第1の発明は、略同心上且つ略同一平面上に配置され径の異なる2つの加熱コイルを有する加熱手段と、この加熱手段の上方に配置されたトッププレートと、2つの加熱コイルを駆動してトッププレート上の被加熱物を加熱する高周波電力発生回路と、高周波電力発生回路の出力電力を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、炒め物調理時において高周波電力発生回路の出力電力の合計値が100%になるように制御し、かつ2つの加熱コイルのうち外側に配置される加熱コイルを常に駆動し、内側に配置される加熱コイルは被加熱物の底面温度を均一化させるよう駆動または停止、もしくは駆動・停止させる炒め物モードを有する電磁調理器とするものである。これによって、炒め物モードを使用することにより、フライパンなどの被加熱物を用いた炒め物調理時に被加熱物底面の外周部への投入電力を大きくする、つまりフライパンなどの被加熱物底面の外周部に加熱を集中させることが可能となり、フライパンなどの被加熱物を用いた炒め物調理時に被加熱物底面の温度分布を均一化して焼けムラを抑制することが可能となる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、2つの加熱コイルの各々を個別に駆動する2つの高周波電力発生回路と、2つの高周波電力発生回路の出力電力を制御する制御回路とを備えたことにより、フライパンなどの被加熱物を用いた炒め物調理時に被加熱物底面の外周部への投入電力を大きくする、つまりフライパンなどの被加熱物底面の外周部に加熱を集中させることが可能となり、フライパンなどの被加熱物を用いた炒め物調理時に被加熱物底面の温度分布を均一化して焼けムラを抑制することができる。また2つの高周波電力発生回路を用いることにより、調理物の状態に応じて2つの加熱コイル各々に投入する電力の比を自由に設定することが可能となり、温度分布の均一化と使い勝手を向上させることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、制御回路は、煮物調理時において2つの加熱コイルのうち外側に配置される加熱コイルを、加熱開始時に被加熱物を急速に加熱しながら前記被加熱物の底面の外周部と中央部の温度差を抑制するよう駆動または停止、もしくは駆動・停止させ、内側に配置される加熱コイルは常に駆動する煮物モードを有することにより、鍋などの被加熱物を用いた煮物調理時に被加熱物底面の外周部への投入電力量を制御する、つまり被加熱物の温度分布を調整することが可能となり、鍋などの被加熱物を用いた煮物調理時において様々な外径の被加熱物を用いても底面の温度分布の均一化して焼けムラを抑制することができる。
第4の発明は、特に、第3の発明において、使用者が操作する操作部に調理モードキーを備え、調理モードキーにより炒め物モードと煮物モードを切替えることにより、使用者が調理内容に適したモードを選択することができるようになり、使い勝手を向上させることができる。
第5の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、被加熱物の下方に配置され、トッププレートを介して被加熱物の温度を検出する温度検出手段を備え、被加熱物の温度が所定温度以下なら自動的に煮物モードとし、被加熱物の温度が所定温度以上なら自動的に炒め物モードとすることにより、使用者が手動で調理モードを選択することなく自動で適切な調理モードに移行するため、使い勝手を向上させることができる。
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、トッププレート面において、使用者の立ち位置側に炒め物モードまたは煮物モード中であることを表示する表示手段を有することにより、使用者が調理内容に適したモードで動作していることを確認できるようになり、使い勝手を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図5は、本発明の実施の形態1における電磁調理器を示している。
図1に示すように、本実施の形態におけるの電磁調理器1は、低周波交流電源である200V商用電源より整流回路を介して所定のタイミングでオン・オフするスイッチング素子を備えた高周波インバータ回路により、所定の周波数の高周波電力を発生させる高周波電力発生回路2、高周波電力発生回路2の出力電力を制御する制御回路3、高周波電力により高周波磁束を発生させる略同心上且つ略同一平面上に配置され径の異なる第1、第2の加熱コイル4a、4b(あわせて加熱手段4)、加熱手段4の上方に配置された硬質ガラス製のトッププレート5を有する。
前記高周波電力発生回路2は、2つの加熱コイル4a、4bを駆動してトッププレート5上の鍋、フライパンなどの被加熱物6を加熱するものである。
前記制御回路3は、炒め物調理時において2つの加熱コイルのうち外側に配置される加熱コイル4bを常に駆動し、内側に配置される加熱コイル4aは被加熱物6の底面温度を均一化させるよう駆動または停止、もしくは所定タイミングで駆動・停止させる炒め物モードを有するものである。加えて、制御回路3は、煮物調理時において2つの加熱コイルのうち外側に配置される加熱コイル4bを被加熱物6の中央部に加熱を集中させるよう駆動または停止、もしくは駆動・停止させ、内側に配置される加熱コイル4aは常に駆動する煮物モードを有している。
また、本実施の形態におけるの電磁調理器1は、さらに高周波電力発生回路2の出力電力を検出する出力電力検出手段7、被加熱物6の底面温度をトッププレート5を介して検出する温度検出手段8、使用者が操作する操作部に調理モード(炒め物モードと煮物モード)の切替えを選択する調理モードキー9、トッププレート5面において、視認性のよい使用者の立ち位置側に炒め物モードまたは煮物モード中であることを表示する表示手段10を有している。
さらに、高周波電力発生回路2には、第1、第2のコイル切替えスイッチング素子11a、11b(あわせてコイル切替え手段11)を内蔵し、第1のコイル切替えスイッチング素子11aは内側に配置される第1の加熱コイル4aと並列に接続され、第2のコイル切替えスイッチング素子11bは外側に配置される第2の加熱コイル4bと並列に接続されている。コイル切替え手段11は、制御回路3により決定されるタイミングでオン・オフすることで第1または第2の加熱コイル4a、4bの各々の駆動・停止状態を切替えるものである。
本実施の形態では、第1の加熱コイル4aの内径をφ60mm、外径をφ80mmとして内側に配置し、また第2の加熱コイル4bの内径をφ90mm、外径をφ180mmとして外側に配置する。これらの径は任意に設定可能である。また、本実施の形態では第1、第2の加熱コイル4a、4bを円形としているが、その他の形状、例えば長方形、楕円形、または多角形とすることも可能である。さらに第1、第2の加熱コイル4a、4bを異なる形状とすることも可能である。
なお、本実施の形態では、トッププレート5の下面に配置した1個の加熱手段4について説明したが、図示しているように、加熱手段4が複数個ある場合でも何ら問題なく、他の加熱手段に同様な機能をもたせることもできるものである。
以上のように構成された電磁調理器1において、以下その動作、作用を説明する。
使用者により被加熱物6となる鍋またはフライパンなどをトッププレート5を介して加熱手段4と略対向するように配置する。その状態で、使用者が調理モードキー9により調理モードを選択し、加熱スタートボタンを押すと制御回路3は高周波電力発生回路2を駆動して第1、第2の加熱コイル4a、4bに高周波電力を供給する。ただし調理モードキー9は加熱中も有効で、加熱中に調理モードを切替えることが可能である。
ここで、加熱時に煮物モードが選択されている場合は、第1のコイル切替えスイッチング素子11aは常にオフ状態となり、内側に配置される第1の加熱コイル4aを常に駆動する。また、第2のコイル切替えスイッチング素子11bは常にオンまたはオフ、もしくは所定タイミングでオン・オフすることにより、外側に配置される第2の加熱コイル4bを常に駆動または停止するか、もしくは所定タイミングで駆動・停止する。外側に配置される第2の加熱コイル4bは第2のコイル切替えスイッチング素子11bがオンすると短絡されて停止するのに対し、オフすると第1の加熱コイル4aに直列に接続され駆動される。
図2に各部の動作を示す。図2の(a)は内側に配置される第1の加熱コイル4aの出力電力、(b)は外側に配置される第2の加熱コイル4bの出力電力、(c)は第1のコイル切替えスイッチング素子11aの動作状態、(d)は第2のコイル切替えスイッチング素子11bの動作状態を表している。
図2に示すT1期間中は第2のコイル切替えスイッチング素子11bが制御回路3により決められた所定タイミングでオン・オフしている期間である。このT1の期間中において制御回路3は、図2に示すT1a、T1b、T1c期間のように第2のコイル切替えスイッチング素子11bのオン時間またはスイッチング周波数を変化させることにより、つまり第2の加熱コイル4bの駆動・停止状態を制御することにより被加熱物6の温度分布を調整することが可能である。
さらに、図2に示すT2期間中は第2のコイル切替えスイッチング素子11bが常にオンすることで、内側に配置される第1の加熱コイル4aのみが駆動されるため、被加熱物6の中央部(中心付近)に加熱を集中させることができる。また、T3期間中は第2のコイル切替えスイッチング素子11bが常にオフすることで、内側に配置される第1の加熱コイル4aおよび外側に配置される第2の加熱コイル4bが共に駆動されるため、被加熱物6の底面を全面的に加熱することができる。
制御回路3はこれらの動作状態を適宜選択・切替えることにより、図3の曲線B1に示すような被加熱物6の均一は温度分布を実現する(ただし、図3の曲線A1は特許文献1参照の技術を用いた際のドーナツ型の温度分布を表している)。
本実施の形態では、加熱開始時に図2に示すT3期間の動作状態、つまり第1、第2の加熱コイル4a、4bを同時に駆動して被加熱物6の底面を全面的に加熱することで、急速に被加熱物6の温度を上昇させる。その後、温度検出手段8の検出結果から被加熱物6の温度が上昇したことを制御回路3が検知すると、図2に示すT1a、T1b、T1c、T2期間のように外側に配置される第2の加熱コイル4bの駆動または停止時間を調節することにより、被加熱物6の底面温度を均一化するものである。これにより加熱開始時に被加熱物6を急速に加熱することが可能となるが、この加熱開始時のT3期間中は被加熱物6の底面の外周部と中央部で温度差が大きくなり加熱ムラが一時的に発生する。
または、加熱開始時に図2に示すT1c期間のように、第1の加熱コイル4aを常に駆動し、第2の加熱コイル4bは所定の周期で駆動停止させることで、被加熱物6の底面の外周部と中央部の温度差が少なくなるように急速に被加熱物6の底面温度を上昇させることが可能である。その後、温度検出手段8の検出結果から被加熱物6の温度が上昇したことを制御回路3が検知すると、図2に示すT1a、T1b、T2期間のように、外側に配置される第2の加熱コイル4bの駆動または停止時間を調節することにより、被加熱物6の底面温度を均一化するものである。これにより、加熱開始時に被加熱物6を急速に加熱しながら被加熱物6の底面の外周部と中央部の温度差を抑制可能となる。
本実施の形態では、出力電力が一定となるように出力電力検出手段7の検出内容に応じて制御回路3が高周波電力発生回路2を制御する、つまり図2(a)と(b)に示すように、第1、第2の加熱コイル4a、4bの出力電力の合計が100%となるように制御している。
電磁調理器1は以上のような煮物調理モードを搭載することにより、鍋などの被加熱物6を用いた煮物調理時に被加熱物6底面の外周部への投入電力量を制御する、つまり被加熱物6の温度分布を調整することが可能となり、鍋などの被加熱物6を用いた煮物調理時において様々な外径の被加熱物6を用いても底面の温度分布を均一化して焼けムラを抑制することができる。
加熱時に炒め物モードが選択されている場合は、第2のコイル切替えスイッチング素子11bは常にオフ状態となり、外側に配置される第2の加熱コイル4bを常に駆動する。また、第1のコイル切替えスイッチング素子11aは常にオンまたはオフ、もしくは所定タイミングでオン・オフすることにより、内側に配置される第1の加熱コイル4aを常に駆動または停止するか、もしくは所定タイミングで駆動・停止する。内側に配置される第1の加熱コイル4aは第1のコイル切替えスイッチング素子11aがオンすると短絡され停止するのに対し、オフすると第2の加熱コイル4bに直列に接続され駆動される。
図4に各部の動作を示す。図4(a)は内側に配置される第1の加熱コイル4aの出力電力、(b)は外側に配置される第2の加熱コイル4bの出力電力、(c)は第1のコイル切替えスイッチング素子11aの動作状態、(d)は第2のコイル切替えスイッチング素子11bの動作状態を表している。
図4に示すT4期間中は、第1のコイル切替えスイッチング素子11aが制御回路3により決められた所定タイミングでオン・オフしている期間である。このT4の期間中において制御回路3は、図4に示すT4a、T4b、T4c期間のように第1のコイル切替えスイッチング素子11aのオン時間またはスイッチング周波数を変化させることにより、つまり第1の加熱コイル4aの駆動・停止状態を制御することにより、被加熱物6の温度分布を調整することが可能である。さらに、図4に示すT5期間中は、第1のコイル切替えスイッチング素子11aが常にオンすることで、外側に配置される第2の加熱コイル4bのみが駆動されるため、被加熱物6の外周部付近に加熱を集中させることができる。またT6期間中は第1のコイル切替えスイッチング素子11aが常にオフすることで、外側に配置される第1の加熱コイル4aおよび外側に配置される第2の加熱コイル4bが共に駆動されるため、被加熱物6の底面を全面的に加熱することができる。
制御回路3はこれらの動作状態を適宜選択・切替えることにより、図5の曲線B2に示すような被加熱物6の底面の均一な温度分布を実現する(ただし、図5の曲線A2は特許文献1参照の技術を用いた際のドーナツ型の温度分布を表している)。
本実施の形態では、加熱開始時に図4に示すT5期間の動作状態、つまり外側に配置される第2の加熱コイル4bのみを駆動して被加熱物6の底面の外周部を加熱することで、炒め物調理時に被加熱物6の外周部の温度が中央部に比べて低下し易いといった、特許文献1参照の技術課題を改善することができる。これにより一部だけ焦げるなどの焼きムラを抑制することが可能となる。ただし、加熱開始時に被加熱物6の外周部のみを加熱するため温度上昇に時間が必要となる。
または、加熱開始時に図4に示すT6期間の動作状態、つまり第1、第2の加熱コイル4a、4bを同時に駆動して被加熱物6の底面を全面的に加熱することで、急速に被加熱物6の温度を上昇させる。その後、温度検出手段8の検出結果から被加熱物6の温度が上昇したことを制御回路3が検知すると、図4に示すT4a、T4b、T4c、T5期間のように内側に配置される第1の加熱コイル4aの駆動または停止時間を調節することにより、被加熱物6の底面温度を均一化するものである。これにより加熱開始時に被加熱物6を急速に加熱することが可能となるが、この加熱開始時のT6期間中は被加熱物6の底面の外周部と中央部で温度差が生じて一時的に焼けムラが発生する。
または、加熱開始時に図4に示すT4c期間のように、第2の加熱コイル4bを常に駆動し、第1の加熱コイル4aを所定の周期で駆動停止させることで、被加熱物6の底面の外周部と中央部の温度差が少なくなるように急速に被加熱物6の底面温度を上昇させることが可能である。その後、温度検出手段8の検出結果から被加熱物6の温度が上昇したことを制御回路3が検知すると、図4に示すT4a、T4b、T5期間のように内側に配置される第1の加熱コイル4aの駆動または停止時間を調節することにより、被加熱物6の底面温度を均一化するものである。これにより、加熱開始時に被加熱物6を急速に加熱しながら被加熱物6の底面の外周部と中央部の温度差が少ない均一な温度分布を実現できる。
本実施の形態では、出力電力が一定となるように出力電力検出手段7の検出内容に応じて制御回路3が高周波電力発生回路2を制御する、つまり図4(a)と(b)に示すように、第1、第2の加熱コイル4a、4bの出力電力の合計が100%となるように制御している。
電磁調理器1は、以上のような炒め物調理モードを搭載することにより、フライパンなどの被加熱物6を用いた炒め物調理時に被加熱物6底面の外周部への投入電力を大きくする、つまりフライパンなどの被加熱物6底面の外周部に加熱を集中させることが可能となり、フライパンなどの被加熱物6を用いた炒め物調理時に被加熱物6底面の温度分布を均一化して焼けムラを抑制することができる。
また、本実施の形態では、調理モードキー9と表示手段10を備えており、使用者が調理モードキー9により手動で調理モードを選択することが可能であり、選択した調理モードが表示手段10により視認性のよいトッププレート5面に表示されるため、使用者が調理モードを確認しながら調理することが可能となり、使い勝手を向上させている。
さらに、本実施の形態では、被加熱物6の底面温度を、トッププレート5を介して検出する温度検出手段8を備えており、この温度検出手段8の検出結果により被加熱物6の温度が所定温度以下なら自動的に煮物モードに、被加熱物6の温度が所定温度以上なら自動的に炒め物モードとするオート調理モードを搭載することにより、使用者が手動で調理モードを設定する手間がなくなり、使い勝手を向上させている。このオート調理モードも調理モードキー9で選択することができる。ただし、オート調理モードを搭載する場合は常にオートモードで動作させることにより、調理モードキー9を取り外して部品点数を削減することが可能である。
本実施の形態においては、第1、第2の加熱コイル4a、4b各々の出力電力比は、第1、第2の加熱コイル4a、4bのターン数比や径により決定されるため、第1、第2のコイル切替えスイッチング素子11a、11bを用いて第1、第2の加熱コイル4a、4b各々の導通時間を制御することにより、被加熱物6の底面の温度分布を変化させることが可能となり、被加熱物6の底面温度を均一化させて焼きムラを抑制している。
(実施の形態2)
図6〜図10は、本発明の実施の形態における電磁調理器を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
実施の形態1との相違点は、第1、第2のコイル切替えスイッチング素子11a、11bに代えて、高周波電力発生回路2として第1、第2の加熱コイル4a、4b各々を個別に駆動する第1、第2の高周波電力発生回路2a、2bを有し、且つ出力電力検出手段7として第1、第2の高周波電力発生回路2a、2bの出力電力を検出する第1、第2の出力電力検出手段7a、7bを有していることである。他は実施の形態1と同一である。
以上のように構成された電磁調理器1において、以下その動作、作用を説明する。
使用者により被加熱物6となる鍋またはフライパンをトッププレート5上に加熱手段4と略対向するように配置する。その状態で、使用者が調理モードキー9により調理モードを選択し、加熱スタートボタンを押すと制御回路3は高周波電力発生回路2を駆動して第1、第2の加熱コイル4a、4bに高周波電力を供給する。ただし調理モードキー9は加熱中も有効で、加熱中に調理モードを切替えることが可能である。
ここで、加熱時に煮物モードが選択されている場合は、第1の高周波電力発生回路2aが内側に配置される第1の加熱コイル4aを常に駆動する。また第2の高周波電力発生回路2bは第2の加熱コイル4bを常に駆動または停止するか、もしくは所定タイミングで駆動・停止する。
図7に各部の動作を示す。図7(a)は内側に配置される第1の加熱コイル4aの出力電力、(b)は外側に配置される第2の加熱コイル4bの出力電力を表している。図7に示すT7期間中は、第2の高周波電力発生回路2bが制御回路3により決められた所定タイミングで第2の加熱コイル4bを駆動・停止している期間である。このT3の期間中において制御回路3は、図7に示すT7a、T7b、T7c期間のように第2の高周波電力発生回路2bの駆動時間または駆動・停止の周期を変化させることにより、つまり第2の加熱コイル4bの駆動・停止状態を制御することにより、被加熱物6の温度分布を調整することが可能である。
さらに、図7に示すT8期間中は、第2の高周波電力発生回路2bが常にオフすることで、内側に配置される第1の加熱コイル4aのみが駆動されるため、被加熱物6の中央部(中心付近)に加熱を集中させることができる。また、T9期間中は第2の高周波電力発生回路2bが常にオンすることで、内側に配置される第1の加熱コイル4aおよび外側に配置される第2の加熱コイル4bが共に駆動されるため、被加熱物6の底面を全面的に加熱することができる。制御回路3はこれらの動作状態を適宜選択・切替えることにより、図8の曲線B3に示すような被加熱物6の均一は温度分布を実現する(ただし、図8の曲線A3は特許文献1参照の技術を用いた際のドーナツ型の温度分布を表している)。
本実施の形態では、加熱開始時に図7に示すT9期間の動作状態、つまり第1、第2の加熱コイル4a、4bを同時に駆動して被加熱物6の底面を全面的に加熱することで、急速に被加熱物6の温度を上昇させる。その後、温度検出手段8の検出結果から被加熱物6の温度が上昇したことを制御回路3が検知すると、図7に示すT7a、T7b、T7c、T8期間のように外側に配置される第2の加熱コイル4bの駆動または停止時間を調節することにより、被加熱物6の底面温度を均一化するものである。これにより加熱開始時に被加熱物6を急速に加熱することが可能となるが、この加熱開始時のT9期間中は被加熱物6の底面の外周部と中央部で温度差が大きくなり加熱ムラが一時的に発生する。
または、加熱開始時に図7に示すT7c期間のように、第1の加熱コイル4aを常に駆動し、第2の加熱コイル4bは所定の周期で駆動停止させることで、被加熱物6の底面の外周部と中央部の温度差が少なくなるように急速に被加熱物6の底面温度を上昇させることが可能である。その後、温度検出手段8の検出結果から被加熱物6の温度が上昇したことを制御回路3が検知すると、図7に示すT7a、T7b、T8期間のように外側に配置される第2の加熱コイル4bの駆動または停止時間を調節することにより、被加熱物6の底面温度を均一化するものである。これにより、加熱開始時に被加熱物6を急速に加熱しながら被加熱物6の底面の外周部と中央部の温度差を抑制可能となる。
本実施の形態では、出力電力が一定となるように出力電力検出手段7の検出内容に応じて制御回路3が高周波電力発生回路2を制御する、つまり図7(a)と(b)に示すように、第1、第2の加熱コイル4a、4bの出力電力の合計が100%となるように制御している。
電磁調理器1は以上のような煮物調理モードを搭載することにより、鍋などの被加熱物6を用いた煮物調理時に被加熱物底面の外周部への投入電力量を制御する、つまり被加熱物6の温度分布を調整することが可能となり、鍋などの被加熱物6を用いた煮物調理時において様々な外径の被加熱物6を用いても底面の温度分布の均一化して焼けムラを抑制することができる。
加熱時に炒め物モードが選択されている場合は、第2の高周波電力発生回路2bは外側に配置される第2の加熱コイル4bを常に駆動する。また、第1の高周波電力発生回路2aは内側に配置される第1の加熱コイル4aを常に駆動または停止するか、もしくは所定タイミングで駆動・停止する。
図9に各部の動作を示す。図9(a)は内側に配置される第1の加熱コイル4aの出力電力、(b)は外側に配置される第2の加熱コイル4bの出力電力を表している。図9に示すT10期間中は、第1の高周波電力発生回路2aが制御回路3により決められた所定タイミングで駆動・停止している期間である。このT10の期間中において制御回路3は、図9に示すT10a、T10b、T10c期間のように第1の高周波電力発生回路2aの駆動時間または周期を変化させることにより、つまり第1の加熱コイル4aの駆動・停止状態を制御することにより、被加熱物6の温度分布を調整することが可能である。
さらに、図9に示すT11期間中は、第1の高周波電力発生回路2aが常にオフすることで、外側に配置される第2の加熱コイル4bのみが駆動されるため、被加熱物6の外周部付近に加熱を集中させることができる。またT12期間中は第1の高周波電力発生回路2aが常にオンすることで、外側に配置される第1の加熱コイル4aおよび外側に配置される第2の加熱コイル4bが共に駆動されるため、被加熱物6の底面を全面的に加熱することができる。
制御回路3はこれらの動作状態を適宜選択・切替えることにより、図10の曲線B4に示すような被加熱物6の均一は温度分布を実現する(ただし、図10の曲線A4は特許文献1参照の技術を用いた際のドーナツ型の温度分布を表している)。
本実施の形態では、加熱開始時に図9に示すT11期間の動作状態、つまり外側に配置される第2の加熱コイル4bのみを駆動して被加熱物6の底面の外周部を加熱することで、炒め物調理時に被加熱物6の外周部の温度が中央部に比べて低下し易いといった、特許文献1参照の技術課題を改善することができる。これにより一部だけ焦げるなどの焼けムラを抑制することが可能となる。ただし、加熱開始時に被加熱物6の外周部のみを加熱するため温度上昇に時間が必要となる。
または、加熱開始時に図9に示すT12期間の動作状態、つまり第1、第2の加熱コイル4a、4bを同時に駆動して被加熱物6の底面を全面的に加熱することで、急速に被加熱物6の温度を上昇させる。その後、温度検出手段8の検出結果から被加熱物6の温度が上昇したことを制御回路3が検知すると、図9に示すT10a、T10b、T10c、T11期間のように内側に配置される第1の加熱コイル4aの駆動または停止時間を調節することにより、被加熱物6の底面温度を均一化するものである。これにより加熱開始時に被加熱物6を急速に加熱することが可能となるが、この加熱開始時のT12期間中は被加熱物6の底面の外周部と中央部で温度差が生じて一時的に焼けムラが発生する。
または、加熱開始時に図9に示すT10c期間のように、第2の加熱コイル4bを常に駆動し、第1の加熱コイル4aは所定の周期で駆動停止させることで、被加熱物6の底面の外周部と中央部の温度差が少なくなるように急速に被加熱物6の底面温度を上昇させることが可能である。その後、温度検出手段8の検出結果から被加熱物6の温度が上昇したことを制御回路3が検知すると、図9に示すT10a、T10b、T10期間のように内側に配置される第1の加熱コイル4aの駆動または停止時間を調節することにより、被加熱物6の底面温度を均一化するものである。これにより、加熱開始時に被加熱物6を急速に加熱しながら被加熱物6の底面の外周部と中央部の温度差を抑制可能となる。
本実施の形態では、出力電力が一定となるように出力電力検出手段7の検出内容に応じて制御回路3が高周波電力発生回路2を制御する、つまり図9(a)と(b)に示すように、第1、第2の加熱コイル4a、4b出力電力の合計が100%となるように制御している。
電磁調理器1は以上のような炒め物調理モードを搭載することにより、フライパンなどの被加熱物6を用いた炒め物調理時に被加熱物6底面の外周部への投入電力を大きくする、つまりフライパンなどの被加熱物6底面の外周部に加熱を集中させることが可能となり、フライパンなどの被加熱物6を用いた炒め物調理時に被加熱物6底面の温度分布を均一化して焼けムラを抑制することができる。
特に、本実施の形態においては、実施の形態1と異なり、第1、第2の加熱コイル4a、4b各々を個別に第1、第2の高周波電力発生回路2a、2bで駆動するため、第1、第2の加熱コイル4a、4b各々の出力電力を任意の値に設定することが可能となり、第1、第2の加熱コイル4a、4b各々に投入する電力の比を自由に設定することが可能となり、被加熱物6の底面の温度分布をより均一に制御することができる。