとともに、当該駆動時の主加熱コイルと副加熱コイルの通電条件として、第1の煮込み火力値と、この火力より大きい第2の煮込み火力値と、を規定値として備え、
前記操作部には、前記第1の煮込み火力値と第2の煮込み火力値の間又はその範囲外にある少なくとも1つの微調整火力値を選択できる微調整キーを具備し、
前記副加熱コイルは、前記主加熱コイルを中心とした1つの同心円上に所定間隔で配置され、かつ前記主加熱コイルの半径より小さな横幅寸法を有し全体が前記主加熱コイルの外周に沿った湾曲した形状であり、
前記第1の煮込み火力値の場合、前記主加熱コイルのみを所定期間駆動し、このあと全ての加熱コイルを駆動しない休止期間を設け、この休止期間のあとに第1の組の副加熱コイルのみを所定期間駆動し、この後前記休止期間を設け、さらに第2の組の副加熱コイルのみを所定期間駆動し、この後再び前記休止期間を設けるという動作を繰り返すことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 独立して加熱駆動される環状の主加熱コイルと、
前記主加熱コイルの周囲にあって、前記主加熱コイルと協働加熱時に駆動される複数の副加熱コイルと、
前記主加熱コイル及び前記副加熱コイルに高周波電力を供給するインバーター回路と、
前記インバーター回路を制御し、被加熱物の大きさに応じて前記主加熱コイルおよび前記副加熱コイルの全部又は一部を選択的に駆動する通電制御回路と、
「煮込み」モードを含む複数の動作モードの何れか一つの選択を受け付け、前記通電制御回路に指令する操作部と、を備え、
前記通電制御回路は、前記「煮込み」モードが選択された場合、
前記主加熱コイルと副加熱コイルの通電条件として、第1の煮込み火力値と、この火力より大きい第2の煮込み火力値と、を規定値として備え、
前記第1の煮込み火力値の場合、前記主加熱コイルのみを所定期間駆動し、その後全ての加熱コイルを駆動しない休止期間を設け、該休止期間後に前記複数の副加熱コイルの一部からなる第1の組のみを所定期間駆動し、その後前記休止期間を設け、さらに該休止期間後に前記複数の副加熱コイルの残りからなる第2の組のみを所定期間駆動し、その後再び前記休止期間を設けるという動作を繰り返すものであり、
前記操作部には、前記第1の煮込み火力値と第2の煮込み火力値の間又はその範囲外にある少なくとも1つの微調整火力値を選択できる微調整キーを具備したことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 独立して加熱駆動される環状の主加熱コイルと、
前記主加熱コイルの周囲にあって、前記主加熱コイルと協働加熱時に駆動される複数の副加熱コイルと、
前記主加熱コイル及び前記副加熱コイルに高周波電力を供給するインバーター回路と、
前記インバーター回路を制御し、被加熱物の大きさに応じて前記主加熱コイルおよび前記副加熱コイルの全部又は一部を選択的に駆動する通電制御回路と、
「煮込み」モードを含む複数の動作モードの何れか一つの選択を受け付け、前記通電制御回路に指令する操作部と、
前記操作部には、少なくとも1つの微調整火力値を選択できる微調整キーを具備し、
前記通電制御回路は、前記「煮込み」モードが選択された場合、前記主加熱コイルのみを駆動する期間と、前記副加熱コイルのみを駆動する複数の期間とを設け、それら期間を所定の順序で複数回自動的に繰り返すとともに、当該駆動時の主加熱コイルと副加熱コイルの通電条件として、前記微調整キーにおける微調整火力範囲を規定値として備え、
前記通電制御回路は、前記「煮込み」モード時において、前記微調整火力範囲から外れる前記微調整火力値が前記微調整キーから指令された場合、前記「煮込み」モードを解除し、別の動作モードに移行できることを特徴とする誘導加熱調理器。 - 副加熱コイルは、前記主加熱コイルの側部に近接して4つ以上配置され、
前記副加熱コイルを、半数以上で全数未満の互いに離れた位置にある副加熱コイルからなる第1の組と残りの副加熱コイルからなる第2の組とに分け、
前記「煮込み」モードにおいては、前記主加熱コイル、前記第1の組の副加熱コイル及び第2の組の副加熱コイル、の3つのグループを順番に前記インバーター回路が駆動することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の誘導加熱調理器。 - 前記副加熱コイルは、前記主加熱コイルを中心とした1つの同心円上に所定間隔で配置され、かつ主加熱コイルの半径より小さな横幅寸法を有し全体が前記主加熱コイルの外周に沿った湾曲した形状であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の誘導加熱調理器。
- 前記副加熱コイルは、前記主加熱コイルを中心とした1つの同心円上に所定間隔で配置され、かつ主加熱コイルの半径より小さな横幅寸法を有し前記主加熱コイルの外周に沿うように主加熱コイル側へ全体が湾曲した形状であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の誘導加熱調理器。
- 前記主加熱コイルと副加熱コイルの上方に置かれる被加熱物の温度を検出する温度検出回路を更に備え、
前記温度検出回路が、前記被加熱物に収容された液体が沸騰状態又はそれに近い状態にある温度を検出した場合、前記通電制御回路は「煮込み」モードにおいて、前記主加熱コイル、前記副加熱コイルを所定の順に駆動することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の誘導加熱調理器。 - 前記第1の煮込み火力値の場合、前記主加熱コイルのみを所定期間駆動し、このあと全ての加熱コイルを駆動しない休止期間を設け、この休止期間のあとに第1の組の副加熱コイルのみを所定期間駆動し、この後前記休止期間を設け、さらに第2の組の副加熱コイルのみを所定期間駆動し、この後再び前記休止期間を設けるという動作を繰り返すことを特徴とする請求項4に従属する請求項5又は請求項6に記載の誘導加熱調理器。
- 前記第2の煮込み火力値の場合、前記主加熱コイルのみを所定期間駆動し、このあと全ての加熱コイルを駆動しない休止期間を設け、この休止期間のあとに第1の組、第2の副加熱コイルのみを所定期間駆動し、この後前記休止期間を設けるという動作を繰り返すことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の誘導加熱調理器。
- 前記微調整キーは、前記第1の煮込み火力値よりも小さい火力値を1つ又は複数設定できることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記通電制御回路は、「煮込み」モード以外の動作モードにおいて、前記主加熱コイルと副加熱コイルを同時駆動する場合の総和最小火力値と、前記微調整キーによって設定できる最小の実効火力値とを、同等にしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記副加熱コイルの第1の組と第2の組は、前記主加熱コイルを挟んで互いに対称的位置に配置され、
前記第1の組と第2の組それぞれに、前記インバーター回路を設け、前記主加熱コイルを挟んで対称的位置にあるそれぞれの組の副加熱コイルを単一のインバーター回路で駆動することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の誘導加熱調理器。 - 前記「煮込み」モードにおいて、前記主加熱コイルを駆動する期間の長さは、副加熱コイル駆動期間の長さよりも長いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記「煮込み」モードにおいて、前記主加熱コイルを駆動する期間の長さは、副加熱コイル駆動期間の長さよりも長く、
前記主加熱コイルを駆動した期間の後に、主加熱コイルと副加熱コイルの全てを駆動しない第1の休止期間を設け、
前記副加熱コイルを駆動した期間の後に、主加熱コイルと副加熱コイルの全てを駆動しない第2の休止期間を設け、
これら第1、第2の休止期間の長さは、前記主加熱コイルと副加熱コイルの各駆動期間の長さに比べて短いことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の誘導加熱調理器。 - 前記通電制御回路に対する前記操作部の指令内容を表示する表示画面をさらに備え、
前記微調整キーは、「煮込み」モードを前記操作部で選択した場合、前記表示画面に表示され、当該表示状態で、微調整動作の入力機能を有効にしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記表示画面で前記微調整キーによって火力微調整モードを選択した場合、当該表示画面には、選択できる微調整火力が表示されることを特徴とする請求項16に記載の誘導加熱調理器。
- 前記主加熱コイルと副加熱コイルの上方に被加熱物が載置されているかどうか又は被加熱物の底部面積が所定値よりも大きいかどうかを判断する被加熱物載置判断部をさらに備え、
前記通電制御回路は、前記被加熱物載置判断部の判断結果に応じて前記主加熱コイルと副加熱コイルに対する電力の供給を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記被加熱物載置判断部は、前記主加熱コイルと副加熱コイルの各インバーター回路に流れる電流量を検出する電流検出部であることを特徴とする請求項18に記載の誘導加熱調理器。
- 前記操作部には、調理メニューを選択できる複数個の操作キーを有し、当該操作キーの選択に応じて前記主加熱コイルと副加熱コイルの通電パターンが選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 請求項1〜20の何れか1項に記載の誘導加熱調理器の少なくとも1つをコンピュータに実行させるプログラム。
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