JP5334235B2 - ポリマーブレンド系ポリエチレン系樹脂組成物からなる給水用またはガス輸送用パイプ - Google Patents
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Description
詳しくは、押出し加工性がよく、また柔軟性、光沢性が良好で、特に気圧または水圧下での耐久安定性に優れたガス輸送用パイプ、給水用パイプを提供するポリマーブレンド系ポリエチレン系樹脂組成物に関するものである。
上述の望ましい特性に加えてポリエチレンパイプ類は、設置時および設置後に与えられる衝撃に充分耐えられる耐衝撃性、および気圧または水圧下での優れた長期耐久性を必要としている。
ポリエチレンパイプの柔軟化には、ベース樹脂となる高密度ポリエチレン(HDPE)の平均密度を下げることで達成できることが一般に知られている。例えば、中低圧法ポリエチレン(HDPE)をベース樹脂として高圧法ポリエチレン(LDPE)をポリマーブレンドした架橋ポリエチレンパイプに関する技術が開示されている(特許文献1)。しかしながら、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド系は非相溶であり、両者の結晶状態が相分離(非特許文献1)することから、長期耐久性能が懸念される。
(1)下記(A−1)〜(A−4)の要件を満たし、下記メタロセン担持触媒[I]と液体助触媒成分[II]を用いて重合してなる線状系ポリエチレン(A)95〜65重量%と下記(B−1)〜(B−2)の要件を満たす分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)5〜35重量%を含むポリエチレン系樹脂組成物であって、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートについて、(A)のメルトフローレートに対する(B)のメルトフローレートの比が1〜20であることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物からなる、給水用またはガス輸送用パイプ。
(A−1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である。
(A−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定において、logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C)が3〜25である。
(A−3)密度が925〜950kg/m3である。
(A−4)メルトフローレートが0.1〜10g/10分である。
(B−1)密度が910〜930kg/m3である。
(B−2)メルトフローレートが0.1〜50.0g/10分である。
メタロセン担持触媒[I]は
(ア)無機酸化物であるSiO 2 、
(イ)トリアルキルアルミニウム、
(ウ)下記の一般式(6)で表される環状η結合性アニオン配位子を有するチタン化合物、
pは0、1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXは各々独立にメチル基またはヒドロベンジル基である。また、pが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXが2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基であるか、或いはMの酸化数が+4であり、かつXが2−ブテン−1,4−ジイルである。また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX' は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。)
(エ)下記の一般式(9)で表されるチタン化合物と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化剤、
から調製される。
液体助触媒成分[II]は、
[III−1]下記(10)式で示される有機溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物、
[III−2]下記(11)式で示される構成単位を有するシロキサン化合物、
から調製される。
(2)線状系ポリエチレン(A)がエチレンと1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンからなる群より選ばれる少なくとも一種のα−オレフィンとからなる共重合体である(1)に記載のポリエチレン系樹脂組成物からなる、給水用またはガス輸送用パイプ。
(3)密度920〜940kg/m3、メルトフローレート0.1〜10g/10分であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のポリエチレン系樹脂組成物からなる、給水用またはガス輸送用パイプ。
本発明は、線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)とからなるポリマーブレンド系ポリエチレン系樹脂組成物およびその給水用パイプ、ガス輸送用パイプである。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物に用いられる線状系ポリエチレン(A)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である。エチレンと共重合させる炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、6−メチル−ヘプテン−1などが挙げられる。中でも、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1が好ましい。また、これらのα−オレフィンを2種類以上組合せたエチレンとの共重合体であってもよい。さらにまた、エチレンと所定のα−オレフィンの共重合体と別のα−オレフィンとの共重合体を任意の比率でドライブレンド、あるいはメルトブレンドしたものであってもよい。
短鎖分岐数:nが25を超える場合は、ベース樹脂である線状系ポリエチレン(A)の密度が低下してパイプの剛性、耐水圧性能が低下し、不足する傾向にある。また、logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C)が分子量によらず均等である。
さらにFT−IRは、検出器パーキンエルマー(株)社製FT−IR17600Xを設置してα−オレフィンに帰属されるメチル基の吸光度(吸収波数:2960cm−1)を測定して「高分子分析ハンドブック(朝倉書店発行)」に記載の方法で換算して短鎖分岐数n(n/1000C)を求めた。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物の密度は、925〜950kg/m3、好ましくは940〜950kg/m3である。密度が925kg/m3未満では、パイプの剛性、耐水圧性能が低下し、不足する傾向にあるため好ましくない。一方、950kg/m3 を超えるとパイプの剛性が増大し、柔軟性が低下するのに伴い可とう性が損なわれる傾向にあるため好ましくない。よって、耐水圧性能と柔軟性とを両立させた上記の密度範囲が好ましい。
本発明の線状系ポリエチレン(A)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、ポリエチレン主鎖中にエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン共重合体が分子量に因らず均一に分布した構造に起因していることから本発明の課題が達成されるものである。
担体物質(ア)としては、有機担体、無機担体のいずれでもよい。有機担体としては、好ましくは(1)炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体、例えば、エチレン樹脂や、プロピレン樹脂、ブテン−1樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン−1共重合体樹脂、プロピレン−ブテン−1共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン−1共重合体等、(2)芳香族不飽和炭化水素共重合体、例えば、スチレン樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂等、および(3)極性基含有重合体樹脂、例えば、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、アミド樹脂、カーボネート樹脂等が挙げられる。
担体の粒子径は任意であるが、一般的には1〜3000μm、粒子の分散性の見地から、粒子形分布は好ましくは10〜1000μmの範囲内である。
その他の有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキメチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライドなどのセスキアルキルハロゲノアルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドなどを挙げることができる。これらの中で最も好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドである。
又、Lは環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立にシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、またはオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビ基、ヒドロカルビオルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8の置換基を任意に有していてもよく、さらには2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカルバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、ジラジイル、ハロシラジイル、アミノシランなどの2価の置換基により結合されていてもよい。
Xは各々独立に、60個までの非水素原子を有する、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、またはM及びLに各々l個ずつの価数で結合する2価のアニオンσ結合型配位子である。
X' は各々独立に、炭素数4乃至40からなるフォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び/又は共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。
又、lは1または2の整数である。pは0、1又は2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子又はM及びLに各々1個ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl以上少なく、またはXがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl+1以上少ない。又、qは0、1または2である。遷移金属化合物としては上記式(1)でl=1の場合が好ましい。
例えば、遷移金属化合物の好適な例は、下記式(2)で表される。
また、R3 は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができる。
又、近接するR3 同士がヒドロカルバジイル、ジラジイル、またはゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
X" は各々独立にハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、またはシリル基であり、各々20までの非水素原子を有しており、また2つのX" が炭素数5〜30の中性共役ジエン、もしくは2価の誘導体を形成してもよい。
Yは、−O−、−S−、−NR*−、−PR*−であり、ZはSiR* 2、CR* 2、SiR* 2SiR* 2、CR* 2CR*2、CR*=CR*、CR* 2SiR* 2またはGeR* 2であり、ここでR*は各々独立に炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基である。又、nは1乃至3の整数である。
さらに、遷移金属化合物として、より好適な例は、下記式(3)および下記式(4)で表される。
Z、Y、X及びX' の定義は前出のとおりである。pは0,1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXはハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基またはこれらの複合基であり、20個までの非水素原子を有している。
また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX' は中性の共役或いは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素で置換されていてもよく、又該X' は40までの炭素原子を含み得るものであり、Mとπ型錯体を形成している。
さらに、本発明において、遷移金属化合物として最も好適な例は、下記式(5)及び下記式(6)で表される。
また、pが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXが2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基であるか、或いはMの酸化数が+4であり、かつXが2−ブテン−1,4−ジイルである。
また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX' は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
また、メタロセン触媒は(エ)遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤を含む。通常メタロセン触媒においては、遷移金属化合物と上記活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。
活性化剤としては例えば、下記式(7)で表される化合物があげられる。
活性化剤のより好ましい例は下記式(8)で表される化合物である。
又、mは1乃至7の整数であり、wは0乃至7の整数でありuは0または1の整数であり、rは1乃至3の整数であり、zは1乃至8の整数であり、w+z−m=dである。
活性化剤のさらに好ましい例は下記式(9)で表される化合物である。
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンの具体例としては、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHRで置き換えられたボレートが挙げられる。ここでRは、好ましくはメチル基、エチル基またはtert−ブチル基である。
本発明においては、液体助触媒成分[II]は下記の式(10)で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物[III−1]とアミン、アルコール、シロキサン化合物から選ばれる化合物[III−2]との反応によって合成される、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物である。
〔式中、M1は周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、R4およびR5は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、a、b、c、dは次の関係を満たす実数である。0≦a、0<b、0≦c、0≦d、c+d>0、e×a+2b=c+d(ただし、eはM1の原子価)〕
本発明において、液体助触媒成分[II]は不純物のスカベンジャーとして用いられる。この液体助触媒成分[II]は、高濃度であっても重合活性を低下させることが少なく、したがって広い濃度範囲で高い重合活性を発現させることができる。このため液体助触媒成分[II]を含むオレフィン重合用触媒は、重合活性の制御が容易である。
有機マグネシウム化合物[III−1]は上記の(10)式で表される。なお、上記の(10)式中では炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、(R4)2Mgおよびこれらと他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号a、b、c、dの関係式e×a+2b=c+dは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
金属原子M1に対するマグネシウムのモル比b/aには特に制限はないが、0.1以上50以下の範囲が好ましく、0.5以上10以下の範囲がさらに好ましい。また、a=0の場合には、有機マグネシウム化合物[III−1]が炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物であることが好ましく、上記の式(10)のR4、R5が次に示す三つの群(イ)、(ロ)、(ハ)のいずれか一つであることがさらに好ましい。
(ロ)R4、R5が炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR4が炭素原子数2または3のアルキル基であり、R5が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(ハ)R4、R5の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR4、R5が共に炭素原子数6以上のアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。
この化合物は、アミン、アルコール、シロキサン化合物からなる群に属する化合物である。
本発明においては、アミン化合物には特に制限はないが、脂肪族、脂環式ないし芳香族アミンが好ましい。具体的には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン等が挙げられる。
本発明においては、シロキサン化合物には特に制限はないが、下記の式(11)で表される構成単位を有するシロキサン化合物が好ましい。
本発明においては、このシロキサン化合物として、対称ジヒドロテトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、ペンタメチルトリヒドロトリシロキサン、環状メチルヒドロテトラシロキサン、環状メチルヒドロペンタシロキサン、環状ジメチルテトラシロキサン、環状メチルトリフルオロプロピルテトラシロキサン、環状メチルフェニルテトラシロキサン、環状ジフェニルテトラシロキサン、(末端メチル封塞)メチルヒドロポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、(末端メチル封塞)フェニルヒドロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが好ましい。
一方で上記範囲外であると、密度が920kg/m3 未満では、柔軟ではあるがパイプの剛性、耐水圧性能が低下し、密度が940kg/m3を超えると剛性、耐水圧性能は十分ではあるが柔軟性が不足するため配管施工性が悪い傾向にあるため好ましくない。また、MFRが0.1g/10分未満ではメルトフラクチャーが発生しやすく押出し成型加工性に劣り、MFRが10g/10分を超えると長期耐久性能が低下する。
さらに具体的にはジラウリルチオプロピオネート、ジミリスチルチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレート等が挙げられる。
具体的な化合物名を挙げると、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシュウムオレイン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどである。
尚、本発明のポリエチレン系樹脂組成物には、上記の添加剤以外に有機あるいは無機顔料、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を必要に応じて添加することができる。
上記の各種の添加剤を添加する方法として、線状系ポリエチレン(A)及びあるいは分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)の製造時に予め添加剤を混合する方法を採用することもできる。
まず、実施例及び比較例において採用した物性測定方法及び評価方法について述べる。
(1)密度
JIS−k−7112:1999に準じて測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS−k−7210:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準じて測定した。
(3)短鎖分岐数
ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定を行った。
Waters社製150−C ALC/GPCを用いた。
カラムとしてはShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、溶媒に10ppmのイルガノクス1010を含むトリクロロベンゼンをもちいて、140℃で測定する分子量分布測定装置に検出器パーキンエルマー(株)社製FT−IR17600Xを設置してα−オレフィンに帰属されるメチル基の吸光度(吸収波数:2960cm−1)を測定して「高分子分析ハンドブック(朝倉書店発行)1985年版」に記載の方法で換算して短鎖分岐数n を求めた。
(4)引張弾性率(柔軟性)
JIS−K−7161に準じて行ない、次のように評価した。
○:引張弾性率が50MPa以下の場合。
×:引張弾性率が50MPaを超える場合。
JIS−K−7151法に準拠して5mmの厚みのプレスシートを成型し、そのシートから試験片(110mm*6mm)を切削加工し、この試験片に約0.5mm深さのノッチを全周に入れた。
上記ノッチ入り試験片を、温水中に浸漬し、サンプルに応じて引張応力が5〜8MPaとなるように、荷重を印加した。
○:破壊時間が500時間以上で引張応力が5MPa以上の場合。
×:破壊時間が500時間未満の場合もしくは500時間以上で引張応力が5MPa未満の場合
(6)パイプ押出し成型性
ポリエチレン系樹脂組成物をReifenhauser社製単軸押出し機 RH501(スクリュー径50mm、L/D=30)と管状ダイを組合せてポリエチレン系樹脂組成物を管状に押し出し真空成型、冷却を経て、外径約32mm、肉厚約3mmのパイプを得た。以下の評価基準で評価した。
○:パイプの肉厚に凹凸がなく、パイプ表面外観が目視にて良好な場合。
×:パイプが柔らかく蛇行した場合、パイプの肉厚に凹凸が生じパイプ表面外観が目視にて不良な場合。
(7)パイプの光沢
蛍光灯がついている部屋で、蛍光灯が上からパイプ表面に写りこむ(反射する)ようにし、表示部分を斜めから見て蛍光灯の像がゆがむ個所で反射光の強さを目視で観察して、以下の評価基準で評価した。
◎(最良好):反射光が明るく像がはっきりしている。
○(良好) :反射光が明るい。
×(不良) :反射光が暗い。
[メタロセン担持触媒[I]の調製]
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiO2であった。容量1.8リットルのオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800cc中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/リットル)を60cc加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がつぶされている成分[IV]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800ccを得た。
有機マグネシウム化合物[III−1]として、AlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[III−2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
200ccのフラスコにヘキサン40ccとAlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40ccを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
上記により得られたメタロセン担持触媒[I]と液体助触媒成分[II]は触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素を接触させて重合反応器に導入し、溶媒としてヘキサン、モノマーとしてエチレン及びブテン−1を用いた。反応温度は70℃としてエチレン、ブテン−1、水素の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.36、水素とエチレン+水素のモル比が0.0025を維持できるように調節)を全圧が0.8MPaで線状系ポリエチレン(A)であるエチレンとα−オレフィンとの共重合体を重合した。得られた線状系ポリエチレン(A)であるエチレン−ブテン−1共重合体は密度が941kg/m3、MFRが2.5g/10分であった。短鎖分岐数の測定(ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定)により、logMwと分子量分布(%)、短鎖分岐数n:(n/1000C)の関係のグラフを図1に示す。
公知の高圧ラジカル重合法より調製し、密度922kg/m3、MFR7.0g/10分である分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)を得た。
エチレン−ブテン−1共重合体で密度941kg/m3、MFR2.5g/10分の線状系ポリエチレン(A)および密度922kg/m3、MFR7.0g/10分の分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)をそれぞれ所定の割合で混合したポリマーブレンド物100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤としてn−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートを0.1重量部、リン系熱安定剤としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイトを0.1重量部、ステアリン酸カルシウムを0.15重量部をそれぞれ配合し、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35)の二軸押出成型機を利用し、200℃の温度で溶融混錬して造粒した。得られたポリエチレン系樹脂組成物をReifenhauser社製単軸押出し機 RH501(スクリュー径50mm、L/D=30)と管状ダイを組合せてポリエチレン系樹脂組成物を管状に押し出し真空成型、冷却を経て、外径約32mm、肉厚約3mmのパイプを得た。
本実施例に使用した線状系ポリエチレン(A)、分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)、ポリエチレン系樹脂組成物およびポリエチレンパイプの評価結果を表1に示した。
線状系ポリエチレン(A)のみであり、分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)をブレンドしない以外は、実施例1〜実施例2と同様にポリエチレン系樹脂組成物ならびにポリエチレンパイプを得て、それを評価した。評価結果を表1に示した。
Claims (3)
- 下記(A−1)〜(A−4)の要件を満たし、下記メタロセン担持触媒[I]と液体助触媒成分[II]を用いて重合してなる線状系ポリエチレン(A)95〜65重量%と下記(B−1)〜(B−2)の要件を満たす分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)5〜35重量%を含むポリエチレン系樹脂組成物であって、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートについて、(A)のメルトフローレートに対する(B)のメルトフローレートの比が1〜20であることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物からなる、給水用またはガス輸送用パイプ。
(A−1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である。
(A−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定において、logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C)が3〜25である。
(A−3)密度が925〜950kg/m3である。
(A−4)メルトフローレートが0.1〜10g/10分である。
(B−1)密度が910〜930kg/m3である。
(B−2)メルトフローレートが0.1〜50.0g/10分である。
メタロセン担持触媒[I]は
(ア)無機酸化物であるSiO 2 、
(イ)トリアルキルアルミニウム、
(ウ)下記の一般式(6)で表される環状η結合性アニオン配位子を有するチタン化合物、
pは0、1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXは各々独立にメチル基またはヒドロベンジル基である。また、pが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXが2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基であるか、或いはMの酸化数が+4であり、かつXが2−ブテン−1,4−ジイルである。また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX' は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。)
(エ)下記の一般式(9)で表されるチタン化合物と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化剤、
から調製される。
液体助触媒成分[II]は、
[III−1]下記(10)式で示される有機溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物、
[III−2]下記(11)式で示される構成単位を有するシロキサン化合物、
から調製される。 - 線状系ポリエチレン(A)がエチレンと1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンからなる群より選ばれる少なくとも一種のα−オレフィンとからなる共重合体である請求項1に記載のポリエチレン系樹脂組成物からなる、給水用またはガス輸送用パイプ。
- 密度が920〜940kg/m3、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂組成物からなる、給水用またはガス輸送用パイプ。
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