JP5329922B2 - シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物及びその架橋成型体 - Google Patents

シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物及びその架橋成型体 Download PDF

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Description

本発明は、シート、パイプ、チューブ、ホース等の押出し成型体を製造するためのシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物及びその架橋成型体に関するものである。
より詳しくは、本発明は、押出し加工性がよく、柔軟性を改良し、特に高温時の温水圧下での耐久安定性に優れ、しかも光沢性が良好な給水・給湯用、床暖房用及びロードヒーティング用に好適に用いられるシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物及びこれを成型して得られる架橋パイプに関するものである。
従来より、給水・給湯用、床暖房用及びロードヒーティング用等の温水パイプ用途には、パイプの柔軟性及び長期耐久性等の面から、特殊なポリエチレンパイプが使用されている。上記温水用途のポリエチレンパイプは、特に長期温水使用下でのクリープ強度が要求されており、このクリープ強度を満足する為にポリエチレンを架橋処理したパイプが使用されている。中でも、床暖房用途に使用される架橋ポリエチレンパイプは可撓性が必要なことから、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)をベース樹脂としている。しかしながら、これは常温での機械強度は優れているものの高温使用時における機械強度がやや劣るという欠点があり、特に耐クリープ性能に問題があった。
給水・給湯管用としては、要求耐圧が高いため、ポリエチレンの中でも高密度ポリエチレン(HDPE)材料が剛性の面でベース樹脂として使用されている。しかしながら、HDPEは柔軟性が不足しており可撓性が低いため、床暖房用途に使用するにはさらなる柔軟性が要求される。
ポリエチレンパイプの柔軟化は、ベース樹脂となる高密度ポリエチレン(HDPE)の平均密度を下げることで達成できることが一般に知られている。例えば、特許文献1には、中低圧法ポリエチレン(HDPE)をベース樹脂として高圧法ポリエチレン(LDPE)をポリマーブレンドした架橋ポリエチレンパイプに関する技術が開示されている。
また、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド系を、包装用フィルム(特許文献2)・シュリンクフィルム(特許文献3、特許文献4)・押出しコーテイング(特許文献5)に適用した例が開示されている。
特公昭63−58090号公報 特開平10−53225号公報 特開昭61−3728号公報 特開2004−51831号公報 特表2007−502881号公報 東京化学同人 出版 「ポリマーアロイとポリマーブレンド」 L.A.UTRACKI著、西 敏夫訳、1991年12月6日 第1版発行、p.75
しかしながら、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド系は非相溶であり、両者の結晶状態が相分離する(非特許文献1参照)ことから、長期耐久性能が懸念される。また、これらのポリマーブレンドを、剛性や長期耐久性能を必要とする構造体、押出し加工成型品に適用された例は見当たらない。
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたものであって、押出し加工性がよく、柔軟性を改良し、特に高温時の温水圧下での機械強度を改善して耐久安定性に優れ、しかも光沢性が良好なシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物、及びその組成物から得られる架橋成型体、並びに給水・給湯用、床暖房用及びロードヒーティング用架橋パイプを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、押出し加工性がよく、柔軟性を改良し、特に高温時の温水圧下での機械強度を改善して耐久安定性に優れ、しかも光沢性が良好な優れた給水・給湯用、床暖房用及びロードヒーティング用架橋パイプを得ることができるシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物を開発するために鋭意研究を重ねた結果、それぞれ特定の物性を有する線状系ポリエチレンと分岐状高圧法低密度系ポリエチレンとを特定の比率で配合することで、上記の目的に適合する樹脂組成物が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
下記(a−1)〜(a−4)の要件を満たす線状系ポリエチレン(A)90〜65質量%と、
(a−1)エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である;
(a−2)密度が925〜975kg/m3である;
(a−3)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分である;
(a−4)ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定において、分子量分布:Mw/Mnが3〜7である;
(ここで、Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量)
下記(b−1)〜(b−2)の要件を満たす分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)10〜35質量%と、
(b−1)密度が910〜930kg/m3である;
(b−2)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分である;
を含むポリエチレン系樹脂組成物であって、下記式(1)
(ポリエチレン系樹脂組成物成型体の引張り伸び)≧〔(線状系ポリエチレン(A)成型体の引張り伸び)×x/100+(分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)成型体の引張り伸び)×(100−x)〕×90/100・・・(1)
(ここで、xは95〜5であり、線状系ポリエチレン(A)の組成量を示す。)
を満たし、且つ
190℃、2.16kg荷重における、前記(A)成分のメルトフローレートに対する前記(B)成分のメルトフローレートの比が1〜20である、ポリエチレン系樹脂組成物100質量部と、
有機過酸化物0.005〜5質量部と、
有機不飽和シラン化合物0.1〜10質量部と、
を含む、シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物。

シラノール縮合触媒で架橋された、上記[1]記載のシラン変性用ポリエチ
レン系樹脂組成物。

前記線状系ポリエチレン(A)は、
少なくとも(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)前記環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤、から調製されるメタロセン担持触媒[I]と、
液体助触媒成分[II]と、
を用いて重合してなるものである、上記[1]又は[2]に記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物。

上記[1]〜[]のいずれか記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物をシラングラフト変性したシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物。

上記[1]〜[]のいずれか記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物又は上記[]記載のシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物から得られる架橋成型体。

架橋シート、架橋パイプ、架橋チューブ、架橋ホースから選ばれるいずれか1つである、上記[]記載の架橋成型体。

給水・給湯用架橋パイプ、床暖房用架橋パイプ、ロードヒーティング用架橋パイプから選ばれるいずれか1つである、上記[]記載の架橋成型体。
本発明により、押出し加工性がよく、柔軟性を改良し、特に高温時の温水圧下での機械強度を改善して耐久安定性に優れ、しかも光沢性が良好な、優れたシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物及びそのシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物からなる給水・給湯用、床暖房用及びロードヒーティング用架橋パイプを得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物は、
下記(a−1)〜(a−4)の要件を満たす線状系ポリエチレン(A)90〜65質量%と、
(a−1)エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である;
(a−2)密度が925〜975kg/m3である;
(a−3)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分である;
(a−4)ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定において、分子量分布:Mw/Mnが3〜7である;
(ここで、Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量)
下記(b−1)〜(b−2)の要件を満たす分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)10〜35質量%と、
(b−1)密度が910〜930kg/m3である;
(b−2)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分である;
を含むポリエチレン系樹脂組成物であって、下記式(1)
(ポリエチレン系樹脂組成物成型体の引張り伸び)≧〔(線状系ポリエチレン(A)成型体の引張り伸び)×x/100+(分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)成型体の引張り伸び)×(100−x)〕×90/100・・・(1)
(ここで、xは95〜5であり、線状系ポリエチレン(A)の組成量を示す。)
を満たし、且つ
190℃、2.16kg荷重における、前記(A)成分のメルトフローレートに対する前記(B)成分のメルトフローレートの比が1〜20である、ポリエチレン系樹脂組成物100質量部と、
有機過酸化物0.005〜5質量部と、
有機不飽和シラン化合物0.1〜10質量部と、
を含む。
なお、本明細書中、用語「シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物」とは、有機不飽和シラン化合物によりグラフト変性される前の樹脂組成物を、用語「シラン変性ポリエチレン系樹脂組成物」とは、有機不飽和シラン化合物によりグラフト変性された後の樹脂組成物をそれぞれ示す。
[線状系ポリエチレン(A)]
本実施の形態のポリエチレン系樹脂組成物に含まれる線状系ポリエチレン(A)は、下記(a−1)〜(a−4)の要件を満たすものである。
(a−1)エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である;
(a−2)密度が925〜975kg/m3である;
(a−3)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分である;
(a−4)ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定において、分子量分布:Mw/Mnが3〜7である;
(ここで、Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量)
以下、各要件について説明する。
線状系ポリエチレン(A)は、(a−1)エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である。エチレンと共重合させる炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、6−メチル−ヘプテン−1等が挙げられる。中でも、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1が好ましい。また、エチレンと、これらのα−オレフィンを2種類以上組合せたものからなる共重合体であってもよい。さらには、エチレンと所定のα−オレフィンの共重合体と、エチレンと別のα−オレフィンとの共重合体を任意の比率でドライブレンド、或いはメルトブレンドしたものであってもよい。
線状系ポリエチレン(A)は、(a−2)密度が、925〜975kg/m3であり、好ましくは930〜940kg/m3である。密度が925kg/m3未満であると、パイプの剛性及び耐水圧性能が低下する傾向にあり、975kg/m3を超えると、パイプの剛性が増大し、柔軟性が低下するのに伴い可撓性が損なわれる傾向にある。よって、耐水圧性能と柔軟性とを両立させる観点から、上記の密度範囲であることが好ましい。
線状系ポリエチレン(A)は、(a−3)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(以下、MFRと略す。)が0.1〜50g/10分であり、好ましくは1.0〜10g/10分であり、より好ましくは2.0〜5.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満であると、メルトフラクチャーが発生しやすく押出し成型加工性に劣る傾向にあり、50g/10分を超えると、長期耐久性能が劣る傾向にある。
線状系ポリエチレン(A)は、(a−4)ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定において、分子量分布:Mw/Mnが3〜7であり、より好ましくは3〜5の範囲である(ここで、Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量)。線状系ポリエチレン(A)の分子量分布:Mw/Mnが7を超える場合は、線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)とのポリマーブレンドにおいて、従来のチーグラーナツター触媒を用いて重合されたエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体の場合と同様に非相溶状態となり、両者の結晶状態が相分離すると推定されるため、結果的に、長期耐久性能が低下してパイプの剛性及び耐水圧性能が低下する傾向にある。
ここで、ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定は、Waters社製150−C ALC/GPC装置、カラムとしてはShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、溶媒に10ppmのイルガノックス1010を含むトリクロロベンゼンを用いて、140℃での分子量分布を測定する。
次に、線状系ポリエチレン(A)の製造方法について説明する。線状系ポリエチレン(A)の製造方法は特に限定されるものではないが、メタロセン担持触媒[I]を予め水素と接触させた後、液体助触媒成分[II]と共に重合反応器へ導入し、エチレン単独の重合或いはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合を行うことによって得ることができる。重合法は公知の各種方法を使用でき、例えば、不活性ガス中での流動床式気相重合或いは攪拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合等が挙げられ、中でも、不活性溶媒中でのスラリー重合が好ましい。
また、線状系ポリエチレン(A)を製造する際には、以下に記載するメタロセン担持触媒[I]及び液体助触媒成分[II]からなるオレフィン重合用触媒を使用することが好ましい。
メタロセン担持触媒[I]としては、(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)前記環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤、から調製されたメタロセン担持触媒を用いるのが好ましい。ここで、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物中の遷移金属としてはチタニウムが好ましい。
次に、本実施の形態におけるメタロセン担持触媒[I]の調製方法について説明する。(ア)担体物質としては、有機担体、無機担体のいずれでもよい。有機担体としては、好ましくは、(1)炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体:例えば、エチレン樹脂、プロピレン樹脂、ブテン−1樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン−1共重合体樹脂、プロピレン−ブテン−1共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン−1共重合体等、(2)芳香族不飽和炭化水素共重合体:例えば、スチレン樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂等、(3)極性基含有重合体樹脂:例えば、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、アミド樹脂、カーボネート樹脂等が挙げられる。無機担体としては、(4)無機酸化物:例えば、SiO2、Al23、MgO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−MgO、SiO2−V25等、(5)無機ハロゲン化合物:例えば、MgCl2、AlCl3、MnCl2等、(6)無機炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩:例えば、Na2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32等、(7)無機水酸化物:例えば、Mg(OH)2、Al(OH)3、Ca(OH)2等が挙げられる。上記の中でも、SiO2が好ましい。
担体物質の粒子径としては、特に限定されないが、通常1〜3000μmであり、粒子形分布としては、粒子の分散性の観点から、好ましくは10〜1000μmの範囲内である。
上記(ア)担体物質は、必要に応じて(イ)有機アルミニウム化合物で処理される。好ましい有機アルミニウム化合物としては、一般式(−Al(R)O−)n(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部がハロゲン原子及び/又はRO基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である。)で示される直鎖状、或いは環状重合体等が挙げられる。具体例としては、Rがメチル基、エチル基、イソブチルエチル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルエチルアルモキサン等が挙げられる。
更に、その他の有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキアルキルハロゲノアルミニウム、アルメニルアルミニウム、ジアルキルハイドロアルミニウム、セスキアルキルハイドロアルミニウム等が挙げられる。その他の有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド等のジアルキルハロゲノアルミニウム;セスキメチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド等のセスキアルキルハロゲノアルミニウム;エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライド等を挙げることができる。これらの中でも、好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドである。
(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005329922
式中、Mは1つ以上の配位子Lとη5結合をしている酸化数+2、+3、+4の長周期型周期律表第4族の遷移金属であり、好ましくはチタニウムである。
Lは環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立に、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、又はオクタヒドロフルオレニル基である。これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビ基、ヒドロカルビオルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8の置換基を任意に有していてもよく、さらには2つのLが、20個までの非水素原子を含むヒドロカルバジイル基、ハロヒドロカルバジイル基、ヒドロカルビレンオキシ基、ヒドロカルビレンアミノ基、ジラジイル基、ハロシラジイル基、アミノシラン基等の2価の置換基と結合していてもよい。
Xは、各々独立に、60個までの非水素原子を有する、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、又はM及びLに各々l個ずつの価数で結合する2価のアニオンσ結合型配位子である。
X’は、各々独立に、炭素数4乃至40からなるフォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び/又は共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。
lは1又は2であり、pは0、1又は2である。また、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子又はM及びLに各々1個ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl以上少なく、XがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl+1以上少ない。qは0、1又は2である。遷移金属化合物としては、上記式(1)においてl=1である化合物が好ましい。
遷移金属化合物の好適な例としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005329922
式中、Mは形式酸化数+2、+3又は+4のチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、好ましくはチタニウムである。
また、R3は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができる。
また、近接するR3同士がヒドロカルバジイル、ジラジイル、又はゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
X’’は、各々独立に、ハロゲン原子、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、又はシリル基であり、各々20個までの非水素原子を有することができる。また2つのX’’が炭素数5〜30の中性共役ジエン、もしくは2価の誘導体を形成してもよい。
Yは、−O−、−S−、−NR*−、又は−PR*−であり、Zは、SiR* 2、CR* 2、SiR* 2SiR* 2、CR* 2CR* 2、CR*=CR*、CR* 2SiR* 2、又はGeR* 2である。ここでR*は、各々独立に、炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基である。また、nは1〜3の整数である。
遷移金属化合物として、より好適な例は、下記式(3)及び下記式(4)で表される化合物である。
Figure 0005329922
Figure 0005329922
式中、R3は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、又はこれらの複合基であり、各々20までの非水素原子を有することができる。また、遷移金属Mは、チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムであり、好ましくはチタニウムである。
Z、Y、X及びX’の定義は上述したとおりである。pは0,1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXはハロゲン原子、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基又はこれらの複合基であり、20個までの非水素原子を有することができる。
また、pが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXはアリル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基、又は2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基から選ばれる安定化アニオン配位子であるか、もしくはMの酸化数が+4であり、且つXが2価の共役ジエンの誘導体であるか、或いはMとXがともにメタロシクロペンテン基を形成している。
さらに、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX’は中性の共役或いは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素で置換されていてもよい。このとき、X’は40個までの炭素原子を含んでいてもよく、Mとπ型錯体を形成している。
遷移金属化合物として、特に好適な例は、下記式(5)及び下記式(6)で表される化合物である。
Figure 0005329922
Figure 0005329922
式中、R3は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。また、Mはチタニウムであり、Yは、−O−、−S−、−NR*−、又は−PR*−であり、Z*は、SiR* 2、CR* 2、SiR* 2SiR* 2、CR* 2CR* 2、CR*=CR*、CR* 2SiR2、又はGeR* 2である。ここでR*は、各々独立に、水素原子、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基又はこれらの複合基である。該R*は20個までの非水素原子を有することができ、また必要に応じてZ*中の2つのR*同士又はZ*中のR*とY中のR*が環状となっていてもよい。
pは0、1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXは各々独立にメチル基又はヒドロベンジル基である。
また、pが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXが2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基であるか、或いはMの酸化数が+4であり、且つXが2−ブテン−1,4−ジイル基である。
また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン基又は1,3−ペンタジエン基である。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
また、メタロセン触媒[I]は、(エ)前記環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤を含む。通常メタロセン触媒においては、遷移金属化合物と上記活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。
活性化剤としては、例えば、下記式(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005329922
式中、[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また[Mmtd-は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5〜15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは、各々独立に、ヒドリド基、ジアルキルアミド基、ハライド基、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、且つハライド基であるQは1個以下である。また、mは1〜7の整数であり、pは2〜14の整数であり、dは1〜7の整数であり、t−m=dである。
活性化剤のより好ましい例は、下記式(8)で表される化合物である。
Figure 0005329922
式中、[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、[Mmw(Gu(T−H)rzd-は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5〜15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは、各々独立に、ヒドリド基、ジアルキルアミド基、ハライド基、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、且つハライド基であるQは1個以下である。また、Gは、M及びTと結合するr+1の価数を有する多価炭化水素基であり、Tは、O、S、NR又はPRであり、ここでRは、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基、もしくは水素原子である。
mは1〜7の整数であり、wは0〜7の整数であり、uは0又は1の整数であり、rは1〜3の整数であり、zは1〜8の整数であり、w+z−m=dである。
活性化剤のさらに好ましい例は、下記式(9)で表される化合物である。
Figure 0005329922
式中、[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、[BQ3*]−は相溶性の非配位性アニオンであり、Bはホウ素原子、Qはペンタフルオロフェニル基であり、Q*は置換基としてOH基を1つ有する炭素数6〜20の置換アリール基である。
非配位性アニオンの具体例としては、例えば、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)フェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオロメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレート等が挙げられ、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートである。
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンの具体例としては、上記で例示されたボレートのヒドロキシ基がNHRで置き換えられたボレートが挙げられる。ここでRは、好ましくはメチル基、エチル基又はtert−ブチル基である。
また、プロトン付与性のブレンステッド酸の具体例としては、例えば、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、及びトリ(n−オクチル)アンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジブチルエチルアンモニウム、ジヘキシルメチルアンモニウム、ジオクチルメチルアンモニウム、ジデシルメチルアンモニウム、ジドデシルメチルアンモニウム、ジテトラデシルメチルアンモニウム、ジヘキサデシルメチルアンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジイコシルメチルアンモニウム、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム等のようなトリアルキル基置換型アンモニウムカチオンが挙げられる。また、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルベンジルアニリニウム等のようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンも好適である。
次に、本実施の形態における液体助触媒成分[II]の調製方法について説明する。
液体助触媒成分[II]は、下記式(10)で表される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物[III−1]と、アミン、アルコール、シロキサン化合物から選ばれる化合物[III−2]との反応によって合成される、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物である。
Figure 0005329922
式中、M1は周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、R4及びR5は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、a、b、c、dは次の関係を満たす実数である。
0≦a、0<b、0≦c、0≦d、c+d>0、e×a+2b=c+d(ここで、eは、M1の原子価を示す)〕
本実施の形態においては、有機マグネシウム化合物[III−1]と化合物[III−2]との反応には特に制限はないが、好ましくは、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等の不活性反応媒体中、室温〜150℃の間で反応させることによって行われる。反応の順序については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物[III−1]中に化合物[III−2]を添加する方法、化合物[III−2]に有機マグネシウム化合物[III−1]を添加する方法、又は両者を同時に添加する方法のいずれの方法でもよい。有機マグネシウム化合物[III−1]と化合物[III−2]との反応比率については、特に制限はないが、反応により合成される液体助触媒成分[II]に含まれる全金属原子に対する化合物[III−2]のモル比は0.01〜2であることが好ましく、0.1〜1であることがより好ましい。
本実施の形態においては、液体助触媒成分[II]は、単独で使用してもよいし2種類以上を混合して使用してもよい。
本実施の形態において、液体助触媒成分[II]は、不純物のスカベンジャーとして用いられる。この液体助触媒成分[II]は、高濃度であっても重合活性を低下させることが少なく、したがって広い濃度範囲で高い重合活性を発現させることができる。このため液体助触媒成分[II]を含むオレフィン重合用触媒は、重合活性の制御が容易である。
重合に使用する際の液体助触媒成分[II]の濃度については特に制限はないが、液体助触媒成分[II]に含まれる全金属原子のモル濃度が、0.001mmol/リットル以上10mmol/リットル以下であることが好ましく、0.01mmol/リットル以上5mmol/リットル以下であることがより好ましい。0.001mmol/リットル未満では不純物のスカベンジャーとしての作用が十分ではなくなるおそれがあり、10mmol/リットルを超えると、重合活性が低下するおそれがある。
次に、有機マグネシウム化合物[III−1]について説明する。
有機マグネシウム化合物[III−1]は、上記の(10)式で表される。なお、上記の(10)式中では炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、(R42Mg及びこれらと他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号a、b、c、dの関係式e×a+2b=c+dは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
上記の(10)式中、R4及びR5で示される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、1級のアルキル基であることがさらに好ましい。
a>0の場合、金属原子M1としては、周期律表第1〜3族からなる群に属する金属元素が使用でき、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられ、好ましくは、アルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛である。
金属原子M1に対するマグネシウムのモル比b/aには、特に制限はないが、0.1以上50以下の範囲が好ましく、0.5以上10以下の範囲がより好ましい。また、a=0の場合には、有機マグネシウム化合物[III−1]が炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物であることが好ましく、上記の式(10)のR4及びR5が、以下に示す3つの群(イ)、(ロ)、(ハ)のいずれか1つであることがより好ましい。
(イ)R4、R5の少なくとも一方が炭素原子数4〜6である2級又は3級のアルキル基であること。好ましくはR4、R5がともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が2級又は3級のアルキル基であること。
(ロ)R4、R5が炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること。好ましくはR4が炭素原子数2又は3のアルキル基であり、R5が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(ハ)R4、R5の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること。好ましくはR4、R5が共に炭素原子数6以上のアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。
(イ)において炭素原子数4〜6である2級又は3級のアルキル基としては、1−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−エチルプロピル基等が挙げられ、好ましくは1−メチルプロピル基である。(ロ)において炭素原子数2又は3のアルキル基としては、エチル基、プロピル基が挙げられ、好ましくはエチル基である。また炭素原子数4以上のアルキル基としては、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、好ましくはブチル基、ヘキシル基である。(ハ)において炭素原子数6以上のアルキル基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基であり、より好ましくはヘキシル基である。
一般に、アルキル基の炭素原子数を増やすと炭化水素溶媒に溶けやすくなる一方で溶液の粘性が高くなる傾向があり、必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシウム化合物は炭化水素溶液として用いられるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のコンプレックス化剤がわずかに含有され或いは残存していても差し支えなく用いることができる。
次に、化合物[III−2]について説明する。
この化合物は、アミン、アルコール、シロキサン化合物からなる群に属する化合物である。アミン化合物としては、特に制限はないが、脂肪族、脂環式及び芳香族アミンが好ましい。具体的には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン等が挙げられる。
アルコール化合物としては、特に制限はないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−メチルペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−エチル−4−メチル−1−ペンタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−エチル−5−メチル−1−オクタノール、1−オクタノール、1−デカノール、シクロヘキサノール、フェノールが好ましく、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノールがより好ましい。
シロキサン化合物としては、特に制限はないが、下記の式(11)で表される構成単位を有するシロキサン化合物が好ましい。
Figure 0005329922
上記の式(11)中、R6及びR7は、水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基、及び炭素数1〜40の置換された炭化水素基からなる群より選ばれる基である。
上記炭化水素基としては、特に制限はないが、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基、ビニル基が好ましい。また、置換された炭化水素基としては、特に制限はないが、トリフルオロプロピル基が好ましい。
本実施の形態においては、このシロキサン化合物は、1種類又は2種類以上の構成単位からなる2量体以上の鎖状又は環状の化合物の形で用いることができる。
好ましいシロキサン化合物としては、対称ジヒドロテトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、ペンタメチルトリヒドロトリシロキサン、環状メチルヒドロテトラシロキサン、環状メチルヒドロペンタシロキサン、環状ジメチルテトラシロキサン、環状メチルトリフルオロプロピルテトラシロキサン、環状メチルフェニルテトラシロキサン、環状ジフェニルテトラシロキサン、(末端メチル封塞)メチルヒドロポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、(末端メチル封塞)フェニルヒドロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが挙げられる。
[ポリエチレン(B)]
本実施の形態のポリエチレン系樹脂組成物に含まれる分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)は、下記(b−1)〜(b−2)の要件を満たすものである。
(b−1)密度が910〜930kg/m3である;
(b−2)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分である;
以下、各要件について説明する。
分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)は、エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)は、(b−1)密度が910〜930kg/m3であり、好ましくは915〜928kg/m3である。また、(b―2)190℃、2.16kg荷重におけるMFRが0.1〜50g/10分、好ましくは1.0〜20g/10分である。上記特性を有する分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)をブレンドすることにより、架橋パイプの柔軟性の改良に大きな効果を発揮する。尚、分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他のα−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等との共重合体であってもよい。
本実施の形態におけるポリエチレン系樹脂組成物は、線状系ポリエチレン(A)がエチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン共重合体であり、その分子量分布:Mw/Mnが3〜7と狭く、分子量の均一性に起因していることから、線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)とをポリマーブレンドすることにより、柔軟性を改良すると同時に、優れた耐水圧性能と長期耐久安定性能を兼ね備えたシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物、及びその樹脂組成物からなる架橋ポリエチレンパイプを得ることができる。
一般的に知られたことではあるが、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド系は非相溶であり、両者の結晶状態が相分離することから、長期耐久性能が懸念される。しかしながら、分子量分布:Mw/Mnが3〜7と狭く、分子量の均一性に起因している線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)をポリマーブレンドすると、線状系ポリエチレン(A)をベース樹脂として高圧法低密度系ポリエチレン(B)のブレンド量が約20質量%ぐらいまでは、結晶化速度が速くなるとともに結晶サイズが小さくなって結晶状態が均一となる傾向が見られることから、線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)が共結晶化していることが示唆される。さらに結晶サイズを小さくすることにより柔軟性も改良される傾向が見られる。
本実施の形態のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物の基体となる架橋前のポリエチレン系樹脂組成物における線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)の配合割合としては、線状系ポリエチレン(A)が90〜65質量%、好ましくは90〜80質量%であり、分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)が10〜35質量%、好ましくは10〜20質量%である。分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)の配合割合が10質量%未満であると、パイプの剛性が大きく、柔軟性を改良することが困難となる。ブレンド量が35質量%を超えると、密度の低下と共に、パイプの剛性、耐水圧性能が低下する傾向にある。
また、それぞれ特定の物性を有する線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)とを特定の割合で配合することで、シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物の基体となる架橋前のポリエチレン系樹脂組成物成型体の引張り測定の結果から、下記式(1)を満たすことをあらたに発見した。

(ポリエチレン系樹脂組成物成型体の引張り伸び)≧〔(線状系ポリエチレン(A)成型体の引張り伸び)×x/100+(分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)成型体の引張り伸び)×(100−x)〕×90/100・・(1)
(ここで、xは95〜5であり、線状系ポリエチレン(A)の組成量を示す。)

この関係式において、引張り伸びの測定値は、試験数5個の引張り伸び測定値の平均値を示す。また、一般的に、引張り伸びの値は±10%の範囲で誤差を生じることがある。
即ち、特定の物性を有する線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)とを特定の割合で配合することで、そのポリエチレン系樹脂組成物成型体の引張り伸びの値が、線状系ポリエチレン(A)成型体の引張り伸びの値と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)成型体の引張り伸びの値を結んだ引張り伸びの線において等しいか、もしくは上回る値を示すことを発見した(図1参照)。一般に、チーグラー触媒系の線状系ポリエチレン(A)は分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)と混合したブレンド系の場合、非相溶であり、両者の結晶状態が相分離することから、引張り伸びの値は一定せず、上記の線状系ポリエチレン(A)成型体の引張り伸びの値と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)成型体の引張り伸びの値を結んだ引張り伸びの線において下回ることが一般的である。しかしながら、それぞれ特定の物性を有する線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)とを配合することで、シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物の基体となるポリエチレン系樹脂組成物成型体の引張り伸びに関する上記特性を発見した。これは、主に、線状系ポリエチレン(A)が分子量分布:Mw/Mnが3〜7と狭いこと、即ち、分子量の均一性に起因しているものと推察される。
ポリエチレン系樹脂組成物の密度は、好ましくは920〜970kg/m3、より好ましくは930〜940kg/m3であり、MFRは、好ましくは0.1〜30g/10分、より好ましくは0.1〜10g/10分、さらに好ましくは2〜5g/10分である。ポリエチレン系樹脂組成物が上記範囲の特性を有することにより、高密度ポリエチレン(HDPE)をベースとしたポリエチレンパイプの柔軟性を改良すると同時に、耐水圧性能と長期耐久安定性能を兼ね備えたシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物、ならびにその樹脂組成物からなる架橋ポリエチレンパイプが得られる傾向にある。
一方で、ポリエチレン系樹脂組成物の密度が920kg/m3未満であると、パイプの剛性、耐水圧性能が低下する傾向にあり、密度が970kg/m3を超えると、柔軟性が不足するため配管施工性が悪くなる傾向にある。また、MFRが0.1g/10分未満であると、メルトフラクチャーが発生しやすく押出し成型加工性に劣る傾向にあり、MFRが30g/10分を超えると、長期耐久性能が低下する傾向にある。
また、190℃、2.16kg荷重における、線状系ポリエチレン(A)のMFRに対する分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)のMFRの比(MFR比)は、〜20、より好ましくは5〜10である。MFR比が1未満であると、ポリエチレンパイプの光沢が悪化する傾向にあり、MFR比が20を超えると、架橋ポリエチレンパイプの表面に分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)が相分離した状態となるおそれがある。
[有機過酸化物]
本実施の形態におけるシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物に含まれる有機過酸化物は、押し出し工程でラジカルに分解し、後述する有機不飽和シラン化合物をシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物にグラフト変性させることでシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物を形成させるための化合物である。
有機過酸化物としては、特に限定されず、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−オキシ)−ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチル−オキシ−イソプロピル)−ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、4,4,−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレリツク酸−ブチルエステル、1,1−ジ−(tーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、ジシクロベンゾパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、分子中に2重結合基とパーオキサイド基を有する化合物等が挙げられ、好ましくはジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−オキシ)−ヘキシン−3である。
有機過酸化物の含有量は、ポリエチレン系樹脂組成物100質量部に対して、0.005〜5質量部、好ましくは0.007〜1質量部、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部である。有機過酸化物の含有量が0.005質量部未満であると、有機不飽和シラン化合物のグラフト反応が進行せず、5質量部を超えると、有機過酸化物によりエチレン重合体に中に生成したラジカルが再結合し、不均一架橋が進行してパイプの押し出し加工性が低下する。また、有機過酸化物を多量に使用した場合には、シラン架橋パイプの通水中に有機過酸化物の臭気が強くなる傾向にある。
[有機不飽和シラン化合物]
本実施の形態におけるシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物に含まれる有機不飽和シラン化合物としては、従来公知のシラン架橋し得るものであれば特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。中でも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好ましい。
有機不飽和シラン化合物の含有量は、ポリエチレン系樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜4質量部である。有機不飽和シラン化合物の含有量が0.1質量部未満であると、シラン架橋パイプのシラン架橋が不十分となり、10質量部を超えると、多量の目やにや、パイプ押し出し時の負荷の上昇等が発生して、パイプの押出成型性が不良となる。
有機不飽和シラン化合物は、有機過酸化物の作用により発生したポリエチレン系樹脂組成物中のラジカルと反応して、ポリエチレン系樹脂組成物中のエチレン重合体にグラフトする。
また、本実施の形態のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物は、シラノール縮合触媒により架矯されていてもよい。ここで、シラノール縮合触媒とは、温水又は水蒸気の存在下で、エチレン重合体にグラフトしたシラン化合物を架橋させるための化合物である。シラノール縮合触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウリレート、酢酸第一スズ、カプリル酸第一スズ、ナフテン酸スズ、カプリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、ナフテン酸コバルト、チタン酸テトラブチルエステル、エチルアミン、ジブチルアミン等が挙げられ、中でも、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルオクテートが好ましい。
これらシラノール縮合触媒の使用方法は特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂組成物、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物を含むシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物にシラノール縮合触媒を添加し、押出機で溶融混合し、その後パイプ成型し、得られたパイプを温水又は水蒸気は存在下でシラン基を架橋させる方法、シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物を一度押し出し、得られたシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物にシラノール縮合触媒を添加してパイプ成型し、得られたパイプを温水又は水蒸気の存在下でシラン基を架橋させる方法、シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物でパイプを成型し、シラノール縮合触媒を含む温水又は水蒸気の存在下にパイプをさらしてシラン基を架橋させる方法等が挙げられる。
特に、ポリエチレン系樹脂組成物、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物を含むシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物にシラノール縮合触媒を添加する場合、シラノール縮合触媒の含有量は、樹脂組成物100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましい。シラノール縮合触媒の含有量が0.001質量部未満であると、シラン架橋に長時間を要する傾向にあり、10質量部を超えると、シラン架橋パイプに通水した場合に、水中にシラノール縮合触媒が溶出するおそれがある。
シラン架橋パイプの製造においては、ポリエチレン系樹脂組成物はペレット又はパウダーのどちらの形態で用いてもかまわない。また有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物、及びシラノール縮合触媒は単独、又はポリエチレン系樹脂組成物とのマスターバッチとして用いてもよい。
本実施の形態のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物又はシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物から得られる架橋成型体は、ゲル分率が65%以上であることが好ましい。このゲル分率は、重合体中の有機シラン化合物が均一にグラフトされ、さらにそのシラン基がシラノール縮合触媒により均一に架橋した場合に高い値となる。経験的にゲル分率が高いシラン架橋パイプは、短期及び長期の熱間内圧クリープ等の機械強度に優れることが知られているが、従来のエチレン重合体において高いゲル分率を得るためには、多量の有機不飽和シラン化合物を用いる必要がある。さらに、従来のエチレン重合体を用いたシラン架橋パイプにおいて高いゲル分率を達成しても、熱間内圧クリープ特性は満足のいくものではない。一方、本実施の形態で用いる特定の物性を有するポリエチレン系樹脂組成物は、有機シラン化合物の添加量が少量であっても高いゲル分率が得られ、充分な機械特性を達成することができる。
以下に架橋成型体のゲル分率の測定方法について説明する。
架橋成型体を10g切削し、キシレン溶媒を用いてソックスレー抽出器で10時間抽出し、抽出残量を測定し、以下の式により求める。
Figure 0005329922
本実施の形態におけるシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物は、フェノール系安定剤、有機ホスファイト系安定剤、有機チオエーテル系安定剤、及び/又は高級脂肪酸の金属塩からなる安定剤、顔料、染料、核剤、潤滑剤、カーボンブラック、タルク、ガラス繊維等の無機充填材、或いは補強材、難燃剤、中性子遮断剤等のポリオレフィンに添加される配合剤を、本発明の効果をそこなわない範囲で添加することができる。また架矯成型体からの未反応有機不飽和シラン化合物、シラノール縮合触媒、有機化酸化物の溶出を抑えるために、活性炭等の吸着剤を添加してもよい。
フェノール系安定剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−シクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジイソプロピル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−2−エチル−6−t−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−t−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート)メタン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、1,3,5−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)メタン、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニール)プロピオネート)メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルフェノール)プロピオン酸アルキルエステル、2,2−オキザミドビス(エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(2,4−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシル)プロピオネート)、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオノ−1,3,5−トリアジン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、 2,2−メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール)、ビス(3,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシド)グリコールエステル、4,4−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネート、1,3,5−トリス((3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニールオキシエチル)イソシアヌレート、2−オクチルチオ−4,6−ジ(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル)フェノキシ−1,3,5−トリアジン、4,4−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)等が挙げられる。
有機ホスファイト系安定剤としては、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチル−ジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ又はジノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイド、ビス(オクチルフェニル)ビス(4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール))1,6−ヘキサンオールジホスファイド、フェニル−4,4−イソプロピリデンジフェノールペンタエリスリトールジホスファイド、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイド、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイド、トリス((4,4、−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール))ホスファイド、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイド、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、4,4−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)ジ(ノニルフェニル)ホスファイド、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレンジホスファイド等が挙げられる。
有機チオエーテル系安定剤としては、ジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−等のジアルキルチオプロピオネート、及びブチル−、オクチル−、ラウリル−、ステアリル−等のアルキルチオプロピオン酸の多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート)のエステル(例えば、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。より具体的には、ジラウリルチオプロピオネート、ジミリスチルチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレート等が挙げられる。
高級脂肪酸の金属塩からなる安定剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、カプリル酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸と、マグネシウム、カルシウム、バリウム塩等のアルカリ土類金属との塩、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられる。より具体的には、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
本実施の形態のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物は、線状系ポリエチレン(A)と高圧法低密度系ポリエチレン(B)を含むポリエチレン系樹脂組成物と、有機過酸化物と、有機不飽和シラン化合物とを、公知の方法を利用してポリマーブレンドすることにより得ることができ、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、加熱ロール練り機等で溶融混合することにより得ることができる。
上記の各種の添加剤を添加する方法としては、線状系ポリエチレン(A)及び高圧法低密度系ポリエチレン(B)の製造時に予め添加剤を混合する方法を採用することもできる。
本実施の形態のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物からなる架矯成型体である架橋パイプは、通常180〜250℃の温度で押出機により可塑化され、環状ダイを通して押し出され、その後冷却されることにより成型される。架橋パイプ成型に使用される押出機は単軸の押出機でも、2軸以上の多軸押出機であってもよい。環状のダイを通過したポリエチレン溶融物は真空サイジングにより形状が整えられる。なお、上記押出し機とダイとの間には、シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物の流量の均一性を保持するためにギアポンプ等の昇圧押込装置を設置しても構わない。また、成型体がポリエチレンパイプである場合、架橋ポリエチレンパイプを形成するプロセスライン中に架橋パイプの肉厚を計測し、これをギアポンプや引取機へフィードバックすることも可能である。
以下、実施例及び比較例によって本実施の形態をさらに詳細に説明するが、本実施の形態は、これらの実施例に限定されるものではない。
各種物性の測定及び評価方法は以下の通りである。
(1)密度
JIS−K−7112:1999に準じて測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS−K−7210:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準じて測定した。
(3)分子量分布
Waters社製150−C ALC/GPCを用いてゲルパーミエーションクロマトグラフの測定を行った。カラムとしてはShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、溶媒に10ppmのイルガノックス1010を含むトリクロロベンゼンを用いて、140℃で測定を行う分子量分布測定装置により分子量分布:Mw/Mnを求めた。
(4)引張伸び
JIS−K−7161に準じて測定した。
(5)引張クリープ試験
JIS−K−7151に準じて5mmの厚みのプレスシートを成型し、そのシートから試験片(110mm*6mm)を切削加工し、この試験片に約0.5mm深さのノッチを全周に入れた。
上記ノッチ入り試験片を、80℃の温水中に浸漬し、サンプルに応じて引張応力が5〜8MPaとなるように、荷重を印加した。
引張クリープの評価基準は以下の通りである。
○:破壊時間が1,000時間以上で引張応力が5MPa以上の場合。
×:破壊時間が1,000時間未満の場合もしくは1,000時間以上で引張応力が5MPa未満の場合
(6)パイプ押出し成型性
Reifenhauser社製単軸押出し機 RH501(スクリュー径50mm、L/D=30)と管状ダイを組合せてシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物を管状に押し出し、真空成型、冷却を経て、外径約32mm、肉厚約3mmのパイプを得た。
パイプ押出し成型性の評価基準は以下の通りである。
○:パイプの肉厚に凹凸がなく、パイプ表面外観が目視にて良好な場合。
×:パイプが柔らかく蛇行した場合もしくはパイプの肉厚に凹凸が生じパイプ表面外観が目視にて不良な場合。
(7)ゲル分率
シラン架橋パイプ10g切削し、キシレン溶媒を用いてソックスレー抽出器で10時間抽出し、抽出残量を測定して以下の式により求めた。
Figure 0005329922
(8)パイプの光沢
蛍光灯がついている部屋で、蛍光灯が上からパイプ表面に写りこむ(反射する)ようにし、表示部分を斜めから見て蛍光灯の像がゆがむ個所で反射光の強さを目視で観察して、以下の評価基準で評価した。
◎(最良好):反射光が明るく像がはっきりしている。
○(良好) :反射光が明るい。
△(不良) :反射光が暗い。
なお、パイプの光沢は実用上必須とは言えないが、ユーザーへの品質信頼度向上の目安となる。
[メタロセン担持触媒[I]の調製]
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiO2であった。容量1.8リットルのオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800cc中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/リットル)を60cc加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がつぶされている成分[IV]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800ccを得た。
一方、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1000ccに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成した組成式AlMg6(C253(n−C4912の1mol/リットルヘキサン溶液を20cc加え、更にヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/リットルに調整し、成分[V]を得た。
また、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と略称する)5.7gをトルエン50ccに添加して溶解し、ボレートの100mmol/リットルトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1mol/リットルヘキサン溶液5ccを室温で加え、さらにヘキサンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/リットルとなるように調整した。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物46ccを、上記で得られた、成分[IV]のスラリー800ccに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上記で得られた成分[V]のうち32ccを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されているメタロセン担持触媒[I]を得た。
[液体助触媒成分[II]の調製]
有機マグネシウム化合物[III−1]として、AlMg6(C253(n−C4912で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[III−2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
200ccのフラスコにヘキサン40ccとAlMg6(C253(n−C4912を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40ccを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
[線状系ポリエチレン(A)の調製]
上記により得られたメタロセン担持触媒[I]と液体助触媒成分[II]は、触媒移送ラインから、連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素を接触させて重合反応器に導入し、溶媒としてはヘキサン、モノマーとしてはエチレン及びブテン−1を用いた。反応温度は70℃として、エチレン、ブテン−1、水素の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.36、水素とエチレン+水素のモル比が0.0025を維持できるように調節)から、全圧0.8MPaで、線状系ポリエチレン(A)であるエチレンとα−オレフィンとの共重合体を重合した。得られた線状系ポリエチレン(A)であるエチレン−ブテン−1共重合体(線状系ポリエチレン(A−1))は、密度が941kg/m3、MFRが2.5g/10分、ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定による分子量分布:Mw/Mnが4.2、引張り伸びが1088%であった。
[チーグラー触媒を用いたエチレン−α−オレフィン共重合体の調製]
充分に窒素置換された15リットルの反応器に、トリクロルシランを2mol/リットルのn−ヘプタン溶液として3リットル仕込み、攪拌しながら65℃に保ち、組成式AlMg6(C253(n−C496.4(On−C495.6で示される有機マグネシウム化合物のn−ヘプタン溶液7リットル(マグネシウム換算で5mol)を1時間かけて加え、更に65℃にて1時間攪拌下反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、n−ヘキサン7リットルで4回洗浄を行い、固体物質スラリーを得た。この固体を分離・乾燥して分析した結果、固体1グラム当たり、Mg7.45mmolを含有していた。
このうち固体500gを含有するスラリーを、n−ブチルアルコール1mol/リットルのn−ヘキサン溶液0.93リットルとともに、攪拌下50℃で1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで1回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1mol/リットルのn−ヘキサン溶液1.3リットルを攪拌下加えて1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで2回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1mol/リットルのn−ヘキサン溶液0.2リットル及び四塩化チタン1mol/リットルのn−ヘキサン溶液0.2リットルを加えて、2時間反応させた。反応終了後、上澄みを除去し、固体触媒を単離して、遊離のハロゲンが検出されなくなるまでヘキサンで洗浄した。この固体触媒(チーグラー触媒)は2.3質量%のチタンを有していた。
上記で得られたチーグラー触媒を用い、下記のとおりにエチレン−α−オレフィン共重合体を製造した。
単段重合プロセスにおいて、容積230リットルの重合器で重合した。重合温度は86℃、重合圧力は0.98MPaであった。この重合器に合成したチーグラー触媒を0.3g/hrの速度で、トリイソブチルアルミニウムを15mmol/hr、ヘキサンを60リットル/hrの速度で導入した。これに、エチレン、水素、プロピレンの混合ガス(ガス組成はプロピレンとエチレン+プロピレンのモル比が3.1%、水素とエチレン+水素のモル比が53%を維持できるように調節)を導入して重合した。得られたエチレン−α−オレフィン共重合体(A−2)は、密度が951kg/m3、MFRが1.1g/10分、分子量分布:Mw/Mnが7.2、引張り伸びが1197%であった。
[分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)であるエチレン重合体又はエチレンとα−オレフィンとの共重合体の調製]
(B−1)公知のオートクレーブタイプリアクターで、エチレンとα−オレフィンをラジカル重合することにより、密度922kg/m3、MFR7.0g/10分、引張り伸びが489%である分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B−1)を得た。
(B−2)公知のチューブラータイプリアクターで、エチレンとα−オレフィンをラジカル重合することにより、密度918kg/m3、MFR0.3g/10分、引張り伸びが670%である分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B−2)を得た。
(B−3)公知のチューブラータイプリアクターで、エチレンとα−オレフィンをラジカル重合することにより、密度917kg/m3、MFR20g/10分、引張り伸びが552%である分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B−3)を得た。
[実施例1、実施例2ならびに参考例3]
エチレン−ブテン−1共重合体であって、密度941kg/m3、MFR2.5g/10分、分子量分布:Mw/Mnが4.2の線状系ポリエチレン(A−1)及び密度922kg/m3、MFR7.0g/10分の分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B−1)をそれぞれ所定の割合で混合(表1参照)したポリマーブレンド物100質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン1.4質量部、有機過酸化物としてパーヘキサ25B(日本油脂社製)0.05質量部、ステアリン酸カルシウムを0.15質量部をそれぞれ配合、ヘンシエルで混合し、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35)の二軸押出成形機を利用し、220℃の温度で溶融混錬して造粒した。得られたシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物のペレット100質量部に対して、ジオクチルスズジラウリレート0.01質量部、フェノール系酸化防止剤としてn−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートを0.4質量部、リン系熱安定剤としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイトを0.1質量部を再度混合して、Reifenhauser社製単軸押出し機 RH501(スクリュー径50mm、L/D=30)と管状ダイを組合せてシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物を管状に押し出し、真空成型、冷却を経て、外径約32mm、肉厚約3mmの架矯ポリエチレンパイプを得た。
本実施例に使用した線状系ポリエチレン(A)、分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)、シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物及び架橋ポリエチレンパイプの評価結果を表1及び2に示した。
参考例4〜参考例6]
分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B−1)の代わりに、密度918kg/m3、MFR0.3g/10分の分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B−2)を用いた以外は、実施例1〜実施例と同様の方法により、シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物及び架橋ポリエチレンパイプを得て、その物性を評価した。評価結果を表1及び2に示した。
[実施例7、実施例8ならびに参考例9]
分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B−1)の代わりに、密度917kg/m3、M
FR20g/10分の分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B−3)を用いた以外は、実
施例1〜実施例と同様の方法により、シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物及び架橋
ポリエチレンパイプを得て、その物性を評価した。評価結果を表1及び2に示した。
[比較例1〜比較例3]
線状系ポリエチレン(A−1)の代わりに、密度951kg/m3、MFR1.1g/10分、分子量分布:Mw/Mnが7.2のエチレン−α−オレフィン共重合体(A−2)を用いた以外は、実施例1〜実施例3と同様にシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物及び架橋ポリエチレンパイプを得て、その物性を評価した。評価結果を表1及び2に示した。
Figure 0005329922
Figure 0005329922
表2の結果から明らかなように、本実施の形態のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物(実施例1、2、7、8)を用いて得られた架矯パイプは、優れた押出し成型性及び長期耐久性を有し、さらに、光沢性も良好であった。
これに対して、比較例1〜3の架矯パイプは、長期耐久性に劣り、光沢性も不十分なものであった。
本発明のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物は、押出し加工性がよく、柔軟性を改良し、特に高温時の温水圧下での耐久安定性に優れ、しかも光沢性が良好であり、これを架矯して得られる架矯パイプは、給水・給湯用、床暖房用及びロードヒーティング用架矯パイプとしての産業上利用可能性を有する。
分岐状高圧法低密度系ポリエチレンの配合率(質量%)と引張り伸び(%)との関係を示す図である。

Claims (7)

  1. 下記(a−1)〜(a−4)の要件を満たす線状系ポリエチレン(A)90〜65質量%と、
    (a−1)エチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である;
    (a−2)密度が925〜975kg/m3である;
    (a−3)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分である;
    (a−4)ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定において、分子量分布:Mw/Mnが3〜7である;
    (ここで、Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量)
    下記(b−1)〜(b−2)の要件を満たす分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)10〜35質量%と、
    (b−1)密度が910〜930kg/m3である;
    (b−2)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分である;
    を含むポリエチレン系樹脂組成物であって、下記式(1)
    (ポリエチレン系樹脂組成物成型体の引張り伸び)≧〔(線状系ポリエチレン(A)成型体の引張り伸び)×x/100+(分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)成型体の引張り伸び)×(100−x)〕×90/100・・・(1)
    (ここで、xは95〜5であり、線状系ポリエチレン(A)の組成量を示す。)
    を満たし、且つ
    190℃、2.16kg荷重における、前記(A)成分のメルトフローレートに対する前記(B)成分のメルトフローレートの比が1〜20である、ポリエチレン系樹脂組成物100質量部と、
    有機過酸化物0.005〜5質量部と、
    有機不飽和シラン化合物0.1〜10質量部と、
    を含む、シラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物。
  2. シラノール縮合触媒で架橋された、請求項1記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物。
  3. 前記線状系ポリエチレン(A)は、
    少なくとも(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)前記環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤、から調製されるメタロセン担持触媒[I]と、
    液体助触媒成分[II]と、
    を用いて重合してなるものである、請求項1又は2に記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物をシラングラフト変性したシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項記載のシラン変性用ポリエチレン系樹脂組成物又は請求項記載のシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物から得られる架橋成型体。
  6. 架橋シート、架橋パイプ、架橋チューブ、架橋ホースから選ばれるいずれか1つである、請求項記載の架橋成型体。
  7. 給水・給湯用架橋パイプ、床暖房用架橋パイプ、ロードヒーティング用架橋パイプから選ばれるいずれか1つである、請求項記載の架橋成型体。
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