JP5791441B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
このような誘導加熱調理器は、設置形態によって流し台等の上面に置かれて使用される据置型と、流し台などの厨房家具の中にある設置空間にセットされるビルトイン(組込)型とに大別されるが、何れのタイプにおいても、上面のほぼ全体が耐熱ガラス板等から形成されたトッププレート(天板ともいう)で覆われ、その下方には、一つ又は複数個の誘導加熱源が配置されている。
このような構成によれば、径の異なる複数の加熱コイルに対する高周波電力の出力制御を各々個別に行なうことができるので、種々の加熱パターンを形成することができる。
一方、特許文献1に記載の誘導加熱調理器において、加熱コイルは同心上に且つ略同一平面上に配した径の異なる複数の加熱コイルを配しており、加熱コイルに対する出力制御は、高周波電力の出力レベル、デューティ比、出力時間間隔などで制御を行なうとされているが、それぞれのコイルに対する出力制御の例では、具体的な出力レベルやデューティ比、出力時間間隔などは示されていない。(特許文献1 図4参照)
加熱手段D(図示していないが、後述する第1の誘導加熱部6L、第2の誘導加熱部6R等を含む加熱源をいう)の「動作条件」とは、加熱するための電気的、物理的な条件を言い、通電時間、通電量(火力)、加熱温度、通電パターン(連続通電、断続通電等)等を総称したものである。つまり加熱手段Dの通電条件をいうものである。
図1は、本発明に係る誘導加熱調理器全体の基本構成を図示するブロック図である。図2は、本発明に係る誘導加熱調理器の全体を、天板を外した状態で示す平面図である。尚、図1および図2において、本願発明に係る誘導加熱調理器の誘導加熱コイル全体を平面図として概略的に示している。
この本体部Aは、本体部Aの上面全体を水平に設置された平板状のトッププレート21で覆った天板部Bと、本体部Aの上面以外の周囲(外郭)を構成する筐体部C(図示せず)と、鍋や食品等を電気的エネルギー等で加熱する加熱手段Dと、使用者により操作される操作手段Eと、操作手段からの信号を受けて加熱手段を制御する制御手段Fと、加熱手段の動作条件を表示する表示手段Gをそれぞれ備えている。
また、この左右中心線CL1を跨ぐように本体部Aの左右中心部に、表示画面100が配置されている。この表示画面100は、表示手段Gを構成するものであって、例えば、液晶表示画面が用いられる。
また、この主加熱コイルMCは、渦巻状に0.1mm〜0.3mm程度の細い線を30本程束にして、この束(以下、集合線という)を1本又は複数本撚りながら巻き、中心点X1を基点として外形形状が円形になるようにして最終的に円盤形に成形されている。
主加熱コイルMCの直径(最大外径寸法)は、約180mm〜200mm程度であり、半径R1は90〜100mmである。
この実施の形態1では、例えば、最大消費電力(最大火力)1.5KWの能力を備えている。
尚、主加熱コイルMCの「側方」とは、特に他の説明と矛盾がない場合、図2で言えば右側、左側は勿論、上側と下側(手前側)を含んでおり、「両側」とは左右両方をいうことは勿論、前後及び斜め方向も意味している。
これらの副加熱コイルSC1〜SC4も、集合線を1本又は複数本撚りながら巻き、外形形状が長円形や小判形になるように集合線が所定の方向に巻かれ、その後形状を保つために部分的に結束具で拘束され、又は全体が耐熱性樹脂などで固められることで形成されている。
また、4つの副加熱コイルSC1〜SC4は平面的形状が同じで、縦・横・高さ(厚さ)寸法も全て同一寸法である。従って、1つの副加熱コイルを4個製造し、それを4箇所に配置している。
副加熱コイルSC1〜SC4は、それぞれの集合線が長円形に湾曲しながら伸びて電気的に一本の閉回路を構成している。また主加熱コイルMCの垂直方向寸法(高さ寸法、厚さともいう)と各副加熱コイルSC1〜SC4の垂直方向寸法は同じであり、しかもそれら上面と前記トッププレートの下面との対向間隔は同一寸法になるように水平に設置、固定されている。
電源装置は、単相交流電源を直流電流に変換するコンバータ(例えば、ダイオードブリッジ回路、または整流ブリッジ回路ともいう)と、コンバータの出力端に接続された平滑用コンデンサ、この平滑用コンデンサに並列に接続された第1の誘導加熱部6Lの主加熱コイルMCのための主インバータ回路(電源回路部)MIVと、同様に平滑用コンデンサに並列に接続された各副加熱コイルSC1〜SC4のための副インバータ回路(電源回路部)SIV1〜SIV4を備える。
尚、210Lは、第1の誘導加熱部6Lのインバータ回路であり、主インバータ回路MIVと、4つの副インバータ回路SIV1〜SIV4から構成されている。
尚、前記第2の誘導加熱部6Rの加熱コイル6RCは、環状に巻かれた1つの加熱コイル又は、内側にあって環状に巻かれた加熱コイルと、この加熱コイルと直列になっている外側の加熱コイルとの二重構成であるから、インバータ回路の構成は、前記したインバータ回路210Lの構成とは異なっている。
本発明の電源装置では、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4に流れるそれぞれの電流量を検出するための電流検出部(検出手段)280を有する。この電流検出部は、後述する被加熱物載置判断部400の一種である。
即ち、通電制御回路200は、電流検出部280で検出された主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4に流れる電流量に関する信号(被加熱物Nの載置状態を示すデータ)を受け、被加熱物Nが載置されていないか、或いは、被加熱物Nの直径が所定値(例えば120mmφ)より小さいと判断した場合には、それら主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4への高周波電流の供給を禁止又は(既に供給開始されている場合はそれを)停止するように主インバータ回路MIVと副インバータ回路SIV1〜SIV4を選択的に制御する。
ステップMS1にて、適合しない変形鍋(底面が凹んだもの等)や異常に小さい鍋等の場合は、加熱禁止処理がされる(MS6)。
ステップMS3では、使用者が複数ある動作モードから、動作モードを選択することでステップMS4に移行する。そして、ステップMS4では、使用者がステップMS3で選択した調理メニューや火力、調理時間などに基づき本格的に加熱動作が開始され、ステップMS5に移行する。
これらのモード(メニュー)から使用者が任意の一つを選択した場合、それらのメニューに対応した制御モードが、通電制御回路200の内蔵プログラムによって自動的に選択され、主加熱コイルMCや副加熱コイルSC1〜SC4のそれぞれの通電可否や通電量(火力)、通電時間などが設定される。調理メニューによっては使用者に任意の火力や通電時間等を設定するように促す表示が表示部にて行われる(MS5)。
茹でモードとは、主に茹で調理(麺茹、野菜茹で、等)を行う為のモードであり、加熱速度を優先させた調理メニューで、選択部Eで選択する。
(1)加熱工程(沸騰まで):
被加熱物Nに加える電力(以下火力)を手動で設定できる。
主加熱コイルMCと副加熱コイルの合計火力(合計出力)は、120W〜3.0KWまでの範囲で次の16段階の中から使用者が1段階選定する。
150W、200W、300W、400W、500W、625W、750W、875W、1.0KW、1.25KW、1.5KW、1.75KW、2.0KW、2.25KW、2.5KW、3.0KW。
デフォルト値は2KW(使用者が火力を選択しない場合、2KWで加熱開始)。
主副の火力比は、所定の火力比の範囲内になるように自動的に通電制御回路200で決定され、使用者が任意に設定することはできない。例えば主副の火力比は(大火力時)2:3〜(小火力時)1:1まで。
沸騰までの加熱工程全域に亘り、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4は同時駆動され、互いに隣接する領域での高周波電流の向きは一致させるよう制御される。
(2)沸騰以後:
沸騰以降は使用者の操作に基づいて茹でモード用の制御が開始される。
茹でモードの火加減は3段階あり、茹でモードでの調理中であれば、使用者が任意に選択できる。
デフォルト値は火加減2(使用者が火加減を選択しない場合、火加減2で制御開始)。
主加熱コイルMCと副加熱コイルの火力は、火加減や副加熱コイルSC1〜SC4の負荷の有無により自動的に通電制御回路200で決定され、また図5および図6のようにそれぞれ所定の期間ごとに電力および時間が設定されており、使用者が任意に設定することはできない。
終了時は、使用者の操作により手動で停止を行なうか、タイマー操作の設定を行なうことで設定時間がきたら自動で加熱停止を行なう。
図12は通電制御回路200に内蔵された、茹でモードプログラムを示すフローチャートである。
(調理開始前の準備段階)
調理の開始にあたっては、まず前記主電源の操作キー50を操作して主電源を投入し、
前記16段階の火力の中から使用者が1段階選定し、加熱工程(沸騰まで)を行なう。
被加熱物内部の水が沸騰した以降は、使用者の操作に基づいて、茹でモード用の制御を開始ステップ1(以下、ステップを「ST」と省略する)し、通電制御回路200の自己診断プログラムが起動し、加熱前の異常有無のチェックが行われ、表示部Gが起動される(ST2、ST3)。
次に、異常がない場合は、被加熱物載置判断部400を構成する検知回路部280によって、主加熱コイルMCと副加熱コイルSCそれぞれのコイルの上方に被加熱物Nが載置されているか否か、又は、被加熱物Nの底部がいずれのコイルの上方に位置するかを検知する(ST5、ST6、ST7)。
尚、この鍋検知は、所定の電流を各加熱コイルに流し、鍋の有無によって変化する負荷を電流センサーで検知することで行う。
この制御は、茹でもの調理に必要な沸騰状態を維持するために必要な火力を得るため、主加熱コイルMC、副加熱コイルSC1〜SC4に対して同時に加熱駆動を行ない、また対流促進効果を得るため、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜SC4の駆動電力に差をつけるものである。
更に、主加熱コイルMCおよび副加熱コイルSC1〜SC4の高周波電力による駆動を停止する期間を設けることで、吹き零れの抑制を行なうことを特徴とするものである。
まず、4つの副加熱コイルSC1〜4及び主加熱コイルMCの全てのコイルの上方に被加熱物が位置する場合、つまり、全てコイルに負荷が有ると判断した場合について、図5及び図6〜図8を用いて、主加熱コイルMC及び副加熱コイルSC1〜4それぞれに設定される電力の大きさおよび時間を説明する。
尚、各図の表において、副加熱コイルSCについては、SC1とSC4の合計火力、SC2とSC3の合計火力が期間ごとに示されている。また、SC1とSC4の間、SC2とSC3の間の火力配分は、均等となっている。
図6を参照すると、火加減「1」のときの茹でモードにおける各コイルの通電制御について説明する。尚、被加熱物Nの発熱部は、主加熱コイルMCの真上の部分と、副加熱コイルSC1〜4の真上の部分それぞれ亘った状態となっている。
まず、初期加熱時の期間T1においては、麺などの具材投入により、被加熱物中の水などの温度が下がるため、沸騰を維持するために、主加熱コイルMCおよび、副加熱コイルSC1〜SC4全てを駆動した状態を60秒間継続する(図5(A)の状態)。
このとき、主加熱コイルMCの方の火力が副加熱コイルSC1〜4の火力の総和より強いため、主加熱コイルMCの真上の部分の方が、副加熱コイルSC1〜SC4の真上の部分より、強力に加熱される。
尚、期間T1は、本実施の形態では60秒間に設定されているが、初期の加熱期間のため、後述する期間T3やT5より加熱時間を長めに取っている。
そこで、主加熱コイルMC及び副加熱コイルSC1〜SC4の高周波電力による駆動を停止する期間T2を設けることで、この期間T2を設けることにより、対流YC1の流速を一時的に停止させる、又は、弱めることで、吹き零れを抑制することができる。(これは、煮立ってきた調理物の茹で汁の泡が壊れる時間ができることからである。)
尚、期間T2は、本実施の形態では2秒間に設定されているが、対流YC1の流速を吹き零れが抑止できる程度に弱められる時間であればよい。
このように、T2で火力を停止後、再度加熱コイルMCに設定される火力の大きさを、副加熱コイルSC1〜4の火力の総和より大きく設定して火力を入れることにより、被加熱物Nの底の中心から上方に向かい、調理物の上部で被加熱物Nの中心から外方向に向かう対流YC1を期間T1に引き続き連続的に発生させることができる。
これにより、調理物のかき混ぜ効果を高めることができる。(確認)
尚、期間T3の主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜4の火力の総和(1250W)は、期間T1の主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜4の火力の総和(1500W)より、小さく設定されている。
また、期間T3は、本実施の形態では20秒間に設定されているが、吹き零れが起きない程度に設定すればよい。
次に、期間T5においては、期間T3と同様、主加熱コイルMCに設定される火力の大きさを、副加熱コイルSC1〜4の火力の総和より大きい火力に設定し、主加熱コイルMCの真上の火力が強くなり、YC1方向の対流が発生する(図5(A)の状態)。
次に、期間T6では、期間T2と同様に主加熱コイルMC及び副加熱コイルSC1〜SC4の高周波電力による駆動を停止することで火力を停止し、吹き零れを抑制している。
このように、被加熱物に対面する加熱コイルによって火力を異ならせると共に、火力の投入時間と火力の停止時間を設けることにより、調理物に対して対流を起こすことで、かき混ぜ効果があると共に、吹き零れを抑制することができる。
次に、図7を参照すると、火加減「2」のときの茹でモードにおける各コイルの通電制御について説明する。尚、被加熱物Nの発熱部は、主加熱コイルMCの真上の部分と、副加熱コイルSC1〜4の真上の部分それぞれ亘った状態となっている。
まず、初期加熱時の期間T1においては、麺などの具材投入により、被加熱物中の水などの温度が下がるため、沸騰を維持するために、主加熱コイルMCおよび、副加熱コイルSC1〜SC4全てを駆動した状態を60秒間継続する。
このとき、主加熱コイルMCの方の火力が副加熱コイルSC1〜4の火力の総和より強いため、主加熱コイルMCの真上の部分の方が、副加熱コイルSC1〜SC4の真上の部分より、強力に加熱される。
尚、期間T1は、本実施の形態では60秒間に設定されているが、初期の加熱期間のため、後述する期間T3やT5より加熱時間を長めに取っている。
そこで、主加熱コイルMC及び副加熱コイルSC1〜SC4の高周波電力による駆動を停止する期間T2を設けることで、この期間T2を設けることにより、対流YC1の流速を一時的に停止させる、又は、弱めることで、吹き零れを抑制することができる。(これは、煮立ってきた調理物の茹で汁の泡が壊れる時間ができることからである。)
尚、期間T2は、本実施の形態では1秒間に設定されているが、対流YC1の流速を吹き零れが抑止できる程度に弱められる時間であればよい。
このように、期間T2で火力を停止後、期間T1とは火力配分が逆となるように、主加熱コイルMCに設定される火力の大きさより、副加熱コイルSC1〜4の火力の総和を大きく設定して火力を入れることにより、被加熱物Nの底の側面側から上方に向かい、調理物の上部で被加熱物Nの側面側から中心に向かう対流YC2を発生させることができる。つまり、対流YC1と逆を向く対流を形成することができる。
これにより、調理物のかき混ぜ効果を高めることができる。
また、期間T3は、本実施の形態では20秒間に設定されているが、吹き零れが起きない程度に設定すればよい。
次に、期間T5においては、初期加熱時の期間T1と同様、主加熱コイルMCに設定される火力の大きさを、副加熱コイルSC1〜4の火力の総和より大きい火力に設定し、主加熱コイルMCの真上の火力が強くなり、YC1方向の対流が発生する(図5(A)の状態)。
尚、期間T5における火力は、主加熱コイルMC:975W、副加熱コイルSC1〜SC4の火力の総和:750W、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜4の火力の総和:1625W、に設定されている。
また、期間T3は、本実施の形態では20秒間に設定されているが、吹き零れが起きない程度に設定すればよい。
以後これらT3〜T6のパターンが、使用者が設定した調理時間の間、繰り返される。
この様に、被加熱物に対面する加熱コイルによって火力を異ならせると共に、適宜、被加熱物に対向する加熱コイルの部分的な火力を入れ替えることで、より複雑な調理物の対流を生み出すことができ、調理物のより高いかき混ぜ効果を期待できる。
また、適宜、火力の停止時間を設けることにより、上記の効果と共に、調理物の吹き零れを抑制することができる。
次に、図8を参照すると、火加減「3」のときの茹でモードにおける各コイルの通電制御について説明する。尚、被加熱物Nの発熱部は、主加熱コイルMCの真上の部分と、副加熱コイルSC1〜4の真上の部分それぞれ亘った状態となっている。
まず、初期加熱時の期間T1においては、麺などの具材投入により、被加熱物中の水などの温度が下がるため、沸騰を維持するために、主加熱コイルMCおよび、副加熱コイルSC1〜SC4全てを駆動した状態を60秒間継続する。
このとき、主加熱コイルMCの方の火力が副加熱コイルSC1〜4の火力の総和より強いため、主加熱コイルMCの真上の部分の方が、副加熱コイルSC1〜SC4の真上の部分より、強力に加熱される。
尚、期間T1は、本実施の形態では60秒間に設定されているが、初期の加熱期間のため、後述する期間T3やT5より加熱時間を長めに取っている。
そこで、主加熱コイルMC及び副加熱コイルSC1〜SC4の高周波電力による駆動を停止する期間T2を設けることで、この期間T2を設けることにより、対流YC1の流速を一時的に停止させる、又は、弱めることで、吹き零れを抑制することができる。(これは、煮立ってきた調理物の茹で汁の泡が壊れる時間ができることからである。)
尚、期間T2は、本実施の形態では1秒間に設定されているが、対流YC1の流速を吹き零れが抑止できる程度に弱められる時間であればよい。
このように、期間T2で火力を停止後、期間T1とは火力配分が逆となるように、主加熱コイルMCに設定される火力の大きさより、副加熱コイルSC1〜4の火力の総和を大きく設定して火力を入れることにより、被加熱物Nの底の側面側から上方に向かい、調理物の上部で被加熱物Nの側面側から中心に向かう対流YC2を発生させることができる。つまり、対流YC1と逆を向く対流を形成することができる。
これにより、調理物のかき混ぜ効果を高めることができる。(確認)
これは、期間T3の状態は、既に調理物の温度がある程度上がっていることから、火力出力の総和を期間T1より小さくしたものである。これにより、麺などの具材を茹で続けると茹で汁が煮立ってきて吹き零れやすくなるのを防ぎ、吹き零れを抑制している。また、無駄な電力の消費を防ぐ効果もある。
また、期間T3は、本実施の形態では20秒間に設定されているが、吹き零れが起きない程度に設定すればよい。
次に、期間T5においては、初期加熱時の期間T1と同様、主加熱コイルMCに設定される火力の大きさを、副加熱コイルSC1〜4の火力の総和より大きい火力に設定し、主加熱コイルMCの真上の火力が強くなり、YC1方向の対流が発生する(図5(A)の状態)。
尚、期間T5における火力は、主加熱コイルMC:1085W、副加熱コイルSC1〜SC4の火力の総和:750W、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜4の火力の総和:790W、に設定されている。
また、期間T5は、本実施の形態では20秒間に設定されているが、吹き零れが起きない程度に設定すればよい。
以後これらT3〜T6のパターンが、使用者が設定した調理時間の間、繰り返される。
この様に、被加熱物に対面する加熱コイルによって火力を異ならせると共に、適宜、被加熱物に対向する加熱コイルの部分的な火力を入れ替えることで、より複雑な調理物の対流を生み出すことができ、調理物のより高いかき混ぜ効果を期待できる。
また、適宜、火力の停止時間を設けることにより、上記の効果と共に、調理物の吹き零れを抑制することができる。
また図6〜図8のような時間制御ではなく、検知した被加熱物の温度を、設定した温度閾値テーブルと比較して閾値を超えた場合は電力を下げるあるいは停止するなどの制御の手段として用いても良く、また時間と温度を組み合わせた制御を行なっても良い。
つまり、この火加減の調整段階は3段階でなくても良く、5段階とか8段階などに細かく分けても良い。
次に、被加熱部が全ての加熱コイルの上方に位置しない場合、例えば、被加熱物が楕円形(いわゆるオーバル鍋)のように特殊な形状の場合の主加熱コイルMCおよび副加熱コイルSC1〜4それぞれに設定される電力の大きさおよび時間を説明する。
図9〜図11は、副加熱コイルSCの一部で負荷無と判断した場合のうち、副加熱コイルSC1およびSC4の組合せが負荷無と判断した場合(つまり、副加熱コイルSC1とSC4の上方に被加熱物が位置しない状態)の主加熱コイルMCおよび副加熱コイルSC1〜4それぞれに設定される電力の大きさおよび時間を示す。
図9を参照すると、火加減「1」のときの茹でモードにおける各コイルの通電制御について説明する。尚、被加熱物Nの発熱部は、主加熱コイルMCの真上の部分と、副加熱コイルSC2,3の真上の部分それぞれ亘った状態となっている。
まず、初期加熱時の期間T1においては、麺などの具材投入により、被加熱物中の水などの温度が下がるため、沸騰を維持するために、主加熱コイルMCおよび、副加熱コイルSC2とSC3を駆動した状態を40秒間継続する。
この時、主加熱コイルMCの方の火力が副加熱コイルSCの火力の総和より強いため、主加熱コイルMCの真上の部分の方が、副加熱コイルの真上の部分より、強力に加熱される。
尚、期間T1は、本実施の形態では40秒間に設定されているが、初期の加熱期間のため、後述する期間T3やT5より加熱時間を長めに取っている。
そこで、主加熱コイルMC及び副加熱コイルSCの高周波電力による駆動を停止する期間T2を設けて、対流YC1の流速を一時的に停止させる、又は、弱めることで、吹き零れを抑制することができる。(これは、煮立ってきた調理物の茹で汁の泡が壊れる時間ができることからである。)
尚、期間T2は、本実施の形態では2秒間に設定されているが、対流YC1の流速を吹き零れが抑止できる程度に弱められる時間であればよい。
このように、T2で火力を停止後、再度加熱コイルMCに設定される火力の大きさを、副加熱コイルSC1〜4の火力の総和より大きく設定して火力を入れることにより、被加熱物Nの底の中心から上方に向かい、調理物の上部で被加熱物Nの中心から外方向に向かう対流YC1を期間T1に引き続き連続的に発生させることができる。
これにより、調理物のかき混ぜ効果を高めることができる。(確認)
尚、期間T3の主加熱コイルMCと副加熱コイルSCの火力の総和(935W)は、期間T1の主加熱コイルMCと副加熱コイルSCの火力の総和(1135W)より、小さく設定されている。
また、期間T3は、本実施の形態では10秒間に設定されているが、吹き零れが起きない程度に設定すればよい。
次に、期間T5においては、期間T3と同様、主加熱コイルMCに設定される火力の大きさを、副加熱コイルSCの火力の総和より大きい火力に設定し、主加熱コイルMCの真上の火力が強くなり、YC1方向の対流が発生する(図5(A)の状態)。
次に、期間T6では、期間T2と同様に主加熱コイルMC及び副加熱コイルSC1〜SC4の高周波電力による駆動を停止することで火力を停止し、吹き零れを抑制している。
このように、被加熱物に対面する加熱コイルによって火力を異ならせると共に、火力の投入時間と火力の停止時間を設けることにより、調理物に対して対流を起こすことで、かき混ぜ効果があると共に、吹き零れを抑制することができる。
次に、図10を参照すると、火加減「2」のときの茹でモードにおける各コイルの通電制御について説明する。尚、被加熱物Nの発熱部は、主加熱コイルMCの真上の部分と、副加熱コイルSC2とSC3の真上の部分それぞれ亘った状態となっている。
まず、初期加熱時の期間T1においては、麺などの具材投入により、被加熱物中の水などの温度が下がるため、沸騰を維持するために、主加熱コイルMCおよび、副加熱コイルSC2とSC3全てを駆動した状態を40秒間継続する。
この時、主加熱コイルMCの方の火力が副加熱コイルSCの火力の総和より強いため、主加熱コイルMCの真上の部分の方が、副加熱コイルSCの真上の部分より、強力に加熱される。
尚、期間T1は、本実施の形態では40秒間に設定されているが、初期の加熱期間のため、後述する期間T3やT5より加熱時間を長めに取っている。
そこで、主加熱コイルMC及び副加熱コイルSC1〜SC4の高周波電力による駆動を停止する期間T2を設けることで、この期間T2を設けることにより、対流YC1の流速を一時的に停止させる、又は、弱めることで、吹き零れを抑制することができる。(これは、煮立ってきた調理物の茹で汁の泡が壊れる時間ができることからである。)
尚、期間T2は、本実施の形態では1秒間に設定されているが、対流YC1の流速を吹き零れが抑止できる程度に弱められる時間であればよい。
このように、期間T2で火力を停止後、期間T1とは火力配分が逆となるように、主加熱コイルMCに設定される火力の大きさより、副加熱コイルSC1〜4の火力の総和を大きく設定して火力を入れることにより、被加熱物Nの底の側面側から上方に向かい、調理物の上部で被加熱物Nの側面側から中心に向かう対流YC2を発生させることができる。つまり、対流YC1と逆を向く対流を形成することができる。
これにより、調理物のかき混ぜ効果を高めることができる。
これは、期間T3の状態は、既に調理物の温度がある程度上がっていることから、火力出力の総和を期間T1より小さくしたものである。これにより、麺などの具材を茹で続けると茹で汁が煮立ってきて吹き零れやすくなるのを防ぎ、吹き零れを抑制している。また、無駄な電力の消費を防ぐ効果もある。
また、期間T3は、本実施の形態では20秒間に設定されているが、吹き零れが起きない程度に設定すればよい。
次に、期間T5においては、初期加熱時の期間T1と同様、主加熱コイルMCに設定される火力の大きさを、副加熱コイルSC2とSC3の火力の総和より大きい火力に設定し、主加熱コイルMCの真上の火力が強くなり、YC1方向の対流が発生する。
尚、期間T5における火力は、主加熱コイルMC:716W、副加熱コイルSCの火力の総和:409W、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC火力の総和:1125W、に設定されている。
また、期間T3は、本実施の形態では10秒間に設定されているが、吹き零れが起きない程度に設定すればよい。
以後これらT3〜T6のパターンが、使用者が設定した調理時間の間、繰り返される。
この様に、被加熱物に対面する加熱コイルによって火力を異ならせると共に、適宜、被加熱物に対向する加熱コイルの部分的な火力を入れ替えることで、より複雑な調理物の対流を生み出すことができ、調理物のより高いかき混ぜ効果を期待できる。
また、適宜、火力の停止時間を設けることにより、上記の効果と共に、調理物の吹き零れを抑制することができる。
次に、図11を参照すると、火加減「3」のときの茹でモードにおける各コイルの通電制御について説明する。尚、被加熱物Nの発熱部は、主加熱コイルMCの真上の部分と、副加熱コイルSC2とSC3の真上の部分それぞれ亘った状態となっている。
まず、初期加熱時の期間T1においては、麺などの具材投入により、被加熱物中の水などの温度が下がるため、沸騰を維持するために、主加熱コイルMCおよび、副加熱コイルSC1〜SC4全てを駆動した状態を40秒間継続する。
この時、主加熱コイルMCの方の火力が副加熱コイルSCの火力の総和より強いため、主加熱コイルMCの真上の部分の方が、副加熱コイルSCの真上の部分より、強力に加熱される。
尚、期間T1は、本実施の形態では40秒間に設定されているが、初期の加熱期間のため、後述する期間T3やT5より加熱時間を長めに取っている。
そこで、主加熱コイルMC及び副加熱コイルSCの高周波電力による駆動を停止する期間T2を設けることで、この期間T2を設けることにより、対流YC1の流速を一時的に停止させる、又は、弱めることで、吹き零れを抑制することができる。
尚、期間T2は、本実施の形態では1秒間に設定されているが、対流YC1の流速を吹き零れが抑止できる程度に弱められる時間であればよい
このように、期間T2で火力を停止後、期間T1とは火力配分が逆となるように、主加熱コイルMCに設定される火力の大きさより、副加熱コイルSCの火力の総和を大きく設定して火力を入れることにより、被加熱物Nの底の側面側から上方に向かい、調理物の上部で被加熱物Nの側面側から中心に向かう対流YC2を発生させることができる。
つまり、対流YC1と逆を向く対流を形成することができる。これにより、調理物のかき混ぜ効果を高めることができる。
これは、期間T3の状態は、既に調理物の温度がある程度上がっていることから、火力出力の総和を期間T1より小さくしたものである。これにより、麺などの具材を茹で続けると茹で汁が煮立ってきて吹き零れやすくなるのを防ぎ、吹き零れを抑制している。また、無駄な電力の消費を防ぐ効果もある。
また、期間T3は、本実施の形態では20秒間に設定されているが、吹き零れが起きない程度に設定すればよい。
次に、期間T5においては、初期加熱時の期間T1と同様、主加熱コイルMCに設定される火力の大きさを、副加熱コイルSC2とSC3の火力の総和より大きい火力に設定している。これにより、主加熱コイルMCの真上の火力が強くなり、YC1方向の対流が発生する(図5(A)の状態)。
尚、期間T5における火力は、主加熱コイルMC:833W、副加熱コイルSCの火力の総和:417W、主加熱コイルMCと副加熱コイルSC1〜4の火力の総和:1250W、に設定されている。
また、期間T5は、本実施の形態では10秒間に設定されているが、吹き零れが起きない程度に設定すればよい。
以後これらT3〜T6のパターンが、使用者が設定した調理時間の間、繰り返される。
この様に、被加熱物に対面する加熱コイルによって火力を異ならせると共に、適宜、被加熱物に対向する加熱コイルの部分的な火力を入れ替えることで、より複雑な調理物の対流を生み出すことができ、調理物のより高いかき混ぜ効果を期待できる。
また、適宜、火力の停止時間を設けることにより、上記の効果と共に、調理物の吹き零れを抑制することができる。
尚、同様に、SC2およびSC3が負荷無と判断された場合は、副加熱コイル(SC2、SC3)を使用しないモードとして、同様の制御を行ない、この場合はSC2、SC3の電力を入れないように制御する(図12のステップ13)。
これにより、茹でモードにおける吹き零れの抑制が可能となると共に、調理物のかき混ぜ効果を期待することができる。
Claims (3)
- 円環状の主加熱コイルと、
前記主加熱コイルの側部に近接して配置される扁平形状の複数の副加熱コイルと、
前記主加熱コイル及び全ての副加熱コイルに、それぞれ誘導加熱の為の電力を供給するインバータ回路と、
前記インバータ回路の出力を制御する制御部と、
前記制御部に加熱の動作又は条件の少なくとも何れか一方を指示する操作部を有し、
前記制御部は、前記操作部からの指示を受けると、被加熱物の初期加熱期間として第1の期間を設け、該第1の期間の間、前記インバータ回路から前記主加熱コイルおよび複数の前記副加熱コイルに対し、第1の総電力を供給し、かつ、複数の前記副加熱コイルに供給している電力の総和より、前記主加熱コイルに供給している電力が大きくなるように前記第1の総電力を配分し、
前記第1の期間の後、前記主加熱コイル、及び、複数の前記副加熱コイルへの誘導加熱電力の供給を所定の期間停止する第2の期間を設け、
前記第2の期間の後、前記主加熱コイルおよび複数の前記副加熱コイルに対し、前記第1の総電力よりも小さい第2の総電力を供給する第3の期間を設け、かつ、複数の前記副加熱コイルに供給する電力の総和より、前記主加熱コイルに供給している電力が小さくなるように前記第2の総電力を配分し、
前記第3の期間の後、前記主加熱コイル、及び、複数の前記副加熱コイルへの誘導加熱電力の供給を所定の期間停止する第4の期間を設け、
前記第4の期間の後、前記主加熱コイル、及び、複数の前記副加熱コイルに対し、第3の総電力を供給する第5の期間を設け、かつ、複数の前記副加熱コイルに供給している電力の総和より、前記主加熱コイルに供給している電力が大きくなるように前記第3の総電力を配分し、
前記第5の期間の後、前記主加熱コイル、及び、複数の前記副加熱コイルへの誘導加熱電力の供給を所定の期間停止する第6の期間を設け、
前記制御部は、前記主加熱コイル、及び、複数の前記副加熱コイルに対して、前記第1乃至第6の期間を経た後、前記第3乃至第6の期間の通電制御動作を繰り返すことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 円環状の主加熱コイルと、
前記主加熱コイルの側部に近接して配置される扁平形状の複数の副加熱コイルと、
前記主加熱コイル及び全ての副加熱コイルに、それぞれ誘導加熱の為の電力を供給するインバータ回路と、
前記インバータ回路の出力を制御する制御部と、
前記制御部に加熱の動作又は条件の少なくとも何れか一方を指示する操作部を有し、
前記制御部は、前記操作部からの指示を受けると、被加熱物の初期加熱期間として第1の期間を設け、該第1の期間の間、前記インバータ回路から前記主加熱コイルおよび複数の前記副加熱コイルに対し、第1の総電力を供給し、かつ、複数の前記副加熱コイルに供給している電力の総和より、前記主加熱コイルに供給している電力が大きくなるように前記第1の総電力を配分し、
前記第1の期間の後、前記主加熱コイル、及び、複数の前記副加熱コイルへの誘導加熱電力の供給を所定の期間停止する第2の期間を設け、
前記第2の期間の後、前記主加熱コイルおよび複数の前記副加熱コイルに対し、第2の総電力を供給する第3の期間を設け、かつ、複数の前記副加熱コイルに供給する電力の総和より、前記主加熱コイルに供給している電力が大きくなるように前記第2の総電力を配分し、
前記第3の期間の後、前記主加熱コイル、及び、複数の前記副加熱コイルへの誘導加熱電力の供給を所定の期間停止する第4の期間を設け、
前記第4の期間の後、前記主加熱コイル、及び、複数の前記副加熱コイルに対し、第3の総電力を供給する第5の期間を設け、かつ、複数の前記副加熱コイルに供給している電力の総和より、前記主加熱コイルに供給している電力が大きくなるように前記第3の総電力を配分し、
前記第5の期間の後、前記主加熱コイル、及び、複数の前記副加熱コイルへの誘導加熱電力の供給を所定の期間停止する第6の期間を設け、
前記制御部は、前記主加熱コイル、及び、複数の前記副加熱コイルに対して、前記第1乃至第6の期間を経た後、前記第3乃至第6の期間の通電制御動作を繰り返すことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 複数の前記副加熱コイルの内、上方に被加熱物が位置している前記副加熱コイルのみ、誘導加熱のための電力を供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導加熱調理器。
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