JP5586905B2 - ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シート - Google Patents
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Description
このような特徴を有するポリエチレン系樹脂のうち、低密度ポリエチレンは、その分子鎖に適度な長さの長鎖分岐を有しているため、分子鎖同士の絡み合いによって溶融時の溶融粘度が比較的高い。また、融点付近における結晶性の変化についても、他のエチレン系樹脂に比して緩やかである。このため、低密度ポリエチレンは、融点付近の狭い温度領域内に温度を調整する必要はあるものの、他のエチレン系樹脂に比して比較的容易に発泡させることができる。
密度の高い直鎖状のポリエチレンを用いて、独立気泡を有する品質の良好な発泡体や発泡倍率の高い発泡成形体を得るためには、密度の高い直鎖状のポリエチレンの溶融張力を高めることが必要である。
また、前述の方法よりさらに、高い溶融張力を付与するため、(5)特殊な長鎖分岐状の高密度ポリエチレンを使用する方法(例えば、特許文献5、特許文献6参照)、(6)溶融弾性特性の指標の一つであるダイスウエルに着目した検討(例えば、特許文献7参照)も提案されている。
すなわち、本発明は、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートに関する。
本実施の形態のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートは、見かけ密度30g/L〜200g/L、独立気泡率70%以上であって、該押出発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂組成物は、密度が935〜970kg/m3、−25℃におけるシャルピー衝撃強度が3.0KJ/m2以上、曲げ弾性率が400MPa以上、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーより得られる換算分子量103以下の占有率が全体の1.0質量%以下、スリップ剤、酸化防止剤および充填剤のいずれについても含有率が0.001質量%以下であることを特徴とする。
さらに本実施の形態のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂組成物は、下記(a−1)〜(a−4)の要件を満たす線状系ポリエチレン(A)90〜40質量%と、下記(b−1)〜(b−2)の要件を満たす分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)10〜60質量%と、を含み、かつ190℃における溶融張力が15mN以上であることが好ましい。
(a−2)少なくとも(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒[I]と、液体助触媒成分[II]を用いて重合してなるものである。
(a−3)密度が935〜975kg/m3である。
(a−4)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜20g/10分である。
(a−5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求められるMw/Mnが、3〜7である。(Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量であり、Mw/Mnは分子量分布である。)
(b−2)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である。
(b−3)190℃での溶融張力が20mN以上である。
本実施の形態のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂組成物に用いられる線状系ポリエチレン(A)は、エチレン単独重合体又はエチレン単位と1又は2種以上の炭素数3〜20のα−オレフィン単位とからなる共重合体である。
エチレンと共重合させる炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、6−メチル−1−ヘプテンなどが挙げられる。α−オレフィンとしては、一般的に入手し易さから、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、重合プロセスを考慮すると、1−ブテンが好ましい。
線状系ポリエチレン(A)の密度は、935〜975kg/m3である。線状系ポリエチレン(A)の密度は、好ましくは940〜965kg/m3であり、より好ましくは945〜960kg/m3である。
線状系ポリエチレン(A)の密度が935kg/m3以上であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとした場合に機械的特性に優れる。線状系ポリエチレン(A)の密度が975kg/m3以下であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとした場合、優れた機械的特性と共に良好な緩衝性とを両立することができる。
線状系ポリエチレン(A)のメルトフローレート(以下、「MFR」と記載する場合がある。)は、190℃、2.16kg荷重において0.1〜20g/10分である。線状系ポリエチレン(A)のMFRは、好ましくは1〜15g/10分であり、より好ましくは5〜10g/10分である。
線状系ポリエチレン(A)のMFRが0.1g/10分以上かつ20g/10分以下であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの成形加工性に優れる。
線状系ポリエチレン(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求められ、3〜7であり、好ましくは3〜6の範囲である。ここで、Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量を示す。
特に、線状系ポリエチレン(A)の分子量分布が7以下であれば、線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)のブレンドにおいて、従来のチーグラーナッタ触媒を用いて重合されたエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンとの共重合体の場合と異なり、線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)の相溶性状態とすることができ、両者の結晶状態が相分離することを抑制できると推定される。このため、加工性が良く、発泡状態が良好で、かつ耐熱安定性に優れた、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを得ることができる。
具体的には、Waters社製150−C ALC/GPC装置、カラムとしてはShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、溶媒に10ppmのイルガノックス1010を含むトリクロロベンゼンを用いて、140℃で測定する分子量分布を測定することができる。
線状系ポリエチレン(A)の製造方法は特に限定されるものではないが、以下に記載の方法により製造することができる。
特に好ましくは、少なくとも(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒[I]と、液体助触媒成分[II]を用いて重合してなるものである。
重合法は公知の各種方法を使用でき、例えば、不活性ガス中での流動床式気相重合又は撹拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などが挙げられる。重合法としては、不活性溶媒中でのスラリー重合が好ましい。
メタロセン担持触媒[I]としては、(I−a)担体物質、(I−b)有機アルミニウム、(I−c)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(I−d)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒を用いることが好ましい。
(I−a)担体物質としては、有機担体、無機担体のいずれでもよい。
有機担体としては、好ましくは、炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体、芳香族不飽和炭化水素重合体、及び極性基含有重合体などが挙げられる。
炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体としては、例えば、エチレン樹脂、プロピレン樹脂、1−ブテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−1−ヘキセン共重合体樹脂、プロピレン−1−ブテン共重合体樹脂及びエチレン−1−ヘキセン共重合体などが挙げられる。
極性基含有重合体としては、例えば、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、アミド樹脂、及びカーボネート樹脂などが挙げられる。
無機担体としては、好ましくは、無機酸化物、無機ハロゲン化物、無機の炭酸塩、硫酸塩、及び硝酸塩、並びに水酸化物などが挙げられる。
無機ハロゲン化合物としては、例えば、MgCl2、AlCl3及びMnCl2などが挙げられる。
無機の炭酸塩、硫酸塩、及び硝酸塩としては、例えば、Na2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2などが挙げられる。
水酸化物としては、例えば、Mg(OH)2、Al(OH)3、Ca(OH)2などが挙げられる。
担体の粒子径は任意であるが、粒子径分布としては、1〜3000μmであることが好ましく、粒子の分散性の見地から、粒子径分布は10〜1000μmの範囲内であることが、さらに好ましい。
(I−a)担体物質は必要に応じて(I−b)有機アルミニウムで処理される。
(I−b)有機アルミニウムとしては、一般式:(−Al(R)O−)n(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はRO基で置換されていてもよい。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である。)で示される直鎖状又は環状重合体などが挙げられる。
(I−b)有機アルミニウム化合物としては、例えば、Rがメチル基、エチル基、イソブチルエチル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、及びイソブチルエチルアルモキサンなどが挙げられる。
(I−b)有機アルミニウムとしては、上記以外にも、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキアルキルハロゲノアルミニウム、アルメニルアルミニウム、ジアルキルハイドロアルミニウム、及びセスキアルキルハイドロアルミニウムなどが挙げられる。
ジアルキルハロゲノアルミニウムとしては、例えば、ジメチルアルミニウムクロライド及びジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルハロゲノアルミニウムなどが挙げられる。
セスキアルキルハロゲノアルミニウムとしては、例えば、セスキメチルアルミニウムクロライド及びセスキエチルアルミニウムクロライドなどが挙げられる。
(I−b)有機アルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、及びジイソブチルアルミニウムハイドライドであることが好ましい。
Lは環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立にシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、又はオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビ基、ヒドロカルビオルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8の置換基を任意に有していてもよく、2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカルバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、ジラジイル、ハロシラジイル、アミノシランなどの2価の置換基により結合されていてもよい。
X’は各々独立に、炭素数4〜40からなるホスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び/又は共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。lは1又は2の整数である。
pは0〜2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子であるか、M及びLに各々1個ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数よりもl以上少なく、XがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数よりもl+1以上少ない。
qは0、1又は2の整数である。
(I−c)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物としては、上記式(1)でl=1である化合物が好ましい。
R3は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができる。また、近接するR3同士がヒドロカルバジイル、ジラジイル、又はゲルマジイルなどの2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
X”は各々独立に、ハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、又はシリル基であり、各々20個までの非水素原子を有しており、また2つのX”が炭素数5〜30の中性共役ジエン又は2価の誘導体を形成してもよい。
Yは、O、S、NR*又はPR*である。
ZはSiR* 2、CR* 2、SiR* 2SiR* 2、CR* 2CR* 2、CR*=CR*、CR* 2SiR* 2、又はGeR* 2である。
R*は各々独立に、炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基である。
nは1〜3の整数である。
R3は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン又はこれらの複合基であり、各々20までの非水素原子を有することができる。
Z、Y、X及びX’は、前出のとおりである。
pは0〜2の整数であり、qは0又は1の整数である。
R3は各々独立に、水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。
Yは、O、S、NR*、又はPR*であり、Z*は、SiR* 2、CR* 2、SiR* 2SiR* 2、CR* 2CR* 2、CR*=CR*、CR* 2SiR2、又はGeR* 2である。
R*は各々独立に、水素、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基又はこれらの複合基であり、R*は20個までの非水素原子を有することができ、必要に応じてZ*中の2つのR*同士又はZ*中のR*とY中のR*が環状となっていてもよい。
pは0〜2の整数であり、qは0又は1の整数である。
前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
メタロセン担持触媒[I]においては、(I−c)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と上記(I−d)活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。
[MmQt]d−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立に、ヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、又は炭素数20個までの置換炭化水素基である。但し、ハライドであるQは1個以下である。
mは1〜7の整数であり、tは2〜14の整数であり、dは1〜7の整数であり、t−m=dである。
[MmQw(Gu(T−H)r)z]d−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立に、ヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキシド基、アリロキサイド基、炭化水素基、又は炭素数20個までの置換炭化水素基である。但し、ハライドであるQは1個以下である。
GはM及びTと結合するr+1の価数を持つ多価炭化水素基であり、TはO、S、NR又はPRであり、Rはヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基、若しくは水素である。
mは1〜7の整数であり、wは0〜7の整数であり、uは0又は1の整数であり、rは1〜3の整数であり、zは1〜8の整数であり、w+z−m=dである。
[BQ3Q*]−は相溶性の非配位性アニオンであり、Bはホウ素原子、Qはペンタフ
ルオロフェニル基であり、Q*は置換基としてOH基を1つ有する炭素数6〜20の置換アリール基である。
相溶性の非配位性アニオンとしては、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHRで置き換えられたボレートを挙げることができる。ここでRは、メチル基、エチル基又はt−ブチル基であることが好ましい。
本実施の形態において、液体助触媒成分[II]は下記式(10)で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物[III−1](以下、単に「有機マグネシウム化合物[III−1]」と記載する場合がある。)とアミン、アルコール、シロキサン化合物から選ばれる化合物[III−2](以下、単に「化合物[III−2]」と記載する場合がある。)との反応によって合成される、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物である。
0≦a、0<b、0≦c、0≦d、c+d>0、かつe×a+2b=c+d(eはM1の原子価である。)
液体助触媒成分を製造する反応において添加する順序については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物[III−1]中に化合物[III−2]を添加する方法、化合物[III−2]に有機マグネシウム化合物[III−1]を添加する方法、又は両者を同時に添加する方法のいずれの方法を用いてもよい。
有機マグネシウム化合物[III−1]と化合物[III−2]との反応比率については特に制限はないが、反応により合成される液体助触媒成分[II]に含まれる全金属原子に対する化合物[III−2]のモル比が0.01〜2であるように化合物[III−2]を添加することが好ましく、0.1〜1となるように添加することがより好ましい。
液体助触媒成分[II]は1種で使用してもよいし2種類以上混合して使用してもよい。
重合に使用する際の液体助触媒成分[II]の濃度については特に制限はないが、液体助触媒成分[II]に含まれる全金属原子のモル濃度が0.001mmol/リットル以上、10mmol/リットル以下であることが好ましく、0.01mmol/リットル以上、5mmol/リットル以下であることがより好ましい。
有機マグネシウム化合物[III−1]は上記式(10)で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物である。
上記式(10)として、有機マグネシウム化合物[III−1]は、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、(R4)2Mg及びこれらと他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号a、b、c、dの関係式e×a+2b=c+dは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
a>0の場合、金属原子M1としては、周期律表第1〜3族からなる群に属する金属元素が使用でき、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどが挙げられるが、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好ましい。
a=0の場合、有機マグネシウム化合物[III−1]が炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物であることが好ましく、上記式(10)のR4及びR5が次に示す三つの群(i)、(ii)、(iii)のいずれか一つであることがさらに好ましい。
(i)R4及びR5の少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級又は三級のアルキル基であり、好ましくはR4及びR5が共に炭素原子数4〜6であり、かつ少なくとも一方は二級又は三級のアルキル基である。
(ii)R4及びR5が炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であり、好ましくはR4が炭素原子数2又は3のアルキル基であり、R5が炭素原子数4以上のアルキル基である。
(iii)R4及びR5の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であり、
好ましくはR4及びR5が共に炭素原子数6以上のアルキル基である。
(ii)において炭素原子数2又は3のアルキル基としては、エチル基、プロピル基が挙げられ、エチル基が好ましい。また、炭素原子数4以上のアルキル基としては、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられ、ブチル基、ヘキシル基が好ましい。
(iii)において炭素原子数6以上の炭化水素基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基などが挙げられ、アルキル基である方が好ましく、ヘキシル基であることがより好ましい。
化合物[III−2]は、アミン、アルコール、シロキサン化合物からなる群に属する化合物である。
アミン化合物としては、特に制限はないが、脂肪族、脂環式又は芳香族アミンが挙げられる。
エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジンなどが挙げられる。
アルコール化合物としては、特に制限はないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−メチルペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−エチル−4−メチル−1−ペンタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−エチル−5−メチル−1−オクタノール、1−オクタノール、1−デカノール、シクロヘキサノール、フェノールが挙げられ、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール及び2−エチル−1−ヘキサノールが好ましい。
シロキサン化合物は1種類又は2種類以上の構成単位から成る2量体以上の鎖状又は環状の化合物の形で用いることができる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、特に制限はないが、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基、ビニル基が挙げられる。炭素原子数1〜40の置換された炭化水素基としては、特に制限はないが、トリフルオロプロピル基が挙げられる。
本実施の形態のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂組成物に用いられる分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)は、エチレン単独重合体又はエチレン単位と1又は2種以上の炭素数3〜20のα−オレフィン単位との共重合体であることが好ましく、公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)の密度は910〜930kg/m3であり、好ましくは915〜928kg/m3である。
分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)のMFRは0.1〜10g/10分であり、好ましくは1.0〜5g/10分である。
分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)の溶融張力は、190℃において20mN以上であり、好ましくは100mN以上、さらに好ましくは150mN以上である。
このような特性を有する分岐状高圧法系ポリエチレン(B)を用いることにより、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの加工性に良好な効果をもたらすことができる。
分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、他のα−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸エステルなどとの共重合体であってもよい。
一般的に高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド系は非相溶であり、両者の結晶状態が相分離する(例えば、非特許文献1参照)ことから、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)とをブレンドした組成物では、加工時における発泡状態が懸念される。
分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)のブレンド量が10質量%以上かつ60質量%以下であれば、加工性に優れ、かつ発泡状態の良好なポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートが得られる。
ポリエチレン系樹脂組成物の密度が935kg/m3以上であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとした際に機械的特性に優れる。ポリエチレン系樹脂組成物の密度が970kg/m3以下であれば、優れた機械的特性と共に良好な緩衝性を有するポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを得ることができる。
ポリエチレン系樹脂組成物の密度は、優れた機械的特性と共に良好な緩衝性を有するポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとできる点で、上記範囲内にあることが好ましい。
ポリエチレン系樹脂組成物のMFRが0.1g/10分以上かつ20g/10分以下であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの成形加工性に優れる。
ポリエチレン系樹脂組成物の溶融張力は、190℃において15mN以上であることが好ましく、より好ましくは20mN以上、さらに好ましくは50mN以上である。
ポリエチレン系樹脂組成物の溶融張力は、190℃において15mN以上であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの加工時における発泡状態も良好であり、所定の発泡倍率にコントロールできる傾向が顕著に認められる。
一方、本実施の形態は、上記特定の物性を有する線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)とを配合することで得られる、溶融張力が15〜50mN程度のポリエチレン系樹脂組成物を使用することにより、良好な発泡状態のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを得ることができるという特徴を有する。これは線状系ポリエチレン(A)の分子量分布(Mw/Mn)が3〜7と狭いことにより、ポリエチレン系樹脂組成物が均一状態となることに起因していると考えられる。
ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂組成物を基材としたシャルピー衝撃強度は、−25℃において3.0KJ/m2以上であることが必要である。好ましくは5.0KJ/m2以上である。
ポリエチレン系樹脂組成物を基材としたシャルピー衝撃強度が、3.0KJ/m2以上であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを冷凍食品向けの包装材料として使用した場合に破損・割れなどの発生が少なく、低温耐衝撃特性に優れる。
ポリエチレン系樹脂組成物を基材とした曲げ弾性率が、400MPa以上であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとした場合に機械的特性に優れる。一方、1500MPa以下であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとした場合、優れた機械的特性と共に良好な緩衝性とを両立することができる。
ポリエチレン系樹脂組成物を基材とした曲げ弾性率は、優れた機械的特性と共に良好な緩衝性を有するポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとできる点で、上記範囲内にあることが好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂組成物は、スリップ剤、酸化防止剤および充填剤のいずれについても含有率が0.001質量%以下であることが必要である。本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて公知の添加剤を添加することができるが、本来無添加が好ましい。チーグラーナッタ触媒で重合されたポリエチレンは、塩素を補足する中和剤や酸化防止剤が必要となる。これら中和剤や酸化防止剤としては、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩とハイドロタルサイト類が挙げられ、何れもポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを包装材料として使用した場合、内容物中に溶出して汚染原因となる。メタロセン系触媒で重合されたポリエチレンは、これらの中和剤や酸化防止剤を必要とせず、無添加のままでポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを包装材料として使用できる。
高分子型帯電防止剤としては、例えば三井・デュポンポリケミカル株式会社製「SD100」、三洋化成工業株式会社製「ペレスタット300」という商品名で市販されている。
ポリエチレン系樹脂組成物に含まれる帯電防止剤の量が5質量%以上であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとした際に帯電防止性能に優れる。30質量以下であれば、優れた帯電防止性能と共に帯電防止剤がポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの加工性に影響を与えない。
見掛け密度が30g/L以上であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとした際に機械的特性に優れる。200g/L以下であれば、優れた機械的特性と共に良好な緩衝性を有するポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを得ることができる。
本実施の形態のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートは、独立気泡率が70%以上であることが必要である。好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
独立気泡率が70%以上であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとした際に緩衝性に優れる。
ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートは、厚さが0.3〜50mmが好ましく、より好ましくは1〜40mm、さらに好ましくは1〜30mmである。
厚さが0.3mm以上であれば、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートとした際に緩衝性に優れる。50mm以下であれば、優れた緩衝性と共に良好な機械的特性を有するポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを得ることができる。
ポリマーブレンドの方法としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、加熱ロール練り機などで溶融混合する方法が挙げられる。
上記各種の添加剤並びに発泡剤をポリエチレン系樹脂組成物に添加する方法として、線状系ポリエチレン(A)及び分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)を混合する際に、予め各種添加剤を線状系ポリエチレン(A)又は分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)に混合して、一旦成形品を作った後に発泡剤を添加する方法、また線状系ポリエチレン(A)及び分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)を混合する際に、予め各種添加剤並びに発泡剤をいっしょに線状系ポリエチレン(A)又は分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)に混合する方法を採用することもできる。
この際の発泡剤としては、例えば二酸化炭素、窒素、アルゴン、空気等の無機ガス発泡剤;プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサン、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン等の揮発性発泡剤である。該発泡剤の添加量としては、本発明のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂組成物100質量%に対し8〜20質量%であることが好ましく、特に10〜15質量%の範囲であることが好ましい。
このポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの製造方法において、押出し時の樹脂温度をポリエチレン系樹脂組成物の融点の−6〜−2℃の範囲となるように2台の押出機からなるタンデム型押出機のシリンダの温度設定をコントロールし、この条件下で押出発泡させることができる。
次に、実施例及び参考例によって本発明を説明する。
(1)密度
JIS−K−7112:1999に準じて測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS−K−7210:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準じて測定した。
(3)分子量分布、換算分子量103以下の占有率
Waters社製150−C ALC/GPCを用い、カラムとしてShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定を行った。溶媒に10ppmのイルガノックス1010を含むトリクロロベンゼンを用いて、140℃で測定する分子量分布測定装置で分子量分布(Mw/Mn)、換算分子量103以下の占有率を求めた。
溶融張力の測定は、東洋精機製作所製 キャピログラフ 1D型の装置を使用し、ノズル径0.770mm、ノズル長50.8mm、190℃の温度で、押出速度6mm/min、23℃の室温下における引取り速度2m/minの条件で行なった。
(5)吸熱ピークの数
DSC(パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7)を用いて測定を行なった。
5〜10mgのポリエチレン系樹脂をアルミニウムパンに挿填し、DSCに設置した後、200℃/分の昇温速度で180℃まで昇温し、180℃で5分間放置する。
その後、10℃/分の降温速度で50℃まで冷却し、再度10℃/分の昇温速度で50℃から150℃まで昇温する手順で昇温/降温操作を行い、2回目の昇温時に観測される吸熱曲線のピーク数を評価した。
ソックスレー抽出器を用い、あらかじめ乾燥した樹脂を約10g秤量し、エタノール400mlで約8時間抽出した。全樹脂に対する抽出率(%)で示す。
(7)シャルピー衝撃強度
JIS−K−7111−1:2006(温度=−25℃)に準じて測定した。
(8)曲げ弾性率
JIS−K−7171:2008に準じて測定した。
(9)見掛け密度
ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートから所定の大きさ(15cm×15cm)に切り取り、その厚みと重量を測定して見掛け密度を得た。
ASTM D−2856に準じて測定を行い、下記式により求めた。
独立気泡率(%)= 〔Vx−(Va×ρf/ρs)〕 ×100
〔Va−(Va×ρf/ρs)〕
Vx:ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの実容積(cm3)
Va:ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの見掛け容積(cm3)
ρf:ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの密度(g/cm3)
ρs:ポリエチレン系樹脂組成物の密度(g/cm3)
ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートから所定の大きさ(15cm×15cm)に切り取り、その中心に各辺に平行となる各々長さ10cmの直交した標線を書き、このサンプルを100℃の熱風循環オーブンに入れ、2時間加熱後、取出し、室温になるまで自然冷却する。この加熱処理サンプルの各標線長さ並びに厚みを測定して加熱収縮率を算出した。以下の評価基準で評価した。
○:各標線の加熱収縮率が2%以下、かつ厚さ方向の加熱収縮率が5%以下の場合。
×:各標線の加熱収縮率が2%を超えたか、若しくは厚さ方向の加熱収縮率が5%を超えた場合。
ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートから所定の大きさ(15cm×15cm)に切り取り、それを手で引裂いた。以下の評価基準で評価した。
○:容易に避けない。
×:容易に避ける。
(13)汚染性評価
液晶用ガラス基板(100mm×100mm×0.7mm)と、同サイズのポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを平置きの状態で交互に5枚積層し、加圧用冶具を用いて上方より2kg/cm2の加重をかけた状態で温度40℃、湿度90%RHの環境下に14日間放置して加速試験を行った。ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを取り除いてガラス表面のくもり発生(汚染)を肉眼で評価した。以下の評価基準で評価した。
○:くもりなし。
×:ガラス基板を光に透かし、わずかなくもりあり。
(14)表面抵抗率
JIS−K−6911−1:1995(印加電圧500V)に準じて測定した。
[メタロセン担持触媒[I]の調製]
シリカQ−6[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.85mmol/g−SiO2であった。容量1.8リットルのオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800ml中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/リットル)を80ml加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がトリエチルアルミニウムによりキャッピングされている成分[IV]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー880mlを得た。
ボレートを含むこの反応混合物46ccを、上記で得られた成分[IV]のスラリー800ccに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上記で得られた成分[V]のうち32ccを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されているメタロセン担持触媒[I]を得た。
有機マグネシウム化合物[III−1]として、AlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[III−2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
200ccのフラスコにヘキサン40ccとAlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40ccを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
(A−1) 上記により得られたメタロセン担持触媒[I]と液体助触媒成分[II]は、触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素を接触させて重合反応器に導入し、溶媒としてノルマルヘキサン、モノマーとしてエチレンを用いた。ここで溶媒として使用するノルマルヘキサン中には、不純物量(溶媒であるノルマルヘキサンを蒸発乾燥して、残った残留分を元のノルマルヘキサン重量で割った値)が0.8質量%含まれていた。反応温度は75℃としてエチレン、水素の混合ガス(ガス組成は、水素とエチレン+水素のモル比が0.48%を維持できるように調節)を全圧が0.8MPaで、線状系ポリエチレン(A)であるエチレン単独重合体を重合により調製した。得られた線状系ポリエチレン(A−1)であるエチレン単独重合体のパウダーは、中和剤や酸化防止剤などの添加剤を一切使用せずに、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35)の二軸押出成形機を利用し、220℃の温度で溶融混錬して造粒した。該ポリエチレンは、密度が966kg/m3、MFRが7.3g/10分、ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定による分子量分布(Mw/Mn)が3.5、換算分子量103以下の占有率が0.3%であった。
(B)公知のオートクレーブタイプリアクターでエチレンとα−オレフィンをラジカル重合して、密度918kg/m3、MFR2.0g/10分である分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)を得た。
密度966kg/m3、MFR7.3g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が3.5の線状系ポリエチレン(A)80質量%及び密度918kg/m3、MFR2.0g/10分の分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)20質量%の割合で混合したポリエチレン系樹脂組成物に、中和剤や酸化防止剤などの添加剤を一切使用せずに、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35)の二軸押出成形機を利用し、220℃の温度で溶融混錬して造粒した。得られたポリエチレン系樹脂組成物の密度954kg/m3、MFR5.1g/10分、溶融張力は、22mN、DSCによる吸熱ピークの数は一つであった。スリップ剤、酸化防止剤および充填剤のいずれについても含有率は0.001質量%以下であった。また、このポリエチレン系樹脂組成物を基材として、エタノール抽出量は0.05質量%、シャルピー衝撃強度は、−25℃において4.3KJ/m2、曲げ弾性率は、840MPaであった。そのポリエチレン系樹脂組成物を90質量%、ペレスタット300(三洋化成社製)5質量%、気泡調整剤マスターバッチ(三協化成製セルマイクMB1023)0.5重量部をφ90mm−φ150mmのタンデム押出機のφ90mmの第一押出機に供給し、押出機内で溶融した後、押出機途中から発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=95/5(モル比))を12質量%圧入し、混練した後、φ150mmの第二押出機で発泡に適する温度域(125℃)まで冷却し、出口直径が145mmの環状ダイスより大気中に押出発泡した。
密度966kg/m3、MFR7.3g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が3.5、溶融張力が0.3mNである線状系ポリエチレン(A)のみであり、分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)をブレンドしない以外は、実施例1と同様に行なったが、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートが得られなかった。
<樹脂サンプル作製>
[エチレン単独重合体の製法]
(1)固体触媒成分[A]の調製
充分に窒素置換された200mlのステンレス製オートクレーブに組成式AlMg6(C4H9)12(OC3H7)3で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液40ml(アルミニウムとマグネシウムの総量として37.8mmol相当)を仕込み、25℃で攪拌しながらメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mlを30分かけて滴下した。滴下後、80℃に昇温し、3時間攪拌しながら反応させることにより、チタン化合物と接触させる有機マグネシウム化合物を得た。
充分に窒素置換された8Lのステンレス製オートクレーブにヘキサン2400mlを仕込み、−5℃で攪拌しながら、組成式AlMg6(C4H9)12(OC3H7)3で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1300ml(マグネシウム521mmol相当)と0.5mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液1300mlとを、2時間かけて同時に滴下した。滴下後、さらに10℃で1時間攪拌しながら熟成させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン3000mlでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A]を調製した。
容積230Lの重合器で重合した。重合温度は86℃、重合圧力は0.97MPaである。この重合器に合成したチーグラーナッタ触媒を0.3g/hrの速度で、トリイソブチルアルミニウムを24mmol/hr、ノルマルヘキサンは52L/hrの速度で導入した。これにエチレン、水素の混合ガス(ガス組成は、水素とエチレン+水素のモル比が46%を維持できるように調節)を導入して重合した。得られたエチレン単独重合体のパウダーは密度が966kg/m3、MFRが6.9g/10分、ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定による分子量分布(Mw/Mn)が8.4、換算分子量103以下の占有率が2.2%であった。
上記の線状系ポリエチレンを使用した以外は、実施例1と同様にポリエチレン系樹脂組成物を作成したが、ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートは得られなかった。
Claims (6)
- 見かけ密度30g/L〜200g/L、独立気泡率70%以上のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートであって、該発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂組成物の密度が935〜970kg/m3、−25℃におけるシャルピー衝撃強度が3.0KJ/m2以上、曲げ弾性率が400MPa以上、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーより得られる換算分子量103以下の占有率が全体の1.0重量%以下、スリップ剤、酸化防止剤および充填剤のいずれについても含有率が0.001質量%以下であることを特徴とするポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シート。
- ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂組成物において、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜20g/10分、190℃での溶融張力が15mN以上、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つであることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シート。
- ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂組成物において、下記(a−1)〜(a−5)の要件を満たす線状系ポリエチレン(A)90〜40質量%と、下記(b−1)〜(b−3)の要件を満たす分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)10〜60質量%とを含むことを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シート。
(a−1)エチレン単独重合体又はエチレン単位と1又は2種以上の炭素数3〜20のα−オレフィン単位とからなる共重合体である。
(a−2)少なくとも(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒[I]と、液体助触媒成分[II]を用いて重合してなるものである。
(a−3)密度が935〜975kg/m3である。
(a−4)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜20g/10分である。
(a−5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求められるMw/Mnが、3〜7である。
(Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量であり、Mw/Mnは分子量分布である。)
(b−1)密度が910〜930kg/m3である。
(b−2)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である。
(b−3)190℃での溶融張力が20mN以上である。 - ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの表面抵抗率が、1.0×108〜1.0×1014Ωであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シート。
- ポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂組成物において、ポリエチレン系樹脂組成物が高分子型帯電防止剤を5〜30質量%含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シート。
- ポリエチレン系樹脂組成物にガス系発泡剤を8〜20質量%の範囲で含浸させ、押し出し時の樹脂温度をポリエチレン系樹脂組成物の融点の−6〜−2℃の範囲とした条件下で押出発泡させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂製無架橋押出発泡シートの製造方法。
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